説明

パン生地搬送装置及びプルーファー

【解決する課題】無端歯付きベルトを用いた生地搬送装置でのベルトの変形を抑制する。
【課題を解決するための手段】無端歯付きベルト(18)と生地保持部材(24)とを接続する接続手段が、無端歯付きベルトの歯部(18−2)を貫通する貫通孔(42)と、該貫通孔に通された金属製のシャフト(44)と、貫通孔(42)から延出したシャフト(44)の小径部(47)に螺合されたナット(50)と、該ナット(50)と無端歯付きベルト(18)の側面(18−3)との間、及び、シャフトの大径部(48)の端面(48−1)と無端歯付きベルトの内側側面(18−4)との間に挟着される外側及び内側補強板(19、21)とを有し、ナット(50)をシャフト(44)上で締め付けることにより、該ナット(50)とシャフト(44)の大径部(48)の端面(48−1)との間に、無端歯付きベルト(18)を挟着するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パン製造工程において用いられるプルーファー(醗酵装置)に関する。
【背景技術】
【0002】
パン製造工程においては、パン生地を分割、丸め、醗酵、ガス抜き、パンニングといった一連の工程を通して生地成形を行った後、焼成するようになっている。プルーファーは、分割丸めされた個々の生地を、醗酵の促進と生地組織の安定化をさせるため、コンベアに載せて一定温度に保たれたプルーファー室内を一定時間をかけて通す。
【0003】
プルーファー内に設けられる生地コンベアは、一般的には、相互に平行に離された一対の無端金属チェーン間に多数の生地保持部材を設定し、該生地保持部材に生地を載せるバスケットを取り付けた構成となっていた。
【0004】
このような従来のプルーファーでは、金属製のチェーンが金属製のスプロケットに掛けられて駆動されるために、チェーンとスプロケットとの摩擦により金属粉が生じ、これがパン生地の中に混入してしまう虞がある。また、金属製チェーンへの給油による油だれの発生、機械装置内の浮遊粉が金属製チェーン、金属製スプロケットに付着し、それ(金属磨耗粉、油、パン生地粉が混じりあったもの)が剥離して、パン生地へ混入する虞もある。
このような問題を解消するために、本出願人は金属チェーンの代わりに樹脂製のベルトを用いたプルーファーの提案している。(特許文献1)
【特許文献1】特開2006−204221号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このベルトを用いたプルーファーにおいては、ベルトが水平に走行する部分では、該ベルトに隣接して平行にレールが設けられ、生地を保持する生地保持部材の質量は、該レールによって支持するようにされている。しかし、当該ベルトが垂直方向で走行する部分では、そのような質量を支持するためのレールを設けることができず、生地保持部材の質量は、合成樹脂から形成されたベルトに直接かかることになる。このため、ベルトが変形するなどの問題があった。本発明は、このような問題を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、
それぞれ、無端のベース部(以下で述べる本発明の実施形態の説明においては参照番号18−1で示す)と、該ベース部の長さ方向で所定間隔をあけて設けられた多数の歯部(18−2)とを有し、相互に並行に設定された一対の樹脂製の無端歯付きベルト(18)と、
該無端歯付きベルト(18)が掛けられた樹脂製の歯付きプーリ(22)と、
当該一対の無端歯付きベルトの間で生地搬送方向に対し直交方向で延びるよう設定される生地保持部材(24)と、
該生地保持部材(24)の両端を該無端歯付きベルト(18)に取外し可能に接続支持するための接続手段(同実施形態においては、貫通孔42、シャフト44、ピン60等により構成)と、
該接続手段の回りに回転自在に取り付けられた樹脂製のローラ(46)と、
該無端歯付きベルト(18)の水平方向での経路に沿って設けられ、該ローラ(46)を支持するレール(64)と
を有し、
各接続手段は、
各生地保持部材両側端に対応する該無端歯付きベルトの歯部を貫通する貫通孔(42)であって、該生地保持部材(24)側の内側端部開口と反対側の外側端部開口を有する貫通孔(42)と、
該貫通孔に通された金属製のシャフト(44)であって、該貫通孔(42)とほぼ同じ直径とされて該貫通孔内に位置する小径部(47)と、該貫通孔(42)の外側端部開口側で該小径部(47)に対し同軸状にして一体的に形成され、該生地保持部材(24)に連結された大径部(48)とを有するシャフト(44)と、
該貫通孔(42)の外側端部開口から延出した該小径部の外側端部に、その軸線方向で変位可能に取り付けられた締結部材(50)と、該締結部材(50)と該無端歯付きベルト(18)の外側側面(18−3)との間に挟着された外側補強板(19)と、該シャフトの大径部(48)の外側端面(48−1)と該無端歯付きベルトの内側側面(18−4)との間に挟着される内側補強板(21)とを有し、該締結部材(50)を該シャフト(44)上の所要位置で固定することにより、該締着部材(50)と該シャフト(44)の大径部(48)の外側端面(48−1)との間に、該無端歯付きベルト(18)を挟着するようにしたパン生地搬送装置を提供する。
【0007】
このパン搬送装置では、無端歯付きベルトが上下方向に走行する場合であって、レールによる生地保持部材の質量の支持がされず、その質量がシャフトを介して直接無端歯付きベルトに掛かり、該シャフトが該無端歯付きベルトに対して傾くような力がかかるような場合であっても、その力は、シャフトの所要位置に固定される締結部材と、シャフトの大径部の外側端面と、それらと無端歯付きベルトの側面との間の外側及び内側補強板との相互作用により、該内側及び外側補強板を介して無端歯付きベルトの側面によって受け止められる。このため、そのような作用をする締結部材、大径部、外側及び内側補強板がない場合に生じる虞のある無端歯付きベルトの変形を抑えることができる。
【0008】
具体的には、該無端歯付きベルトの貫通孔の外側端部開口から外側に延出する該シャフトの小径部にオネジを形成し、該締結部材を該オネジに螺合されるナット(50)とすることができる。
【0009】
また、上記内側及び外側補強板(19,21)は、上記シャフト(44)が通されている歯部(18−1)及び該歯部に対応するベース部(18−1)の部分の側面に接する面を有するようにすることができる。
内側及び外側補強板の無端歯付きベルトの側面との接触面を大きくして該ベルトに掛かる力を分散することにより、その変形をなるべく小さくすることが可能となる。
【0010】
更に、上記シャフト(44)の大径部(48)の内側端面(48−1)から該大径部内を幅方向外側に延びる接続用孔(52)を有し、
上記生地保持部材(24)が、その両端に、接続用孔(52)内に引き出し可能に挿入されて生地保持部材(24)をシャフト(44)の大径部(48)に接続する接続ピン(60)を備えるようにすることができる。
接続ピンの出し入れによって、生地保持部材を簡単に無端歯付きベルトに着脱することができる。
【0011】
更に具体的には、上記レール(64)が金属製のレール本体(66)と、該レール本体に取り付けられ該ローラを支持する樹脂製のローラ係合部材(68)を有するようにすることができる。
また、上記ローラ(46)がその両端に、該ローラの表面から相互に離れる方向で延びる傾斜面を備えるフランジ(70)を有し、レールのローラ係合部材(68)が、ローラの表面から離れた位置でフランジ(70)の傾斜面に係合されるようにすることができる。
【0012】
このようにすることにより、ローラがレールに確実に係合するようになり、無端歯付きベルトを安定して動かすことが可能となる。
【0013】
更に、レール(64)の外側で該レールに沿って延び、無端歯付きベルト(18)に該生地保持部材(24)が接続されていない状態において該歯付きプーリ(22)にかけられたときに、該レール(64)の外側に位置する無端歯付きベルト(18)の部分と係合して該部分を支持する補助レール(72)を有するようにすることができる。
【0014】
すなわち、無端生地コンベアをプルーファー内で設定するときは、先ず、左右の無端歯付きベルトをそれぞれの歯付きプーリに掛け、その後で、生地保持部材を両無端歯付きベルトに接続するが、補助レールにより、無端歯付きベルトを安定して扱うことが可能となる。
【0015】
更に具体的には、無端生地コンベアの両側に位置する当該プルーファーのフレームを有し、該歯付きプーリが、該フレームから当該無端生地コンベアに向けて延びる片持ち式シャフトによって回転可能に支持されるようにすることができる。
【0016】
このようにすることにより、無端歯付きベルトから生地保持部材を外せば、該無端歯付きベルトの間は障害物のない空間となり、作業員がその内部に入って清掃作業等を行うことが可能である。
【0017】
更に具体的には、
該歯付きプーリのうちの当該無端生地コンベアの左右で相互に対向する位置に設定された対をなす歯付きプーリの少なくとも2つの歯付きプーリ対を駆動歯付きプーリとなし、
各駆動歯付きプーリがそれぞれ個別の誘導モータに駆動連結され、
該誘導モータが単一のインバータにより駆動電力を供給されるようにすることができる。
【0018】
この場合、例えば、2箇所に設けられた誘導モータは相互に同期して作動し、無端生地コンベアの全体の負荷を分担し合う。このため、無端歯付きベルトの駆動力(従って、張力)を単一のモータを用いた場合と比較すると、2分の1以下にすることができる。すなわち、チェーンに比べてベルトの許容張力は小さいものであるが、モータを複数用いることにより、当該無端生地搬送コンベア全体としてのモータ容量は大きいものとしながら、ベルトにかかる張力は許容張力以下の小さいものとすることにより、無端チェーンコンベアに比べて遜色のない搬送力を可能としている。
【0019】
また、
該歯付きプーリのうちの当該無端生地コンベアの左右で相互に対向する位置に設定された対をなす歯付きプーリの少なくとも1つの歯付きプーリ対を、該歯付きプーリ対に係る該無端歯付きベルトの張力の大きさに応じて変位可能としたテークアッププーリとなし、
該テークアッププーリの変位を検知して所定以上の変位があるときに、該無端歯付きベルトに異常張力が発生したことを知らせる異常張力検知センサを備えるようにすることができる。
【0020】
また、
無端歯つきベルトの歯が該歯付きプーリの歯とのかみ合いにずれが生じ、該歯付きプーリの歯への乗りあがりを生じた場合、これを検知して無端歯付きベルトが破断の危険があることを検知する検知スイッチを有するようにすることができる。
【0021】
すなわち、無端歯つきベルトは、チェーンを用いた場合に比べて、上述のような利点があるが、寿命等により破断した場合は、その交換作業に時間がかかる。このため、そのような破断を予見することは非常に重要である。寿命により破断が生じるときには、その破断が生じる部分に必ず「伸び」が生じ、その部分での歯間距離が伸びる。このため、そのような「伸び」が生じた部分は、歯付きプーリの歯とのかみ合いにずれが生じ、該歯付きプーリの歯に対して乗り上げを生じる。上記スイッチは、これを検知して、破断を予見するものである。
【0022】
本発明は、更に、上述のパン生地搬送装置を備えたプルーファーを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係るプルーファーの実施形態につき、添付図面に基づき説明する。
【0024】
図1に示すように、本発明に係るプルーファー10は、基本的構成として、通常のものと同様に、プルーファー室12を有するハウジング14と、生地を受け入れてプルーファー室12内を搬送する無端生地コンベア16と、を有する。
【0025】
無端生地コンベア16は、図2に示すように、水平方向で所定間隔をあけて相互に平行に設定された一対の無端歯付きベルト18と、該無端歯付きベルトが掛けられる複数の歯付きプーリ22と、無端生地コンベアによる生地搬送方向に対し直交方向で延び、両端が無端歯付きベルト18に接続支持された多数の生地保持部材24と、を有している。
【0026】
無端歯付きベルト18及び歯付きプーリ22は樹脂製とされており、無端歯付きベルトにはウレタン系樹脂が適しており、その長さ方向に延びるスチール製の芯線S(図6)が埋設されている。歯付きプーリにはベルトと異なる樹脂を使うことが好ましく、例えばナイロン系樹脂などが適している。これらの樹脂は、帯電防止されたものとすることが好ましい。
【0027】
ハウジング14は、図1に示すように、床F上に設定されるベース部14−1と、プルーファー室12を画定しているプルーファー部14−2とを有する。無端生地コンベア16は、ベース部14−1内を上方へ立ち上がり、プルーファー室12内で上下方向複数段(図示の例では6段)にわたり水平に延びるようにされ、シュート23を通して供給される生地を、当該ベース部14−1の下部位置で受け入れて、上方に搬送して、プルーファー室12内を通し、排出シュート25に排出するようになっている。図1及び図2に示すように、無端生地コンベア16は、その水平走行部分の(図で見て)左端の上下位置にある二対の歯付きプーリ22が、歯付きプーリ毎に駆動ベルト32を介して、歯付きプーリ対のそれぞれに対応する誘導モータ34の出力軸に駆動連結されている。各誘導モータ34は、インバータ35からの同一周波数の同一電圧が供給されて駆動されるようになっている。誘導モータは、それぞれにかかる負荷に差があっても、その差を吸収して、相互に同期して作動する。
【0028】
図3〜図5には、無端生地コンベア16の水平走行部の横断方向一端部分におけるハウジング14、無端歯付きベルト18及び生地保持部材24の関係が示され、図6には、無端歯付きベルト18と該無端歯付きベルトに生地保持部材24を接続するための接続部材54との関係が示されている。
【0029】
生地保持部材24は、図3及び図5に示すように、平面視で矩形状のフレーム38を備え、該フレーム38に複数の生地受け(バスケット)39が設けられている。
【0030】
無端歯付きベルト18には、各生地保持部材24に対応して該無端歯付きベルトを横断する貫通孔42が形成されており(図6)、該貫通孔にはシャフト44が通されて固定され、該シャフトにはローラ46が回転自在に取り付けられている。具体的には、無端歯付きベルト18は、図3及び図6に示すように、横断面が平たい矩形状で芯線Sが通されたベース部18−1と、該ベース部の内周面に設けられた多数の歯部18−2とからなり、貫通孔42は該歯部18−2を横断方向で貫通して設けられている。シャフト44は、貫通孔42を通された該貫通孔とほぼ同じ直径の小径部47と、ローラ46を回転自在に保持する大径部48とを有しており、小径部47の外側端部部分(図6における左側端部部分)に形成された(図示しない)オネジにナット50を螺合することにより、当該シャフト44を無端歯付きベルト18に固定するようになされている。ナット50の端面50−1と無端歯付きベルト18の外側側面18−3との間、及び、シャフトの大径部48の外側端面48−1と無端歯付きベルト18の内側側面18−4との間には、該シャフトが通されている歯部18−2とそれに対応するベース部18−1の部分との形状に対応する形状とされた補強板19,21が挟着されるようになっており、ナット50を締め付けることにより、無端歯付きベルト18をその両側から該補強板19,21で挟着するようになっている(図6、図10参照)。補強板19には、突起19−1(図10)が設けられ、無端歯付きベルト18の外側側面18−3に形成された凹部に嵌合するようにすることにより、当該補強板19が該無端歯付きベルトの外側側面18−3上で動かないようにされている。図示しないが、補強板21にも同様の突起が設けられ、無端歯付きベルトの内側側面18−4に設けられた凹部に嵌合される。
【0031】
シャフト44と生地保持部材のフレーム38との間には、両者を接続する接続部材54が設けられている。すなわち、この接続部材54は、図3〜図5に示すように生地保持部材のフレーム38の側部端面に固定される台形状部56(図3)と、該台形状部56の中央上部位置から無端歯付きベルト18の方に延びる筒状部58と、該筒状部内に摺動可能に設けられた接続ピン60とを有している。接続ピン60は、その左端部分がシャフト44の内側端面から該シャフトに同軸状に左方に延びるように形成された支持穴52内に挿入されることにより、生地保持部材のフレーム38をシャフト44(従って、無端歯付きベルト)に枢着する。
【0032】
図4において、62はハウジング14をなすフレームを示しており、該フレーム62には、ローラ46の移動経路に沿って設けられたレール64が支持バー65によって取り付けられている。該レール64は、金属製のレール本体66と該レール本体の上縁部に沿って被せられた樹脂製のローラ係合部68とを有する。ローラ46は、その両端に相互に離れる方向に傾斜している傾斜面を備えるフランジ70,70を有しており、ローラ係合部68は、その上面が、該フランジの傾斜面に係合する両側の傾斜面と、ローラ46の表面に平行な中央面とを有し、好ましくは、該中央面がローラ46の表面に接触しないようにされる。
【0033】
無端歯付きベルト18の下には、支持バー65によって該無端歯付きベルト18に沿うように補助レール72が設けられている。該補助レールは、生地搬送コンベア16をプルーファー内で組み立てるときに、生地保持部材24が該無端歯付きベルト18に接続されていない状態において、該無端歯付きベルト18が該歯付きプーリ22にかけられたときに、該無端歯付きベルト18が該補助レールに係合して支持されるが、その後に、生地保持部材24が該無端歯付きベルト18に接続されたときには、該補助レールから浮き上がるようにされている。図4において、74は異物粉受けである。
【0034】
図1に示す歯付きプーリにおいて、歯付きプーリ22−1は、該プールにかけられる無端歯付きベルト18の張力によって変位可能とされたテークアッププーリである。具体的には、該テークアッププール22−1は、図7に示すように、歯付きプーリ支持体76によってハウジング14に対して摺動可能に取り付けられており、テンションバネ78によって、無端歯付きベルト18に張力を掛ける方向(図7における左方)に付勢されており、無端歯付きベルトの張力が大きくなると右方に変位するようになっている。80はハウジング14に取り付けられた近接スイッチであって、テークアッププーリの支持体76が、無端歯付きベルトに生じた過大な張力により右方に変位されたときに、それを感知して、モータの停止等などの必要な指令信号を発生する。
【0035】
図8は、駆動歯付きプーリ22に対する異常検知手段82を示している。すなわち、この異常検知手段82は、駆動歯付きプーリ22の周りに駆けられる無端歯付きベルト18の外側表面に回転係合するローラ84を備えており、無端歯付きベルトが駆動歯付きプーリ22に適正に係合せずに、該無端歯付きベルトの歯が駆動プーリの歯に乗り上げた場合などにその無端歯付きベルトの変位を感知して異常を知らせるものである。その異常としては、無端歯付きベルト18の耐用寿命がある。すなわち、無端歯付きベルト18が、その耐用寿命となり破断するときには必ずその破断する部分に「伸び」が生じる。無端歯付きベルト18に、そのような伸びが生じた場合に、当該部分の該無端歯付きベルトの歯の間の間隔が延びるので、該無端歯付きベルトの歯と、歯付きプーリ22との噛合いにずれが生じ、上述のような無端歯付きベルトの歯の駆動プーリの歯への乗り上げが生じる。従って、この異常検知により、無端歯付きベルトの寿命が来たことを予知することができる。
【0036】
無端歯付きベルトの寿命予知の手段としては、図9に示した如き手段もある。すなわち、この手段では、ハウジング(を構成するフレーム)14に対して枢着したレバー86の一端に歯付き無端歯付きベルト18に噛合する歯付き検出ローラ88を取付け、該レバー86の他端に隣接して近接スイッチ90を設定したものである。歯付き無端歯付きベルト18がその寿命に近づき、「伸び」が生じた場合、検出ローラ88の歯と歯付き無端歯付きベルト18の歯との噛合いにずれが生じると、該検出ローラ88が浮き上がり、これを近接スイッチ90が検出できるようになっている。
【0037】
以上、本発明の実施形態につき述べたが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上述の実施形態では、補強部材19は、ナット50と別体のものとして示したが、これらを一体に成形することができ、また、補強部材21も、シャフトの大径部48の端面と一体的に形成することも可能である。また、補強板19,21の形状は、図示のものに限定されるものではなく、歯付きプーリ22の歯が、無端歯付きベルト18の歯間に係合するときに干渉しないようなものであれば、どのような形状のものでも良い。また、突起19−1は必ずしも必要とするものではない。要するに、これら補強部材は、無端歯付きベルトが上下方向で走行するときに、シャフトが生地保持部材からの重みによって当該無端歯付きベルトに対して傾けられるようになるので、そのシャフトにかかる力を、該補強板19,21を介して無端歯付きベルトの側面のなるべく広い面で受けるようにすることにより、当該シャフトの傾きが生じた場合の無端歯付きベルトの変形を防止するものであり、従って、そのような機能を有するものであれば形状等は種々のものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係るプルーファーの正面から見た場合の内部構造を示す図である。
【図2】図1のプルーファー内の無端生地コンベアを簡略化して示す斜視図である。
【図3】図1のプルーファーにおける無端生地コンベアの一端部分を示す斜視図である。
【図4】同一端部分を搬送方向から見た図である。
【図5】同一端部分を上方から見た図である。
【図6】同一端部分における無端歯付きベルトと接続部材との関係を示す図である。
【図7】同無端生地コンベアにおけるテークアッププーリ及びそこに組み込まれ、無端歯付きベルトの異常を検知するための近接スイッチの関係を示す図である。
【図8】同異常を検知するための他の手段を示す図である。
【図9】同異常を検知するための更に別の手段を示す図である。
【図10】無端歯付きベルトの補強板を取り付けた部分の側面図である。
【符号の説明】
【0039】
ハウジング14;ベース部14−1;プルーファー部14−2;無端生地コンベア16;無端歯付きベルト18;ベース部18−1;歯部18−2;外側側面18−3;内側側面18−4;外側補強板19、21;歯付きプーリ22;シュート23;生地保持部材24;バスケット26;駆動ベルト32,32;誘導モータ34;インバータ35;フレーム38;貫通孔42;シャフト44;ローラ46;小径部47;大径部48;ナット50;ナットの端面5−1;支持穴52;接続部材54;台形状部56;筒状部58;接続ピン60;フレーム62;レール64;レール本体66;ローラ係合部68;フランジ70;補助レール72;支持体76;テンションバネ78;近接スイッチ80;;異常検知手段82;レバー86;歯付き検出ローラ88;近接スイッチ90

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ、無端のベース部と、該ベース部の長さ方向で所定間隔をあけて設けられた多数の歯部とを有し、相互に並行に設定された一対の樹脂製の無端歯付きベルトと、
該無端歯付きベルトが掛けられた樹脂製の歯付きプーリと、
当該一対の無端歯付きベルトの間で生地搬送方向に対し直交方向で延びるよう設定される生地保持部材と、
該生地保持部材の両端を該無端歯付きベルトに取外し可能に接続支持するための接続手段と、
該接続手段の回りに回転自在に取り付けられた樹脂製のローラと、
該無端歯付きベルトの水平方向での経路に沿って設けられ、該ローラを支持するレールと
を有し、
各接続手段は、
各生地保持部材両側端に対応する該無端歯付きベルトの歯部を貫通する貫通孔であって、該生地保持部材側の内側端部開口と反対側の外側端部開口を有する貫通孔と、
該貫通孔に通された金属製のシャフトであって、該貫通孔とほぼ同じ直径とされて該貫通孔内に位置する小径部と、該貫通孔の外側端部開口側で該小径部に対し同軸状にして一体的に形成され、該生地保持部材に連結された大径部とを有するシャフトと、
該貫通孔の外側端部開口から延出した該小径部の外側端部に、その軸線方向で変位可能に取り付けられた締結部材と、
該締結部材と該無端歯付きベルトの外側側面との間に挟着された外側補強板と、
該シャフトの大径部の外側端面と該無端歯付きベルトの内側側面との間に挟着される内側補強板と
を有し、該締結部材を該シャフト上の所要位置で固定することにより、該締着部材と該シャフトの大径部の外側端面との間に、該無端歯付きベルトを挟着するようにしたパン生地搬送装置。
【請求項2】
該無端歯付きベルトの貫通孔の外側端部開口から外側に延出する該シャフトの小径部にオネジが形成され、
該締結部材が該オネジに螺合されるナットとされた請求項1に記載のパン搬送装置。
【請求項3】
該内側及び外側補強板が、該シャフトが通されている歯部及び該歯部に対応するベース部の部分の側面に接する面を有する請求項1又は2に記載のパン生地搬送装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のパン搬送装置を備えるプルーファー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−112217(P2009−112217A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286906(P2007−286906)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000128728)株式会社オシキリ (40)
【Fターム(参考)】