説明

パネル材の梱包用コーナー支持部材

【課題】矩形のパネル材の積層体における個々のパネル材への荷重を除去しつつ、その全体を確実に包囲して容易に梱包できるコーナー支持部材を提供する。
【解決手段】コーナー支持部材2は、複数が架台1上に上下に積み重なって積層柱を形成し、それぞれが各パネル材Pの四隅を載せ受ける。コーナー支持部材2は、パネル材Pの外隅角部に当接す直交壁5と、この直交壁5から水平に延出しパネル材Pの隅部の下面を載せ受ける荷重受け部6とを具備する。直交壁5は、内側嵌合溝55、内向き嵌合片56、外側嵌合溝57、外向き嵌合片58を持ち、それぞれ別のコーナー支持部材2の外向き嵌合片58と内側嵌合溝55、内向き嵌合片56と外側嵌合溝57が嵌合可能である。下部支持部材3は、ベース部31で架台1上に固着される。係合部32がコーナー支持部材2の嵌合片58、外側嵌合溝57に嵌合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽電池モジュールのような矩形のパネル材を、個々のパネル材に荷重がかからないように、水平に多数積み重ねて梱包するためのコーナー支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば太陽電池モジュールについては、これを製造工場から設置現場まで搬送し、あるいは保管する際に、外力による損傷を受けることがないように保護しつつ、コンパクトに梱包することが求められている。
一方、設置現場においては、梱包材の処理に大きな労力を要することが問題となっており、また包装資材の使い捨てによる資源の浪費が指摘されている。
このような課題を解決するため、水平に積み重ねられる太陽電池モジュールを確実に保管するモジュール方式の差込みシステムが特許文献1に提案されている。このシステムにおいては、合成樹脂の一体成型により安価に製造できる小型で安定的な個別要素である成形品部材を積み重ねて荷重除去柱を形成する。個々の成形品部材の各々は、内側に光起電力モジュール用載置装置としての荷重受止め支持異形材と、上側又は下側に1つ又は複数のほぞ又はさねと、下側又は上側に、ほぞを精確なはまり合いで受入れる1つ又は複数の開いた空所又はさねを受入れる溝とを持っている。各成形品部材が個々のモジュールの荷重を支持するから、高い積み重ね高さでも確定な輸送を保証し、一番下にあるモジュールの損傷の危険を除くことができる。ボール箱によるモジュールの個別包装を不要にし、包装費用を全体として必要な最小値に減少し、また個別成形品部材はモジュール製造者へ送り返され、多数の流通で再び使用されることができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−32978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の梱包装置においては、パレットの四隅に、成形品部材を積み重ねて形成される荷重除去柱は、各荷重受け止め異形材同士がほぞとさねとで上下に嵌合しているだけであるため、多数の太陽電池モジュールの積層体をその四隅において支持する柱としては、それだけでは十分な安定性がない。この問題点は、太陽電池モジュールに限らず、これと同程度の慎重な取り扱いが求められる他の矩形のパネル材の梱包装置に共通である。
したがって、この出願に係る発明は、太陽電池モジュールのような矩形のパネル材の積層体における個々のパネル材への荷重を除去しつつ、これを安定して支持し、積層状態での自立安定性の高いコーナー支持部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、添付図面の符号を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、この出願に係る発明のパネル材Pの梱包用コーナー支持部材2は、矩形板状のパネル材Pを架台1上に水平に多数段に積み重ねて梱包する際に、パネル材Pの四隅の外側に直立するように複数が上下に積み重ねられ
て積層柱4を形成し、それぞれが各パネル材Pの四隅を載せ受けるものであって、 水平に配置されるパネル材Pの外隅角部に当接するように起立する直交壁5と、この直交壁5ら水平に延出しパネル材Pの隅部の下面を載せ受ける荷重受け部6とを具備する。直交壁5は、直角の内側面51と外側面52、平な上下面53,54を有し、内側面51の上部には、水平に延びる内側嵌合溝55が開放し、これと上面53との間に内向き嵌合片56が形成される。外側面52の下部には、水平に延びる外側嵌合溝57が開放し、これと下面54との間に外向き嵌合片56が形成される。外向き嵌合片56は下方の他のコーナー支持部材2の内側嵌合溝55と、内向き嵌合片56は上方の他のコーナー支持部材2の外側嵌合溝57と、最下部に置かれるコーナー支持部材2の外向き嵌合片56は架台1上の下部支持部材3の嵌合凹部37と、また外側嵌合溝57は下部支持部材3の嵌合突部35と、それぞれ水平方向に嵌合可能である。荷重受け部6は、直交壁5の内側嵌合溝55の下方にパネル材Pの厚さ寸法より大なる間隔をおいて直交壁5の内側面51から水平に延出する。
【発明の効果】
【0006】
この出願に係る発明のコーナー支持部材2によれば、積み重ねられる矩形のパネル材Pにおける個々のパネル材への荷重を除去しつつ、これを安定して支持することができ、積層状態での自立安定性が高く、側壁板で外周を包囲しなくても転倒するおそれがなく、梱包が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係るコーナー支持部材を用いた梱包状態の分解斜視図である。
【図2】本発明に係るコーナー支持部材を用いた梱包状態の概略的斜視図である。
【図3】本発明に係るコーナー支持部材を用いた梱包状態の一部の概略的斜視図である。
【図4】本発明に係るコーナー支持部材と下部支持部材の概略的斜視図である。
【図5】本発明に係るコーナー支持部材と下部支持部材の概略的斜視図である。
【図6】本発明に係るコーナー支持部材を用いた梱包状態の一部の平面図である。
【図7】本発明に係るコーナー支持部材を用いた梱包状態の一部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
図1に示すように、パネル材Pを梱包するための積層は、架台1と、架台1の四隅に柱状に積み重ねられる複数のコーナー支持部材2と、コーナー支持部材2を支持する下部支持部材3とで行われる。
【0009】
架台1は、その上に水平に積み重ねられる多数のパネル材Pを載せ受ける。下部支持部材3は、架台1上に置かれるパネル材Pの四隅の外側に位置するように、架台1上に固着される。コーナー支持部材2は、最下部のものが下部支持部材3に係合し、複数が架台1上に上下に積み重なって積層柱4を形成し、それぞれが各パネル材Pの四隅を載せ受ける。
【0010】
図4に示すように、コーナー支持部材2は、水平に配置されるパネル材Pの外隅角部に当接するように起立する直交壁5と、この直交壁5から水平に延出し、パネル材Pの隅部の下面を載せ受ける荷重受け部6とを具備する。
【0011】
直交壁5は、パネル材Pの外隅角部に当接する平面視直角の内側面51と、この内側面51と平行な直角の外側面52と、内外側面51,52と直角で、互いに水平で平行な上下面53,54とを具備する。水平に延びる内側嵌合溝55が、内側面51の上部に開放している。この内側嵌合溝55と上面53との間に内向き嵌合片56が画成される。水平に延びる外側嵌合溝57が、外側面52の下部に開放している。この外側嵌合溝57と下面54との間に外向き嵌合片55が画成される。図6に示すように、外向き嵌合片55は、下方に配置される他のコーナー支持部材2の内側嵌合溝55と、また内向き嵌合片56は、上方に配置される他のコーナー支持部材2の外側嵌合溝57とそれぞれ水平方向に嵌合可能である。
【0012】
コーナー支持部材2の荷重受け部6は、直交壁5の内側嵌合溝55の下方にパネル材Pの厚さ寸法より大なる間隔をおいて内側面51から水平に延出する。
【0013】
図4に示すように、下部支持部材3は、架台1上に固着される板状のベース部31と、ベース部31の外縁に形成される係合部32とを具備する。係合部32は、起立片33と、内向き延出片34と、屈折片35とからなり、これらにより嵌合凹部37と嵌合突部35とが形成される。
【0014】
ベース部31は、架台1上に配置されるパネル材Pの隅角と平行になる外側直交辺36を有し、起立片33が、この直交辺32から直角に起立する。内向き延出片34は、起立片33の上縁から水平に延出し、先端に、直角に起立する屈折片35を有する。内向き延出片34と屈折片35とで嵌合突部35が形成され、内向き延出片34とベース部31との間に嵌合凹部37が形成される。図6に示すように、嵌合凹部37には、最下部のコーナー支持部材2の外向き嵌合片55が水平方向に嵌合する。嵌合突部35は、コーナー支持部材2の外側嵌合溝57へ水平方向に嵌合する。
【0015】
パネル材Pを梱包する場合、架台1の四隅の下部支持部材3に4つのコーナー支持部材2を嵌め合わせ、架台1上に配置する。架台1上に置かれた4つのコーナー支持部材2の荷重受け部6上に、四隅を配置するようにパネル材Pを置く。パネル材Pの四隅の2側面は、直交壁5の内側面51に接近、あるいは当接して対向し、その水平方向の位置が規制される。この状態で、内側嵌合溝55は、パネル材Pの上面よりわずかに上位にある。次いで、当該コーナー支持部材2に、内側から別のコーナー支持部材2を水平方向に嵌め合わせ、上に積み重ねる。上下のコーナー支持部材2の直交方向の嵌合溝55と、嵌合片58とが水平方向に嵌合するので、結合が強固である。このコーナー支持部材2の荷重受け部6上に別のパネル材Pを置き、順次コーナー支持部材2とパネル材Pを交互に重ねていく。積層されたコーナー支持部材2は、それぞれがパネル材Pを支持しつつ、垂直の積層柱7を形成する。最下部のコーナー支持部材2が下部支持部材3によって支持され、かつ個々のコーナー支持部材2同士が、直角方向に向いた嵌合溝55,57と嵌合片57,58により確実に結合されるので、位置ずれしたり、転倒したりするおそれがない。所定枚数のパネル材Pが積み終わったら、必要に応じ、外側からカバーを掛けたり、全体に締め付けバンドを掛けて結束したりすることができる。
【0016】
上記のように梱包されたパネル材Pが使用現場等に搬送される。梱包を解いて、コーナー支持部材2を一つずつ取り外しながら、パネル材Pを取り出す。コーナー支持部材2は、バンドで架台1と結合するなどして、コンパクトに梱包し、再使用のためにパネル材の製造業者等の元へ確実に返送することができる。
【符号の説明】
【0017】
1 架台
2 コーナー支持部材
3 下部支持部材
31 ベース部
32 係合部
33 起立片
34 内向き延出片
35 屈折片
36 直交片
37 嵌合凹部
35 嵌合突部
4 積層柱
5 直交壁
51 内側面
52 外側面
53 上面
54 下面
55 内側嵌合溝
56 内向き嵌合片
57 外側嵌合溝
58 外向き嵌合片
6 荷重受け部
P パネル材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形板状のパネル材を架台上に水平に多数段に積み重ねて梱包する際に、パネル材の四隅の外側に直立するように複数が上下に積み重ねられて積層柱を形成し、それぞれが各パネル材の四隅を載せ受けるコーナー支持部材であって、
水平に配置される前記パネル材の外隅角部に当接するように起立する直交壁と、この直交壁から水平に延出しパネル材の隅部の下面を載せ受ける荷重受け部とを具備し、
前記直交壁は、前記パネル材の外隅角部に当接する直角の内側面と、この内側面と平行な直角の外側面と、平らで互いに平行な上下面と、内側面の上部に開放し水平に延びる内側嵌合溝と、この内側嵌合溝と上面との間に画成される内向き嵌合片と、外側面の下部に開放し水平に延びる外側嵌合溝と、この外側嵌合溝と下面との間に画成される外向き嵌合片とを備え、
前記内側嵌合溝は当該コーナー支持部材の上に置かれる他のコーナー支持部材の外向き嵌合片と、また前記外側嵌合溝は当該コーナー支持部材の下に置かれる他のコーナー支持部材の内向き嵌合片又は前記架台上の下部支持部材の嵌合突部と、最下部に置かれるコーナー支持部材の外向き嵌合片は架台上の下部支持部材の嵌合凹部と、それぞれ水平方向に嵌合可能に設けられ、
前記荷重受け部は、前記直交壁の内側嵌合溝の下方に前記パネル材の厚さ寸法より大なる間隔をおいて直交壁の内側面から水平に延出することを特徴とするパネル材の梱包用コーナー支持部材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−178450(P2011−178450A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45919(P2010−45919)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(000108708)タキゲン製造株式会社 (256)
【Fターム(参考)】