パネルを備えた天板付家具
【課題】側板等の部材内部への取付構造の作り込みを極力回避しつつ合理的にパネルの組み付け等を可能にした天板付家具を提供する。
【解決手段】左右の側板1,1に天板2を架設するとともに、天板2の後縁下方に収納空間Sを、後縁上方にパネル4を設けるにあたり、天板2の後縁に切欠部21を、パネル支持領域22を左右端部に残した状態で形成し、その切欠部21を介して収納空間Sを上方に開放するとともに、パネル支持領域22上にパネル支持部材40を位置づけて当該パネル支持部材40の少なくとも下端部を切欠部21内を通過して側板1の内面1aに固定し、左右のパネル支持部材40、40にパネル4の左右両端部を取り付けて当該パネル4を収納空間Sの上方に位置づけることとした。
【解決手段】左右の側板1,1に天板2を架設するとともに、天板2の後縁下方に収納空間Sを、後縁上方にパネル4を設けるにあたり、天板2の後縁に切欠部21を、パネル支持領域22を左右端部に残した状態で形成し、その切欠部21を介して収納空間Sを上方に開放するとともに、パネル支持領域22上にパネル支持部材40を位置づけて当該パネル支持部材40の少なくとも下端部を切欠部21内を通過して側板1の内面1aに固定し、左右のパネル支持部材40、40にパネル4の左右両端部を取り付けて当該パネル4を収納空間Sの上方に位置づけることとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板の後縁下方に収納空間を有し、後縁上方にパネルを配置する構造の天板付家具に係り、特に部材内部への取付構造の作り込みを回避しつつ見栄え良く簡素に組み立て可能とした、パネルを備えた天板付家具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、スチールデスク等において、デスクトップパネルの取り付けや配線ダクトへの出し入れ空間を形成すべく、特許文献1等に示されるように、天板を前方にずらして左右の脚側板の内法間のダクト空間を上方に開放し、同時に、脚側板の上面などにパネル取付部を仕込んで、このパネル取付部に上方からブラケットを取り付け、そのブラケットにパネルの左右両端部を取り付けて、ブラケットの周囲を覆うカバーを装着するようにしていることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−99357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、木製の側板や、スチール製の側板であっても内部に剛性のあるパネル取付構造の作り込みが難しいようなものにおいては、天板を前方にずらすことで左右の側板間のダクト空間を上方に開放するメリットよりも、脚側板の内部が利用できないことから天板と側板の間に段差ができるデメリットの方が大きい。このため、天板を前方にずらさずに左右の側板間のダクト空間を上方に開放する構造が望まれる。
【0005】
この場合、天板の後縁上方にパネルを取り付けるためには、パネル支持部材を少なくとも側板の側面や後面に外付けで確実に固定することが必要になるが、天板の上面から側板の側面や後面にかけてパネル支持部材を取り付けたのでは、パネル支持部材が露出して見栄えが著しく損なわれるため、パネル支持部材を露出させずに天板や側板に外付けで固定できるパネル取付構造も同時に実現することが必要になる。
【0006】
本発明は、このような課題に着目し、側板等の部材内部への取付構造の作り込みを極力回避しつつ合理的にパネルの取り付け、収納空間の上方開放を可能にした天板付家具を新たに提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち、本発明のパネルを備えた天板付家具は、左右の側板に天板を架設するとともに、天板の後縁下方に収納空間を、後縁上方にパネルを設けるにあたり、前記天板の後縁に切欠部を、パネル支持領域を左右端部に残した状態で形成し、その切欠部を介して前記収納空間を上方に開放するとともに、前記パネル支持領域上にパネル支持部材を位置づけて当該パネル支持部材の少なくとも下端部を切欠部内を通過して側板の内面に固定し、左右のパネル支持部材にパネルの左右両端部を取り付けて当該パネルを収納空間の上方に位置づけてなることを特徴とする。
【0009】
このように構成すると、天板を側板に対して前方にずらさずとも収納空間を上方に開放することができ、しかも切欠部の両側にパネル支持領域を残すことによって側方において天板の欠損部が発生することがなく、側板との間に段差も生じないため、側方からの見栄えも有効に確保することができる。また、パネル支持部材も切欠部内を通過して側板の内面に固定され、側方に露出することがないため、パネルの取り付けも側方からの見栄えを損なうことなく有効に行うことができる。
【0010】
後方からの見栄えも同時に向上させるためには、前記収納空間をパネル支持部材とともに背面側から閉止する後壁を、切欠部内に収まるようにして側板の内面間に配置していることが望ましい。
【0011】
切欠部内においてパネル支持部材と干渉することなく収納空間を有効に構成するためには、当該収納空間を、天板又は側板に固定されて前方に配置される前壁と、この前壁の後方に取り付けられる前記後壁とを含んで上方及び左右側方に開口する扁平コ字形に形成し、その収納空間内に左右のパネル支持部材の側板への固定部分を収めるようにしていることが好ましい。
【0012】
パネル支持部材を安定設置するためには、パネル支持領域の幅が側板の厚みに略対応していることが好都合である。
【0013】
パネルの取付強度を、外観を毀損することなく有効に高めるためには、パネル支持部材の一部を天板のパネル取付領域にも固定する一方、パネルを、左右両端に前記パネル支持部材を外嵌する支柱を有するものにして、この支柱により前記パネル支持部材のパネル取付領域への固定部分を隠蔽することが好適である。
【0014】
取付構造に関連して収納機能や機能領域を適切に確保するためには、パネルは、左右両端に前記パネル取付領域上に位置する支柱を有し、その支柱間に掲示や筆記等を行うパネルの機能領域が設定されて、前記収納空間の収納領域が切欠部とともに左右の側板間の内法寸法ほぼ全域に対応し、同じくパネルの掲示領域も前記左右の側板間の内法寸法ほぼ全域に対応していることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上説明した構成であるから、側板の内部にパネル取付構造を持ち込まずとも、簡易な外付け構造で、外観を毀損することなくパネルの取り付けや収納空間の上方開放を行うことができる。このため、木製の側板を備えた天板付家具や、側板内部に取付構造を組み込むことが難しいスチール製の側板を備えた天板付家具、更には諸般の事情により外付けてパネルを取り付けて収納空間も開放する必要がある種々の天板付家具に好適に適用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る用紙収納装置を適用して記載台として利用される天板付家具を示す前方斜視図。
【図2】同後方斜視図。
【図3】同要部分解斜視図。
【図4】図3の組立斜視図。
【図5】同天板付家具に付帯するパネルと用紙収納装置の取付構造を示す部分側断面図。
【図6】同部分平面図。
【図7】同部分正断面図。
【図8】用紙収納装置の構成を示す部分側断面図。
【図9】同用紙収納装置を構成する後壁の前面を示す図。
【図10】同用紙収納装置における用紙の収納状態を示す部分側断面図。
【図11】同用紙収納装置における用紙の他の収納状態を示す部分側断面図。
【図12】同用紙収納装置を仕切りとともに示す部分側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0018】
図1及び図2に示す本実施形態の天板付家具は、役所等の公共機関に設置されて来訪者が立ったままで申請書等の記載をするための記載台として利用されるものである。この天板付家具の基本構造は、左右の側板1、1の間に天板2を架設するとともに、天板2の後縁下方に用紙を収納する用紙収納装置3を構成し、天板2の後縁上方に用紙の記入例を掲示するパネル4を取り付けたものである。パネル4の下縁4aと収納収納装置3の上方開口3aとはほぼ同じ立面内にあって、その間には用紙の出し入れ空間となる間隙δが設けられるとともに、パネル4の掲示領域や用紙収納装置3の収納領域を幅方向に極力広くとるための工夫や、用紙を扱い易くする工夫等が凝らされている。天板2の後縁とは、この実施形態では使用端側である前縁とは反対側にある縁部を指している。
【0019】
以下、具体的に説明する。天板2の後縁には、図3に示すように当該天板2をコ字状にするような切欠部21が設けられている。この切欠部21は、天板2の後縁下方の収納空間Sを上方に開放するためのもので、この実施形態では天板2の後縁に配置される用紙収納装置3の収納空間Sが切欠部21を介して上方に開放される。切欠部21の幅方向両端に切り残された領域はパネル支持領域22として設定され、このパネル支持領域22の幅d1は側板1の厚みd2にほぼ対応していて、その上に図4にも示すようにパネル支持部材40が立設される。パネル支持部材40は、チャネル状の支持杆40aを有し、その支持杆40aの一方の端面に取付板40bが剛接されていて、その取付板40bから更に下方に向けて垂下片40cが一体に延びている。そして、取付板40cを図4及び図5に示すようにパネル支持領域22上に重合させ、垂下片40cを図3に示したパネル支持領域22の内側面22a及び側板1の内側面1aに沿って垂下させて、上方から取付板40bをパネル支持領域22にねじにより固定し(図6参照)、垂下片40cを側板1の内側面1aにねじにより固定するようにしている。
【0020】
その際、パネル支持部材40は、図4及び図5に示すごとく用紙収納装置3と干渉しない状態で当該用紙収納装置3の収納空間S内に収められる。用紙収納装置3は、図3及び図8等に示すように、立壁である前壁31及び後壁32と、底壁33とを備えて、上方及び左右側方に開口する扁平コ字形をなし、前壁構成部材3xと後壁構成部材3yとが底壁33となる底連結片33a、33b同士の間でねじにより連結される。この実施形態では、前壁31および後壁32が左右の側板1、1間の内法寸法ほぼ全域に亘っており、パネル支持部材40との干渉を避けるべく、図3の状態からパネル支持部材40を取り付けるよりも先に前壁構成部材3xが取り付けられる。前壁構成部材3xは、前壁31の上縁に取付片31aを有し、左右の側板1の内面1a、1a間に配置されて、その取付片31aが天板2の後縁側の下面2bにねじ止めされる。この取付位置で、図8等に示すように切欠部21に臨む天板2の後端2aと前壁構成部材3xの前壁31とはほぼ面一な立面とされる。天板2の後縁における上面2cには、用紙収納装置3の前壁31と同じ前壁の役割をなす立面5aを有し実質的に収納空間Sを天板2の上方にまで嵩上げしてその上方に開口縁OP1を形成するための収納補助部材5が取り付けられる。
【0021】
一方、後壁構成部材3yは、後壁32の上に前記収納補助部材5と対をなして収納空間Sを上方に嵩上げしその上方に前記収納補助部材5とともに開口縁OP2を形成する袋状の開口縁形成部30を有するもので、両開口縁OP1、OP2はともに上方に向けて前後に開く階段状をなしている。この後壁構成部材3yは、先に前壁構成部材3x、パネル支持部材40と取り付けた後に、前壁構成部材3xとの間にパネル支持部材40を収めるようにして前壁31及び後壁32の底部に設けた底形成片33a、33b同士(図3参照)を連結され、当該後壁構成部材3yの側方に設けた取付片32aが図4及び図5に示すように側板1の内面1aにねじ止めされる。
【0022】
そして、このようにして左右のパネル支持領域22、22に取り付けたパネル支持部材40に、図5及び図7に示すようにパネル4の左右両端部を取り付けてパネル4の掲示領域4pを収納空間Sの上方に位置づけるようにしている。パネル4の左右両端には図3及び図7に示すように支柱41が垂下しており、この支柱41を前記パネル支持部材40を外嵌する位置に取り付けてねじにより固定することで、図7に示すように当該パネル支持部材40の前記パネル取付領域22へのねじによる固定部分を隠蔽するようにしている。
【0023】
用紙収納装置3は、用紙サイズに応じて収納サイズを可変とするものである。具体的に説明すると、図3、図4及び図8等に示すように、立壁である後壁32には、高さ方向に沿って複数段に開口する挿入部たるスリット32bが打ち抜いて形成してあり、これらのスリット32bに、板材よりなる用紙支持部材6を挿入するようにしている。用紙支持部材6は、スリット32bに挿入されて収納空間S内で可動底を形成する底形成部61と、この底形成部61の適切な挿入深さ位置で立壁である後壁32の外面に添って配置される摘み部62とを備えているもので、底形成部61をスリット32bに挿入して収納空間S内に可動底として位置づけることにより、選択した段に応じた深さで前記開口縁OP1、OP2から投入される用紙を立て掛けた状態に支持し得るものである。このようなスリット32bは、天板幅方向に繰り返し所定の間隔で設けてあり、幅方向に沿って何れかのスリット32bに前記用紙支持部材6を挿入することにより、用紙を支持する幅方向位置をも選択することを可能としている。前壁31にも、これら後壁32のスリット32bに対応する位置にスリット31bが設けてあり、後壁32のスリット32bに挿入された底形成部61は図10に示すように前壁31のスリット31bにも挿し込まれて、両持ち的に支持されるようにしている。図9は用紙収納装置3の収納空間Sから後壁32の前面を見た例である。この実施形態は上下3段のスリット32bが幅方向に所定ピッチで連続しており、図示例では縦長の用紙P1を中段のスリット32bに挿入した用紙支持部材6の底形成部61に支持させ、横長の用紙P2を上段のスリット32bに挿入した用紙支持部材6の底形成部61に支持させている。このように、挿し込むスリット32bの高さや幅方向位置を選択して用紙支持部材6を挿入するだけで、用紙のサイズや挿入の向きに応じたサイズの収納部を収納空間S内に構成することができる。図10は図9における用紙P2を支持している部分の縦断面であり、図11は図9における用紙P1を支持している部分の縦断面である。何れの挿し込み位置でも、用紙支持部材6は底壁33の上方に配置される。
【0024】
なお、この実施形態における用紙支持部材6の特徴として、図3及び図9等に示すように、共通の摘み部62に対して複数の底形成部61を分岐させて幅方向に所定間隔で並列に設けており、後壁32や前壁31のスリット32b、31bに幅方向に沿って1つ飛ばしで対応する底形成部61が挿入されるようにしている。つまり、一対の底形成部61の間隔の1/2ピッチで用紙支持部材6の幅方向の位置を可変としている。勿論、2つ飛ばし或いはそれ以上の間隙で2若しくは3以上の底形成部61を挿入するようにしてもよい。
【0025】
さらに、この実施形態では、図3及び図8等に示すように摘み部62と底形成部61とのなす角を90度以外の値に設定してあり、用紙支持部材6の挿入位置で図10等に示すように底形成部61が前傾するように構成している。したがって、底形成部61が挿入される後壁32のスリット32bに対して、その底形成部61が挿し込まれる前壁31のスリット31bは高さ位置が異ならせてある。
【0026】
その理由は、用紙束PPを上方から収納空間Sに投入した場合、用紙の堅さにもよるが、その可撓性ゆえに、図示例のように後壁32に凭れるように支持されるか、或いは図示しないが前壁31(正確には収納補助部材5の立面5a)に倒れるように支持されるかが、可動底である底形成部61が前傾しているか後傾しているかによって変わってくる場合があり、例えば後壁32に凭れるように撓った方が用紙の見出しが視認し易いなどの事情に応じてかかる傾斜を利用することができる。図示例では前傾状態で配置されるように用紙支持部材6を構成しているが、後傾状態にする方が好ましい場合には摘み部62及び底形成部61を上下反転して用紙支持部材6を挿入部であるスリット31b、32bに挿入できるようにしておけばよく、何れの方向へ上下反転させても使用できるようにスリット31b、32bの位置関係を設定して前傾と後傾とを切り替え可能としておくことも有効である。勿論、前壁31や後壁32を傾斜させる構成も採用できるし、また、用紙の姿勢が特に問題とならなければ摘み部62と底形成部61とのなす角を90度とし底形成部61が水平に挿し込まれるように構成しても構わない。
【0027】
さらにまた、本実施形態の用紙収納装置3は、図3、図6及び図8等に示すように、収納空間Sの上方開口縁OP1を構成する収納補助部材5に仕切り支持部として幅方向に延びる連続開口5zが、また後壁構成部材32の上方開口縁OP2には仕切り支持部として所定ピッチで幅方向に延びるスリット3z(図6参照)がそれぞれ形成してあり、収納空間Sを幅方向に仕切るために構成した図3及び図12に示す板材からなるT字状の仕切り7が、何れかのスリット3zと連続開口5zとの間に上腕部7aを差し込んだ状態で仕切り本体7bを前壁31と後壁32の間に挿入可能に構成されていて、その仕切り7により、図9に示すように収納空間Sを幅方向に沿って適宜の位置で仕切ることを可能にしている。
【0028】
なお、図10及び図11に示すように、用紙支持部材6が挿し込まれた後壁32を覆う位置には、必要に応じて後壁32のスリット32bを覆う領域にカバー8が着脱可能とされている。用紙支持部材6は、挿入状態で摘み部62を後壁32にねじ等により固定しておくようにしてもよい。
【0029】
以上のように、本実施形態の天板付家具は、左右の側板1,1に天板2を架設するとともに、天板2の後縁下方に収納空間Sを、後縁上方にパネル4を設けるにあたり、前記天板2の後縁に切欠部21を、パネル支持領域22を左右端部に残した状態で形成し、その切欠部21を介して前記収納空間Sを上方に開放するとともに、パネル支持領域22上にパネル支持部材40を位置づけて当該パネル支持部材40の少なくとも下端部を切欠部21内を通過して側板1の内面1aに固定し、左右のパネル支持部材40、40にパネル4の左右両端部を取り付けて当該パネル4を収納空間Sの上方に位置づけたものである。
【0030】
このため、天板2を側板1に対して前方にずらさずとも収納空間Sを上方に開放することができ、しかも切欠部21の両側にパネル支持領域22を残すことによって側方において天板2の欠損部が発生することがなく、側板1との間に段差も生じないため、側方からの見栄えも有効に確保することができる。また、パネル支持部材40も切欠部21内を通過して側板1の内面1aに固定され、側方に露出することがないため、パネル4の取り付けも側方からの見栄えを損なうことなく有効に行うことが可能となる。したがって、側板1の内部への作り込みを行うものに比べて、構造を簡素化しつつ、良好な外観を保ってパネル4の取り付けや収納空間Sの上方開放を行うことが可能となる。
【0031】
特に、前記収納空間Sをパネル支持部材40とともに背面側から閉止する後壁32を、切欠部21内に収まるようにして側板1の内面1a、1a間に配置しているので、側方からの見栄えを損なうことなく、パネル支持部材40を後壁32により隠蔽して後方からの見栄えも向上させることができる。
【0032】
この場合の収納空間Sは、天板1に固定されて前方に配置される前壁31と、この前壁31の後方に取り付けられる前記後壁32とを含んで上方及び左右側方に開口する扁平コ字形に形成され、その収納空間S内に左右のパネル支持部材40の側板1への固定部分を収めているので、切欠部21内においてパネル支持部材40と干渉することなくダクト構造の収納空間Sを有効に形成することができる。
【0033】
そして、前記パネル支持領域22の幅d1を側板1の厚みd2に略対応させているので、パネル支持領域22の内側面22aと側板1の内側面1aとを面一にして、パネル支持部40材をこれらに適切に当てがうことができる。
【0034】
また、パネル支持部材40の一部を天板1のパネル取付領域22にも固定するようにしており、そのためにパネル4が、左右両端に前記パネル支持部材40を外嵌する支柱41を有し、この支柱41により前記パネル支持部材40のパネル取付領域22への固定部分を隠蔽するようにしているため、パネルの取付強度を、外観を毀損することなく有効に高めることができる。
【0035】
さらにパネル4は、左右のパネル取付領域22上に配した支柱41、41間に当該パネルの機能領域である掲示領域4pが設定されて、前記収納空間Sの収納領域が切欠部21とともに左右の側板1,1間の内法寸法ほぼ全域に対応しているのに対し、同じくパネル4の掲示領域4pも左右の側板1,1間の内法寸法ほぼ全域に対応しているように構成しているので、掲示領域4p、収納空間Sの収納領域ともに幅方向に最大限に確保することができる。そして、収納空間Sに記入用の用紙を収納し、掲示領域4pにその記入例を、上下に対応させて掲示するなど、記載台として利用する際の使い勝手を有効に向上させることが可能となる。
【0036】
加えて、上記の構造によれば、パネル4の左右両端面は天板1の左右両端面および側板2の外面に略一致する位置に配されることになるため、天板1や側板2を幅方向に連ねた場合に、パネル4の側端面同士が密着することになり、特に個人情報を扱う場合などに天板1の前方に連続壁面を作って情報の秘匿状態を確保し易いものとなる。
【0037】
さらには、後壁32は、側板1の後面から後方に突出しない状態で設けられているため、天板2の後縁同士を背合わせに突き合わせて配置した状態で、前後に密接に連続するパネル支持領域22上に各々のパネルへの支持杆を形成した共通のパネル支持部材(図示省略)を取り付ければ、このパネル支持部材によって天板1を前後に連結する連結手段としてもパネル支持部材を有効活用することができるようになる。
【0038】
なお、本発明で取り扱う収納空間は用紙の収納目的に限らず、配線類の収納等を目的とするものであってもよいし、パネルも掲示目的に限られない。また、本発明は記載台以外の用途で用いられるデスク等の天板付家具に適用してもよい。その他、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0039】
1…側板
1a…内面
2…天板
4…パネル
21…切欠部
22…パネル支持領域
31…前壁
32…後壁32
40…パネル支持部材
41…支柱
d1…幅
d2…厚み
4p…機能領域(掲示領域)
S…収納空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板の後縁下方に収納空間を有し、後縁上方にパネルを配置する構造の天板付家具に係り、特に部材内部への取付構造の作り込みを回避しつつ見栄え良く簡素に組み立て可能とした、パネルを備えた天板付家具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、スチールデスク等において、デスクトップパネルの取り付けや配線ダクトへの出し入れ空間を形成すべく、特許文献1等に示されるように、天板を前方にずらして左右の脚側板の内法間のダクト空間を上方に開放し、同時に、脚側板の上面などにパネル取付部を仕込んで、このパネル取付部に上方からブラケットを取り付け、そのブラケットにパネルの左右両端部を取り付けて、ブラケットの周囲を覆うカバーを装着するようにしていることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−99357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、木製の側板や、スチール製の側板であっても内部に剛性のあるパネル取付構造の作り込みが難しいようなものにおいては、天板を前方にずらすことで左右の側板間のダクト空間を上方に開放するメリットよりも、脚側板の内部が利用できないことから天板と側板の間に段差ができるデメリットの方が大きい。このため、天板を前方にずらさずに左右の側板間のダクト空間を上方に開放する構造が望まれる。
【0005】
この場合、天板の後縁上方にパネルを取り付けるためには、パネル支持部材を少なくとも側板の側面や後面に外付けで確実に固定することが必要になるが、天板の上面から側板の側面や後面にかけてパネル支持部材を取り付けたのでは、パネル支持部材が露出して見栄えが著しく損なわれるため、パネル支持部材を露出させずに天板や側板に外付けで固定できるパネル取付構造も同時に実現することが必要になる。
【0006】
本発明は、このような課題に着目し、側板等の部材内部への取付構造の作り込みを極力回避しつつ合理的にパネルの取り付け、収納空間の上方開放を可能にした天板付家具を新たに提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち、本発明のパネルを備えた天板付家具は、左右の側板に天板を架設するとともに、天板の後縁下方に収納空間を、後縁上方にパネルを設けるにあたり、前記天板の後縁に切欠部を、パネル支持領域を左右端部に残した状態で形成し、その切欠部を介して前記収納空間を上方に開放するとともに、前記パネル支持領域上にパネル支持部材を位置づけて当該パネル支持部材の少なくとも下端部を切欠部内を通過して側板の内面に固定し、左右のパネル支持部材にパネルの左右両端部を取り付けて当該パネルを収納空間の上方に位置づけてなることを特徴とする。
【0009】
このように構成すると、天板を側板に対して前方にずらさずとも収納空間を上方に開放することができ、しかも切欠部の両側にパネル支持領域を残すことによって側方において天板の欠損部が発生することがなく、側板との間に段差も生じないため、側方からの見栄えも有効に確保することができる。また、パネル支持部材も切欠部内を通過して側板の内面に固定され、側方に露出することがないため、パネルの取り付けも側方からの見栄えを損なうことなく有効に行うことができる。
【0010】
後方からの見栄えも同時に向上させるためには、前記収納空間をパネル支持部材とともに背面側から閉止する後壁を、切欠部内に収まるようにして側板の内面間に配置していることが望ましい。
【0011】
切欠部内においてパネル支持部材と干渉することなく収納空間を有効に構成するためには、当該収納空間を、天板又は側板に固定されて前方に配置される前壁と、この前壁の後方に取り付けられる前記後壁とを含んで上方及び左右側方に開口する扁平コ字形に形成し、その収納空間内に左右のパネル支持部材の側板への固定部分を収めるようにしていることが好ましい。
【0012】
パネル支持部材を安定設置するためには、パネル支持領域の幅が側板の厚みに略対応していることが好都合である。
【0013】
パネルの取付強度を、外観を毀損することなく有効に高めるためには、パネル支持部材の一部を天板のパネル取付領域にも固定する一方、パネルを、左右両端に前記パネル支持部材を外嵌する支柱を有するものにして、この支柱により前記パネル支持部材のパネル取付領域への固定部分を隠蔽することが好適である。
【0014】
取付構造に関連して収納機能や機能領域を適切に確保するためには、パネルは、左右両端に前記パネル取付領域上に位置する支柱を有し、その支柱間に掲示や筆記等を行うパネルの機能領域が設定されて、前記収納空間の収納領域が切欠部とともに左右の側板間の内法寸法ほぼ全域に対応し、同じくパネルの掲示領域も前記左右の側板間の内法寸法ほぼ全域に対応していることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上説明した構成であるから、側板の内部にパネル取付構造を持ち込まずとも、簡易な外付け構造で、外観を毀損することなくパネルの取り付けや収納空間の上方開放を行うことができる。このため、木製の側板を備えた天板付家具や、側板内部に取付構造を組み込むことが難しいスチール製の側板を備えた天板付家具、更には諸般の事情により外付けてパネルを取り付けて収納空間も開放する必要がある種々の天板付家具に好適に適用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る用紙収納装置を適用して記載台として利用される天板付家具を示す前方斜視図。
【図2】同後方斜視図。
【図3】同要部分解斜視図。
【図4】図3の組立斜視図。
【図5】同天板付家具に付帯するパネルと用紙収納装置の取付構造を示す部分側断面図。
【図6】同部分平面図。
【図7】同部分正断面図。
【図8】用紙収納装置の構成を示す部分側断面図。
【図9】同用紙収納装置を構成する後壁の前面を示す図。
【図10】同用紙収納装置における用紙の収納状態を示す部分側断面図。
【図11】同用紙収納装置における用紙の他の収納状態を示す部分側断面図。
【図12】同用紙収納装置を仕切りとともに示す部分側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0018】
図1及び図2に示す本実施形態の天板付家具は、役所等の公共機関に設置されて来訪者が立ったままで申請書等の記載をするための記載台として利用されるものである。この天板付家具の基本構造は、左右の側板1、1の間に天板2を架設するとともに、天板2の後縁下方に用紙を収納する用紙収納装置3を構成し、天板2の後縁上方に用紙の記入例を掲示するパネル4を取り付けたものである。パネル4の下縁4aと収納収納装置3の上方開口3aとはほぼ同じ立面内にあって、その間には用紙の出し入れ空間となる間隙δが設けられるとともに、パネル4の掲示領域や用紙収納装置3の収納領域を幅方向に極力広くとるための工夫や、用紙を扱い易くする工夫等が凝らされている。天板2の後縁とは、この実施形態では使用端側である前縁とは反対側にある縁部を指している。
【0019】
以下、具体的に説明する。天板2の後縁には、図3に示すように当該天板2をコ字状にするような切欠部21が設けられている。この切欠部21は、天板2の後縁下方の収納空間Sを上方に開放するためのもので、この実施形態では天板2の後縁に配置される用紙収納装置3の収納空間Sが切欠部21を介して上方に開放される。切欠部21の幅方向両端に切り残された領域はパネル支持領域22として設定され、このパネル支持領域22の幅d1は側板1の厚みd2にほぼ対応していて、その上に図4にも示すようにパネル支持部材40が立設される。パネル支持部材40は、チャネル状の支持杆40aを有し、その支持杆40aの一方の端面に取付板40bが剛接されていて、その取付板40bから更に下方に向けて垂下片40cが一体に延びている。そして、取付板40cを図4及び図5に示すようにパネル支持領域22上に重合させ、垂下片40cを図3に示したパネル支持領域22の内側面22a及び側板1の内側面1aに沿って垂下させて、上方から取付板40bをパネル支持領域22にねじにより固定し(図6参照)、垂下片40cを側板1の内側面1aにねじにより固定するようにしている。
【0020】
その際、パネル支持部材40は、図4及び図5に示すごとく用紙収納装置3と干渉しない状態で当該用紙収納装置3の収納空間S内に収められる。用紙収納装置3は、図3及び図8等に示すように、立壁である前壁31及び後壁32と、底壁33とを備えて、上方及び左右側方に開口する扁平コ字形をなし、前壁構成部材3xと後壁構成部材3yとが底壁33となる底連結片33a、33b同士の間でねじにより連結される。この実施形態では、前壁31および後壁32が左右の側板1、1間の内法寸法ほぼ全域に亘っており、パネル支持部材40との干渉を避けるべく、図3の状態からパネル支持部材40を取り付けるよりも先に前壁構成部材3xが取り付けられる。前壁構成部材3xは、前壁31の上縁に取付片31aを有し、左右の側板1の内面1a、1a間に配置されて、その取付片31aが天板2の後縁側の下面2bにねじ止めされる。この取付位置で、図8等に示すように切欠部21に臨む天板2の後端2aと前壁構成部材3xの前壁31とはほぼ面一な立面とされる。天板2の後縁における上面2cには、用紙収納装置3の前壁31と同じ前壁の役割をなす立面5aを有し実質的に収納空間Sを天板2の上方にまで嵩上げしてその上方に開口縁OP1を形成するための収納補助部材5が取り付けられる。
【0021】
一方、後壁構成部材3yは、後壁32の上に前記収納補助部材5と対をなして収納空間Sを上方に嵩上げしその上方に前記収納補助部材5とともに開口縁OP2を形成する袋状の開口縁形成部30を有するもので、両開口縁OP1、OP2はともに上方に向けて前後に開く階段状をなしている。この後壁構成部材3yは、先に前壁構成部材3x、パネル支持部材40と取り付けた後に、前壁構成部材3xとの間にパネル支持部材40を収めるようにして前壁31及び後壁32の底部に設けた底形成片33a、33b同士(図3参照)を連結され、当該後壁構成部材3yの側方に設けた取付片32aが図4及び図5に示すように側板1の内面1aにねじ止めされる。
【0022】
そして、このようにして左右のパネル支持領域22、22に取り付けたパネル支持部材40に、図5及び図7に示すようにパネル4の左右両端部を取り付けてパネル4の掲示領域4pを収納空間Sの上方に位置づけるようにしている。パネル4の左右両端には図3及び図7に示すように支柱41が垂下しており、この支柱41を前記パネル支持部材40を外嵌する位置に取り付けてねじにより固定することで、図7に示すように当該パネル支持部材40の前記パネル取付領域22へのねじによる固定部分を隠蔽するようにしている。
【0023】
用紙収納装置3は、用紙サイズに応じて収納サイズを可変とするものである。具体的に説明すると、図3、図4及び図8等に示すように、立壁である後壁32には、高さ方向に沿って複数段に開口する挿入部たるスリット32bが打ち抜いて形成してあり、これらのスリット32bに、板材よりなる用紙支持部材6を挿入するようにしている。用紙支持部材6は、スリット32bに挿入されて収納空間S内で可動底を形成する底形成部61と、この底形成部61の適切な挿入深さ位置で立壁である後壁32の外面に添って配置される摘み部62とを備えているもので、底形成部61をスリット32bに挿入して収納空間S内に可動底として位置づけることにより、選択した段に応じた深さで前記開口縁OP1、OP2から投入される用紙を立て掛けた状態に支持し得るものである。このようなスリット32bは、天板幅方向に繰り返し所定の間隔で設けてあり、幅方向に沿って何れかのスリット32bに前記用紙支持部材6を挿入することにより、用紙を支持する幅方向位置をも選択することを可能としている。前壁31にも、これら後壁32のスリット32bに対応する位置にスリット31bが設けてあり、後壁32のスリット32bに挿入された底形成部61は図10に示すように前壁31のスリット31bにも挿し込まれて、両持ち的に支持されるようにしている。図9は用紙収納装置3の収納空間Sから後壁32の前面を見た例である。この実施形態は上下3段のスリット32bが幅方向に所定ピッチで連続しており、図示例では縦長の用紙P1を中段のスリット32bに挿入した用紙支持部材6の底形成部61に支持させ、横長の用紙P2を上段のスリット32bに挿入した用紙支持部材6の底形成部61に支持させている。このように、挿し込むスリット32bの高さや幅方向位置を選択して用紙支持部材6を挿入するだけで、用紙のサイズや挿入の向きに応じたサイズの収納部を収納空間S内に構成することができる。図10は図9における用紙P2を支持している部分の縦断面であり、図11は図9における用紙P1を支持している部分の縦断面である。何れの挿し込み位置でも、用紙支持部材6は底壁33の上方に配置される。
【0024】
なお、この実施形態における用紙支持部材6の特徴として、図3及び図9等に示すように、共通の摘み部62に対して複数の底形成部61を分岐させて幅方向に所定間隔で並列に設けており、後壁32や前壁31のスリット32b、31bに幅方向に沿って1つ飛ばしで対応する底形成部61が挿入されるようにしている。つまり、一対の底形成部61の間隔の1/2ピッチで用紙支持部材6の幅方向の位置を可変としている。勿論、2つ飛ばし或いはそれ以上の間隙で2若しくは3以上の底形成部61を挿入するようにしてもよい。
【0025】
さらに、この実施形態では、図3及び図8等に示すように摘み部62と底形成部61とのなす角を90度以外の値に設定してあり、用紙支持部材6の挿入位置で図10等に示すように底形成部61が前傾するように構成している。したがって、底形成部61が挿入される後壁32のスリット32bに対して、その底形成部61が挿し込まれる前壁31のスリット31bは高さ位置が異ならせてある。
【0026】
その理由は、用紙束PPを上方から収納空間Sに投入した場合、用紙の堅さにもよるが、その可撓性ゆえに、図示例のように後壁32に凭れるように支持されるか、或いは図示しないが前壁31(正確には収納補助部材5の立面5a)に倒れるように支持されるかが、可動底である底形成部61が前傾しているか後傾しているかによって変わってくる場合があり、例えば後壁32に凭れるように撓った方が用紙の見出しが視認し易いなどの事情に応じてかかる傾斜を利用することができる。図示例では前傾状態で配置されるように用紙支持部材6を構成しているが、後傾状態にする方が好ましい場合には摘み部62及び底形成部61を上下反転して用紙支持部材6を挿入部であるスリット31b、32bに挿入できるようにしておけばよく、何れの方向へ上下反転させても使用できるようにスリット31b、32bの位置関係を設定して前傾と後傾とを切り替え可能としておくことも有効である。勿論、前壁31や後壁32を傾斜させる構成も採用できるし、また、用紙の姿勢が特に問題とならなければ摘み部62と底形成部61とのなす角を90度とし底形成部61が水平に挿し込まれるように構成しても構わない。
【0027】
さらにまた、本実施形態の用紙収納装置3は、図3、図6及び図8等に示すように、収納空間Sの上方開口縁OP1を構成する収納補助部材5に仕切り支持部として幅方向に延びる連続開口5zが、また後壁構成部材32の上方開口縁OP2には仕切り支持部として所定ピッチで幅方向に延びるスリット3z(図6参照)がそれぞれ形成してあり、収納空間Sを幅方向に仕切るために構成した図3及び図12に示す板材からなるT字状の仕切り7が、何れかのスリット3zと連続開口5zとの間に上腕部7aを差し込んだ状態で仕切り本体7bを前壁31と後壁32の間に挿入可能に構成されていて、その仕切り7により、図9に示すように収納空間Sを幅方向に沿って適宜の位置で仕切ることを可能にしている。
【0028】
なお、図10及び図11に示すように、用紙支持部材6が挿し込まれた後壁32を覆う位置には、必要に応じて後壁32のスリット32bを覆う領域にカバー8が着脱可能とされている。用紙支持部材6は、挿入状態で摘み部62を後壁32にねじ等により固定しておくようにしてもよい。
【0029】
以上のように、本実施形態の天板付家具は、左右の側板1,1に天板2を架設するとともに、天板2の後縁下方に収納空間Sを、後縁上方にパネル4を設けるにあたり、前記天板2の後縁に切欠部21を、パネル支持領域22を左右端部に残した状態で形成し、その切欠部21を介して前記収納空間Sを上方に開放するとともに、パネル支持領域22上にパネル支持部材40を位置づけて当該パネル支持部材40の少なくとも下端部を切欠部21内を通過して側板1の内面1aに固定し、左右のパネル支持部材40、40にパネル4の左右両端部を取り付けて当該パネル4を収納空間Sの上方に位置づけたものである。
【0030】
このため、天板2を側板1に対して前方にずらさずとも収納空間Sを上方に開放することができ、しかも切欠部21の両側にパネル支持領域22を残すことによって側方において天板2の欠損部が発生することがなく、側板1との間に段差も生じないため、側方からの見栄えも有効に確保することができる。また、パネル支持部材40も切欠部21内を通過して側板1の内面1aに固定され、側方に露出することがないため、パネル4の取り付けも側方からの見栄えを損なうことなく有効に行うことが可能となる。したがって、側板1の内部への作り込みを行うものに比べて、構造を簡素化しつつ、良好な外観を保ってパネル4の取り付けや収納空間Sの上方開放を行うことが可能となる。
【0031】
特に、前記収納空間Sをパネル支持部材40とともに背面側から閉止する後壁32を、切欠部21内に収まるようにして側板1の内面1a、1a間に配置しているので、側方からの見栄えを損なうことなく、パネル支持部材40を後壁32により隠蔽して後方からの見栄えも向上させることができる。
【0032】
この場合の収納空間Sは、天板1に固定されて前方に配置される前壁31と、この前壁31の後方に取り付けられる前記後壁32とを含んで上方及び左右側方に開口する扁平コ字形に形成され、その収納空間S内に左右のパネル支持部材40の側板1への固定部分を収めているので、切欠部21内においてパネル支持部材40と干渉することなくダクト構造の収納空間Sを有効に形成することができる。
【0033】
そして、前記パネル支持領域22の幅d1を側板1の厚みd2に略対応させているので、パネル支持領域22の内側面22aと側板1の内側面1aとを面一にして、パネル支持部40材をこれらに適切に当てがうことができる。
【0034】
また、パネル支持部材40の一部を天板1のパネル取付領域22にも固定するようにしており、そのためにパネル4が、左右両端に前記パネル支持部材40を外嵌する支柱41を有し、この支柱41により前記パネル支持部材40のパネル取付領域22への固定部分を隠蔽するようにしているため、パネルの取付強度を、外観を毀損することなく有効に高めることができる。
【0035】
さらにパネル4は、左右のパネル取付領域22上に配した支柱41、41間に当該パネルの機能領域である掲示領域4pが設定されて、前記収納空間Sの収納領域が切欠部21とともに左右の側板1,1間の内法寸法ほぼ全域に対応しているのに対し、同じくパネル4の掲示領域4pも左右の側板1,1間の内法寸法ほぼ全域に対応しているように構成しているので、掲示領域4p、収納空間Sの収納領域ともに幅方向に最大限に確保することができる。そして、収納空間Sに記入用の用紙を収納し、掲示領域4pにその記入例を、上下に対応させて掲示するなど、記載台として利用する際の使い勝手を有効に向上させることが可能となる。
【0036】
加えて、上記の構造によれば、パネル4の左右両端面は天板1の左右両端面および側板2の外面に略一致する位置に配されることになるため、天板1や側板2を幅方向に連ねた場合に、パネル4の側端面同士が密着することになり、特に個人情報を扱う場合などに天板1の前方に連続壁面を作って情報の秘匿状態を確保し易いものとなる。
【0037】
さらには、後壁32は、側板1の後面から後方に突出しない状態で設けられているため、天板2の後縁同士を背合わせに突き合わせて配置した状態で、前後に密接に連続するパネル支持領域22上に各々のパネルへの支持杆を形成した共通のパネル支持部材(図示省略)を取り付ければ、このパネル支持部材によって天板1を前後に連結する連結手段としてもパネル支持部材を有効活用することができるようになる。
【0038】
なお、本発明で取り扱う収納空間は用紙の収納目的に限らず、配線類の収納等を目的とするものであってもよいし、パネルも掲示目的に限られない。また、本発明は記載台以外の用途で用いられるデスク等の天板付家具に適用してもよい。その他、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0039】
1…側板
1a…内面
2…天板
4…パネル
21…切欠部
22…パネル支持領域
31…前壁
32…後壁32
40…パネル支持部材
41…支柱
d1…幅
d2…厚み
4p…機能領域(掲示領域)
S…収納空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の側板に天板を架設するとともに、天板の後縁下方に収納空間を、後縁上方にパネルを設けるようにしたものであって、
前記天板の後縁に切欠部を、パネル支持領域を左右端部に残した状態で形成し、その切欠部を介して前記収納空間を上方に開放するとともに、前記パネル支持領域上にパネル支持部材を位置づけて当該パネル支持部材の少なくとも下端部を切欠部内を通過して側板の内面に固定し、左右のパネル支持部材にパネルの左右両端部を取り付けて当該パネルを収納空間の上方に位置づけてなることを特徴とするパネルを備えた天板付家具。
【請求項2】
前記収納空間をパネル支持部材とともに背面側から閉止する後壁を、切欠部内に収まるようにして側板の内面間に配置している請求項1記載のパネルを備えた天板付家具。
【請求項3】
収納空間は、天板又は側板に固定されて前方に配置される前壁と、この前壁の後方に取り付けられる前記後壁とを含んで上方及び左右側方に開口する扁平コ字形に形成され、その収納空間内に左右のパネル支持部材の側板への固定部分を収めている請求項2記載の天板付家具。
【請求項4】
パネル支持領域の幅が側板の厚みに略対応している請求項1〜3記載のパネルを備えた天板付家具。
【請求項5】
パネル支持部材の一部は天板のパネル取付領域にも固定されるものであり、パネルは、左右両端に前記パネル支持部材を外嵌する支柱を有し、この支柱により前記パネル支持部材のパネル取付領域への固定部分を隠蔽している請求項1〜4記載の天板付家具。
【請求項6】
パネルは、左右両端に前記パネル取付領域上に位置する支柱を有し、その支柱間に掲示や筆記等を行うパネルの機能領域が設定されて、前記収納空間の収納領域が切欠部とともに左右の側板間の内法寸法ほぼ全域に対応し、同じくパネルの掲示領域も前記左右の側板間の内法寸法ほぼ全域に対応している請求項1〜5記載のパネルを備えた天板付家具。
【請求項1】
左右の側板に天板を架設するとともに、天板の後縁下方に収納空間を、後縁上方にパネルを設けるようにしたものであって、
前記天板の後縁に切欠部を、パネル支持領域を左右端部に残した状態で形成し、その切欠部を介して前記収納空間を上方に開放するとともに、前記パネル支持領域上にパネル支持部材を位置づけて当該パネル支持部材の少なくとも下端部を切欠部内を通過して側板の内面に固定し、左右のパネル支持部材にパネルの左右両端部を取り付けて当該パネルを収納空間の上方に位置づけてなることを特徴とするパネルを備えた天板付家具。
【請求項2】
前記収納空間をパネル支持部材とともに背面側から閉止する後壁を、切欠部内に収まるようにして側板の内面間に配置している請求項1記載のパネルを備えた天板付家具。
【請求項3】
収納空間は、天板又は側板に固定されて前方に配置される前壁と、この前壁の後方に取り付けられる前記後壁とを含んで上方及び左右側方に開口する扁平コ字形に形成され、その収納空間内に左右のパネル支持部材の側板への固定部分を収めている請求項2記載の天板付家具。
【請求項4】
パネル支持領域の幅が側板の厚みに略対応している請求項1〜3記載のパネルを備えた天板付家具。
【請求項5】
パネル支持部材の一部は天板のパネル取付領域にも固定されるものであり、パネルは、左右両端に前記パネル支持部材を外嵌する支柱を有し、この支柱により前記パネル支持部材のパネル取付領域への固定部分を隠蔽している請求項1〜4記載の天板付家具。
【請求項6】
パネルは、左右両端に前記パネル取付領域上に位置する支柱を有し、その支柱間に掲示や筆記等を行うパネルの機能領域が設定されて、前記収納空間の収納領域が切欠部とともに左右の側板間の内法寸法ほぼ全域に対応し、同じくパネルの掲示領域も前記左右の側板間の内法寸法ほぼ全域に対応している請求項1〜5記載のパネルを備えた天板付家具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−19894(P2012−19894A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159062(P2010−159062)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
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