パワーユニット
【課題】ヒールガイドを外気ダクトと兼用として部品点数および組付工数の少ない低コストのパワーユニットを供する。
【解決手段】車体側方にピリオンステップ15rが突設され、動力伝達機構の側方を覆う伝動ケースカバー36の前部に側方から重ねられるようにしてヒールガイド部材150が取付けられ、ヒールガイド部材150の延出したガイド部150uがピリオンステップ15rの近傍で車体幅方向中央側に設けられ、ヒールガイド部材150が重ねられる伝動ケースカバー36の前部にケース吸風口36cが形成され、ヒールガイド部材150は、伝動ケースカバー36より延設されたガイド部150uに外気導入口154が形成されるとともに、同外気導入口154からケース吸風口36cまで外気通路160が形成されるパワーユニット。
【解決手段】車体側方にピリオンステップ15rが突設され、動力伝達機構の側方を覆う伝動ケースカバー36の前部に側方から重ねられるようにしてヒールガイド部材150が取付けられ、ヒールガイド部材150の延出したガイド部150uがピリオンステップ15rの近傍で車体幅方向中央側に設けられ、ヒールガイド部材150が重ねられる伝動ケースカバー36の前部にケース吸風口36cが形成され、ヒールガイド部材150は、伝動ケースカバー36より延設されたガイド部150uに外気導入口154が形成されるとともに、同外気導入口154からケース吸風口36cまで外気通路160が形成されるパワーユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関と、同内燃機関から後方に延設される動力伝達機構と、同動力伝達機構の後部に軸支される後輪とが一体に揺動自在に車体フレームに支持されるスイング式のパワーユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のパワーユニットにおいて動力伝達機構の側方を覆う伝動ケースカバーにヒールガイドを設け、自動二輪車の後部座席に乗る同乗者のピリオンステップに載せた足のヒールをガイドするとともに、ヒールで車体が傷つけられるのを防止している例がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−40173号公報
【0004】
一方、同特許文献1において、パワーユニットにおける動力伝達機構は、冷却のための外気導入・排出機構が設けられており、前記特許文献1に開示されたパワーユニットでは、伝動ケースカバーの前部上方から外気ダクトを延出し、その先端に上方に向けて吸入口が形成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、外気ダクトとヒールガイドとは互いに別個に設けられているので、部品点数および組付工数が多くなり、コスト高となっていた。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、ヒールガイドを外気ダクトと兼用として部品点数および組付工数の少ない低コストのパワーユニットを供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、内燃機関と、同内燃機関から後方に延設される動力伝達機構と、同動力伝達機構の後部に軸支される後輪とが一体に揺動自在に車体フレームに支持される自動二輪車のスイング式のパワーユニットにおいて、車体側方にピリオンステップが突設され、前記動力伝達機構の側方を覆う伝動ケースカバーの前部に側方から重ねられるようにしてヒールガイド部材が取付けられ、前記ヒールガイド部材の延出したガイド部が前記ピリオンステップの近傍で車体幅方向中央側に設けられ、前記ヒールガイド部材が重ねられる前記伝動ケースカバーの前部にケース吸風口が形成され、前記ヒールガイド部材は、前記伝動ケースカバーより延設されたガイド部に外気導入口が形成されるとともに、同外気導入口から前記ケース吸風口まで外気通路が形成されるパワーユニットとした。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のパワーユニットにおいて、前記ヒールガイド部材のガイド部は、前記伝動ケースカバーより上方に延設され、側面視でボディカバーの下方に位置し、前記外気導入口は、前記ガイド部の車体幅方向中央側に開口していることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載のパワーユニットにおいて、前記ヒールガイド部材のガイド部が、エアクリーナのクリーナ空気吸入口を外側方から隠すことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項2または請求項3記載のパワーユニットにおいて、前記ヒールガイド部材の外気通路には、前記外気導入口より下方で前記ケース吸風口の上方を覆う突条が少なくとも1本形成され、前記突条の少なくとも1本が前記ケース吸風口の側方を下方へ延出してドレン通路を構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載のパワーユニットによれば、ヒールガイド部材は、伝動ケースカバーより延設されたガイド部に外気導入口が形成されるとともに、同外気導入口からケース吸風口まで外気通路が形成されて外気ダクトを兼ねるので、同乗者のピリオンステップに載せた足のヒールをガイドするとともに、動力伝達機構を冷却する外気の導入を行うことができ、部品点数および組付工数を削減してコストの低減を図ることができる。
【0012】
請求項2記載のパワーユニットによれば、ヒールガイド部材の伝動ケースカバーより上方に延設されたガイド部に外気導入口があり、かつ外気導入口はガイド部の車体幅方向中央側に開口しているので、泥や水の吸い込みをより効果的に防止することができる。
また、外気導入口のあるガイド部は、側面視でボディカバーの下方に位置して外部に露出しているので、加熱されていない比較的温度の低い外気を取り込み、動力伝達機構の冷却効果を高めることができる。
【0013】
請求項3記載のパワーユニットによれば、ヒールガイド部材のガイド部が、エアクリーナのクリーナ空気吸入口を外側方から隠すので、エアクリーナへの泥や水その他の異物の侵入を防ぐことができる。
【0014】
請求項4記載のパワーユニットによれば、ヒールガイド部材の外気通路には、外気導入口より下方でケース吸風口の上方を覆う突条が少なくとも1本形成され、前記突条の少なくとも1本がケース吸風口の側方を下方へ延出してドレン通路を構成するので、泥や水がヒールガイド部材の外気通路に侵入しても、外気通路に形成された突条により簡単に構成されたドレン通路に案内されて外部に排出することができ、動力伝達機構への異物の侵入を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図16に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用した一実施の形態に係るスクータ型自動二輪車1の側面図である。
本実施の形態においては、スクータ型自動二輪車1の前進方向を向いた状態を基準にして前後左右を決めることとする。
【0016】
車体前部1Fと車体後部1Rとが、低いフロア部1Cを介して連結されており、車体の骨格をなす車体フレームは、概ねダウンチューブ3とメインパイプ4とからなる。
すなわち車体前部1Fのヘッドパイプ2からダウンチューブ3が下方へ延出し、同ダウンチューブ3は下端で水平に屈曲してフロア部1Cの下方を後方へ延び、その後端において左右一対のメインパイプ4が連結され、メインパイプ4は該連結部から斜め後方に立ち上がって所定高さで水平に屈曲して後方に延びている。
【0017】
同メインパイプ4により燃料タンクや収納ボックスが支持され、その上方にシート5が配置されている。
シート5は、前後に長尺であり、前半部の運転者用シート5fの後方が同乗者用シート5rとなっている。
一方車体前部2においては、ヘッドパイプ2に軸支されて上方にハンドル6が設けられ、下方にフロントフォーク7が延びてその下端に前輪8が軸支されている。
【0018】
メインパイプ4の立ち上がり部下端にはブラケット4aが突設され、同ブラケット4aにリンク部材9を介してスイング式のパワーユニット10が揺動自在に連結支持されている。
パワーユニット10の側面図を図2に、同平面図を図3に、同前面図を図4に示す。
【0019】
パワーユニット10には、その前部に単気筒の4ストロークサイクル内燃機関30が、シリンダブロック32を略水平に近い状態にまで大きく前傾した姿勢で搭載され、そのユニットケース31のクランクケースに相当する部分の下端から前方に突出したハンガーブラケット10aの端部が前記リンク部材9にピボット軸9aを介して連結される(図1参照)。
【0020】
該内燃機関30から後方にかけてベルト式無段変速機35が構成され、その後部に設けられた減速機構38に後輪21が軸支されている。
ユニットケース31の後端と前記メインパイプ7の後部間にリヤクッション22が介装されている。
【0021】
パワーユニット10の上部には、内燃機関30のシリンダヘッド33の上部から延出した吸気管23に接続された気化器24および同気化器24に連結されるエアクリーナ25が配設されている。
他方ユニットケース31の下部に突設されたハンガーブラケット10aには、メインスタンド26が枢着されている。
【0022】
図1を参照して、車体前部1Fは、フロントカバー11とリヤカバー12により前後が覆われ、フロントロアカバー13により左右側方が覆われ、ハンドル6の中央部はハンドルカバー14によって覆われる。
フロア部1Cは、ステッププレート15が張設され、同ステッププレート15は、フロア部1Cの水平に展開したフロアステップ部15fと左右側方を後方斜め上方に延出したピリオンステップ部15rとからなる。
ピリオンステップ部15rは、同乗者用シート5rに着座した同乗者の足F(図1において2点鎖線で示す)が載せられるように側方に水平に突出している。
【0023】
このステッププレート15の左右側縁に沿って各々下方にロアサイドカバー16が延設されている。
車体後部1Rは、ステッププレート15のピリオンステップ部15rの上方に連結してボディカバー17がメインパイプ4の前方から左右側方に亘って覆うように被せられ、ボディカバー17の上端開口を前記シート5が開閉自在に覆うようになっている。
【0024】
側面視でボディカバー17の後方斜め上方に先細に延出した後部からリヤフェンダ18が斜め下方に延びて後輪21を上方から覆っている。
【0025】
左側面視(図1参照)で、順次重ねられたボディカバー17,ステッププレート15,ロアサイドカバー16の連続する後端縁17e,15e,16eは、概ね後方に傾斜しており、ステッププレート15とロアサイドカバー16の合せ面辺りの後端縁15e,16eが後方に突出しており、この突出したピリオンステップ部15rの後端縁15eを形成する水平部が同乗者の足FのヒールFhが載せられる所である。
【0026】
ステッププレート15の後端縁15eは、この突出した部分の上方が前方に凹んだ形状をなしてボディカバー17の後端縁17eに連続して凹部19が形成されており、したがって、ピリオンステップ部15rに載せられた同乗者の足FのヒールFhの内側は車体カバーのない凹部19となっている(図1参照)。
【0027】
図5は、パワーユニット17を図1の概ねV−V線に沿って截断し展開した断面図である。
【0028】
ユニットスイングケース31は、左右割りの左ユニットケース31Lと右ユニットケース31Rとを合体して構成されるもので、右ユニットケース31Rは、クランクケース部の半体をなし、左ユニットケース31Lは、前後に長尺で前部のクランクケース部31a,中央の伝動ケース部31b,後部の減速機ケース部31cからなる。
【0029】
この左ユニットケース31Lの左側開放面は、伝道ケースの一部である伝動ケースカバー36により覆われ、内部にベルト式無段変速機35が収納され、後方の減速機ケース部31cの右側開放面は減速機ケース37により覆われ、内部に減速機構38が収納される。
【0030】
クランクケース部31aと右ユニットケース31Rのいわゆるクランクケース内には、クランク軸40が左右の主軸受41,41に回転自在に支持されて、左右水平方向に延びた延出部のうち右延出部にはACジェネレータ60が設けられ、左延出部にはカムチェーン駆動スプロケット55とベルト式無段変速機35のベルト駆動プーリ76が設けられる。
【0031】
内燃機関30は、シリンダブロック32のシリンダライナ44内を往復動するピストン42とクランク軸40のクランクピン40aとをコネクティングロッド43が連結している。
本4サイクル内燃機関30は、SOHC型式のバルブシステムを採用しており、シリンダヘッドカバー34内には動弁機構50が設けられ、同動弁機構50に駆動伝達を行うカムチェーン51がカムシャフト53とクランク軸40との間に架設されており、そのためのカムチェーン室52が、クランクケース部31a,シリンダブロック32,シリンダヘッド33に連通して設けられている。
【0032】
すなわち左右水平方向に指向したカムシャフト53の左端に嵌着された被動スプロケット54と、クランク軸40に嵌着された前記駆動スプロケット55との間にカムチェーン51がカムチェーン室52内を通って架渡されている。
シリンダヘッド33においてカムチェーン室52と反対側(右側)から燃焼室に向かって斜めに点火プラグ45が嵌入されている。
【0033】
図6に示すようにシリンダヘッドカバー34内の動弁機構50は、シリンダが水平に近い状態にまで大きく前傾しているので、カムシャフト53の上下に吸気バルブ56と排気バルブ57が配設されており、上下のロッカシャフト58i,58eにはそれぞれロッカアーム59i,59eが揺動自在に枢着され、カムシャフト53のカムの回転によりロッカアーム59i,59eは揺動して所定のタイミングで吸気バルブ56と排気バルブ57の開閉動作を行わせる。
【0034】
右ユニットケース31Rの右側面に設けられるACジェネレータ60は、右ユニットケース31Rの中央円筒部31dより突出するクランク軸30の端部にACGボス61を介して碗状のアウタロータ62が固着され、その内周面に周方向に亘って配設される磁石63の内側にステータコイル65の巻回されたステータ64が中央円筒部31dに固定されている。
【0035】
アウタロータ62の右側面には強制空冷ファン66が取り付けられ、その側方をファンカバー67が覆い、同ファンカバー67に連接されてシリンダブロック32およびシリンダヘッド33の周囲を覆うシェラウド68が設けられる。
【0036】
ユニットスイングケース31のクランクケース部31aには、前記カムチェーン室52が主軸受41によりクランク室と仕切って形成されており、同カムチェーン室52の左側壁は、さらに左方のベルト式無段変速機室70とカムチェーン室52とを仕切る仕切り壁71であり、同仕切り壁71にクランク軸40が貫通する大径の偏平円筒状をなす円形貫通孔71aが形成され、同貫通孔71aに円環状シール部材72が圧入され、同円環状シール部材72の中空部をクランク軸40が貫通している。
【0037】
このシール部材72と主軸受41との間のクランク軸40に前記駆動スプロケット55が嵌着されており、同駆動スプロケット55に前記カムチェーン51が巻き掛けられる。
このシール部材72によりベルト式無段変速機室70がカムチェーン室52から水密に仕切られ、オイルがベルト式無段変速機室70に漏れるのを防止している。
シール部材72を貫通して延出したクランク軸40にはベルト駆動プーリ76が一体となって回転可能に設けられている。
【0038】
ベルト駆動プーリ76は、固定側プーリ半体77と可動側プーリ半体78とからなり、固定側プーリ半体77は、クランク軸40の左端部にボス79を介して固着され、その右側に可動側プーリ半体78がクランク軸40にスプライン嵌合され、同可動側プーリ半体78はクランク軸40とともに回転し、かつ軸方向に摺動して固定側プーリ半体77に接近・離反することができ、両プーリ半体77,78間にVベルト75が挟まれて巻き掛けられる。
【0039】
可動側プーリ半体78の右側で前記円環状シール部材72に近接した固定位置にカムプレート80が設けられており、その外周端に設けたスライドピース80aが可動側プーリ半体78の外周端に軸方向に形成したカムプレート摺動ボス部78aに摺動自在に係合している。
可動側プーリ半体78のカムプレート80側側面は、カムプレート80側に向けてテーパしており、同テーパ面内側にカムプレート80に挟まれてドライウェイトローラ81が収容されている。
【0040】
したがってクランク軸40の回転速度が増加すると、可動側プーリ半体78とカムプレート80間にあってともに回転するドライウェイトローラ81が、遠心力により遠心方向に移動し、可動側プーリ半体78は同ドライウェイトローラ81に押圧されて左方に移動して固定側プーリ半体77に接近し、両プーリ半体77,78間に挟まれたVベルト75を遠心方向に移動させ巻き掛け径を大きくするように構成されている。
【0041】
かかるベルト駆動プーリ76に対応する後方のベルト被動プーリ86は、減速機構38の減速機入力軸92に対し相対回転自在に支持されるインナスリーブ89に固定側プーリ半体87が嵌着され、同固定側プーリ半体87の左側でインナスリーブ89に軸方向の摺動自在に支持されたアウタスリーブ90に可動側プーリ半体88が嵌着されて、かかる両プーリ半体87,88から構成されている。
両プーリ半体87,88に前記Vベルト75が挟持される。
【0042】
減速機入力軸92とインナスリーブ89の左側部に遠心クラッチ91が設けられており、Vベルト75を介してインナスリーブ89に伝達された動力は、その回転速度が増すと遠心クラッチ91が接合して減速機入力軸92に伝達される。
減速機構38は、減速機入力軸92に伝達された動力を中間軸93を介して出力軸94に歯車の噛合により減速して伝えるものであり、出力軸94が後輪21の車軸で後輪21を回転させる後車軸である。
【0043】
図5を参照して、ベルト式無段変速機室70を左側から覆う伝動ケースカバー36は、前方のベルト駆動プーリ76から後方の遠心クラッチ91までを覆っており、中央より若干前寄りにキック軸27が回動自在に貫通支持されており、同キック軸27の内側端部には駆動ヘリカルギヤ100 が嵌着され、リターンスプリング101 により付勢されている。
【0044】
そして伝動ケースカバー36の前部内面には、クランク軸40と同軸に摺動軸102が回転かつ軸方向の摺動可能に支持されており、同摺動軸102 には被動ヘリカルギヤ103 が形成されて前記駆動ヘリカルギヤ100 と噛合しているとともに、右端にはラチェットホイール104 が固着され、全体がフリクションスプリング105 により左方に付勢されている。
一方クランク軸40側のボス79には、ラチェットホイール105 に対向してラチェット79aが形成されており、両者は摺動軸102 の摺動で接離可能である。
【0045】
したがってキックペダルが踏み込まれ、キック軸27がリターンスプリング101 に抗して回転すると、キック軸27と一体に駆動ヘリカルギヤ100 が回転して、これと噛合する被動ヘリカルギヤ103 が摺動軸102 と一体に回転しながらフリクションスプリング105 に抗して右方に摺動して、ラチェットホイール105 がボス79のラチェット79aと噛み合ってクランク軸40を強制的に回転させ内燃機関30を始動することができる。
【0046】
一方、本内燃機関は、左ユニットケース31Lのクランクケース部31aの上方にスタータモータ110 が配設されており、図7に示すようにスタータモータ110 は、アウタステータの磁石111 に周りを囲まれたインナロータのコイル112 の巻回されたピニオン113 が左方に突出しており、ピニオン113 の端部にギヤ113aが形成されている。
【0047】
そしてクランクケース部31aと伝動ケースカバー36とに挟持されて飛び込みギヤ機構115 が、軸を左右水平方向に指向させて、スタータモータ110 とベルト駆動プーリ76との間に設けられており、同飛び込みギヤ機構115 の右側の入力ギヤ116 にスタータモータ110 のピニオンギヤ113aが噛合し、一方の左側の飛び込みギヤ117 は、左方に飛び出すと固定側プーリ半体77の外周縁に形成されたスタータリングギヤ77aに噛み合う。
【0048】
したがってスタータモータ110 が駆動すると、ピニオン113 の回転が飛び込みギヤ機構115 の入力ギヤ116 に伝達され、飛び込みギヤ117 が左方に飛び出し固定側プーリ半体77のスタータリングギヤ77aに噛み込み、固定側プーリ半体77をクランク軸40とともに回転させて内燃機関30の始動を行うことができる。
なおスタータモータ110 が停止すれば飛び込みギヤ117 は引っ込みスタータリングギヤ77aとの噛合が解かれる。
【0049】
飛び込みギヤ117 の噛み込みを受けるスタータリングギヤ77aの形成された固定側プーリ半体77は、そのVベルト75を挟持する側面と反対側の側面(左側面)に鉄製の冷却ファン118 が図示しないボルトで締結されており、冷却ファン118の回転により外気が導入されてベルト式無段変速機35が冷却される。
【0050】
伝動ケースカバー36は、ベルト式無段変速機35の左側を覆う側壁と外周囲を囲繞する周壁とから概ねなり、図8に示すように、側壁の前部に部分的に段差36bを経て凹んだ凹壁部36aが形成されており、同凹壁部36aに変形矩形のケース吸風口36cが左方に開口している。
また、図8に破線で示すように、前後方向の略中央位置に側壁内面に沿って筒状のケース排風ダクト36dが斜め縦方向に形成されていて、その上端開口が室内側に開放し下端開口が室外側に開放している。
【0051】
したがって、伝動ケースカバー36の前部のケース吸風口36cは、前記固定側プーリ半体77に焼き付けられた冷却ファン118に対向して開口し(図5参照)、冷却ファン118の回転によりケース吸風口36cから冷却風をベルト式無段変速機室70内に吸い込み、ベルト式無段変速機35を冷却した冷却風をケース排風ダクト36dより外へ排出することができる。
【0052】
また、伝動ケースカバー36の前部の凹壁部36aの上部には前記飛び込みギヤ117の支持部36eが部分円錐状に形成されおり、ケース吸風口36cの上下にはボルト孔36i,36jが形成されている。
【0053】
この伝動ケースカバー36の前部の凹壁部36aに、外気導入ダクトでもあるヒールガイド部材150が嵌合して取り付けられる。
ヒールガイド部材150は、内壁部材151と外壁カバー部材161が合体して内部に外気通路空間を構成する外気導入ダクトでもある。
【0054】
図9ないし図11に図示するように、内壁部材151は、内壁152が側面視で概ね魚の胸びれ形をしており(図9,図10参照)、また同内壁152は、前面視で鉛直壁をなす上壁部152uと下壁部152lが左右にオフセットして斜壁部152sにより連結された形状をしている(図11参照)。
この内壁152の周縁の若干内側に周壁153が左側面に突出形成されている(図9参照)。
【0055】
内壁152の上壁部152uには、周壁153の内側に外気導入口154が穿設されており、同外気導入口154にはルーバ155が架設されている。
一方、内壁152の下壁部152lには、前記伝動ケースカバー36のケース吸風口36cに対応する連結口152cが穿設されている。
また、斜壁部152sには、前記伝動ケースカバー36の円錐状の支持部36eに対応した円錐部152eが形成されている。
【0056】
また、内壁152の左側面に連結口152cの上方から前方斜め下向きに連結口152cの前側に沿って湾曲して突条156が突出形成されており、突条156の前下部分は前記周壁153の前側部分と平行に並んで下方に延びており、両者間にドレン通路170を形成している。
なお、ドレン通路170の下端は開放されている。
【0057】
突条156のさらに上方には、外気導入口154との間に直線的な突条157が突出形成されている。
同突条157は、外気導入口154の下方を周壁153の後側部分から前方へ若干下向きに延びており、その突条157の前部の下方に下側の突条156の後部が位置して両者間に外気通路160が構成されている。
【0058】
なお、周壁153の後側傾斜部分における突条156の後端部の下方に位置する箇所に切欠き153bが形成され、この切欠き153bにより切断された下側周壁153の上端に取付孔158iが形成され、同取付孔158iより前方斜め上向きに突条153aが延びている。
取付孔158iは、連結口152cの上部に位置して前記伝動ケースカバー36のボルト孔36iに対応し、連結口152cの下方にはボルト孔36jに対応する取付孔158jが穿孔されている。
【0059】
また、内壁152における上壁部152uの外気導入口154より後方の後端縁に係合爪159pが突出しており、下壁部152lの湾曲した前端縁の下部にもう一つの係合爪159qが突出して形成されている。
【0060】
一方、外壁カバー部材161は、図12ないし図14に図示するように、外壁162が側面視で内壁部材151の内壁152と略同じ形状をして(図12,図13参照)、前面視で鉛直壁をなす上壁部162uと下壁部162lが左右にオフセットして斜壁部162sにより連結された形状をしている(図14参照)。
この外壁162との周縁に内壁部材151の周壁153より若干大きい周壁163が右側面に突出形成されている(図13参照)。
【0061】
外壁162の右側面には、内壁152の左側面に形成された湾曲した突条156の上面に沿うことができる突条166が突出形成され、周壁163との間に前記ドレン通路170が重なって構成される。
突条166のさらに上方には、内壁152の左側面に形成された直線状の突条157の上面に沿うことができる突条167が突出形成されている。
【0062】
そして、周壁163の後傾斜部分の中央と下端部に、前記取付孔158i,158jにそれぞれ対応する取付孔168i,168jが形成されている。
また、周壁163における後端縁の上部と前端縁の下部に、前記係合爪159p,159qに対応して係合片169p,169qが形成されている。
係合片169pは係合爪159pを引っ掛けて係合するフック状のもので、係合片169qは係合爪159qを挿入して係合する挿入孔が形成されたものである。
【0063】
以上の内壁部材151と外壁カバー部材161を、各内壁152と外壁162を対向させて内壁部材151の周壁153の外側に外壁カバー部材161の周壁163が嵌合するようにして合体する。
このとき、まず内壁部材151の係合爪159qを外壁カバー部材161の係合片169qに挿入して係合し、周壁153,163を互いに嵌合しながら両者を合わせることで、内壁部材151の係合爪159pが外壁カバー部材161の係合片169pに引っ掛かって係合し、両者が合体し1つの外気導入ダクトであるヒールガイド部材150が構成される。
【0064】
ヒールガイド部材(外気導入ダクト)150の内部は、内壁152の上部に形成された外気導入口154から下部の連結口152cに至るまで上側の直線状の突条157,167および下側の湾曲した突条156,166によりラビリンス構造をなした外気通路160が構成される。
外気導入口154より泥や水が外気通路160に浸入しても、まず浸入した泥や水は上側の傾斜した突条157,167の上面を伝わって前方に流れ、前端から下方の突条156,166に落下して湾曲した突条156,166上を前方に流れドレン通路170を流下して外部に排出される。
【0065】
このようなヒールガイド部材150が、伝動ケースカバー36の前部の凹壁部36aに嵌合される。
ヒールガイド部材150の下壁部152l,162lと斜壁部152s,162sが、伝動ケースカバー36の凹壁部36aに嵌合し、合致した取付孔158i,168iと取付孔158j,168jを、それぞれ伝動ケースカバー36側のボルト孔36iとボルト孔36jに合わせてボルト171,172により螺合し緊締することでヒールガイド部材150を伝動ケースカバー36に取り付ける。
【0066】
こうして伝動ケースカバー36にヒールガイド部材150が取り付けられると、ヒールガイド部材150の外壁カバー部材161の外面が伝動ケースカバー36の外面と同一面を構成し、内壁部材151の下部の連結口152cが伝動ケースカバー36のケース吸風口36cと連結する。
【0067】
そして、ヒールガイド部材150の上壁部152u,162uが伝動ケースカバー36より上方に突出しかつ車体内側に偏向屈曲するように延設されており、この上方に突出した内壁部材151の上壁部152uに外気導入口154が右側(車体内側)に向いて開口している。
外気導入口154に設けられたルーバ155は右側(車体内側)に向いて下方に傾斜していて泥や水が上方から外気導入口154に入り難くしている。
【0068】
以上のように、伝動ケースカバー36の前部に外気導入ダクトであるヒールガイド部材150が取り付けられるので、ベルト式無段変速機35の固定側プーリ半体77に添着された冷却ファン118の回転により、ヒールガイド部材150の外気導入口154から外気通路160を介して外気をケース吸風口36cに導入して冷却風としてベルト式無段変速機室70内に吸い込み、ベルト式無段変速機35を冷却した冷却風をケース排風ダクト36dより外へ排出する。
【0069】
そして、外気導入口154より泥や水などの異物が外気通路160に浸入しても、浸入した異物は突条157,167および突条156,166により構成されたドレン通路170を通って外部に排出されるので、ベルト式無段変速機室70内への異物の侵入を防止することができる。
【0070】
ヒールガイド部材150における伝動ケースカバー36より上方に延設された上壁部152u,162uが、実際のガイド部150uであり、図1に示すように、このガイド部150uは前記ステッププレート15のピリオンステップ部15rの後端が側面視で一部外側から重なり、その上方の凹部19を塞ぐように上方に延出している。
ピリオンステップ部15rに載せられた同乗者の足F(図1において2点鎖線で示す)のヒール部Fhは、凹部19を車体内側から塞ぐガイド部150uによりガイドされる。
【0071】
内燃機関30のクランクケース部の上方に配設されるエアクリーナ25は、本体容器25aの後部が左右に膨出して、左側膨出部から本体容器25aの左側壁に沿って吸入ダクト25bが前方に延出している。
吸入ダクト25bの前端に開口したクリーナ空気吸入口25iは、前記ヒールガイド部材150のガイド部150uの内側に離れて位置し(図3,図4参照)、側面視でガイド部150uと重なる(図2参照)。
【0072】
このように、ヒールガイド部材150のガイド部150uが、エアクリーナ25のクリーナ空気吸入口25iを外側方から隠すので、エアクリーナ25への泥や水その他の異物の侵入を防ぐことができる。
【0073】
内燃機関30のシリンダブロック32およびシリンダヘッド33の周囲を覆う前記シェラウド68は、図2ないし図5に示すように、前端部の矩形開口からシリンダヘッドカバー34を嵌入して前方に突出させており、同矩形開口から上側壁68u、下側壁68d、左側壁68lが、シリンダヘッド33とシリンダブロック32の側面に沿って後方に延出し、右側壁68rはシリンダヘッド33とシリンダブロック32から徐々に離れるように大きく右方に膨出して前記ファンカバー67に連結されている。
【0074】
なお、ファンカバー67は、クランク軸40を中心軸とする環状フレーム67aの周縁の前部がシェラウド68の右側壁68rの後端縁とねじ120により螺着連結され、環状フレーム67aの周縁の前部以外の部分が右ユニットケース31Rの右端縁にボルト121により螺着して固定されるので、ファンカバー67はシェラウド68の延長部材に相当し、右側壁に強制空冷ファン66に対向して冷却風入口67iが設けられている(図5参照)。
【0075】
他方、シェラウド68の左側壁68lには、下半部の後方寄りに冷却風出口68eが開口しており、同冷却風出口68eに排風ダクト69の前端が連結されている。
排風ダクト69は、シェラウド68の左側壁68lの冷却風出口68eから左方に延出した後、後方斜め下向きに屈曲してヒールガイド部材150の下端面に沿って伝動ケースカバー36の凹壁部36aに一部嵌合しながら延出して伝動ケースカバー36の段差36bに至って後端排風口69eが後方斜め下向きに開口している(図2、図3、図4参照)。
【0076】
シリンダブロック32およびシリンダヘッド33を囲繞するシェラウド68は、右側壁68rの後方への延長であるファンカバー67に冷却風入口67iが設けられ、この右側壁68rに対向する左側壁68lに冷却風出口68eが形成されているので、図5を参照して、強制空冷ファン66の回転により冷却風入口67iから吸入された冷却風は、湾曲した右側壁68rにより斜め前方に導かれながらシリンダブロック32とシリンダヘッド33の周りを左方に流れることでシリンダブロック32とシリンダヘッド33を冷却し、冷却した空気は向きを変えることなく、そのまま左側壁68lの冷却風出口68eに流出する。
【0077】
したがって、冷却風はシェラウド68内を冷却風入口67iから冷却風出口68eへ一方向に偏りなく円滑に流れて排風ダクト69から排出されることになり、部分的に滞留することがないため、内燃機関30のシリンダブロック32やシリンダヘッド33など所要部位を満遍なく効率良く冷却するとともに、通路抵抗も小さく冷却風量も多いので、大きな冷却効果を期待することができる。
【0078】
また、図2のパワーユニット10の側面図を参照して、排風ダクト69は、シリンダブロック32のシリンダボアの中心軸であるシリンダ軸線C−Cよりも側面視で下方にある。
図4のパワーユニット10の前面図を参照して、排風ダクト69は、車体幅方向において、エアクリーナ25の略外側(図4で右側)で、かつ伝動ケースカバー36の外側面よりも内側(図4で左側)に位置している。
【0079】
したがって、排風ダクト69は、小型で、シェラウド68の左外側にコンパクトに取り付けられ、ヒールガイド部材150の下端面に沿わせて目立たないように取り付けられているので、外観性が向上している。
【0080】
前記エアクリーナ25のクリーナ空気吸入口25iおよびヒールガイド部材(外気導入ダクト)150の外気導入口154は、ともにシリンダ軸線C−Cよりも側面視で上方の高い位置にある(図2参照)。
【0081】
すなわち、シリンダ軸線C−Cより下方にある排風ダクト69の排風口69eに対してクリーナ空気吸入口25iおよび外気導入口154がシリンダ軸線C−Cより上方の高い位置にあり、かつ両者間にはヒールガイド部材150および伝動ケースカバー36が介在する。
したがって、ヒールガイド部材150の下の排風口69eから排出された温度の高い機関冷却風は、主に伝動ケースカバー36の下面に沿って後方に流れ、伝動ケースカバー36の側面に沿って上昇したとしても、クリーナ空気吸入口25iおよび外気導入口154に、吸い込まれる可能性は低く、吸気温度の上昇およびベルト式無段変速機35の冷却効果の低下を防止できる。
【0082】
また、車体幅方向で、外気導入口154は、クリーナ空気吸入口25iと排風ダクト69の排風口69eとの間に配設されている(図4参照)。
したがって、停車時など排風口69eから排出された機関冷却風が上昇した場合でも、より近い外気導入口154の方に先に導かれ、遠い方のクリーナ空気吸入口25iに至って吸い込まれる可能性は益々低く、吸気温度の上昇を防止できる。
【0083】
さらに、ヒールガイド部材(外気導入ダクト)150とクリーナ空気吸入口25iは、側面視で重なるように配置されるので、ガイド部150uが外側からガイドして排風口69eから排出された機関冷却風がクリーナ空気吸入口25iに吸い込まれることが確実に防止して、より一層吸気温度の上昇を回避することができるとともに、泥や水その他の異物のクリーナ空気吸入口への侵入も防止することができる。
【0084】
以上のようにヒールガイド部材150は、外気導入ダクトを兼ねる構造なので、車体カバー15,17の左側後端縁の凹部19をガイド部150uが内側から塞ぐようにして同乗者のピリオンステップ部15rに載せた足FのヒールFhをガイドするとともに、ベルト式無段変速機35を冷却する外気の導入を行うことができ、部品点数および組付工数を削減してコストの低減を図ることができる。
【0085】
ヒールガイド部材150の伝動ケースカバー36に取付けられた取付部より上方に延出したガイド部150uに外気導入口154があり、かつ外気導入口154はガイド部150uの車体幅方向中央側に開口しているので、泥や水の吸い込みをより効果的に防止することができる。
【0086】
また、外気導入口154のあるガイド部150uは、側面視(図1参照)でボディカバー17の下方の凹部19に位置して外部に露出しているので、加熱されていない比較的温度の低い外気を取り込むことが可能で、ベルト式無段変速機35の冷却効果を高めることができる。
【0087】
ヒールガイド部材150の外気通路160には、外気導入口154より下方でケース吸風口36cの上方を覆う突条156,166と突条157,167が形成され、突条156,166がケース吸風口の側方を下方へ延出してドレン通路170を構成するので、泥や水がヒールガイド部材150の外気通路160に侵入しても、外気通路160に形成された突条156,166により簡単に構成されたドレン通路160に案内されて外部に排出することができ、ベルト式無断変速室70への異物の侵入を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の一実施の形態に係るスクータ型自動二輪車の全体側面図である。
【図2】該スクータ型自動二輪車のパワーユニットの側面図である。
【図3】同平面図である。
【図4】同前面図である。
【図5】図2におけるV−V線に沿って截断した断面図である。
【図6】図5におけるVI−VI線に沿って截断した断面図である。
【図7】図2におけるVII−VII線に沿って截断した断面図である。
【図8】伝動ケースカバーの側面図である。
【図9】ヒールガイド部材の内壁部材の左側面図である。
【図10】同右側面図である。
【図11】図10におけるVII−VII線に沿って截断した断面図である。
【図12】ヒールガイド部材の外壁カバー部材の左側面図である。
【図13】同右側面図である。
【図14】図13におけるXIV−XIV線に沿って截断した断面図である。
【図15】内壁部材と外壁カバー部材とを合体したヒールガイド部材の右側面図である。
【図16】図15におけるXV−XV線に沿って截断した断面図である。
【符号の説明】
【0089】
10…パワーユニット、15…ステッププレート、15r…ピリオンステップ部、17…ボディカバー、19…凹部、25…エアクリーナ、25i…クリーナ空気吸入口、30…内燃機関、31…ユニットケース、36…伝動ケースカバー、36c…ケース吸風口、36d…ケース排風ダクト、118 …冷却ファン、119 …排風ダクト、
150…ヒールガイド部材(外気導入ダクト)、150u…ガイド部、151…内壁部材、152…内壁、153…周壁、154…外気導入口、155…ルーバ、156…突条、157…突条、160…外気通路、161…外壁カバー部材、162…外壁、163…周壁、166…突条、167…突条、170…ドレン通路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関と、同内燃機関から後方に延設される動力伝達機構と、同動力伝達機構の後部に軸支される後輪とが一体に揺動自在に車体フレームに支持されるスイング式のパワーユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のパワーユニットにおいて動力伝達機構の側方を覆う伝動ケースカバーにヒールガイドを設け、自動二輪車の後部座席に乗る同乗者のピリオンステップに載せた足のヒールをガイドするとともに、ヒールで車体が傷つけられるのを防止している例がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−40173号公報
【0004】
一方、同特許文献1において、パワーユニットにおける動力伝達機構は、冷却のための外気導入・排出機構が設けられており、前記特許文献1に開示されたパワーユニットでは、伝動ケースカバーの前部上方から外気ダクトを延出し、その先端に上方に向けて吸入口が形成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、外気ダクトとヒールガイドとは互いに別個に設けられているので、部品点数および組付工数が多くなり、コスト高となっていた。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、ヒールガイドを外気ダクトと兼用として部品点数および組付工数の少ない低コストのパワーユニットを供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、内燃機関と、同内燃機関から後方に延設される動力伝達機構と、同動力伝達機構の後部に軸支される後輪とが一体に揺動自在に車体フレームに支持される自動二輪車のスイング式のパワーユニットにおいて、車体側方にピリオンステップが突設され、前記動力伝達機構の側方を覆う伝動ケースカバーの前部に側方から重ねられるようにしてヒールガイド部材が取付けられ、前記ヒールガイド部材の延出したガイド部が前記ピリオンステップの近傍で車体幅方向中央側に設けられ、前記ヒールガイド部材が重ねられる前記伝動ケースカバーの前部にケース吸風口が形成され、前記ヒールガイド部材は、前記伝動ケースカバーより延設されたガイド部に外気導入口が形成されるとともに、同外気導入口から前記ケース吸風口まで外気通路が形成されるパワーユニットとした。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のパワーユニットにおいて、前記ヒールガイド部材のガイド部は、前記伝動ケースカバーより上方に延設され、側面視でボディカバーの下方に位置し、前記外気導入口は、前記ガイド部の車体幅方向中央側に開口していることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載のパワーユニットにおいて、前記ヒールガイド部材のガイド部が、エアクリーナのクリーナ空気吸入口を外側方から隠すことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項2または請求項3記載のパワーユニットにおいて、前記ヒールガイド部材の外気通路には、前記外気導入口より下方で前記ケース吸風口の上方を覆う突条が少なくとも1本形成され、前記突条の少なくとも1本が前記ケース吸風口の側方を下方へ延出してドレン通路を構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載のパワーユニットによれば、ヒールガイド部材は、伝動ケースカバーより延設されたガイド部に外気導入口が形成されるとともに、同外気導入口からケース吸風口まで外気通路が形成されて外気ダクトを兼ねるので、同乗者のピリオンステップに載せた足のヒールをガイドするとともに、動力伝達機構を冷却する外気の導入を行うことができ、部品点数および組付工数を削減してコストの低減を図ることができる。
【0012】
請求項2記載のパワーユニットによれば、ヒールガイド部材の伝動ケースカバーより上方に延設されたガイド部に外気導入口があり、かつ外気導入口はガイド部の車体幅方向中央側に開口しているので、泥や水の吸い込みをより効果的に防止することができる。
また、外気導入口のあるガイド部は、側面視でボディカバーの下方に位置して外部に露出しているので、加熱されていない比較的温度の低い外気を取り込み、動力伝達機構の冷却効果を高めることができる。
【0013】
請求項3記載のパワーユニットによれば、ヒールガイド部材のガイド部が、エアクリーナのクリーナ空気吸入口を外側方から隠すので、エアクリーナへの泥や水その他の異物の侵入を防ぐことができる。
【0014】
請求項4記載のパワーユニットによれば、ヒールガイド部材の外気通路には、外気導入口より下方でケース吸風口の上方を覆う突条が少なくとも1本形成され、前記突条の少なくとも1本がケース吸風口の側方を下方へ延出してドレン通路を構成するので、泥や水がヒールガイド部材の外気通路に侵入しても、外気通路に形成された突条により簡単に構成されたドレン通路に案内されて外部に排出することができ、動力伝達機構への異物の侵入を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図16に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用した一実施の形態に係るスクータ型自動二輪車1の側面図である。
本実施の形態においては、スクータ型自動二輪車1の前進方向を向いた状態を基準にして前後左右を決めることとする。
【0016】
車体前部1Fと車体後部1Rとが、低いフロア部1Cを介して連結されており、車体の骨格をなす車体フレームは、概ねダウンチューブ3とメインパイプ4とからなる。
すなわち車体前部1Fのヘッドパイプ2からダウンチューブ3が下方へ延出し、同ダウンチューブ3は下端で水平に屈曲してフロア部1Cの下方を後方へ延び、その後端において左右一対のメインパイプ4が連結され、メインパイプ4は該連結部から斜め後方に立ち上がって所定高さで水平に屈曲して後方に延びている。
【0017】
同メインパイプ4により燃料タンクや収納ボックスが支持され、その上方にシート5が配置されている。
シート5は、前後に長尺であり、前半部の運転者用シート5fの後方が同乗者用シート5rとなっている。
一方車体前部2においては、ヘッドパイプ2に軸支されて上方にハンドル6が設けられ、下方にフロントフォーク7が延びてその下端に前輪8が軸支されている。
【0018】
メインパイプ4の立ち上がり部下端にはブラケット4aが突設され、同ブラケット4aにリンク部材9を介してスイング式のパワーユニット10が揺動自在に連結支持されている。
パワーユニット10の側面図を図2に、同平面図を図3に、同前面図を図4に示す。
【0019】
パワーユニット10には、その前部に単気筒の4ストロークサイクル内燃機関30が、シリンダブロック32を略水平に近い状態にまで大きく前傾した姿勢で搭載され、そのユニットケース31のクランクケースに相当する部分の下端から前方に突出したハンガーブラケット10aの端部が前記リンク部材9にピボット軸9aを介して連結される(図1参照)。
【0020】
該内燃機関30から後方にかけてベルト式無段変速機35が構成され、その後部に設けられた減速機構38に後輪21が軸支されている。
ユニットケース31の後端と前記メインパイプ7の後部間にリヤクッション22が介装されている。
【0021】
パワーユニット10の上部には、内燃機関30のシリンダヘッド33の上部から延出した吸気管23に接続された気化器24および同気化器24に連結されるエアクリーナ25が配設されている。
他方ユニットケース31の下部に突設されたハンガーブラケット10aには、メインスタンド26が枢着されている。
【0022】
図1を参照して、車体前部1Fは、フロントカバー11とリヤカバー12により前後が覆われ、フロントロアカバー13により左右側方が覆われ、ハンドル6の中央部はハンドルカバー14によって覆われる。
フロア部1Cは、ステッププレート15が張設され、同ステッププレート15は、フロア部1Cの水平に展開したフロアステップ部15fと左右側方を後方斜め上方に延出したピリオンステップ部15rとからなる。
ピリオンステップ部15rは、同乗者用シート5rに着座した同乗者の足F(図1において2点鎖線で示す)が載せられるように側方に水平に突出している。
【0023】
このステッププレート15の左右側縁に沿って各々下方にロアサイドカバー16が延設されている。
車体後部1Rは、ステッププレート15のピリオンステップ部15rの上方に連結してボディカバー17がメインパイプ4の前方から左右側方に亘って覆うように被せられ、ボディカバー17の上端開口を前記シート5が開閉自在に覆うようになっている。
【0024】
側面視でボディカバー17の後方斜め上方に先細に延出した後部からリヤフェンダ18が斜め下方に延びて後輪21を上方から覆っている。
【0025】
左側面視(図1参照)で、順次重ねられたボディカバー17,ステッププレート15,ロアサイドカバー16の連続する後端縁17e,15e,16eは、概ね後方に傾斜しており、ステッププレート15とロアサイドカバー16の合せ面辺りの後端縁15e,16eが後方に突出しており、この突出したピリオンステップ部15rの後端縁15eを形成する水平部が同乗者の足FのヒールFhが載せられる所である。
【0026】
ステッププレート15の後端縁15eは、この突出した部分の上方が前方に凹んだ形状をなしてボディカバー17の後端縁17eに連続して凹部19が形成されており、したがって、ピリオンステップ部15rに載せられた同乗者の足FのヒールFhの内側は車体カバーのない凹部19となっている(図1参照)。
【0027】
図5は、パワーユニット17を図1の概ねV−V線に沿って截断し展開した断面図である。
【0028】
ユニットスイングケース31は、左右割りの左ユニットケース31Lと右ユニットケース31Rとを合体して構成されるもので、右ユニットケース31Rは、クランクケース部の半体をなし、左ユニットケース31Lは、前後に長尺で前部のクランクケース部31a,中央の伝動ケース部31b,後部の減速機ケース部31cからなる。
【0029】
この左ユニットケース31Lの左側開放面は、伝道ケースの一部である伝動ケースカバー36により覆われ、内部にベルト式無段変速機35が収納され、後方の減速機ケース部31cの右側開放面は減速機ケース37により覆われ、内部に減速機構38が収納される。
【0030】
クランクケース部31aと右ユニットケース31Rのいわゆるクランクケース内には、クランク軸40が左右の主軸受41,41に回転自在に支持されて、左右水平方向に延びた延出部のうち右延出部にはACジェネレータ60が設けられ、左延出部にはカムチェーン駆動スプロケット55とベルト式無段変速機35のベルト駆動プーリ76が設けられる。
【0031】
内燃機関30は、シリンダブロック32のシリンダライナ44内を往復動するピストン42とクランク軸40のクランクピン40aとをコネクティングロッド43が連結している。
本4サイクル内燃機関30は、SOHC型式のバルブシステムを採用しており、シリンダヘッドカバー34内には動弁機構50が設けられ、同動弁機構50に駆動伝達を行うカムチェーン51がカムシャフト53とクランク軸40との間に架設されており、そのためのカムチェーン室52が、クランクケース部31a,シリンダブロック32,シリンダヘッド33に連通して設けられている。
【0032】
すなわち左右水平方向に指向したカムシャフト53の左端に嵌着された被動スプロケット54と、クランク軸40に嵌着された前記駆動スプロケット55との間にカムチェーン51がカムチェーン室52内を通って架渡されている。
シリンダヘッド33においてカムチェーン室52と反対側(右側)から燃焼室に向かって斜めに点火プラグ45が嵌入されている。
【0033】
図6に示すようにシリンダヘッドカバー34内の動弁機構50は、シリンダが水平に近い状態にまで大きく前傾しているので、カムシャフト53の上下に吸気バルブ56と排気バルブ57が配設されており、上下のロッカシャフト58i,58eにはそれぞれロッカアーム59i,59eが揺動自在に枢着され、カムシャフト53のカムの回転によりロッカアーム59i,59eは揺動して所定のタイミングで吸気バルブ56と排気バルブ57の開閉動作を行わせる。
【0034】
右ユニットケース31Rの右側面に設けられるACジェネレータ60は、右ユニットケース31Rの中央円筒部31dより突出するクランク軸30の端部にACGボス61を介して碗状のアウタロータ62が固着され、その内周面に周方向に亘って配設される磁石63の内側にステータコイル65の巻回されたステータ64が中央円筒部31dに固定されている。
【0035】
アウタロータ62の右側面には強制空冷ファン66が取り付けられ、その側方をファンカバー67が覆い、同ファンカバー67に連接されてシリンダブロック32およびシリンダヘッド33の周囲を覆うシェラウド68が設けられる。
【0036】
ユニットスイングケース31のクランクケース部31aには、前記カムチェーン室52が主軸受41によりクランク室と仕切って形成されており、同カムチェーン室52の左側壁は、さらに左方のベルト式無段変速機室70とカムチェーン室52とを仕切る仕切り壁71であり、同仕切り壁71にクランク軸40が貫通する大径の偏平円筒状をなす円形貫通孔71aが形成され、同貫通孔71aに円環状シール部材72が圧入され、同円環状シール部材72の中空部をクランク軸40が貫通している。
【0037】
このシール部材72と主軸受41との間のクランク軸40に前記駆動スプロケット55が嵌着されており、同駆動スプロケット55に前記カムチェーン51が巻き掛けられる。
このシール部材72によりベルト式無段変速機室70がカムチェーン室52から水密に仕切られ、オイルがベルト式無段変速機室70に漏れるのを防止している。
シール部材72を貫通して延出したクランク軸40にはベルト駆動プーリ76が一体となって回転可能に設けられている。
【0038】
ベルト駆動プーリ76は、固定側プーリ半体77と可動側プーリ半体78とからなり、固定側プーリ半体77は、クランク軸40の左端部にボス79を介して固着され、その右側に可動側プーリ半体78がクランク軸40にスプライン嵌合され、同可動側プーリ半体78はクランク軸40とともに回転し、かつ軸方向に摺動して固定側プーリ半体77に接近・離反することができ、両プーリ半体77,78間にVベルト75が挟まれて巻き掛けられる。
【0039】
可動側プーリ半体78の右側で前記円環状シール部材72に近接した固定位置にカムプレート80が設けられており、その外周端に設けたスライドピース80aが可動側プーリ半体78の外周端に軸方向に形成したカムプレート摺動ボス部78aに摺動自在に係合している。
可動側プーリ半体78のカムプレート80側側面は、カムプレート80側に向けてテーパしており、同テーパ面内側にカムプレート80に挟まれてドライウェイトローラ81が収容されている。
【0040】
したがってクランク軸40の回転速度が増加すると、可動側プーリ半体78とカムプレート80間にあってともに回転するドライウェイトローラ81が、遠心力により遠心方向に移動し、可動側プーリ半体78は同ドライウェイトローラ81に押圧されて左方に移動して固定側プーリ半体77に接近し、両プーリ半体77,78間に挟まれたVベルト75を遠心方向に移動させ巻き掛け径を大きくするように構成されている。
【0041】
かかるベルト駆動プーリ76に対応する後方のベルト被動プーリ86は、減速機構38の減速機入力軸92に対し相対回転自在に支持されるインナスリーブ89に固定側プーリ半体87が嵌着され、同固定側プーリ半体87の左側でインナスリーブ89に軸方向の摺動自在に支持されたアウタスリーブ90に可動側プーリ半体88が嵌着されて、かかる両プーリ半体87,88から構成されている。
両プーリ半体87,88に前記Vベルト75が挟持される。
【0042】
減速機入力軸92とインナスリーブ89の左側部に遠心クラッチ91が設けられており、Vベルト75を介してインナスリーブ89に伝達された動力は、その回転速度が増すと遠心クラッチ91が接合して減速機入力軸92に伝達される。
減速機構38は、減速機入力軸92に伝達された動力を中間軸93を介して出力軸94に歯車の噛合により減速して伝えるものであり、出力軸94が後輪21の車軸で後輪21を回転させる後車軸である。
【0043】
図5を参照して、ベルト式無段変速機室70を左側から覆う伝動ケースカバー36は、前方のベルト駆動プーリ76から後方の遠心クラッチ91までを覆っており、中央より若干前寄りにキック軸27が回動自在に貫通支持されており、同キック軸27の内側端部には駆動ヘリカルギヤ100 が嵌着され、リターンスプリング101 により付勢されている。
【0044】
そして伝動ケースカバー36の前部内面には、クランク軸40と同軸に摺動軸102が回転かつ軸方向の摺動可能に支持されており、同摺動軸102 には被動ヘリカルギヤ103 が形成されて前記駆動ヘリカルギヤ100 と噛合しているとともに、右端にはラチェットホイール104 が固着され、全体がフリクションスプリング105 により左方に付勢されている。
一方クランク軸40側のボス79には、ラチェットホイール105 に対向してラチェット79aが形成されており、両者は摺動軸102 の摺動で接離可能である。
【0045】
したがってキックペダルが踏み込まれ、キック軸27がリターンスプリング101 に抗して回転すると、キック軸27と一体に駆動ヘリカルギヤ100 が回転して、これと噛合する被動ヘリカルギヤ103 が摺動軸102 と一体に回転しながらフリクションスプリング105 に抗して右方に摺動して、ラチェットホイール105 がボス79のラチェット79aと噛み合ってクランク軸40を強制的に回転させ内燃機関30を始動することができる。
【0046】
一方、本内燃機関は、左ユニットケース31Lのクランクケース部31aの上方にスタータモータ110 が配設されており、図7に示すようにスタータモータ110 は、アウタステータの磁石111 に周りを囲まれたインナロータのコイル112 の巻回されたピニオン113 が左方に突出しており、ピニオン113 の端部にギヤ113aが形成されている。
【0047】
そしてクランクケース部31aと伝動ケースカバー36とに挟持されて飛び込みギヤ機構115 が、軸を左右水平方向に指向させて、スタータモータ110 とベルト駆動プーリ76との間に設けられており、同飛び込みギヤ機構115 の右側の入力ギヤ116 にスタータモータ110 のピニオンギヤ113aが噛合し、一方の左側の飛び込みギヤ117 は、左方に飛び出すと固定側プーリ半体77の外周縁に形成されたスタータリングギヤ77aに噛み合う。
【0048】
したがってスタータモータ110 が駆動すると、ピニオン113 の回転が飛び込みギヤ機構115 の入力ギヤ116 に伝達され、飛び込みギヤ117 が左方に飛び出し固定側プーリ半体77のスタータリングギヤ77aに噛み込み、固定側プーリ半体77をクランク軸40とともに回転させて内燃機関30の始動を行うことができる。
なおスタータモータ110 が停止すれば飛び込みギヤ117 は引っ込みスタータリングギヤ77aとの噛合が解かれる。
【0049】
飛び込みギヤ117 の噛み込みを受けるスタータリングギヤ77aの形成された固定側プーリ半体77は、そのVベルト75を挟持する側面と反対側の側面(左側面)に鉄製の冷却ファン118 が図示しないボルトで締結されており、冷却ファン118の回転により外気が導入されてベルト式無段変速機35が冷却される。
【0050】
伝動ケースカバー36は、ベルト式無段変速機35の左側を覆う側壁と外周囲を囲繞する周壁とから概ねなり、図8に示すように、側壁の前部に部分的に段差36bを経て凹んだ凹壁部36aが形成されており、同凹壁部36aに変形矩形のケース吸風口36cが左方に開口している。
また、図8に破線で示すように、前後方向の略中央位置に側壁内面に沿って筒状のケース排風ダクト36dが斜め縦方向に形成されていて、その上端開口が室内側に開放し下端開口が室外側に開放している。
【0051】
したがって、伝動ケースカバー36の前部のケース吸風口36cは、前記固定側プーリ半体77に焼き付けられた冷却ファン118に対向して開口し(図5参照)、冷却ファン118の回転によりケース吸風口36cから冷却風をベルト式無段変速機室70内に吸い込み、ベルト式無段変速機35を冷却した冷却風をケース排風ダクト36dより外へ排出することができる。
【0052】
また、伝動ケースカバー36の前部の凹壁部36aの上部には前記飛び込みギヤ117の支持部36eが部分円錐状に形成されおり、ケース吸風口36cの上下にはボルト孔36i,36jが形成されている。
【0053】
この伝動ケースカバー36の前部の凹壁部36aに、外気導入ダクトでもあるヒールガイド部材150が嵌合して取り付けられる。
ヒールガイド部材150は、内壁部材151と外壁カバー部材161が合体して内部に外気通路空間を構成する外気導入ダクトでもある。
【0054】
図9ないし図11に図示するように、内壁部材151は、内壁152が側面視で概ね魚の胸びれ形をしており(図9,図10参照)、また同内壁152は、前面視で鉛直壁をなす上壁部152uと下壁部152lが左右にオフセットして斜壁部152sにより連結された形状をしている(図11参照)。
この内壁152の周縁の若干内側に周壁153が左側面に突出形成されている(図9参照)。
【0055】
内壁152の上壁部152uには、周壁153の内側に外気導入口154が穿設されており、同外気導入口154にはルーバ155が架設されている。
一方、内壁152の下壁部152lには、前記伝動ケースカバー36のケース吸風口36cに対応する連結口152cが穿設されている。
また、斜壁部152sには、前記伝動ケースカバー36の円錐状の支持部36eに対応した円錐部152eが形成されている。
【0056】
また、内壁152の左側面に連結口152cの上方から前方斜め下向きに連結口152cの前側に沿って湾曲して突条156が突出形成されており、突条156の前下部分は前記周壁153の前側部分と平行に並んで下方に延びており、両者間にドレン通路170を形成している。
なお、ドレン通路170の下端は開放されている。
【0057】
突条156のさらに上方には、外気導入口154との間に直線的な突条157が突出形成されている。
同突条157は、外気導入口154の下方を周壁153の後側部分から前方へ若干下向きに延びており、その突条157の前部の下方に下側の突条156の後部が位置して両者間に外気通路160が構成されている。
【0058】
なお、周壁153の後側傾斜部分における突条156の後端部の下方に位置する箇所に切欠き153bが形成され、この切欠き153bにより切断された下側周壁153の上端に取付孔158iが形成され、同取付孔158iより前方斜め上向きに突条153aが延びている。
取付孔158iは、連結口152cの上部に位置して前記伝動ケースカバー36のボルト孔36iに対応し、連結口152cの下方にはボルト孔36jに対応する取付孔158jが穿孔されている。
【0059】
また、内壁152における上壁部152uの外気導入口154より後方の後端縁に係合爪159pが突出しており、下壁部152lの湾曲した前端縁の下部にもう一つの係合爪159qが突出して形成されている。
【0060】
一方、外壁カバー部材161は、図12ないし図14に図示するように、外壁162が側面視で内壁部材151の内壁152と略同じ形状をして(図12,図13参照)、前面視で鉛直壁をなす上壁部162uと下壁部162lが左右にオフセットして斜壁部162sにより連結された形状をしている(図14参照)。
この外壁162との周縁に内壁部材151の周壁153より若干大きい周壁163が右側面に突出形成されている(図13参照)。
【0061】
外壁162の右側面には、内壁152の左側面に形成された湾曲した突条156の上面に沿うことができる突条166が突出形成され、周壁163との間に前記ドレン通路170が重なって構成される。
突条166のさらに上方には、内壁152の左側面に形成された直線状の突条157の上面に沿うことができる突条167が突出形成されている。
【0062】
そして、周壁163の後傾斜部分の中央と下端部に、前記取付孔158i,158jにそれぞれ対応する取付孔168i,168jが形成されている。
また、周壁163における後端縁の上部と前端縁の下部に、前記係合爪159p,159qに対応して係合片169p,169qが形成されている。
係合片169pは係合爪159pを引っ掛けて係合するフック状のもので、係合片169qは係合爪159qを挿入して係合する挿入孔が形成されたものである。
【0063】
以上の内壁部材151と外壁カバー部材161を、各内壁152と外壁162を対向させて内壁部材151の周壁153の外側に外壁カバー部材161の周壁163が嵌合するようにして合体する。
このとき、まず内壁部材151の係合爪159qを外壁カバー部材161の係合片169qに挿入して係合し、周壁153,163を互いに嵌合しながら両者を合わせることで、内壁部材151の係合爪159pが外壁カバー部材161の係合片169pに引っ掛かって係合し、両者が合体し1つの外気導入ダクトであるヒールガイド部材150が構成される。
【0064】
ヒールガイド部材(外気導入ダクト)150の内部は、内壁152の上部に形成された外気導入口154から下部の連結口152cに至るまで上側の直線状の突条157,167および下側の湾曲した突条156,166によりラビリンス構造をなした外気通路160が構成される。
外気導入口154より泥や水が外気通路160に浸入しても、まず浸入した泥や水は上側の傾斜した突条157,167の上面を伝わって前方に流れ、前端から下方の突条156,166に落下して湾曲した突条156,166上を前方に流れドレン通路170を流下して外部に排出される。
【0065】
このようなヒールガイド部材150が、伝動ケースカバー36の前部の凹壁部36aに嵌合される。
ヒールガイド部材150の下壁部152l,162lと斜壁部152s,162sが、伝動ケースカバー36の凹壁部36aに嵌合し、合致した取付孔158i,168iと取付孔158j,168jを、それぞれ伝動ケースカバー36側のボルト孔36iとボルト孔36jに合わせてボルト171,172により螺合し緊締することでヒールガイド部材150を伝動ケースカバー36に取り付ける。
【0066】
こうして伝動ケースカバー36にヒールガイド部材150が取り付けられると、ヒールガイド部材150の外壁カバー部材161の外面が伝動ケースカバー36の外面と同一面を構成し、内壁部材151の下部の連結口152cが伝動ケースカバー36のケース吸風口36cと連結する。
【0067】
そして、ヒールガイド部材150の上壁部152u,162uが伝動ケースカバー36より上方に突出しかつ車体内側に偏向屈曲するように延設されており、この上方に突出した内壁部材151の上壁部152uに外気導入口154が右側(車体内側)に向いて開口している。
外気導入口154に設けられたルーバ155は右側(車体内側)に向いて下方に傾斜していて泥や水が上方から外気導入口154に入り難くしている。
【0068】
以上のように、伝動ケースカバー36の前部に外気導入ダクトであるヒールガイド部材150が取り付けられるので、ベルト式無段変速機35の固定側プーリ半体77に添着された冷却ファン118の回転により、ヒールガイド部材150の外気導入口154から外気通路160を介して外気をケース吸風口36cに導入して冷却風としてベルト式無段変速機室70内に吸い込み、ベルト式無段変速機35を冷却した冷却風をケース排風ダクト36dより外へ排出する。
【0069】
そして、外気導入口154より泥や水などの異物が外気通路160に浸入しても、浸入した異物は突条157,167および突条156,166により構成されたドレン通路170を通って外部に排出されるので、ベルト式無段変速機室70内への異物の侵入を防止することができる。
【0070】
ヒールガイド部材150における伝動ケースカバー36より上方に延設された上壁部152u,162uが、実際のガイド部150uであり、図1に示すように、このガイド部150uは前記ステッププレート15のピリオンステップ部15rの後端が側面視で一部外側から重なり、その上方の凹部19を塞ぐように上方に延出している。
ピリオンステップ部15rに載せられた同乗者の足F(図1において2点鎖線で示す)のヒール部Fhは、凹部19を車体内側から塞ぐガイド部150uによりガイドされる。
【0071】
内燃機関30のクランクケース部の上方に配設されるエアクリーナ25は、本体容器25aの後部が左右に膨出して、左側膨出部から本体容器25aの左側壁に沿って吸入ダクト25bが前方に延出している。
吸入ダクト25bの前端に開口したクリーナ空気吸入口25iは、前記ヒールガイド部材150のガイド部150uの内側に離れて位置し(図3,図4参照)、側面視でガイド部150uと重なる(図2参照)。
【0072】
このように、ヒールガイド部材150のガイド部150uが、エアクリーナ25のクリーナ空気吸入口25iを外側方から隠すので、エアクリーナ25への泥や水その他の異物の侵入を防ぐことができる。
【0073】
内燃機関30のシリンダブロック32およびシリンダヘッド33の周囲を覆う前記シェラウド68は、図2ないし図5に示すように、前端部の矩形開口からシリンダヘッドカバー34を嵌入して前方に突出させており、同矩形開口から上側壁68u、下側壁68d、左側壁68lが、シリンダヘッド33とシリンダブロック32の側面に沿って後方に延出し、右側壁68rはシリンダヘッド33とシリンダブロック32から徐々に離れるように大きく右方に膨出して前記ファンカバー67に連結されている。
【0074】
なお、ファンカバー67は、クランク軸40を中心軸とする環状フレーム67aの周縁の前部がシェラウド68の右側壁68rの後端縁とねじ120により螺着連結され、環状フレーム67aの周縁の前部以外の部分が右ユニットケース31Rの右端縁にボルト121により螺着して固定されるので、ファンカバー67はシェラウド68の延長部材に相当し、右側壁に強制空冷ファン66に対向して冷却風入口67iが設けられている(図5参照)。
【0075】
他方、シェラウド68の左側壁68lには、下半部の後方寄りに冷却風出口68eが開口しており、同冷却風出口68eに排風ダクト69の前端が連結されている。
排風ダクト69は、シェラウド68の左側壁68lの冷却風出口68eから左方に延出した後、後方斜め下向きに屈曲してヒールガイド部材150の下端面に沿って伝動ケースカバー36の凹壁部36aに一部嵌合しながら延出して伝動ケースカバー36の段差36bに至って後端排風口69eが後方斜め下向きに開口している(図2、図3、図4参照)。
【0076】
シリンダブロック32およびシリンダヘッド33を囲繞するシェラウド68は、右側壁68rの後方への延長であるファンカバー67に冷却風入口67iが設けられ、この右側壁68rに対向する左側壁68lに冷却風出口68eが形成されているので、図5を参照して、強制空冷ファン66の回転により冷却風入口67iから吸入された冷却風は、湾曲した右側壁68rにより斜め前方に導かれながらシリンダブロック32とシリンダヘッド33の周りを左方に流れることでシリンダブロック32とシリンダヘッド33を冷却し、冷却した空気は向きを変えることなく、そのまま左側壁68lの冷却風出口68eに流出する。
【0077】
したがって、冷却風はシェラウド68内を冷却風入口67iから冷却風出口68eへ一方向に偏りなく円滑に流れて排風ダクト69から排出されることになり、部分的に滞留することがないため、内燃機関30のシリンダブロック32やシリンダヘッド33など所要部位を満遍なく効率良く冷却するとともに、通路抵抗も小さく冷却風量も多いので、大きな冷却効果を期待することができる。
【0078】
また、図2のパワーユニット10の側面図を参照して、排風ダクト69は、シリンダブロック32のシリンダボアの中心軸であるシリンダ軸線C−Cよりも側面視で下方にある。
図4のパワーユニット10の前面図を参照して、排風ダクト69は、車体幅方向において、エアクリーナ25の略外側(図4で右側)で、かつ伝動ケースカバー36の外側面よりも内側(図4で左側)に位置している。
【0079】
したがって、排風ダクト69は、小型で、シェラウド68の左外側にコンパクトに取り付けられ、ヒールガイド部材150の下端面に沿わせて目立たないように取り付けられているので、外観性が向上している。
【0080】
前記エアクリーナ25のクリーナ空気吸入口25iおよびヒールガイド部材(外気導入ダクト)150の外気導入口154は、ともにシリンダ軸線C−Cよりも側面視で上方の高い位置にある(図2参照)。
【0081】
すなわち、シリンダ軸線C−Cより下方にある排風ダクト69の排風口69eに対してクリーナ空気吸入口25iおよび外気導入口154がシリンダ軸線C−Cより上方の高い位置にあり、かつ両者間にはヒールガイド部材150および伝動ケースカバー36が介在する。
したがって、ヒールガイド部材150の下の排風口69eから排出された温度の高い機関冷却風は、主に伝動ケースカバー36の下面に沿って後方に流れ、伝動ケースカバー36の側面に沿って上昇したとしても、クリーナ空気吸入口25iおよび外気導入口154に、吸い込まれる可能性は低く、吸気温度の上昇およびベルト式無段変速機35の冷却効果の低下を防止できる。
【0082】
また、車体幅方向で、外気導入口154は、クリーナ空気吸入口25iと排風ダクト69の排風口69eとの間に配設されている(図4参照)。
したがって、停車時など排風口69eから排出された機関冷却風が上昇した場合でも、より近い外気導入口154の方に先に導かれ、遠い方のクリーナ空気吸入口25iに至って吸い込まれる可能性は益々低く、吸気温度の上昇を防止できる。
【0083】
さらに、ヒールガイド部材(外気導入ダクト)150とクリーナ空気吸入口25iは、側面視で重なるように配置されるので、ガイド部150uが外側からガイドして排風口69eから排出された機関冷却風がクリーナ空気吸入口25iに吸い込まれることが確実に防止して、より一層吸気温度の上昇を回避することができるとともに、泥や水その他の異物のクリーナ空気吸入口への侵入も防止することができる。
【0084】
以上のようにヒールガイド部材150は、外気導入ダクトを兼ねる構造なので、車体カバー15,17の左側後端縁の凹部19をガイド部150uが内側から塞ぐようにして同乗者のピリオンステップ部15rに載せた足FのヒールFhをガイドするとともに、ベルト式無段変速機35を冷却する外気の導入を行うことができ、部品点数および組付工数を削減してコストの低減を図ることができる。
【0085】
ヒールガイド部材150の伝動ケースカバー36に取付けられた取付部より上方に延出したガイド部150uに外気導入口154があり、かつ外気導入口154はガイド部150uの車体幅方向中央側に開口しているので、泥や水の吸い込みをより効果的に防止することができる。
【0086】
また、外気導入口154のあるガイド部150uは、側面視(図1参照)でボディカバー17の下方の凹部19に位置して外部に露出しているので、加熱されていない比較的温度の低い外気を取り込むことが可能で、ベルト式無段変速機35の冷却効果を高めることができる。
【0087】
ヒールガイド部材150の外気通路160には、外気導入口154より下方でケース吸風口36cの上方を覆う突条156,166と突条157,167が形成され、突条156,166がケース吸風口の側方を下方へ延出してドレン通路170を構成するので、泥や水がヒールガイド部材150の外気通路160に侵入しても、外気通路160に形成された突条156,166により簡単に構成されたドレン通路160に案内されて外部に排出することができ、ベルト式無断変速室70への異物の侵入を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の一実施の形態に係るスクータ型自動二輪車の全体側面図である。
【図2】該スクータ型自動二輪車のパワーユニットの側面図である。
【図3】同平面図である。
【図4】同前面図である。
【図5】図2におけるV−V線に沿って截断した断面図である。
【図6】図5におけるVI−VI線に沿って截断した断面図である。
【図7】図2におけるVII−VII線に沿って截断した断面図である。
【図8】伝動ケースカバーの側面図である。
【図9】ヒールガイド部材の内壁部材の左側面図である。
【図10】同右側面図である。
【図11】図10におけるVII−VII線に沿って截断した断面図である。
【図12】ヒールガイド部材の外壁カバー部材の左側面図である。
【図13】同右側面図である。
【図14】図13におけるXIV−XIV線に沿って截断した断面図である。
【図15】内壁部材と外壁カバー部材とを合体したヒールガイド部材の右側面図である。
【図16】図15におけるXV−XV線に沿って截断した断面図である。
【符号の説明】
【0089】
10…パワーユニット、15…ステッププレート、15r…ピリオンステップ部、17…ボディカバー、19…凹部、25…エアクリーナ、25i…クリーナ空気吸入口、30…内燃機関、31…ユニットケース、36…伝動ケースカバー、36c…ケース吸風口、36d…ケース排風ダクト、118 …冷却ファン、119 …排風ダクト、
150…ヒールガイド部材(外気導入ダクト)、150u…ガイド部、151…内壁部材、152…内壁、153…周壁、154…外気導入口、155…ルーバ、156…突条、157…突条、160…外気通路、161…外壁カバー部材、162…外壁、163…周壁、166…突条、167…突条、170…ドレン通路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、同内燃機関から後方に延設される動力伝達機構と、同動力伝達機構の後部に軸支される後輪とが一体に揺動自在に車体フレームに支持される自動二輪車のスイング式のパワーユニットにおいて、
車体側方にピリオンステップが突設され、
前記動力伝達機構の側方を覆う伝動ケースカバーの前部に側方から重ねられるようにしてヒールガイド部材が取付けられ、
前記ヒールガイド部材の延出したガイド部が前記ピリオンステップの近傍で車体幅方向中央側に設けられ、
前記ヒールガイド部材に重ねられる前記伝動ケースカバーの前部にケース吸風口が形成され、
前記ヒールガイド部材は、前記伝動ケースカバーより延設されたガイド部に外気導入口が形成されるとともに、同外気導入口から前記ケース吸風口まで外気通路が形成されることを特徴とするパワーユニット。
【請求項2】
前記ヒールガイド部材のガイド部は、前記伝動ケースカバーより上方に延設され、側面視でボディカバーの下方に位置し、
前記外気導入口は、前記ガイド部の車体幅方向中央側に開口していることを特徴とする請求項1記載のパワーユニット。
【請求項3】
前記ヒールガイド部材のガイド部が、エアクリーナのエア吸入口を外側方から隠すことを特徴とする請求項1または請求項2記載のパワーユニット。
【請求項4】
前記ヒールガイド部材の外気通路には、前記外気導入口より下方で前記ケース吸風口の上方を覆う突条が少なくとも1本形成され、
前記突条の少なくとも1本が前記ケース吸風口の側方を下方へ延出してドレン通路を構成することを特徴とする請求項2または請求項3記載のパワーユニット。
【請求項1】
内燃機関と、同内燃機関から後方に延設される動力伝達機構と、同動力伝達機構の後部に軸支される後輪とが一体に揺動自在に車体フレームに支持される自動二輪車のスイング式のパワーユニットにおいて、
車体側方にピリオンステップが突設され、
前記動力伝達機構の側方を覆う伝動ケースカバーの前部に側方から重ねられるようにしてヒールガイド部材が取付けられ、
前記ヒールガイド部材の延出したガイド部が前記ピリオンステップの近傍で車体幅方向中央側に設けられ、
前記ヒールガイド部材に重ねられる前記伝動ケースカバーの前部にケース吸風口が形成され、
前記ヒールガイド部材は、前記伝動ケースカバーより延設されたガイド部に外気導入口が形成されるとともに、同外気導入口から前記ケース吸風口まで外気通路が形成されることを特徴とするパワーユニット。
【請求項2】
前記ヒールガイド部材のガイド部は、前記伝動ケースカバーより上方に延設され、側面視でボディカバーの下方に位置し、
前記外気導入口は、前記ガイド部の車体幅方向中央側に開口していることを特徴とする請求項1記載のパワーユニット。
【請求項3】
前記ヒールガイド部材のガイド部が、エアクリーナのエア吸入口を外側方から隠すことを特徴とする請求項1または請求項2記載のパワーユニット。
【請求項4】
前記ヒールガイド部材の外気通路には、前記外気導入口より下方で前記ケース吸風口の上方を覆う突条が少なくとも1本形成され、
前記突条の少なくとも1本が前記ケース吸風口の側方を下方へ延出してドレン通路を構成することを特徴とする請求項2または請求項3記載のパワーユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
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【図6】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−195245(P2008−195245A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−32761(P2007−32761)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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