説明

ヒトパピローマウイルス感染症の治療又は予防のための複数型HPVペプチド組成物及び方法

本発明の実施形態は、複数型HPVポリペプチド組成物及びそれらを用いた方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年11月2日出願の米国仮特許出願第61/001,630号及び第61/001,629号の優先権を主張し、これらの仮出願全体が参照によって本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、国立衛生研究所(NIH)による助成金番号P50 CA 098252の交付を受け、米国政府の支援を得てなされた。米国政府は本発明における一定の権利を有する。
【0003】
本発明の実施形態は全般的に、生物学及び医学に関する。本発明は特定の実施形態において、複数種HPVポリペプチドを用いた組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
生殖器親和性ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症は、米国で最も一般的な性感染症であるとみなされている(CDC Report to Congress, Prevention of Genital Human Papillomavirus Infection, January 2004)。肛門生殖器HPVの主要な症状は、外陰部、子宮頸部、肛門、又は陰茎の生殖器疣贅(尖圭コンジローマ)及びそれら部位の上皮内癌を含む。高リスクな持続性HPV感染はほんのわずかなものでも、治療せずに放置すれば癌化する(例えば、子宮頸癌、時に頭頸部癌、ある種の非黒色腫皮膚癌)。世界の子宮頚癌の99.7%でHPV DNAの存在が報告されており、HPV感染がこの癌の必要原因であること及び、予防的HPV感染ワクチン接種によりこの疾患を予防できることが示唆される(Walboomers et al., 1999)。
【0005】
生殖器疣贅に加えて、HPV感染により尋常性疣贅、足底疣贅、又は扁平疣贅を発症しうる。疣贅は、原因となるHPV型及び感染する上皮に応じて異なる形で存在しうる。尋常性疣贅(verruca vulgaris)は通常手に、肌色ないし茶色の外方増殖性の角化性丘疹として発症する。足底疣贅(verruca plantaris)は足の裏に発症し、かなりの疼痛を生じうる。これらの疣贅は、その表面層を取り除き血栓を生じた毛細血管を露出させることで胼胝と区別しうる。平ら、すなわち扁平な疣贅(verruca plana)は、小児に最もよく見られ、顔、首、胸、並びに、前腕及び脚の屈側面に発症しうる。
【0006】
100を超えるHPV亜型のうち約35の亜型が肛門生殖器上皮に特異的であり、多様な悪性形質転換の可能性を秘めている(Munoz et al., 2003)。15の発癌性生殖器HPV型のうち、HPV16が最も一般的であり、HPV18及びHPV45がそれに続く(それぞれ、〜50%、〜20%、〜10%の子宮頸癌症例の原因となっている)。子宮頸部細胞診スクリーニングプログラムの実施による、子宮頸癌の発症率及び死亡率を減少させる公衆衛生上の取組みの成功にもかかわらず、浸潤性癌患者のほとんどが定期的にスクリーニングを受けない女性であり(Hoffman and Cavanagh, 1995)、子宮頸癌は依然として、女性のがんによる死亡原因として世界で第2位であり、サハラ以南のアフリカ、中央アメリカ、南・中央アジアとメラネシア(西太平洋西部からアラフラ海、オーストラリア北部及び北東部にまで広がるオセアニアの小地域(subregion);この用語は最初は、ポリネシア及びミクロネシアと区別される民族的・地理的諸島群を指すのに用いられた)の女性に最も高頻度にみられる癌である(Parkin, 2001)。毎年約471000の症例が浸潤性子宮頸癌と診断されている(Parkin, 2001)。
【0007】
HPVゲノムは60nmの非エンベロープ型正二十面体カプシドに被覆されており(Baker et al., 1991)、このカプシドにはメジャーカプシドタンパク質L1及びマイナーカプシドタンパク質L2という2つの遺伝的関係のないタンパク質が含まれる。組換え型L1はウイルス様粒子(VLP)へと自己集成し、それら粒子は形態学的及び免疫学的に、天然型のビリオンと類似する(Kirnbauer et al., 1992)。L1 VLPに基づくワクチンは、免疫原を得るために用いられたパピローマウイルス型に対応する感染症に対し高い防御性を示す(同種ワクチン)が、きわめて近縁なHPV型以外には効果がない(Roden et al., 2000)。認可されているHPVワクチンはこの障害を、多価ワクチン製剤の設計により回避する;CERVARIX(商標)はHPV16及びHPV18に由来するL1 VLPを含有し、一方でGARDASIL(商標)もまた、良性の生殖器疣贅の予防のためにHPV6及びHPV11のL1 VLPを含有する。残念ながら、これらL1 VLPワクチンの費用及び冷凍の必要性のため、現在のところ、それらワクチンが最も必要とされる、発展途上地域及び遠隔地での使用は非現実的である。さらに、これらのワクチンはかなりの割合の発癌性HPV型に対して効果がないため、依然として高価な細胞診スクリーニングプログラムが必要とされる。HPV予防可能性を世界的に最大限実現するためには、ワクチンは安全かつ効果的であり、遠隔地への輸送を容易にするため常温で安定し、製造が安価に済み、針なしに投与され、好ましくは単回投与製剤で入手可能であることが望まれる。多様なHPV型から生じる疾患の重荷は、広範な防御性を持つワクチンの必要性を示唆する。したがって、さらなる交差中和HPVワクチンが必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Walboomers et al., J. Pathol., 189:12-19, 1999.
【非特許文献2】Munoz et al., N. Engl. J. Med., 348(6):518-27, 2003.
【非特許文献3】Hoffman and Cavanagh, Cancer Control, 2:503-509, 1995.
【非特許文献4】Parkin, Lancet. Oncol., 2:533-543, 2001.
【非特許文献5】Baker et al., Biophys. J., 60:1445-1456, 1991.
【非特許文献6】Kirnbauer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89(24):12180-4, 1992.
【非特許文献7】Roden et al., Virology, 270:254-257, 2000.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の実施形態は、複数型ペプチド組成物に関する。本発明の他の実施形態は、免疫原やワクチンとしてのこれらの複数型ペプチド組成物の使用に関する。本発明の複数型ペプチド組成物は2つ以上のペプチド(免疫原性ペプチド、すなわち、患者の免疫応答を誘導するペプチド)を含有し、これらのペプチドは、病原性生物のアイソタイプ若しくは型を表すペプチドであるか、又は、生物が持つ固有の免疫原性ペプチドである。これら生物は、標的生物の型若しくは変異体、生物の1属、又は生物の1科でありうる。他の態様において、これらペプチドは特定の病原性生物(例えば、HPV及びHSV)に由来するものでありうる。いくつかの態様において、これら特定の病原性生物は、感染方法(例えば、性感染症(STD))、又は、感染臓器若しくは感染器官系(例えば、生殖器系、皮膚等)により関連付けられる。ある態様において、前記複数型ペプチド組成物は、生物の多様な変異体や型に由来する多数のペプチドを含むものでありえ、広範な交差中和免疫応答を付与する。複数のHPV型の交差中和は、そうした交差中和複数型ペプチド組成物の1例であると言える。別の態様において、複数型ペプチド組成物は多様な病原体に由来するペプチドを含有しうる。かかる病原体とは、性感染症ウイルス、細菌、又は真菌などであり、パピローマウイルス(PV)、HPV、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス、B型肝炎、ヒト免疫不全ウイルス(HIV/AIDS)、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV/HHV8)、軟性下疳(ヘモフィルス・デュクレイ(Haemophilus ducreyi))、ドノヴァン症(鼠径肉芽腫(Granuloma inguinale)又はカリマトバクテリウム・グラヌロマティス(Calymmatobacterium granulomatis))、淋病(ナイセリア・ゴノレエ(Neisseria gonorrhoeae))、鼠径リンパ肉芽腫(LGV)(クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)) 、非淋菌性尿道炎(NGU)(
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(Ureaplasma urealyticum)又はマイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma hominis))、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、梅毒(トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum))などを含むが、これに限られるものではない。
【0010】
HPVは、本明細書に記載された複数型ペプチド組成物を使用することにより、標的となりうる生物の1例である。HPV感染は、世界のヒト癌の5%の原因である。細胞診(Pap)スクリーニングは、子宮頸癌の切除可能な前駆病変を同定する。認可ワクチンGARDASIL(商標)(Merck社製)及びCERVARIX(商標)(GSK社製)に関して記載されたように、HPV感染予防によってHPV関連癌とその前駆病変が除外される。しかしながら、これら認可ワクチンはL1カプシドタンパク質に由来し、発癌性HPV型のサブセットのみを標的とする(したがって、Papスクリーニングプログラムが依然として必要とされる)。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、複数型HPV L2ペプチド組成物の投与に基づく、広く良性及び発癌性HPV感染性並びにそれらの続発症(sequelae)を予防するための組成物及び方法について述べる。この複数型HPV L2ペプチド組成物は、2つ以上のHPV型に由来するポリペプチド断片を複数含む。これら断片又はペプチドは、相同ポリペプチド(すなわち、あるポリペプチドと機能的に等価な、別の型又は変異体生物に由来するポリペプチド)の対応領域に由来するか、或いは、相同ポリペプチドの別の断片に由来するか、或いは、別の型の別のポリペプチドに由来しうる。これらポリペプチド断片(又はペプチド)は、融合タンパク質、リポソーム、ナノ粒子、ポリマー、又はペプチドデンドリマー(分岐ポリペプチド)として連結又は製造することによって 複数型ペプチド組成物として構成される。
【0012】
特定の実施形態において、単離ポリペプチド組成物は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、100、又は200以上の特定の単離体若しくは型又は感染生物に由来する対応ポリペプチド又は相同ポリペプチドの、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、100、又は200個以上の免疫原性ペプチドを含み、第1のポリペプチドの第1のペプチドのアミノ酸配列を含む第1の免疫原性ペプチドが、第2のポリペプチドに由来する第2の対応又は相同免疫原性ペプチドに機能可能に結合される。「機能可能に結合される」とは、あるペプチドを第2のペプチドと直接的又は間接的に連結することを意味する。たとえば、官能基が、かかる官能基の一部分で直接的に第1のペプチド又は表面に結合され、前記一部分がまた第2のポリペプチドにも結合されるということは可能である(例えば、ペプチド結合)。また官能基が、かかる官能基とペプチド又は表面とを結合する中間成分を経由して、ペプチド又は表面と結合されるということも可能である。このような中間成分はリンカーと呼ばれることが多い。リンカーは二官能性分子であり、第1のペプチドと化学的に結合する部分及び官能基と化学的に結合する第2の部分を持ちうる。任意の数の中間成分が本発明に包含され、それらは当業者に公知である。
【0013】
一実施形態において、本発明者らは多様なPV型による感染性の予防のための複数型PVペプチド組成物について述べる。特定の態様において、複数型PVペプチド組成物は、別々のPV型に由来する2つ以上のPVタンパク質断片又は免疫原性ペプチドが、直線(コンカテマー)又は分岐ポリペプチド構造として構成されたものを含む非天然ポリペプチドであり、複数型PV L2ポリペプチドである。このPV L2ペプチドは、パポバウイルス科、ポリオーマウイルス科、パピローマウイルス科のウイルス、並びに/或いは、α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、ι、κ、λ、μ、ν、ξ、ο、又はπ属のパピローマウイルス(de Villiers et al., Classification of papillomaviruses. Virology. 2004 Jun 20;324(1):17-27参照)、並びに/或いは、ヒトパピローマウイルスであるHPV1、HPV2、HPV3、HPV4、HPV5、HPV6、HPV7、HPV8、HPV9、HPVl0、HPV11、HPV12、HPV13、HPV14、HPV15、 HPV16、HPV17、HPV18、HPV19、HPV20、HPV21、HPV22、HPV23、HPV24、HPV25、HPV26、HPV27、HPV28、HPV29、HPV30、HPV31、HPV32、HPV33、HPV34、HPV35、HPV36、HPV37、HPV38、HPV39、HPV40、HPV41、HPV42、HPV43、HPV44、HPV45、HPV46、HPV47、HPV48、HPV49、HPV50、HPV51、HPV52、HPV53、HPV54、HPV55、HPV56、HPV57、HPV58、HPV59、HPV60、HPV61、HPV62、HPV63、HPV64、HPV65、HPV66、HPV67、HPV68、HPV69、HPV70、HPV71、HPV72、HPV73、HPV74、HPV75、HPV76、HPV77、HPV78、HPV79、HPV80、HPV81、HPV82、HPV83、HPV84、HPV85、HPV86、HPV87、HPV88、HPV89、HPV90、HPV91、HPV92、HPV93、HPV94、HPV95、HPV96、HPV97、HPV98、HPV99、HPV100、HPV101、HPV102、HPV103、HPV104、HPV105、HPV106、HPV107、HPV108、HPV109、HPV110、HPV111、並びに/或いは、動物パピローマウイルスであるウシパピローマウイルス1型(BPV1)、ウシパピローマウイルス2型(BPV2)、ウシパピローマウイルス4型(BPV4)、ワタオウサギパピローマウイルス(CRPV)、シカパピローマウイルス(DPV)、ヨーロッパオオシカパピローマウイルス(EEPV)、イヌ口腔パピローマウイルス(COPV)、アカゲザルパピローマウイルス(RhPV)及びウサギ口腔パピローマウイルス(ROPV)のL2タンパク質のアミノ酸配列の全部または一部を含みうる。
【0014】
本発明のPV抗原、エピトープ、ペプチド、ポリペプチド断片は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30 、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、200、250、300、350、400、450及び500並びに、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む個数の、パピローマウイルスL2ポリペプチドの連続したアミノ酸(例えば、配列番号1〜70)を含みうる。
【0015】
さらなる態様において、ポリペプチド断片は最多、最少、又は概数で、L2ポリペプチドのアミノ酸位置1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、189、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、289、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、389、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、489、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、又は490以上から、アミノ酸位置10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、89、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、189、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、289、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、389、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、489、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、又は500以上までを含みうる(例えば、配列番号1〜70)。
【0016】
さらに他の態様において、L2ペプチドは最多、最小、又は概数で、本願配列番号1に開示されているL2ポリペプチドのアミノ酸位置17〜36、13〜45、11〜88若しくは11〜200、又は配列番号2〜70におけるそれらの対応領域、或いはそれらのコンセンサス配列を含む。各アミノ酸位置はおおよそのアミノ酸位置でありえ、±1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10以上のアミノ酸位置だけ変化しうる。これらのアミノ酸位置は、HPV16 L2タンパク質(配列番号1)の番号に基づいて特定されている。他のHPV型のL2タンパク質のアミノ酸位置は異なりうるが、当業者は任意のL2アミノ酸配列をHPV 16と整列させ、HPV16 L2のアミノ酸位置に対応するペプチド配列を同定することができる。
【0017】
ある実施形態において、本L2ペプチドはHPV16 L2タンパク質(配列番号1)、HPV18 L2タンパク質(配列番号2)、HPV45 L2タンパク質(配列番号3)、HPV6 L2タンパク質(配列番号9)、HPV1 L2タンパク質(配列番号4)、HPV2 L2タンパク質(配列番号5)、HPV63 L2タンパク質(配列番号62)、HPV5 L2タンパク質(配列番号8)、HPV8 L2タンパク質(配列番号11)、HPV11 L2タンパク質(配列番号14)、HPV31 L2タンパク質(配列番号32)、HPV33 L2タンパク質(配列番号34)、HPV35 L2タンパク質(配列番号36)、HPV39 L2タンパク質(配列番号40)、HPV51 L2タンパク質(配列番号50)、HPV52 L2タンパク質(配列番号51)、HPV56 L2タンパク質(配列番号55)、HPV58 L2タンパク質(配列番号57)、HPV59 L2タンパク質(配列番号58)、HPV68 L2タンパク質(配列番号66)、HPV73 L2タンパク質(配列番号69)、及び/又は、HPV82 L2タンパク質(配列番号70)の断片である。
【0018】
ある態様において、複数型ポリペプチドは以下の一般式を有する。
【0019】
[エピトープX(a)−L−エピトープX+1(b)−L−エピトープX+n(c)](d)
【0020】
式中、a及び/又はb及び/又はc及び/又はdはそれぞれ独立に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、 18、19、20、21、22、23、24、25であり、nは独立に1〜98であり、ペプチドX、ペプチドX+1、ペプチドX+nは、1以上の性感染生物から選択される別個の免疫原性エピトープであり、(L)はリンカー、化学結合、ペプチド結合を表しうる。本式のペプチドは、同一の生物又は病原体に由来する同一のタンパク質又は異なるタンパク質に由来しうるか、或いは、これらペプチドは異なる病原性生物に由来する同種タンパク質又は異種タンパク質に由来しうる。一実施形態において、ペプチドXはHPVポリペプチドであり、ペプチドX+1は異なるHPVペプチド又は他の病原性生物に由来するペプチドであり、ペプチドX+nは任意のHPV型又は他の病原性生物に由来する1以上の他の別個のペプチドである。「−L−」はリンカー、化学的リンカー、ペプチドリンカー、化学結合、若しくはポリペプチド融合におけるペプチド結合、或いはペプチドをペプチド若しくは基質に結合又は連結する、当分野で公知の他の方法を表す。
【0021】
本発明の実施形態は、配列番号71〜92、94〜106、及び/又は110〜112のうち2以上のペプチド配列のうち、最大、最小、又は概数で、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、50、100、150、200、250、又は500個以上を含む。他の態様において、本発明のペプチドは、配列番号1〜70及び他のHPV L2ポリペプチドの対応配列を含む。ある態様において、L2ポリペプチド断片は、配列番号71〜92、94〜106、110〜112との少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%以上の同一性を有するか、及び/又は配列番号1〜70の対応配列であるか、及び/又は配列番号1〜70の断片であり、及び/又は他のPV L2ポリペプチド若しくはその断片である。
【0022】
1以上の本ポリペプチドが、パピローマウイルス感染症の防止、治療、又は予防のためのワクチン組成物として有用でありうる。ある態様において、本組成物は医薬担体と組み合わせることができる。本ワクチン組成物は、パピローマウイルス感染症を最小化又は予防するため、パピローマウイルスに曝露される前に個体に投与されるか、或いは、感染の重症度を軽減し、疾患の進行を遅滞/停止させるために、患者の感染後に投与されるか、或いは、感染宿主からパピローマウイルスに感染していない他個体へのパピローマウイルスの伝染を予防するために投与される。
【0023】
本明細書において、「抗原」又は「免疫原性ペプチド」なる用語は、抗体又はT細胞受容体が結合可能な分子を指す。抗原はさらに、Bリンパ球及び/又はTリンパ球の産生をもたらす液性免疫応答及び/又は細胞性免疫応答を誘導可能である。本明細書において、生物学的応答をもたらす抗原の構造的特徴を「抗原決定基」と呼ぶ。Bリンパ球は抗体産生を介して外来抗原決定基に応答し、一方でTリンパ球は細胞性免疫のメディエーターである。したがって抗原決定基又はエピトープとは、抗体により認識される抗原の部分、或いは、MHCの場合ではT細胞受容体により認識される抗原の部分である。典型的には、抗原とは病原性生物(例えばHPV)に発現するタンパク質に由来するペプチドである。抗原決定基がタンパク質の近接する配列又は断片である必要はなく、互いに直接隣接しない様々な配列を含みうる。ある態様において、抗原決定基はPVポリペプチド断片、PVペプチドである。
【0024】
ある特定のアミノ酸配列に関して、「エピトープ」とは、特定の免疫グロブリンによる認識に関与するアミノ酸残基のセット、或いは、T細胞の場合では、T細胞受容体タンパク質及び/又は主要組織適合複合体(MHC)受容体による認識に必要なアミノ酸残基である。本エピトープのアミノ酸残基が近接している必要はない。インビボ又はインビトロの免疫系環境では、エピトープとは、一次、二次及び三次ペプチド構造並びに電荷等の、分子が持つ集合的特徴であり、それらの特徴がまとまって免疫グロブリン、T細胞受容体、又はHLA分子が認識する部位を形成する。本明細書では多くの場合、「エピトープ」及び「ペプチド」を互いに置換可能なものとして用いる。
【0025】
本明細書において、「B細胞エピトープ」又は「標的エピトープ」とは、抗原を含むペプチド(例えばHPV L2断片又はその小領域)に対する免疫原性応答において、B細胞受容体により認識される、ペプチド又はタンパク質の特徴を指す。
【0026】
本明細書において、「HPV」及び「ヒトパピローマウイルス」とは、人間が感染しうるパピローマウイルス(PV)属のメンバーを指す。2つの主要なHPV群(生殖器感染群と皮膚感染群)が存在し、それぞれの群が複数のウイルス「型」又は「株」(例えば、HPV 16、HPV 18、HPV 31、HPV 32等)を含む。本発明において特に重要なのは、生殖器感染症及び生殖器悪性腫瘍に関連するHPV型である。
【0027】
「ワクチン」なる用語は、本発明の複数型HPVペプチド組成物を1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10以上含む製剤を指す。本複数型HPVペプチド組成物は典型的には、患者に投与可能であり、かつ、感染症を予防及び/又は寛解する免疫、及び/又は感染症の少なくとも1症状を軽減する免疫、及び/又は別の抗HPV治療の効果を高める免疫、及び/又はHPV感染を減じる免疫、及び/又はHPV伝染性を減じる免疫を誘導するのに十分な防御的若しくは治療的免疫応答を誘導する形式で提供される。典型的には本ワクチンは、本発明の組成物を懸濁又は溶解させる通常の生理食塩水又は緩衝水溶液溶媒を含む。他の態様において、本ワクチンは固体でありうる(例えば、粉末又は凍結乾燥製剤)。本発明の組成物は、感染症の予防、寛解、又は治療に有用でありうる。宿主への導入により、本組成物は免疫応答を惹起することが可能であり、かかる免疫応答には抗体及び/又はサイトカイン産生、並びに/或いは、細胞傷害性T細胞、抗原提示細胞、ヘルパーT細胞、樹状細胞、及び/又はその他の細胞性応答の活性化が含まれるが、それに限定されるものではない。

【0028】
本明細書において、「防止」及び「予防」ワクチン又は組成物とは、病原性生物、特にHPVにより引き起こされる若しくはそれと関連する感染症、疾患、及び/又はあらゆる関連続発症を予防するために設計及び投与される組成物である。
【0029】
本明細書において、「治療」ワクチン又は組成物とは、少なくとも1つのHPV株等の病原性生物に既に感染している患者のために設計され、かかる患者に投与される組成物である。治療ワクチン(例えば、治療HPVワクチン)は、これら感染個体における良性又は悪性腫瘍の発生を予防及び/又は治療するために用いられる。
【0030】
「抑制する」、「軽減する」、若しくは「予防」なる用語、又はこれらの用語の変型は、本願請求項及び/又は本明細書において用いられる際には、所望の結果を達成するためのあらゆる測定可能な減少又は完全な抑制を含む。
【0031】
本願請求項及び/又は本明細書において「含む」なる用語と共に用いられる単数を用いた表記は、「1つの」を意味しうるが、「1以上の」、「少なくとも1つの」、及び「1つ又は1つを超える」という意味とも矛盾しない。
【0032】
本明細書を通じて、「約」なる用語は、ある値が、その値を決定するために用いられる装置又は方法の誤差の標準偏差を含むことを示すために用いられる。
【0033】
本明細書の開示は、本願請求項における「又は」なる用語の使用について、代替となる選択肢のみ、及び「及び/又は」を指す定義を裏付けているが、代替となる選択肢のみを指すと明確に示されている場合、或いは、代替となる選択肢同士が相互に排他的である場合を除いて、「及び/又は」を意味するものとして用いられる。また、「又は」なる用語を用いて列挙されるものはいずれも、明確にに除外されることもありうることが考慮されている。
【0034】
本明細書及び請求項において、「含んでいる」(並びに、「含む」及び「含み」等のこの語のあらゆる変化形)、「有している」(並びに、「有する」及び「有し」等のこの語のあらゆる変化形)、「含有している」(並びに、「含有する」及び「含有し」等のこの語のあらゆる変化形)、又は、「包含している」(並びに、「包含する」、「包含し」等のこの語のあらゆる変化形)なる語は、包括的又は非限定的であり、付加的で言及されていない要素又は工程を排除しない。
【0035】
本明細書において列挙された構成員の1以上が、本件請求項記載の発明から明確に除去される又は包含されることもありうることが考慮されている。
【0036】
本発明の他の実施形態は、本願を通じて論じられている。本発明のある態様に関して論じられた任意の実施形態が、本発明の他の態様にも適用され、逆もまた真である。実施例における実施形態は、本発明のあらゆる態様に適用可能な本発明の実施形態であると理解される。本発明の他の目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な記載により明らかとなる。しかし、この詳細な記載及び具体的な実施例は、本発明の具体的な実施形態を示す一方で、例証のためにのみ与えられるものと理解されるべきである。なぜなら、本発明の趣旨と範囲を超えることのない様々な変更と修正が、本願の発明を実施するための形態から当業者にとって明らかとなるであろうからである。
【0037】
以下の図面は本明細書の一部を成し、本発明のある態様をさらに示すために添付される。本発明は、本明細書で提示されている特定の実施形態の詳細な記載と1又は2以上のこれら図面とを組み合わせて参照することによってより良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】マウスへの複数型L2ワクチンの接種は、モノマーL2ワクチン又はL1 VLPよりも交差中和抗体をより広範に誘導する。BALB/cマウスは、0、15、30日目に、PBS、又は、GPI‐0100(50μg)アジュバント中の様々なL2モノマー構築物及び複数型構築物25μg、又は、アジュバントを伴わないHPV16 L1 VLP若しくはHPV45 L1 VLPの皮下ワクチン接種を受けた。最終接種2週間後のマウスから収集された抗血清の2倍希釈液について、図に示された遺伝子型のHPV偽ウイルスを使用してインビトロ中和アッセイが行われた。50%中和を達成した終点力価がプロットされている。
【0039】
【図2】複数型L2タンパク質のみが免疫原性であり、広範な中和抗体応答のために特定のアジュバントは必要ない。BALB/cマウスは、0、15、及び30日目に、ミョウバンのみ(1.3mg)、又は、ISS1018のみ(10μg/マウス)、又は、PBS、又は、11‐200x3(配列番号113)25μgのみ、又は、11‐200x3(配列番号113)25μgがミョウバン(1.3mg)、若しくはISS1018(10μg/マウス)、若しくはGPI‐0100(50μg/マウス又は200μg/マウス)、若しくはGPI‐0100(50μg/マウス)+Tween 40(1mg/マウス)、若しくはミョウバン及びISS1018(10μg/マウス)と共に調製されたものの皮下接種を受けた。図に示された遺伝子型のHPV偽ウイルスを用いて、最終接種2週間後に収集されたマウスの抗血清の2倍希釈液についてインビトロ中和滴定が行われた。50%中和の終点力価がプロットされている。
【0040】
【図3】様々なアジュバントの組合せ中のL2 11‐200x3(配列番号113)の接種4ヶ月後のマウスに対するインビボHPV16偽ウイルスの投与。マウスは3回、2週間の間隔を置いて、PBS、又は、様々なアジュバントと組み合わせたL2 11‐200x3(配列番号113)25μg、又は、アジュバントのみの接種を受けた。個々の群は左から右に以下に列挙した通りである。PBSのみ、ミョウバンのみ(1.3mg)、ISS1018のみ(10μg/マウス)、11‐200x3(配列番号113)のみ、11‐200x3(配列番号113)+ISS1018(10μg/マウス)、11‐200x3(配列番号113)+ミョウバン(1.3mg)、11‐200x3(配列番号113)+GPI‐0100(50μg/マウス)、11‐200x3(配列番号113)+GPI‐0100(200μg/マウス)、11‐200x3(配列番号113)+GPI‐0100(50μg/マウス)+Tween 40(1mg/マウス)、11‐200x3(配列番号113)+ミョウバン+1018(10μg/マウス)。約4ヶ月後に、麻酔された各BALB/cマウスの腹部の接種パッチが、上皮を傷つけることなく電気かみそりで剃られた。次にマウスに、ルシフェラーゼレポーター構築物を担持する0.6%カルボキシメチルセルロース10μl中の3x10HPV16偽ウイルス粒子(100ng)が投与された。3日後、マウスは麻酔されてルシフェリンを注射され、Xenogen社製IVIS 200を用いて10分間画像を取得した。接種部位を含む同じ大きさの領域が、Living Image 2.20ソフトウェアを用いて分析され、投与前にHPV16 L1を接種したマウスと比較した相対発光単位がプロットされている。
【0041】
【図4】マウスへのL2 11‐200x3(配列番号113)又は11‐88x5(配列番号108)の接種は、GARDASIL(商標)と比較して、低い程度ではあるが、より広範な交差中和抗体を誘導する。マウスは3回、0、15、及び30日目に、ヒトの用量の5分の1のGARDASIL(商標)、又は、GPI‐0100(50μg)アジュバント中のL2 11‐200x3(配列番号113)若しくは11‐88x5(配列番号108)25μgの接種を受けた。図に示されたHPV遺伝子型の偽ウイルスを用いて、最終接種2週間後に収集されたマウスの抗血清の2倍希釈液についてインビトロ中和アッセイが行われた。50%中和の終点力値がプロットされている。
【発明を実施するための形態】
【0042】
第1世代HPV L1ウイルス様粒子ワクチンの高コスト及び型限定的な防御ゆえに、さらなる広範な防御を行う第2世代組成物及びワクチンの開発が必要とされる。マイナーカプシドタンパク質L2は、中和抗体誘導により動物をパピローマウイルス感染から防御する。L2が多様なパピローマウイルス型を交差中和する抗体を誘導する一方で、本発明者らが注目するのは、L2特異的抗体が典型的には進化的に近縁でない型よりも近縁な型をより効果的に中和するということである。交差保護効果を高めるため、様々なHPV型の既知の交差中和エピトープから成るL2融合タンパク質が設計された。残基番号17〜36、1〜88又は11〜200を含むHPV16 L2ポリペプチドの接種が、11‐200x3(配列番号113)型(HPV6、16、18)、11‐88x5(配列番号108)型(HPV1、5、6、16、18)、17‐36x22型(5皮膚感染型、2粘膜感染低リスク型及び15発癌型)という3つの複数型L2融合タンパク質を用いて比較された。マウスは3回、GPI‐0100アジュバント中の抗原25μgの皮下接種を受けた。全ての単一型ポリペプチドのうち、11〜200が最も高いHPV16中和力価を生じさせた。しかし、11‐200x3は他の複数型及び単一型融合タンパク質と比較して、HPV16、HPV18、HPV6のみならず、HPV45及びHPV58に対しても最も高い中和力価を誘導した。免疫マウスに、ルシフェラーゼを発現するHPV16偽ウイルスを投与した。11‐200x3(配列番号113)の接種は、HPV16 L1 VLPのみならずHPV16感染に対してもマウスを防御した。接種を行い次第、HPV中和抗体の誘導が、11‐200x3(配列番号113)タンパク質25μgのみ、又は、11‐200x3(配列番号113)タンパク質25μgにミョウバンを加えたもの、又はGPI‐0100を50μg若しくは200μg加えたもの、又はGPI‐0100を50μg及びTween-40を加えたものについて比較された。アジュバントの存在下では11‐200x3に対する液性応答が有意に上昇したが、アジュバント間で有意差はなかった。本発明者らは、大腸菌(E. coli)において作製され、アジュバントと共に調製される、HPV6 L2 11‐200(配列番号96)、HPV16 L2 11‐200(配列番号100)、及びHPV18 L2 11‐200(配列番号101)を含む単一の融合タンパク質の接種は防御力が高く、広範な交差中和抗体を誘導すると結論付ける。
【0043】
前記複数型HPV組成物が、他の病原性生物、特にHPVと同様の方法で伝染する疾患、例えば性感染症に関連する病原性生物と関連させて用いられるか、或いは、それらの病原性生物に関するモデルとして用いられうるということも考慮される。したがって、HPVに関する本願の教示は、かかるHPVに関する教示のみ、又は複数型HPV L2ペプチドと組み合わせて、他の病原性生物へと拡張されうる。
[I.治療及び予防組成物]
【0044】
本発明の実施形態は、2以上のHPV型に由来する2以上のHPVポリペプチド断片を含むHPVペプチド組成物を含む。ある態様において、かかるHPV型は、本組成物を投与される特定の生物、動物、又はヒト対象に対して病原性を有するHPV型の全部又は一部を含む。ある実施形態において、かかるHPVポリペプチドは少なくとも2つのL2エピトープ又はペプチドを含む。さらに別の態様において、かかるHPVポリペプチドは少なくとも2つのHPV型に由来するL2エピトープを含む。HPVポリペプチド断片は本明細書において詳細に記述されている。
【0045】
本発明の方法は、パピローマウイルス感染性(例えば、HPV感染性)によって引き起こされる若しくはそれに関連する疾患又は病態の治療を含む。免疫原性複数型HPVペプチド組成物及び/若しくはそれに結合する抗体は、HPVに感染した、又はHPVに曝露したことが疑われる、又はHPVに感染する若しくは曝露する危険性のある人において、治療的応答を誘導又は提供するために与えられうる。方法は、HPV若しくは他の性感染症曝露について陽性と判定された人、又は曝露の可能性若しくは将来の曝露により感染の危険性があると考えられる人に関して用いられうる。特に、本発明はHPV感染症の治療方法を包含する。
【0046】
ある実施形態において、かかる治療はアジュバントの存在下、或いは担体の存在下、或いはHPV抗原に由来する又はHPV曝露危険性と関連する若しくは同時に生じる曝露危険性を有する他の病原体に由来する抗原である、他の抗原の存在下で行われる。さらにある例において、治療は1以上の抗ウイルス剤等の、ウイルス感染症に対して通常用いられる他の薬剤の投与を含む。
【0047】
本発明のある態様において、本発明のペプチドは、複数ペプチドが、互いに近接して免疫系の構成要素に提示されるように設計されている。各ペプチドは、免疫系の複数の構成要素(2以上のエフェクター細胞)又は免疫系の単一の構成要素(ペプチドの複数型又は変異体を認識する傾向を有するエフェクター細胞)を刺激しうる。かかるペプチドは、直線コンカテマーとして、分岐コンカテマー(デンドリマー)として、担体又は基盤(例えば、ナノ粒子、リポソーム、ポリマー等)からの突起として設計されうる。実体(entity)において提示される認識部位又はペプチドの数、及びそれらの間隔が、かかるペプチドのオリゴマー化の度合いを決定する。例えば、ストレプトアビジン等の4価の実体は、テトラマーとなる。とはいえ、より大きな価数が可能である。好ましくは、ペプチドの数は2、3、4、 5、6、7、8、9、10〜10、20、25、50以上までの範囲で、これらの値の間の範囲も全て含まれる。
【0048】
ある実施形態において、複数型ペプチド組成物は、タンパク質、分岐ポリペプチド(デンドリマー)、マルチマータンパク質、又はそれらをコードする核酸等の、天然ポリマー又はその誘導体である。複数のペプチドを、デキストラン、デンプン、セルロース、ヒアルロン酸、キチン又はアルギニン酸等の多糖、或いはこれら多糖の誘導体、並びに、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)等の合成ポリマー、並びに、小胞又はリポソーム等のリン脂質膜、並びに、ポリスチレン又はアクリルビーズ又は磁気ビーズ等の無機粒子と結合させうる。
【0049】
ある態様において、複数型ポリペプチドはデンドリマーである。これらのデンドリマーは、例えば、Weng and Peter, White Eds., "Fmoc solid phase peptide synthesis, A Practical Approach" Oxford University Press (2000) 第11章の「化学選択的及び直交的連結技術」、及び参照により本明細書に組み込まれる米国公開特許公報第20080207485号において開示されている手順に従い作製されうる。いくつかの他の分岐ポリペプチド合成方法が当業者によく知られている。分岐ポリペプチドは、2以上の分枝の所定の部位に組み込まれたペプチドを有する。かかるペプチドの各分枝は所望の長さを有しうる。好ましくは、各分枝は24アミノ酸長よりも短い。かかるペプチドの分岐は、合成の際にLys残基において既知の方法でペプチドを分岐させることにより達成されうる。かかる方法では、ペプチドは第1リシン残基において2つの分枝へと分岐させられ、別のリシン残基においてさらに分岐させることで四価の実体が形成される。オクタマー等の他の価数は、より多い又は少ない分岐工程を経ることで達成されうる。合成ペプチドを部分的にのみ分岐することで、奇数価数もまた達成可能である。
【0050】
ある実施形態において、ポリペプチドの1以上の末端が、担体又は基盤に結合され、例えばある態様において、担体から延長するポリペプチドループを形成する。本発明のペプチドは、ウイルス様粒子(VLP)又はリポソーム等の様々な送達媒体又は方式中に、或いは、生分解性粒子表面上に、或いは、ビーズ又は微粒子又はナノ粒子の表面上に構成されうる。
[A.感染因子]
【0051】
本明細書において、「感染」又は「感染症」とは、感染性生物の宿主への、表面、局所、若しくは全身への侵入により生じる疾患を指す。感染性生物には、細菌、ウイルス、寄生虫、真菌、及び原生動物が含まれる。
【0052】
細菌にはグラム陰性菌及びグラム陽性菌が含まれる。グラム陽性菌の例には、パスツレラ属の諸種、スタフィロコッカス・アウレウスを含むブドウ球菌属の諸種、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)A群、ストレプトコッカス・ヴィリダンス(Streptococcus viridans)群、ストレプトコッカス・アガラクティエ( Streptococcus agalactiae)B群、ストレプトコッカス・ボヴィス( Streptococcus bovis)、嫌気性レンサ球菌の諸種、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、及びストレプトコッカス・フェカリス(Streptococcus faecalis)を含むレンサ球菌属の諸種、バシラス・アンスラシス(Bacillus anthracis)を含むバシラス属の諸種、コリネバクテリウム・ジフセリエ(Corynebacterium diphtheriae)、好気性コリネバクテリウムの諸種、及び嫌気性コリネバクテリウムの諸種を含むコリネバクテリウム属の諸種、類ジフテリア属の諸種、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)を含むリステリア属の諸種、エリシペロスリックス・ルジオパシエ(Erysipelothrix rhusiopathiae)を含むエリシペロスリックス属の諸種、並びに、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)、及びクロストリジウム・ディフィシレ(Clostridium difficile)を含むクロストリディウム属の諸種が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0053】
グラム陰性菌の例には、ナイセリア・ゴノレエ及びナイセリア・メニンジティディス(Neisseria meningitidis)を含むナイセリア属の諸種、ブランハメラ・カタラーリスを含むブランハメラ属の諸種、大腸菌(Escherichia coli)を含む大腸菌属の諸種、エンテロバクター属の諸種、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)を含むプロテウス属の諸種、シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・マレイ(Pseudomonas mallei)及びシュードモナス・シュードマレイ(Pseudomonas pseudomallei)を含むシュードモナス属の諸種、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)を含む肺炎桿菌属の諸種、サルモネラ属の諸種、赤痢菌属の諸種、セラチア属の諸種、アシネトバクター属の諸種、ヘモフィルス・インフルエンゼ(Haemophilus influenzae)及びヘモフィルス・デュクレイを含むヘモフィルス属の諸種、ブルセラ属の諸種、エルシニア・ペスティス(Yersinia pestis)及びエルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)を含むエルシニア属の諸種、フランシセラ・ツラレンシス(Francisella tularensis)を含むフランシセラ属の諸種、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)を含むパスツレラ属の諸種、ビブリオ・コレラ(Vibrio cholerae)、フラボハクテリウム・メニンゴセプチカム(Flavobacterium meningosepticum)を含むフラボバクテリウム属の諸種、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)を含むカンピロバクター属の諸種、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)を含むバクテロイデス属の諸種(口腔感染型、咽頭感染型)、フソバクテリウム・ヌクレアトゥム(Fusobacterium nucleatum)を含む紡錘菌属の諸種、カリマトバクテリウム・グラヌロマティス、ストレプトバシラス・モニリフォルミス(Streptobacillus moniliformis)を含むストレプトバシラス属の諸種、並びに、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)を含むレジオネラ属の諸種が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
他の種類の細菌には、抗酸菌、スピロヘータ及び放線菌が含まれる。抗酸菌の例には、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)及びマイコバクテリウム・レプレ(Mycobacterium leprae)を含むマイコバクテリウム属の諸種が含まれる。スピロヘータの例には、トレポネーマ・パリダム及びトレポネーマ・ペルテニュ(Treponema pertenue)を含むトレポネーマ属の諸種、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi) (ライム病)及びボレリア・レカレンチス(Borrelia recurrentis)を含むボレリア属の諸種、並びに、レプトスピラ属の諸種が含まれる。放線菌の例には、アクチノマイセス・イスラエリ(Actinomyces israelii)を含むアクチノマイセス属の諸種、並びに、ノカルディア・アステロイデス(Nocardia asteroides)を含むノカルディア属の諸種が含まれる。
【0055】
ウイルスの例には、レトロウイルス、HIV‐1、HDTV‐III、 LAVE、 HTLV‐III/LAV、 HIV‐III、 HIV‐LPを含むヒト免疫不全ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ピコルナウイルス、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス、エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス、カリシウイルス、トガウイルス、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス、フラビウイルス、デング熱ウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス、フィロウイルス、エボラウイルス、パラミクソウイルス、パラインフルエンザウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、オルトミクソウイルス、インフルエンザウイルス、ブニヤウイルス、ハンターンウイルス、フレボウイルス、ナイロウイルス、アレナウイルス、出血熱ウイルス、レオウイルス、オルビウイルス、ロタウイルス、ビルナウイルス、ヘパドナウイルス、B型肝炎ウイルス、パルボウイルス、パポバウイルス科、乳頭腫ウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス1型及び2型を含むヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ポックスウイルス、天然痘ウイルス、ワクシニアウイルス、イリドウイルス、アフリカ豚コレラウイルス、デルタ肝炎ウイルス, 非A型及び非B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ノーウォークウイルス、アストロウイルス、並びに、未分類のウイルスが含まれるが、これに限定されるものではない。
【0056】
真菌の例には、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Crytococcus neoformans)を含むクリプトコッカス属の諸種、ヒストプラスマ・カプスラツーム(Histoplasma capsulatum)を含むヒストプラズマ属の諸種、コクシジオイデス・イミチス(Coccidiodes immitis)を含むコクシジオイデス属の諸種、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis)を含むパラコクシジオイデス属の諸種、ブラストマイセス・デルマチチジス(Blastomyces dermatitidis)を含むブラストマイセス属の諸種、クラミジア・トラコマチスを含むクラジミア属の諸種、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)を含むカンジダ属の諸種、スポロトリクス・シェンキィ(Sporothrix schenckii)を含むスポロトリクス属の諸種、コウジカビ属の諸種、並びに、ムコール症真菌が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0057】
他の感染性生物には寄生虫が含まれる。寄生虫には、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、四日熱マラリア原虫(Plasmodium malariae)、卵形マラリア原虫(Plasmodium ovale)及び三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)を含むプラスモディウム属の諸種、並びに、トキソプラズマ・ゴンヂ(Toxoplasma gondii)が含まれる。血液感染性寄生虫及び/又は組織寄生虫には、プラスモディウム属の諸種、バベシア・ミクロチ(Babesia microti)及びバベシア・ディバーゲンス(Babesia divergens)を含むバベシア属の諸種、熱帯リーシュマニア(Leishmania tropica)、ブラジルリーシュマニア(Leishmania braziliensis)及びドノバンリーシュマニア(Leishmania donovani)を含むリーシュマニア属の諸種、並びに、ガンビアトリパノソーマ(Trypanosoma gambiense)、ローデシアトリパノソーマ(Trypanosoma rhodesiense)(アフリカ睡眠症)及びトリパノソーマ・クルージ(Trypanosoma cruzi)(シャーガス病)を含むトリパノソーマ属の諸種が含まれる。
【0058】
他の医学的関連のある微生物は、当該分野文献に広範に記載されてきた。例えば、Thomas, Medical Microbiology, Bailliere Tindall, Great Britain 1983 and Murray, Medical Microbiology (ISBN 0323033032), 2005参照。この文献の全体が参照により本願に組み込まれる。
[B.HPVワクチン]
【0059】
本発明は、HPV感染症の予防又は寛解のための組成物を含む。したがって本発明は、能動免疫法及び受動免疫法の両方の実施形態において使用するワクチンを意図する。ワクチンとしての使用に適するものとして提唱される免疫原性組成物は、HPV L2タンパク質の断片を含む複数型HPVポリペプチドから調製されうる。別の実施形態において、複数型HPV L2 ポリペプチドは、E1、E2、E3、E4、E5、E6、E7、E8、及び/又はL1タンパク質等の、他のHPVタンパク質やその断片と組み合わせて使用されうる。例えば、米国特許第7,425,438号、第7,416,846号、第7,416,732号、第7,407,807号、第7,374,767号、第7,201,908号、第7,189,513号、及び第7,288,258号参照。これらの文献の全部が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
典型的には、ワクチンは ワクチン製剤に適合する形で、治療に有効となる及び/又は免疫原性となる分量で投与される。投与量は、個体の免疫系が抗体を合成する能力及び所望の防御の程度を含め、治療されるべき患者に依存する。投与される必要のある有効成分の正確な量は、治療の実施者の判断に依存する。典型的には、接種又は投与当たり0.1、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90〜100 ng、μg、又は mgが投与されうる。初回投与及び追加接種に関する適切な計画もまた不定であるが、典型的には、初回投与後に引き続き接種又は他の投与が続く。
[1.HPVポリペプチド及びポリペプチド断片]
【0061】
本発明のある態様において、多様なHPVポリペプチド断片が、複数型HPVポリペプチドワクチンを構成するHPVペプチドとして用いられる。ある態様において、かかるHPVポリペプチドはL2ポリペプチドである。さらなる態様において、かかるL2ポリペプチドは、HPV1、HPV2、HPV3、HPV4、 HPV5、HPV6、HPV7、HPV8、HPV9、HPV10、HPV11、HPV12、HPV13、HPV14、HPV15、HPV16、HPV17、HPV18、HPV19、HPV20、HPV21、HPV22、HPV23、HPV24、HPV25、HPV26、HPV27、HPV28、HPV29、HPV30、HPV31、HPV32、HPV33、HPV34、HPV35、HPV36、HPV37、HPV38、HPV39、HPV40、HPV41、HPV42、HPV43、HPV44、HPV45、HPV46、HPV47、HPV48、HPV49、HPV50、HPV51、HPV52、HPV53、HPV54、HPV55、HPV56、HPV57、HPV58、HPV59、HPV60、HPV61、HPV62、HPV63、HPV64、HPV65、HPV66、HPV67、HPV68、HPV69、HPV70、HPV71、HPV72、HPV73、HPV74、HPV75、HPV76、HPV77、HPV78、HPV79、HPV80、HPV81、HPV82、HPV83、HPV84、HPV85、HPV86、HPV87、HPV88、HPV89、HPV90、HPV91、HPV92、HPV93、HPV94、HPV95、HPV96、HPV97、HPV98、HPV99、HPV100 、又はそれ以外のHPV(配列番号1〜70を参照)、及び、動物パピローマウイルス、すなわちウシパピローマウイルス1型(BPV1)、ウシパピローマウイルス2型(BPV2)、ウシパピローマウイルス4型(BPV4)、ワタオウサギパピローマウイルス(CRPV)、シカパピローマウイルス(DPV)、ヨーロッパオオシカパピローマウイルス(EEPV)、イヌ口腔パピローマウイルス(COPV)、アカゲザルパピローマウイルス(RhPV)又はウサギ口腔パピローマウイルス(ROPV)のL2ペプチドエピトープである。ヒトパピローマウイルス概要オンライン(The Human Papillomaviruses Compendium On Line)は、ヒトパピローマウイルス(HPV)及び関連する動物パピローマウイルスに関する関連分子データを収集及び公開している。この概要には、インターネット上(hpv-web.lanl.gov/stdgen/viras/hpv/compendium/htdocs/HTML_FILES/HPVcompintro4.html)でアクセスでき、本願優先日及び出願日の時点で参照により本願に組み込まれる。
【0062】
L2ポリペプチドの例は、GenBank(gb)、SwissPro(sp)、EMBL等の公開タンパク質データベースに見出されうる。代表的なデータベースエントリをHPV型毎に丸括弧内に受託番号で示すと、HPV2(gb/AAY86489、gb/ABN49461、gb/ABN49469、gb/ABO14925、gb/NP_077121)、HPV3(sp/P36744)、HPV7(gb/NP_041858.1)、HPV10(gb/NP_041745)、HPV16(gb/AAO85414、gb/AAO15703、gb/AAO15711、gb/AAQ10726、gb/AAV91650)、HPV18(gb/AAF14009、gb/ABP99710、gb/ABP99718、gb/ABP99726、gb/ABP99742、gb/ABP99766、gb/ABP99774、gb/ABP99782、gb/ABP99790、gb/ABP99798、gb/ABP99806、gb/NP_040316)、HPV26(gb/NP_041786.1)、HPV27(dbj/BAE16268、sp/P36755)、HPV28(sp/P50799)、HPV29(sp/P50800)、HPV30(sp/P36756)、HPV33(sp/P06418)、HPV39(gb/AAA47055)、HPV40(sp/P36760)、HPV43(sp/Q705H5)、HPV45(gb/AAY86493)、HPV45(gb/ABP99814、gb/ABP99854、gb/ABP99862、gb/ABP99870、gb/ABP99878、gb/ABP99894、gb/ABP99902、sp/P36761)、HPV51(sp/P26539)、HPV52(sp/P36763)、HPV53(gb/ABU54103、gb/ABU54117、gb/ABU54131、gb/ABU54152、gb/ABU54159、gb/ABU54173、gb/NP_041847)、HPV56(gb/ABO76808、gb/ABO76815、gb/ABO76822、gb/ABO76829、sp/P36765)、HPV57(dbj/BAF80485、sp/P22164)、HPV58(sp/P26538)、HPV59(emb/CAA54855)、HPV61(ref/NP_043449)、HPV62(sp/Q676U7)、HPV66(gb/ABO76836、gb/ABO76843、gb/ABO76857、gb/ABO76864、gb/ABO76885、gb/ABO76892、gb/ABO76899、sp/Q80960)、HPV68a(gb/AAZ39497)、HPV69(sp/Q9JH45)、HPV70(gb/AAC54856)、HPV71(gb/AAQ95182、gb/AAQ95189、gb/AAQ95203、ref/NP_597937)、HPV72(emb/CAA63878)、HPV77(emb/CAA75467)、HPV81(emb/CAF05697)、HPV82(gb/AAK28455、sp/Q9IR53)、HPV83(gb/AAD38973)、HPV84(gb/AAK09276)、HPV85(gb/AAD24187)、HPV86(gb/AAL06740)、HPV87(emb/CAC17717)、HPV89(gb/AAM92156)、HPV90(ref/NP_671508)、HPV91(gb/AAM89135)、HPV94(dbj/BAD89178、emb/CAF05714)、HPV97(gb/AAZ39505、gb/ABO27082)、HPV102(gb/AAZ39525)、又はHPV106(gb/AAZ39518)が含まれるが、これに限られるものではない。前記受託番号で示されている各アミノ酸配列は、本願出願日の時点で参照により本願に組み込まれる。ある態様において、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、又は22以上のHPV型に由来する、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個以上のL2ペプチドが連結されて、共に複数型HPVポリペプチドを形成する(配列番号94、108、109、及び113を参照)。これら断片の連結は、融合タンパク質の発現若しくは合成によるもの、又は、これらペプチドを互いに化学結合させたことによるもの、又は、共通の基質若しくはポリマーにこれらペプチドを化学結合させたことによるものでありうる。
【0063】
本発明のペプチドは、HPV L2ポリペプチドのアミノ酸番号1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、又はこれらの値の間のあらゆる値から始まる、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、43、440、450、460、470、480、490、又はこれらの値の間のあらゆる値及び範囲の個数の連続するアミノ酸を含みうる。ある実施形態において、HPV L2ポリペプチドは配列番号1〜70を含むが、これに限られるものではない。
【0064】
ある態様において、本複数型HPVポリペプチドは、HPV L2 17‐36− DIYPSCKISNTCPPDIQNKI (配列番号72)、HPV L2 17‐36− DLYRTCKQAGTCPPDIIPRV (配列番号73)、HPV L2 17‐36− DIYPACKVANNCPPDIQNKI (配列番号74)、HPV L2 17‐36− HIYQTCKQAGTCPPDVINKV (配列番号75)、HPV L2 17‐36− HIYQTCKQAGTCPPDVINKV (配列番号76)、HPV L2 17‐36− QLYQTCKLTGTCPPDVIPKV (配列番号77)、HPV L2 17‐36− QLYQTCKATGTCPPDVIPKV (配列番号78)、HPV L2 17‐36− QLYKTCKQAGTCPPDIIPKV (配列番号71)、HPV L2 17‐36− DLYKTCKQSGTCPPDVVPKV (配列番号79)、HPV L2 17‐36− QLYQTCKAAGTCPSDVIPKI (配列番号80)、HPV L2 17‐36− QLYQTCKATGTCPPDVIPKV (配列番号81)、HPV L2 17‐36− QLYRTCKAAGTCPPDVIPKV (配列番号82)、HPV L2 17‐36− DLYRTCKQSGTCPPDVVDKV (配列番号83)、HPV L2 17‐36− DLYRTCKQSGTCPPDVINKV (配列番号84)、HPV L2 17‐36− QLYSTCKAAGTCPPDVVNKV (配列番号85)、HPV L2 17‐36− QLYQTCKASGTCPPDVIPKV (配列番号86)、HPV L2 17‐36− QLYKTCKLSGTCPEDVVNKI (配列番号87)、HPV L2 17‐36− QLYQTCKASGTCPPDVIPKV (配列番号88)、HPV L2 17‐36− DLYKTCKQAGTCPSDVINKV (配列番号89)、HPV L2 17‐36− DLYKTCKQSGTCPSDVINKV (配列番号90)、HPV L2 17‐36− QLYKTCKQAGTCPPDVIPKV (配列番号91)、及び/又は、 QLYSTCKAAGTCPPDVIPKV (配列番号92)から選択される2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25以上のペプチドを、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、60、70、80、90、100、又は200個以上含む。
【0065】
さらに別の態様において、本複数型HPVポリペプチドは、HPV L2 17‐36x22アミノ酸配列− DIYPSCKISNTCPPDIQNKIDLYRTCKQAGTCPPDIIPRVDIYPACKVANNCPPDIQNKIHIYQTCKQAGTCPPDVINKVHIYQTCKQAGTCPPDVINKVQLYQTCKLTGTCPPDVIPKVQLYQTCKATGTCPPDVIPKVQLYKTCKQAGTCPPDIIPKVDLYKTCKQSGTCPPDVVPKVQLYQTCKAAGTCPSDVIPKIQLYQTCKATGTCPPDVIPKVQLYRTCKAAGTCPPDVIPKVDLYRTCKQSGTCPPDVVDKVDLYRTCKQSGTCPPDVINKVQLYSTCKAAGTCPPDVVNKVQLYQTCKASGTCPPDVIPKVQLYKTCKLSGTCPEDVVNKIQLYQTCKASGTCPPDVIPKVDLYKTCKQAGTCPSDVINKVDLYKTCKQSGTCPSDVINKVQLYKTCKQAGTCPPDVIPKVQLYSTCKAAGTCPPDVIPKV (配列番号93)を含む。
【0066】
さらに別の態様において、本複数型HPVポリペプチドは、HPV L2 11‐88−KRASATQLYKTCKQAGTCPPDIIPKVEGKTIADQILQYGSMGVFFGGLGIGTGSGTGGRTGYIPLGTRPPTATDTLAP (配列番号94)、HPV L2 11‐88−KRASVTDLYKTCKQSGTCPPDVVPKVEGTTLADKILQWSSLGIFLGGLGIGTGSGTGGRTGYIPLGGRSNTVVDVGPT (配列番号95)、HPV L2 11‐88−KRAAPKDIYPSCKISNTCPPDIQNKIEHTTIADKILQYGSLGVFLGGLGIGTARGSGGRIGYTPLGEGGGVRVATRPT (配列番号96)、HPV L2 11‐88−KRDSVTHIYQTCKQAGTCPPDVINKVEQTTVADNILKYGSAGVFFGGLGISTGRGTGGATGYVPLGEGPGVRVGGTPT (配列番号97)、HPV L2 11‐88−KRASATQLYQTCKLTGTCPPDVIPKVEHNTIADQILKWGSLGVFFGGLGIGTGSGTGGRTGYVPLGTSAKPSITSGPM (配列番号98)、HPV L2 11‐88−SATQLYQTCKLTGTCPPDVIPKVEHNTIADQILKWGSLGVFFGGLGIGTGSGTGGRTGYVPLQTSAKPSITSGPMAKRA (配列番号99)、HPV L2 11‐88−SATQLYKTCKQAGTCPPDIIPKVEGKTIADQILQYGSMGVFFGGLGIGTGSGTGGRTGYIPLGTRPPTATDTLAPRA (配列番号100)、HPV L2 11‐88−SVTDLYKTCKQSGTCPPDVVPKVEGTTLADKILQWSSLGIFLGGLGIGTGSGTGGRTGYIPLGGRSNTVVDVGPTRKRA (配列番号101)、HPV L2 11‐88−SATQLYQTCKAAGTCPSDVIPKIEHTTIADQILRYGSMGVFFGGLGIGSGSGTGGRTGYVPLSTRPSTVSEASIPRA (配列番号102)、HPV L2 11‐88−SATDLYRTCKQSGTCPPDVVDKVEGTTLADKILQWTSLGIFLGGLGIGTGTGTGGRTGYIPLGGRPNTVVDVSPARRA (配列番号103)、HPV L2 11‐88−SVTQLYSTCKAAGTCPPDVVNKVEGTTLADKILQWSGLGIFLGGLGIGTGSGSGGRTGYIPLGGGGRPGVVDIAPARA (配列番号104)、HPV L2 11‐88−SATQLYKTCKLSGTCPEDVVNKIEQKTWADKILQWGSLFTYFGGLGIGTGTGSGGRAGYVPLGSRPSTIVDVTPARKKRA (配列番号105)、及び/又はHPV L2 11‐88―SATQLYKTCKQAGTCPPDVIPKVEGSTIADNILKYGSIGVFFGGLGIGSGSGSGGRTGYVPLSTGTPSKPVEIP (配列番号106) から選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25以上のペプチドを、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、60、70、80、90、100、又は200個以上含む。
【0067】
ある実施形態において、複数型HPVポリペプチドは、HPV L2 11‐88x5のアミノ酸−KRASATQLYKTCKQAGTCPPDIIPKVEGKTIADQILQYGSMGVFFGGLGIGTGSGTGGRTGYIPLGTRPPTATDTLAPKRASVTDLYKTCKQSGTCPPDVVPKVEGTTLADKILQWSSLGFLGGLGIGTGSGTGGRTGYIPLGGRSNTVVDVGPTKRAAPKDIYPSCKISNTCPPDIQNKIEHTTIADKILQYGSLGVFLGGLGIGTARGSGGRIGYTPLGEGGGVRVATRPTKRDSVTHIYQTCKQAGTCPPDVINKVEQTTVADNILKYGSAGVFFGGLGISTGRGTGGATGYVPLGEGPGVRVGGTPTKRASATQLYQTCKLTGTCPPDVIPKVEHNTIADQILKWGSLGVFFGGLGIGTGSGTGGRTGVPLGTSAKPSITSGPM (配列番号107)を含む。
【0068】
さらに別の実施形態において、複数型HPVポリペプチドは、HPV L2 11‐88x8のアミノ酸−SATQLYQTCKLTGTCPPDVIPKVEHNTIADQILKWGSLGVFFGGLGIGTGSGTGGRTGYVPLQTSAKPSITSGPMAKRASATQLYKTCKQAGTCPPDIIPKVEGKTIADQILQYGSMGVFFGGLGIGTGSGTGGRTGYIPLGTRPPTATDTLAPRASVTDLYKTCKQSGTCPPDVVPKVEGTTLADKILQWSSLGIFLGGLGIGTGSGTGGRTGYIPLGGRSNTVVDVGPTRKRASATQLYQTCKAAGTCPSDVIPKIEHTTIADQILRYGSMGVFFGGLGIGSGSGTGGRTGYVPLSTRPSTVSEASIPRASATDLYRTCKQSGTCPPDVVDKVEGTTLADKILQWTSLGIFLGGLGIGTGTGTGGRTGYIPLGGRPNTVVDVSPARRASVTQLYSTCKAAGTCPPDVVNKVEGTTLADKILQWSGLGIFLGGLGIGTGSGSGGRTGYIPLGGGGRPGVVDIAPARASATQLYKTCKLSGTCPEDVVNKIEQKTWADKILQWGSLFTYFGGLGIGTGTGSGGRAGYVPLGSRPSTIVDVTPARKKRASATQLYKTCKQAGTCPPDVIPKVEGSTIADNILKYGSIGVFFGGLGIGSGSGSGGRTGYVPLSTGTPSKPVEIP (配列番号108)を含む。
【0069】
さらに別の実施形態において、複数型HPVポリペプチドはHPV6b、HPV16、HPV18、HPV31、HPV39、HPV51、HPV56及びHPV73のL2由来の相同領域を含む。かかるHPV L2 11‐88x8のアミノ酸は、 MASATQLYQTCKLTGTCPPDVIPKVEHNTIADQILKWGSLGVFFGGLGIGTGSGTGGRTGYVPLQTSAKPSITSGPMAKRASATQLYKTCKQAGTCPPDIIPKVEGKTIADQILQYGSMGVFFGGLGIGTGSGTGGRTGYIPLGTRPPTATDTLAPRASVTDLYKTCKQSGTCPPDVVPKVEGTTLADKILQWSSLGIFLGGLGIGTGSGTGGRTGYIPLGGRSNTVVDVGPTRKRASATQLYQTCKAAGTCPSDVIPKIEHTTIADQILRYGSMGVFFGGLGIGSGSGTGGRTGYVPLSTRPSTVSEASIPRASATDLYRTCKQSGTCPPDVVDKVEGTTLADKILQWTSLGIFLGGLGIGTGTGTGGRTGYIPLGGRPNTVVDVSPARRASVTQLYSTCKAAGTCPPDVVNKVEGTTLADKILQWSGLGIFLGGLGIGTGSGSGGRTGYIPLGGGGRPGVVDIAPARASATQLYKTCKLSGTCPEDVVNKIEQKTWADKILQWGSLFTYFGGLGIGTGTGSGGRAGYVPLGSRPSTIVDVTPARKKRASATQLYKTCKQAGTCPPDVIPKVEGSTIADNILKYGSIGVFFGGLGIGSGSGSGGRTGYVPLSTGTPSKPVEIP (配列番号109)である。
【0070】
さらに別の実施形態において、複数型HPVポリペプチドは、HPV L2 11‐200−KRASATQLYQTCKASGTCPPDIIAKVEQNTLADKILKWGSLGVFFGGLGIGTGSGTGGRTGYVPVQTAPRPAIPFGPTARPPIIVDTVGPSDSSIVSLVEDSTIINSAASDFVPPIREGFEISTSETTTPAILDVSVTTHNTTSTSIFKNPAFAEPSIVQSQPSVEASGHVLTSTYTSTISSHSVEDIPLDT (配列番号110)、HPV L2 11‐200−KRASATQLYKTCKQAGTCPPDIIPKVEGKTIADQILQYGSMGVFFGGLGIGTGSGTGGRTGYIPLGTRPPTATDTLAPVRPPLTVDPVGPSDPSIVSLVEETSFIDAGAPTPVPSIPPDVSGFSITTSTDTTPAILDINNTVFTTVTTHNNPTFTDPSVLQPPTPAETGGHFTLSSSTISTHNYEEIPMDT (配列番号111)、及び/又はHPV L2 11‐200−KRASVTDLYKTCKQSGTCPPDVVPKVEGTTLADKILQWSSLGIFLGGLGIGTGSGTGGRTGYIPLGGRSNTVVDVGPTRPPVVIEPVGPTDPSIVTLIEDSSVVTSGAPRPTFTGTSGFIDITSAGTTTPAVLDITPSSTSVSISTTNFTNPAFSDPSIIEVPQTGEVAGNVFVGTPTSGTHGYEEIPLQT (配列番号112) から選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10以上のペプチドを、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、60、70、80、90、100、又は200個以上含む。ある実施形態において、複数型HPVポリペプチドは、アミノ酸配列HPV L2 11‐200x3−KRASATQLYQTCKASGTCPPDIIAKVEQNTLADKILKWGSLGVFFGGLGIGTGSGTGGRTGYVPVQTAPRPAIPFGPTARPPIIVDTVGPSDSSIVSLVEDSTIINSAASDFVPPIREGFEISTSETTTPAILDVSVTTHNTTSTSIFKNPAFAEPSIVQSQPSVEASGHVLTSTYTSTISSHSVEDIPLDTKMSATQLYKTCKQAGTCPPDIIPKVEGIADQILQYGSMGVFFGGLGIGTGSGTGGRTGYIPLGTRPPTATDTLAPVRPPLTVDPVGPSDPSIVSLVEETSFIDAGAPTPVPSIPPDVSGFSITTSTDTTPAILDINNTVTTVTTHNNPTFTDPSVLQPPTPAETGGHFTLSSSTISTHNYEEIPMDTKRASVTDLYKTCKQSGTCPPDVVPKVEGTLADKILQWSSLGIFLGGLGIGTGSGTGGRTGYIPLGGRSNTVVDVGPTRPPVVIEPVGPTDPSIVTLIEDSSVVTSGAPRPTFTGTSGFDITSAGTTTPAVLDITPSSTSVSISTTNFTNPAFSDPSIIEVPQTGEVAGNVFVGTPTSGTHGYEEIPLQT (配列番号113)を含む。
【0071】
ある実施形態において、複数型ポリペプチド「FurinDKILKx15」は、HPV6b、HPV11、HPV16、HPV18、HPV31、HPV33、HPV35、HPV39、HPV45、HPV51、HPV52、HPV56、HPV58、HPV59及びHPV73に由来するL2タンパク質配列を含む。FurinDKILKx15のアミノ酸配列は、 MASATQLYQTCKLTGTCPPDVIPKVEHNTIADQILKASATQLYQTCKATGTCPPDVIPKVEHTTIADQILKASATQLYKTCKQAGTCPPDIIPKVEGKTIADQILQASVTDLYKTCKQSGTCPPDVVPKVEGTTLADKILQASATQLYQTCKAAGTCPSDVIPKIEHTTIADQILRASATQLYQTCKATGTCPPDVIPKVEGSTIADQILKASATQLYRTCKAAGTCPPDVIPKVEGNTVADQILKASATDLYRTCKQSGTCPPDVVDKVEGTTLADKILQASATDLYRTCKQSGTCPPDVINKVEGTTLADKILQASVTQLYSTCKAAGTCPPDVVNKVEGTTLADKILQASATQLYQTCKASGTCPPDVIPKVEGTTIADQLLKASATQLYKTCKLSGTCPEDVVNKIEQKTWADKILQASATQLYQTCKASGTCPPDVIPKVEGTTIADQILRASATDLYKTCKQAGTCPSDVINKVEGTTLADKILQASATQLYKTCKQAGTCPPDVIPKVEGSTIADNILK (配列番号114)である。
【0072】
本発明のペプチドは典型的には、当業者に公知のペプチド合成方法を用いて合成されるもの、及び/又は、当業者に公知のペプチド化学を用いて連結されるものである。他の態様において、本発明のペプチド及びポリペプチドは、当業者に公知の組換え技術を用いて発現させられ、精製されうる。
[2.リンカー]
【0073】
本発明には、多数のペプチドを含むオリゴマー又は融合タンパク質が包含されている。かかるオリゴマーは、ダイマー、トリマー、又はさらに大きいオリゴマーを含む、共有結合又は非共有結合によるマルチマーの形を取りうる。本発明のある態様において、かかるオリゴマーは免疫応答刺激能力を維持する。本発明の一実施形態は、共有結合又は非共有結合によるペプチド間リンカーを介して結合された複数のペプチドを含むオリゴマーに関する。かかるリンカーは、ペプチドリンカー(スペーサー)又はオリゴマー化を促進する特性を有するペプチドでありうる。結合したペプチドのオリゴマー化を促進できるペプチドには、ロイシンジッパー及び抗体に由来するある種のポリペプチドがある。適切なペプチドリンカーには、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,751,180号及び第4,935,233号に記載のものがある。ある実施形態において、本発明のペプチドはペプチド間の識別可能なリンカーなしに、ペプチド結合により結合しうる。
[3.送達媒体]
【0074】
既知のワクチン用製剤には、哺乳動物の免疫系に抗原を提示し、病原体に対する防御的又は治療的免疫応答を励起するために、様々な送達媒体が用いられてきた。かかる「送達媒体」には、ワクチン薬剤として、熱により又は化学的に不活化された全ウイルス、かかる全ウイルスのタンパク質粒子、アデノウイルスやワクシニア等のウイルスベクターが挙げられ、他には特にDNAを用いたベクター又はプラスミドが挙げられる。
【0075】
ウイルス様粒子。ウイルス様粒子(VLP)は、ワクチン薬剤として研究されてきた。一般にカプシドに包まれたウイルスは、ウイルス核酸を収容するために構築されるタンパク質の外被、すなわち「カプシド」を含む。多くのウイルスが、個別に発現するカプシドタンパク質からVLPを形成するよう「自己構築」可能なカプシドを有し、それはかかるカプシドが発現する細胞内(「インビボ構築」)及び単離精製後の細胞外(「インビトロ構築」)の両方で可能である。
【0076】
ウイルス様粒子は、感染性物質を包含する必要なしにウイルス粒子の全体構造を模倣する。VLPは、ウイルスDNA又はRNAゲノムを有していない場合があるが、れっきとしたウイルスの3次元構造を維持している。VLPは、B細胞介在性応答、CD4増殖性応答及び細胞障害性Tリンパ球応答を刺激する能力を有する。Schirmbeck et al. (1996) Intervirology 39, 111-119、Paliard et al. (2000) AIDS Res. Hum. Retroviruses 16, 273-282、Murata et al. (2000) PNAS USA 100, 6753-6758参照。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国公開特許公報第20070041999号も参照のこと。
【0077】
VLPは、ノーウォーク、B型及びC型肝炎、パピローマウイルス、パルボウイルス及びインフルエンザA型を含む、ヒト及び他の動物に感染する30を超える異なるウイルスに関して作製されている。
【0078】
ウイルス様粒子はまた、他の病原体に由来するエピトープの送達のための担体分子としても機能するよう操作されうる。Noad et al. (2003) Trends in Microbiology 11(9), 438-444、Sadeyen et al. (2003) Virology 309:32-40、WO2005/005614、米国公開特許公報第2004/0033585号及び第2005/0048082号、米国特許公報第6,448,070号、第6,110,466号、第6,171,591号、Brinkman et al. (2004) Lett. Drug Des. & Disc. 1:137-147参照。抗原性ペプチドを含むようにカプシドタンパク質を修飾し、組換えウイルスカプシドタンパク質‐抗原性ペプチド融合物を作製しうる。かかる融合カプシドタンパク質‐抗原性ペプチド製造物は、宿主細胞において発現し、組換えウイルス粒子又はウイルス様粒子を形成するようインビボ又はインビトロで構築され、免疫応答を誘発するために宿主に投与されうる。
【0079】
ナノ粒子。一態様において、ペプチドは、例えばナノ粒子や他の基質等の非タンパク質物質と連結されうる。ナノ粒子は、典型的には直径約1nm〜200nmであり、免疫原性ペプチドを患者に送達するために用いられうる。1つ以上のペプチドが、共有結合相互作用又は非共有化学的相互作用によりナノ粒子に結合されうる。非共有化学的相互作用には、親和性相互作用(例えば、アビジン/ビオチン、抗原/抗体、受容体/リガンド)、イオン性相互作用、及び/又は、疎水性相互作用が含まれうる。ペプチドをナノ粒子等の固相担体に結合する方法は、例えば、米国公開特許公報第2004/0258698号に記載されている。約50nm〜約200nmの直径を有するナノ粒子は、全身に送達されうる。本願において、「ナノ粒子」なる用語は、ナノメートルの粒度範囲(約1nm〜500nm)の、規定の係留分子が規則的に配列された表面を有するよう形成されうる、ポリマー球体又は球状体を意味する。好ましくは、ナノ粒子を形成するために自己構築モノマーが利用される。さらに、ナノ粒子なる用語には、重合リポソーム及び非重合リポソームの両方、バイセル及びミセル、並びにウイルスカプシド構造の使用が包含されている。本発明の組成物及び方法にはナノ粒子が好ましいとはいえ、当業者に公知であるデンドリマー等の他の枠組、足場、及び他の「プレゼンター」が、本発明に従ってリガンドを提示するのに適したものとして用いられうる。多価ナノ粒子が米国公開特許公報第20030223938号に記載されている。
【0080】
本発明のペプチドは、リポソーム組成物に含有されて投与されうる。本発明のリポソームは、多重膜小胞(MLV)でありうる。かかるリポソームは、親水性の尾部及び極性部位すなわち化学反応性部位を有するリポソーム形成脂質を含み、かかる極性部位は酸、アルコール、アルデヒド、アミン又はエステルを含む。かかるリポソームはさらに、炭化水素鎖又はステロイドの尾部及び極性の頭部により特徴付けられうる。リポソーム形成脂質はリン脂質を含む。適切なリン脂質の例には、ホスファチジン酸、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール及びスフィンゴミエリンが含まれるが、これに限定されるものではない。
【0081】
本発明のリポソームに被包又は連結されうる物質には、タンパク質及びペプチドが含まれる。ある実施形態において、かかる物質には2つ以上の化合物が含まれる。本発明のペプチドは、ペプチドを脂質表面に局在させる親油性成分を含むこと、又はそれと結合されることがありうる。複数型ペプチドはリポソーム表面に局在させられうる。米国公開特許公報第20060035853号参照。
[C.アジュバント及び他の免疫刺激性又は免疫促進性成分]
【0082】
ポリペプチド又はペプチド又は複数型HPVペプチド組成物の免疫原性は、アジュバントとして知られる付加的な、免疫応答の非特異的刺激物質の使用により高めることができる。適切なアジュバントには、サイトカイン、トキシン又は合成組成物等の許容可能なあらゆる免疫刺激物質成分が含まれる。
【0083】
多くのアジュバントが 複数型HPVポリペプチド又は本明細書に記載のあらゆる他の組成物に対する抗体応答を高めるために用いられうる。アジュバントは、(1)体内で抗原を閉じ込め、抗原放出を遅らせる、(2)免疫応答に関与する細胞を投与箇所に誘引する、(3)免疫系細胞の増殖又は活性化を誘導する、或いは(4)患者の全身への抗原の拡散を促進するために用いられうる。
【0084】
アジュバント製剤には、水中油エマルション、油水中エマルション、無機塩、ポリヌクレオチド、及び天然物質が含まれるが、これに限られるものではない。使用されうる具体的なアジュバントには、IL‐1、IL‐2、IL‐4、IL‐7、IL‐12、γ‐インターフェロン、GMCSP、BCG、水酸化アルミニウムやその他のアルミニウム化合物等のアルミニウム塩、thur‐MDP及びnor‐MDP等のMDP化合物、CGP(MTP‐PE)、リピドA、モノホスホリルリピドA(MPL)、2%スクアレン/Tween 80エマルション中にMPLと、トレハロースジミコール酸(TDM)と、細胞壁骨格(CWS)という、細菌から抽出された3成分を含有するRIBI、CpG1018、及び/又はGPI‐0100、並びにこれらの様々な組合せが含まれる。ある態様において、アジュバントは、TWEEN(商標)又はミョウバン又はこれらの組合せのうちの1つ以上と組み合わされたCpG 1018又はGPI‐0100である。MHC抗原も用いられうる。他のアジュバント又は方法は、米国特許公報第6,814,971号、第5,084,269号、第6,656,462号に例示されており、これら公報は参照により本明細書に組み込まれる。
【0085】
ワクチンのためのアジュバント効果を達成する様々な方法には、通常はリン酸緩衝生理食塩水中約0.05〜0.1%の溶液として用いられる、水酸化アルミニウム又はリン酸アルミニウム(ミョウバン)等の物質、或いは、約0.25%の溶液として用いられる糖の合成ポリマー(CARBOPOL(登録商標))の混合物、或いは、約70℃〜約101℃の温度での30秒〜2分間の加熱処理で得られるワクチン中のタンパク質凝集の使用がそれぞれ含まれる。ペプシン処理(Fab)されたアルブミンに対する抗体で再活性化することによる凝集、或いは、細菌細胞(例えば、
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(C. parvum))、エンドトキシン、又はグラム陰性菌のリポ多糖成分の混合物、或いは、生理学的に許容可能な油溶媒(例えば、モノオレイン酸マンニド(Aracel A))中のエマルション、或いは、代用血液(block substitute)として用いられるパーフルオロカーボンの20%溶液(FLUOSOL-DA(登録商標))がまた、アジュバント効果をもたらすために用いられる。典型的なアジュバントは、不完全フロイントアジュバント(死滅したマイコバクテリウム・ツベルクローシスを含有)、不完全フロイントアジュバント、及び水酸化アルミニウムである。
【0086】
アジュバントに加えて、免疫応答を高めるために生物応答修飾物質(BRM)の併用が望ましいと考えられる。BRMは、T細胞免疫を上方制御すること、又は、サプレッサー細胞活性を下方制御することが示されてきた。かかるBRMには、シメチジン(CIM、1200 mg/d)(Smith/Kline社製, PA)、並びに、少用量シクロホスファミド(CYP、 300 mg/m) (Johnson/Mead社製, NJ)、並びに、γ‐インターフェロン、IL‐2又はIL‐12等のサイトカイン、並びに、B‐7等の免疫ヘルパー機能に関与するタンパク質をコードする遺伝子が含まれるが、これに限られるものではない。
【0087】
Tヘルパーエピトープ。CD8+細胞障害性リンパ球(CTL)及びCD4ヘルパー細胞(Th細胞)という主要な2つの型のTリンパ球が記述されてきた。CD8+T細胞は、T細胞受容体(TCR)を介して、クラスIMHC分子により例えばウイルスや細菌が感染した細胞上に提示される外来抗原を認識するエフェクター細胞である。外来抗原を認識すると、CD8+細胞は、活性化、成熟及び増殖プロセスを経る。この分化プロセスにより、外来抗原を提示する標的細胞を破壊する能力を有するCTLクローンがもたらされる。一方でTヘルパー細胞は、液性及び細胞介在性の両方の形のエフェクター免疫応答に関与する。液性又は抗体免疫応答に関しては、Th細胞との相互作用を通してBリンパ球により抗体が作られる。具体的には、循環微生物等の細胞外抗原が、特化した抗原提示細胞(APC)により取り込まれ、処理され、クラスII主要組織適合複合体(MHC)分子を介してCD4+Th細胞に提示される。次にこれらTh細胞がBリンパ球を活性化し、抗体産生に至る。対照的に、細胞介在性又は細胞性免疫応答は、標的細胞への感染成功後等、細胞内に生息する微生物を中和するよう機能する。例えば微生物抗原等の外来抗原は、感染細胞内で合成され、かかる細胞の表面にクラスIMHC分子を介して提示される。かかるエピトープの提示は、上記のCD8+CTLの刺激をもたらし、このプロセスはまたCD4+Th細胞によっても刺激される。Th細胞は、Th1及びTh2細胞と呼ばれる少なくとも2つの別個の亜細胞から成る。Th1及びTh2亜型は、抗原への曝露後に共通の前駆体から分化する偏向したTh細胞集団を表す。
【0088】
ある態様において、複数型HPVポリペプチドはまた、Th1型又はTh2型のいずれかの応答の選択的誘導因子を含む。高レベルのTh1型サイトカインは、所与の抗原に対する細胞介在性免疫応答を誘導する傾向にあり、一方で高レベルのTh2型サイトカインは、抗原に対する液性免疫応答を誘導する傾向にある。
【0089】
Th1型及びTh2型免疫応答の区別は、絶対的なものではない。現実には個人は、Th1が支配的である、又はTh2が支配的であると記述される免疫応答を裏付ける。しかし、サイトカインのファミリーをMosmannとCoffmanにより記述されたマウスCD4+T細胞クローンにおけるサイトカインファミリーの観点から検討することがしばしば有用である(Mosmann and Coffman, 1989)。従来Th1型応答は、Tリンパ球によるINF‐γ及びIL‐2サイトカインの産生と関連付けられる。Th1型免疫応答の誘導に直接関与することの多い他のサイトカインは、IL‐12等のように、T細胞によっては産生されない。対照的にTh2型応答は、IL‐4、IL‐5、IL‐6、IL‐10の分泌と関連する。
【0090】
ある態様において、Thエピトープには、テタヌストキシン及びジフテリアトキシン等の細菌タンパク質又はトキシンに由来するT細胞エピトープが含まれるが、これに限られるものではない。例を挙げれば、テタヌストキシンに由来するP2及びP30エピトープ、B型肝炎コア抗原、結核菌、マイコバクテリウム・ツベルクローシスRA12(MTB32Aの部分配列(アミノ酸残基番号192〜323)(Skeiky et al. 1999))、モルビリウイルス/イヌジステンパーウイルスのp25タンパク質:KLIPNASLIENCTKAEL(配列番号117)、 PV(ポリオウイルス)配列103〜115:KLFAVWKITYKDT(配列番号118)、M5:NKLIAYPAVEALS(配列番号119)、TT(テタヌストキシン)830〜844:QYIKANSKFIGITEL(配列番号120)、PADRE:aKXVMWTLKAAa (a=D-Ala, X=L-cyclohexyl-Ala)(配列番号121)、E7 p20〜29:TDLYCYEQLN(配列番号122)、E7 p45〜54:AEPDRAHYNI(配列番号123)、E7 p60〜79:KCDSTLRLCVQSTHVIRTL(配列番号124)、E7 p85〜94:GTLGIVGPIC(配列番号125)、ras p5〜17:KLVVVGARGVGKS(配列番号126)、neu p42〜56:HLDMLRHLYQGGQVV(配列番号127)、neu p783〜797:SRLLGICLTSTVQLV(配列番号128)、及びMAGE‐3121〜134:LLKYRAREPVTKAE(配列番号129)である。
【0091】
Toll様受容体。防御的免疫の生成は、抗原への曝露のみならず、抗原に遭遇する状況にも依存することが現在では広く認識されている。炎症との関連では、新規抗原の宿主への導入が、長期的免疫ではなく免疫寛容をもたらし、一方で催炎物質(アジュバント)の存在下での抗原への曝露が免疫を誘導するという数多くの例が存在する(Mondino et al., 1996; Pulendran et al., 1998; Jenkins et al., 1994; and Keamey et al., Immunity 1:327, 1994)。このことは寛容と免疫との間の差異を意味しうるので、抗原提示の適切な免疫原性状況の創出に関与する分子経路を刺激する、感染因子内に存在する「アジュバント」を発見するための多くの努力がなされてきた。かかるアジュバント活性の大部分が、微生物及びウイルス産物と、免疫細胞に発現する様々なToll様受容体(TLR)との間の相互作用によることが現在では知られている(Beutler et al., 2004; Kaisho, 2002; Akira et al., 2003; and Takeda and Akira, 2004)。TLRは、ショウジョウバエの発生において機能し、抗微生物免疫に関与するTollと呼ばれるショウジョウバエの分子との相同性から命名された(Lernaitre et al., 1996; and Hashimoto et al., 1988)。
【0092】
初期の研究が示したのは、Toll及びToll経路分子の哺乳類ホモログが、生得免疫系細胞が微生物感染及び微生物の副産物に応答する能力にとって非常にに重要であるということである(Medzhitov et al., 1997; Medzhitov et al., 1998; Medzhitov et al., 2000; Medzhitov et al., 2000; and Janeway et al., 2002)。LPSがTLR4アゴニストとして同定されて以来(Poltorok et al., 1998)、トリアシル複数型HPVポリペプチド(TLR1)、並びに、ペプチドグリカン、リポタイコ酸及びPamCys(TLR2)、並びに、dsRNA(TLM)、並びに、フラジェリン(TLRS)、並びに、Malp‐2等のジアシル複数型HPVポリペプチド(TLR6)、並びに、イミダゾキノリン及び一本鎖RNA(TLR7、8)、並びに、細菌DNA、非メチル化CpG DNA配列及びヒトゲノムDNA抗体複合体(TLR9)等の数多くの他のTLRアゴニストが記録されてきた(Takeuchi et al., 2001; Edwards et al., 2002; Hayashi et al., 2003; Nagase et al., 2003)。
【0093】
ある態様において、TLR2リガンドには、リポタイコ酸、マンヌロン酸、ペプチドグリカン、非定型LPS、MALP‐2及びMALP‐404(リポタンパク質)、OspA、ポリン、LcrV、リポマンナン、GPIアンカー、リゾホスファチジルセリン、
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(LPG)、グリコホスファチジルイノシトール(GPI)、ザイモサン、ヘマグルチニン、並びに、これらの類似体又は誘導体が含まれるが、これに限定されるものではない。さらなる態様において、TLR2アゴニストには、マイコバクテリウム・ツベルクローシス、ボレリア・ブルグドルフェリ又はトレポネーマ・パリダムに由来する細菌リポペプチド、スタフィロコッカス・アウレウスを含む諸種に由来するペプチドグリカン、ナイセリアポリン、細菌線毛、エルシニア病原性因子、CMVビリオン、麻疹ヘマグルチニン、並びに、酵母由来ザイモサンが含まれる。
【0094】
ある態様において、TLRアゴニストは脂質の一部である。脂質の一部には、パルミトイル基、ミリストイル基、ステアロイル基及びデカノイル基等の脂肪酸、或いは、より一般的には、C2〜C30の任意の飽和、モノ不飽和又はポリ不飽和脂肪アシル基が含まれるが、これに限られるものではない。ある態様において、かかる脂質の一部は、PamCys[S‐[2,3‐ビス(パルミトイルオキシ)プロピル]システイン]又はPamCys[N‐パルミトイル ‐S‐[2,3‐ビス(パルミトイルオキシ)プロピル]システイン]部分である。PamCys又は PamCys‐OH(Wiesmuller et al., 1983)は、グラム陰性菌の内膜及び外膜にまたがるBraunのリポタンパク質のN末端部分が合成された型である(例えば、米国特許公報第5,700,910号。この公報は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。さらなるTLRアゴニストが、米国公開特許公報第20080145375号に記載されており、この公報は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
[D.脂質成分及び脂質部分]
【0095】
ある実施形態において、本発明は複数型HPVペプチドと非共有結合する1つ以上の脂質を含む組成物に関する。脂質は、水に不溶性であり、有機溶媒で抽出可能な物質である。具体的に本明細書に記載されている以外の化合物が、当業者により脂質として理解されるのであり、本発明の組成物及び方法に包含される。
【0096】
脂質は、天然脂質又は合成脂質でありうる。しかしながら、脂質は通常は生体物質である。生体脂質は当該の技術分野において良く知られており、例えば、中性脂肪、リン脂質、ホスホグリセリド、ステロイド、テルペン、リゾ脂質、スフィンゴ糖脂質、糖脂質、硫酸化糖脂質(sulphatide)、エーテル結合及びエステル結合脂肪酸を有する脂質、重合性脂質、並びに、これらの組合せを含む。
【0097】
脂質と会合した複数型HPVペプチドは、脂質を含有する溶液中で分散させても、脂質で溶解させても、脂質で乳化させても、脂質と混合させても、脂質と組み合わせても、脂質中に懸濁として含有させても、又は、その他の方法で脂質と会合させてもよい。本発明の脂質会合組成物は、任意の特定の構造に限定されない。例えば、かかるペプチドを単に溶液中に散在させ、おそらくは大きさ又は形において一様でない凝集を形成させることも考えられる。また別の例では、かかるペプチドが、二重膜構造で、ミセルとして、又は「崩壊した」構造で存在することも考えられる。また別の例では、Lipofectamine(Gibco BRL社製)又はSuperfect(Qiagen社製)複合体も考慮されるが、これに限定されるものではない。
【0098】
ある実施形態において、組成物は約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%重量パーセントの脂質、又はこれらの間の任意の範囲若しくは値の重量パーセントの特定の脂質、脂質型、又は、アジュバント、糖、核酸等の非脂質成分、或いは本明細書願において開示されている物質又は当業者に公知の他の物質を含みうる。したがって、本発明の組成物が、脂質、脂質型又は他の成分のうち任意のものを、任意の組合せ又は任意の比率で含みうることが考慮される。
[II.ポリペプチド及びその断片の作製]
[A.ポリペプチド合成及び/又は結合]
【0099】
ある態様において、前記ポリペプチドは、従来の方法を特定のアミノ酸配列に関して修正して用いて合成することができる。かかる技術には、ペプチド合成の分野に通じた当業者に良く知られた方法、例えば、溶相合成法(Finn and Hoffman, 1976参照)、又は固相合成法(Barany and Merrifield, 1979参照)、又はMerrifield (1963) に報告されている段階的固相合成法が含まれるが、これに限られるものではない。これら文献の内容は参照により本明細書に組み込まれる。他のペプチド合成技術に関する文献としては、Lu et al. (1981) により開示されているFmoc‐ポリアミド法による固相ペプチド合成により合成されたペプチド、並びに、Fmoc/tBu法を用いて合成されたペプチド(Atherton and Sheppard, 1989)に関するものが含まれる。Fmocアミノ酸は、例えば、Chem-Impex International社(Wood Dale, Ill., USA)、Merck Biosciences社(Nottingham, UK)、及び Bachem UK Ltd.社 (St. Helens, UK) 等、様々なメーカーから入手可能である。
【0100】
合成後又は合成中にペプチドは、スペーサー、アミノ酸、ポリマー又は脂質と結合される。ある態様において、リシン又はリシン類似体の末端側鎖基(例えば、内部リシンのイプシロンアミノ基)は、多数の保護基のうちの1つにより保護されている。ブロッキング基又は保護基又はマスキング基とは、結合反応に関与する活性化カルボキシル基を有するアミノ酸のアミノ基を保護するため、或いは、結合反応に関与するアシル化アミノ基を有するアミノ酸のカルボキシル基を保護するために用いられる。結合が生じるには、ブロッキング基は、ペプチド結合又はペプチドの他の部分に結合する保護基を破壊することなく除去されなければならない。ペプチドは、当該技術分野に良く知られた方法により脂質付加されうる。標準的な縮合、付加、置換又は酸化(例えば、内部リシン又はリシン類似体上の末端アミノ基と、新たに加わるアミノ酸又はペプチド又はリポアミノ酸のカルボキシル末端基との間のジスルフィド架橋形成又はアミド結合形成)反応が、ペプチドへの脂質の付加をもたらす。
[B.発現系]
【0101】
本発明のポリペプチド及び断片の発現、単離及び精製は、任意の適切な技術により達成可能であると考えられる。
【0102】
本発明はまた、DNAを含む組換えクローニング及び発現ベクターを提供し、またかかる組換えベクターを含む宿主細胞を提供する。DNAを含む発現ベクターは、かかるDNAによりコードされる本発明のポリペプチド又は断片を調製するのに用いられうる。ポリペプチド作製方法は、かかるポリペプチドをコードする組換え発現ベクターにより形質転換された宿主細胞を、かかるポリペプチドの発現を促進する条件下で培養し、その後に発現ポリペプチドを培地から回収することを含む。当業者は、使用される宿主細胞の型、並びに、かかるペプチドが膜結合ペプチドであるか、又は、宿主細胞から分泌される可溶性ペプチドであるか等の要因により、かかる発現ポリペプチドの精製法が変化することを認識すると考えられる。本発明のポリペプチドは、精製の際に直接の輸送やその補助を行う各種のリーダー配列を含みうる。
【0103】
あらゆる適切な発現系が用いられうる。前記ベクターは、哺乳動物、微生物、ウイルス又は昆虫の遺伝子等に由来する適切な転写又は翻訳制御ヌクレオチド配列と機能可能に連結された、本発明のポリペプチド又は断片をコードするDNAを含む。制御配列の例には、転写プロモーター、オペレーター又はエンハンサー、mRNAリボソーム結合部位、並びに、転写及び翻訳の開始及び終止を制御する適切な配列が含まれる。ヌクレオチド配列が機能可能に結合されているのは、かかる制御配列がDNA配列と機能的に関係する場合である。したがって、プロモーターヌクレオチド配列がDNA配列の転写を制御するのであれば、かかるプロモーターヌクレオチド配列はかかるDNA配列と機能可能に結合されている。所望の宿主細胞に複製能を付与する複製起点、並びに、形質転換体を同定する選択遺伝子は、一般に前記発現ベクターに組み込まれている。
【0104】
加えて、適切なシグナルペプチドをコードする配列(天然型又は異種)が、発現ベクターに組み込まれうる。シグナルペプチド(分泌リーダー)のDNA配列は、本発明の核酸配列とインフレーム融合され、そのDNAが最初に転写され、そのmRNAが翻訳され、シグナルペプチドを含む融合タンパク質となりうる。目的の宿主細胞内で機能するシグナルペプチドは、ポリペプチドの細胞外への分泌を促進する。かかるシグナルペプチドは、細胞からポリペプチドが分泌された際にポリペプチドから切断される。
【0105】
前記シグナルペプチドが切断される位置が、コンピュータプログラムの予測と異なりうること、並びに、組換えポリペプチドの発現に用いられる宿主細胞の型等の要因により異なりうることも、当業者は認識すると考えられる。タンパク質調製には、2箇所以上のシグナルペプチドの切断による、様々なN末端アミノ酸を有するタンパク質分子の混合物が含まれる。
【0106】
ポリペプチド発現に適した宿主細胞には、原核細胞、酵母又は高等真核細胞が含まれる。哺乳動物又は昆虫の細胞が、一般的に宿主細胞としての使用に好ましい。細菌、真菌、酵母及び哺乳動物の細胞宿主と共に用いるのに適切なクローニング及び発現ベクターが、例えばPouwels et al. (1985) に記述されている。無細胞翻訳系もまた、本明細書に開示のDNAコンストラクトに由来するRNAを用いたポリペプチドの作製のために用いられうる。
[1.原核細胞系]
【0107】
原核生物には、グラム陰性又はグラム陽性生物が含まれる。形質転換に適した原核宿主細胞には、例えば、大腸菌、バシラス・サチリス(Bacillus subtilis)、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)、並びに、シュードモナス属、ステレプトマイセス(Streptomyces)属及びブドウ球菌属に属する他の多様な種が含まれる。大腸菌等の原核宿主細胞内でポリペプチドは、かかる原核宿主細胞内での組換えポリペプチド発現を促進するためにN末端メチオニン残基を含みうる。かかるN末端Metは、発現組換えポリペプチドから切断されうる。
【0108】
原核宿主細胞内で用いられる発現ベクターは、一般に1つ以上の表現型選択可能マーカー遺伝子を含む。表現型選択可能マーカー遺伝子とは、例えば、抗生物質耐性を付与するタンパク質、又は、独立栄養要件を供給するタンパク質をコードする遺伝子である。有用な原核宿主細胞用発現ベクターの例には、pBR322クローニングベクター(ATCC 37012)等の市販プラスミドに由来するものが含まれる。pBR322は、アンピシリン及びテトラサイクリン耐性遺伝子を含み、それゆえ形質転換細胞同定のための簡便な手段を提供する。適切なプロモーター及びDNA配列がpBR322ベクターに挿入されうる。他の市販のベクターには、例えば、pKK223-3(Pharmacia Fine Chemicals社製, Uppsala, Sweden)及び pGEM1(Promega Biotec社製, Madison, Wis., USA)が含まれる。
【0109】
組換え原核宿主細胞発現ベクターに通常用いられるプロモーター配列には、β‐ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトースプロモーター系(Chang et al., 1978; Goeddel et al., 1979)、トリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddel et al., 1980; 欧州公開特許公報第36776号)及びtacプロモーター(Maniatis, 1982)が含まれる。特に有用な原核宿主細胞発現系には、ファージλPプロモーター及びcI857ts熱不安定性リプレッサー配列が用いられる。米国培養細胞系統保存機関(the American Type Culture Collection)より入手可能な、かかるλPプロモーターの誘導体を組み込んだプラスミドベクターには、pHUB2(大腸菌JMB9株に定住、ATCC 37092)及びpPLc28(大腸菌RR1に定住、 ATCC 53082)プラスミドが含まれる。
[2.酵母系]
【0110】
他の選択肢として、前記ポリペプチドを酵母宿主細胞内、好ましくはサッカロミセス(Saccharomyces)属(例えば、サッカロミセス・セレビジエ(S. cerevisiae))に由来する酵母宿主細胞内で発現させることも考えられる。ピキア(Pichia)属又はクルイベロマイセス(Kluyveromyces)属等の他の酵母の属も用いられうる。酵母ベクターはしばしば、2μ酵母プラスミドに由来する複製起点配列、自律複製配列(ARS)、プロモーター領域、ポリアデニレーション配列、転写終止配列及び選択マーカー遺伝子を含む。酵母ベクターに適したプロモーター配列には、特に、メタロチオネイン、3‐ホスホグリセリン酸キナーゼ(Hitzeman et al., 1980)、或いは、エノラーゼ、グリセルアルデヒド‐3‐リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース‐6‐リン酸イソメラーゼ、3‐ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、グルコースリン酸イソメラーゼ及びグルコキナーゼ等の他の糖分解酵素(Hess et al., 1968,Holland et al., 1978)に対するプロモーターが含まれる。酵母発現における使用に適した他のベクター及びプロモーターは、欧州特許出願第73,657号にさらに記載されている。また別の選択肢であるのは、Russell et al. (1982) 及びBeier et al. (1982) 記載のグルコース抑制ADH2プロモーターである。酵母及び大腸菌の両方において複製可能なシャトルベクターが、pBR322に由来する、大腸菌における選択と複製のためのDNA配列(Amp遺伝子及び複製起点)を、上記の酵母ベクターに挿入することで構築されうる。
【0111】
酵母α因子リーダー配列は、前記ポリペプチドの直接分泌に用いられうる。α因子リーダー配列はしばしば、プロモーター配列と構造遺伝子配列との間に挿入される。例えば、Kurjan et al., 1982及びBitter et al., 1984参照。酵母宿主からの組換えポリペプチドの分泌促進に適した他のリーダー配列は、当業者に公知である。リーダー配列は、1以上の制限部位を含むよう3’末端付近で修飾されうる。このことは、リーダー配列が構造遺伝子と融合することを容易にする。
【0112】
酵母形質転換プロトコルは、当業者に公知である。かかるプロトコルの1つとしては、Hinnen et al., 1978に記載されている。Hinnen et al.のプロトコルは、0.67%酵母窒素塩基、0.5%カザミノ酸、2%グルコース、10mg/mlアデニン及び20mg/mlウラシルから成る選択培地上でTrp形質転換体を選択する。
【0113】
ADH2プロモーター配列を含むベクターにより形質転換された酵母宿主細胞は、発現誘導のため「富栄養」培地上で培養されうる。富栄養培地の一例は、1%酵母エキス、2%ペプトン及び1%グルコースに80mg/mlアデニン及び80mg/mlウラシルを添加したものである。ADH2プロモーターの抑制解除は、かかる培地のグルコースが尽きた際に生じる。
[3.哺乳動物系又は昆虫系]
【0114】
哺乳動物又は昆虫宿主細胞培養系もまた、組換えポリペプチドを発現させるために用いられうる。昆虫における異種タンパク質作製のためのバキュロウイルス系が、Luckow and Summers, Bio/Technology 6:47 (1988) により概説されている。哺乳動物由来の確立された細胞株もまた用いられる。適切な哺乳動物宿主細胞系の例には、COS‐7サル腎細胞系(ATCC CRL 1651)(Gluzman et al., 1981)、L細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、BHK(ATCC CRL 10)細胞系、及びMcMahan et al. (1991) 記載のアフリカミドリザル腎細胞系CV1(ATCC CCL 70)に由来するCV1/EBNA細胞系が含まれる。
【0115】
DNAを哺乳動物細胞に導入する確立された方法が記載されてきた(Kaufman, 1990)。Lipofectamine脂質試薬(Gibco/BRL社製)又はLipofectamine-Plus脂質試薬等の市販試薬を用いたさらなるプロトコルが、細胞に形質移入するために用いられうる(Felgner et al., 1987)。加えて、エレクトロポレーションが、Sambrook et al. (1989) 等に記載の従来の方法を用いて哺乳動物細胞に形質移入するために用いられうる。安定形質転換体の選択が、例えば、細胞障害性薬物への耐性等の当該技術分野に既知の方法を用いて実施されうる。Kaufman et al., 1990は、 ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)耐性等の複数の選択スキームを記述している。DHFR選択に適した宿主株として、DHFRを欠くCHO株DX‐B11を挙げることができる(Urlaub and Chasin, 1980)。DHFR cDNAを発現するプラスミドがDX‐B11株へと導入され、かかるプラスミドを含む細胞のみが適切な選択培地上で生育しうる。発現ベクターに組み込まれうる選択マーカーの他の例には、G418及びヒグロマイシンB等の抗生物質に対する耐性を付与するcDNAが含まれる。かかるベクターを宿す細胞が、これら化合物に対する耐性に基づき選択されうる。
【0116】
哺乳動物宿主細胞発現ベクター用の転写及び翻訳制御配列は、ウイルスゲノムから切り取ることができる。通常用いられるプロモーター配列及びエンハンサー配列は、ポリオーマウイルス、アデノウイルス2、シミアンウイルス40(SV40)及びヒトサイトメガロウイルスに由来する。SV40ウイルスゲノムに由来するDNA配列、例えば、SV40由来の初期及び後期プロモーター、エンハンサー、スプライス並びにポリアデニレーション部位は、哺乳動物宿主細胞における構造遺伝子配列の発現のための他の遺伝的要素を提供するために用いられうる。ウイルスの初期及び後期プロモーターは特に有用である。なぜなら、どちらのプロモーターもウイルスゲノムから断片として容易に得られ、かかる断片はまた、ウイルスの複製起点も含むからである(Fiers et al., 1978; Kaufman, 1990)。
【0117】
哺乳動物発現ベクターからの異種遺伝子発現を高めることが示されているさらなる制御配列には、CHO細胞に由来する発現増強配列因子(expression augmenting sequence element、EASE)(Morris et al., Animal Cell Technology, 1997, pp. 529-534; PCT出願WO97/25420)及びアデノウイルス2に由来する三連リーダー(tripartite leader、TPL)及びVA遺伝子RNA(Gingeras et al., J. Biol. Chem. 257:13475-13491, 1982)等の因子が含まれる。ウイルス由来の内部リボソーム進入部位(IRES)配列は、バイシストロン性mRNAが効率的に翻訳されることを可能とする(Oh and Sarnow, 1993; Ramesh et al., 1996)。バイシストロン性mRNAの一部としての異種cDNAの発現と、続く選択可能マーカー遺伝子(例えば、DHFR)の発現は、宿主の形質移入可能性及び異種cDNAの発現を向上させることが示されてきた(Kaufman, 1990)。バイシストロン性mRNAを用いた発現ベクターの例は、Mosser et al. (1997) 記載のpTR-DC/GFP及びMorris et al. (1997) 記載のp2A5Iである。
【0118】
有用な高発現ベクターであるpCAVNOTがMosley et al. (1989) に記載されている。哺乳動物宿主細胞における使用のための他の発現ベクターは、Okayama and Berg (1983) に開示の通り構築されうる。Cosman et al. (1986) 記載の通り、C127マウス乳房上皮細胞における哺乳動物cDNAの有用な安定高レベル発現系が実質的に構築されうる。Cosman et al. (1984) に記載の有用な高発現ベクターPMLSV N1/N4が、ATCC 39890として寄託されている。さらなる有用な哺乳動物発現ベクターは、欧州公開特許公報第0367566号及びWO91/18982に記載されており、これら公報は本明細書に参照により組み込まれる。さらに別の選択肢としては、ベクターはレトロウイルスに由来しうる。
【0119】
さらなる有用な発現ベクターとして、pFLAG(登録商標)及びpDC311も使用されうる。FLAG(登録商標)技術は、低分子量(1kD)で親水性のFLAG(登録商標)マーカーペプチドを、pFLAG(登録商標)発現ベクターにより発現させられる組換えタンパク質のN末端に融合することに主眼を置いている。pDC311は、CHO細胞内でタンパク質を発現させるために用いられるまた別の特化ベクターである。pDC311は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)翻訳のための内部リボソーム結合部位、発現増強配列因子(EASE)、ヒトCMVプロモーター、三連リーダー配列及びポリアデニレーション部位と共に、所望の遺伝子及びDHFR遺伝子を含むバイシストロン性配列を特徴とする。
【0120】
使用されうるシグナルペプチドに関しては、必要であれば、天然型シグナルペプチドは異種シグナルペプチド又はリーダー配列に置き換えられうる。シグナルペプチド又はリーダーの選択は、組換えポリペプチドが産生される宿主細胞の型等の要因に依存しうる。例示するならば、哺乳動物宿主細胞において機能する異種シグナルペプチドには、米国特許公報第4,965,195号記載のインターロイキン‐7(IL‐7)のシグナル配列、Cosman et al., Nature 312:768 (1984) 記載のインターロイキン‐2受容体のシグナル配列、欧州特許公報第367,566号記載のインターロイキン‐4受容体シグナルペプチド、米国特許公報第4,968,607号記載のI型インターロイキン‐1受容体シグナルペプチド、及び、欧州特許公報第460,846号記載のII型インターロイキン‐1受容体シグナルペプチドが挙げられる。
[C.単離及び精製]
【0121】
本発明はまた、ポリペプチド及びその断片の単離及び精製方法を含む。
【0122】
ある実施形態において、組換えポリペプチド又は断片の精製は、本発明のポリペプチド又は断片を、本発明のポリペプチド又は断片の精製に有用な他のポリペプチドと融合させたものを用いて達成されうる。かかる融合パートナーには、ポリ‐His又は上記の他の抗原性同定ペプチドが、Fc部分と共に含まれる。
【0123】
宿主細胞のあらゆる型に関して、当業者に公知であるように、組換えポリペプチド又は断片の精製方法は、用いられる宿主細胞の型、或いは、組換えポリペプチド又は断片が培地に分泌されるのかどうか等の要因によって変化する。
【0124】
概して、前記組換えポリペプチド又は断片は、分泌されない場合には宿主細胞から、可溶性であったり分泌されたりする場合には培地又は上清から単離され、それに、濃縮、塩析、イオン交換、疎水性相互作用、親和性精製、又はサイズ排除クロマトグラフィーのうち1つ以上の工程が続きうる。これらの工程を達成する具体的な方法に関しては、最初に、例えばAmicon又はMillipore Pellicon限外濾過装置等の市販のタンパク質濃縮フィルターを用いて培地が濃縮されうる。濃縮工程後に、濃縮物に対してゲル濾過培地等の精製マトリックスが用いられうる。他の選択肢としては、例えば、ペンダントジエチルアミノエチル(DEAE)基を有するマトリックス又は基質等の、陰イオン交換樹脂が用いられうる。かかるマトリックスは、アクリルアミド、アガロース、デキストラン、セルロース又はタンパク質精製に通常用いられる他の型のものでありうる。また別の選択として、陽イオン交換の工程が適用されうる。適切な陽イオン交換体には、スルホプロピル基又はカルボキシルメチル基を含む様々な不溶性マトリックスが含まれる。加えて、クロマトフォーカシングの工程が適用されうる。また別の選択として、疎水性相互作用クロマトグラフィーの工程が適用されうる。適切なマトリックスは、樹脂に結合されたフェニル部分又はオクチル部分でありうる。さらに、組換えタンパク質に選択的に結合するマトリックスを用いたアフィニティークロマトグラフィーが用いられうる。用いられるかかる樹脂の例は、レクチンカラム、色素カラム及び金属キレートカラムである。最後に、1つ以上の逆相高性能液体クロマトグラフィー(RP‐HPLC)工程が、疎水性RP‐HPLC媒質(例えば、メチル基、オクチル基、オクチルデシル基、又は他の脂肪族基をペンダント基として有するシリカゲル又はポリマー樹脂)が、さらに前記ポリペプチドを精製するために用いられうる。以上の精製工程の一部又は全部が、様々な組合せで良く知られており、単離及び精製組換えタンパク質を提供するために用いられうる。
【0125】
発現ポリペプチドを親和性精製するために、本発明のポリペプチドに対して生じるモノクローナル抗体等のポリペプチド結合タンパク質を含むアフィニティーカラムを利用することも可能である。これらのポリペプチドを、従来技術を用いて、例えば高塩溶離緩衝液を用い、その後使用のためにより低い塩濃度の緩衝液へと透析するか、又は、使用されるアフィニティーマトリックスに応じてpH若しくは他の要素を変化させることで、アフィニティーカラムから除去可能であり、或いは、本発明で得られるポリペプチド等の親和性部分の天然基質を用いることで競合的に除去可能である。
【0126】
本発明のこの態様において、本発明の抗ポリペプチド抗体等のポリペプチド結合タンパク質又は本発明のポリペプチドと相互作用しうる他のタンパク質は、カラムクロマトグラフィーマトリックス、或いは、表面上で本発明のポリペプチドを発現する細胞の同定、分離又は精製するのに適した類似の基質等の固相担体に結合させうる。本発明のポリペプチド結合タンパク質の固相接着表面への固着は、任意の手段によって達成されうる。ポジティブに選択された細胞を固相から除去する方法は当該技術分野で公知であり、例えば、酵素の使用を包含する。かかる酵素は好ましくは細胞に対して非毒性及び非傷害性であり、好ましくは細胞表面の結合領域の切断に関与する。
【0127】
所望の純度は、タンパク質の使用目的に依存する。相対的に高純度が望まれるのは、例えば、ポリペプチドがインビボ投与されるべき場合である。かかる場合にはポリペプチドは、SDS‐ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS‐PAGE)による分析で、他のタンパク質に相当するタンパク質バンドが検出されないように精製される必要がある。グリコシル化の違い、翻訳後プロセッシングの違い等により、前記ポリペプチドに相当する複数のバンドがSDS‐PAGEにより可視化されうることは、当業者により認められると考えられる。最も好ましくは、本発明のポリペプチドは、SDS‐PAGEによる分析の際に単一のタンパク質バンドで示されるように、実質的均一性を達成するまで精製される。前記タンパク質バンドは、銀染色法、クーマシーブルー染色法又は(タンパク質の放射性標識が可能な場合には)オートラジオグラフィーにより可視化される。
[III.製剤及び投与]
【0128】
本明細書に記載の本組成物の投与方法は多様でありうる。あらゆる従来のワクチン投与方法が適用可能である。これらの方法には、生理学的に許容可能な固体基剤又は生理学的に許容可能な分散液による経口適用、注射による非経口適用、粉末の吸入、経皮パッチ経由、膣注入経由等が含まれると考えられる。ワクチン用量は、投与経路に依存し、患者の体格及び健康状態によって変化する。
【0129】
有効成分としてポリペプチド又はペプチド配列を含有するワクチンの調製は、米国特許公報第4,608,251号、第4,601,903号、第4,599,231号、第4,599,230号、第4,596,792号及び第4,578,770号に示されるように、一般に当該技術分野において良く理解されている。これら公報は本明細書に参照により組み込まれる。典型的にはかかるワクチンは、溶液又は懸濁液の注射剤として調製される。注射前に液体中に溶解又は懸濁するのに適した固形ワクチンもまた調製されうる。かかる調製物はまた、乳化されうる。有効免疫原性成分はしばしば、薬理学的に許容可能であり、かかる有効成分と適合する賦形剤と混合される。適切な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、ブドウ糖、グリセロール、エタノール等及びそれらの組合せである。加えて、必要であれば前記ワクチンは、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤、或いは、ワクチンの効果を高めるアジュバント等の補助物質を一定量含有しうる。特定の実施形態において、ワクチンは米国特許公報第6,793,923 号及び第6,733,754号に記載の物質と組み合わせて調剤されるのであり、これら公報は本願に参照により組み込まれる。
【0130】
ワクチンは吸入により投与されうる。ある実施形態において、ワクチンはエアロゾルとして投与されうる。本明細書において、「エアロゾル」又は「エアロゾル化された組成物」なる用語は、気体中の固体粒子又は液体粒子浮遊物を指す。かかる用語は一般に、固体又は液体の形式から、浮遊固体薬剤粒子又は浮遊液体薬剤粒子を含む吸入可能な形式へと、気化、霧状化又はその他の方法で変換された組成物を指すのに用いられうる。かかるエアロゾルは、ワクチンを呼吸器系を経由して送達するために用いられうる。本明細書において、「呼吸器系」とは、酸素の吸入及び二酸化炭素の吐出に関与する身体の器官系を指す。かかる器官系には一般に、鼻から肺胞に至る気道全体が含まれる。哺乳動物において、かかる器官系には一般に、肺、気管支、細気管支、気管、鼻孔及び横隔膜が含まれる。本開示の目的に沿えば、ワクチンの呼吸器系への送達とは、薬剤が1つ以上の呼吸器系の気道、特に肺へと送達されることを意味する。
【0131】
他の投与方法に適したさらなる製剤には、坐剤(肛門又は膣に適用)が挙げられ、経口製剤が適する場合もある。坐剤に関しては、従来の結合剤及び担体には、例えば、ポリアルキレングリコール又はトリグリセライドが含まれうる。かかる坐剤は、約0.5%〜約10%、好ましくは約1%〜約2%の範囲の有効成分を含有する混合物から形成されうる。経口製剤には、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム等の通常用いられる賦形剤が含まれる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放性製剤又は粉末剤の形をとり、約10%〜約95%、好ましくは約25%〜約70%の有効成分を含有する。
【0132】
ポリペプチド、ペプチド及びリポペプチド組成物は、中性又は塩の形でワクチンへと製剤されうる。薬学的に許容可能な塩には、酸付加塩(ペプチドの遊離アミノ基で形成される)が含まれ、例えば、塩酸若しくはリン酸等の無機酸、又は、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸等の有機酸で形成されるものが含まれる。遊離カルボキシル基で形成される塩もまた、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム又は水酸化鉄等の無機塩基、並びに、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、2‐エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン等の有機塩基に由来しうる。
【0133】
多くの場合、ワクチンの複数回投与は、通常は最大若しくは最小で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15回以上、又はこれを超えない回数のワクチン接種が好ましく、これらの値の間の全ての範囲も含まれる。かかるワクチン接種は、通常は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12週間/月間/年間の間隔で、これらの間の値及び範囲も全て含めた間隔で、より一般には3週間から5週間の間隔で行われる。典型的には、定期的な追加接種が1年間〜15年間の間隔で、通常は10年間の間隔で、抗体の防御レベルを維持するために行われるのが望ましい。免疫化の過程に続き、抗原に対する抗体のアッセイが、上記記載、米国特許公報第3,791,932号、第4,174,384号及び第3,949,064号の記載の通り行われ、これらはこうした種類のアッセイを例示する。
[A.複合治療]
【0134】
本発明の組成物及び関連の方法、特に、HPV L2タンパク質のポリペプチド又はペプチドを含むHPVエピトープの患者/対象への投与は、従来のHPVスクリーニング及び/又はワクチンの投与との組合せでも用いられうる。これらスクリーニング及び/又はワクチン投与には、抗体又は抗体断片、パパニコロー塗抹、PCR法、サザンブロッティング法、Cervarix(商標)投与、GARDASIL(商標)投与、HPV又は他の感染因子のためのワクチン投与、HPV病変の切除治療等が含まれるが、これに限られるものではない。
【0135】
一態様においては、HPVペプチド組成物及び/又は治療が、HPVスクリーニング及び/又は他の治療と共に用いられるということが考慮される。また別の選択肢として、かかる治療は、分単位から週単位までの間隔を置いて他の治療の前後に行われうる。他の薬剤が別に投与される実施形態において、薬剤及び抗原性組成物が依然として患者に有益な複合作用を及ぼすことができるよう、一般それぞれの送達間隔が長い期間を越えないようにする。かかる場合には、両方の様式がそれぞれ互いに約12〜24時間以内に、より好ましくは約6〜12時間以内に投与されうることが考慮される。ある状況では、しかしながら、それぞれの投与間隔が数日間(2、3、4、5、6又は7日間)から、数ヶ月間(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12ヶ月間)、又は数年間(2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12年間)となるよう、各投与の投与間隔を大幅に拡張させることが望ましい場合がある。
【0136】
様々な組合せが用いられうる。例えば、複数型HPVペプチド治療を「A」、治療法として提供される他のワクチン又は抗体又は処置を「B」とすると、以下の組合わが考えられる。
【0137】
A/B/A、B/A/B、B/B/A、A/A/B、A/B/B、B/A/A、A/B/B/B、B/A/B/B。
【0138】
B/B/B/A、B/B/A/B、A/A/B/B、A/B/A/B、A/B/B/A、B/B/A/A。
【0139】
B/A/B/A、B/A/A/B、A/A/A/B、B/A/A/A、A/B/A/A、A/A/B/A。
【0140】
患者/対象に対する本発明の免疫原性組成物の投与は、かかる化合物の投与のための一般的なプロトコルに従い、複数型HPVポリペプチド組成物又は本明細書に記載のその他のあらゆる抗原若しくは抗原の組合せの組成物に仮に毒性があるとすれば、その毒性を考慮に入れて行われる。必要であれば、治療サイクルを反復することが期待される。水分補給等の様々な標準的治療が、本明細書記載の治療と組み合わせて用いられるということもまた考慮される。
[B.予防及び/又は治療方法]
【0141】
ある実施形態では、医薬組成物が患者に投与される。本発明の別の態様には、患者に組成物を有効量投与することが含まれる。本発明のある実施形態では、少なくとも1以上のHPV病原体による感染症の防御又はその治療のために、複数型HPVペプチド組成物が患者に投与される。かかる組成物は一般に、薬学的に許容可能な担体又は水媒質に溶解又は分散される。
【0142】
本明細書において、「薬学的に許容可能」又は「薬理学的に許容可能」なる用語は、適切な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答又は他の問題となる合併症なしに、妥当な利益/危険性の比率に見合った、人間及び動物の組織との接触に適した化合物、物質、組成物及び/又は投薬形態を指す。「薬学的に許容可能な担体」なる用語は、脂質若しくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶剤又はカプセル化物質等の、化学薬剤の担持又は運搬に関与する薬学的に許容可能な物質、組成物又は媒体を意味する。薬学的に許容可能な担体には、あらゆる溶剤、分散液媒質、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収持続剤等が含まれる。薬学的有効成分のためにかかる媒質及び薬剤を使用することは、当該技術分野において良く知られている。何らかの従来の媒質又は薬剤が有効成分との併用に適切でないということのない限り、それらを免疫原性及び治療組成物において使用することは考慮される。
【0143】
本発明の有効化合物は、非経口与、例えば、静脈内、筋内、皮下又は腹腔内経路の注射用にさえ製剤されうる。エアロゾル又は、静脈注射若しくは筋内注射等の非経口投与のために製剤された化合物に加え、他の薬理的に許容可能な形態には、例えば、錠剤又は他の経口投与用固体、或いは、持続放出型カプセルが含まれる。
【0144】
遊離塩基又は薬学的に許容可能な塩としての有効化合物の溶液が、ヒドロキシプロピルセルロース等の界面活性剤と適切に混合され、水中で調製されうる。分散液もまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びこれらの混合物中、並びに、油中で調製されうる。通常の状態での貯蔵及び使用下で、これらの調製物は微生物の成長を阻害する保存剤を含有する。
【0145】
注射での使用に適した薬学的形態には、無菌水溶液又は水分散液、並びに、ゴマ油、ラッカセイ油又は含水プロピレングリコールを含む製剤、並びに、無菌注射溶液又は分散液の即時調製のための無菌粉末が含まれる。どの場合でも、かかる形態は無菌でなければならず、注射が容易でありうる程度に液体でなければならない。かかる形態はまた、製造及び保存条件下で安定であるべきであり、細菌及び真菌等の微生物の汚染作用に抗して保存されなければならない。
【0146】
前記複数型HPVポリペプチド組成物は、中性又は塩の形で製剤されうる。薬学的に許容可能な塩には、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基で形成される)が含まれ、例えば、塩酸若しくはリン酸等の無機酸、又は、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸等の有機酸で形成されるものが含まれる。遊離カルボキシル基で形成される塩もまた、例えばナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム又は水酸化第2鉄等の無機塩基、並びに、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカイン等の等の有機塩基に由来しうる。
【0147】
担体もまた、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール等)、適切なそれらの混合物及び植物油を含有する溶剤又は分散液溶媒でありうる。例えば、レシチン等のコーティングの使用、分散の際に必要な粒度の維持、界面活性剤の使用等により適切な流動性が維持されうる。微生物作用の予防は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等の様々な抗細菌剤及び抗真菌剤によりもたらされうる。多くの場合、例えば、糖又は塩化ナトリウム等の等張剤を含有することが望ましい。注射組成物の吸収持続は、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチン等の、組成物中の吸収遅延薬の使用によりもたらされうる。
【0148】
無菌注射溶液が、上記に挙げた様々な成分を必要に応じて有する適切な溶剤に必要量の有効化合物を、濾過滅菌後に組み込むことで調製される。一般に分散液は、様々な滅菌有効成分を、基剤分散液媒質及び上記に挙げた他の成分から必要なものを滅菌媒体に組み込むことで調製される。滅菌注射溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、元々濾過滅菌溶液であったものから、有効成分及び任意の所望の成分の粉末をもたらす真空乾燥及び冷凍乾燥技術である。
【0149】
本発明の組成物の投与は、典型的には通常の経路を経るものである。かかる経路には、経口投与、軽鼻投与又は口腔投与が含まれるが、これに限られるものではない。また別の選択肢として、投与は同所投与(orthotopic administration)、皮内投与、皮下投与、筋内投与、腹腔内投与、肛門坐剤投与、膣内投与、呼吸器投与又は静脈内投与によるものでありうる。ある実施形態では、ワクチン組成物は吸入されうる(例えば、本明細書に参照により特に組み込まれる米国特許公報第6,651,655号)。かかる組成物は通常は、生理学的に許容可能な担体、緩衝剤又は他の賦形剤を含む、薬学的に許容可能な組成物として投与される。
【0150】
水溶液による非経口投与では、例えば、かかる溶液は必要であれば適切に緩衝されるべきであり、かかる液体希釈剤は最初に十分な生理食塩水又はグルコースで等張性のものとされるべきである。これらの特定の水溶液は、静脈内投与、筋内投与、皮下投与及び腹腔内投与に特に適している。これに関して、用いられうる無菌水媒質は、本明細書の開示に照らして当業者に知られると考えられる。例えば、1回用量を等張NaCl溶液に溶解し、皮下点滴液への付加又は注入に適した部位への注射が可能である(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 1990参照)。用量のある程度の違いは、患者の状況に応じて必然的に生じる。いずれにせよ投与責任者が、各患者に適した用量を決定すると考えられる。
【0151】
治療又は予防組成物の有効量は、意図する目的に応じて決定される。「単位用量」又は「用量」なる用語は、患者における使用に適した物理的に区分された単位を指し、各単位は、組成物の投与すなわち適切な投与経路及び投与計画と関連して上記に論じられた所望の応答を生むために計算された所定量の組成物を含む。投与されるべき量は、治療回数及び単位用量のどちらで見ても、所望の防御に依存する。
【0152】
組成物の正確な量もまた、実施者の判断に依存し、各個体で異なる。用量に影響を与える要因には、患者の身体的及び臨床的状態、投与経路、意図する治療目的(症状の緩和か、治癒か)、並びに、特定の組成物の効力、安定性及び毒性がある。
【0153】
製剤に際して、溶液は、剤形に適合した形で、治療又は予防に有効な量で投与されると考えられる。かかる製剤は、上記の注射溶液の形態等、様々な剤形で容易に投与される。
[1.インビトロ、エクスビボ、又はインビボ投与]
【0154】
本明細書において、インビトロ投与なる用語は、動物内又は動物の表面から取り出した細胞上で行われる操作を指し、かかる細胞は培地上のものを含むが、これに限られるものではない。エクスビボ投与なる用語は、インビトロで操作され、その後に生体動物に投与された細胞を指す。インビボ投与なる用語は、動物内で行われるあらゆる操作を含む。
【0155】
本発明のある態様において、組成物はインビトロ、エクスビボ、又はインビボのいずれでも投与されうる。あるインビトロ実施形態において、自己Bリンパ球細胞株又は樹状細胞が複数型HPV組成物と共にインキュベートされる。かかる活性化細胞が、続いてインビトロ分析、又は別の選択肢としてはエクスビボ投与に用いられうる。
[2.抗体及び受動免疫]
【0156】
本発明のまた別の態様は、本発明のワクチンでレシピエントを免疫する工程、レシピエントから免疫グロブリン若しくは抗体を単離する工程、及び/又は、かかる免疫グロブリン若しくはその断片を組換えで作製する工程を含む、HPV感染症の予防又は治療における使用のための免疫グロブリンの調製方法である。本方法により調製される免疫グロブリンは、本発明のさらなる態様の1つである。本発明の免疫グロブリン及び薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物は、HPV感染症の治療又は予防のための薬剤の製造に用いられうる本発明のさらなる態様の1つである。有効量の本発明の医薬調製物を患者に投与する工程を含むHPV感染症の治療又は予防方法は、本発明のさらなる態様の1つである。
【0157】
ポリクローナル抗体作製のための接種材料は典型的には、抗原性組成物を、生理食塩水又はヒトへの使用に適した他のアジュバント等の生理学的に許容可能な希釈剤に分散させ、水性組成物を形成することで調製される。免疫活性化量の接種材料が、例えばヒト等の哺乳動物に投与され、接種を受けた患者は、抗原性組成物が防御抗体を誘導するのに十分な時間維持される。かかる抗体は、アフィニティークロマトグラフィー等の良く知られた技術により所望量が単離されうる(Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual 1988)。
【0158】
抗体には、例えばヤギ、霊長類、ロバ、ブタ、ウマ、モルモット、ラット、又はヒト等の様々な通常使用される動物に由来する抗血清調製物が含まれうる。これら動物から採血され、血清が回収される。
【0159】
本発明に従って作製される免疫グロブリンは、全抗体、抗体断片、又は抗体小断片を含みうる。抗体は、例えばIgG、IgM、IgA、IgD、若しくはIgE等のあらゆるクラスの免疫グロブリン全体、キメラ抗体、又は本発明の2つ以上の抗原に対して二重特異性を有するハイブリッド抗体でありうる。かかる免疫グロブリンはまた、例えばF(ab’)2、Fab’、Fab、Fv等の断片であってもよく、これにはハイブリッド断片も含まれる。免疫グロブリンはまた、特定の抗原と結合して複合体を形成することにより抗体のように作用する、天然タンパク質、合成タンパク質、又は遺伝子操作されたタンパク質も含みうる。
【0160】
本発明のHPV組成物又はワクチンは、レシピエントに投与され、かかるレシピエントはその後、かかるHPV組成物の投与に対する応答により産生する免疫グロブリンの供給源として働く。このように処置された対象は、従来の血漿分画法により高度免疫グロブリンが採取される血漿を供与する。かかる高度免疫グロブリンは、HPV感染症に対する抵抗付与、又はHPV感染症の治療のために、別の対象に投与されると考えられる。本発明の高度免疫グロブリンは、幼児、免疫低下個体、或いは、治療が必要だが、個体がワクチン接種に対する応答により抗体を産生する時間がない場合において、HPV感染症の治療又は予防に特に有用である。
【0161】
本発明のさらに別の態様は、本発明の免疫原性組成物の成分に反応する1つ以上のモノクローナル抗体(又はその断片、好ましくはヒト若しくはヒト化モノクローナル抗体又はその断片)を含む医薬組成物であり、かかる組成物は複数のHPV型による感染症の治療又は予防に用いられうる。
【0162】
モノクローナル抗体作製方法は、当該技術分野において良く知られており、脾細胞の骨髄種細胞との融合を含みうる(Kohler and Milstein, 1975; Harlow and Lane, 1988)。また別の選択肢としては、モノクローナルFv断片が、適切なファージディスプレイライブラリをスクリーニングすることで得られる(Vaughan et al., 1998)。モノクローナル抗体は、ヒト抗体又は公知の方法によりヒト化若しくは部分的にヒト化された抗体でありうる。
[IV.キット]
【0163】
本発明のまた別の態様は、本発明のワクチン接種用又は治療用のキットである。ある実施形態において、かかるキットは、本発明の方法による投与のための複数型HPVポリペプチド組成物又はワクチンを含むバイアルを含み、また、投与法の説明のある添付文書を任意で含む。
【0164】
本明細書に記載の任意の組成物が、キットに含まれうる。例として、複数型HPVポリペプチド調製用、複数型HPVポリペプチド製剤用、及び/又は、複数型HPVポリペプチドの投与用試薬がキットに含まれうるものとして挙げられるが、これに限られるものではない。かかるキットにはさらに、インビトロ及びインビボの両方でリポペプチド活性を評価するための試薬が含まれうる。したがってかかるキットは、適切な容器手段(container means)に収められた複数型HPVポリペプチド組成物を含む。ある態様において、かかるキットには、投与のための試薬、及び/又は、例えば吸入器若しくは噴霧器等の投与装置が含まれうる。かかるキットにはまた、投与用組成物を調製するための1つ以上の緩衝剤、化合物、又は装置が含まれうる。
【0165】
本発明のキットの構成要素は、水媒質中又は凍結乾燥形態のいずれにもパッケージされうる。かかるキットの容器には一般に、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、瓶、シリンジ、又は他の容器手段が含まれ、かかる容器に構成要素が入れられ、好ましくは適切に一定量が入れられている(aliquoted)。前記キットに2つ以上の構成要素がある場合、かかるキットがまた一般に、追加の構成要素を別々に入れられる第2、第3、又は他の追加の容器を含むことも考えられる。しかしながら、様々な組合せの構成要素が、1つのバイアルに含まれてもよい。本発明のキットにはまた、典型的には、かかる容器を市販のため厳重に密封した収容手段が含まれる。かかる収容体には、所望のバイアルが内部に保持された、射出成形又は中空成形プラスチック容器が含まれうる。
【0166】
前記キットの構成要素が1つ以上の溶液として提供される場合、かかる溶液は水溶液であり、特に好ましくは無菌水溶液である。しかしながら、前記キットの構成要素は、乾燥粉末としても提供されうる。試薬及び/又は構成要素が乾燥粉末として提供される場合、かかる粉末は適切な溶剤の付加により再構成されうる。かかる溶剤もまた、別の容器手段で提供されうるということが考慮される。
【0167】
他の態様において、キット又は装置には、本発明のポリペプチドに対するポリクローナル又はモノクローナル抗体が含まれうる。かかるキット又は装置は、様々な試料又は患者において、ウイルスを検出、同定、又は精製するために用いられうる。
【0168】
キットにはまた、キットの構成成分の利用及びかかるキットに含まれないその他の任意の試薬の使用に関する使用説明書が含まれている。使用説明書には、実施できるバリエーションが含まれている。
【0169】
かかる試薬が本発明のキットの実施形態であるということが考慮される。しかしながら、かかるキットは、上記の特定の品目に限られず、複数型HPVポリペプチドワクチンの調製及び/又は投与のために用いられる任意の試薬を含みうる。

[V.実施例]
【0170】
以下の実施例は、本発明の様々な実施形態を例証する目的で記載されるのであり、本発明をいかなる仕方でも限定することは意図されていない。本実施例に内在的な目標、目的及び利点と共に、本実施例に言及されている目標を実行し、目的と利点を達成するために本発明が適切に構成されているということを、当業者は容易に認識する。本実施例は、本明細書記載の方法と共に、好ましい実施形態の現在の代表例であり、典型例であって、本発明の範囲の限定を意図するものではない。特許請求の範囲により定義される本明細書の趣旨に包含される本実施例の改変及び他の使用法を、当業者は認識する。
[A.結果]
【実施例1】
【0171】
文献の研究で用いられた残基番号11〜200及び1〜88を含むL2ワクチンが、免疫原性の考察に基づいてではなく、便利なため、制限部位に基づいて選択された(Campo and Jarrett, 1994; Roden et al., 1994)。したがって、これらL2ワクチンは、関連中和エピトープの全てを含まない(not contain all of)、或いは、最適な免疫原性及び安定性を有しない可能性がある。しかしながら、これらの研究は、L2特異的中和抗体の存在が防御免疫に十分であることを示す(Embers et al., 2002; Gambhira et al., 2007)。実際に、L2 11‐200の接種により、BPV4、CRPV及びROPV曝露モデルにおいて交差中和抗体及び防御が誘発される(Gambhira et al., 2007; Campo and Jarrett, 1994)。L2 1〜88ペプチド接種もまた防御をもたらしたが、L2 11‐200を接種した動物と比較して、交差中和及び交差防御が効果的でない可能性があるという示唆もあった(Gambhira et al., 2007)。こうした見解に一致して、残基番号94〜112及び107〜122に由来するL2ペプチドの接種はどちらも、同種の曝露に対する防御をもたらした(Embers et al., 2002)。したがって、これらの領域をL2ワクチンに含めることの利益を評価するため、残基番号88、107、又は200を終点とするワクチン研究用N末端L2ポリペプチドを作製した(表1)。
【0172】
【表1】

【0173】
感染させるためにはL2が必要であり(Roden et al., 2001)、これは複数の異なる機能を有する場合がある(Richards et al., 2006; Bossis et al., 2005; Kamper et al., 2006)。感染中、L2は残基番号1〜13を除去するためフューリンにより切断されなければならず(Richards et al., 2006)、このことによって保存された中和エピトープ(残基番号17〜36の間)にモノクローナル抗体RG‐1が接触しやすくなる(Day et al., 2008)。さらに、L2 1〜88又は11〜200ポリペプチドに対する抗血清は、皮膚感染型のみならず粘膜感染型のパピローマウイルスも中和する(Pastrana et al., 2005)。したがって、残基番号1、11、13又は89を始点とするN末端L2ポリペプチドをワクチン研究用に作製した(表1)。
【実施例2】
【0174】
モノマー及び複数型L2ポリペプチドを接種したウサギにおける応答
交差中和エピトープのマッピングのため、ワクチン研究用に7つのHPV16 L2ポリペプチド(表1)を6‐Hisタグを付けて大腸菌内で発現させ、アフィニティー精製した。全てのポリペプチドが容易に精製された一方で、HPV16 L2 13〜88及び89〜200は貯蔵中に不安定だった。ウサギに5回、初回接種ではCFA中、追加接種ではIFA中で、各ポリペプチドを300μg接種した。各回の接種の成功が、まずHPV16 L2全長ELISA及びHPV 16 L1/L2偽ウイルス粒子ELISAで高度免疫血清をテストすることで検証された。各HPV16 L2ポリペプチドについて高力価の血清抗体が産生していたが、L2 13〜88及び89〜200という2つの不安定抗原に対する抗血清で、HPV16偽ウイルス粒子に対する力価が低かった。次に、HPV16中和力価並びにHPV6、HPV18、HPV31、HPV45、及びHPV58交差中和力価が、L2ポリペプチドにより誘導された各ウサギ抗血清について決定された。文献の研究(Gambhira et al., 2007)と一致して、HPV16 L2 11〜200及び1〜88ペプチドは、HPV16中和抗体の強力価を誘導した。同様に、強いHPV16中和抗体力価が、HPV16 L2 13〜200、1〜107、及び13〜107に対する抗血清で観察された。HPV16 L2 89〜200の接種では、かなり弱い中和応答が生じたが、2匹のウサギのうち1匹では高いL2 ELISA力価で抗体が誘導された。様々なHPV16 L2ペプチドにより誘導されたL2特異的抗血清は、HPV16のみならず、発癌性であるHPV18、HPV31、HPV45、及びHPV58を含む、テストされた多様な異種パピローマウイルス型を中和した(表2)。しかしながら、力価とHPV16からの進化的距離との間に明確な相関はなかったものの、HPV16に対する中和抗体力価は、他の型に対するよりも有意に高かった。
【0175】
【表2】

【0176】
代替のどのHPV16 L2ペプチドでも、異種ウイルスに対する中和力価が実質的に上昇しなかったので、様々な医学的に重要なHPV遺伝子型に由来する複数の相同L2ペプチドからなる連結融合タンパク質を検討した。本研究及び先行研究の結果に基づき、HPV16 L2 17〜36、11〜88、及び11〜200に相当するL2ポリペプチドが融合コンストラクトのために選択された。サイズの大きい組換えタンパク質はしばしば細菌での作製効率が低いので、複数型コンストラクトを、表2に示すように、11〜200のコピーを3個含むもの(11〜200x3と呼ぶ)、11〜88のコピーを5個含むもの(11〜88x5と呼ぶ)、及び17〜36のコピーを22個含むもの(17〜36x22と呼ぶ)についてテストした。これらは各々、医学的関連のある様々なHPV遺伝子型に由来する(de Villiers et al., 2004)。かかるタンパク質をHPV16 L2ポリペプチドについて記載したのと同様に、大腸菌内で発現させ、変成条件下でアフィニティー精製し、ウサギへの接種に用いた。CFA/IFAアジュバント中の各複数型L2融合タンパク質(11〜200x3、11〜88x5、及び17〜36x22)のウサギへの接種により、HPV16中和力価を損なうことなく、単一型L2ペプチド(表1A)と比較して、より強い中和力価(表1B)が誘導された。特に11〜88x5により、この融合タンパク質を得るのに用いられなかった3つ(HPV31、45、及び58)を含む、全てのテストされたHPV型に対する著しく高い中和抗体力価が誘導された。
【実施例3】
【0177】
Gardasil(商標)を接種したウサギにおける応答
L1 VLPの接種により、例えばHPV18及びHPV45等の極めて近縁なパピローマウイルス型を交差中和する抗体を誘導することができる(Smith et al., 2007; Lin et al., 1992; Richards et al., 2006)。したがって、2つ異なる濃度のGardasil(商標)(ミョウバン中に調製)の接種により生じる交差中和抗体レベルを、CFA/IFA中に調製された複数型L2タンパク質と比較することを試みた(表3)。Gardasil(商標)の接種により、このワクチンに含まれる発癌性HPVであるHPV16及びHPV18に対する高い中和抗体力価が生じた。L2融合タンパク質によりHPV16及びHPV18に対するさらに高い力価が生じているが、これは抗原量が多かったことと、より強力なアジュバントを用いたことで生じたものである。Gardasil(商標)を接種したウサギの血清は、一様に有意なレベルのHPV45中和抗体を含み、HPV31中和抗体を含むこともあるが、HPV58中和抗体力価は検出できなかった。このように、Gardasil(商標)に含まれないHPV型に対する中和抗体力価は、Gardasil(商標)接種後にはるかに低いか、散発的であるか、又は検出不能である。
【0178】
【表3】

【実施例4】
【0179】
モノマー及び複数型L2ポリペプチドを接種したマウスの応答
マウスをHPV偽ウイルス粒子に曝露し、感染をルシフェラーゼ等のレポーターの送達により定量化できる(Gambhira et al., 2007; Roberts et al., 2007)。マウスに3回、各回に2週間の間隔を置いて、残基番号17〜36、1〜88、又は11〜200を含むHPV16 L2ポリペプチド、或いは、11〜200x3、11〜88x5又は17〜36x22の3つの連結複数型L2融合タンパク質のうちの1つを、サポニン基剤のGPI‐0100アジュバントを用いて接種した(Marciani et al., 2000)。2週間後にマウスの血清を回収し、HPV16、HPV18、HPV45、HPV58(4つの一般的な発癌性HPV型)、及びHPV6(良性陰部疣贅に見られる最も一般的な型)についてインビトロ中和力価を決定した。ウサギで観察されたように、HPV16 L2 1〜88又はHPV16 L2 11〜200の接種により、同種ウイルス型であるHPV16に対する中和抗体の有意な力価が誘導された。しかしながら、HPV L2 17〜36の残基を含む合成ペプチドの接種によって、中和抗体又はL2特異的抗体(図示せず)は誘導されなかった。おそらく、かかるペプチドがこのマウス系統のTヘルパーエピトープを欠いているためであると考えられる(Alphs et al., 2008)。陽性対照であるアジュバント非在下のHPV16 L1 VLPの接種は、HPV16 L2コンストラクトよりもさらに高い力価を誘導した。対照的に、HPV45 L1 VLPの接種によってHPV16中和抗体は誘導されず、これはL1 VLPワクチンの型限定的応答と整合的である(図1)。L2 11〜88x5コンストラクトにより、HPV16 L2 1〜88よりも高いHPV16中和抗体力価が生じたが、同じことはHPV16 L2 11〜200対11〜200x3については見られなかった。17〜36x22はさらに効果が低く(図1)、これはおそらくT細胞のヘルプが弱い結果である(Alphs et al., 2008)。驚くべきことに、HPV16 L2ポリペプチドを接種したマウスにおいて観察される交差中和抗体応答は、同じワクチンを接種したウサギにおいて生じるものより弱い。しかしながら、複数型L2をHPV16 L2 11〜200及び1〜88コンストラクトと比較する場合、11〜200x3及び11〜88x5の接種は、HPV6、HPV18、HPV45、及びHPV58に対する中和抗体をはるかに効果的に誘導する(図1)。注目すべきは、11〜200x3及び11〜88x5ポリペプチドが、HPV45又はHPV58由来のいずれの配列も含まないにもかかわらず、有意な交差中和が観察された点である。
【実施例5】
【0180】
アジュバント化L2複数型ポリペプチド
例えば、免疫活性化配列(ISS)1018、Toll様受容体9を活性化するオリゴヌクレオチド(Halperin et al., 2005; Halperin et al., 2003)、及びサポニン基剤のアジュバントGPI‐0100(Marciani et al., 2003; Slovin et al., 2005)等の、ミョウバンよりも効果的である、又はそれを補完する可能性を持つ、複数のアジュバントがワクチン臨床試験において有望であることが示された。特定のアジュバントが、複数型L2ワクチンと共に調製された際にHPV中和抗体をより効果的に誘導するかどうかを検討するため、様々なアジュバント及びそれらの組合せの中で調製された25μgの11〜200x3に対する免疫応答を突き合わせて比較した。3回目の接種の2週間後にマウスから血清を得て、HPV16、HPV18、HPV45、及びHPV58のインビトロ中和力価が測定された(図2)。インビトロ中和力価は、各アジュバント群を通して互いに著しく類似しており、この時点でミョウバン中の11〜200x3の調製物より顕著に優れた調製物は存在しなかった。
【実施例6】
【0181】
最高力価を高めることに加えて、アジュバントは抗体応答の存続時間も延長することができる。液性応答が弱まるにつれてアジュバント間の違いがより明確になる可能性を評価するため、マウスを接種4ヶ月後にHPV16偽ウイルス粒子に曝露した。ルシフェラーゼレポーターを担持するHPV16偽ウイルス粒子の投与の3日後に、ルシフェラーゼの基質であるルシフェリンを曝露マウスに注射し、生物発光シグナルとして皮膚感染を検出した。一元配置分散分析(one-way analysis of variance)(ボンフェローニ比較法を用いたANOVA)によって、11〜200x3のみによるHPV16感染からの防御とPBS対照接種による防御との間に有意差があることが示された(P<0.05、表4)。テストされたどのアジュバント中の11〜200x3の接種も、PBS対照接種との間の有意差がさらに大きかった(P<0.001、表4)。特に、11〜200x3にミョウバン+ISS1018を加えて調製されたものは、11〜200x3のみよりも効果的だった(P<0.01)。11〜200x3と共にテストされたGPI‐0100調製物は、11〜200x3のみ(P<0.001)又はミョウバンと組み合わされた11〜200x3(P<0.01)よりも効果的だった。ミョウバンのみ又はISS1018のみを11〜200x3と共に使用した場合、かかるタンパク質のみの場合と比較して統計的有意差は観察されなかった。
【実施例7】
【0182】
HPV16 L1 VLPのみの接種でも、11〜200x3にミョウバン+ISS1018又はGPI‐0100を加えたものを接種した場合と同様のレベルの防御が与えられるが、HPV45 L1 VLPのみではそれは与えられない(P<0.001、図示せず)。そこで、マウスへのGardasil(商標)の接種により誘導されるインビトロ中和抗体力価を、アジュバントGPI‐0100中の11〜200x3又は11〜88x5のいずれかのマウスへの接種により誘導される力価と比較することを試みた。Gardasil(商標)にはHPV16及びHPV18のためにL1 VLPが含まれており、HPV16及びHPV18に対して生じるインビトロ中和力価は、どの複数型L2コンストラクトを接種したマウスと比較しても、Gardasil(商標)を接種したマウスの血清中の力価の方が有意に高かった。しかしながら、Gardasil(商標)を接種したマウスの血清中には、HPV45又はHPV58中和抗体は一切検出されなかった(図4)。対照的に、11〜200x3又は11〜88x5のいずれを接種したマウスの血清中にも、どちらのコンストラクトもHPV45又はHPV58に由来するL2配列を含まないにもかかわらず、強い中和抗体力価が検出された。
【実施例8】
【0183】
ミョウバン、GPI‐0100、及び免疫活性化配列1018(Toll様受容体9を活性化するCpGオリゴヌクレオチド)を含む複数のアジュバントが臨床試験でテストされ、有効かつ安全であると示されてきた。ポリマーL2ワクチンが特定のアジュバントを必要とするかどうか、並びに、アジュバントがポリマーL2ワクチンにより生じる中和抗体応答をどの程度後押しするのかを検討するため、複数のアジュバントを突き合わせて検討した。このため、マウスに様々なアジュバント中のL2 11〜200x3の2514又はアジュバントのみを接種した。各群は以下の通りである。(1)ミョウバンのみ(1.3mg/マウスの水酸化アルミニウム、Sigma社製A-8222)、(2)CpG1018のみ(10μg/マウス)、(3)PBS、(4)11〜200x3のみ、(5)11〜200x3+ミョウバン(50%スラリー)、(6)11〜200x3+CpG1018(10μg/マウス、Dynavax社製, Berkley, CA)、(7)11〜200x3+GPI‐0100(50μg/マウス、Hawaii Biotech社製, Maui, HI)、(8)11〜200x3+GPI‐0100(200μg/マウス)、(9)11〜200x3+GPI‐0100(50μg/マウス)+Tween 40(1mg/マウス、Sigma社製P-1504)、(10)11〜200x3+ミョウバン+CpG1018(10μg/マウス)。最終回の接種2週間後に血清を採取して、HPV6、HPV16、及びHPV18に関してインビトロ中和をテストした。インビトロ中和力価は、タンパク質のみと比較して、各アジュバント群を通して互いに顕著に類似しており、ポリマーL2タンパク質のみで免疫原性であること、並びに、どの特定のアジュバントもワクチン接種後すぐの広範な中和抗体応答には必要とされないことを示唆する。
【0184】
【表4】


[B.方法]
【実施例9】
【0185】
抗原調製
HPV16 L2ポリペプチド発現コンストラクトは、文献の記載に従いPCR法により作製された(Pastrana et al., 2005)。複数型L2コンストラクトは、最低自由エネルギー計算により大腸菌発現のためにコドン最適化され、クローニングを容易にするため5’ BamHI部位及び3’ XhoI部位と共にBlue Heron Inc.社により合成された。L2遺伝子はpET28aベクター(Novagen社製)へとサブクローニングされ、大腸菌BL21(Rosetta cells, Novagen社製)中でヘキサヒスチジン(6‐His)タグ化組換えポリペプチドを発現させた(Pastrana et al., 2005)。組換えL2ポリペプチドを、8M尿素中でニッケルニトリロ三酢酸(Ni‐NTA)カラム(Qiagen社製)に結合させることで(変性条件用のQiaExpressionist標準精製プロトコルを用いて)アフィニティー精製し、Dulbeccoのリン酸緩衝食塩水(PBS)に対しカセット(Pierce社製)中で透析した。純度はSDS‐PAGEにより観察され、タンパク質濃度はウシ血清アルブミン標準を用いてビシンコニン酸試験(Pierce社製)により決定された。
【実施例10】
【0186】
酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)
イモビロンプレート(Nune社製)を4℃で一晩、大腸菌内で調製された100ng/ウェルの6His‐HPV16 L2又は299TT細胞内で作製されPBSで希釈されたHPV16 L1/L2偽ウイルス粒子でコーティングした。その後ウェルを1時間室温で、1%ウシ血清アルブミン(BSA)‐PBSでブロッキングし、さらに1時間室温で、抗血清の2倍希釈液で培養した。PBS‐0.01%(v/v)Tween 20による洗浄工程の後、1%BSA‐PBS中で1:5000に希釈されたペルオキシダーゼ標識化ヤギ抗ウサギIgG(KPL Inc社製, Gaithersburg, MD)を1時間にわたって加えた。その後プレートを再び洗浄し、2,2’‐アジノ‐ビス(3‐エチルベンズチアゾリン‐6‐スルホン酸)溶液(Roche社製)で10分間展開した(Viscidi et al., 2005)。405nmの吸光度(A405)をELISAプレートリーダー(Bio-rad社製Benchmark Plus)で測定した。
【実施例11】
【0187】
中和アッセイ
パピローマウイルス偽ウイルス粒子インビトロ中和アッセイが文献の記載に従って行われ(Pastrana et al., 2004)、精製上清中の分泌アルカリホスファターゼ活性が、ジエタノールアミン中に溶解されたp‐ニトロフェニルリン酸(Sigma社製, St. Louis, MO)及び405nmの吸光度測定を用いて決定された。偽ウイルス粒子調製のためのコンストラクト及び詳細なプロトコルは、インターネット上(home.ccr.cancer.gov/lco/)で見ることができる。力価は、A405の50%減少を引き起こした最大希釈率の逆数として定義され、50を下回る力価は有意とみなされなかった。
【0188】
動物実験
実験は、Jphons Hopkins動物実験委員会、及び施設内動物倫理委員会(IAEC、インド)の承認を得て、委員会の方針にしたがって実施された。Balb/cマウス(NCI Frederick製)を5匹ごとのグループに分け、2週間の間隔で3回、記載されたアジュバント中25μgの抗原(又は化学合成により調製したHPV16 L2 17〜36ペプチド(Sigma社製))を皮下注射により接種した。最終免疫から2週間後、尾静脈採血により血液試料を得た。ウサギに対し、初回は完全フロイントアジュバント中、次回からは不完全フロイントアジュバント中、300μgのL2ポリペプチドを、1、28、42、60、及び76日目に接種した。12μg又は30μgのGARDASIL(商標)の接種は、1、21、35、及び56日目に実施した。最終追加免疫の1週間後にウサギから採血した。
【0189】
皮膚のHPV曝露
麻酔したBALB/cマウスの胴体腹側の皮膚の一部分を、上皮を傷つけないように電気カミソリで剃毛した。かかる剃毛した皮膚の一部分に、0.6%カルボキシメチルセルロース(CMC、Sigma社製)10μl中、pYLUCを含む偽ウイルス粒子3×10(100ng)を適用することにより曝露を実施した。3日後、再度マウスを麻酔し、ルシフェリン(7mg/mlのもの10μl)を注射し、その画像をIVIS 200 生物発光画像システム(Xenogen社製、Cranbury NJ)を用いて10分間の画像を取得した。ウイルス接種部位を含む同じ大きさの領域を、Living Image 2.20ソフトウェア(Xenogen社製)を用いて分析し、L2を欠如する非感染性HPV偽ウイルスでの曝露による、バックグラウンドの生物発光を測定した。
【0190】
統計的方法
マウスモデルにおける力価及び感染レベルのグループ間比較は、ボンフェローニ比較法を用いた一元配置ANOVAによって実施した(グラフパッドプリズム、バージョン4)。
【0191】
(参考文献)
以下の参考文献は、本明細書の記載を補完する例示的な方法又はその他の詳細を提供する範囲で、具体的に本明細書に参照により組み込まれる。

米国特許公報第3,791,932号
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米国公開特許公報第2004/0033585号
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
感染性生物の少なくとも2つの単離体に由来する少なくとも2つの相同免疫原性ペプチドを含む単離ポリペプチド組成物であって、第1の免疫原性ペプチドが、感染性生物の第2の単離体に由来する第2の相同免疫原性ペプチドに機能可能に結合された単離ポリペプチド組成物。
【請求項2】
免疫原性ペプチドが直線状に配置された、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
免疫原性ペプチドがリンカー部分を介して機能可能に結合された、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項4】
ポリペプチドが融合タンパク質である、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項5】
融合タンパク質が免疫原性ペプチドと連結したペプチドリンカーを含む、請求項4に記載のポリペプチド。
【請求項6】
感染性生物が性感染生物である、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項7】
性感染生物が、パピローマウイルス(PV)、 サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス、B型肝炎、ヒト免疫不全ウイルス(HIV/AIDS)、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV/HHV8)、ヘモフィルス・デュクレイ(Haemophilus ducreyi)、鼠径肉芽腫(Granuloma inguinale)、カリマトバクテリウム・グラヌロマティス(Calymmatobacterium granulomatis)、ナイセリア・ゴノレエ(Neisseria gonorrhoeae)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、
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(Ureaplasma urealyticum)、マイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma hominis)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、及びトレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)から選択される、請求項6に記載のポリペプチド。
【請求項8】
感染性生物がパピローマウイルスである、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項9】
パピローマウイルスが、α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、ι、κ、λ、μ、ν、ξ、ο、及びπパピローマウイルスから選択されるパピローマウイルス属に属する、請求項8のポリペプチド。
【請求項10】
感染性生物がヒトパピローマウイルス(HPV)である、請求項8に記載のポリペプチド。
【請求項11】
HPVが皮膚感染型HPVである、請求項10に記載のポリペプチド。
【請求項12】
HPVが粘膜感染型高リスクHPVである、請求項10に記載のポリペプチド。
【請求項13】
免疫原性ペプチドが、HPV1、HPV2、HPV3、HPV4、HPV5、HPV6、HPV7、HPV8、HPV9、HPVl0、HPV11、HPV12、HPV13、HPV14、HPV15、 HPV16、HPV17、HPV18、HPV19、HPV20、HPV21、HPV22、HPV23、HPV24、HPV25、HPV26、HPV27、HPV28、HPV29、HPV30、HPV31、HPV32、HPV33、HPV34、HPV35、HPV36、HPV37、HPV38、HPV39、HPV40、HPV41、HPV42、HPV43、HPV44、HPV45、HPV46、HPV47、HPV48、HPV49、HPV50、HPV51、HPV52、HPV53、HPV54、HPV55、HPV56、HPV57、HPV58、HPV59、HPV60、HPV61、HPV62、HPV63、HPV64、HPV65、HPV66、HPV67、HPV68、HPV69、HPV70、HPV71、HPV72、HPV73、HPV74、HPV75、HPV76、HPV77、HPV78、HPV79、HPV80、HPV81、HPV82、HPV83、HPV84、HPV85、HPV86、HPV87、HPV88、HPV89、HPV90、HPV91、HPV92、HPV93、HPV94、HPV95、HPV96、HPV97、HPV98、HPV99、及びHPV100ポリペプチドのうちから選択される1又は2以上の免疫原性HPVペプチドである、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項14】
免疫原性ペプチドが、HPV1、HPV2、HPV5、HPV6、HPV8、HPV11、HPV16、HPV18、HPV31、HPV33、HPV35、HPV39、HPV45、HPV51、HPV52、HPV56、HPV58、HPV59、HPV68、HPV73及びHPV82ポリペプチドのうちから選択される1又は2以上の免疫原性HPVペプチドである、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項15】
免疫原性ペプチドが、HPV6、HPV16、HPV18、HPV31、HPV39、HPV51、HPV56及びHPV73ポリペプチドのうちから選択される1又は2以上の免疫原性HPVペプチドである、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項16】
免疫原性ペプチドが、HPV1、HPV5、HPV6、HPV16、及びHPV18ポリペプチドのうちから選択される1又は2以上の免疫原性HPVペプチドである、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項17】
免疫原性ペプチドが、HPV6、HPV16、及びHPV18ペプチドのうちから選択される1又は2以上の免疫原性HPVペプチドである、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項18】
免疫原性HPVペプチドがHPV L2ポリペプチド断片である、請求項13に記載のポリペプチド。
【請求項19】
HPV L2ペプチド断片が、配列番号1のアミノ酸位置13〜45、17〜36、1〜88、11〜88、又は11〜200に相当する、請求項13に記載のポリペプチド。
【請求項20】
少なくとも1つのHPV L2ペプチドがHPV16 L2ペプチドである、請求項18に記載のポリペプチド。
【請求項21】
少なくとも1つのHPV L2ペプチドがHPV18 L2ペプチドである、請求項18に記載のポリペプチド。
【請求項22】
少なくとも1つのHPV L2ペプチドがHPV6 L2ペプチドである、請求項18に記載のポリペプチド。
【請求項23】
少なくとも1つのHPV L2ペプチドがHPV45 L2ペプチドである、請求項18に記載のポリペプチド。
【請求項24】
少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、又は23個以上の免疫原性ペプチドを含む、請求項18のポリペプチド。
【請求項25】
少なくとも3つの免疫原性ペプチドを含む、請求項18に記載のポリペプチド。
【請求項26】
少なくとも5つの免疫原性ペプチドを含む、請求項18に記載のポリペプチド。
【請求項27】
少なくとも20個の免疫原性ペプチドを含む、請求項18に記載のポリペプチド。
【請求項28】
少なくとも1つのHPV L2ペプチドがHPV16 L2ペプチドである、請求項25に記載のポリペプチド。
【請求項29】
少なくとも1つのHPV L2ペプチドがHPV18 L2ペプチドである、請求項25に記載のポリペプチド。
【請求項30】
少なくとも1つのHPV L2ペプチドがHPV6 L2ペプチドである、請求項25に記載のポリペプチド。
【請求項31】
少なくとも1つのHPV L2ペプチドがHPV45 L2ペプチドである、請求項25に記載のポリペプチド。
【請求項32】
第1のHPV L2ペプチドがHPV16 L2ペプチドであり、第2のHPVL2ペプチドがHPV18 L2ペプチドである、請求項25に記載のポリペプチド。
【請求項33】
第1のHPV L2ペプチドがHPV16 L2ペプチドであり、第2のHPVL2ペプチドがHPV6 L2ペプチドである、請求項25に記載のポリペプチド。
【請求項34】
第1のHPV L2ペプチドがHPV18 L2ペプチドであり、第2のHPVL2ペプチドがHPV6 L2ペプチドである、請求項25に記載のポリペプチド。
【請求項35】
第1のHPV L2ペプチドがHPV16 L2ペプチドであり、第2のHPVL2ペプチドがHPV18 L2ペプチドであり、第3のHPV L2ペプチドがHPV6 L2ペプチドである、請求項25に記載のポリペプチド。
【請求項36】
HPV L2ペプチドが配列番号71〜92、94〜106、及び110〜112から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項18に記載のポリペプチド。
【請求項37】
HPV L2ペプチドが、配列番号93、107、108、109、113、又は114のアミノ酸配列と少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項38】
HPV L2ペプチドが、配列番号93、107、108、109、113、又は114のアミノ酸配列と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項39】
HPV L2ペプチドが、配列番号93、107、108、109、113、又は114のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項40】
HPV L2ペプチドが、配列番号93、107、108、109、113、又は114のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項41】
HPV L2でないペプチドをさらに含む、請求項18に記載のポリペプチド。
【請求項42】
HPV L2でないペプチドが、HPV L1ペプチド又はHPV L1タンパク質である、請求項41に記載のポリペプチド。
【請求項43】
HPV L2でないペプチドが、Th活性化エピトープ、担体タンパク質、又はアジュバントである、請求項41に記載のポリペプチド。
【請求項44】
請求項1に記載のポリペプチドを含むキット。
【請求項45】
請求項1に記載のポリペプチドをコードする核酸。
【請求項46】
請求項1に記載のポリペプチドを含む粒子組成物。
【請求項47】
粒子がウイルス粒子である、請求項46に記載の粒子組成物。
【請求項48】
粒子がウイルス様粒子である、請求項46に記載の粒子組成物。
【請求項49】
粒子がウイルスカプシドである、請求項46に記載の粒子組成物。
【請求項50】
請求項8に記載の単離ポリペプチドを有効量投与することを含む、パピローマウイルスに対する免疫応答の誘導方法。
【請求項51】
免疫応答が液性免疫応答である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
請求項8に記載のポリペプチドを有効量投与することを含む、パピローマウイルス感染症の予防方法。
【請求項53】
請求項1に記載の複数型組成物を含むキット。
【請求項54】
請求項1に記載の組成物に結合する抗体を含むキット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−502486(P2011−502486A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532323(P2010−532323)
【出願日】平成20年11月3日(2008.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/082290
【国際公開番号】WO2009/059325
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(504394146)ザ ジョンズ ホプキンス ユニバーシティ (4)
【氏名又は名称原語表記】THE JOHNS HOPKINS UNIVERSITY
【Fターム(参考)】