説明

パネル設置構造

【課題】 パネル体どうしが重なって見え難くなることを防止する。
【解決手段】 パネル状の非常誘導灯P1と、案内表示パネルP2とからなる各パネル体Pが、天井から垂下状態に設置されているパネル設置構造において、非常誘導灯P1と案内表示パネルP2とを、互いの表示面どうしが同一面に沿って横に並ぶ状態に配置してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル状の非常誘導灯と、案内表示パネルとからなる各パネル体が、天井から垂下状態に設置されているパネル設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のパネル体の一種である非常誘導灯は、通常時はもとより、停電時や非常時にも出口や避難路等の位置を解り易く表示できるように、パネル内に照明装置を備えると共に、停電時の電気確保の意味で蓄電池を備えたものが一般的で(例えば、特許文献1、特許文献2参照)、例えば、通路の天井部付近等の見易い位置に設置されている。
また、パネル体の一種である案内表示パネルは、トイレやエレベータやエスカレータ等の設備施設のある方向や位置を案内表示するパネルであり、一般的には照明設備を備えていることが多く、設置場所も、前記非常誘導灯と同様に、通路の天井部付近等の見易い位置に設置されていることが多い。
そして、これらのパネル設置構造としては、特に取り決めはなく、非常誘導灯も案内表示パネルも、それぞれの都合の良い位置に各別に設置されているのが現状である。
【0003】
【特許文献1】特開平7−239663号公報(図1、2)
【特許文献2】実開平6−15212号公報(図1〜3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のパネル設置構造によれば、非常誘導灯も案内表示パネルも、それぞれの表示対象の位置を示す上で都合の良い箇所に、都合の良い方向を向けて各別に設置されているから、例えば、図6に示すように、これらパネル体を見る位置によっては、何れか一方のパネル体が、他方のパネル体の陰になって見難くなる場合があると言う問題点があった。
即ち、図6(イ)の平面図に示すように、A地点Kaからは、非常誘導灯P1も案内表示パネルP2もよく見ることができるものの、図6(ロ)の平面図に示すように、B地点Kbからは、非常誘導灯P1が、案内表示パネルP2の陰になって見難くなってしまう。
このような現象は、単にパネル体が見難い場合があると言うことに留まらず、例えば、避難を要するような非常事態が生じた場合、非常誘導灯が見えない事が原因で、避難が遅れてしまう等と言ったことに繋がる危険性がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、パネル体どうしが重なって見え難くなることを防止できるパネル設置構造を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴構成は、パネル状の非常誘導灯と、案内表示パネルとからなる各パネル体が、天井から垂下状態に設置されているパネル設置構造において、前記非常誘導灯と前記案内表示パネルとを、互いの表示面どうしが同一面に沿って横に並ぶ状態に配置してあるところにある。
【0007】
本発明の第1の特徴構成によれば、非常誘導灯と案内表示パネルとを、互いの表示面どうしが同一面に沿って横に並ぶ状態に配置してあるから、互いのパネル体どうしが視線を遮ることを未然に防止することができ、一方のパネル体が見える場所からは、他方のパネル体も見ることが可能となる。
従って、単純に各パネル体が見易くなることに加えて、例えば、避難を要するような非常事態が生じた場合でも、非常誘導灯が案内表示パネルの陰になって見えないと言うことが防止でき、非常誘導灯をより確実に確認できるようになって、その誘導表示に従った迅速な避難が可能となる。
【0008】
本発明の第2の特徴構成は、前記各パネル体は、電気で点灯自在に構成され、電気供給側からの電気を蓄電自在な蓄電池が、前記各パネル体に各別に設けられ、電気供給側と前記各パネル体との間の電気回路を、通常時には前記各パネル体と前記各蓄電池とに電気が供給される蓄電状態にする一方、停電時には前記各蓄電池からの電気を前記非常誘導灯にのみ供給して点灯させる供給状態に切り替える回路切替手段が設けられているところにある。
【0009】
本発明の第2の特徴構成によれば、本発明の第1の特徴構成による上述の作用効果を叶えることができるのに加えて、通常時には、前記回路切替手段が前記蓄電状態となっていることで、各パネル体を点灯させて良好な視認性を確保できると共に、蓄電池に電気を蓄えることができ、停電時には回路切替手段が前記供給状態に切り替わり、蓄電池からの電気で非常誘導灯のみを点灯させて、避難誘導の一役を担わせることが可能となる。
そして、蓄電池は、各パネル体に各別に設けられているから、非常誘導灯に設けられた蓄電池のみならず、他のパネル体に設けられた蓄電池をも、非常時の非常誘導灯の電源として確保することが可能となる。
従って、蓄電容量を大きく確保でき、非常誘導灯による点灯時間が長くなると共に、特に停電初期の照明の照度を、明るいまま維持し易くなる。その結果、停電になっても、より長く且つより明るく非常誘導灯を点灯させることができるようになり、避難誘導表示機能の向上を図ることが可能となる。
更には、本来、蓄電池の必要がない案内表示パネルにも設ける構成を採用していることで、案内表示パネルの一部のスペースを蓄電池設置空間に転用することができ、単に、蓄電容量の大きな専用の蓄電池を、例えば、天井裏空間等にわざわざ設置するのに比べて、省スペース化を図ることができる他、設置手間の軽減を図ることもできる。そして、非常誘導灯と案内表示パネルとは、構造的に同じものを兼用化することが可能となるから、パネル寸法を揃えて設置部分の美観性を向上させたり、パネル体としてのコスト低減を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、図面において従来例と同一の符号で表示した部分は、同一又は相当の部分を示している。
【0011】
図1、図2は、本発明のパネル設置構造を一つの形態として反映させた建物部分を示すもので、建物通路空間の一隅には、パネル状の非常誘導灯P1と、案内表示パネルP2とが、天井から垂下状態に設置されている。前記非常誘導灯P1と案内表示パネルP2を総称してパネル体Pと言う。
ここでは、対象の建物は、例えばデパートやショッピングモール等のように広い売り場フロアーを備えたものを例に挙げており、通路のみならず売り場フロアーの広い範囲にわたって、前記パネル体Pがそれぞれ視認しやすい場所に設置されている。図1、図2には、通路部分にパネル体Pが設けてある状況を示している。
そして、建物には、図に示すように、避難口1や、トイレ2が設けられており、前記非常誘導灯P1は、前記避難口1が近くにあることを表示する一方、前記案内表示パネルP2は、トイレ2のある方向を示す表示が成されている。
【0012】
前記パネル体Pは、前記非常誘導灯P1も案内表示パネルP2も、装置構造は同様のものを使用し、表示面dの表示内容が、それぞれの目的に合致したものとなっている。具体例を示すと、非常誘導灯P1の表示面d1は、図3(イ)に示す通りで、案内表示パネルP2の表示面d2は、図3(ロ)に示すとおりである。
【0013】
前記パネル体Pは、天井埋込型として構成してあり、天井部に埋込設置される装置本体3と、天井面から下方に突出する状態に設けられる表示部4とを一体的に設けて構成されている。
前記装置本体3には、電気供給側の電気を受けて表示部4を点灯させる機構を備えていると共に、電気供給側からの電気を蓄電自在な蓄電池5が設けられている。
また、前記非常誘導灯P1の装置本体3には、電気供給側と前記各パネル体Pとの間の電気回路を、通常時と停電時とによって切り替える回路切替手段6が設けられている。
この回路切替手段6は、通常時には、前記各パネル体Pと前記各蓄電池5とに電気が供給される蓄電状態にする一方、停電時には前記各蓄電池5からの電気を前記非常誘導灯P1にのみ供給して点灯させる供給状態に切り替えることが出来るように構成されている。具体的には、不足電圧継電器や整流装置やマグネットスイッチや各種リレー回路等を備えたものから構成されている。
従って、通常時は、図5(イ)に示すように、各パネル体Pを点灯させながら、前記回路切替手段6による電気回路の前記蓄電状態を維持し、停電時には、図5(ロ)に示すように、回転切替手段6によって前記電気回路を前記供給状態に切り替えることで、各パネル体Pの蓄電池に蓄えた電気で、前記非常誘導灯P1のみを点灯させることが可能となる。
【0014】
また、前記非常誘導灯P1と案内表示パネルP2は、図4に示すように、互いの表示面dどうしが同一面に沿って横に並ぶ状態に配置してある。
そして、両パネル体Pは、図2に示すように、通路の中心線を対象線として左右に振り分けて配置してある。両パネル体Pどうしの間隔寸法は、概ね、パネル体P一枚分の幅寸法程度に設定してある。このような配置をとることで、遠くから見れば、各パネル体が一纏まりとなって認識できるから、設置されている箇所が解り易くなると共に、近付いて見れば、各パネル体間に適度な間隔を明けてあることで、各パネル体を独立して判別することが可能となり、より確実に各パネル体の表示内容を認識することが可能となる。
従って、各パネル体Pを設置したそれぞれの該当設置箇所では、前記非常誘導灯P1と案内表示パネルP2とを相互に干渉することなく見ることができる。そして、仮に避難を要するような事態が発生して停電状態となっても、前記非常誘導灯P1は、暗闇で長時間にわたって照度の低下の少ない状態で点灯することができ、避難誘導をより確実に且つ迅速に行うことが可能となる。
【0015】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
【0016】
〈1〉 前記パネル体Pの配置に関しては、先の実施形態で説明した2つのパネル体Pを横に並べて設置することに限るものではなく、例えば、3つ以上の複数のパネル体Pを、互いの表示面dどうしが同一面に沿って横に並ぶ状態に配置してあってもよく、その場合の、非常誘導灯P1と案内表示パネルP2との数の比率は、任意に設定することができる。
〈2〉 前記各パネル体Pの表示面dの図案や記載内容は、先の実施形態で説明したものに限るものではなく、変更が可能である。また、案内表示パネルP2に関しては、トイレの方向を表示する図案に限らず、例えば、階段の方向や、エレベータやエスカレータの方向等、適宜、案内対象に合わせて図案を設定することができる。
〈3〉 前記パネル体Pの構成は、先の実施形態で説明した天井埋込型に限るものではなく、例えば、天井直付け型等であってもよい。
〈4〉 前記パネル体Pどうしの設置間隔は、先の実施形態で説明したようにパネル体P一枚分の幅寸法程度に設定することに限るものではない。例えば、パネル体Pどうしが接当しない範囲で近接させて配置するものであってもよい。また、設置対象空間の幅寸法や、容量を基に設定するものであってもよい。
【0017】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】パネル体の設置状況を示す建物要部の斜視図
【図2】パネル体の設置状況を示す建物要部の平面図
【図3】パネル体の設置状況を示す建物要部の詳細図
【図4】下方から見上げたパネル体の設置状況を示す説明図
【図5】回路切替状態を示す説明図
【図6】従来のパネル体の設置構造を示す平面図
【符号の説明】
【0019】
5 蓄電池
6 回路切替手段
d 表示面
P パネル体
P1 非常誘導灯
P2 案内表示パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル状の非常誘導灯と、案内表示パネルとからなる各パネル体が、天井から垂下状態に設置されているパネル設置構造であって、
前記非常誘導灯と前記案内表示パネルとを、互いの表示面どうしが同一面に沿って横に並ぶ状態に配置してあるパネル設置構造。
【請求項2】
前記各パネル体は、電気で点灯自在に構成され、電気供給側からの電気を蓄電自在な蓄電池が、前記各パネル体に各別に設けられ、電気供給側と前記各パネル体との間の電気回路を、通常時には前記各パネル体と前記各蓄電池とに電気が供給される蓄電状態にする一方、停電時には前記各蓄電池からの電気を前記非常誘導灯にのみ供給して点灯させる供給状態に切り替える回路切替手段が設けられている請求項1に記載のパネル設置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−92157(P2006−92157A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−275509(P2004−275509)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】