説明

パン生地の結び成形方法、結びパンの製造方法、パン生地結び成形装置および結びパン生地の製造装置

【課題】 棒状のパン生地を自動的に結び、結びパン生地を成形する。
【解決手段】 棒状パン生地の準備工程と、該棒状パン生地の結び工程とを有するパン生地の結び成形方法であって、前記結び工程は、棒状パン生地のほぼ中央部を係止する係止工程と、そのパン生地の一端側を保持する工程と、その状態で棒状パン生地の他端側を把持し、係止点を支点として回し、棒状パン生地の一端側と交差させてリング状部を形成する工程と、棒状パン生地の一端側を持ち上げてリング状部上に載置する工程と、リング状部に載置されている棒状パン生地の一端側をリング状部内に押し込み、棒状パン生地の一端側をリング状部を通過させる工程とを有するパン生地の結び成形方法、結びパンの製造方法、パン生地結び成形装置およびパン生地の製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、棒状パン生地を機械で自動的に結んで結びパン生地を成形、製造するパン生地の結び成形方法、結びパンの製造方法、パン生地結び成形装置および結びパン生地の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、結んだ形状のパン生地を作る作業は、紐を結ぶように棒状のパン生地の両端を手で持って、一端を掴み他端を回してリングを作り、一端をリングの上に載せて、その一端を指先でリングの中に押し込んで結び目を作ることが手作業により行われている。
従来、パン生地を機械で自動的に巻くようにしたものとして、先端が太く後端に向かうに従い細くなる略テーパー状をしたロール生地を、展圧装置で平たく展延した後巻き付け装置によって先端部から巻き付けることによって略卵形に成形するロール生地巻き付け方法とその装置が提案されている(特許文献1参照)。
また、一個分のパン生地からプレーツェルを機械的に製造する製造方法において、棒状のパン生地の先端部分を一対のつまみによってつかみ、台の上で並進的および回転的な運動を行いながらその一対のつまみ及び台の間、または台に対して主に垂直に立っている軸の回りに360°の相対運動を行うことによってプレーツェル形に結び、つまみを棒状のパン生地の先端部分をプレーツェルの中央部分に押しつけ、そして、結び終わったプレーツェルを台からコンベアーに引き渡すというプレーツェルを機械的に製造する方法及び装置が提案されている(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平9−140号公報。
【特許文献2】特表平7−500018号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、前記したロール生地巻き付け方法、プレーツェルを機械的に製造する方法及び装置が提案されているが、機械で棒状パン生地をリングとしてその中央に一端を押し込んで自動的に結ぶようにしたものはなく、また、前記した手作業ではパン生地を結んだ形に作るために時間を要し、できた製品が不揃いであり、多数個の棒状パン生地を結ぶ作業に多くの人員を要し、人件費の増大を招き、問題となっていた。
この発明は、前記した問題点を解決できるようにしたもので、棒状のパン生地をリングとしてその中央に一端を入れて自動的に結び成形するパン生地の結び成形方法、結びパンの製造方法、パン生地結び成形装置および結びパン生地の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1のパン生地の結び成形方法は、棒状パン生地を準備する工程と、該棒状パン生地を結ぶ結び工程とを有するパン生地の結び成形方法であって、
前記結び工程は、棒状パン生地のほぼ中央部にて係止する係止工程と、該係止工程において係止された状態の前記パン生地の一端側を保持する工程と、該一端側を保持した状態にて前記棒状パン生地の他端側を把持し、前記係止工程における係止点を支点として回し、前記棒状パン生地の一端側と交差させてリング状部を形成するリング状部形成工程と、前記棒状パン生地の一端側を持ち上げて前記リング状部上に載置する載置工程と、該載置工程によりリング状部に載置された前記棒状パン生地の一端側をリング状部内に押し込み、前記棒状パン生地の前記一端側を前記リング状部を通過させる工程とを有することを特徴とする。
【0006】
上記のように構成した発明とすることにより、準備した棒状パン生地を係止工程でほぼ中央部にて係止点で係止し、保持工程で係止された状態の前記パン生地の一端側を保持し、リング状部形成工程で該一端側を保持した状態にて前記棒状パン生地の他端側を把持し、前記係止点を支点として回し、前記棒状パン生地の一端側と交差させてリング状部を形成し、載置工程で前記棒状パン生地の一端側を持ち上げて前記リング状部上に載置し、押し込み通過させる工程で該リング状部に載置されている前記棒状パン生地の一端側をリング状部内に押し込み、前記棒状パン生地の前記一端側を前記リング状部を通過させてパン生地を自動的に結ぶことができる。
【0007】
請求項2のパン生地の結び成形方法は、棒状パン生地を準備する工程と、該棒状パン生地を搬送方向に対してほぼ直交する状態にて搬送しかつ搬送途中において棒状パン生地を結ぶ結び工程とを有するパン生地の結び成形方法であって、
前記結び工程は、ほぼ直交する状態にて搬送される棒状パン生地のほぼ中央部にて受け止める受け止め工程と、該受け止め工程において受け止められた状態の前記パン生地の一端側を保持する工程と、該一端側を保持した状態にて前記棒状パン生地の他端側を把持し、前記受け止め工程における受け止め点を支点として回し、前記棒状パン生地の一端側と交差させてリング状部を形成するリング状部形成工程と、前記棒状パン生地の一端側を持ち上げて前記リング状部上に載置する載置工程と、該載置工程によりリング状部に載置され前記棒状パン生地の一端側をリング状部内に押し込み、前記棒状パン生地の前記一端側を前記リング状部を通過させる工程と、該リング状部の通過工程とともに前記受け止めを解除する工程とを有することを特徴とする。
【0008】
上記のように構成した発明とすることにより、準備した棒状パン生地を搬送方向に対してほぼ直交する状態にて搬送し、受け止め工程で搬送される棒状パン生地をほぼ中央部にて受け止め、保持工程で受け止められた状態の前記パン生地の一端側を保持し、リング状部形成工程で該一端側を保持した状態にて前記棒状パン生地の他端側を把持し、前記受け止め部を支点として回し、前記棒状パン生地の一端側と交差させてリング状部を形成し、載置工程で前記棒状パン生地の一端側を持ち上げて前記リング状部上に載置し、押し込み通過させる工程で該リング状部に載置されている前記棒状パン生地の一端側をリング状部内に押し込み、前記棒状パン生地の前記一端側を前記リング状部を通過させ、該リング状部の通過させるとともに前記受け止め解除工程で、受け止めを解除してパン生地を自動的に結び、出来た結びパン生地を搬送できる。
【0009】
請求項3の発明の結びパンの製造方法は、前記請求項1または2のパン生地の結び成形方法を行った後、該結びパン生地を発酵させる発酵工程と、該発酵工程により発酵された結びパン生地を焼成する焼成工程とを行うことを特徴とする。
上記のように構成した発明とすることにより、前記したパン生地の結び成形方法で成形したパン生地を発酵工程で発酵させ、焼成工程で焼成することにより結びパンを製造できる。
【0010】
請求項4のパン生地結び成形装置は、棒状パン生地を上面に載置可能な生地載置部と、該生地載置部の前記上面に対して出没可能に備えられ、前記棒状パン生地のほぼ中央部を係止可能かつ周面に該棒状パン生地を巻き付け可能かつ内部に該棒状パン生地の一端部を挿入可能である筒状部材と、該筒状部材を生地載置部の前記上面に対して出没可能に昇降させるための筒状部材昇降手段と、前記筒状部材にて係止される前記棒状パン生地の一端部を把持する一端部把持手段と、前記筒状部材にて係止される前記棒状パン生地の他端部を把持する他端部把持手段と、前記筒状部材の外周面に前記棒状パン生地を巻き付けさせるとともに前記棒状パン生地の前記他端部が前記棒状パン生地の前記一端部と交差するように前記他端部把持手段を移動させる他端部把持部移動手段と、前記一端部把持手段により把持される前記棒状パン生地の一端部を前記筒状部材の上部開口部上に載置させるために前記一端部把持部を移動させる一端部把持部移動手段と、前記筒状部材の上部開口部上に載置される前記棒状パン生地の一端部を前記筒状部材内に押し込むための押し込み手段とを有することを特徴とする。
【0011】
上記のように構成した発明とすることにより、棒状パン生地を筒状部材でほぼ中央部にて係止された状態で、パン生地の一端側を一端部把持手段で保持し、該一端側を保持した状態にて前記棒状パン生地の他端側を他端部把持手段で把持し、他端部把持部移動手段で前記筒状部材を支点として回し、前記棒状パン生地の一端側と交差させてリング状部を形成し、一端部把持部移動手段で前記棒状パン生地の一端側を持ち上げて前記リング状部上に載置し、押し込み手段で該リング状部に載置されている前記棒状パン生地の一端側をリング状部内に押し込み、前記棒状パン生地の前記一端側を前記リング状部を通過させてパン生地を自動的に結ぶ。
【0012】
請求項5のパン生地結び成形装置は、棒状パン生地を搬送方向に対してほぼ直交する状態にて搬送する搬送手段と、該搬送手段のほぼ中央に筒状部材を昇降させる開口を有し、かつ棒状パン生地を上面に載せる生地載置板と、該生地載置板の前記上面に対して出没可能に備えられ、前記棒状パン生地のほぼ中央部を受け止め可能かつ周面に該棒状パン生地を巻き付け可能かつ内部に該棒状パン生地の一端部を挿入可能である前記筒状部材と、該筒状部材を前記開口を通じて生地載置板の前記上面に対して出没可能に昇降させるための筒状部材昇降手段と、前記筒状部材にて受け止められる前記棒状パン生地の一端部を把持する一端部把持手段と、前記筒状部材にて受け止められる前記棒状パン生地の他端部を把持する他端部把持手段と、前記筒状部材の外周面に前記棒状パン生地を巻き付けさせるとともに前記棒状パン生地の前記他端部が前記棒状パン生地の前記一端部と交差するように前記他端部把持手段を移動させる他端部把持部移動手段と、前記一端部把持手段により把持される前記棒状パン生地の一端部を前記筒状部材の上部開口部上に載置させるために前記一端部把持部を移動させる一端部把持部移動手段と、前記筒状部材の上部開口部上に載置される前記棒状パン生地の一端部を前記筒状部材内に押し込むための押し込み手段とを有することを特徴とする。
【0013】
上記のように構成した発明とすることにより、搬送される棒状パン生地を筒状部材でほぼ中央部にて受け止められた状態で、パン生地の一端側を一端部把持手段で保持し、該一端側を保持した状態にて前記棒状パン生地の他端側を他端部把持手段で把持し、他端部把持部移動手段で前記筒状部材を支点として回し、前記棒状パン生地の一端側と交差させてリング状部を形成し、一端部把持部移動手段で前記棒状パン生地の一端側を持ち上げて前記リング状部上に載置し、押し込み手段で該リング状部に載置されている前記棒状パン生地の一端側をリング状部内に押し込むとともに筒状部材を降下させて抜き取り、前記棒状パン生地の前記一端側を前記リング状部を通過させてパン生地を自動的に結ぶ。
【0014】
請求項6の発明は 前記筒状部材は、周面に棒状パン生地を巻き付け可能かつ内部にパン生地の端部を挿入しうる長方形、円形または楕円形等の筒体とするのが好ましい。
請求項7の発明は、前記筒状部材は、その上部開口の生地を入れる側を凹状とするのが好ましい。
かかる構成とすることにより、筒状部材を長方形、円形または楕円形等の筒体とすれば、パン生地のリングを形成でき、生地端部をその内部に押し込みでき、しかも、上部開口の生地を入れる側を凹状とすれば、生地の端部を内部に入れやすい。
【0015】
請求項8の発明は、前記一端部把持手段は、前記筒状部材で受け止めた棒状パン生地の一端部を下面側より保持する生地押し上げ部材と、該生地押し上げ部材に対して近接および離間可能に備えられ、パン生地の上面側を押さえる押さえ部材とを備えるものである。
請求項9の発明は、前記生地押し上げ部材は、前記棒状パン生地と接触する部分の全部もしくは一部に設けられた滑り止め部材を有するものである
請求項10の発明は、前記生地押し上げ部材には、前記筒状部材の幅より若干広い間隔を有する一対の生地押さえ突片が設けられることが好ましい。
かかる構成とすることにより、生地押し上げ部材と押さえ部材で確実に把持することができる。また生地押し上げ部材の棒状パン生地と接触する部分の全部もしくは一部にに滑り止め部材を備えて、生地を反転する際に生地が滑ることなく確実に筒状部材の上面に載せることができる。さらに、生地受け部に一対の生地押さえ突片を設けることにより、生地端部を反転する際に押さえながら正確に筒状部材の上面に載せる。
【0016】
請求項11の発明は、前記一端部把持部移動手段は、生地押し上げ部材を起倒する生地押し上げ部材起倒手段と、該生地押し上げ部材を筒状部材の上部開口部上に反転させる生地押し上げ部材回転手段とを備えている。
かかる構成とすることにより、一端部把持部移動手段で、生地を反転位置まで持ち上げ、筒状部材側に反転させ、生地端部を筒状部材の上面に正確に載せることができる。
【0017】
請求項12の発明は、前記他端部把持手段は、前記パン生地の他端部の把持および開放を行うためのチャック部材を備える。
請求項13の発明は、前記他端部把持手段のチャック部材は、対向面に設けられた滑り止め部材を有することが好ましい。
請求項14の発明は、前記他端部把持部移動手段は、該他端部把持手段を昇降させるための把持部昇降手段と、該他端部把持手段を回転させるための把持部回転手段とを備えている。
かかる構成とすることにより、他端部把持手段のチャック部材を閉じて生地を保持し、解除時に離反させて生地を離すことができ、しかもそのチャック部材に滑り止めを設けて、生地が滑るのを防ぐことができる。
他端部把持部移動手段で、チャック部材を筒状部材の回りに回しつつ上昇させ、生地を巻き付け、引張ってリング状部を形成する。
【0018】
請求項15の発明は、前記押し込み手段は、前記筒状部材の内部に侵入可能なパン生地を押し込み部を備えている。
請求項16の発明は、前記押し込み手段は、前記押し込み部と、該押し込み部を付着防止用粉容器と前記筒状部材間を移動させるための移動手段と、前記容器および前記筒状部材の配置位置にて、前記押し込み部を昇降させるための昇降手段とを備えるものである。
かかる構成とすることにより、押し込み手段の押し込み部を付着防止用粉容器で粉を付け、この押し込み部を筒状部材の上に載せたパン生地の上からリング状部の中に押し込み通過させ、パン生地を確実に結ぶことができる。粉を付けることによりパン生地に付着するのを防ぐことができる。
【0019】
請求項17の発明は、前記生地載置板は、その一端が搬送手段の下流側基台の支軸を支点として支持され、その他端は起倒させるための生地載置板起倒手段を備えたものとする。かかる構成とすることにより、生地載置板を押し上げ傾倒させてパン生地結び成形装置で成形したパン生地を放出することができる。
【0020】
請求項18の結びパン生地の製造装置は、長さ方向を搬送方向と直交するように載せて棒状パン生地を搬送する第1の搬送手段と、請求項5ないし17のいずれかに記載のパン生地結び成形装置と、該パン生地結び成形装置で成形された結びパン生地を搬送する第2の搬送手段と、を備えたことを特徴とする。
上記のように構成した発明とすることにより、搬送手段で搬送する棒状パン生地をパン生地結び成形装置で結び成形し、成形したパン生地を生地載置板を押し上げて跳ね出して搬送して自動的に結びパン生地を製造することができる。
請求項19の結びパン生地の製造装置は、前記搬送手段は、複数本の線状ベルトを任意の間隔をおいて配列したコンベアーとするのが好ましい。搬送手段を複数本の線状ベルトとすることにより、棒状パン生地がベルトに付着せずに、円滑に搬送することができる。
【0021】
請求項20の結びパン生地の製造装置は、前記搬送手段により前記パン生地結び成形装置に搬送される棒状パン生地を検知する検知手段と、該検知手段による検知信号に基づき前記パン生地結び成形装置の作動を制御する制御部とを備えている。
かかる構成とすることにより検知手段で棒状パン生地を検知すると検知手段による検知信号に基づき制御部で前記パン生地結び成形装置の作動を制御され搬送手段、パン生地結び成形装置および前記生地載置板が自動的に順に作動されて棒状パン生地を結んで、結びパン生地を成形して搬送手段で送り出すことができる。
【0022】
請求項21の結びパン生地の製造装置は、棒状パン生地が前記パン生地結び成形装置に対して所定範囲位置となった状態にて搬送されるようにするための前記搬送手段上への棒状パン生地配置手段を備えるものである。かかる構成とすることにより、棒状パン生地配置手段で棒状パン生地の位置をパン生地結び成形装置に対して所定範囲位置に調整して搬送され、パン生地結び成形装置に正確に搬送して的確に結び成形することができる。
請求項22の結びパン生地の製造装置は、前記棒状パン生地配置手段は、棒状パン生地を放出可能に収納する棒状パン生地収納手段と、該棒状パン生地収納部に収納された棒状パン生地の位置を検出するための位置検出手段と、該位置検出手段による検出信号に基づき前記棒状パン生地収納部を前記搬送手段上の適宜位置に移動させるための収納部移動手段とを備え、前記棒状パン生地収納手段は、前記収納部移動手段による移動後に収納する棒状パン生地を放出する機能を備えている。
かかる構成とすることにより、搬送される棒状パン生地が棒状パン生地収納手段内に収納されて位置検出手段で検出すると、位置検出手段による検出信号に基づき棒状パン生地収納部を移動させ、移動後棒状パン生地を放出するので、パン生地の位置を自動調節して搬送手段に載せるので、正確にパン生地結び成形装置に送ることができる。
【発明の効果】
【0023】
この発明のパン生地の結び成形方法によれば、準備した棒状パン生地を係止工程で係止点で係止し、柔らかいパン生地であるにもかかわらず、係止された状態のパン生地を結び工程で自動的に結び成形でき、量産可能で品質の安定と生産性の向上、省力化ができる。
【0024】
この発明のパン生地の結び成形方法によれば、準備した棒状パン生地を搬送手段で送り、搬送される棒状パン生地を受け止め工程で受け止め点で受け止め、柔らかいパン生地であるにもかかわらず、受け止められた状態のパン生地を結び工程で自動的に結び成形でき、出来た結びパン生地を搬送でき、量産可能で品質の安定と生産性の向上、省力化ができる。
また、この発明の結びパンの製造方法によれば結びパン生地を成形後、発酵させ焼成工程で焼成して結びパンを自動的に製造できる。
【0025】
この発明のパン生地結び成形装置によれば、筒状部材で係止されたパン生地の一端側を一端部把持手段で保持し、他端側を他端部把持手段で把持し、把持した他端側を他端部把持部移動手段で筒状部材を支点として回し、前記棒状パン生地の一端側と交差させてリング状部を形成でき、一端部把持部移動手段で前記棒状パン生地の一端側を持ち上げて前記リング状部上に載置し、押し込み手段で棒状パン生地の一端側をリング状部内に押し込み通過させてパン生地を自動的に結び成形でき、量産可能で品質の安定と生産性の向上ができる。
【0026】
この発明のパン生地結び成形装置によれば、搬送される棒状パン生地を筒状部材で受け止め、パン生地の一端側を一端部把持手段で保持し、他端側を他端部把持手段で把持し、把持した他端側を他端部把持部移動手段で筒状部材を支点として回し、前記棒状パン生地の一端側と交差させてリング状部を形成でき、一端部把持部移動手段で前記棒状パン生地の一端側を持ち上げて前記リング状部上に載置し、押し込み手段で棒状パン生地の一端側をリング状部内に押し込み通過させ、かつ筒状部材を降下させて抜き取り、パン生地を自動的に結び成形でき、量産可能で品質の安定と生産性の向上ができる。
【0027】
この発明の結びパン生地の製造装置によれば、搬送手段で棒状パン生地を搬送して前記したパン生地結び成形装置でその棒状パン生地を結び成形し、成形したパン生地を搬送手段に移して搬送して自動的に結びパン生地を製造することができる。搬送手段に備えた棒状パン生地配置手段で棒状パン生地をパン生地結び成形装置に対して所定の範囲の位置にしてパン生地結び成形装置に送り、パン生地の結び動作を正確にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
この発明のパン生地の結び成形方法、結びパンの製造方法、パン生地結び成形装置および結びパン生地の製造装置を図に示す最良の実施形態に基づいて説明する。図1はこの発明の結びパン生地の製造装置を示す全体の概略正面図、図2は同平面図、図3はパン生地結び成形装置を示す正面図、図4は同平面図、図5は同側面図、図6は棒状パン生地配置手段の側面図、図7は棒状パン生地を筒状部材で受け止める状態の斜視図、図8は棒状パン生地の一側を生地押し上げ部材と押さえ部材で把持し、他端部把持手段で生地を筒状部材に巻回した状態の斜視図、図9は同生地押し上げ部材と押さえ部材を把持状態のまま持ち上げた状態の斜視図、図10は押さえ部材の押さえを解除し、生地押し上げ部材を反転させた状態の斜視図、図11は押し込み部材で生地端部を筒状部材に押し込んだ状態の斜視図、図12は筒状部材を降下し、押し込み部材を戻し、成形した結びパン生地を成形した状態の斜視図、図13は生地載置板を押し上げて成形した結びパン生地を送り出す状態の斜視図、図14は結びパン生地を示す斜視図である。
【0029】
図1および図2において、この発明の結びパン生地の製造装置を説明する。
P1は棒状パン生地で、準備工程において結びパン生地を作るために予め所定の長さと太さの棒状に手作業、或いは機械で成形される。P2は、パン生地結び成形装置でリング状に成形されたパン生地である。P3は、パン生地結び成形装置で結び成形された結びパン生地である。
1は棒状パン生地P1、結び成形されたパン生地P3を搬送するための搬送手段で、長さ方向を搬送方向と直交するように載せて棒状パン生地を搬送する第1の搬送手段と、パン生地結び成形装置で成形された結びパン生地を搬送する第2の搬送手段とが備えられている。
実施例では、搬送手段として、基台2にベルトコンベアーが備えられ、準備工程で成形された棒状パン生地P1を供給するコンベアーV1、該コンベアーで送られる棒状パン生地P1を位置を調整して配置してパン生地結び成形装置15へ搬入する第1の搬送手段のコンベアーV2、前記コンベアーV2のパン生地結び成形装置15の下流側中央部に、生地載置部6、または生地載置板8上で成形した結びパン生地P3を送り出す第2の搬送手段のコンベアーV2’が設置されている。コンベアーV2もコンベアーV2’と同一方向に駆動されていて、成形した結びパン生地P3を送り出す際に、一部が載ることがある。14はコンベアーV2、V2’を駆動するための駆動側ローラである。コンベアーV2、V2’はパン生地結び成形装置15における結び成形動作中は停止され、成形終了後は駆動される。
前記コンベアーは、柔らかい発酵させたパン生地が搬送時にベルトに付着しないようにするために複数本の線状ベルト3が任意の間隔をおいて配列され、その上に長さ方向を搬送方向と直交するように載せられている。搬送手段を複数本の線状ベルトとすることにより、生地とベルトの接触面積を少なくして付着しないで円滑に搬送することができる。実施例では、10数本の線状ベルト3が筒状部材の両側に配列されている。前記ベルトコンベアーは複数の線状ベルトとしたが、これに限るものでなく、例えば幅の狭い複数の帯状ベルト等とすることもできる。
【0030】
この発明の結びパン生地の製造装置は、長さ方向を搬送方向と直交するように棒状パン生地P1を載せて搬入する搬送手段1のコンベアーV2と、該搬送手段1の中間の生地載置部に設けるパン生地結び成形装置15と、該パン生地結び成形装置15で成形された結びパン生地P3を搬出する搬送手段1のコンベアーV2’とが備えられている。
パン生地結び成形装置15は、棒状パン生地を搬送加工する平面上において、棒状パン生地をリング状に形成するとともに、該パン生地の一端をリング状としたパン生地P2の中心部に持ち上げ、その後その一端をリング状としたパン生地の中心部に押入して通過させて結びを成形するものである。
【0031】
搬送手段1の基板2には、略中央に筒状部材16を昇降しうる開口部4を有し、周囲に生地を載せる板面5を有する生地載置部6が設けられる。7は基板2に設けられ、生地載置板8を収容する開口部であり、7’はその開口部7の側方に後述の生地押し上げ部材19のパン生地受け部19bを位置させるための開口部である。
生地載置部6として、基板2の開口部7に搬送手段1とほぼ同一平面にあって搬送手段の下流側の基板2に備えた支軸10を支点として他端側を生地載置板起倒手段11で昇降可能とした生地載置板8が設けられる。生地載置板8は、合成樹脂製、金属製の板体で、略中央に筒状部材16を昇降するためのほぼ四角形の開口4を有し、周囲に筒状部材16に巻く棒状パン生地を載せる板面5を有する。この生地載置板8を傾倒する構造として、生地載置板8の下流側が基板2に固定した支持部9に軸10に枢支されるとともに上流側下面には起倒させるための生地載置板起倒手段11が備えられる。生地載置板起倒手段11として、搬送手段1の下方にシリンダーが設置され、該シリンダーによる進退動作で生地載置板8が支軸10を支点として任意の角度起倒可能に備えられ、生地載置板の上流側が搬送手段1より上方へ出没可能とされている。生地載置板8の傾斜角度は、生地載置板8を押し上げ時、成形した結びパン生地を跳ね上げ、滑り落とさせてベルトコンベアーに移すことができる角度とする。
生地載置板8には、上面にベルト3を通してあるために、上流側の両側に該板を起き上げる際に該板上を通るベルトが邪魔にならないようにベルトが入りうる凹溝12が設けられ、ベルトが上を通るにかかわらず生地載置板8を所定角度まで起き上げさせ、該板上の結びパン生地P3を放出しうるようにする。この生地載置板8が上昇するとき、ベルトの余裕を利用してベルトが若干持ち上げられる。なお、生地載置板8にベルトがかからないように設ければ、ベルト間で生地載置板を起倒可能に備えることもできる。
前記した実施形態では、生地載置板を一端を支点として昇降できる場合で説明したが、これに限られるものではなく、生地載置部、或いは生地載置板で成形した結びパン生地P3を他の手段で搬送ベルトに載せて送り出すこともできる。
【0032】
13は、前記搬送手段により前記パン生地結び成形装置15に搬送される棒状パン生地を検知する検知手段で、該検知手段はこの検知手段による検知信号に基づき前記パン生地結び成形装置の作動を制御する制御部と接続されている。検知手段13は前記搬送手段1の筒状部材16の上流位置の上方の機枠に備えられ、ベルト上を搬送される棒状パン生地P1の通過を赤外線で検知させる。
前記検知手段で棒状パン生地を検知すると検知手段による検知信号に基づき制御部で前記パン生地結び成形装置の作動を制御され、パン生地結び成形装置が自動的に順に作動されて棒状パン生地を結んで、結びパン生地を成形される。
実施形態では、該検知手段の検知時予め設定した時限制御プログラムに従って、搬送手段の停止又は作動、生地押し上げ部材、押さえ部材、チャック部材、押し込み部材、筒状部材の昇降等を順次作動させて棒状パン生地を結ぶ動作をさせ、成形した結びパン生地を送り出す。
【0033】
この発明のパン生地結び成形装置15は、棒状パン生地P1を上面に載置可能な生地載置部6と、該生地載置部の前記上面に対して出没可能に備えられ、前記棒状パン生地のほぼ中央部を係止可能かつ周面に該棒状パン生地を巻き付け可能かつ内部に該棒状パン生地の一端部を挿入可能である筒状部材16と、該筒状部材を生地載置部の前記上面に対して出没可能に昇降させるための筒状部材昇降手段17とを有する。そして、前記筒状部材16にて係止される前記棒状パン生地を結ぶために、その一端部を把持する一端部把持手段18と、前記筒状部材にて係止される前記棒状パン生地P1の他端部を把持する他端部把持手段40と、該一端部把持手段により把持される前記棒状パン生地の一端部を前記筒状部材の上部開口部上に載置させるために前記一端部把持部を移動させる一端部把持部移動手段20と、前記筒状部材の外周面に前記棒状パン生地を巻き付けさせるとともに前記棒状パン生地の前記他端部が前記棒状パン生地の前記一端部と交差するように前記他端部把持手段を移動させる他端部把持部移動手段44と、前記筒状部材の上部開口部上に載置される前記棒状パン生地の一端部を前記筒状部材内に押し込むための押し込み手段50とを有する。
【0034】
図1ないし図5において、この発明のパン生地結び成形装置について説明する。
この発明のパン生地結び成形装置15は、棒状パン生地P1を搬送方向に対してほぼ直交する状態にて搬送する搬送手段1と、該搬送手段のほぼ中央に筒状部材を昇降させる開口を有し、かつ棒状パン生地を上面に載せる生地載置板8と、該生地載置板の前記上面に対して出没可能に備えられ、前記棒状パン生地のほぼ中央部を受け止め可能かつ周面に該棒状パン生地を巻き付け可能かつ内部に該棒状パン生地の一端部を挿入可能である前記筒状部材16と、該筒状部材を前記開口を通じて生地載置板の前記上面に対して出没可能に昇降させるための筒状部材昇降手段17と、前記筒状部材にて受け止められる前記棒状パン生地の一端部を把持する一端部把持手段18と、前記筒状部材にて受け止められる前記棒状パン生地の他端部を把持する他端部把持手段40と、該一端部把持手段により把持される前記棒状パン生地の一端部を前記筒状部材の上部開口部上に載置させるために前記一端部把持部を移動させる一端部把持部移動手段20と、前記筒状部材の外周面に前記棒状パン生地を巻き付けさせるとともに前記棒状パン生地の前記他端部が前記棒状パン生地の前記一端部と交差するように前記他端部把持手段を移動させる他端部把持部移動手段44と、前記筒状部材の上部開口部上に載置される前記棒状パン生地の一端部を前記筒状部材内に押し込むための押し込み手段50とを有する。
【0035】
パン生地結び成形装置15に設ける筒状部材16は、合成樹脂製、金属製等の材質で、周面に棒状パン生地P1を巻き付け可能かつ内部にパン生地の端部を挿入しうる長方形、円形、または楕円形など適宜形状の筒体で、前記生地載置部6に対して筒状部材昇降手段17で昇降可能に備えられている。而して、搬送手段1で搬入される棒状パン生地P1を周面で受け止め、その受け止めた生地の一端部を一端部把持手段で押さえ、その他側部を他端部把持手段で持ち上げつつその周面に巻き付けてリング状に形成し、さらに一端部を一端部把持手段で持ち上げて筒状部材の内部に挿入するものである。筒状部材16は角部に丸みを付けある。前記筒状部材の形状は前記の形状に限るものでなく、例えば多角形等でもよい。前記筒状部材16は、高さを少なくとも棒状パン生地P1の外径より高くし、また内部は生地の外径より大きい内径として、かつその深さは生地端部を挿入してリングに通過させる深さとする。この筒状部材16の上部開口の生地を入れる側には凹状の入り口16aが形成され、生地の端部を入れやすくしておくのが好ましい。該筒状部材16を昇降する構造は、その底面部に筒状部材昇降手段17としてシリンダーが設けられる。実施形態では、前記生地載置板8が搬送ベルトとほぼ同一平面状態にあるときであって、結び成形を行う時は、筒状部材16を搬送ベルト3の上面の棒状パン生地P1を受け止める位置まで上昇させ、結び成形を終了して結び生地P3より筒状部材を抜くときには、筒状部材の上面をベルト3より下方位置まで降下させる。
【0036】
前記一端部把持手段18は、前記筒状部材16にて係止される前記棒状パン生地の一端部を把持するものである。実施形態では、一端部把持手段18は、前記筒状部材16で受け止めた棒状パン生地の一端部を下面側より保持する生地押し上げ部材19と、該生地押し上げ部材に対して近接および離間可能に備えられ、パン生地の上面側を押さえる押さえ部材30とを備え、生地押し上げ部材19に載せたパン生地の上面を押さえ部材30で押さえて把持するようにしてある。
前記生地押し上げ部材19は、L形アーム19aの先端に生地の端部を載せるためのしゃもじ形、円形、楕円形等適宜形状のパン生地受け部19bを有する。先端の生地受け部19bは、棒状パン生地の端部を交差状に載せる幅を有する。生地押し上げ部材19は、筒状部材16の側部で搬送手段1の進行方向に対して反対向きに配置され、先端のパン生地受け部19bはベルト3の邪魔にならないようにベルト3の下面で基板2に設けた開口部7の側部の開口部7’に位置させ、搬送手段1で送られる棒状パン生地の端部を下面側より保持するようにする。前記生地押し上げ部材19は、前記棒状パン生地と接触する部分の全部もしくは一部に設けられた滑り止め部材19eを有するものである。この滑り止め部材はパン生地を把持するときに生地を傷めることなくしかも滑らない材質、構造のものを使用するのが好ましい。
前記生地押し上げ部材19のパン生地受け部19bには、前記筒状部材とは反対側の外側にその筒状部材16の幅より若干広い間隔を有する一対の生地押さえ突片19c、19dが設けられ、この突片の間に棒状パン生地P1の端部を載せるようにする。突片19cが幅広で、突片19dは幅狭く設けられている。そして、生地押し上げ部材19を筒状部材側に反転する際に突片19c、19dが生地端部を押さえながら筒状部材16に上面に移行させ、生地は筒状部材の入り口側より内部に入れ、突片19c、19dは筒状部材16の外側に嵌まるようにするのが好ましい。
なお、一端部把持手段を生地押し上げ部材と押さえ部材の組み合わせとした場合で説明したが、これに限られるものではなく、例えば、生地押し上げ部材と押さえ部材とを開閉可能な把持部材とすることもできる。
【0037】
一端部把持部移動手段20は、前記一端部把持手段18により把持されるパン生地の一端部を前記筒状部材の上部開口部上に載置させるために前記一端部把持手段を移動させるものである。一端部把持部移動手段20は、筒状部材16よりも下流位置に設置され、該一端部把持部移動手段20で作動される前記生地押し上げ部材19が筒状部材16の側方で搬送手段1の進行方向に対して逆方向に配置される。該一端部把持部移動手段20は、生地押し上げ部材19を起倒する生地押し上げ部材起倒手段24と、該生地押し上げ部材を筒状部材の上部開口部上に反転させる生地押し上げ部材回転手段21とからなる。この起倒手段24と押さえ部材30の起倒手段32は共動可能とし、生地押し上げ部材19と押さえ部材30を生地押し上げ部材19の反転動作を始める位置まで共動して持ち上げ可能とし、反転位置で押さえ部材30の押さえを解除し、生地押し上げ部材19を反転させる。
【0038】
前記生地押し上げ部材19の生地押し上げ部材回転手段21として、回転駆動装置、例えばエアーの吸排により作動されるロータリーアクチュエータ等が備えられ、その回転軸22に生地押し上げ部材19のL形アーム19aが固定される。回転駆動装置21の軸22に固定するL形アーム19aは、軸心より回転半径Lだけ偏倚して設けられ、回転駆動装置によりL形アーム19aを約180度回転することによりアームの先端のパン生地受け部19bを棒状パン生地P1を載せた位置からアームを持ち上げて約180度回転させて筒状部材16の開口上面に移行して生地の端部を筒状部材の開口部上面に載置可能とする。
また、生地押し上げ部材19を起倒させる生地押し上げ部材起倒手段24として、生地押し上げ部材を備えた回転駆動装置21を支軸26を支点として或る角度起倒可能とし、生地押し上げ部材を生地を載せる位置から生地を反転させる位置まで持ち上げるようにしてある。すなわち、回転駆動装置21は、機枠に固定した軸受け部材25に回転自由に軸支された軸26の先端一側に固定され、該軸26の基端に作動アーム27が固定され、該作動アーム27を進退動作する駆動手段28が設けられ、駆動手段28で作動アーム27の一端を進退運動させ、作動アーム27で軸26を回転させてそれに固定した回転駆動装置21を所定角度範囲で回転させ、生地押し上げ部材19のL形アーム19aを所定ストロークH上下移動可能とし、ベルト3より下部の開口部7’の棒状パン生地P1を載せる位置からベルト3より上方の反転させる位置まで移動させる。
なお、一端部把持部移動手段は、生地を持ち上げて反転する動作で説明したが、これに限られるものではなく、例えば、回転手段のみで、把持したパン生地の端部を筒状部材の上面に持ち上げるようにすることもできる。
【0039】
押さえ部材30は、先端に棒状パン生地の端部を押さえる広さのほぼ長方形の板体とした生地押さえ部30aを有するもので、筒状部材の側方であって、前記生地押し上げ部材19の先端の生地受け部19bに対してほぼ直交する方向に配置され、基端を搬送手段1の側方の機枠に備えた押さえ部材起倒手段32でほぼ起立した位置から押さえる位置まで倒すことができるように備えられる。この押さえ部材は生地押し上げ部材の生地受け部に保持した生地の一端部の上面を押さえて把持し、押さえながら持ち上げ可能として生地の端部がずれたり、落ちたりしないようにしてある。押さえ部材30は、柔らかいパン生地を潰すことなく軽く押さえるように圧力を調整する。押さえ部30aは、前記突片19c、19d間に位置する棒状パン生地P1を長手方向に押さえるようにするのが好ましい。
押さえ部材30を起倒する押さえ部起倒手段32として、回転駆動装置、例えばエアーの吸排により作動されるロータリーアクチュエータ等を用い、その回転軸33に基端を固定して、回転駆動装置32で回転可能に備え、前記生地押し上げ部材19のパン生地受け部19bに対して近接および離間可能に備えられる。実施形態で押さえ部材30は、開口部7’の位置で生地押し上げ部材19のパン生地受け部19bが生地の下側を受ける位置(ほぼ水平位置)から押え部の押さえを解除するため約90度起立可能に備えられている。そして、この押さえ部材30は、前記したように生地押し上げ部材19の持ち上げ時に共動させて反転させる位置まで回転駆動装置32で上昇可能とし、押さえ部材の押さえを解除する時には起立させて、生地押し上げ部材19の反転動作の邪魔とならないようにする。
【0040】
一端部把持部移動手段20は前記構造としたので、前記棒状パン生地P1をリングに成形するまでそのまま把持し、リングに成形した後、生地端部を押さえ部材30で押さえたまま生地押し上げ部材19をベルトより上の反転させる位置まで持ち上げて後、押さえ部材の押さえを解除させ、回転駆動装置21の回転軸22を中心としてL形アーム19aを筒状部材側へ180度回転させて先端のパン生地受け部19bを反転させ、生地端部をリング状パン生地P2の中心部の前記筒状部材16の開口部上面に載せる。
【0041】
他端部把持手段40は、前記筒状部材にて係止される前記棒状パン生地の他端部を把持するものである。前記他端部把持手段40は、生地チャック装置41にエアーを吸排することにより、それに備えたチャック部材42を把持および開放を行うもので、把持により生地を掴持させ、開放により生地を離なす。生地チャック部材42で生地を掴むとき生地を潰さないように軽く掴むように圧力を調整する。このチャック部材42には、対向面に滑り止め部材43が備えられ、生地を持ち上げて巻き付け移動する際に挟んだ生地が滑って落ちないようにするのが好ましい。この滑り止め部材はパン生地を把持するときに傷めないような材質のものを使用するのが好ましい。
【0042】
他端部把持部移動手段44は、前記筒状部材の外周面に前記棒状パン生地を巻き付けさせるとともに前記棒状パン生地の前記他端部が前記棒状パン生地の前記一端部と交差するように前記他端部把持手段を移動させるものである。他端部把持部移動手段44は、該他端部把持手段40を回転させるための把持部回転手段45と、該他端部把持手段40を昇降させるための把持部昇降手段46とを備えているもので、他端部把持部移動手段44は筒状部材16の上方に該筒状部材中心として回転できるように配置される。前記把持部回転手段45は回転駆動装置で、例えばエアーの吸排により作動されるロータリーアクチュエータ、昇降手段46はエアーシリンダーが使用されている。
生地チャック装置41は、回転手段45の軸47に固定された回転アーム48の自由端に設けられ、かつ該回転手段45は生地チャック装置昇降手段46で昇降可能に設けられている。生地チャック装置41はエアーシリンダー46でほぼ生地の厚み分のストローク昇降可能とされる。生地チャック部材42は、始めは図5に示す筒状部材16の他側部にあって、ベルト3で送られる棒状パン生地が当たらないように上方位置に上げた位置に保持される。筒状部材16で棒状パン生地が受け止められると、一側部において、前記生地押し上げ部材19と押さえ部材30で把持され、ほぼ同時に生地チャック部材42がベルト3上の生地まで降下して生地チャック部材42で掴み、次いでアーム48が軸47を中心とする回転角度θ、例えば約230度〜270度の範囲で回転され、生地チャック部材42で生地を掴んだ状態で前記筒状部材16の中心として筒状部材16の外周に相当する円の軌道で持ち上げながら巻き付けることができる。
そして、生地チャック部材42の把持は、生地押し上げ部材で生地を筒状部材の上に載せるまで、生地の把持状態が維持され、生地を筒状部材の上に載置した後、生地チャック部材42の把持が解除されて速やかに生地を離し、後述の押し込み部材による押し込みを終了後、生地チャック装置41は元の位置に戻される。
【0043】
前記押し込み手段50は、前記筒状部材16に侵入可能な棒状のパン生地押し込み部51と、該押し込み部を付着防止用粉容器58と前記筒状部材間を移動させるための移動手段53と、前記容器58および前記筒状部材16の配置位置にて、前記押し込み部を昇降させるための昇降手段55とを備えるものである。押し込み部51は、筒状部材の内径より若干小径で、先細とした棒状体としてあり、押し込み部昇降手段55で、筒状部材の上部開口に載せた生地端部を押し込んで筒状部材16の内部に侵入可能とするものである。
押し込み部51を移動する移動手段53として、機枠に備えられた押し込み部昇降手段55の下方に回転手段54と、該回転手段54の軸56に回転アーム57が固定され、該回転アーム57の自由端の下部に押し込み部51が設けられる。押し込み部51は、前記昇降手段55により筒状部材の上に載せた生地を押し込む位置と、粉を付ける容器の位置で所定ストローク昇降させる。前記押し込み部移動手段53は、筒状部材16の他側で、前記他端部把持部移動手段44の回転運動の邪魔とならない位置に配置され、前記他端部把持部移動手段44が回転されて生地をリング状とする位置に保持されている間に、該押し込み部移動手段53を移動して粉容器の位置より筒状部材の位置まで移動させて押し込み部の押し込み動作後は逆に筒状部材の位置より粉容器の位置へ戻させる。
実施形態の回転手段54は回転駆動装置で、例えばエアーの吸排により作動されるロータリーアクチュエータ、昇降手段55はエアーシリンダーが使用されている。すなわち、押し込み手段50は、回転駆動装置の軸56に固定された回転アーム57が基端を中心として回転角度θ1、例えば約90度の範囲で回転可能に設けられる。前記生地チャック装置41が生地端部を保持して回動された位置にある間に回転アーム57を回転させるので、アームで回転される押し込み手段50が生地チャック装置41に当たることはない。
58は押し込み部51の外径より大きい内径で、所容量の粉59を予め入れておく付着防止用粉容器であり、前記筒状部材16のほぼ側方であって、搬送手段1の外側位置に設置される。
前記エアーシリンダー55が該容器58と前記筒状部材16との中心位置に位置して機枠に設置され、該エアーシリンダー55を中心としてエアーの吸排により回転駆動装置54が回転されて回転アーム57が容器58の位置から筒状部材16の位置まで回転され、その位置でエアーシリンダー55のエアーを吸排して押し込み手段50が昇降される。而して、押し込み部51を容器に入れて粉を付け、粉を付けた押し込み部51を上昇させ、筒状部材の上面位置まで回動させ、その位置で押し込み部51を降下させて筒状部材16の上面に載せたパン生地を筒状部材16の内部に押し込む。押し込み部51は常時は粉容器58で粉を付けた状態で待機させ、前記のように筒状部材へ回転させて降下させ生地の押し込みをさせ、押し込み後元に戻して粉を付けて次の作動まで待機させる。押し込み手段50の押し込み部51には粉59を付けるので、生地を押し込む際に生地が付着することなく、押し込み部を戻す時にパン生地と離れ易くしておくことができる。
この発明によれば、棒状パン生地を結ぶ作業を搬送手段の生地載置板の上で前記パン生地結び成形装置でほぼ平面的に行うことができるようにしたことにより、柔らかいパン生地を機械で結ぶことを達成することができた。このパン生地結び成形装置により結びパンを自動成形ができ、量産可能であり、品質の安定と生産性の向上ができる。
【0044】
図1、図2および図6において、60は棒状パン生地が前記パン生地結び成形装置に対して所定範囲位置となった状態にて搬送されるようにするための棒状パン生地配置手段である。前記棒状パン生地配置手段60は、棒状パン生地を放出可能に収納する棒状パン生地収納手段61と、該棒状パン生地収納部61に収納された棒状パン生地の位置を検出するための位置検出手段67と、該位置検出手段67による検出信号に基づき前記棒状パン生地収納部を前記搬送手段上の適宜位置に移動させるための収納部移動手段63とを備え、前記棒状パン生地収納手段は、前記収納部移動手段63による移動後に収納する棒状パン生地を放出する機能を備えている。パン生地結び成形装置に対する所定範囲位置とは、棒状パン生地の両端がパン生地結び成形装置15の一端部把持手段と他端部把持手段で把持しうる位置にあることをいう。
実施形態では、棒状パン生地収納部61は、棒状パン生地P1を収容しうる断面半円形状で、かつ金属製、樹脂製等の器体で、搬送手段1のコンベアーV2の搬入側の上方位置に軸方向に進退可能でかつ回転方向に所定角度回転可能に備えられ、該棒状パン生地収納部61にコンベアーV1より送られる棒状パン生地P1が入るように設置されている。棒状パン生地収納部61は一端において収納部回転手段62、例えばロータリーアクチュエータの回転軸の固定され、かつ収納部移動手段63として、棒状パン生地収納部61の下方に駆動装置64、例えばシリンダが設置され、該シリンダ64には棒状パン生地収納部61を軸方向に移動するスライド部材64aが設けられ、該スライド部材64aと前記回転駆動手段62が連結部材65で連結されている。而して、棒状パン生地収納部61は、常時はコンベアーV1より送られる棒状パン生地P1を入れる水平位置に保持され、その位置で棒状パン生地収納部61に収容した棒状パン生地の位置が前記パン生地結び成形装置に対して所定範囲位置とずれが有る場合には、シリンダ64により棒状パン生地収納部61を軸方向に移動して位置を調整し、しかる後、棒状パン生地収納部61は回転手段で所定角度、約90度回転されて、コンベアーV2上に放出される。
66は、棒状パン生地収納手段61に生地が入ったことを検出する検知手段で、この検知手段による検知信号に基づき、棒状パン生地配置手段の作動を制御する制御部と接続されている。67は、棒状パン生地収納部61に収納された棒状パン生地の位置を検出するための位置検出手段で、実施形態では位置検出カメラ(例えばCCD)を使用し、68は照明手段であって、棒状パン生地収納部に設けた窓孔を通じて棒状パン生地収納部61に収納された棒状パン生地の端を照明させる。
棒状パン生地収納部61内に棒状パン生地P1が入ったことを検知手段66の赤外線により検知し、棒状パン生地収納部61内収容した棒状パン生地の端を位置検出手段67のカメラで検出させ、前記パン生地結び成形装置に対する所定範囲位置とずれがあるときは、位置検出手段67による検出信号に基づき前記棒状パン生地収納部61をシリンダ64で軸方向に摺動して所定範囲位置に収まるようにして、収納部回転手段62で該棒状パン生地収納部61を90度回転させて生地を搬送手段1に放出する。搬送手段に放出する棒状パン生地の位置が所定範囲位置とされるから、パン生地結び成形装置15の一端部把持手段、他端部把持手段と合わせ、筒状部材16の芯と合わせることができ、パン生地を結ぶ動作を的確に行うことができる。なお、前記棒状パン生地配置手段は、棒状パン生地収納手段61は棒状パン生地を放出するために90度回転させて生地を放出する機構としてあるが、これに限られるものではなく、例えば棒状パン生地収納手段61の底部を開閉して生地を放出する機構とすることもできる。
【0045】
次に、この発明のパン生地の結び成形方法について説明する。この発明のパン生地の結び成形方法は、棒状パン生地P1を準備する工程と、該棒状パン生地を結ぶ結び工程とを有するパン生地の結び成形方法であって、
前記結び工程は、棒状パン生地のほぼ中央部にて係止する係止工程と、該係止工程において係止された状態の前記パン生地の一端側を保持する工程と、該一端側を保持した状態にて前記棒状パン生地の他端側を把持し、前記係止工程における係止点を支点として回し、前記棒状パン生地の一端側と交差させてリング状部を形成するリング状部形成工程と、前記棒状パン生地の一端側を持ち上げて前記リング状部上に載置する工程と、該リング状部に載置されている前記棒状パン生地の一端側をリング状部内に押し込み、前記棒状パン生地の前記一端側を前記リング状部を通過させる工程とを有する。実施形態で、前記係止点は、例えば、前記筒状部材であり、パン生地の一端側を保持する工程は、前記一端部把持手段18で把持され、棒状パン生地の他端側を把持する工程は、他端部把持手段40で把持され、リング状部を形成する工程は、一端部把持部移動手段20で行われ、棒状パン生地の一端側を持ち上げて前記リング状部上に載置する工程と、該リング状部に載置されている前記棒状パン生地の一端側をリング状部内に押し込み、前記棒状パン生地の前記一端側を前記リング状部を通過させる工程は、他端部把持部移動手段44で行われる。
この製造方法によれば、棒状パン生地を平面的にリング状に巻き、そのリング状の中心に生地の端を押し込んで、機械的にパン生地を自動的に結ぶことができ、自動成形であるから、量産可能であり、品質の安定と生産性の向上、省力化ができる。
【0046】
この発明のパン生地の結び成形方法は、棒状パン生地P1を準備する工程と、該棒状パン生地を搬送方向に対してほぼ直交する状態にて搬送しかつ搬送途中において棒状パン生地を結ぶ結び工程とを有するパン生地の結び成形方法であって、
前記結び工程は、ほぼ直交する状態にて搬送される棒状パン生地のほぼ中央部にて受け止める受け止め工程と、該受け止め工程において受け止められた状態の前記パン生地の一端側を保持する工程と、該一端側を保持した状態にて前記棒状パン生地の他端側を把持し、前記受け止め工程における受け止め点を支点として回し、前記棒状パン生地の一端側と交差させてリング状部を形成する工程と、前記棒状パン生地の一端側を持ち上げて前記リング状部上に載置する載置工程と、該載置工程によりリング状部に載置された前記棒状パン生地の一端側をリング状部内に押し込み、前記棒状パン生地の前記一端側を前記リング状部を通過させる工程と、該リング状部の通過工程後に前記受け止めを解除する工程とを有する。実施形態では前記受け止め点は、例えば前記筒状部材であり、受止めを解除する工程は、受け止め点を降下して生地より抜く工程である。その他の工程は前記と同様である。
この製造方法によれば、搬送手段で搬送する棒状生地を結び工程で結び、結んだパン生地を跳ね出して搬送手段で送り出すので、棒状パン生地を平面的上でリング状に巻き、そのリング状の中心に生地の端を押し込み、機械的にパン生地を自動的に結ぶことができ、自動成形した結びパン生地を自動的に送ることができ、量産可能であり、品質の安定と生産性の向上、省力化ができる。
【0047】
図7ないし図13に示す実施形態に基づいて、この発明のパン生地の結び成形方法を説明する。
準備工程で予め成形した棒状パン生地P1を搬送手段1のベルトに、長さ方向を搬送方向と直交するように載せて搬送する。検知手段13で棒状パン生地P1の通過を検知すると、以後時限制御プログラムに従って、制御装置により自動的に生地押さえ部材、生地チャック装置、生地押し上げ部材、押し込み手段、筒状部材、生地載置板等が作動される。パン生地結び成形装置で結び動作時間は、実験の計測では約2〜3秒であった。
結び工程では、先ず、図7に示すように、押し込み手段50は粉容器58の粉を付けた状態にある。この状態で搬送ベルトで棒状パン生地P1が矢印のように送られて筒状部材16に当たって受け止められ、パン生地を「く」字型に屈曲させた位置でベルト3を停止する(受け止め工程)。このとき、棒状パン生地P1の両端部は中央の筒状部材16の両側に位置し、一端部は生地押し上げ部材19のアームの生地受け部19bの上で突起19cと19dとの間に載せられ、他端部は生地チャック装置41の生地チャック部材42の掴む位置に止められる。
図8において、生地が上記位置に止まると、生地押し上げ部材19の生地受け部19b上の生地の一端部を押さえ部材30の押さえ部で押さえ(パン生地の一端側を保持する工程)、生地チャック装置41の生地チャック部材42で生地の他端部を掴み、生地チャック装置41を筒状部材の軸心を中心として約230度回転させ筒状部材16の回りに持ち上げながら巻き付けて交差させてリング状パン生地P2を形成する(リング状部を形成する工程)。
次いで、図9に示すように、生地押し上げ部材19に載せた生地の一端部を押さえ部材30で押さえたまま反転位置まで持ち上げ、続いて、図10に示すように、押さえ部材30を回転駆動手段により回転させて起立させて押さえを解除し、しかる後、生地押し上げ部材19を回転駆動装置21で約180度回転させ、リング生地の中心部である筒状部材16の上面に生地の端部を載せる(生地端部をリング状部上に載置する工程)。ここで生地チャック部材42は把持を解除して生地を離す。
次いで、図11に示すように、生地押し込み手段50で筒状部材16の上に載せた生地の端部をその内部に押し込む(一端側を前記リング状部を通過させる工程)。生地押し込み手段50の押し込み時に筒状部材16も下降させて、パン生地から抜き取り、生地押し込み手段50は復帰させて抜き取る(受け止めを解除する工程)。生地押し込み手段50は回転して元に戻し粉容器58に入れて粉59を付ける(粉を付ける工程)。押し込み手段50を元の位置に戻してから、生地チャック装置41を元の位置に戻す。
図12、図14において、結んだ生地P3が生地載置板8上に残される。
しかる後、図13に示すように生地載置板8を生地載置板起倒手段11で押し上げて下流側の支軸を支点として起き上がらせ、結びパン生地P3を跳ね出して、搬送手段1のベルト上に移して送り出す(結びパン生地を送り出す工程)。停止していたベルト3を駆動開始して結びパン生地を搬送する。結びパン生地生地は結び端が下になったまま、生地載置板で跳ね出されベルト上に載せられる。
この発明によれば、棒状パン生地を結ぶ作業を搬送手段の生地載置板の上で前記製造方法でほぼ平面的に行うことができるようにしたことにより、柔らかいパン生地を機械で結ぶことを達成することができた。
【0048】
前記棒状パン生地配置手段により、棒状パン生地P1をパン生地結び成形装置15の所定範囲位置となって搬入でき、パン生地結び成形装置15の筒状部材で受け止め位置、パン生地の一端部の把持位置、パン生地の他端部のチャック位置を合わせることができ、パン生地の結び動作を正確かつ効率的に行うことができる。
この発明によれば、棒状パン生地のベルトに載せる位置を所定範囲位置とするパン結び装置への送り込みから、パン結び装置における結びパン生地の成形、成形した結びパン生地の送り出す一連の各工程で作業効率の向上を図ることができ、量産可能で品質の安定と生産性の向上、省力化ができる。
【0049】
この発明の結びパンの製造方法は、前記したパン生地の結び成形方法を行った後、該結びパン生地を発酵させる発酵工程と、該発酵工程により発酵された結びパン生地を焼成する焼成工程とを行うことにより、結びパンを自動的に製造することができる。
【0050】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の形態を実施しうるものである。実施形態でシリンダー、アクチュエータはエアーの場合を示したが、油圧等にすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】この発明の結びパン生地の製造装置を示す全体の概略正面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】パン生地結び成形装置を示す正面図である。
【図4】同平面図である。
【図5】同側面図である。
【図6】棒状パン生地配置手段の側面図である。
【図7】棒状パン生地を筒状部材で受け止める状態の斜視図である。
【図8】棒状パン生地の一側を生地押し上げ部材と押さえ部材で把持し、他端部把持手段で生地を筒状部材に巻回した状態の斜視図である。
【図9】同生地押し上げ部材と押さえ部材を把持状態のまま持ち上げた状態の斜視図である。
【図10】押さえ部材の押さえを解除し、生地押し上げ部材を反転させた状態の斜視図である。
【図11】押し込み手段で生地端部を筒状部材に押し込んだ状態の斜視図である。
【図12】筒状部材を降下し、押し込み部を戻し、成形した結びパン生地を成形した状態の斜視図である。
【図13】生地載置板を押し上げて成形した結びパン生地を送り出す状態の斜視図である。
【図14】結びパン生地を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
1 搬送手段
3 線状ベルト
4 開口部
6 生地載置部
7 開口部
8 生地載置板
11 生地載置板起倒手段
13 検知手段
15 パン生地結び成形装置
16 筒状部材
17 筒状部材昇降手段
18 一端部把持手段
19 生地押し上げ部材
19a L形アーム
19b 生地受け部
19c、19d 突片
20 一端把持部移動手段
21 生地押し上げ部材回転手段
24 生地押し上げ部材起倒手段
28 駆動手段
30 押さえ部材
30a 押さえ部
32 押さえ部材起倒手段
40 他端部把持手段
41 生地チャック装置
42 生地チャック部材
43 回転アーム
44 他端部把持移動手段
45 把持部回転手段
46 把持部昇降手段
50 押し込み手段
51 押し込み部
53 押し込み部移動手段
54 押し込み部回転手段
55 押し込み部昇降手段
58 付着防止用粉容器
59 粉
60 棒状パン生地配置手段
61 棒状パン生地収納部
62 収納部回転手段
63 収納部移動手段
66 検知手段
67 位置検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状パン生地を準備する工程と、該棒状パン生地を結ぶ結び工程とを有するパン生地の結び成形方法であって、
前記結び工程は、棒状パン生地のほぼ中央部にて係止する係止工程と、該係止工程において係止された状態の前記パン生地の一端側を保持する工程と、該一端側を保持した状態にて前記棒状パン生地の他端側を把持し、前記係止工程における係止点を支点として回し、前記棒状パン生地の一端側と交差させてリング状部を形成するリング状部形成工程と、前記棒状パン生地の一端側を持ち上げて前記リング状部上に載置する載置工程と、該載置工程によりリング状部に載置された前記棒状パン生地の一端側をリング状部内に押し込み、前記棒状パン生地の前記一端側を前記リング状部を通過させる工程とを有することを特徴とするパン生地の結び成形方法。
【請求項2】
棒状パン生地を準備する工程と、該棒状パン生地を搬送方向に対してほぼ直交する状態にて搬送しかつ搬送途中において棒状パン生地を結ぶ結び工程とを有するパン生地の結び成形方法であって、
前記結び工程は、ほぼ直交する状態にて搬送される棒状パン生地のほぼ中央部にて受け止める受け止め工程と、該受け止め工程において受け止められた状態の前記パン生地の一端側を保持する工程と、該一端側を保持した状態にて前記棒状パン生地の他端側を把持し、前記受け止め工程における受け止め点を支点として回し、前記棒状パン生地の一端側と交差させてリング状部を形成するリング状部形成工程と、前記棒状パン生地の一端側を持ち上げて前記リング状部上に載置する載置工程と、該載置工程によりリング状部に載置され前記棒状パン生地の一端側をリング状部内に押し込み、前記棒状パン生地の前記一端側を前記リング状部を通過させる工程と、該リング状部の通過工程とともに前記受け止めを解除する工程とを有することを特徴とするパン生地の結び成形方法。
【請求項3】
前記請求項1または2のパン生地の結び成形方法を行った後、該結びパン生地を発酵させる発酵工程と、該発酵工程により発酵された結びパン生地を焼成する焼成工程とを行うことを特徴とする結びパンの製造方法。
【請求項4】
棒状パン生地を上面に載置可能な生地載置部と、
該生地載置部の前記上面に対して出没可能に備えられ、前記棒状パン生地のほぼ中央部を係止可能かつ周面に該棒状パン生地を巻き付け可能かつ内部に該棒状パン生地の一端部を挿入可能である筒状部材と、
該筒状部材を生地載置部の前記上面に対して出没可能に昇降させるための筒状部材昇降手段と、
前記筒状部材にて係止される前記棒状パン生地の一端部を把持する一端部把持手段と、
前記筒状部材にて係止される前記棒状パン生地の他端部を把持する他端部把持手段と、
前記筒状部材の外周面に前記棒状パン生地を巻き付けさせるとともに前記棒状パン生地の前記他端部が前記棒状パン生地の前記一端部と交差するように前記他端部把持手段を移動させる他端部把持部移動手段と、
前記一端部把持手段により把持される前記棒状パン生地の一端部を前記筒状部材の上部開口部上に載置させるために前記一端部把持部を移動させる一端部把持部移動手段と、
前記筒状部材の上部開口部上に載置される前記棒状パン生地の一端部を前記筒状部材内に押し込むための押し込み手段とを有することを特徴とするパン生地結び成形装置。
【請求項5】
棒状パン生地を搬送方向に対してほぼ直交する状態にて搬送する搬送手段と、
該搬送手段のほぼ中央に筒状部材を昇降させる開口を有し、かつ棒状パン生地を上面に載せる生地載置板と、
該生地載置板の前記上面に対して出没可能に備えられ、前記棒状パン生地のほぼ中央部を受け止め可能かつ周面に該棒状パン生地を巻き付け可能かつ内部に該棒状パン生地の一端部を挿入可能である前記筒状部材と、
該筒状部材を前記開口を通じて生地載置板の前記上面に対して出没可能に昇降させるための筒状部材昇降手段と、
前記筒状部材にて受け止められる前記棒状パン生地の一端部を把持する一端部把持手段と、
前記筒状部材にて受け止められる前記棒状パン生地の他端部を把持する他端部把持手段と、
前記筒状部材の外周面に前記棒状パン生地を巻き付けさせるとともに前記棒状パン生地の前記他端部が前記棒状パン生地の前記一端部と交差するように前記他端部把持手段を移動させる他端部把持部移動手段と、
前記一端部把持手段により把持される前記棒状パン生地の一端部を前記筒状部材の上部開口部上に載置させるために前記一端部把持部を移動させる一端部把持部移動手段と、
前記筒状部材の上部開口部上に載置される前記棒状パン生地の一端部を前記筒状部材内に押し込むための押し込み手段とを有することを特徴とするパン生地結び成形装置。
【請求項6】
前記筒状部材は、周面に棒状パン生地を巻き付け可能かつ内部にパン生地の端部を挿入しうる長方形、円形または楕円形等の筒体である請求項4または5に記載のパン生地結び成形装置。
【請求項7】
前記筒状部材は、その上部開口の生地を入れる側を凹状としたものである請求項4ないし6のいずれかに記載のパン生地結び成形装置。
【請求項8】
前記一端部把持手段は、前記筒状部材で受け止めた棒状パン生地の一端部を下面側より保持する生地押し上げ部材と、該生地押し上げ部材に対して近接および離間可能に備えられ、パン生地の上面側を押さえる押さえ部材とを備えるものである請求項4または5に記載のパン生地結び成形装置。
【請求項9】
前記生地押し上げ部材は、前記棒状パン生地と接触する部分の全部もしくは一部に設けられた滑り止め部材を有するものである請求項8に記載のパン生地結び成形装置。
【請求項10】
前記生地押し上げ部材は、前記筒状部材の幅より若干広い間隔を有する一対の生地押さえ突片が設けられている請求項8または9に記載のパン生地結び成形装置。
【請求項11】
前記一端部把持部移動手段は、生地押し上げ部材を起倒する生地押し上げ部材起倒手段と、該生地押し上げ部材を筒状部材の上部開口部上に反転させる生地押し上げ部材回転手段とを備えている請求項4、5または8ないし10のいずれかに記載のパン生地結び成形装置。
【請求項12】
前記他端部把持手段は、前記パン生地の他端部の把持および開放を行うためのチャック部材を備えるものである請求項4または5に記載のパン生地結び成形装置。
【請求項13】
前記他端部把持手段のチャック部材は、対向面に設けられた滑り止め部材を有するものである請求項12に記載のパン生地結び成形装置。
【請求項14】
前記他端部把持部移動手段は、該他端部把持手段を昇降させるための把持部昇降手段と、該他端部把持手段を回転させるための把持部回転手段とを備えている請求項4、5または11ないし13のいずれかに記載のパン生地結び成形装置。
【請求項15】
前記押し込み手段は、前記筒状部材の内部に侵入可能なパン生地を押し込み部を備えている請求項4または5に記載のパン生地結び成形装置。
【請求項16】
前記押し込み手段は、前記押し込み部と、該押し込み部を付着防止用粉容器と前記筒状部材間を移動させるための移動手段と、前記容器および前記筒状部材の配置位置にて、前記押し込み部を昇降させるための昇降手段とを備えるものである請求項4、5または15に記載のパン生地結び成形装置。
【請求項17】
前記生地載置板は、その一端が搬送手段の下流側基台の支軸を支点として支持され、その他端には起倒させるための生地載置板起倒手段を備えたものである請求項5ないし16のいずれかに記載のパン生地結び成形装置。
【請求項18】
長さ方向を搬送方向と直交するように載せて棒状パン生地を搬送する第1の搬送手段と、
請求項5ないし17のいずれかに記載のパン生地結び成形装置と、
該パン生地結び成形装置で成形された結びパン生地を搬送する第2の搬送手段と、
を備えたことを特徴とする結びパン生地の製造装置。
【請求項19】
前記搬送手段は、複数本の線状ベルトを任意の間隔をおいて配列したコンベアーである請求項18に記載の結びパン生地の製造装置。
【請求項20】
前記結びパン生地の製造装置は、前記搬送手段により前記パン生地結び成形装置に搬送される棒状パン生地を検知する検知手段と、該検知手段による検知信号に基づき前記パン生地結び成形装置の作動を制御する制御部とを備えている請求項18または19に記載の結びパン生地の製造装置。
【請求項21】
前記結びパン生地の製造装置は、棒状パン生地が前記パン生地結び成形装置に対して所定範囲位置となった状態にて搬送されるようにするための前記搬送手段上への棒状パン生地配置手段を備えるものである請求項18ないし20のいずれかに記載の結びパン生地の製造装置。
【請求項22】
前記棒状パン生地配置手段は、棒状パン生地を放出可能に収納する棒状パン生地収納手段と、該棒状パン生地収納部に収納された棒状パン生地の位置を検出するための位置検出手段と、該位置検出手段による検出信号に基づき前記棒状パン生地収納部を前記搬送手段上の適宜位置に移動させるための収納部移動手段とを備え、前記棒状パン生地収納手段は、前記収納部移動手段による移動後に収納する棒状パン生地を放出する機能を備えている請求項21に記載の結びパン生地の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−55012(P2006−55012A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−237444(P2004−237444)
【出願日】平成16年8月17日(2004.8.17)
【出願人】(591108927)敷島製パン株式会社 (18)
【Fターム(参考)】