説明

パーツ取替型ユニフォーム

【課題】デザインを自由かつ大きく変更することができ、製造コストの低減を図ることができるパーツ取替型ユニフォームを提供する。
【解決手段】このパーツ取替型ユニフォーム10は、前身頃21、後身頃23、及び左右一対の袖27を有するユニフォーム本体20を有し、ユニフォーム本体20には、襟29、左右の肩33、左右の脇25、前記前身頃21の裾43に、それぞれ留め手段が設けられ、ユニフォーム本体20には、前身頃21の前面に配置される飾り胸当50、襟29の周縁に配置される飾り襟52、左右の肩33の一方から左右反対側の裾43に斜めに配置される環状の飾りたすき55、左右の肩33の一方から左右反対側の裾43に斜めにかつ前身頃21の前面に配置される飾り帯57から選ばれた、少なくとも一つの取替パーツが、留め手段を介して着脱可能に取付けられるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、マーチングバンドにおける楽器奏者などが着用するのに好適なパーツ取替型ユニフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、イベント時には、歩きながら楽器を演奏するマーチングバンドによるパレードが行われる場合がある。このマーチングバンドは、管楽器や打楽器の奏者、カラーガード(フラッグやサーベル等の手具で演技をする者)、バトントワラー(指揮杖等を用いて演技をする者)などの多様なメンバーで構成されている。各構成員は、様々なデザインが施されたり、装飾品が取付けられたりしたユニフォームを着用している。
【0003】
この種のユニフォームは、ユーザーごとに異なるデザインのものが用いられている。しかし、ユーザーごとに異なるデザインとするため、メーカーは、オリジナルデザインを施したユニフォームを、ユーザーごとに製造しなければならず、コストが増大するという不都合が生じていた。
【0004】
一方、衣服の見た目を変更できる技術として、下記特許文献1には、衣料の身頃縁部に襟を着脱可能に取付けることができる、襟取り付け構造が開示されている。この構造では、衣料の身頃縁部に襟を着脱できるため、着用者の好みに応じて、襟を付けた状態又は襟を付けない状態に適宜選択することができ、見た目を変更できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−4019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1では、衣料の身頃縁部に対して襟を着脱可能に取付けることができるが、襟を着脱可能にしただけでは、襟周辺の見た目が変わるだけで、衣服全体のデザインを大きく変更することはできない。そのため、オリジナルデザインのユニフォームが必要な場合、上記構造を適用しただけでは不十分で、新たにユニフォームを製造しなければならないことに変わりはなく、製造コストの低減を図ることは難しい。
【0007】
したがって、本発明の目的は、デザインを自由にかつ大きく変更することができ、製造コストの低減を図ることができる、パーツ取替型ユニフォームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のパーツ取替型ユニフォームは、前身頃、後身頃、及び左右一対の袖を有するユニフォーム本体を有し、該ユニフォーム本体には、襟、左右の肩、左右の脇、前記前身頃の裾に、それぞれ留め手段が設けられており、
前記ユニフォーム本体には、前記前身頃の前面に配置される飾り胸当、前記襟の周縁に配置される飾り襟、前記左右の肩の一方から左右反対側の裾に斜めに配置される環状の飾りたすき、及び前記左右の肩の一方から左右反対側の裾に斜めにかつ前記前身頃の前面に配置される飾り帯から選ばれた、少なくとも一つの取替パーツが、前記留め手段を介して着脱可能に取付けられるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
上記発明によれば、ユニフォーム本体の、襟、左右の肩、左右の脇、前身頃の裾の各部分に、それぞれ留め手段が設けられていることにより、飾り胸当、飾り襟、飾りたすき、飾り帯から選ばれた取替パーツを着脱可能に取付けることができるので、ユニフォームのデザインを、目的や好みに応じて自由にかつ大きく変更することができる。すなわち、異なるデザインのユニフォームが求められている場合であっても、ユニフォーム本体に対して取替パーツを適宜着脱するだけで対応することができ、その結果、ユニフォーム本体を共通化することができるので、製造コストを低減して、低価格のユニフォームを提供することが可能となる。
【0010】
本発明のパーツ取替型ユニフォームは、前記ユニフォーム本体の左右の肩には肩章が配置され、この肩章で覆われた部分に前記留め手段が設けられており、
同ユニフォーム本体の脇には、前記留め手段を有する帯状片が延設されていると共に、同帯状片を収容可能なポケットが形成されており、
更に前記前身頃の裾の裏側に前記留め手段が設けられていることが好ましい。
【0011】
この態様によれば、肩章で覆われた位置、脇に延設された帯状片、更に前身頃の裾の裏側に、それぞれ留め手段が設けられているので、飾り胸当を、左右又は上下に位置ずれすることなく、ユニフォーム本体の所定箇所にしっかりと取付けることができる。また、肩章で覆われた留め手段及び前身頃の裾の裏側の留め手段を用いれば、環状の飾りたすきや飾り帯も位置ずれすることなく、取付けることができる。
【0012】
また、留め手段を設けた脇の帯状片はポケットに収容され、肩の留め手段も肩章で覆われ、前身頃の裾の留め手段も裏側に配置されていて、見えない位置に留め手段が形成されているので、見栄えを向上させることができる。
【0013】
本発明のパーツ取替型ユニフォームは、前記留め手段は、面ファスナーの雄又は雌部材で構成されており、前記取替パーツには、前記留め手段に係合可能な雌又は雄の面ファスナーが取付けられていることが好ましい。この態様によれば、ユニフォーム本体側の留め手段として、面ファスナーの雄又は雌部材が用いられ、取替パーツに、それに係合する雌又は雄の面ファスナーを取付けたので、これらの面ファスナーの雄雌部材によって、ユニフォーム本体に各種取替パーツをワンタッチで簡単に取付けることができる。
【0014】
本発明のパーツ取替型ユニフォームは、前記取替パーツは、前記ユニフォーム本体の各袖の先端外周に配置され、同袖の長さを延長する延長袖であることが好ましい。この態様によれば、取替パーツとして更に延長袖を採用したことにより、袖部の飾りとなると共に、袖の長さが足りない場合でも、延長袖を取付けるだけで、簡単に袖の長さを延長することができ、利便性が向上する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ユニフォーム本体の、襟、左右の肩、左右の脇、前身頃の裾の各部分に、それぞれ留め手段が設けられていることにより、飾り胸当、飾り襟、飾りたすき、飾り帯から選ばれた取替パーツを着脱可能に取付けることができるので、ユニフォームのデザインを、目的や好みに応じて自由にかつ大きく変更することができる。すなわち、異なるデザインのユニフォームが求められている場合であっても、ユニフォーム本体に対して取替パーツを適宜着脱するだけで対応することができ、その結果、ユニフォーム本体を共通化することができるので、製造コストを低減して、低価格のユニフォームを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のパーツ取替型ユニフォームの一実施形態を示しており、同パーツ取替型ユニフォームを構成するユニフォーム本体の正面斜視図である。
【図2】同ユニフォーム本体の背面斜視図である。
【図3】同ユニフォーム本体の正面側における要部拡大斜視図である。
【図4】本発明のパーツ取替型ユニフォームを構成する、取替パーツの一つである飾り胸当を示しており、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【図5】同取替パーツの一つである飾り襟を示しており、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【図6】同飾り襟をユニフォーム本体に取付けた状態を示す斜視図である。
【図7】(a)は取替パーツの一つである飾りたすきを示す斜視図、(b)は取替パーツの一つである飾り帯を示す斜視図である。
【図8】同取替パーツの一つである延長袖を示しており、(a)は説明図、(b)は斜視図である。
【図9】本発明のパーツ取替型ユニフォームの使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明のパーツ取替ユニフォームの一実施形態について説明する。
【0018】
この実施形態におけるパーツ取替ユニフォームは、例えば、マーチングバンドにおける楽器奏者や、カラーガード、バトントワラーなどが着用するユニフォームや、官憲・軍隊等のユニフォーム、スポーツ競技におけるユニフォーム、作業用のユニフォーム、その他のユニフォームに適用することができる。
【0019】
このパーツ取替ユニフォーム10(以下、単に「ユニフォーム10」という)は、ユニフォーム本体20(図1〜3参照)と、該ユニフォーム本体20に着脱可能に取付けられる複数の取替パーツ(図4〜8参照)とから構成されている。
【0020】
まず、ユニフォーム本体20について説明する。このユニフォーム本体20は、着用者の胴体前面(胸・腹部側)を覆う前身頃21と、着用者の胴体後面(背中側)を覆う後身頃23と、両身頃21,21の左右両脇25,25の上方に取付けられて、両腕を覆う左右一対の袖27,27とを有している(図1,2参照)。前身頃21及び後身頃23の上部中央には、首を囲むネック開口部が設けられており、このネック開口部の周縁から襟29が立設されている。図2に示すように、この襟29の背面部及び前記後身頃23の幅方向中央には、開閉可能なスライドファスナー31が上下方向に沿って取付けられている。したがって、このスライドファスナー31を開けることにより、襟29及び後身頃23が左右に分割されて、ユニフォーム本体20を着用できるようになっている。
【0021】
同ユニフォーム本体20の左右の肩33,33の外側周縁からは、外方に向かって肩パッド35,35が突設されている。また、肩33,33には、帯状をなした肩章37が開閉可能に取付けられている。これについて説明すると、肩33の外側縁部に肩章37の一端部が固着されており、同肩章37の尖った形状をなした他端部にボタン係合溝37aが形成されている。また、肩33の襟29の近傍にボタン33bが取付けられている。このボタン33bが前記肩章37のボタン係合溝37aに係合することにより、肩章37が閉じるようになっている(図1,2参照)。
【0022】
前身頃21及び後身頃23は、上述したように、左右両脇上方に一対の袖27,27を縫合すると共に、更に左右両脇25,25をそれぞれ重ね合わせ、重ね合わせた部分を縫合することにより一体化されている。この実施形態においては、図3に示すように、脇25の上下端部のみを縫合し、脇25の中間部分を縫合せずに残すことにより、開口したポケット39が形成されている。更に、脇25の中間部分の未縫合部分には、ポケット39の開口幅にほぼ適合した幅で、所定長さの帯状片41が取付けられている。この帯状片41は、常時は前記ポケット39内に収容されていて、必要に応じてポケット39から取出されるようになっている。
【0023】
また、前身頃21の下方からは、2つの山型状突片が下方に向けて延設されていて、その下方縁部がジグザグ状をなしている。このジグザグ状の下方縁部が、前身頃21の裾43をなしている。
【0024】
そして、このユニフォーム10のユニフォーム本体20には、前述した各構成部分、すなわち、襟29、左右の肩33,33、左右の脇25,25、前身頃21の裾43に、後述する各種取替パーツをユニフォーム本体20に対して着脱可能に取付けるための留め手段がそれぞれ設けられている。この実施形態における留め手段は、面ファスナーの雄部材(フックが起毛している部材)又は雌部材(フックに係合するループが起毛している部材)で構成されている。
【0025】
各構成部分における留め手段が設けられた箇所について説明すると、まず、襟29の裏側内周に、複数の面ファスナー29aが設けられている。この実施形態では、襟29の左右に半割される部分に2つずつ、合計4つの小片状の面ファスナー29aが取付けられている(図1〜3参照)。また、左右の肩33,33には、開閉可能に取付けられた肩章37で覆われる部分に、肩章37よりもやや短い帯状の面ファスナー33a,33aがそれぞれ取付けられている。更に、左右の両脇25,25には、ポケット39に収容される各帯状片41の先端部に、帯状の面ファスナー41a,41aがそれぞれ取付けられている。また、前身頃21の裾43については、左右外側の斜め縁部の裏側に、帯状の面ファスナー43a,43aがそれぞれ取付けられている。このように、各面ファスナー29a,33a,41a,43aは、外部からは見えない位置に取付けられている。なお、各面ファスナー29a,33a,41a,43aは、ファスナーを構成する雄部材(フック側)又は雌部材(ループ側)のどちらでもよいが、感触の点で好ましくは雌部材が用いられる。
【0026】
また、ユニフォーム本体20に設ける留め手段としては、上記の面ファスナーだけでなく、スライダー及び一対のエレメントからなるスライドファスナー(いわゆる線ファスナー)におけるエレメントの一方であってもよく、ボタン、ホック、スナップ等及びそれらに係合する穴からなる、いわゆる点ファスナーの一方の部材であってもよく、特に限定されるものではない。
【0027】
そして、このユニフォーム10は、飾り胸当、飾り襟、飾りたすき、飾り帯から選ばれた少なくとも一つの取替パーツを有している。また、この実施形態における各取替パーツには、前記ユニフォーム本体20の襟29、肩33、脇25、裾43に設けた各面ファスナー29a,33a,41a,43aに係合可能な面ファスナーが取付けられている。なお、取替パーツ側の面ファスナーは、前記ユニフォーム本体20側の面ファスナーの雄部材又は雌部材に係合する、雌部材又は雄部材となっている。以下、各取替パーツについて図4〜8を参照して説明する。
【0028】
図4(a),(b)には、取替パーツの一つである飾り胸当50が示されている。この飾り胸当50は、ユニフォーム本体20を構成する前身頃21の前面に配置されるもので、基本的には前身頃21と同様の形態をなしている。
【0029】
この実施形態における飾り胸当50は、その表側中央に所定のデザインが施されている。同飾り胸当50の、上方中央に設けられたU字状ネック凹部の両側部分の裏側には、肩33の面ファスナー33aに係合する帯状の面ファスナー50a,50aがそれぞれ取付けられている。また、同飾り胸当50の左右両側に延出した部分の裏側には、脇25の各帯状片41の面ファスナー41aに係合する帯状の面ファスナー50b,50bがそれぞれ取付けられている。更に、同飾り胸当50の下方両側の斜め縁部には、折り曲げ可能な折曲片51,51がそれぞれ取付けられており、各折曲片51の裏面側に帯状の面ファスナー51aが固着されている。この折曲片51の面ファスナー51aは、裾43裏側の面ファスナー43aに係合するようになっている。
【0030】
図5,6には、ユニフォーム本体20における襟29の周縁に取付けられる飾り襟52が示されている。図5(a),(b)に示すように、この飾り襟52は、襟29内周に配置されるカラー53と、該カラー53の長手方向に沿った一側辺に折り曲げ可能に取付けられ、襟29外周に配置される左右一対の突片54,54とからなる。前記カラー53の裏側に、襟29の各面ファスナー29aに係合する面ファスナー53aが複数取付けられている。
【0031】
図7(a)には、ユニフォーム本体20の左右両肩33,33の一方から、左右反対側の裾43に斜めに配置される環状の飾りたすき55が示されている。この飾りたすき55は、所定長さで帯状に伸びると共に、その中間部分で折り曲げられた形状をなし、表側には所定のデザインが施されている。また、飾りたすき55の中間部分の裏側には、肩33の面ファスナー33aに係合する面ファスナー55aが取付けられている。更に同飾りたすき55の両端部の裏側には、雌雄一対の面ファスナー55b,55bが取付けられており、両ファスナー55b,55bが互いに係合することにより、飾りたすき55の両端が連結されて環状をなすようになっている。
【0032】
図7(b)には、ユニフォーム本体20の左右両肩33,33の一方から、左右反対側の裾43に斜めにかつ前身頃21の前面に配置される飾り帯57が示されている。この飾り帯57の一端には、肩33の面ファスナー33aに係合する面ファスナー57aが取付けられている。同飾り帯57の他端からは、折り曲げ可能な折曲片58が延設されており、同折曲片58の裏側に、裾43裏側の面ファスナー43aに係合する面ファスナー58aが取付けられている。
【0033】
更にこの実施形態におけるユニフォーム10には、取替パーツとして、図8に示す延長袖59を有している。図8(a)に示すように、この延長袖59は、所定長さでやや湾曲した略扇形状をなしており、その長手方向の両端部に、雌雄一対の面ファスナー59a,59bが取付けられている。両ファスナー59a,59bを互いに係合させることにより、延長袖59の両端が連結されて腕輪状をなすようになっている。
【0034】
次に、上記構造からなる本発明のユニフォームの使用方法について説明する。
【0035】
このユニフォーム10では、以下のようにして、ユニフォーム本体20に各種取替パーツを着脱可能に取付けることができる。図9には、ユニフォーム本体20に、飾り胸当50、飾り襟52、飾りたすき55、延長袖59が取付けられた状態が示されている。
【0036】
飾り胸当50をユニフォーム本体20に取付ける際には、まず、両脇25,25のポケット39に収容された帯状片41,41をそれぞれ取り出して、その面ファスナー41aが前身頃21の表側に配置されるように帯状片41を折り曲げておく。これと共に、肩章37のボタン係合溝37aからボタン33bを外して、左右両方の肩章37,37を外側に開き、肩章37で覆われた肩33の面ファスナー33a,33aを露出させておく。
【0037】
この状態で、ユニフォーム本体20の左右両肩33,33、左右両脇25,25、及び、左右の裾43,43の各部分に、飾り胸当50の対応する部分をそれぞれ整合させて、前身頃21の表面側に飾り胸当50を重ね合わせる。
【0038】
そして、肩33の面ファスナー33aに、飾り胸当50の対応部分の面ファスナー50aを係合させると共に、帯状片41の面ファスナー41aに、同飾り胸当50の対応部分の面ファスナー50bを係合させる。更に、飾り胸当50の下方の折曲片51を、裾43を挟み込むように折り曲げて、同折曲片51の面ファスナー51aを、裾43裏側の面ファスナー43aに係合させる。その結果、図9に示すように、ユニフォーム本体20の前身頃21の表側に、飾り胸当50を取付けることができる。なお、肩章37は再び内側に閉じて、そのボタン係合溝37aにボタン33bを係合させて、肩章37を閉じた状態に保持する。
【0039】
飾り襟52をユニフォーム本体20に取付ける際には、図5に示す状態の飾り襟52を、面ファスナー53aが外周側となるように、カラー53を環状に撓ませて、その状態でユニフォーム本体20の襟29内周にカラー53を挿入する。そして、飾り襟52の複数の面ファスナー53aを、襟29内周の複数の面ファスナー29aにそれぞれ係合させる。その後、カラー53から立ち上がった左右一対の突片54,54を折り曲げて、襟29外周に配置することにより、図6及び図9に示すように、襟29の周縁に留め手段を介して飾り襟52を取付けることができる。
【0040】
飾りたすき55をユニフォーム本体20に取付ける際には、左右一方の肩33における肩章37を外側に開いて、その面ファスナー33aを露出させる。そして、飾りたすき55を開いて、ユニフォーム本体20に斜めに引き掛け、その中間部裏側の面ファスナー55aを肩33の面ファスナー33aに係合させると共に、同飾りたすき55両端の面ファスナー55b、55bどうしを係合させることにより、飾りたすき55が環状に連結される。その結果、環状の飾りたすき55を、左右両肩33,33の一方から左右反対側の裾43に向けて、斜めに引き掛けるように配置することができる。その後、肩章37を内側に閉じた状態に保持する。
【0041】
なお、この飾りたすき55は、図9に示すように、前身頃21に飾り胸当50が取付けられた状態であっても、ユニフォーム本体20に取付けることができる。すなわち、飾りたすき55の長手方向途中部分を、環状に閉じた状態の肩章37に引き掛けると共に、両端の面ファスナー55b、55bどうしを係合させることにより、ユニフォーム本体20に対して飾りたすき55を外れないように取付けることができる(図9参照)。なお、この場合における本発明の留め手段は、肩33に取付けられた肩章37となる。
【0042】
飾り帯57をユニフォーム本体20に取付ける際には、左右一方の肩33における肩章37を外側に開いて、その面ファスナー33aを露出させた後、この面ファスナー33aに飾り帯57の一端裏側の面ファスナー57aを係合させると共に、同飾り帯57の他端の折曲片58を、一端を係合させた肩33とは左右反対側の裾43を挟み込むようにして折り曲げて、その面ファスナー58aを裾43裏側の面ファスナー43aに係合させる。その結果、飾り帯57を、左右両肩33,33の一方から左右反対側の裾43に向けて、斜めにかつ前身頃21の前面に配置することができる。その後、肩章37を内側に閉じた状態に保持する。
【0043】
以上のように、このユニフォーム10においては、ユニフォーム本体20の、襟29、左右の肩33,33、左右の脇25,25、前身頃21の裾43の各部分に、それぞれ留め手段が設けられていることにより、飾り胸当50、飾り襟52、飾りたすき55、飾り帯57から選ばれた取替パーツを着脱可能に取付けることができるので、目的や好みに応じて各種取替パーツを選択して上記取付方法で取付けることにより、ユニフォーム10のデザインを自由にかつ大きく変更することができる。すなわち、異なるデザインのユニフォームが求められている場合であっても、ユニフォーム本体20に対して、各種の取替パーツを適宜着脱するだけで対応することができ、その結果、ユニフォーム本体20を共通化することができるので、製造コストを低減して、低価格のユニフォーム10を提供することができる。
【0044】
また、例えば、マーチングバンド等のユニフォームとしては、入門段階・練習段階では装飾品が少なく比較的シンプルなデザインのユニフォームを着用し、パレード本番時においては、装飾品が多く見栄えの良いデザインのユニフォームを着用することがある。このような場合、このユニフォーム10においては、着用者のレベルに応じて各種取替パーツを追加購入することにより、柔軟に対応することができ、着用者にとっての利便性を高めることができると共に、長期に亘って用いることができ経済的となる。また、ユニフォームのメーカーとしても、ライフサイクルの長い製品を提供することができ、製造コストをより低減することができる。
【0045】
更に、この実施形態のユニフォーム10においては、ユニフォーム本体20の左右の肩33、同ユニフォーム本体20の脇25の帯状片41、前身頃21の裾43の裏側の各箇所に留め手段(面ファスナー33a,41a,43a)がそれぞれ設けられているので、前述した取付方法によって、飾り胸当50を、左右又は上下に位置ずれすることなく、ユニフォーム本体20の所定箇所にしっかりと取付けることができる。また、肩章37で覆われた留め手段(面ファスナー33a)及び前身頃21の裾43の裏側の留め手段(面ファスナー43a)を用いることにより、環状の飾りたすき55や、飾り帯57も位置ずれすることなく、しっかりと取付けることができる。
【0046】
また、留め手段である面ファスナー41aを設けた左右両脇25,25の各帯状片41は、常時はポケット39に収容されている共に、肩33の留め手段である面ファスナー33aも肩章37で覆われており、更に、前身頃21の裾43の留め手段である面ファスナー43aも裏側に配置されていて、いずれの留め手段も外部からは見えない位置に形成されているので、ユニフォームの見栄えを向上させることができる。
【0047】
更に、この実施形態のユニフォーム10においては、ユニフォーム本体側の留め手段として、面ファスナーの雄又は雌部材が用いられ、取替パーツに、それに係合する雌又は雄の面ファスナーを取付けたので、これらの面ファスナーの雄雌部材によって、ユニフォーム本体20に各種取替パーツをワンタッチで簡単に取付けることができる。
【0048】
また、この実施形態のユニフォーム10においては、取替パーツとして更に延長袖59を採用したので、袖部の飾りとなると共に、ユニフォーム本体20の袖の長さが足りない場合でも、延長袖59を取付けるだけで、簡単に袖の長さを延長することができ、利便性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0049】
10 パーツ取替ユニフォーム(ユニフォーム)
20 ユニフォーム本体
21 前身頃
23 後身頃
25 脇
27 袖
29 襟
29a 面ファスナー
31 スライドファスナー
33 肩
33a 面ファスナー
33b ボタン
35 肩パッド
37 肩章
37a ボタン係合溝
39 ポケット
41 帯状片
41a 面ファスナー
43 裾
43a 面ファスナー
50 飾り胸当
50a,50b 面ファスナー
51 折曲片
51a 面ファスナー
52 飾り襟
53 カラー
53a 面ファスナー
54 突片
55 飾りたすき
55a 面ファスナー(中間部)
55b 面ファスナー(両端部)
57 飾り帯
57a 面ファスナー
58 折曲片
58a 面ファスナー
59 延長袖
59a,59b 面ファスナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃、後身頃、及び左右一対の袖を有するユニフォーム本体を有し、該ユニフォーム本体には、襟、左右の肩、左右の脇、前記前身頃の裾に、それぞれ留め手段が設けられており、
前記ユニフォーム本体には、前記前身頃の前面に配置される飾り胸当、前記襟の周縁に配置される飾り襟、前記左右の肩の一方から左右反対側の裾に斜めに配置される環状の飾りたすき、及び前記左右の肩の一方から左右反対側の裾に斜めにかつ前記前身頃の前面に配置される飾り帯から選ばれた、少なくとも一つの取替パーツが、前記留め手段を介して着脱可能に取付けられるように構成されていることを特徴とするパーツ取替型ユニフォーム。
【請求項2】
前記ユニフォーム本体の左右の肩には肩章が配置され、この肩章で覆われた部分に前記留め手段が設けられており、
同ユニフォーム本体の脇には、前記留め手段を有する帯状片が延設されていると共に、同帯状片を収容可能なポケットが形成されており、
更に前記前身頃の裾の裏側に前記留め手段が設けられている請求項1記載のパーツ取替型ユニフォーム。
【請求項3】
前記留め手段は、面ファスナーの雄又は雌部材で構成されており、前記取替パーツには、前記留め手段に係合可能な雌又は雄の面ファスナーが取付けられている請求項1〜3のいずれか1つに記載のパーツ取替型ユニフォーム。
【請求項4】
前記取替パーツは、前記ユニフォーム本体の各袖の先端外周に配置され、同袖の長さを延長する延長袖である請求項1又は2記載のパーツ取替型ユニフォーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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