説明

パネルの接着用シート、パネルの製造方法、パネルの封止用シート、太陽電池の封止用シート、太陽電池の製造方法

【課題】内部に空気が残存したり、空隙が形成されることを防止できるパネルの接着用シート、パネルの製造方法、パネルの封止用シート、太陽電池の封止用シート、太陽電池の製造方法を提供する。
【解決手段】封止用シート21,22は、透明性を有する熱接着性樹脂の繊維によって形成される織布又は不織布により形成され、透明性を有する被覆板10及び太陽電池素子2の間の領域と、太陽電池素子2及びバックカバー30の間の領域とにそれぞれ配置され、領域内を真空にされ、加熱され、被覆板10及びバックカバー30が加圧されることにより織布又は不織布自体が溶融して、被覆板10及びバックカバー30の間に太陽電池素子2を封止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルの接着用シート、パネルの製造方法、パネルの封止用シート、太陽電池の封止用シート、太陽電池の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池素子等の被封止体を、上下の外層に、真空、加熱、加圧することにより封止する封止用シートがあった(例えば特許文献1)。
しかし、従来の封止用シートは、真空時の空気の抜けが悪いため内部に空気が残存したり、また非封止物に凹凸がある場合には、空隙が形成される場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−4437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、内部に空気が残ったり、空隙が形成されることを防止できるパネルの接着用シート、パネルの製造方法、パネルの封止用シート、太陽電池の封止用シート、太陽電池の製造方法を提供することである。
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。また、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【0006】
第1の発明は、透明性を有する被覆板、中間層、バックカバーの順に積層されるパネルの接着用シートであって、透明性を有する熱接着性樹脂の繊維によって形成され、前記中間層を形成できる樹脂量を有する織布又は不織布により形成され、前記被覆板及び前記バックカバーの間の領域に配置され、前記領域内を真空にされ、加熱され、前記被覆板及び前記バックカバーが加圧されることにより前記織布又は前記不織布自体が溶融して、前記被覆板及び前記バックカバーを接着すること、を特徴とするパネルの接着用シートである。
第2の発明は、透明性を有する被覆板、接着用シートにより形成される中間層、バックカバーの順に積層されるパネルの製造方法であって、第1の発明の接着用シートを、前記被覆板及び前記バックカバーの間の領域に配置する積層配置工程と、前記領域を真空にする真空工程と、前記接着用シートを加熱して溶融し、被覆板及び前記バックカバーを接着する加熱工程と、前記加熱工程で加熱した状態で、前記被覆板及び前記バックカバーの表面から圧縮するように加圧する加圧工程と、を備えるパネルの製造方法である。
【0007】
第3の発明は、透明性を有する被覆板、中間層、バックカバーの順に積層され前記中間層内に被封止体を封止する中間層を形成するパネルの封止用シートであって、透明性を有する熱接着性樹脂の繊維によって形成され、前記中間層を形成した状態で少なくとも前記被封止体を封止できる樹脂量を有する織布又は不織布により形成され、前記被覆板及び前記被封止体の間の領域と、前記被封止体及び前記バックカバーの間の領域とにそれぞれ配置され、前記領域内を真空にされ、加熱され、前記被覆板及び前記バックカバーが加圧されることにより前記織布又は前記不織布自体が溶融して、前記被覆板及び前記バックカバーの間に前記被封止体を封止すること、を特徴とするパネルの封止用シートである。
第4の発明は、第3の発明のパネルの封止用シートにおいて、EVA樹脂を、溶融紡糸法により繊維状にして吹き出し可能な粘性になるまで加熱溶融する加熱溶融工程と、前記加熱溶融工程において加熱溶融したEVA樹脂に、EVA樹脂の弾力性に対応した量の加熱空気を供給して、溶融紡糸法により繊維状にして吹き出す吹き出し工程と、前記吹き出し工程で吹き出した繊維状のEVA樹脂を、冷却して不織布を形成する不織布形成工程と、前記不織布形成工程において、前記EVA樹脂の不織布の厚みが、前記被封止体を封止できる前記樹脂量に対応した移動速度になるように、その不織布を移動する捕集工程と、を備える製造方法により製造されたこと、を特徴とするパネルの封止用シートである。
【0008】
第5の発明は、透明性を有する被覆板、中間層、バックカバーの順に積層され前記中間層内に被封止体を封止する中間層を形成するパネルの製造方法であって、第4の発明の封止用シートを、前記被覆板及び前記被封止体の間の領域と、前記被封止体及び前記バックカバーの間の領域とにそれぞれ配置する積層配置工程と、前記領域を真空にする真空工程と、前記封止用シートを加熱して溶融し、前記被封止体と被覆板及び前記バックカバーとを接着する加熱工程と、前記加熱工程で加熱した状態で、前記被覆板及び前記バックカバーの表面から圧縮するように加圧する加圧工程と、を備える被封止体を有するパネルの製造方法である。
第6の発明は、第5の発明のパネルの製造方法において、積層配置工程は、EVA樹脂を、溶融紡糸法により繊維状にして吹き出し可能な粘性になるまで加熱溶融する加熱溶融工程と、前記加熱溶融工程において加熱溶融したEVA樹脂に、EVA樹脂の弾力性に対応した量の加熱空気を供給して、溶融紡糸法により繊維状にして吹き出す吹き出し工程と、前記吹き出し工程で吹き出した繊維状のEVA樹脂を、冷却して不織布を形成する不織布形成工程と、前記不織布形成工程において、前記EVA樹脂の不織布の厚みが、前記被封止体を封止できる前記樹脂量に対応した移動速度になるように、その不織布を移動する捕集工程と、を備える製造方法により製造された前記封止用シートを積層すること、を特徴とするパネルの製造方法である。
【0009】
第7の発明は、第3又は第4の発明のパネルの封止用シートであって、前記被封止体が太陽電池セルであること、を特徴とする太陽電池の封止用シートである。
第8の発明は、第3又は第4の発明のパネルの製造方法であって、前記被封止体が太陽電池セルであること、を特徴とする太陽電池の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本発明は、被覆板及びバックカバーを接着するために、熱接着性樹脂の繊維によって形成される織布又は不織布を利用するので、被覆板及びバックカバーの間の空気の抜けがよく、織布又は不織布を1枚のシート状に形成して、被覆板及びバックカバーを接着して、空隙の形成を抑制して、透明なパネルを形成できる。
また、本発明は、織布又は不織布自体が溶融するので、透明度を向上できる。例えば、従来のように、ガラス繊維等に樹脂を含浸した場合、樹脂を溶融させた後には、ガラス繊維及び樹脂との界面により入射光の反射及び屈折が発生し、透明度が低下してしまうが、本発明では、このような透明度の低下を防止できる。
さらに、本発明は、繊維が、例えばフィルム状のシートに比べて、熱容量を小さくできる。このため、加熱、溶融する工程を短時間で行えるので、製造時間を短縮できる。
(2)本発明は、熱接着性樹脂の繊維によって形成される織布又は不織布を利用するので、被覆板及びバックカバーの間に被封止体を封止する場合の空気の抜けがよく、織布又は不織布を1枚のシート状に形成でき、封止効果を向上できる。
また、本発明は、被封止体の表面に凹凸があっても、織布又は不織布を利用するので、クッション性(柔軟性)を有するため、この凹凸にならって入り込み、樹脂で埋めることができる。例えば、フィルム状の封止用シートを利用する場合には、このような凹凸との間に隙間が生じてしまうことがあるが、本発明では、このような隙間を形成することを防止できる。
さらに、フィルム状の封止用シートを利用する場合には、加圧時に、被封止体を損傷する可能性がある。これに対して、本発明では、織布又は不織布を利用するので、クッション性を有するため、このような損傷を防止できる。
さらにまた、1枚のフィルム状の封止用シートを利用する場合には、封止後冷却されるときに、シートが一体で収縮し、収縮にともない大きな力を発生し、かつ収縮量が大きくなり、封止した被封止体を損傷する可能性がある。これに対して、本発明では、織布又は不織布を利用するので、各繊維が別々に収縮するため、全体の収縮量を小さくできるので、収縮にともなう力を小さくでき、被封止体に与える損傷を軽減できる。
【0011】
(3)本発明は、吹き出し工程で、EVA樹脂の弾力性に対応した量の加熱空気を供給等することにより、通常では入手できないEVA(エチレン−酢酸ビニルの共重合体)製の不織布を製造し、封止用シートして利用できる。
(4)本発明は、被封止体が太陽電池素子であるので、上記(1)から(3)の効果を奏する太陽電池を製造できる。また、透明度を向上できるので、光−電気交換率の向上が期待できるし、太陽電池素子やその配線の損傷を防止して太陽電池を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態の太陽電池1の断面図、太陽電池1を製造するための各部材を積層した積層体3の断面図、太陽電池1の製造工程を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1(a)は、実施形態の太陽電池1の断面図である。
太陽電池1(太陽電池パネル)は、上側から、透明な被覆板10、透明な中間層20、バックカバー30が順に積層されて構成される。中間層20には、複数の太陽電池素子(素子)2が封止される。
各太陽電池素子2は、他の太陽電池素子2との間を、必要に応じて配線材(図示せず)により電気的に接続されている。
太陽電池1は、被覆板10に入射した太陽光が、透明な被覆板10及び中間層20を通過して、太陽電池素子2に到達することにより、各太陽電池素子2が光を電力に変換して出力するものである。このため、中間層20の透明性が高い程、太陽電池1の変換効率を高くできる。
【0014】
図1(b)は、実施形態の太陽電池1を製造するための各部材を積層した積層体3の断面図である。
積層体3は、上側から被覆板10、封止用シート21、太陽電池素子2、封止用シート22、バックカバー30の順に積層される。
封止用シート21,22は、後述するように、製造工程(後述する)において、溶融して中間層20を形成する。
封止用シート21,22は、透明性を有する熱可塑性樹脂であるEVA(エチレン−酢酸ビニルの共重合体(エチレン酢酸ビニルコポリマー))樹脂を、繊維状にして形成された不織布である。封止用シート21,22は、少なくとも中間層20の体積を構成できる量のEVA樹脂が繊維状にされている。つまり、封止用シート21,22は、溶融して中間層20を構成するのに十分な樹脂量(体積)のEVA樹脂を含むような、密度及び厚みの構成になっている。
【0015】
EVA樹脂は、溶融張力が高いため、溶融時に弾力性があり、非常に繊維化するのが難しいという問題がある。この問題を解決するためには、溶融温度を上げて溶融張力を下げる必要があるが、EVA樹脂は、例えば200℃から230℃程度で分解してしまい、本来の樹脂特性を失ってしまうという欠点がある。また封止用シートに使用されるEVA樹脂は、接着性があり、繊維化出来ても単独では巻き取ってロール状にすることが難しいという性質を有する。
従って、EVA樹脂単体で製造された不織布は、市販されておらず、通常、市場では入手できなかった。
本実施形態では、以下の工程のように、これらの問題点を解決して、EVA樹脂を繊維状にしたEVA不織布を製造した。
【0016】
(1)加熱溶融工程
EVAの樹脂ペレットを、繊維化できる程度まで溶融粘度が下がる温度(例えば200℃程度)まで加熱した。
(2)吹き出し工程
溶融紡糸法(メルトスプレー法)により、加熱溶融したEVA樹脂を糸状にして吹き出した。つまり、加熱溶融したEVA樹脂を、細い穴をもった口金を具備したダイに押し出した。その口金から出た樹脂は、高温高速の空気流で、糸状にされ、細い繊維となってコンベヤ(スクリーン)上に捕捉される。このとき、EVA樹脂の弾力性に対応した量の加熱空気を供給した。つまり、EVA樹脂の繊維化を容易にするため、通常の溶融紡糸法よりも大量の加熱空気を供給した。これにより、EVA樹脂が、通常の繊維用の樹脂よりも弾力性があっても、EVA繊維を製造できた。
【0017】
(3)不織布形成工程
糸状にして吹き出されたEVA繊維は、コンベヤ上に不規則に積層されるが、接着性が高いため、通常では、コンベヤネットに接着してしまう。このため、強力、迅速に固化を進めるため、冷却を行った。これにより、EVA繊維がコンベヤに接着することを防止でき、単独でEVA不織布を製造、巻き取ることに成功した。
(4)捕集工程
EVA不織布が、太陽電池素子2を封止できる樹脂量に対応した密度及び厚みになるように、コンベヤの移動速度を調整した。
(5)なお、EVA不織布は、繊維自体にパーオキサイドを含有させることもできるが、EVA不織布がパーオキサイドを含む形態であれば、いずれの方法を用いてもよい。例えば、EVA繊維を不織布化した後に、パーオキサイドを粉体状あるいは液状等にして、EVA不織布に散布又は塗布してもよい。
【0018】
図1(c)は、実施形態の太陽電池1の製造工程を説明する断面図である。
太陽電池1は、真空ラミネート法により製造される。
太陽電池1は、作業者が以下の手順に従うことにより製造される。
(1)積層配置工程
図1(b)で示す配置に、各部材を積層する。
(2)真空工程
積層体3をチャンバ101に収容して、下台130の上に載置し、また加熱加圧板110を被覆板10の表面に当接させる。そして、チャンバ101内の空気をポンプ(図示せず)により吸引して(矢印A参照)、チャンバ101内を真空状態にする。
このとき、封止用シート21,22は、不織布であるので、通気性が良好である。このため、バックカバー30及び被覆板10の間の領域の空気は、効率よく吸引され、この領域に空気等が残存することを防止できる。真空工程は、加圧工程が終了するまで継続する。
【0019】
(3)加熱工程
加熱加圧板110及び下台130を発熱させる。
加熱加圧板110の熱は、被覆板10に伝達され、さらに封止用シート21に伝達される。また、下台130の熱は、バックカバー30に伝達され、さらに封止用シート22に伝達される。
実施形態では、封止用シート21,22が溶融し架橋する温度(例えば、120℃程度以上)になるまで加熱した。これにより、封止用シート21,22が溶融する。加熱工程は、加圧工程が終了するまで継続する。
【0020】
(4)加圧工程
加熱加圧板110を下側に徐々に降下して、被覆板10を加圧する。これにより、封止用シート21の下面、封止用シート22の上面が溶着して、中間層20が形成される。このとき、以下の作用を奏する。
(a)封止用シート21,22は、真空工程によりシート内部が真空にされ、加熱工程により加熱されている。このため、封止用シート21,22の各繊維自体が溶融し他の繊維に溶着する。この作用は、封止用シート21,22間の接合面23(図1(a)参照)についても同様であり、封止用シート21,22は、目視では接合面23が確認できない程度に一体化される。
これにより、封止用シート21,22は、内部に空気が残存することなく、また、空隙を形成することもなく、複数の繊維から1枚のフィルム状に形成された中間層20が形成される。
【0021】
(b)封止用シート21,22は、不織布であり柔軟性を有するので、太陽電池素子2の表面に凹凸があったとしても、その表面になじんで入り込むことができる。このため、封止用シート21,22は、太陽電池素子2との間にも空隙等を発生することなく、フィルム状に形成される。つまり、封止効果を向上できる。このため、太陽電池素子2の表面に凹凸があっても、凹凸にならって入り込み、樹脂で埋めることができる。例えば、従来のようなフィルム状の封止用シートを利用する場合には、このような凹凸との間に隙間が生じてしまうことがあるが、封止用シート21,22は、このような隙間を形成することを防止できる。
また、封止用シート21,22は、太陽電池素子2に接続されている配線材に対しても、大きなストレスをかけることを抑制でき、配線材の損傷を防止できる。
(c)被覆板10の下面は、EVAの接着性により、封止用シート21の上面に接着される。同様に、被覆板10の上面は、封止用シート22の下面に接着される。
以上により、積層体3を一体化して、太陽電池1を製造できる。
【0022】
(5)冷却工程
製造された太陽電池1をチャンバ101から取り出して常温で冷却し、一連の作業が終了する。
なお、中間層20は、パーオキサイドにより架橋しているので、太陽電池1の使用時の熱安定性が高くなるように形成される。
【0023】
また、上記工程は、その工程における主な作用を説明するものであり、上記説明は、各工程が、完全に分離していることを限定するものでない。すなわち、封止用シート21,22の内部が真空にされ、かつ、封止用シート21,22に対して加熱及び加圧される状態を形成できればよい。例えば、加熱工程の後に真空工程を配置するようにしてもよい。
【0024】
以上説明したように、本実施形態の封止用シート21,22は、EVA不織布により形成され、封止用シート21,22自体が溶融して、フィルム状の中間層20を形成する。
このため、封止用シート21,22は、1つのフィルム状に形成された後にも、高い透明性を有することができる。
例えば、ガラス繊維等に樹脂を含浸した場合、樹脂を溶融させた後には、ガラス繊維及び樹脂との界面により入射光の反射及び屈折が発生し、透明度が低下してしまう。これに対して、実施形態の封止用シート21,22により形成された中間層20は、このような反射及び屈折が起きることがない。
これによって、封止用シート21,22により製造された太陽電池1は、中間層20が高い透明度を有し、光−電気交換率の向上が期待できる。
【0025】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0026】
(変形形態)
(1)本実施形態において、不織布を形成する熱可塑性樹脂は、EVAにより形成される例を示したが、これに限定されない。熱可塑性樹脂は、不織布又は織布状に形成でき、中間層を形成した状態で、透明であり、被覆板及びバックカバーを接着でき、太陽電池素子を封止できるものであれば、他の材料を選択してもよい。
【0027】
(2)本実施形態において、封止シートは、不織布である例を示したが、これに限定されない。例えば、封止シートは、織布でもよい。
【0028】
(3)本実施形態において、被封止体は、太陽電池素子である例を示したが、これに限定されない。例えば、被封止体として押花等を封止したパネルを製造すれば、樹脂標本としても利用できる。この場合には、被覆板に加えてバックカバーも透明板にすれば、パネルの両面から被封止体を視認可能に形成できる。
【0029】
(4)本実施形態において、上側から被覆板、封止用シート、太陽電池素子、封止用シート、バックカバーの順に積層して、加熱等することにより、太陽電池を製造する例を示したが、これに限定されない。例えば、単に、被覆板、封止用シート、バックカバーの順に積層して、パネルを製造してもよい。
この場合、加熱等して中間層を形成することにより、この中間層を被覆板及びバックカバーを接着する接着層として利用でき、封止用シートをパネルの接着用シートとして利用できる。また、バックカバーを透明板にすれば、パネル全体として1枚の透明体に形成できるので、例えば、透明な強化パネル等を製造できるため、防犯用の窓材、ヘルメットのシールド(風防、バイザー)等に利用できる。
【符号の説明】
【0030】
1 太陽電池
2 太陽電池素子
10 被覆板
20 中間層
21 封止用シート
22 封止用シート
30 バックカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明性を有する被覆板、中間層、バックカバーの順に積層されるパネルの接着用シートであって、
透明性を有する熱接着性樹脂の繊維によって形成され、前記中間層を形成できる樹脂量を有する織布又は不織布により形成され、前記被覆板及び前記バックカバーの間の領域に配置され、前記領域内を真空にされ、加熱され、前記被覆板及び前記バックカバーが加圧されることにより前記織布又は前記不織布自体が溶融して、前記被覆板及び前記バックカバーを接着すること、
を特徴とするパネルの接着用シート。
【請求項2】
透明性を有する被覆板、接着用シートにより形成される中間層、バックカバーの順に積層されるパネルの製造方法であって、
請求項1に記載の接着用シートを、前記被覆板及び前記バックカバーの間の領域に配置する積層配置工程と、
前記領域を真空にする真空工程と、
前記接着用シートを加熱して溶融し、被覆板及び前記バックカバーを接着する加熱工程と、
前記加熱工程で加熱した状態で、前記被覆板及び前記バックカバーの表面から圧縮するように加圧する加圧工程と、
を備えるパネルの製造方法。
【請求項3】
透明性を有する被覆板、中間層、バックカバーの順に積層され前記中間層内に被封止体を封止する中間層を形成するパネルの封止用シートであって、
透明性を有する熱接着性樹脂の繊維によって形成され、前記中間層を形成した状態で少なくとも前記被封止体を封止できる樹脂量を有する織布又は不織布により形成され、前記被覆板及び前記被封止体の間の領域と、前記被封止体及び前記バックカバーの間の領域とにそれぞれ配置され、前記領域内を真空にされ、加熱され、前記被覆板及び前記バックカバーが加圧されることにより前記織布又は前記不織布自体が溶融して、前記被覆板及び前記バックカバーの間に前記被封止体を封止すること、
を特徴とするパネルの封止用シート。
【請求項4】
請求項3に記載のパネルの封止用シートにおいて、
EVA樹脂を、溶融紡糸法により繊維状にして吹き出し可能な粘性になるまで加熱溶融する加熱溶融工程と、
前記加熱溶融工程において加熱溶融したEVA樹脂に、EVA樹脂の弾力性に対応した量の加熱空気を供給して、溶融紡糸法により繊維状にして吹き出す吹き出し工程と、
前記吹き出し工程で吹き出した繊維状のEVA樹脂を、冷却して不織布を形成する不織布形成工程と、
前記不織布形成工程において、前記EVA樹脂の不織布の厚みが、前記被封止体を封止できる前記樹脂量に対応した移動速度になるように、その不織布を移動する捕集工程と、
を備える製造方法により製造されたこと、
を特徴とするパネルの封止用シート。
【請求項5】
透明性を有する被覆板、中間層、バックカバーの順に積層され前記中間層内に被封止体を封止する中間層を形成するパネルの製造方法であって、
請求項4に記載の封止用シートを、前記被覆板及び前記被封止体の間の領域と、前記被封止体及び前記バックカバーの間の領域とにそれぞれ配置する積層配置工程と、
前記領域を真空にする真空工程と、
前記封止用シートを加熱して溶融し、前記被封止体と被覆板及び前記バックカバーとを接着する加熱工程と、
前記加熱工程で加熱した状態で、前記被覆板及び前記バックカバーの表面から圧縮するように加圧する加圧工程と、
を備える被封止体を有するパネルの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載のパネルの製造方法において、
積層配置工程は、
EVA樹脂を、溶融紡糸法により繊維状にして吹き出し可能な粘性になるまで加熱溶融する加熱溶融工程と、
前記加熱溶融工程において加熱溶融したEVA樹脂に、EVA樹脂の弾力性に対応した量の加熱空気を供給して、溶融紡糸法により繊維状にして吹き出す吹き出し工程と、
前記吹き出し工程で吹き出した繊維状のEVA樹脂を、冷却して不織布を形成する不織布形成工程と、
前記不織布形成工程において、前記EVA樹脂の不織布の厚みが、前記被封止体を封止できる前記樹脂量に対応した移動速度になるように、その不織布を移動する捕集工程と、
を備える製造方法により製造された前記封止用シートを積層すること、
を特徴とするパネルの製造方法。
【請求項7】
請求項3又は請求項4に記載のパネルの封止用シートであって、
前記被封止体が太陽電池セルであること、
を特徴とする太陽電池の封止用シート。
【請求項8】
請求項3又は請求項4に記載のパネルの製造方法であって、
前記被封止体が太陽電池セルであること、
を特徴とする太陽電池の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−249720(P2011−249720A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124076(P2010−124076)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(595177316)株式会社ケー・エス・ティー (1)
【Fターム(参考)】