説明

パーツフィーダ

【課題】パーツを、供給箇所にまで確実に供給することができるパーツフィーダを提供する。
【解決手段】ボウル内に多数収納されたパーツを、搬送トラック20cで搬送中に整列させたうえ、搬送トラック20cの終端から供給パイプ90に順次送給して、供給パイプ90先端の供給箇所にパーツを供給するパーツフィーダにおいて、搬送トラックの終端20fに、導入管31を接続し、導入管31に導入管31と直交させて送給管32を接続する。送給管32の基端に、送給管32の流路と同一方向となるように圧縮空気噴出管33を接続し、送給管32の先端に供給パイプ90を接続する。圧縮空気噴出管33から噴出する圧縮空気の噴流が確実に供給パイプ90内に流入し、確実にパーツを送給することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナット等のパーツを供給するパーツフィーダの改良に関するものである。
【0002】
従来から、図6に示されるように、ウェルドナット等のパーツを供給するためのパーツ供給装置150がよく用いられている。このようなパーツ供給装置150は、多数のパーツが収納され、供給パイプ153に順次パーツを送り込むパーツフィーダ152と、送りこまれたパーツを供給箇所に供給する供給ヘッド151とから構成されている。図6に示されるような構成では、供給パイプ153に送り込まれたパーツは、自重で、供給ヘッド151に滑落するようになっている。
【0003】
しかしながら、このような構造のパーツ供給装置150は、パーツフィーダ152の設置位置を供給ヘッド151よりも高くする必用があり、パーツの供給箇所が高い場合には、パーツフィーダ152の設置位置も高くする必用があり、作業者が高い位置にあるパーツフィーダ152にパーツを供給する必要があり、作業性が悪いという問題があった。
【0004】
そこで、特許文献1に示されるように、圧縮空気でパーツを供給ヘッドにまで供給するパーツ供給装置がある。このパーツ供給装置155の構造を、図7を用いて簡単に説明する。図7に示されるように、パーツ供給装置155のパーツフィーダ152と供給ヘッド151は、ウレタンホース等の柔軟な供給パイプ156で接続されている。そして、パーツフィーダ152に近い位置の供給パイプ156に、圧縮空気が噴出する圧縮空気噴出管157が接続されている。パーツフィーダ152から供給パイプ156に順次送り込まれたウェルドナット999等のパーツは、供給パイプ156の傾斜を滑落し、圧縮空気噴出管157から噴出する圧縮空気により(図8の(1))、供給ヘッド151にまで送給される(図8の(2))。このように、柔軟な供給パイプ156でパーツフィーダ152と供給ヘッド151とを接続する構造としたので、パーツフィーダ152を任意の位置に配置することが可能となる。
【0005】
しかしながら、図8に示されるように、圧縮空気噴出管157から噴出した圧縮空気の一部が、供給パイプ156の内面に反射して、パーツフィーダ152側に分流し(図8の(3))、パーツフィーダ152から送り込まれたウェルドナット999等のパーツが、パーツフィーダ152側に押し戻されて、供給ヘッド151に供給されないことがあるという問題があった。また、圧縮空気噴出管157から噴出した圧縮空気の一部が、パーツフィーダ152側に分流してしまうことから、パーツを供給ヘッド151側に送り込む方の圧縮空気の流れ(図8の(2))が弱くなり、パーツを遠くの供給箇所まで供給することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63−154520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題を解決し、パーツを、供給箇所にまで確実に供給することができるパーツフィーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、
有底円筒形状であり、周壁に沿って螺旋状の搬送トラックが形成されたボウルと、
前記搬送トラックに沿ってパーツを移動させるための振動を前記ボウルに付与する振動生成部を有し、
前記ボウル内に多数収納されたパーツを、前記搬送トラックで搬送中に整列させたうえ、前記搬送トラックの終端から供給パイプに順次送給して、供給パイプ先端の供給箇所にパーツを供給するパーツフィーダにおいて、
搬送トラックの終端に導入管を接続し、
前記導入管の先端に、先端に供給パイプが接続される送給管を、前記導入管と直交させて接続し、
前記送給管の基端に、圧縮空気が供給される圧縮空気噴出管を、前記送給管と流路方向を同一にして接続したことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
送給管に吸入口を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明は、有底円筒形状であり、周壁に沿って螺旋状の搬送トラックが形成されたボウルと、前記搬送トラックに沿ってパーツを移動させるための振動を前記ボウルに付与する振動生成部を有し、前記ボウル内に多数収納されたパーツを、前記搬送トラックで搬送中に整列させたうえ、前記搬送トラックの終端から供給パイプに順次送給して、供給パイプ先端の供給箇所にパーツを供給するパーツフィーダにおいて、搬送トラックの終端に導入管を接続し、前記導入管の先端に、先端に供給パイプが接続される送給管を、前記導入管と直交させて接続し、前記送給管の基端に、圧縮空気が供給される圧縮空気噴出管を、前記送給管と流路方向を同一にして接続したことを特徴とする。
このため、圧縮空気噴出管から噴出する圧縮空気の噴流が、送給管の流路と同一となることから、圧縮空気噴出管から噴出する圧縮空気の噴流が、送給管の内面と反射してウェルドナットの供給方向と逆向きに分流することがなく、全て供給パイプに流入するので、ウェルドナットを供給パイプ先端の供給箇所に供給することが可能となる。
また、圧縮空気供給管から圧縮空気が噴出すると、導入管内の空気が、圧縮空気噴出管から送給管内に噴出する圧縮空気の噴流に引き込まれて送給管側に流れるので、導入管内のパーツが、送給管側に引き込まれ、導入管内でパーツが詰まることがなく、また、供給パイプ内に流入する空気の量が増大して、確実にパーツを供給箇所に供給することができるのは勿論なこと、より遠くの供給箇所にパーツを供給することが可能となる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
送給管に吸入口を形成したことを特徴とする。
このため、吸入口から空気が、圧縮空気噴出管から送給管に噴出する圧縮空気の噴流に引き込まれて送給管側に流入し、供給パイプ内に流入する空気の量が増大し、確実にパーツを供給箇所に供給することができることは勿論なこと、より遠くの供給箇所にパーツを供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態を示すパーツフィーダの側面図である。
【図2】パーツフィーダの上面図である。
【図3】要部断面図である。
【図4】使用状態を示したパーツフィーダの上面図である。
【図5】ウェルドナットの説明図である。
【図6】従来の実施の形態を示すパーツ供給装置の全体図である。
【図7】従来の実施の形態を示すパーツ供給装置の全体図である。
【図8】従来の問題点を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照しつつ、本発明の好ましい実施の形態を示す。図1や図2に示されるように、本発明のパーツフィーダ100は、内部に多数のパーツが収納されるボウル20と、パーツを供給パイプ90に送給する送給部30と、送給部30に搬送するための振動をボウル20に付与するための振動生成部10とから構成されている。なお、パーツの一例として図5に示されるようなウェルドナット999を供給するための実施形態について、本発明のパーツフィーダ100を説明する。図5に示されるように、ウェルドナット999の裏面には、溶接時に溶接電流を集中させて、被溶接部材に溶着させるためのプロジェクション999aが形成されている。
【0014】
ボウル20は、振動生成部10の上部に取り付けられている。ボウル20は、有底円筒状であり、このボウル20内に内部に多数のパーツを収納することができるようになっている。ボウル20の周壁20aの内側には、周壁20aに沿って、ボウル20の底部20bから徐々に上方に上がる螺旋形状の搬送路トラック20cが形成されている。
【0015】
振動生成部10は、電磁コイル、板バネ、磁性体を有していて、電磁コイルに間欠的に通電したときに、その通電時には板バネの弾性力に抗して磁性体が引き寄せられて変位し、また、非通電時には板バネ弾性復元力により反対側に変位することにより振動を発生させる装置である。パーツフィーダに使用される振動生成部については周知技術であるので、ここでは詳細に説明しない。
【0016】
図4に示されるように、ボウル20内に収納されたウェルドナット999は、振動生成部10によりボウル20に付与される振動によって、搬送トラック20cに沿って移動し、送給部30にまで搬送されるようになっている。図4に示されるように、ウェルドナット999は、搬送トラック20c上での搬送中に1列に整列されるようになっている。なお図1に示されるように、搬送トラック20cは、周壁20a側に低くなっていて、搬送トラック20c上で搬送されるウェルドナット999が搬送トラック20cから落下しないようになっている。また、ボウル20の底部20bは、周壁20a側に低くなっていて、底部20b上にあるウェルドナット999が、搬送トラック20cに導かれるようになっている。
【0017】
搬送トラック20cの途中には、搬送トラック20c上を横切るように、掻き落とし部材20dが、周壁20aに取り付けられている。掻き落とし部材20dの下端と搬送トラック20cとの離間寸法は、ウェルドナット999厚さの2倍よりも小さいので、図4の(1)に示されるような、2枚重ねのウェルドナット999のうち上側のウェルドナット999は、掻き落とし部材20dで掻き落とされて、掻き落とし部材20dの下を通過できないので、2枚重ねの状態で送給部30に搬送されないようになっている。
【0018】
掻き落とし部材20dが設けられている位置よりも下流側の搬送トラック20cには、切欠部20eが形成されている。切欠部20eの幅寸法は、ウェルドナット999の幅寸法よりも小さくなっていて、図4の(2)に示されるような、プロジェクション999aが下側を向いている正規の向きでないウェルドナット999は、プロジェクション999aによって傾いて、切欠部20eで落下するようになっている。このため、送給部30には、プロジェクション999aが上側を向いている正規の向きのウェルドナット999のみが搬送されるようになっている。
【0019】
送給部30は、導入管31、送給管32、圧縮空気噴出管33とから構成されている。図2に示されるように、搬送トラック20cの終端部20fが位置している周壁20aは、切りかかれている。この周壁20aが切りかかれている部分に、導入管31が外接して接続している。導入管31の断面形状は四角形状となっていて、1個のウェルドナット999のみが、順次通過できるようになっている。導入管31の基端側の一側面は切りかかれていて、搬送トラック20cの終端部20f側に開口している。導入管31基端の底面は、搬送トラック20cの終端部20fと連続していて、導入管31基端の底面の方が低くなっている。このため、搬送トラック20cの終端部20fに搬送されたウェルドナット999が、導入管31に導かれるようになっている。導入管31は先端側の方が基端側よりも低くなっているので、導入管31に導かれたウェルドナット999が、導入管31の先端側に滑動するようになっている。
【0020】
導入管31の先端には、導入管31と直交する送給管32が接続している。送給管32もまた、導入管31と同様に、断面形状は四角形状となっていて、1個のウェルドナット999のみが、順次通過できるようになっている。送給管32の基端には、圧縮空気噴出口32aが形成されている。圧縮空気噴出口32aには、圧縮空気噴出管33が、水平方向に関し導入管31と直交するように接続している。このため、送給管32の流路方向と、圧縮空気噴出管33の流路方向が同一となっている。
【0021】
図2や図4に示されるように、送給管32には、吸入口32bが連通形成されている。図に示される実施形態では、吸入口32bは、導入管31との接続部分に形成されている。
【0022】
圧縮空気噴出管33には、圧縮空気供給管95が接続されている。圧縮空気供給管95には、工場用圧縮空気配管や圧縮空気タンクから圧縮空気が供給されるようになっている。本実施形態では、プログラマブルロジック回路によって制御されたソレノイドバルブによって、間欠的に圧縮空気が圧縮空気供給管95に供給されるようになっている。
【0023】
送給管33の先端には、ウレタンホース等の柔軟な供給パイプ90が接続している。供給パイプ90の先端には、例えば前述した供給ヘッドが接続している。
【0024】
次に、図3を用いて、ウェルドナット999が、供給パイプ90先端の供給箇所に送給される仕組みについて説明する。搬送トラック20c上を搬送されるウェルドナット999(図3の(1))は、搬送トラックの20cの終端部20fにまで搬送されると導入管31側に導かれ(図3の(2))、導入管31の先端側に滑動し(図3の(3))、送給管32の基端まで移動する(図3の(4))。すると、ウェルドナット999は、圧縮空気噴出口32aから噴出する圧縮空気によって、供給パイプ90に送給され(図3の(5))、前記圧縮空気によって供給パイプ90内を流通して、供給パイプ90の先端の供給箇所(例えば供給ヘッド)に供給されるようになっている。
【0025】
本発明では、送給管32の基端を、導入管31の先端に、導入管31と直交させて接続したので、圧縮空気噴出管33と送給管32の流路方向を同一にして、送給管32の基端に圧縮空気噴出管33を接続することが可能となり、圧縮空気噴出管33から噴出する圧縮空気の噴流の向きが、送給管32の流路と同一になる。このため、圧縮空気噴出管33から噴出する圧縮空気が、送給管33の内面と反射して、ウェルドナット999の供給方向と逆向きに圧縮空気が分流することがなく、前記圧縮空気が全て供給パイプ90に流入する。このため、確実に、ウェルドナット999を供給パイプ90先端の供給箇所に供給することが可能となる。なお、本明細書において「直交」には、送給管32と圧縮空気噴出管33の流路方向を同一にすることができる、導入管31と送給管32の角度であれば全て含まれ、60〜120°が含まれる。
【0026】
なお、圧縮空気供給口32aから圧縮空気が噴出すると、図3の(7)に示されるように、導入管31内の空気が、圧縮空気噴出口32aから送給管32内に噴出する圧縮空気の噴流(図3の(6))に引き込まれて送給管32に流入する。このため、導入管31内のウェルドナット999が、送給管32側に引き込まれ、導入管31内でウェルドナット999が詰まることがない。また、空気が導入管31から送給管32に流入することから、供給パイプ90内に流入する空気の量が増大して、ウェルドナット999を確実に供給箇所に供給することができるのは勿論なこと、より遠くの供給箇所にウェルドナット999を供給することが可能となる。
【0027】
また、本実施形態では、送給管32に吸入口32bを形成したので、図3の(8)に示されるように、吸入口32bから空気が、圧縮空気噴出口32aから送給管32内に噴出する圧縮空気の噴流(図3の(6))に引き込まれて送給管32側に流入する。このため、供給パイプ90内に流入する空気の量が増大し、確実にウェルドナット999を供給箇所に供給することができることは勿論なこと、より遠くの供給箇所にウェルドナット999を供給することが可能となる。
【0028】
なお、パーツの一例としてウェルドナットを順次供給する実施形態について本発明を説明したが、ボルトやセラミックコンデンサー等のパーツを順次供給するパーツフィーダについても、本発明の技術的思想を適用することができることは言うまでもない。
【0029】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うパーツフィーダもまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【符号の説明】
【0030】
10 振動生成部
20 ボウル
20a 周壁
20b 底部
20c 搬送路トラック
20d 掻き落とし部材
20f 搬送トラックの終端部
30 送給部
31 導入管
32 送給管
32a 圧縮空気噴出口
32b 吸入口
33 圧縮空気噴出管
90 供給パイプ
95 圧縮空気供給管
100 パーツフィーダ
150 パーツ供給装置
151 供給ヘッド
152 パーツフィーダ
153 供給パイプ
155 パーツ供給装置
156 供給パイプ
157 圧縮空気噴出管
999 ウェルドナット
999a プロジェクション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底円筒形状であり、周壁に沿って螺旋状の搬送トラックが形成されたボウルと、
前記搬送トラックに沿ってパーツを移動させるための振動を前記ボウルに付与する振動生成部を有し、
前記ボウル内に多数収納されたパーツを、前記搬送トラックで搬送中に整列させたうえ、前記搬送トラックの終端から供給パイプに順次送給して、供給パイプ先端の供給箇所にパーツを供給するパーツフィーダにおいて、
搬送トラックの終端に導入管を接続し、
前記導入管の先端に、先端に供給パイプが接続される送給管を、前記導入管と直交させて接続し、
前記送給管の基端に、圧縮空気が供給される圧縮空気噴出管を、前記送給管と流路方向を同一にして接続したことを特徴とするパーツフィーダ。
【請求項2】
送給管に吸入口を形成したことを特徴とする請求項1に記載のパーツフィーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−254443(P2010−254443A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107518(P2009−107518)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(392014760)新光機器株式会社 (50)
【出願人】(506332937)株式会社フィーダシステム (10)
【Fターム(参考)】