説明

ヒステリシス付きコンパレータ回路

【課題】高電圧側のしきい値とそれよりも低い低電圧側のしきい値をそれぞれ別々に調整できるようにすることで、双方の高精度化が図れるようにする。
【解決手段】高電圧側のしきい値となる参照電圧VIHを形成する第1しきい値設定回路2と、低電圧側のしきい値となる参照電圧VILを形成する第2しきい値設定回路3とを別々に備え、これら第1、第2しきい値設定回路2、3により、高電圧側と低電圧側それぞれのしきい値を独立して設定できるようにする。これにより、一方のしきい値の設定により他方のしきい値までずれてしまうことを防止でき、高電圧側のしきい値と低電圧側のしきい値の双方の高精度化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパレータの参照電圧にヒステリシスを形成するヒステリシス付きコンパレータ回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンパレータの参照電圧にヒステリシスを形成するヒステリシス付きコンパレータ回路が知られている(例えば、特許文献1参照)。図4は、従来のヒステリシス付きコンパレータ回路の回路図である。
【0003】
この図に示されるように、コンパレータ100には参照電圧と被比較対象となる入力電圧VINが入力されるように構成され、入力電圧VINが参照電圧よりも大きければコンパレータ100からHiレベルが出力され、逆に小さければコンパレータ100からLowレベルが出力されるようになっている。参照電圧は、基準電圧を分圧抵抗101〜103で分圧することにより形成される。すなわち、コンパレータ100の出力がLowレベルとなり、スイッチ104がオフされているときには、分圧抵抗101と分圧抵抗102の間の電位が高電圧側のしきい値を設定する参照電圧VIHとなる。そして、コンパレータ100の出力がHiレベルとなり、スイッチ104がオンされると、分圧抵抗102と分圧抵抗103の間の電位が低電圧側のしきい値を設定する参照電圧VILとなる。このように、分圧抵抗101〜103の抵抗比に基づいてしきい値を取ることで、高精度なしきい値を設定できるようにしている。
【特許文献1】特開平6−86083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のコンパレータ回路では、より高精度なしきい値を設定するために、抵抗101〜103のいずれかをトリミングすることで、しきい値の合わせ込みを行っている。しかしながら、抵抗101〜103をトリミングした場合、高電圧側のしきい値と低電圧側のしきい値それぞれを設定する参照電圧VIH、VILのいずれか一方のみを調整しようとしても双方共に調整されてしまうため、一方のみしか高精度化が図れず、高精度化に限界があった。
【0005】
本発明は上記点に鑑みて、第1のしきい値(高電圧側のしきい値)とそれよりも低い第2のしきい値(低電圧側のしきい値)をそれぞれ別々に調整できるようにすることで、双方の高精度化が図れるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明では、第1のしきい値となる第1参照電圧(VIH)を設定する第1しきい値設定回路(2)と、第1のしきい値よりも低い第2のしきい値となる第2参照電圧(VIL)を設定する第2しきい値設定回路(3)と、第1参照電圧(VIH)もしくは第2参照電圧(VIL)と入力電圧(VIN)とを大小比較し、その比較結果に応じた出力を発生させるコンパレータ(1)と、コンパレータ(1)に対して第1参照電圧(VIH)と第2参照電圧(VIL)のいずれを入力するかをコンパレータ(1)の出力に基づいて切替えるスイッチ手段(4、5)とを有し、第1しきい値設定回路(2)は、互いに直列接続された第1分圧抵抗(2a)および第2分圧抵抗(2b)により第1基準電圧を分圧し、これら第1分圧抵抗(2a)および第2分圧抵抗(2b)の間の電位を第1参照電圧(VIH)として設定するものであり、第2しきい値設定回路(3)は、互いに直列接続された第3分圧抵抗(3a)および第4分圧抵抗(3b)により第2基準電圧を分圧し、これら第3分圧抵抗(3a)および第4分圧抵抗(3b)の間の電位を第2参照電圧(VIL)として設定するものであることを第1の特徴としている。
【0007】
このように、第1しきい値となる第1参照電圧(VIH)を設定する第1しきい値設定回路(2)と、第2しきい値となる第2参照電圧(VIL)を設定する第2しきい値設定回路(3)とを別々に備え、これら第1、第2しきい値設定回路(2、3)により、第1、第2しきい値をそれぞれ独立して設定できるようにしている。このため、一方のしきい値の設定により他方のしきい値までずれてしまうことを防止でき、高電圧側のしきい値と低電圧側のしきい値の双方の高精度化を図ることができる。
【0008】
この場合、第2分圧抵抗(2b)に対してハイサイド側に配置される第1分圧抵抗(2a)をトリミング抵抗として用い、かつ、第3分圧抵抗(3a)に対してローサイド側に配置される第4分圧抵抗(3b)をトリミング抵抗として用いると好ましい。
【0009】
このようにすれば、第1分圧抵抗(2a)をトリミングすることで第1参照電圧(VIH)を徐々に減少させ、第4分圧抵抗(2d)をトリミングすることで第2参照電圧VIL)を徐々に増加させることができる。
【0010】
そして、第1分圧抵抗(2a)および第4分圧抵抗(3b)をトリミングする前の状態において、第1しきい値設定回路(2)により設定される第1参照電圧(VIH)は第2しきい値設定回路(2)により設定される第2参照電圧(VIL)よりも高くなるようにすれば、予め高く設定された第1参照電圧(VIH)を徐々に減少させ、それよりも低く設定された第2参照電圧(VIL)を徐々に増加させれば、これらを狙い値に調整することが可能となる。このとき、第1、第2のしきい値の高低を反転させることも無いため、例えばトリミング途中にも第1、第2参照電圧(VIH、VIL)の区別が付き、誤って第1のしきい値を調整しなければならないのに第2のしきい値を調整してしまう等のミスの発生を無くすことも可能となる。
【0011】
なお、スイッチ手段(4、5)は、例えば、第1分圧抵抗(2a)および第2分圧抵抗(2b)の間とコンパレータ(1)との間のスイッチングを行う第1スイッチ(4)と、第3分圧抵抗(3a)および第4分圧抵抗(3b)の間とコンパレータ(1)との間のスイッチングを行う第2スイッチ(5)とを有して構成され、コンパレータ(1)の出力に基づいて第1スイッチ(4)がオンされるときには第2スイッチ(5)がオフされ、第1スイッチ(4)がオフされるときには第2スイッチ(5)がオンされるように構成される。
【0012】
一方、本発明は、第1しきい値設定回路(12)は、互いに直列接続された第1分圧抵抗(10a)および該第1分圧抵抗(10a)に対してローサイド側に配置された第2分圧抵抗(10b)により基準電圧を分圧し、これら第1分圧抵抗(10a)および第2分圧抵抗(10b)の間の電位を第1参照電圧(VIH)として設定するものであり、第2しきい値設定回路(3)は、第1、第2分圧抵抗(10a)および第2分圧抵抗(10b)に対して並列接続された第3分圧抵抗(10c)により基準電圧を分圧し、第1分圧抵抗(10a)と第2、第3分圧抵抗(10b、10c)との間の電位を第2参照電圧(VIL)として設定するものであり、スイッチ手段は、第3分圧抵抗(10c)への電流経路のオンオフをスイッチングするものであることを第2の特徴としている。
【0013】
このような形態であっても、第1、第2しきい値設定回路(12、13)により、第1、第2しきい値をそれぞれ独立して設定できる。このため、一方のしきい値の設定により他方のしきい値までずれてしまうことを防止でき、高電圧側のしきい値と低電圧側のしきい値の双方の高精度化を図ることができる。
【0014】
この場合、例えば、第1分圧抵抗(10a)と第3分圧抵抗(10c)をトリミング抵抗とすることができる。
【0015】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態を適用したヒステリシス付きコンパレータ回路の回路図である。以下、この図を参照して本実施形態のコンパレータ回路について説明する
図1に示すように、本実施形態のコンパレータ回路は、コンパレータ1と、高電圧側の参照電圧VIHを形成する第1しきい値設定回路2と、低電圧側の参照電圧VILを形成する第2しきい値設定回路3と、第1スイッチ4および第2スイッチ5が備えられた構成とされている。
【0018】
コンパレータ1は、第1、第2しきい値設定回路2、3で形成される高電圧側もしくは低電圧側の参照電圧VIH、VILと被比較対象となる入力電圧VINが入力されるように構成され、入力電圧VINが参照電圧VIH、VILよりも大きければコンパレータ1からHiレベルが出力され、逆に小さければコンパレータ1からLowレベルが出力されるようになっている。
【0019】
第1しきい値設定回路2は、高電圧側のしきい値となる参照電圧VIHを形成するものであり、分圧抵抗2a、2bを有した構成とされている。これら分圧抵抗2a、2bにて基準電圧を分圧し、分圧抵抗2aと分圧抵抗2bの間の電位を参照電圧VIHとして用いている。これら分圧抵抗2a、2bのうちの一方または双方をトリミング抵抗として用いても良いが、本実施形態では、参照電圧VIHを構成する分圧抵抗2a、2bの接続点よりもハイサイド側に配置された分圧抵抗2aをトリミング抵抗としている。
【0020】
第2しきい値設定回路3は、低電圧側のしきい値となる参照電圧VILを形成するものであり、分圧抵抗3a、3bを有した構成とされている。これら分圧抵抗3a、3bにて基準電圧を分圧し、分圧抵抗3aと分圧抵抗3bの間の電位を参照電圧VILとして用いている。これら分圧抵抗3a、3bのうちの一方または双方をトリミング抵抗として用いても良いが、本実施形態では、参照電圧VILを構成する分圧抵抗3a、3bの接続点よりもローサイド側に配置された分圧抵抗2aをトリミング抵抗としている。
【0021】
なお、第1しきい値設定回路2に備えられた分圧抵抗2a、2bと第2しきい値設定回路3に備えられた分圧抵抗3a、3bの大小関係に関しては特に規定は無いが、分圧抵抗2aの抵抗値R1と分圧抵抗2bの抵抗値R2との分圧比(R2/R1)の方が、分圧抵抗3aの抵抗値R3と分圧抵抗3bの抵抗値R4との分圧比(R4/R3)よりも高くされることで、参照電圧VIH>参照電圧VILの関係が成り立つようにされている。
【0022】
第1スイッチ4と第2スイッチ5は、コンパレータ1の出力電位に基づいてオン・オフされる。具体的には、第1スイッチ4は、コンパレータ1の出力電位がLowレベルのときにオン、Hiレベルのときにオフされる。第2スイッチ5は、コンパレータ1の出力電位がHiレベルのときにオフ、Lowレベルのときにオンされる。
【0023】
続いて、上記のように構成された本実施形態のコンパレータ回路のしきい値設定手法および作動について説明する。
【0024】
図2は、トリミング抵抗として用いる分圧抵抗2aおよび分圧抵抗3bの抵抗値に対するしきい値の変化を示したグラフである。
【0025】
まず、トリミング抵抗として用いる分圧抵抗2aおよび分圧抵抗3bのトリミング前の状態において、分圧抵抗2aと分圧抵抗2bの間の電位が図2中A点、分圧抵抗3aと分圧抵抗3bの間の電位が図2中B点となるように、各分圧抵抗2a、2b、3a、3bの抵抗値を設定しておく。このとき、A点の電位、つまりトリミング前の高電圧側のしきい値となる参照電圧VIHと、B点の電位、つまりトリミング前の低電圧側のしきい値となる参照電圧VILとの差が小さい方が好ましいが、この差は各分圧抵抗2a、2b、3a、3bの出来栄えによって必然的に決まり、例えば1V程度となる。このため、少なくとも、A点の電位がB点の電位よりも大きくなるように、各分圧抵抗2a、2b、3a、3bの抵抗値を設定しておく。
【0026】
続いて、分圧抵抗2aをトリミングしていく。これにより、分圧抵抗2aの抵抗値が高くなるため、分圧抵抗2aと分圧抵抗2bの間の電位となる参照電圧VIHが徐々に小さくなる。そして、この参照電圧VIHが狙い値となるまでトリミングを続ける。
【0027】
また、同時に分圧抵抗3bもトリミングしていく。これにより、分圧抵抗3bの抵抗値が高くなるため、分圧抵抗3aと分圧抵抗3bの間の電位となる参照電圧VILが徐々に大きくなる。そして、この参照電圧VILが狙い値となるまでトリミングを続ける。
【0028】
このようにして、参照電圧VIH、VILが共に狙い値となるように調整され、高電圧側のしきい値と低電圧側のしきい値が設定され、これらの差が所望値、例えば10〜100mV程度とされる。したがって、高電圧側のしきい値と低電圧側のしきい値の設定次第で、ヒステリシスを大きくしたり小さくしたり適宜設定することが可能となる。
【0029】
このようにして高電圧側のしきい値と低電圧側のしきい値の設定されると、コンパレータ回路は、入力電圧VINを参照電圧VIH、VILと大小比較し、入力電圧VINの方が大きければコンパレータ1の出力電位がHiレベルとなり、第1スイッチ4がオフ、第2スイッチ5がオンとなり、入力電圧VINが参照電圧VILと大小比較される。一方、入力電圧VINの方が小さければコンパレータ1の出力電位がLowレベルとなり、第1スイッチ4がオン、第2スイッチ5がオフとなり、入力電圧VINが参照電圧VIHと大小比較される。
【0030】
なお、入力電圧VINが入力された当初は、それ以前の入力電圧VINがゼロ(もしくは非常に小さい値)になっているため、第1スイッチ4がオン、第2スイッチ5がオフとなり、入力電圧VINは参照電圧VIHと大小比較されることになる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態では、高電圧側のしきい値となる参照電圧VIHを形成する第1しきい値設定回路2と、低電圧側のしきい値となる参照電圧VILを形成する第2しきい値設定回路3とを別々に備え、これら第1、第2しきい値設定回路2、3により、高電圧側と低電圧側それぞれのしきい値を独立して設定できるようにしている。このため、一方のしきい値の設定により他方のしきい値までずれてしまうことを防止でき、高電圧側のしきい値と低電圧側のしきい値の双方の高精度化を図ることができる。
【0032】
また、上述したように、本実施形態では、トリミング抵抗として用いる分圧抵抗2aおよび分圧抵抗3bのトリミング前の状態において、分圧抵抗2aと分圧抵抗2bの間の電位が図2中A点、分圧抵抗3aと分圧抵抗3bの間の電位が図2中B点となるように、各分圧抵抗2a、2b、3a、3bの抵抗値を設定している。そして、高電圧側のしきい値に関しては分圧抵抗2aをトリミングすることによりしきい値を減少させ、低電圧側のしきい値に関しては分圧抵抗3bをトリミングすることによりしきい値を増加させる形態としている。
【0033】
したがって、トリミング前の状態において、高電圧側のしきい値の方が低電圧側のしきい値よりも大きくされているため、トリミング時に参照電圧VIH、VILを確認する際に、いずれが高電圧側のしきい値を設定するための第1しきい値設定回路2であり、いずれが低電圧側のしきい値を設定するための第2しきい値設定回路3であるかを的確に判断することが可能となる。また、高電圧側のしきい値を減少させ、かつ、低電圧側のしきい値を増加させるにあたり、しきい値の高低が反転することも無いため、例えばトリミング途中にも高電圧側のしきい値と低電圧側のしきい値の区別が付き、誤って高電圧側のしきい値を調整しなければならないのに低電圧側のしきい値を調整してしまう等のミスの発生を無くすことも可能となる。
【0034】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態のコンパレータ回路は、第1実施形態に対して第1、第2しきい値設定回路の構成を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、異なる部分についてのみ説明する。
【0035】
本実施形態では、分圧抵抗10a〜10cにより基準電圧を分圧して高電圧側のしきい値となる参照電圧VIHと低電圧側のしきい値となる参照電圧VILを形成している。具体的には、互いに並列接続された分圧抵抗10b、10cが分圧抵抗10aに対して直列接続されると共に、分圧抵抗10cに対する電流経路のオンオフを制御するスイッチ手段としてのMOSトランジスタ11が備えられている。
【0036】
このような構成では、MOSトランジスタ11がオフして分圧抵抗10cに対する電流経路がオフされているときには、分圧抵抗10a、10bにて高電圧側のしきい値となる参照電圧VIHが形成され、MOSトランジスタ11がオンして分圧抵抗10cに対する電流経路がオンされると、分圧抵抗10a〜10cにて低電圧側のしきい値となる参照電圧VILが形成される。
【0037】
すなわち、本実施形態の場合、分圧抵抗10a、10bにて第1しきい値設定回路12が構成されると共に分圧抵抗10a〜10cにて第2しきい値設定回路13が構成されている。そして、これら分圧抵抗10a〜10cのうち、分圧抵抗10aおよび分圧抵抗10cがトリミング抵抗として用いられ、分圧抵抗10aをトリミングすることにより、第1しきい値設定回路12が設定する高電圧側のしきい値となる参照電圧VIHを調整でき、分圧抵抗10cをトリミングすることで第2しきい値設定回路13が設定する低電圧側のしきい値となる参照電圧VILを調整できる。
【0038】
このような本実施形態のコンパレータ回路は、コンパレータ1にて入力電圧VINを参照電圧VIH、VILと大小比較し、入力電圧VINの方が大きければコンパレータ1の出力電位がHiレベルとなり、MOSトランジスタ11がオンになって、入力電圧VINが参照電圧VILと大小比較される。一方、入力電圧VINの方が小さければコンパレータ1の出力電位がLowレベルとなり、MOSトランジスタ11がオフになって、入力電圧VINが参照電圧VIHと大小比較される。
【0039】
以上説明したコンパレータ回路によっても、分圧抵抗10a、10cをトリミングすることにより、高電圧側と低電圧側それぞれのしきい値を独立して設定できる。このため、一方のしきい値の設定により他方のしきい値までずれてしまうことを防止でき、高電圧側のしきい値と低電圧側のしきい値の双方の高精度化を図ることができる。なお、分圧抵抗10aのトリミングにより、高電圧側のしきい値だけでなく低電圧側のしきい値もずれてしまうことになるが、低電圧側のしきい値に関しては別途分圧抵抗10cをトリミングすることで高電圧側のしきい値をずらすことなく調整できるため、上述したように高電圧側と低電圧側それぞれのしきい値を実質的に独立して設定することが可能である。
【0040】
(他の実施形態)
上記第1実施形態では、第1、第2しきい値設定回路2、3で用いている基準電位が同じ電位であることを前提に説明しているが、異なる電位であっても構わない。また、スイッチ手段として、第1、第2スイッチ4、5およびMOSトランジスタ11を示したが、コンパレータ1の出力に応じてスイッチング動作が行えるものであればどのようなものであっても構わない。
【0041】
また、上記各実施形態では、各分圧抵抗2a、2b、3a、3b、10a〜10cの数を1つずつしか記載していないが複数個の抵抗を直列または並列接続したもので構成しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1実施形態におけるヒステリシス付きコンパレータ回路の回路図である。
【図2】トリミング抵抗として用いる各分圧抵抗の抵抗値に対するしきい値の変化を示したグラフである。
【図3】本発明の第2実施形態におけるヒステリシス付きコンパレータ回路の回路図である。
【図4】従来のヒステリシス付きコンパレータ回路の回路図である。
【符号の説明】
【0043】
1…コンパレータ、2…第1しきい値設定回路、2a、2b…分圧抵抗、3…第2しきい値設定回路、3a、3b…分圧抵抗、4、5…第1、第2スイッチ、10a〜10c…分圧抵抗、11…MOSトランジスタ、12…第1しきい値抵抗設定回路、13…第2しきい値設定回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のしきい値となる第1参照電圧(VIH)を設定する第1しきい値設定回路(2)と、
前記第1のしきい値よりも低い第2のしきい値となる第2参照電圧(VIL)を設定する第2しきい値設定回路(3)と、
前記第1参照電圧(VIH)もしくは前記第2参照電圧(VIL)と入力電圧(VIN)とを大小比較し、その比較結果に応じた出力を発生させるコンパレータ(1)と、
前記コンパレータ(1)に対して前記第1参照電圧(VIH)と前記第2参照電圧(VIL)のいずれを入力するかを前記コンパレータ(1)の出力に基づいて切替えるスイッチ手段(4、5)とを有し、
前記第1しきい値設定回路(2)は、互いに直列接続された第1分圧抵抗(2a)および第2分圧抵抗(2b)により第1基準電圧を分圧し、これら第1分圧抵抗(2a)および第2分圧抵抗(2b)の間の電位を第1参照電圧(VIH)として設定するものであり、
前記第2しきい値設定回路(3)は、互いに直列接続された第3分圧抵抗(3a)および第4分圧抵抗(3b)により第2基準電圧を分圧し、これら第3分圧抵抗(3a)および第4分圧抵抗(3b)の間の電位を第2参照電圧(VIL)として設定するものであることを特徴とするヒステリシス付きコンパレータ回路。
【請求項2】
前記スイッチ手段(4、5)は、前記第1分圧抵抗(2a)および前記第2分圧抵抗(2b)の間と前記コンパレータ(1)との間のスイッチングを行う第1スイッチ(4)と、前記第3分圧抵抗(3a)および前記第4分圧抵抗(3b)の間と前記コンパレータ(1)との間のスイッチングを行う第2スイッチ(5)とを有して構成され、前記コンパレータ(1)の出力に基づいて前記第1スイッチ(4)がオンされるときには前記第2スイッチ(5)がオフされ、前記第1スイッチ(4)がオフされるときには前記第2スイッチ(5)がオンされるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のヒステリシス付きコンパレータ回路。
【請求項3】
前記第1分圧抵抗(2a)は、トリミング抵抗として用いられ、前記第2分圧抵抗(2b)に対してハイサイド側に配置されており、
前記第4分圧抵抗(3b)は、トリミング抵抗として用いられ、前記第3分圧抵抗(3a)に対してローサイド側に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のヒステリシス付きコンパレータ回路。
【請求項4】
前記第1分圧抵抗(2a)および前記第4分圧抵抗(3b)をトリミングする前の状態において、前記第1しきい値設定回路(2)により設定される前記第1参照電圧(VIH)は前記第2しきい値設定回路(2)により設定される前記第2参照電圧(VIL)よりも高くなっていることを特徴とする請求項3に記載のヒステリシス付きコンパレータ回路。
【請求項5】
第1のしきい値となる第1参照電圧(VIH)を設定する第1しきい値設定回路(12)と、
前記第1のしきい値よりも低い第2のしきい値となる第2参照電圧(VIL)を設定する第2しきい値設定回路(13)と、
前記第1参照電圧(VIH)もしくは前記第2参照電圧(VIL)と入力電圧(VIN)とを大小比較し、その比較結果に応じた出力を発生させるコンパレータ(1)と、
前記コンパレータ(1)に対して前記第1参照電圧(VIH)と前記第2参照電圧(VIL)のいずれを入力するかを前記コンパレータ(1)の出力に基づいて切替えるスイッチ手段(11)とを有し、
前記第1しきい値設定回路(12)は、互いに直列接続された第1分圧抵抗(10a)および該第1分圧抵抗(10a)に対してローサイド側に配置された第2分圧抵抗(10b)により基準電圧を分圧し、これら第1分圧抵抗(10a)および第2分圧抵抗(10b)の間の電位を第1参照電圧(VIH)として設定するものであり、
前記第2しきい値設定回路(3)は、前記第1、第2分圧抵抗(10a)および前記第2分圧抵抗(10b)に対して並列接続された第3分圧抵抗(10c)により前記基準電圧を分圧し、前記第1分圧抵抗(10a)と前記第2、第3分圧抵抗(10b、10c)との間の電位を第2参照電圧(VIL)として設定するものであり、
前記スイッチ手段は、前記第3分圧抵抗(10c)への電流経路のオンオフをスイッチングするものであることを特徴とするヒステリシス付きコンパレータ回路。
【請求項6】
前記第1分圧抵抗(10a)と前記第3分圧抵抗(10c)がトリミング抵抗であることを特徴とする請求項5に記載のヒステリシス付きコンパレータ回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−103995(P2008−103995A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−284875(P2006−284875)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】