説明

パネル支持工法及びパネル支持装置

【課題】作業性の改善が可能なパネル支持工法及びパネル支持装置を提供する。
【解決手段】パネル支持装置100は、第1支持金具10と、第2支持金具20とを備える。第1支持金具10は、躯体101側に螺着された第1軸体12及び第1フランジ14を有し、第1フランジ14の端面に第1筒状体16が形成されている。第2支持金具20は、第1筒状体16螺合する第2軸体22及び第2フランジ24を有する。第2フランジ24には角度90°の切欠部25を形成しておく。この切欠部25を通して1枚のガラス板を第1フランジ14に重ねる。そして切欠部25の位置を回転させて次の所定位置にセットした後、切欠部25を通して次のガラス板を、すでに第1フランジ14に重ねられているガラス板と並ぶように第1フランジ14に重ねる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚のガラス板等のパネルを金具で挟持して支持するパネル支持工法及びパネル支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1及び2に示されるように、建物の外壁等としてパネルをフレームレスで取り付ける方法が従来から知られている。
【特許文献1】特開平6−341209号公報(特に図1及び2)
【特許文献2】特開平9−317072号公報(特に図2及び5)
【0003】
特許文献1は、ガラススクリーンを構成する工法として、金属金具による点支持工法を開示する。この工法は、躯体に固定したH字もしくはX字状等の支持金具にて、隣り合う4枚のガラス板のコーナー穿孔部を支持固定するものである。
【0004】
特許文献2は、板状部材支持構造を開示する。この構造は、隣り合う4枚のガラス板のなす十字目地部に支持部材を設け、この支持部材により4枚のガラス板を挟持して連段窓を形成するものである。具体的には、躯体をなす柱に対して固定された内部支持部材と、この内部支持部材に螺着される外部支持部材とによって、上下左右に配置された4枚のガラス板を挟持する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の板状部材支持構造は、特許文献1の点支持工法と比較して、ガラスに孔空けする必要がない点で有利といえる。一方、特許文献2には工法について具体的な説明はないが、外部支持部材の構成からすると、4枚のガラス板を隣り合わせた状態に保持した上で外部支持部材を取り付ける必要があると考えられる。外部支持部材の取付に先だって仮に人手で4枚のガラス板を隣り合わせて仮固定しておかなければならないとすると、作業員が多く必要で工数も多く作業性が良くない。
【0006】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、作業性の改善が可能なパネル支持工法及びパネル支持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様はパネル支持工法である。この工法は、
躯体側に螺着された第1軸体及び第1フランジを有し、前記第1フランジの端面に第1筒状体が形成された第1支持金具と、
前記第1筒状体に螺合する第2軸体及び第2フランジを有する第2支持金具とを用い、
前記第1フランジと前記第2フランジとによってパネルを挟持するパネル支持工法であって、
前記第2フランジに、2以上の整数Nを用いて下記(1)式
360°/N ≦ θ < (360°/N)×2 …(1)
で示される角度θの範囲の切欠部を形成しておき、本パネル支持工法は、
所定位置にセットされた前記切欠部を通して1枚のパネルを前記第1フランジに重ねる第1工程と、
前記切欠部の位置を回転させて次の所定位置にセットした後、前記切欠部を通して次のパネルを、すでに前記第1フランジに重ねられているパネルと並ぶように前記第1フランジに重ねる第2工程と、
を有することを特徴とする。
【0008】
前記第2工程をN−1回実行することによって合計N枚のパネルが並ぶように前記N枚のパネルを前記第1フランジに重ね、その後、前記切欠部の位置を回転させて、前記第1フランジ及び前記第2フランジによって前記N枚のパネルの縁を挟持して前記N枚のパネルを並べて支持するとよい。
【0009】
前記N枚のパネルを前記第1フランジに重ねた後、前記第2フランジの端面を覆うように化粧板を装着してもよい。
【0010】
前記第2軸体が通過する切欠路を形成してある補強板及び弾性材をさらに用い、
前記N枚のパネルを前記第1フランジに重ねた後、前記N枚のパネルと前記第2フランジとの間に前記補強板及び前記弾性材を前記弾性材がパネル側になるように挿入し、その後、前記第2支持金具を締め付けるとよい。
【0011】
前記第1筒状体の外周部にはパネルの縁に対する位置決め基準面を有するパネル受け凸部が設けられ、
前記第1工程に先だって、前記パネル受け凸部の前記位置決め基準面上にパネル位置調整用のライナーを配置し、このライナー上にパネル加重受け金物を取り付けておいてもよい。
【0012】
一端がフックとなるように曲げられたボルトと、このボルトを挿入する孔を有する平板金物とをさらに用い、
前記ボルトの前記一端を前記第1フランジに設けられた孔に引っかけ、前記平板金物を前記ボルトの他端に通し、さらに前記ボルトに螺合するナットを締めて前記平板金物を前記第1フランジに重ねられたパネル面に当接させることにより前記平板金物で前記パネル面を押さえておき、その後、前記第2支持金具を締め付けてもよい。
【0013】
前記躯体には取付用板材が固着され、
前記取付用板材にはポンチで取付中心を示す窪みが形成され、
前記窪みに嵌る突起を底面中心に有する有底筒状体が、前記突起と前記窪みとを嵌め合わせた状態で前記取付用板材に固着され、
当該固着された前記有底筒状体に前記第1支持金具の前記第1軸体が螺着してもよい。
【0014】
前記躯体には取付用板材が固着され、
前記取付用板材にはポンチで取付中心を示す窪みが形成され、
前記窪みに嵌る突起を有する取付金物を取付用筒状体の底面側に嵌着し、前記突起を前記取付用筒状体の底部中心に位置させてなる筒状組合せ体が、前記突起と前記窪みとを嵌め合わせた状態で前記取付用板材に固着され、
当該固着された前記筒状組合せ体に前記第1支持金具の前記第1軸体が螺着してもよい。
【0015】
本発明の別の態様は、パネル支持装置である。この装置は、
躯体側に螺着された第1軸体及び第1フランジを有し、前記第1フランジの端面に第1筒状体が形成された第1支持金具と、
前記第1筒状体に螺合する第2軸体及び第2フランジを有する第2支持金具とを備え、
前記第1フランジと前記第2フランジとによってパネルを挟持するパネル支持装置であって、
前記第2フランジは、2以上の整数Nを用いて下記(1)式
360°/N ≦ θ < (360°/N)×2 …(1)
で示される角度θの範囲の切欠部を有し、
前記切欠部は、所定位置にセットされて1枚のパネルが前記第1フランジに重ねられる際の通路となり、その後、次の所定位置にセットされて次のパネルがすでに前記第1フランジに重ねられているパネルと並ぶように前記第1フランジに重ねられる際の通路となることを特徴とする。
【0016】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を構造やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、第1フランジを有する第1支持金具と第2フランジを有する第2支持金具の両フランジ間に複数パネルを挟持する場合において、第2フランジに切欠部を形成しておくため、第1支持金具と第2支持金具とを螺合させた状態で切欠部を通してパネルを第1フランジに重ねることができる。そしてパネルを第1フランジに重ねた後、切欠部を回転させて次の所定位置にセットすることにより、切欠部を通して次のパネルを第1フランジに重ねることができるとともに、すでに第1フランジに重ねられているパネルは第1フランジ及び第2フランジに挟まれた状態となるため倒れたり落下したりすることが防止される。したがって、第2支持金具を第1支持金具に螺合させるのに先だって人手で4枚のガラス板を隣り合わせて仮固定しておく必要がなく、パネルを挟持して支持する際の作業性が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0019】
(パネル支持構造)
図1は、本発明の実施の形態に係るパネル支持装置100を用いたパネル支持構造500の分解斜視図である。図2は、図1のパネル支持構造500でパネルを挟持した状態の説明図であり、(A)は側断面図、(B)は背面図である。なお、図2(B)では躯体101及びファスナー(取付用板材)102の図示は省略している。図3は、図1のパネル支持構造500でパネルを挟持した状態において一部の部品を透視した正面図である。図4は、図1に示される補強板230の正面図である。図5は、図1に示される第2支持金具20と補強板230、第2弾性材220の取付説明図であり、(A)は側断面図、(B)は補強板230及び第2弾性材220を透視した背面図である。以下、主として図1及び図2(A)を参照して説明する。
【0020】
本実施の形態ではパネル支持構造500はN枚のパネルとして4枚のガラス板G1ないしG4を支持する。ガラス板G1ないしG4は正方形ないし長方形であり、図1のように面取りしておく。なお、ガラス板は、フロート板ガラスや強化板ガラス、網入り板ガラス、熱線吸収板ガラスなどであってもよい。また、ガラス板に替えてポリカーボネート板やアクリル樹脂板、塩化ビニル樹脂板などをパネルとして支持してもよい。
【0021】
パネル支持構造500において、取付用板材としてのファスナー102が躯体101に例えば溶接により固着され、有底筒状体としてのコーン104がファスナー102に例えば溶接により固着される。コーン104は円筒状の雌ねじ構造である。なお、ファスナー102にはポンチで取付中心を示す窪み103が形成され、この窪み103に嵌る突起105がコーン104の底面中心に設けられている。コーン104をファスナー102に固着する際には、突起105を窪み103に嵌めることで、ファスナー102に対してコーン104を容易かつ正確に位置決めできる。図2(B)に示されるように、背面から見て突起105は、コーン104に螺着される第1支持金具10の第1フランジ14及び第1化粧板140の中心に位置するように設定する。
【0022】
パネル支持装置100は、第1化粧板140と、第1支持金具10と、第1弾性材110と、第2弾性材220と、補強板230と、第2支持金具20と、第2化粧板240とを備える。
【0023】
第1支持金具10は、第1軸体12と、第1フランジ14と、第1筒状体16とを有する。第1軸体12は雄ねじ構造であり、コーン104内周側雌ねじ104aに螺着される。なお、第1軸体12をコーン104に螺着するのに先だって、必要に応じて、第1軸体12を第1化粧板140の中心孔142に通して、第1化粧板140を第1フランジ14に例えばナットや接着により第1軸体12側から取り付ける。第1フランジ14は円板形状であり、その端面(第1軸体12を設けた面の反対面)の略中央には第1筒状体16が垂直に立設するように形成され、第1筒状体16の外周部にはパネル受け凸部18が設けられている。パネル受け凸部18の上面は、ガラス板G1及びG2の縁に対する位置決め基準面となる。
【0024】
第1弾性材110は、第1フランジ14とガラス板G1ないしG4との間に入るパッキンであり、例えばゴムからなる。第1弾性材110は円板形状であり、その略中央には第1筒状体16及びパネル受け凸部18を通す孔112が形成されている。
【0025】
第2支持金具20は、第2軸体22と、第2フランジ24とを有する。第2軸体22は雄ねじ構造であり、第1筒状体16内周側雌ねじ16aに螺着される。第2軸体22と第2フランジ24との取付部分23は第2軸体22より径が大きくなっている。第2フランジ24は角度範囲が90°以上180°未満(図では90°)の略扇形の切欠部25が形成された切欠円板形状であり、その略中央の孔26は化粧板固定ねじ250が螺合するように雌ねじ構造となっている。図3に例示のように、第2フランジ24に形成された切欠部25は、最終的に2枚のガラス板G1及びG4に45°ずつ跨るように位置する。このようにすることで、第2フランジ24に90°以上180°未満の切欠部25が形成されていても第2フランジ24によってガラス板G1ないしG4を支持可能である。第2化粧板240には化粧板固定ねじ250を通す孔242が略中央に形成され、第2化粧板240を第2フランジ24の端面に重ねた状態で化粧板固定ねじ250を孔242に通して雌ねじ構造の孔26に螺着することにより第2化粧板240が第2フランジ24の端面に取り付けられる。
【0026】
補強板230は図4にも示されるように円板形状の金属板であり、第2フランジ24の切欠部25を補強するために設けられる。第2弾性材220は、補強板230とガラス板G1ないしG4との間に入るパッキンであり、例えばゴムからなる。第2弾性材220は補強板230と同様の円板形状であり、補強板230に貼り付けられて一体化されてもよい。図4にも示されるように、補強板230には外周部から中心孔226に向けて第2軸体22が通過する切欠路225が形成されている(第2弾性材220も同様)。したがって、第2軸体22が第1筒状体16と螺合している状態で補強板230及び第2弾性材220を第2フランジ24とガラス板G1ないしG4との間に挿入可能である。なお、補強板230及び第2弾性材220の中心孔226は、図5(A)にも示されるように第2軸体22と第2フランジ24との取付部分23が入りうる大きさ(好ましくは隙間なく入る大きさ)にしておく。また、図5(B)に示されるように、第2フランジ24に形成された切欠部25と、補強板230及び第2弾性材220に形成された切欠路225とが、最終的に第2支持金具20を締め付けた状態で重ならないようにしておくとよい。これにより、第2フランジ24の切欠部25を補強板230で好適に補強できる。
【0027】
仮押さえに用いるコの字ボルト310は、一端312がフックとなるようにコの字に曲げられている。この一端312を第1フランジ14に設けられたフック取付孔19に引っかけ、平板金物320を他端314に通し、さらにコの字ボルト310に螺合するナット330を他端314から締めて平板金物320をガラス板G1及びG2の面に当接させることにより、平板金物320でガラス板G1及びG2の面を押さえる(仮押さえする)。これによりガラス板G1及びG2の面調整をすることができる。また、第2支持金具20を締め付ける際に平板金物320でガラス板G1及びG2の面を押さえておくことにより、第2支持金具20の締付時にガラス板G1及びG2が支持位置からずれることを防止できる。ガラス板G2及びG3、G3及びG4、G4及びG1も、ガラス板G1及びG2と同様に、コの字ボルトと平板金物、ナットにより押さえられる(ガラス板G2及びG3、G4及びG1のためのコの字ボルトと平板金物、ナットは不図示)。なお、第2支持金具20の締付後、コの字ボルトと平板金物、ナットは取り外される。
【0028】
以上の構成によりガラス板G1ないしG4は、第1弾性材110を介して第1フランジ14に一方の面が支持され、第2弾性材220及び補強板230を介して第2フランジ24に他方の面が支持される。すなわち、パネル支持装置100は、第1フランジ14及び第2フランジ24によってガラス板G1ないしG4の縁を挟持してガラス板G1ないしG4を支持する。
【0029】
(パネル支持工法)
図1を参照し、本実施の形態のパネル支持工法について説明する。
工程1… 躯体101にファスナー102を溶接固定する。なお、ファスナー102の数は支持すべきガラス板の枚数によって決められる。
工程2… ファスナー102に形成された窪み103にコーン104の突起105を嵌め合わせて溶接固定する。
工程3… 第1化粧板140を第1支持金具10の第1フランジ14背面に第1軸体12側から取付固定する。
工程4… 第1軸体12をコーン104に螺着することで、第1支持金具10を躯体101側に固定する。
工程5… 第1弾性材110を第1フランジ14の端面に載せる(例えば接着する)。
工程6… 第2支持金具20の第2軸体22を第1筒状体16に螺合させて取り付ける。但しこの段階では第2支持金具20はまだ締め付けない。
【0030】
以下、図6も参照して説明する。図6は、本発明の実施の形態に係るパネル支持工法の説明図である。なお、本図では6つの第2フランジに24aないし24fの符号を付し、6つの切欠部に25aないし25fの符号を付して区別しているが、それらは図1に示される第2フランジ24及び切欠部25と同じ形状である。
【0031】
工程7… ガラス板G1を第1フランジ14に重ねるため、ガラス板G1の取付位置周辺の第2フランジ24a〜24dを回転させて、第2フランジ24a〜24dの切欠部をそれぞれ図6(A)のようにセットする。これにより、第2フランジ24a〜24dの切欠部を通してガラス板G1を第1フランジ14に重ねる経路が形成される。
工程8… ガラス板G1を図6(A)のように第1フランジ14(図6では不図示)に重ねる。この際、パネル受け凸部18(図6では不図示)の上面をガラス板G1及びG2の下縁の位置決め基準面として利用する。
工程9… ガラス板G2を第1フランジ14に重ねるため、ガラス板G2の取付位置周辺の第2フランジ24c〜24fを回転させて、第2フランジ24c〜24fの切欠部をそれぞれ図6(B)のようにセットする。また、図示しない次のガラス板を第1フランジ14に重ねるため、第2フランジ24a,24bも回転させて、それぞれの切欠部を図6(B)のようにセットする。これにより、第2フランジ24c〜24fの切欠部25を通してガラス板G2を第1フランジ14に重ねる経路が形成される。また、すでに第1フランジ14に重ねてあるガラス板G1は、第1フランジ14と、切欠部の位置が回転された第2フランジ24a〜24dとによって挟まれた状態となって支持される。
工程10… 工程8と同様にして必要な枚数のガラス板を順次第1フランジ14に重ねていく。ここで、1つの第2フランジ(例えば第2フランジ24c)につき4枚のガラス板を第1フランジ14に重ね終えたら、その第2フランジ24cの切欠部は図3のようにセットする(切欠部以外の部分で4枚のガラス板がそれぞれ挟持されるようにする)。
【0032】
以下、主として図1を参照して説明する。
工程11… 仮押さえ用のコの字ボルト310と平板金物320とナット330とを用い、平板金物320で隣接するガラス板同士を押さえて面調整をする。
工程12… 補強板230及び第2弾性材220を、第2フランジ24と、ガラス板G1ないしG4との間に挿入する。
工程13… 第2支持金具20を締め付けてガラス板G1ないしG4の縁を第1フランジ14と第2フランジ24とによって挟持し、ガラス板G1ないしG4を支持する。
工程14… コの字ボルト310と平板金物320、ナット330を取り外す。
工程15… 第2化粧板240を第2フランジ24の端面に取り付ける。
工程16… 必要に応じて第1化粧板140及び第2化粧板240の間の隙間をシーリング材でシールする。
【0033】
本実施の形態によれば、図3に例示のような略扇形の切欠部25を第2フランジ24に形成しておくため、図6(A)に示されるように切欠部25aないし25dをセットしておくことにより、第1支持金具10と第2支持金具20とを螺合させた状態で切欠部25aないし25dを通してガラス板G1を第1フランジ14に重ねることができる。そしてガラス板を第1フランジ14に重ねた後、切欠部25aないし25dを回転させて図6(B)に示されるようにセットしておくことにより、切欠部25cないし25fを通して次のガラス板G2を第1フランジ14に重ねることができるとともに、すでに第1フランジ14に重ねられているガラス板G1は第2フランジ24aないし24d及びそれに対応する第1フランジ14(図6では不図示)に挟まれた状態となるため外れることが防止される。したがって、第2支持金具20を第1支持金具10に螺合させるのに先だって人手で4枚のガラス板を隣り合わせて仮固定しておく必要がなく、作業員が少なくて済み工数も少なく作業性が良い。
【0034】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0035】
実施の形態ではファスナー102に取付中心を示す窪み103を形成し、窪み103に嵌る突起105をコーン104の底面中心に設けた。変形例ではコーン104と突起105を別部材とする。図7は、図1に示されるコーン104と突起105を別部材とする変形例である。本変形例では取付用筒状体としてのコーン104には突起を設けず、その代わりに、突起105を有する取付金物106をコーン104の底面側に嵌着して筒状組合せ体とする。この状態で突起105はコーン104の底部中心に位置する。本変形例によれば、コーン104が底なしであってもコーン104の底部に突起105を設けることができる。なお、窪み103や突起105を設けずに、ファスナー102に取付位置を中心とする円をコンパスで描いておき、その円に合わせてコーン104をファスナー102に固着してもよい。
【0036】
実施の形態では第1筒状体16の外周部に設けられたパネル受け凸部18の上面を位置決め基準面とした。変形例ではその位置決め基準面に対してガラス板G1及びG2の縁の支持位置(高さ)を微調整可能とする。図8は、図1のパネル受け凸部18の上面にライナー151及び加重受け金物153を取り付けた変形例である。パネル受け凸部18と、ライナー151と、加重受け金物153とが、例えば螺子154によって固定される。本変形例によれば、パネル受け凸部18と加重受け金物153との間に入るライナー151の厚みを適当に選ぶことによりガラス板G1及びG2の縁の支持位置(高さ)を調整することができる。
【0037】
実施の形態では1つのパネル支持装置100で4枚のガラス板G1ないしG4を挟持して支持する場合を説明したが、支持するガラス板の枚数は任意である。ここで、第2フランジ24に形成しておく切欠部25の角度は支持するガラス板の枚数によって異なる。図9は、変形例に係る第2フランジ24の形状説明図である。本変形例は1つのパネル支持装置100で2枚のガラス板を支持するものである。この場合、第2フランジ24に形成しておく切欠部25の角度は180°以上360°未満(図9では180°)とする。
【0038】
実施の形態では第2支持金具20の第2フランジ24に形成された切欠部25を補強板230によって補強したが、補強が不要なときは補強板230を設けなくてもよい。この場合、第2弾性材220を図10に示されるように変更し、予め第2フランジ24のガラス板への対向面に取り付けておくことができる。
【0039】
実施の形態では第1化粧板140及び第2化粧板240を円板形状としたが、これに限定されず、デザインの観点から四角形や六角形等の多角形形状あるいは楕円形状としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態に係るパネル支持装置を用いたパネル支持構造の分解斜視図である。
【図2】図1のパネル支持構造でパネルを挟持した状態の説明図であり、(A)は側断面図、(B)は背面図である。
【図3】図1のパネル支持構造でパネルを挟持した状態において一部の部品を透視した正面図である。
【図4】図1に示される補強板230の正面図である。
【図5】図1に示される第2支持金具20と補強板230、第2弾性材220の取付説明図であり、(A)は側断面図、(B)は補強板230及び第2弾性材220を透視した背面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るパネル支持工法の説明図である。
【図7】図1に示されるコーン104と突起105を別部材とする変形例の分解斜視図である。
【図8】図1のパネル受け凸部18の上面にライナー及び加重受け金物を取り付けた変形例である。
【図9】変形例に係る第2フランジの形状説明図である。
【図10】変形例に係る第2弾性材の形状説明図である。
【符号の説明】
【0041】
10 第1支持金具
12 第1軸体
14 第1フランジ
16 第1筒状体
18 パネル受け凸部
20 第2支持金具
22 第2軸体
24 第2フランジ
25 切欠部
100 パネル支持装置
101 躯体
102 ファスナー
104 コーン
G1〜G4 ガラス板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体側に螺着された第1軸体及び第1フランジを有し、前記第1フランジの端面に第1筒状体が形成された第1支持金具と、
前記第1筒状体に螺合する第2軸体及び第2フランジを有する第2支持金具とを用い、
前記第1フランジと前記第2フランジとによってパネルを挟持するパネル支持工法であって、
前記第2フランジに、2以上の整数Nを用いて下記(1)式
360°/N ≦ θ < (360°/N)×2 …(1)
で示される角度θの範囲の切欠部を形成しておき、本パネル支持工法は、
所定位置にセットされた前記切欠部を通して1枚のパネルを前記第1フランジに重ねる第1工程と、
前記切欠部の位置を回転させて次の所定位置にセットした後、前記切欠部を通して次のパネルを、すでに前記第1フランジに重ねられているパネルと並ぶように前記第1フランジに重ねる第2工程と、
を有することを特徴とするパネル支持工法。
【請求項2】
請求項1に記載のパネル支持工法において、
前記第2工程をN−1回実行することによって合計N枚のパネルが並ぶように前記N枚のパネルを前記第1フランジに重ね、その後、前記切欠部の位置を回転させて、前記第1フランジ及び前記第2フランジによって前記N枚のパネルの縁を挟持して前記N枚のパネルを並べて支持することを特徴とするパネル支持工法。
【請求項3】
請求項2に記載のパネル支持工法において、前記N枚のパネルを前記第1フランジに重ねた後、前記第2フランジの端面を覆うように化粧板を装着することを特徴とするパネル支持工法。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のパネル支持工法において、前記第2軸体が通過する切欠路を形成してある補強板及び弾性材をさらに用い、
前記N枚のパネルを前記第1フランジに重ねた後、前記N枚のパネルと前記第2フランジとの間に前記補強板及び前記弾性材を前記弾性材がパネル側になるように挿入し、その後、前記第2支持金具を締め付けることを特徴とするパネル支持工法。
【請求項5】
請求項2から4のいずれかに記載のパネル支持工法において、前記第1筒状体の外周部にはパネルの縁に対する位置決め基準面を有するパネル受け凸部が設けられ、
前記第1工程に先だって、前記パネル受け凸部の前記位置決め基準面上にパネル位置調整用のライナーを配置し、このライナー上にパネル加重受け金物を取り付けておくことを特徴とするパネル支持工法。
【請求項6】
請求項2から5のいずれかに記載のパネル支持工法において、一端がフックとなるように曲げられたボルトと、このボルトを挿入する孔を有する平板金物とをさらに用い、
前記ボルトの前記一端を前記第1フランジに設けられた孔に引っかけ、前記平板金物を前記ボルトの他端に通し、さらに前記ボルトに螺合するナットを締めて前記平板金物を前記第1フランジに重ねられたパネル面に当接させることにより前記平板金物で前記パネル面を押さえておき、その後、前記第2支持金具を締め付けることを特徴とするパネル支持工法。
【請求項7】
請求項2から6のいずれかに記載のパネル支持工法において、
前記躯体には取付用板材が固着され、
前記取付用板材にはポンチで取付中心を示す窪みが形成され、
前記窪みに嵌る突起を底面中心に有する有底筒状体が、前記突起と前記窪みとを嵌め合わせた状態で前記取付用板材に固着され、
当該固着された前記有底筒状体に前記第1支持金具の前記第1軸体が螺着していることを特徴とするパネル支持工法。
【請求項8】
請求項2から6のいずれかに記載のパネル支持工法において、
前記躯体には取付用板材が固着され、
前記取付用板材にはポンチで取付中心を示す窪みが形成され、
前記窪みに嵌る突起を有する取付金物を取付用筒状体の底面側に嵌着し、前記突起を前記取付用筒状体の底部中心に位置させてなる筒状組合せ体が、前記突起と前記窪みとを嵌め合わせた状態で前記取付用板材に固着され、
当該固着された前記筒状組合せ体に前記第1支持金具の前記第1軸体が螺着していることを特徴とするパネル支持工法。
【請求項9】
躯体側に螺着された第1軸体及び第1フランジを有し、前記第1フランジの端面に第1筒状体が形成された第1支持金具と、
前記第1筒状体に螺合する第2軸体及び第2フランジを有する第2支持金具とを備え、
前記第1フランジと前記第2フランジとによってパネルを挟持するパネル支持装置であって、
前記第2フランジは、2以上の整数Nを用いて下記(1)式
360°/N ≦ θ < (360°/N)×2 …(1)
で示される角度θの範囲の切欠部を有し、
前記切欠部は、所定位置にセットされて1枚のパネルが前記第1フランジに重ねられる際の通路となり、その後、次の所定位置にセットされて次のパネルがすでに前記第1フランジに重ねられているパネルと並ぶように前記第1フランジに重ねられる際の通路となることを特徴とするパネル支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−267018(P2008−267018A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−112450(P2007−112450)
【出願日】平成19年4月22日(2007.4.22)
【特許番号】特許第3998101号(P3998101)
【特許公報発行日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(507133153)有限会社石部製作所 (1)
【Fターム(参考)】