説明

パネル部材の位置決めシステム

【課題】 パネル部材に対する高度の位置決め精度を実現するとともに、パネル部材がフレキシブル性及び伸縮性を有する場合でも悪影響を回避する。
【解決手段】 基台2に配したガイドレール3にスライド自在に支持されたスライダ(第一スライダ)4と、この第一スライダ4と一体に変位する駆動モータ5と、当接子6と一体に変位するナット部7n及び駆動モータ5の回転シャフト5sに結合したスクリュ部7sを有するボールねじ機構7と、駆動モータ5を変位方向に弾性支持する弾性支持部8と、当接子6の変位位置を検出する当接子位置検出部9と、当接子6に付加される荷重の大きさを検出する当接子荷重検出部10とを有してなる位置決め装置Meを、少なくとも一以上備えるとともに、少なくとも当接子位置検出部9及び当接子荷重検出部10の検出結果に対応して駆動モータ5を制御する制御部11を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定位置にセットされるパネル部材の端辺に当接子を当接させて位置決めを行う位置決め装置を複数組合わせて構成するパネル部材の位置決めシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶パネル等のパネル部材におけるキズの有無等の外観検査を行う場合、予め基準(良品)となるパネル部材を撮像手段により撮像し、基準画像データとして登録するとともに、被検査対象のパネル部材を検査する際には、被検査対象のパネル部材を撮像手段により撮像して検査画像データを得、この検査画像データと基準画像データを比較することによりキズ等の特異点を検出する場合も多い。したがって、このような検査方法を採用する場合、パネル部材を正確な位置に位置決めする位置決め手段は必須となる。
【0003】
従来、パネル部材の端辺に当接子を当接させて位置決めを行う位置決め手段としては、特許文献1により開示される位置決め部,及び特許文献2により開示される位置決め機構が知られており、特許文献1には、短形状のガラス基板の外周縁より所定距離をあけて偏光板がガラス基板に貼り付られている表示パネルにおける偏光板貼付位置検査手段と異物検査手段とを一体的に備え、異物検査手段を構成するバックライト型の検査ケースの表面開口側に、偏光板貼付位置検査手段を備えた検査台を搭載しており、検査台は、表示パネルが載置される光透過部と、載置される表示パネルのガラス基板の連続する二辺を位置決めする位置決め部と、位置決め部に当接させたガラス基板の周縁から偏光板の周縁までの距離を測定する距離測定部材を設けた構成が開示され、また、特許文献2には、検査対象板の電極と接触子とを互いに接触させるために、当該検査対象板を正確に位置決めして支持するパネル支持機構及び検査装置であって、パネル支持機構の可動ベースに、ストッパピン等を支持した状態で可動ベースに取り付けられる位置決め機構を備え、この位置決め機構として、ストッパピン等を支持する基板と、パネルの縁部に当接するストッパピン等を支持した基板を、パネルの縁部に並行な方向には移動可能にかつ縁部に直交する方向には設定位置で固定して支持する位置規制プレートと、当該位置規制プレートに並行に配設されて当該位置規制プレートに支持された基板を、パネルの縁部に並行な方向の位置決めをして支持する位置決めプレートとを備えた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−14674号公報
【特許文献2】特開2008−46085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、パネル部材を位置決めする上述した従来の位置決め手段は、次のような問題点があった。
【0006】
第一に、液晶パネル等のパネル部材は、時代の進展とともに画素パターン等が微細化(緻密化)されるため、検査時におけるパネル部材の位置決め精度も、より高い精度が要請される。このため、単純構成となる従来の位置決め手段では、要求される位置決め精度の確保に限界を生じる。例えば、位置決め精度を、設定位置に対して、±5〔μm〕以内に収める必要がある高度の位置決め精度の要求に対しては、その要求に応えることができない。
【0007】
第二に、矩形のパネル部材に対して、より正確な位置決めを行う場合には、パネル部材の四端辺に、それぞれ位置決めのための規制部材を当接させることが望ましいが、パネル部材がフレキシブル性や伸縮性を有するような場合、規制部材を四端辺にそれぞれ当接させた際に、パネル部材に反りや歪等の僅かな変形を生じる虞れがあり、パネル部材自身が悪影響を受けやすいとともに、位置決め対しても悪影響を与えやすい。
【0008】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したパネル部材の位置決めシステムの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るパネル部材の位置決めシステム1は、上述した課題を解決するため、定位置Xsにセットされるパネル部材Sの端辺に当接子6を当接させて位置決めを行う位置決め装置を複数組合わせて構成する位置決めシステムを構成するに際して、基台2に配したガイドレール3にスライド自在に支持されたスライダ(第一スライダ)4と、この第一スライダ4と一体に変位する駆動モータ5と、当接子6と一体に変位するナット部7n及び駆動モータ5の回転シャフト5sに結合したスクリュ部7sを有するボールねじ機構7と、駆動モータ5を変位方向に弾性支持する弾性支持部8と、当接子6の変位位置を検出する当接子位置検出部9と、当接子6に付加される荷重の大きさを検出する当接子荷重検出部10とを有してなる位置決め装置(可動側位置決め装置)Meを、少なくとも一以上備えるとともに、少なくとも当接子位置検出部9及び当接子荷重検出部10の検出結果に対応して駆動モータ5を制御する制御部11を備えてなることを特徴とする。
【0010】
この場合、発明の好適な態様により、当接子6は、ナット部7n側に対して着脱可能に構成することができる。また、ガイドレール3には、スライド自在に支持される第二スライダ4sを設け、この第二スライダ4sによりナット部7nを支持することができる。なお、駆動モータ5には、ステッピングモータが好適である。さらに、弾性支持部8には、第一スライダ4の正逆双方の変位方向に対して弾性支持する一対のスプリング8a,8bを用いることができる。また、当接子荷重検出部10は、第一スライダ4の変位位置を検出する位置検出部を用いることができる。
【0011】
他方、位置決めシステム1には、可動側位置決め装置Meに加え、定位置Xsにセットされるパネル部材Sの端辺に少なくとも設定位置Psに保持した当接子6を当接させて位置決めを行う固定側位置決め装置Mfを、少なくとも一以上備えることができるとともに、この固定側位置決め装置Mfは、基台2に配したガイドレール3にスライド自在に支持されたスライダ4と、基台2に固定した駆動モータ5と、スライダ4及び当接子6と一体に変位するナット部7n,及び駆動モータ5の回転シャフト5sに結合したスクリュ部7sを有するボールねじ機構7と、当接子6の変位位置を検出する当接子位置検出部9とを設けて構成できる。また、少なくとも当接子位置検出部9の検出結果に対応して駆動モータ5を制御する制御部11を設けることができる。さらに、固定側位置決め装置Mfには、駆動モータ5における回転シャフト5sの周方向における予め設定した基準位置Piを検出する基準位置検出部12を設けることができる。なお、駆動モータ5には、ステッピングモータが好適である。
【発明の効果】
【0012】
このような構成を有する本発明に係るパネル部材の位置決めシステム1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0013】
(1) 液晶パネル等のパネル部材Sのように、時代の進展とともに画素パターン等が微細化(緻密化)され、検査時におけるパネル部材Sの位置決めに対し、より高い精度が要求される場合であっても、その要求に十分応えることができる。具体的には、位置決め精度を設定位置Psに対して、±5〔μm〕以内に収めることが可能になるなど、高度の位置決め精度を実現できる。
【0014】
(2) 矩形のパネル部材Sの四端辺にそれぞれ当接子6…を当接させて位置決めを行う場合であって、かつパネル部材Sがフレキシブル性や伸縮性を有する場合であっても、パネル部材Sに反りや歪等の無用な変形を生じる虞れがない。したがって、パネル部材S自身に対する悪影響、更には位置決め精度に対する悪影響を回避できる。
【0015】
(3) 好適な態様により、当接子6を、ナット部7n側に対して着脱可能に構成すれば、各種形態の当接子6を選択して使用できるため、位置決めシステム1の汎用性及び柔軟性を高めることができる。
【0016】
(4) 好適な態様により、ガイドレール3に、スライド自在に支持される第二スライダ4sを設け、この第二スライダ4sによりナット部7nを支持するようにすれば、ナット部7nと一体に変位する当接子6を含む機構の剛性化を図れるため、動作の安定性及び信頼性を高めることができるとともに、更なる位置決め精度の高度化に寄与できる。
【0017】
(5) 好適な態様により、駆動モータ5にステッピングモータを用いれば、オープンループ制御が可能になるため、制御の容易化及び制御系の簡略化を図れるとともに、サーボモータ等の他のモータで発生しやすいコギングトルクの悪影響を回避できる。
【0018】
(6) 好適な態様により、当接子荷重検出部10を構成するに際し、第一スライダ4の変位位置を検出する位置検出部を用いれば、荷重センサ(圧力センサ)等を用いることなく、荷重を間接的に検出できるため、制御の容易化及び制御系の簡略化、更にはコストダウンにも寄与できる。
【0019】
(7) 好適な態様により、位置決めシステム1に、可動側位置決め装置Meに加え、定位置Xsにセットされるパネル部材Sの端辺に少なくとも設定位置Psに保持した当接子6を当接させて位置決めを行う固定側位置決め装置Mfを、少なくとも一以上設ければ、可動側位置決め装置Meと固定側位置決め装置Mfを組合わせることにより、パネル部材Sの四端辺に対する更なる位置決め精度の高度化に寄与できる。
【0020】
(8) 好適な態様により、固定側位置決め装置Mfを、基台2に配したガイドレール3にスライド自在に支持されたスライダ4と、基台2に固定した駆動モータ5と、スライダ4及び当接子6と一体に変位するナット部7n,及び駆動モータ5の回転シャフト5sに結合したスクリュ部7sを有するボールねじ機構7と、当接子6の変位位置を検出する当接子位置検出部9とを設けて構成すれば、当接子6が保持される設定位置Psの正確性をより高めることができるため、更なる位置決め精度の高度化に寄与できる。
【0021】
(9) 好適な態様により、固定側位置決め装置Mfに、駆動モータ5における回転シャフト5sの周方向における予め設定した基準位置Piを検出する基準位置検出部12を設ければ、回転シャフト5sが回転する際の周方向における回転開始位置(角度)を常に一定にできるため、駆動モータ5側の誤差を低減して、位置決め精度の更なる高度化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の好適実施形態に係る位置決めシステムに備える可動側位置決め装置の一部断面平面図、
【図2】同可動側位置決め装置の側面図、
【図3】同位置決めシステムに備える固定側位置決め装置の一部断面平面図、
【図4】同固定側位置決め装置の側面図、
【図5】同可動側位置決め装置に備える当接子位置検出部の一部を示す斜視図、
【図6】同可動側位置決め装置に備える基準位置検出部の斜視図、
【図7】同位置決めシステムの全体のシステム構成を示す平面図、
【図8】同位置決めシステムの全体の動作を説明するためのフローチャート、
【図9】同位置決めシステムに備える可動側位置決め装置の動作を説明するためのフローチャート、
【図10】同固定側位置決め装置の動作説明図、
【図11】同可動側位置決め装置の動作説明図、
【図12】同可動側位置決め装置の動作状態の一部を示すタイミングチャート、
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0024】
まず、本実施形態に係る位置決めシステム1に備える可動側位置決め装置Meの構成について、図1,図2及び図5を参照して説明する。
【0025】
可動側位置決め装置Meは、平面が長方形となる基台2を備え、この基台2の上面に可動側位置決め装置Meの主要部を配設する。3は基台2の上面に固定し、長手方向に沿って配したリニアガイド機構のガイドレールであり、このガイドレール3により第一スライダ4及び第二スライダ4sをスライド自在に支持する。第一スライダ4及び第二スライダ4sはガイドレール3に係合するため離脱することはない。また、第一スライダ4には、第一結合部材21を固定するとともに、第一結合部材21の他の位置にはステッピングモータ(駆動モータ)5の前端部を固定する。これにより、図1に示すように、第一スライダ4とステッピングモータ5は、ガイドレール3に対して直角方向に並んで配され、一体にスライド変位可能になるとともに、ステッピングモータ5の回転シャフト5sはガイドレール3に平行となる。このようなステッピングモータ5を用いれば、オープンループ制御が可能になるため、制御の容易化及び制御系の簡略化を図れるとともに、サーボモータ等の他のモータで発生しやすいコギングトルクの悪影響を回避できる利点がある。なお、例示のステッピングモータ5は800パルス(駆動パルス)により一回転する。
【0026】
さらに、第一結合部材21には、ステッピングモータ5の前方に突出する支持フレーム22を固定し、この支持フレーム22によりボールねじ機構7を支持する。この場合、ボールねじ機構7は、スクリュ部7sとこのスクリュ部7sに螺合したナット部7nを備え、スクリュ部7sは、支持フレーム22に固定した一対の支持ブラケット23,24により回動自在に支持される。この際、スクリュ部7sは、回転シャフト5sに対して同軸線上に配され、スクリュ部7sの一端はカップリング25を介して回転シャフト5sの先端に結合する。
【0027】
一方、第二スライダ4sには第二結合部材26を固定し、第二結合部材26の他の位置はナット部7nに固定する。これにより、ナット部7nは第二スライダ4sにより支持され、一体にスライド変位可能となる。なお、第二スライダ4sの使用は、必須要素ではないが、第二スライダ4sによりナット部7nを支持することにより、ナット部7nと一体に変位する当接子6を含む機構の剛性化を図れるため、動作の安定性及び信頼性を高めることができるとともに、更なる位置決め精度の高度化に寄与できる利点がある。
【0028】
また、支持フレーム22の中間位置には、係合突起27を一体に設ける。この係合突起27は、基台2の上面に設けた弾性支持部8により弾性支持される。弾性支持部8は、係合突起27の変位方向前後に配した一対のスプリング8a,8bを備える。この場合、一方のスプリング8a側は、基台2の上面に固定したシリンダ28aを備え、このシリンダ28a内にスプリング8aを収容する。即ち、シリンダ28aは、一端を螺合タイプのキャップ28caにより閉塞し、他端から可動ピン29aを突出させ、この先端を係合突起27の一方側に当接させる。そして、シリンダ28a内におけるキャップ28caと可動ピン29a間に圧縮させたスプリング8aを介在させる。これにより、キャップ28caを回せば、当該キャップ28caを軸方向に変位させることができ、スプリング8aの弾発力の大きさを変えることができる。他方のスプリング8b側の構成も、上述した一方のスプリング8a側と同様に構成することができる。しかし、向きは反対方向となり、可動ピン29bの先端は係合突起27の他方側に当接させる。なお、28bはスプリング8b側のシリンダを示す。これにより、ステッピングモータ5と一体の第一スライダ4は、正逆双方の変位方向に対して一対のスプリング8a,8bにより安定に弾性支持される。
【0029】
さらに、第二結合部材26からは一対のアーム部材30p,30qを突出させ、このアーム部材30p,30qの先端に当接子支持部31を固定する。また、6は当接子支持部31に着脱可能な当接子であり、この当接子6は、ネジ等により当接子支持部31に装着する取付部32及びこの取付部32に設けた当接子本体6mを有する。この当接子本体6mが後述するパネル部材Sの端辺Sf…に当接する。このように、当接子6を、当接子支持部31に対して着脱可能、即ち、ナット部7n側に対して着脱可能に構成すれば、各種形態の当接子6を選択して使用できるため、位置決めシステム1の汎用性及び柔軟性を高めることができる。図1に例示する当接子6は、最も単純な形態となり、前方へ押出すことにより当接させる押当タイプとなるが、その他、コの字形に形成した取付部32を使用し、一端面を当接子支持部31に対して着脱可能に構成するとともに、他端面に当接子本体6mを設ければ、当接子本体6mの向きは、図1に対して反対となるため、後方へ引込むことにより当接させる引当タイプとして使用できるなど、使用環境等に応じて異なる当接子6の選択が可能となる。
【0030】
他方、当接子6の変位位置を検出する当接子位置検出部9を配設する。当接子位置検出部9は、図5及び図2に示すように、アーム部材30p(第二結合部材26)に取付けた被検出プレート35と、この被検出プレート35の変位方向における両端位置をそれぞれ検出する一対の透過式の光センサ36x,36yを備える。光センサ36x,36yは基台2の上面に固定したセンサ取付プレート(センサ取付基板)37にその位置を選定して取付ける。この場合、二つの光センサ36x,36yは、当接子6の種類に応じて選択して使用することができる。即ち、当接子6が上述した押当タイプの場合には一方の光センサ36xを使用し、当接子6が上述した引当タイプの場合には他方の光センサ36yを使用する。
【0031】
また、当接子6に付加される荷重の大きさを検出する当接子荷重検出部10を配設する。この当接子荷重検出部10には、ステッピングモータ5等を含む第一スライダ4の変位位置を検出する位置検出部を用いる。このため、当接子荷重検出部10の基本的な構成は、上述した当接子位置検出部9と同じになる。即ち、被検出プレート38を、取付部材39を介して第一結合部材21に取付けるとともに、被検出プレート38の変位方向における両端位置をそれぞれ検出する一対の透過式の光センサ40x,40yを、センサ取付プレート37にその位置を選定して取付ける。この場合、当接子6に荷重が付加されていない自然状態において、光センサ40xと40yの中央に被検出プレート38が位置するように位置関係を選定する。特に、光センサ40xと40yの間隔の大きさ或いは被検出プレート38の変位方向における幅の長さを選定することにより、検出する荷重の大きさを設定(変更)できる。当接子荷重検出部10を構成するに際しては、荷重センサ(圧力センサ)等の荷重を直接検出する他の荷重検出手段の使用も可能であるが、第一スライダ4の変位位置を検出する位置検出部を用いれば、荷重を間接的に検出可能となり、制御の容易化及び制御系の簡略化、更にはコストダウンにも寄与できる利点がある。
【0032】
次に、本実施形態に係る位置決めシステム1に備える固定側位置決め装置Mfの構成について、図3〜図6を参照して説明する。
【0033】
固定側位置決め装置Mfは、基本的に、可動側位置決め装置Meの構成部品を相当部分共通使用する。このため、固定側位置決め装置Mfにおける可動側位置決め装置Meと同一部分については同一符号を付し、その詳細な説明の一部を省略した。
【0034】
固定側位置決め装置Mfは、基台2を備え、この基台2の上面に、固定側位置決め装置Mfの主要部を配設する。3はリニアガイド機構を構成するガイドレールであり、このガイドレール3により第一スライダ4と第二スライダ4sをスライド自在に支持する。また、基台2の上面には支持部材51を固定し、この支持部材51によりステッピングモータ(駆動モータ)5を支持する。これにより、ステッピングモータ5は基台2の上面に固定される。ステッピングモータ5の固定位置は、可動側位置決め装置Meにおける当接子6に荷重が付加されない自然状態のステッピングモータ5と同一の位置を選定する。
【0035】
さらに、第一結合部材21には、ステッピングモータ5の前方に突出する支持フレーム22を固定し、この支持フレーム22によりボールねじ機構7を支持する。この場合、ボールねじ機構7は、スクリュ部7sとこのスクリュ部7sに螺合したナット部7nを備え、スクリュ部7sは、支持フレーム22に固定した一対の支持ブラケット23,24により回動自在に支持される。この際、スクリュ部7sは、回転シャフト5sに対して同軸線上に配され、スクリュ部7sの一端はカップリング25を介して回転シャフト5sの先端に結合する。また、ボールねじ機構7のナット部7nには、結合部材52を固定するとともに、この結合部材52の他の位置は、前述した第一スライダ4及び第二スライダ4sに固定する。これにより、ナット部7n,第一スライダ4及び第二スライダ4sは、一体にスライド変位可能となる。なお、第一スライダ4と第二スライダ4sは、いずれか一方のみを用いることも可能であるが、部品の共通化、更には剛性及び安定性の向上等の観点から双方を用いることが望ましい。さらに、結合部材52からは一対のアーム部材30p,30qを突出させ、このアーム部材30p,30qの先端に当接子支持部31を固定する。また、6は当接子支持部31に着脱可能な当接子であり、この当接子6は、ネジ等により当接子支持部31に装着する取付部32及びこの取付部32に設けた当接子本体6mを有する。この当接子本体6mが後述するパネル部材Sの端辺Sf…に当接する。
【0036】
他方、当接子6の変位位置を検出する当接子位置検出部9を配設する。当接子位置検出部9は、図5及び図4に示すように、アーム部材30p(結合部材52)に取付けた被検出プレート35と、この被検出プレート35の変位方向における両端位置をそれぞれ検出する一対の透過式の光センサ36x,36yを備える。
【0037】
また、ステッピングモータ5における回転シャフト5sの周方向における予め設定した基準位置Piを検出する基準位置検出部12を設ける。基準位置検出部12は、図6に示すように、回転シャフト5sの周面における所定の位置に、放射方向に突出したシャッタ部55を固定するとともに、このシャッタ部55を検出可能な透過式の光センサ56を用いて構成する。これにより、回転シャフト5sが回転する際の周方向における回転開始位置(角度)を常に一定にできるため、ステッピングモータ5側の誤差を低減して、位置決め精度の更なる高度化に寄与できる。
【0038】
次に、本実施形態に係る位置決めシステム1の全体のシステム構成について、図7を参照して説明する。
【0039】
図7は、可動側位置決め装置Meを三台使用し、固定側位置決め装置Mfを三台使用する例を示す。なお、図中、Sは液晶パネル等の矩形のパネル部材であり、矢印Fcで示す搬送方向にローラコンベア又はベルトコンベア等により搬送されるものとする。また、60はソレノイド等によりストッパ60sを昇降させるストッパ機構であり、搬送されたパネル部材Sの先端に係止してパネル部材Sを設定した定位置Xsに予備的にセットする機能を備える。
【0040】
位置決めシステム1は、パネル部材Sの前端辺Sfの位置決めを行う二台の固定側位置決め装置Mf…,同後端辺Srの位置決めを行う二台の可動側位置決め装置Me…,同左端辺Spの位置決めを行う一台の固定側位置決め装置Mf及び同右端辺Sqの位置決めを行う一台の可動側位置決め装置Meを備え、これら六台の位置決め装置Mf…及びMe…は、平坦な昇降盤の上面又は下面に取付けることにより一体化し、全体を位置決めユニットUとして構成することができる。したがって、位置決めユニットUは、不図示の昇降機構により昇降可能にし、例えば、ローラコンベアによりパネル部材Sが搬送される場合には、昇降盤の上面に位置決め装置Mf…及びMe…を取付けることによりローラコンベアの下方に配し、各位置決め装置Mf…及びMe…を、ローラコンベアの隙間を通して昇降させることができる。これに対して、ベルトコンベアによりパネル部材Sが搬送される場合には、昇降盤の下面に位置決め装置Mf…及びMe…を取付けることによりベルトコンベアの上方に配し、各位置決め装置Mf…及びMe…を、ベルトコンベアの上方から昇降させることができる。
【0041】
また、位置決めシステム1は、図7に示す制御部11を備える。制御部11は、CPU及び電源ユニット等を含むコンピュータ機能を有するコントローラ61を備え、各種設定を行う設定部62及び各位置決め装置Mf…,Me…を制御するモータドライバ63を接続する。コントローラ61には、ROM,RAM等を含む記憶部61mが付属し、この記憶部61mには、少なくとも、位置決めシステム1の全体における一連の制御(シーケンス制御)を実行するための制御プログラムを格納したプログラムメモリが含まれるとともに、各種データ(データベース)を記憶するデータメモリが含まれる。さらに、モータドライバ63のモータ接続ポートには、各位置決め装置Mf…,Me…におけるステッピングモータ5…及びストッパ機構60を接続するとともに、モータドライバ63のセンサ接続ポートには、各位置決め装置Mf…,Me…における光センサ36x…,36y…,40x,40y及び56を接続する。
【0042】
これにより、コントローラ61とモータドライバ63間では各種指令データ及び検出データの授受が行われるとともに、モータドライバ63は、各種指令データに対応し、また、少なくとも当接子位置検出部9…,当接子荷重検出部10…及び基準位置検出部12の検出結果に対応して可動側位置決め装置Me…のステッピングモータ5…をそれぞれ独立して制御する。なお、制御には、速度制御を含む作動制御,位置制御を含む停止制御等が含まれる。
【0043】
次に、本実施形態に係る位置決めシステム1の使用方法及び動作について、図10〜図13を含む各図を参照しつつ図8(図9)に示すフローチャートに従って説明する。
【0044】
最初に、各位置決め装置Me…,Mf…における原点調整処理を行う(ステップS1)。この原点調整処理について、図9に示すフローチャートを参照して説明する。まず、電源スイッチをONにして位置決めシステム1を起動させた後、原点の選択を行う(ステップS20)。即ち、各位置決め装置Me…,Mf…は、当接子6…の異なる種類により押当タイプ又は引当タイプを選択して使用可能である。このため、当接子6…の種類に対応した選択を行う。本実施形態で例示する各位置決め装置Me…,Mf…は押当タイプであるため、この場合、押当タイプに対応する原点を選択する。これにより、原点調整には光センサ36xが使用される。これに対して、引当タイプに対応する原点を選択すれば、原点調整には光センサ36yが使用される。なお、以下では、原点調整に光センサ36xが使用される場合を説明する。
【0045】
原点の選択により、制御部11は、原点の検出有無を原点信号Doの有無により判断する(ステップS21)。即ち、この場合、光センサ36xによる被検出プレート35の検出有無により判断する。図12(a)が原点信号Doを示している。この際、原点信号Doが無い場合(OFFの場合)には、被検出プレート35は、光センサ36xと36y間又は光センサ36yの原点に位置していることが想定されるため、ステッピングモータ5を作動制御し、当接子6を高速で原点方向(光センサ36x側)へ移動させる(ステップS22)。図12中、X1が移動開始位置を示している。なお、図12(a)において、点線Rfは、当接子6の移動方向と移動速度の大きさを示す。この後、被検出プレート35の一端が位置X2に到達すれば、被検出プレート35により光センサ36xの光路が遮断され、原点信号DoはONになる。即ち、原点が検出される(ステップS23)。原点信号DoのONにより、ステッピングモータ5に対する減速制御及び停止制御が行われる(ステップS24)。図12中、位置X3が停止位置となり、位置X2に対して僅かにオーバランした位置となる。次いで、ステッピングモータ5を逆方向に作動制御して当接子6を反対方向へ低速で移動させる(ステップS25)。
【0046】
これにより、被検出プレート35は再度位置X2に到達し、被検出プレート35による光センサ36xの光路の遮断が解除されるため、原点信号DoはOFFとなる。これにより、原点が再度検出されることになる(ステップS26)。そして、原点信号DoがOFFとなったことに基づいて正規の原点設定を行う。この場合、固定側位置決め装置Mf…では、ステップS26における原点信号DoのOFF後、基準信号Dsを監視し、最初に基準信号Dsを検出したなら、その時点でステッピングモータ5に対する停止制御を行う(ステップS27,S28,S29)。図12(b)が基準信号Dsを示しており、位置X4fで最初の基準信号Dsを検出する。したがって、位置X4fが正規の原点位置Poとなる。図10において、実線で示す被検出プレート35が押当タイプの原点における停止位置(位置X4f)となり、Xoがこのときの当接子6の先端位置となる。これにより、固定側位置決め装置Mf…における原点調整が終了する。
【0047】
一方、可動側位置決め装置Me…では、ステップS26における原点信号DoのOFF後、移動距離を監視し、予め設定した設定距離Loだけ移動したならステッピングモータ5に対する停止制御を行う(ステップS30,S31,S29)。この設定距離Loは、ステッピングモータ5を作動させる駆動パルスのパルス数により設定する。図12(b)において、位置X4eが停止位置を示し、正規の原点位置Poとなる。図11において、実線で示す被検出プレート35が押当タイプの原点における停止位置(位置X4e)となり、Xoがこのときの当接子6の先端位置となる。これにより、可動側位置決め装置Me…における原点調整が終了する。
【0048】
以上、押当タイプの場合について説明したが、引当タイプの場合には、原点の調整に光センサ36yが使用される。この際、基本的な動作は同じとなるが、移動方向が反対となる。図10及び図11において、仮想線で示す被検出プレート35nが引当タイプの原点における停止位置(位置X4f,X4e)となる。
【0049】
なお、ステップS21において、原点の検出有無を判断した際に、原点信号Doが有る場合(ONの場合)には、被検出プレート35が光センサ36xの光路を遮断する状態にあるため、この場合には、ステップS22,S23,S24の処理は行わない。したがって、ステップS21における判断処理後は、ステップS25にジャンプし、ステップS25から処理を行う。
【0050】
他方、以上の原点調整処理が終了したなら、各当接子6…を予め設定した待機位置まで前進させる(ステップS2)。この場合、待機位置は、ステッピングモータ5を作動させる駆動パルスのパルス数により設定する。この待機位置は、適度に選定することにより、後述する正規の位置決め処理の時間を短くできるため、位置決めユニットUを使用位置まで上昇(又は下降)させた際に、搬入されるパネル部材Sに干渉しないことを条件に、パネル部材Sの搬入態様やパネル部材Sの大きさ等を考慮して任意に設定できる。また、ストッパ機構60を制御し、ストッパ60sを係止位置へ移動させる(ステップS3)。
【0051】
この後、パネル部材Sを、セットする定位置Xsに搬入する(ステップS4)。これにより、パネル部材Sの先端がストッパ60sに係止するため、係止したなら搬送を停止する(ステップS5)。このため、ストッパ60sにパネル部材Sが係止したことを検出するセンサを設けることが望ましい。パネル部材Sが定位置Xsに停止したなら、位置決めユニットUを使用位置まで上昇(又は下降)させるとともに、ストッパ60sをリリース位置に戻す制御を行う(ステップS6,S7)。
【0052】
次いで、各位置決め装置Mf…,Me…による正規の位置決め処理を行う。最初に、固定側位置決め装置Mf…のステッピングモータ5を作動制御し、当接子6…を低速で前進させるとともに、予め設定した設定位置Psまで前進したなら停止制御を行う(ステップS8,S9,S10)。この場合、設定位置Psは、ステッピングモータ5を作動させる駆動パルスのパルス数により設定する。これにより、当接子6は、正確に調整された原点位置Poから、待機位置を経て設定された設定位置Psまで移動するため、正確な設定位置Psで停止させることができる。図10中、仮想線で示す符号35sが設定位置Psにおける被検出プレートを示し、また、Xrがこのときの当接子6の先端位置を示すとともに、Lsが原点位置Poから設定位置Psまでの当接子6の移動距離を示す。ところで、パネル部材Sの前端辺Sfには、二台の固定側位置決め装置Mf…を配することにより、パネル部材Sの角度決めを可能にしている。即ち、各固定側位置決め装置Mf…における設定位置Psを異ならせることにより、パネル部材Sの角度を設定できる。したがって、具体的には、ステッピングモータ5…を作動させる駆動パルスのパルス数を各固定側位置決め装置Mf…において異ならせる。このように、前端辺Sfに当接する二台の固定側位置決め装置Mf…は、位置決めと角度決めの双方を兼用する。以上により、固定側位置決め装置Mf…による位置決め処理が終了する。
【0053】
固定側位置決め装置Mf…における位置決め処理が終了したなら、可動側位置決め装置Me…による位置決め処理を行う。まず、可動側位置決め装置Me…のステッピンクモータ5を作動制御し、当接子6…を低速で前進させる(ステップS11)。当接子6…が前進することにより、当接子6…はパネル部材Sの端辺Sq…に当接し、これにより、当接子6…の前進移動は強制的に停止させられる。この後、更にステッピングモータ5…の作動を継続させれば、ステッピンクモータ5側はガイドレール3に沿って後退移動する。この結果、当接子荷重検出部10の被検出プレート38も後退変位するため、光センサ40xが被検出プレート38の端辺を検出したなら停止制御を行う。この場合、ステッピンクモータ5側が所定の距離だけ後退することによりスプリング8aが所定のストロークだけ圧縮するため、パネル部材Sの端辺Sqには、当接子6から目標の荷重が付加される(ステップS12,S13)。図11中、仮想線で示す符号35sがパネル部材Sの端辺Sq…に当接した位置における被検出プレートを示し、また、Xrがこのときの当接子6の先端位置を示すとともに、Lsが原点位置Poから設定位置Psまでの当接子6の移動距離を示す。一方、仮想線で示す符号38rは光センサ40xにより検出された位置における被検出プレートを示し、この位置は、ステッピンクモータ5側が距離Lrだけ後退した位置となる。
【0054】
これにより、可動側位置決め装置Me…による位置決め処理が終了するとともに、同時に、位置決めユニットUによるパネル部材Sに対する位置決め処理が終了する。この場合、三台の固定側位置決め装置Mf…によりパネル部材Sの二辺の位置及び角度が規制されるとともに、三台の可動側位置決め装置Me…によりパネル部材Sの他の二辺が一定の荷重により付勢される。
【0055】
したがって、このような本実施形態に係る位置決めシステム1によれば、基本的な構成として、基台2に配したガイドレール3にスライド自在に支持された第一スライダ4と、この第一スライダ4と一体に変位する駆動モータ5と、当接子6と一体に変位するナット部7n及び駆動モータ5の回転シャフト5sに結合したスクリュ部7sを有するボールねじ機構7と、駆動モータ5を変位方向に弾性支持する弾性支持部8と、当接子6の変位位置を検出する当接子位置検出部9と、当接子6に付加される荷重の大きさを検出する当接子荷重検出部10とを有してなる可動側位置決め装置Meを、少なくとも一以上備えるとともに、少なくとも当接子位置検出部9及び当接子荷重検出部10の検出結果に対応して駆動モータ5を制御する制御部11を備えてなるため、液晶パネル等のパネル部材Sのように、時代の進展とともに画素パターン等が微細化(緻密化)され、検査時におけるパネル部材Sの位置決めに対し、より高い精度が要求される場合であっても、その要求に十分応えることができる。具体的には、位置決め精度を設定位置Psに対して、±5〔μm〕以内に収めることが可能になるなど、高度の位置決め精度を実現できる。また、矩形のパネル部材Sの四端辺にそれぞれ当接子6…を当接させて位置決めを行う場合であって、かつパネル部材Sがフレキシブル性や伸縮性を有する場合であっても、パネル部材Sに反りや歪等の無用な変形を生じる虞れがない。したがって、パネル部材S自身に対する悪影響、更には位置決め精度に対する悪影響を回避できる。
【0056】
特に、例示の場合、可動側位置決め装置Meに対して、定位置Xsにセットされるパネル部材Sの端辺Sp…に少なくとも設定位置Psに保持した当接子6を当接させて位置決めを行う固定側位置決め装置Mfを、少なくとも一以上設けた構成を採用するため、可動側位置決め装置Meと固定側位置決め装置Mfを組合わせることにより、パネル部材Sの四端辺Sf…に対する更なる位置決め精度の高度化に寄与できる。しかも、固定側位置決め装置Mfは、基台2に配したガイドレール3にスライド自在に支持されたスライダ4と、基台2に固定した駆動モータ5と、スライダ4及び当接子6と一体に変位するナット部7n,及び駆動モータ5の回転シャフト5sに結合したスクリュ部7sを有するボールねじ機構7と、当接子6の変位位置を検出する当接子位置検出部9とを設けて構成したため、当接子6が保持される設定位置Psの正確性をより高めることができ、更なる位置決め精度の高度化に寄与できる。
【0057】
そして、位置決めシステム1による位置決め処理が終了したなら、パネル部材Sに対してキズ等の特異点を見つける検査処理を行うことができる(ステップS14)。検査処理が終了したなら、各位置決め装置Mf…,Me…の当接子6…を待機位置まで後退させる(ステップS15,S16)。この後、位置決めユニットUをリリース位置まで戻した後、パネル部材Sを定位置Xsから搬出する(ステップS17,S18)。さらに、次に検査を行うパネル部材Sが有る場合には、同様の処理を繰り返して行えばよい(ステップS19,S3…)。
【0058】
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0059】
例えば、当接子6は、ナット部7n側に対して着脱可能に構成した場合を示したが、当接子6をナット部7n側に対して固着して構成する場合を排除するものではない。即ち、押当タイプ又は引当タイプの一方のタイプ専用に構成してもよい。したがって、この場合には、弾性支持部8をスプリング8a又は8bの一方のみでも構成できるとともに、当接子位置検出部9は、光センサ36x又は36yの一方のみでも構成できる。また、駆動モータとしてステッピングモータ5を用いた例を示したが、サーボモータや他のタイプのモータを排除するものではない。一方、位置決めシステム1に、固定側位置決め装置Mfは必ずしも設けることを要しない。例えば、固定側位置決め装置Mfの代わりに、正確に位置決めした固定位置決めピン等をパネル部材Sの任意の端辺に当接させ、反対側の端辺に可動側位置決め装置Meから荷重を付加する構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明に係るパネル部材の位置決めシステム1は、液晶パネル等のパネル部材をはじめ、各種用途における各種パネル部材の位置決めに利用できるとともに、特に、フレキシブル性及び伸縮性を有するパネル部材を高い精度で位置決めする際に最適である。
【符号の説明】
【0061】
1:位置決めシステム,2:基台,3:ガイドレール,4:スライダ(第一スライダ),4s:第二スライダ,5:駆動モータ(ステッピングモータ),5s:回転シャフト,6:当接子,7:ボールねじ機構,7n:ナット部,7s:スクリュ部,8:弾性支持部,8a:スプリング,8b:スプリング,9:当接子位置検出部,10:当接子荷重検出部,11:制御部,12:基準位置検出部,Xs:定位置,S:パネル部材,Sq…:パネル部材の端辺,Me…:可動側位置決め装置,Mf:固定側位置決め装置,Pi:基準位置,Ps:設定位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定位置にセットされるパネル部材の端辺に当接子を当接させて位置決めを行う位置決め装置を複数組合わせて構成するパネル部材の位置決めシステムであって、基台に配したガイドレールにスライド自在に支持されたスライダ(第一スライダ)と、この第一スライダと一体に変位する駆動モータと、前記当接子と一体に変位するナット部及び前記駆動モータの回転シャフトに結合したスクリュ部を有するボールねじ機構と、前記駆動モータを変位方向に弾性支持する弾性支持部と、前記当接子の変位位置を検出する当接子位置検出部と、前記当接子に付加される荷重の大きさを検出する当接子荷重検出部とを有してなる位置決め装置を、少なくとも一以上備えるとともに、少なくとも前記当接子位置検出部及び当接子荷重検出部の検出結果に対応して前記駆動モータを制御する制御部を備えてなることを特徴とするパネル部材の位置決めシステム。
【請求項2】
前記当接子は、前記ナット部側に対して着脱可能に構成することを特徴とする請求項1記載のパネル部材の位置決めシステム。
【請求項3】
前記ガイドレールにスライド自在に支持される第二スライダを備え、この第二スライダにより前記ナット部を支持することを特徴とする請求項1又は2記載のパネル部材の位置決めシステム。
【請求項4】
前記駆動モータは、ステッピングモータを用いることを特徴とする請求項1,2又は3記載のパネル部材の位置決めシステム。
【請求項5】
前記弾性支持部は、前記第一スライダの正逆双方の変位方向に対して弾性支持する一対のスプリングを備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のパネル部材の位置決めシステム。
【請求項6】
前記当接子荷重検出部は、前記当接子の変位位置を検出する位置検出部を用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のパネル部材の位置決めシステム。
【請求項7】
前記位置決め装置(可動側位置決め装置)に加え、定位置にセットされるパネル部材の端辺に少なくとも設定位置に保持した当接子を当接させて位置決めを行う固定側位置決め装置を、少なくとも一以上備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のパネル部材の位置決めシステム。
【請求項8】
前記固定側位置決め装置は、基台に配したガイドレールにスライド自在に支持されたスライダと、前記基台に固定した駆動モータと、前記スライダ及び前記当接子と一体に変位するナット部,及び前記駆動モータの回転シャフトに結合したスクリュ部を有するボールねじ機構と、前記当接子の変位位置を検出する当接子位置検出部とを有してなることを特徴とする請求項7記載のパネル部材の位置決めシステム。
【請求項9】
少なくとも前記当接子位置検出部の検出結果に対応して前記駆動モータを制御する制御部を備えることを特徴とする請求項8記載のパネル部材の位置決めシステム。
【請求項10】
前記固定側位置決め装置は、前記駆動モータにおける回転シャフトの周方向における予め設定した基準位置を検出する基準位置検出部を備えることを特徴とする請求項7,8又は9記載のパネル部材の位置決めシステム。
【請求項11】
前記駆動モータは、ステッピングモータを用いることを特徴とする請求項8,9又は10記載のパネル部材の位置決めシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−52842(P2012−52842A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193723(P2010−193723)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000108627)タカノ株式会社 (250)
【Fターム(参考)】