説明

パネル取付具、パネル取付構造およびパネル取付方法

【課題】ボルトとナットを用いたパネル取付構造では、施工に手間がかかっていた。
【解決手段】建物の躯体に固定されるH型鋼3を用いて壁パネル5を取り付ける場合に用いられるパネル取付具10の構成として、上下の壁パネル5の間に挟まれて固定される固定片11と、この固定片11から延出して形成されるとともに、パネル支持用の空間6内で弾性変形することにより、当該弾性変形による押圧力を下側の壁パネル5に付与する第1の弾性片12と、この第1の弾性片12から延出して形成されるとともに、パネル支持用の空間6内で弾性変形することにより、当該弾性変形による押圧力を上側の壁パネル5に付与する第2の弾性片13とを一体に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁パネルの取り付けに適用されるパネル取付具と、これを用いたパネル取付構造およびパネル取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、騒音等に関して、良好な生活環境や職場環境を提供するため、あるいは周辺環境への配慮のために、建造物の一つに防音パネルを用いた建物が広く知られている。また、防音パネルとしてコンクリートパネルを用いた建物が知られている。
【0003】
従来、建物の躯体に壁パネルを取り付ける構造として、ボルトとナットを用いたパネル取付構造が公知となっている。このパネル取付構造は、壁パネルとして上記の防音パネルを建物の躯体に取り付ける場合にも採用されている(たとえば、特許文献1を参照)。
【0004】
図7は従来のパネル取付構造の一例を示す要部断面図である。図7においては、H型鋼51に対して、アングル52、ボルト53、ナット54A、54Bを用いて壁パネル55が取り付けられている。より具体的に説明すると、H型鋼51は、建物の躯体に支柱部材として垂直に配置される。H型鋼51の相対向する一対の板状部51A,51Bの一方(図例では板状部51B)には、ボルト53の雄ネジ部分を通すためのネジ孔(不図示)が、左右に一つずつ設けられている。アングル52は、断面L字形の長尺状の部材である。ボルト53の雄ネジ部分は、H型鋼51の板状部51Bに設けられたネジ孔に差し込まれている。ナット54A、54Bは、ボルト53の雄ネジ部分に装着されている。また、ナット54A、54Bは、H型鋼51の板状部51Bを挟むように取り付けられている。
【0005】
これに対して、壁パネル55は、適度な厚みを有する正面視矩形状のパネル(全体でみれば直方体のパネル)であって、以下のように取り付けられている。すなわち、壁パネル55の側縁部は、H型鋼51の板状部51A、51B間の空間に挿入されている。壁パネル55は、H型鋼51を間に挟んで、他の壁パネル55と隣り合う位置関係で配置されている。また、H型鋼51の板状部51Aとこれに対向する壁パネル55の一方の主面との間には、パッキン等の部材56が介装されている。
【0006】
一方、H型鋼51の板状部51Bとこれに対向する壁パネル55の他方の主面との間には、アングル52が介装されている。アングル52は、壁パネル55を平面的に見ると、壁パネル55の他方の主面と側端面とがなす角(かど)部の外側を囲むように配置されている。また、アングル52は、正面から見ると、壁パネル55の側縁部に沿って縦長に配置されている。
【0007】
このような配置状態の下で、アングル52の外面には、ボルト53の雄ネジ部分の先端が突き当てられている。ボルト53の雄ネジ部分は、H型鋼51の板状部51Bのネジ孔に螺合されている。このため、ボルト53の雄ネジ部分の先端をアングル52に突き当てた状態で、ボルト53を回転によって締め付けると、この締め付けによる押圧力がアングル52を介して壁パネル55に伝わる。このため、壁パネル55は、上記の締め付けによる押圧力をもって、H型鋼51の板状部51Aとアングル52とに挟み込まれる。これにより、H型鋼51に対して壁パネル55が固定された状態となる。また、上述のようにボルト53を締め付けた後は、ボルト53の雄ネジ部分に装着した一対のナット54A,54BでH型鋼51の板状部51Bを挟み込む。これにより、ボルト53の緩みが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−115575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した壁パネルの取付構造には、次のような欠点があった。
すなわち、水平方向に離して設置した2つのH型鋼51の間に、一つの壁パネル55を取り付けるには、この壁パネル55の四隅を、上述したアングル52、ボルト53、ナット54A,54Bを用いて、個別に固定する必要がある。このため、施工が非常に面倒になる。この点について、さらに詳しく説明する。
【0010】
上述した2つのH型鋼51の間に複数の壁パネル55を相互に隣接させて取り付ける場合は、下方から上方に向かって一つずつ壁パネル55を積み上げていく必要がある。その場合、一つの壁パネル55ごとに、その四隅を上述のようにアングル52、ボルト53、ナット54A,54Bを用いて固定する必要があり、非常に手間がかかる。
【0011】
また、壁パネル55を一つずつ積み上げていく過程では、ボルト53の締め付けによりアングル52に歪み等が生じる。そうすると、一度締め付けを終えた箇所で締め付け力が緩むことがある。このため、再度の締め付けが必要になる。このような事情から、ボルト・ナットを用いて壁パネル55を取り付ける場合は、全体にバランス良く締め付けるために、一箇所につき複数回の締め付け作業を行い、かつ締め付けトルクを工具等で管理している。このため、施工がさらに面倒なものとなる。また、壁パネル55の取付けに使用する部材の個数も多くなる。
【0012】
本発明の主な目的は、上下に隣接させて壁パネルを取り付ける場合に、当該取り付けの施工性を向上させることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様は、
建物の支柱部材が形成する2つの支持面の間に、当該2つの支持面に対して壁パネルの第1主面および第2主面がそれぞれ対向する状態で当該壁パネルを配置するとともに、前記2つの支持面のうち、第1支持面に対して前記壁パネルの第1主面を接触または近接させて配置し、かつ前記壁パネルの第2主面と第2支持面との間にパネル支持用の空間を確保した状態で、前記壁パネルを取り付ける場合に用いられるパネル取付具であって、
上下に隣接して配置される2つの壁パネルのうち、下側に配置される第1の壁パネルの上面と、当該第1の壁パネルの上側に配置される第2の壁パネルの下面との間に挟まれて固定される固定片と、
前記固定片から延出して形成されるとともに、前記パネル支持用の空間内で前記第1の壁パネルの第2主面と前記第2支持面との間に挟まれて弾性変形することにより、当該弾性変形による押圧力を前記第1の壁パネルに付与する第1の弾性片と、
前記第1の弾性片から延出して形成されるとともに、前記パネル支持用の空間内で前記第2の壁パネルの第2主面と前記第2支持面との間に挟まれて弾性変形することにより、当該弾性変形による押圧力を前記第2の壁パネルに付与する第2の弾性片と
を一体に備えることを特徴とするパネル取付具である。
【0014】
本発明の第2の態様は、
前記第1の態様に記載のパネル取付具において、
前記第2の弾性片は、
前記第1の壁パネルの上に前記第2の壁パネルを載せて配置した場合に、前記第2の壁パネルの第2主面に沿って配置される押圧部と、
前記押圧部の端部で折れ曲がるとともに、当該折り曲げ部を支点に前記押圧部に対して接近離間する方向に開閉可能とされ、かつ開き状態で前記第2支持面に突き当てられることにより、前記弾性変形による押圧力を発生させる突き当て部と
を含むことを特徴とするものである。
【0015】
本発明の第3の態様は、
前記第2の態様に記載のパネル取付具において、
前記第2の弾性片は、
前記突き当て部との引っ掛かりによって当該突き当て部を閉じ状態に保持するとともに、当該保持状態を外力の印加によって解除可能なフック部を有する
ことを特徴とするものである。
【0016】
本発明の第4の態様は、
建物の支柱部材が形成する2つの支持面の間に、当該2つの支持面に対して壁パネルの第1主面および第2主面がそれぞれ対向する状態で当該壁パネルを配置するとともに、前記2つの支持面のうち、第1支持面に対して前記壁パネルの第1主面を接触または近接させて配置し、かつ前記壁パネルの第2主面と第2支持面との間にパネル支持用の空間を確保した状態で、前記壁パネルを取り付ける構造であって、
固定片と、当該固定片から延出する第1の弾性片と、当該第1の弾性片から延出する第2の弾性片とを一体に備えるパネル取付具を用いて、
上下に隣接して配置される2つの壁パネルのうち、下側に配置される第1の壁パネルの上面と、当該第1の壁パネルの上側に配置される第2の壁パネルの下面との間に前記固定片を挟んで固定するとともに、
前記パネル支持用の空間内で前記第1の壁パネルの第2主面と前記第2支持面との間に前記第1の弾性片を挟んで当該第1の弾性片を弾性変形させることにより、当該弾性変形による押圧力を前記第1の壁パネルに付与する一方、
前記パネル支持用の空間内で前記第2の壁パネルの第2主面と前記第2支持面との間に前記第2の弾性片を挟んで当該第2の弾性片を弾性変形させることにより、当該弾性変形による押圧力を前記第2の壁パネルに付与した状態で、
前記2つの壁パネルを前記パネル取付具により支持してなる
ことを特徴とするパネル取付構造である。
【0017】
本発明の第5の態様は、
前記第4の態様に記載のパネル取付構造において、
前記壁パネルがコンクリートパネルである
ことを特徴とするものである。
【0018】
本発明の第6の態様は、
建物の支柱部材が形成する2つの支持面の間に、当該2つの支持面に対して壁パネルの第1主面および第2主面がそれぞれ対向する状態で当該壁パネルを配置するとともに、前記2つの支持面のうち、第1支持面に対して前記壁パネルの第1主面を接触または近接させて配置し、かつ前記壁パネルの第2主面と第2支持面との間にパネル支持用の空間を確保した状態で、前記壁パネルを取り付ける方法であって、
固定片と、当該固定片から延出する第1の弾性片と、当該第1の弾性片から延出する第2の弾性片とを一体に備えるパネル取付具を用いて、
前記2つの支持面の間に第1の壁パネルを配置した後、当該第1の壁パネルの上面に前記パネル取付具の固定片が接触または近接した状態となるように、前記パネル支持用の空間内で前記パネル取付具の第1の弾性片を弾性変形させつつ押し込むことにより、当該第1の弾性片によって前記第1の壁パネルを押圧した状態に支持する第1の工程と、
前記第1の壁パネルの上に前記パネル取付具の固定片を介して第2の壁パネルを載せるように、前記2つの支持面の間に第2の壁パネルを配置するとともに、前記パネル支持用の空間内で前記パネル取付具の第2の弾性片を弾性変形させることにより、当該第2の弾性片によって前記第2の壁パネルを押圧した状態に支持する第2の工程と
を含むことを特徴とするパネル取付方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上下に隣接させて壁パネルを取り付ける場合に、当該取り付けの施工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明が適用される建物の構造例を示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るパネル取付具の具体的な構成例を示す側面図(その1)である。
【図3】本発明の実施の形態に係るパネル取付具の具体的な構成例を示す側面図(その2)である。
【図4】本発明の実施の形態に係るパネル取付方法を説明する図(その1)である。
【図5】本発明の実施の形態に係るパネル取付方法を説明する図(その2)である。
【図6】本発明の実施の形態に係るパネル取付構造を示す図である。
【図7】従来のパネル取付構造の一例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明の実施の形態においては、次の順序で説明を行う。
1.本発明が適用される建物の構造例
2.本発明の実施の形態に係るパネル取付具の構成
3.本発明の実施の形態に係るパネル取付方法およびパネル取付構造
4.実施の形態に係る効果
5.変形例等
【0022】
<1.本発明が適用される建物の構造例>
図1は本発明が適用される建物の構造例を示す正面図である。図1においては、建物の躯体1が、複数の鉄骨2によって構成されている。躯体1は、縦向き(垂直方向)に配置された複数の鉄骨2と横向き(水平方向)に配置された複数の鉄骨2を相互に連結することにより、矩形に組み立てられている。また、縦向きに配置された複数の鉄骨2のうち、水平方向で隣り合う2つの鉄骨2の間には、複数(図例では5つ)のH型鋼3が配置されている。各々のH型鋼3は、予め決められた間隔(たとえば、2m間隔)で水平方向に並んでいる。そして、水平方向で隣り合う2つのH型鋼3の間に、複数の壁パネル5が取り付けられている。これらの壁パネル5は、上下に多段(図例では5段)に積み重ねた状態で取り付けられている。このため、水平方向で隣り合う2つの鉄骨2の間では、複数の壁パネル5が格子状の並びで配置されている。
【0023】
壁パネル5は、下地鋼材となるH型鋼3を支柱部材に用いて取り付けられている。支柱部材は、建物の躯体1に、たとえばボルトとナットを用いて固定状態に取り付けられる部材である。支柱部材としては、上述したH型鋼3に限らず、たとえば、C型鋼であってもよい。また、角柱状の部材の長さ方向に金属製の平らな板状部材を溶接等により固定した構造物を支柱部材に用いてもよい。
【0024】
ただし、どのような形態(構造、形状)の支柱部材を用いる場合でも、この支柱部材は、相対向する2つの支持面を形成するものとする。そして、支柱部材が形成する2つの支持面の間に壁パネルを配置して取り付けるものとする。また、実際の取り付け状態においては、支柱部材が形成する2つの支持面に対して、壁パネル5の2つの主面(第1主面および第2主面)がそれぞれ対向するものとする。壁パネル5の主面とは、当該壁パネル5の外周面を除く面であって、当該外周面を構成する壁パネルの上面、下面および両側面よりも広い面積を有する面をいう。壁パネル5の第1主面および第2主面は、この壁パネル5を正面から見たときに表裏の位置関係で配置される。図1に示す壁パネル5の場合は、一方の主面が手前側を向いて配置され、他方の主面が奥側を向いて配置されている。
【0025】
<2.本発明の実施の形態に係るパネル取付具の構成>
図2は本発明の実施の形態に係るパネル取付具の具体的な構成例を示す側面図である。図示したパネル取付具10は、固定片11と、第1の弾性片12と、第2の弾性片13とを一体に備えるものである。パネル取付具10は、図示のように複数の折り曲げ部を有する板状の部材である。図2はパネル取付具10をその板面に沿う方向から見た図になっている。複数の折り曲げ部は、曲げ角度が鋭角の部分(略V字形の折り曲げ部)と、曲げ角度が鈍角の部分(略L字形の折り曲げ部)とを含んでいる。
【0026】
パネル取付具10を構成する材料としては、略V字形の折り曲げ部分や略L字形の折り曲げ部分に外力を加えた場合に、この外力を受けて弾性変形し、かつ当該弾性変形による反力が当該外力に対して抵抗力となって働く特性を有する材料であればよい。
【0027】
具体的には、パネル取付具10の構成材料として、たとえば鋼板、より具体的には、亜鉛メッキ鋼板を用いることが好ましい。また、これ以外にも、たとえばステンレス鋼板を用いることができる。さらに、これ以外の金属材料(合金を含む)を用いてもよい。また、金属以外の材料でも、上記特性を有する材料があれば、これを用いてもかまわない。ただし、パネル取付具10の構成として、どのような材料を用いる場合でも、壁パネル5を取り付けるために必要とされる押圧力(後述)を壁パネル5に付与し得る材料であることが必要となる。
【0028】
次に、パネル取付具10を構成する固定片11、第1の弾性片12および第2の弾性片13の各部の構成について説明する。
【0029】
(固定片について)
固定片11は、パネル取付具10の一端部に平板状に形成されている。固定片11は、上下に隣接して配置される2つの壁パネルの間に挟まれて固定される板状部である。図2の方向からパネル取付具10を見たときの固定片11の長さは、壁パネル5の厚み寸法以下に設定されている。
【0030】
(第1の弾性片について)
第1の弾性片12は、固定片11から延出して形成されている。第1の弾性片12は、それぞれ平板状をなす4つの部分(12A、12B、12C、12D)によって構成されている。このうち、押圧部12Aは、固定片11の一端から折れ曲がった状態で形成され、突き当て部12Bは、押圧部12Aの一端から折れ曲がった状態で形成されている。また、第1連結部12Cは、突き当て部12Bの一端から折れ曲がった状態で形成され、第2連結部12Dは、第1連結部12Cの一端から折れ曲がった状態で形成されている。第1連結部12Cと第2連結部12Dは、第1の弾性片12と第2の弾性片13とを相互に連結する部分である。
【0031】
押圧部12Aの一端における突き当て部12Bの折り曲げ方向と、押圧部12Aの他端における固定片11の折り曲げ方向とは、押圧部12Aの板面を基準にみると、互いに反対方向になっている。また、突き当て部12Bの一端における第1連結部12Cの折り曲げ方向と、突き当て部12Bの他端における押圧部12Aの折り曲げ方向とは、突き当て部12Bの板面を基準にみると、互いに同じ方向になっている。また、第1連結部12Cの一端における第2連結部12Dの折り曲げ方向と、第1連結部12Cの他端における突き当て部12Bの折り曲げ方向とは、第1連結部12Cの板面を基準にみると、互いに反対方向になっている。
【0032】
押圧部12Aと固定片11とがなす折り曲げ角度は、壁パネル5の角部に整合するように90度(直角)に設定されている。押圧部12Aと突き当て部12Bとがなす折り曲げ角度は、突き当て部12Bと第1連結部12Cとがなす折り曲げ角度よりも大きい角度となっている。第1連結部12Cと第2連結部12Dとがなす折り曲げ角度は、突き当て部12Bと第1連結部12Cとがなす折り曲げ角度よりも大きい角度となっている。
【0033】
また、上記図2のようにパネル取付具10を見たときに、押圧部12Aと突き当て部12Bは、ほぼ同じ長さで形成されている。同様に、第1連結部12Cと第2連結部12Dは、ほぼ同じ長さで形成されている。また、突き当て部12Bと第1連結部12Cの長さを比較すると、突き当て部12Bのほうが、第1連結部12Cよりも長く設定されている。
【0034】
第1の弾性片12を構成する4つの部分(12A、12B、12C、12D)が、壁パネルの取り付けに際して、どのような機能を果たす部分であるかについては後述する。
【0035】
(第2の弾性片について)
第2の弾性片13は、第1の弾性片12から延出して形成されている。第2の弾性片13は、それぞれ平板状をなす3つの部分(13A、13B、13C)を含んで構成されている。このうち、押圧部13Aは、前述した第2連結部12Dの一端から折れ曲がった状態で形成され、突き当て部13Bは、押圧部13Aの一端から折れ曲がった状態で形成されている。また、補助部13Cは、突き当て部13Bの一端から折れ曲がった状態で形成されている。補助部13Cの一端(終端)はL字形(鍵型)に折れ曲がっている。
【0036】
押圧部13Aの一端における突き当て部13Bの折り曲げ方向と、押圧部13Aの他端における第2連結部12Dの折り曲げ方向は、押圧部13Aの板面を基準にみると、互いに同じ方向になっている。また、突き当て部13Bの一端における補助部13Cの折り曲げ方向と、突き当て部13Bの他端における押圧部13Aの折り曲げ方向とは、突き当て部13Bの板面を基準にみると、互い同じ方向になっている。そして、補助部13Cの一端は、突き当て部13Bに接近する方向に直角に折れ曲がっている。
【0037】
また、上記図2のようにパネル取付具10を見たときに、押圧部13Aは、突き当て部13Bよりも長く形成され、突き当て部13Bは、補助部13Cよりも長く形成されている。また、押圧部13Aの長さは、前述した第1の弾性片12の押圧部12Aと略等しい長さに設定されている。
【0038】
さらに、第2の弾性片13には、フック部13Dが形成されている。フック部13Dは、第2の弾性片13に一体に形成されている。さらに詳述すると、フック部13Dは、たとえば、後述するようにパネル取付具10を板金加工によって製造する場合に、押圧部13Aの一部を略U字形に縁取るように打ち抜き、その打ち抜き後に残った舌状の部分を図示のようにL字形に曲げ加工することにより、押圧部13Aと一体に形成されている。
【0039】
ここで、パネル取付具10が上記の亜鉛メッキ鋼板によって構成されている場合は、パネル取付具10の製造方法の一例として、板金加工を採用することが可能である。一般に板金加工は、少なくとも、打ち抜き加工と曲げ加工といった2つの工程を組み合わせて金属板を加工する方法である。この加工方法をパネル取付具10の製造方法に適用する場合に、打ち抜き加工では、パネル取付具10の素材となる平板状の亜鉛メッキ鋼板を、ダイおよびパンチと呼ばれる上下一対の金型を用いて、予め決められた形状に打ち抜く。また、曲げ加工では、打ち抜き加工によって得られた亜鉛メッキ鋼板を、同じくダイおよびパンチと呼ばれる金型を用いて、折り曲げる。その際、曲げ加工は、最終的に得られるパネル取付具10の形状に応じて複数回に分けて行う。
【0040】
また、最終の曲げ加工を終えた後は、フック部13Dへの引っ掛けを行う。具体的には、第2の弾性片13の形態として、押圧部13Aと突き当て部13Bとがなす角度と、突き当て部13Bと補助部13Cとがなす角度を、それぞれ小さくする方向(閉じる方向)で、第2の弾性片13を小さく折り畳む。また、このように第2の弾性片13を折り畳んだ状態で、突き当て部13Bと補助部13Cとがなす折り曲げ部をフック部13Dの端部に引っ掛ける。この引っ掛けは、外力の印加によるフック部13Dの弾性変形または塑性変形により行う。
【0041】
これにより、パネル取付具10が図3のような閉じ状態に保持される。すなわち、第2の弾性片13は、押圧部13Aと突き当て部13Bとがなす折り曲げ部を支点に、突き当て部13Bが押圧部13Aに接近する方向に閉じた状態となり、この閉じ状態がフック部13Dによって保持される。また、第1の弾性片12は、突き当て部13Bと補助部13Cとがなす折り曲げ部を支点に、補助部13Cが突き当て部13Bに接近する方向に閉じた状態となり、この閉じ状態がフック部13Dによって保持される。つまり、突き当て部13Bの閉じ状態と補助部13Cの閉じ状態が、共にフック部13Dによって保持される。
【0042】
これに対して、突き当て部13Bと補助部13Cとがなす折り曲げ部をフック部13Dに引っ掛ける前は、第2の弾性片13が、上記図2のような開き状態となる。すなわち、第2の弾性片13は、押圧部13Aと突き当て部13Bとがなす折り曲げ部を支点に、突き当て部13Bが押圧部13Aから離間する方向に開いた状態となる。また、第2の弾性片13は、突き当て部13Bと補助部13Cとがなす折り曲げ部を支点に、補助部13Cが突き当て部13Bから接近する方向に開いた状態となる。
【0043】
以上のことから、第2の弾性片13の構成として、突き当て部13Bは、押圧部13Aと突き当て部13Bとの折り曲げ部を支点に、押圧部13Aに対して接近離間する方向に開閉可能となっている。同様に、補助部13Cは、突き当て部13Bと補助部13Cとの折り曲げ部を支点に、突き当て部13Bに対して接近離間する方向に開閉可能となっている。
【0044】
<3.本発明の実施の形態に係るパネル取付方法およびパネル取付構造>
次に、本発明の実施の形態に係るパネル取付方法およびパネル取付構造について説明する。
【0045】
(パネル取付方法)
まず、パネル取付方法について、図4〜図5を用いて説明する。
上述したH型鋼3を支柱部材に用いて壁パネル5を取り付ける場合は、鉛直方向の下側から上側に向かって順に、壁パネル5を取り付ける。その際、上下に隣接する壁パネル5は、それぞれH型鋼3が形成する相対向する2つの支持面の間に、当該壁パネル5の側端部を挿入するように配置した状態で、パネル取付具10を用いて取り付けられる。
【0046】
実際に壁パネル5を取り付ける場合は、図4に示すように、H型鋼3が形成する上記2つの支持面3A、3Bに対して、壁パネル5の第1主面5Aおよび第2主面5Bがそれぞれ対向する状態で、当該2つの支持面3A、3Bの間に壁パネル5を配置する。また、壁パネル5の第1主面5Aは、これに対向するH型鋼3の支持面3Aに接触または近接させて配置する。本書では、一方の支持面3Aを「第1支持面3A」とし、他方の支持面3Bを「第2支持面3B」とする。
【0047】
上述した2つの支持面3A、3Bの離間寸法は、壁パネル5の厚み寸法よりも大きく設定されている。このため、壁パネル5の第2主面5BとH型鋼3の第2支持面3Bとの間には、当該寸法差に応じた空間6が確保される。パネル取付具10は、この空間6を用いて壁パネル5を支持することから、当該空間6は「パネル支持用の空間」に相当するものとなる。
【0048】
なお、壁パネル5の第1主面5AとH型鋼3の第1支持面3Aとの間には、必要に応じて、何らかの部材を介在させてもよい。具体的には、たとえば、密着性向上、緩衝性確保などの目的で、壁パネル5の第1主面5AとH型鋼3の第1支持面3Aとの間に、図示しない部材を介在させてもよい。以上の点は、図4に示す壁パネル5を下側の壁パネルとし、その上に別(上側)の壁パネルを取り付ける場合にも同様である。
【0049】
上述のように下側の壁パネル5を配置し、かつ当該壁パネル5の下部を図示しないパネル取付具を用いてH型鋼3に固定したら、その後で、壁パネル5の上部に上記図3に示す状態のパネル取付具10を装着する。この装着作業は、パネル取付具10の第1の弾性片12を上記空間6に押し込むように、たとえば、ハンマー等の工具を用いて、パネル取付具10の適所を適度な力で複数回叩くことにより行う。そうすると、第1の弾性片12が空間6の奥側(下側)に押し込まれ、これにしたがって第1の弾性片12が徐々に縮んでいく。具体的には、押圧部12Aと突き当て部12Bとのなす角度が小さくなる方向(第1の弾性片12が閉じる方向)で、第1の弾性片12が徐々に弾性変形していく。そうすると、上記装着作業の最終段階では、パネル取付具10の固定片11が壁パネル5の上面に接触または近接した状態となる。また、固定片11は、壁パネル5の上面と平行に配置される。
【0050】
上記の装着作業により、空間6内においては、パネル取付具10の第1の弾性片12が、壁パネル5の第2主面5BとH型鋼3の第2支持面3Bとの間に挟まれて弾性変形(換言すると、バネ性をもって変形)した状態となる。そして、この弾性変形による押圧力(反力)が、第1の弾性片12の押圧部12Aを通して壁パネル5に付与される。このため、壁パネル5は、パネル取付具10の第1の弾性片12によって与えられる押圧力をもって第1支持面3Aに押し付けられる。その結果、H型鋼3に対して壁パネル5が固定された状態となる。ここまでが「第1の工程」となる。
【0051】
次に、図5に示すように、先ほど取り付けた下側の壁パネル5の上に載せるかたちで、上側の壁パネル5をH型鋼3の2つの支持面3A、3Bの間に配置する。上側の壁パネル5を配置する場合の詳細については、既述したとおりである。これにより、下側の壁パネル5の上面と上側の壁パネル5の下面との間に、パネル取付具10の固定片11が挟まれた状態で固定される。具体的には、上側の壁パネル5の質量によって発生する固定力(挟持力)と、第1の弾性片12の弾性変形によって発生する固定力とによって、固定片11が上下2つの壁パネル5の間に固定された状態となる。
【0052】
また、上側の壁パネル5を載せる前は、空間6内で第2の弾性片13を縮めるようにフック部13Dで突き当て部13Bを閉じた状態に保持している。このため、第2の弾性片13と第2支持面3Bとの間の空間を利用して、第2の弾性片13をある程度の自由度をもって変位させることができる。したがって、上側の壁パネル5を載せる場合は、この積載作業を阻害しないように、第2の弾性片13を第2支持面3B側に片寄せして退避させ、この状態で上側の壁パネル5を載せることが望ましい。
【0053】
次に、図6に示すように、ドライバー等の工具を用いて、第2の弾性片13のフック部13Dを下側に倒すように変形させる。そうすると、フック部13Dによる保持状態が解除される。このため、それまでフック部13Dとの引っ掛かりによって閉じ状態に保持されていた突き当て部13Bが、閉じ状態から開き状態に変化する。そして、この変化の過程で突き当て部13Bの端部が第2支持面3Bに突き当たる。また、突き当て部13Bが閉じ状態から開き状態に変化すると、これに連動して補助部13Cも少し開いた状態となる。このとき、空間6内においては、第2の弾性片13が、壁パネル5の第2主面5BとH型鋼3の第2支持面3Bとの間に挟まれて弾性変形(換言すると、バネ性をもって変形)した状態となる。そして、この弾性変形による押圧力(反力)が、第2の弾性片13の押圧部13Aを通して壁パネル5に付与される。このため、上側の壁パネル5は、パネル取付具10の第2の弾性片13によって与えられる押圧力をもって第1支持面3Aに押し付けられる。その結果、H型鋼3に対して上側の壁パネル5が固定された状態となる。
【0054】
また、上側の壁パネル5を固定するにあたっては、突き当て部13Bが第2支持面3Bとの突き当てによって発生する押圧力と、補助部13Cが第2支持面3Bとの突き当てによって発生する押圧力とが、押圧部13Aに同時に作用する。すなわち、突き当て部13Bは、第2支持面3Bに突き当て部13Bの端部が突き当たったときに生じる力をもって押圧部13Aを壁パネル5の第2主面5Bに押し付ける。また、補助部13Cは、第2支持面3Bに補助部13Cの端部が突き当たったときに生じる力をもって押圧部13Aを壁パネル5の第2主面5Bに押し付ける。このため、突き当て部13Bが発生する押圧力を補助(後押し)するかたちで、補助部13Cによる押圧力が押圧部13Aに加わることになる。ここまでが「第2の工程」となる。
【0055】
上述した「第1の工程」と「第2の工程」は、上下方向において、ある高さ位置に壁パネル5を取り付け、その上に別の壁パネル5を載せて取り付けるたびに繰り返される。一方、最下段に配置される壁パネル5の下部を固定する場合と、最上段に配置される壁パネル5の上部を固定する場合は、それぞれの部位に適した構造のパネル取付具を用いて、壁パネル5を支持すればよい。
【0056】
(パネル支持構造)
上記のパネル取付方法によってH型鋼3に壁パネル5を取り付けることにより、上記図6に示すパネル支持構造が得られる。このパネル支持構造においては、下側の壁パネル5と上側の壁パネル5とが、互いの境界部分で単一(同一)のパネル取付具10により第1支持面3A側に押圧された状態で支持される。さらに詳述すると、下側に配置された壁パネル5は、上述のように第1の弾性片12を空間6内で弾性変形させたときに付与される押圧力により、H型鋼3の第1支持面3Aに押し付けられた状態で支持される。また、上側に配置された壁パネル5は、上述のように第2の弾性片13を空間6内で弾性変形されたときに付与される押圧力により、H型鋼3の第1支持面3Aに押し付けられた状態で支持される。また、パネル取付具10の固定片11は、下側に配置される壁パネル5の上面と、その上に隣接して配置される壁パネル5の下面との間に挟まれた状態で固定される。
【0057】
<4.実施の形態に係る効果>
本発明の実施の形態に係るパネル取付具とこれを用いたパネル取付方法およびパネル取付構造によれば、次のような効果が得られる。
【0058】
上下に隣接する2つの壁パネル5の境界部分にパネル取付具10を装着することにより、それら2つの壁パネル5を単一のパネル取付具10によって支持することができる。具体的には、パネル取付具10に第1の弾性片12および第2の弾性片13を一体に形成したことにより、下側の壁パネル5を第1の弾性片12の弾性変形による押圧力を利用して支持する一方、上側の壁パネル5を第2の弾性片13の弾性変形による押圧力を利用して支持することができる。このため、たとえばボルトとナットを用いたパネル取付構造に比較して、壁パネル5の取り付けの施工性を向上させることができる。また、壁パネル5の取り付けに必要となる部材の個数を削減することもできる。
【0059】
また、上述した第1の弾性片12と第2の弾性片13に加えて、固定片11をパネル取付具10に一体に形成し、この固定片11を上下の壁パネル5の間に挟んで固定し得るようになっている。このため、下側の壁パネル5の上に上側の壁パネル5を載せた後は、パネル取付具10の位置ずれを確実に防止することができる。また、固定片11が上下の壁パネル5によって固定されるという理由だけでなく、第1の弾性片12の弾性変形による押圧力や、第2の弾性片13の弾性変形による押圧力も、パネル取付具10の位置ずれを抑制する力となって働く。さらに、地震等が発生したり、部材の寸法に経年的な変化が生じたりした場合でも、それに追従するかたちで第1の弾性片12と第2の弾性片13が弾性変形する。このため、長期にわたってパネル取付具10の装着状態を良好に維持することができる。
【0060】
また、上側の壁パネル5を載せた後だけでなく、これを載せる際にも、第1の弾性片12の弾性変形による押圧力が、パネル取付具10の位置ずれを抑制する力となって働く。このため、上側の壁パネル5を載せる際に、たとえば、壁パネル5との接触によってパネル取付具10に多少の力が加わったとしても、パネル取付具10を適正な装着状態に維持することができる。
【0061】
また、取り付けの対象となる壁パネル5が、たとえば、防音パネルとして機能するコンクリートパネルである場合は、衝撃等を受けたときにクラックが生じやすくなる。この点、壁パネル5の取り付けにパネル取付具10を用いた場合は、第1の弾性片12と第2の弾性片13がそれぞれ弾性変形によるバネ性をもって壁パネル5を押圧することになる。このため、第1の弾性片12と第2の弾性片13が、それぞれクッション効果を発揮する。したがって、衝撃等に伴うクラックの発生から壁パネル5を保護することができる。この壁パネル5を保護する効果は、取り付けの対象となる壁パネル5が、たとえば軽量発泡コンクリート等の多孔質パネルである場合に、特に顕著にあらわれる。
【0062】
また、第2の弾性片13の突き当て部13Bをフック部13Dとの引っ掛かりによって閉じ状態に保持することにより、上側の壁パネル5と第2の弾性片13との位置的な干渉を、上述した片寄せの作業によって簡単に避けることができる。このため、上側の壁パネル5を載せる作業を円滑に行うことが可能となる。
また、上側の壁パネル5を載せた後は、突き当て部13Bとフック部13Dとの引っ掛かりを外力の印加によって解除するだけで、第2の弾性片13を自己の開放力で第2支持面3Bに突き当てて、上側の壁パネル5を第2の弾性片13で支持することができる。このため、たとえば、ボルトとナットを用いたパネル取付構造に比較して、壁パネル5の取り付けに要する施工時間を大幅に短縮することができる。
【0063】
<5.変形例等>
なお、本発明の技術的範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
【0064】
たとえば、取り付けの対象となる壁パネル5として、以下のようなものを適用することができる。すなわち、壁パネル5に用いられる防音パネルは、主に3つのタイプに分けられる。一つは、入射音の多くを吸収することによって防音効果を発揮するタイプである。もう一つは、入射音の多くを反射することによって防音効果を発揮するタイプである。他の一つは、入射音をバランスよく吸収および反射することによって防音効果を発揮するタイプである。また、防音パネルを構造面で分けると、コンクリート製の防音パネルやセラミック製の防音パネル、あるいはパンチングメタル等の多孔板の間にグラスウール等の吸音材を充填した構造の防音パネルなどがある。本発明は、取り付けの対象が、いずれの防音パネルであっても適用可能である。また、本発明は、特定の機能を有する壁パネル(防音パネル、断熱パネル等)の取り付けに限らず、建物の外壁又は内壁に用いられる壁パネルの取り付けに広く適用することが可能である。
【0065】
また、パネル取付具の形状等についても、上記実施の形態で例示した形状に限らず、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0066】
3…H型鋼(支柱部材)
3A…第1支持面
3B…第2支持面
5…壁パネル
5A…第1主面
5B…第2主面
6…空間
10…パネル取付具
11…固定片
12…第1の弾性片
13…第2の弾性片
12A,13A…押圧部
12B,13B…突き当て部
13D…フック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の支柱部材が形成する2つの支持面の間に、当該2つの支持面に対して壁パネルの第1主面および第2主面がそれぞれ対向する状態で当該壁パネルを配置するとともに、前記2つの支持面のうち、第1支持面に対して前記壁パネルの第1主面を接触または近接させて配置し、かつ前記壁パネルの第2主面と第2支持面との間にパネル支持用の空間を確保した状態で、前記壁パネルを取り付ける場合に用いられるパネル取付具であって、
上下に隣接して配置される2つの壁パネルのうち、下側に配置される第1の壁パネルの上面と、当該第1の壁パネルの上側に配置される第2の壁パネルの下面との間に挟まれて固定される固定片と、
前記固定片から延出して形成されるとともに、前記パネル支持用の空間内で前記第1の壁パネルの第2主面と前記第2支持面との間に挟まれて弾性変形することにより、当該弾性変形による押圧力を前記第1の壁パネルに付与する第1の弾性片と、
前記第1の弾性片から延出して形成されるとともに、前記パネル支持用の空間内で前記第2の壁パネルの第2主面と前記第2支持面との間に挟まれて弾性変形することにより、当該弾性変形による押圧力を前記第2の壁パネルに付与する第2の弾性片と
を一体に備えることを特徴とするパネル取付具。
【請求項2】
前記第2の弾性片は、
前記第1の壁パネルの上に前記第2の壁パネルを載せて配置した場合に、前記第2の壁パネルの第2主面に沿って配置される押圧部と、
前記押圧部の端部で折れ曲がるとともに、当該折り曲げ部を支点に前記押圧部に対して接近離間する方向に開閉可能とされ、かつ開き状態で前記第2支持面に突き当てられることにより、前記弾性変形による押圧力を発生させる突き当て部と
を含むことを特徴とする請求項1に記載のパネル取付具。
【請求項3】
前記第2の弾性片は、
前記突き当て部との引っ掛かりによって当該突き当て部を閉じ状態に保持するとともに、当該保持状態を外力の印加によって解除可能なフック部を有する
ことを特徴とする請求項2に記載のパネル取付具。
【請求項4】
建物の支柱部材が形成する2つの支持面の間に、当該2つの支持面に対して壁パネルの第1主面および第2主面がそれぞれ対向する状態で当該壁パネルを配置するとともに、前記2つの支持面のうち、第1支持面に対して前記壁パネルの第1主面を接触または近接させて配置し、かつ前記壁パネルの第2主面と第2支持面との間にパネル支持用の空間を確保した状態で、前記壁パネルを取り付ける構造であって、
固定片と、当該固定片から延出する第1の弾性片と、当該第1の弾性片から延出する第2の弾性片とを一体に備えるパネル取付具を用いて、
上下に隣接して配置される2つの壁パネルのうち、下側に配置される第1の壁パネルの上面と、当該第1の壁パネルの上側に配置される第2の壁パネルの下面との間に前記固定片を挟んで固定するとともに、
前記パネル支持用の空間内で前記第1の壁パネルの第2主面と前記第2支持面との間に前記第1の弾性片を挟んで当該第1の弾性片を弾性変形させることにより、当該弾性変形による押圧力を前記第1の壁パネルに付与する一方、
前記パネル支持用の空間内で前記第2の壁パネルの第2主面と前記第2支持面との間に前記第2の弾性片を挟んで当該第2の弾性片を弾性変形させることにより、当該弾性変形による押圧力を前記第2の壁パネルに付与した状態で、
前記2つの壁パネルを前記パネル取付具により支持してなる
ことを特徴とするパネル取付構造。
【請求項5】
前記壁パネルがコンクリートパネルである
ことを特徴とする請求項4に記載のパネル取付構造。
【請求項6】
建物の支柱部材が形成する2つの支持面の間に、当該2つの支持面に対して壁パネルの第1主面および第2主面がそれぞれ対向する状態で当該壁パネルを配置するとともに、前記2つの支持面のうち、第1支持面に対して前記壁パネルの第1主面を接触または近接させて配置し、かつ前記壁パネルの第2主面と第2支持面との間にパネル支持用の空間を確保した状態で、前記壁パネルを取り付ける方法であって、
固定片と、当該固定片から延出する第1の弾性片と、当該第1の弾性片から延出する第2の弾性片とを一体に備えるパネル取付具を用いて、
前記2つの支持面の間に第1の壁パネルを配置した後、当該第1の壁パネルの上面に前記パネル取付具の固定片が接触または近接した状態となるように、前記パネル支持用の空間内で前記パネル取付具の第1の弾性片を弾性変形させつつ押し込むことにより、当該第1の弾性片によって前記第1の壁パネルを押圧した状態に支持する第1の工程と、
前記第1の壁パネルの上に前記パネル取付具の固定片を介して第2の壁パネルを載せるように、前記2つの支持面の間に第2の壁パネルを配置するとともに、前記パネル支持用の空間内で前記パネル取付具の第2の弾性片を弾性変形させることにより、当該第2の弾性片によって前記第2の壁パネルを押圧した状態に支持する第2の工程と
を含むことを特徴とするパネル取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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