パーキングブレーキ装置
【課題】手動操作でパーキングブレーキを作動させた後にパーキングブレーキを解除する際に、操作レバーの解除位置への移動をアシストして、操作者の負担を低減できるパーキングブレーキ装置を提供する。
【解決手段】パーキングブレーキを操作する操作レバーと、操作レバーと遊嵌状態で連結されたレバー連結部を有し、レバー連結部を介して手動操作とは別に操作レバーを移動可能なアクチュエータと、アクチュエータに加わる負荷を検出する負荷検出手段と、アクチュエータを駆動制御する制御部と、制御部へパーキングブレーキの作動または解除の指示を出す操作スイッチとを備え、操作スイッチからパーキングブレーキの解除指示が出されたとき、制御部はアクチュエータをパーキングブレーキの作動方向に駆動させ、負荷検出手段が操作レバーとレバー連結部の係合による負荷を検出した時点で、アクチュエータをパーキングブレーキの解除方向へ駆動する。
【解決手段】パーキングブレーキを操作する操作レバーと、操作レバーと遊嵌状態で連結されたレバー連結部を有し、レバー連結部を介して手動操作とは別に操作レバーを移動可能なアクチュエータと、アクチュエータに加わる負荷を検出する負荷検出手段と、アクチュエータを駆動制御する制御部と、制御部へパーキングブレーキの作動または解除の指示を出す操作スイッチとを備え、操作スイッチからパーキングブレーキの解除指示が出されたとき、制御部はアクチュエータをパーキングブレーキの作動方向に駆動させ、負荷検出手段が操作レバーとレバー連結部の係合による負荷を検出した時点で、アクチュエータをパーキングブレーキの解除方向へ駆動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、車両を駐車する際に使用されるパーキングブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
車両に適用されるセンターフロア式のパーキングブレーキ装置は、運転席の側方に配設され、パーキングブレーキを操作する操作レバーを備えており、操作者が、車両を駐車する際に、前記操作レバーをパーキングブレーキが解除する解除位置から引き上げて、パーキングブレーキが作動する作動位置へ移動させることにより使用する。
【０００３】
ここで、特許文献１には、操作者の操作レバーの操作をアシストする機構が設けられたパーキングブレーキ装置が開示されている。このパーキングブレーキ装置は、操作レバーを作動位置へ移動可能なアクチュエータを備えており、操作レバーが解除位置と作動位置との間の中間位置にある時に、アクチュエータが駆動して操作レバーを作動位置に移動させる。
【０００４】
又、特許文献２に開示するパーキングブレーキ装置では、アシストケーブルのケーブルエンドが摺動自在に配置されるガイド溝を操作レバーに形成している。このパーキングブレーキ装置では、操作レバーが解除位置にある時に、ガイド溝の作動位置側の端部にケーブルエンドを位置させて、アクチュエータによりアシストケーブルを引き操作することで、操作レバーを作動位置に移動させる。更に、このパーキングブレーキは、パーキングブレーキの作動が十分でない場合に、アクチュエータによりアシストケーブルを増し引きして、操作レバーを更に移動させる機能も有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２００６-２４８４０８号公報
【特許文献２】特開２０１１-１１６３５４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、特許文献１のパーキングブレーキ装置では、操作レバーの解除位置への移動をアクチュエータの駆動によりアシストできない。従って、このパーキングブレーキ装置においては、パーキングブレーキを解除する際に、操作者に負担がかかる。
【０００７】
又、特許文献２のパーキングブレーキ装置では、アクチュエータにより作動位置へ移動させた操作レバー、或いは、アクチュエータによりアシストケーブルを増し引きすることで移動させた操作レバーの解除位置への移動をアクチュエータの駆動によりアシストできる。しかし、このパーキングブレーキ装置では、手動操作により作動位置へ移動させた操作レバーの解除位置への移動をアクチュエータの駆動によりアシストできない。従って、このパーキングブレーキ装置でも、パーキングブレーキを解除する際の操作者の負担を十分に低減できないおそれがある。
【０００８】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、手動操作でパーキングブレーキを作動させた後にパーキングブレーキを解除する際に、操作レバーの解除位置への移動をアシストして、操作者の負担を低減できるパーキングブレーキ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記目的を達成するために、本発明のパーキングブレーキ装置は、手動操作により移動可能に構成され、パーキングブレーキを操作する操作レバーと、前記操作レバーと遊嵌状態で連結されたレバー連結部を有し、前記レバー連結部を介して手動操作とは別に前記操作レバーを移動可能なアクチュエータと、前記アクチュエータに加わる負荷を検出する負荷検出手段と、前記アクチュエータを駆動制御する制御部と、前記制御部へ前記パーキングブレーキの作動または解除の指示を出す操作スイッチとを備え、前記操作スイッチから前記パーキングブレーキの解除指示が出されたとき、前記制御部は前記アクチュエータを前記パーキングブレーキが作動する作動方向に駆動させ、前記負荷検出手段が前記操作レバーと前記レバー連結部の係合による負荷を検出した時点で、前記アクチュエータを前記パーキングブレーキが解除する解除方向へ駆動することを特徴としている。
【発明の効果】
【００１０】
（１）本発明のパーキングブレーキ装置は、操作スイッチからのパーキングブレーキの解除指示により制御部が、アクチュエータを作動方向に駆動させて、操作レバーとアクチュエータのレバー連結部とを係合させ、該係合による負荷を負荷検出手段で検出した時点で、アクチュエータを解除方向へ駆動させる。これにより、本パーキングブレーキ装置では、パーキングブレーキを作動させる操作レバーの移動が手動操作によるものか、アクチュエータによるものかを問わず、パーキングブレーキを解除するための操作者の操作レバーの手動操作を、アクチュエータによりアシストするので、操作者の負担を低減できる。
【００１１】
（２）本発明のパーキングブレーキ装置は、アクチュエータを解除方向へ駆動することで、パーキングブレーキを操作レバーの手動操作で解除できる状態となるので、操作者の負担をより軽減できる。
【００１２】
（３）本発明のパーキングブレーキ装置は、負荷検出手段がアクチュエータの有するモータの駆動電流を検出するものであるので、アクチュエータに加わる負荷の変化の検出が容易である。そのため、本パーキングブレーキ装置では、早期にアクチュエータをパーキングブレーキの解除方向に駆動させることができるので、操作者の負担を一層軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】本発明のパーキングブレーキ装置を模式的に示しており、操作レバーが作動位置にある状態を示す（ａ）右側面図、（ｂ）要部平面図。
【図２】本発明のパーキングブレーキ装置の動作を示すフローチャート。
【図３】本発明のパーキングブレーキ装置を模式的に示しており、操作レバーが作動位置にあり、アクチュエータが作動方向に駆動している状態を示す右側面図。
【図４】本発明のパーキングブレーキ装置を模式的に示しており、操作レバーが作動位置にあり、操作レバーの延設部とアクチュエータのレバー連結部とが係合した状態を示す右側面図。
【図５】本発明のパーキングブレーキ装置を模式的に示しており、操作レバーの延設部とアクチュエータのレバー連結部とが係合した後、アクチュエータが作動方向に所定距離移動した状態を示す右側面図。
【図６】本発明のパーキングブレーキ装置を模式的に示しており、アクチュエータが解除方向に移動して、アクチュエータのレバー連結部が初期位置となった状態を示す右側面図。
【図７】本発明のパーキングブレーキ装置を模式的に示しており、操作レバーが解除位置にある状態を示す右側面図。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。本発明のパーキングブレーキ装置１は、図外の車両に配設されるものであり、図１に示すように、手動操作により移動可能に構成されると共に、図外の運転席の側方に配置され、図外のパーキングブレーキを操作する操作レバー２と、該操作レバー２を手動操作とは別に移動可能なアクチュエータ３と、該アクチュエータ３に加わる負荷を検出する負荷検出手段４と、前記アクチュエータ３を駆動制御する制御部５と、該制御部５へ前記図外のパーキングブレーキの作動及び解除の指示を出す操作スイッチ６とを備えている。
【００１５】
前記操作レバー２は、図１に示すように、車両前方側の端部にボタン２ａが設けられた公知の操作レバーに対し、車両後方側に突出する延設部７が設けられたものであり、回転移動可能に構成されている。この操作レバー２には、車両前方側の下方に、張力スイッチ８と、前記図外のパーキングブレーキに一端が連結されているコントロールケーブル９の他端が前記張力スイッチ８を挿通して接続されている。これにより、操作レバー２は、解除位置とすることで前記コントロールケーブル９を弛緩してパーキングブレーキを解除し、作動位置とすることでコントロールケーブル９を他端側に引っ張ってパーキングブレーキを作動させる。
【００１６】
又、操作レバー２は、作動位置、或いは、作動位置と解除位置との間の中間位置に位置させることで、図外のラチェット機構により解除位置への回転移動が規制され、保持された状態となる。この保持された状態の操作レバー２を解除位置に回転移動させる場合は、前記ボタン２ａを押しつつ、解除位置と逆方向に僅かに回転移動させることで前記図外のラチェット機構を解除する必要がある。
【００１７】
前記延設部７は、図１に示すように、操作レバー２の車両後方側から互いに平行に延びる２枚の平板７ａ、７ｂの車両後方側の端部を、貫通孔７ｃが設けられ、前記アクチュエータ３のレバー連結部１０と係合可能な係合板７ｄにより接続することで構成されている。
【００１８】
前記張力スイッチ８は、コントロールケーブル９の張力が、前記図外のパーキングブレーキを作動できる値以上である場合にオンとなり、それ未満の値である場合にオフとなるものである。この張力スイッチ８は、図１（ａ）に示すように前記制御部５に接続され、リミットスイッチ等を使用して構成される。
【００１９】
前記アクチュエータ３は、図１に示すように、前記操作レバー２の延設部７と遊嵌状態で連結される前記レバー連結部１０と、該レバー連結部１０に一端が接続され、他端がモータの出力部材１１に連結されるワイヤ１２と、前記出力部材１１を駆動して前記ワイヤ１２を引き込み、又は、送り出すことで、前記レバー連結部１０を前記図外のパーキングブレーキを作動させる作動方向、又は、解除させる解除方向に移動させるモータ１３とを有する。なお、出力部材１１としては、モータの回転運動をワイヤの直線運動に変換するものが好ましく、ドラム機構やボルト・ナット機構など公知の技術を使用することができる。
【００２０】
前記レバー連結部１０は、図１に示すように、前記延設部７の係合板７ｄに設けられた貫通孔７ｃより小径の円柱状であり、該貫通孔７ｃに遊嵌されるロッド部１０ａと、該ロッド部１０ａの一端側に貫通孔７ｃより大径に構成され、２つの平板７ａ、７ｂの間で移動自在で、且つ、係合板７ｄと係合可能なエンド部１０ｂとを備える。又、前記ロッド部１０ａの他端側には、前記ワイヤ１２の一端が接続されている。これにより、アクチュエータ３は前記レバー連結部１０を介して手動操作とは別に前記操作レバー２を移動可能にしている。
【００２１】
前記負荷検出手段４は、図１（ａ）に示すように前記制御部５に接続されており、前記アクチュエータ３に加わる負荷を検出するものである。この負荷検出手段４は、電流センサ等を使用して、アクチュエータ３のモータ１３の駆動電流を検出するものとして構成することが好ましい。これは、アクチュエータ３に負荷が加わった場合に、モータ１３の駆動電流が大きくなる。そのため、モータ１３の駆動電流を検出することで、アクチュエータ３に加わった負荷が、容易且つ確実に検出できるからである。
【００２２】
前記制御部５は、図１（ａ）に示すように、前記操作スイッチ６がオンとされることで、接続されている前記アクチュエータ３のモータ１３の駆動制御を行うものである。この制御部５は、前記負荷検出手段４、前記張力スイッチ８に加え、パーキングブレーキスイッチ１４、アクチュエータ初期位置スイッチ１５及び移動距離センサ１６の検出結果に基づき、モータ１３の駆動制御を行う。
【００２３】
前記パーキングブレーキスイッチ１４は、操作レバー２が、作動位置、又は、中間位置にある場合にオンとなり、解除位置にある場合にオフとなるものである。このパーキングブレーキスイッチ１４は、図１（ａ）に示すように前記制御部５に接続され、リミットスイッチ等を使用して構成される。
【００２４】
前記アクチュエータ初期位置スイッチ１５は、前記アクチュエータ３のレバー連結部１０が、前記操作レバー２を解除位置とすることが可能な初期位置にあるか否かを検出するものである。このアクチュエータ初期位置スイッチ１５は、図１（ａ）に示すように、前記アクチュエータ３のレバー連結部１０の近傍に配置され、前記制御部５に接続されている。尚、アクチュエータ初期位置スイッチ１５は、リミットスイッチ等を使用して構成される。
【００２５】
前記移動距離センサ１６は、前記アクチュエータ３のレバー連結部１０の移動距離を検出するものであり、図１（ａ）に示すように、前記制御部５に接続されている。この移動距離センサ１６は、パルスエンコーダ等を用いて、出力部材１１の回転量を検出するように構成することが好ましい。このように移動距離センサ１６を構成することで、前記出力部材１１の回転量に基づき、前記レバー連結部１０の移動距離を容易に検出できる。
【００２６】
前記操作スイッチ６は、作動用スイッチ６ａと解除用スイッチ６ｂとにより構成され、図１（ａ）に示すように制御部５に接続されており、前記図外の運転席の前方の図外のインストルメントパネルに配設されている。
【００２７】
前記作動用スイッチ６ａはオンとされることにより、前記制御部５に、前記図外のパーキングブレーキを作動させる動作の開始を指示する。又、前記解除用スイッチ６ｂはオンとされることにより、制御部５に、パーキングブレーキを解除するための操作レバー２の手動操作をアシストする動作の開始を指示する。
【００２８】
以上のように各部が構成される本発明のパーキングブレーキ装置１は、前記図外のパーキングブレーキを解除するための操作レバー２の手動操作をアシストする動作に特徴があり、以下では、当該動作について図２のフローチャートに基づき説明する。
【００２９】
まず、図２のＳ１において、操作レバー２の手動操作にて図外のパーキングブレーキが作動され、レバー連結部１０のエンド部１０ｂが操作レバー２の延設部７の係合板７ｄと離間している遊嵌状態（図１参照）から、制御部５は、操作スイッチ６の解除用スイッチ６ｂが操作されてオンとされ、操作スイッチ６から前記図外のパーキングブレーキの解除指示が出されているか否かを判断する。操作スイッチ６がオンとされていれば、前記図外のパーキングブレーキを解除するための操作レバー２の手動操作をアシストする動作を開始するためにＳ２に進み、オンとされていなければ待機する。
【００３０】
図２のＳ２において、制御部５は、パーキングブレーキスイッチ１４がオフであり、且つ、アクチュエータ初期位置スイッチ１５がオンであるか否かを判断する。これは、操作レバー２が作動位置又は中間位置にあり、且つ、アクチュエータ３のレバー連結部１０が初期位置にあることを確認するためであり、両条件を満たしていればＳ３に進み、いずれか一方でも満たしていなければＳ１に戻る。
【００３１】
図２のＳ３において、制御部５は、アクチュエータ３のレバー連結部１０がパーキングブレーキの作動方向に移動するように、アクチュエータ３のモータ１３を駆動させる。これにより、前記レバー連結部１０のエンド部１０ｂが、図３に示すように、操作レバー２の延設部７の平板７ａ、７ｂの間を移動して、係合板７ｄに接近する。
【００３２】
図２のＳ４において、制御部５は、負荷検出手段４の検出するアクチュエータ３に加わる負荷が増加したか否かを判断する。負荷検出手段４において検出される負荷が増加していればＳ５に進み、増加していなければ検出する負荷が増加するまで待機する。
【００３３】
尚、Ｓ４は、操作レバー２の延設部７の係合板７ｄと、アクチュエータ３のレバー連結部１０のエンド部１０ｂとが係合したことを検出するために行われ、図４に示す作動位置、又は中間位置に保持されている操作レバー２を解除方向と逆方向に回転移動させようとする際に、アクチュエータ３に加わる負荷が増加することを利用して、前記係合板７ｄと前記エンド部１０ｂとが係合したことを検出する。
【００３４】
図２のＳ５において、制御部５は、Ｓ４における前記係合板７ｄと前記エンド部１０ｂとの係合検出後、アクチュエータ３のレバー連結部１０の作動方向への移動が、所定距離に達していることを、移動距離センサ１６において検出しているか否かを判断する。前記レバー連結部１０の作動方向への移動が所定距離に達していればＳ７に進み、所定距離に達していなければ待機する。
【００３５】
尚、アクチュエータ３のレバー連結部１０の作動方向への移動が所定距離に達することで、前記図外のラチェット機構を解除するために必要な図５に示す作動位置又は中間位置に保持された操作レバー２の解除位置と逆方向へ回転移動が完了する。但し、この回転移動が行われる際、前記図外のラチェット機構を解除するためには、操作者が操作レバー２のボタン２ａを押しておく必要がある。
【００３６】
図２のＳ６において、制御部５は、アクチュエータ３のモータ１３の駆動方向を変更して、アクチュエータ３のレバー連結部１０がパーキングブレーキの解除方向に移動するように、アクチュエータ３のモータ１３を駆動させる。これにより、操作レバー２の延設部７の係合板７ｄと、前記レバー連結部１０のエンド部１０ｂとの係合が解除され、図外のパーキングブレーキを操作レバー２の手動操作で解除できる状態となる。
【００３７】
図２のＳ７において、制御部５が、アクチュエータ初期位置スイッチ１５がオンであるか否かを判断する。これは、アクチュエータ３のレバー連結部１０が、図６に示すように、初期位置に戻っていることを確認するためである。アクチュエータ初期位置スイッチ１５がオンであればＳ８に進み、オンでなければ待機する。
【００３８】
図２のＳ８において、制御部５が、アクチュエータ３のモータ１３の駆動を停止させて処理を終了する。
【００３９】
以上説明したパーキングブレーキ装置１は、操作スイッチ６の解除用スイッチ６ｂからの前記図外のパーキングブレーキの解除指示により、制御部５が、作動位置又は中間位置に保持されている操作レバー２の延設部７とアクチュエータ３のレバー連結部１０とを係合させるべく、前記レバー連結部１０を作動方向に駆動させる。そして、本パーキングブレーキ装置１では、制御部５が、負荷検出手段４が検出するアクチュエータ３に加わる負荷の増加に基づき、前記延設部７と前記レバー連結部１０との係合を検出し、該係合の検出後に、前記レバー連結部１０を所定距離だけ作動方向に移動して、操作レバー２を解除方向と逆方向に回転移動させる。これにより、本パーキングブレーキ装置１では、操作レバー２の作動位置又は中間位置への回転移動が手動操作によるものか、アクチュエータ３によるものかを問わず、操作者が操作レバー２の解除用スイッチ６ｂを操作した後、図外のパーキングブレーキを走査レバー２の手動操作で解除できる状態となるため、操作レバー２のボタン２ａを押すだけで、操作レバー２のラチェット機構を解除することができる。従って、本パーキングブレーキ装置１は、操作者の前記図外のパーキングブレーキを解除するための操作レバー２の手動操作をアシストして、操作者の負担を低減できる。
【００４０】
又、本発明のパーキングブレーキ装置１では、制御部５が、操作レバー２の延設部７とアクチュエータ３のレバー連結部１０とを係合させて、該レバー連結部１０を所定距離だけ作動方向に移動した後、該レバー連結部１０を解除方向に移動させて初期位置とする。これにより、本パーキングブレーキ装置１では、操作者が、手動操作にて操作レバー２を回転移動させて図７に示すように解除位置とし、前記図外のパーキングブレーキを解除することができるので、操作者の負担をより低減できる。
【００４１】
又、本発明のパーキングブレーキ装置１では、操作レバー２の延設部７とアクチュエータ３のレバー連結部１０との係合後における、該レバー連結部１０の作動方向への移動は、操作レバー２の前記図外のラチェット機構を解除するために必要な距離に限られる。従って、本パーキングブレーキ装置１では、操作レバー２が中間位置に保持されている場合に、前記レバー連結部１０の作動方向への移動距離が少なく、操作者が早期に操作レバー２を解除位置へ手動操作にて回転移動できる状態となるので、操作者の負担をより低減できる。
【００４２】
又、本発明のパーキングブレーキ装置１は、負荷検出手段４がアクチュエータ３のモータ１３の駆動電流を検出するものであるので、アクチュエータ３に加わる負荷の変化の検出が容易である。そのため、本パーキングブレーキ装置１では、アクチュエータ３のレバー連結部１０を初期位置に戻すための、該レバー連結部１０の解除方向への移動を早期、且つ、確実に行うことができるので、操作者の負担を一層低減できる。
【００４３】
尚、本実施の形態で示したパーキングブレーキ装置１は、本発明に係るパーキングブレーキ装置の一態様にすぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【産業上の利用可能性】
【００４４】
本発明に係るパーキングブレーキ装置は、センターフロア式の車両用パーキングブレーキ装置として利用できる。
【符号の説明】
【００４５】
１ パーキングブレーキ装置
２ 操作レバー
３ アクチュエータ
４ 負荷検出手段
５ 制御部
６ 操作スイッチ
６ａ 作動用スイッチ
６ｂ 解除用スイッチ
９ レバー連結部
１２ モータ
【技術分野】
【０００１】
本発明は、車両を駐車する際に使用されるパーキングブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
車両に適用されるセンターフロア式のパーキングブレーキ装置は、運転席の側方に配設され、パーキングブレーキを操作する操作レバーを備えており、操作者が、車両を駐車する際に、前記操作レバーをパーキングブレーキが解除する解除位置から引き上げて、パーキングブレーキが作動する作動位置へ移動させることにより使用する。
【０００３】
ここで、特許文献１には、操作者の操作レバーの操作をアシストする機構が設けられたパーキングブレーキ装置が開示されている。このパーキングブレーキ装置は、操作レバーを作動位置へ移動可能なアクチュエータを備えており、操作レバーが解除位置と作動位置との間の中間位置にある時に、アクチュエータが駆動して操作レバーを作動位置に移動させる。
【０００４】
又、特許文献２に開示するパーキングブレーキ装置では、アシストケーブルのケーブルエンドが摺動自在に配置されるガイド溝を操作レバーに形成している。このパーキングブレーキ装置では、操作レバーが解除位置にある時に、ガイド溝の作動位置側の端部にケーブルエンドを位置させて、アクチュエータによりアシストケーブルを引き操作することで、操作レバーを作動位置に移動させる。更に、このパーキングブレーキは、パーキングブレーキの作動が十分でない場合に、アクチュエータによりアシストケーブルを増し引きして、操作レバーを更に移動させる機能も有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２００６-２４８４０８号公報
【特許文献２】特開２０１１-１１６３５４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、特許文献１のパーキングブレーキ装置では、操作レバーの解除位置への移動をアクチュエータの駆動によりアシストできない。従って、このパーキングブレーキ装置においては、パーキングブレーキを解除する際に、操作者に負担がかかる。
【０００７】
又、特許文献２のパーキングブレーキ装置では、アクチュエータにより作動位置へ移動させた操作レバー、或いは、アクチュエータによりアシストケーブルを増し引きすることで移動させた操作レバーの解除位置への移動をアクチュエータの駆動によりアシストできる。しかし、このパーキングブレーキ装置では、手動操作により作動位置へ移動させた操作レバーの解除位置への移動をアクチュエータの駆動によりアシストできない。従って、このパーキングブレーキ装置でも、パーキングブレーキを解除する際の操作者の負担を十分に低減できないおそれがある。
【０００８】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、手動操作でパーキングブレーキを作動させた後にパーキングブレーキを解除する際に、操作レバーの解除位置への移動をアシストして、操作者の負担を低減できるパーキングブレーキ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記目的を達成するために、本発明のパーキングブレーキ装置は、手動操作により移動可能に構成され、パーキングブレーキを操作する操作レバーと、前記操作レバーと遊嵌状態で連結されたレバー連結部を有し、前記レバー連結部を介して手動操作とは別に前記操作レバーを移動可能なアクチュエータと、前記アクチュエータに加わる負荷を検出する負荷検出手段と、前記アクチュエータを駆動制御する制御部と、前記制御部へ前記パーキングブレーキの作動または解除の指示を出す操作スイッチとを備え、前記操作スイッチから前記パーキングブレーキの解除指示が出されたとき、前記制御部は前記アクチュエータを前記パーキングブレーキが作動する作動方向に駆動させ、前記負荷検出手段が前記操作レバーと前記レバー連結部の係合による負荷を検出した時点で、前記アクチュエータを前記パーキングブレーキが解除する解除方向へ駆動することを特徴としている。
【発明の効果】
【００１０】
（１）本発明のパーキングブレーキ装置は、操作スイッチからのパーキングブレーキの解除指示により制御部が、アクチュエータを作動方向に駆動させて、操作レバーとアクチュエータのレバー連結部とを係合させ、該係合による負荷を負荷検出手段で検出した時点で、アクチュエータを解除方向へ駆動させる。これにより、本パーキングブレーキ装置では、パーキングブレーキを作動させる操作レバーの移動が手動操作によるものか、アクチュエータによるものかを問わず、パーキングブレーキを解除するための操作者の操作レバーの手動操作を、アクチュエータによりアシストするので、操作者の負担を低減できる。
【００１１】
（２）本発明のパーキングブレーキ装置は、アクチュエータを解除方向へ駆動することで、パーキングブレーキを操作レバーの手動操作で解除できる状態となるので、操作者の負担をより軽減できる。
【００１２】
（３）本発明のパーキングブレーキ装置は、負荷検出手段がアクチュエータの有するモータの駆動電流を検出するものであるので、アクチュエータに加わる負荷の変化の検出が容易である。そのため、本パーキングブレーキ装置では、早期にアクチュエータをパーキングブレーキの解除方向に駆動させることができるので、操作者の負担を一層軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】本発明のパーキングブレーキ装置を模式的に示しており、操作レバーが作動位置にある状態を示す（ａ）右側面図、（ｂ）要部平面図。
【図２】本発明のパーキングブレーキ装置の動作を示すフローチャート。
【図３】本発明のパーキングブレーキ装置を模式的に示しており、操作レバーが作動位置にあり、アクチュエータが作動方向に駆動している状態を示す右側面図。
【図４】本発明のパーキングブレーキ装置を模式的に示しており、操作レバーが作動位置にあり、操作レバーの延設部とアクチュエータのレバー連結部とが係合した状態を示す右側面図。
【図５】本発明のパーキングブレーキ装置を模式的に示しており、操作レバーの延設部とアクチュエータのレバー連結部とが係合した後、アクチュエータが作動方向に所定距離移動した状態を示す右側面図。
【図６】本発明のパーキングブレーキ装置を模式的に示しており、アクチュエータが解除方向に移動して、アクチュエータのレバー連結部が初期位置となった状態を示す右側面図。
【図７】本発明のパーキングブレーキ装置を模式的に示しており、操作レバーが解除位置にある状態を示す右側面図。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。本発明のパーキングブレーキ装置１は、図外の車両に配設されるものであり、図１に示すように、手動操作により移動可能に構成されると共に、図外の運転席の側方に配置され、図外のパーキングブレーキを操作する操作レバー２と、該操作レバー２を手動操作とは別に移動可能なアクチュエータ３と、該アクチュエータ３に加わる負荷を検出する負荷検出手段４と、前記アクチュエータ３を駆動制御する制御部５と、該制御部５へ前記図外のパーキングブレーキの作動及び解除の指示を出す操作スイッチ６とを備えている。
【００１５】
前記操作レバー２は、図１に示すように、車両前方側の端部にボタン２ａが設けられた公知の操作レバーに対し、車両後方側に突出する延設部７が設けられたものであり、回転移動可能に構成されている。この操作レバー２には、車両前方側の下方に、張力スイッチ８と、前記図外のパーキングブレーキに一端が連結されているコントロールケーブル９の他端が前記張力スイッチ８を挿通して接続されている。これにより、操作レバー２は、解除位置とすることで前記コントロールケーブル９を弛緩してパーキングブレーキを解除し、作動位置とすることでコントロールケーブル９を他端側に引っ張ってパーキングブレーキを作動させる。
【００１６】
又、操作レバー２は、作動位置、或いは、作動位置と解除位置との間の中間位置に位置させることで、図外のラチェット機構により解除位置への回転移動が規制され、保持された状態となる。この保持された状態の操作レバー２を解除位置に回転移動させる場合は、前記ボタン２ａを押しつつ、解除位置と逆方向に僅かに回転移動させることで前記図外のラチェット機構を解除する必要がある。
【００１７】
前記延設部７は、図１に示すように、操作レバー２の車両後方側から互いに平行に延びる２枚の平板７ａ、７ｂの車両後方側の端部を、貫通孔７ｃが設けられ、前記アクチュエータ３のレバー連結部１０と係合可能な係合板７ｄにより接続することで構成されている。
【００１８】
前記張力スイッチ８は、コントロールケーブル９の張力が、前記図外のパーキングブレーキを作動できる値以上である場合にオンとなり、それ未満の値である場合にオフとなるものである。この張力スイッチ８は、図１（ａ）に示すように前記制御部５に接続され、リミットスイッチ等を使用して構成される。
【００１９】
前記アクチュエータ３は、図１に示すように、前記操作レバー２の延設部７と遊嵌状態で連結される前記レバー連結部１０と、該レバー連結部１０に一端が接続され、他端がモータの出力部材１１に連結されるワイヤ１２と、前記出力部材１１を駆動して前記ワイヤ１２を引き込み、又は、送り出すことで、前記レバー連結部１０を前記図外のパーキングブレーキを作動させる作動方向、又は、解除させる解除方向に移動させるモータ１３とを有する。なお、出力部材１１としては、モータの回転運動をワイヤの直線運動に変換するものが好ましく、ドラム機構やボルト・ナット機構など公知の技術を使用することができる。
【００２０】
前記レバー連結部１０は、図１に示すように、前記延設部７の係合板７ｄに設けられた貫通孔７ｃより小径の円柱状であり、該貫通孔７ｃに遊嵌されるロッド部１０ａと、該ロッド部１０ａの一端側に貫通孔７ｃより大径に構成され、２つの平板７ａ、７ｂの間で移動自在で、且つ、係合板７ｄと係合可能なエンド部１０ｂとを備える。又、前記ロッド部１０ａの他端側には、前記ワイヤ１２の一端が接続されている。これにより、アクチュエータ３は前記レバー連結部１０を介して手動操作とは別に前記操作レバー２を移動可能にしている。
【００２１】
前記負荷検出手段４は、図１（ａ）に示すように前記制御部５に接続されており、前記アクチュエータ３に加わる負荷を検出するものである。この負荷検出手段４は、電流センサ等を使用して、アクチュエータ３のモータ１３の駆動電流を検出するものとして構成することが好ましい。これは、アクチュエータ３に負荷が加わった場合に、モータ１３の駆動電流が大きくなる。そのため、モータ１３の駆動電流を検出することで、アクチュエータ３に加わった負荷が、容易且つ確実に検出できるからである。
【００２２】
前記制御部５は、図１（ａ）に示すように、前記操作スイッチ６がオンとされることで、接続されている前記アクチュエータ３のモータ１３の駆動制御を行うものである。この制御部５は、前記負荷検出手段４、前記張力スイッチ８に加え、パーキングブレーキスイッチ１４、アクチュエータ初期位置スイッチ１５及び移動距離センサ１６の検出結果に基づき、モータ１３の駆動制御を行う。
【００２３】
前記パーキングブレーキスイッチ１４は、操作レバー２が、作動位置、又は、中間位置にある場合にオンとなり、解除位置にある場合にオフとなるものである。このパーキングブレーキスイッチ１４は、図１（ａ）に示すように前記制御部５に接続され、リミットスイッチ等を使用して構成される。
【００２４】
前記アクチュエータ初期位置スイッチ１５は、前記アクチュエータ３のレバー連結部１０が、前記操作レバー２を解除位置とすることが可能な初期位置にあるか否かを検出するものである。このアクチュエータ初期位置スイッチ１５は、図１（ａ）に示すように、前記アクチュエータ３のレバー連結部１０の近傍に配置され、前記制御部５に接続されている。尚、アクチュエータ初期位置スイッチ１５は、リミットスイッチ等を使用して構成される。
【００２５】
前記移動距離センサ１６は、前記アクチュエータ３のレバー連結部１０の移動距離を検出するものであり、図１（ａ）に示すように、前記制御部５に接続されている。この移動距離センサ１６は、パルスエンコーダ等を用いて、出力部材１１の回転量を検出するように構成することが好ましい。このように移動距離センサ１６を構成することで、前記出力部材１１の回転量に基づき、前記レバー連結部１０の移動距離を容易に検出できる。
【００２６】
前記操作スイッチ６は、作動用スイッチ６ａと解除用スイッチ６ｂとにより構成され、図１（ａ）に示すように制御部５に接続されており、前記図外の運転席の前方の図外のインストルメントパネルに配設されている。
【００２７】
前記作動用スイッチ６ａはオンとされることにより、前記制御部５に、前記図外のパーキングブレーキを作動させる動作の開始を指示する。又、前記解除用スイッチ６ｂはオンとされることにより、制御部５に、パーキングブレーキを解除するための操作レバー２の手動操作をアシストする動作の開始を指示する。
【００２８】
以上のように各部が構成される本発明のパーキングブレーキ装置１は、前記図外のパーキングブレーキを解除するための操作レバー２の手動操作をアシストする動作に特徴があり、以下では、当該動作について図２のフローチャートに基づき説明する。
【００２９】
まず、図２のＳ１において、操作レバー２の手動操作にて図外のパーキングブレーキが作動され、レバー連結部１０のエンド部１０ｂが操作レバー２の延設部７の係合板７ｄと離間している遊嵌状態（図１参照）から、制御部５は、操作スイッチ６の解除用スイッチ６ｂが操作されてオンとされ、操作スイッチ６から前記図外のパーキングブレーキの解除指示が出されているか否かを判断する。操作スイッチ６がオンとされていれば、前記図外のパーキングブレーキを解除するための操作レバー２の手動操作をアシストする動作を開始するためにＳ２に進み、オンとされていなければ待機する。
【００３０】
図２のＳ２において、制御部５は、パーキングブレーキスイッチ１４がオフであり、且つ、アクチュエータ初期位置スイッチ１５がオンであるか否かを判断する。これは、操作レバー２が作動位置又は中間位置にあり、且つ、アクチュエータ３のレバー連結部１０が初期位置にあることを確認するためであり、両条件を満たしていればＳ３に進み、いずれか一方でも満たしていなければＳ１に戻る。
【００３１】
図２のＳ３において、制御部５は、アクチュエータ３のレバー連結部１０がパーキングブレーキの作動方向に移動するように、アクチュエータ３のモータ１３を駆動させる。これにより、前記レバー連結部１０のエンド部１０ｂが、図３に示すように、操作レバー２の延設部７の平板７ａ、７ｂの間を移動して、係合板７ｄに接近する。
【００３２】
図２のＳ４において、制御部５は、負荷検出手段４の検出するアクチュエータ３に加わる負荷が増加したか否かを判断する。負荷検出手段４において検出される負荷が増加していればＳ５に進み、増加していなければ検出する負荷が増加するまで待機する。
【００３３】
尚、Ｓ４は、操作レバー２の延設部７の係合板７ｄと、アクチュエータ３のレバー連結部１０のエンド部１０ｂとが係合したことを検出するために行われ、図４に示す作動位置、又は中間位置に保持されている操作レバー２を解除方向と逆方向に回転移動させようとする際に、アクチュエータ３に加わる負荷が増加することを利用して、前記係合板７ｄと前記エンド部１０ｂとが係合したことを検出する。
【００３４】
図２のＳ５において、制御部５は、Ｓ４における前記係合板７ｄと前記エンド部１０ｂとの係合検出後、アクチュエータ３のレバー連結部１０の作動方向への移動が、所定距離に達していることを、移動距離センサ１６において検出しているか否かを判断する。前記レバー連結部１０の作動方向への移動が所定距離に達していればＳ７に進み、所定距離に達していなければ待機する。
【００３５】
尚、アクチュエータ３のレバー連結部１０の作動方向への移動が所定距離に達することで、前記図外のラチェット機構を解除するために必要な図５に示す作動位置又は中間位置に保持された操作レバー２の解除位置と逆方向へ回転移動が完了する。但し、この回転移動が行われる際、前記図外のラチェット機構を解除するためには、操作者が操作レバー２のボタン２ａを押しておく必要がある。
【００３６】
図２のＳ６において、制御部５は、アクチュエータ３のモータ１３の駆動方向を変更して、アクチュエータ３のレバー連結部１０がパーキングブレーキの解除方向に移動するように、アクチュエータ３のモータ１３を駆動させる。これにより、操作レバー２の延設部７の係合板７ｄと、前記レバー連結部１０のエンド部１０ｂとの係合が解除され、図外のパーキングブレーキを操作レバー２の手動操作で解除できる状態となる。
【００３７】
図２のＳ７において、制御部５が、アクチュエータ初期位置スイッチ１５がオンであるか否かを判断する。これは、アクチュエータ３のレバー連結部１０が、図６に示すように、初期位置に戻っていることを確認するためである。アクチュエータ初期位置スイッチ１５がオンであればＳ８に進み、オンでなければ待機する。
【００３８】
図２のＳ８において、制御部５が、アクチュエータ３のモータ１３の駆動を停止させて処理を終了する。
【００３９】
以上説明したパーキングブレーキ装置１は、操作スイッチ６の解除用スイッチ６ｂからの前記図外のパーキングブレーキの解除指示により、制御部５が、作動位置又は中間位置に保持されている操作レバー２の延設部７とアクチュエータ３のレバー連結部１０とを係合させるべく、前記レバー連結部１０を作動方向に駆動させる。そして、本パーキングブレーキ装置１では、制御部５が、負荷検出手段４が検出するアクチュエータ３に加わる負荷の増加に基づき、前記延設部７と前記レバー連結部１０との係合を検出し、該係合の検出後に、前記レバー連結部１０を所定距離だけ作動方向に移動して、操作レバー２を解除方向と逆方向に回転移動させる。これにより、本パーキングブレーキ装置１では、操作レバー２の作動位置又は中間位置への回転移動が手動操作によるものか、アクチュエータ３によるものかを問わず、操作者が操作レバー２の解除用スイッチ６ｂを操作した後、図外のパーキングブレーキを走査レバー２の手動操作で解除できる状態となるため、操作レバー２のボタン２ａを押すだけで、操作レバー２のラチェット機構を解除することができる。従って、本パーキングブレーキ装置１は、操作者の前記図外のパーキングブレーキを解除するための操作レバー２の手動操作をアシストして、操作者の負担を低減できる。
【００４０】
又、本発明のパーキングブレーキ装置１では、制御部５が、操作レバー２の延設部７とアクチュエータ３のレバー連結部１０とを係合させて、該レバー連結部１０を所定距離だけ作動方向に移動した後、該レバー連結部１０を解除方向に移動させて初期位置とする。これにより、本パーキングブレーキ装置１では、操作者が、手動操作にて操作レバー２を回転移動させて図７に示すように解除位置とし、前記図外のパーキングブレーキを解除することができるので、操作者の負担をより低減できる。
【００４１】
又、本発明のパーキングブレーキ装置１では、操作レバー２の延設部７とアクチュエータ３のレバー連結部１０との係合後における、該レバー連結部１０の作動方向への移動は、操作レバー２の前記図外のラチェット機構を解除するために必要な距離に限られる。従って、本パーキングブレーキ装置１では、操作レバー２が中間位置に保持されている場合に、前記レバー連結部１０の作動方向への移動距離が少なく、操作者が早期に操作レバー２を解除位置へ手動操作にて回転移動できる状態となるので、操作者の負担をより低減できる。
【００４２】
又、本発明のパーキングブレーキ装置１は、負荷検出手段４がアクチュエータ３のモータ１３の駆動電流を検出するものであるので、アクチュエータ３に加わる負荷の変化の検出が容易である。そのため、本パーキングブレーキ装置１では、アクチュエータ３のレバー連結部１０を初期位置に戻すための、該レバー連結部１０の解除方向への移動を早期、且つ、確実に行うことができるので、操作者の負担を一層低減できる。
【００４３】
尚、本実施の形態で示したパーキングブレーキ装置１は、本発明に係るパーキングブレーキ装置の一態様にすぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【産業上の利用可能性】
【００４４】
本発明に係るパーキングブレーキ装置は、センターフロア式の車両用パーキングブレーキ装置として利用できる。
【符号の説明】
【００４５】
１ パーキングブレーキ装置
２ 操作レバー
３ アクチュエータ
４ 負荷検出手段
５ 制御部
６ 操作スイッチ
６ａ 作動用スイッチ
６ｂ 解除用スイッチ
９ レバー連結部
１２ モータ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
手動操作により移動可能に構成され、パーキングブレーキを操作する操作レバーと、
前記操作レバーと遊嵌状態で連結されたレバー連結部を有し、前記レバー連結部を介して手動操作とは別に前記操作レバーを移動可能なアクチュエータと、
前記アクチュエータに加わる負荷を検出する負荷検出手段と、
前記アクチュエータを駆動制御する制御部と、
前記制御部へ前記パーキングブレーキの作動または解除の指示を出す操作スイッチとを備え、
前記操作スイッチから前記パーキングブレーキの解除指示が出されたとき、前記制御部は前記アクチュエータを前記パーキングブレーキが作動する作動方向に駆動させ、前記負荷検出手段が前記操作レバーと前記レバー連結部の係合による負荷を検出した時点で、前記アクチュエータを前記パーキングブレーキが解除する解除方向へ駆動することを特徴とするパーキングブレーキ装置。
【請求項２】
前記アクチュエータが前記解除方向へ駆動することにより、前記パーキングブレーキを前記操作レバーの手動操作で解除できる状態となることを特徴とする請求項１記載のパーキングブレーキ装置。
【請求項３】
前記アクチュエータはモータを有し、
前記負荷検出手段は前記モータの駆動電流を検出することを特徴とする請求項１または２記載のパーキングブレーキ装置。
【請求項１】
手動操作により移動可能に構成され、パーキングブレーキを操作する操作レバーと、
前記操作レバーと遊嵌状態で連結されたレバー連結部を有し、前記レバー連結部を介して手動操作とは別に前記操作レバーを移動可能なアクチュエータと、
前記アクチュエータに加わる負荷を検出する負荷検出手段と、
前記アクチュエータを駆動制御する制御部と、
前記制御部へ前記パーキングブレーキの作動または解除の指示を出す操作スイッチとを備え、
前記操作スイッチから前記パーキングブレーキの解除指示が出されたとき、前記制御部は前記アクチュエータを前記パーキングブレーキが作動する作動方向に駆動させ、前記負荷検出手段が前記操作レバーと前記レバー連結部の係合による負荷を検出した時点で、前記アクチュエータを前記パーキングブレーキが解除する解除方向へ駆動することを特徴とするパーキングブレーキ装置。
【請求項２】
前記アクチュエータが前記解除方向へ駆動することにより、前記パーキングブレーキを前記操作レバーの手動操作で解除できる状態となることを特徴とする請求項１記載のパーキングブレーキ装置。
【請求項３】
前記アクチュエータはモータを有し、
前記負荷検出手段は前記モータの駆動電流を検出することを特徴とする請求項１または２記載のパーキングブレーキ装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２０１３−３５３０６（Ｐ２０１３−３５３０６Ａ）
【公開日】平成２５年２月２１日（２０１３．２．２１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−１７０３８３（Ｐ２０１１−１７０３８３）
【出願日】平成２３年８月３日（２０１１．８．３）
【出願人】（３９００００９９６）株式会社ハイレックスコーポレーション (362)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２５年２月２１日（２０１３．２．２１）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年８月３日（２０１１．８．３）
【出願人】（３９００００９９６）株式会社ハイレックスコーポレーション (362)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]