説明

パネル体の傾動機構およびこれを備えた画像記録装置

【課題】 単純且つコンパクトな構造で、パネル体を使用位置に確実に保持することができる。
【解決手段】 装置本体に対し操作パネル121を、収納位置と使用位置との間で傾動自在に支持する傾動支持部141と、基端部を操作パネル121に回動自在に連結され、操作パネル121を背面側から使用位置に保持するストッパー部材153と、操作パネル121の傾動に伴うストッパー部材153の移動をガイドするスライドガイド部171、および段部170を存してスライドガイド部171に連なり、操作パネル121が使用位置に移動した状態でストッパー部材153が係止されるストッパー係止部172を有するストッパーガイド143と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、装置本体に対しパネル体を、収納位置と使用位置との間で傾動させるパネル体の傾動機構およびこれを備えた画像記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のパネル体の傾動機構として、プリンター複合機の前面に設けたチルトパネルユニット(操作パネル)を、起立状態の収納位置と傾斜状態の使用位置との間でチルト可能に構成したチルト角保持装置が、知られている(特許文献1参照)。
このチルト角保持装置は、チルトパネルユニットの中央部背面側に回動自在に取り付けられ、下部フレームにスライド自在に設けられたガイド部材と、ガイド部材に上側から係止するラチェット爪およびラチェット爪を付勢する押圧バネを有するロック部材と、押圧バネに抗して、ガイド部材に対するラチェット爪の係止を解除する解除レバー部材と、を備えている。チルトパネルユニットを収納位置から使用位置に回動(チルト)させると、ラチェット爪がガイド部材のラチェット凹部に係止され、チルトパネルユニットが使用位置に保持される。また、解除レバー部材を引くと、ラチェット爪とラチェット凹部との係止状態が解除され、チルトパネルユニットの使用位置から収納位置への回動が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−36397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来のチルト角保持装置(傾動機構)では、チルトパネルユニットの回動(チルト)に伴ってラチェット爪とラチェット凹部とが常に擦れ合うと共に、チルトパネルユニットに加わる力がラチェット爪に応力集中するため、ラチェット爪が磨耗して、経時的にチルトパネルユニットを使用位置に確実に保持できなくなる問題があった。また、ガイド部材およびロック部材が、チルトパネルユニットの後方空間を占有し、装置内部のスペース効率が悪化する問題があった。
【0005】
本発明は、単純且つコンパクトな構造で、パネル体を使用位置に確実に保持することができるパネル体の傾動機構およびこれを備えた画像記録装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のパネル体の傾動機構は、装置本体に対しパネル体を、収納位置と使用位置との間で傾動自在に支持する傾動支持部と、基端部をパネル体に回動自在に連結され、パネル体を背面側から使用位置に保持するストッパー部材と、パネル体の傾動に伴うストッパー部材の移動をガイドするスライドガイド部、および段部を存してスライドガイド部に連なり、パネル体が使用位置に移動した状態でストッパー部材が係止されるストッパー係止部を有するストッパーガイドと、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この場合、ストッパー部材を、ストッパー係止部に係止されるように回動付勢する付勢手段を、更に備えることが好ましい。
【0008】
この構成によれば、パネル体を収納位置から使用位置に傾動させてゆくと、ストッパー部材がスライドガイド部に案内されて移動してゆく。傾動がすすみパネル体が使用位置に達すると、付勢手段に回動付勢されているストッパー部材が、スライドガイド部からストッパー係止部に入り込む。この状態で、パネル体に収納する方向の力が加わっても、ストッパー部材を介してストッパー係止部によりパネル体が支持(保持)され、使用位置におけるパネル体の姿勢が維持される。この場合、パネル体に加わる力は、ストッパー部材に圧縮力として作用するため、曲げ力やせん断力として作用する場合に比して、ストッパー部材をコンパクトに構成することができる。また、ストッパー部材に対応して、ストッパーガイドもコンパクトに構成することができる。一方、ストッパー係止部に係止されたストッパー部材は、付勢手段により係止方向に回動付勢されているため、ストッパー係止部によりストッパー部材の圧縮力を確実に受けることができ、パネル体を使用位置に確実に保持することができる。なお、付勢手段による付勢力に代え、ストッパー部材の自重によって、ストッパー部材がスライドガイド部からストッパー係止部に入り込む構成であっても良い。
【0009】
上記のパネル体の傾動機構において、傾動支持部は、上下方向に延在する支持ガイド部と、当該支持ガイド部にスライド自在に且つ回転自在に係合する回動軸と、を有し、スライドガイド部は、ストッパー部材が直線状に移動するようにガイドすることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、ストッパー部材の移動が規制されるため、同時にパネル体の移動(動き)が規制され、パネル体の傾動が円滑に行われる。すなわち、パネル体のスライド移動および回動が適切規制されるため、傾動に伴う拗れを防止することができる。
【0011】
上記のパネル体の傾動機構において、傾動支持部は、パネル体を、複数の使用位置に回動自在に支持し、ストッパーガイドは、複数の使用位置に対応し、複数のストッパー係止部を有することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、パネル体を複数の使用位置に保持することができるため、ユーザーが、自己の使用状況に合わせて、適宜、パネル体の使用姿勢を変更することができる。また、傾動支持部が、パネル体を回動自在に支持して、パネル体を傾動するため、パネル体を回動自在且つスライド自在に支持するものに比べ、各使用位置において、安定に保持することができる。
【0013】
また、パネル体の幅方向に離間してストッパーガイドが一対設けられ、一対のストッパーガイドに対応して、ストッパー部材が一対設けられていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、パネル体を幅方向の離間した2箇所で受けることができ、パネル体を使用位置に確実且つ安定に保持することができる。この場合、一対のストッパー部材によりパネル体が背面側から支持されるため、パネル体の剛性が補強され、使用時に加わる力によりパネル体が撓むことがない。これにより、パネル体の使用感(操作感)が損なわれることがない。
【0015】
この場合、一対のストッパー部材は、中間連結部を存して一体に形成されていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、パネル体を使用位置に確実且つ安定に保持することができると共に、パネル体における収納位置と使用位置との間の傾動動作を円滑に行うことができる。
【0017】
また、ストッパー部材を、ストッパー係止部から離脱させるための係止解除部材を、更に備えることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、係止解除部材を操作することで、使用位置におけるパネル体の保持状態を簡単に解除することができ、パネル体を円滑に収納することができる。なお、係止解除部材は、その解除操作とパネル体の収納動作と、が片手で連続して行えるように、パネル体の近傍に配置することが好ましい。
【0019】
この場合、ストッパー部材と係止解除部材とは、一体に形成されていることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、この部分の構造を単純化することができると共に、ストッパー部材の解除動作を確実に行うことができる。
【0021】
また、段部を含むスライドガイド部とストッパー係止部との相互の移行部分が、面取り形状に形成されていることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、ストッパー部材の係止動作と解除動作を円滑に行うことができると共に、ストッパー部材の磨耗を抑制することができる。
【0023】
さらに、ストッパー係止部は、ストッパー部材の係止端が当接する度当り面と、ストッパー部材を位置規制する位置規制面と、を有し、度当り面は、ストッパー部材を介してパネル体から受ける力に、ストッパー部材を位置規制面に押圧する方向の分力を生じさせる傾斜面で構成されていることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、度当り面により、パネル体から受ける力が、ストッパー部材を位置規制面に押圧する分力を生じさせる。すなわち、パネル体に力が加わると、ストッパー係止部に係止されたストッパー部材は、スライドガイド部とは逆側に移動しようとする。このため、パネル体に力が加わっても、ストッパー部材がストッパー係止部からスライドガイド部側に離脱することがなく、パネル体を使用位置に確実に保持することができる。
【0025】
一方、ストッパーガイドは、装置本体の装置フレームに設けられていることが好ましい。
【0026】
この構成によれば、パネル体を使用位置に強固に保持することができると共に、ストッパーガイドとストッパー部材とを高い精度で係合させることができ、パネル体の傾動動作を円滑に行うことができる。
【0027】
この場合、装置フレームは、樹脂で構成され、ストッパーガイドは、装置フレームに一体に形成されていることが好ましい。
【0028】
この構成によれば、ストッパーガイドを簡単且つ精度良く形成することができ、装置コストを抑制することができる。
【0029】
また、装置フレームに設けられ、パネル体を収納位置に位置規制する収納規制部を、更に備えることが好ましい。
【0030】
この構成によれば、収納位置におけるパネル体を安定に保持することができる。
【0031】
さらに、パネル体が、装置本体の操作パネルであることが好ましい。
【0032】
この構成によれば、使用位置における操作パネルを安定に保持することができるため、移動式の操作パネルであってもその操作性を損なうことがない。
【0033】
本発明の画像記録装置は、上記したパネル体の傾動機構と、記録媒体に画像の記録を行う記録部をハウジングで覆うと共に、ハウジングの1の面に形成した開口部にパネル体を設けた装置本体と、を備えたことを特徴とする。
【0034】
この構成によれば、使用位置にパネル体(操作パネル)を傾動させることにより、パネル体の操作を違和感なく行うことができ、且つ収容位置にパネル体を傾動させることにより、装置本体の大型化が抑制される。これにより、小型で操作性の良い画像記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1実施形態に係る複合機を示した外観斜視図である。
【図2】スキャナーユニットを開放状態とした際の複合機を示した斜視図である。
【図3】複合機を示した側面視断面図である。
【図4】スキャナーユニットの内部構造を示した斜視図である。
【図5】プリンターユニットの内部構造を示した側面視断面図である。
【図6】装置フレームを示した斜視図である。
【図7】操作パネルを使用位置に傾動した際の複合機を示した斜視図である。
【図8】収納時の操作部を示した裏面斜視図である。
【図9】使用時の操作部を示した裏面斜視図である。
【図10】使用時における操作部の構造を示した側面構造図である。
【図11】(a)は、ストッパーフレームを示した斜視図である。(b)は、ストッパーフレームを示した側面図である。
【図12】(a)は、フロントフレーム部を示した斜視図である。(b)は、フロントフレーム部を示した側面図である。
【図13】収納位置から使用位置に傾動させる引出し動作を示した遷移図である。
【図14】使用位置から収納位置に傾動させる押戻し動作を示した遷移図である。
【図15】第2実施形態における使用時(第2使用位置)の操作部の構造を示した側面構造図である。
【図16】第2実施形態における使用時(第1使用位置)の操作部の構造を示した側面構造図である。
【図17】第2実施形態における収納時の操作部の構造を示した側面構造図である。
【図18】第2実施形態における使用時(第2使用位置)のストッパー部材周りを示した要部斜視図である。
【図19】第2実施形態における使用時(第1使用位置)のストッパー部材周りを示した要部斜視図である。
【図20】第2実施形態における収納時のストッパー部材周りを示した要部斜視図である。
【図21】(a)は、第2実施形態におけるフロントフレーム部を示した斜視図である。(b)は、第2実施形態におけるフロントフレーム部を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施形態に係るパネル体の傾動機構を適用した複合機1について説明する。図1は、複合機1を示した外観斜視図である。図1に示すように、複合機1は、プリンターユニット(画像記録装置)2と、プリンターユニット2の上部に配設されたアッパーユニットであるスキャナーユニット3と、を一体に備えており、プリンターユニット2の前面には、両ユニットを操作する操作パネル(パネル体)121が設けられている。なお、以下、図1においての前後方向をX軸方向とし、左右方向をY軸方向として説明する。
【0037】
図2は、スキャナーユニット3を開放状態とした複合機1を示した斜視図である。図1および図2に示すように、スキャナーユニット3は、後端部のヒンジ部4を介してプリンターユニット2に回動自在に支持されており、プリンターユニット2の上部を開閉自在に覆っている。すなわち、スキャナーユニット3を回動方向に引き上げることで、プリンターユニット2の上面開口部10を露出させ、当該上面開口部10を介して、プリンターユニット2の内部が露出させる(開放状態:図2参照)。一方、スキャナーユニット3を回動方向に引き降ろしプリンターユニット2上に載置することで、スキャナーユニット3によって上面開口部10を閉塞する(閉塞状態:図1参照)。このように、スキャナーユニット3を開放することで、インクカートリッジ84の交換や紙詰まりの解消等が可能な構成となっている。
【0038】
図3は、複合機1を示した側面視断面図である。図2および図3に示すように、スキャナーユニット3は、筐体であるアッパーフレーム11と、アッパーフレーム11に収容された画像読取部12(図4参照)と、アッパーフレーム11の上部に回動自在に支持された上蓋13と、を備えている。
【0039】
図4は、スキャナーユニット3の内部構造を示した斜視図である。図3および図4に示すように、アッパーフレーム11は、画像読取部12を収容する箱型の下ケース16と、下ケース16の天面を覆う上ケース17と、を備えている。上ケース17には、ガラス製の原稿載置板(原稿台)21が広く配設されており、読取面を下にした読取媒体をこれに載置する。一方、下ケース16は、上面を開放した浅い箱状に形成されている。下ケース16の前部底面には、後述のセンサーキャリッジ32の移動スペースとなる許容凹部23が凹設され、後部底面には、一端が後述のセンサーユニット31に接続されたケーブル(図示省略)を収容する収容凹部25が凹設されている。
【0040】
図4に示すように、画像読取部12は、ラインセンサー方式のセンサーユニット31と、センサーユニット31を搭載したセンサーキャリッジ32と、Y軸方向に延在し、センサーキャリッジ32をスライド自在に支持するガイド軸33と、センサーキャリッジ32をガイド軸33に沿って移動する自走式のセンサー移動機構34と、を備えている。センサーユニット31は、X軸方向に延在したCCD(Charge Coupled Device)ラインセンサーであるイメージセンサー41を有し、モーター駆動のセンサー移動機構34により、ガイド軸33に沿ってY軸方向に往復動する。これにより、原稿載置板21上の読取部材(原稿)の画像を読み取るようになっている。
【0041】
一方、図2に示すように、プリンターユニット2は、枚葉の記録媒体(印刷用紙や単票紙)を送り経路Rに沿って送る搬送部61と、送り経路Rの上方に配設され、記録媒体にインクジェット方式で印刷処理を行う印刷部(記録部)62と、前面に配設されたパネル形式の操作部63と、搬送部61、印刷部62および操作部63を搭載した装置フレーム64と、これらを覆う装置ハウジング(ハウジング)65と、を備えている。また、図示省略するが、後面下部には、USBポートおよび電源ポートが配設されている。すなわち、複合機1は、USBポートを介してコンピューター等に接続可能に構成されている。なお、請求項にいう装置本体は、操作部63を除く、搬送部61、印刷部62、装置フレーム64および装置ハウジング65により、構成されている。
【0042】
図5は、プリンターユニット2の内部構造を示した側面視断面図である。図2および図5に示すように、印刷部62は、装置フレーム64に支持されると共にY軸方向に幅一杯に延在する板金製のガイドフレーム71と、ガイドフレーム71に往復動自在に支持されたキャリッジユニット72と、キャリッジユニット72をガイドフレーム71に沿って往復動させるキャリッジ移動機構73(図2参照)と、を備えている。そして、このキャリッジユニット72に、インクジェットヘッド83が搭載されている。
【0043】
ガイドフレーム71は、断面「C」字状に形成されており、その上下でキャリッジユニット72の係合スライダー部81aが係合する。これにより、キャリッジユニット72は、ガイドフレーム71に掛け止めされるようにして片持ちで且つ延在方向(Y軸方向)に往復動自在に、すなわちスライド自在に支持されている。キャリッジ移動機構73は、ガイドフレーム71に沿って延在するタイミングベルト76と、タイミングベルト76を架け渡した主動プーリ(図示省略)および従動プーリ78と、タイミングベルト76とキャリッジユニット72(キャリッジ81)とを連結する連結固定部(図示省略)と、主動プーリを駆動するキャリッジモーター(図示省略)と、を備えている。キャリッジモーターが正逆回転すると、タイミングベルト76を介してキャリッジユニット72がY軸方向(左右方向)に往復動する。この往復動に伴って、キャリッジユニット72のインクジェットヘッド83が吐出駆動することにより、いわゆる主走査が行われる。
【0044】
図5に示すように、キャリッジユニット72は、係合スライダー部81aを介してガイドフレーム71に往復動自在に支持された箱状のキャリッジ81と、キャリッジ81の下面に一体に組み込まれたインクジェットヘッド83と、キャリッジ81に着脱自在に収納された4個のインクカートリッジ84と、を備えている。インクジェットヘッド83は、4色のインク滴を吐出する4連のノズル列(図示省略)を有しており、4色のインクを貯留する4個のインクカートリッジ84をキャリッジ81に装着することで、インクジェットヘッド83に上側から直接接続される。インクジェットヘッド83の4つのノズル列は、相互に並行に且つX軸方向に延在し、送られる記録媒体に対し所定のペーパーギャップを存して下向きに配設されている。
【0045】
搬送部61は、記録媒体を右揃えでセットする可動式の用紙トレイ91と、用紙トレイ91から記録媒体を1枚ずつ分離して送り出す分離ローラー92と、分離ローラー92の下流側に位置し、記録媒体を送り経路Rに沿って印刷部62に送り込む給紙ローラー93と、給紙ローラー93の下流側に位置し、インクジェットヘッド83に対面する媒体規制部材(プラテンに相当する)95と、媒体規制部材95の下流側に位置する鋸歯状のガイドローラー97と、ガイドローラー97の下流側に位置し、排出口100(図2参照)から記録媒体を送り出す排紙ローラー96と、を備えている。
【0046】
給紙ローラー93は、下側の給紙駆動ローラー93aと上側の給紙従動ローラー93bとから成るニップローラーで構成され、同様に排紙ローラー96は、下側の排紙駆動ローラー96aと上側の排紙従動ローラー96bとから成るニップローラーで構成されている。また、ガイドローラー97および排紙従動ローラー96bは、装置フレーム64とは独立のローラーフレーム113に支持されて、ローラーアッセンブリー99を構成している。そして、給紙ローラー93は、記録媒体の送り(副走査)を制御するメインローラーとして機能し、排紙ローラー96は、媒体規制部材95の上側に位置する記録媒体に張力(tension)を付与するテンションローラーとして機能する。
【0047】
分離ローラー92により、用紙トレイ91から送り込まれた記録媒体は、給紙ローラー93により、媒体規制部材95上を排紙ローラー96に向かってX軸方向に間欠送りされる(副走査)。この間欠送りに同期して、キャリッジユニット72がX軸方向に往復動しながらインクを選択的に吐出して(主走査)、所望の印刷が行われる。一方、媒体規制部材95を越えてガイドローラー97に達した記録媒体の先端は、ガイドローラー97により上反り状態を矯正されるようにして、排紙ローラー96に送り込まれる。このようにして、印刷が完了した記録媒体は、排紙ローラー96により、排出口100から前方に送り出される。
【0048】
図6は、装置フレーム64を示した斜視図である。図6に示すように、装置フレーム64は、プリンターユニット2の各部を支持するフレームであり、一体成形された樹脂で構成されている。具体的には、装置フレーム64は、ベースフレーム部64aと、ベースフレーム部64aに立設され、搬送部61の各構成部材およびガイドフレーム71を両側で支持する左右一対のサイドフレーム部64bと、ベースフレーム部64aの前部において、スキャナーユニット3の前部の支持を補強すると共に操作部63を支持する左右一対のフロントフレーム部64cと、ベースフレーム部64aの後部において、ヒンジ部4を介してプリンターユニット2を開閉自在に支持する左右一対のリアフレーム部64dと、を備えている。
【0049】
一対のフロントフレーム部64cは、スキャナーユニット3の前部を支持した装置ハウジング65の上プレートを下側から受けると共に、操作部63を両持ちで支持する。そして、一対のフロントフレーム部64cには、操作部63を構成する操作パネル121が、傾動自在に支持されている。
【0050】
次に図1、図7ないし図14を参照して、操作部63について詳細に説明する。図7は、操作パネル121を使用位置に傾動した際の複合機1を示した斜視図である。図8は、収納時の操作部63を示した裏面斜視図である。図9は、使用時の操作部63を示した裏面斜視図である。図1、図7ないし図9に示すように、操作部63は、装置ハウジング65の前面に形成した開口部110に配設された可動式の操作パネル121と、操作パネル121を、装置ハウジング65と面一となる収納位置(図1参照)と、収納位置から前方に迫り出すように傾動した使用位置(図7参照)との間で傾動自在に支持するチルト機構(傾動機構)122と、を備えている。ユーザーが、操作パネル121を把持し収納位置から引き出すと、操作パネル121がチルト機構122にガイドされて、使用位置に傾動する。使用位置では、チルト機構122により、操作パネル121の使用姿勢が維持される。一方、操作パネル121を使用位置から使用姿勢を解除しつつ押し戻すと、操作パネル121がチルト機構122にガイドされて、収納位置に傾動する。
【0051】
図1および図7に示すように、操作パネル121は、表面に、起動ボタン、リセットボタンおよび選択ボタン等のボタン群123と、設定情報等を表示する液晶表示部124と、を配したパネル体で構成されており、プリンターユニット2のみならず、スキャナーユニット3も操作可能に構成されている。なお、液晶表示部124は、必ずしも必要としない。
【0052】
図10は、使用時における操作部63の構造を示した側面構造図である。図8ないし図10に示すように、チルト機構122は、上記の両フロントフレーム部64cに一体に形成した部材と、操作パネル121に一体に形成され、或いは取り付けられた部材で構成されている。具体的には、チルト機構122は、操作パネル121を、その上部において両持ちで且つ傾動自在に支持する傾動支持部141と、基端部を操作パネル121に回動自在に連結され、操作パネル121を背面側から使用位置に保持するストッパーフレーム142と、両フロントフレーム部64cに形成され、ストッパーフレーム142がガイド・係止される一対のストッパーガイド143と、ストッパーフレーム142を、その基端部で上方に回動付勢する付勢バネ(付勢手段)144と、操作パネル121の収納時にクリック感を生じさせるクリック部146と、を備えている。
【0053】
傾動支持部141は、操作パネル121の傾動支部となる部分であり、操作パネル121の上部から左右に突出して取り付けられた一対の回動軸151と、両フロントフレーム部64cに形成され、一対の回動軸151をそれぞれスライド自在且つ回転自在に支持する一対のトラック孔(支持ガイド部)152と、を備えている。各トラック孔152は、若干前下がりに傾いて上下方向に延在する長孔で形成されている。すなわち、各トラック孔152は、複合機1の上後方から下前方に各回動軸151を回転自在且つスライド自在にガイドする。これにより、操作パネル121は、収納位置における起立姿勢と、前方に迫り出した使用位置における傾斜姿勢をとることとなる。
【0054】
図11(a)は、ストッパーフレーム142を示した斜視図である。図11(b)は、ストッパーフレーム142を示した側面図である。図11(a)および(b)に示すように、ストッパーフレーム142は、操作パネル121の幅方向に離間し、各ストッパーガイド143に対応して係合する左右一対のストッパー部材153と、一対のストッパー部材153を連結する中間連結部材(中間連結部)156と、中間連結部材156の下側に設けられ、ストッパーフレーム142の係止を解除するロック解除レバー(係止解除部材)157(図11(b)参照)と、を有し、一体に形成されている。一対のストッパー部材153および中間連結部材156の基端部には、幅方向に並列した複数の回動連結部154が形成されている。各回動連結部154は、軸部154aを有し、当該軸部154aを、操作パネル121の背面に形成された「C」字状の各係合部121a(図8参照)に係合させることで、ストッパーフレーム142が操作パネル121に回動自在に連結される。また、一対のストッパー部材153および中間連結部材156には、縦横に延在する複数の補強リブ155が形成されている。
【0055】
各ストッパー部材153には、その側端面に突出し、ストッパーガイド143に係合するスライド突起161と、その先端部において下方に突出した抜止め突起162と、が形成されている。各スライド突起161は、ストッパー部材153の先端方向に延在して形成されている。そして、各スライド突起161の延在方向先端部には、上面側に形成され且つ先端方向に延在すると共に、後述の位置規制面182に当接する被規制面163と、スライド突起161の先端面で且つ被規制面163に対し鋭角を成す傾斜面であり、後述の度当り面181に当接する被度当り面(係止端)164と、が形成されている。被規制面163は、上側(位置規制面182側)で第1に突き当たるよう、他の部分から突出して形成されている。また、スライド突起161の後端部下面側には、被規制面163に対し並行に延在し、後述の下ガイド面185が摺接する被ガイド面165が形成されている。そして、スライド突起161は、ストッパーガイド143に対しスライド自在に係合する一方、抜止め突起162は、操作パネル121の最大傾動状態において後述の規制突起173に当接する。
【0056】
ロック解除レバー157は、付勢バネ144の付勢力に抗して、回動連結部154を中心に、ストッパーフレーム142を下方に回動するレバーである。この回動によって、ストッパーフレーム142とストッパーガイド143との係止を解除する。ロック解除レバー157は、中間連結部材156の下側に設けられ、操作パネル121の裏面側下部に向かって延在している(図10参照)。すなわち、操作パネル121を下側から把持した際、一緒に把持できるように配設されている。上記係止を解除する際の回動方向は、ロック解除レバー157を操作パネル121側に近づける方向となっており、操作パネル121とロック解除レバー157とを一緒に把持した際、その把持力によって、ストッパーフレーム142を回動し、上記係止が解除される。
【0057】
図10に示すように、付勢バネ144は、ストッパーフレーム142を、その基端部において、上方、すなわち、後述のストッパーガイド143の位置規制面182側に常時回動付勢している。具体的には、幅方向両端の2つの回動連結部154に配設した2つのねじりコイルバネ158で構成されており、各ねじりコイルバネ158は、一端を操作パネル121に、他端をストッパーフレーム142に係止されている。
【0058】
図12(a)は、フロントフレーム部64cを示した斜視図である。図12(b)は、フロントフレーム部64cを示した側面図である。図12に示すように、各ストッパーガイド143は、各フロントフレーム部64cの内側に突出して一体に形成されている。すなわち、一対のストッパーガイド143は、操作パネル121の幅方向に離間して設けられている。そして、各ストッパーガイド143は、若干前下がり傾いて前後方向に延在し、スライド突起161と係合するスライドガイド部171と、上方への段部170を存してスライドガイド部171に連なると共に、操作パネル121が使用位置に移動した際にスライド突起161を係止するストッパー係止部172と、スライドガイド部171およびストッパー係止部172の下方に配設され、最大傾動状態において抜止め突起162が突き当たる規制突起173と、を備えている。
【0059】
スライドガイド部171により、各スライド突起161を介して、各ストッパー部材153をガイドすると共に、操作パネル121の使用時に、ストッパー係止部172により、各スライド突起161を介して、各ストッパー部材153を係止する。この場合、スライドガイド部171は、直線状に延在しており、ストッパー部材153を直線状に移動するようにガイドする。これにより、ストッパー部材153の移動が規制されるため、同時に操作パネル121の移動(動き)が規制され、操作パネル121の傾動が円滑に行われる。すなわち、操作パネル121のスライド移動および回動が適切規制されるため、傾動に伴う拗れを防止することができる。
【0060】
ストッパー係止部172は、スライド突起161の被度当り面164が当接する度当り面181と、スライド突起161の被規制面163が当接し、付勢バネ144に抗してスライド突起161(ストッパー部材153)を位置規制する位置規制面182と、を有している。度当り面181は、ストッパー部材153を介して操作パネル121から受ける力(スライド突起161の延在方向への力)に対し、ストッパー部材153を位置規制面182側に押圧する方向の分力を生じさせる傾斜面で構成されている。すなわち、度当り面181は、位置規制面182に対し鋭角をなしている。操作パネル121が使用位置に位置した際、スライド突起161の被度当り面164および被規制面163が、ストッパー係止部172の度当り面181および位置規制面182に当接することで、ストッパー部材153が係止され、ストッパー部材153を介して、操作パネル121の使用姿勢(傾斜姿勢)が維持される。すなわち、ストッパー部材153およびストッパー係止部172により、操作パネル121の使用姿勢を保持する。なお、被度当り面164および被規制面163は、度当り面181および位置規制面182に倣う角度に形成されている。
【0061】
スライドガイド部171は、後端部に位置し、スライド突起161の被度当り面164が当接する傾斜面である度当り面183と、スライド突起161の被規制面163を当接させて上面をガイドする上ガイド面184と、スライド突起161の被ガイド面165を当接させて下面をガイドする下ガイド面185と、を有している。スライドガイド部171の度当り面183および上ガイド面184は、ストッパー係止部172の度当り面181および位置規制面182に倣う角度で形成されている。そして、収納位置と使用位置との間で傾動する際には、スライド突起161を上ガイド面184および下ガイド面185に摺接させて、ストッパー部材153をガイドする。なお、スライドガイド部171は、操作パネル121が後述するクリック係合によって収納位置に位置規制された状態において、被度当り面164と度当り面183との間に、間隙(間隔)が生じるように設計されている。したがって、度当り面183は、操作パネル121が、収納位置からさらに押し込まれたときに、これを規制する。
【0062】
また、段部170を含むスライドガイド部171とストッパー係止部172との相互の移行部分は、面取り形状に形成されている。すなわち、スライド突起161が、スライドガイド部171とストッパー係止部172との間を円滑に移動するように形成されている。なお、上記付勢バネ144は、ストッパー部材153が、ストッパー係止部172に係止されるように回動付勢している。すなわち、被規制面163が、位置規制面182および上ガイド面184に当接する方向に回動付勢している。
【0063】
図10に示すように、クリック部146は、操作パネル121の左右両端から後方に延在し、それぞれクリック突起191aを有する一対のクリック板191と、一対のフロントフレーム部64cに形成され、一対のクリック突起191aが軽くクリック係合するクリック穴(収納規制部)192と、クリック穴192からクリック突起191aの移動軌跡に倣って延在して形成され、クリック突起191aが摺接する摺接溝193と、を備えている。クリック突起191aは、半球状に形成されており、クリック突起191aが、クリック穴192に落ち込むように嵌合することで、クリック感を奏すると共に操作パネル121を収納位置に位置規制している。なお、クリック穴192の位置規制を越えて、操作パネル121が押される場合には、スライド突起161がスライドガイド部171の度当り面183に当接して、操作パネル121が位置規制される。
【0064】
ここで図13および図14を参照して傾動動作について説明する。図13は、収納位置から使用位置に傾動させる引出し動作を示した遷移図である。図14は、使用位置から収納位置に傾動させる押戻し動作を示した遷移図である。まず、図13を参照して、引出し動作について説明する。図13に示すように、操作パネル121が収納位置に位置する際には、回動軸151がトラック孔152の上端位置に位置し、スライド突起161がスライドガイド部171の後端部に位置している(図13(a)参照)。この状態から、ユーザーが操作パネル121を把持し引き出し始めると、回動軸151がトラック孔152にガイドされて、回転しながら下前方に移動する。これに伴って、操作パネル121が下前方に移動する。加えて、スライド突起161がスライドガイド部171にガイドされて、前方に移動する。これに伴って、ストッパー部材153は操作パネル121に対し相対的に回動しつつ前方に移動する(図13(b)参照)。
【0065】
ユーザーによる引き出しが進むと、回動軸151がトラック孔152の下端部に移動する。一方、スライド突起161が段部170を超え、付勢バネ144の付勢力によって、スライドガイド部171からストッパー係止部172に入り込む(図13(c)参照)。これらに伴って、操作パネル121が使用位置に移動する。この際、スライド突起161をストッパー係止部172が係止して、操作パネル121を使用姿勢で保持する。そのため、ボタン群123を押下した際の押圧力等によって、操作パネル121が収納側に押し戻されることがない。
【0066】
次に図14を参照して、押戻し動作について説明する。押戻し動作では、操作パネル121が使用位置に位置した状態(図14(a)参照)から、まず、操作パネル121の使用姿勢の保持を解除する解除動作を行う。具体的には、ユーザーが操作パネル121とロック解除レバー157とを一緒に把持する。この把持力によって、ロック解除レバー157を介し、ストッパーフレーム142が下方(位置規制面182に対する反対方向に)回動する。これに伴って、スライド突起161の先端部がストッパー係止部172から下方に離脱し、操作パネル121の使用姿勢の保持が解除される(図14(b)参照)。
【0067】
その後、ユーザーが操作パネル121を押し込むと、回動軸151が各トラック孔152にガイドされて、回転しながら上後方に移動し、一方、スライド突起161がスライドガイド部171にガイドされ、ストッパー部材153が後方に移動していく(図14(c)参照)。ユーザーによる押込みが進むと、回動軸151がトラック孔152の上端部に到達すると共に、スライド突起161がスライドガイド部171の後端部に到達する。これに伴って、操作パネル121が収納位置に移動する(図14(d)参照)。
【0068】
次に図15ないし図21を参照して、複合機1の第2実施形態について、第1実施形態の複合機1と異なる部分のみ説明する。図15は、使用時(第2使用位置)の操作部63の構造を示した側面構造図である。図16は、使用時(第1使用位置)の操作部63の構造を示した側面構造図である。図17は、収納時の操作部63の構造を示した側面構造図である。図15ないし図17に示すように、第2実施形態の複合機1では、操作パネル121を2段階の傾斜姿勢で保持可能に構成されている。すなわち、チルト機構122は、操作パネル121を、収納位置(0°)と、収納位置から傾動した第1使用位置(35°)と、第1使用位置からさらに傾動した第2使用位置(55°)との間で傾動自在に支持している。
【0069】
図15ないし図17に示すように、傾動支持部141は、一対のトラック孔152に代えて、両フロントフレーム部64cに形成され、一対の回動軸151をそれぞれ回転自在に支持する一対の軸受け部201を備えている。すなわち、第2実施形態においては、操作パネル121の回動のみによって、操作パネル121を傾動させる。
【0070】
図18は、使用時(第2使用位置)のストッパー部材153周りを示した要部斜視図である。図19は、使用時(第1使用位置)のストッパー部材153周りを示した要部斜視図である。図20は、収納時のストッパー部材153周りを示した要部斜視図である。図15ないし図20に示すように、各ストッパー部材153は、その側端面に突出し、ストッパーガイド143に係合する略四角形の方形突起202を有している。方形突起202は、上面側に形成され、後述の位置規制面232に当接する被規制面211と、側面側(ストッパー部材153の先端方向側面)に形成され、後述の度当り面231に当接する被度当り面212と、を有している。また、被規制面211に対し被度当り面212は、略直角をなしている。
【0071】
図21(a)は、フロントフレーム部64cを示した斜視図である。図21(b)は、フロントフレーム部64cを示した側面図である。図21に示すように、各ストッパーガイド143は、若干前下がり傾いて前後方向に延在する第1スライドガイド部(スライドガイド部)221と、鈍角の段部222を存して第1スライドガイド部221に連なる第1ストッパー係止部(ストッパー係止部)223と、第1ストッパー係止部223に連なり、第1スライドガイド部221より更に傾いて前後方向に延在する第2スライドガイド部(スライドガイド部)224と、鋭角の段部225を存して第2スライドガイド部224に連なる第2ストッパー係止部(ストッパー係止部)226と、第2ストッパー係止部226の前方に位置し、最大傾動状態において、方形突起202が突き当たる規制面部227と、を一体に備えている。
【0072】
第1ストッパー係止部223および第2ストッパー係止部226は、方形突起202の被度当り面212が当接する度当り面231と、方形突起202の被規制面211が当接し、付勢バネ144に抗して方形突起202(ストッパー部材153)を位置規制する位置規制面232と、を有している。また、度当り面231は、位置規制面232に対し略直角をなしている。そして、操作パネル121が第1使用位置に位置した際には、方形突起202が、第1ストッパー係止部223の度当り面231および位置規制面232に当接することで、ストッパー部材153を係止して、第1使用位置での使用姿勢を保持する。一方、操作パネル121が第2使用位置に位置した際には、方形突起202が、第2ストッパー係止部226の度当り面231および位置規制面232に当接することで、ストッパー部材153を係止して、第2使用位置での使用姿勢を保持する。
【0073】
第1スライドガイド部221および第2スライドガイド部224は、方形突起202の被規制面211を当接させて上面をガイドする上ガイド面234を有している。すなわち、第1スライドガイド部221および第2スライドガイド部224は、方形突起202の上面のみに摺接して、ストッパー部材153をガイドする。収納位置と第1使用位置との間で傾動する際には、方形突起202を第1スライドガイド部221の上ガイド面234に摺接させて、ストッパー部材153をガイドする。一方、第1使用位置と第2使用位置との間で傾動する際には、方形突起202を第2スライドガイド部224の上ガイド面234に摺接させて、ストッパー部材153をガイドする。また、第1スライドガイド部221は、その後端部に位置し、方形突起202の被度当り面212が当接する度当り面233を有している。
【0074】
ここで傾動動作について説明する。引出し動作では、ユーザーが、収納位置の操作パネル121を把持し引き出すと、方形突起202が第1スライドガイド部221にガイドされて前方に移動し、段部222を超えて第1ストッパー係止部223に係止される。これに伴って、操作パネル121が回動軸151を中心に回動し、第1使用位置に傾動する。また、第1使用位置の操作パネル121をさらに引き出すと、方形突起202が第2スライドガイド部224にガイドされて前方に移動し、段部225を超えて第2ストッパー係止部226に係止される。これに伴って、操作パネル121が回動軸151を中心に回動し、第2使用位置に傾動する。
【0075】
一方、押戻し動作では、ユーザーが、第2使用位置の使用姿勢を解除しつつ操作パネル121を押し込むと、方形突起202が第2スライドガイド部224にガイドされて後方に移動し、第1ストッパー係止部223に係止される。これに伴って、操作パネル121が第1使用位置に傾動する。また、第1使用位置の使用姿勢を解除しつつ、操作パネル121を押し込むと、方形突起202が第1スライドガイド部221にガイドされて後方に移動し、第1スライドガイド部221の後端部に到達する。これに伴って、操作パネル121が収納位置に傾動する。
【0076】
以上の各実施形態の構成によれば、操作パネル121に収納する方向の力が加わっても、ストッパー部材153を介してストッパー係止部172(第1ストッパー係止部223、第2ストッパー係止部226)により操作パネル121が支持(保持)され、使用位置における操作パネル121の姿勢が維持される。この場合、操作パネル121に加わる力は、ストッパー部材153に圧縮力として作用するため、曲げ力やせん断力として作用する場合に比して、ストッパー部材153をコンパクトに構成することができる。また、ストッパー部材153に対応して、ストッパーガイド143もコンパクトに構成することができる。一方、ストッパー係止部172に係止されたストッパー部材153は、付勢バネ144により係止方向に回動付勢されているため、ストッパー係止部172によりストッパー部材153の圧縮力を確実に受けることができ、操作パネル121を使用位置に確実に保持することができる。
【0077】
また、操作パネル121の幅方向に離間してストッパーガイド143およびストッパー部材153を一対設けることにより、操作パネル121を幅方向の離間した2箇所で受けることができ、操作パネル121を使用位置に確実且つ安定に保持することができる。この場合、一対のストッパー部材153により操作パネル121が背面側から支持されるため、操作パネル121の剛性が補強され、使用時に加わる力により操作パネル121が撓むことがない。これにより、操作パネル121の使用感(操作感)が損なわれることがない。
【0078】
さらに、一対のストッパー部材153が、中間連結部材156を存して一体に形成されていることにより、操作パネル121を使用位置に確実且つ安定に保持することができると共に、操作パネル121における収納位置と使用位置との間の傾動動作を円滑に行うことができる。
【0079】
またさらに、ロック解除レバー157を設けることにより、ロック解除レバー157を操作することで、使用位置における操作パネル121の保持状態を簡単に解除することができ、操作パネル121を円滑に収納することができる。
【0080】
また、ストッパー部材153とロック解除レバー157とを、一体に形成することで、この部分の構造を単純化することができると共に、ストッパー部材153の解除動作を確実に行うことができる。
【0081】
さらに、スライドガイド部171とストッパー係止部172との相互の移行部分が、面取り形状に形成することで、ストッパー部材153の係止動作と解除動作を円滑に行うことができると共に、ストッパー部材153の磨耗を抑制することができる。
【0082】
またさらに、ストッパー係止部172の度当り面181を、操作パネル121から受ける力に、ストッパー部材153を位置規制面182に分力を生じさせる傾斜面で構成することにより、操作パネル121に力が加わっても、ストッパー部材153がストッパー係止部172からスライドガイド部171側に離脱することがなく、操作パネル121を使用位置に確実に保持することができる。
【0083】
また、ストッパーガイド143を、装置フレーム64に設けることにより、操作パネル121を使用位置に強固に保持することができると共に、ストッパーガイド143とストッパー部材153とを高い精度で係合させることができ、操作パネル121の傾動動作を円滑に行うことができる。
【0084】
さらに、装置フレーム64を、樹脂で構成し、ストッパーガイド143は、装置フレーム64に一体に形成することで、ストッパーガイド143を簡単且つ精度良く形成することができ、装置コストを抑制することができる。
【0085】
またさらに、クリック穴192を設けることで、収納位置における操作パネル121を安定に保持することができる。
【0086】
また、第2実施形態の構成によれば、2つの使用位置に対応して、2つのストッパー係止部223、226を有することにより、操作パネル121を複数の使用位置に保持することができるため、ユーザーが、自己の使用状況に合わせて、適宜、操作パネル121の使用姿勢を変更することができる。また、傾動支持部141が、操作パネル121を回動自在に支持して、操作パネル121を傾動するため、操作パネル121を回動自在且つスライド自在に支持するものに比べ、各使用位置において、安定に保持することができる。
【0087】
なお、上記各実施形態においては、ストッパーガイド143およびストッパー部材153を、操作パネル121の幅方向に離間して一対の設ける構成であったが、例えば、ストッパーガイド143およびストッパー部材153の組を1組のみ設ける構成であってもよいし、3組以上設ける構成であっても良い。
【0088】
また、上記各実施形態においては、ストッパーガイド143を装置フレーム64に一体に形成する構成であったが、別体として形成したストッパーガイド143を装置フレーム64に取り付ける構成であっても良い。ひいては、装置フレーム64に設けず、例えば、装置ハウジング65にストッパーガイド143を設ける構成であっても良い。
【0089】
さらに、上記各実施形態においては、操作パネル121のチルト機構122に、本発明を適用する構成であったが、これに限るものではなく、例えば、表示パネルのチルト機構122に、本発明を適用するものであっても良い。
【0090】
また、上記第2実施形態においては、ストッパー係止部223、226において、度当り面231を、位置規制面232に対し略直角をなすように構成したが、第1実施形態と同様、度当り面231を、操作パネル121から受ける力に対し、ストッパー部材153を位置規制面232側に押圧する方向の分力を生じさせる傾斜面で構成するものであっても良い(すなわち、鋭角を成すように形成)。かかる場合、被度当り面212を、度当り面231に倣う傾斜面とする。
【0091】
さらに、上記第2実施形態においては、操作パネル121を、2つの使用位置(第1使用位置および第2使用位置)に傾動自在に保持する構成であったが、これに限るものではなく、3つ以上の使用位置に傾動自在に保持する構成であっても良い。かかる場合、使用位置の数に応じた数のストッパー係止部を設ける。また、使用位置の数に応じた組数のストッパー係止部およびスライドガイド部の組を設ける構成であっても良い。
【符号の説明】
【0092】
2:プリンターユニット、 61:搬送部、 62:印刷部、 64:装置フレーム、 65:装置ハウジング、 110:開口部、 121:操作パネル、 122:チルト機構、 141:傾動支持部、 143:ストッパーガイド、 144:付勢バネ、 151:回動軸、 152:トラック孔、 153:ストッパー部材、 156:中間連結部材、 157:ロック解除レバー、 170:段部、 171:スライドガイド部、 172:ストッパー係止部、 181:度当り面、 182:位置規制面、 192:クリック穴、 221:第1スライドガイド部、 222:段部、 223:第1ストッパー係止部、 224:第2スライドガイド部、 225:段部、 226:第2ストッパー係止部、 231:度当り面、 232:位置規制面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に対しパネル体を、収納位置と使用位置との間で傾動自在に支持する傾動支持部と、
基端部を前記パネル体に回動自在に連結され、前記パネル体を背面側から前記使用位置に保持するストッパー部材と、
前記パネル体の前記傾動に伴う前記ストッパー部材の移動をガイドするスライドガイド部、および段部を存して前記スライドガイド部に連なり、前記パネル体が前記使用位置に移動した状態で前記ストッパー部材が係止されるストッパー係止部を有するストッパーガイドと、を備えたことを特徴とするパネル体の傾動機構。
【請求項2】
前記ストッパー部材を、前記ストッパー係止部に係止されるように回動付勢する付勢手段を、更に備えたことを特徴とする請求項1に記載のパネル体の傾動機構。
【請求項3】
前記傾動支持部は、
上下方向に延在する支持ガイド部と、
当該支持ガイド部にスライド自在に且つ回転自在に係合する回動軸と、を有し、
前記スライドガイド部は、前記ストッパー部材が直線状に移動するようにガイドすることを特徴とする請求項1または2に記載のパネル体の傾動機構。
【請求項4】
前記傾動支持部は、前記パネル体を、複数の前記使用位置に回動自在に支持し、
前記ストッパーガイドは、前記複数の使用位置に対応し、複数の前記ストッパー係止部を有することを特徴とする請求項1または2に記載のパネル体の傾動機構。
【請求項5】
前記パネル体の幅方向に離間して前記ストッパーガイドが一対設けられ、
前記一対のストッパーガイドに対応して、前記ストッパー部材が一対設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のパネル体の傾動機構。
【請求項6】
前記一対のストッパー部材は、中間連結部を存して一体に形成されていることを特徴とする請求項5に記載のパネル体の傾動機構。
【請求項7】
前記ストッパー部材を、前記ストッパー係止部から離脱させるための係止解除部材を、更に備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のパネル体の傾動機構。
【請求項8】
前記ストッパー部材と前記係止解除部材とは、一体に形成されていることを特徴とする請求項7に記載のパネル体の傾動機構。
【請求項9】
前記段部を含む前記スライドガイド部と前記ストッパー係止部との相互の移行部分が、面取り形状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のパネル体の傾動機構。
【請求項10】
前記ストッパー係止部は、前記ストッパー部材の係止端が当接する度当り面と、前記ストッパー部材を位置規制する位置規制面と、を有し、
前記度当り面は、前記ストッパー部材を介して前記パネル体から受ける力に、前記ストッパー部材を前記位置規制面に押圧する方向の分力を生じさせる傾斜面で構成されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載のパネル体の傾動機構。
【請求項11】
前記ストッパーガイドは、前記装置本体の装置フレームに設けられていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載のパネル体の傾動機構。
【請求項12】
前記装置フレームは、樹脂で構成され、
前記ストッパーガイドは、前記装置フレームに一体に形成されていることを特徴とする請求項11に記載のパネル体の傾動機構。
【請求項13】
前記装置フレームに設けられ、前記パネル体を前記収納位置に位置規制する収納規制部を、更に備えたことを特徴とする請求項11または12に記載のパネル体の傾動機構。
【請求項14】
前記パネル体が、前記装置本体の操作パネルであることを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載のパネル体の傾動機構。
【請求項15】
請求項14に記載のパネル体の傾動機構と、
記録媒体に画像の記録を行う記録部をハウジングで覆うと共に、前記ハウジングの1の面に形成した開口部にパネル体を設けた装置本体と、を備えたことを特徴とする画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−116134(P2012−116134A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269185(P2010−269185)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】