説明

パーフルオロアリルオキシ化合物及び該化合物を含有した液晶組成物

本発明は、下記一般式(I)で表される新規なパーフルオロアリルオキシ化合物及び該化合物を含有してなる液晶組成物に関するものであり、本発明のパーフルオロアリルオキシ化合物は液晶材料として有用なものである。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、新規なパーフルオロアリルオキシ化合物及び該化合物を含有してなる液晶組成物に関するものであり、本発明のパーフルオロアリルオキシ化合物は液晶材料として有用なものである。
【背景技術】
液晶化合物の特性である光学(屈折率)異方性(Δn)(以下単に「Δn」いうことがある)や誘電率異方性(Δε)(以下単に「Δε」ということがある)を利用した液晶表示素子は、これまで多数作られており、時計を始め、電卓、各種測定機器、自動車用パネル、ワープロ、電子手帳、携帯電話、プリンター、コンピューター、テレビ等に広く利用され、需要も年々高くなってきている。液晶化合物には固体相と液体相との中間に位置する固有の液晶相があり、その相形態はネマチック相、スメクチック相及びコレステリック相に大別されるが、そのうち表示素子用にはネマチック相が現在最も広く利用されている。また、液晶表示に応用されている表示方式及び駆動方式のうち、表示方式としては、これまでに多数のものが考案されており、例えば、動的散乱型(DS型)、ゲスト・ホスト型(GH型)、ねじれネマチック型(TN型)、超ねじれネマチック型(STN型)、薄膜トランジスター型(TFT型)及び強誘電性液晶(FLC)等が知られており、駆動方式としては、スタティック駆動方式、時分割駆動方式、アクティブマトリックス駆動方式及び2周波駆動方式等が知られている。
一般に誘電率の異方性(Δε)が正の液晶組成物を用いる電界効果型液晶表示装置のしきい値電圧は、該液晶組成物のΔεの平方根に反比例することが知られている。特に近年、ツイストネマチック(TN)液晶素子はバッテリー駆動式が主流になり、特にしきい値の低い液晶材料が要求されており、そのためには、大きな正のΔεを有する液晶材料が重要になる。
4−(p−アルキルシクロヘキシル)ベンゾニトリル等のニトリル化合物は、大きなΔεを有することから、TN液晶素子あるいはスーパーツイストネマチック(STN)素子用の液晶材料として用いられていた。しかしながら、これらのニトリル化合物はイオン性の不純物を抱き込みやすいため、高い抵抗率(1012Ωcm以上)の要求されるアクティブマトリックス駆動には用いることができなかった。そのため、高い抵抗率を有し、Δεの大きな液晶材料が求められている。
また、液晶組成物の粘度は液晶の応答速度に影響し、低粘度のもの程その応答速度が大きい。従って、液晶組成物の配合剤としては、低粘度であるものが好ましい。
さらに、屈折率の異方性は、液晶表示素子の視覚特性に大きく影響し、大きくなるとコントラストがはっきりし、小さくなると視野範囲が広がるという特徴があるが、近年、視野範囲の広い小さいΔnの液晶材料が好まれる傾向にある。
また、NI点は、液晶状態を示す温度範囲に影響するもので、NI点が高くなると高温においても液晶状態を示すことになる。
末端基としてフルオロアルキル(オキシ)基を有する化合物は、正の誘電異方性を有し且つイオン性不純物を含みにくいため、特に、アクティブマトリックス駆動方式に求められる、高抵抗率、高い電圧保持率(VHR)、低いイオン密度等を発現する液晶材料として知られており、これまでにもフルオロアルキル(オキシ)基を導入した化合物が各種提案されている。例えば、特開昭55−72143号公報、特開昭55−40660号公報、特開昭61−197563号公報、特開昭56−12322号公報、特開昭58−154532号公報、特開昭58−177939号公報、特開昭58−210045号公報、特開昭59−78129号公報、特表平6−500343号公報等には、フルオロアルキル基を有する化合物が種々提案されており、また、特表平1−503145号公報には、フルオロアルキル基を有する化合物を使用した電気光学表示素子が提案されており、さらに、特表平3−502942号公報及び特開平10−67989号公報等には、フロオロアルキル(オキシ)基を有する化合物等を使用したアクティブマトリックス液晶表示体が提案されている。
しかしながら、これらに具体的に記載されているフルオロアルキル基を有する化合物は、低粘度で且つ幅広いネマチック相を有するという点において、未だ満足できるものではなかった。
【発明の開示】
本発明の目的は、ネマチック液晶材料に混合して、低粘度で、低い屈折率の異方性(Δn)、高い誘電率の異方性(Δε)及び高NI点(幅広いネマチック相)を有する液晶組成物を形成し得る新規液晶材料を提供することにある。
本発明者等は、鋭意検討を行った結果、パーフルオロアリルオキシ化合物が、上記の目的を達成し得ることを見出した。
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、下記一般式(I)で表されるパーフルオロアリルオキシ化合物及び該化合物を含有する液晶組成物を提供するものである。

(式中、RはR、RO、ROCO又はRCOOを表し、Rはアルキル基を表す。該アルキル基は不飽和結合を有していても良く、該基中−CH−は−O−、−CO−又は−COO−で置換されていても良く、また、一部あるいは全部の水素原子がハロゲン原子又はシアノ基によって置換されていても良い。A及びAは各々独立に1,4−フェニレン〔−CH=は−N=で置換されていても良く、また、一部あるいは全部の水素原子がハロゲン原子又はシアノ基で置換されていても良い〕、1,4−シクロヘキシレン〔−CH−は−O−又は−S−で置換されていても良く、また、一部あるいは全部の水素原子がハロゲン原子又はシアノ基で置換されていても良い〕、2,6−ナフチレン又は2,6−デカヒドロナフチレンを表す。Zは、単結合、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−CH=CH−、−(CH−、−CHO−、−OCH−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CHCHO−、−OCHCH=CH−、−C≡C−、−CFO−又は−OCF−を表す。Bは単結合又はアルキレン基を表し、該基中一部の水素原子はハロゲン原子又はシアノ基によって置換されていても良い。nは1〜3の数であり、nが2又は3の時はA及びZはそれぞれ異なっていても良い。)
【発明を実施するための最良の形態】
本発明のパーフルオロアリルオキシ化合物を表す前記一般式(I)において、RはR、RO、ROCO又はRCOOを表す。Rで表されるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ビニル、アリル、ブテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、ブトキシメチル、メトキシエチル、エトキシエチル、パーフルオロメチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロメチル、パーフルオロビニル、パーフルオロアリル、イソプロピル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、2−ブチルメチル、3−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、1−メチルペンチル等が挙げられる。Rは、非置換のアルキル基、非置換のアルケニル基又は基−O−CFCF=CFであることが好ましい。
前記一般式(I)における基−(A−Z−A−のより具体的な構造を以下に示すが、本発明のパーフルオロアリルオキシ化合物はこれらによって限定されるものではない。
−CY−CY−
−CY−PH−
−PH−PH−
−CY−PH3F−
−CY−PH3,5−diF−
−CY−PH2,3−diF−
−CY−CY−CY−
−CY−CY−PH−
−CY−PH−PH−
−PH−PH−PH−
−CY−CY−PH3F−
−CY−CY−PH3,5−diF−
−CY−CY−PH2,3−diF−
−CY−PH3F−PH−
−CY−PH3,5−di−F−PH−
−CY−PH2,3−diF−PH−
−CY−PH−PH−CY−
−PH−CHCH−CY−CY−
−CY−PH−CHCH−PH−
−CY−CY−CHCH−PH−
−CY−CHCH−CY−
−PH−CHCH−CY−
−PH−C≡C−PH−
−CY−PH−C≡C−PH−
−PH−COO−PH−
−CY−COO−PH−
−CY−CY−COO−PH−
−PH−COO−PH−PH−
−Pym−PH−
−Dio−PH−
−PH−Pym−
−PH−Dio−
−PH−Pyr−
−PH−CFO−PH−
−PH−CHO−PH−
−PH−CH=CHCHO−PH−
−PH−(CHO−PH−
−CY−COO−Nap−
−CY−COO−DHN−
ただし、上記式中の略号は、それぞれ下記の環構造を表す。

前記一般式(I)において、A及びAは、各々独立に非置換の1,4−フェニレン基若しくは非置換の1,4−シクロヘキシレン基であるか、又はA及びAの中で少なくとも1つ以上がフッ素原子によってモノ若しくはジ置換されてなる1,4−フェニレン基であることが好ましい。また、Zは単結合又は−CFO−であることが好ましい。
また、前記一般式(I)においてBで表されるアルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、モノフルオロメチレン、モノフルオロエチレン、1,2−ジフルオロエチレン、1,1,2−トリフルオロエチレン等が挙げられる。
前記一般式(I)で表される本発明のパーフルオロアリルオキシ化合物の好ましい具体例としては、例えば下記化合物No.1〜21が挙げられるが、これらの化合物に限定されるものではない。尚、下記化合物No.1〜21におけるRは、前記一般式(I)における場合と同様である。


本発明のパーフルオロアリルオキシ化合物の中でも、非置換のベンゼン環及び/又は非置換のシクロヘキサン環から構成される化合物(例えば、化合物No.1〜4、11及び12)は、低粘度で高いNI点を有するものである。また、ラテラル位にフッ素置換されてなるベンゼン環を有する化合物(例えば、化合物No.13〜21)は、広い液晶相範囲を示すものとして有用であり、これらの中でも、2,3−位が共にフッ素置換されてなるベンゼン環を有する化合物(例えば、化合物No.21)は、負のΔεを有していることから、垂直配向型やゲスト−ホスト型の電気光学素子用の材料として有用である。その他の化合物も、種々の有用な特性を持った化合物である。
本発明のパーフルオロアリルオキシ化合物を製造する方法は、特に限定されるものではないが、例えば下記に示す反応式で表される製造方法によって製造することができる。

(上記反応式中、R、A、A、Z、n及びBは一般式(I)と同様のものを表し、Xはハロゲン原子又はFSOO−を表し、BASEは塩基、solv.は溶媒を表す。)
ここで、上記反応式において使用される塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属酸化物;水素化リチウム、水素化ナトリウム等の金属水素化物;トリエチルアミン、エチルジメチルアミン、プロピルジメチルアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、ピリジン、ピコリン、1,8−ジアザビスシクロ(5.4.0)ウンデセン−1(DBU)、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノエチル)フェノール(DMP−10)、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP−30)等のアミン等が挙げられる。
上記反応式で表されるようなエーテル化においては、アルコール化合物(フェノール化合物)と水酸化ナトリウム等とからナトリウムアルコキシド(フェノキシド)を作成し、これとハロゲン化アルキルとを反応させるWilliamson法が広く使用されているが、本発明においては、アミン化合物、特に、トリエチルアミン等の3級アミンの存在下で、フェノール化合物とパーフロロプロペンのハロゲン化物あるいはフルオロサルファイトとを反応させることで、高い転換率が得られるため好ましい。この反応の際には、反応温度は−80〜80℃、反応時間は0〜20時間の範囲から、それぞれ適宜選択するのが好ましい。
また、上記反応式において使用することのできる溶媒としては、例えば、ジメチルイミダゾリン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、ジメチルスルホン等の極性溶媒;トルエン、酢酸エチル等の低極性溶媒等が挙げられる。
上記反応式で表される製造方法において、ヒドロキシ化合物(1)及びパーフルオロ化合物(2)は、質量比(前者/後者)で好ましくは20/1〜1/20、さらに好ましくは1/1〜1/10の範囲で使用される。
塩基は、ヒドロキシ化合物(1)に対して、好ましくは0.1〜5.0モル%、さらに好ましくは1.0〜2.0モル%使用される。
溶媒の使用量は、特に制限されるものではないが、ヒドロキシ化合物(1)及びパーフルオロ化合物(2)の総量100質量部に対して、好ましくは10〜500質量部の範囲で適宜使用される。
本発明のパーフルオロアリルオキシ化合物は、従来既知の液晶化合物若しくは液晶類似化合物又はそれらの混合物(母液晶)に配合することによって、本発明の液晶組成物を構成する。また、本発明の液晶組成物は、本発明のパーフルオロアリルオキシ化合物のみから構成されてもよい。
該母液晶としては、例えば、下記一般式(II)で表される化合物又はこれらの混合物が挙げられる。

(式中、Rは水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アルキニル基、アルキニルオキシ基、アルコキシアルキル基、アルカノイルオキシ基又はアルコキシカルボニル基を示し、あるいはこれらはハロゲン原子、シアノ基等で置換されていてもよく、Yはシアノ基、ハロゲン原子、又はRで表される基を示し、Y、Y及びYは水素原子、ハロゲン原子又はシアノ基を示し、Z及びZは各々独立に直接結合手、−CO−O−、−O−CO−、−CHO−、−OCH−、−CHCH−、−CH=CHCHO−、−CFO−、−OCF−又は−C≡C−を示し、pは0、1又は2を示し、環D、環E及び環Fは各々独立にベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、ピリミジン環又はジオキサン環を示す。)
従って、上記一般式(II)で表される化合物の具体例としては、下記化合物等が挙げられる。尚、下記の各化合物におけるR、Y、Y、Y及びYは、上記一般式(II)におけるものと同じ意味である。


本発明の液晶組成物における本発明のパーフルオロアリルオキシ化合物の含有量は、特に制限されるものではなく、目的とする特性が得られるように適宜な量を選択すればよいが、1〜100質量%、特に5〜90質量%の範囲から選択するのが好ましい。
本発明のパーフルオロアリルオキシ化合物を含有してなる液晶組成物は、液晶セルに封入されて、種々の電気光学表示素子を構成することができる。電気光学表示素子としては、例えば、動的散乱型(DS)、ゲスト・ホスト型(GH)、ねじれネマチック型(TN)、超ねじれネマチック型(STN)、薄膜トランジスター型(TFT)、薄膜ダイオード型(TFD)、強誘電液晶型(FLC)、反強誘電液晶型(AFLC)、高分子分散液晶型(PDLC)、垂直配向(VA)、インプレーンスイッチング(IPS)等の種々の表示モードが適用され、また、スタティック駆動方式、時分割駆動方式、アクティブマトリックス駆動方式、2周波駆動方式等の種々の駆動方式が適用される。
本発明のパーフルオロアリルオキシ化合物は、公知の種々の液晶材料と組合せて、ねじれ角、チルト角、誘電率異方性(Δε)、抵抗値、ネマチック相範囲、粘度、平均誘電率、粘性率、電圧保持率等の各種の特性値、配向膜の種類の異なる種々の電気光学表示素子に用いることができる。
電気光学表示素子あるいはそれに使用される液晶組成物については、例えば、特開平10−67989号公報、特表平3−502942号公報、特開平3−85532号公報、特開平4−296387号公報、特表平6−501517号公報、特表平10−512914号公報、特開平9−125063号公報、特開平11−29771号公報、特開平10−245559号公報、特開2000−351972号公報、特開2002−285157号公報、特開2002−302673号公報、特表2002−533526号公報、特開2002−114978号公報、特表平5−501735号公報、特開2002−193853号公報、特開2002−193852号公報、特表5−500683号公報、特開2002−201474号公報、特開平10−204016号公報、特開2000−73062号公報、特開2000−96056号公報、特開2001−31971号公報、特開2000−80371号公報、特開2001−354967号公報、特開2000−351972号公報、国際公開第99/21815号パンフレット、国際公開第99/21816号パンフレット、国際公開第97/36847号パンフレット、米国特許第5456860号明細書、米国特許第5578241号明細書、欧州特許第662502号明細書、独国特許第10117224号明細書等に各種提案がなされており、本発明のパーフルオロアリルオキシ化合物は、これらに提案される電気光学素子あるいは液晶組成物と組合せて使用することができるものである。
本発明のパーフルオロアリルオキシ化合物を用いてなる電気光学表示素子は、時計、電卓をはじめ、測定器、自動車用計器、複写機、カメラ、OA機器、携帯用パソコン、携帯電話等の用途に使用することができる。また、それ以外の用途、例えば、調光窓、光シャッタ、偏光交換素子等にも用いることができる。
以下、実施例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではない。
<実施例1>化合物No.1(R=n−C)の合成方法
下記に示す反応式1に従い、以下の方法により化合物No.1(R=n−C)の合成を行った。
反応式1

窒素気流下にて、4−〔4−(4−n−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル〕フェノール(1)1.2g(4ミリモル)及びジメチルイミダゾリジノン(DMI)7gを仕込んで溶解した後、3−ヨードパーフルオロプロペン−1(2)1.03g(4ミリモル)を仕込み、そこにトリエチルアミン(TEA)0.48g(4.8ミリモル)を添加し、2時間反応させた。
反応液のガスクロマトグラフィーの面積百分率から反応変換率を求めたところ、原料(1)9%、目的物(3)91%であった。
その後、反応液に酢酸エチルと塩酸を加えて中和、水洗して中性であることを確認し、次いで硫酸マグネシウムで脱水し、ろ過した後、トルエンに溶剤置換し、シリカ処理後、減圧濃縮し、クーゲルロール蒸留及び晶析(1段目:酢酸エチル/メタノール=1/18、2段目:アセトン)を順に行って精製し、目的物(3)を得た(白色結晶、収量0.8g(収率47%)、純度99.9%)。
得られた目的物(3)は、赤外吸収スペクトル(IR)及びH−NMRによる分析の結果、化合物No.1(R=n−C)であると同定した。分析結果は各々以下の通りである。
〔IR〕
2920cm−1、2850cm−1、1794cm−1、1609cm−1、1508cm−1、1447cm−1、1389cm−1、1319cm−1、1223cm−1、1196cm−1
H−NMR〕
7.3−7.0(m、4H)、2.6−2.3(m、1H)、2.2−0.4(m、26H)
<実施例2>化合物No.1(R=n−C)の合成方法
下記に示す反応式2に従い、以下の方法により化合物No.1(R=n−C)の合成を行った。
反応式2

窒素気流下にて、水素化ナトリウム2.71g(5.65ミリモル)及びテトラヒドロフラン(THF)30mlを仕込み、4−〔4−(4−n−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル〕フェノール(1)13g(43.5ミリモル)をテトラヒドロフラン(THF)120mlに溶解した溶液を滴下した。30分攪拌後、3−ヨードパーフルオロプロペン−1(2)11.2g(43.5ミリモル)を滴下し、3時間反応させ、さらに70℃まで昇温して1時間反応させた。
反応液のガスクロマトグラフィーの面積百分率から反応変換率を求めたところ、原料(1)53%、目的物(3)47%であった。
実施例1と同様の方法により精製して、反応液から目的物(3)を得た。得られた目的物(3)について赤外吸収スペクトル(IR)及びH−NMRによる分析を行ったところ、実施例1と実質的に同じ分析結果となり、目的物(3)は化合物No.1(R=n−C)であると同定した。
<実施例3>化合物No.1(R=n−C)の合成方法
下記に示す反応式3に従い、以下の方法により化合物No.1(R=n−C)の合成を行った。
反応式3

窒素気流下にて、4−〔4−(4−n−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル〕フェノール(1)13g(43.5ミリモル)、トリエチルアミン24g(200ミリモル)及びジメチルイミダゾリン(DMI)84gを仕込んで40℃まで昇温して溶解した後、3−ヨードパーフルオロプロペン−1(2)9.2g(40ミリモル)を滴下し、3時間反応させた。
反応液のガスクロマトグラフィーの面積百分率から反応変換率を求めたところ、原料(1)0%、目的物(3)100%であった。
実施例1と同様の方法により精製して、反応液から目的物(3)を得た。得られた目的物(3)について赤外吸収スペクトル(IR)及びH−NMRによる分析を行ったところ、実施例1と実質的に同じ分析結果となり、目的物(3)は化合物No.1(R=n−C)であると同定した。
<実施例4>化合物No.1(R=n−C)の合成方法
下記に示す反応式4に従い、以下の方法により化合物No.1(R=n−C)の合成を行った。
反応式4

窒素気流下にて、4−〔4−(4−n−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル〕フェノール(1)12g(40ミリモル)、水酸化ナトリウム19g(40ミリモル)及びジメチルイミダゾリジノン(DMI)50gを仕込んで溶解した後、3−ヨードパーフルオロプロペン−1(2)10.3g(40ミリモル)を仕込み、3時間反応させた。
反応液のガスクロマトグラフィーの面積百分率から反応変換率を求めたところ、原料(1)66%、目的物(3)34%であった。
実施例1と同様の方法により精製して、反応液から目的物(3)を得た。得られた目的物(3)について赤外吸収スペクトル(IR)及びH−NMRによる分析を行ったところ、実施例1と実質的に同じ分析結果となり、目的物(3)は化合物No.1(R=n−C)であると同定した。
<実施例5>化合物No.2(R=n−C)の合成方法
下記に示す反応式5に従い、以下の方法により化合物No.2(R=n−C)の合成を行った。
反応式5

4−〔4−(4−n−プロピルシクロヘキシル)フェニル〕フェノール(1)2.35g(8ミリモル)をジメチルイミダゾリジノン(DMI)に溶解させた後、3−ヨードパーフルオロプロペン−1(2)2.41g(9.36ミリモル;1.17当量)を仕込み、水冷下、トリエチルアミン1.37g(13.5ミリモル;1.7当量)を5分間で滴下した後、2時間反応させた。
反応液に酢酸エチル及び塩酸を加えて中和し、水洗した後、硫酸マグネシウムで脱水し、ろ過濃縮して茶色固体を得た。該茶色固体をカラム処理(トルエン/ヘキサン=1/1)、クーゲルロール蒸留及び晶析(酢酸エチル/メタノール=4/6)を順に行って精製し、目的物(3)を得た(白色結晶、収量1.5g(収率44%)、純度100%)。
得られた目的物(3)は、赤外吸収スペクトル(IR)及びH−NMRによる分析の結果、化合物No.2(R=n−C)であると同定した。分析結果は各々以下の通りである。
〔IR〕
2923cm−1、2851cm−1、1790cm−1、1609cm−1、1497cm−1、1385cm−1、1315cm−1、1219cm−1、1153cm−1、1011cm−1、826cm−1、791cm−1
H−NMR〕
7.7−7.1(m、8H)、2.7−2.3(m、1H)、2.1−0.8(m、16H)
<実施例6>化合物No.3(R=n−C)の合成方法
下記に示す反応式6に従い、以下の方法により化合物No.3(R=n−C)の合成を行った。
反応式6

アルゴン置換したフラスコ中に、4−(4−n−プロピルシクロヘキシル)フェノール(1)2.0g(9.2ミリモル)、3−ヨードパーフルオロプロペン−1(2)2.37g(9.2ミリモル、1.0当量)及びジメチルイミダゾリジノン(DMI)10gを仕込んで混合液とし、トリエチルアミン(TEA)1.2g(1.2ミリモル、1.3当量)を氷冷下で撹拌されている上記混合液に滴下し、さらに氷冷下で10分間反応させた。水で処理し、ヘキサンで抽出した後、中性になるまで水洗し、硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒留去した。カラム処理(ヘキサン)、蒸留及び晶析(メタノール)を順に行って精製し、目的物(3)を得た(無色液体、収量0.7g、純度99.8%、収率24.1%)。
得られた目的物(3)は、赤外吸収スペクトル(IR)及びH−NMRによる分析の結果、化合物No.3(R=n−C)であると同定した。分析結果は各々以下の通りである。
〔IR〕
2859cm−1、2924cm−1、1851cm−1、1790cm−1、1670cm−1、1593cm−1、1508cm−1、1450cm−1、1385cm−1、1315cm−1、1219cm−1、1157cm−1、1018cm−1
H−NMR〕
7.3−7.1(m、4H)、1.9−0.9(m、17H)
【実施例7】
実施例1、5及び6それぞれにおいて得られた化合物No.1〜3のいずれかを、下記組成の母液晶1又は母液晶2に10質量%添加して液晶組成物とし、得られた液晶組成物それぞれについて、NI点、光学異方性(Δn)、粘度(η)、誘電率異方性(Δε)を測定し、さらにそれらの外挿値を求めた。測定結果を〔表1〕に、外挿値を〔表2〕に示す。尚、〔表1〕及び〔表2〕において、「NI↑」は昇温時のNI点を示し、「NI↓」は降温時のNI点を示す。
母液晶1

母液晶2



〔表1〕及び〔表2〕の結果より、本発明のパーフルオロアリルオキシ化合物の中でも、3環の化合物は、低粘度で高いNI点を有し、また、2環の化合物は、母液晶の粘度低下効果が期待されるものであることが確認された。
<実施例8>化合物No.4(R=C)の合成方法
下記に示す反応式7に従い、以下の方法により化合物No.4(R=C)の合成を行った。
反応式7

アルゴン置換したフラスコ中に、4−(4−エチルシクロヘキシル)シクロヘキサノール(1)0.57g(2.71ミリモル)とトリエチルアミン(TEA)1.65g(16.3ミリモル、6.0当量)を仕込み、1時間加熱還流した。その後−20℃まで冷却し、3−ヨードパーフルオロプロペン−1(2)0.70g(11.6ミリモル、4.3当量)をジメチルイミダゾリジノン(DMI)1mlに溶解した溶液を1時間かけて滴下し、室温で14時間攪拌した。その後、4%塩酸水溶液及びトルエンを加えて分液し、水洗した後、炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、さらに水洗を行い、中性であることを確認した。硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒留去した。シリカゲルカラム処理(ヘキサン)を行って精製し、目的物(3)を得た(無色液体、収量0.26g、純度99.9%、収率27.3%)。
得られた目的物(3)は、赤外吸収スペクトル(IR)及びH−NMRによる分析の結果、化合物No.4(R=C)であると同定した。分析結果は各々以下の通りである。
〔IR〕
2924cm−1、2855cm−1、2360cm−1、2341cm−1、1790cm−1、1450cm−1、1381cm−1、1315cm−1、1223cm−1、1173cm−1、1026cm−1、991cm−、960cm−1、934cm−1、899cm−1、795cm−1、664cm−1
H−NMR〕
4.5−4.0(m、1H)、2.2−0.4(m、24H)
<実施例9>化合物No.19(R=n−C11)の合成方法
下記に示す反応式8に従い、以下の方法により化合物No.19(R=n−C11)の合成を行った。
反応式8

よく乾燥したフラスコ中に、4−〔4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)〕シクロヘキシル−2−フルオロフェノール(1)2g(5.77ミリモル)及びジメチルイミダゾリン(DMI)14gとトリエチルアミン(TEA)4g(3.95ミリモル)を仕込み、氷冷しながら攪拌した。3℃まで冷却し、パーフルオロアリルフルオロサルファイト(2)2.4g(1.8当量)をゆっくりと滴下した。滴下15分後、酢酸エチルと水を混ぜて油水分離を行った。硫酸マグネシウムで乾燥後、脱溶媒し、ヘキサンを加え不要物をろ過した後、カラム処理及びエタノール晶析を順に行って精製し、目的物(3)を得た(無色固体、収量0.6g、純度99.9%、収率21.5%)。
得られた目的物(3)は、赤外吸収スペクトル(IR)及びH−NMRによる分析の結果、化合物No.19(R=n−C11)であると同定した。分析結果は各々以下の通りである。
〔IR〕
2920cm−1、2851cm−1、1790cm−1、1597cm−1、1512cm−1、1447cm−1、1385cm−1、1319cm−1、1265cm−1、1211cm−1、1150cm−1、1115cm−1、1018cm−1、953cm−1、864cm−1、795cm−1
H−NMR〕
7.2−6.8(m、3H)、2.6−2.2(m、1H)、2.1−0.7(m、1H)
<実施例10>化合物No.18(R=n−C11)の合成方法
下記に示した反応式9に従い、以下の方法により化合物No.18(R=n−C11)の合成を行った。
反応式9

フラスコ中に4−〔4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル〕−1,6−フロオロフェノール(1)5g(13.7ミリモル、1.00当量)、トリエチルアミン(TEA)2.08g(20.6ミリモル、1.50当量)及びジメチルイミダゾリン(DMI)25gを加えて溶解して混合液とし、該混合液を氷冷し、3−ヨードパーフルオロプロペン−1(2)3.54g(13.7ミリモル、1.00当量)を氷冷下で撹拌されている上記混合液に滴下し、さらに氷冷下で10分間反応させた。その後、塩酸を滴下し、油水分離した後、水洗し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥、脱溶媒した。これをシリカゲルカラム処理(ヘキサン)、クーゲルロール蒸留(158−215℃、0.7−1.0mmHg)、酢酸エチル/メタノール(1/1)で晶析し、目的物(3)を得た(無色固体、収量2.07g、純度99.8%、収率30.5%)。
得られた目的物(3)は、赤外吸収スペクトル(IR)及びH−NMRによる分析の結果、化合物No.18(R=n−C11)であると同定した。分析結果は各々以下の通りである。
〔IR〕
2924cm−1、2853cm−1、1790cm−1、1630cm−1、1601cm−1、1514cm−1、1447cm−1、1385cm−1、1346cm−1、1319cm−1、1202cm−1、1148cm−1、1113cm−1、1018cm−1、959cm−1、943cm−1、895cm−1、851cm−1、824cm−1、725cm−1、708cm−1、665cm−1、646cm−1、619cm−1、527cm−1
H−NMR〕
6.9−6.7(d、2H)、2.6−0.5(m、31H)
<実施例11>化合物No.14(R=n−C11)の合成方法
下記に示す反応式10に従い、以下の方法により化合物No.14(R=n−C11)の合成を行った。
反応式10

アルゴン置換したフラスコ中に5−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)−1,3−ジフロロベンゼン(1)7.98g(0.03モル)及びテトラヒドロフラン(THF)65mlを加え、メタノール−炭酸で−50℃以下に冷却し、n−ブチルリチウム−ヘキサン溶液(2.6モル/l)13.5ml(0.0351モル)を加え1時間攪拌した。その後、−50℃以下でジメトキシホウ素3.57g(0.0343モル、1.14当量)を滴下し、1時間攪拌した。その後、室温に戻し、塩酸水溶液(1.2モル/l)11mlを滴下し油水分離した後、Brine洗浄を3回行い、硫酸マグネシウムで乾燥、脱溶媒し、4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)−2,6−ジフロロフェニルボロン酸(2)6.62gを得た。
フラスコ中に4−メトキシメトキシ−1−ブロモベンゼン(3)4.56g(0.021モル)、炭酸水素ナトリウム5.3g(0.021モル)、Pd[PPhCl錯体0.147g(0.021モル)、トルエン20ml及び水40mlをアルゴン気流下で仕込み、75〜78℃まで昇温し、ボロン酸(2)6.51g(0.021モル)をエタノール20mlに溶解したものを滴下し、更に1時間反応させた。冷却後、油水分離を行い、中性であることを確認し、硫酸マグネシウムで乾燥、脱溶媒し、4−〔4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)−2,6−フルオロフェニル〕−1−メトキシメトキシベンゼン(4)8.64gを得た。
フラスコ中にメトキシメトキシ体(4)8.45g、塩酸4.38g及びテトラヒドロフラン(THF)35mlを仕込み、70℃で2時間攪拌反応させた。トルエン−水で油水分離を行い、中性であることを確認し、硫酸マグネシウムで乾燥、脱溶媒し、酢酸エチルで晶析し、4−〔4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)−2,6−フルオロフェニル〕フェノール(5)4.9gを得た。
フラスコ中にフェノール体(5)2.87g(8ミリモル)及びジメチルイミダゾリン(DMI)15gを加えて溶解し、そこに3−ヨードパーフルオロプロペン−1(6)2.06g(8ミリモル)を加え、29〜33℃でトリエチルアミン(TEA)1.21g(8ミリモル)を滴下し、25〜30℃で2時間反応させた。冷却後、酢酸エチル−水で油水分離を行い、水洗して中性であることを確認し、硫酸マグネシウムで乾燥、脱溶媒した。これをカラム処理(ヘキサン)、クーゲル蒸留(215℃、0.35mmHg)、酢酸エチル/メタノール(1/3)で晶析し、目的物(7)を得た(無色固体、収量0.44g、純度99.8%、収率10.2%)。
得られた目的物(7)は、赤外吸収スペクトル(IR)及びH−NMRによる分析の結果、化合物No.14(R=n−C11)であると同定した。分析結果は各々以下の通りである。
〔IR〕
2928cm−1、2851cm−1、1794cm−1、1639cm−1、1566cm−1、1485cm−1、1431cm−1、1385cm−1、1315cm−1、1218cm−1、1188cm−1、1161cm−1、1057cm−1、1011cm−1、949cm−1、845cm−1、791cm−1、725cm−1、656cm−1、613cm−1、529cm−1
H−NMR〕
7.7−7.1(m、4H)、7.0−6.7(m、2H)、2.7−2.3(m、1H)、2.2−0.8(m、20H)
<実施例12>化合物No.11(R=n−C)の合成方法
下記に示す反応式11に従い、以下の方法により化合物No.11(R=n−C)の合成を行った。
反応式11

アルゴン置換したフラスコに、4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシルメタノール(1)6.2g(26.1ミリモル)とトリエチルアミン(TEA)15.8g(156ミリモル、6.0当量)を仕込み、1時間加熱還流させた。−20℃まで冷却後、3−ヨードパーフルオロプロペン−1(2)7.9g(30.8ミリモル、1.18当量)をゆっくり滴下し、室温で攪拌した。塩酸水溶液(塩酸9.6g/水24g)及びトルエン30mlを加えて分液し、水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥、脱溶媒し、カラム処理(ヘキサン)を行い、目的物(3)を得た(無色透明液体、収量2.1g、純度99.8%、収率21.6%)。
得られた目的物(3)は、赤外吸収スペクトル(IR)及びH−NMRによる分析の結果、化合物No.11(R=n−C)であると同定した。分析結果は各々以下の通りである。
〔IR〕
2920cm−1、2851cm−1、2623cm−1、1790cm−1、1450cm−1、1412cm−1、1377cm−1、1315cm−1、1211cm−1、1173cm−1、1033cm−1、964cm−1、941cm−1、899cm−1、806cm−1、783cm−1、741cm−1、664cm−1、613cm−1、513cm−1
H−NMR〕
3.9−3.7(d、2H)、2.2−0.5(m、27H)
【実施例13】
下記〔表3〕に本発明のパーフルオロアリルオキシ化合物の相転移温度(℃)、光学異方性(Δn)及び誘電率異方性(Δε)を示す。ただし、光学異方性(Δn)及び誘電率異方性(Δε)は、上記母液晶1に10質量%添加して得られた液晶組成物について測定して得られた外挿値である。
尚、下記〔表3〕において、化合物No.1(R=n−C11)、5、8、9及び10は、前記実施例1に準じて得られたものである。化合物No.17、19(R=n−C)及び21は、前記実施例9に準じて得られたものである。化合物No.15、16、18(R=n−C)及び20は、前記実施例10に準じて得られたものである。

〔表3〕の結果より、本発明のパーフルオロアリルオキシ化合物は、液晶材料として有用であることが確認された。
【実施例14】
本発明のパーフルオロアリルオキシ化合物を用いて〔表4〕に示した配合によって液晶組成物を調製し、NI点、光学異方性(Δn)、誘電率異方性(Δε)及び粘度(η)を測定した。これらの測定結果を〔表4〕に示す。

〔表4〕から明らかなように、本発明のパーフルオロアリルオキシ化合物を用いることにより、低粘度で、低い屈折率の異方性(Δn)、高い誘電率の異方性(Δε)及び高NI点(幅広いネマチック相)を有する液晶組成物を形成することができる。
<実施例15>化合物No.22(R=n−C)の合成及び相転移温度
下記に示す化合物No.22(R=n−C)を<実施例9>に準じて製造した。得られた化合物は、赤外吸収スペクトル(IR)及びH−NMRによる分析の結果、目的物である化合物No.22(R=n−C)と同定した。分析結果は各々以下の通りである。

〔IR〕
2924cm−1、2851cm−1、1794cm−1、1593cm−1、1566cm−1、1497cm−1、1323cm−1、1146cm−1、1018cm−1、903cm−1、829cm−1、802cm−1、544cm−1
H−NMR〕
7.6−7.2(m、7H)、2.8−2.3(m、1H)、2.1−0.8(m、16H)
得られた化合物No.22(R=n−C)の相転移温度(℃)は以下の通りであった。
C→46→Sm→129→N→152→I
<実施例16>化合物No.23(R=n−C11)の合成
下記に示す化合物No.23(R=n−C11)を<実施例9>に準じて製造した。得られた化合物は、赤外吸収スペクトル(IR)及びH−NMRによる分析の結果、目的物である化合物No.23(R=n−C11)と同定した。分析結果は各々以下の通りである。

〔IR〕
3437cm−1、2932cm−1、2858cm−1、1909cm−1、1794cm−1、1609cm−1、1497cm−1、1462cm−1、1385cm−1、1319cm−1、1153cm−1、1064cm−1、1011cm−1、818cm−1、787cm−1、733cm−1、694cm−1、664cm−1、629cm−1、574cm−1、502cm−1
〔H−NMR〕
7.7−7.1(m、8H)、2.8−2.5(t、2H)、1.9−0.7(m、9H)
<実施例17>化合物No.24(R=n−C)の合成
下記に示す化合物No.24(R=n−C)を<実施例9>に準じて製造した。得られた化合物は、赤外吸収スペクトル(IR)及びH−NMRによる分析の結果、目的物である化合物No.24(R=n−C)と同定した。分析結果は各々以下の通りである。

〔IR〕
2963cm−1、2936cm−1、2874cm−1、1790cm−1、1628cm−1、1601cm−1、1567cm−1、1528cm−1、1501cm−1、1443cm−1、1385cm−1、1319cm−1、1277cm−1、1234cm−1、1207cm−1、1146cm−1、1111cm−1、1042cm−1、1018cm−1、895cm−1、864cm−1、837cm−1、667cm−1、536cm−1
〔H−NMR〕
7.5−7.1(m、6H)、2.7−2.5(t、2H)、1.9−1.5(m、2H)、1.1−0.9(t、3H)
<実施例18>化合物No.25(R=n−C)の合成
下記に示す化合物No.25(R=n−C)を<実施例9>に準じて製造した。得られた化合物は、赤外吸収スペクトル(IR)及びH−NMRによる分析の結果、目的物である化合物No.25(R=n−C)と同定した。分析結果は各々以下の通りである。

〔IR〕
2963cm−1、2936cm−1、2874cm−1、1790cm−1、1593cm−1、1566cm−1、1497cm−1、1466cm−1、1431cm−1、1385cm−1、1319cm−1、1265cm−1、1200cm−1、1150cm−1、1119cm−1、1018cm−1、903cm−1、876cm−1、833cm−1、795cm−1、667cm−1、532cm−1
〔H−NMR〕
7.6−7.1(m、7H)、2.7−2.5(t、2H)、1.9−1.5(m、2H)、1.1−0.9(t、3H)
<実施例19>化合物No.26(R=n−C)の合成
下記に示す化合物No.26(R=n−C)を<実施例9>に準じて製造した。得られた化合物は、赤外吸収スペクトル(IR)及びH−NMRによる分析の結果、目的物である化合物No.26(R=n−C)と同定した。分析結果は各々以下の通りである。

〔IR〕
3445cm−1、2936cm−1、2858cm−1、1794cm−1、1639cm−1、1585cm−1、1504cm−1、1454cm−1、1389cm−1、1327cm−1、1300cm−1、1215cm−1、1196cm−1、1150cm−1、1107cm−1、1050cm−1、1018cm−1、949cm−1、856cm−1、822cm−1、799cm−1、710cm−1、663cm−1、629cm−1、606cm−1、571cm−1、544cm−1、525cm−1
〔H−NMR〕
7.2−6.4(m、4H)、2.7−0.5(m、17H)
<実施例20>化合物No.27(R=n−C)の合成
下記に示す化合物No.27(R=n−C)を<実施例9>に準じて製造した。得られた化合物は、赤外吸収スペクトル(IR)及びH−NMRによる分析の結果、目的物である化合物No.27(R=n−C)と同定した。分析結果は各々以下の通りである。

〔IR〕
3437cm−1、2924cm−1、2851cm−1、1794cm−1、1593cm−1、1504cm−1、1389cm−1、1319cm−1、1261cm−1、1207cm−1、1150cm−1、1099cm−1、1022cm−1、957cm−1、872cm−1、795cm−1、621cm−1
〔H−NMR〕
7.3−6.7(m、4H)、2.9−2.5(m、1H)、2.1−0.5(m、21H)
<実施例21>化合物No.28の合成
下記に示す化合物No.28を<実施例9>に準じて製造した。得られた化合物は、赤外吸収スペクトル(IR)及びH−NMRによる分析の結果、目的物である化合物No.28と同定した。分析結果は各々以下の通りである。

〔IR〕
3433cm−1、1794cm−1、1497cm−1、1389cm−1、1319cm−1、1227cm−1、1150cm−1、1069cm−1、1015cm−1、787cm−1
〔H−NMR〕
7.7−7.1(m、8H)
【実施例22】
下記〔表5〕に本発明のパーフルオロアリルオキシ化合物の相転移温度(℃)並びに光学異方性(Δn)及び誘電率異方性(Δε)を示す。ただし、光学異方性(Δn)及び誘電率異方性(Δε)は、上記母液晶1に化合物を10質量%添加して得られた液晶組成物について測定して得られた外挿値である。
尚、下記〔表5〕において、化合物No.15、No.18及びNo.19は、前記実施例9に準じて得られたものである。

<配合例>
〔表6〕〜〔表11〕に本発明のパーフルオロアリルオキシ化合物を使用した液晶組成物の配合例を示す。ただし、〔表6〕〜〔表11〕において、CYは1,4−シクロヘキシレン、PHは1,4−フェニレン、Pymは5,2−ピリミジン、Cnは炭素数nの直鎖アルキルを表し、置換位置が指定ないものは4−位への置換を意味する。
〔表6〕〜〔表11〕に示す配合による液晶組成物は、いずれも、低粘度で、低い屈折率の異方性(Δn)、高い誘電率の異方性(Δε)及び高NI点(幅広いネマチック相)を有していた。






【産業上の利用可能性】
本発明のパーフルオロアリルオキシ化合物は、あらゆる表示方式及びあらゆる駆動方式の電気光学表示素子用の液晶組成物に用いられる液晶材料として有用なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表されるパーフルオロアリルオキシ化合物。

(式中、RはR、RO、ROCO又はRCOOを表し、Rはアルキル基を表す。該アルキル基は不飽和結合を有していても良く、該基中−CH−は−O−、−CO−又は−COO−で置換されていても良く、また、一部あるいは全部の水素原子がハロゲン原子又はシアノ基によって置換されていても良い。A及びAは各々独立に1,4−フェニレン〔−CH=は−N=で置換されていても良く、また、一部あるいは全部の水素原子がハロゲン原子又はシアノ基で置換されていても良い〕、1,4−シクロヘキシレン〔−CH−は−O−又は−S−で置換されていても良く、また、一部あるいは全部の水素原子がハロゲン原子又はシアノ基で置換されていても良い〕、2,6−ナフチレン又は2,6−デカヒドロナフチレンを表す。Zは、単結合、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−CH=CH−、−(CH−、−CHO−、−OCH−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CHCHO−、−OCHCH=CH−、−C≡C−、−CFO−又は−OCF−を表す。Bは単結合又はアルキレン基を表し、該基中一部の水素原子はハロゲン原子又はシアノ基によって置換されていても良い。nは1〜3の数であり、nが2又は3の時はA及びZはそれぞれ異なっていても良い。)
【請求項2】
上記一般式(I)において、Rが非置換のアルキル基又は非置換のアルケニル基である請求の範囲第1項記載のパーフルオロアリルオキシ化合物。
【請求項3】
上記一般式(I)において、Rが基−O−CFCF=CFである請求の範囲第1項記載のパーフルオロアリルオキシ化合物。
【請求項4】
上記一般式(I)において、A及びAが各々独立に非置換の1,4−フェニレン基又は非置換の1,4−シクロヘキシレン基である請求の範囲第1〜3項のいずれかに記載のパーフルオロアリルオキシ化合物。
【請求項5】
上記一般式(I)において、A及びAの中で少なくとも1つ以上がフッ素原子によってモノ又はジ置換されてなる1,4−フェニレン基である請求の範囲第1〜3項のいずれかに記載のパーフルオロアリルオキシ化合物。
【請求項6】
上記一般式(I)において、Zが単結合である請求の範囲第1〜5項のいずれかに記載のパーフルオロアリルオキシ化合物。
【請求項7】
上記一般式(I)において、Zが−CFO−である請求の範囲第1〜5項のいずれかに記載のパーフルオロアリルオキシ化合物。
【請求項8】
請求の範囲第1〜7項のいずれかに記載のパーフルオロアリルオキシ化合物を含有する液晶組成物。
【請求項9】
液晶セルに請求の範囲第8項記載の液晶組成物を封入してなる電気光学表示素子。

【国際公開番号】WO2004/058676
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【発行日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−509739(P2005−509739)
【国際出願番号】PCT/JP2003/015547
【国際出願日】平成15年12月4日(2003.12.4)
【出願人】(000000387)旭電化工業株式会社 (987)
【Fターム(参考)】