説明

パネル体の窓構造

【課題】 パネル体の窓部において火炎時よる温度上昇により表裏面板が窓フレームから離隔したり浮き上がってしまうような事態を回避して優れた防火性を有する窓部構造を提供する。
【解決手段】 パネル体に貫設した窓部を表裏面板間に内設した窓フレームで区画する一方、該窓部は上記表裏面板の縁部を互いに見込み方向に対向して折曲した見込面部と、該見込面部先端に設けられ窓フレームに折曲係止する係止片とで構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築用ドアや間仕切り等のパネル体に設けられる窓部に係り、とりわけ防火用パネル体の窓部において火炎による熱影響が少なく優れた防火性を有し、外観上もすっきりとしたパネル体の窓構造の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ドアや間仕切り等のパネル体に孔部を穿設し、該孔部にガラス板等の板状体を嵌装して採光を得ることができるようにした窓付きパネルが提唱されており、このものは、表面板の中央部に開口窓を開設し、該開口窓に沿って表面板の内部に窓枠が設けられている。そして、表面板を前記窓枠に沿って内側に折曲するとともに窓枠の中央に沿ってガラス板の周縁を入れる溝が設けられている。(特許文献1)
【特許文献1】特開平10−115155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記特許文献1に示すものは、表面板を開口窓の窓枠に沿わせて内側に折曲することにより窓枠が表面板で被覆されるので外観上優れているものの、
火災時においては温度上昇をうけて表面板が熱伸長する結果、前記折曲部位が窓枠に対して波打状に変形したり表面板の反り等によって窓枠と折曲部位の間に間隙が発生し、該間隙を通じて火炎が浸入することとなってドア本体自体を損傷する恐れがあった。また、前記折曲部位の波打や反り等の変形によりガラス板を保持するためのパッキンが浮き上がったりして溝から外れてしまう恐れもあった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、叙述の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1に係る発明は、パネル体を構成する表裏面板に貫設した空間部にガラス等の板体を嵌装して窓部を形成するに、上記空間部を表裏面板間に内設した窓フレームで区画する一方、該窓部は上記表裏面板の縁部を互いに見込み方向に対向して折曲した見込面部と、該見込面部先端に設けられ窓フレームに折曲係止する係止片とで構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項2に係る発明は、請求項1の発明において上記係止片は、上記見込面部から突成した幅狭の支承部と該支承部の先端側に形成した幅広の係止部とで構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明とすることにより、表裏面板の縁部を互いに対向して見込み方向に折曲した見込面部と表裏面板間に内設した窓フレームとの間に隙間の発生を防止し、また火災時の熱影響を受けて見込面部が浮き上がってしまうような事態が回避され熱影響の少ない優れた防火性を有するものである。
また、請求項2の発明とすることにより、幅狭の支承部を曲げることで係止片の折曲作業を小さい力で行うことができてその作業効率が著しく向上するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
つぎに、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図において、1は鋼板製のドアパネルであって、該ドアパネル1は薄板鋼板から成る表面板2と裏面板3とを離間対設し、該対設空間にハニカムコア等の芯材1aを介装することにより方形状に形成されている。また、ドアパネル1には上記表面板2と裏面板3を貫設してなる空間部Sにガラス板Gを嵌装した窓部4が設けられており、これによって室内側に光を取り入れられるようにした窓付きパネルとして構成されている。
【0007】
窓部4は、表面板2と裏面板3を貫通して形成した縦長長方形状の貫通穴の周縁を、表面板2と裏面板3との間に内装した一対の左右窓フレーム7,7および上下窓フレーム8,8を配設し、これら左右上下の窓フレーム7,8で区画される空間部Sが形成されている。
左右窓フレーム7は、表面板2に沿って延設した外側辺7aとドアパネル1の見込み幅略中間部に位置し外側辺7aと略平行状に対設した中間辺7cと、これら両辺の芯材1a側端部同志を外側連結辺7bで連結して断面視略コ字状のガラス嵌入溝7を形成し、さらに中間辺7c先端と裏面板3に沿って延設した内側辺7e先端とを内側連結辺7dを介して連結することで断面略S字状に形成されている。
一方、上下窓フレーム8は、表面板2に沿って延設した外側辺8aと裏面板3に沿って延設した内側辺8cとの端部同志をドアパネル1の見込み方向に設けた連結辺8bで連結することで断面略Z状に形成されている。
【0008】
10は押縁であって、該押縁10は離間対設した一対の起立片10a,10aの端部同志を連結片10bで連結して断面視略コ字状に形成され、上下窓フレーム8の連結辺8bに螺子11により取り外し可能に設けられており、押縁10と外側辺8aとのあいだで左右方向にガラス嵌入溝12を形成するようになっている。
これによりガラス嵌入溝12と左右窓フレーム7に形成したガラス嵌入溝9とで窓部4の四周に連続する溝部が形成されている。
【0009】
図4は、裏面板3の窓部の加工状態図であって、窓部4が形成される空間部Sが打ち抜き加工されるとともに、該空間部Sを形成する裏面板3の縁部を裏面側に向けて折曲加工することによって上下左右に見込み面部3bがそれぞれ形成され、さらに左右に対向する見込み面部3bの先端には上下方向所定間隔を存して係止片6がそれぞれ突成されている。
尚、見込み面部3bのうち四隅に位置する部位は、打ち抜き加工する際に予め切り欠き部(C)が施されており、見込み面部3bの折曲の際に該部位で皺が発生するのを防止し、曲げ加工の容易性を確保するようになっている。
一方、表面板2の窓部の加工は、図5に示すように、裏面版3と同様に空間部Sを形成する表面板2の縁部を裏面側に向けて打ち抜き折曲加工することによって上下左右に見込み面部2bがそれぞれ形成され、上下および左右に対向する見込み面部2bの先端には所定間隔を存して係止片5がそれぞれ突成されている。
【0010】
係止片5および6は表面板2と裏面板3とで同一形状に形成されているため、係止片6の場合を図6(A)に基づいて説明する。
係止片6は、支承部6bと該支承部6b先端に形成された係止部6aとで構成されており、係止部6aは見込み面部3bの先端に離間して突成した二条の支承部6b,6bで支持するように形成されているが、係止部6aの幅Wに対して支承部6bの幅wが小さい寸法に設定して支承部6bを人力による小さな力で折曲することができるようになっている。
尚、係止片6は図6(B)に記載したように係止部6aを一条の支承部6bで支持するようにして係止片6´としてもよいことは勿論であって、特に支承部6bの本数を制限するものではなく、要は小さな力で折曲することができるようなものであればよい。
【0011】
表面板2は窓部4において、見込み面部2bが上下左右の窓フレーム7,8の外側辺7a,8aの先端面を覆い隠すように設けられ、さらに支承部5bを外側辺7a,8a側に向けて折曲することにより係止部5aが外側辺7a,8a先端側に係止されて、表面板2が外側辺7a,8aからドアパネル1の見込み方向に離隔することがないように構成されている。
一方、裏面板3は、窓部4の左右方向において左右の見込み面部3bが窓左右フレーム7の内側連結辺7dに沿って設けられ、さらに支承部6bを中間辺7c側に向けて折曲することにより係止部6aが中間辺7cに係止されるように構成されると共に、上下方向においては、裏面板3に形成した見込面部3bが上下窓フレーム8の連結辺8bに沿って当てがわれ、その上に装着した押縁10を螺子11により固定することによって見込面部3bは、連結辺6bと押縁10により挟持状に取り付けられ、これによって裏面板3は上下左右の窓フレーム7,8の内側辺7e,8cからドアパネル1の見込み方向に離隔することがないように構成されている。
ガラス嵌入溝9,12には、空間部Sを塞ぐガラス板Gがその四周縁部を嵌入され、該嵌入縁部の前後を難燃性材料で形成したガラスビード13で支持することにより嵌装されている。
【0012】
叙述の如く構成した本発明に係る窓構造は、ドアパネル1を構成する表裏面板2,3に形成した係止片5,6が窓部を構成する上下左右の窓フレーム7,8に係止するように構成したので、火炎時よる温度上昇により窓部において表裏面板2,3が上記窓フレーム7,8から離隔したり浮き上がってしまうような事態が回避され優れた防火性を有するものである。
また、係止片の折曲作業は幅狭の支承部を曲げることで小さい力で行うことができ、その作業効率が著しく向上するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(A) ドアパネルの外観図である。 (B) 同上の内観図である。
【図2】(A) 図1のA−A断面図である。 (B) 同上の要部拡大図である。
【図3】(A) 図1のB−B断面図である。 (B) 同上の要部拡大図である。
【図4】裏面板の窓部加工状態を示す斜視図である。
【図5】表面板の窓部加工状態を示す斜視図である。
【図6】(A) 裏面板の係止片を示す拡大図である。 (B) 係止片の他の実施形態を示す拡大図である。
【符号の説明】
【0014】
1 ドアパネル
2 表面板
2a 見付面部
2b 見込面部
3 裏面板
3a 見付面部
3b 見込面部
4 窓部
5,6 係止片
5a,6a 係止部
7 左右窓フレーム
8 上下窓フレーム
10 押縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル体を構成する表裏面板に貫設した空間部にガラス等の板体を嵌装して窓部を形成するに、上記空間部を表裏面板間に内設した窓フレームで区画する一方、該窓部は上記表裏面板の縁部を互いに見込み方向に対向して折曲した見込面部と、該見込面部先端に設けられ窓フレームに折曲係止する係止片とで構成されていることを特徴とするパネル体の窓構造。
【請求項2】
上記係止片は、上記見込面部から突成した幅狭の支承部と該支承部の先端側に形成した幅広の係止部とで構成されていることを特徴とする請求項1記載のパネル体の窓構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−133080(P2009−133080A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−308644(P2007−308644)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(307038540)三和シヤッター工業株式会社 (273)
【Fターム(参考)】