説明

パーキングポジションスイッチを備えたウインドワイパー用駆動装置

本発明は、出力ギヤホイール(6)と、該出力ギヤホイール(6)の方向に開口したプラスチックからなるスリーブを備えたギヤカバー(4)と、回転可能に支承された第1のコンタクトと前記ギヤカバー(4)に固定的に配設された第2のコンタクトを備えたパーキングポジションスイッチと、連動デバイスを含んでいる。前記スリーブは、コンタクトスリーブ(8)として特にその内面にコンタクトトラック(31b,53a,31)を伴って構成されている。回転の際の摺動接触のために連動ディスク(9)の円筒状ピース(10)がコンタクトスリーブ(8)の内部へ延在している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力ギヤホイールと、前記出力ギヤホイール方向に開口したプラスチックからなるスリーブが成形されているギヤカバーと、回転可能に支承された第1のコンタクトと共に摺動接触を生じる、前記ギヤカバーに固定的に設けられた第2のコンタクトからなるパーキングポジションスイッチとを有し、前記回転可能に支承された第1のコンタクトが連動デバイスを介して出力ギヤホイールに接続されている、ウインドワイパー用駆動装置に関している。
【0002】
背景技術
この種の駆動装置は既に独国特許出願公開第19548824号明細書から公知である。
【0003】
ウインドワイパーのための駆動装置には複数のスイッチが設けられており、これらのスイッチは、ドライバによってメインスイッチが解放された後でウインドワイパーが再びそのパーキングポジションとも称される初期位置に達するまで駆動装置のモーターに電流を供給し続ける役割を果たすものである。
【0004】
従来方式では、このパーキングポジションスイッチは、3つの同心的な区分毎に中断されるコンタクトトラックを備えたスイッチングプレートによって実現されていた。この場合各トラックの上を点状のコンタクト要素(コンタクトフラグ)が摺動し、このコンタクト要素がコンタクトトラックとの導電接続を形成する。コンタクトトラックないしはスイッチングプレートは大抵の場合、出力シャフトの出力ギヤホイール上に固定的に配設されるかそれと結合され、それに対してコンタクトフラグは特にギヤカバーにおいてケーシング固定されて形成されている。
【0005】
1つの構成要素、典型的にはパーキングポジションスイッチの出力ギヤホイールと共に回転するコンタクトトラックが出力シャフトと固定的に結合されている配置構成では、次に述べるような問題が発生する。
【0006】
ワイパーブレードは、外的影響、例えばフロントウインドウに積もった雪などによってパーキングポジションに到達させることが阻害されることがある。しかしながら出力シャフトは、阻害要因のないワイパーブレードの動きの際のパーキングポジションに相応する角度位置を占めるまでは、モーターによって駆動され続けるため、ワイパーアームとワイパーブレードが障害物の所で弓形に湾曲して機械的緊張が生じる。モーターが自動遮断されると直ちに出力シャフトの逆回転によって緊張しているワイパーは解放されるが、このことは引き続きパーキングポジションスイッチの新たなスイッチオンとモーターへの給電につながる。そして再びワイパーが障害物に阻まれ、新たな機械的緊張が形成される。このような過程は、障害物(雪)が取り除かれるまで繰り返される。その際に明らかなことは、ギヤ装置への著しい負担とそれによる寿命の低下である。
【0007】
このような問題を解消するために、冒頭に述べたような形式の装置に雪等の外的負荷に対する保護機能が装備される。すなわちパーキングポジションスイッチが連動デバイスによって補足され、回転可能に支承されているコンタクトがもはや固定的ではなく、クラッチを介して出力ギヤホイールに接続される。このクラッチは、次のように構成されている。すなわち出力シャフトがワイパーを振り子のように駆動する通常の運転モードにおいてはスイッチングプレートを連動し、そのためパーキングポジションスイッチがそのスイッチングプレートが出力シャフトに固定的に結合されている1つのパーキングポジションスイッチのように働く。しかしながら前述したような不都合な状況が発生した場合、例えば出力シャフトが強い風圧によって本来の回転方向とは逆に戻された場合、スイッチングプレートは連動されず、それによってパーキングポジションスイッチはその他のケースでは新たに給電するがここでは閉成されない。
【0008】
この種の連動デバイスとの接続においては冒頭に述べた公知文献において、フラットに構成されたケーシングを得るために、回転可能に支承されているコンタクト要素をギヤホイールカバーに形成されているプラスチック支持スリーブ上に支承させ、出力シャフトをこのスリーブ内部へ延在させることが提案されている。
【0009】
連動原理単独から見れば、冒頭に述べたような形式の装置では、回転可能なコンタクトトラックを備えた実施形態が有利であり、またコンタクトフラグが回転可能に支承されていてもよい。しかしながら公知の全ての駆動装置はあらゆるケースに共通して第1の回転可能に支承された平面ないしコンタクトディスクに帰着し、これは摺動接触において第2のコンタクト面に並列に設けられ、典型的には、ギヤカバー内側のフラット部分によって形成される。この従来の並列な構成は、構造的な構成に関して非常に厳しい制約があり、その他の観点においても完全に満足のゆくものではない。
【0010】
発明の開示
発明が解決しようとする課題
それ故に本発明の課題は、冒頭にのべたような形式の駆動装置において従来技術の欠点に鑑みこれを解消すべく改善を行うことである。
【0011】
課題を解決するための手段
前記課題は、請求項1の特徴部分に記載されている本発明の駆動装置によって解決される。
【0012】
発明を実施するための最良の形態
本発明の別の有利な実施例及び改善例は従属請求項に記載されている。
【0013】
冒頭に述べたような形式の本発明によるパーキングポジションスイッチを備えた駆動装置は、それに応じてまずスリーブがコンタクトスリーブとして形成され、これは回転可能に支承されたコンタクトの接触接続に用いられ、コンタクトスリーブには複数のコンタクトトラックが設けられており、これらのコンタクトトラックのうちの少なくとも1つがコンタクトスリーブの内面に設けられている。さらに連動デバイスは、中央に載置された円筒状ピースとコンタクトフラグを備えた連動ディスクを含んでおり、この場合前記コンタクトフラグの少なくとも1つは円筒状ピースの表面に形成されている。本発明による円筒状ピースは、出力ギヤホイールと共に回転する連動ディスクのコンタクトフラグが摺動しながら前記コンタクトスリーブのコンタクトトラックに接触するように当該コンタクトスリーブ内方へ延在していることによって、雪による阻害要因に対する保護機能を備えたパーキングポジションスイッチが実現され、これは省スペース的で、確実なコンタクト性と構造変更の可能性も提供し得る。特に本発明によれば、コンタクトトラックとコンタクトフラグからなるパーキングポジションスイッチのコンタクト系が実質的にギヤカバー内に集積可能である。
【0014】
本発明の特に有利な実施例によれば、3つのコンタクトトラックと連動ディスクに、電気的に相互接続された2つのコンタクトフラグが設けられており、該2つのコンタクトフラグは、連動ディスクの回転のもとで、第1のコンタクトフラグは前記コンタクトスリーブの第1のコンタクトトラックに常時摺動し、かつ第2のコンタクトフラグは前記コンタクトスリーブの第2及び第3のコンタクトトラックに交互に摺動するように構成され配設されている。このような2つのコンタクトフラグだけを備えた簡素な摺動システムは、低コストで故障も少ない。
【0015】
この種の摺動システムは、本発明の基礎となるスリーブ/円筒状部の幾何学形態との関連で容易に次のように実現される。すなわち第2及び第3のコンタクトトラックは、環状の回転トラックの相互絶縁部によってのみ中断されるセグメントとして構成され、該セグメントに沿って第2のコンタクトフラグが摺動して回転し、第2及び第3のコンタクトトラックに交互にコンタクトするようにして実現される。
【0016】
その上さらに有利には、3つのコンタクトトラックの全てがコンタクトスリーブの内面に配設されており、2つのコンタクトフラグは、円筒状ピースの表面に構成されている。
【0017】
この場合別の実施例によれば、製造方式上簡単に実現できるコンタクト性に関して有利には、第1の第1のコンタクトトラックは、コンタクトスリーブの内側端面に形成され、その所属の第1のコンタクトフラグは、円筒状ピースのカバー面に形成される。
【0018】
しかしながら同じように有利には、前記第1のコンタクトトラックは、コンタクトスリーブの内側外套面にその軸線を中心に環状に取り囲むように形成され、前記第2及び第3のコンタクトトラックは、コンタクトスリーブの内側外套面に、第1のコンタクトトラックに対して軸方向でずらされてコンタクトスリーブの軸線を中心に回転し、相互絶縁部によってのみ中断される環状の回転トラックとして構成されており、第1のコンタクトトラックに対応付けられた第1のコンタクトフラグが円筒状ピースの外套面に形成され、それ自体回転する連動ディスクのもとで環状に取り囲まれた第1のコンタクトトラックに沿って回転しかつ第1のコンタクトトラックに常時摺動するように配設されており、第2及び第3のコンタクトトラックに対応付けられた第2のコンタクトフラグが円筒状ピースの外套面に形成され、それ自体回転する連動ディスクのもとで回転トラックに沿って回転しかつ第2及び第3のコンタクトトラックに交互に摺動するように配設されている。
【0019】
しかしながら本発明は、“内部コンタクト方式”に限定されるものではない。それに対しては代替的に有利には、前記第2及び第3のコンタクトトラックが、コンタクトスリーブの開口縁部上に環状に配設され相互絶縁部によってのみ中断される回転トラックとして構成されてもよい。つまりこれらのコンタクトトラックは、コンタクトスリーブの内部空間外にも形成可能なものである。さらに第2及び第3のコンタクトトラックに対応付けられた第2のコンタクトフラグは、それ自体回転する連動ディスクのもとで回転トラックに沿って回転しかつ第2及び第3のコンタクトトラックに交互に摺動する限り、連動ディスクの表面から軸方向でコンタクトスリーブの縁部領域まで延在する。
【0020】
本発明のさらなる利点及び構成は、以下の明細書で図面に示されている実施例に基づいて詳細に説明する。この場合、
図1は、本発明による駆動装置のパーキングポジションスイッチの基本原理図であり、
図2は、駆動装置のパーキングポジションスイッチと連動デバイスの断面図であり、
図3は、本発明による駆動装置のパーキングポジションスイッチのためのコンタクトスリーブと連動ディスクを有するコンタクトシステムの展開図であり、
図4は、図3によるコンタクトシステム主要部の概略的な断面図であり、
図5は、図4によるコンタクトシステムの平面図であり、
図6は、コンタクトスリーブと連動ディスクを備えたコンタクトシステムを有する本発明の別の実施形態の展開図であり、
図7は、図6によるコンタクトシステムの主要部の概略的な断面図であり、
図8は、図7によるコンタクトシステムの平面図であり、
図9は、図7及び図8によるコンタクトシステムの変化例の概略的断面図であり、
図10は、図9によるコンタクトシステムの平面図であり、
図11は、コンタクトスリーブと連動ディスクを備えたコンタクトシステムを有する本発明のさらなる実施形態の概略的断面図であり、
図12は、図11によるコンタクトシステムの平面図である。
【0021】
実施例
図1は、自動車のウインドウガラス払拭用ワイパー駆動装置のパーキングポジションスイッチの電気的な機能を表す基本原理図である。ここでは概略的にしか示されていない電気的駆動モーター1が識別可能であり、このモーター1は3つの電気的端子を有している。
アース端子は、端子31に接続され、それによってここには示されていない車両バッテリーのマイナス端子若しくはボディアースに接続されている。端子53は、駆動モーター1を第1の切換段、いわゆる低速段で駆動させる場合に、図示されていないコラムスイッチを介して車両バッテリーのマイナス端子に接続される。駆動モーター1を高速な第2の切換段で作動させる場合には、付加的に駆動モーター1の分流巻線が図示のように端子53bに接続される。
【0022】
その他図1に示されているパーキングポジションスイッチでは、パーキング位置でのワイパーの確実でかつ正確な休止が配慮される。このスイッチは実質的に、ケーシング固定された3つのコンタクトトラック31b,53a,31(これらのコンタクトトラックは、相応する端子のスイッチ側コンタクト点に形成されているため以下の明細書でも分かりやすくするために対応する端子と同じ参照符号が付される)並びに(以下で図面に基づいて詳細に説明する)2つのコンタクトフラグ(これらは図1のスイッチングブリッジ2のコンタクト点に相応する)を備えたコンタクトシステムによって実現される。
【0023】
図1に示されているスイッチングブリッジ2の位置は、最終的に到達したパーキング位置に相応する。このパーキング位置に達する前に行われるパーキングポジション経過は、ステアリングコラムスイッチがゼロ位置にセットされることによって開始される(さらなる切換えの詳細については、例えば独国特許出願公開第19837980号明細書が参照される)。ワイパーがまだその最終位置にないので駆動モーター1は、ワイパーがパーキング位置に達するまでの間は継続動作しなければならない。この目的のために駆動モーター1は、コンタクトトラックとコンタクトフラグからなるコンタクトシステムを備えており、これは終端ポジションを除く全てのワイパーポジションにおいて、端子31bから端子53aまでの電流通流を可能にし、それと共にステアリングコラムスイッチにおけるコンタクトブリッジを介して(これはさらにゼロポジションにある)、車両バッテリーのマイナス端子から駆動モーター1の端子53までの電気的な接続が可能である。このスイッチングブリッジ2は、まず端子31bを端子53aに接続する。それにより駆動モーター1は、手動遮断が行われたにもかかわらず継続動作され、ワイパーがそのパーキング位置に近づく。パーキングポジションへ到達した場合には、これらの2つの端子間の電流通流が既に中断されるが(第2のコンタクトフラグはもはやコンタクトトラック53a上を摺動しない、以下の説明参照)、しかしながら駆動モーター1はその慣性によってまだ継続動作する。それにより連動して回転するコンタクトフラグもスイッチングブリッジ2を介して端子31bと31の間の接続が形成されるまでは継続動作する。それに伴って短絡する駆動モーター1は電磁的に制動され、最終的な所望のパーキング位置において停止する。
これらの過程に基づいた摺動コンタクトシステムの移動経過は、図3から図12に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図2には、パーキングポジションスイッチの1つの実施例の概略的構造が示されており、これは実質的に図6〜図8に示されている実施例に相応している。ここで図示されているのはなべ状のギヤケーシング3であり、その開口側がギヤカバー4によって閉鎖されている。このケーシング3の底部を貫いて出力シャフト5が延在しており、当該シャフトのケーシング内に突出している端部にはプラスチックからなる出力ギヤホイール6が固定されている。このギヤホイール6は、キャップ状の区分6aを有しており、この区分はシャフト5の端面側を越えて延在し、ケーシング3内に突出している。出力ギヤホイール6の半径方向の延長部分は、ケーシング3の内径にほぼ相応している。ギヤホイール6の(図示されていない)外側噛合部は、同じく図示されていない駆動モーター1のアーマチュアシャフトの延在部分に直接形成されたウォームギヤ7に噛み合っている。
【0025】
ギヤカバー4は、プラスチックからなっていてもよく、このカバーにはケーシング3の内方へ向かって軸方向に延在するコンタクトスリーブ8が一体的に成形されている。しかしながらギヤカバー4は、金属性の基台プレートとプラスチック膜からなっていてもよく、このプラスチック膜が実質的に基台プレートの外側に延在し、それと共にコンタクトスリーブ8が一体的に形成されていてもよい。また図2に示されている実施例の変化系として、コンタクトスリーブ8がギヤカバー4内に次のように形成されてもよい。すなわちカバー4の外側へキャップ状に膨張し、それに対してスリーブ8の開口縁部8aは多かれ少なかれカバー4の内側と面一になるように形成されてもよい。
【0026】
コンタクトスリーブ8内に形成される空間内には円筒状ピース10が突出しており、これは連動ディスク9の中央に載置されている。連動ディスク9は、それ自体公知の形式で、例えば出力ギヤホイール6の連動突起11を介して連動ディスク9下側の対応する溝(図示せず)に連結されるか、あるいは連動ディスク9の連動突起11を介して出力ギヤホイール6上側の対応する溝に連結される。それにより1つの方向への出力シャフト5の回転のもとでは連動ディスク9(及びそれと共に固定的に配置されている、つまりコンタクトスリーブ8に対して相対的に回転可能に支承されているコンタクト)が連動され、別の方向へのシャフト5の回転の際には、連動ディスク9が連動しないようにされる。
【0027】
コンタクトスリーブ8の領域には、コンタクトトラック31b,53a,31が形成されており、これらは回転する連動ディスク9のもとで、さらに以下の明細書でも詳細に説明する方式で、図2中では識別できないが回転可能に支承されているコンタクトとコンタクトフラグに摺動接触する。円筒状ピース10ないしは連動ディスク9全体の回転可能な支承に対しては、図示のように、連動ディスク9内部に軸方向で1つの孔部が設けられ、ギヤカバー4からこの孔部を貫通する支持部12が設けられてもよい。
【0028】
図3には、わかりやすくする理由からコンタクトスリーブ8と連動ディスク9を相互に引き離して示した展開図が示されている。ここではギヤカバー4の輪郭で張り出したコンタクトスリーブ8が識別でき、その内側端面には第1のコンタクトトラック31bが設けられている。コンタクトスリーブ8の開口縁部の周囲には、つまり観察者側から見て、ないしは連動ディスクとは反対側のカバー4には、平坦な領域8bが表されており、ここには第2のコンタクトトラック53aが環状の軌道形セグメントの形態で設けられている。この環状の軌道形セグメント53aの端部間の切欠き、つまり同じ様に環状の軌道形セグメント形態の切欠きにおいて、2つの端部に隣接する第2のコンタクトトラック53aに対して絶縁的な関係で第3のコンタクトトラック31が挿入されている。全体的に1つのリングとして相互に補足されるこれらの環状の軌道形セグメントによって、第2及び第3のコンタクトトラック53a,31からなる軌道形トラックがコンタクトスリーブ8の開口縁部の領域に交互に形成される。
【0029】
図3に示されている連動ディスク9の円筒状ピース10のデッキ面には、面状の第1のコンタクトフラグ13が設けられており、この第1のコンタクトフラグ13は、接続線路2aを介して第2のコンタクトフラグ14と電気的に接続されている。この第2のコンタクトフラグ14は、連動ディスク9から軸方向でほぼギヤカバー4の平坦な領域8bへの方向へ突き出ている。そのため組立てられた状態ではそこにある軌道形トラック53a,31に接触し得る。これらのコンタクトフラグ13,14ないしは接続線路2aは、例えば0.5mm厚の帯鋼から製造されていてもよい。この場合所望の程度だけ弾性を伴って実施可能なコンタクトフラグ14は図示のように、その端部領域において有利には耐摩耗性を備えるべくクランク状に実施されてもよい。さらに図3に示されているように、ばねディスク15が第1のコンタクトトラック31bと第2のコンタクトフラグ13の間で許容偏差に依存しない電気的な接続を形成している。
【0030】
図3に示されているコンタクトシステムのパーキングポジションスイッチとしての機能は、同じコンタクトシステムを概略的な形態で別の透視図で示している図4及び図5と関連させて最も簡単に説明する。組み立てられた状態において通常の方向に回転する出力ギヤホイール6のもとでは、第1のコンタクトフラグ13が介在的バネディスク15を用いて常時コンタクトスリーブ8の第1のコンタクトトラック31bに摺動し、それに対して第1のコンタクトフラグ14は軌道形トラックに沿ってコンタクトスリーブ8の開口縁部8aの周りを回転し、その際に第2のコンタクトトラック53aと第3のコンタクトトラック31に交互に摺動する。それに相応して駆動モーターはパーキングポジション過程、つまりステアリングコラムスイッチのゼロ位置において、まず第2のコンタクトフラグ14が第2のコンタクトトラック53aに摺動するまでは継続動作する。駆動されたワイパーがパーキング位置の近傍に達すると、それに対応して第2のコンタクトフラグ14が第2のコンタクトトラック53aの切欠きに達し、モーターが遮断される。第2のコンタクトフラグ14は駆動システムの慣性に応じてまだわずかだけ継続的に摺動し、これによってモーターは前述したように短絡され、ワイパー、ないしは連動ディスク9によって第2のコンタクトフラグ14も制動される。パーキング位置でのワイパーの停止に応じて第2のコンタクトフラグ14も第3のコンタクトトラック31で停止する。
【0031】
コンタクトトラック31b,53a,31は、例えばネットワーク状のコンタクト構造部として、あるいはコンタクトスリーブ8領域の押し抜き格子部として構成されてもよいし、ギヤカバー4内のプレート状のはめ込み構造部として射出成形されてもよい。また必要に応じて電気的な端子や導体線路が類似の形態で実現されてもよい。
【0032】
図6から図12までは、それぞれ3つの全てのコンタクトトラック31b,53a,31がコンタクトスリーブ8の内面に設けられ、それに応じて2つのコンタクトフラグ13,14も円筒状ピース10の表面に形成されている種々の実施例が示されている。
【0033】
これらは例えば図6〜図8に示されている配置構成で実現可能である。またこの実施形態ではコンタクトフラグ13が、バネディスク15を介してコンタクトスリーブ8の端面に形成された第1のコンタクトトラック31bと常時摺動接続を形成する。なお図6の上方部分には、下方にある本来の展開図を補足する理由から、コンタクトスリーブ8と3つのコンタクトトラック31b,53a,31の別の図解が示されている。バネディスク15の下方には、2つのセグメント53a及び31のコンタクト構造が表されており、これらは絶縁部16によって分離されてはいるが、全体的には環状の軌道形トラックを形成している。連動ディスク9の中央に載置されている円筒状ピース10の外套面には、接続路2aを介して第1のコンタクトフラグ13と接続する第2のコンタクトフラグ14が認められる。この第2のコンタクトフラグ14も連動ディスク9の回転と共に、軌道形トラックに沿って周回し、第2及び第3のコンタクトトラック53a,31に対して交互に摺動する。図7及び図8には、同じ関係が再度別の角度からの透視図として概略的に表されている。
【0034】
図9及び図10には、図6〜図8による実施例の変化例が示されている。ここでは第1のコンタクトフラグ13とバネディスク15が、バネ負荷されスポット端部18を備えたコンタクト要素17によって置き換えられている。このコンタクト要素17は、コンタクトスリーブ8の所属のコンタクトトラック31bに直接接触している。このような手段は、その他の実施例でも適用が可能である。
【0035】
図11と図12には、第1のコンタクトトラック31bがこれまでの実施例とは違って内側の端面ではなく、コンタクトスリーブ8の外套面に環状に中断なしで形成されている。第2及び第3のコンタクトトラック53a、31もコンタクトスリーブ8の外套面に、但し第1のコンタクトトラック31bに対して軸方向にずらされた位置で軌道形トラックとして形成されている。それに応じて第1及び第2のコンタクトフラグ13,14は、平行にずらされたそれらの軌道形トラック上を周回する。その際に第1のコンタクトトラック31bは、常時接触し、第2及び第3のコンタクトトラック53a,31は交互に接触する。
【0036】
図示されている他にもさらに別の実施例が可能である。例えば図3から図5による実施形態において、コンタクトスリーブ8の内方の外套面に環状の軌道形トラックを内方の端面に配置された扁平なコンタクトトラック31bの代わりに設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明による駆動装置のパーキングポジションスイッチの基本原理図
【図2】駆動装置のパーキングポジションスイッチと連動デバイスの断面図
【図3】本発明による駆動装置のパーキングポジションスイッチのためのコンタクトスリーブと連動ディスクを有するコンタクトシステムの展開図
【図4】図3によるコンタクトシステム主要部の概略的な断面図
【図5】図4によるコンタクトシステムの平面図
【図6】コンタクトスリーブと連動ディスクを備えたコンタクトシステムを有する本発明の別の実施形態の展開図
【図7】図6によるコンタクトシステムの主要部の概略的な断面図
【図8】図7によるコンタクトシステムの平面図
【図9】図7及び図8によるコンタクトシステムの変化例の概略的断面図
【図10】図9によるコンタクトシステムの平面図
【図11】コンタクトスリーブと連動ディスクを備えたコンタクトシステムを有する本発明のさらなる実施形態の概略的断面図
【図12】図11によるコンタクトシステムの平面図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力ギヤホイール(6)と、
前記出力ギヤホイール(6)方向に開口したプラスチックからなるスリーブが成形されているギヤカバー(4)と、
回転可能に支承された第1のコンタクトと共に摺動接触を生じる、前記ギヤカバー(4)に固定的に設けられた第2のコンタクトからなるパーキングポジションスイッチとを有し、
前記回転可能に支承された第1のコンタクトが連動デバイスを介して出力ギヤホイール(6)に接続されている、ウインドワイパー用駆動装置において、
前記スリーブが、回転可能に支承されたコンタクトの接触接続に用いられるコンタクトスリーブ(8)として構成されており、該コンタクトスリーブ(8)には複数のコンタクトトラック(31b,53a,31)が設けられており、これらのコンタクトトラック(31b,53a,31)のうちの少なくとも1つはコンタクトスリーブ(8)の内面に配設されており、
前記連動デバイスは、中央に載置された円筒状ピース(10)とコンタクトフラグ(13,14)を備えた連動ディスク(9)を含んでおり、前記コンタクトフラグ(13,14)の少なくとも1つは円筒状ピース(10)の表面に形成されており、
前記円筒状ピース(10)は、出力ギヤホイール(6)と共に回転する連動ディスク(9)のコンタクトフラグ(13,14)が摺動しながら前記コンタクトスリーブ(8)のコンタクトトラック(31b,53a,31)に接触するように当該コンタクトスリーブ(8)の内方へ延在していることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
3つのコンタクトトラック(31b,53a,31)と連動ディスク(9)に、電気的に相互接続された2つのコンタクトフラグ(13,14)が設けられており、該2つのコンタクトフラグ(13,14)は、連動ディスク(9)の回転のもとで、第1のコンタクトフラグ(13)は前記コンタクトスリーブ(8)の第1のコンタクトトラック(31b)に常時摺動し、かつ第2のコンタクトフラグ(14)は前記コンタクトスリーブ(8)の第2及び第3のコンタクトトラック(53a,31)に交互に摺動するように構成され配設されている、請求項1記載の駆動装置。
【請求項3】
前記第2及び第3のコンタクトトラック(53a,31)は、環状の回転トラックの相互絶縁部(16)によってのみ中断されるセグメントとして構成されており、該セグメントに沿って第2のコンタクトフラグ(14)が摺動して回転し、第2及び第3のコンタクトトラック(53a,31)に交互にコンタクトする、請求項2記載の駆動装置。
【請求項4】
3つのコンタクトトラック(31b,53a,31)の全てがコンタクトスリーブ(8)の内面に配設されており、2つのコンタクトフラグ(13,14)は、円筒状ピース(10)の表面に構成されている、請求項2または3記載の駆動装置。
【請求項5】
前記第2及び第3のコンタクトトラック(53a,31)は、コンタクトスリーブ(8)の内面においてその軸線を中心に回転する、相互絶縁部(16)によってのみ中断される環状の回転トラックとして構成されており、
第2及び第3のコンタクトトラック(53a,31)に対応付けられた第2のコンタクトフラグ(14)が、円筒状ピース(10)の外套面に形成され、それ自体回転する連動ディスク(9)のもとで回転トラックに沿って回転しかつ第2及び第3のコンタクトトラック(53a,31)に対して交互に摺動するように配設されている、請求項4記載の駆動装置。
【請求項6】
前記第1のコンタクトトラック(31b)は、コンタクトスリーブ(8)の内側外套面にその軸線を中心に環状に取り囲むように形成され、
前記第2及び第3のコンタクトトラック(53a,31)は、コンタクトスリーブ(8)の内側外套面に、第1のコンタクトトラック(31b)に対して軸方向でずらされてコンタクトスリーブ(8)の軸線を中心に回転し、相互絶縁部(16)によってのみ中断される環状の回転トラックとして構成されており、
第1のコンタクトトラック(31b)に対応付けられた第1のコンタクトフラグ(13)が円筒状ピース(10)の外套面に形成され、それ自体回転する連動ディスク(9)のもとで環状に取り囲まれた第1のコンタクトトラック(31b)に沿って回転しかつ第1のコンタクトトラック(31b)に常時摺動するように配設されており、
第2及び第3のコンタクトトラック(53a,31)に対応付けられた第2のコンタクトフラグ(14)が円筒状ピース(10)の外套面に形成され、それ自体回転する連動ディスク(9)のもとで回転トラックに沿って回転しかつ第2及び第3のコンタクトトラック(53a,31)に交互に摺動するように配設されている、請求項4記載の駆動装置。
【請求項7】
前記第2及び第3のコンタクトトラック(53a,31)は、コンタクトスリーブ(8)の開口縁部(8a)上に環状に配設され相互絶縁部(16)によってのみ中断される回転トラックとして構成されており、
前記第2及び第3のコンタクトトラック(53a,31)に対応付けられた第2のコンタクトフラグ(14)は、それ自体回転する連動ディスク(9)のもとで回転トラックに沿って回転しかつ第2及び第3のコンタクトトラック(53a,31)に交互に摺動する限り、連動ディスク(9)の表面から軸方向でコンタクトスリーブ(8)の縁部領域(8b)まで延在している、請求項3記載の駆動装置。
【請求項8】
第1のコンタクトフラグ(31b)がコンタクトスリーブ(8)の内部端面に形成され、所属の第1のコンタクトフラグ(13)は、円筒状ピース(10)のカバー面に形成されている、請求項2から5いずれか1項記載の駆動装置。
【請求項9】
第1のコンタクトフラグ(13)は、円筒状ピース(10)のカバー面に平面状に形成され、介在的に存在するフラットコンタクトスプリング(15)を用いて第1のコンタクトトラック(31b)にコンタクトしている、請求項8記載の駆動装置。
【請求項10】
第1及び/又は第2のコンタクトフラグ(13,14)がスポット端部(18)を備えたばね負荷されたコンタクト要素(17)を含み、該コンタクト要素(17)は、所属のコンタクトトラック(31b,53a,31)と直接コンタクトしている、請求項1から8いずれか1項記載の駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2007−503347(P2007−503347A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524210(P2006−524210)
【出願日】平成16年6月2日(2004.6.2)
【国際出願番号】PCT/DE2004/001121
【国際公開番号】WO2005/025952
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】