説明

パネルシステムにおけるガラス板連結構造、及びこれに用いるパネル体

【課題】十分な連結支持強度を有してガラス板同士を直接的に連結でき、現場でコーキング剤等を使用したりパネル表裏から目地具を組み付ける煩雑な作業を必要とすることなく、容易に施工・組み立て作業を行うことができ、解体も容易に行うことができ、連結後の外観性にも優れたガラス板連結構造を提供する。
【解決手段】第1目地部材3の略中央部に凹溝30を設け、左右側面に前記外面に開放される左右対称な切欠溝31、31を設け、これにより前記凹溝30と各切欠溝31の間に左右対称な突出片32、32を設け、第2目地部材4Aに、前記第1目地部材3の凹溝30に嵌り込む突出部41を設けるとともに、該突出部41を挟んだ両側の位置に、それぞれ前記第1目地部材の左右の切欠溝31に嵌合される一対の保持片42、42を設け、これにより前記突出部41と各保持片42の間に、前記第1目地部材に構成された各突出片32が嵌合する凹部40を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルシステムにおけるガラス板連結構造に係わり、より詳しくは、十分な支持強度を有し、施工・組み立て作業、解体作業が容易となり、連結後の外観性にも優れたガラス板の連結構造及びこれに用いるパネル体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、隣接するガラスパネルの縦辺端面の召合せ部の上下全長にわたって遮音用のゴム部材を貼着し、ガラスパネルを閉状態にした時に前記ゴム同士を圧縮または密着状態にする構造、特に、ガラスパネル縦側端面に接着したゴム部材の一方の断面形状を凸円弧状とし、隣接するガラスパネルの対向する縦側端面に接着したゴム部材の断面形状を凹円弧状とし、互いに嵌合させるようにした構造が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この構造はパーティションを移動自在としたガラスパネルの閉状態でその召し合わせ部に用いられる構造であり、嵌合関係にある双方のゴム部材は支持強度が無く、ガラス板同士を連結するための目地具として用いることはできない。
【0003】
また、パネル同士を直接的に連結するための構造として、スペーサと目地材とを一体化してモール材を構成し、該モール材に形成された嵌合溝に樹脂製の別の目地材を嵌め込み、該目地材によって、隣接する壁パネルの接合端面間の隙間を少なくとも内面側から覆うよう構成した壁パネルの接合構造が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、このようなモール材は双方のパネル端面に該モール材を嵌め込む凹溝等の嵌合構造を形成する必要があり、ガラス板の場合には困難であるし、また、その取付けは一方のパネル端面にモール材をコーキング剤等で固定した後、該モール材に対して他方のパネル端面を同じくコーキング剤等で固定することとなり、施工・組み立ての作業が煩雑であるとともに解体時も現場でコーキング剤の付着したモール材をパネル端から取り外す必要があり、作業性低下の原因となる。
【0004】
一方、ガラス板同士を目地具を用いて直線的に連結する構造として、第1目地部材を、両パネル板の表面に当接する鍔部の中央部に一対の挟持脚を間隔を設けて直角に突設し、各挟持脚の対向面側先端部に二条の係止条を基部から異なる距離の位置に突設したものとし、第2目地部材を、両パネル板の表面に当接する鍔部の中央部に係合脚を直角に突設し、該係合脚の中間部の両面に前記係止条に係止する係止突条を突設して構成し、表裏一方の側から第1目地部材の挟持脚をパネル板間に挿入するとともに、鍔部をパネル板の表面に当接し、反対側から第2目地部材の係合脚を挟持脚間に挿入して係止突条を対面する基端側の一対の係止条に係止するとともに、鍔部をパネル板の裏面に当接して弾性的に保持する構造が提案されている。また、両パネル板を直角に連結する構造として、第1目地部材を、鍔部の形状が両パネル板のコーナー部内角面に当接するように断面略L字形に形成し、該鍔部の角部から前記同様な挟持脚を突設して構成し、第2目地部材を、鍔部の形状が両パネル板のコーナー部外角面に当接するように断面略L字形に形成し、該鍔部の角部から前記同様な係合脚を突設して構成した構造が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0005】
このような第1目地部材、第2目地部材を用いた連結構造も、現場で第1目地部材、第2目地部材をパネル間の表裏から組み付けてパネル同士を連結するといった煩雑な作業を要し、これら目地部材の管理も必要である。また、このような目地具は第1目地部材と第2目地部材の鍔部によりパネル同士を支持して連結するものであるが、連結状態でこれら鍔部がパネル表裏面から浮き出ることとなり、外観上あまり好ましくない。ガラス板を連結するガラス間仕切りの施工は、従来ガラスを現地で嵌め込み、間仕切り施工職人とガラス職人が必要で、管理工事日程、時間、コストともに掛かる。ガラスの四方を枠部材で囲んでパネル化すればこのような問題は解消されるが、目地具を介してガラスを連続的に連結する場合、現状では間仕切り施工職人とガラス職人が必要な現場施工型しかなく、またジョイント方法もコーキング、樹脂目地材を用いることから外観も劣り、強度も低かった。
【0006】
【特許文献1】特開2006−28809号公報
【特許文献2】特開2006−16833号公報
【特許文献3】特開2002−201741号公報(図7〜9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、十分な連結支持強度を有してガラス板同士を直接的に連結できるとともに、現場でコーキング剤等を使用したりパネル表裏から目地具を組み付ける煩雑な作業を必要とすることなく、容易に施工・組み立て作業を行うことができ、解体も容易に行うことができ、連結後の外観性にも優れたパネルシステムにおけるガラス板連結構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前述の課題解決のために、ガラス板同士を目地具を介して連結するパネルシステムのガラス板連結構造において、前記目地具を、各ガラス板の対向する端面にそれぞれ固定され互いに着脱可能に嵌合する第1目地部材及び第2目地部材より構成し、前記第1目地部材の前記第2目地部材に対向する外面の略中央部に所定深さの凹溝を設けるとともに、左右側面に前記外面に開放される左右対称な切欠溝を設け、これにより前記凹溝と各切欠溝の間に左右対称な突出片を設け、前記第2目地部材に、前記第1目地部材の凹溝に嵌り込む突出部を設けるとともに、該突出部を挟んだ両側の位置に、それぞれ前記第1目地部材の左右の切欠溝に嵌合される一対の保持片を設け、これにより前記突出部と各保持片の間に、前記第1目地部材に構成された各突出片が嵌合する凹部を設けたことを特徴とするガラス板連結構造を提供する。
【0009】
ここで、前記第1目地部材及び第2目地部材のそれぞれの板厚方向の幅寸法を、ガラス板の厚みの範囲内に設定することが好ましい。
【0010】
また、双方のガラス板を直線状に連結する構造として、前記第1目地部材の前記凹溝が開口する外面と反対側の内面側を一方のガラス板の端面に固定し、前記第2目地部材の突出部を、前記第1目地部材に対向する外面における略中央部に突設するとともに、前記一対の保持片を対称に設け、前記突出部の突出方向と反対側の内面側を他方のガラス板の端面に固定し、これら第1目地部材及び第2目地部材を互いに着脱可能に嵌合してなる構造が好ましい。
【0011】
さらに、双方のガラス板を略直角に連結する構造として、前記第1目地部材の前記凹溝が開口する外面と反対側の内面側を一方のガラス板の端面に固定し、前記第2目地部材の突出部を、前記第1目地部材に対向する外面における略中央部に突設するとともに、前記保持片のうち一方の保持片を前記第1目地部材の切欠溝の段部を越えて該第1目地部材の側面に沿って延設し、該保持片の外側面を他方のガラス板の端面に固定し、これら第1目地部材及び第2目地部材を互いに着脱可能に嵌合してなる構造が好ましい。
【0012】
この場合、前記第2目地部材の他方の保持片を、前記第1目地部材の切欠溝に嵌合した状態で先端側に該切欠溝の段部との間に所定の隙間を維持する長さに設定するとともに、前記突出部の突出方向と反対側の面における前記隙間と対称な位置に、該隙間と略同一の内部断面形状を有する細溝を形設することが好ましい。
【0013】
また、前記各ガラス板に上下端面を支持する横枠部材を設けるとともに、対向する側端面に固定される前記第1目地部材及び第2目地部材の上下端部を、それぞれ各ガラス板の上下の横枠部材端部に連結した構造が好ましい。
【0014】
具体的には、前記第1目地部材及び第2目地部材の上下端部に形成される各係合溝に、前記上下の横枠部材端部から目地部材側に向けて延びる連結部材を係合させた構造とすることが好ましい。
【0015】
また、前記横枠部材が、その中央部で前記ガラス板を支持してなり、該横枠部材のガラス板を支持する内面側に、表側及び裏側から着脱可能に取り付けられる一対の化粧枠を設け、該化粧枠を前記目地具を介して連結される双方のガラス板にわたって一体的に設けられる長さに設定した構造が好ましい。
【0016】
また本発明は、上記したガラス板連結構造により目地具を介して連結されるパネル体であって、ガラス板の上下端面に横枠部材を設け、左右一方の側端面に前記第1目地部材又は第2目地部材を設け、他方の側端面に前記第1目地部材又は第2目地部材に嵌合する第2目地部材又は第1目地部材、或いは縦枠部材を設けるとともに、これら左右の側端面に設けられる第1目地部材、第2目地部材又は縦枠部材の上下端部をそれぞれ上下の横枠部材端部に連結してなることを特徴とするパネル体も提供する。
【0017】
ここで、前記横枠部材及び縦枠部材が、その中央部で前記ガラス板を支持してなるものが好ましい。
【0018】
この場合、前記横枠部材のガラス板を支持する内面側に、表側及び裏側から着脱可能に取り付けられる化粧枠を設け、該化粧枠を複数のパネル体にわたって一体的に設けられる長さに設定したものが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
以上にしてなる本願発明に係るガラス板連結構造によれば、第1目地部材の凹溝と第2目地部材の突出部との嵌合、および第1目地部材の左右対称な突出片と第2目地部材の凹部との嵌合がそれぞれ深く嵌り込んで十分な支持連結強度を維持することができ、連装ガラス面としても面強度が高く、安全である。また、上述した特許文献3のような鍔部を存在せず、パネル間の空間内で確りとした連結を実現することができるため目地部が目立たず、またパッキンやガラスビード等も存在せず、外観上の問題も解決できる。また、現場での組み付け施工の前に、予め各パネルの縁部に第1目地部材、第2目地部材を取り付けておくことができるため、容易に施工・組み立て作業を行うことができるとともに、移送時の解体も上記嵌合を解除するだけで容易に作業を行うことができる。
【0020】
また、第1目地部材及び第2目地部材のそれぞれの板厚方向の幅寸法を、ガラス板の厚みの範囲内に設定すれば、連結後の目地具がガラス板の表裏面に突出せず、美観性に優れた構造とすることができる。特に、外観上優れたものとするためには組付状態の目地具がパネル幅寸法で囲まれた断面視略正方形の空間に収めることが、透明なガラスパネルを通じてどの方向から目地部を見ても一定の存在感となり好ましいが、このような限られた空間内でも本発明の目地具は確りとした嵌合構造を実現しており、十分な支持連結強度を発揮できる理想的な構造を備えている。
【0021】
また、双方のガラス板を直線状に連結するガラス板連結構造として、前記第1目地部材の前記凹溝が開口する外面と反対側の内面側を一方のガラス板の端面に固定し、前記第2目地部材の突出部を、前記第1目地部材に対向する外面における略中央部に突設するとともに、前記一対の保持片を対称に設け、前記突出部の突出方向と反対側の内面側を他方のガラス板の端面に固定し、これら第1目地部材及び第2目地部材を互いに着脱可能に嵌合したので、深い凹凸嵌合による強固な連結強度が維持されるとともに、連結後の目地具において第2目地部材の対称な保持片の先端部と第1目地部材の対称な切欠溝の段部との隙間が対称な位置に対称な形で現れるため、美観性に優れた構造とすることができる。
【0022】
また、双方のガラス板を略直角に連結するガラス板連結構造として、前記第1目地部材の前記凹溝が開口する外面と反対側の内面側を一方のガラス板の端面に固定し、前記第2目地部材の突出部を、前記第1目地部材に対向する外面における略中央部に突設するとともに、前記保持片のうち一方の保持片を前記第1目地部材の切欠溝の段部を越えて該第1目地部材の側面に沿って延設し、該保持片の外側面を他方のガラス板の端面に固定し、これら第1目地部材及び第2目地部材を互いに着脱可能に嵌合したので、強固な連結強度を維持して各ガラス板を略直角方向に連結することができる。
【0023】
とくに、前記第2目地部材の他方の保持片を、前記第1目地部材の切欠溝に嵌合した状態で先端側に該切欠溝の段部との間に所定の隙間を維持する長さに設定するとともに、前記突出部の突出方向と反対側の面における前記隙間と対称な位置に、該隙間と略同一の内部断面形状を有する細溝を形設したので、隙間と対称な細溝の存在によって連結状態における外観上のバランスをとることができる。
【0024】
また、各ガラス板に上下端面を支持する横枠部材を設けるとともに、対向する側端面に固定される前記第1目地部材及び第2目地部材の上下端部を、それぞれ各ガラス板の上下の横枠部材端部に連結したので、目地具が連結後又は連結作業の際にガラス板端面から剥がれてしまうといった不都合も回避でき、支持連結強度をより一層強固なものとでき、間仕切り施工職人だけで容易に施工・組み立て作業を行うことができ、工事日程、時間の短縮化、コスト低減を実現できる。
【0025】
特に、前記第1目地部材及び第2目地部材の上下端部に形成される各係合溝に、前記上下の横枠部材端部から目地部材側に向けて延びる連結部材を係合させたので、組み立ても容易で、確実且つ強固に連結できる。
【0026】
また、前記横枠部材が、その中央部で前記ガラス板を支持してなり、該横枠部材のガラス板を支持する内面側に、表側及び裏側から着脱可能に取り付けられる一対の化粧枠を設け、該化粧枠を前記目地具を介して連結される双方のガラス板にわたって一体的に設けられる長さに設定したので、中央部で強固且つ安定してガラス板を支持しつつ前記化粧枠により横枠部材の連結部分に生じる切れ目を隠し、見栄えを良くすることができる。
【0027】
また、本願発明におけるパネル体によれば、ガラス板の上下端面に横枠部材を設け、左右一方の側端面に前記第1目地部材又は第2目地部材を設け、他方の側端面に前記第1目地部材又は第2目地部材に嵌合する第2目地部材又は第1目地部材、或いは縦枠部材を設けるとともに、これら左右の側端面に設けられる第1目地部材、第2目地部材又は縦枠部材の上下端部をそれぞれ上下の横枠部材端部に連結して構成したので、このように独立構成されたパネル体は、ガラス板の四方を互いに確りと連結した枠部材と目地部材で囲まれた十分な支持強度を有しており、ガラス職人が必要なくなり、間仕切り施工職人だけで容易に施工することができ、工期・コストを大幅に削減できるとともに連結したパネルシステムの支持連結強度も高いものとなり、またパッキンやガラスビード等も存在せず外観に優れたパネルシステムを容易に構築できる。このようなパネル体を巾木、天レールに固定すれば、ガラスの抜け落ちの危険性も低い安定したパネルシステムを提供できる。
【0028】
また、前記横枠部材及び縦枠部材が、その中央部で前記ガラス板を支持してなるので、ガラス板を安定的に保持した十分な支持強度を有し、管理・取り扱いも容易となる。
【0029】
また、前記横枠部材のガラス板を支持する内面側に、表側及び裏側から着脱可能に取り付けられる化粧枠を設け、該化粧枠を複数のパネル体にわたって一体的に設けられる長さに設定したので、パネル体同士の連結部分に生じる切れ目を隠し、パネルシステムの見栄えを良くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明に係るガラス板連結構造を備えるパネルシステム10の全体構成図であり、図1〜6は第1実施形態、図7〜17は第2実施形態を示し、図中符号P〜P8はガラス板、1は目地具、2A〜2Dは枠部材、3は第1目地部材、4A,4Bは第2目地部材、5は地レール、6は巾木部材、7は天レール、8は笠木部材をそれぞれ示している。
【0032】
本発明のガラス板連結構造S1,S2は、図1および図2に示すように、ガラス板P1,P2(P2,P3)同士を目地具1を介して連結する構造であり、直線状の連結構造S1に用いる目地具1は、各ガラス板P1,P2の対向する縁部20d,20aにそれぞれ固定され互いに着脱可能に嵌合する第1目地部材3及び第2目地部材4Aより構成され、略直角の連結構造S2に用いる目地具1は、各ガラス板P2,P3の対向する縁部20d,20aにそれぞれ固定され互いに着脱可能に嵌合する第1目地部材3及び第2目地部材4Bより構成されている。このように第1目地部材3は連結構造S1,S2の目地具1に共通に用いることができる。
【0033】
なお、以下の実施形態のパネルシステム10においては、ガラス板を上下に枠部材を介して巾木部材6および笠木部材8にそれぞれ固定しているが、ガラス板の上下端部を直接これら部材に固定してもよい。また、上下一枚のガラス板を左右あるいは略直角の方向に連結した例について説明するが、たとえば複数分割されたガラス板を枠部材等を介して上下に連設するとともに、左右あるいは略直角に隣接する分割ガラス板同士を目地具1を用いて連結した構造など、種々の形態の連結構造として用いることができる。
【0034】
まず、図1〜6に基づき、本発明の第1実施形態を説明する。
【0035】
本実施形態のパネルシステム10は、ガラス板P,P1,…よりなり、ガラス板P,P1は互いに支柱21を介して連結され、とくにガラス板P1は一側端が枠部材2Aにより支柱21に固定されている。ガラス板P1の他側端とガラス板P2は目地具1により互いに直線状に連結され、ガラス板P2とP3は目地具1により互いに略直角に連結されている。このパネルシステム10は図3に示すように、天井と床面に天レール7と地レール5を対向させて取付け、該地レール5に外嵌してレベル調整した巾木部材6の上に支柱21を立設し、支柱21の上端部は天レール7内で固定金具で取付け、隣接する支柱21の間の上端部に、前記天レール7に上下スライド且つ固定可能に外嵌した笠木部材8の両端を仮止めし、後述するようにガラス板P1,…を取り付けた後、笠木部材8を固定して構成される。
【0036】
ガラス板P1は、図2および図3に示すように、支柱21に対向する縁部20aに沿って縦枠部材2Aが取付けられるとともに、ガラス板下縁部20bに沿って横枠部材2Bが、上縁部20cに沿って横枠部材2Cがそれぞれ取り付けられ、ガラス板P2に対向する縁部20dには第1目地部材3が取付けられており、これら枠部材を介して支柱21,巾木部材6,笠木部材8に固定された上、第1目地部材3がガラス板P2の第2目地部材4Aを嵌合してガラス板P1,P2が直線状に連結される。
【0037】
縦枠部材2Aおよび横枠部材2B,2Cは、ガラス板P1の各縁部に予め固定される表側枠部材24A,24B,24Cと、これら表側枠部材を支柱21,巾木部材6,笠木部材8に取り付けた後、ガラス板裏面側から挿入して対応する表側枠部材に弾性嵌合して支柱21,巾木部材6,笠木部材8の裏面側に当接して装着される裏側枠部材25A,25B,25Cとより構成されている。
【0038】
表側枠部材24A,24B,24Cは、図2、3に示すように、ガラス板P1の各縁部20a,20b,20cを支持する断面略L字形の支持片22が長手方向に渡って突設されており、各々両面テープ23又はコーキング材にて前記各縁部に強固に固定されている。そして、これら表側枠部材を取り付けたガラス板P1を表側から巾木部材6と笠木部材8の間に挿入し、各表側枠部材の支持片22を支柱21,巾木部材6,笠木部材8の表面側にそれぞれ当接した状態で該支柱21,巾木部材6,笠木部材8の内面側に沿って延びる各内面部26を該内側面に取付ネジ27により取り付けて固定する。これら各表側枠部材は、例えばアルミ押出し型材で作製される。
【0039】
裏側枠部材25A,25B,25Cには、それぞれ前記支柱21,巾木部材6,笠木部材8の裏側面に当止する中実部28を有し、該中実部28の内側から板厚方向に延びた内面板29を有し、該内面板29の先端は、対応する表側枠部材24A,24B,24Cの内面部26の係合凹部24aに嵌合し、該内面板29と内面部26とは面一になる。また、前記中実部28には表側枠部材24A,24B,24Cの内面部26の先端片80を受け入れる係合段部81を形成するとともに、前記中実部28と内面板29の基部との間に溝部82を形成し、該溝部82に板ばね83を嵌着できるように構成されている。板ばね83は先端部が外側に断面へ字状に屈曲しており、この屈曲部が裏側枠部材25A,25B,25Cをそれぞれ表側枠体24A,24B,24Cに嵌合したときに、前記先端片80の内面に形成した係合溝84に弾性的に係合するようになっている。これら各裏側枠部材も例えばアルミ押出し型材で作製される。
【0040】
ガラス板P2の左右の縁部20a,20dには、それぞれガラス板P1の第1目地部材3に嵌合する第2目地部材4A,ガラス板P3の第2目地部材4Bに嵌合する第1目地部材3が取付けられ、ガラス板下縁部20b,上縁部20cには、それぞれガラス板P1に用いたものと同一構造の横枠部材2B,横枠部材2Cが取り付けられており、すでに設置されているガラス板P1の第1目地部材3に前記第2目地部材4Aを嵌合させつつ、上記ガラス板P1の場合と同様、表側枠部材から前記横枠部材2B,横枠部材2Cを巾木部材6,笠木部材8に固定する。ここで、各枠部材の裏側枠部材25B,25Cは、ガラス板P1のものと一体に構成されており、ガラス板P1,P2の表側枠部材をそれぞれの位置に取り付けた後、ガラス板裏面側から一体構成された裏側枠部材25B,25Cを取り付けている。これによりガラス板同士の連結強度を高めることができるとともに継ぎ目がなくなり見栄えもよくなる。
【0041】
目地具1を構成する第1目地部材3は、図4に示すように、ガラス板P2の第2目地部材4Aに対向する外面の略中央部に所定深さの凹溝30が設けられるとともに、左右側面に前記外面に開放される同一深さの左右対称な切欠溝31,31が設けられ、これにより前記凹溝30と各切欠溝31,31の間に同一長さの左右対称な突出片32,32が構成されている。また、ガラス板P1の縁部20dに対向する内面側には、該縁部20dに沿って両面テープ34又はコーキング材を付着させる凹部33が形成され、当該内面側を縁部20dに取り付けた後、ガラス板の表裏面側から前記両面テープ34がほぼ隠れるように構成されている。
【0042】
他方、これに嵌合する第2目地部材4Aは、前記第1目地部材3の凹溝30に嵌り込む突出部41が設けられるとともに、該突出部41を挟んだ両側の位置に、それぞれ前記第1目地部材の左右の切欠溝31,31に嵌合される一対の保持片42,42が設けられ、これにより前記突出部41と各保持片42,42の間に、前記第1目地部材3の各突出片32,32に嵌合する凹部40,40が構成されている。突出部41は、前記第1目地部材3に対向する外面における略中央部に突設されており、同一長さの保持片42,42が対称に設けられている。そして、上記第1目地部材3と同様、ガラス板P2の縁部20aに対向する内面側には、該縁部20aに沿って両面テープ45又はコーキング材を付着させる凹部44が形成され、当該内面側を縁部20aに取り付けた後、ガラス板の表裏面側から前記両面テープ45がほぼ隠れるように構成されている。
【0043】
各目地部材3,4Aの板厚方向の幅寸法a1,a2は、それぞれガラス板P1の厚みa4の範囲内に設定され、当該目地具1によりガラス板P1,P2を直線状に連結した状態で、ガラス板の表裏面から目地具1が突出して美観を損なわないように配慮されている。本例ではガラス板厚とほぼ同一の幅に設定されている。また、第1目地部材の切欠溝31と第2目地部材の保持片42との関係は、嵌合状態において保持片42の先端側と切欠溝31の段部31aとの間に形成される隙間Dが、目地具1の略中央位置にくるように設定されており、ガラス板連結部の表裏両側に生じる隙間Dが対称な位置となり、外観デザイン上好ましい連結構造が実現される。各目地部材3,4Aは例えばアルミ押出し型材で作製される。本例では組付状態の目地具1の断面形状がパネル幅寸法a4で囲まれた略正方形となり、上述した通り、外観性に優れるとともにこのような狭い限られた空間内で十分な嵌合構造を実現し、支持連結強度を最大限発揮できる合理的な構造を備えているのである。
【0044】
このガラス板P2に対して略直角に連結されるガラス板P3は、図2に示すように、縁部20aにガラス板P2の第1目地部材3に嵌合する第2目地部材4Bが取付けられ、ガラス板下縁部20b,上縁部20cには、それぞれガラス板P1,P2に用いたものと同一構造の横枠部材2B,横枠部材2Cが取り付けられている。そして、すでに設置されているガラス板P2の第1目地部材3に前記第2目地部材4Bを嵌合させつつ、ガラス板P2と同様、表側枠部材から前記横枠部材2B、横枠部材2Cを巾木部材6、笠木部材8に固定する。なお、ガラス板P2の横枠部材2B,2Cおよびガラス板P3の横枠部材2B,2Cは、それぞれ45度にカットした当接面を突き合わせて略90度の方向に接合されている。
【0045】
ガラス板P2の縁部20dには、ガラス板P1の上記第1目地部材3と同じ第1目地部材3が取り付けられており、これに嵌合するガラス板P3の第2目地部材4Bは、基本的には上記第2目地部材4Aと似た構造を有しているが、略直角方向への連結のための特別な構造を有している。具体的には、図5に示すように突出部41が第1目地部材3に対向する外面における略中央部に突設されるとともに、保持片42,42Bのうち一方の保持片42Bが前記第1目地部材3の切欠溝31の段部31aを越えて該第1目地部材3の側面35に沿って延設されており、該保持片42Bの外側面が他方のガラス板P3の縁部20aに固定される。
【0046】
ガラス板P3の縁部20aに固定される前記保持片42Bの外側面には、該縁部20aに沿って両面テープ45又はコーキング材を付着させる凹部44Bが形成され、当該外側面を縁部20aに取り付けた後、ガラス板P3の表裏面側から前記両面テープ45がほぼ隠れるように構成されている。この第2目地部材4Bの板厚方向の幅寸法a3は、ガラス板P3の厚みa4の範囲内に設定され、当該目地具1によりガラス板P2,P3を略直角に連結した状態で、各ガラス板の表裏面から目地具1が突出して美観を損なわないように配慮されている。本例では幅寸法a3をガラス板厚a4とほぼ同一の幅に設定している。図5からも分かるように、パネル同士を略直角に連結する本例の場合も、上記と同様、目地具1の断面形状がパネル幅寸法a4より若干広い程度の幅で囲まれた略正方形となり、透明なガラスパネルを通じてどの方向から目地部を見ても一定の外観となり、デザイン性に優れるとともに限られた空間内で確りとした嵌合構造が実現され、十分な支持連結強度を発揮している。
【0047】
第2目地部材4Bの保持片42は、先端側に第1目地部材3の切欠溝31に嵌合させた状態で段部31aとの間に所定の隙間Dを維持する長さに設定されており、突出部41の突出方向と反対側の表側面46における前記隙間Dの位置と対称な位置に、該隙間Dと略同一の内部断面形状を有する細溝43が形設されている。これにより連結される各ガラス板P2,P3の表面から隙間D、細溝43までの位置が同じとなり、外観デザイン上好ましい連結構造が実現される。第2目地部材4Bも第1目地部材3と同様アルミ押出し型材で作製される。
【0048】
図6は、枠部材の中央位置に取り付けたガラス板P1,P2を連結する変形例の連結構造を示している。各表側枠部材24A,24B,24Cは、図2,3に示した代表例の各表側枠部材の支持片22の代わりに、後述する中実部86部とガラス板縁部20a,20b,20cを嵌め込む凹溝85を設けて各ガラス板を支持するものであり、その他の構成は基本的には上記代表例と同様である。そして、各表側枠部材を各縁部に取り付けたガラス板P1を表側から上下の笠木部材、巾木部材の間に挿入し、中実部86を支柱21,笠木部材,巾木部材の表面側に当接した状態で内面部26を取付ネジ27により支柱21,笠木部材,巾木部材にネジ止めするとともに、裏側枠部材25A,25B,25Cをそれぞれ裏側から挿入し、各表側枠部材の内面部26に弾性嵌合して装着される。
【0049】
各裏側枠部材は基本的には上記代表例と同様の構成を有し、内面板29の先端が表側枠部材24A,24B,24Cの各係合凹部24aに嵌合し、該内面板29と内面部26とは面一になり、また前記中実部28に係合段部81を形成するとともに溝部82に板ばね83を嵌着できるように構成されている。その他、ガラス板P1,P2の縁部20d,20aに設けられる第1目地部材3,第2目地部材4Aの構造等については、上記図1〜5に示した代表例と同様であるため、同一構造については同一符号を付してその説明を省略する。
【0050】
次に、図7〜17に基づき、本発明の第2実施形態を説明する。
【0051】
本実施形態のパネルシステム10は、図7及び図8に示すように、ガラス板P4,…,P8よりなり、ガラス板P6,P7は互いに支柱21を介して連結されており、とくにガラス板P6は右側端が枠部材2Dを介して支柱21に固定され、ガラス板P7は左側端が枠部材2Aを介して同じく支柱21に固定されている。ガラス板P4とP5、ガラス板P5とP6は、それぞれ目地具1により互いに直線状に連結され、また、ガラス板P7とP8は目地具1により互いに略直角に連結されている。
【0052】
各ガラス板P4,…,P8は、いずれも上下端面に横枠部材2C,2Bが取り付けられるとともに、左右一方の側端面に目地具1が設けられ、他方の側端面にはこの目地具に嵌合する目地具1、或いは縦枠部材2D(2A)が設けられ、これら左右の側端面に設けられる目地具1或いは縦枠部材2D(2A)の上下端部は、それぞれ上下の横枠部材2C,2Bの端部に連結させて取り付けられ、これら枠部材及び目地具でガラス板の四辺を強固に囲んだ独立したパネル体U4,…,U8として構成されている。
【0053】
そして、地レール5に外嵌してレベル調整した巾木部材6の上に支柱21を立設し、支柱21の上端部を天レール7内で固定金具で取付け、隣接する支柱21の間の上端部に、前記天レール7に上下スライド且つ固定可能に外嵌した笠木部材8の両端を仮止めし、上記したパネル体U4,…を目地具1を介して連結しながら取り付けた後、笠木部材8を固定することによりパネルシステム10が構築される。
【0054】
支柱21に連結されるパネル体U6は、図10に示すように、ガラス板下縁部20bに沿って横枠部材2Bが、ガラス板上縁部20cに沿って横枠部材2Cがそれぞれ取り付けられるとともに、支柱21に対向するガラス板右側縁部20dに沿って縦枠部材2Dが設けられ、この縦枠部材2Dの上下端部はそれぞれ略L字状の連結具51を用いて横枠部材2B,2Cの対向する端部に連結(ネジ止め)されている。なお図中符号93はシーリング材である。
【0055】
また、パネル体U6のパネル体U5に対向するガラス板左側縁部20aには、図11にも示すように目地具1として第2目地部材4Aが設けられ、この第2目地部材4Aの上下端部に形成される係合溝47に上下の横枠部材2B、2Cの対向する端部から目地部材側に向けて延びる連結部材52を係合させることにより連結されている。このようにパネル体U6は、ガラス板P6の周囲を横枠部材2B,2C,縦枠部材2D,及び第2目地部材4Aで囲まれるとともに、これら枠部材及び目地具の四隅部を一体的に連結して構成されている。
【0056】
横枠部材2B(2C)及び縦枠部材2Dは、図8及び図9に示すように、いずれも中央部でガラス板P6を支持する構造とされており、第1実施形態のような表側と裏側の二分割構造ではなく、表裏対称の枠基材50B(50C,50D)より各枠部材を構成し、これに表面側及び裏面側から化粧枠54B(54C,54D)、55B(55C,55D)を取り付けるように構成されている。特に、横枠部材2B(2C)については、表裏の化粧枠は左右複数の枠部材(枠基材)にわたって取り付けられ、枠基材間の切れ目が外から隠れるように構成される。
【0057】
各枠部材を構成する枠基材50B(50C,50D)は、上述の第1実施形態の図6に示す表側枠部材の構造に類似し、裏面側に延びる先端片80と同一構造の片が、中央部の凹溝85を挟んで表面側にも対称に設けられ、凹溝85外壁面の開口部付近には化粧枠の内面板29の先端部が嵌合する係合凹部24aが形成されており、取付ネジ27,27により支柱21,笠木部材,巾木部材にネジ止めされる。これら枠基材は、例えばアルミ押出し型材で作製される。
【0058】
表面側及び裏面側の化粧枠54B(54C,54D),55B(55C,55D)は、いずれも上述の図6の裏側枠部材と同じ断面構造を有しており、中実部28には枠基材の先端部を受け入れる係合段部81が形成され、前記中実部28と内面板29の基部との間に溝部82を形成し、該溝部82に板ばね83を嵌着できるように構成されている。溝部82には板ばね83が嵌着されている。板ばね83は先端部が外側に断面へ字状に屈曲しており、この屈曲部が当該化粧枠54Bを枠基材50Bに嵌合したときに、該枠基材内面に形成した係合溝84に弾性的に係合するようになっている。
【0059】
そして、化粧枠54B(54C,54D),55B(55C,55D)は、枠基材50B(50C,50D)を巾木部材6(笠木部材8,支柱21)に取り付けた後、ガラス板の表面側、裏面側から挿入して対応する枠基材に弾性嵌合して巾木部材6(笠木部材8,支柱21)の表面側及び裏面側にそれぞれ当接して装着される。これら化粧枠も例えばアルミ押出し型材で作製される。
【0060】
ガラス板左側縁部20aに設けられる第2目地部材4Aは、基本的に第1実施形態と同様の構造であるが、図11に示すように、上端部及び下端部を横枠部材2B,2Cに連結部材52を介して連結するための係合溝47が設けられている。係合溝47は、端縁中央部に突起48を残した略コ字状の溝として形成されている。この突起48は第2目地部材4Aの突出部41を一部残すことで容易に形成できる。
【0061】
また、連結部材52は、横枠部材2B,2Cの枠基材50B,50Cの凹溝85を挟んだ前側及び後側にネジ56,56で固定される平面視略コ字状の固定脚部53と、その端縁から直角に第2目地部材4Aの外面側に向けて延びる係合片57とを備え、該連結部材52が固定される枠基材50B,50Cの端部には、凹溝85の底部に前記連結部材52を取り付けるための切欠部58が形成されている。連結部材52の係合片57は、前記係合溝47の突起48が嵌まり込む嵌合穴59を有して係合溝47に係入される門型に構成され、当該第2目地部材4Aをガラス板左側縁部20aからズレないように係止した状態に連結する。
【0062】
パネル体U6の左側に目地具1を介して連結されるパネル体U5は、図12に示すように、パネル体U6と同じくガラス板下縁部20bに沿って横枠部材2Bが、ガラス板上縁部20cに沿って横枠部材2Cがそれぞれ取り付けられる。パネル体U6に対向するガラス板右側縁部20dには、図14にも示すように目地具1として第1目地部材3が設けられ、この第1目地部材3の上下端部に形成される係合溝49に上下の横枠部材2B,2Cの対向する端部から目地部材側に向けて延びる連結部材60を係合させることにより連結されている。
【0063】
また、パネル体U4に対向するガラス板右側縁部20aには、パネル体U6と同一の第2目地部材4Aが設けられ、同じく連結部材52を介して上下の横枠部材2B,2Cに連結されている。このようなパネル体U5は、パネル体U6と同様、ガラス板P5の周囲を横枠部材2B,2C,第1目地部材3,第2目地部材4Aで囲まれるとともに、これら枠部材及び目地具の四隅部を一体的に連結して構成されている。
【0064】
第1目地部材3は、基本的に第1実施形態と同様の構造であるが、図14に示すように、上端部及び下端部を横枠部材2B,2Cに連結部材60を介して連結するための係合溝49が設けられている。係合溝49は、端縁中央部から略T字状に左右に分かれて外部に連通する溝として形成され、端縁左右には突起70,70が形成されている。この突起70,70は第1目地部材3の突出片32を一部残すことで容易に形成できる。
【0065】
また、連結部材60は、パネル体U6における第2目地部材4Aの連結と同様、横枠部材2B,2Cの枠基材50B,50Cの凹溝85を挟んだ前側及び後側にネジ61で固定される平面視略コ字状の固定脚部62と、その端縁から直角に第1目地部材3の外面側に向けて延びる係合片63とを備え、該連結部材60が固定される枠基材50B,50Cの端部には、凹溝85の底部に前記連結部材52を取り付けるための切欠部58が形成され、係合片63は略T字状の前記係合溝49に嵌まり込む略T字型に構成され、第1目地部材3をガラス板左側縁部20dからズレないように係止した状態に連結している。
【0066】
これらパネル体U5,U6は目地具1を介して直線状に連結され、上下の横枠部材2B,2Cの上記化粧枠54B,54C,55B,55Cはこれら複数のパネル体にわたって設けられる長さに設定されている。
【0067】
パネル体U7,U8は、上述の第1実施形態におけるガラス板P2とP3の直角方向への接続と同様に、パネル体U7の縁部20dに設けた第1目地部材3とパネル体U8の縁部20aに設けた第2目地部材4Bを嵌合させて互いに略直角に連結されており、パネル体U7の上下の横枠部材2B,2Cおよびパネル体U8の上下の横枠部材2B,2Cは、それぞれ45度にカットした当接面を突き合わせて略90度の方向に接合されている。
【0068】
一方のパネル体U7のガラス板縁部20dに設けられる第1目地部材3は、上記したパネル体P5のものと同一構造であり、上端部及び下端部には横枠部材2B,2Cに連結部材64を介して連結するための係合溝49が設けられている。連結部材64は、ここでは45度にカットされた横枠部材2B,2Cの枠基材50B,50Cの凹溝85より前側にネジ65で固定される平面視略L字状の固定脚部66と、その端部から直角に第1目地部材3の外面側に向けて延びる係合片67とを備え、該連結部材64が固定される枠基材50B,50Cの45度にカットされた端部には、凹溝85の底部に前記連結部材52を取り付けるための切欠部68が形成され、係合片67は略T字状の前記係合溝49に対して片側(表側)にのみ嵌まり込む略L字型に構成され、第1目地部材3をガラス板左側縁部20dからズレないように係止した状態に連結している。
【0069】
他方のパネル体U8のガラス板縁部20aに設けられる第2目地部材4Bは、基本的に第1実施形態のガラス板P3に設けられる第2目地部材4Bと同様の構造であるが、図15に示すように、上端部及び下端部を横枠部材2B,2Cに連結部材69を介して連結するための係合溝71が設けられている。係合溝71は、上下端縁の表側隅部に突起72を残した略L字状の溝として形成されている。この突起72は第2目地部材4Bの保持片42Bから突出部41の基端部に延びる頸部73を一部残すことで容易に形成できる。
【0070】
また、連結部材69は45度にカットされた横枠部材2B,2Cの枠基材50B,50Cの凹溝85より前側にネジ90で固定される平面視略L字状の固定脚部91と、その端部から直角に第2目地部材4Bの外面側に向けて延びる係合片92とを備え、該連結部材69が固定される枠基材50B,50Cの45度にカットされた端部には、凹溝85の底部に前記連結部材52を取り付けるための切欠部68が形成されている。係合片67は、略L字状の前記係合溝71に対して嵌まり込む略L字型に構成され、第1目地部材4Bをガラス板左側縁部20aからズレないように係止した状態に連結している。
【0071】
目地具や枠部材等のその他の構成については、図1〜6で示した第1実施形態と基本的に同じであるので、同一構造には同一符号を付してその説明を省略する。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1実施形態に係るパネルシステムを示す全体簡略図。
【図2】同じくパネルシステムを示す横断面図。
【図3】同じくパネルシステムを示す要部の縦断面図。
【図4】(a)は直線状のガラス板連結構造を示す要部の横断面図、(b)は斜視断面図。
【図5】(a)は略直角のガラス板連結構造を示す要部の横断面図、(b)は斜視断面図。
【図6】パネルシステムの変形例を示す横断面図。
【図7】本発明の第2実施形態に係るパネルシステムを示す全体簡略図。
【図8】同じくパネルシステムを示す横断面図。
【図9】同じくパネルシステムを示す要部の縦断面図。
【図10】同じくパネルシステムを構成するパネル体を示す正面図。
【図11】同じくパネル体の要部を示す分解斜視図。
【図12】同じくパネルシステムを構成する他のパネル体を示す正面図。
【図13】同じくパネル体の縦断面図。
【図14】同じくパネル体の要部を示す分解斜視図。
【図15】同じくパネルシステムにおける略直角のガラス板連結構造を示す要部の分解斜視図。
【図16】同じく平面図。
【図17】同じく目地具の連結構造を示す要部の平面図。
【符号の説明】
【0074】
P〜P8 ガラス板
U4〜U8 パネル体
S1,S2 連結構造
1 目地具
2A,2D 縦枠部材
2B,2C 横枠部材
3 目地部材
4A,4B 目地部材
5 地レール
6 巾木部材
7 天レール
8 笠木部材
10 パネルシステム
20a,20b,20c,20d 縁部
21 支柱
22 支持片
23 両面テープ
24a 係合凹部
24A,24B,24C 表側枠部材
25A,25B,25C 裏側枠部材
26 内面部
27 取付ネジ
28 中実部
29 内面板
30 凹溝
31 切欠溝
31a 段部
32 突出片
33 凹部
34 両面テープ
35 側面
40 凹部
41 突出部
42,42B 保持片
43 細溝
44 凹部
44B 凹部
45 両面テープ
46 表側面
47 係合溝
48 突起
49 係合溝
50B 枠基材
51 連結具
52 連結部材
53 固定脚部
54B,54C,55B,55C 化粧枠
56 ネジ
57 係合片
58 切欠部
59 嵌合穴
60 連結部材
61 ネジ
62 固定脚部
63 係合片
64 連結部材
65 ネジ
66 固定脚部
67 係合片
68 切欠部
69 連結部材
70 突起
71 係合溝
72 突起
73 頸部
80 先端片
81 係合段部
82 溝部
84 係合溝
85 凹溝
86 中実部
90 ネジ
91 固定脚部
92 係合片
93 シーリング材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板同士を目地具を介して連結するパネルシステムのガラス板連結構造において、前記目地具を、各ガラス板の対向する端面にそれぞれ固定され互いに着脱可能に嵌合する第1目地部材及び第2目地部材より構成し、前記第1目地部材の前記第2目地部材に対向する外面の略中央部に所定深さの凹溝を設けるとともに、左右側面に前記外面に開放される左右対称な切欠溝を設け、これにより前記凹溝と各切欠溝の間に左右対称な突出片を設け、前記第2目地部材に、前記第1目地部材の凹溝に嵌り込む突出部を設けるとともに、該突出部を挟んだ両側の位置に、それぞれ前記第1目地部材の左右の切欠溝に嵌合される一対の保持片を設け、これにより前記突出部と各保持片の間に、前記第1目地部材に構成された各突出片が嵌合する凹部を設けたことを特徴とするガラス板連結構造。
【請求項2】
前記第1目地部材及び第2目地部材のそれぞれの板厚方向の幅寸法を、ガラス板の厚みの範囲内に設定してなる請求項1記載のガラス板連結構造。
【請求項3】
双方のガラス板を直線状に連結する請求項1又は2記載のガラス板連結構造であって、前記第1目地部材の前記凹溝が開口する外面と反対側の内面側を一方のガラス板の端面に固定し、前記第2目地部材の突出部を、前記第1目地部材に対向する外面における略中央部に突設するとともに、前記一対の保持片を対称に設け、前記突出部の突出方向と反対側の内面側を他方のガラス板の端面に固定し、これら第1目地部材及び第2目地部材を互いに着脱可能に嵌合してなるガラス板連結構造。
【請求項4】
双方のガラス板を略直角に連結する請求項1又は2記載のガラス板連結構造であって、前記第1目地部材の前記凹溝が開口する外面と反対側の内面側を一方のガラス板の端面に固定し、前記第2目地部材の突出部を、前記第1目地部材に対向する外面における略中央部に突設するとともに、前記保持片のうち一方の保持片を前記第1目地部材の切欠溝の段部を越えて該第1目地部材の側面に沿って延設し、該保持片の外側面を他方のガラス板の端面に固定し、これら第1目地部材及び第2目地部材を互いに着脱可能に嵌合してなるガラス板連結構造。
【請求項5】
前記第2目地部材の他方の保持片を、前記第1目地部材の切欠溝に嵌合した状態で先端側に該切欠溝の段部との間に所定の隙間を維持する長さに設定するとともに、前記突出部の突出方向と反対側の面における前記隙間と対称な位置に、該隙間と略同一の内部断面形状を有する細溝を形設してなる請求項4記載のガラス板連結構造。
【請求項6】
前記各ガラス板に上下端面を支持する横枠部材を設けるとともに、対向する側端面に固定される前記第1目地部材及び第2目地部材の上下端部を、それぞれ各ガラス板の上下の横枠部材端部に連結してなる請求項1〜5の何れか1項に記載のガラス板連結構造。
【請求項7】
前記第1目地部材及び第2目地部材の上下端部に形成される各係合溝に、前記上下の横枠部材端部から目地部材側に向けて延びる連結部材を係合させてなる請求項6記載のガラス板連結構造。
【請求項8】
前記横枠部材が、その中央部で前記ガラス板を支持してなり、該横枠部材のガラス板を支持する内面側に、表側及び裏側から着脱可能に取り付けられる一対の化粧枠を設け、該化粧枠を前記目地具を介して連結される双方のガラス板にわたって一体的に設けられる長さに設定してなる請求項6又は7記載のパネル体。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載のガラス板連結構造により目地具を介して連結されるパネル体であって、ガラス板の上下端面に横枠部材を設け、左右一方の側端面に前記第1目地部材又は第2目地部材を設け、他方の側端面に前記第1目地部材又は第2目地部材に嵌合する第2目地部材又は第1目地部材、或いは縦枠部材を設けるとともに、これら左右の側端面に設けられる第1目地部材、第2目地部材又は縦枠部材の上下端部をそれぞれ上下の横枠部材端部に連結してなることを特徴とするパネル体。
【請求項10】
前記横枠部材及び縦枠部材が、その中央部で前記ガラス板を支持してなる請求項9記載のパネル体。
【請求項11】
前記横枠部材のガラス板を支持する内面側に、表側及び裏側から着脱可能に取り付けられる化粧枠を設け、該化粧枠を複数のパネル体にわたって一体的に設けられる長さに設定してなる請求項10記載のパネル体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−144578(P2008−144578A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−297189(P2007−297189)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】