説明

パーソナル使用のためのローション組成物

本発明は、周囲水分と接触すると温まることができ、ヒトの皮膚上で潤滑剤として使用されることができる、エマルジョン組成物に関する。このエマルジョン組成物は、ローションの形態に配合されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、性交の前または最中のパーソナル潤滑剤としてだけでなく、マッサージまたはモイスチュアライジング組成物としても利用され得るパーソナルケアエマルジョン組成物に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
近年、パーソナル潤滑剤組成物は、親密な関係を向上させ、性交を含めた親密な営為を得ようとしている二人を援助する分野でますます利用されて来ている。最近、温め、かつ刺激しないパーソナル潤滑剤製品が、市場に導入され、気持ちのよい性交を可能にするよう湿潤を提供するだけでなく、性交に関連する体験を向上させるために使用されて来ている。そのようなパーソナル潤滑剤製品はまた、二人が親密に接続するのを助け、親密な体験のための気分を設定するマッサージ組成物としても使用されて来た。
【0003】
米国特許第7,005,408号に記載されているもののようなパーソナル潤滑剤の温める特質は、実在する望ましいものではあるが、最も温めるパーソナル潤滑剤は、透き通ったゲルまたは液体である。温める現象は、実質的に無水の組成物を周囲水分に曝すことに関連しているので、これらの製品は、ほとんど全体が、本質的に水溶性である1つの相で構成されている。
【0004】
多くの伝統的な皮膚マッサージ組成物は、油製品である。そのような皮膚マッサージ組成物は、マッサージするプロセスを容易にするようマッサージを受けている個人の皮膚への油の分配を促進する。そのような皮膚マッサージ組成物はまた、水性相および油相の両方を含有するローションまたはエマルジョンの形態にあってもよい。
【0005】
エマルジョン系(Emulsion-based)のボディローションおよびマッサージローションは、スキンケアおよびパーソナルケアの市場の莫大な部分を形成している。そのような製品の数はかなり多いにもかかわらず、それらは主にモイスチュアライザー(moisturizers)として機能するように設計されている。そのような製品は、パーソナル潤滑剤として使用されるように意図も設計もされていない。これらのエマルジョンはたいてい、水性相を含有するので、それらは、触ってみると初めは冷たく、皮膚への最初の適用時にはかなり不快である。その上、多くが、粘膜組織を刺激し得る乳化剤を含有しており、したがって、「パーソナル」潤滑剤または膣潤滑剤としての使用のために適していないか、または安全ではないだろう。
【0006】
エマルジョン系のクリーム状ローションは、審美的に心地よいことがわかっているので、ローションまたはエマルジョンの形態にあり、初めの適用時に感触が冷たいという不都合を有することがないであろう、マッサージ/パーソナル潤滑剤組成物が製作されることが望ましい。
【0007】
驚くべきことに、我々は、マッサージローションおよびパーソナル潤滑剤の両方として使用され得る組成物を提供することが、エマルジョンの形態でなされ得ることを見出した。
【0008】
〔発明の概要〕
本発明は、周囲水分と接触すると温まることができ、かつ、ヒトの皮膚上で潤滑剤として使用されることができるローションエマルジョン組成物に関する。
【0009】
本明細書中で使用される用語「エマルジョン」は、少なくとも2つの普通は混和しない液体相の微視的に不均一な混合物から構成されていて、ある一つの液体が他の液体中に懸濁した微小液滴(minute droplets)を形成している流体を意味している。液滴が懸濁している相は、「連続」相と称される。微小液滴を形成する相は、「非連続」相と称される。「油」は、水と混和性でなく、一般的に可燃性でエーテルに可溶性である液体として定義される。油は、炭化水素系材料、ならびにシリコーン系材料の両方を含んでよい。
【0010】
本発明の組成物は、好ましくは、少なくとも2つの相(少なくとも1つの連続相、および少なくとも1つの非連続相)を含有するエマルジョン組成物である。少なくともエマルジョンの第1の相中に、この組成物は、少なくとも1つのポリオールを含有する実質的に無水の組成物を含有する。少なくともエマルジョンの第2の相中に、この組成物は、油を含有する。
【0011】
本発明のエマルジョン組成物は、個人の皮膚または粘膜組織に局所的に適用されると、この組成物が適用された個人において温まるような感覚を生み出し得る。驚くべきことに、そのようなエマルジョン組成物は、エマルジョンの形態で存在するだけでなく、皮膚または粘膜に適用されると非常にぬるぬるしていて温かい。本発明の組成物は、米国特許第5,885,591号に示されている方法により測定されたときに、潤滑性が少なくとも約33である。
【0012】
本発明はさらに、連続油相中に分散した非連続グリコール相を有する油中グリコール型エマルジョン(glycol-in-oil emulsions)といった組成物に向けられている。シリコーン中グリコール型エマルジョンの連続油相は、直鎖シリコーンポリエーテルと、シリコーン流体(silicone fluids)およびまたはシリコーンエラストマーの組み合わせとを含有する。シリコーン中グリコール型エマルジョンの連続油相は、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、およびヘキサデカメチルヘプタシロキサンといった1つまたはそれ以上の溶媒を含んでもよい。
【0013】
本発明のこれらの特徴およびその他の特徴は、詳細な説明の考察から明らかになるであろう。
【0014】
〔好ましい実施形態の詳細な説明〕
本発明に従う組成物は、エマルジョンの少なくとも1つの相中にポリオールを含有する。
【0015】
好ましくは、本発明の組成物は、少なくとも1つのポリオールを含有する。好ましくは、ポリオールは、多価アルコールであり、より好ましくは、本発明の組成物は、少なくとも2つの多価アルコールを含有する。プロピレングリコール、プロピレングリコールステアレート、プロピレングリコールオレエート、およびプロピレングリコールココエート(propylene glycol cocoate)などのPEGエーテルを含めた、ポリエチレングリコール(以下、「PEG」)エーテルもまた、使用されてよい。そのようなPEGエーテルのより具体的な例としては、PEG−25プロピレングリコールステアレート、PEG−55プロピレングリコールオレエートなどを含む。好ましくは、本発明の組成物の多価アルコールの少なくとも1つは、下記の群、すなわち、種々の分子量の、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサレングリコール(hexalene glycol)、またはポリエチレングリコールなど、および/またはこれらの組み合わせから選択されるポリアルキレングリコールまたはその他のものである。より好ましくは、本発明の組成物は、ポリエチレングリコールを含有し、最も好ましくは、ポリエチレングリコールは、下記の群、すなわち、ポリエチレングリコール400、またはポリエチレングリコール300から選択され得る。種々の分子量のポリプロピレングリコールもまた、使用されてよい。PEG化反応(PEGylation reactions)を通して得られるペプチドまたはタンパク質誘導体といったPEG化された化合物(PEGylated compounds)もまた、使用されてよい。加えて、(エチレングリコール)−block−ポリ(プロピレングリコール)−block−(ポリエチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール−ran−プロピレングリコール)などといったPEGのブロックコポリマーもまた使用されてよい。本発明の組成物は、組成物の約70重量%〜約98重量%の量の多価アルコールを含有するべきである。
【0016】
用語「実質的に無水の」は、本発明の組成物の件の相が、約20重量%未満の水を含有することを意味している。より好ましくは、本発明の組成物は、約15重量%未満の水、または約10重量%未満の水を含有する。最も好ましくは、本発明の組成物の実質的に無水の相は、約5重量%未満の水を含有する。
【0017】
好ましくは、本発明の組成物の実質的に無水の相は、少なくとも2つのポリオールを含有する。より好ましくは、第1のそのようなポリオールは、グリセリンおよびプロピレングリコールから選択されるべきであり、第2のそのようなポリオールは、ポリエチレングリコールであるべきである。最も好ましくは、本発明の組成物の実質的に無水の相は、プロピレングリコール、およびポリエチレングリコール400を含有するべきである。米国特許第7,005,408号に示されている組成物が、本発明の組成物の実質的に無水の相において使用されてよく、これにより参照として本明細書中に組み込まれる。ポリオールは、連続相または非連続相のいずれにおいて利用されてもよく、ヒトに局所的に適用されると温まるように、なお作用するべきである。
【0018】
好ましくは、本発明の水中油型エマルジョン中の油と水との比率は、水が連続相である場合、水がエマルジョンの油部分に比較して十分により高い濃度を構成するような比率である。より好ましくは、本発明の水中油型組成物において、この組成物は、約20〜約40%の油と約60〜約80%の水とを含有するべきである。油中水型エマルジョンにおいては、逆が当てはまる。
【0019】
本発明のエマルジョン組成物のタイプ(すなわち、それが水中油型または油中水型のエマルジョンのいずれであるか)はまた、本発明の組成物において利用される乳化性界面活性物質の親水性−親油性のバランス(「HLB」)に依存する。水中油型エマルジョンについては、界面活性物質のHLBは、好ましくは約8〜約16の間である。Tween 60(ポリソルベート60)は例えば、ほぼ15であり、乳化および安定化の目的で水中油型エマルジョンにおいて(場合によっては乳化剤のようなものとして)利用され得る。油中水型エマルジョンについては、組成物は、約3.5〜約8のHLBを有する(乳化剤としても知られる)界面活性物質を含有するべきである。
【0020】
好ましくは、水中油型または油中水型組成物を構成する本発明の組成物の油相は(シリコーン中グリコール型組成物とは反対に)、油または「皮膚軟化薬」成分と共に、乳化剤も含有すべきである。そのような組成物は、好ましくは、約2%〜約50%の皮膚軟化薬を含有する。本明細書中で使用される「皮膚軟化薬」は、皮膚の乾きの防止または軽減だけでなく、皮膚の保護のためにも使用される物質をさしている。広く多様な好適な皮膚軟化薬が知られており、本明細書中で使用され得る。The International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook, eds. Wenninger and McEwen, pp. 1656-61, 1626, and 1654-55 (The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Assoc., Washington, D.C., 7th Edition, 1997)(以下、「INCI Handbook」)は、好適な物質の多数の例を含んでいる。
【0021】
本発明において有用な局所用組成物は、好ましくは、エマルジョンとして配合される。キャリアがエマルジョンである場合、約1%〜約10%(好ましくは約2%〜約5%)のキャリアが、1つまたはそれ以上の乳化剤で作り上げられるべきである。乳化剤は、非イオン性でも、アニオン性でも、またはカチオン性であってもよい。好適な乳化剤は、例えば、INCI Handbookの第1673〜1686頁において見出され得る。
【0022】
ローションおよびクリームもまた、エマルジョンとして配合されてもよい。典型的には、そのようなローションは、好ましくは、0.5%〜約5%の乳化剤を含有する。そのようなクリームは、典型的には、約1%〜約20%(好ましくは約5%〜約10%)の皮膚軟化薬、約20%〜約80%(好ましくは約30%〜約70%)の水(水中油型または油中水型組成物について)、および約1%〜約10%(好ましくは約2%〜約5%)の乳化剤を含むであろう。
【0023】
水中油タイプおよび油中水タイプのローションおよびクリームといった単一のエマルジョンスキンケア調製物が、化粧品分野でよく知られており、対象の発明において有用である。水中油中水タイプ(water-in-oil-in-water type)といった多相エマルジョン組成物もまた、対象の発明において有用である。全般的に、そのような単一または多相のエマルジョンは、必須の成分として、水、皮膚軟化薬、および乳化剤を含有する。
【0024】
本発明の組成物中に存在し得る油成分としては、好ましくは、脂肪アルコール、グリセリルエステル、および乳化剤として役立ち得る非水系の界面活性物質の液体を含む。油成分は、シリコーン中グリコール型組成物の場合には、シリコーン系流体を含んでもよい。
【0025】
脂肪アルコールは、好ましくは、本発明の組成物中に含まれていてもよい。脂肪アルコールは、一般式:RCHOHを有し、RがC8〜20アルキルである、より高い分子量で不揮発性の第一アルコールである。そのような脂肪アルコールは、ヒドロキシル官能基とグループ化(grouping)する脂肪酸COOH−の還元により、天然の脂肪および油から生成されることができる。あるいは、同一または類似の構造が付与された(structured)脂肪アルコールが、本技術分野で既知の従来の合成方法に従って生成されることができる。好適な脂肪アルコールとしては、限定されるものではないが、ベヘニルアルコール、C9〜11アルコール、C12〜13アルコール、C12〜15アルコール、C12〜16アルコール、C14〜15アルコール、カプリル酸アルコール、セテアリルアルコール(cetearyl alcohol)、ココナツアルコール、デシルアルコール、イソセチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、パームナッツアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、獣脂アルコール、トリデシルアルコール、またはミリスチルアルコールを含む。好ましくは、本発明の組成物の油相は、約18〜約20の炭素鎖を有する、より好ましくは、ステアリルアルコールのように約18個の炭素を含有する炭素鎖を有する脂肪アルコールを含有する。
【0026】
グリセリルエステルもまた、本発明に従う組成物中に好ましくは含まれてもよい。グリセリルエステルは、他のアルコールなどとの反応により改質された第一脂肪酸モノ−およびジ−グリセリドまたはトリグリセリドであるエステルのサブグループを含む。好ましいグリセリルエステルは、モノグリセリドおよびジグリセリドである。好適なグリセリルエステルおよびその誘導体としては、限定されるものではないが、アセチル化され水素付加された獣脂グリセリド、グリセリルベヘナート(glyceryl behenate)、グリセリルカプラート、グリセリルカプリレート、グリセリルカプリレート/カプラート、グリセリルジラウレート、グリセリルジオレエート、グリセリルエルケート(glyceryl erucate)、グリセリルヒドロキシステアレート、グリセリルイソステアレート、グリセリルラノレート(glyceryl lanolate)、グリセリルラウレート、グリセリルリノレエート、グリセリルオレエート、グリセリルステアレート、グリセリルミリステート、グリセリルジステアレート、およびこれらの混合物を含む。より好ましくは、グリセリルステアレートが、本発明の組成物において利用される。
【0027】
追加の成分が、エマルジョン安定剤として水中油エマルジョンに加えられてもよい。そのようなエマルジョン安定剤はまた、本発明のシリコーン中グリコール型組成物にも同様に加えられてもよい。例えば、ヒドロキシアルキルセルロースといったセルロースポリマーを含めたセルロース誘導体が、エマルジョン安定剤として作用してもよく、好ましくは、エマルジョンのグリコール相中に在る。
【0028】
好ましくは、そのようなセルロースポリマーとしては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxypropycellulose)、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。しかしながら、好ましいエマルジョン安定化剤は、ヒドロキシルプロピルセルロースである。他の潜在的なエマルジョン安定化剤は、carbopolといった架橋結合されたアクリル酸系ポリマーである。carbopolは、本発明の水中油型組成物において、組成物の約0.2重量%〜約2重量%の量で存在し得る。
【0029】
本発明のパーソナル潤滑剤−マッサージ組成物の油相を形成するのに使用されることができる非水系の界面活性物質の液体の好適なタイプとしては、アルコキシル化されたアルコール、エチレンオキシド(EO)−プロピレンオキシド(PO)ブロックポリマー、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキル多糖類などを含む。普通は液体であるような界面活性物質は、約10〜約16の範囲にわたる親水性−親油性バランス(「HLB」)を有するものである。「HLB」は、分子の異なる領域について値を算出することにより決定される、それが親水性または親油性である程度の測定値として定義される。界面活性物質の液体の最も好ましいものは、ポリエチレングリコールソルビタンモノステアレート、約12〜約15のHLBを有するその他の界面活性物質、および約15のHLBを有するその他の界面活性物質である。
【0030】
本発明の組成物のある一つの好ましい実施形態において、無水ポリオール相が、エマルジョンの連続相として組成物中に存在し、油相が、非連続相として組成物中に存在する。
【0031】
より好ましくは、このアプローチにおいて、「水性」相または実質的に無水のポリオール相は、エマルジョンの水性相として使用される水約10〜約15%を含有し、ポリオール相は、ポリオールの組み合わせを約70〜約80%さらに含有する。より好ましくは、比率が約1〜約3のプロピレングリコールとポリエチレングリコールとの組み合わせが、ポリオール相に存在するべきである。好ましくは、エマルジョンの「油」相または親油性相は、エマルジョンの油相としてステアリルアルコールを約5〜約10%およびグリセリルステアレートを約1〜約5%と、乳化剤として使用されるポリエチレングリコールソルビタンモノステアレートを約1〜約3%と、carbopolを単独か、またはエマルジョン安定剤として使用され得るヒドロキシエチルセルロース約0.1〜約2%と組み合わせて約0.1%〜約2%と含有するべきである。これらに対して、潤滑剤として350cstのシリコーン流体(Silicone Fluid)0.5〜5%と、保存剤として安息香酸0.1%〜0.5%が加えられてもよい。これらのエマルジョンの連続相は、水、プロピレングリコール、およびポリエチレングリコールの組み合わせであり、分散した相または非連続相は、ステアリルアルコールおよびグリセリルステアレートを含む油相である。ポリソルベート60は、好ましくは乳化剤である。
【0032】
本発明は、シリコーン油中グリコール型エマルジョンに温め成分(warming ingredients)を組み込んだ組成物、および組み込む方法にも関連している。特に、本発明は、無水の温めローションを達成するために、シリコーン乳化剤としての概ね直鎖のシリコーンポリエーテルを、他のシリコーンおよび温め成分と組み合わせて使用することを含んでいる。以下の段落は、より詳しく、本発明のシリコーン油中グリコール型エマルジョンに関連する好ましい組成物に関連している。
【0033】
<直鎖(すなわち、架橋結合していないシリコーンポリエーテル)>
本発明に従って組成物を調製するために使用される直鎖(すなわち、架橋結合していないシリコーンポリエーテル)は、油相において概ね分散性である。このシリコーンポリエーテルは、くま手タイプ構造を有することができ、この構造においてはポリオキシエチレンまたはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー単位がシロキサン主鎖にグラフト化(grafted)されており、あるいは、SPEは、ABAブロックコポリマー構造を有することができ、この構造においてはABA構造のAがポリエーテル部分を、Bがシロキサン部分を表している。
【0034】
ここで使用するのに好適な架橋結合していないシリコーンポリエーテルは、式MD0〜1,000D’1〜100M、より好ましくは、式MD0〜500D’1〜50Mを有しており、ここで、Mは単官能性単位RSiO1/2を表しており、Dは二官能性単位RSiO2/2を表しており、D’は二官能性単位RR’SiO2/2を表している。これらの式において、Rは、1〜6の炭素原子を含有するアルキル基、またはアリール基であり、R’はオキシアルキレン含有部分である。R’基は、オキシエチレン(EO)単位のみ;オキシエチレン(EO)およびオキシプロピレン(PO)単位の組み合わせ;または、オキシエチレン(EO)単位、オキシプロピレン(PO)単位、およびオキシブチレン(BO)単位の組み合わせを含有してよい。好ましいR’基は、概ねの比率がEO3〜100PO0〜100である、最も好ましくは比率がEO3〜30PO1〜30であるオキシアルキレン単位を含む。
【0035】
R’部分は典型的には、R’のオキシアルキレン部分をシロキサン主鎖に接続させるための−C2m−(ここで、mは2〜8)といった二価のラジカルを含む。そのような部分はまた、水素、ヒドロキシル、またはアルキル、アリール、アルコキシ、もしくはアセトキシ基といった、R’のオキシアルキレン部分のための末端ラジカル(terminating radical)を含有する。
【0036】
本明細書中で有用な架橋していないシリコーンポリエーテルは、式M’D10〜1,000D’0〜100M’、最も好ましくは式M’D10〜500D’0〜50M’を有するタイプのものであってもよく、ここで、M’は単官能性単位RR’SiO1/2を表しており、Dは二官能性単位RSiO2/2を表しており、D’は二官能性単位RR’SiO2/2を表している。これらの式において、Rは、1〜6の炭素原子を含有するアルキル基、またはアリール基とすることができ、またR’は、オキシアルキレン含有部分を表している。先に述べたように、R’基は典型的には、オキシエチレン(EO)単位のみ、またはオキシエチレン(EO)およびオキシプロピレン(PO)単位の組み合わせを含有する。そのようなR’基は、これらのオキシアルキレン単位を比率EO3〜100PO0〜100、最も好ましくはEO3〜30PO1〜30で含む。
【0037】
また先にも述べたように、R’部分は典型的には、R’のオキシアルキレン部分をシロキサン主鎖に接続させるための二価のラジカル−C2m−(ここで、mは2〜8)を含む。加えて、部分R’は、水素、ヒドロキシル、アルキル、アリール、アルコキシ、またはアセトキシ基といった、R’のオキシアルキレン部分のための末端ラジカルを含有する。
【0038】
加えて、本明細書中で有用な架橋結合していないシリコーンポリエーテルは、式MD0〜1,000D’0〜100D”1〜1,00Mを有することができ、ここで、D”は、二官能性単位RR”SiO2/2を表しており、R”は、1〜40の炭素原子を含有するアルキル基である。M、D、D’、およびRは、前述したのと同じである。
【0039】
表1は、本発明に従ったエマルジョンを調製するのに使用されることができる、これらの式に従ういくつかの代表的な、直鎖、すなわち架橋結合していないシリコーンポリエーテルを示している。
【0040】
[表1]
直鎖、すなわち架橋結合していないシリコーンポリエーテルの直鎖シリコーン公称構造
ポリエーテル
AMD8.6D’3.6M(ここで、Rは−CHであり、R’は−(CH(EO)12OHである)
BMD108D’10M(ここで、Rは−CHであり、R’は、−(CH(EO)10(PO)OHである)
CM’D’75M’(ここで、Rは−CHであり、R’は、−(CH(EO)18(PO)18OAcである)
DM’D’50M’(ここで、Rは、−CHであり、R’は、−(CH(EO)18(PO)18OHである)
EM’D’13M’(ここで、Rは、−CHであり、R’は、−(CH(EO)12OHである)
PMD22D’M(ここで、Rは、−CHであり、R’は、−(CH(EO)12(PO)12OHである)
GMD396D’M(ここで、Rは、−CHであり、R’は、−(CH(EO)18(PO)18OHである)
【0041】
<揮発性シリコーン、すなわち溶媒>
ここで使用される溶媒は、揮発性シリコーン、一般的には低分子量シリコーン油、最も典型的には式(R’”SiO)の環状アルキルシロキサンまたは式R’”SiO(R’”SiO)SiR’”の直鎖アルキルシロキサンであり、ここで、R’”は、1〜6の炭素原子を含有するアルキル基であり、dは、3〜6であり、eは、0〜5である。しかしながら、最も好ましいのは、式{(CHSiO}の揮発性環状メチルシロキサン、および式(CHSiO{(CHSiO}Si(CHの揮発性直鎖メチルシロキサンであり、ここで、それぞれdは3〜6であり、eは0〜5である。好ましくは、揮発性メチルシロキサンは、250℃未満の沸点と、0.65〜5.0センチストーク(mm/s)の粘度とを有する。
【0042】
いくつかの代表的な直鎖の揮発性メチルシロキサンは、沸点100℃、粘度0.65mm/s、式MeSiOSiMeのヘキサメチルジシロキサン(MM);沸点152℃、粘度1.04mm/s、式MeSiOMeSiOSiMeのオクタメチルトリシロキサン(MDM);沸点194℃、粘度1.53mm/s、式MeSiO(MeSiO)SiMeのデカメチルテトラシロキサン(MDM);沸点229℃、粘度2.06mm/s、式MeSiO(MeSiO)SiMeのドデカメチルペンタシロキサン(MDM);沸点245℃、粘度2.63mm/s、式MeSiO(MeSiO)SiMeのテトラデカメチルヘキサシロキサン(MDM);および、沸点270℃、粘度3.24mm/s、式MeSiO(MeSiO)SiMeのヘキサデカメチルヘプタシロキサン(MDM)である。これらの式および下記の式におけるMeは、メチル基CHを表している。
【0043】
いくつかの代表的な環状の揮発性メチルシロキサンは、沸点134℃、式(MeSiO)で、室温で固体のヘキサメチルシクロトリシロキサン(D);沸点176℃、粘度2.3mm/s、式(MeSiO)のオクタメチルシクロテトラシロキサン(D);沸点210℃、粘度3.87mm/s、式(MeSiO)のデカメチルシクロペンタシロキサン(D);および、沸点245℃、粘度6.62mm/s、式(MeSiO)のドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D)である。
【0044】
<不揮発性シリコーン流体>
本発明の不揮発性シリコーン流体は、次の式に従うものを含み得る。すなわち、
R1.sub.3 SiO(R1sub.2SiO)n (R1R2SiO)n SiR1sub.3
R13 SiO(R12SiO)n (R1R2SiO)m SiR13
ここで、nおよびmは、約100〜1,000センチストーク(mm/sec)の範囲の粘度をポリマーに提供する値を有する。
【0045】
R1およびR2は、1〜20の炭素原子のアルキルラジカル、またはフェニルといったアリール基である。典型的には、nの値は、約80〜375である。例示的なポリシロキサンは、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、およびポリジフェニルシロキサンである。
【0046】
これらの直鎖シリコーン材料は概ね、周囲条件下で測定されたときに、5センチストークまたは10センチストーク以上約100,000センチストーク未満、好ましくは20センチストーク〜12,500cstの範囲の粘度の値を有する。好適な不揮発性シリコーン流体のより詳しい非限定的な例としては、Dow Corning Q7-9120 Silicone Fluids(Dimethicone NF)を含む。
【0047】
<シリコーンガム>
本発明のシリコーン中グリコール型組成物において有用なシリコーンガムは、高分子量の、最も典型的にはシラノール官能性のポリマーであるが、ポリジメチルシロキサンガムもまた含む。そのようなガムは、本技術分野において既知であり、Dow Corning Corporation, Midland, Michといった販売元から商業的に容易に入手可能である。そのような材料は、概ね次の式に従う構造を有する。すなわち、
R1.sub.1 R2.sub.2 SiO(R1.sub.2SiO)n R2R3SiO)n SiR2sub.2(R1)sub1.
R11 R22 SiO(R12SiO)n (R2R3SiO)m SiR22(R1)
ここで、nおよびmは、5,000〜50,000、好ましくは10,000〜50,000の整数である。R1は、−OH;メチル、エチル、もしくはプロピルといった1〜6の炭素原子を有するアルキル基;フェニル、もしくはキセニルといったアリール基;トリル、もしくはキシリルといったアルカリール基(alkaryl group);または、ベンジル、フェニルエチル、もしくは2−フェニルプロピルといったアラルキル基を表している。R2は、メチル、エチル、もしくはプロピルといった1〜6の炭素原子を有するアルキル基;フェニル、もしくはキセニルといったアリール基;トリル、もしくはキシリルといったアルカリール基;または、ベンジル、フェニルエチル、もしくは2−フェニルプロピルといったアラルキル基を表している。R1がビニルといったアルケニル基であるシリコーンガムもまた、用いられることができる。しかしながら、最も好ましいのは、R1が−OHであり、R2がメチルであるシリコーンガム、ならびに、R1およびR2の両方がメチルであるシリコーンガムである。
【0048】
<α,ω−ジエン架橋結合シリコーンエラストマー>
本明細書中で使用される用語α,ω−ジエン架橋結合シリコーンエラストマー(α,ω-diene crosslinked silicone elastomer)は、それらの構造中にオキシアルキレン単位を有していないα,ω−ジエン架橋結合シリコーンエラストマーを意味するものと意図される。α,ω−ジエン架橋結合シリコーンエラストマーは、本技術分野においては一般的に非乳化性シリコーンエラストマー(non-emulsifying silicone elastomers)と称されて来ており、これはポリオキシアルキレン単位が存在しないことを意味している。あるいは、本発明に従う使用のために好適なα,ω−ジエン架橋結合シリコーンエラストマーは、米国特許第5,654,362号(1997年8月5日)に記載されている組成物である。
【0049】
’362号特許に詳細が記載されているように、α,ω−ジエン架橋結合シリコーンエラストマーは、(A)式RSiO(R’SiO)(R”HSiO)SiRの≡Si−H含有ポリシロキサン、および任意で式HRSiO(R’SiO)SiRHまたは式HRSiO(R’SiO)(R”HSiO)SiRHの≡Si−H含有ポリシロキサン(ここで、R、R’、およびR”は、1〜6の炭素原子を有するアルキル基であり、aは0〜250、bは1〜250、cは0〜250である)を、(B)式CH=CH(CHCH=CHのアルファ,オメガ−ジエン(ここで、xは1〜20である)と反応させることにより調製される。この反応は、白金触媒の存在下、および(C)低分子量のシリコーン油またはその他の溶媒の存在下で行われる。この反応系は、シリコーンゴム粉末を調製するのに使用される反応系とは対照的に、非水系である。
【0050】
ポリジオルガノシロキサンガムは、本技術分野においてよく知られていて、商業的に入手可能であり、摂氏25度で1,000,000cs.を超える、好ましくは摂氏25度で5,000,000cs.を超える粘度を有している。
【0051】
本発明に従う組成物は、機械的に調製されることができ、これは、油相および水相を一緒に混合すること、および実験室用ホモジナイザーまたは勢いのある攪拌を与えるためのその他の装置を用いて相混合物を均質化することを含む。
【0052】
<追加の化粧品用活性剤>
ある一つの実施形態において、本発明に従う組成物は、前述した構成成分と共に、1つまたはそれ以上の追加の化粧品用活性剤をさらに含有してよい。「化粧品用活性剤(cosmetically active agent)」により意味されるものは、合成化合物、もしくは天然原料から単離されるか、精製されるか、または濃縮された化合物、あるいは、組織に対する化粧品または治療上の効果を有する化合物の混合物を含有する天然抽出物であってもよい化合物であり、限定されるものではないが、抗酵母菌剤(anti-yeast agents)、抗真菌薬、および抗菌物質(anti-bacterial agents)といった抗菌剤(anti-microbial agents)、抗炎症剤、老化防止剤、抗寄生虫剤(anti-parasite agents)、外部鎮痛薬(external analgesics)、抗酸化薬、角質溶解剤、洗浄剤/界面活性物質、モイスチュアライザー、栄養薬、ビタミン、ミネラル、エネルギーエンハンサー、安定剤、皮膚または粘膜のコンディショニングのための薬剤、ならびに、匂いマスキング剤もしくはpH変更剤(pH-changing agents)といった匂いコントロール剤を含む。
【0053】
ある一つの実施形態において、化粧品用活性剤は、限定されるものではないが、ヒドロキシ酸、ベンゾイルペルオキシド、D−パンテノール、オクチルメトキシシンナメート(octyl methoxycinnimate)、二酸化チタン、オクチルサリチレート、ホモサレート(homosalate)、アボベンゾン(avobenzone)、カロテノイド、フリーラジカルスカベンジャー、スピントラップ、レチノイン酸(トレチノイン)といったレチノイド、およびレチノールおよびレチニルパルミテート(retinyl palmitate)といったレチノイド前駆物質、ビタミンE(アルファ、ベータ、またはデルタトコフェロールおよび/またはそれらの混合物)といったビタミン、セラミド、多価不飽和脂肪酸、必須脂肪酸、酵素、酵素阻害剤、ミネラル、プロゲステロンといったホルモン、ヒドロコルチゾンといったステロイド、2−ジメチルアミノエタノール、塩化銅といった(限定されるものではないが鉄または亜鉛を含めた)金属塩、Cu:Gly−His−Lysといったペプチド含有銅、コエンザイムQ10、アミノ酸、ビタミン、アセチル−コエンザイムA、ナイアシン、リボフラビン、チアミン、リボース、NADHおよびFADH2といった電子伝達体(electron transporters)、バルバドスアロエ、ナツシロギク、およびダイズといった植物学的抽出物、ならびに、これらの誘導体および混合物からなる群より選択され得る。化粧品用活性剤は好ましくは、本発明の組成物において、組成物の約0.001重量%〜約20重量%、より好ましくは約0.005重量%〜約10重量%、最も好ましくは約0.01重量%〜約5重量%の量で存在するであろう。
【0054】
本発明の組成物の構成物となり得るビタミンの例としては、限定されるものではないが、ビタミンA、ビタミンB3、ビタミンB5、およびビタミンB12といったビタミンB群、ビタミンC、ビタミンK、アルファ、ガンマ、もしくはデルタ−トコフェロールといったビタミンE、ならびに、それらの誘導体(例えば、塩およびエステル)および混合物を含む。
【0055】
本発明の組成物および方法において利用され得る抗酸化薬の例としては、限定されるものではないが、スルフヒドリル化合物、およびそれらの誘導体(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウムおよびN−アセチル−システイン)といった水溶性抗酸化薬、リポ酸およびジヒドロリポ酸、レスベラトロール(resveratrol)、ラクトフェリン、ならびに、アスコルビン酸、およびアスコルビン酸誘導体(例えば、アスコルビルパルミテート(ascorbyl palmitate)およびアスコルビルポリペプチド)を含む。本発明の組成物において使用するために好適な油溶性抗酸化薬としては、限定されるものではないが、ブチル化ヒドロキシトルエン、レチノイド(例えば、レチノールおよびレチニルパルミテート)、異なるタイプのトコフェロール(例えば、アルファ−、ガンマ−、およびデルタ−トコフェロール、ならびにアセテートといったそれらのエステル)およびそれらの混合物、トコトリエノール、ならびにユビキノンを含む。本発明の組成物において使用するために好適な天然抽出物を含有する抗酸化薬としては、限定されるものではないが、フラボノイド、イソフラボノイド、ならびにゲニステインおよびダイアドゼイン(diadzein)といったそれらの誘導体を含有する抽出物(例えば、ダイズおよびクローバ抽出物、レスベラトロールを含有する抽出物などといったもの)を含む。そのような天然抽出物の例としては、グレープシード、緑茶、マツの樹皮、および蜂蝋を含む。
【0056】
本発明の組成物は、キレート化剤(例えば、EDTA)、および保存剤(例えば、パラベン)を含んでもよい。好適な保存剤およびキレート化剤の例は、INCI Handbookの第1626頁および第1654〜55頁に列挙されている。加えて、本明細書において有用な局所用組成物は、染料、乳白剤(例えば、二酸化チタン)、顔料、および芳香剤といった従来の化粧品補助剤を含有することができる。
【0057】
〔実施例〕
<例1:水中油型エマルジョン>
本発明に従う水中油型エマルジョンは、以下のとおり作製され得る。すなわち、油相の構成成分(すなわち、ステアリルアルコール、グリセリルステアレート、およびシリコーン流体)を列挙した順番で混合用容器に加え、45〜65℃に加熱しながら、中程度の攪拌により化合させる。水相の構成成分(すなわち、プロピレングリコール、セチルヒドロキシエチルセルロース、精製水、保存剤、乳化剤、ポリエチレングリコール400、およびcarbopol)を列挙した順番で別の混合用容器に加え、約45〜約65℃に加熱しながら、中程度の攪拌で化合させる。次に、油相が水相に完全に取り込まれ、実質的に均質な外観を有する水中油型エマルジョンを形成するように、十分な混合とせん断とを加えつつ油相を水相に加える。次に、pH調整剤を加え、エマルジョン全体に均一に(uniformily)取り込ませる。
【0058】
本発明に従う水中油型組成物の例は、下記のとおりである。
【表1】


【表2】

【0059】
<例2:シリコーン中グリコール型エマルジョン>
シリコーン中グリコール型エマルジョンは、以下のとおり調製され得る。すなわち、シリコーン相の構成成分(すなわち、シリコーン流体、ジメチコノールブレンド(dimethiconol blend)、シクロペンタシロキサン中のシリコーン、およびシリコーンエラストマーブレンド)を列挙した順番で混合用容器に加え、中程度の攪拌により化合させる。グリコール相の構成成分(すなわち、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール400、ヒドロキシプロピルセルロース、carbopol、および抗酸化薬)を別の混合用容器に加え、中程度の攪拌により化合させる。次に、グリコール相がシリコーン相に完全に取り込まれ、実質的に均質な外観を有するシリコーン中グリコール型エマルジョンを形成するよう十分に遅い添加速度で、グリコール相をシリコーン相に加える。
【0060】
シリコーン中グリコール型エマルジョンの例は、下記のとおりである。
【表3】

【表4】

【表5】

【0061】
<例3:本発明の温め組成物を使用する暖かさの発生>
上述の例1および例2に示された組成物を、皮膚に適用した際に暖かさを発生させるかどうか決定するためにテストした。米国特許第7,005,408号の例3に示されたテスト方法を用いて、水と化合させたときに期待される温度上昇を決定した。各例の組成物20mLを水20mLに混合することにより、表2に示されたデータを作成した。それぞれ(組成物および水)の初期の温度を決定し、2つの温度の平均を算出した。次に、組成物に水を加えた。水を加えた後、混合物を2分間混合し、実際の温度を記録した。次に、平均温度を実際の温度から引き算し、その結果が「温度の上昇」である。
【0062】
下記の表2に示した結果が得られ、この結果は、本発明の組成物が、皮膚および皮膚上に位置する周囲水分に適用された際に暖かさを発生させることが予期され得ることを証明している。
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続油相中に分散した非連続水性相を有するシリコーン中グリコール型エマルジョンを含む組成物において、
前記シリコーン中グリコール型エマルジョンの前記連続油相は、
直鎖シリコーンポリエーテルであって、当該直鎖シリコーンポリエーテルは、くま手タイプ構造を有していて、ポリオキシエチレン単位またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー単位がシロキサン主鎖にグラフト化されているか、または、当該直鎖シリコーンポリエーテルは、ABAブロックコポリマー構造を有していて、ABA構造のAがポリエーテル部分を、Bがシロキサン部分を表している、直鎖シリコーンポリエーテル、
シリコーン流体およびまたはシリコーンガムの組み合わせ、および/または、構造内にオキシアルキレン単位を有していない非乳化性α,ω−ジエン架橋結合シリコーンエラストマー、ならびに、
少なくとも1つのポリオールを含む実質的に無水の組成物、
を含む、組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物において、
前記シリコーン中グリコール型エマルジョンの前記連続油相は、前記直鎖シリコーンポリエーテルを1.8〜3.5重量%、揮発性シリコーン溶媒を18〜27%含有しており、
前記揮発性シリコーン溶媒は、式(R’”SiO)の揮発性環状アルキルシロキサン、または式R’”SiO(R’”SiO)SiR’”の揮発性直鎖アルキルシロキサンといったものであり、ここで、R’”は1〜6の炭素原子を含有するアルキル基であり、dは3〜6であり、eは0〜5である、組成物。
【請求項3】
請求項2に記載の組成物において、
前記溶媒は、式(R’”SiO)の揮発性環状アルキルシロキサン、または式R’”SiO(R’”SiO)SiR’”の揮発性直鎖アルキルシロキサンであり、ここで、R’”は1〜6の炭素原子を含有するアルキル基であり、dは3〜6であり、eは0〜5である、組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の組成物において、
前記溶媒は、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、およびヘキサデカメチルヘプタシロキサンからなる群より選択される、組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の組成物において、
前記シリコーン流体および/またはシリコーンガムの組み合わせ、および/または非乳化性α,ω−ジエン架橋結合シリコーンエラストマーは、前記配合物の2〜10重量%を構成しており、その中でも使用されることができる適したシリコーン流体は、例えば、(i)ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、およびデカメチル−シクロペンタシロキサンといった揮発性ポリジメチルシロキサン、(ii)概ね約5〜約30,000センチストーク(mm/s)の範囲の粘度を有する不揮発性ポリジメチルシロキサン、および(iii)シリコーンガムである、組成物。
【請求項6】
少なくとも2つの相を含むエマルジョン組成物において、
第1の相は、油を含み、
第2の相は、少なくとも1つのポリオールを含む実質的に無水の組成物を含み、
前記エマルジョンは、潤滑性が少なくとも約33である、エマルジョン組成物。
【請求項7】
請求項6に記載のエマルジョン組成物において、
前記油相は、非連続相である、エマルジョン組成物。
【請求項8】
請求項7に記載のエマルジョン組成物において、
前記実質的に無水の相は、連続相である、エマルジョン組成物。
【請求項9】
請求項6に記載のエマルジョン組成物において、
前記油相は、シリコーン油を含む、エマルジョン組成物。
【請求項10】
請求項9に記載のエマルジョン組成物において、
前記油相は、連続相である、エマルジョン組成物。
【請求項11】
請求項10に記載のエマルジョン組成物において、
前記実質的に無水の相は、非連続相である、エマルジョン組成物。

【公表番号】特表2010−518121(P2010−518121A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549263(P2009−549263)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/053453
【国際公開番号】WO2008/144084
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(506105814)マクニール−ピーピーシー・インコーポレーテツド (69)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】