説明

パネル構造体の製造方法

【課題】面板の一方の面にフレームが設けられているパネル構造体で、面板とフレームとの溶接信頼性を高める。
【解決手段】面板17にフレーム20を接合する際には、フレーム方向Yにおけるフレームの各溶接位置のうち、まず、フレーム方向Yの中央部の溶接位置Aを面板に溶接する。その後、中央部の溶接位置Aを基準にして、フレーム方向Yの(+)Y側で、中央部の溶接位置Aに最も近い未溶接の溶接位置Aを面板に溶接し、次に、中央部の溶接位置Aを基準にして、フレーム方向Yの(−)Y側で、中央部の溶接位置Aに最も近い未溶接の溶接位置Aを面板に溶接する。以降、フレーム方向Yの(+)Y側の未溶接の溶接位置A,A,Aの溶接と、フレーム方向Yの(−)Y側の未溶接の溶接位置A,Aの溶接とを、交互に繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面板の一方の面に、フレームを接合させて製造するパネル構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パネル構造体としては、例えば、以下の特許文献1に開示されているものがある。
【0003】
このパネル構造体は、面板と、この面板の一方の面に互いに平行に設けられている複数のリブと、この一方の面に、これらのリブの延びているリブ方向に対して交差する方向で互いに平行に設けられている複数のフレームとを有している。
【0004】
このパネル構造体は、面板の一方の面に複数のリブが互いに平行に設けられているスキンパネルを製造した後、このスキンパネルの一方の面に複数のフレームを溶接することで、製造される。フレームをスキンパネルに溶接する際、スキンパネルの面板上であって、複数のリブ相互間の部分とフレームとを断続的に溶接することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6364250号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、2つの部材を溶接する際には、溶接信頼性を高めるため、2つの部材の相互間隔ができる限り小さいことが好ましい。ところで、上記パネル構造体を製造する過程で、スキンパネルの面板上における複数のリブ相互間の各部分とフレームとを断続的に溶接する際、各溶接部は熱影響で変形するため、溶接する順番によっては、リブ相互間の部分とフレームとの相互間隔が大きくなり、溶接信頼性が低下することが予想される。
【0007】
そこで、本発明は、面板に対するフレームの溶接信頼性を高めることができるパネル構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するための発明に係るパネル構造体の製造方法は、
面板の一方の面に、フレームを接合させて製造するパネル構造体の製造方法において、
前記接合では、第一フレームの材軸方向の基準位置を前記一方の面に第一溶接し、該第一溶接した後、該材軸方向で該基準位置に最も近い未溶接位置を前記一方の面に第二溶接し、以降、該基準位置を基準にした該材軸方向の両側の部分に関し、該基準位置に最も近い未溶接位置から、該一方の面に断続的に溶接することを特徴とする。
【0009】
また、上記問題点を解決するための発明に係るパネル構造体の製造方法は、
面板の一方の面に、複数のリブが互いに平行に設けられていると共に、該リブの延びているリブ方向に対して交差するよう、フレームが接合されているパネル構造体の製造方法において、
前記面板の前記一方の面に、前記複数のリブが互いに平行に設けられているスキンパネルを製造するスキンパネル製造工程と、前記スキンパネルの前記面板の前記一方の面に、前記フレームを接合する接合工程と、を実行し、
前記接合工程では、前記一方の面中の前記複数のリブで区切られている各区間に対向する前記フレームの溶接位置のうち、該フレームが延びている材軸方向で、中央部の溶接位置を該一方の面に溶接し、該中央部の溶接位置を溶接した後、該中央部の溶接位置を基準にした該該材軸方向の両側の部分に関し、該中央部の溶接位置に近い溶接位置から、該一方の面に断続的に溶接する、ことを特徴としてもよい。
【0010】
当該製造方法では、材軸方向において、まず、フレームの基準位置(中央部の溶接位置)を面板に溶接し、その後、両外側に向かって、基準位置に近い位置から面板に順次溶接しているので、フレームの溶接位置と面板と間に隙間が形成されたとしても、簡単に隙間を無くすことができる。これは、全溶接位置の溶接が完了するまでのいずれの時点でも、面板中の未溶接の溶接位置は、フレームによる片持ち支持であるため、フレーム中の溶接済み溶接位置に隣接した外側の未溶接の溶接位置を溶接する際、面板をこの外側の溶接位置に軽く押し付けるだけで、面板をフレーム中の未溶接の溶接位置に接触させることができるからである。しかも、フレーム中の外側の溶接位置を溶接する毎に、溶接による熱影響で、面板がフレームから離れる方向へ変形したとしても、フレーム中の外側の溶接位置を溶接する毎に、面板をこの外側の溶接位置に軽く押付け、面板をこの外側の溶接位置に接触させて状態で溶接することで、溶接毎の変形の蓄積を最小限に抑えることができる。
【0011】
よって、当該製造方法によれば、面板とフレームとの溶接信頼性を高めることができる。
【0012】
ここで、前記パネル構造体の製造方法において、
前記基準位置は、前記フレームの前記材軸方向の中央部の位置であることが好ましい。
【0013】
基準位置がフレームの材軸方向の中央部の位置であると、溶接毎に面板の変形が多少あったとしても、基準位置を基準として材軸方向の両端の各位置において、変形の蓄積量を抑えることができる。
【0014】
また、前記パネル構造体の製造方法において、
前記フレームの前記基準位置を第一溶接した後、該基準位置を基準にして前記材軸方向の一方の側であって、該基準位置に最も近い未溶接位置を第二溶接し、次に、該基準位置を基準にして該材軸方向の他方の側であって、該基準位置に最も近い未溶接位置を第三溶接し、以降、該第二溶接と該第三溶接とを交互に断続的に実行してもよい。
【0015】
当該製造方法では、基準位置を基準にして、材軸方向の両側の面板の溶接変形をほぼ均等にすることができ、一方の側に偏った溶接変形を抑えることができ、結果として、溶接変形量を抑えることができる。
【0016】
また、前記パネル構造体の製造方法において、
前記第一フレームに平行に配された第二フレームも前記一方の面に接合する場合、前記第一フレームにおける各溶接のうち直前の溶接後であってその直後の溶接の前に、直前の溶接位置に対応する前記第二フレームの未溶接位置を前記一方の面に溶接してもよい。また、前記第一フレームを基準にして前記第二フレームとは反対側に前記第一フレームと平行に配された第三フレームも前記一方の面に接合する場合、前記第二フレームの溶接とその直後になされる第一フレームの溶接との間に、直前の溶接位置に対応する前記第三フレームの未溶接位置を前記一方の面に溶接してもよい。
【0017】
また、前記パネル構造体の製造方法において、
前記第一フレームを含む複数のフレームを互いに平行に前記一方の面に接合する場合、前記第一フレーム中おける各溶接のうち直前の溶接後であってその直後の溶接の前に、前記第一フレームの前記直前の溶接の位置に対応する各フレームの未溶接位置を、前記直前の溶接の位置に最も近い未溶接位置から順に断続的に溶接してもよい。
【0018】
また、前記パネル構造体の製造方法において、
前記第一フレームを含む複数のフレームを互いに平行に前記一方の面に接合する場合、
前記第一フレーム中で溶接する複数の位置のうち、一の未溶接位置のみを部分溶接する第一フレーム溶接を実行し、次に、前記複数のフレームが並んでいるフレーム並び方向で前記第一フレームに最も近い前記一方の面上のフレーム溶接位置に、他のフレーム中で前記一の未溶接位置に対応する未溶接位置のみを部分溶接する第二フレーム溶接を実行し、
全てのフレームに関して、各フレーム中で前記一の未溶接位置に対応する未溶接位置のみを部分溶接するフレーム溶接が完了するまで、前記一方の面上で、該第一フレームに最も近いフレーム未溶接位置から、断続的にフレーム溶接を実行し、以降、前記全てのフレームに関して、各フレーム中で溶接する全ての位置の溶接が完了するまで、前記第一フレーム溶接、前記第二フレーム溶接、該第二フレーム溶接に続くフレーム溶接を繰り返して実行してもよい。
【0019】
この場合、前記第二フレーム溶接後に、前記一方の面上で、前記第一フレームを基準にして該第二フレーム溶接の位置とは逆の前記フレーム並び方向の側であって、該第一フレームに最も近い未溶接のフレーム溶接位置にさらに他のフレームを第三フレーム溶接し、以降、前記第二フレーム溶接と前記第三フレーム溶接とを交互に実行してもよい。
【0020】
以上の複数のフレームを有するパネル構造体の製造方法では、フレーム並び方向において、面板上の基準のフレーム溶接位置にフレームを溶接し、その後、両外側に向かって各フレーム溶接位置にフレームを順次溶接するので、面板とフレームとの間に隙間が形成されたとしても、簡単に隙間を無くすことができる。これは、全フレーム溶接位置へのフレームの溶接が完了するまでのいずれの時点でも、面板中の未溶接の溶接位置は、片持ち支持であるからである。しかも、フレームを面板上のフレーム溶接位置を溶接する毎に、溶接による熱影響で、面板がフレームから離れる方向へ変形したとしても、フレームを溶接する毎に、面板をフレームに軽く押付け、面板をフレームに接触させて状態で溶接することで、溶接毎の変形の蓄積を最小限に抑えることができる。
【0021】
また、パネル構造体の製造方法において、
前記一方の面の前記フレームが並んでいる方向の中央部に、前記第一フレームを溶接してもよい。
【0022】
当該製造方法では、第一フレームをフレーム並び方向の中央部に溶接すると、各フレーム溶接毎に面板の変形が多少あったとしても、第一フレームを基準としてフレーム並び方向の両端の各位置において、変形の蓄積量を抑えることができる。
【0023】
また、前記パネル構造体の製造方法において、
前記面板の前記一方の面と前記フレームとの溶接は、摩擦攪拌接合であってもよい。
【0024】
溶加材を用いない溶接の一種である摩擦攪拌接合では、溶接対象物の相互間に隙間があっても、この隙間を溶加材によって埋めることができない。このため、以上の製造方法を実行して、溶接対象物の相互間の隙間を簡単に無くすことで、摩擦攪拌接合の信頼性を高めることができる。
【0025】
また、前記パネル構造体の製造方法において、
前記フレームは、前記一方に面に対向するフランジ部と、該フランジ部から該一方の面から遠ざかる向きに立ち上がっているフレーム本体と、を有し、前記面板の前記一方の面と前記フレームの前記フランジ部とを前記摩擦攪拌接合してもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明では、溶接変形等に起因して、面板とフレームとの間に隙間が形成されたとしても、この隙間を簡単に無くすことができるので、溶接信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る一実施形態におけるパネル構造体の斜視図である。
【図2】本発明に係る一実施形態における単位スキンパネルの正面図である。
【図3】本発明に係る一実施形態におけるスキンパネルの正面図である。
【図4】図1におけるIV矢視図である。
【図5】図4におけるV−V線断面図である。
【図6】図4におけるVI−VI線断面図である。
【図7】本発明に係る一実施形態におけるパネル構造体の製造手順を示すフローチャートである。
【図8】図7におけるステップ20での処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係るパネル構造体の製造方法の実施形態について、図面を用いて説明する。このパネル構造体は、例えば、軌道系車両の外壁板の構成材料として利用される。
【0029】
まず、本実施形態のパネル構造体の構成について説明する。
【0030】
本実施形態のパネル構造体は、図1に示すように、面板17と、この面板17の一方の面に互いに平行に設けられているn(nは2以上の自然数)個のリブ12と、この一方の面に、これらのリブ12の延びている方向に対して交差する方向で互いに平行に設けられているm(mは2以上の自然数)個のフレーム20とを有している。なお、以下の説明の都合上、リブ12が延びている方向をリブ方向(フレーム並び方向)Xとし、フレーム20が延びている方向をフレーム方向(材軸方向)Yとする。
【0031】
リブ12は、図1及び図4に示すように、面板17の一方の面から垂直に立ち上がっているリブ本体13と、リブ本体13の端部から面板17と平行な方向に延びているフランジ部14と、を有している。すなわち、リブ12は、リブ方向Xに垂直な断面の形状がL型を成し、Lの一方の腕部分がリブ本体13を成し、Lの他方の腕部分がフランジ部14を成している。
【0032】
フレーム20は、図1及び図5に示すように、面板17の一方の面から立上がっているフレーム本体23と、面板17に対向し、フレーム本体23の面板17側の端部からリブ方向Xの一方の側に延びている第一フランジ部21と、面板17に対向し、フレーム本体23の面板17から遠い側の端部からリブ方向Xの他方の側に延びている第二フランジ部22と、を有している。すなわち、フレーム20は、フレーム方向Yに垂直な断面の形状がZ型を成し、Zの一方の腕部分が第一フランジ部21を成し、Zの他方の腕部分が第二フランジ部22を成している。
【0033】
また、このフレーム20には、図1、図4及び図6に示すように、フレーム方向Yに対して垂直な方向に貫通して、リブ12との干渉を避ける切欠25が形成されている。この切欠25は、第一フランジ部21とフレーム本体23とに形成されている。
【0034】
次に、以上で説明したパネル構造体の製造方法について、図7に示すフローチャートに従って説明する。
【0035】
まず、図1及び図2に示すように、一つのリブ12と、面板17と同じ厚さの単位板11とからなる単位スキンパネル15を成形する(S1)。単位板11のリブ方向Xの長さは、面板17のリブ方向Xの長さと同一である。また、単位板11のフレーム方向Yの長さは、面板17のフレーム方向Yの長さの1/nの長さである。面板17は、n枚の単位板11をフレーム方向Yに並べて、互いに接合したものである。
【0036】
単位スキンパネル15は、リブ方向Xに垂直な断面の形状に対応した孔が形成されている型から、例えば、加熱により軟化しているアルミ合金を押出して、単位スキンパネル15を成形する。
【0037】
次に、図3に示すように、複数の単位スキンパネル15の単位板11相互を接合して、スキンパネル10を製造する(S2)。この際、単位スキンパネル15を構成する単位板11のフレーム方向Yの端縁と、他の単位スキンパネル15を構成する単位面板17のフレーム方向Yの端縁とを接合する。
【0038】
なお、本実施形態では、複数の単位スキンパネル15の単位板11相互を接合して、スキンパネル10を製造しているが、パネル構造体の面板17を形成する一枚の板の一方の面に、複数のリブ12を互いに平行に溶接することで、スキンパネル10を製造してもよい。
【0039】
以上のように製造されたスキンパネル10は、パネル構造体の面板17の一方の面に、n個のリブ12が互いに平行に設けられたものである。パネル構造体は、このスキンパネル10の面板17の一方の面に、リブ方向Xにm個のフレーム20を互いに平行に設けたものである。よって、スキンパネル10には、フレーム20が溶接されるフレーム溶接位置として、リブ方向Xに並ぶm箇所のフレーム溶接位置がある。
【0040】
次に、フレーム20中のフレーム方向(材軸方向)Yにおける中央部の溶接位置をフレームの特定溶接位置に設定する(S3)。
【0041】
フレーム20中の溶接位置は、そのフレーム方向Yで、スキンパネル10の一方の面に設けられたn個のリブ12により、(n+1)箇所に分断されている。そこで、本実施形態では、フレーム20中の(n+1)箇所の溶接位置のうち、まず、フレーム方向(材軸方向)Yで中央部の溶接位置(基準位置)を、このフレーム20の特定溶接位置とする。
【0042】
ここで、フレーム方向Yで、フレーム20中の中央部の溶接位置とは、(n+1)箇所の溶接位置のうち、フレーム方向Yの一方の端の溶接位置から数と、他方の端の溶接位置からの数とが一致する箇所の溶接位置の一溶接位置である。具体的に、(n+1)が奇数個、例えば、7箇所の溶接位置がある場合、フレーム方向Yの一方の端の溶接位置から4番目で、フレーム方向Yの他方の端の溶接位置からも4番目の溶接位置が中央部の溶接位置となる。また、(n+1)が偶数個、例えば、8箇所の溶接位置がある場合、フレーム方向Yの一方の端の溶接位置から4番目の溶接位置と、フレーム方向Yの他方の端の溶接位置から4番目の溶接位置とのうち、一の溶接位置が中央部の溶接位置となる。
【0043】
次に、スキンパネル10のリブ方向(フレーム並び方向)Xに並ぶm箇所のフレーム溶接位置のうち、リブ方向Xで中央部のフレーム溶接位置(フレーム基準位置)に一のフレーム(第一フレーム)20の特定溶接位置を溶接する(S4)。
【0044】
ここで、リブ方向Xで中央部のフレーム溶接位置とは、前述のm箇所のフレーム溶接位置のうち、リブ方向Xの一方の端のフレーム溶接位置から数と、他方の端のフレーム溶接位置からの数とが一致する箇所の溶接位置の一の溶接位置である。具体的に、mが奇数個、例えば、3箇所のフレーム溶接位置がある場合、リブ方向Xの一方の端のフレーム溶接位置から2番目で、リブ方向の他方の端のフレーム溶接位置からも2番目の溶接位置が中央部の溶接位置となる。また、mが偶数個、例えば、4箇所のフレーム溶接位置がある場合、リブ方向Xの一方の端のフレーム溶接位置から2番目のフレーム溶接位置と、リブ方向Xの他方の端のフレーム溶接位置から2番目のフレーム溶接位置とのうち、一の溶接位置が中央部の溶接位置となる。
【0045】
本実施形態において、フレーム20中の溶接位置とスキンパネル10上の対応部との溶接は、摩擦攪拌接合法を採用する。この摩擦攪拌接合では、図5に示すように、フレーム20の第一フランジ部21とスキンパネル10の面板17とを重ね合わせ、この重なり合っている部分に、回転ツール30を回転させつつ押付けて、この回転ツール30をフレーム方向Yに移動させる。この摩擦攪拌接合では、重ね合わせ部分を形成する材料を塑性流動させることで、重なり合っている部材相互を接合する。なお、図5の例では、面板17に対して、フレーム20を接合する側から回転ツール30を近づけているが、面板17に対して、フレーム20を接合する側とは反対側から回転ツール30を近づけて、面板17とフレーム20とを接合してもよい。
【0046】
この溶接(S4)で、全てのフレーム溶接位置に、全てのフレーム20の特定溶接位置の溶接が完了していなければ(S5)、中央部のフレーム溶接位置を基準にして、リブ方向Xの一方の側であって、中央部のフレーム溶接位置に最も近い未溶接のフレーム溶接位置に、他のフレーム20の特定溶接位置を溶接する(S6)。
【0047】
この溶接(S6)でも、全てのフレーム溶接位置に、全てのフレーム20の特定溶接位置の溶接が完了していなければ(S7)、中央部のフレーム溶接位置を基準にして、リブ方向Xの他方の側であって、中央部のフレーム溶接位置に最も近い未溶接のフレーム溶接位置に、他のフレーム(第2フレーム)20の特定溶接位置を溶接する(S8)。
【0048】
さらに、この溶接(S8)でも、全てのフレーム溶接位置に、全てのフレーム20の特定溶接位置の溶接が完了していなければ(S9)、再び、ステップ6に戻り、以下、全てのフレーム溶接位置に、全てのフレーム(第3フレーム)20の特定溶接位置の溶接が完了するまで、ステップ7〜9,6の処理を繰り返して実行する。
【0049】
一方、ステップ6,8の溶接で、全てのフレーム溶接位置に、全てのフレーム20の特定溶接位置の溶接が完了していれば(S7,9)、全てのフレームの全ての溶接位置を溶接したか否かを判断する(S10)。
【0050】
ステップ10で、全てのフレームの全ての溶接位置を溶接したと判断すると、一連の処理を終了する。一方、ステップ10で全てのフレームの全ての溶接位置を溶接していないと判断すると、フレーム中の新たな特定溶接位置を設定して(S20)、ステップ4に戻り、各フレームの特定溶接位置を溶接する。
【0051】
次に、図8に示すフローチャートに従って、上記ステップ20の詳細手順について説明する。
【0052】
まず、前回の特定溶接位置は、フレーム中のフレーム方向Yにおける中央部の溶接位置を基準にして、一方の側の溶接位置であったか否かを判断する(S21)。
【0053】
このステップ21で、前回の特定溶接位置は、フレーム中のフレーム方向Yにおける中央部の溶接位置を基準にして、一方の側((+)Y側)の溶接位置でなかった、つまり、他方の側((−)Y側)の溶接位置又は中央部の溶接位置であった、と判断すると、フレーム中のフレーム方向Yにおける中央部の溶接位置を基準にして、一方の側((+)Y側)の溶接位置であって、中央部に最も近い未溶接の溶接位置を特定溶接位置に設定する(S22)。
【0054】
また、このステップ21で、前回の特定溶接位置は、フレーム中のフレーム方向Yにおける中央部の溶接位置を基準にして、一方の側((+)Y側)の溶接位置であった、と判断すると、フレーム中のフレーム方向Yにおける中央部の溶接位置を基準にして、他方の側((−)Y側)の溶接位置であって、中央部に最も近い未溶接の溶接位置を特定溶接位置に設定する(S23)。
【0055】
以上の、ステップ22又はステップ23の処理で特定溶接位置が設定されると、ステップ20の処理が完了し、ステップ4に戻り、このステップ4で、ステップ20で設定された特定溶接位置を前述したように溶接する。
【0056】
具体的に、図1の例では、まず、リブ方向(フレーム並び方向)Xにおけるスキンパネル10上のフレーム溶接位置A,B,Cのうち、リブ方向Xにおける中央部のフレーム溶接位置Aに、一のフレーム20を溶接する。この際、フレーム20中の各溶接位置A,A,…,Aのうち、フレーム方向(材軸方向)Yにおける中央部の溶接位置Aを特定溶接位置として、この特定溶接位置のみをスキンパネル10上のフレーム溶接位置Aに溶接する。
【0057】
次に、リブ方向Xにおけるスキンパネル10上のフレーム溶接位置A,B,Cのうち、中央部のフレーム溶接位置Aを基準にして、リブ方向Xの(+)X側のフレーム溶接位置Bにフレーム20を溶接する。このフレーム溶接の際も、前述と同様、フレーム20中のフレーム方向Yにおける中央部の溶接位置Bを特定溶接位置として、この特定溶接位置のみをスキンパネル10上のフレーム溶接位置Bに溶接する。
【0058】
次に、リブ方向Xにおけるスキンパネル10上のフレーム溶接位置A,B,Cのうち、中央部のフレーム溶接位置Aを基準にして、リブ方向Xの(−)X側のフレーム溶接位置Cにフレーム20を溶接する。このフレーム溶接の際も、前述と同様、フレーム20中のフレーム方向Yにおける中央部の溶接位置Cを特定溶接位置として、この特定溶接位置のみをスキンパネル10上のフレーム溶接位置Cに溶接する。
【0059】
全てのフレームに関して、各フレームの特定溶接位置のスキンパネル10への溶接が完了していなければ、中央部のフレーム溶接位置Aを基準にして、リブ方向Xの(+)X側のフレーム溶接位置への残りのフレームの特定溶接位置の溶接と、リブ方向Xの(−)X側のフレーム溶接位置への残りのフレームの特定溶接位置の溶接とを交互に繰り返して実行する。
【0060】
全てのフレームに関して、各フレームの特定溶接位置A,B,C,のスキンパネル10への溶接が完了していれば、リブ方向Xにおけるスキンパネル10上の中央部のフレーム溶接位置Aに対して、フレーム20中の新たな特定溶接位置を溶接する。この際、フレーム20の中央部の溶接位置Aを基準にして、フレーム方向Yの(+)Y側であって、中央部の溶接位置Aに最も近い未溶接の溶接位置Aを、新たな特定溶接位置とする。
【0061】
次に、スキンパネル10上のフレーム溶接位置Bに対して、フレーム20の新たな特定溶接位置を溶接する。この際、フレーム20の中央部の溶接位置Bを基準にして、フレーム方向Yの(+)Y側であって、中央部の溶接位置Bに最も近い未溶接の溶接位置Bを、新たな特定溶接位置とする。
【0062】
次に、スキンパネル10上のフレーム溶接位置Cに対して、フレーム20の新たな特定溶接位置を溶接する。この際、フレーム20の中央部の溶接位置Cを基準にして、フレーム方向Yの(+)Y側であって、中央部の溶接位置Cに最も近い未溶接の溶接位置Cを、新たな特定溶接位置とする。
【0063】
全てのフレームに関して、各フレームの特定溶接位置のスキンパネル10への溶接が完了していなければ、中央部のフレーム溶接位置Aを基準にして、リブ方向Xの(+)X側のフレーム溶接位置への残りのフレームの特定溶接位置の溶接と、リブ方向Xの(−)X側のフレーム溶接位置への残りのフレームの特定溶接位置の溶接とを交互に繰り返して実行する。
【0064】
全てのフレームに関して、各フレームの特定溶接位置A,B,C,のスキンパネル10への溶接が完了していれば、リブ方向Xにおけるスキンパネル10上の中央部のフレーム溶接位置Aに対して、フレーム20中の新たな特定溶接位置を溶接する。この際、フレーム20の中央部の溶接位置Aを基準にして、フレーム方向Yの(−)Y側であって、中央部の溶接位置Aに最も近い未溶接の溶接位置Aを、新たな特定溶接位置とする。
【0065】
以下、本実施形態では、溶接位置B→溶接位置C→溶接位置A→溶接位置B→溶接位置C→溶接位置A→溶接位置B→溶接位置C→溶接位置A→溶接位置B→溶接位置C→溶接位置A→溶接位置B→溶接位置C→溶接位置A→溶接位置B→溶接位置Cを順次溶接する。
【0066】
すなわち、本実施形態では、リブ方向Xにおけるスキンパネル10上のフレーム溶接位置A,B,Cのうち、中央部のフレーム溶接位置Aに関して、まず、溶接を実行する。次に、この中央部のフレーム溶接位置Aを基準にして、リブ方向Xの(+)X側のフレーム溶接位置Bと(−)Y側のフレーム溶接位置Cとを交互に繰り返して溶接する。さらに、本実施形態では、一のフレーム溶接位置(例えば、溶接位置A)への一のフレーム20の溶接に着目した場合、まず、フレーム20中のフレーム方向Yの中央部の溶接位置Aを溶接する。次に、このフレーム20の全ての溶接位置の溶接が完了するまで、この中央部の溶接位置Aを基準にして、フレーム方向Yの(+)Y側の溶接位置A,A,A,Aと、(−)Y側の溶接位置A,A,Aと、とを交互に繰り返して溶接する。
【0067】
ここで、一つのフレーム20をスキンパネル10上の一の溶接位置に溶接する際、以上で説明した溶接順序と逆に、フレーム方向Yにおいて、フレーム20の両外側の溶接位置を溶接してから、中央部に向かって各溶接位置を順次溶接したとする。
【0068】
この場合、フレーム20の両外側の溶接位置を溶接した時点で、両外側の溶接位置の溶接による熱影響でスキンパネル10が変形し、フレーム20の中央部の溶接位置とスキンパネル10との間に比較的大きな隙間が生じたとする。スキンパネル10の未溶接位置は、この時点で、フレーム20により既に両持ち支持状態になっている。このため、フレーム20中の溶接済み溶接位置に隣接した中央側の溶接位置を溶接する際、スキンパネル10をこの中央側の溶接位置に比較的大きな力で押付けなければ、スキンパネル10はこの中央側の溶接位置に接触しない。特に、最後に中央部の溶接位置を溶接する際には、フレーム方向Yで、スキンパネル10中の未溶接長さが短くなっている、言い換えると、フレーム20による両支持間隔が短くなっているため、スキンパネル10を中央部の溶接位置に非常に大きな力で押付けなければ、スキンパネル10はこの中央部の溶接位置に接触しない。
【0069】
しかも、フレーム20中の中央側の溶接位置を溶接する毎に、スキンパネル10がフレーム20から離れる方向へ変形すると、スキンパネル10とフレーム20との間の隙間を無くして溶接しない限り、この変形量が蓄積され、中央部の溶接位置とスキンパネル10との間の隙間は、次第に大きくなってしまう。
【0070】
仮に、フレーム20中の溶接済み溶接位置に隣接した中央側の溶接位置を溶接する際、スキンパネル10をこの中央側の溶接位置に軽く押付けただけで、フレーム20の中央側の溶接位置とスキンパネル10との間に隙間がある状態で溶接を試みた場合、その溶接信頼性の低下は否めない。特に、溶加材を用いない溶接の一種である摩擦攪拌接合の場合、溶加材によって隙間を埋めることができないため、溶接対象物相互が互いに接触していなければ、甚だしく溶接信頼性が低下する。
【0071】
一方、一つのフレーム20をスキンパネル10に溶接する際、本実施形態のように、フレーム方向Yにおいて、まず、フレーム20の中央部の溶接位置を溶接し、その後、両外側に向かって各溶接位置を順次溶接すると、フレーム20の溶接位置とスキンパネル10と間に隙間が形成されたとしても、簡単に隙間を無くすことができ、高い溶接信頼性を得ることができる。これは、全溶接位置の溶接が完了するまでのいずれの時点でも、スキンパネル10の未溶接の溶接位置は、フレーム20による片持ち支持であるため、フレーム20中の溶接済み溶接位置に隣接した外側の未溶接の溶接位置を溶接する際、スキンパネル10をこの外側の溶接位置に軽く押し付けるだけで、スキンパネル10を未溶接の溶接位置に接触させることができるからである。しかも、フレーム20中の外側の溶接位置を溶接する毎に、スキンパネル10がフレーム20から離れる方向へ変形したとしても、フレーム20中の外側の溶接位置を溶接する毎に、スキンパネル10をこの外側の溶接位置に軽く押付け、スキンパネル10をこの外側の溶接位置に接触させて状態で溶接することで、溶接毎の変形の蓄積を回避することができる。
【0072】
また、本実施形態では、複数のフレーム20をスキンパネル10に溶接する際、リブ方向(フレーム並び方向)Xにおいて、スキンパネル10上の中央部のフレーム溶接位置Aにフレーム20を溶接し、その後、両外側に向かって各フレーム溶接位置B,Cにフレーム20を順次溶接しているので、前述の場合と同様、スキンパネル10とフレーム20との間に隙間が形成されたとしても、簡単に隙間を無くすことができる。さらに、スキンパネル10のフレーム溶接位置にフレーム20を溶接する毎に、スキンパネル10が変形したとしても、スキンパネル10のフレーム溶接位置をフレーム20を溶接する毎に、このフレーム溶接位置をフレーム20に軽く押付け、このフレーム溶接位置をフレーム20に接触させて状態で溶接することで、溶接毎の変形の蓄積を回避することができる。
【0073】
以上にように、本実施形態では、フレーム20とスキンパネル10との溶接信頼性を高めることができる。
【0074】
次に、以上で説明した製造方法の実施形態の変形例について、説明する。
【0075】
以上の実施形態は、一台の溶接装置(摩擦攪拌接合装置)を用いて、パネル構造体を製造するものである。これに対して、以下で説明する各変形例は、複数台の溶接装置を用いて、パネル構造体を溶接するものである。
【0076】
まず、以上の実施形態の第一変形例について説明する。
【0077】
スキンパネル10上の一のフレーム溶接位置(例えば、溶接位置A)へ一のフレーム20の溶接に着目した場合、上記実施形態では、図1において、フレーム方向Yにおける中央部の溶接位置Aをスキンパネル10に溶接した後、このフレーム20中の全ての溶接位置A,A,…,Aの溶接が完了するまで、フレーム方向Yの(+)Y側の未溶接の溶接位置A,A,A,Aの溶接と、フレーム方向Yの(−)Y側の未溶接の溶接位置A,A,Aの溶接とを、交互に繰り返して行っている。
【0078】
一方、本変形例では、図1において、一つのフレーム20をスキンパネル10に溶接する際、フレーム方向Yにおける中央部の溶接位置Aをスキンパネル10に溶接した後、フレーム方向Yの(+)Y側で、中央部に最も近い未溶接の溶接位置Aを溶接すると共に、フレーム方向Yの(−)Y側で、中央部に最も近い未溶接の溶接位置Aを溶接する。以下、フレーム方向Yの(+)Y側の未溶接の溶接位置A及びフレーム方向Yの(−)Y側の未溶接の溶接位置Aを同時溶接し、次に、フレーム方向Yの(+)Y側の未溶接の溶接位置A及びフレーム方向Yの(−)Y側の未溶接の溶接位置Aを同時溶接し、最後に、フレーム方向Yの(+)Y側の未溶接の溶接位置Aを溶接する。
【0079】
すなわち、本変形例では、フレーム方向Yにおける中央部の溶接位置Aをスキンパネル10に1台の溶接装置で溶接した後、フレーム方向Yにおいて、中央部の溶接位置Aを基準にして、対称な二箇所の溶接位置A,A、A,A、A,Aを二台の溶接装置で同時に溶接する。
【0080】
以上、本変形例では、二箇所の溶接位置を二台の溶接装置で同時に溶接するので、製造時間の短縮化を図ることができる。
【0081】
次に、以上の実施形態の第二変形例について説明する。
【0082】
複数のフレーム20をスキンパネル10に溶接する際、上記実施形態では、リブ方向Xにおいて、スキンパネル10のフレーム溶接位置に一つのフレーム20の特定溶接位置を溶接してから、他のフレームの特定溶接位置を溶接している。
【0083】
一方、本変形例では、あるフレーム20のフレーム方向Yにおける特定の溶接位置をスキンパネル10に溶接する際、他のフレーム20のフレーム方向における特定の溶接位置も同時にスキンパネル10に溶接する。
【0084】
すなわち、本変形例では、図1において、複数のフレーム20,20,20相互で対応する複数の溶接位置A,B,Cを複数台の溶接装置で同時にスキンパネル10に溶接する。なお、本変形例において、一つのフレームをスキンパネルに溶接する手順に関しては、以上の実施形態と同様である。よって、複数のフレーム20,20,20相互で対応する複数の溶接位置A,B,Cを複数台の溶接装置で同時にスキンパネル10に溶接した後、複数のフレーム20,20,20相互で対応する複数の溶接位置A,B,Cを複数台の溶接装置で同時に溶接し、以降、同様に、複数のフレーム20,20,20相互で対応する溶接位置A,B,C、A,B,C、…を複数台の溶接装置で同時に溶接する。
【0085】
以上、本変形例でも、複数の溶接位置を複数の溶接装置で同時に溶接するので、製造時間の短縮化を図ることができる。
【0086】
なお、以上の実施形態及び各変形例は、いずれも、図1におけるIV矢視で、面板17が、フレーム側を曲率中心として湾曲し、これに対応して、フレーム20もフレーム方向で湾曲しているが、本発明は、これに限定されるものではなく、面板17が、フレーム20と反対側を曲率中心として湾曲していてもよいし、面板17が湾曲していなくてもよい、ことは言うまでもない。
【0087】
ところで、スキンパネル及びフレームを共に湾曲させた場合、スキンパネル及びフレームを共に湾曲させない場合と比べて、スキンパネル及びフレームの製作誤差が大きくなりがちで、この製作誤差と以上で説明した溶接歪とにより、スキンパネルの面板とフレームとの間の隙間が大きくなる傾向にある。このため、スキンパネル及びフレームを共に湾曲させる場合に、本発明の適用することで、本発明の顕著な効果を得ることができる。
【0088】
また、以上の実施形態では、軌道系車両の外壁板の構成材料として利用されるパネル構造体を例示しているが、本発明は、これに限定されるものではなく、航空機や船舶等の外壁板の構成材料に利用されるパネル構造体、さらに、各種構造物の壁板等の構成材料に利用されるパネル構造体に、本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0089】
10:スキンパネル、11:単位板、12:リブ、15:単位スキンパネル、17:面板、20:フレーム、21:第一フランジ部、22:第二フランジ部、23:フレーム本体、30:回転ツール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面板の一方の面に、フレームを接合させて製造するパネル構造体の製造方法において、
前記接合では、第一フレームの材軸方向の基準位置を前記一方の面に第一溶接し、該第一溶接した後、該材軸方向で該基準位置に最も近い未溶接位置を前記一方の面に第二溶接し、以降、該基準位置を基準にした該材軸方向の両側の部分に関し、該基準位置に最も近い未溶接位置から、該一方の面に断続的に溶接する、
ことを特徴とするパネル構造体の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のパネル構造体の製造方法において、
前記基準位置は、前記第一フレームの前記材軸方向の中央部の位置である、
ことを特徴とするパネル構造体の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のパネル構造体の製造方法において、
前記第二溶接後に、前記基準位置を基準にして前記第二溶接の位置とは逆の前記材軸方向の側であって、該基準位置に最も近い未溶接位置を第三溶接し、以降、該第二溶接と該第三溶接とを交互に断続的に実行する、
ことを特徴とするパネル構造体の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のパネル構造体の製造方法において、
前記第一フレームに平行に配された第二フレームも前記一方の面に接合する場合、
前記第一フレームにおける各溶接のうち直前の溶接後であってその直後の溶接の前に、直前の溶接位置に対応する前記第二フレームの未溶接位置を前記一方の面に溶接する、
ことを特徴とするパネル構造体の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載のパネル構造体の製造方法において、
前記第一フレームを基準にして前記第二フレームとは反対側に前記第一フレームと平行に配された第三フレームも前記一方の面に接合する場合、
前記第二フレームの溶接とその直後になされる第一フレームの溶接との間に、直前の溶接位置に対応する前記第三フレームの未溶接位置を前記一方の面に溶接する、
ことを特徴とするパネル構造体の製造方法。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか一項に記載のパネル構造体の製造方法において、
前記第一フレームを含む複数のフレームを互いに平行に前記一方の面に接合する場合、
前記第一フレーム中おける各溶接のうち直前の溶接後であってその直後の溶接の前に、前記第一フレームの前記直前の溶接の位置に対応する各フレームの未溶接位置を、前記直前の溶接の位置に最も近い未溶接位置から順に断続的に溶接する、
ことを特徴とするパネル構造体の製造方法。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか一項に記載のパネル構造体の製造方法において、
前記第一フレームを含む複数のフレームを互いに平行に前記一方の面に接合する場合、
前記第一フレーム中で溶接する複数の位置のうち、一の未溶接位置のみを部分溶接する第一フレーム溶接を実行し、
次に、前記複数のフレームが並んでいるフレーム並び方向で前記第一フレームに最も近い前記一方の面上のフレーム溶接位置に、他のフレーム中で前記一の未溶接位置に対応する未溶接位置のみを部分溶接する第二フレーム溶接を実行し、
全てのフレームに関して、各フレーム中で前記一の未溶接位置に対応する未溶接位置のみを部分溶接するフレーム溶接が完了するまで、前記一方の面上で、該第一フレームに最も近いフレーム未溶接位置から、断続的にフレーム溶接を実行し、
以降、前記全てのフレームに関して、各フレーム中で溶接する全ての位置の溶接が完了するまで、前記第一フレーム溶接、前記第二フレーム溶接、該第二フレーム溶接に続くフレーム溶接を繰り返して実行する、
ことを特徴とするパネル構造体の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載のパネル構造体の製造方法において、
前記第二フレーム溶接後に、前記一方の面上で、前記第一フレームを基準にして該第二フレーム溶接の位置とは逆の前記フレーム並び方向の側であって、該第一フレームに最も近い未溶接のフレーム溶接位置にさらに他のフレームを第三フレーム溶接し、
以降、前記第二フレーム溶接と前記第三フレーム溶接とを交互に実行する、
ことを特徴とするパネル構造体の製造方法。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか一項に記載のパネル構造体の製造方法において、
前記一方の面の前記フレームが並んでいる方向の中央部に、前記第一フレームを溶接する、
ことを特徴とするパネル構造体の製造方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のパネル構造体の製造方法において、
前記面板の前記一方の面と前記フレームとの溶接は、摩擦攪拌接合である、
ことを特徴とするパネル構造体の製造方法。
【請求項11】
請求項9に記載のパネル構造体の製造方法において、
前記フレームは、前記一方に面に対向するフランジ部と、該フランジ部から該一方の面から遠ざかる向きに立ち上がっているフレーム本体と、を有し、
前記面板の前記一方の面と前記フレームの前記フランジ部とを前記摩擦攪拌接合する、
ことを特徴とするパネル構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−125837(P2012−125837A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284853(P2010−284853)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】