説明

パネル着脱機構およびそれを有する車載装置

【課題】パネルの前面の構成を簡素にしつつパネルを本体部に対し適切に着脱可能とするパネル着脱機構を提供する。
【解決手段】車載用オーディオ装置10において、ロックユニットは、パネル前面が外部に開放された状態で操作パネル14を支持ユニット20に係止し、ユーザによってデタッチボタン40が押されたときに本体部12に対する操作パネル14の係止を解除する。チルト機構16は、操作パネル14が基準位置にある状態から、操作パネル14が係止されたまま支持ユニットを引き出すことにより、パネル下面14cをパネル上面14bなど他の外面よりも手前に引き出す。デタッチボタン40は、パネル下面14cに配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体部に対してパネルを着脱するパネル着脱機構およびそれを有する車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、車載用のオーディオ装置やナビゲーション装置が広く車両に搭載されている。このような装置は高価な場合も多く、車両に乗員がいない間に盗難に遭うおそれがある。このため、例えば、前面に設けられたリリースキーを押すことにより本体とのロックが解除される操作パネルを有する車載用電子機器が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、例えば、前面に設けられたロック解除釦が押されると装置本体との係止が解除されて装置本体からの離脱が可能となるパネル着脱機構が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−239182号公報
【特許文献2】特開平10−230796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなパネルの前面にはディスプレイや操作ボタンなどが配置される場合が多い。しかし、パネルの前面にパネル着脱のためのボタンを配置した場合、パネルの前面の領域の一部をそのボタンによって占有されることになり、その占有スペースによって例えばディスプレイや操作ボタンなどの配置スペースが圧迫されるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、パネルの前面の構成を簡素にしつつパネルを本体部に対し適切に着脱可能とするパネル着脱機構およびそれを有する車載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のパネル着脱機構は、本体部に対してパネルを着脱するパネル着脱機構において、ユーザによって操作可能な被操作部材と、前記パネルを前記本体部に係止し、ユーザによって前記被操作部材が操作されたときに前記本体部に対する前記パネルの係止を解除する係止機構と、を備え、前記被操作部材は、前記パネルの前面に接する外面のいずれかに配置され、前記被操作部材における被操作面には凸部が形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、パネルの前面の構成を簡素にしたパネル着脱機構およびそれを有する車載装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係る車載用オーディオ装置の斜視図である。
【図2】操作パネルを引き出した状態の本実施形態に係る車載用オーディオ装置の斜視図である。
【図3】操作パネルを取り外した状態の本実施形態に係る車載用オーディオ装置の斜視図である。
【図4】本実施形態に係る操作パネルの前面図である。
【図5】本実施形態に係る操作パネルの下面図である。
【図6】(a)は、操作パネルを取り外す直前における本実施形態に係る車載用オーディオ装置の側面図であり、(b)は、操作パネルを取り外した直後における本実施形態に係る車載用オーディオ装置の側面図である。
【図7】本実施形態に係る操作パネルの裏面図である。
【図8】本実施形態に係る支持ユニットの正面図である。
【図9】本実施形態に係るストッパの斜視図である。
【図10】本実施形態に係る支持ユニットを後方から見た斜視図である。
【図11】(a)は、操作パネルが支持ユニットに係止された状態を示す図である。(b)は、(a)の状態からデタッチボタンが押された直後の状態を示す図である。(c)は、(b)の状態からパネル上面が押された状態を示す図である。(d)は、(c)の状態から操作パネルが装置前方に引き出された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、実施形態という)について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る車載用オーディオ装置10の斜視図である。車載用オーディオ装置10は、車両のインスツルメントパネルなどに搭載されるオーディオ装置であり、本体部12および操作パネル14を有する。本体部12は直方体に形成され、車両に搭載されるときは、その全体が車両のインスツルメントパネルの内部に収容される。操作パネル14は、本体部12と略同一の幅および高さを有し、本体部12よりも短い奥行きを有する。操作パネル14は本体部12の前面に装着され、車載用オーディオ装置10が車両に搭載されるとき、パネル前面14aが車両乗員によって視認可能となるよう外部に露出した状態で車両のインスツルメントパネルの表面に配置される。操作パネル14が引き出されていない通常の状態では、車載用オーディオ装置10を水平面上に置いたときパネル前面14aが鉛直方向に平行となる基準位置にて操作パネル14が本体部12に係止されている。
なお、車載用オーディオ装置に代えて、例えばカーナビゲーション装置が採用されてもよい。また、オーディオ装置は車載用のものに限られず、例えば家庭用のオーディオ装置であってもよい。
【0010】
図2は、操作パネル14を引き出した状態の本実施形態に係る車載用オーディオ装置10の斜視図である。車載用オーディオ装置10には、支持ユニット(図示せず)およびチルト機構16が設けられている。支持ユニットには操作パネル14が係止される。パネル上面14bおよびパネル下面14cは、パネル前面14aに接する外面の一部である。チルト機構16は、操作パネル14が基準位置にある状態から、操作パネル14が係止されたまま支持ユニットを引き出すことにより、パネル下面14cをパネル上面14bなど他の外面よりも手前に引き出す。
【0011】
具体的には、チルト機構16は、モータ(図示せず)、ラックギヤ機構(図示せず)、および2本のロッド18を有する。パネル前面14aにはチルトボタン(図示せず)が設けられている。このチルトボタンがユーザによって押されたとき、本体部12内に設けられたマイコンなどによって構成される制御部(図示せず)がこのモータを作動させ、ラックギヤ機構を介して本体部12前面の右下部および左下部からそれぞれロッド18を突出させる。2本のロッド18の先端は、支持ユニットの下方に回転可能に結合されており、ロッド18が前方に進出することにより、パネル下面14cが前方に進出し、操作パネル14全体が斜めに傾きながらパネル上面14bが下方に移動する。
【0012】
このような車載用オーディオ装置は一般的に高価であり、車載用オーディオ装置を車両
室内に放置したまま車両乗員が車両から離れた場合に盗難の被害に遭うおそれがある。こ
のため本実施形態に係る車載用オーディオ装置10では、操作パネル14が本体部12に
対して着脱可能に構成されている。
【0013】
図3は、操作パネル14を取り外した状態の本実施形態に係る車載用オーディオ装置10の斜視図である。操作パネル14は、操作パネル14の裏面を覆うようにして操作パネル14を係止する支持ユニット20に対して着脱可能に設けられている。本実施形態に係る車載用オーディオ装置10では、操作パネル14が基準位置にある場合、および操作パネル14がチルト機構16によって引き出された状態になる場合においても、支持ユニット20への操作パネル14の離脱および装着が可能となっている。
【0014】
支持ユニット20の右側面上方および左側面上方にはガイド軸22が設けられている。ガイド軸22の各々は、本体部12の前方側部に設けられた上下方向に延在する長孔であるガイド部12aに挿通されている。これにより、チルト機構16によってパネル下面14cが引き出されたときにパネル上面14bが下方に円滑に移動することが可能となっている。
【0015】
図4は、本実施形態に係る操作パネル14の前面図である。パネル前面14aには、ディスプレイ30および操作部34が設けられている。ディスプレイ30は、パネル前面14aの全域よりもわずかに小さい画面を有する。ディスプレイ30の外縁には枠状のフロントカバー32が設けられている。操作部34は、複数の操作ボタン36によって構成される。操作ボタン36は、フロントカバー32の下方前面に配置される。
【0016】
なお、ディスプレイ30は、タッチパネルであってもよい。また、パネル前面14aに操作部が設けられず、ディスプレイのみが設けられてもよい。これにより、ディスプレイをより大型化することが可能になる。また、パネル前面14aにディスプレイが設けられず、操作部のみが設けられてもよい。
【0017】
図5は、本実施形態に係る操作パネル14の下面図である。フロントカバー32の装置後方側の開口部は、リヤカバー38によって覆われる。パネル前面14aに接する外面の各々は、フロントカバー32の外面によって構成される。
【0018】
本実施形態では、パネル下面14cにデタッチボタン40が設けられている。これにより、パネル前面14aにデタッチボタンを設ける場合に比べてパネル前面14aの領域を有効に利用することが可能となる。本実施形態では、デタッチボタン40をパネル下面14cに配置することにより、ディスプレイ30の大画面化を実現している。また、例えばパネル前面14aにデタッチボタンが配置される場合、ユーザが誤ってデタッチボタンを押す場合がある。このようにパネル下面14cにデタッチボタン40を設けることにより、ユーザが誤ってデタッチボタン40を操作する可能性を低減させることができる。
【0019】
デタッチボタン40はバネ(図示せず)によって下方に付勢されており、その表面である被操作面40aがパネル下面14cと同一平面上に位置するこのデタッチボタン40の初期位置で下方への移動が規制されている。これにより、デタッチボタン40はその初期位置から操作パネル14内部に向かって押し込み可能に構成され、ユーザによって操作可能な被操作部材として機能する。被操作面40aには多数の微小な凸部が形成され、デタッチボタン40を視認できなくてもデタッチボタン40の位置をユーザが触感で認識することができるよう配慮されている。
【0020】
デタッチボタン40は、パネル前面14aから所定の間隔D1を隔てた位置に配置され、パネル下面14cにおけるパネル前面14aとデタッチボタン40との間の部分は、ユーザによって把持可能な把持部14dが設けられている。したがって、デタッチボタン40は、パネル前面14aとの間に把持部14dが位置するよう配置される。なお、デタッチボタン40に代えてレバーなどが設けられてもよく、レバーが操作されることにより本体部12に対する操作パネル14の係止が解除されてもよい。
【0021】
図6(a)は、操作パネル14を取り外す直前における本実施形態に係る車載用オーディオ装置10の側面図である。本実施形態に係る車載用オーディオ装置10は2DIN(Deutsche IndustrieNormen)のものが採用されており、操作パネル14は高さが約100mm、幅が約178mmに形成されている。したがって、パネル上面14bとパネル下面14cとの距離が短いため、例えば図6(a)に示すように、パネル上面14bに親指を添え、パネル下面14cに中指などを添えて片手で操作パネル14を把持できる。このとき、ユーザは把持部14dに添えた指の指先でデタッチボタン40を押すことができる。したがって、操作パネル14を把持する動作に連動してデタッチボタン40を押すことができる。また、操作パネル14をしっかりと把持した状態でデタッチボタン40を押すことができ、安定して操作パネル14を支持ユニット20から離脱することができる。
【0022】
図6(b)は、操作パネル14を取り外した直後における本実施形態に係る車載用オーディオ装置10の側面図である。このように、ユーザは片手で操作パネル14を把持したまま操作パネル14を支持ユニット20から完全に切り離すことができる。
【0023】
なお、車載用オーディオ装置10は2DINのものに限られないことは勿論である。発明者による鋭意なる研究開発の結果、背向する外面同士の距離が130mm以下であればほとんどの人が片手でパネルを把持できることが判明した。このため車載用オーディオ装置10は、相互の距離が片手把持可能長さである130mm以下となる互いに配向する2箇所の外面を有していてもよく、このうち1箇所の外面にデタッチボタン40が配置されていてもよい。
【0024】
以下、車載用オーディオ装置10において操作パネル14を着脱するための構成および動作について詳細に説明する。
【0025】
図7は、本実施形態に係る操作パネル14の裏面図である。以下、操作パネル14の裏面に対応するリヤカバー38の外面をリヤカバー38のおもて面として説明する。リヤカバー38のおもて面の下方中央には、操作パネル14内部に向かって凹む左右方向に長い長方形状の第1凹部38aが設けられている。第1凹部38aの内部には、第1凹部38aの下方の内面から上方に突出する突部38bが設けられている。また、リヤカバー38には、右上方および左上方の各々に、上方に突出する係止突部38cが設けられている。さらに、リヤカバー38のおもて面の右下方および左下方には、それぞれ操作パネル14内部に向かって凹む第2凹部38dが設けられている。第2凹部38dの内部には、第2凹部38dの上方の内面から下方に突出する突部38eが設けられている。
【0026】
リヤカバー38のおもて面中央には、2つの雄コネクタ42が左右方向に並設されている。雄コネクタ42の各々は左右方向に延在する突部を有し、この突部の表面に複数の端子が左右方向に並設されている。
【0027】
デタッチボタン40は、突部40bおよびアーム部40cを有する。突部40bは、操作パネル14内部において被操作面40aから鉛直上方に延在するように形成され、被操作面40aがユーザによって押されることにより、第1凹部38a内に進出するよう設けられる。
【0028】
アーム部40cは、操作パネル14内部において突部40bの胴部から左右両方向に延在するよう形成される。リヤカバー38の裏面側には基板(図示せず)が配置され、この基板にスイッチ44が設けられている。ユーザによって被操作面40aが押されたときにアーム部40cが上方に移動してスイッチ44を押してオンにする。スイッチ44は、オンにされたときに雄コネクタ42におけるすべての端子の導通を遮断する。これにより、導通が遮断された状態で雄コネクタ42を後述する雌コネクタから外すことができる。
【0029】
図8は、本実施形態に係る支持ユニット20の正面図である。支持ユニット20は、フロントブラケット50、ロックユニット52、ストッパユニット54、および雌コネクタ56を有する。フロントブラケット50は板金によって左右方向に長い長方形状に形成され、外周に曲げ部が設けられる。フロントブラケット50は、この曲げ部が装置前方に向くよう配置される。フロントブラケット50は、操作パネル14を着脱可能に支持する。したがって、フロントブラケット50は、操作パネル14の支持部材として機能する。以下、本体部12の前面に対応するフロントブラケット50の外面をフロントブラケット50のおもて面として説明する。
【0030】
ロックユニット52は、係止部材60を有する。係止部材60には、下方に突出する2つのフック部60aが左右に並んで形成され、この2つのフック部60aの間にフック部60aの下端から上方に凹む凹部60bが形成されている。フロントブラケット50の下方中央には左右方向に長い長方形状の第1開口部50aが設けられている。係止部材60はフロントブラケット50の裏面側から第1開口部50aに挿通され、フック部60aお
よび凹部60bがフロントブラケット50のおもて面から突出するよう配置される。
【0031】
フック部60aは、リヤカバー38に設けられた第1凹部38aに挿入され突部38bに係合することにより、操作パネル14を本体部12に係止する。したがって、係止部材60を含むロックユニット52および突部38bは係止機構として機能する。一方、操作パネル14が本体部12に係止している状態でユーザによってデタッチボタン40が押されると、デタッチボタン40の突部40bによって凹部60bが押し上げられ、フック部60aと突部38bとの係合が解除される。
【0032】
フロントブラケット50の右上方および左上方には、それぞれ係止孔50dが設けられる。リヤカバー38に設けられた係止突部38cがこの係止孔50dに係合し、且つ係止部材60が突部38bに係合したときに操作パネル14が本体部12に係止される。したがって、係止孔50dおよび係止突部38cもまた、係止機構として機能する。
【0033】
フック部60aと突部38bとの係合が解除されることにより操作パネル14が本体部12から離脱するとき、係止孔50dおよび係止突部38cは、互いの係合個所を中心に回転するよう操作パネル14をガイドする。したがって、係止孔50dおよび係止突部38cは、フック部60aと突部38eとの係合が解除されたときに操作パネル14をガイドする離脱ガイド機構として機能する。
【0034】
ストッパユニット54は、ストッパ62を有する。ここで、ストッパ62の形状について、図9に関連して説明する。
【0035】
図9は、本実施形態に係るストッパ62の斜視図である。ストッパ62は、2つの軸支持部62aと、平板状に形成された押し出し部62bとが互いに端部において一体的に結合したL字状に形成されている。押し出し部62bの先端には、左右双方に突出する係止軸62cが形成されている。2つの軸支持部62aには、同軸上に貫通する軸挿通孔62dが設けられている。この軸挿通孔62dに後述するシャフトが挿通されることにより、ストッパ62が回動可能にフロントブラケット50に保持される。2つの軸支持部62aの間には、押し出し部62bから上方に突出する突部62eが形成されている。
【0036】
図8に戻る。フロントブラケット50の右下方および左下方には、第2開口部50bがそれぞれ設けられている。ストッパ62は、押し出し部62bがフロントブラケット50のおもて面から突出するよう配置される。後述するように、ストッパ62はフロントブラケット50に対して回動自在に取り付けられる。突部50cは、突部62eに当接してストッパ62の回動を規制する。
【0037】
ストッパ62は、リヤカバー38に設けられた突部38eに係合することにより、係止孔50dと係止突部38cとの係合個所を中心とした操作パネル14の回動を規制する。したがって、ストッパユニット54および突部38eは、係止部材60と突部38bとの係合が解除されたときのガイド方向への操作パネル14の移動範囲を規制する離脱規制機構として機能する。上述したデタッチボタン40、係止機構、離脱ガイド機構、および離脱規制機構などによって、本体部12に対して操作パネル14を着脱するパネル着脱機構が構成される。
【0038】
図10は、実施形態に係る支持ユニット20を装置後方から見た斜視図である。ロックユニット52は、さらにシャフト64およびバネ66を有する。フロントブラケット50は、第1開口部50aの左右端部の各々において裏面から突出する第1切り起こし部50eが形成されている。係止部材60はこの一対の第1切り起こし部50eの間に配置され、シャフト64によってフロントブラケット50に回動自在に取り付けられる。このとき、巻回されたバネ66の中心にシャフト64が挿通される。バネ66は、フック部60aが下方に移動する回動方向への付勢力を係止部材60に与える。
【0039】
ストッパユニット54は、さらにシャフト68およびバネ70を有する。フロントブラケット50は、第2開口部50bの左右端部の各々において裏面に突出する第2切り起こし部50fが形成されている。ストッパ62はこの一対の第2切り起こし部50fの間に配置され、シャフト68によってフロントブラケット50に回動自在に取り付けられる。バネ70は、押し出し部62bの先端が上方に移動する回動方向への付勢力をストッパ62に与える。
【0040】
図10に示すように、ロックユニット52および2つのストッパユニット54は、チルト機構16によって引き出されるフロントブラケット50の下面近傍において、フロントブラケット50の下面と平行な仮想的な直線上に一列に並ぶよう配置される。これにより、ロックユニット52およびストッパユニット54の配置領域を限定することができ、チルト機構16によって操作パネル14が引き出された後に現れる本体部12における前面側の領域などを有効に利用することが可能となる。本実施形態では、チルト機構16によって操作パネル14が引き出されたときの本体部12の前面には、CD(Compact Disc)・DVD(Digital Versatile Disc)の挿入口(図示せず)、およびメモリカードの挿入口(図示せず)が設けられている。なお、ロックユニット52および2つのストッパユニット54がフロントブラケット50に配置される位置は上記位置に限られず、操作パネル14の中央よりフロントブラケット50の下面寄りの他の位置であってもよい。
【0041】
フラットケーブル72は、2つの雌コネクタ56の各々に対応して2つ設けられる。雌コネクタ56の端子は装置左右方向に並設されることから、フラットケーブル72の各々は左右に延在する軸を中心に湾曲しやすい平面状に形成される。これによりフラットケーブル72は、チルト機構16によって支持ユニット20が傾斜するよう下方が引き出された場合においても容易に湾曲できるようになっている。
【0042】
以下、図11(a)〜(d)に関連して、支持ユニット20から操作パネル14を取り外す手順について説明する。なお、理解を容易にするため、操作パネル14の外形は2点鎖線によって簡略化して示している。また、図11(a)〜(d)は、係止突部38cおよびストッパ62を通過する面で操作パネル14および支持ユニット20を切断した断面を示している。
【0043】
図11(a)は、操作パネル14が支持ユニット20に係止された状態を示す図である。リヤカバー38の下方には、パネル下面14cに近づくにしたがって装置前方に近づくよう傾斜する傾斜部38fが形成されている。ストッパ62の先端部は、この傾斜部38fに当接する。ストッパ62は、先端部によって傾斜部38fを押し出すようバネ70によって付勢力が与えられている。
【0044】
図11(b)は、図11(a)の状態からデタッチボタン40が押された直後の状態を示す図である。デタッチボタン40がユーザによって押され、フック部60aと突部38bとの係合が解除されると、ストッパ62は、操作パネル14下方を支持ユニット20から押し出す。したがって、ストッパユニット54は押し出し機構としても機能する。
【0045】
リヤカバー38の上面には、係止突部38cより前方側において縁部38gが形成されている。係止突部38cが係止孔50dに係合しているとき、フロントブラケット50の上方の曲げ部が係止突部38cと縁部38gとの間に位置する。傾斜部38fが押し出し部62bによって押し出されることにより、操作パネル14は係止突部38cと係止孔50dとの係合個所を中心に回動しながら支持ユニット20から離間する。このときも、フロントブラケット50の曲げ部が係止突部38cと縁部38gとの間に位置した状態が保たれるため、係止突部38cと係止孔50dとの係合が維持される。
【0046】
係止部材60の先端部は操作パネル14の回動に伴って先端部が傾斜部38fを上方に摺動し、操作パネル14が所定角度回動したときに係止軸62cが突部38eに係合する。これにより、係止突部38cと係止孔50dとの係合部を中心とした操作パネル14の回動範囲が規制される。ストッパ62は突部38eを上方に持ち上げるようバネ70から付勢力が与えられるため、この状態でユーザが操作パネル14から手を離した場合においても、係止突部38cと係止孔50dとの係合および突部38eと係止軸62cとの係合が維持され、操作パネル14は支持ユニット20に保持される。これにより、デタッチボタン40を押した直後における操作パネル14の落下を回避することができる。
【0047】
図11(c)は、図11(b)の状態からパネル上面14bが押された状態を示す図である。これにより、ストッパ62がバネ70の付勢力に抗して回動し、操作パネル14が下方に移動する。操作パネル14がある程度下方に移動すると、係止孔50dと係止突部38cとの係合が解除され、操作パネル14の上方を手前に引き出すことが可能な状態となる。
【0048】
図11(d)は、図11(c)の状態から操作パネル14が装置前方且つ上方に引き出された状態を示す図である。これにより、係止軸62cと突部38eとの係合も解除され、操作パネル14が支持ユニット20から完全に切り離される。以上のように、デタッチボタン40を操作パネル14のパネル下面14cに配置することにより、操作パネル14を本体部12から取り外す一連の操作を、片手で操作パネル14を把持したまま実施することができる。
【0049】
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。以下、そうした例をあげる。
【0050】
ある実施形態では、デタッチボタンはパネル下面14cに複数(例えば2つ)設けられる。係止部材60は、各々のデタッチボタンと凹部60bとが接続されることなどにより、複数のデタッチボタンのいずれかがユーザによって押されてもフック部60aが持ち上げられ、突部38bとの係合が解除される。これにより、例えば運転者側と助手席側の各々にデタッチボタンを設けることなどが可能となる。
【0051】
ある別の実施形態では、図11(b)の状態から、係止突部38cと係止孔50dとの係合個所を中心に操作パネル14を手前に回動させることにより、ストッパ62と突部38eとの係合を解除することができる。具体的には、この実施形態では、突部38eのうち係止軸62cに係合する部分に傾斜が設けられている。このため、突部38eと係止軸62cとが係合している状態であっても、ある程度強い力で操作パネル14の下方を引き出すことによより係合を解除することができる。これにより、操作パネル14を一度下方に押すなどすることなく簡易に操作パネル14を支持ユニット20から完全に離脱することが可能となる。
【符号の説明】
【0052】
10 車載用オーディオ装置、 12 本体部、 14 操作パネル、 14a パネル前面、 14b パネル上面、 14c パネル下面、 14d 把持部、 16 チルト機構、 20 支持ユニット、 38 リヤカバー、 38b 突部、 38c 係止突部、 38e 突部、 38f 傾斜部、 40 デタッチボタン、 40b 突部、 50 フロントブラケット、 50c 突部、 50d 係止孔、 52 ロックユニット、 54 ストッパユニット、 60 係止部材、 60a フック部、 62 ストッパ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部に対してパネルを着脱するパネル着脱機構において、
ユーザによって操作可能な被操作部材と、
前記パネルを前記本体部に係止し、ユーザによって前記被操作部材が操作されたときに前記本体部に対する前記パネルの係止を解除する係止機構と、
を備え、
前記被操作部材は、前記パネルの前面に接する外面のいずれかに配置され、
前記被操作部材における被操作面には凸部が形成されていることを特徴とするパネル着脱機構。
【請求項2】
前記被操作部材は、所定の初期位置から前記パネルの内部に向かって押し込み可能に設けられるデタッチボタンであり、
前記係止機構は、ユーザによって前記初期位置から前記デタッチボタンが前記パネルの内部に向かって押し込まれたときに前記本体部に対する前記パネルの係止を解除することを特徴とする請求項1記載のパネル着脱機構。
【請求項3】
前記被操作面には、触感で認識可能なように複数の凸部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のパネル着脱機構。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のパネル着脱機構を有することを特徴とする車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−10506(P2013−10506A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−227761(P2012−227761)
【出願日】平成24年10月15日(2012.10.15)
【分割の表示】特願2008−28203(P2008−28203)の分割
【原出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】