説明

ヒスタミン測定用の電流測定バイオセンサー

本発明は、海産食品又は魚中のヒスタミン濃度を測定するための簡単で迅速な電流測定バイオセンサーを提供する。このバイオセンサーは、スクリーン印刷の技術をバイオ受容体としての固定化ジアミンオキシダーゼと組み合わせている。本発明の一実施形態では、バイオセンサーは、メディエータとしてヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムを組み込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒスタミン、特に海産食品及び魚組織中のヒスタミンを測定するための電流測定バイオセンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
海産食品及び魚製品は、それらの栄養価のために、また世界の多数の国にとって国際貿易及び外国との取引による収入のための物品として重要である。その他の動物製品とは異なり、海産食品及び魚製品の品質は、種、性別、年齢、生息環境、及びそれらの自己消化酵素の作用が変動するので、制御するのがより困難である(Venugopal、2002)。ヒスタミンの濃度は、海産食品及び魚製品の腐敗の迅速な指標であることが示唆されている(Maleら、1996;Tombelli及びMascini、1998;Patangeら、2005)。バクテリアによる腐敗が、製品の貯蔵中に開始されると、ヒスタミンは、海産食品及び魚組織に蓄積することが知見され(Maleら、1996)、その際、海産食品及び魚の正常な外観及び臭気には変化がなかった(Lehane及びOlley、2000)。したがって、製品の新鮮度を評価するために、海産食品及び魚製品中のヒスタミン濃度を測定するための簡単で迅速な技法が、食品業界によって強く要望されている。
【0003】
ヒスタミンは、呼吸器系、心臓血管系、胃腸系及び血液免疫系並びにアレルギー性皮膚の細胞膜上の受容体に結合することによってその効果を発揮し、低血圧症、紅潮、下痢、嘔吐及び頭痛などの反応を引き起こす(Lehane及びOlley、2000)。症状は、汚染した海産食品及び魚製品中のヒスタミンの同じ用量に曝露された個体間で変動する場合がある(Bremerら、2003)。米国FDAの国際食品安全基準では、ヒスタミンの有害濃度は500ppmであると見積もられている(FDA、2001)。しかし、ヒスタミンは、一般に、腐敗した魚中に均一に分布してはいない(Lehane及びOlley、2000;FDA、2001)。したがって、50ppmという指標濃度が、海産食品及び魚の腐敗に対する化学的指標として設定されている。50ppmのヒスタミンが、海産食品又は魚組織の1つの断面中に見出された場合、その他の断面では500ppmを超える恐れがあるという可能性が存在する(Lehane及びOlley、2000;FDA、2001)。上記の濃度を超えるヒスタミンを含む海産食品及び魚製品は、ヒトの消費のために販売することが禁止されている(Gigireyら、1998)。
【0004】
ヒスタミン検出に関してクロマトグラフィーによる日常の分析など数種の方法が提案されており、このクロマトグラフィーとして、ガスクロマトグラフィー、薄層液体クロマトグラフィー、逆相液体クロマトグラフィー、プレカラム、ポストカラム又はオンカラム誘導体化技法を備えた液体クロマトグラフィー、及び高速液体クロマトグラフィーが挙げられる(Chemnitius及びBilitewski、1996;Maleら、1996;Scott、1998;Tombelli及びMascini、1998)。しかし、こうした方法には、複雑で高価な器具、毒性試薬、長い時間が必要であり、試料の処理が複雑であるためにin situ分析として実際的ではなく、こうした試験を実施するための訓練を受けた人員が必要である。
【0005】
スクリーン印刷電極に基づく電流測定系によって、海産食品及び魚製品の新鮮度及び腐敗を迅速に測定するための簡単で、安価で携帯可能な装置を製造することが可能になる。電流測定バイオセンサーによって、電気活性な種の酸化又は還元による電子流が測定される。定常状態の電流は、電気活性な種の濃度に比例する。酵素電極の分野では、最も広く使用される酵素は、電気活性な過酸化水素を生成するオキシダーゼであり、この電気活性な過酸化水素は、電流信号(Willnerら、2000)又は基質と酵素との直接の電気化学的なやりとりによって測定することができる。電流測定バイオセンサーは、その他の型のバイオセンサーでの欠点の大部分を克服することが分かった。電流測定バイオセンサーは、濁りのある媒体中で作動することができ、装置の感度が同程度であり、小型化により適している(Chaubey及びMalhotra、2002)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主たる目的は、海産食品及び魚組織のヒスタミン濃度を測定することによって海産食品及び魚製品の新鮮度及び腐敗を求めることができる簡単で迅速な電流測定バイオセンサーを提供することである。
【0007】
本発明の目的は、低動作電圧下で海産食品及び魚組織のヒスタミン濃度を測定できる小型化された感度のよい電流測定バイオセンサーを提供することでもある。
【0008】
本発明の別の目的は、非実験室的な設定で実施できる、海産食品及び魚組織のヒスタミン濃度を測定するための簡便で安全な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のこれらの目的及びその他の目的は、以下の方法によって実現される。
【0010】
作用電極と、対電極と、参照電極とを備え、前記作用電極がスクリーン印刷電極であるヒスタミン測定用の電流測定バイオセンサーであって、ジアミンオキシダーゼがスクリーン印刷作用電極の表面上に固定化されることを特徴とする電流測定バイオセンサー。
【0011】
作用電極と、対電極と、参照電極とを備え、電極すべてが、基板上にスクリーン印刷されるヒスタミン測定用の電流測定バイオセンサーであって、ジアミンオキシダーゼ及びヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムが、スクリーン印刷作用電極の表面上に固定化され、電着されることを特徴とする電流測定バイオセンサー。
【0012】
ヒスタミンを含む疑いのある試料を上記のバイオセンサーのいずれか1つにかけるステップと、電流を測定することによってヒスタミンの存在を示す出力信号を提供するステップとを含むヒスタミンの測定方法。
【0013】
本発明のその他の態様及びそれらの利点は、添付の図面と合わせて詳細な説明を検討することによって理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の一実施形態の電流測定バイオセンサーの直線応答範囲を示すグラフである。
【図2】図2は、同じバイオセンサーを用いて連続測定を実施した後に得られた電流の読み取り値を示すグラフである。
【図3】図3は、pHが本開発のバイオセンサーの応答に及ぼす影響を示すグラフである。
【図4】図4は、本発明を実施するバイオセンサーによって測定されたヒスタミン濃度と、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)よって測定されたヒスタミン濃度との相関関係を示すグラフである。
【図5】図5は、本発明の別の実施形態の電流測定バイオセンサーの直線応答範囲を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、試料中のヒスタミン濃度を測定するための電流測定バイオセンサーであって、固定化ジアミンオキシダーゼがバイオ受容体として使用される電流測定バイオセンサーを提供する。本発明の第1番目の実施形態では、バイオセンサーは、スクリーン印刷作用電極と、対電極と、参照電極とを備える。好ましくは、バイオセンサーは、カーボンペースト系スクリーン印刷作用電極と、白金棒対電極と、銀/塩化銀(Ag/AgCl)参照電極とを備える。
【0016】
ジアミンオキシダーゼは、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(光HEMA)によってスクリーン印刷作用電極の表面上に固定化される。固定化をする前に、酵素を、pHが6.4〜8.4の範囲であり、最適pHが7.4である0.1Mリン酸緩衝液中に溶解する。光HEMAは、Low及び共同研究者によって報告(2005)された通りに調製される。2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)は、光開始剤2’ジメトキシフェニルアセトフェノン(DMPP)と混合される。すべてのDMPPが溶解するまで、この混合物は振とうされる。ホモジナイズ感光性混合物は、アルミホイルで覆われ、UV光による分解を防止するために使用するまで4℃で貯蔵される。バイオ受容体を調製するために、適切な体積の光HEMAがジアミンオキシダーゼ溶液と混合される。本発明に従って、ジアミンオキシダーゼ溶液は、1部のジアミンオキシダーゼと4部の光HEMAの比(1:4)により光HEMAと混合される。ジアミンオキシダーゼ溶液と光HEMAの比が1:1、1:2及び1:3である場合、光HEMA濃厚混合物中の光HEMAがより少ないと、電流変化に一貫性がなく、酵素が不十分(比1:5)であると電流変化が低下した。次いで、ホモジナイズ混合物は、作用電極の表面上に滴下被覆され、電極は、窒素ガス流下UV曝露ユニット中で約300秒間光硬化する。電極の硬化が300秒未満である場合、電極の乾燥は不完全であることになり、酵素を浸出させる恐れがある。UV下で電極を300秒超曝露させると、酵素活性が低減する恐れがある。
【0017】
本発明のバイオセンサーは、以下に示すようにイミダゾールアセトアルデヒド、次いでイミダゾール酢酸を形成するヒスタミンの酸化脱アミノ化過程によって、試料中のヒスタミンを検出する。
【化1】

【0018】
上記反応におけるジアミンオキシダーゼとヒスタミンの間の活性によって、基質と酵素の間の直接的な電気化学的やりとりが引き起こされる。電子移動の機構は、非常に不安定であり、イミダゾール酢酸まで酸化される形成生成物すなわちイミダゾールアセトアルデヒドの電解酸化を介して生じる。
【0019】
バイオセンサーは、最高300ppmまでのヒスタミン応答範囲を有する。図1に示す直線応答範囲によれば、バイオセンサーの分析範囲は、最高60ppmまでのヒスタミンであることが分かる。これは、米国FDAが見積もったヒスタミン50ppmという海産食品及び魚製品の腐食指標濃度をカバーする。バイオセンサーの直線応答範囲は、フローインジェクション法又はClark酸素電極を使用したTakagi及びShikata(2004);Frebortら(2000);Carsol及びMascini(1999);Draisiら(1998)並びにChemnitius及びBilitewski(1996)による報告に比較してより広い。バイオセンサーの感度は、5.56nA ppm−1であり、検出限界はヒスタミン0.65ppmという低さであり、これは、検体のゼロ応答における標準偏差の3倍として計算される。バイオセンサーの安定性が、最適であることも証明された。というのは、図2に示すように、数個の分析が、電流の読み取り値の有意な低減なしで同じ電極で実施することができるからである。
【0020】
試料中のヒスタミン濃度は、試料をバイオセンサーにかけ、出力電流信号を測定することによって求められる。ヒスタミンの測定は、0.30ボルト〜0.50ボルトの電位範囲で実施される。固定化酵素を使用するヒスタミン測定に対する最適電位は、0.35ボルトである。0.35ボルトにおける電子移動の機構は、形成生成物、すなわち、イミダゾールアセトアルデヒドの電解酸化を介して生じ、Kapeller Adler及びFletcher(1959)が提案するように、イミダゾールアセトアルデヒドは、非常に不安定であり、存在するのが疑わしいので、ジアミンオキシダーゼによっても酸化することができる(Lehane及びOlley、2000)。本開発のバイオセンサーの出力電流は、pH依存性であり、6.4〜8.4のpH範囲で検出することができる。しかし、最適の活性は、図3に示すように、pH7.4で見られる。出力電流はまた、20秒から始まって、反応時間につれて増加し、50秒が、ヒスタミン測定に対する最適反応時間である。本発明のバイオセンサーを使用するヒスタミン測定の精度は、95%信頼性レベルで従来の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法に匹敵する。バイオセンサー及び確立されているHPLC法によって求められたヒスタミン濃度の相関関係は、図4に示されている。
【0021】
本発明の第2の実施形態では、バイオセンサーの3電極系は、スクリーン印刷技術によって小型化される。小型化バイオセンサーは、バイオセンサーの製作に少量の酵素のみしか必要としないこと、かかる小型化バイオセンサーの大量生産が可能であること、及びしたがって、使い捨て型のバイオセンサーを実現することができることなどの数種の利点を提供する。本発明の小型化バイオセンサーは、作用電極と、対電極と、参照電極とを備え、電極のすべてが基板上にスクリーン印刷される。好ましくは、バイオセンサーは、カーボンペースト系のスクリーン印刷作用電極及び対電極、並びに塩化銀(AgCl)ペースト系スクリーン印刷参照電極を備える。3つの電極はすべてポリエステル基板上にスクリーン印刷される。
【0022】
前記の実施形態に記載されたように、ジアミンオキシダーゼは、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(光HEMA)によってスクリーン印刷作用電極の表面に固定化される。本発明のバイオセンサーは、バイオセンサーの感度を増加させるためにメディエータとしてヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムを使用することによって、前記したバイオセンサーから改変される。ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムは、サイクリックボルタンメトリ法によって、スクリーン印刷作用電極の表面に電着される。0.1Mヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムの脱イオン水溶液中で、電極は、撹拌しながら0.2vs−1で少なくとも15回サイクルされる。次いで、改変電極は、大容積の脱イオン水を用いて洗浄され、すすがれ、使用するまで室温で乾燥状態で貯蔵される。
【0023】
本発明のバイオセンサーは、以下に示すように、メディエータの電子流によって試料中のヒスタミンを検出する。
【化2】

【0024】
ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムは、そのバイオ電気化学的な特性が優れているので、バイオセンサー用のメディエータとして用いられる。[Fe(CN)3−は、[Fe(CN)4−に容易に還元される。この特性によって、酸化された[Fe(CN)3−と還元された[Fe(CN)4−の双方がスクリーン印刷作用電極の表面に堆積することが可能になる。以下の式1に示すように固定化ジアミンオキシダーゼがヒスタミンと反応すると、電極の表面に過酸化水素が生成する。
【化3】


+2Fe(CN)4−+2H→2HO+2Fe(CN)3− (2)
Fe(CN)3−+e→Fe(CN)4− (3)
【0025】
以下の過程(式2)が起こるのは、電子受容体などのメディエータが酸素を過酸化水素に還元する触媒能を有するからである。次いで、再利用するために、式3で示すように[Fe(CN)3−が[Fe(CN)4−に還元される。
【0026】
本発明のバイオセンサーは、ヒスタミン最高200ppmまでの応答範囲を有する。図5に示す直線応答範囲によって、このバイオセンサーが前記実施形態に比較して最高80ppmという、より広い範囲のヒスタミンを検出することが分かる。バイオセンサーの感度は、5.31nA ppm−1である。バイオセンサーの動作条件は、前記実施形態で記載した通りであり、電位範囲は、0.30ボルト〜0.50ボルト、好ましくは0.35ボルトであり、pH範囲は、6.4〜8.4、好ましくはpH7.4であり、反応時間は、20秒が最小であり、ヒスタミン測定の最適反応時間は50秒である。
【0027】
以下の実施例は、本発明をさらに例示するのみのためのものであり、特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定するものではない。
【0028】
実際試料の分析
車エビ(Penaeus monodon)を30℃±2℃で0〜5時間曝露し、毎時間試料を採集した。車エビの殻、頭部、及び尾を取り除き、車エビの胴体領域約10gを0.1M、pH7.4のリン酸緩衝液100mlとブレンドした。次いで、いかなる予備処理又は抽出ステップもなしで、本開発のバイオセンサーを使用して試料を分析した。0.35ボルトで操作されたGPESソフトウエアを備えたAutolab PGSTAT 12 Potentiostat/Galvanostatを使用して測定を実施した。0.1M、pH7.4のリン酸緩衝液を含むビーカー内で試料を試験した。
【0029】
その一方で、Mopper及びSciacchitano(1994)によって記載されているように、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法では、試料からヒスタミンを抽出することが必要であった。試料をメタノールとブレンドし、抽出物1と脱イオン水10の比(1:10)に従って希釈した。次いで、ヒスタミンの精製を、Vale及びGloria(1997)によって報告されている通りに実施した。最後に、254nmでのベンゾイル化環の検出を増進するために抽出試料を誘導体化した(Hauschild、1993)。Waters 1500 Series HPLC Pump及び粒径5μmの4.6mm×250mmI.D.C18カラムを使用する定組成逆相HPLCによって、ベンゾイル化ヒスタミンの分離を実施し、Water Model 2487 Dual λ Absorbance Detectorを用いて、254nmにおける分光光度法でヒスタミンを検出した。
【0030】
小型化バイオセンサーの製作
小型化バイオセンサーの構築では厚膜技術を適用した。というのは、この技術によって、固体状態の機械的に強固な平面センサーを構築することが可能になるからである。これは、スクリーン印刷プロセスによって基板上に厚膜を順次堆積させて実施される。バイオセンサーの構造は、絶縁性担体又は基板上に順次堆積したペースト層を備える。本発明の小型化バイオセンサーを、半自動化DEK−J202RS厚膜プリンタを使用する多段スクリーン印刷法によって製造した。モノフィラメントポリエステル(SEFAR(登録商標)PET 1000)ステンシル(規格90−48W)の高弾性率メッシュを、スクリーンメッシュに固定された正方形パッドに平行なストレートで短く広い導電体として設計した。これによって、円形パッドを有する曲がった狭い導電体の設計に比較してより良好な導電率がもたらされる。印刷ペーストに対するエマルジョン厚さが12μm±2μmで、ステンレス鋼スクリーンメッシュ(地金厚78μm)を45°でプリントストロークに載せた。3つの電極をポリエステル基板上にスクリーン印刷した(50×60mm)。印刷プロセスの前に、ポリエステルシートをオーブンで130℃5時間焼くことによって、次の加熱ステップ中にホイルが収縮するのを防止した。各印刷サイクルによって、単一片のポリエステル基板上に、カーボンペースト(Screen Technology、BBI 440)作用電極及び対電極、並びに塩化銀(AgCl)ペースト(Dupont、B166)参照電極を備える3つの小型化スクリーン印刷電極が製造された。銀層(Dupont、B111)を基底トラック層として印刷することによって基板状のペーストの導電率及び接着性を増進させた。各層を印刷した後、ペーストをオーブンで110℃10分間乾燥することによって溶媒を揮発させた。
【0031】
本発明の特定の実施形態を説明したが、本発明の範囲を逸脱することなく本発明に対する多様な変更及び改変を実施できることは当業者には明らかであろう。本発明の範囲内にあるかかる改変形態のすべては添付の特許請求の範囲においてカバーされるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作用電極と、対電極と、参照電極とを備え、前記作用電極がスクリーン印刷電極であるヒスタミン測定用の電流測定バイオセンサーであって、ジアミンオキシダーゼがスクリーン印刷作用電極の表面上に固定化されることを特徴とする電流測定バイオセンサー。
【請求項2】
スクリーン印刷作用電極がカーボンペースト系である、請求項1に記載のバイオセンサー。
【請求項3】
対電極が白金棒である、請求項1に記載のバイオセンサー。
【請求項4】
参照電極が銀/塩化銀(Ag/AgCl)電極である、請求項1に記載のバイオセンサー。
【請求項5】
ジアミンオキシダーゼが、
a)ジアミンオキシダーゼ溶液をポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(光HEMA)と混合するステップと、
b)スクリーン印刷作用電極の表面上にこの混合物を滴下コーティングするステップと、
c)電極を光硬化させるステップと
によって固定化される、請求項1に記載のバイオセンサー。
【請求項6】
ジアミンオキシダーゼが、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(光HEMA)と混合する前にリン酸緩衝液に溶解される、請求項5に記載のバイオセンサー。
【請求項7】
ジアミンオキシダーゼ溶液が、比1:4に従ってポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(光HEMA)と混合される、請求項5又は請求項6に記載のバイオセンサー。
【請求項8】
電極が、窒素ガス流下、UV曝露ユニット内で300秒間光硬化する、請求項5から7までのいずれか一項に記載のバイオセンサー。
【請求項9】
a)ヒスタミンを含む疑いのある試料を請求項1から4までのいずれか一項に記載のバイオセンサーにかけるステップと、
b)電流を測定することによってヒスタミンの存在を示す出力信号を提供するステップと
を含むヒスタミンの測定方法。
【請求項10】
ヒスタミン測定用の電圧範囲が、0.30ボルト〜0.50ボルトである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ヒスタミン測定用の電圧が、好ましくは0.35ボルトである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ヒスタミン測定用のpH範囲が、6.4〜8.4である、請求項9から11までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ヒスタミン測定用のpHが、好ましくは7.4である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ヒスタミンを測定するための反応時間が20秒以上である、請求項9から13までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ヒスタミンを測定するための反応時間が、好ましくは50秒である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
作用電極と、対電極と、参照電極とを備え、電極すべてが基板上にスクリーン印刷されるヒスタミン測定用の電流測定バイオセンサーであって、ジアミンオキシダーゼ及びヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムが、スクリーン印刷作用電極の表面上に固定化され、電着されることを特徴とする電流測定バイオセンサー。
【請求項17】
スクリーン印刷作用電極及び対電極がカーボンペースト系である、請求項16に記載のバイオセンサー。
【請求項18】
スクリーン印刷参照電極が、塩化銀(AgCl)ペースト系のスクリーン印刷電極である、請求項16に記載のバイオセンサー。
【請求項19】
電極が、ポリエステル基板上にスクリーン印刷される、請求項16に記載のバイオセンサー。
【請求項20】
バイオセンサーが、基底トラック層として印刷された銀層をさらに備える、請求項16に記載のバイオセンサー。
【請求項21】
ジアミンオキシダーゼが、
a)ジアミンオキシダーゼ溶液をポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(光HEMA)と混合するステップと、
b)スクリーン印刷作用電極の表面上にこの混合物を滴下コーティングするステップと、
c)電極を光硬化させるステップと
によって固定化される、請求項16に記載のバイオセンサー。
【請求項22】
ジアミンオキシダーゼが、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(光HEMA)と混合する前にリン酸緩衝液に溶解される、請求項21に記載のバイオセンサー。
【請求項23】
ジアミンオキシダーゼ溶液が、比1:4に従ってポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(光HEMA)と混合される、請求項21又は請求項22に記載のバイオセンサー。
【請求項24】
電極が、窒素ガス流下、UV曝露ユニット内で300秒間光硬化する、請求項21から23までのいずれか一項に記載のバイオセンサー。
【請求項25】
ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムが、撹拌しながらヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム溶液中でスクリーン印刷作用電極をサイクルさせるステップを含むサイクリックボルタンメトリ法によって電着される、請求項16に記載のバイオセンサー。
【請求項26】
電極が、0.1Mヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムの脱イオン水溶液中で撹拌しながら0.2vs−1で少なくとも15回サイクルされる、請求項25に記載のバイオセンサー。
【請求項27】
a)ヒスタミンを含む疑いのある試料を請求項16から20までのいずれか一項に記載のバイオセンサーにかけるステップと、
b)電流を測定することによってヒスタミンの存在を示す出力信号を提供するステップと
を含むヒスタミンの測定方法。
【請求項28】
ヒスタミン測定用の電圧範囲が、0.30ボルト〜0.50ボルトである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ヒスタミン測定用の電圧が、好ましくは0.35ボルトである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
ヒスタミン測定用のpH範囲が、6.4〜8.4である、請求項27から29までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
ヒスタミン測定用のpHが、好ましくは7.4である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
ヒスタミンを測定するための反応時間が20秒以上である、請求項27から31までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
ヒスタミンを測定するための反応時間が、好ましくは50秒である、請求項32に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−522323(P2010−522323A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554465(P2009−554465)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【国際出願番号】PCT/MY2008/000019
【国際公開番号】WO2008/115044
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(505291413)ユニバーシティー プトラ マレーシア (11)
【Fターム(参考)】