説明

パルス型超広帯域センサおよびその方法

【課題】人体の生理パラメータを検知するため、レーダの補助により、静止または動的状態にある人体の生理パラメータを診断する医療用診断機器を提供する。
【解決手段】パルス型超広帯域センサは、制御手段と、探知信号生成経路と、送信アンテナと、受信アンテナと、探知信号送信経路と、反射信号受信経路と、第1の電子スイッチとを備えている。前記制御手段は遅延した同期パルス波を生成するものである。前記探知信号送信経路の出力端は前記送信アンテナに接続されている。前記反射信号受信経路の入力端は受信アンテナに接続されている。前記第1の電子スイッチの入力端は前記探知信号生成経路の出力端に接続されている。前記第1の電子スイッチの出力端は前記探知信号送信経路の入力端および前記反射信号受信経路に接続されている。前記反射信号受信経路内における反射信号を処理するためのチャネルの出力端は心拍および呼吸周期計算経路に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人体の生理パラメータを検知するための医療用診断機器に関し、特にレーダの補助により、静止または動的状態にある人体の生理パラメータを診断する医療用診断機器に関する。
【背景技術】
【0002】
超広帯域レーダを応用した測定装置は、例えば広帯域センサでは、非刺入型の測定方式を用いることで疾病に感染する確率を低減して、しかも特定の実験室または特別に訓練された操作人員を配置する必要がない、というように従来の測定装置では解決できなかった数々の問題を解決することができる。
【0003】
超広帯域センサでは、広面積の火傷または皮膚疾患のある患者に対して従来の診断方式では達成し得なかった非接触型の診断方式を提供することができる。このようなセンサにより、患者は着衣したまま診断でき、診断の時間を節約することができる。
【0004】
使用の安全において、超広帯域センサは放射線エネルギーが低いという特性を備えている。X線の断層撮影法と比べても、超広帯域センサが出射する放射線量は数レベルも少なくなっている。
【0005】
また、超広帯域センサを医療用測定機器として用いる場合、測定機器全体を消毒する必要はなく、また使い捨て型の部品または消耗品を使用する必要もない。したがって、診断作業に必要なコストも大幅に削減することができる。
【0006】
現在の分類方式(非特許文献1または非特許文献2を参照)によれば、超広帯域レーダシステムは、0.25<(fupper−flower)/(fupper+flower)<1の信号帯域条件を満たすレーダである。式中fupperおよびflowerは上記信号帯域の上・下限である。また、超広帯域レーダ測定システムの信号帯域(fupper−flower)は500MHz以上とすべきである(非特許文献3を参照)。超広帯域レーダの距離解析度が増えているので、その送信する情報内容も増えている。
【0007】
現在、知られている様々なパルス型超広帯域センサの回路設計は、患者の呼吸器官および循環器系への監視・測定に応用されている。例えば特許文献1(1996年5月21日発行)には、位相コード変調方式(phase−code modulation)で被検体の移動を制御するパルス型超広帯域センサが開示されている。ショートビデオパルスが装置の送信アンテナのための基準信号および励起信号として用いられている。前記装置は、送信アンテナを用いて周波数が2GHzないし10GHzの超広帯域信号を送信する送信機を備えている。時間遅延部が各パルス間の遅延時間を決定する制御信号を生成する。アンテナを有する受信機が、前記時間遅延部のゲート信号(gating signal)に基づいて、個々のパルス信号を受信する。ゲート信号は送信信号の受信時間を遅らせるものであり、この遅延時間は前記送信信号が前記被検体に出射されて反射して前記受信アンテナに戻ってくるまでに要する時間に等しい。前記遅延時間は前記センサと前記被検体との間の距離に依存する。
【0008】
前記時間遅延部は探知パルス信号と受信パルス信号との間に必要な遅延を提供している。これらパルス信号は前記時間遅延部により変調される。この変調された信号は隣接するレーダセンサの干渉を受けないように符号化されている。前記信号受信機は、前記信号受信端と変調信号とを同期させるための同期部と、二つのクアドラチュアチャネルとを備えている。前記クアドラチュアチャネルは反射信号を処理するためのものであり、このうち一方のチャネルは基準信号と同一位相で動作し、他方のチャネルは前記基準信号に対して90度の位相差を持たせている。前記二つのクアドラチュアチャネルの出力データは後続の信号分析に用いられる。前記二つのチャネルは高速の制御可能な切替機構により反射信号を受信したときに交互に切り替えられる。各クアドラチュアチャネルは個々のフィルタと信号増幅器とを備えている。
【0009】
従来のレーダセンサの動作時においては、前記二つのクアドラチュアチャネルから送られる信号を同時に処理することはできない。シングルチャネルの処理モードで、反射した電磁波信号を処理しなければならないので、前記二つのクアドラチュアチャネルで信号を同時に処理する方式にて信号ひずみを低減することはできない。
【0010】
同様に、測定作業中において、前記複数のクアドラチュアチャネルの信号を同時に処理できないため、ある特定の距離においては、前記センサは被検体の正確な生理パラメータを取得することはできなくなる。このような被検体とセンサとの間の特定距離はいわゆるブラインド・ゾーン(blind zone)と呼ばれる部分となり、これらの範囲内では、前記センサが振幅の大きな反射探知信号を受信したとしても、前記センサの位相感度は大幅に低下してしまう。これらブラインド・ゾーンおよびこれら互いの間隔の数は被検体とセンサとの間の距離および探知信号内のパルス長により決まってくる。
【0011】
これらブラインド・ゾーンの存在および限りある測定距離(探知信号のパルス長により決まる)は、特定の測定距離において、患者の生理パラメータの測定精度の低下を招くので、この種のパルス型超広帯域センサの実用に限界をもたらしている。このようなセンサは、患者が全く動くことができず、そして患者とセンサとの間が一定に距離に固定されている状態でのみ有効であり、患者の位置が変わってしまえばセンサ側で再度調整しなければならない。このような場合、被検体に対するセンサの位置を調整して、患部がブラインド・ゾーンに位置してしまう事態を回避しなければならない。
【0012】
ある種の自動距離追従システムでは前記センサの距離を自動的に調整できるものの、機器の設計が複雑になるばかりでなく、ましてや高価な前記自動距離追従システムを応用したとしても、被検体がブラインド・ゾーンに位置してしまう不具合を排除できる保証はない。
【0013】
特許文献2(2004年12月9日公開)には患者の生理パラメータを監視する他の超広帯域センサが開示されている。前記装置は受信アンテナを備えた低電力パルス型超広帯域レーダである。前記装置ではショートパルスを基準探知信号としている。前記装置は、一定周波数パルス発生器と、送信器と、受信器と、遅延信号生成部と、A/D信号コンバータと、信号処理部と、データ表示部と、制御および同期部とを備えている。前記信号処理部は、統計法で反射信号を処理する。前記受信器は段階的増幅方式で反射信号のエネルギーを増強して、更に前記A/D信号コンバータにより前記反射信号をディジタル信号に変換する。
【0014】
しかしながら、前記センサの特性では、ある空間領域にあるとき、反射信号のデータ量が減少し、しかも前記センサでは患者の各器官に対して信頼性の高い生理パラメータを同時に生成することはできない。
【0015】
特許文献3(1996年11月12日発行)には、患者の循環器系および呼吸器官の生理パラメータを含む各種生理パラメータを監視するパルス型レーダ機器が開示されている。前記機器の動作では、被検体からの反射信号に基づいて、音声周波発生器の信号を変調するための平均電圧信号を生成している。前記装置は、反射信号の測定電圧を、振幅から周波数へ変調する音声周波数信号に変換する信号コンバータを備えている。前記装置は、パルス発生器と、累算器とを更に備えている。前記パルス発生器は、信号受信器の入力回路を起動するパルスの生成に用いられる。前記累算器は前記受信器の入力回路の信号の累算に用いられる。
【0016】
前記装置の受信信号は、フィルタおよび増幅処理プログラムにより各種パラメータを制御することができる。しかしながら、前記装置の信号処理回路は被検体とセンサとの間のブラインド・ゾーンを解消することはできない。また、前記センサは超広帯域型のセンサではなく、前記センサの駆動発生器の周波数は1MHzであり、そしてその信号帯域は0.1MHzを越えない。前記センサはドップラー効果(Doppler effect)により反射信号を測定して処理する。したがって、前記センサでは、超広帯域センサのように、充分なデータ量を含む信号を提供することはできない。
【0017】
本発明に最も近い従来技術である特許文献4(1978年4月25日発行)には、患者の循環器系および呼吸器官の生理パラメータを監視するパルス型レーダセンサが開示されている。前記センサは、周波数が10GHzの発振電磁波を生成するジェネレータを備えている。前記生成された電磁波は変調部により変調されるとともに、送信器の送信アンテナから被検体に出射される。
【0018】
被検体に反射して戻ってきた前記探知信号は受信器の受信アンテナにより受信されるとともに、前記受信器の入力回路における二つのチャネルに入力される。これと同時に、基準探知信号が二つのチャネルを有する減衰器に送られる。前記受信器における第1のチャネルの混波器は同位相の基準信号を受信する。他方の基準信号には位相シフト回路により90度の位相差が生じる。そして前記位相シフト回路の出力端は前記受信器における第2のチャネルの混波器の第2の入力端に接続されている。
【0019】
前記センサの受信機は、反射信号を処理するための二つのクアドラチュアチャネルを有している。各々のチャネルが信号混波器を備え、そしてこれら混波器の出力は反射信号を復調する検出器に直接接続されており、前記信号は更に信号増幅器およびフィルタを介して処理される。患者の生理パラメータを監視する際には、前記複数のチャネルの混波器は正弦波形の混波器信号を出力する。位相がずれた二つの正弦波を含む複合信号を復調する場合、その振幅は、混波器に入力されたこれら二つの信号の相対角速度に基づいて定義される。前記複数の信号処理チャネルを調整するフィルタおよび増幅器により、前記反射信号は前記二つのチャネルの相対的位相差の幅にて、患者の胸腔の移動および心拍周期を表示することになる。
【0020】
前記受信機における第1のクアドラチュアチャネルは胸腔運動の周期を表わす信号を分離するためのものであり、第2のクアドラチュアチャネルは心拍周期を表わす信号を分離するためのものである。前記二つの信号は患者の生理パラメータの相対振幅および周期に基づいて調整する増幅器およびフィルタにより定義されるものである。
【0021】
従来技術のセンサにおいては、具体的には、各々のチャネルが例えば心拍周期または呼吸周期といった特定の生理パラメータを測定するための前記複数のクアドラチュアチャネルが反射信号を処理するのを機能的に指示するものである。したがって、従来技術における上記したような機器にように、被検体およびセンサとが特定の測定距離(つまりブラインド・ゾーン)にあるとき、前記センサの出力信号はかなり少ない情報量しか含まないことになる。前記センサの応用は、被検体とセンサとの距離を固定しなければならないことにより、制限されてしまう。被検体がわずかでも動いてしまえば、前記センサは使用できなくなってしまう。
【0022】
上記した従来技術のセンサにおける信号処理形態は、相関システム(correlation system)で反射信号を処理するものである。前記システムの動作は、探知信号と、信号が送信端から被検体に伝送されて受信端に反射し戻ってくるまでの時間である遅延した反射信号とを相乗するものを基本としている。一般的に常用される探知信号は持続時間が発振周期を越えないショートパルスである。前記相関システムが反射信号を処理した出力信号は反射信号および探知信号の位相差に正比例している。
【0023】
被検体が静止した状態では、処理後の出力信号の振幅Zは下記相関性数式により決まってくる。
【数1】

【0024】
数式1において、Eは探知信号の最大振幅、Eは反射信号の最大振幅、Tは探知信号の最大振幅、nは探知信号内の発振波の数の合計である。
【0025】
数式1における位相差ψの大きさは電磁波の被検体とセンサとの間の往復時間に依存する。
【数2】

【0026】
数式2において、ω=2πfは探知信号の角周波数、fは探知信号の周波数スペクトルにおける平均周波数、Cは電磁波の伝送速度、λは探知信号内の発振波の波長、Rは被検体とセンサとの間の距離である。
【0027】
図1は前記相関システムが被検体の距離に基づいて反射信号を処理して得られた出力信号の振幅を常態化したパターンZ(R)Tを示す。図に示すように、センサと被検体との測定距離内に数多くのブラインド・ゾーンがあり、これらブラインド・ゾーン内にあるセンサの出力信号が0に近くなりつつある。これらブラインド・ゾーンの存在は被検体の反射能力(有効反射面積)とは無関係である。これらブラインド・ゾーンの境目の間の距離はλ/4=TC/4に正比例し、探知信号の発振波の周期に依存している。
【0028】
これらブラインド・ゾーンの数Nは探知信号の発振信号の周期Tまたは探知信号の波長λに反比例し、

【0029】
となる。周期が短いほど(周波数が高いほど)、測定距離内のブラインド・ゾーンは多くなってしまう。
【0030】
とりわけ、もし測定距離が2mであり、探知信号の周波数スペクトルにおける平均周波数が6GHzであると、約160個のブラインド・ゾーンが発生し、これらブラインド・ゾーンの境界の距離が約12.5mmとなる。したがって、心拍および呼吸周期を測定する際に、患者は、探知信号を反射させるための胸腔表面をこれらブラインド・ゾーンに位置させてしまう恐れがある。
【0031】
万が一、被検体がこれらブラインド・ゾーン内に入ってしまい、その移動振幅が探知信号の発振波波長の1/4未満となってしまえば、被検体の移動を測定することはかなり難しくなってしまう。このような状況では測定結果の正確性に悪影響を及ぼし、そして患者の診断にとっても容認できない結果となってしまう。
【0032】
例えば患者が深呼吸するといった被検体の反復的な移動の振幅が大きく、かつ探知信号スペクトルの平均周波数が高い場合には、前記相関システムの出力信号の波形は、実際に被検体の移動を描く法則と比べて、かなりの歪みが生じてしまう。よって、このような状態で確定される患者の心拍および呼吸周期では高精度に達することは難しい。
【0033】
相関システムの出力信号の振幅Z(t)は下記数式で表わすことができる。
【数3】

【0034】
このうち

【0035】
は反射信号と探知信号とが連動する最大エネルギー値であるとともに、一単位のインピーダンスの負荷に出力される。
【0036】

【0037】
は被検体とセンサとの間の距離に基づく位相差であり、

【0038】
は被検体移動に基づく瞬間位相値であり、F(Ωt)は被検体の移動規則であり、Ω=2πfは被検体の反復的な運動の周期であり、tは現在の時間であり、ΔRは被検体の最大シフト量である。
【0039】
仮に被検体がセンサから離れている距離がRであり、しかも被検体が単振動運動にて移動するとともに、角周波数Ωおよび振幅ΔRであるならば、数式3は下記する形式に調整することができる。
【数4】

【0040】
図2ないし図9は相関システムの出力信号の波形図を示す(出力信号の振幅Z(t)および振幅と周波数の周波数スペクトルZ(f)を変更している)。前記振幅Z(t)の変更は、図中におけるわずかな変化要因に対応しており、各々の図が異なる変数mにそれぞれ対応しており(図2および図3におけるmは0.5、図4および図5におけるmは2、図6および図7におけるmは5、図8および図9におけるmは10に等しい)、このうちmは

【0041】
に等しい。図2ないし図9には、被検体の最大シフト量ΔRを変更するとともに、その対応する変数mが出力信号の変化に対応しているものを示している。被検体にて測定された発振周波数は1Hzである。図中fは反射信号の周波数である。
【0042】
図に示すように、出力信号の波形は被検体の実際のシフトとは異なっている。ここでは被検体の最大シフト量はΔRであり、探知信号の波長はλである。シングルチャネル信号処理回路を用いた場合、もしΔR>λ(図4ないし図9に示すように、mがそれぞれ2、5および10)であれば、被検体の振幅および移動速度の法則性を決定するのは難しい。
【0043】
もし被検体の最大シフト量ΔRが探知信号の波長λと比べて小さい場合には(ΔR<λ)、クアドラチュアチャネルの出力信号は変数および定数成分を同時に含む。反射信号の定数成分は各々の静止物体の有用情報を付帯しており、被検体もまたこれら静止物体の列にあるということに注意されたい。従来技術の装置では、前記定数成分は反射信号を処理するときに各々のチャネル内におけるフィルタにより除去される。したがって、これらにより生理パラメータを正確に決定できる有用情報が消失してしまう。
【0044】
被検体の移動情報を取得するために、静止している被検体に対してプログラミングされた特殊な信号補正を行うことはできる。このうち前記情報は反射信号の定数成分に存在している。もし被検体の位置が変わってしまうと、前記信号の補正ステップを再度行わなければならない。しかしながらこれでも測定に長時間かかってしまい、複雑なソフトウェアを設計することになってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0045】
【特許文献1】米国特許第5,519,400号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0249258号明細書
【特許文献3】米国特許第5,573,012号明細書
【特許文献4】米国特許第4,085,740号明細書
【非特許文献】
【0046】
【非特許文献1】I. Ya. Immoreev著、「Ultra-Wideband radars: new possibilities,unique problems,the feature of system」、Journal of Bauman’s MGTUシリーズ instrument making、1998年11月4日。
【非特許文献2】I. Ya. Immoreev著、「The possibilities and feature of ultra-wideband radio systems」、Applied electronics、Kharkov 第1巻、p.122−140、2002年11月2日。
【非特許文献3】米国連邦通信委員会FCC 02-48、Washington D.C.20554「First Report and Order」、ET Docket p.98−153、2002年4月22日。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0047】
本発明は同時に二つのチャネルで被検体からの反射信号を処理し、最大情報内容を搬送する反射信号を後続する処理のために分離するとともに、患者の心拍周期、呼吸周期またはその他生理パラメータを高精度で確定するものである。
【0048】
本発明の解決方法により、センサの位相感度を高めて、患者が測定範囲内で移動したときでも、その心拍周期、呼吸周期またはその他生理パラメータを正確に確定する効果を達成することができる。
【0049】
上記効果はパルス型超広帯域センサにより提供されるものである。前記センサは制御手段と、探知信号生成経路と、送信アンテナと、受信アンテナと、探知信号送信経路と、反射信号受信経路と、位相シフト回路とを備えている。前記制御手段はパルス同期時の時間遅延を生成するものである。前記探知信号送信経路は、前記制御手段に接続されている同調パルス正弦波発生器を備えている。前記探知信号送信経路の出力は前記送信アンテナに接続されている。前記反射信号受信経路は、反射信号を処理するための直交する二つのチャネルを備えている。各々のチャネルはいずれも信号混波器を備えている。前記複数の混波器の第1の入力端は前記受信アンテナに接続されている。前記位相シフト回路の入力端は前記探知信号生成経路の出力端に接続されている。前記位相シフト回路の出力端は前記第2のチャネルの信号混波器の第2の入力端に接続されている。
【0050】
本発明の実施例に係るセンサは、第1の電子スイッチと、心拍および呼吸周期計算経路とを備えている。前記心拍および呼吸周期計算経路は二つのフィルタと、二つの加算器と、二つの信号振幅計算部と、二つの信号エネルギー計算部と、二つの積分器と、二つの比較器と、二つの信号乗算部と、二つの基準信号生成部と、第2の電子スイッチと、第3の電子スイッチと、心拍周期計算部と、呼吸周期計算部とを備えている。
【0051】
前記第1の電子スイッチの入力端は前記探知信号生成経路の出力端に接続されている。前記第1の電子スイッチの第1の出力端は前記探知信号送信経路の入力端に接続されている。前記第1の電子スイッチの第2の出力端は第1のチャネルの信号混波器の第2の入力端および前記位相シフト回路の入力端に接続されている。前記第1の電子スイッチの制御入力端は前記制御手段に接続されている。
【0052】
前記第1および第2のフィルタの入力端は、前記第1および第2のチャネルの出力端にそれぞれ接続されている。前記第1の加算器の第1の入力端は前記第1のチャネルの出力端に接続されている。前記第1の加算器の第2の入力端は前記第1のフィルタの出力端に接続されている。前記第2の加算器の第1の入力端は前記第2のチャネルの出力端に接続されている。前記第2の加算器の第2の入力端は前記第2のフィルタの出力端に接続されている。
【0053】
前記第1の信号乗算部の第1の入力端は前記第1の加算器の出力端に接続されている。前記第1の信号乗算部の第2の入力端は前記第1の基準信号生成部の出力端に接続されている。前記第2の信号乗算部の第1の入力端は前記第2の加算器の出力端に接続されている。前記第2の信号乗算部の第2の入力端は前記第2の基準信号生成部の出力端に接続されている。
【0054】
前記第1の積分器の入力端は前記第1の信号乗算部の出力端に接続されている。前記第1の積分器の出力端は前記第2の電子スイッチの第1の入力端および前記第1の信号エネルギー計算部の入力端に接続されている。前記第2の積分器の入力端は前記第2の信号乗算部の出力端に接続されている。前記第2の積分器の出力端は前記第2の電子スイッチの第2の入力端および前記第2の信号エネルギー計算部の入力端に接続されている。前記第1の信号エネルギー計算部の出力端は前記第1の比較器の第1の入力端に接続されている。前記第2の信号エネルギー計算部の出力端は前記第1の比較器の第2の入力端に接続されている。前記第1の比較器の出力端は前記第2の電子スイッチの制御入力端に接続されている。
【0055】
前記第1の信号振幅計算部の入力端は前記第1のフィルタの出力端に接続されている。前記第1の信号振幅計算部の出力端は前記第2の比較器の第1の入力端に接続されている。前記第2の信号振幅計算部の入力端は前記第2のフィルタの出力端に接続されている。前記第2の信号振幅計算部の出力端は前記第2の比較器の第2の入力端に接続されている。前記第2の比較器の出力端は前記第3の電子スイッチの制御入力端に接続されている。前記第3の電子スイッチの第1の入力端は前記第1のフィルタの出力端に接続されている。前記第3の電子スイッチの第2の入力端は前記第2のフィルタの出力端に接続されている。前記第3の電子スイッチの出力端は前記呼吸周期計算部の入力端に接続されている。前記第2の電子スイッチの出力端は前記心拍周期計算部の入力端に接続されている。
【0056】
本発明の実施例における生理パラメータの測定方法は、第1の生理パラメータと第2の生理パラメータとを有する第1の情報信号および第2の情報信号をフィルタリングして、前記第1の生理パラメータのみを有する第1のフィルタ済み信号および第2のフィルタ済み信号を生成するステップと;前記第1の情報信号に前記第1のフィルタ済み信号を加えて前記第2の生理パラメータのみを有する第1の合算信号を生成するステップと;前記第2の情報信号に前記第2のフィルタ済み信号を加えて前記第2の生理パラメータのみを有する第2の合算信号を生成するステップと;前記第1の合算信号と第1の基準信号との相関計算を行って第1の相関信号を生成するステップと;前記第2の合算信号と第2の基準信号との相関計算を行って第2の相関信号を生成するステップと;前記第1のフィルタ済み信号および前記第2のフィルタ済み信号の振幅に基づいて、前記第1のフィルタ済み信号および前記第2のフィルタ済み信号中から第1の生理パラメータ信号を抽出するステップと;前記第1の相関信号および前記第2の相関信号のエネルギーに基づいて、前記第1の相関信号および前記第2の相関信号中から第2の生理パラメータ信号を抽出するステップと、を含む。
【0057】
本発明は、心拍周期、呼吸周期またはその他生理パラメータを測定するためのパルス型超広帯域センサの具体的な各実施例により例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】静止した被検体の相対距離R/λ基づいて得られた相関処理システムの出力信号の振幅を常態化したパターンZ(R)Tを示す図である。
【図2】mが0.5であるときの相関処理システムの出力信号Z(t)を示す図である。
【図3】mが0.5であるときの相関処理システムの出力信号の振幅周波数の周波数スペクトルZ(f)を示す図である。
【図4】mが2であるときの相関処理システムの出力信号Z(t)を示す図である。
【図5】mが2であるときの相関処理システムの出力信号の振幅周波数の周波数スペクトルZ(f)を示す図である。
【図6】mが5であるときの相関処理システムの出力信号Z(t)を示す図である。
【図7】mが5であるときの相関処理システムの出力信号の振幅周波数の周波数スペクトルZ(f)を示す図である。
【図8】mが10であるときの相関処理システムの出力信号Z(t)を示す図である。
【図9】mが10であるときの相関処理システムの出力信号の振幅周波数の周波数スペクトルZ(f)を示す図である。
【図10】探知信号生成経路、探知信号送信経路および反射信号受信経路の概略図である。
【図11】制御手段の概略図である。
【図12】本発明の第1の実施例に係る心拍および呼吸周期計算経路の概略図である。
【図13】本発明の第2の実施例に係る心拍および呼吸周期計算経路の概略図である。
【図14−19】図14は、駆動生成器の出力信号の同期パルス波U(t)のシーケンス図である。図15は、制御可能なディジタル遅延線の出力信号の同期パルス波U(t)のシーケンス図である。図16は、第1のショートパルス生成手段の出力信号の同期パルス波U(t)のシーケンス図である。図17は、第2のショートパルス生成手段の出力信号の同期パルス波U(t)のシーケンス図である。図18は、制御手段の出力信号の同期パルス波U(t)のシーケンス図である。図19は、マイクロ波発生器の出力信号の同調パルス正弦波U(t)のシーケンス図である。
【図20】第1のチャネルの第1のフィルタの出力信号Z(t)のシーケンス図である。
【図21】第1のチャネルの第1の積分器の出力信号Z(t)のシーケンス図である。
【図22】第2のチャネルの第2のフィルタの出力信号Z(t)のシーケンス図である。
【図23】第2のチャネルの第2の積分器の出力信号Z(t)のシーケンス図である。
【図24】第1(上側の曲線)および第2(下側の曲線)の信号エネルギー計算部の出力信号の比較図E(t)である。
【図25】本発明の一実施例に係る処理回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図10に示すように、前記パルス型超広帯域センサは、同期信号を遅延させるための制御手段1と、コーヒレントパルス発生器として用いられる外部励起のマイクロ波発生器2を有する探知信号生成経路とを備えている。前記パルス型超広帯域センサは更に送信アンテナ3と、受信アンテナ4と、探知信号送信経路と、第1の電子スイッチ5と、反射信号受信経路とを備えている。前記反射信号受信経路は反射信号を処理するための二つのチャネルを備えている。
【0060】
前記探知信号生成経路はバッファ増幅器6と、バンドパスフィルタ7とを備えており、前記バッファ増幅器6およびバンドパスフィルタ7は前記マイクロ波発生器2に直列接続されている。前記バンドパスフィルタ7は前記第1の電子スイッチ5の入力端に接続されている。前記探知信号送信経路はバンドパスフィルタ8と、増幅器9とを備えており、前記バンドパスフィルタ8および前記増幅器9は前記送信アンテナ3に直列接続されており、そして増幅器9の入力端は前記第1の電子スイッチ5の第1の出力端に接続されている。
【0061】
前記反射信号受信経路はバンドパスフィルタ10と、低ノイズ増幅器11とを備えており、前記バンドパスフィルタ10および低ノイズ増幅器11は前記受信アンテナ4に直列接続されており、そして前記低ノイズ増幅器11の出力端は、反射信号を処理するための平行した二つの前記チャネルに接続されている。前記反射信号受信経路は更に位相シフト回路12を備えている。前記反射信号を処理するための前記第1のチャネルは信号混波器13を備えており、その出力端はバンドパスフィルタ14、低周波増幅器15、低周波フィルタ16およびA/Dコンバータ17に直列接続されている。前記信号混波器13の第1の入力端は前記低ノイズ増幅器11の出力端に接続されており、そして信号混波器13の第2の入力端は前記第1の電子スイッチ5の第2の出力端に接続されている。
【0062】
反射信号を処理するための前記第2のチャネルは信号混波器18を備えており、その出力端はバンドパスフィルタ19、低周波増幅器20、低周波フィルタ21およびA/Dコンバータ22に直列接続されている。前記信号混波器18の第1の入力端は前記低ノイズ増幅器11の出力端に接続されており、そして前記信号混波器18の第2の入力端は前記位相シフト回路12を介して前記第1の電子スイッチ5の第2の出力端に接続されている。前記位相シフト回路12は探知信号に90度の位相差を付与するためのものである。前記複数の低周波フィルタ16および21の下限周波数は、帯域がカットオフ周波数よりも高い信号を選択するように、約0.1Hzとなっている。
【0063】
図11にブロック図が示されているように、前記制御手段1は同期パルス信号を遅延させるためのものであり、駆動信号発生器23と、送信器の同期信号を形成しかつ探知信号形成過程を制御するための経路と、受信器の同期信号を形成する経路とを備えている。
【0064】
前記送信器の同期信号を形成する経路は、ショートビデオパルス同期信号を生成するための第1のショートパルス生成手段24を備えている。前記受信器の同期信号を形成する経路は、制御可能なディジタル遅延線25と、第2のショートパルス生成手段26とを備え、前記制御手段1の第1の出力端を構成しており、前記第1の出力端は第1の電子スイッチ5の制御入力端に接続されている。これら送信器および受信器の同期信号形成経路はいずれもORゲート回路27の入力端に接続されており、前記ORゲート回路27の出力端は前記制御手段1の第2の出力端となり、前記第2の出力端は前記マイクロ波発生器2の制御入力端に接続されている。
【0065】
前記心拍および呼吸周期計算経路の概略図を図12および図13に示す。そして二つのフィルタ28および29と、二つの加算器30および31と、二つの信号振幅計算部32および33と、二つの信号エネルギー計算部34および35と、二つの積分器36および37と、二つの比較器38および39と、二つの信号乗算部40および41と、二つの基準信号生成部42および43と、第2の電子スイッチ44と、第3の電子スイッチ45と、呼吸周期計算部46と、心拍周期計算部47と、データ表示部48とを備えている。
【0066】
前記フィルタ28および29は入力信号に対して、胸腔の振動の信号および心拍の信号を周波数で選択する。これら信号は、患者の心臓の鼓動および呼吸機能の複合波形である反射信号内に含まれている。バンドパス機能を備えた前記複数のフィルタ28および29は前記反射信号内における心拍周期特性を含む部分を平滑化する。前記波形は心臓の鼓動および胸腔振動の周期特性を含む。前記複数のフィルタ28および29の上限カットオフ周波数は約1Hzである。
【0067】
前記第1のフィルタ28の入力端は、反射信号を処理するための前記第1のチャネルの出力端に接続されている。前記第2のフィルタ29の入力端は、反射信号を処理するための前記第2のチャネルの出力端に接続されている。本実施例においては、前記フィルタ28および29の入力端は、前記複数のA/Dコンバータ17および22の出力端にそれぞれ接続されている。
【0068】
前記第1の加算器30の第1の入力端は、反射信号を処理するための前記第1のチャネルの出力端に接続されており、そして前記A/Dコンバータ17は前記第1のチャネルの出力端となる。前記第1の加算器30の第2の入力端は前記第1のフィルタ28の出力端に接続されている。前記第2の加算器31の第1の入力端は、反射信号を処理するため前記第2のチャネルの出力端に接続されており、そして前記A/Dコンバータ22は第2のチャネルの出力端となる。前記第2の加算器31の第2の入力端は前記第2のフィルタ29の出力端に接続されている。
【0069】
前記第1の信号乗算部40の第1の入力端は前記第1の加算器30の出力端に接続されている。前記第1の信号乗算部40の第2の入力端は前記第1の基準信号生成部42の出力端に接続されている。前記第2の信号乗算部41の第1の入力端は前記第2の加算器31の出力端に接続されている。前記第2の信号乗算部41の第2の入力端は前記第2の基準信号生成部43の出力端に接続されている。
【0070】
前記第1の積分器36の入力端は前記第1の信号乗算部40の出力端に接続されている。前記第1の積分器36の出力端は前記第2の電子スイッチ44の第1の入力端および前記第1の信号エネルギー計算部34の入力端に接続されている。前記第2の積分器37の入力端は前記第2の信号乗算部41の出力端に接続されている。前記第2の積分器37の出力端は前記第2の電子スイッチ44の第2の入力端および前記第2の信号エネルギー計算部35の入力端に接続されている。
【0071】
前記第1の信号エネルギー計算部34の出力端は前記第1の比較器38の第1の入力端に接続されている。前記第2の信号エネルギー計算部35の出力端は前記第1の比較器38の第2の入力端に接続されている。前記第1の比較器38の出力端は前記第2の電子スイッチ44の制御入力端に接続されている。
【0072】
前記第1の信号振幅計算部32の入力端は前記第1のフィルタ28の出力端に接続されている。前記第1の信号振幅計算部32の出力端は前記第2の比較器39の第1の入力端に接続されている。前記第2の信号振幅計算部33の入力端は前記第2のフィルタ29の出力端に接続されている。前記第2の信号振幅計算部33の出力端は前記第2の比較器39の第2の入力端に接続されている。前記第2の比較器39の出力端は前記第3の電子スイッチ45の制御入力端に接続されている。
【0073】
前記第3の電子スイッチ45の第1の入力端は前記第1のフィルタ28の出力端に接続されている。前記第3の電子スイッチ45の第2の入力端は前記第2のフィルタ29の出力端に接続されている。前記第3の電子スイッチ45の出力端は前記呼吸周期計算部46の入力端に接続されている。前記第2の電子スイッチ44の出力端は前記心拍周期計算部47の入力端に接続されている。前記データ表示部48の第1の入力端は心拍周期計算部47の出力端に接続されている。前記データ表示部48の第2の入力端は前記呼吸周期計算部46の出力端に接続されている。
【0074】
本実施例の一態様においては、図12に示すように、前記第1の基準信号生成部42および前記第2の基準信号生成部43の入力端は前記複数の加算器30および31の出力端にそれぞれ接続されている。前記複数の加算器30および31の出力信号は、ある時間のリアルタイムな反射信号を取得する基準信号を生成するためのものである。前記基準信号の長さは3秒とされ、そして前記基準信号は前記複数の信号乗算部40および41に送信される。
【0075】
本実施例の他の態様においては、図13に示すように、前記第1の基準信号生成部42および第2の基準信号生成部43は一定形状の基準信号を生成するためのものである。前記基準信号は前記複数の基準信号生成部42および43に保存されるとともに、前記複数の信号乗算部40および41の入力端に送信される。前記基準信号の長さは3秒とされ、その波形は下記の数式5により定義される。
【数5】

【0076】
そして本発明を実現できる回路のみで、位相感度を高めて、移動する被検体を検知する効果を達成することができ、本発明の実施例中に応用される数多くの構成要素および機能部分は省略することができるということに注意されたい。
【0077】
とりわけ、一部の状況下では、前記データ表示部は省略することができる。前記探知信号送信経路において、前記送信アンテナ3は前記第1の電子スイッチ5の第1の出力端に直接接続することができる。
【0078】
また、本発明の一部実施例においては、前記送信アンテナ3および前記受信アンテナ4は送受信装置(図示せず)における一つの機能部分に整合することができる。前記機能部分は例えば、前記送信アンテナの使用時には前記探知信号送信経路に接続されるか、または前記受信アンテナの使用時には前記反射信号受信経路に接続されるという具合に、前記送受信装置において異なる周期で異なる構成要素に接続されてもよく、この場合には前記送受信装置は電波の送信器と電波の受信器として交互に機能することになる。前記複数の送信および受信経路は別設される電子スイッチにより前記複数の送信および受信アンテナに交互に接続されてもよい。前記一つの機能部分の応用により、二つの個別の前記アンテナは前記センサ内における一つの構成要素として整合することができる。
【0079】
上記したパルス型超広帯域センサの動作形態は下記のとおりである。
【0080】
前記駆動生成器23は、周期がTであり、形状が方形波である同期パルス信号を生成する(前記同期パルス信号のシーケンスは図14を参照のこと)。続いて、前記パルス信号を二つの経路、つまり前記送信器同期経路と受信器同期経路によりそれぞれ受信する。
【0081】
図16に示すように、前記送信器同期経路において、前記第1のショートパルス生成手段24により、第1組の同期パルス信号の立ち上がり部分に遅延時間がtd1であるショートパルス信号を生成する。前記ショートパルス信号の時間間隔は所望の探知信号の時間間隔に応じて決定する。
【0082】
図15に示すように、前記受信器同期経路において、前記制御可能なディジタル遅延線25により、前記同期パルス信号を、探知信号が被検体に出射されて反射してセンサに戻ってくるまでに要する時間である遅延時間tdだけ遅延させる。前記遅延時間tdは被検体とセンサとの測定距離を定義するとともに、

【0083】
により表わすことができる。数式において、Rは被検体とセンサとの間の距離であり、Cは電波の速度である。図17に示すように、前記第2のショートパルス生成手段26により、第2組の同期パルスの立ち上がり部分に遅延時間がtd3=td1であるショートパルス信号が生成される。前記生成されたショートパルス信号は制御手段1の第1の出力端に送信される。前記第1の出力端は前記第1の電子スイッチ5の制御入力端に接続されている。
【0084】
図18に示すように、前記制御手段1は前記ORゲート回路27を介して、前記複数の同期経路に生成される同期信号を、周期性を持つショートパルス信号対である一つの同期信号として結合する。これらショートパルス信号対の時間間隔はtd2である。これらパルス信号対の周期Tは前記駆動生成器23により設定される。パルス信号対を含むこれら同期信号は前記制御手段1の第2の出力端に送信される。前記第2の出力端は前記マイクロ波発生器2の制御入力端に接続されている。図19に示すように、前記マイクロ波発生器2が前記同期信号を受信すると、隣接するとともに間隔がtd2である二つの同調パルス正弦波を生成する。
【0085】
前記マイクロ波発生器2にて生成した前記複数の同調パルス正弦波は前記バッファ増幅器6およびバンドパスフィルタ7を介して第1の電子スイッチ5の入力端に送られる。前記第1の電子スイッチ5は前記制御手段1の第1の出力端から出力された信号により制御される。前記第1の電子スイッチ5は前記探知信号生成経路信号の切換え、つまりこれら探知信号が前記探知信号送信経路または前記反射信号受信経路に送信されるよう制御する。
【0086】
初期状態では、前記第1の電子スイッチ5の切換えは図10に示すように、前記マイクロ波発生器2にて生成した第1の同調パルス波が前記探知信号送信経路に入るようになっている。前記増幅器9は前記探知信号を増幅することで、前記バンドパスフィルタ7およびバンドパスフィルタ8にて探知信号のエネルギーが損失するのを補償している。前記複数のバンドパスフィルタ7、8および10の結合の通過帯域は3GHzないし10GHzとすることで、帯域外の信号の輻射を抑制している。
【0087】
前記探知信号は前記送信アンテナ3を介して送信されるとともに被検体に出射される。td2の時間が経過した後、前記探知信号は被検体により反射してセンサに戻り、前記受信器同期経路はショートパルス同期信号も生成する。前記同期信号は前記制御手段1の第1の出力端を介して前記第1の電子スイッチ5の制御入力端に送信される。
【0088】
前記制御手段1が前記ショートパルス同期信号を受信すると、前記制御手段1はそのスイッチを切換える。よって、前記探知信号生成経路は前記複数の信号混波器13および18の第2の入力端に接続される。前記基準探知信号は前記位相シフト回路12により−90度の位相差が付与された後、前記信号混波器18に送信される。これにより、前記マイクロ波発生器2にて生成された第2の同調パルス正弦波は、位相差をもって反射信号を処理するための前記第2のチャネルに入力される。これら同相および位相差を有する同調パルス正弦波は、前記複数の信号混波器13および18の基準信号となる。
【0089】
被検体により反射して戻ってきた前記信号は前記受信アンテナ4により受信されるとともに、外部の電磁波に由来するノイズを低減するための前記バンドパスフィルタ10および前記低ノイズ増幅器11を通過する。フィルタリングされ増幅された前記信号は、位相検出器の信号混波器13および18とされ、反射信号を処理するための前記チャネルに送信される。前記複数の信号混波器13および18の第2の入力端を通過して送出される基準探知信号は相関演算が行われた後、これら反射信号を処理するためのチャネルは、第1のチャネルにある同一位相の信号と、第2のチャネルにある位相差が90度の信号といった二つの信号を生成する。
【0090】
前記複数のチャネルにおいて、前記複数の信号は各々前記複数のバンドパスフィルタ14および19を介して分離されて、前記複数の低周波増幅器15および20で増幅される。前記複数の低周波フィルタ16および21は周波数でこれら信号を選択するとともに、約0.1Hzであり呼吸周期の下限に対応しているカットオフ周波数を下限としてこれら信号を分離する。これら分離され増幅された信号は前記複数のA/Dコンバータ17および22によりディジタル化される。
【0091】
図20に示すように、信号

【0092】
は前記第1のチャネルの出力端に生成される。このうち前記信号と基準探知信号とは同相である。図22に示すように、他の信号

【0093】
は前記第2のチャネルの出力端に生成される。このうち前記信号と基準探知信号とには90度の位相差がある。これら信号は前記心拍および呼吸周期計算経路に送信されるものであり、この概略図は図12および図13に示している。
【0094】
前記第1のチャネルの信号は前記第1のフィルタ28に送信され、そして前記第2のチャネルの信号は前記第1のフィルタ29に送信される。前記複数のフィルタは、これら信号における高周波の心拍成分を減衰させるために、1Hzの上限カットオフ周波数を備えている。したがって、前記複数のフィルタ28および29の出力信号は、患者の胸腔振動および心拍成分を有する前記複数の反射信号中から分離された患者の呼吸成分を表わす信号である。
【0095】
前記周波数を選択した後、前記複数のフィルタ28および29の出力信号は前記複数の加算器30および31の第2の入力端、前記第3の電子スイッチ45の入力端、前記第1の信号振幅計算部32および前記第2の信号振幅計算部33の入力端に入力される。前記第1のチャネルおよび前記第2のチャネルの信号は前記複数の加算器30および31の第1の入力端に送信される。
【0096】
前記複数の加算器30および31はその入力信号を分離するためのものである。前記複数の加算器30および31は患者の胸腔振動および心拍成分を含む前記複数の複合信号から患者の呼吸成分の信号を消去して、出力端に患者の心拍成分のみを含む信号を生成する。周波数選択、各生理パラメータ(心拍および呼吸)を特徴化した後の前記分離された信号を後続する相関処理に用いる。
【0097】
患者の心拍成分のみを含むこれら信号を処理する前記複数の相関システムとして、前記複数の信号乗算部40および41と、前記複数の積分器36および37とは前記機能部分の出力端に接続される。前記複数の基準信号生成部42および43が出力した基準信号は前記複数の信号乗算部40および41の第2の入力端に送信される。
【0098】
図12に示すように、本実施例の一構造において、前記複数の基準信号生成部42および43の入力端は前記複数の加算器30および31の出力端に接続されている。この構造においては、基準信号として、処理後のこれら信号から一定長さを取出している。前記信号長さは少なくとも反射信号の発振の平均周期に等しく設定される。本構造における前記信号長さは3秒とされている。
【0099】
所定時間内、例えば60秒以内において、前記複数の基準信号生成部42および43は、前記複数の加算器30および31の出力信号を記憶手段に保存する。これら信号は基準信号とされるとともに、次の保存動作まで前記複数の信号乗算部40および41の第2の入力端に送信される。
【0100】
図13に示すように、本実施例の他の構造において、前記複数の基準信号生成部42および43は一定波形の基準信号を生成するためのものである。これら予め決められている波形の基準信号は前記複数の基準信号生成部42および43の記憶手段に保存されるとともに、前記複数の信号乗算部40および41の入力端に引き続き送信される。
【0101】
本構造において、前記一定長さおよび一定波形の基準信号は、

【0102】
により定義される。
【0103】
前記信号長さは少なくとも反射信号の発振の平均周期に等しく設定される。本構造における前記信号長さは3秒とされている。
【0104】
これら基準信号は、前記複数の信号乗算部40および41の乗算動作により処理に組込まれる信号である。前記複数の信号乗算部40および41の出力信号は前記複数の積分器36および37に送信される。前記複数の積分器36および37はある時間毎にこれら入力信号の積分動作を行う。図21および図23には、前記複数の積分器36および37の出力信号Z(t)およびZ(t)のシーケンス図をそれぞれ示している。
【0105】
図21および図23に示す出力信号Z(t)およびZ(t)のシーケンス図から理解できるように、相関システムが出力した第1のチャネルの信号は顕著な周期性を備えており、しかも前記信号に基づいて確定された心拍周期は高い精度を備えている。第2のチャネルの信号は拡散しており、その周期性は比較的明確ではなく、この信号により確定された心拍周期では所期の精度を得るのは難しくなっている。
【0106】
前記複数の積分器36および37の出力信号は前記第2の電子スイッチ44の入力端と、前記第1の信号エネルギー計算部34および前記第2の信号エネルギー計算部35の入力端に送信される。前記信号Z(t)は前記積分器36の出力端から前記第2の電子スイッチ44の第1の入力端および前記第1の信号エネルギー計算部34の入力端に入力される。前記信号Z(t)は前記積分器37の出力端から前記第2の電子スイッチ44の第2の入力端および前記第2の信号エネルギー計算部35の入力端に入力される。
【0107】
心拍周期をより高精度で確定する信号を選択するために、信号のエネルギーに基づいて信号を選択する。前記複数の信号エネルギー計算部34および35は前記第1および第2のチャネルのエネルギーを計算するためのものである。前記複数の信号エネルギー計算部34および35は一定時間内の信号振幅の平方和を計算する。本実施例において、これら信号振幅の平方和は一定時間内に計算される。前記複数の信号エネルギー計算部34および35の動作は毎回の測定の後に行われ、リアルタイムにて、スライディングウィンドウ(時間長さは3秒)で入力信号に沿って移動させて演算が行われる。
【0108】
前記複数の信号エネルギー計算部34および35は、その計算結果を前記第1の比較器38の第1および第2の入力端にそれぞれ送信する。前記第1の比較器38はエネルギーの大きな信号を選択する。図24はこれら計算する信号エネルギーの比較図E(t)である。前記比較図E(t)の上側の線は前記第1の信号エネルギー計算部34の出力結果を示している。前記比較図E(t)の下側の線は前記第2の信号エネルギー計算部35の出力結果を示している。
【0109】
図24から理解できるように、第1のチャネルの信号エネルギーは実質的には第2のチャネルの信号を越えている。この結果によれば、前記第1の比較器38は、前記第2の電子スイッチ44への切換えに用いられる制御信号を前記第2の電子スイッチ44の制御入力端に送信する。前記第2の電子スイッチ44の切換え結果は選択されたエネルギーの大きな信号に対応するはずである。前記第1の積分器36の出力信号は前記心拍周期計算部47に切換えられて後続の演算を行う。
【0110】
前記心拍周期計算部47は、その入力信号の局所最大値およびその時点を探すためのものである。探し出された時点に基づいて、患者の心拍周期を計算することができる。計算された心拍周期を表わすための前記信号は前記データ表示部48に送信される。
【0111】
呼吸周期をより高精度で確定するのに用いられる信号を選択するために、信号の振幅に基づいて信号を選択する。患者の胸腔振動は低周波特性であるので、本実施例では前記複数のフィルタ28および29の出力信号の振幅を比較する。呼吸周期は一般的に心拍周期よりも一レベルほど少ない。したがって、呼吸信号を選択する決定的な要因は、前記信号の振幅の最大値を明確に得られるか否かということである。Z(t)およびZ(t)のシーケンス図から理解できるように、第1のチャネル信号の振幅は第2のチャネル信号の振幅よりも大きくなる。図20および22に示すように、第1のチャネル信号の平均の相対的なピーク値は約40単位であり、第2のチャネル信号平均の相対的なピーク値は3単位である。
【0112】
前記複数の信号振幅計算部32および33は、前記複数のフィルタ28および29により分離されて得られた呼吸信号の相関計算を行うためのものである。前記第1の信号振幅計算部32は第1のチャネルの信号振幅を表わす信号を出力する。前記第2の信号振幅計算部33は第2のチャネルの信号振幅を表わす信号を出力する。第1のチャネルの信号振幅および第2のチャネルの信号振幅を表わすためのこれら信号は、前記第2の比較器39の第1および第2の入力端にそれぞれ送信される。
【0113】
前記第2の比較器39は、前記複数の信号振幅計算部32および33の出力信号を比較するためのものである。前記結果に基づいて、前記第2の比較器39は制御信号を前記第3の電子スイッチ45の制御入力端に送信する。前記第3の電子スイッチ45の切換え結果は選択された振幅の大きな信号に対応するはずである。本実施例において、前記第1のフィルタ28の出力信号は前記呼吸周期計算部46に切換えられて後続の演算を行われる。
【0114】
前記呼吸周期計算部46は、その入力信号の局所最大値およびその時点を探すためのものである。探し出された時点に基づいて、患者の呼吸周期を計算することができる。計算された呼吸周期を表わすための前記信号は前記データ表示部48に送信される。前記データ表示部48は心拍および呼吸周期の前記結果を見やすい形態で表示するものであり、とりわけ、データ方式で画面上に表示するものである。
【0115】
図25は本発明の一実施例に係る処理回路である。前記処理回路2500はパルス型超広帯域センサに用いられるものであり、例えば本発明の実施例に係るパルス型超広帯域センサに基づいて、心拍および呼吸周期を測定するものである。前記処理回路2500はは第1のフィルタ2501と、第2のフィルタ2502と、第1の信号振幅計算手段2503と、第2の信号振幅計算手段2504と、第1の電子スイッチ2505と、第1の加算器2506と、第2の加算器2507と、第1の信号積分手段2508と、第2の信号積分手段2509と、第1の信号エネルギー計算手段2510と、第2の信号エネルギー計算手段2511と、第2の電子スイッチ2512とを備えている。
【0116】
前記第1のフィルタ2501は、例えば前記A/Dコンバータ17の出力信号といった同相信号を受信するためのものである。前記第2のフィルタ2502は、例えば前記A/Dコンバータ22の出力信号といった直交信号を受信するためのものである。前記第1の信号振幅計算手段2503は前記第1のフィルタ2501の出力信号の振幅を計算するためのものである。前記第2の信号振幅計算手段2504は前記第2のフィルタ2502の出力信号の振幅を計算するためのものである。前記第1の電子スイッチ2505は前記第1の信号振幅計算手段2503および第2の信号振幅計算手段2504の計算結果に基づいて、前記第1のフィルタ2501または前記第2のフィルタ2502の出力信号を出力するためのものである。前記第1の加算器2506は前記第1のフィルタ2501の出力信号と入力信号との減算演算を行うためのものである。前記第2の加算器2507は前記第2のフィルタ2502の出力信号と入力信号との減算演算を行うためのものである。前記第1の信号積分手段2508は前記第1の加算器2506の出力信号と第1の基準信号との相関積分を計算するためのものである。前記第2の信号積分手段2509は前記第2の加算器2507の出力信号と第2の基準信号との相関積分を計算するためのものである。前記第1の信号エネルギー計算手段2510は前記第1の信号積分手段2508の入力信号のエネルギーを計算するためのものである。前記第2の信号エネルギー計算手段2511は前記第2の信号積分手段2509の入力信号のエネルギーを計算するためのものである。前記第2の電子スイッチ2512は前記第1の信号エネルギー計算手段2510および前記第2の信号エネルギー計算手段2511の計算結果に基づいて、前記第1の信号積分手段2508または前記第2の信号積分手段2509の出力信号を出力する。
【0117】
本発明の一部実施例においては、前記第1の信号積分手段2508は第1の信号乗算部2515と、第1の積分器2516とを備えている。前記第1の信号乗算部2515は前記第1の加算器2506の出力信号と前記第1の基準信号との乗積を計算するためのものである。前記第1の積分器2516は前記第1の信号乗算部2515の出力信号の積分値を計算するためのものである。本発明の他の一部実施例においては、前記第2の信号積分手段2509は第2の信号乗算部2517と、第2の積分器2518とを備えている。前記第2の信号乗算部2517は前記第2の加算器2507の出力信号と前記第2の基準信号との乗積を計算するためのものである。前記第2の積分器2518は前記第2の信号乗算部2517の出力信号の積分値を計算するためのものである。本発明の一部実施例においては、前記処理回路2500は第1の比較器2513および第2の比較器2514を更に備えている。前記第1の比較器2513は前記第1の信号振幅計算手段2503と前記第2の信号振幅計算手段2504との計算結果を比較して、前記第1の電子スイッチ2505を制御するためのものである。前記第2の比較器2514は前記第1の信号エネルギー計算手段2510と第2の信号エネルギー計算手段2511との計算結果を比較して、前記第2の電子スイッチ2512を制御するためのものである。本発明の一部実施例においては、前記第1の基準信号および前記第2の基準信号は一定の波形である。本発明の他の一部実施例においては、前記第1の基準信号は前記第1の加算器2506の入力信号に基づいて生成され、そして前記第2の基準信号は前記第2の加算器2507の入力信号に基づいて生成される。本発明の一部実施例においては、前記処理回路2500は前記第1の基準信号を生成するための第1の基準信号生成部と、前記第2の基準信号を生成するための第2の基準信号生成部とを更に備えている。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明で実現されるセンサは、二つのチャネルにより反射信号の周波数の選択を行い、心拍を表わす信号から呼吸を表わす信号を分離し、これら分離された信号の相関演算を各々行うとともに、測定すべき各々の生理パラメータに対してデータ量の大きな信号を選出して、後続の心拍および呼吸周期の演算を高精度に行うことができるものである。しかしながら、本発明のセンサおよび方法によって測定される生理パラメータは心拍および呼吸周期に限らず、例えば腸の蠕動などの生理パラメータに応用することもできる。
【0119】
上記した反射信号に対する処理作業および特定構造のチャネルにより心拍および呼吸周期を計算することで、センサの位相感度および生理パラメータの測定精度を大幅に向上することができる。また、測定距離内のブラインド・ゾーンが測定結果に影響を及ぼすのをなくし、移動する被検体のパラメータの測定もまた改善される。
【0120】
本発明のパルス型超広帯域センサは医療機器に応用でき、静止または活動していない状態において、循環器系および呼吸器官の高精度の監視装置とすることができる。
【符号の説明】
【0121】
1 制御手段
2 マイクロ波発生器
3 送信アンテナ
4 受信アンテナ
5 第1の電子スイッチ
6 バッファ増幅器
7 バンドパスフィルタ
8 バンドパスフィルタ
9 増幅器
10 バンドパスフィルタ
11 低周波増幅器
12 位相シフト回路
13 信号混波器
14 バンドパスフィルタ
15 低周波増幅器
16 低周波フィルタ
17 A/Dコンバータ
18 信号混波器
19 バンドパスフィルタ
20 低周波増幅器
21 低周波フィルタ
22 A/Dコンバータ
23 駆動信号発生器
24 第1のショートパルス生成手段
25 制御可能なディジタル遅延線
26 第2のショートパルス生成手段
27 ORゲート回路
28 第1のフィルタ
29 第2のフィルタ
30 第1の加算器
31 第2の加算器
32 第1の信号振幅計算部
33 第2の信号振幅計算部
34 第1の信号エネルギー計算部
35 第2の信号エネルギー計算部
36 第1の積分器
37 第2の積分器
38 第1の比較器
39 第2の比較器
40 第1の信号乗算部
41 第2の信号乗算部
42 第1の基準信号生成部
43 第2の基準信号生成部
44 第2の電子スイッチ
45 第3の電子スイッチ
46 呼吸周期計算部
47 心拍周期計算部
48 データ表示部
2501 第1のフィルタ
2502 第2のフィルタ
2503 第1の信号振幅計算手段
2504 第2の信号振幅計算手段
2505 第1の電子スイッチ
2506 第1の加算器
2507 第2の加算器
2508 第1の信号積分手段
2509 第2の信号積分手段
2510 第1の信号エネルギー計算手段
2511 第2の信号エネルギー計算手段
2512 第2の電子スイッチ
2513 第1の比較器
2514 第2の比較器
2515 第1の信号乗算部
2516 第1の積分器
2517 第2の信号乗算部
2518 第2の積分器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御手段と、探知信号生成経路と、送信アンテナと、受信アンテナと、探知信号送信経路と、反射信号受信経路と、位相シフト回路とを備えており、前記制御手段は遅延した同期パルス波を生成するものであり、前記探知信号生成経路は前記制御手段に接続されている同調パルス正弦波発生器を備えており、前記探知信号送信経路の出力端は前記送信アンテナに接続されており、前記反射信号受信経路は反射信号を処理するための第1および第2の二つのチャネルを備えており、各々のチャネルはいずれも信号混波器を備えており、混波器の第1の入力端は前記受信アンテナに接続されており、前記位相シフト回路の入力端は前記探知信号生成経路の出力端に接続されており、前記位相シフト回路の出力端は反射信号を処理するために前記第2のチャネルの信号混波器の第2の入力端に接続されている、心拍および呼吸周期を測定するためのパルス型超広帯域センサであって、
第1の電子スイッチと、
二つのフィルタと、二つの加算器と、二つの信号振幅計算部と、二つの信号エネルギー計算部と、二つの積分器と、二つの比較器と、二つの信号乗算部と、二つの基準信号生成部と、第2の電子スイッチと、第3の電子スイッチと、呼吸周期計算部と、心拍周期計算部とを備えた心拍および呼吸周期計算経路と、を更に備えており、
前記第1の電子スイッチの入力端は前記探知信号生成経路の出力端に接続されており、前記第1の電子スイッチの第1の出力端は前記探知信号送信経路の入力端に接続されており、前記第1の電子スイッチの第2の出力端は前記第1のチャネルの前記信号混波器の第2の入力端および前記位相シフト回路の入力端に接続されており、前記第1の電子スイッチの制御入力端は前記制御手段に接続されており、前記第1および第2のフィルタの入力端は、反射信号を処理を処理するために前記第1および第2のチャネルの出力端にそれぞれ接続されており、前記第1の加算器の第1の入力端は反射信号を処理するために前記第1のチャネルの出力端に接続されており、反射信号を処理をするために前記第1の加算器の第2の入力端は前記第1のフィルタの出力端に接続されて、しかも第2の加算器の第1の入力端は前記第2のチャネルの出力端に接続されており、前記第2の加算器の第2の入力端は前記第2のフィルタの出力端に接続されており、前記第1の信号乗算部の第1の入力端は前記第1の加算器の出力端に接続されており、前記第1の信号乗算部の第2の入力端は前記第1の基準信号生成部の出力端に接続されており、前記第2の信号乗算部の第1の入力端は前記第2の加算器の出力端に接続されており、前記第2の信号乗算部の第2の入力端は前記第2の基準信号生成部の出力端に接続されており、前記第1の積分器の入力端は前記第1の信号乗算部の出力端に接続されており、前記第1の積分器の出力端は前記第2の電子スイッチの第1の入力端および前記第1の信号エネルギー計算部の入力端に接続されており、前記第2の積分器の入力端は前記第2の信号乗算部の出力端に接続されており、前記第2の積分器の出力端は前記第2の電子スイッチの第2の入力端および前記第2の信号エネルギー計算部の入力端に接続されており、前記第1の信号エネルギー計算部の出力端は前記第1の比較器の第1の入力端に接続されており、前記第2の信号エネルギー計算部の出力端は前記第1の比較器の第2の入力端に接続されており、前記第1の比較器の出力端は前記第2の電子スイッチの制御入力端に接続されており、前記第1の信号振幅計算部の入力端は前記第1のフィルタの出力端に接続されており、前記第1の信号振幅計算部の出力端は前記第2の比較器の第1の入力端に接続されており、前記第2の信号振幅計算部の入力端は前記第2のフィルタの出力端に接続されており、前記第2の信号振幅計算部の出力端は前記第2の比較器の第2の入力端に接続されており、前記第2の比較器の出力端は前記第3の電子スイッチの制御入力端に接続されており、前記第3の電子スイッチの第1の入力端は前記第1のフィルタの出力端に接続されており、前記第3の電子スイッチの第2の入力端は前記第2のフィルタの出力端に接続されており、前記第3の電子スイッチの出力端は前記呼吸周期計算部の入力端に接続されており、前記第2の電子スイッチの出力端は前記心拍周期計算部の入力端に接続されていることを特徴とするパルス型超広帯域センサ。
【請求項2】
第1の入力端が心拍周期計算部の出力端に接続され、第2の入力端が呼吸周期計算部の出力端に接続されているデータ表示部を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載のパルス型超広帯域センサ。
【請求項3】
前記第1の基準信号生成部の入力端が前記第1の加算器の出力端に接続されており、前記第2の基準信号生成部の入力端が前記第2の加算器の出力端に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のパルス型超広帯域センサ。
【請求項4】
前記複数の基準信号生成部が一定波形の基準信号を生成するためのものであることを特徴とする請求項1に記載のパルス型超広帯域センサ。
【請求項5】
前記探知信号生成経路はバッファ増幅器と、バンドパスフィルタとを備えており、前記バッファ増幅器および前記バンドパスフィルタは前記同調パルス正弦波発生器に直列接続されており、そして前記バンドパスフィルタの出力端は前記第1の電子スイッチの入力端に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のパルス型超広帯域センサ。
【請求項6】
各信号混波器の出力端が、直列接続されているバンドパスフィルタ、低周波増幅器、低周波フィルタを介して前記心拍および呼吸周期計算経路に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のパルス型超広帯域センサ。
【請求項7】
前記反射信号受信経路が、前記受信アンテナに直列接続されているバンドパスフィルタと信号増幅器とを備えており、前記信号増幅器の出力端は反射信号を処理するための前記複数のチャネルに切換えられることを特徴とする請求項1に記載のパルス型超広帯域センサ。
【請求項8】
前記探知信号送信経路が、前記送信アンテナに直列接続されているバンドパスフィルタと信号増幅器とを備えており、前記信号増幅器の入力端は前記第1の電子スイッチの第1の出力端に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のパルス型超広帯域センサ。
【請求項9】
前記制御手段が駆動生成器と、前記駆動生成器に平行して接続されている送信器同期経路および受信器同期経路と、ORゲート回路とを備えており、前記送信器同期経路は第1のショートパルス生成手段を備えており、前記受信器同期経路は制御可能なディジタル遅延線と、第2のショートパルス生成手段とを備えており、前記第2のショートパルス生成手段の出力端は前記制御手段の第1の出力端となり、前記制御手段の第1の出力端は前記第1の電子スイッチの制御入力端に接続され、前記ORゲート回路の入力端は前記送信器同期経路の出力端および前記受信器同期経路の出力端に接続され、前記ORゲート回路の出力端は前記制御手段の第2の出力端となり、前記制御手段の第2の出力端は前記同調パルス正弦波発生器の入力端に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のパルス型超広帯域センサ。
【請求項10】
処理回路を備えたパルス型超広帯域センサであって、前記処理回路が、
同相信号を受信するための第1のフィルタと、
直交信号を受信するための第2のフィルタと、
前記第1のフィルタの出力信号の振幅を計算するための第1の信号振幅計算手段と、
前記第2のフィルタの出力信号の振幅を計算するための第2の信号振幅計算手段と、
前記第1の信号振幅計算手段および前記第2の信号振幅計算手段の計算結果に基づいて、前記第1のフィルタまたは前記第2のフィルタの出力信号を出力するための第1の電子スイッチと、
前記第1のフィルタの出力信号と入力信号との減算演算を行うための第1の加算器と、
前記第2のフィルタの出力信号と入力信号との減算演算を行うための第2の加算器と、
前記第1の加算器の出力信号と第1の基準信号との相関積分を計算するための第1の信号積分手段と、
前記第2の加算器の出力信号と第2の基準信号との相関積分を計算するための第2の信号積分手段と、
前記第1の信号積分手段の入力信号のエネルギーを計算するための第1の信号エネルギー計算手段と、
前記第2の信号積分手段の入力信号のエネルギーを計算するための第2の信号エネルギー計算手段と、
前記第1の信号エネルギー計算手段および前記第2の信号エネルギー計算手段の計算結果に基づいて、前記第1の信号積分手段または前記第2の信号積分手段の出力信号を出力する第2の電子スイッチと、を備えたことを特徴とするパルス型超広帯域センサ。
【請求項11】
前記第1の基準信号が一定波形であることを特徴とする請求項10に記載のパルス型超広帯域センサ。
【請求項12】
前記第1の基準信号が前記第1の加算器の入力信号に基づいて生成されるものであることを特徴とする請求項10に記載のパルス型超広帯域センサ。
【請求項13】
前記第2の基準信号が一定波形であることを特徴とする請求項10に記載のパルス型超広帯域センサ。
【請求項14】
前記第2の基準信号が前記第2の加算器の入力信号に基づいて生成されるものであることを特徴とする請求項10に記載のパルス型超広帯域センサ。
【請求項15】
前記第1の信号積分手段が、
前記第1の加算器の出力信号と前記第1の基準信号との乗積を計算するための第1の信号乗算部と、
前記第1の信号乗算部の出力信号の積分値を計算するための第1の積分器と、を備えたことを特徴とする請求項10に記載のパルス型超広帯域センサ。
【請求項16】
前記第2の信号積分手段が、
前記第2の加算器の出力信号と前記第2の基準信号との乗積を計算するための第2の信号乗算部と、
前記第2の信号乗算部の出力信号の積分値を計算するための第2の積分器と、を備えたことを特徴とする請求項10に記載のパルス型超広帯域センサ。
【請求項17】
前記処理回路が、前記第1の信号振幅計算手段と前記第2の信号振幅計算手段との計算結果を比較することにより、前記第1の電子スイッチを制御するための第1の比較器を更に備えたことを特徴とする請求項10に記載のパルス型超広帯域センサ。
【請求項18】
前記処理回路が、前記第1の信号エネルギー計算手段と第2の信号エネルギー計算手段との計算結果を比較することにより、前記第2の電子スイッチを制御するための第2の比較器を更に備えたことを特徴とする請求項10に記載のパルス型超広帯域センサ。
【請求項19】
前記処理回路が、前記第1の基準信号を生成するための第1の基準信号生成部を更に備えたことを特徴とする請求項10に記載のパルス型超広帯域センサ。
【請求項20】
前記処理回路が、前記第2の基準信号を生成するための第2の基準信号生成部を更に備えたことを特徴とする請求項10に記載のパルス型超広帯域センサ。
【請求項21】
生理パラメータの測定方法であって、
第1の生理パラメータと第2の生理パラメータとを有する第1の情報信号および第2の情報信号をフィルタリングして、前記第1の生理パラメータのみを有する第1のフィルタ済み信号および第2のフィルタ済み信号を生成するステップと、
前記第1の情報信号に前記第1のフィルタ済み信号を加えて前記第2の生理パラメータのみを有する第1の合算信号を生成するステップと、
前記第2の情報信号に前記第2のフィルタ済み信号を加えて前記第2の生理パラメータのみを有する第2の合算信号を生成するステップと、
前記第1の合算信号と第1の基準信号との相関計算を行って第1の相関信号を生成するステップと、
前記第2の合算信号と第2の基準信号との相関計算を行って第2の相関信号を生成するステップと、
前記第1のフィルタ済み信号および前記第2のフィルタ済み信号の振幅に基づいて、前記第1のフィルタ済み信号および前記第2のフィルタ済み信号中から第1の生理パラメータ信号を抽出するステップと、
前記第1の相関信号および前記第2の相関信号のエネルギーに基づいて、前記第1の相関信号および前記第2の相関信号中から第2の生理パラメータ信号を抽出するステップと、を含むことを特徴とする生理パラメータの測定方法。
【請求項22】
前記第1の情報信号は前記第2の情報信号と90度の位相差を有することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の合算信号と前記第1の基準信号の相関計算が、前記第1の合算信号と前記第1の基準信号との乗積を積分することにより実現されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の合算信号と前記第2の基準信号の相関計算が、前記第2の合算信号と前記第2の基準信号との乗積を積分することにより実現されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の生理パラメータ信号の局所最大値に基づいて前記第1の生理パラメータを確定することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の生理パラメータ信号の局所最大値に基づいて前記第2の生理パラメータを確定することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の生理パラメータが呼吸周期であることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記第2の生理パラメータが心拍周期であることを特徴とする請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14−19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−213881(P2009−213881A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−36332(P2009−36332)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(507084073)インダストリアル テクノロジー リサーチ インスティテュート (22)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【Fターム(参考)】