説明

ヒトアデノウイルス血清型を同定する方法及びキット

サンプル中の4つ又はそれ以上のヒトアデノウイルス(HAdV)血清型を簡便かつ迅速に検出し同定するための方法、キット、プライマー及びオリゴヌクレオチドプローブが提供される。特異的プライマーを用いた核酸増幅反応後、血清型特異的オリゴヌクレオチドプローブを使用して、サンプル中に存在するHAdVを検出するだけでなく、サンプル中に存在するHAdV血清型間を識別し、特に、臨床的に意義のある血清型HAdV-3、HAdV-4、HAdV-7、HAdV-14、及びHAdV-21間並びに/又はHAdV-1、HAdV-2、HAdV-5、及びHAdV-6間を識別する。これらのプライマー及びオリゴヌクレオチドプローブの組み合わせにより、迅速かつ簡便なHAdVの血清型決定が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
特許に係る政府の権利
本発明は、部分的に、USAMRAAによって与えられたW81XWH-06-C-0414の下における政府支援によって行われた。政府は本発明において一部の権利を有する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年12月23日に出願された米国仮特許出願第61/289,458号の利益を主張し、その出願日に基づくものであり、その全開示は参照により本明細書に援用されるものとする。
【0003】
背景
ヒトアデノウイルス(HAdV)は、上下気道疾患、尿路感染症、結膜炎、及び胃腸炎をはじめとして、ヒトに広範囲にわたる疾患を引き起こすことが知られている(10、12)。型特異的血清中和(type-specific serum neutralization)に基づき51の異なるHAdV血清型があり、それらは赤血球凝集反応特性、発ガン特性、及び系統学的特性に基づき6種(A、B、C、D、E、及びF)に分類される(3、4、9、24、25)。
【0004】
成人集団に呼吸器疾患を引き起こすことが知られている最も一般的な血清型は、3、4、7、11、14及び21である(11、14、15)。これらは全て、高発病率の局所的に深刻な大発生を引き起こしうる。これらの型の大発生は、一般市民ではめったに報告されないが、特に血清型4、及びより少ないものの血清型7については、軍事訓練キャンプで基本的に絶えることがない。一部の最近の研究により、特に免疫不全患者において、特定の血清型がより重大な疾患を引き起こすことが示されている(7、8、11、14、17)。種Cの血清型(1、2、5、及び6)は主に子供に見られる(20)。軍隊は、以前、訓練キャンプでの大発生と最もよく関連がある2つの血清型、HAdV-4及び-7に対する組織的ワクチン接種を確立し、それはアデノウイルス誘導性ARDを95%〜99%減少させた(10)。これらのワクチンの製造は1996年に終わったが、類似の代替ワクチンは、現在、承認の最終段階にある。
【0005】
ウイルス毒性並びにワクチン及び抗ウイルス効果を評価するために、血清型及び経時的な血清型における突然変異を同定できることは重要である。血清型の同定は、伝統的には、細胞培養中のウイルス単離(4)、その後の中和試験、抗体試験及び/又は免疫蛍光法による抗原検出によって行われた。これらの技術は時間がかかり、労力を要し、そして不正確な定型化(stereotyping)結果をもたらしうるかなりの相互交差反応を受ける(6、8、21)。使用されている別の技術は、完全なゲノム基質を生成させるための大規模ウイルス培養に依存する全ゲノム制限酵素分析(REA、すなわちゲノムタイピング)である(2、3)。
【0006】
最近では、PCRベースの検出及び識別法が開発されている(1、11、22、23)。これらの技術はより速く、マルチプレックス(multiplex)アッセイで使用すると共感染をも検出することができ(1、11、19、23)、それ故、分析に要する費用、労力及びサンプル量を低減させる。これらのPCR法はサンプル中のHAdVの迅速な検出を可能にするが、HAdV血清型間を識別するために、典型的にはさらなる配列決定解析、制限酵素解析、及び/又は系統解析を必要とし、それ故、血清型同定をかなり遅らせる。
【0007】
例えば、Xuらは6つのHAdV種A〜Fを同定するためのマルチプレックスPCRを開発した(23)。Xuらはファイバー遺伝子から6対のプライマーを設計し、それぞれのプライマー対は、HAdV種内で保存されているが種間で異なる固有のサイズのアンプリコンをもたらした。それ故、XuらのプライマーはHAdV種間を識別することが可能であったが、HAdV血清型間を識別することはできなかった。Guらは、広範なHAdV血清型を定量的に検出するためのマルチプレックスリアルタイムPCRアッセイを開発した(7)。HAdVヘキソン遺伝子から設計された5つのプライマー(縮重位置を含む63プライマー配列)及び7つのプローブを使用して、Guらは種A、B、C、及びEに由来する全ての血清型、並びに種Dに由来する8つの血清型を検出することができた。しかし、Guらが使用したプライマー及びプローブは、HAdV血清型間を識別することはできず、それ故、サンプル中にどのHAdV血清型が存在しうるか同定するために使用することはできない。同様に、Wongらは種A、B、C、D、及びEのそれぞれ由来のHAdVを検出することが可能なマルチプレックスリアルタイムPCRアッセイを開発した(20)。しかし、Wongらのプライマー及びプローブはHAdV血清型間を識別することはできなかった。むしろWongらは、HAdV血清型を決定するために、別個のシークエンシング反応及び系統解析を使用した。Chmielewiczらは、HAdVのDPol遺伝子(DNAポリメラーゼ)中の高度に保存された21ヌクレオチド領域を同定し、この配列を使用して、PCRベースの検出アッセイに使用するための5つのプライマー及び2つのプローブを設計した(4)。プライマー及びプローブのこの組み合わせは、全ての公知のHAdV血清型を検出することが可能であった。蛍光融解曲線分析と組み合わせて、Chmielewiczらは増幅されたウイルスを6種のうちの1種に迅速に分類した。しかし、Xuら、Guら及びWongらのPCRアッセイと同様に、Chmielewiczらのプライマー及びプローブの組み合わせは異なるHAdV血清型間を識別するように設計されていなかった。
【0008】
ヘキソン遺伝子に由来するプライマーを使用するリアルタイムPCRも全51血清型の包括的検出(識別ではないが)のために存在する(5、12)。7つの超可変ループ(主要抗原決定基)をコードするヘキソン遺伝子中の領域の配列解析は、全51血清型を同定し、かつ識別することができるが(12、16)、配列解析は時間がかかり、シークエンシング装置及び/又は試薬の使用を必要とする。
【0009】
Xu及びErdmanは、HAdV-3、HAdV-7、及びHAdV-21を検出し同定するためのマルチプレックスPCRアッセイを設計した(22)。Xu及びErdmanは、HAdV-3、HAdV-7、及びHAdV-21血清型のそれぞれについてヘキソン遺伝子の超可変領域に由来するプライマー対を設計した。HAdV-3、HAdV-7、及びHAdV-21サンプルをマルチプレックスPCR反応にかけた後、エチジウムブロマイド染色を用いてアガロースゲル上のサイズによってアンプリコンを識別した。しかし、Xu及びErdmanによって設計されたアッセイは、3つの特定のHAdV血清型のみを検出し同定することに限定される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Adhikary, A. K., T. Inada, U. Banik, J. Numaga, and N. Okabe. 2004. Identification of subgenus C adenoviruses by fiber-based multiplex PCR. J Clin Microbiol 42:670-3.
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【非特許文献3】Blasiole, D. A., D. Metzgar, L. T. Daum, M. A. Ryan, J. Wu, C. Wills, C. T. Le, N. E. Freed, C. J. Hansen, G. C. Gray, and K. L. Russell. 2004. Molecular analysis of adenovirus isolates from vaccinated and unvaccinated young adults. J Clin Microbiol 42:1686-93.
【非特許文献4】Chmielewicz, B., A. Nitsche, B. Schweiger, and H. Ellerbrok. 2005. Development of a PCR-based assay for detection, quantification, and genotyping of human adenoviruses. Clin Chem 51:1365-73.
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【非特許文献12】Miura-Ochiai, R., Y. Shimada, T. Konno, S. Yamazaki, K. Aoki, S. Ohno, E. Suzuki, and H. Ishiko. 2007. Quantitative detection and rapid identification of human adenoviruses. J Clin Microbiol 45:958-67.
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【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
適時な血清型同定は、有益な疫学的情報を提供し、治療(抗ウイルス)及び予防(ワクチン接種)策に大いに寄与する。残念ながら、従来の血清型同定は長々とした過程であり、数日又はそれ以上かかることが多い。HAdV血清型の検出、及び一部の場合には最大3つの異なるHAdV血清型の識別に利用可能な数多くのアッセイがあるが、臨床的に意義のあるHAdV-3、HAdV-4、HAdV-7、HAdV-14、及びHAdV-21並びに/又はHAdV-1、HAdV-2、HAdV-5、及びHAdV-6を含む、目的とする4つ又はそれ以上の任意のHAdV血清型を簡便かつ迅速に検出し同定することができる利用可能なアッセイは今のところ存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
概要
本開示は、4つ又はそれ以上のHAdV血清型を簡便かつ迅速に検出し同定するための方法及びキットを提供する。一実施形態において、前記方法及びキットは、サンプルが少なくともHAdV-3、HAdV-4、HAdV-7、HAdV-14及びHAdV-21のうち1つ又はそれ以上を含有するかどうか決定するために設計される。別の実施形態において、前記方法及びキットは、サンプルが少なくともHAdV-1、HAdV-2、HAdV-5、及びHAdV-6のうち1つ又はそれ以上を含有するかどうか決定するために設計される。さらに別の実施形態において、前記方法及びキットは、サンプルが少なくともHAdV-1、HAdV-2、HAdV-3、HAdV-4、HAdV-5、HAdV-6、HAdV-7、HAdV-14及びHAdV-21のうち1つ又はそれ以上を含有するかどうか決定するために設計される。目的とする他のHAdV血清型は、本明細書に開示される方法及びキットを使用して検出し同定することができる。
【0013】
特定の実施形態において、本開示は、サンプルがHAdV-3、HAdV-4、HAdV-7、HAdV-14、及びHAdV-21のうち1つ又はそれ以上を含有するかどうか決定する方法であって、前記サンプルは核酸を含んでなり、前記方法は以下:
a)第一プライマー対及び第二プライマー対を使用してサンプル中の核酸を増幅するステップであって、第一プライマー対はヒトアデノウイルスヘキソン遺伝子の第一領域を増幅するように設計され、かつ、第二プライマー対はヒトアデノウイルスヘキソン遺伝子の第二領域を増幅するように設計されており、HAdV-3、HAdV-4、HAdV-14、又はHAdV-21の少なくとも1つが試験サンプル中に存在する場合、第一増幅産物が生成され、HAdV-7がサンプル中に存在する場合、第二増幅産物が生成される、前記ステップ;
b)前記増幅ステップ中に生成された前記第一又は第二増幅産物のいずれかを、ハイブリダイズ条件下で、第一オリゴヌクレオチドプローブ(場合により第一タグ配列を含んでなる)、第二オリゴヌクレオチドプローブ(場合により第二タグ配列を含んでなる)、第三オリゴヌクレオチドプローブ(場合により第三タグ配列を含んでなる)、第四オリゴヌクレオチドプローブ(場合により第四タグ配列を含んでなる)、及び第五オリゴヌクレオチドプローブ(場合により第五タグ配列を含んでなる)とインキュベートするステップであって、第一オリゴヌクレオチドプローブはHAdV-3に特異的であり、第二オリゴヌクレオチドプローブはHAdV-4に特異的であり、第三オリゴヌクレオチドプローブはHAdV-7に特異的であり、第四オリゴヌクレオチドプローブはHAdV-14に特異的であり、そして第五オリゴヌクレオチドプローブはHAdV-21に特異的である、前記ステップ;及び
c)前記第一及び/又は第二増幅産物の存在を検出するステップであって、
サンプルがHAdV-3を含有する場合、第一オリゴヌクレオチドプローブは第一プライマーセットによって生成された第一増幅産物とハイブリダイズし、それにより、サンプル中のHAdV-3血清型の存在を示し;
サンプルがHAdV-4を含有する場合、第二オリゴヌクレオチドプローブは第一プライマーセットによって生成された第一増幅産物とハイブリダイズし、それにより、サンプル中のHAdV-4血清型の存在を示し;
サンプルがHAdV-7を含有する場合、第三オリゴヌクレオチドプローブは第二プライマーセットによって生成された第二増幅産物とハイブリダイズし、それにより、サンプル中のHAdV-7血清型の存在を示し;
サンプルがHAdV-14を含有する場合、第四オリゴヌクレオチドプローブは第一プライマーセットによって生成された第一増幅産物とハイブリダイズし、それにより、サンプル中のHAdV-14血清型の存在を示し;及び
サンプルがHAdV-21を含有する場合、第五オリゴヌクレオチドプローブは第一プライマーセットによって生成された第一増幅産物とハイブリダイズし、それにより、サンプル中のHAdV-21血清型の存在を示す、
前記ステップ
を含む、前記方法を提供する。
【0014】
一実施形態において、1つ又はそれ以上の増幅産物が同時に検出される。
【0015】
オリゴヌクレオチドプローブがタグ配列を含んでなる場合、前記方法は、前記インキュベートステップの後に以下:
a)ポリメラーゼ及び4種のデオキシリボヌクレオチド三リン酸の存在下で、第一又は第二増幅産物にハイブリダイズしたいずれかのオリゴヌクレオチドプローブを伸長して伸長産物を形成するステップ;
b)変性条件下で伸長産物を第一又は第二増幅産物から分離するステップ;
c)ハイブリダイズ条件下で伸長産物を固相支持体とインキュベートするステップであって、固相支持体は第一オリゴヌクレオチドプローブ中の第一タグ配列に相補的な認識配列を有する第一捕捉オリゴヌクレオチド、第二オリゴヌクレオチドプローブ中の第二タグ配列に相補的な認識配列を有する第二捕捉オリゴヌクレオチド、第三オリゴヌクレオチドプローブ中の第三タグ配列に相補的な認識配列を有する第三捕捉オリゴヌクレオチド、第四オリゴヌクレオチドプローブ中の第四タグ配列に相補的な認識配列を有する第四捕捉オリゴヌクレオチド、及び第五オリゴヌクレオチドプローブ中の第五タグ配列に相補的な認識配列を有する第五捕捉オリゴヌクレオチドを含んでなる、前記ステップ
をさらに含む。
【0016】
代わりに、タグ配列を含むのではなく、第一、第二、第三、第四、及び第五オリゴヌクレオチドプローブはそれぞれ異なる標識を含んでなる。それ故、一実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブはそれぞれ異なる蛍光染料を含んでなり、それにより、単一反応において目的とする各HAdVを検出し互いに識別することが可能となる。
【0017】
一実施形態において、検出ステップは、固相支持体を分析してサンプルがHAdV-3血清型、HAdV-4血清型、HAdV-7血清型、HAdV-14血清型、又はHAdV-21血清型のうち1つ又はそれ以上を含有するかどうか決定するステップを含む。
【0018】
別の実施形態において、固相支持体は、ミクロスフェアのアレイを含んでなり、ここでミクロスフェアのアレイは、第一捕捉オリゴヌクレオチドを含んでなる第一ミクロスフェア、第二捕捉オリゴヌクレオチドを含んでなる第二ミクロスフェア、第三捕捉オリゴヌクレオチドを含んでなる第三ミクロスフェア、第四捕捉オリゴヌクレオチドを含んでなる第四ミクロスフェア、及び第五捕捉オリゴヌクレオチドを含んでなる第五ミクロスフェアを含んでなり、かつ、第一、第二、第三、第四、及び第五ミクロスフェアはそれぞれ異なる蛍光色素又は蛍光染料を含んでなる。
【0019】
別の実施形態において、伸長ステップにおけるデオキシリボヌクレオチド三リン酸の少なくとも1種は標識、例えばビオチンを含んでなる。伸長産物を標識するためにビオチンを使用する場合、前記方法は、伸長産物を固相支持体とインキュベートするステップの後に、アビジン又はストレプトアビジンを添加するステップをさらに含み、ここでアビジン又はストレプトアビジンは第二の標識、例えば蛍光染料を含んでなる。
【0020】
検出ステップにおいて、サンプルがHAdV-3血清型、HAdV-4血清型、HAdV-7血清型、HAdV-14血清型、又はHAdV-21血清型のうち1つ又はそれ以上を含有するかどうか決定するために、ミクロスフェアのアレイをフローサイトメトリーによって分析してもよい。
【0021】
上に記載の方法は、HAdV-1、HAdV-2、HAdV-5、及びHAdV-6に特異的なオリゴヌクレオチドプローブ、例えば本明細書に記載されるものを使用することによって、サンプルがHAdV-1、HAdV-2、HAdV-5、及びHAdV-6の1つ又はそれ以上を含有するかどうか決定するために使用することもできる。これらの血清型は、小児及び免疫不全患者におけるアデノウイルス感染症と最もよく関連している。これらのプローブは、単一反応でHAdV-1、-2、-3、-4、-5、-6、-7、-14、及び-21のうち1つ又はそれ以上の存在を同時に同定するために、HAdV-3、HAdV-4、HAdV-7、HAdV-14、及びHAdV-21に対するプローブと共に使用することができる。代わりに、サンプル中のHAdV-1、HAdV-2、HAdV-5、又はHAdV-6のうち1つ又はそれ以上を同時に同定するために、上に記載の第一プライマー対のみを使用する本明細書に記載の方法において、HAdV-1、HAdV-2、HAdV-5、及びHAdV-6に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを使用することができる。
【0022】
別の態様は、サンプル中の少なくとも4つ又は少なくとも5つのHAdV血清型のうち1つ又はそれ以上を同定するためのキットに関する。一実施形態において、そのHAdV血清型は、HAdV-1、HAdV-2、HAdV-5、及びHAdV-6を含む。別の実施形態において、そのHAdV血清型は、HAdV-3、HAdV-4、HAdV-7、HAdV-14、及びHAdV-21を含む。さらに別の実施形態において、そのHAdV血清型は、HAdV-1、HAdV-2、HAdV-3、HAdV-4、HAdV-5、HAdV-6、HAdV-7、HAdV-14及びHAdV-21を含む。
【0023】
一実施形態において、HAdV-3、HAdV-4、HAdV-7、HAdV-14、及びHAdV-21のうち1つ又はそれ以上を同定するためのキットは、以下:
a)第一プライマー対はヒトアデノウイルスヘキソン遺伝子の第一領域を増幅するように設計され、かつ、第二プライマー対はヒトアデノウイルスヘキソン遺伝子の第二領域を増幅するように設計されている、第一及び第二プライマー対、並びに
b)第一オリゴヌクレオチドプローブはHAdV-3に特異的であり、第二オリゴヌクレオチドプローブはHAdV-4に特異的であり、第三オリゴヌクレオチドプローブはHAdV-7に特異的であり、第四オリゴヌクレオチドプローブはHAdV-14に特異的であり、かつ第五オリゴヌクレオチドプローブはHAdV-21に特異的である、第一、第二、第三、第四、及び第五オリゴヌクレオチドプローブ
を含む。
【0024】
前記キット(及び本明細書に記載の前記方法)の一実施形態において、ヒトアデノウイルスヘキソン遺伝子の第一領域は、GenBankアクセッション番号AY008279(配列番号1)のHAdV-21のヘキソン遺伝子のヌクレオチド1003〜1604にほぼ対応し、かつ、ヒトアデノウイルスヘキソン遺伝子の第二領域は、GenBankアクセッション番号AY008279(配列番号1)のHAdV-21のヘキソン遺伝子のヌクレオチド383〜614にほぼ対応する。
【0025】
別の実施形態において、第一プライマー対のヌクレオチド配列は、CTGATGTACTACAACAGCACTGGCAACATGGG(配列番号2)及びCGGTGGTGGTTAAATGGATTCACATTGTCC(配列番号3)であり、かつ、第二プライマー対のヌクレオチド配列は、CGCCCAATACATCTCAGTGG(配列番号4)及びACTCCAACTTGAGGCTCTGG(配列番号5)である。
【0026】
別の実施形態において、第一、第二、第三、第四、及び第五オリゴヌクレオチドプローブはそれぞれ約20〜25ヌクレオチド、少なくとも約36%のG/C含量、及び約50℃〜56℃の融解温度(Tm)を有する。
【0027】
別の実施形態において、第一オリゴヌクレオチドプローブは、GenBankアクセッション番号AY599834(バージョンAY599834.1 GI:57115749)のHAdV-3のヘキソン遺伝子のヌクレオチド2,616〜2,638に対応するHAdV-3ヘキソン遺伝子の領域の相補体にストリンジェント条件下でハイブリダイズし、第二オリゴヌクレオチドプローブは、GenBankアクセッション番号AY599837(バージョンAY599837.1 GI:57115887)のHAdV-4のヘキソン遺伝子のヌクレオチド19,382〜19,405に対応するHAdV-4ヘキソン遺伝子の領域の相補体にストリンジェント条件下でハイブリダイズし、第三オリゴヌクレオチドプローブは、GenBankアクセッション番号AY594255(バージョンAY594255.1 GI:51173294)のHAdV-7のヘキソン遺伝子のヌクレオチド399〜421に対応するHAdV-7ヘキソン遺伝子の領域の相補体にストリンジェント条件下でハイブリダイズし、第四オリゴヌクレオチドプローブは、GenBankアクセッション番号AY803294(バージョンAY803294.1 GI:57115621)のHAdV-14のヘキソン遺伝子のヌクレオチド19,541〜19,565に対応するHAdV-14ヘキソン遺伝子の領域の相補体にストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ第五オリゴヌクレオチドプローブは、GenBankアクセッション番号AY008279(バージョンAY008279.1 GI:13919592)のHAdV-21のヘキソン遺伝子のヌクレオチド1,299〜1,318に対応するHAdV-21ヘキソン遺伝子の領域の相補体にストリンジェント条件下でハイブリダイズする。
【0028】
さらに別の実施形態において、HAdV-3に特異的な第一オリゴヌクレオチドプローブのヌクレオチド配列は、GTTAAAACCGATGACACTAATGG(配列番号6)であり、HAdV-4に特異的な第二オリゴヌクレオチドプローブのヌクレオチド配列は、GGTGTGGGATTGACAGACACTTAC(配列番号7)であり、HAdV-7に特異的な第三オリゴヌクレオチドプローブのヌクレオチド配列は、GTGGATAGTTACAACGGGAGAAG(配列番号8)であり、HAdV-14に特異的な第四オリゴヌクレオチドプローブのヌクレオチド配列は、AGACCAAGCTTGGAAAGATGTAAAT(配列番号9)であり、かつHAdV-21に特異的な第五オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列は、GGGTGCAGATTGGAAAGAGC(配列番号10)である。
【0029】
別の態様において、HAdV-1、HAdV-2、HAdV-5、及びHAdV-6のうち1つ又はそれ以上を同定するためのキットは、以下:
a)GenBankアクセッション番号AY008279(配列番号1)のHAdV-21のヘキソン遺伝子のヌクレオチド1003〜1604にほぼ対応するヒトアデノウイルスヘキソン遺伝子の領域を増幅するように設計されている、プライマー対、及び
b)第一オリゴヌクレオチドプローブはHAdV-1に特異的であり、第二オリゴヌクレオチドプローブはHAdV-2に特異的であり、第三オリゴヌクレオチドプローブはHAdV-5に特異的であり、かつ第四オリゴヌクレオチドプローブはHAdV-6に特異的である、第一、第二、第三、及び第四オリゴヌクレオチドプローブ
を含む。
【0030】
一実施形態において、第一プライマー対のヌクレオチド配列は、CTGATGTACTACAACAGCACTGGCAACATGGG(配列番号2)及びCGGTGGTGGTTAAATGGATTCACATTGTCC(配列番号3)である。
【0031】
別の実施形態において、第一、第二、第三、第四、及び第五オリゴヌクレオチドプローブはそれぞれ約20〜25ヌクレオチド、少なくとも約40%のG/C含量、及び約50℃〜56℃の融解温度(Tm)を有する。
【0032】
別の実施形態において、第一オリゴヌクレオチドプローブは、GenBankアクセッション番号AF534906(バージョンAF534906.1 GI:33330439)を有するHAdV-1のヘキソン遺伝子のヌクレオチド20,188〜20,208に対応するHAdV-1ヘキソン遺伝子の領域の相補体にストリンジェント条件下でハイブリダイズし、第二オリゴヌクレオチドプローブは、GenBankアクセッション番号AC_000007(バージョンAC_000007.1 GI:56160492)を有するHAdV-2のヘキソン遺伝子のヌクレオチド8,369〜8,388に対応するHAdV-2ヘキソン遺伝子の領域の相補体にストリンジェント条件下でハイブリダイズし、第三オリゴヌクレオチドプローブは、GenBankアクセッション番号BK000408(バージョンBK000408.1 GI:33694637)を有するHAdV-5のヘキソン遺伝子のヌクレオチド20,123〜20,147に対応するHAdV-5ヘキソン遺伝子の領域の相補体にストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ第四オリゴヌクレオチドプローブは、GenBankアクセッション番号AB330087(バージョンAB330087.1 GI190356534)を有するHAdV-6のヘキソン遺伝子のヌクレオチド1,321〜1,339に対応するHAdV-6ヘキソン遺伝子の領域の相補体にストリンジェント条件下でハイブリダイズする。
【0033】
さらに別の実施形態において、HAdV-1に特異的な第一オリゴヌクレオチドプローブのヌクレオチド配列は、CAAACGGAAACGGTAATCCTC(配列番号11)であり、HAdV-2に特異的な第二オリゴヌクレオチドプローブのヌクレオチド配列は、CTAATGGCAATGGCTCAGGC(配列番号12)であり、HAdV-5に特異的な第三オリゴヌクレオチドプローブのヌクレオチド配列は、AAGGTAAAACCTAAAACAGGTCAGG(配列番号13)であり、かつHAdV-6に特異的な第四オリゴヌクレオチドプローブのヌクレオチド配列は、GCTGCTAACGGGGACCAAG(配列番号14)である。
【0034】
これらのキットのプライマー及びプローブは、本明細書に記載の方法において使用することもできる。
【0035】
別の態様は単離されたオリゴヌクレオチドに関する。一実施形態において、単離されたオリゴヌクレオチドは、約20〜25ヌクレオチド長であり、以下:
(a)GTTAAAACCGATGACACTAATGG(配列番号6)、
(b)GGTGTGGGATTGACAGACACTTAC(配列番号7)、
(c)GTGGATAGTTACAACGGGAGAAG(配列番号8)、
(d)AGACCAAGCTTGGAAAGATGTAAAT(配列番号9)、
(e)GGGTGCAGATTGGAAAGAGC(配列番号10)、
(f)CAAACGGAAACGGTAATCCTC(配列番号11)、
(g)CTAATGGCAATGGCTCAGGC(配列番号12)、
(h)AAGGTAAAACCTAAAACAGGTCAGG(配列番号13)、
(i)GCTGCTAACGGGGACCAAG(配列番号14)、
(j)AACAAGCGAGTGGTGGCTC(配列番号15)、
(k)CGCCCAATACATCTCAGTGG(配列番号4)、
(l)ACTCCAACTTGAGGCTCTGG(配列番号5)、又は
(m)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、若しくは(j)のいずれか1つの相補体
から選択されるヌクレオチド配列を有する。
【0036】
単離されたオリゴヌクレオチドは、場合により標識を含んでなる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
詳細な説明
様々な例示的実施形態について詳細に記載する。以下の詳細な説明は、本発明の一部の実施形態、特徴、及び態様の詳細のより完全な理解を読者に与えるために提供されると理解すべきであり、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0038】
1. 定義
本発明がより容易に理解されるように、一部の用語を最初に定義する。さらなる定義は詳細な説明全体に記載されている。
【0039】
本明細書で用いる場合、「核酸」、「ヌクレオチド配列」又は「核酸配列」は、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、又はそれらのフラグメントを指し、天然分子又は合成分子を指す。これらの語句はまた、一本鎖又は二本鎖でありうる、そしてセンス鎖又はアンチセンス鎖を表しうる、ゲノム又は合成由来のDNA又はRNA、あるいは任意のDNA様又はRNA様物質を指す。DNA配列に関する「RNA同等物」は、窒素含有塩基チミンの全出現がウラシルに置き換えられ、かつ糖骨格がデオキシリボースの代わりにリボースで構成されることを除いて、参照DNA配列と同じヌクレオチドの直鎖配列で構成される。RNAを本明細書に記載の方法に使用してよく、及び/又は本明細書に記載の方法における使用のために逆転写によってcDNAに変換してもよい。逆転写の方法は当技術分野で周知である。例えばManiatisら, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2d, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 第16-54頁(1989)を参照のこと。
【0040】
本明細書で用いる場合、用語「オリゴヌクレオチド」は、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド又はそれらの組み合わせから構成される短い重合体を指す。オリゴヌクレオチドは、一般に約10、11、12、13、14又は15〜約150ヌクレオチド(nt)長であり、好ましくは約10、11、12、13、14又は15〜約70nt、より好ましくは約18〜約30nt長である。
【0041】
用語「捕捉オリゴヌクレオチド」は、核酸認識配列を有し、かつ固相表面に結合して前記認識配列に相補的な核酸「タグ配列」を有するオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズし、それにより、固相表面上に該オリゴヌクレオチドプローブを捕捉するオリゴヌクレオチドを指す。各血清型特異的オリゴヌクレオチドプローブは、それ自体の固有のタグ配列を有する。
【0042】
用語「相補体」、「相補的」又は「相補性」は、核酸配列に関して本明細書で用いる場合、標準的ワトソン・クリック型対合則を指す。一方の配列の5'末端が他方の3'末端と対合するような核酸配列の相補体は逆平行関係にある。例えば、配列5'-A-G-T-3'は、配列3'-T-C-A-5'に対して相補的である。天然核酸に通常見られない特定の塩基を、本明細書に記載の核酸に含んでもよく;これらとしては、例えば、イノシン、7-デアザグアニン、ロックド核酸(LNA)、及びペプチド核酸(PNA)がある。相補性は完全である必要はなく;安定な二重鎖は、ミスマッチ塩基対、縮重又は不適合塩基を含有しうる。核酸技術分野の当業者は、例えば、オリゴヌクレオチドの長さ、オリゴヌクレオチドの塩基組成及び配列、イオン強度並びに不適合塩基対の出現率をはじめとする数多くの変数を経験的に考慮して、二重鎖の安定性を決定することができる。相補体配列は、DNA配列又はその相補体配列に相補的なRNAの配列でもありうるし、cDNAでもありうる。用語「相補的」は、本明細書で用いる場合、2つの配列が特異的にハイブリダイズする(以下に定義する)ことを意味する。当業者であれば、相補的配列が全長に渡ってハイブリダイズする必要はないことを理解するであろう。
【0043】
「特異的ハイブリダイゼーション」、「特異的にハイブリダイズする」又は「に特異的な」とは、2つの核酸配列が高度の相補性を有することを示すものである。標的核酸に特異的なオリゴヌクレオチド(例えばプローブ又はプライマー)は、標的核酸(例えば、目的とする特定のHAdV血清型のヘキソン遺伝子)に適切な条件下でハイブリダイズし、目的としない核酸(例えば、目的とするHAdV血清型以外のHAdV血清型のヘキソン遺伝子)には同じ条件下で実質的にハイブリダイズしない。特異的ハイブリダイゼーション複合体がアニーリング許容条件下で形成し、続く洗浄ステップ後、ハイブリダイズしたままである。核酸配列のアニーリングのための許容条件は、当業者によって日常的に決定することができ、例えば、約6XSSCの存在下の65℃で生じうる。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、一部には、洗浄ステップを行う温度で表しうる。そのような温度は、典型的には、規定のイオン強度及びpHにおける特定配列に対する熱融点(Tm)より約5℃〜20℃低く選択される。Tmは、標的配列の50%が完全にマッチするプローブにハイブリダイズする(規定のイオン強度及びpHにおける)温度である。Tmを計算するための式及び核酸ハイブリダイゼーションのための条件は当技術分野で公知である。
【0044】
本明細書で用いる場合、増幅のための「プライマー」は、標的ヌクレオチド配列に相補的なオリゴヌクレオチドであり、DNA又はRNAポリメラーゼの存在下でプライマーの3'末端にヌクレオチドの付加をもたらす。プライマーの3'ヌクレオチドは、一般に、最適な発現及び増幅のために、対応するヌクレオチド位置において標的配列と同一であるべきである。用語「プライマー」は、本明細書で用いる場合、合成しうるあらゆる形態のプライマーを含み、例えばペプチド核酸プライマー、ロックド核酸プライマー、ホスホロチオエート修飾プライマー、標識プライマーなどがある。本明細書で用いる場合、「フォワードプライマー」はdsDNAのアンチセンス鎖に相補的なプライマーである。「リバースプライマー」はdsDNAのセンス鎖に相補的である。プライマーは、典型的には、約10〜約100ヌクレオチド長、好ましくは約12〜約30ヌクレオチド長、最も好ましくは約15〜約25ヌクレオチド長である。最適なハイブリダイゼーション又はポリメラーゼ連鎖反応増幅のための標準的な長さはない。特定のプライマー適用のための最適長は、例えばH. Erlich, PCR Technology, Principles and Application for DNA Amplification (1989)に記載の方法で、当業者が容易に決定しうる。
【0045】
用語「単離された」は、核酸配列との関連で用いる場合、その天然環境で核酸に通常付随する成分を実質的に含まない核酸を指す。例えば、単離された核酸は、それが由来する細胞若しくは組織源からの細胞性物質及び/又は他の核酸を実質的に含まない。当業者は、単離された核酸を得るための核酸単離方法を容易に用いることができる。
【0046】
2. 核酸の増幅
本明細書に記載の方法の一態様において、HAdV核酸は核酸を含有する生物学的サンプルから増幅される。核酸サンプル又は単離された核酸は、当業者に公知の様々な方法によって増幅しうる。核酸(DNA又はRNA)は、当業者に周知のいずれかの方法によってサンプルから単離してよい。必要ならば、サンプルを集め、又は遠心などによって濃縮してもよい。サンプルが細胞を含有する場合、サンプルの細胞は、例えば酵素、熱界面活性剤、超音波処理又はそれらの組み合わせを用いた処理によって、溶解に供してもよい。溶解処理は、核酸増幅反応を用いて検出するのに十分な量のDNAをサンプルから得るために行われる。
【0047】
DNA抽出の様々な方法がDNAを単離するために好適である。好適な方法としてはフェノール及びクロロホルム抽出がある。Maniatisら, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2d, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 第16-54頁 (1989)を参照のこと。多数の市販のキットも好適なDNAをもたらし、以下に限定されるものではないが、QIAampTM mini bloodキット、Agencourt GenfindTM、Roche社のCobas(登録商標)又はEppendorf社のPhase Lock Gel(登録商標)を用いるフェノール:クロロホルム抽出が挙げられる。
【0048】
好ましくは、PCRを用いて目的とする核酸を増幅する。簡単に述べると、PCRでは、標的配列の相対する相補鎖上の領域に相補的な2つのプライマー配列を準備する。過剰なデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTPs)をDNAポリメラーゼ、例えばTaqポリメラーゼとともに反応混合物に添加する。サンプル中に標的核酸が存在する場合、プライマーはその配列に結合し、ポリメラーゼがヌクレオチドを付加することによって標的配列に沿ってプライマーの伸長を引き起こす。反応混合物の温度を上昇及び低下させることによって、伸長されたプライマーはそのマーカーから解離して反応産物を形成し、過剰なプライマーはマーカー及び反応産物に結合して、その工程が繰り返され、それによって増幅産物を生成する。サイクルパラメーターは伸長される増幅産物の長さに応じて変えることができる。
【0049】
3. 核酸
本開示はさらに、本明細書に記載の方法で使用することができるプライマー及びオリゴヌクレオチドプローブに対応する単離された核酸を提供する。核酸はDNA又はRNAを含んでよく、全体的に又は部分的に合成されても又は組換え体であってもよい。本明細書に記載されるヌクレオチド配列への言及は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、特定の配列を有するDNA分子を含み、TをUに置き換えた特定の配列を有するRNA分子を含む。
【0050】
4. 固相支持体
特定の実施形態において、方法は少なくとも部分的に、固相支持体を用いて実施される。様々な異なる支持体を使用することができる。一部の実施形態において、固相支持体は単一固相支持体、例えばチップ若しくはウエハー、又はチューブ、コーン若しくは他の物の内表面若しくは外表面である。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブ又は捕捉オリゴヌクレオチドは、二次元アレイを生成するために固相支持体上の規定の位置に固定してよい。固相支持体は、安定性、寸法、形、及び表面の滑らかさなどの所望の特性の最適な組み合わせを提供するように好適な材料から製造する。好ましい材料は、核酸ハイブリダイゼーションを阻害せず、多量の核酸の非特異的結合を受けない。好適な材料としては、生物学的又は非生物学的、有機又は無機材料がある。例えば、アレイは、好適なプラスチック又はポリマー、シリコン、ガラス、セラミック又は金属から製造することができ、固体、樹脂、ゲル、硬質フィルム、又は柔軟膜の形態で提供することができる。好適なポリマーとしては、例えばポリスチレン、ポリ(アルキル)メタクリレート、ポリ(ビニルベンゾフェノン)、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、フッ化ポリビニリデンなどが挙げられる。好ましい材料としては、ポリスチレン、ガラス、及びシリカがある。特定の実施形態において、固相支持体は、フィルムベースの二次元マイクロアレイ、例えばAutoGenomics社(カールスバッド、カリフォルニア)から入手可能なBioFilmChipTMである。
【0051】
固相支持体の寸法は、所望の領域数及びアッセイ対象の配列数などの因子に基づいて決定される。例として、固相支持体は、長さ約0.5cm〜約7.5cm、幅約0.5cm〜約7.5cmの面積で提供することができる。固相支持体は、他の支持体、例えば顕微鏡のスライドガラス(例えば約7.5cm×約2.5cmの寸法を有する)の上に単独又は複数で配置することもできる。固相支持体の寸法は特定の適用に容易に適合させることができる。
【0052】
一部の実施形態において、固相支持体は、ミクロスフェア、ビーズ又は粒子とも称される粒子状の支持体である。特定の実施形態において、粒子はオリゴヌクレオチドプローブ又は捕捉オリゴヌクレオチドに直接結合している。典型的には、粒子は、他の群の粒子からそれらの粒子を区別又は分離するために使用することができる特定の特徴、例えば色、蛍光周波数(fluorescence frequency)、密度、サイズ、又は形状を各群内の粒子が有する群を形成する。好ましくは、粒子は、例えばフローサイトメトリーなどの技術を用いて分離することができる。
【0053】
粒子は、ほぼ全ての不溶性又は固体物質から製造することができる。例えば、粒子は、シリカゲル、ガラス、ナイロン、樹脂、セファデックス(Sephadex)TM、セファロース(Sepharose)TM、セルロース、磁性材料、金属(例えば鋼鉄、金、銀、アルミニウム、銅、若しくは合金)又は金属被覆材料、プラスチック材料(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、フッ化ポリビニリデン(PVDF))など、並びにそれらの組み合わせから製造することができる。好適なマイクロビーズの例は、例えば米国特許第5,736,330号、同第6,046,807号、及び同第6,057,107号に記載され、それらは全て参照により全体が本明細書に援用されるものとする。好適な粒子の例は、例えばLuminex社、オースチン、テキサスから入手可能である。
【0054】
特定の実施形態において、支持体(二次元アレイであれ又は微粒子状支持体であれ)は、本明細書に記載の目的を達成するのに十分安定な方法で支持体の表面にオリゴヌクレオチドプローブ又は捕捉オリゴヌクレオチドを結合するか、又はさもなくば保持することが可能である。そのような結合としては、例えば、支持体とオリゴヌクレオチドプローブ若しくは捕捉オリゴヌクレオチドとの共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合、若しくはファンデルワールス結合の形成、又は正若しくは負に帯電した支持体への引力が挙げられる。オリゴヌクレオチドプローブ又は捕捉オリゴヌクレオチドは、固相支持体表面に直接又はリンカーを介して結合する。一実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブ又は捕捉オリゴヌクレオチドを、支持体表面、オリゴヌクレオチドプローブ/捕捉オリゴヌクレオチド、若しくは両者に、1つ若しくはそれ以上の反応基を提供することによって、又は支持体表面、オリゴヌクレオチドプローブ/捕捉オリゴヌクレオチド、若しくは両者を1つ若しくはそれ以上の反応基で誘導体化することによって、支持体表面に直接結合させる。一実施形態において、共有結合のために周知の化学架橋剤を使用してもよい。例えば、アミノ標識されたプライマーを、カルボキシル化された固相支持体にN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDAC)を用いて共有結合させることができる。別の例では、LuminexTM粒子の表面を、例えばカルボキシレート、マレイミド、若しくはヒドラジド官能基、又はアビジンによって修飾することができ、ガラス表面を(DNAとシッフ塩基アルデヒド−アミン結合を形成するために)例えばシラン又はアルデヒドで処理することができる。一部の実施形態において、支持体又は(例えば支持体上の被覆として)支持体上に配置される物質は、オリゴヌクレオチドプローブ又は捕捉オリゴヌクレオチド上の反応性官能基と結合しうる反応性官能基を含む。例えば、支持体は、オリゴヌクレオチドプローブ又は捕捉オリゴヌクレオチドを結合するための部位を提供するために、官能化されるか(例えば、反応的に官能化される金属若しくはポリマー表面)又は官能基を有することができる(例えば未反応の官能基を持つポリマー)。
【0055】
他の実施形態において、支持体を、結合剤、例えばストレプトアビジン、抗体、抗原、酵素、酵素補助因子若しくは阻害剤、ホルモン、又はホルモン受容体で部分的に又は完全に被覆することができる。結合剤は典型的には、共有結合又は非共有結合を介して別の分子又は巨大分子に対する高いアフィニティを有する生物学的又は合成分子である。オリゴヌクレオチドプローブ又は捕捉オリゴヌクレオチドは、結合剤(例えばビオチン、抗原、抗体、酵素補助因子若しくは阻害剤、酵素、ホルモン受容体、又はホルモン)の相補体と結合している。次いで、支持体上にオリゴヌクレオチドプローブ又は捕捉オリゴヌクレオチドを保持するために、オリゴヌクレオチドプローブ又は捕捉オリゴヌクレオチドを結合剤と接触させる。本明細書に記載のシステム及び方法において、他の公知の結合技術を容易に採用し使用することができる。
【0056】
一実施形態において、固相支持体は検出可能な特徴によって一意的に区別されるミクロスフェアを含む。ミクロスフェアは、微粒子、ビーズ、ポリスチレンビーズ、ミクロビーズ、ラテックス粒子、ラテックスビーズ、蛍光ビーズ、蛍光粒子、着色粒子及び着色ビーズと別称される。ミクロスフェアは分子反応の媒体として機能する。フローサイトメトリーで使用するミクロスフェアは、オースチン、テキサスのLuminex社などの製造業者から得てよい。例示的なミクロスフェア及びその製造方法は、例えば米国特許第6,268,222号及び同第6,632,526号に見られ、その全体が参照により本明細書に援用されるものとする。
【0057】
ミクロスフェアはポリスチレン、セルロース、又は他の適切な材料から構成されうる。特定の実施形態において、ミクロスフェアは様々な量の蛍光染料で染色される。好ましくは、その染料は同じ又は重複する励起スペクトルを有するが、識別可能な発光スペクトルを有する。ミクロスフェアに使用しうる蛍光染料としては、発光波長550nm〜900nmを有するシアニン色素類がある。これらの染料はメチン基を含有してよく、その数は染料のスペクトル特性に影響する。ピリジン類であるモノメチン色素類は典型的には青色から青緑色の蛍光発光を有するが、キノリン類は緑色から黄緑色の蛍光発光を有する。トリメチン色素類似体は赤色波長にかなりシフトしており、ペンタメチン色素類はより一層シフトしており、赤外蛍光発光を示すことが多い(例えば米国特許第5,760,201号を参照のこと)。しかし、有機溶媒に可溶性のあらゆる染料を使用することができる。
【0058】
各ミクロスフェアの分類パラメーターとしては、有利には、1種、2種、3種、4種又はそれ以上の標準的蛍光色素又は蛍光染料が挙げられる。1種又はそれ以上の蛍光色素は、いずれかの標準的方法、例えば共有結合又は吸着によるミクロスフェア表面への結合によって、各ミクロスフェアに付加されるか、又は組み込まれる。代わりに、不飽和アルデヒド又はアクリレートなどのモノマーをフルオレセインイソチオシアネート(FITC)などの蛍光染料の存在下で、結果として得られる反応混合物中で重合させる共重合方法によって色素を付加してもよい。
【0059】
ミクロスフェアに1種又はそれ以上の色素を組み込む別の方法としては、ミクロスフェアの一部を、例えばミクロスフェアを膨張させる有機溶媒に添加することが挙げられる。次いで、例えば油溶性又は疎水性色素を前記ミクロスフェアの一部に添加し、それにより各ミクロスフェアに浸透させる。得られた組み合わせをインキュベートした後、例えばアルコール又は水性溶液を前記組み合わせに添加し、有機溶媒を除去する。ミクロスフェアは収縮し、色素を内側に保持する。ミクロスフェア中の各蛍光色素は、場合により、付加的又は代替的分類パラメーターとして機能する。
【0060】
各ミクロスフェアは固有の捕捉オリゴヌクレオチドに割り当てられ、単一反応において多くの異なるプローブの分析を可能にする。単一反応後、粒子を読み取り系に供給することによって、粒子IDを決定して、粒子タイプを同定し、レポーターシグナルも検出する。読み取り系には複数の励起光源、例えばレーザー又は調整された波長と光強度を有する他のデバイス、例えばLED、SLD、励起フィルターを有する広帯域源などが含まれる。光源は様々なレポーターを励起し、関連するシグナルを1つ又はそれ以上の検出器に供給する。所定の検出器が所定の時間に単一アッセイ結合標識に関連するシグナルを受容するように、発光フィルター及び波長識別器が含まれる。
【0061】
5. 捕捉オリゴヌクレオチド及びタグオリゴヌクレオチド
一実施形態において、各オリゴヌクレオチドプローブは、固相支持体(例えばミクロスフェア又は二次元アレイ)に結合した捕捉オリゴヌクレオチド中の固有の核酸認識配列に相補的な固有のタグ核酸配列を有する。従って、捕捉オリゴヌクレオチドは、相補的タグ配列を有するオリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイゼーションによって捕捉することができる認識配列を含んでなる。捕捉オリゴヌクレオチドの認識配列とオリゴヌクレオチドプローブのタグ配列のハイブリダイゼーションは、結果的に、オリゴヌクレオチドプローブの固相支持体への結合をもたらす。従って、特定の捕捉オリゴヌクレオチドの認識配列とその相補的タグ配列は、単一の特定のHAdV血清型に関連する。
【0062】
認識配列及びタグ配列は、典型的には少なくとも6ヌクレオチドを含み、一部の場合には、少なくとも8、10、15、若しくは20又はそれ以上のヌクレオチドを含む。捕捉オリゴヌクレオチドは、典型的には、捕捉オリゴヌクレオチドの固相支持体への結合を可能にする官能基、又は固相支持体上に配置する若しくは固相支持体から伸びる官能基も含む。官能基はポリマー骨格に直接結合させることができ、又はヌクレオチド配列中の塩基に結合させることができる。代わりとして、捕捉オリゴヌクレオチドは上述のように架橋を促進するための架橋部分を含むことができ、又は表面に静電的に保持されることが可能である。捕捉オリゴヌクレオチドは、例えば固相合成、DNA複製、逆転写、制限酵素消化、ランオフ転写などをはじめとする様々な技術によって形成することができる。市販の捕捉及びリンカー配列セットがTagItTM(Luminex、オースチン、テキサス)及びZipCodeTM(Celera、ロックビル、メリーランド)によって提供される。
【0063】
一実施形態において、結合した捕捉オリゴヌクレオチドを有する固相支持体は、容器、例えばバイアル、チューブ、又はウェルに入れられる。オリゴヌクレオチドプローブを増幅反応産物とインキュベートした後、伸長ステップが続き、伸長産物をハイブリダイゼーション条件下で容器に添加する。伸長ステップは、場合により、例えば検出可能な標識を含むデオキシリボヌクレオチド三リン酸を使用することによって、伸長産物に検出可能な標識を組み込むステップを含む。次いで、支持体の群を調べて、どの支持体がそれに結合した伸長産物を有するか決定する。場合により、支持体を洗浄して、交差ハイブリダイゼーションの影響を低下させることができる。1回又はそれ以上の洗浄を同じ又は異なるレベルのストリンジェンシーで行うことができる。別の選択的代替法として、支持体及び捕捉オリゴヌクレオチドと接触させる前に、伸長産物を含有する溶液を、例えばサイズ排除クロマトグラフィ、示差沈殿(differential precipitation)、スピンカラム、又はフィルターカラムにかけ、伸長されていないオリゴヌクレオチドプローブを除去するか、又は伸長産物と同じサイズではない他の物質を除去することができる。
【0064】
6. 標的特異的プライマー伸長(TSPE)
一実施形態において、核酸増幅反応の後、増幅産物、すなわちアンプリコンを変性させ、目的とするHAdV血清型に特異的なオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイゼーション条件下で接触させる。オリゴヌクレオチドプローブは、固相支持体に結合しても、又は溶液中で遊離していてもよい。ポリメラーゼの存在下で、オリゴヌクレオチドプローブはプライマーとして機能し、ポリメラーゼはオリゴヌクレオチドプローブの3'末端へのヌクレオチドの付加を触媒する。従って、TSPE反応には、伸長されるプライマー(すなわちHAdV特異的オリゴヌクレオチドプローブ)、鋳型(すなわち増幅反応産物の鎖の一方)、ポリメラーゼ、及び4種のデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dATP、dGTP、dTTP、及びdCTP)が含まれる。好ましくは、デオキシリボヌクレオチド三リン酸の少なくとも1種は標識を含んでなる。こうして、TSPE反応から生成された全ての伸長産物は標識を含んでなり、伸長産物の検出を促進する。
【0065】
7. フローサイトメトリーによるHAdV血清型の検出
一実施形態において、増幅及び/又は伸長反応の反応産物を分析するためにフローサイトメトリーを使用する。フローサイトメトリーは、粒子結合標識から遊離標識を分離する必要なく、個々の粒子の高感度かつ定量的な蛍光測定が可能である。分析速度は非常に速く(1秒あたり数百〜数千個の粒子)、かつ複数の蛍光及び光散乱シグナル(light scatter signal)を同時に検出することができる。
【0066】
一部の実施形態において、前記方法は、粒子タイプを形成するための固有の捕捉オリゴヌクレオチドと結合している、特定の検出可能な特徴を有するコード化された(encoded)粒子又はミクロスフェアを使用する。次いで、複数セットの粒子タイプをプールし、粒子タイプのアリコートをアッセイ容器へ移す。伸長反応由来の標識された反応産物のサンプルを各容器に供給する。ハイブリダイゼーション後、コード化された粒子及び標識された反応産物は、ミクロスフェアのアイデンティティ及び標識された反応産物のアイデンティティの両方を決定することができるフローサイトメトリーを使用して検出することができる。コンピュータを使用して、粒子ID特性から生成されるシグナル及び標識された反応産物から生成されるシグナルを特定のHAdV血清型と結び付けてもよい。
【0067】
供給される各ミクロスフェア製品について、読み取り系は、粒子ID、及び標識された反応産物の有無を決定する。各粒子IDは、相補的タグ配列を有するオリゴヌクレオチドプローブ又はそれに由来する伸長産物をハイブリダイゼーションによって捕捉することができる固有の認識配列を含む捕捉オリゴヌクレオチドと関連する。この情報を使用して、サンプルをアッセイして、HAdVを含有するかどうか決定し、含有する場合、サンプル中に存在する1つ又はそれ以上のHAdV血清型のアイデンティティを同時に決定することができる。
【0068】
8. 二次元アレイスキャンニングを使用したHAdV血清型の検出
本発明の一実施形態において、固相支持体は二次元マイクロアレイ又はバイオチップである。オリゴヌクレオチドプローブ又は固有の捕捉オリゴヌクレオチドを既定の位置でアレイ上に固定化する。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブをアレイ上で伸ばし、又は伸長してよい。他の実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブを、アレイへのハイブリダイゼーション前、ハイブリダイゼーション後又はハイブリダイゼーション中に伸ばし、又は伸長する。アレイ上の各アドレスは、単一HAdV血清型に特異的な捕捉オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドプローブに関連する。この情報を使用して、サンプル中の1つ又はそれ以上のHAdV血清型のアイデンティティを同時に決定することができる。
【0069】
一実施形態において、本発明のマイクロアレイは、フィルムベースのマイクロアレイ、例えばAutoGenomics社(カールスバッド、カリフォルニア)から入手可能なBioFilmChipTMを含む。これらのバイオチップは、基質と結合したマトリックス層を含み、このマトリックス層は複数の既定位置において複数のオリゴヌクレオチドを含む。アナライトの「既定位置」という用語は、チップ上の登録マーカーに対する少なくとも2つの座標によって位置指定可能なチップ上のアナライトの特定の位置を指し、アナライト及び/又はプローブによるチップの実質的に完全な被覆を特に除外する。従って、好ましい複数の既定位置は、複数列を形成する基質の複数行を有する配列を含む。
【0070】
一部の実施形態において、マトリックス層は、基質の自己蛍光、入射光吸収(incident-light-absorption)、荷電効果、及び/又は表面不均一性を低減させる多機能性マトリックス層であってよく、予定されるバイオチップは、さらなるマトリックス層を含んでもよい。このマイクロアレイは、AutoGenomics社(カールスバッド、カリフォルニア)からも入手可能なInfinitiTM分析器などのプラットフォームで使用してもよい。他の好適なアプローチとしては、様々な供給源から市販されているマイクロアレイ技術、例えばAffymetrix社(サンタクララ、カリフォルニア)から入手可能なマイクロアレイ製品、例えばAffymetrix GeneChip(登録商標)アレイがある。
【0071】
9. シングルプレックス(Singleplex)及びマルチプレックス(Multiplex)アッセイ
少なくとも1種のオリゴヌクレオチドプローブが、目的とする各HAdV血清型について提供される。一態様において、1種のみのオリゴヌクレオチドプローブが、目的とする各HAdV血清型について提供される。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブは増幅反応産物とシングルプレックス形式でインキュベートされ、すなわち各オリゴヌクレオチドプローブは別個の反応容器中に提供される。他の実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブは増幅反応産物とマルチプレックス形式で、すなわち同じ反応容器中でインキュベートされる。これらの実施形態の変形には、目的とする一部のオリゴヌクレオチドプローブが1つの反応容器中に提供され、目的とする他のオリゴヌクレオチドプローブが別個の反応容器中に提供される反応がある。同様に、一態様において、本明細書に記載の方法は、マルチプレックス形式で、すなわち同じ反応容器中で、2対のプライマーを使用する複数標的の同時増幅のために設計される。
【0072】
10. 標識
本明細書に記載される方法及び構成で使用される標識は、任意の検出可能成分、例えば蛍光化合物でありうる。例示的蛍光化合物としては、4-アセトアミド-4'-イソチオシアナトスチルベン-2,2'-ジスルホン酸、アクリジン及び誘導体(アクリジン、アクリジンイソチオシアネート)、Alexa Fluor(登録商標)350、Alexa Fluor(登録商標)488、Alexa Fluor(登録商標)546、Alexa Fluor(登録商標)555、Alexa Fluor(登録商標)568、Alexa Fluor(登録商標)594、Alexa Fluor(登録商標)647(Molecular Probes)、5-(2'-アミノエチル)アミノナフタレン-1-スルホン酸(EDANS)、4-アミノ-N-[3-ビニルスルホニル)フェニル]ナフタルイミド-3,5 ジスルホン酸(ルシファーイエローVS)、N-(4-アニリノ-1-ナフチル)マレイミド、アントラニルアミド、Black Hole QuencherTM(BHQTM)色素(biosearch Technologies)、BODIPY(登録商標)R-6G、BOPIPY(登録商標)530/550、BODIPY(登録商標)FL、ブリリアントイエロー、クマリン及び誘導体(クマリン、7-アミノ-4-メチルクマリン(AMC、クマリン120)、7-アミノ-4-トリフルオロメチルクマリン(7-amino-4-trifluoromethylcouluarin、クマリン151))、Cy2(登録商標)、Cy3(登録商標)、Cy3.5(登録商標)、Cy5(登録商標)、Cy5.5(登録商標)、シアノシン(cyanosine)、4',6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(4',6-diaminidino-2-phenylindole、DAPI)、5',5''-ジブロモピロガロール-スルホンフタレイン (ブロモピロガロールレッド)、7-ジエチルアミノ-3-(4'-イソチオシアナトフェニル)-4-メチルクマリン、ジエチレントリアミンペンタアセテート、4,4'-ジイソチオシアナトジヒドロ-スチルベン-2,2'-ジスルホン酸、4,4'-ジイソチオシアナトスチルベン-2,2'-ジスルホン酸、5-[ジメチルアミノ]ナフタレン-1-スルホニルクロリド(DNS、ダンシルクロリド)、4-(4'-ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)、4-ジメチルアミノフェニルアゾフェニル-4'-イソチオシアネート(DABITC)、EclipseTM(Epoch Biosciences Inc.)、エオシン及び誘導体 (コシン(cosin)、エオシンイソチオシアネート)、エリスロシン及び誘導体(エリスロシンB、エリスロシンイソチオシアネート)、エチジウム、フルオレセイン及び誘導体(5-カルボキシフルオレセイン(FAM)、5-(4,6-ジクロロトリアジン-2-イル)アミノフルオレセイン(DTAF)、2',7'-ジメトキシ-4'5'-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(JOE)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ヘキサクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(HEX)、QFITC(XRITC)、テトラクロロフルオレセイン(TET))、フルオレスカミン、IR144、IR1446、マラカイトグリーンイソチオシアネート、4-メチルウンベリフェロン、オルトクレゾールフタレイン、ニトロチロシン、パラローズアニリン、フェノールレッド、B-フィコエリトリン、R-フィコエリトリン、o-フタルジアルデヒド、オレゴングリーン.RTM.、ヨウ化プロピジウム、ピレン及び誘導体(ピレン、ピレン酪酸、1-ピレン酪酸スクシンイミジル)、QSY(登録商標)7、QSY(登録商標)9、QSY(登録商標)21、QSY(登録商標)35(Molecular Probes)、Reactive Red 4(Cibacron(登録商標) Brilliant Red 3B-A)、ローダミン及び誘導体(6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、6-カルボキシローダミン(R6G)、リサミンローダミンBスルホニルクロリド、ローダミン(Rhod)、ローダミンB、ローダミン123、ローダミングリーン、ローダミンXイソチオシアネート、スルホローダミンB、スルホローダミン101、スルホローダミン101(Texas Red)のスルホニルクロリド誘導体)、N,N,N',N'-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA)、テトラメチルローダミン、テトラメチルローダミンイソチオシアナート(TRITC)、リボフラビン、ロゾール酸、テルビウムキレート誘導体がある。
【0073】
検出可能成分は、生物発光化合物(例えばルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、黄色蛍光タンパク質など);検出可能な反応産物を生成する酵素(例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、若しくはグルコースオキシダーゼなど);又は放射性標識(例えば3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、若しくは131I)であってもよい。
【0074】
11. キット
本明細書に記載のHAdVオリゴヌクレオチドプローブ及び/又はプライマーは、例えば、本明細書に記載の方法を実施するのに有用なキットの形式で供給しうる。例えば、キットは、他の試薬と組み合わせてパッケージングされて、本明細書に記載のプライマー又はオリゴヌクレオチドプローブのいずれか又は全てを含みうる。一般に、目的とするHAdV血清型の全ての同定をもたらすのに必要な数のプローブ及び/又はプライマーを含むことが望ましい。オリゴヌクレオチドプローブは、異種又は同種形式でアッセイを行うことを可能にするようにパッケージングすることができる。オリゴヌクレオチドプローブは、標識化すること若しくは支持体に結合させることができ、又はオリゴヌクレオチドプローブにプローブ若しくはプライマーを次いで標識化すること若しくは支持体に結合させることを可能にする基を付与することが可能である。
【0075】
一実施形態において、キットは、HAdVヘキソン遺伝子の異なる領域を増幅するための2対のプライマー及び/又は目的とする各HAdV血清型に対する単一のオリゴヌクレオチドプローブを含む。従って、一実施形態において、キットは、HAdVヘキソン遺伝子の異なる領域を増幅するための2対のプライマー、並びに/又はHAdV-3、HAdV-4、HAdV-7、HAdV-14、及びHAdV-21のそれぞれに特異的な5種のオリゴヌクレオチドプローブを含む。別の実施形態において、キットは、HAdVヘキソン遺伝子のある領域に対する1対のプライマー、並びに/又はHAdV-1、HAdV-2、HAdV-5、及びHAdV-6のそれぞれに特異的な4種のオリゴヌクレオチドプローブを含む。さらに別の実施形態において、キットは、HAdVヘキソン遺伝子の異なる領域を増幅するための2対のプライマー、並びに/又はHAdV-1、HAdV-2、HAdV-3、HAdV-4、HAdV-5、HAdV-6、HAdV-7、HAdV-14、及びHAdV-21のそれぞれに特異的な9種のオリゴヌクレオチドプローブを含む。
【0076】
他の実施形態において、固相支持体、例えば二次元アレイ又はミクロスフェアは、適切な、かつ別個の容器中で提供してよい。他のキットの実施形態は、核酸増幅反応を行うためのバッファー及び/又は成分(例えばポリメラーゼ、dNTPsなど)を含む。
【0077】
別段の定めがない限り、本明細書中で用いるあらゆる技術用語及び科学用語は当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似した又は同等の方法及び材料を本発明の実施又は試験に使用することができるが、好適な方法及び材料を以下に記載する。本明細書に記載されるあらゆる刊行物、特許出願、特許、及びその他の引用文献は、それらの全体が参照により援用されるものとする。相容れない場合には、定義を含め、本明細書が優先する。さらに、材料、方法、及び実施例は例示的なものにすぎず、限定的なものではない。
【実施例】
【0078】
[実施例1]
血清型3、4、7、14、及び21を検出し同定するための迅速かつ高感度のHAdVマルチプレックスアッセイ
サンプル収集及び初期同定
HAdV血清型3、4、7、11、14及び21であると以前に同定された105個の臨床試料が、ワークユニット60805の下、軍健康調査センター(Armed Forces Health Surveillance Center(AFHSC))/世界新興感染症監視及び応答システム部門(Division of Global Emerging Infections Surveillance and Response System、GEIS)からの支援を受け、IRBプロトコール(NHRC.1999.0002)の下、海軍健康研究センター(Naval Health Research Center)によって提供された。NHRC熱性呼吸器疾患監視システムを介して登録された同意した被験体に対する試験対象患者基準には、呼吸器症状と38℃以上の発熱を有する医療的ケアについて報告する軍隊入隊者が含まれた。サンプルには、ウイルス輸送培地(Viral Transport Medium、VTM)(Copan Diagnostics社、マリエータ、CA)に懸濁され、次いで-80℃で凍結され、検査のためドライアイス上で輸送された口腔咽頭スワブが含まれた。HAdV血清型3、4、7、14及び21の存在が、PCRによってそれぞれ10、19、10、19及び20において検出され、並びに/又はサンプルは、以前記載されたように(10)マイクロ中和アッセイ、PCR、又は両方法を用いてNHRCで初めに同定された。これらのサンプルを米国病理医協会(CAP)公認の診断用プロトコールの下で収集し、保存し、輸送した。
【0079】
ウイルス株及び分離株
本実施例で使用するHAdV分離株は、WRAIRのウイルス疾患部門由来の株バンクの一部であり、以前記載されたように(26、27)A549細胞を使用して増殖させた。以下のHAdV株を使用した:HAdV-1(Adenoid 71)、HAdV-2(Adenoid 6)、HAdV-3(GB)、HAdV-4(RI-67)、HAdV-5(Adenoid 75)、HAdV-6(Tonsil 99)、HAdV-7a(S-1058)、HAdV-7(Gomen)、HAdV9(Hick)、HAdV-11(Slobitski)、HAdV-14(DeWit)、HAdV-16(CH76)、HAdV-17、HAdV-21(128)、HAdV-31(1315/63)、HAdV-34(Compton)、HAdV-35(Holden)及びHAdV-40(Dugan)。GB、RI-67、S-1058、Gomen、DeWit及び128HAdV株由来の培養物を21日間チューブ培養中で力価測定(titrate)し、力価を50%組織培養感染量(TCID50)で表した。
【0080】
他の一般的呼吸器病原体をZeptometrix社のRespiratory Validation Panel NATrolTM(Zeptometrix、バッファロー、NY)を使用して得た。このパネルは、コロナOC43、コロナSARS、A型インフルエンザH1N1及びH3N2、B型インフルエンザ、パラインフルエンザ2型及び3型、アデノウイルス7a、メタニューモウイルス、A型及びB型呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、エンテロウイルス並びにリノウイルスを含む。
【0081】
DNA抽出
口腔咽頭スワブ及び培養した分離株をWRAIRのウイルス疾患部門でBSL-2条件下で処理した。DNAを、製造業者の推奨に従って、MinElute(登録商標)Virus Spinキット(Qiagen、バレンシア、CA)を使用して単離した。サンプル及び溶出量は200μlであった。サンプル抽出物を-70℃で保存した。各抽出物からの核酸の存在及び質をxTAG(登録商標)Respiratory Viral Panel(Luminex、オースチン、TX)を使用して確認した。
【0082】
プライマー及びプローブ設計
分子マルチプレックスアッセイでは、感度低下の懸念がある。各標的に対するプライマー及びプローブは、二量体及び/又は標的配列との部分的結合を形成することによって互いに干渉する可能性がある。これはプライマー及びプローブ設計並びに標的間の配列多様性によって最小限にすることができる。目的とする標的を増幅及び同定するのに必要なプライマー及びプローブの数を最小限にするように、このアッセイを設計した。
【0083】
PCRプライマー及びオリゴヌクレオチドプローブ設計について、目的とする血清型由来の8個のヘキソン遺伝子配列(GenBankアクセッション番号AY599834、AY599836、AY599837、AY594255、AF065066、AY495969、AY803294及びAY008279)をDNAStar(登録商標)、Lasergene 8.0ソフトウェアによってアライメントした。ヘキソン遺伝子の605塩基対領域を増幅するために、以前記載されたプライマー対を使用した(16)。プライマー対のヌクレオチド配列は以下の通りである:
HVR7'フォワード:CTGATGTACTACAACAGCACTGGCAACATGGG(配列番号2);及び
HVR7'リバース:CGGTGGTGGTTAAATGGATTCACATTGTCC(配列番号3)。
【0084】
HVR7'フォワードプライマー及びHVR7'リバースプライマーは、以下の配列のGenBankアクセッション番号AY008279(バージョンAY008279.1 GI:13919592)を有するHAdV-21ヘキソン遺伝子(2850塩基対)のそれぞれヌクレオチド1003〜1033及び1575〜1604に対応する。

【0085】
血清型特異的オリゴヌクレオチドプローブのセットを以下のように血清型3、4、14及び21に特異的に結合するように設計した:
HAdV-3:GTTAAAACCGATGACACTAATGG(配列番号6);
HAdV-4:GGTGTGGGATTGACAGACACTTAC(配列番号7);
HAdV-14:AGACCAAGCTTGGAAAGATGTAAAT(配列番号9);及び
HAdV-21:GGGTGCAGATTGGAAAGAGC(配列番号10)。
【0086】
プローブは、約50℃〜56℃の融解温度(Tm)を有するように優先的に選択した。
【0087】
HAdV-3特異的プローブは、GenBankアクセッション番号AY599834(バージョンAY599834.1 GI:57115749)を有するHAdV-3株GBの35,345塩基対のゲノム配列のヌクレオチド2,616〜2,638に対応し、この35,345塩基対配列は参照により本明細書に援用されるものとする。
【0088】
HAdV-4特異的プローブは、GenBankアクセッション番号AY599837(バージョンAY599837.1 GI:57115887)を有するHAdV-4株NHRC 3の35,964塩基対のゲノム配列のヌクレオチド19,382〜19,405に対応し、この35,964塩基対配列は参照により本明細書に援用されるものとする。
【0089】
HAdV-14特異的プローブは、GenBankアクセッション番号AY803294(バージョンAY803294.1 GI:57115621)を有するHAdV-14株de Witの34,764塩基対のゲノム配列のヌクレオチド19,541〜19,565に対応し、この34,764塩基対配列は参照により本明細書に援用されるものとする。
【0090】
HAdV-21特異的プローブは、GenBankアクセッション番号AY008279(バージョンAY008279.1 GI:13919592)を有する2,850塩基対のHAdV-21ヘキソン遺伝子のヌクレオチド1,299〜1,318に対応し、この2,850塩基対配列は参照により本明細書に援用されるものとする。
【0091】
HAdV-7の場合、HVR7'プライマーを使用した初期の実験で、HAdV-7に対して設計したいくつかのプローブがHAdV-3と交差反応性を示したため(データ示さず)、別個のPCRプライマー対が必要であった。望ましくない交差反応性を回避するため、HAdV-7から253塩基対アンプリコンを増幅するための第二プライマーセットを設計した:
HAdV-7フォワード:CGCCCAATACATCTCAGTGG(配列番号4);及び
HAdV-7リバース:ACTCCAACTTGAGGCTCTGG(配列番号5)。
【0092】
HAdV-7フォワードプライマー及びHAdV-7リバースプライマーは、GenBankアクセッション番号AY594255(バージョンAY593255.1 GI:51173294)を有するHAdV-7株Gomenの35,306塩基対ゲノム配列の、それぞれヌクレオチド383〜402及び595〜614に対応し、この35,306塩基対配列は参照により本明細書に援用されるものとする。
【0093】
HAdV-7プライマーに基づき、配列:GTGGATAGTTACAACGGGAGAAG(配列番号8)を有する、HAdV-7に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを設計した。HAdV-7プローブは、HAdV-3と(又は検査対象の他のHAdV血清型のいずれとも)交差反応性を示さず、GenBankアクセッション番号AY594255(バージョンAY594255.1 GI:51173294)を有するHAdV-7株Gomenの35,306塩基対のゲノム配列のヌクレオチド399〜421に対応し、この35,306塩基対配列は参照により本明細書に援用されるものとする。
【0094】
従って、第一プライマーセットは、ヘキソン遺伝子において血清型3、4、14及び21に対する標的配列を増幅し、第二プライマー対は、ヘキソン遺伝子の異なる領域内で血清型7に対する標的配列を増幅する。
【0095】
HAdV血清型特異的オリゴヌクレオチドプローブの長さ、Tm、及びGC含量を表1に提供する。
【表1】

【0096】
PCR増幅
マルチプレックスPCR反応を、マルチプレックスPCRキット(Qiagen、バレンシア、CA)を使用して行った。反応には、12.5μlの2×マスターミックスバッファー、2 pmolの各プライマー、Sigma Genosys社(ザ・ウッドランズ、TX)(計4種類のプライマー、すなわちHVR7'フォワード、HVR7'リバース、HAdV-7フォワード、及びHAdV-7リバース)、5μlのサンプル及び最終容量25μlとするための6.7μlの水が含まれた。次いで、得られた混合物を以下の条件を用いて熱サイクルにかけた:95℃15分で初期サイクル、次いで94℃30秒、52℃1.5分、72℃1分で35サイクル、そして72℃10分で最終インキュベーション。
【0097】
次いで、残存dNTPs及びプライマーを除去するため、PCR産物を3.125μlのエビアルカリホスファターゼ及び2.5μlのエキソヌクレアーゼで37℃30分間、次いで、99℃30秒間処理した。
【0098】
標的特異的プライマー伸長(TSPE)
反応には、2μlの10×Qiagen PCRバッファー、0.5μlの50mM MgCl2、0.15μlの5U/μl Tspポリメラーゼ(Invitrogen)、0.1μlの1mM dATP(Invitrogen、カールスバッド、CA)、0.1μlの1mM dGTP(Invitrogen)、0.1μlの1mM dTTP(Invitrogen)、0.25μlの4mM ビオチン-dCTP(Invitrogen)、0.125μlのHAdV-3特異的プローブ、0.125μl(1μM)のHAdV-4特異的プローブ、0.125μl(1μM)のHAdV-7特異的プローブ、0.125μl(1μM)のHAdV-14特異的プローブ、及び0.125μl(1μM)のHAdV-21特異的プローブ、5μl ExoSAP-IT(登録商標)(USB、クリーブランド、オハイオ)処理PCR産物並びに最終容量20μlとするための11.2μlの水が含まれた。次いで、得られた混合物を以下の条件を用いて熱サイクルにかけた:95℃2分で初期サイクル、次いで94℃30秒、55℃1分、74℃2分で40サイクル。TSPE反応では、オリゴヌクレオチドプローブはプライマーとして機能し、ポリメラーゼの存在下でその3'末端へのヌクレオチドの付加を促進し、結果的に伸長すなわちTSPE産物の生成をもたらす。この反応によって示されるように、このアッセイのために設計されたHAdVオリゴヌクレオチドプローブは、1.25mM MgCl2での55℃と少なくとも同程度にストリンジェントなハイブリダイズ条件下で血清型特異性を保持する。
【0099】
ハイブリダイゼーション及びLuminex分析
ビオチン化TSPE産物を96ウェルプレートのウェル中で流体マイクロビーズアレイにハイブリダイズさせ、ストレプトアビジン−フィコエリトリンコンジュゲートを使用して検出した。ミクロスフェア混合物は5種のミクロスフェアからなり、それぞれは異なる蛍光染料混合物を含有し、かつ、それぞれは、5種のプローブのそれぞれに組み込まれる固有のタグオリゴヌクレオチド配列に相補的な固有の捕捉オリゴヌクレオチド配列と結合している。12.5μlのTSPE産物及び12.5μlの水を25μlのミクロスフェア混合物(1セットあたり2500個のミクロスフェア)と混合し、96℃で2分間、次いで37℃で30分間インキュベートした。ハイブリダイゼーション後、プレートを2,250×gで3分間遠心し、上清を除去した。1×Tm(0.1M Tris-HCL、pH 8.0、0.2M NaCl、0.08% Triton X-100)中の2μg/mlのストレプトアビジン−フィコエリトリンを各ウェルに添加した。プレートを暗所で37℃において15分間インキュベートした。ミクロスフェアに結合したTSPE産物を37℃においてLuminex 200で分析した。ミクロスフェアに結合したTSPE産物をストレプトアビジン−フィコエリトリンコンジュゲートで検出し、各ビーズについて生成されるシグナルをLuminexによって分析し、MFI単位として表した。最大バックグラウンドMFIシグナルの3倍より大きいシグナルを陽性判定(positive call)とした。
【0100】
分析の特異性及び感度
マルチプレックスアッセイの特異性を、三重に、18の異なるHAdV血清型が含まれる31の異なる病原体を二重に試験することによって調べた。このアッセイ設計では、本出願人らは、TSPE間の交差反応性なく、対応する血清型の存在下のみでTSPEシグナルを観察した。結果は、アッセイが、様々な血清型間の交差反応性なくHAdV3、4、7、7a、14、及び21を正確に検出し同定できたことを示す(表2)。アッセイの性能をさらに試験するため、複数の標的の存在を組み合わせて試験した(表2)。
【0101】
いったんアッセイ特異性を決定したら、検出された血清型それぞれについて検出限界を決定した。以前力価測定した血清型3、4、7、14、及び21の株由来の培養物の5、10倍連続希釈物を二重に試験することによって、これを行った。各希釈物のTCID50を元の未希釈培養物の力価に基づいて計算した。TSPEがウイルスの存在を検出することができた最も低い希釈物が表2に示される。
【0102】
このアッセイ設計では、本発明者らは、TSPE間の交差反応性なく、対応する血清型の存在下のみでTSPEシグナルを観察した。アッセイを、単一反応物中の2つのHAdV血清型の組み合わせを用いてさらに試験した。アッセイは反応物中に存在する2つの血清型を同定することができた(表2)。
【表2】

【0103】
臨床サンプルの評価
臨床試料を用いてアッセイの性能を評価するために、本発明者らは、HAdVを含有することがわかっている104個の呼吸器系サンプルを試験した。サンプル中に存在するHAdVの血清型もわかっていた。これらのサンプルを3回の独立した実施(run)で盲検試験した。
【0104】
試験される104個の臨床サンプルに基づき、試験対象の異なる血清型に対する感度は、表3に示されるように、Ad3、Ad4、Ad7、Ad14及びAd21についてそれぞれ90%、95%、100%、100%及び85%であった。
【表3】

【0105】
矛盾する試料の分析
NHRCでのPCR/微小中和によって得られた当初の判定と比較すると、計5個の矛盾が観察された。3つのHAdV-21及び1つのHAdV-3サンプルは本発明者らのアッセイでは陰性と判定されたが、1つの陰性試料は本発明者らのアッセイではHAdV-4に対して陽性と出た。これら5つの矛盾する試料をLuminex RVPキットによって試験したところ、1つのHAdV-21試料を除いて全てでHAdVが検出され、これはサンプルのうち少なくとも1つは真に陰性でありうることを示した。
【0106】
本発明者らは、血清型21に対するオリゴヌクレオチドプローブが最も低い感度(4.6 x 105 TCID50)を示すことを観察したが、このことは、少なくとも部分的には、これらの偽陰性を説明しうる。これらの矛盾にも関わらず、結果は、まとめて見ると、このマルチプレックスHAdVアッセイが臨床状況で診断用ツールとして有用であることを示す。血清型21の場合、HAdV-21オリゴヌクレオチドプローブをさらに改良することが可能かもしれないが、臨床試料で観察された性能は、それが依然として診断用ツールとしての可能性を有することを示す。
【0107】
共感染
本発明者らの研究では、2つのサンプルが共感染していることが見出された:一方はHAdV-4/HAdV-14により、もう一方はHAdV-4/HAdV-7により。以前、これらのサンプルは、標準的PCR検査によって1つのHAdV血清型のみ(HAdV-14又はHAdV-7)によって感染されていると判定されており、これは、本アッセイが標準的PCR検査と比べて感度が増加していることを示す。Voraら(19)による以前の研究は、HAdV-4又はHAdV-7と組み合わせたより高い共感染率を示した。それらは2つの最も一般的なARD関連血清型であるため(19)、これは驚くべきことではなく、本発明者らのマルチプレックスアッセイが共感染サンプルを正確に検出したことを示す。特に免疫学的方法に基づく場合は、一方の血清型、通常はより高力価の血清型が反応で優勢であることが多いため、典型的には共感染は検出がより難しい。しかし、本発明者らのマルチプレックスアッセイは、共感染を検出することが可能であり、非優勢血清型を検出するのに十分に高感度である。共感染は、アデノウイルス株が組み換わり、新たな変異株を形成しうる機会を提供するため、興味深い。本明細書に記載の方法は、単一アッセイで共感染を検出することができる。
【0108】
現在、利用可能な大部分の分子的技術は、単一反応内で複数のHAdV血清型を検出し、かつHAdVが属する種をも同定しうるが、それらは検出対象のHAdVの特定の血清型を同定するように設計されておらず、従って、HAdV血清型間を識別するためのさらなるシークエンシング反応、制限酵素反応、及び/又は系統解析を必要とする。本アッセイは、臨床的に意義のあるものを含む複数の血清型を検出することができるだけでなく、単一反応でどの血清型が存在するか同定することができる。様々な他の一般的呼吸器系ウイルス及びアデノウイルス血清型でチャレンジした場合、交差反応性は検出されなかった。
【0109】
軍隊入隊者集団におけるワクチンプログラムの再導入により、様々なベースキャンプにおいてARD大発生の優勢な原因として異なる血清型が出現するかもしれないという恐れがある。血清型優勢度におけるシフトを迅速に同定できることは、ワクチン有効性のより確かな評価を可能にする。過去の研究は、HAdV-7予防接種後に血清中のHAdV-3及びHAdV-14に対する中和抗体価の上昇があることを示している(10、18)。従って、本明細書に記載の方法は、軍隊患者の間で見られる最も一般的なHAdV血清型の5つ(HAdV-3、-4、-7、-14及び-21)を適時に検出及び同定するための簡単なアッセイを提供する。
【0110】
[実施例2]
HAdV-1、-2、-5、及び-6の同定
実施例1に記載されたアッセイは、単一反応で最大5つのHAdVの同定を可能とし、目的とするさらなる血清型を含むように拡張することができる。例えば、小児及び免疫不全患者はグループCのHAdV血清型の感染を起こしやすい。表4に記載されるように、血清型特異的オリゴヌクレオチドプローブのセットをグループCの血清型、HAdV-1、HAdV-2、HAdV-5、及びHAdV-6に特異的に結合するように設計した。これらのオリゴヌクレオチドプローブは、実施例1で使用されるプライマーと共に機能するように設計した。予備的実験は、これらのオリゴヌクレオチドプローブが、目的とする血清型に特異的にハイブリダイズし(HAdVに対するプローブはいくらかの交差反応性を示した)、かつ、HAdV-3、HAdV-4、HAdV-7、HAdV-14、及びHAdV-21に対するプローブと共に使用して、単一反応においてHAdV-1、-2、-3、-4、-5、-6、-7、-14、及び-21の1つ又はそれ以上の存在を同時に同定できることを示す。代わりに、サンプル中のHAdV-1、HAdV-2、HAdV-5、又はHAdV-6の1つ又はそれ以上を同時に同定するために、HVR7'フォワード及びHRV7'リバースプライマーのみを使用する本明細書に記載の方法においてHAdV-1、HAdV-2、HAdV-5、及びHAdV-6に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを使用することができる。HAdV-1に対するオリゴヌクレオチドプローブはいくらかの交差反応性を示し、交差反応性を除去するように最適化されている。
【表4】

【0111】
プローブは、約50℃〜56℃の融解温度(Tm)を有するように優先的に選択した。
【0112】
HAdV-1特異的プローブは、GenBankアクセッション番号AF534906(バージョンAF534906.1 GI:33330439)を有するHAdV-1株の36,001塩基対のゲノム配列のヌクレオチド20,188〜20,208に対応し、この36,001塩基対配列は参照により本明細書に援用されるものとする。
【0113】
HAdV-2特異的プローブは、GenBankアクセッション番号AC_000007(バージョンAC_000007.1 GI:56160492)を有するHAdV-2株の35,937塩基対のゲノム配列のヌクレオチド8,369〜8,388に対応し、この35,937塩基対配列は参照により本明細書に援用されるものとする。
【0114】
HAdV-5特異的プローブは、GenBankアクセッション番号BK000408(バージョンBK000408.1 GI:33694637)を有するHAdV-5株の35,938塩基対のゲノム配列のヌクレオチド20,123〜20,147に対応し、この35,938塩基対配列は参照により本明細書に援用されるものとする。
【0115】
HAdV-6特異的プローブは、GenBankアクセッション番号AB330087(バージョンAB330087.1 GI:190356534)を有する2892塩基対のHAdV-6ヘキソン遺伝子のヌクレオチド1,321〜1,339に対応し、この2892塩基対配列は参照により本明細書に援用されるものとする。
【0116】
加えて、グループC血清型、HAdV-1、-2、-5、及び-6に特異的にハイブリダイズするようにユニバーサルオリゴヌクレオチドプローブを設計した。このユニバーサルプローブの配列はAACAAGCGAGTGGTGGCTC(配列番号15)である。
【0117】
本明細書に引用した全ての特許、特許出願及び公開された引用文献は、参照によりその全体が本明細書に援用されるものとする。本発明はその好ましい実施形態に関して特に示され、記載されているが、当業者であれば、特許請求の範囲に包含される発明の範囲から逸脱することなく、形式及び詳細においてそこに様々な変更を為しうることを理解するであろう。
【0118】
引用文献
以下の引用文献は本明細書に引用され、本発明の分野において一般的な情報を提供し、本明細書で議論されるアッセイ及びその他の詳細を提供する。以下の引用文献は参照によりその全体が本明細書に援用されるものとする。
【0119】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルがヒトアデノウイルス-3(HAdV-3)、HAdV-4、HAdV-7、HAdV-14、及びHAdV-21のうち1つ又はそれ以上を含有するかどうか決定する方法であって、前記サンプルは核酸を含んでなり、前記方法は以下:
a)第一プライマー対及び第二プライマー対を使用してサンプル中の核酸を増幅するステップであって、第一プライマー対はヒトアデノウイルスヘキソン遺伝子の第一領域を増幅するように設計され、かつ、第二プライマー対はヒトアデノウイルスヘキソン遺伝子の第二領域を増幅するように設計されており、HAdV-3、HAdV-4、HAdV-14、又はHAdV-21のうち少なくとも1つが試験サンプル中に存在する場合、第一増幅産物が生成され、HAdV-7がサンプル中に存在する場合、第二増幅産物が生成される、前記ステップ;
b)前記増幅ステップ中に生成された第一又は第二増幅産物を、ハイブリダイズ条件下で、第一オリゴヌクレオチドプローブ、第二オリゴヌクレオチドプローブ、第三オリゴヌクレオチドプローブ、第四オリゴヌクレオチドプローブ、及び第五オリゴヌクレオチドプローブとインキュベートするステップであって、第一オリゴヌクレオチドプローブは固有の第一タグ配列を含んでなり、かつ、HAdV-3に特異的であり、第二オリゴヌクレオチドプローブは固有の第二タグ配列を含んでなり、かつ、HAdV-4に特異的であり、第三オリゴヌクレオチドプローブは固有の第三タグ配列を含んでなり、かつ、HAdV-7に特異的であり、第四オリゴヌクレオチドプローブは固有の第四タグ配列を含んでなり、かつ、HAdV-14に特異的であり、そして第五オリゴヌクレオチドプローブは固有の第五タグ配列を含んでなり、かつ、HAdV-21に特異的である、前記ステップ;
c)ポリメラーゼ及び4種のデオキシリボヌクレオチド三リン酸の存在下で、第一又は第二増幅産物にハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドプローブを伸長して1つ又はそれ以上の伸長産物を形成するステップであって、少なくとも1種のデオキシリボヌクレオチド三リン酸は第一の標識を含んでなる、前記ステップ;
d)変性条件下で伸長産物を第一又は第二増幅産物から分離するステップ;
e)ハイブリダイズ条件下で伸長産物を固相支持体とインキュベートするステップであって、固相支持体は第一オリゴヌクレオチドプローブ中の固有の第一タグ配列に相補的な認識配列を有する固有の第一捕捉オリゴヌクレオチド、第二オリゴヌクレオチドプローブ中の固有の第二タグ配列に相補的な認識配列を有する固有の第二捕捉オリゴヌクレオチド、第三オリゴヌクレオチドプローブ中の固有の第三タグ配列に相補的な認識配列を有する固有の第三捕捉オリゴヌクレオチド、第四オリゴヌクレオチドプローブ中の固有の第四タグ配列に相補的な認識配列を有する固有の第四捕捉オリゴヌクレオチド、及び第五オリゴヌクレオチドプローブ中の固有の第五タグ配列に相補的な認識配列を有する固有の第五捕捉オリゴヌクレオチドを含んでなる、前記ステップ;及び
f)固相支持体を分析してサンプルがHAdV-3血清型、HAdV-4血清型、HAdV-7血清型、HAdV-14血清型、又はHAdV-21血清型のうち1つ又はそれ以上を含有するかどうか決定するステップであって、
サンプルがHAdV-3を含有する場合、固有の第一捕捉オリゴヌクレオチドは1つ又はそれ以上の伸長産物中の固有の第一タグ配列とハイブリダイズし、それにより、サンプル中のHAdV-3血清型の存在を示し;
サンプルがHAdV-4を含有する場合、固有の第二捕捉オリゴヌクレオチドは1つ又はそれ以上の伸長産物中の固有の第二タグ配列とハイブリダイズし、それにより、サンプル中のHAdV-4血清型の存在を示し;
サンプルがHAdV-7を含有する場合、固有の第三捕捉オリゴヌクレオチドは1つ又はそれ以上の伸長産物中の固有の第三タグ配列とハイブリダイズし、それにより、サンプル中のHAdV-7血清型の存在を示し;
サンプルがHAdV-14を含有する場合、固有の第四捕捉オリゴヌクレオチドは1つ又はそれ以上の伸長産物中の固有の第四タグ配列とハイブリダイズし、それにより、サンプル中のHAdV-14血清型の存在を示し;及び
サンプルがHAdV-21を含有する場合、固有の第五捕捉オリゴヌクレオチドは1つ又はそれ以上の伸長産物中の固有の第五タグ配列とハイブリダイズし、それにより、サンプル中のHAdV-21血清型の存在を示す、
前記ステップ
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記固相支持体はミクロスフェアのアレイを含んでなり、ここでミクロスフェアのアレイは、固有の第一捕捉オリゴヌクレオチドを含んでなる第一ミクロスフェア、固有の第二捕捉オリゴヌクレオチドを含んでなる第二ミクロスフェア、固有の第三捕捉オリゴヌクレオチドを含んでなる第三ミクロスフェア、固有の第四捕捉オリゴヌクレオチドを含んでなる第四ミクロスフェア、及び固有の第五捕捉オリゴヌクレオチドを含んでなる第五ミクロスフェアを含み、かつ、第一、第二、第三、第四、及び第五ミクロスフェアはそれぞれ異なる蛍光色素又は蛍光染料を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一の標識はビオチンであり、かつ、前記方法は、伸長産物を固相支持体とインキュベートするステップの後に、アビジン又はストレプトアビジンを添加するステップをさらに含み、ここでアビジン又はストレプトアビジンは第二の標識を含んでなる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第二の標識は蛍光染料である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記検出ステップにおいて、サンプルがHAdV-3血清型、HAdV-4血清型、HAdV-7血清型、HAdV-14血清型、又はHAdV-21血清型のうち1つ又はそれ以上を含有するかどうか決定するために、ミクロスフェアのアレイをフローサイトメトリーによって分析する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ヒトアデノウイルスヘキソン遺伝子の第一領域は、配列番号1のヌクレオチド1003〜1604にほぼ対応し、かつ、前記ヒトアデノウイルスヘキソン遺伝子の第二領域は、配列番号1のヌクレオチド383〜614にほぼ対応する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
サンプル中のHAdV-3、HAdV-4、HAdV-7、HAdV-14、及びHAdV-21のうち1つ又はそれ以上を同定するためのキットであって、前記キットは以下:
a)第一プライマー対はヒトアデノウイルスヘキソン遺伝子の第一領域を増幅するように設計され、かつ、第二プライマー対はヒトアデノウイルスヘキソン遺伝子の第二領域を増幅するように設計されている、第一及び第二プライマー対、並びに
b)第一オリゴヌクレオチドプローブはHAdV-3に特異的であり、第二オリゴヌクレオチドプローブはHAdV-4に特異的であり、第三オリゴヌクレオチドプローブはHAdV-7に特異的であり、第四オリゴヌクレオチドプローブはHAdV-14に特異的であり、かつ、第五オリゴヌクレオチドプローブはHAdV-21に特異的である、第一、第二、第三、第四、及び第五オリゴヌクレオチドプローブ
を含む、前記キット。
【請求項8】
前記ヒトアデノウイルスヘキソン遺伝子の第一領域は、配列番号1のヌクレオチド1003〜1604にほぼ対応し、かつ、前記ヒトアデノウイルスヘキソン遺伝子の第二領域は、配列番号1のヌクレオチド383〜614にほぼ対応する、請求項7に記載のキット。
【請求項9】
前記第一プライマー対のヌクレオチド配列は、CTGATGTACTACAACAGCACTGGCAACATGGG(配列番号2)及びCGGTGGTGGTTAAATGGATTCACATTGTCC(配列番号3)であり、かつ、前記第二プライマーセットのヌクレオチド配列は、CGCCCAATACATCTCAGTGG(配列番号4)及びACTCCAACTTGAGGCTCTGG(配列番号5)である、請求項7又は8に記載のキット。
【請求項10】
前記第一、第二、第三、第四、及び第五オリゴヌクレオチドプローブはそれぞれ約20〜25ヌクレオチド、少なくとも約36%のG/C含量、及び約50℃〜56℃の融解温度を有する、請求項7〜9のいずれか1項に記載のキット。
【請求項11】
前記第一オリゴヌクレオチドプローブは、GenBankアクセッション番号AY599834(バージョンAY599834.1 GI:57115749)を有するHAdV-3のヘキソン遺伝子のヌクレオチド2,616〜2,638に対応するHAdV-3ヘキソン遺伝子の領域の相補体にストリンジェント条件下でハイブリダイズし、前記第二オリゴヌクレオチドプローブは、GenBankアクセッション番号AY599837(バージョンAY599837.1 GI:57115887)のHAdV-4のヘキソン遺伝子のヌクレオチド19,382〜19,405に対応するHAdV-4ヘキソン遺伝子の領域の相補体にストリンジェント条件下でハイブリダイズし、前記第三オリゴヌクレオチドプローブは、GenBankアクセッション番号AY594255(バージョンAY594255.1 GI:51173294)のHAdV-7のヘキソン遺伝子のヌクレオチド399〜421に対応するHAdV-7ヘキソン遺伝子の領域の相補体にストリンジェント条件下でハイブリダイズし、前記第四オリゴヌクレオチドプローブは、GenBankアクセッション番号AY803294(バージョンAY803294.1 GI:57115621)のHAdV-14のヘキソン遺伝子のヌクレオチド19,541〜19,565に対応するHAdV-14ヘキソン遺伝子の領域の相補体にストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ前記第五オリゴヌクレオチドプローブは、GenBankアクセッション番号AY008279(バージョンAY008279.1 GI:13919592)のHAdV-21のヘキソン遺伝子のヌクレオチド1,299〜1,318に対応するHAdV-21ヘキソン遺伝子の領域の相補体にストリンジェント条件下でハイブリダイズする、請求項7〜10のいずれか1項に記載のキット。
【請求項12】
前記第一オリゴヌクレオチドプローブのヌクレオチド配列はGTTAAAACCGATGACACTAATGG(配列番号6)であり、前記第二オリゴヌクレオチドプローブのヌクレオチド配列はGGTGTGGGATTGACAGACACTTAC(配列番号7)であり、前記第三オリゴヌクレオチドプローブのヌクレオチド配列はGTGGATAGTTACAACGGGAGAAG(配列番号8)であり、前記第四オリゴヌクレオチドプローブのヌクレオチド配列はAGACCAAGCTTGGAAAGATGTAAAT(配列番号9)であり、かつ前記第五オリゴヌクレオチドプローブのヌクレオチド配列はGGGTGCAGATTGGAAAGAGC(配列番号10)である、請求項7〜11のいずれか1項に記載のキット。
【請求項13】
約20〜25ヌクレオチド長の単離されたオリゴヌクレオチドであって、オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列は以下:
(a)GTTAAAACCGATGACACTAATGG(配列番号6)、
(b)GGTGTGGGATTGACAGACACTTAC(配列番号7)、
(c)GTGGATAGTTACAACGGGAGAAG(配列番号8)、
(d)AGACCAAGCTTGGAAAGATGTAAAT(配列番号9)、
(e)GGGTGCAGATTGGAAAGAGC(配列番号10)、
(f)CGCCCAATACATCTCAGTGG(配列番号4)、
(g)ACTCCAACTTGAGGCTCTGG(配列番号5)、又は
(f)(a)、(b)、(c)、(d)、若しくは(e)のいずれか1つの相補体
から選択される、前記単離されたオリゴヌクレオチド。
【請求項14】
標識をさらに含んでなる、請求項13に記載の単離されたオリゴヌクレオチド。
【請求項15】
前記オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列は以下:
(a)CGCCCAATACATCTCAGTGG(配列番号4)、又は
(b)ACTCCAACTTGAGGCTCTGG(配列番号5)
である、請求項13に記載の単離されたオリゴヌクレオチド。

【公表番号】特表2013−515483(P2013−515483A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546113(P2012−546113)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/061256
【国際公開番号】WO2011/079064
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(510244570)ザ ヘンリー エム.ジャクソン ファンデーション フォー ザ アドバンスメント オブ ミリタリー メディシン,インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】