説明

パール光沢組成物の製造方法

【課題】幅広いパール光沢を有する優れたパール光沢組成物を容易に製造する方法を提供すること。
【解決手段】脂肪酸グリコールエステルの可溶化物又は乳化物に、晶析温度から融点の間の温度で解可溶化作用又は解乳化作用を有する成分を添加する工程を含む、パール光沢組成物の製造方法;並びに並びに当該製造方法により得られたパール光沢組成物を配合してなる化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パール光沢組成物の製造方法に関する。さらに詳しくは、シャンプー、リンス、ボディシャンプー、液体洗浄剤等の付加価値を高めるのに好適に使用し得るパール光沢組成物の製造方法に関する。さらに本発明は、かかる製造方法によって得られるパール光沢組成物が配合されてなる化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャンプー、リンス、ボディシャンプー、化粧料、液体洗浄剤等の付加価値を高めるために、パール光沢を与える基剤(パール光沢組成物)が用いられている。かかるパール光沢組成物において、パール光沢を付与するための主要成分としては、脂肪酸グリコールエステル、脂肪酸モノアルキロールアミド、脂肪酸等が知られている(特許文献1参照)。このようなパール光沢組成物の製造技術としては、ラインミキサーあるいは攪拌器付のベッセルを用いて融点以上の脂肪酸グリコールエステルと冷却媒を混合させ晶析させる場合に、冷却媒の温度を変化させることによりシルキー調の光沢あるいはメタリック調の光沢を得る技術が開示されている(特許文献2参照)。しかし、この方法では大規模な設備や複数の混合槽を必要とし、生産性が悪いという課題が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平6−504781号公報
【特許文献2】特開2003−155214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の課題は、幅広いパール光沢を有する優れたパール光沢組成物を容易に製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、パール光沢組成物の外観の色調を客観的に示すべく、白色度W値で表すことを試みた。その結果、W値が高いほどシルキー調に、W値が低いほどメタリック調となる傾向があることを見出した。さらに本発明者らは、容易な操作で所望のW値を有するパール光沢組成物を得るために、想定される多数の因子を種々検討し、それらの因子の中から解可溶化又は解乳化を行う温度について着目した。その結果、脂肪酸グリコールエステルの可溶化物又は乳化物に、解可溶化作用又は解乳化作用を有する成分を添加することによって油分が分離することが分かった。この時、上記可溶化物又は乳化物が過冷却状態であれば晶析が開始される。かかる知見に基づいて、脂肪酸グリコールエステルの可溶化物を解可溶化又は乳化物を解乳化させる温度が高いほどパール光沢組成物の白色度W値はより低くなり、解可溶化又は解乳化させる温度が低いほどW値はより高くなることも分かった。例えば、外観の色調がシルキー調のパール光沢組成物を得るためには解可溶化又は解乳化させる温度をより低く設定すればよい。
【0006】
しかしながら、さらに検討を進めたところ、解可溶化又は解乳化を行う温度を晶析温度より低く設定した場合、得られたパール光沢組成物の光沢は解可溶化又は解乳化を行わない場合と同等になってしまうことが分かった。そこで、解可溶化又は解乳化を行う温度を晶析温度から融点の間の温度としたところ、かかる温度範囲内で、解可溶化又は解乳化を行う温度の設定を任意に変更するという容易な操作により、シルキー調からメタリック調までといった幅広い光沢の外観を持つパール光沢組成物を製造することができた。
【0007】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕脂肪酸グリコールエステルの可溶化物又は乳化物に、晶析温度から融点の間の温度で解可溶化作用又は解乳化作用を有する成分を添加する工程を含む、パール光沢組成物の製造方法;並びに
〔2〕前記〔1〕に記載の製造方法により得られたパール光沢組成物を配合してなる化粧料;に関するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製造方法により得られるパール光沢組成物は、優れたパール光沢(メタリック調からシルキー調の光沢)を有する、多種多様なパール光沢組成物である。しかも本発明の製造方法は、特定の範囲の温度で解可溶化作用又は解乳化作用を有する成分を添加するという容易な操作で、目的のW値のパール光沢組成物を得ることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、設定温度とW値との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<パール光沢組成物の製造方法>
本発明は、脂肪酸グリコールエステルの可溶化物又は乳化物に、解可溶化作用又は解乳化作用を有する成分を、特定の範囲の温度で添加する工程を含む。しかもこの特定の範囲の温度として、晶析温度から融点の間の温度に制御する点にも一つの特徴を有する。これにより、白色度W値が低くメタリック調のパール光沢組成物から白色度W値が高くシルキー調のパール光沢組成物まで、特定の温度で解可溶化作用又は解乳化作用を有する成分を添加するという容易な操作によって製造することができる。なお、本明細書において、解可溶化作用を有する成分を「解可溶化剤」と、解乳化作用を有する成分を「解乳化剤」と称する。
【0011】
脂肪酸グリコールエステルとしては、例えば一般式(I):
Y−O−(CH2CH2O)m−COR1 (I)
(式中、R1は炭素数13〜21の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、Yは水素原子又は−COR1(R1は前記と同じ。)を示し、mは1〜3の数であって平均付加モル数を意味する。)で示される化合物が挙げられる。
【0012】
一般式(I)において、R1としては、炭素数13〜21のアルキル基及びアルケニル基が好ましく、具体的には、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、ヘンイコシル基等が挙げられる。また、脂肪酸グリコールエステルは、一般式(I)で表されるように、Yが水素原子である場合のモノ脂肪酸エステル、Yが−COR1である場合のジ脂肪酸エステルのいずれであってもよく、ジ脂肪酸エステルにおいて、R1は同一であっても、異なっていてもよい。
【0013】
脂肪酸グリコールエステルとしては、融点が50℃以上のものが好ましく、また、結晶性のものがより好ましい。従って、脂肪酸グリコールエステルとしては、融点が50℃以上の結晶性のものがより好ましく、具体的には、モノパルミチン酸エチレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、モノイソステアリン酸エチレングリコール、ジパルミチン酸エチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ジベヘン酸エチレングリコール等のモノエチレングリコール体;これらのジエチレングリコール体;並びにこれらのトリエチレングリコール体等が挙げられ、それぞれ単独であっても2種以上が併用されてもよい。
【0014】
なお、2種以上の脂肪酸グリコールエステルが併用される場合、それぞれ別個に調製された脂肪酸グリコールエステルの混合物であってもよく、異なるアルキル鎖長の脂肪酸の混合物とグリコールを用い、それらを反応させて得られた脂肪酸グリコールエステルの混合物であってもよい。例えば、パルミチン酸とステアリン酸の混合物とグリコールとの反応からは、ジパルミチン酸エチレングリコール、モノパルミチン酸モノステアリン酸エチレングリコール、及びジステアリン酸エチレングリコールの混合物が得られる。異なる脂肪酸の混合物とグリコールとを反応させる際に用いられる脂肪酸の混合物において、各脂肪酸が占める割合は、脂肪酸の混合物の85重量%以下であることが好ましい。
【0015】
上記に例示された脂肪酸グリコールエステルにおいて、本発明において好ましいものとしては、ジステアリン酸エチレングリコール、ジパルミチン酸エチレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、モノパルミチン酸エチレングリコール、ジベヘン酸エチレングリコール及びモノパルミチン酸モノステアリン酸エチレングリコールからなる群より選択される1種以上のエステルが挙げられる。
【0016】
パール光沢組成物中の脂肪酸グリコールエステルの含有量は、パール光沢付与の観点から、当該組成物の15重量%以上が好ましく、流動性の観点から、当該組成物の30重量%以下が好ましい。これらの観点から、脂肪酸グリコールエステルの含有量は、パール光沢組成物の15〜30重量%が好ましく、15〜25重量%がより好ましく、18〜25重量%がさらに好ましい。
【0017】
本明細書において、脂肪酸グリコールエステルの「可溶化物」とは、溶媒に難溶解性である脂肪酸グリコールエステルがその溶解度以上に見掛け上溶けている、透明若しくは半透明の均一溶液をいう。脂肪酸グリコールエステルの「乳化物」とは、溶媒に難溶解性である脂肪酸グリコールエステルが、溶媒に均一に分散されている乳濁液をいう。
【0018】
本発明の製造方法においては、界面活性剤が用いられる。用いられる界面活性剤の種類は、脂肪酸グリコールエステルの可溶化又は乳化促進に有効なものであれば、特に限定されるものではない。例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤を単独で、又はこれらの界面活性剤を任意の比率で組み合わせて幅広く使用することができる。これらの組み合わせのうち、解可溶化剤又は解乳化剤の作用が好適に発揮されるためには、アニオン性界面活性剤、ノニオン界面活性剤又はアニオン性界面活性剤とノニオン界面活性剤との組み合わせが特に好適である。
【0019】
アニオン性界面活性剤としては特に限定されないが、例えば脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルアミドエーテル硫酸塩、モノグリセライド硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アシル化イセチオン酸塩、アシル化アミノ酸、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル脂肪酸塩等が挙げられ、これらの中ではアルキル硫酸エステル塩が好ましい。
【0020】
アルキル硫酸エステル塩は、例えば、式(II):
2−O−(R3O)r−SO3M (II)
(式中、R2は炭素数8〜20の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、R3はエチレン基又はプロピレン基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムイオン又は炭素数2若しくは3のヒドロキシアルキル置換アンモニウムを示し、rは0〜8の数で、平均付加モル数を意味する。)で表わされる、ポリオキシアルキレン基を有していてもよいアルキル硫酸エステル塩等が挙げられる。
【0021】
式(II)において、R2としては、炭素数8〜20のアルキル基及びアルケニル基が好ましく、具体的には、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等が挙げられる。R3としては、エチレン基、n−プロピレン基及びイソプロピレン基が挙げられる。rは0〜4が好ましい。
【0022】
アルキル硫酸エステル塩の好適例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(エチレンオキサイド(EO)の平均付加モル数:1〜4)及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン(EOの平均付加モル数:1〜4)が挙げられ、それぞれ単独であっても2種以上が併用されていてもよい。
【0023】
ノニオン界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤、アルキルポリグリコシド、脂肪酸モノアルキロールアミド等が挙げられ、この中ではポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤、アルキルポリグリコシドが好ましい。
【0024】
ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤とは、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基等のポリオキシアルキレン基を有するものである。
【0025】
ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸モノアルカノールアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸ジアルカノールアミド等が挙げられ、それぞれ単独であっても2種以上が併用されていてもよい。
【0026】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、例えば、式(IV):
6−O−(R7O)p−H (IV)
(式中、R6は炭素数8〜20の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基、R7はエチレン基又はプロピレン基を示し、pは1〜12、好ましくは1〜6の数で、平均付加モル数を意味する。)で表わされる。
【0027】
式(IV)において、R6としては、炭素数8〜20のアルキル基又は炭素数8〜20のアルケニル基が好ましい。
【0028】
ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、脂肪酸の炭素数が8〜30のものが好ましく、12〜20のものがより好ましい。そのポリオキシアルキレンの平均付加モル数としては、1〜100のものが好ましく、5〜40のものがより好ましく、平均付加モル数が5〜40のポリオキシエチレンであることがさらに好ましい。
【0029】
ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルの具体的な例としては、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート等が挙げられ、オキシエチレン基の平均付加モル数としては5〜40が好ましく、6〜30がより好ましい。
【0030】
アルキルポリグリコシドとは、例えば、下記の一般式(III):
11(OR12xy (III)
〔式中、R11は直鎖又は分岐鎖の炭素数8〜18のアルキル基、アルケニル基、又はアルキルフェニル基を示し、R12は炭素数2〜4のアルキレン基を示し、Gは炭素数5〜6を有する還元糖に由来する残基を示し、x(平均値)は0〜5を、y(平均値)は1〜5を示す〕で表される。
【0031】
式(III)において、xは、好ましくは0〜2、より好ましくは0である。yは、好ましくは1〜1.5、より好ましくは1〜1.4である。R1の炭素数は、好ましくは9〜16、さらに好ましくは10〜14である。R2は、好ましくはエチレン基である。Gは、その原料として使用される単糖類又は多糖類等の還元糖によってその構造が決定され、単糖類としては、グルコース、フルクトース、ガラクトース、キシロース、マンノース、リキソース、アラビノース、これらの混合物等が挙げられ、多糖類としては、マルトース、キシロビオース、イソマルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、スクロース、ニゲロース、ツラノース、これらの混合物等が挙げられる。これらのうち、単糖類としては、入手性及び低コストの点からグルコース又はフルクトースが好ましく、グルコースがさらに好ましい。多糖類ではマルトース又はスクロースが好ましい。
【0032】
アルキルポリグリコシドとしては、前記一般式(III)を満たすものであれば特に限定はないが、アルキルポリグルコシドが好ましく、中でも、アルキル(炭素数10)ポリグルコシド、アルキル(炭素数12)ポリグルコシド、アルキル(炭素数14)ポリグルコシド、ミリスチルポリグルコシド及びこれらの混合物等がより好ましく、この中ではアルキル(炭素数10)ポリグルコシド、又はアルキル(炭素数12)ポリグルコシドがさらに好ましい。
【0033】
脂肪酸モノアルキロールアミドとしては、例えば、式(IV):
4CO−NH−R5OH (IV)
(式中、R4は炭素数7〜20の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、R5はエチレン基又はプロピレン基を示す。)で表わされるものが挙げられる。
【0034】
式(IV)において、R4としては、炭素数7〜20のアルキル基及びアルケニル基が好ましく、具体的には、ウンデシル基、トリデシル基、ヘプタデシル基等が挙げられる。
【0035】
脂肪酸モノアルキロールアミドとしては、ラウリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノプロパノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド、ミリスチン酸モノエタノールアミド、パルミチン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、オレイン酸モノエタノールアミド、オレイン酸モノイソプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミド、ヤシ科植物油脂肪酸モノエタノールアミド等が挙げられ、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらのなかでは、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、パルミチン酸モノエタノールアミド及びステアリン酸モノエタノールアミドが好ましい。
【0036】
ノニオン界面活性剤のHLBは、パール光沢組成物の乳化を安定にする観点から、18未満が好ましく、6〜14がより好ましい。なお、HLBとは、親水性−親油性のバランス(Hydrophilic-Lipophilic Balance)を示す指標であり、本発明においては、小田・寺村らによる式:
HLB=(Σ無機性値/Σ有機性値)×10
を用いて算出したときの値である。
【0037】
パール光沢組成物中の界面活性剤の含有量は、各成分を均一に混合する観点から、パール光沢組成物の8重量%以上が好ましく、流動性の観点から、パール光沢組成物の40重量%以下が好ましい。これらの観点から、界面活性剤の含有量はパール光沢組成物の8〜40重量%が好ましく、10〜35重量%がより好ましく、15〜30重量%がさらに好ましい。
【0038】
パール光沢組成物における脂肪酸グリコールエステル及び界面活性剤の総含有量は、パール光沢組成物の25〜70重量%が好ましく、30〜60重量%がより好ましい。
【0039】
パール光沢組成物における水の含有量は、パール光沢組成物の濃度及び粘度調整の観点から、パール光沢組成物の25〜75重量%が好ましく、40〜75重量%がより好ましく、50〜75重量%がさらに好ましい。
【0040】
本発明では、脂肪酸グリコールエステルの可溶化物又は乳化物を解可溶化剤又は解乳化剤と接触又は混合することにより、可溶化状態又は乳化状態から変化させることで、脂肪酸グリコールエステルの析出を開始させる。界面活性剤で可溶化又は乳化した脂肪酸グリコールエステルに解可溶化剤又は解乳化剤を作用させることにより、可溶化又は乳化を破壊する最も一般的な原理は、界面活性剤の親水部の水和を妨げることにある。界面活性剤の親水部の水和を妨げるために、電解質、酸、アルカリが好適に用いられることは広く知られている。よって、本発明における解可溶化剤又は解乳化剤としては、電解質、酸、アルカリが例示される。
【0041】
本発明において用いることのできる電解質は特別なものである必要はなく、一般的なものを使用することができ、例えば無機塩であり、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム等を好ましいものとして用いることができる。これらのうち、特に塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウムがより好適に用いられる。本発明において用いることのできる酸は特別なものである必要はなく、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、コハク酸、塩酸、リン酸、硫酸等を用いることができる。本発明において用いることのできるアルカリは特別なものである必要はなく、アルカリ金属水酸化物、エタノールアミン等を用いることが出来る。
【0042】
本発明の製造方法においては、まずは脂肪酸グリコールエステルの可溶化物又は乳化物を準備する。
【0043】
本発明のパール光沢組成物の製造方法において、可溶化物又は乳化物としては、脂肪酸グリコールエステル等の原料を溶融させる方法により得られるものであれば回分式、連続式を問わず、特に限定されない。具体的な方法としては、例えば、脂肪酸グリコールエステル、界面活性剤、水等の原料の混合物を加熱する方法等が挙げられる。
【0044】
上記混合物の温度は、脂肪酸グリコールエステルの融点以上の温度が好ましく、混合物を構成する成分のうちの最も沸点が低い成分の沸点以下の温度が好ましい。また、脂肪酸グリコールエステルの融点より1〜30℃高い温度範囲がより好ましく、1〜20℃高い温度範囲がさらに好ましい。具体的には、上記混合物の温度としては75℃〜90℃が好ましく、75〜85℃がより好ましい。
【0045】
次いで、晶析温度から融点の間の温度で可溶化物又は乳化物に解可溶化剤又は解乳化剤を加え、解可溶化又は解乳化を行う。即ち、本発明の製造方法は、かかる解可溶化剤又は解乳化剤を加えることによる解可溶化又は解乳化工程を含むことを一つの特徴とする。
【0046】
解可溶化作用又は解乳化作用を有する成分を添加する温度は脂肪酸グリコールエステルの融点より低いため、可溶化物又は乳化物を冷却する操作を行った後、解可溶化剤又は解乳化剤を添加する工程を実施する。冷却操作の際の可溶化物又は乳化物の冷却速度としては、0.1〜10.0℃/minが好ましく、0.1〜5.0℃/minがさらに好ましい。製造の効率化の観点から、0.1℃/min以上が好ましく、晶析温度を安定とする観点から、5℃/min以下が好ましい。このような冷却速度を達成する方法としては、汎用の混合槽、例えば、ジャケットが付帯した混合槽で可溶化物又は乳化物を調製し、ジャケットに冷媒水を通水する方法等が挙げられる。
【0047】
本発明における晶析温度は、対象となる可溶化物又は乳化物を0.5℃/minの速度で冷却したときに、結晶が析出し始める温度である。なお、結晶が析出し始める温度は、冷却速度を0.5℃/minとした時に、可溶化物又は乳化物の温度変化、電気伝導度の変化、目視観察等によって確認することができる。また、本発明における融点は、脂肪酸グリコールエステルの融点である。
【0048】
本発明における解可溶化剤又は解乳化剤を加える温度としては、晶析が開始される前に確実に添加を行う観点から、下限値としては当該晶析温度と同じ温度が好ましく、当該晶析温度より2℃以上高い温度が好ましい。一方、十分に晶析させる観点から、上限値としては当該融点より2℃以上低いことが好ましい。よりW値の高いパール光沢組成物を得る観点からは、添加する温度の具体的な温度範囲としては30〜60℃が好ましく、32〜48℃がより好ましく、32〜42℃がさらに好ましい。本発明においては、添加する温度の範囲内で、特定の温度(「設定温度」という。)を設定することが好ましい。
【0049】
本発明における解可溶化剤又は解乳化剤を加える方法は、可溶化物又は乳化物と解可溶化剤又は解乳化剤が混合される方法であれば、回分式や連続式を問わず、特に限定されない。例えば、汎用の混合槽で調製された可溶化物又は乳化物に当該解可溶化剤又は解乳化剤を加える方法が挙げられる。
【0050】
解可溶化剤又は解乳化剤を添加する工程における可溶化物又は乳化物の攪拌は、可溶化物又は乳化物と解可溶化剤又は解乳化剤が混合されればよく特に制約は受けないが、よりすみやかに混合される方が好ましい。具体的な攪拌の回転数は装置により異なるが、単位体積当りの攪拌所要動力が一定とした場合に、回転数をn、翼径をdとすると次式が成立する。
nd2/3=一定
【0051】
したがって、本発明においてnd2/3が0.1〜100となる攪拌が好ましく、1〜100となる攪拌がより好ましく、さらに3〜100になる攪拌がより好ましい。
【0052】
解可溶化剤又は解乳化剤を加えると、数十秒から数分の誘導時間後、晶析が開始される。晶析が開始される様子は、可溶化物又は乳化物の温度変化、電気伝導度の変化、目視観察等によって確認することができる。
【0053】
解可溶化剤又は解乳化剤の添加後も、上記の範囲の冷却速度と同じ範囲の冷却速度で冷却を続けることが好ましい。室温に達した後、得られた混合物をパール光沢組成物とすることができる。
【0054】
なお、本発明においては、使用した原料の全量がパール光沢組成物を構成するため、上記の各成分の含有量を配合量とみなすことができる。
【0055】
<解可溶化又は解乳化の確認方法>
可溶化物又は乳化物が解可溶化又は解乳化されているかどうかは、当該可溶化物又は乳化物に解可溶化剤又は解乳化剤を投入し、一定時間経過後に油分と水が分離しているかどうかで、目視により判定することができる。ただし、脂肪酸グリコールエステルの融点以下で解可溶化剤又は解乳化剤を投入すると、解可溶化又は解乳化とほぼ同時に晶析が開始するため、解可溶化又は解乳化されているかどうかの判定が難しい。したがって、解可溶化又は解乳化されているかどうかは、脂肪酸グリコールエステルの融点以上の温度で解可溶化剤又は解乳化剤を投入し、一定時間経過後に油分と水が分離しているかどうかを目視で判定することができる。
【0056】
本発明における解可溶化剤又は解乳化剤の濃度は、可溶化物又は乳化物を解可溶化又は解乳化できる濃度であれば良く、解可溶化剤又は解乳化剤の種類、使用される界面活性剤の種類や濃度及び脂肪酸グリコールエステルの種類や濃度により異なり、理論的に決定するのは難しい。しかしながら、解可溶化剤又は解乳化剤の添加量を変えた試料を数点作製し、添加時に晶析が開始されるかで添加量を決定することができる。解可溶化剤又は解乳化剤の添加量は、可溶化物又は乳化物に含まれる界面活性剤100重量部に対し、約1〜100重量部の範囲が好ましく、5〜80重量部の範囲がより好ましく、10〜70重量部の範囲が更に好ましく、15〜60重量部の範囲がより好ましい。
【0057】
解可溶化剤又は解乳化剤を加える温度に関して言えば、当該温度が低いほど過冷却度が高くなり結晶化が進行すると考えられる。その結果、結晶が微細になり白色度W値が高くなると考えられる。
【0058】
本発明により製造されるパール光沢組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、さらにpH調整剤、防腐剤、アルコール類、ポリオール類等が適宜配合されていてもよい。
【0059】
本発明の特徴の一つは、可溶化状態又は乳化状態の脂肪酸グリコールエステルに解可溶化剤又は解乳化剤を添加してその状態を変化させることにより、結晶化を進行させることにある。この変換により、晶析温度から融点の間の温度範囲における任意の設定温度で結晶化を促進することができ、設定温度によって幅広い外観を示すパール光沢組成物を製造することができる。
【0060】
<パール光沢組成物>
このようにして、W値の範囲が15〜38の範囲のパール光沢組成物を製造することができる。いわゆるメタリック調のパール光沢組成物は、W値が30以下の範囲である。いわゆるシルキー調のパール光沢組成物は、W値が30より大きい範囲であり、例えば本発明の製造方法において、メタリック調のパール光沢組成物を得ようとする場合の条件としては、例
えば設定温度を45〜60℃とすることである。さらに、例えば、本発明の製造方法において、シルキー調のパール光沢組成物を得ようとする場合の条件としては、例えば設定温度を30℃以上45℃未満とすることである。
【0061】
白色度W値は色差計によりL(明度)、b(色相・彩度)を測定し、ASTM(米国材料試験協会)が定義(E-313)する次式により求める。
【0062】
W値=(7L2−40Lb)/700
【0063】
W値はパール光沢組成物の白さ、言いかえれば濁度を表す指標として用いる。W値が高いほどパール光沢組成物は白く濃くなりシルキー調となる。W値が低いほどパール光沢組成物は薄くなり、パール光沢が際立つ、すなわちメタリック調になる。W値は、パール光沢組成物の濃さの観点から10〜35が好ましく、25〜35がより好ましい。
【0064】
<化粧料>
本発明の製造方法により得られるパール光沢組成物を化粧料に配合してなる化粧料も、本発明に包含される。化粧料に対するパール光沢組成物の配合量としては、化粧料100重量部に対して好ましくは0.3〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。また、本明細書における化粧料としては、シャンプー、ボディシャンプー、ハンドソープ、フェイスソープ等が挙げられる。
【実施例】
【0065】
以下、本発明の態様を実施例によりさらに記載し、開示する。この実施例は、単なる本発明の例示であり、何ら限定を意味するものではない。
【0066】
実施例等で得られたパール光沢組成物の諸性質は、以下の方法によって測定した。
【0067】
<パール光沢組成物のパール光沢及び色調の評価>
パール光沢組成物を水で20倍(重量比)に希釈し、肉眼にてパール光沢の外観を観察し、以下の基準に従って評価した。なお、気泡の混入しているものは遠心分離に掛け、脱泡を行った。
〔評価基準〕
1:光沢がない。
2:弱い光沢が認められる。
3:強い光沢が認められる。
【0068】
得られたパール光沢組成物の希釈物について、目視により外観を観察し、パール調の評価を行った。白度のあるきめの細かいパール光沢を有していた場合を「シルキー調」と評価し、金属的な鋭いパール光沢を有していた場合を「メタリック調」と評価した。
なお、パール光沢及び色調の評価は、3名のパネラーが実施した。
【0069】
<パール光沢組成物のW値>
パール光沢組成物を、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウムを19.5重量%含む水溶液で3重量%に希釈したものをセルに1gを測り取り、色差計(日本電色製、SE-2000)でL(明度)、b(色相・彩度)を測定し、ASTM(米国材料試験協会)が定義(E-313)する次式により求めた。
W値=(7L2−40Lb)/700
【0070】
次に具体的な製造方法について説明する。
可溶化物又は乳化物の調製等を行うための装置としての混合槽は、ジャケット付セパラブルフラスコ(VIDREX株式会社製、300mL仕様)を用いた。なお、冷却は上記混合槽のジャケットに冷媒水を通水して行った。
脂肪酸グリコールエステルとしては、パルミチン酸(C16)/ステアリン酸(C18)=50/50(重量比)の混合物とエチレングリコールとのエステル(融点:63℃)を用いた。
表中の組成値は重量%を示す。
【0071】
<解乳化剤の添加量の決定>
試験例1〜9
表1〜3に示す脂肪酸グリコールエステル、界面活性剤、クエン酸一水和物、安息香酸ナトリウム及び水を装置に投入し、100回転/min(nd2/3=18)で攪拌しながら80℃でこれらを混合して乳化物を得た。その後、同じ速度で攪拌しながら約0.5℃/minの冷却速度で設定温度まで冷却した。ここで、解乳化剤としては電解質を採用した。電解質として、塩化ナトリウム又は塩化カルシウムを加えた。
【0072】
表1〜3に界面活性剤の種類、電解質の種類、電解質の添加量を変えた時の結果を示す。設定温度で電解質を添加した時に、脂肪酸グリコールエステルの晶析が開始されるかどうかで電解質の添加量を決定した。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
【表3】

【0076】
表1〜3より電解質の量を決定した。具体的には、脂肪酸グリコールエステルが20重量部に対し、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸Naが17重量部で塩化ナトリウムを用いた時は、塩化ナトリウムの量を5重量部とし、塩化カルシウムを用いた時は、塩化カルシウムの量を4重量部とし、そしてモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)が31.3重量部で塩化ナトリウムを用いた時は、塩化ナトリウムの量を7.5重量部とした。また、脂肪酸グリコールエステルが20重量部に対し、ラウリルエーテル硫酸Naが21.2重量部で塩化ナトリウムを用いた時は、塩化ナトリウムの量を5重量部とした。
【0077】
実施例1〜12
表4〜表6に示す脂肪酸グリコールエステル、界面活性剤(ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸Na、ラウリル硫酸Na、又はモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.))、クエン酸一水和物、安息香酸ナトリウム及び水を装置に投入し、100回転/min(nd2/3=18)で攪拌しながら80℃でこれらを混合して乳化物を得た。その後、同じ速度で攪拌しながら約0.5℃/minの冷却速度で設定温度まで冷却した。ここで、電解質として塩化ナトリウム又は塩化カルシウムを加えた。引き続き、100回転/min(nd2/3=18)で攪拌しながら約0.5℃/minの冷却速度で、当該パール光沢組成物を25℃まで冷却した。
【0078】
【表4】

【0079】
【表5】

【0080】
【表6】

【0081】
比較例1
表3に示す脂肪酸グリコールエステル、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸Na、塩化ナトリウム、クエン酸一水和物、安息香酸ナトリウム及び水を、一度に装置に投入し、100回転/min(nd2/3=18)で攪拌しながら80℃でこれらを混合した。攪拌を止めると油と水に分離される状態であったが、同じ速度で攪拌しながら約0.5℃/minの冷却速度で、当該パール光沢組成物を25℃まで冷却した。
【0082】
比較例2
表3に示す脂肪酸グリコールエステル、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸Na、クエン酸一水和物、安息香酸ナトリウム及び水を装置に投入し、100回転/min(nd2/3=18)で攪拌しながら80℃でこれらを混合して乳化物を得た。その後、同じ速度で攪拌しながら約0.5℃/minの冷却速度で、当該パール光沢組成物を25℃まで冷却した。
【0083】
実施例1〜12の結果に基づいた、設定温度とW値との関係をグラフに示す(図1)。図1において、菱形のプロットは実施例1〜4のデータであり、正方形のプロットは実施例5〜8のデータであり、三角形のプロットは実施例9、10のデータであり、そしてエックス字形のプロットは実施例11、12のデータである。
【0084】
以上の実験より、実施例1〜12において、パール光沢組成物は設定温度が低いほどW値が高く、シルキー調となることが分かった(図1)。それに対し、初期に解乳化剤として塩化ナトリウムを加えた比較例1では、メタリック調のパール光沢組成物が製造された。さらに比較例2において、解乳化剤を添加しない場合では、シルキー調の外観のパール光沢組成物が製造された。したがって、解乳化作用を有する成分を初期に仕込んだ場合、及び解乳化作用を有する成分を含まない場合は、極端にメタリックもしくは極端にシルキーの外観のパール光沢組成物しか製造できないことがわかった。つまり、メタリックとシルキーの中間の外観のパール光沢組成物を製造するためには、解乳化剤を設定温度で添加する工程が必須であることがわかった。
【0085】
<解乳化の確認>
試験例10〜14
表7に示す脂肪酸グリコールエステル、界面活性剤、クエン酸一水和物、安息香酸ナトリウム及び水を装置に投入し、100回転/min(nd2/3=18)で攪拌しながら80℃でこれらを混合して乳化物を得た。その後、同じ速度で攪拌しながら約0.5℃/minの冷却速度で75℃まで冷却した。ここで、電解質を添加し100回転/min(nd2/3=18)で2分攪拌した後、攪拌を止め、液温をそのまま75℃に保持した。さらに15分経過後の水分と油分との分離を目視で確認した。結果を表7に示す。
【0086】
【表7】

【0087】
表7により、脂肪酸グリコールエステルの乳化物が電解質との混合により解乳化されていることが確認された。
【0088】
実施例13
実施例1で製造されたパール光沢組成物を用いて、以下の処方例に示す組成のシャンプーを調製した。
【0089】
(処方例)
パール光沢組成物(実施例1):5.0重量%
ポリオキシプロピレン(3)オクチルエーテル:0.7重量%
ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテル硫酸アンモニウム:12.0重量%
ラウリン酸モノエタノールアミド:0.8重量%
シリコーンエマルション*:2.0重量%
カチオン性ポリマー**:0.2重量%
香料、メチルパラベン:適量
精製水:バランス
計:100重量%
*:BY22−060〔東レ・ダウコーニング(株)製〕
**:ポイズ C-150L〔花王(株)製〕
()内の数値はエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの平均付加モル数を示す。
【0090】
調製されたシャンプーはパール光沢を有するシャンプーとして仕上がっていた。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の製造方法により得られるパール光沢組成物は、シャンプー、リンス、ボディシャンプー、液体洗浄剤等に好適に用いられるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪酸グリコールエステルの可溶化物又は乳化物に、晶析温度から融点の間の温度で解可溶化作用又は解乳化作用を有する成分を添加する工程を含む、パール光沢組成物の製造方法。
【請求項2】
解可溶化作用又は解乳化作用を有する成分が無機塩である、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
脂肪酸グリコールエステルが一般式(I):
Y−O−(CH2CH2O)m−COR1 (I)
(式中、R1は炭素数13〜21の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、Yは水素原子又は−COR1(R1は前記と同じ。)を示し、mは1〜3の数であって平均付加モル数を意味する。)で示される化合物である、請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法により得られたパール光沢組成物を配合してなる化粧料。

【図1】
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【公開番号】特開2011−132143(P2011−132143A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291079(P2009−291079)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】