説明

パネル取付工法及びパネル取付手段

【課題】 建築物の外装用パネルを効率よく取り付けるための取付工法及びその工法に使用するパネル取付手段を提供する。
【解決手段】
一定間隔に立設した柱体5の所定の位置に、パネル取付手段500を所定個数取り付け、その後、位置決め手段61を備えた縦支持部材55を柱体5に添わせて配置し、上記位置決め手段61を柱体5の上方に当接して位置決めをした後、この縦支持部材55を上記パネル取付手段500に取り付けた後、上記縦支持部材55に横支持部材56を取り付け、さらに上記横支持部材56にパネル4を取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車庫等の建築物の外装用パネルの取付工法及びその工法に使用するパネル取付手段に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の外装用のパネルの取付方法は図16に示すものである。これによれば、建物の柱体91の一部にボルト93挿通用の孔92を穿設する。一方、端部に角パイプ95を固定したアングル94を構成し、このアングル94をボルト93によって柱体91に固定する。その後、上記角パイプ95にパネル96を取り付けるものであった。
【0003】
上記従来の方法によればアングル94を取り付けるために柱体91に孔92を穿設する作業が必要である。この作業自体労力と時間を費やすものである。その上、孔92の位置決め作業が困難であり、その結果パネル96の高さを揃えた正確な取付作業を行なうために多くの時間と労力が費やさなくてはならないという問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、簡易な工法であり、柱体に孔を穿設する必要がなく、かつパネルの位置決めを容易、確実に行なえるパネル取付工法及びそれに用いるパネル取付手段を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の要旨とするところは、一定間隔に立設した柱体の所定の位置に、パネル取付手段を所定個数取り付け、次いで位置決め手段を備えた縦支持部材を柱体に添わせて配置し、上記位置決め手段を上記柱体を連結する梁部又は柱体に当接して位置決めをした後、この縦支持部材を上記パネル取付手段に取り付け、その後上記縦支持部材に横支持部材を取り付け、さらに上記横支持部材にパネルを取り付けてなるパネル取付工法にある。
【0006】
また本発明の要旨とするところは、位置決め手段を備えた縦支持部材を、柱体を連結する上方の梁部と下方の梁部に添わせて配置し、上記位置決め手段を上方の梁部に当接して位置決めをした後、締結手段で位置決め手段を梁部に取り付け、その後下方の梁部の所定位置にパネル取付手段を所定個数取り付けて、このパネル取付手段に上記縦支持部材を取り付け、その後上記縦支持部材に横支持部材を取り付け、さらに上記横支持部材にパネルを取り付けてなるパネル取付工法にある。
【0007】
また本発明の要旨とするところは、柱体あるいは梁部に取り付け可能なUボルトと、このUボルトを取り付けるためのプレートを構成し、上記プレート表面に直角に取付金具を固定し、この取付金具に、縦支持部材を締め付けて固定するためのボルトを取り付けてなるパネル取付手段にある。
【発明の効果】
【0008】
本発明のパネル取付工法によれば、パネル取付作業において、柱体に対する孔の穿設を行なう必要がないため、熟練が要求されるパネルの位置決め作業及びパネルの取付作業が容易かつ迅速に行なえる。そのため作業工程の省略と作業時間の短縮が図れ、かつ簡易な工法のため熟練作業者でなくても、確実にパネルを取り付けることができる等の効果を奏する。
また、本発明のパネル取付手段は、簡易な構成であり、上記パネル取付作業において作業者が迅速確実にパネルの位置決め作業あるいはパネル取付作業を行なうことができる等の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明を実施するための最良の形態は、一定間隔に立設した柱体の所定の位置にパネル取付手段を所定個数取り付け、次いで位置決め手段を備えた縦支持部材を柱体に添わせて配置し、上記位置決め手段を上記柱体を連結する梁部に当接して位置決めをした後、この縦支持部材を上記パネル取付手段に取り付け、その後上記縦支持部材に横支持部材を取り付け、さらに上記横支持部材にパネルを取り付けてなるパネル取付工法であり、
上記パネル取付手段が、柱体あるいは梁部に取り付け可能なUボルトと、このUボルトを取り付けるためのプレートを構成し、上記プレート表面に直角に取付金具を固定し、この取付金具に、縦支持部材を締め付けて固定するためのボルトを取り付けてなるものである。
【実施例1】
【0010】
図1は本発明を用いて作成した車庫の概略斜視図、図2は後面パネルの施工状態を示す一部切欠正面図、図3は左側面パネルの施工状態を示す一部切欠正面図、図4は図1のA矢視要部側面図、図5は図1のB矢視要部側面図、図6は位置決め手段の正面図、図7は位置決め手段の平面図、図8はパネル取付手段の正面図、図9はパネル取付手段の平面図、図10はパネル取付手段の側面図、図11は位置決め手段の正面図、図12は位置決め手段の平面図、図13はパネル取付手段の正面図、図14はパネル取付手段の側面図、図15はパネル取付手段の平面図及び図16は従来例の説明図である。なお、上記各図のうち必要に応じてボルトの詳細等を省略した。
【0011】
まず、パネル取付工法に使用するパネル取付手段の構成を説明する。本実施例では車庫の外壁表面に取り付けるパネルの取り付けについて説明する。
図1に示すように、車庫1は、右側面パネル2と左側面パネル3及び後方に設けた後面パネル4からなり、これらの各パネルは柱体5、梁部6,7等で取り付けられて車庫を構築している。
【0012】
図2に示すように、後面パネル4は、一定間隔に立設した8本の柱体5に固定された8本の縦支持部材55と8本の横支持部材56によって取り付けられていて、上部は柱体5の上端より突出し、下部は地面から一定の高さを有している。この後面パネル4及び後述の左側面パネル3の下端は地面と接触していても良い。
【0013】
図3に示すように、左側面パネル3は、両側の柱体5とこの柱体5の上端と略中央部を連結する水平な2本の梁部6,7に固定された3本の縦支持部材55と8本の横支持部材56によって取り付けられていて、上記後面パネル4と同様、上部は柱体5の上端より突出し下部は地面から一定の高さを有している。なお右側面パネル2は左側面パネル3と対象のため説明を省略する。
【0014】
また、上記縦支持部材55は、長尺の、断面L字形の金属板いわゆるLアングルであり、横支持部材56は長尺の角パイプである。この縦支持部材55と横支持部材56は互いに直交して取り付けられている。そのため本実施例では縦支持部材55は垂直で横支持部材56は水平に取り付けられているが、取付方法はこれに限定されないものとする。
また、上記柱体5、梁部6,7、縦支持部材55あるいは横支持部材56及び後述の位置決め手段61,71やパネル取付手段500,700の形状、材質、設置数は任意であり本実施例に限定されない。
【0015】
図4は図1のA矢視要部側面図であり、後面パネル4の取付状態を示している。この図から分かるように、上方の梁部6の上端には位置決め手段61が当接していて、柱体5の3ケ所にパネル取付手段500が取り付けられている。
【0016】
上記位置決め手段61は、図6及び図7に示すようにLアングルからなり、一端をボルト62によって縦支持部材55に水平に締結されている。このように位置決め手段61は、予め縦支持部材55の定められた位置に固定されているから、取付時の縦支持部材55の上端の高さは一定となり、容易、確実に位置決めをすることができる。そのためすべての縦支持部材55の上端を確実に揃えることができるのである。
【0017】
上記パネル取付手段500は図8乃至図10に示すように、締結手段である棒状の鋼材からなるUボルト51と、このUボルト51を取り付けるプレート52と、このプレート52に固定した取付金具53及びこの取付金具53に設けられた締結手段である棒状の鋼材からなるボルト54等からなる。
【0018】
上記Uボルト51はパネル取付手段500を柱体5に取り付けるための締結手段であり、ナット511を締め付けることによって柱体5に固定する。
上記取付金具53はLアングルからなり、上記プレート52表面に対して直角に取り付けられていて水平に張り出している。この取付金具53には三角形状のボルト54が設けられていて、ナット541を締め付けることにより縦支持部材55を取付金具53に固定するのである。
【0019】
図5は図1のB矢視要部側面図であり、左側面パネル3の取付状態を示している。この図から分かるように、上方の梁部6の上端には位置決め手段71が当接していて、下方の梁部7にパネル取付手段700が取り付けられている。
【0020】
上記位置決め手段71は図11及び図12に示すようにLアングルからなり、縦支持部材55にボルト63で固定されていて、Uボルト79とナット711によって梁部7に取り付けられるのであり、パネル取付手段の作用も有している。
【0021】
そして、梁部7に取り付けられたパネル取付手段700は、図13乃至図15に示すように、Uボルト76と、このUボルト76を取り付けるプレート72と、このプレート72に固定した取付金具73及びこの取付金具73に設けられた締結手段であるボルト74等からなる。
【0022】
上記Uボルト76はパネル取付手段700を梁部7に取り付けるための締結手段であり、ナット761を締め付けることによって梁部7に固定する。
上記取付金具73はLアングルからなり、上記プレート72表面に対して直角に水平状態で固定されている。この取付金具73には三角形状のボルト74が設けられていて、ナット741を締め付けることによって取付金具73を縦支持部材55に固定する。
【実施例2】
【0023】
上記のように構成したパネル取付手段を用いたパネル取付工法を説明する。
まず後面パネル4を取り付ける場合を説明する。
図4、図6乃至図10に示すように、適当な間隔をあけて3個のUボルト51をナット511を締め付けて、プレート52と共に柱体5に取り付ける。このプレート52には予め取付金具53が溶接されている。この場合、各Uボルト51の間隔は厳格な位置決めは必要でなく、作業に邪魔にならない所で間隔を開けて取り付ければよい。
その後、縦支持部材55を柱体5に添わせて配置する。このとき図6に示すように縦支持部材55の上部に固定した位置決め手段61が梁部6上端に当接して、縦支持部材55の位置決めするため、すべての後面パネル4の上端は予め定められた高さに揃うのである。
【0024】
次に上記縦支持部材55の表面に取付金具53を当て、縦支持部材55にボルト54を掛け渡しナット541で締め付けて、縦支持部材55をパネル取付手段500に固定する。
この作業をすべての柱体5について行った後、すべての縦支持部材55に8本の角パイプ56を水平に、かつ一定間隔を有して取り付けてから、上記角パイプ56の上に後面パネル4を取り付けるのである。
【0025】
次に、左側面パネル3を取り付ける場合を説明する。
図5、図11乃至図15に示すように、位置決め手段71を予め固定してある3本の縦支持部材55を梁部6,7の近傍に添わせて配置する。このとき縦支持部材55の上端は上記位置決め手段71によって、予め定められた高さに配置される。
その後、適当な間隔をあけて3個のUボルト79を上方の梁部6に掛け渡しナット711で位置決め手段71を締め付けて、梁部6に位置決め手段71を固定する。
【0026】
次いで、下方の梁部7の適当な位置に、所定個数のUボルト76を間隔をあけてプレート72を介してナット761で取り付ける。このプレート72には予め取付金具73が水平に張り出した状態で溶接されている。
そして、縦支持部材55にボルト74を掛け渡し、ナット741で締め付けて、縦支持部材55をパネル取付手段700に固定する。
その後、上記3本の縦支持部材55に8本の横支持部材56である角パイプを水平に取り付け、この角パイプ56に左側面パネル3を取り付ける。最後に、上記後面パネル1と左側面パネル3の端部を連結して完成する。
なお、右側面パネル2も上記と同様の工程で取り付けるのである。
【0027】
以上のように、本実施例によれば簡易な構成かつ容易な操作でありながら、パネルの位置決めを自動的に行い、位置決め手段やパネル取付手段を柱体や縦支持部材に対してボルトの締結によって容易確実に取り付けることができるため、容易、確実にパネルの取付作業ができると共に作業時間の大幅な短縮が図れるのである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明を用いて作成した車庫の概略斜視図
【図2】後面パネルの施工状態を示す一部切欠正面図
【図3】左側面パネルの施工状態を示す一部切欠正面図
【図4】図1のA矢視要部側面図
【図5】図1のB矢視要部側面図
【図6】位置決め手段の正面図
【図7】位置決め手段の平面図
【図8】パネル取付手段の正面図
【図9】パネル取付手段の平面図
【図10】パネル取付手段の側面図
【図11】位置決め手段の正面図
【図12】位置決め手段の平面図
【図13】パネル取付手段の正面図
【図14】パネル取付手段の側面図
【図15】パネル取付手段の平面図
【図16】従来例の説明図
【符号の説明】
【0029】
1 車庫
2 右側面パネル
3 左側面パネル
4 後面パネル
5 柱体
6 梁部
7 梁部
51 Uボルト
52 プレート
53 取付金具
54 ボルト
55 縦支持部材
56 横支持部材
61 位置決め手段
71 位置決め手段
72 プレート
73 取付金具
74 ボルト
76 Uボルト
79 Uボルト
500 パネル取付手段
700 パネル取付手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定間隔に立設した柱体の所定の位置に、パネル取付手段を所定個数取り付け、次いで位置決め手段を備えた縦支持部材を柱体に添わせて配置し、上記位置決め手段を上記柱体を連結する梁部又は柱体に当接して位置決めをした後、この縦支持部材を上記パネル取付手段に取り付け、その後上記縦支持部材に横支持部材を取り付け、さらに上記横支持部材にパネルを取り付けてなるパネル取付工法。
【請求項2】
位置決め手段を備えた縦支持部材を、柱体を連結する上方の梁部と下方の梁部に添わせて配置し、上記位置決め手段を上方の梁部に当接して位置決めをした後、締結手段で位置決め手段を梁部に取り付け、その後下方の梁部の所定位置にパネル取付手段を所定個数取り付けて、このパネル取付手段に上記縦支持部材を取り付け、その後上記縦支持部材に横支持部材を取り付け、さらに上記横支持部材にパネルを取り付けてなるパネル取付工法。
【請求項3】
柱体あるいは梁部に取り付け可能なUボルトと、このUボルトを取り付けるためのプレートを構成し、上記プレート表面に直角に取付金具を固定し、この取付金具に、縦支持部材を締め付けて固定するためのボルトを取り付けてなるパネル取付手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−63685(P2006−63685A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−248743(P2004−248743)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(304030132)株式会社クリーンシステムサービス (1)
【Fターム(参考)】