説明

パプリカ色素製剤

【課 題】 食品を赤色に着色し得るパプリカ色素製剤を提供する。
【解決手段】 色価(E10%1cm)が4000〜10000のパプリカ色素を含有する油相と、水及び/又はアルコールを含有する水相とを乳化してなる水中油型乳化組成物であって、該油相の色価(E10%1cm)が3000〜10000であることを特徴とするパプリカ色素製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水中油型乳化組成物であるパプリカ色素製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品を赤く着色するにはベニコウジ色素やビートレッドが多く用いられてきた。しかし、ベニコウジ色素は耐光性に劣り、またビートレッド色素は耐光性のみならず耐熱性にも劣るといった欠点があった。このため、ベニコウジ色素やビートレッドに替えて、耐光性や耐熱性に優れるパプリカ色素が用いられる場合が多くなっている。
【0003】
パプリカ色素はカロチノイド系の油溶性色素であることから、水性食品の着色には通常水中油型の乳化液又は分散液として用いるのが適している。このような乳化液又は分散液の調製方法に関しては、例えば保護コロイド物質及び/又は界面活性剤を含有する水性系中、該水性系重量に基づいて約0.1乃至約5重量%のパプリカ色素含有乳化液であって、該乳化液中の乳化粒子の最大粒子サイズが約1.5μm以下で且つ該乳化粒子の平均粒子サイズが約0.3〜0.7μmであることを特徴とする安定な飲料用パプリカ色素製剤(特許文献1参照)、植物樹脂とパプリカオレオレジンとを含有した乳化粒子が、乳化剤を含有する水性系中に分散した、食品着色用パプリカ色素製剤(特許文献2参照)、パプリカオレオレジンとシュークロース・ジアセテート・ヘキサイソブチレート(SAIB)とを含有した乳化粒子が、乳化剤を含有する水性系中に分散してなるパプリカ色素製剤(特許文献3参照)、カロチノイド類1重量部を減圧下、可食性油脂類5重量部〜200重量部に120〜145℃、5分間〜30分間加熱溶解した後、保護コロイド物質又は乳化剤の水性溶液を用いて乳化することを特徴とする異臭のない安定なカロチノイド製剤の製造法(特許文献4参照)、油溶性のカロチノイド系色素を微細化した後、水性原料に分散させるか、又は水性原料に分散させた後に微細化させて得た赤色着色料(特許文献5参照)、パプリカ色素と親油性の食品用乳化剤を含有する油相と、親水性高分子化合物と水を含有する水相とを乳化してなる水中油型乳化組成物であることを特徴とする水産練り製品用パプリカ色素製剤(特許文献6参照)等が知られている。
【0004】
しかし、これら色素製剤で様々な食品を着色した場合、オレンジ色に近い黄色味の強い色調になるという問題があり、その色調は赤色であるとは言い難いものであった。
【0005】
【特許文献1】特開昭56−42565号公報
【特許文献2】特開平05−316995号公報、請求項2
【特許文献3】特開2001−252043号公報、請求項2
【特許文献4】特許第3516737号公報
【特許文献5】特開平07−135929号公報
【特許文献6】特開2006−109792号公報、請求項1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、食品を赤色に着色し得るパプリカ色素製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記課題に対して鋭意・検討を行った結果、色価が一定の範囲内にあるパプリカ色素を使用して得られる水中油型乳化組成物であって、該組成物の油相の色価が一定の範囲内に調整されたものにより食品を着色すると、記課題が解決されることを見いだし、この知見に基づいてさらに研究を進め、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、色価(E10%1cm)が4000〜10000のパプリカ色素を含有する油相と、水及び/又はアルコールを含有する水相とを乳化してなる水中油型乳化組成物であって、該油相の色価(E10%1cm)が3000〜10000であることを特徴とするパプリカ色素製剤、からなっている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に従うパプリカ色素製剤は、食品を赤色に着色することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明で用いられるパプリカ色素としては、ナス科トウガラシ(Capsicum annuum LINNE)の果実より、熱時油脂で抽出して得られたもの、室温時〜微温時ヘキサン又はエチルアルコールで抽出して得られたもの、温時加圧下に二酸化炭素で抽出して得られたもの、又はこれらより、温時加圧下に二酸化炭素で辛味成分を除去したもの等が挙げられる。
【0010】
本発明で用いられる好ましいパプリカ色素は、上記パプリカ色素を更に精製し、その色価(E10%1cm)を通常4000〜10000、好ましくは4500〜8000に高めたものである。ここで色価は、「第8版 食品添加物公定書」(日本食品添加物協会)の「トウガラシ色素」に記載の方法に準じて測定される。
【0011】
パプリカ色素を精製する方法に特に制限はなく、例えば超臨界抽出処理による方法、吸着剤及び溶媒を用いる方法などが挙げられる。後者の方法の場合、吸着剤としては、シリカゲル、ケイ酸マグネシウム、アルミナ等が挙げられ、好ましくはシリカゲルが用いられる。また溶媒の種類及び混合率は、精製前のパプリカ色素に含まれる赤色の成分であるカプサンチン類とそれ以外の成分とを分離可能であればよく、特に制限はないが、例えば、吸着剤にシリカゲルが用いられる場合には、アセトン/n−ヘキサンの混合液が好ましく用いられる。
【0012】
本発明に係る油相は、上記パプリカ色素を含有するが、その他成分として本発明の目的を阻害しない範囲で、食用油脂、油溶性の乳化剤、油溶性の酸化防止剤などを加えることができる。
【0013】
食用油脂としては、食用可能な油脂であれば特に制限はなく、例えば大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ヒマワリ油、米糠油、コーン油、椰子油、パーム油、パーム核油、落花生油、オリーブ油、ハイオレイック菜種油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイックコーン油及びハイオレイックヒマワリ油等の植物油脂や牛脂、ラード、魚油及び乳脂等の動物油脂、さらにこれら動植物油脂を分別、水素添加又はエステル交換したもの並びに中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)等が挙げられる。
【0014】
油溶性の乳化剤としては、特に制限はなく、例えばプロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル等が挙げられる。
【0015】
油溶性の酸化防止剤としては、抽出トコフェロール、dl−α−トコフェロール、ローズマリー抽出物、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアソニール(BHA)などが挙げられ、好ましくは抽出トコフェロールである。
【0016】
本発明で用いられる水としては、飲用可能なものであれば特に制限はなく、例えば蒸留水、イオン交換樹脂処理水、逆浸透膜(RO)処理水及び限外ろ過膜(UF)処理水等の精製水もしくは水道水、地下水及び涌水等の天然水又はアルカリイオン水等が挙げられる。また、本発明で用いられるアルコールとしては、例えばエタノール等の一価アルコール、糖アルコール、多価アルコール等が挙げられる。
【0017】
糖アルコールとしては、例えば、ソルビトール、マンニトール、マルチトール及び還元水飴等が挙げられる。また多価アルコールとしては、例えば、プロピレングリコール、グリセリン及びポリグリセリン等が挙げられ、中でもグリセリンが好ましい。これら糖アルコールおよび多価アルコールは、単独で用いるか、又は2種以上を用いることができる。
【0018】
本発明に係る水相は、上記水及び/又はアルコールを含有するが、本発明の目的を阻害しない範囲で、増粘物質、糖類、フィチン酸、クエン酸及び/またはその塩等金属封鎖剤、アスコルビン酸及び/またはその塩、茶抽出物、ヤマモモ抽出物等の水溶性の酸化防止剤等を加えることができる。
【0019】
増粘物質としては、アルギン酸及び/又はその塩、寒天、アラビアガム、カラギーナン、カシアガム、ガティガム、カラヤガム、キサンタンガム、キチン、キトサン、グアーガム、サイリウムシードガム、ジェランガム、タマリンドシードガム、デキストラン、トラガントガム、ファーセレラン、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ペクチン及びローカストビーンガム等が挙げられ、これらの増粘物質は単独で、あるいは複数種を組み合わせて使用することができる。
【0020】
糖類としては、例えば、キシロース、ブドウ糖及び果糖等の単糖、ショ糖、乳糖及び麦芽糖等のオリゴ糖、デキストリン及び水飴等の澱粉分解物並びにマルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース及びマルトヘキサオース等のマルトオリゴ糖等が挙げられる。
【0021】
本発明になる水中油型乳化組成物100質量%中には、パプリカ色素が約0.1〜50質量%、好ましくは約1〜30質量%、食用油脂が約0〜10質量%、好ましくは約0.1〜5%、増粘物質が約0.1〜50質量%、好ましくは約1〜30質量%、水及び/又はアルコールが約5〜90質量%、好ましくは約10〜80質量%、油溶性の酸化防止剤が約0.01〜10質量%、好ましくは約0.1〜5質量%、水溶性の酸化防止剤が約0.01〜10質量%、好ましくは約0.1〜5質量%、となるように調整するのが好ましい。
【0022】
本発明になる水中油型乳化組成物の製造方法は特に限定されず、自体公知の方法を用いて行うことができる。以下に、好ましい水中油型乳化組成物の製造方法を例示する。例えば、水及び/又はアルコールに増粘物質を加えて約50〜80℃、好ましくは約60〜70℃に加熱して溶解し水相とする。該水相を攪拌しながら、この中に約50〜80℃、好ましくは約60〜70℃に加熱し溶解したパプリカ色素等および食用油脂を含有する油相をゆっくり加え、例えば高速回転式ホモジナイザーを用いて、回転数約6000〜20000rpmにて、攪拌時間約10〜60分間で乳化する方法により水中油型乳化組成物(パプリカ色素製剤)を製造することができる。さらに、得られた乳化組成物をそのままもしくは賦形剤等を加えて乾燥し、粉末化することもできる。
【0023】
上記油相の色価(E10%1cm)は、通常3000〜10000となるように調整されることが好ましい。その調整方法としては、油相中のパプリカ色素および食用油脂の配合割合を適宜選択することができる。該油相の色価が上記範囲内にあると、得られる製剤を用いて着色した食品の色調が鮮やかな赤色になる。
【0024】
上記水中油型乳化組成物を製造するための装置としては特に限定されず、例えば、攪拌機、加熱用のジャケット及び邪魔板等を備えた通常の攪拌・混合槽を用いることができる。装備する攪拌機としては、例えばTKホモミクサー(プライミクス社製)又はクレアミックス(エムテクニック社製)等の高速回転式ホモジナイザーが好ましく用いられる。また、これらの装置で乳化した液を高圧式均質化処理機を使用して、さらに均質化してもよい。ここで高圧式均質化処理機としては、例えばAPVゴーリンホモジナイザー(APV社製)、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイデックス社製)、アルティマイザー(スギノマシン社製)又はナノマイザー(大和製罐社製)等を好ましく使用することができる。上記均質化処理機に代えて、例えば超音波乳化機や膜乳化装置等の均質化処理機を用いてもよい。
【0025】
上記水中油型乳化組成物を乾燥し、粉末化する方法に特に限定はなく、例えば噴霧乾燥、ドラム乾燥、ベルト乾燥する方法、−20℃以下で冷凍後、凍結乾燥する方法などが挙げられるが、好ましくは噴霧乾燥である。乾燥により得られる粉末の乾燥減量は20重量%以下、好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。
【0026】
本発明に従うパプリカ色素製剤により鮮やかな赤色に着色し得る食品としては、例えば、蒸しかまぼこ、焼抜かまぼこ、ちくわ、風味かまぼこ、ゆでかまぼこ、揚かまぼこ、特殊包装かまぼこ又は細工かまぼこ等の各種水産練り製品や、落雁、牛乳かん、ゼリー、アイスクリームなどの菓子類などが挙げられる。
【実施例】
【0027】
以下に本発明を参考例、実施例および試験例に基づいて、より具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】
[参考例1]
パプリカ色素の精製
ガラス製カラム(内径92mm;カラム長1000mm)にn−ヘキサンを入れ、そこへシリカゲル(製品名:ワコーゲルC−300;和光純薬工業社製)300gを空気を抱き込まないように充填し、該カラムに、n−ヘキサン2000mLに溶解したパプリカオレオレジン450g(色価1590)を流速SV=6/時間で供給した。これをn−ヘキサン4000mL、および0.5%アセトン含有n−ヘキサン7000mLで洗浄した後、20%アセトン含有n−ヘキサンで色素成分を溶出し、溶媒を留去してパプリカ色素(試作品1;色価7400)約27gを得た。
【0029】
[参考例2]
パプリカ色素の精製
ガラス製カラム(内径92mm;カラム長1000mm)にn−ヘキサンを入れ、そこへシリカゲル(製品名:ワコーゲルC−300;和光純薬工業社製)300gを空気を抱き込まないように充填し、該カラムに、n−ヘキサン2000mLに溶解したパプリカオレオレジン450g(色価1590)を流速SV=6/時間で供給した。これをn−ヘキサン4000mLで洗浄した後、20%アセトン含有n−ヘキサンで色素成分を溶出し、溶媒を留去してパプリカ色素(試作品2;色価4700)約27gを得た。
【0030】
[パプリカ色素製剤の作成]
【0031】
(1)パプリカ色素製剤作製のための原材料
1)パプリカ色素(試作品1;色価7400)
2)パプリカ色素(試作品2;色価4700)
3)パプリカ色素(製品名:パプリカオレオレジン;色価2300;英特社製)
4)菜種サラダ油(岡村製油社製)
5)抽出トコフェロール(製品名:Eオイルスーパー80;理研ビタミン社製)
6)プロピレングリコール脂肪酸エステル(製品名:リケマールPO−100V;理研ビタミン製 )
7)アラビアガム(製品名:サンアラビック;三栄薬品貿易社製)
8)グリセリン(ミヨシ油脂社製)
9)キサンタンガム(製品名:エコーガムRD;大日本住友製薬社製)
10)アスコルビン酸ナトリウム(BASF社製)
11)デキストリン(製品名:パインデックス#2;松谷化学社製)
12)エタノール
13)水
【0032】
(2)原材料の配合組成
パプリカ色素製剤(実施品1〜5並びに比較品1および2)の作製に使用した原材料の配合組成を表1に示した。この内、実施品1〜5は本発明に係る実施例であり、比較品1および2はそれらに対する比較例である。また、この配合組成により得られる各製剤の油相の色価(E10%1cm)を表2に示した。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
(3)パプリカ色素製剤の作製
【0036】
[実施例1〜4並びに比較例1および2]
1)300mL容ステンレス製ビーカーに表1記載の油相に対応する原材料を入れ、約60℃に加温しながら均一に混合し、油部を調整した。
2)2L容ステンレス製ビーカーに水を入れ60℃に加温し、クレアミックス(型式 0.8S;エムテクニック社製)を用いて低速で攪拌しながら、表1記載の水相に対応する原材料(水を除く)を加えて攪拌して溶解し、水部を調整した。
3)2)の水部をクレアミックス(型式 0.8S;エムテクニック社製)を用いて低速で撹拌しながら1)の油部を徐々に加え、さらに該クレアミックスを用いて10000rpmで60分間攪拌・乳化し、水中油型乳化組成物であるパプリカ色素製剤1000g(実施品1〜4並びに比較品1および2)を調製した。得られた製剤の色価はいずれも400であった。
【0037】
[実施例5]
1)表1記載の配合組成に従い、上記実施例および比較例と同様に水部および油部を混合・乳化し、水中油型乳化組成物(1000g)を得た。
2)1)の乳化組成物を加圧ノズル式噴霧乾燥装置(型式 L−8i;大川原化工機社)にて、熱風入口温度190℃、排気温度90℃の条件下で噴霧乾燥し、乾燥物をサイクロンで捕集するし粉末状のパプリカ色素製剤(実施品5)約300gを得た。得られた製剤(実施品5)の色価は400であった。また、得られた粉末の乾燥減量は約4.5質量%であった。
【0038】
[試験例1] 着色かまぼこの作成および評価
(1)原材料の配合組成
着色かまぼこの配合組成を表3に示した。
【0039】
【表3】

【0040】
(2)着色かまぼこの作製
氷水を満たしたステンレス製容器(2L容)にすり鉢を入れ、表3に示した分量に従って調理すり身、小麦澱粉、卵白、食塩水、ポリリン酸ナトリウムを入れ、さらに冷水を少しずつ加えながらすりこぎを用いて各原材料が均一に混合するまで約5〜10分間すり潰してすり身を得た。得られたすり身に、パプリカ色素製剤(実施品1〜5または比較品1若しくは2)を表3に記載の分量加え、すりこぎを用いて更に約1〜3分間すり潰し、均一に着色されたすり身を得た。該すり身をスチームオーブンにて15分間蒸しあげた後冷却し、着色かまぼこ1〜7を得た。
【0041】
(3)着色かまぼこの評価
得られた着色かまぼこ1〜7の色調を肉眼で観察した。結果を表4に示した。
【0042】
【表4】

【0043】
表4の結果から明らかなように、本発明のパプリカ色素製剤(実施品1〜5)により着色されたかまぼこは、いずれも赤色を呈するものであった。一方、従来のパプリカ色素製剤(比較品1および2)により着色されたかまぼこは黄色みが強く、オレンジ色を呈しており、赤色であるとは言い難いものであった。
【0044】
[試験例2]着色落雁の作成および評価
(1)着色落雁の配合
着色落雁の配合組成を表5に示した。
【0045】
【表5】

【0046】
(2)着色落雁の作製
10L容ステンレス製容器に表5の分量に従ってパプリカ色素製剤(実施品1〜5または比較品1若しくは2)、水、水飴を加え均一に混合し、更にみじん粉を3〜4回に分けて加えて色むらがなくなるまで十分に混合した。得られた混合物を押し型に充填して押し固めた。押し固められた混合物を押し型から抜き取り、通風乾燥機を用いて40℃の温風で120分乾燥し、着色落雁1〜7を得た。
【0047】
(3)着色落雁の評価
得られた着色落雁1〜7の色調を肉眼で観察した。その結果を表6に示した。
【0048】
【表6】

【0049】
表6の結果から明らかなように、本発明のパプリカ色素製剤(実施品1〜5)により着色した落雁は、いずれも赤色を呈していた。一方、従来のパプリカ色素製剤(比較品1および2)により着色した落雁は黄色みが強く、オレンジ色を呈しており、赤色であるとは言い難いものであった。
【0050】
[試験例3]着色牛乳かんの作成および評価
(1)着色牛乳かんの配合
着色牛乳かんの配合組成を表7に示した。
【0051】
【表7】

【0052】
(2)着色牛乳かんの作製
5L容ステンレス製容器に表7の分量に従って水、寒天、砂糖を加え、これらを沸騰しない程度の温度(約95℃)で加熱しながら撹拌および溶解し、溶解液を得た。この溶解液を、約60℃まで冷却し、表7の分量に従って牛乳及びパプリカ色素製剤(実施品1〜5または比較品1若しくは2)を加え均一に混合し、着色された混合液を得た。この混合液を200ml容プラスチック製容器に分注し、粗熱を取った後約5℃で約2時間冷却して固化させ、着色牛乳かん1〜7を得た。
【0053】
(3)着色牛乳かんの評価
得られた着色牛乳かん1〜7の色調を肉眼で観察した。その結果を表8に示した。
【0054】
【表8】

【0055】
表8の結果から明らかなように、本発明のパプリカ色素製剤(実施品1〜5)により着色した牛乳かんは、いずれも赤色を呈していた。一方、従来のパプリカ色素製剤(比較品1および2)により着色した牛乳かんは黄色みが強く、オレンジ色を呈しており、赤色であるとは言い難いものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色価(E10%1cm)が4000〜10000のパプリカ色素を含有する油相と、水及び/又はアルコールを含有する水相とを乳化してなる水中油型乳化組成物であって、該油相の色価(E10%1cm)が3000〜10000であることを特徴とするパプリカ色素製剤。