説明

パルス・レーザ装置および方法

【課題】高出力光パルスを効率的に発生するパルス・レーザ装置および方法を提供する。
【解決手段】光パルスを発生するレーザ装置が開示されており、前記レーザ装置は好ましくはファイバ利得媒体を含む反射利得素子を備える。反射利得素子は、反射状態および透過状態を有する制御可能な反射/透過モジュールに結合され、このモジュールでは制御可能な反射/透過手段が透過状態から反射状態に切り替わって光パルスの蓄積を開始し、かつ光パルスが共振器を往復してこの反射/透過手段に到達する前に光パルスを出力するために透過状態に切り替わって戻るように動作可能である。好ましい実施形態では、この制御可能な反射/透過モジュールは、0次回折の光パルスを出力する動作が可能なレーザの出力端に音響光学スイッチを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルス・レーザ放射の光源に関する。本発明は特にキャビティ内変調器を用いるQスイッチ・ファイバ・レーザに好適である。
【背景技術】
【0002】
連続波(CW)ファイバ・レーザは、他の従来からあるダイオード励起型固体(DDSS)レーザを上回る多くの利点を提供する。このようなファイバ・レーザのパルス動作は多く使用されているが、いくつかの新しい問題もある。
【0003】
一般に、レーザのパルス動作は、能動もしくは受動Qスイッチまたは能動もしくは受動モード同期によって達成することができる。レーザのQスイッチング法においては、レーザ・キャビティのフィネス・パラメータが、共振器の損失の追加挿入によって一時的に下げられ、これによってレーザ発振を開始することなくレーザの能動媒体の反転分布を増加させている。一般には音響光学変調器(AOM)である損失素子がオフになると、キャビティの往復が2、3度以内で光パルスが急速に蓄積し、ジャイアント光パルスが発生する。
【0004】
従来のQスイッチ・レーザでは、5〜10dBの往復による共振器の損失が、レーザ・モードを一次回折に偏向させ、共振器ミラーから遠くへそらせるように配置されたAOMによってもたらされ、一方、光出力が0次回折によってもたらされる。この損失は一般に共振器往復による光利得より大きいので、AOMはそれがオフになるまでレーザ発振を防ぎ、オフになった時点でキャビティ内にジャイアント光パルスが発生する。
【0005】
Amanoに付与された米国特許第5193096号は、そこを通る共鳴レーザ光の損失を急に変化させることによってQスイッチ発振を制御する対のレーザ共鳴ミラー間で干渉するQスイッチ音響光学素子を有する音響光学Qスイッチ固体レーザを開示している。
【0006】
Qスイッチの同様な方法がいくつかの従来技術によるファイバ・レーザのQスイッチで使用された。Mears他に付与された米国特許第4955025号は、透過モードまたは機械的チョッパ内で共振器内音響光学偏向器を用いてQスイッチングが可能であり、レーザ発振波長において部分的に伝えることのできる出力ミラーを有するダイオード励起型のファイバ・レーザを開示している。Fermann他に付与された米国特許第5818630号は、光スイッチが、2つの端部ミラーによって範囲が定められる共振器の損失(Q)を変調する働きもする出力結合に用いられる多重モード・ファイバ・レーザを開示している。別法として、部分伝送ミラーを使用してこのレーザのパルス出力を抽出することができる。
【0007】
しかしながら、ファイバ・レーザ、特に二重クラッドのファイバ・レーザでは、能動媒体の長さは一般にDPSS(ダイオード励起型固体レーザ)またはその他のタイプのレーザのそれよりずっと長く、一般的なポンピング条件下ではCWファイバ・レーザに対し10dB以上の往復光利得を、Qスイッチ・レーザに対してはそれよりずっと大きな、最高50dB以上の往復小信号利得をもたらす。この場合、前述の0次Qスイッチとして動作するAOMの到達可能な最高損失は、レーザ発振の開始を防ぐには不十分な可能性があり、したがってこの方法を常に使用することはできない。
【0008】
代わりに、AOMをQスイッチとして用いた場合、レーザは、AOMがオンになりレーザ・モードが一次または高次回折内の出力共振器ミラーの方に偏向された場合にレーザ共振器が形成される一次動作でQスイッチングを行わなければならない。一次動作の重要な利点は、この例の「オン」および「オフ」状態における共振器の損失のコントラスト比が、0次動作で一般に達成できる10dB未満と比較して50dBを超える可能性があることである。
【0009】
Scottに付与された米国特許第RE29421号は、音響光学偏向器を含むレーザ・システムにおいて電子的に選択可能な利得を備えた一次Qスイッチを開示している。レーザ共振器は、第1および第2の反射手段の間のレーザ発振材料からなるロッドおよび音響光学ビーム偏向器を含み、前述の第2の反射手段は、上記レーザ・ロッドの長手方向軸に対して前以て選択した角度をなすラインに沿って配置され、音響光学ビーム偏向器はレーザ放射を上記第2の反射手段の方に偏向させる。
【0010】
AOMを設けずにファイバ・レーザ内で光パルスを発生する他の従来技術の解決策も検討されてきた。Jain他に付与された米国特許第6510167号は、能動ファイバ部の一端において固定または調整可能なFBGを、他端において電気光学的に調整可能なFBGを用いるモード同期ファイバ・レーザを開示しており、そこでは電気光学的に調整可能なFBGは能動モード同期を達成するために変調されている。しかしながら、米国特許第6510167号に記載されたFBGの電気光学的な調整の比較的小さな変調深さが効率的なQスイッチの妨げになっている。Chandonnet他に付与された米国特許第5444723号は、コアからの光漏れの量を制御するために屈折率が光ファイバのコアよりも大きい移動可能なインデックス・オーバーレイ摂動パッドとおおむね平行に搭載された、全長が露出した光ファイバを有するQスイッチ・ファイバ・レーザの光スイッチを開示している。しかしながら、光ファイバのコアを露出させることは長期間の信頼性に対し悪い影響を及ぼす可能性があり、一般には避けるべきである。
【0011】
前述の従来技術によるQスイッチの解決策は、それぞれの目的に答えてはいるものの、前述の制約に加えて、それらの出力効率に対して否定的な影響を及ぼす共通の特徴、すなわち、各Qスイッチがオンのときにレーザ・パルスが出力され、そのレーザが低損失、高Q状態の共振器内にあるという特徴を有している。このため、このパルスは、部分透過ミラーまたはビーム・スプリッタのどちらかを通して出力されなければならず、これによって光出力が低減される。そのため、高いコントラスト比を与え、出力レーザ・パルスに対する反射率を低減する部分反射出力結合共振器を有するQスイッチ用レーザ装置を有することが有利になる。
【特許文献1】米国特許第5193096号
【特許文献2】米国特許第4955025号
【特許文献3】米国特許第5818630号
【特許文献4】米国特許第RE29421号
【特許文献5】米国特許第6510167号
【特許文献6】米国特許第5444723号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、高出力光パルスを効率的に発生し、高いコントラスト比およびレーザ共振器内のパルス往復より短いスイッチング時間を有する制御可能な反射/透過出力結合器を備え、この制御可能な反射/透過出力結合器が、光パルスを出力するために透過状態にスイッチされる、パルス・ファイバ・レーザを提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、高出力光パルスの効率的な発生と制御を可能にするファイバ・レーザのQスイッチの方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の態様によれば、第1の反射手段、入力/出力ポート、それらの間にある利得媒体、および光利得を可能にする前記利得媒体中にポンプ放射を供給する光ポンピング手段を有し、前記入力/出力ポートから第1の光路に沿って光放射を行う反射利得素子と、前記第1の光路内に配置され、光放射の制御可能な部分を反射して前記利得媒体に戻す反射状態、および前記第1の光路に沿って光放射を透過させて光放射出力を形成する透過状態を有する制御可能な反射/透過手段とを備え、前記制御可能な反射/透過手段が、前記利得媒体を介して前記第1の反射手段と前記制御可能な反射/透過手段との間に一時的な光共振器を、前記一時的な光共振器内の光放射の制御可能部分の1往復時間より短い時間の間形成するために、透過状態から反射状態に切り替わる動作が可能である、光パルス発生用レーザ装置が提供される。
【0015】
本発明の別の態様によれば、a)第1の反射手段、入力/出力ポートおよびそれらの間にある利得媒体を備え、前記入力/出力ポートから第1の光路に沿って光放射を行う利得媒体を含む反射利得素子を設ける工程と、b)光利得を可能にする利得媒体中にポンプ放射を供給する光ポンピング手段を設ける工程と、c)光放射の制御可能な部分を反射して前記利得媒体に戻す反射状態および前記第1の光路に沿って反射/透過手段を通して光放射を透過させて光放射出力を形成する透過状態を有し、前記反射状態と透過状態の間で切り替わるように動作可能な、前記第1の光路内に配置される制御可能な反射/透過手段を設ける工程と、d)前記利得媒体を介して前記第1の反射手段と前記制御可能な反射/透過手段の間に一時的な光共振器を、前記一時的な光共振器内の光放射の制御可能部分の1往復時間より短い時間の間形成して光パルスを起こすために、前記制御可能な反射/透過手段を透過状態から反射状態に切り替える工程と、e)前記利得素子から前記第1の光路に沿って前記制御可能な反射/透過手段を通って伝播する前記光パルスを透過させるために、前記制御可能な反射/透過手段を反射状態から透過状態に切り替える工程とを含む、Qスイッチによる光パルス発生方法が提供される。
【0016】
本発明の好ましい実施形態において、利得媒体は単一モード・コアを有するドープされた二重クラッドの光ファイバの1区間であり、前記制御可能な反射/透過手段は、第2の光路に沿った光放射の制御可能な部分をスイッチするためのパス・スイッチング手段、およびこのパス・スイッチング手段を通して反射利得素子に一時的な光フィードバックを与えるために前記第2の光路に配置された第2の反射手段を備える。
【0017】
1つの実施形態において、前記パス・スイッチング手段は、前記第2の光路に沿った光放射の制御可能な部分を回折によってスイッチするための一時的な回折格子を引き起こす媒体を含み、前記第2の光路は前記一時的な回折格子による光放射の一次または高次の回折によって規定される。前記パス・スイッチング媒体としては、たとえば、音響光学スイッチが可能である。
【0018】
本発明の第2の態様の一実施形態において、前記制御可能な反射/透過手段を透過状態から反射状態に切り替える工程は、前記光パルスを形成するために前記第2の光路に沿って前記第2の反射手段に向かうスイッチされた光放射の部分を変える工程をさらに含む。
【0019】
本発明の模範的な実施形態について添付図を用いて説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
定義
好ましい実施形態の実質的な説明の前に、いくつかの重要な用語の定義付けを行うことが不可欠である。
【0021】
用語「周波数」と用語「波長」は、本出願では区別なく使用される。周波数は速度を波長で割ったものに等しいが、ファイバの応用では、ファイバ中の光の速度は一定である。したがって、どの点についても、波長と周波数が区別なく使用される。
【0022】
用語「ドーパント」は、本発明では、物質の特性を高めたり抑えたりするためにその物質に対して加えられるあらゆる異質の元素、またはそれらの組み合わせの意味で用いられる。ドーパントの例として、これに限定するものではないが、ゲルマニウム(Ge)、水素(H)、ネオジム(Nd)、イッテルビウム(Yb)、ジルコニウロ(Zr)、亜鉛(Zn)、エルビウム(Er)、プラセオジミウム(Pr)、ツリウム(Tm)等の原子またはイオン種が挙げられる。本発明で関心がある特別な特性は、能動材料または光増幅材料として作用する機能である。
【0023】
用語「ブラッグ格子」は、本出願では、その構造の境界をよく定めた場所において高屈折率材セグメントと低屈折率材セグメントの周期が変わる交番周期セグメントおよび/または適切に組み込まれた位相シフトセグメントを含む構造の意味で使用される。1周期は、一組の隣接する高屈折材セグメントと低屈折材セグメントとして定義される。この定義によって、高屈折率材料と低屈折率材料の順序は関係なく、隣接するセグメント間の屈折率の変化があるだけであることが理解される。均一な格子についてだけ説明したが、非均一な格子も本発明の範囲内で考えられる。
【0024】
用語「ファイバ」または「ファイバ区間」または「ファイバ光導波路」は、本出願では、1つの点から他の点へ光波を導くあらゆる導波路の意味で使用される。この定義には具体的には、特に断りのない限り、単一モードおよび多重モードの両ファイバならびに任意の断面形または任意の単一クラッドもしくは多重クラッド形状を有するあらゆる導波路が含まれる。さらに、この用語はまた、特に断りのない限り、ドープされていようが非ドープであろうが導波路すべてを含む。
【0025】
本発明の目的のために「利得媒体」の用語は、光信号に対して利得を与える媒体を指す。このような媒体の例として、これに限定するものではないが、ドープ・ファイバ光導波路または半導体光増幅器が挙げられる。ファイバ・セグメント内で利得媒体を生成するのに使用することができる多数のドーパントがある(上記の用語ドーパントの定義を参照)。
【0026】
用語「音響光学変調器」(AOM)および「音響光学スイッチ」すなわち「AOスイッチ」は両方とも、本出願では、付加されたRF信号に応じて、音響光学作用により回折格子を制御可能に誘導することができる媒体を含むことを意味しており、これらの用語は、本出願では区別なく使用される。
【0027】
光パルスを発生するレーザ装置の好ましい実施形態を図1に示し、以下に説明する。
【0028】
反射利得素子10は、光利得を可能にするため1つまたはいくつかのYbまたはEr等の希土類元素でドープされている二重クラッド光ファイバ8の1区間、この二重クラッドファイバ区間8の最も近い端部に取り付けられ、光学的に結合された多重モードポンプ結合器4および第1の反射手段6を含んでいる。上記多重モードポンプ結合器4は、ポンプ結合器4の入力ポートに結合されたファイバ・ピグテイル3を有する市販の980nmダイオード・レーザ等の複数のポンプ光源2からのポンプ放射を合わせて合成ポンプ放射を形成し、この合成ポンプ放射をファイバ区間8の最も近い端部を通してこの区間内に注入する。上記第1の反射手段6は、最も近い端部の近傍、一般にはポンプ結合器から0.1から3mmの範囲内の光ファイバ区間8の間に組み込まれている高反射率周波数選択性の反射体である。別法として、上記第1の反射手段6は、ポンプ結合器4内に組み込むことができ、あるいはポンプ結合器4とドープされたファイバ区間8を光学的に結合してポンプ結合器に取り付けることができる。好ましい実施形態において、高反射率周波数選択性の反射体6は、光励起ファイバ・セグメント8の正の光利得のスペクトル範囲Δf内にあるレーザ発振周波数flasにおいて最高90%を超える反射率を有する狭帯域ファイバのブラッグ格子であり、ポンプ放射の波長範囲内で伝達可能である。イッテルビウムでドープしたファイバについて、この周波数範囲は一般に概略1060nmと1150nmの間の波長範囲に対応しており、これはポンピング条件、ファイバ区間の長さ、他のドーピング種の存在等によって変わる。ドープされたファイバ区間8の第2の端部11は、反射利得素子10の入力/出力ポートとしての役割を果たし、導波光モード内への後方反射を避ける角度に仕上げることが好ましい。たとえば、このファイバ区間は、市販のAPCタイプの光コネクタによって第2の端部を終端することができる。ドープされたファイバ区間8の全長は一般に数メートルから100メートルまたはそれ以上である。ドープされたファイバ区間8は、ファイバのドープ領域において反転分布を引き起こす十分なポンプ放射によって励起された場合、増幅された自然放出(ASE)によりその第2の端部から光放射を行うことができる。
【0029】
反射利得素子10の入力/出力ポート11は、以下において入力放射と呼ばれるファイバ区間8からの光放射を受け入れる結合レンズ12を経由して制御可能な反射/透過手段50の入力ポートに光学的に結合される。結合レンズ12は、ファイバ区間8と制御可能な反射/透過手段50の効率的な光結合に適するように複数の結合レンズまたは結合レンズとコリメートレンズのセットとすることが可能である。以下においてスイッチング・モジュールとも呼ばれる制御可能な反射/透過手段50は、おおむねflasに等しい光周波数を有する入力放射の一部を反射して戻す反射状態、およびおおむね反射ゼロでスイッチング・モジュールの出力光ポートを通して入力放射を透過させて出力放射20を形成する透過状態を有する。上記スイッチング・モジュール50は、制御信号に対応して特有のオン時間τONで透過状態から反射状態に切り替え、オフ時間τOFFで反射状態から透過状態に切り替えて戻ることができる。このオン時間およびオフ時間は、たとえば、オン時間とオフ時間の合計と定義することができるスイッチング・モジュール50の特有のスイッチング時間τを決定する。
【0030】
いくつかの実施形態では、反射状態にあるスイッチング・モジュールによって反射されて戻る入力放射の部分は制御信号を変えることによって変えることができる。
【0031】
スイッチング・モジュール50がオンになった、すなわち、反射状態になった場合、第1の反射格子6とスイッチング・モジュール50が一時的な光共振器を形成し、そこに利得媒体8が閉じ込められる。この光共振器は、第1の反射格子6とファイバ入力/出力結合器11の間のファイバ区間8の光路長によって主に定まる光路長Lを有する。共振器の光路長に影響する他の要因は、入力/出力ファイバ結合器11とスイッチング・モジュールの入力ポートの間の光路、およびスイッチング・モジュール50内の内部光路である。共振器の光路長が、共振器内の光子の往復時間τcav=2L/c(cは光の速度)を規定する。
【0032】
好ましい実施形態において、制御可能な反射/透過手段50は、以下において音響光学変調器(AOM)とも呼ばれる音響光学(AO)スイッチ15、AO制御器30および第2の反射手段16を備えている。このAOスイッチ15は、AO媒体中に一時的回折格子を引き起こすためにAOスイッチにRF信号を供給することができる上記AO制御器30に電気的に接続されている。上記一時的回折格子は、光周波数flasを有する入力光放射の一部を上記第2の反射手段16に向け回折方向18に反射することができる。この第2の反射手段16は、たとえば、誘電体ミラーまたは光周波数flasで反射できるその他任意の反射体が可能であり、以下において第2の反射体16と呼ばれる。回折方向18は周波数flasを持つ入力光放射について一次または高次の回折方向が可能である。AOスイッチにRF信号が付加された場合、ファイバ区間8を含む、第1の反射体6と第2の反射体16の間の一時的光共振器はオン時間τONで形成される。RF信号がオンになった場合、時間遅れτOFF後に一時的回折格子が無くなり、AOスイッチの出力ポートに向けて反射されずに入力放射が送られて0次回折方向20に伝わる出力放射Poutを形成する。
【0033】
本発明のさらに重要な特徴は、本発明の好ましい実施形態による光パルス発生用レーザ装置の動作を考慮すれば明白となろう。この動作について、図2Aおよび図2Bを参照して説明する。
【0034】
理解しやすいように、レーザ動作は、AOスイッチ15がオフで反射/透過手段50が透過状態のときから始まるとする。この状態では、RF信号はAO制御器からAOスイッチへなんら供給されず、したがって一時的な回折格子が引き起こされず、ドープされたファイバ区間8からAOスイッチ15の入力ポートに結合された光放射を回折せずにAOスイッチを通して反射/透過手段50の出力ポートへ通過させる。入力放射のいくらかはAOスイッチ内の減衰によって損失する可能性があるが、この状態での後方反射はどれも無視できるほど小さく、このことは当業者に知られたAOスイッチの適切な設計によって保証される。この状態において、希土類でドープされたファイバ区間8によるポンプ放射の吸収が、ファイバのドープ領域内から光放射を自然放出することによってのみ均衡している反転分布の増加によってファイバ内でのエネルギー蓄積をもたらしている。ファイバ・コアの導波モード内に閉じ込められた自然放出の一部は、ファイバに沿って増幅して伝わる。この結果、この状態でスイッチング・モジュール50がファイバ区間8から受け入れた入力光放射は、図2Aに線200で示される増幅された自然放射PASEである。この状態のポンプ出力の大部分は、ドープされたファイバ区間によって反転分布の形で蓄積される。
【0035】
図2Bについて説明すると、tの時点においてAO制御器は最初AOスイッチ15をオンにし、次に時間間隔τでオフにし、これによって所定の振幅および周波数のRFパルスを形成する。このRFパルスが、付加されたRF信号によって変わる瞬間的な回折効率を有する一時的な回折格子をその中に引き起こすAO媒体に対して付加される。入力放射の大部分は、一時的な回折格子によって回折方向18に偏向され、これによって種光パルス(seed optical pulse)を形成する。この種光パルスは、反射体16によってAOスイッチに向けて反射され、その後、RFパルス210によってAOスイッチ内に引き起こされた一時的な回折格子によって、ドープされたファイバ区間8内に戻って結合される。ファイバ区間8内を入力/出力結合器11から高反射率の反射体6まで1往復し、戻った後、種光パルスは、蓄積されたポンプ・エネルギーを吸収することにより利得媒体によって大きく増幅され、形づくられる。これによって増幅された光パルス230はAOスイッチ15の入力ポートに結合される。
【0036】
代表的な従来技術によるQスイッチ・レーザの構成において、光パルスは、出力ミラーまたは共振器内ビーム・スプリッタのどちらかを通して、レーザ共振器(cavity)を高Q状態に維持したまま出力される。この標準的な構成は、レーザ共振器内で1往復した後にレーザ・パルスが受ける光利得として定義される往復光利得が比較的小さな短い共振器に対して有利であるかもしれない、というのは十分なパルス振幅を得るためにその後複数のパルス往復が必要になるからである。しかしながら、この従来技術による構成では、パルス・エネルギーの一部が失われるかレーザ共振器内に戻されるのでレーザの出力効率が低下する。
【0037】
しかしながら、本発明において、制御可能な反射/透過手段50は、図2Aおよび2Bに示すように増幅された光パルスが上記反射/透過手段50に到達する前に透過状態に切り替えられ、そこを通して出力ポートに上記パルスを伝送させる。この切り替えを可能にするために、制御可能な反射/透過手段50は、共振器往復時間τcavより短い特有のスイッチング時間τswitch
【0038】
τswitch<τcav (1)
を有するように設けられる。
図1に示す好ましい実施形態において、AOスイッチは、増幅されたパルスがAOスイッチに到達する前にオフになり、上記パルス230を偏向せずにこのスイッチを通して伝送させる。本発明のQスイッチに対する新規な方法は、Qスイッチ・ファイバ・レーザの出力効率を改良し、そしてその他の利点を含むものである。
【0039】
ファイバ・レーザについて、この方法は従来の固体レーザとファイバ・レーザの間の重要な差異、すなわち、その共振器の長さがおよそ2桁異なっていることによって支えられている。代表的な30mのファイバ・レーザ共振器について、光往復時間は300ナノ秒である。この往復時間は、代表的な80μmビーム径に対し最大100ナノ秒であるAOMのスイッチング時間と桁数が同じである。この場合には条件(1)が成り立つので、AOMのスイッチをオンにして光パルスの蓄積を開始し、そのパルスが共振器を通って移動しAOMに戻る前にAOMのスイッチをオフにする。この場合、出力パルスはAOMを透過し、AOM回折効率または出力ミラーを透過する際の透過損失の影響を受けない。ドープ・ファイバの長い区間内で非常に大きな往復利得を得ることから、また共振器内でのパルスの最初の往復中に既にパルス出力の飽和が生じる可能性があることから、ファイバ共振器内のパルスの複数往復は不要であり、望ましくないことですらある。
【0040】
しかしながら、いくつかの実施形態では、光パルス230は、利得媒体を通る1回の往復後、利得の飽和を起こすのに十分なエネルギーを獲得しない場合がある。これらの実施形態においては、共振器内でパルスを所定回数往復させる時間の間スイッチング・モジュール50を反射状態に維持することができ、その後、パルスがスイッチング・モジュールの入力ポートに到達する前に透過状態に切り替える。このパルス期間は、共振器往復およびスイッチング時間より短く、したがってパルスはほとんど損失せずに共振器から抜き出すことができる。
【0041】
Qスイッチに対する本発明の上記の方法の重要な利点は、
【0042】
1)出力パルスは出力時に透過損失を受けないので、レーザ効率は従来のものより最大20%高い。
【0043】
2)出力レーザ効率がAOM回折効率と無関係であり、そのため、高効率AOMで使用されるTeOなどのより珍しくAO係数の高い材料の代わりに溶融シリカなどの頑健で費用のかからない材料を使用することができる。これによって高出力光パルスによるAOMの光劣化の可能性が大幅に低減される。
【0044】
3)パルスは光軸の中心に沿って出て行き、これによってレーザの光学レンズの設計が大幅に簡略化される。
【0045】
別の実施形態においては、光パルスの出力時に、AOMに大部分のパルスをレーザの出力ポートから離れて一次方向18に偏向させ続けることができる。この方法は、「パルスを選ぶ」能力をレーザ内に組み込むのに使用することができ、そこではレーザ出力から個々のパルスを選択することができる。
【0046】
さらに別の実施形態において、第2の反射体16の反射率は、パルスの形と期間を最適化するために広範囲にわたって調整することができる。別法として、パルス蓄積時間および得られるパルスの形を制御するために、AOM回折効率はRFの振幅を変化させることによって能動的に調整することができる。これはファイバの光非線形性を最小にするためパルスの形を整えるのに特に重要であろう。
【0047】
上記のQスイッチ構成は、AOMなどのQスイッチが、利得媒体と出力結合器の間の出力端にではなく、高反射率反射体と利得媒体の間の共振器の高反射率(HR)端部に配置される、より伝統的な従来技術の構成と比べて利点も有する。これらの利点として、以下が挙げられる。
【0048】
1)ポンプ/信号マルチプレクサの必要性が無くなり、これによってより簡便な端面励起のレーザ構成が可能になる。
【0049】
2)単一モードファイバに結合された自由空間でなければならない出力の量が低減される。AOMが共振器のHR端に配置される場合は、本質的にすべての光出力が、HR反射体から反射された後単一モードファイバに再結合されなければならない。本発明の出力端に配置するAOM構成では、単一モードファイバに戻って結合されるのは出力の4%以下に過ぎない。これは、光劣化を低減するために高平均出力動作において特に重要である。
【0050】
3)出力パルスが1度だけAOMを通過するのでファイバ結合損失およびAOM損失が低減される。
励起されたファイバ区間内のパルス出力の上記飽和のために、種パルスの初期出力、したがって種パルスのAOMとファイバの結合損失はそれほど重要ではないことに注目すること。
【0051】
光パルス発生用レーザ装置が提供される前述の本発明の第1の態様の好ましい実施形態は、利得媒体としてのドープ光ファイバ、およびQスイッチ用のAOMベース反射/透過手段を備えている。しかしながら、本発明の他の実施形態では、他のタイプの反射利得素子および/または、他のタイプの反射/透過手段を備えることが可能であり、この反射/透過手段は、反射状態および透過状態を有し、一時的な光共振器を、この一時的な光共振器内の光放射の制御可能部分の1往復時間より短い時間の間形成するために、透過状態から反射状態に切り替わる動作が可能である。
【0052】
別の一実施形態において、図1に示すレーザ構成または本発明の文脈の中で重要となる上記のレーザ動作の方法に対しなんら変更を加えることなく、好ましい実施形態のAOスイッチの代わりに高速機械スイッチ、たとえばMEMSベースのスイッチを使用することができる。
【0053】
図3Aについて説明すると、狭帯域調整可能ファイバのブラッグ格子(FBG)モジュール300が反射/透過素子として使用される別の実施形態において、DFB反射の波長を調整するためにFBG制御器310がFBGモジュール300に電気的に接続されており、出力結合器315が調整可能FBGモジュール300の出力端に配置されている。図1に示す好ましい実施形態と同様に、反射利得素子はドープされたファイバの光励起された区間および上記ファイバ区間の最も近い端部に近いファイバ区間8に結合された第1の高反射率反射体6、たとえば第1のFBGを含んでいる。
【0054】
本発明による光パルス発生用レーザ装置のこの実施形態の動作について、図3Bを参照して簡単に説明する。調整可能FBGモジュールの反射帯域330は、周波数領域を光周波数flasに中心をおく第1の高反射率FBGの反射帯域320と揃えることも、またはそのオーバーラップを無視できるレベルに低減する、好ましくは少なくとも10dBだけ低減するようにこの第1のFBGの反射帯域から離して移動させることもできる。調整可能なFBGの反射帯域が第1のFBGの反射帯域320から離して移動された状態は、利得媒体によってポンプ・エネルギーが蓄積されつつあるレーザの「OFF」状態に対応する。光周波数flasを有する光パルスの蓄積は、第1のFBG6と調整可能なFBG300の間の一時的なレーザ共振器をオンにすることに対応する各反射帯域をレーザ周波数flasに揃えることによって開始される。上記反射帯域の周波数合わせ後、共振器往復時間τcavより短い時間に、たとえば高速ピエゾ電気効果を用いてFBGを伸ばすことにより反射帯域330が第1のFBGの反射帯域320から遠ざけられ、光パルスが調整可能なFBGを通って出力結合器315に透過され出力レーザ・パルスを形成する。本発明の上記実施形態はすべて、利得素子としてドープ光ファイバの区間を含んでいるが、当業者は、本発明がファイバ・レーザに限定されたものではなく、レーザ共振器往復時間と構成要素の透過/結合手段の特有のスイッチング時間が式(1)に従った関係にあるかぎり、他のタイプの利得素子が使用できることを理解するだろう。
【0055】
図4を参照して、反射/透過素子が、2つの直交する偏光状態の間を通過する光放射の偏光を切り替えるように動作可能な電気光学(EO)スイッチ420に基づいているその他別の実施形態を説明する。この機能が可能なEOスイッチは市販されており、一般に、LiNbO等の電気的に制御可能な複屈折を有する電気光学材料で作られている。
【0056】
ポンプ結合器4を有する二重クラッド偏波保持ファイバ410のドープされた区間およびその一端にある高反射率反射体6は、その他端を介してEOスイッチ420の入力光ポートに光学的に結合されている。EOスイッチの出力光ポートは、偏光ビーム・スプリッタ440の入力ポートに結合されている。上記二重クラッド偏波保持ファイバ410のドープされた区間は、実質的に単一の偏光状態の光の選択的な伝播を維持し、これと直交する偏光状態の光に対しては大きな光損失を有する。ポンプ結合器4を通して光励起した場合は、上記のファイバ区間410が光利得を与え、少なくとも部分的に偏光したASE放射を行い、この放射がEOスイッチ420に結合される。このEOスイッチ420には入力放射の好ましい偏光状態があり、その好ましい偏光状態を少なくとも部分的に偏光されたASE放射の主な偏光状態と揃えるために、相対的に上記ファイバ区間410の出力端に対して相対的に方向を合わせている。
【0057】
EOスイッチ420は、以下において偏光状態Aおよび偏光状態Bと呼ばれる2つの直交する出力偏光状態の間を通過する光放射の偏光を切り替えるように動作可能である。EOスイッチの出力ポート405は偏光ビーム・スプリッタ440に光学的に結合されている。この偏光ビーム・スプリッタ440は、EOスイッチの出力偏光状態の1つ、たとえばそれを通る偏光状態Aを有する放射を通し、偏光状態Bを有するこれと直交方向に偏光された放射を高反射率ミラー16に向けて偏向させるように方向付けされている。EO制御器430は、状態AとBの間でEOスイッチの出力偏光を制御可能なように切り替えるために、EOスイッチ420の入力電気ポートに電気的に接続された出力電気ポートを有するように設けられている。
【0058】
したがって、EOスイッチ420、偏光ビーム・スプリッタ440および高反射率ミラー16は、EOスイッチの入力光ポートに結合された光放射が、それを通って透過されて出力レーザ放射400を形成する透過状態と、反射体6とミラー16の間の一時的な光共振器が形成され、図2を参照して説明したように光パルスの蓄積が開始される反射状態の間で切り替え動作が可能な制御可能な反射/透過手段50を形成している。AOスイッチを用いる本発明の上記第1の実施形態と比較して、本実施形態は、AOスイッチよりずっと速く切り替えができるEOスイッチを用いており、そのためドープされたファイバ区間が相対的に短い、たとえば1m以下のような場合に使用することができる。数cmという短い二重クラッドのファイバ・レーザについて実証した。
【0059】
当然のことながら、本発明の精神と範囲を逸脱することなく他の実施形態を考えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施形態の図である。
【図2】図2Aは、AOスイッチに入る出力パルスの時間図である。図2BはAOスイッチに付加されたRF信号の時間図である。
【図3】図3Aは、本発明による調整可能なファイバのブラッグ格子を含む光パルス発生用ファイバ装置の図である。図3Bは、本発明による調整可能なファイバのブラッグ格子を含む光パルス発生用ファイバ装置の動作を例示する図である。
【図4】図4は、電気光学スイッチを含む光パルス発生用ファイバ装置の図である。
【符号の説明】
【0061】
2 ポンプ光源
3 ファイバ・ピグテイル
4 ポンプ結合器
6 第1の反射手段
8 二重クラッド光ファイバ
10 反射利得素子
11 第2の端部
12 結合レンズ
15 音響光学(AO)スイッチ
16 第2の反射手段
18 回折方向
20 出力放射
30 AO制御器
50 制御可能な反射/透過手段
300 調整可能ファイバのブラッグ格子(FBG)モジュール
310 FBG制御器
315 出力結合器
400 出力レーザ放射
405 EOスイッチの出力ポート
410 二重クラッド偏波保持ファイバ
420 電気光学(EO)スイッチ
430 EO制御器
440 偏光ビーム・スプリッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の反射手段、入力/出力ポート、それらの間にある利得媒体、および光利得を可能にする前記利得媒体中にポンプ放射を供給する光ポンピング手段を有し、前記入力/出力ポートから第1の光路に沿って光放射を行う反射利得素子と、
前記第1の光路内に配置され、光放射の制御可能な部分を反射して前記利得媒体に戻す反射状態、および前記第1の光路に沿って光放射を透過させて光放射出力を形成する透過状態を有する制御可能な反射/透過手段とを備え、
前記制御可能な反射/透過手段が、前記利得媒体を介して前記第1の反射手段と前記制御可能な反射/透過手段との間に一時的な光共振器を、前記一時的な光共振器内の光放射の制御可能部分の1往復時間より短い時間の間形成するために、透過状態から反射状態に切り替わる動作が可能である、光パルス発生用レーザ装置。
【請求項2】
前記利得媒体が固体利得媒体である請求項1に記載のレーザ装置。
【請求項3】
前記固体利得媒体が導波性を有する請求項2に記載のレーザ装置。
【請求項4】
前記固体利得媒体が、第1の端部および第2の端部を有する光ファイバの1区間であり、前記第2の端部は前記利得素子の入力/出力ポートである請求項3に記載のレーザ装置。
【請求項5】
前記光ファイバが二重クラッドの光ファイバである請求項4に記載のレーザ装置。
【請求項6】
前記光ファイバの少なくとも一部が希土類元素でドープされている請求項4に記載のレーザ装置。
【請求項7】
前記光ファイバの少なくとも一部が次の元素、Nd、Yb、Er、Er:Yb、Tmの少なくとも1つでドープされている請求項4に記載のレーザ装置。
【請求項8】
前記光放射出力が単一空間モードを含む請求項1に記載のレーザ装置。
【請求項9】
前記固体利得媒体が、前記光放射の単一空間モードを支える単一モード・コアを有する請求項3に記載のレーザ装置。
【請求項10】
前記光ポンピング手段が、ポンプ放射を発生する1つまたは複数のポンプ光源と、前記1つまたは複数のポンプ光源からの光ポンプ放射を合わせて合成ポンプ放射にし、前記合成ポンプ放射を前記光ファイバに結合する、前記光ファイバに結合されたポンプ結合器とを備える請求項5に記載のレーザ装置。
【請求項11】
前記第1の反射手段が光ファイバに組み込まれたファイバ・ブラッグ格子である請求項5に記載のレーザ装置。
【請求項12】
前記ポンプ結合器が前記第1のファイバ端部を介して前記光ファイバに結合される請求項10に記載のレーザ装置。
【請求項13】
前記制御可能な反射/透過手段が機械的スイッチを備える請求項1に記載のレーザ装置。
【請求項14】
前記制御可能な反射/透過手段が電気光学スイッチを備える請求項1に記載のレーザ装置。
【請求項15】
前記制御可能な反射/透過手段が音響光学スイッチを含む請求項1に記載のレーザ装置。
【請求項16】
前記制御可能な反射/透過手段が、
第2の光路に沿った光放射の制御可能な部分をスイッチするためのパス・スイッチング手段と、
前記パス・スイッチング手段を介して前記反射利得素子に一時的な光フィードバックを与えるために前記第2の光路に配置された第2の反射手段とを備える請求項1に記載のレーザ装置。
【請求項17】
前記パス・スイッチング手段が、前記第2の光路に沿った光放射の制御可能な部分を回折によってスイッチするための一時的な回折格子を引き起こす媒体を含み、前記第2の光路が前記一時的な回折格子による前記光放射の一次または高次の回折によって規定される請求項16に記載のレーザ装置。
【請求項18】
前記制御可能な反射/透過手段が、調整可能なブラッグ格子を含む請求項11に記載のレーザ装置。
【請求項19】
前記スイッチング手段が、前記第2の光路に沿って前記第2の反射手段に向かうスイッチされた光放射の部分を変えるように制御可能である請求項16に記載のレーザ装置。
【請求項20】
前記スイッチング手段が特有のスイッチング時間を有し、前記特有のスイッチング時間が、前記第2の反射手段と第1の反射手段の間の光放射の一部の1往復時間よりも短い請求項16に記載のレーザ装置。
【請求項21】
第1の反射手段、入力/出力ポート、それらの間にある利得媒体、および光利得を可能にする前記利得媒体中にポンプ放射を供給する光ポンピング手段を備え、前記入力/出力ポートから第1の光路に沿って光放射を行う反射利得素子を設ける工程と、
光放射の制御可能な部分を反射して前記利得媒体に戻す反射状態および前記第1の光路に沿って反射/透過手段を通して光放射を透過させて光放射出力を形成する透過状態を有し、前記反射状態と透過状態の間で切り替わるように動作可能な、前記第1の光路内に配置される制御可能な反射/透過手段を設ける工程と、
前記利得媒体を介して前記第1の反射手段と前記制御可能な反射/透過手段の間に一時的な光共振器を、前記一時的な光共振器内の光放射の制御可能部分の1往復時間より短い時間の間形成して光パルスを起こすために、前記制御可能な反射/透過手段を透過状態から反射状態に切り替える工程と、
前記利得素子から前記第1の光路に沿って前記制御可能な反射/透過手段を通って伝播する前記光パルスを透過させるために、前記制御可能な反射/透過手段を反射状態から透過状態に切り替える工程とを含む、Qスイッチによる光パルス発生方法。
【請求項22】
前記制御可能な反射/透過手段が、第2の光路に沿って前記光放射の制御可能部分を切換える光路スイッチング手段と、前記光路スイッチング手段を通して前記反射利得素子に一時的な光フィードバックを与えるために前記第2の光路に配置された第2の反射手段とを含み、および、前記制御可能な反射/透過手段を透過状態から反射状態に切り替える工程が、前記光パルスを形成するために前記第2の光路に沿って前記第2の反射手段に向かうスイッチされた光放射の部分を変える工程をさらに含む、請求項21に記載の光パルス発生方法。
【請求項23】
前記反射利得素子が、光ポンピングのための第1の端部および入力/出力ポートとしての第2の端部を有する前記利得媒体としての二重クラッドドープ光ファイバの1区間と、前記第1の端部を通して前記二重クラッド光ファイバの1区間をポンピングするための光ポンピング手段とを備え、前記光ポンピング手段が前記第1の端部に結合されたポンプ結合器に光学的に結合された複数のポンプ光源を含み、前記制御可能な反射/透過手段が、機械的スイッチ、電気光学スイッチ、音響光学スイッチ、調整可能なブラッグ格子のうちの1つを備えることができる、請求項22に記載の光パルス発生方法。
【請求項24】
第1の反射手段、入力/出力ポートおよびそれらの間にある利得媒体を備え、前記入力/出力ポートから第1の光路に沿って光放射を行う反射利得素子を設ける工程と、
光利得を可能にする前記利得媒体中にポンプ放射を供給する光ポンピング手段を設ける工程と、
光放射の制御可能な部分を反射して前記利得媒体に戻す反射状態および前記第1の光路に沿って反射/透過手段を通して光放射を透過させて光放射出力を形成する透過状態を有し、前記反射状態と透過状態の間で切り替わるように動作可能な、前記第1の光路内に配置される制御可能な反射/透過手段を設ける工程と、
前記利得媒体を介して前記第1の反射手段と前記制御可能な反射/透過手段の間に一時的な光共振器を形成するために、前記制御可能な反射/透過手段を透過状態から反射状態に切り替える工程と、
光パルスが前記一時的な光共振器内で予め決められた回数往復した後に、前記利得素子から前記第1の光路に沿って前記制御可能な反射/透過手段を通って伝播する前記光パルスを透過させるために、前記制御可能な反射/透過手段を反射状態から透過状態に切り替える工程とを含む、Qスイッチによる光パルス発生方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−5349(P2006−5349A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−172840(P2005−172840)
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【出願人】(502151820)ジェイディーエス ユニフェイズ コーポレーション (90)
【氏名又は名称原語表記】JDS Uniphase Corporation
【住所又は居所原語表記】1768 Automation Parkway,San Jose,California,USA,95131
【Fターム(参考)】