説明

ヒト化抗CD20抗体および使用方法

CD20発現細胞に関連する疾病および状態の治療のために使用することができるヒト化抗CD20抗体を提供する。また、このような抗体をコードする核酸、このような抗体を作製する方法、およびこのような抗体を含む組成物も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年2月16日、および2009年2月18日に出願された、それぞれ、米国仮出願第61/152,778号および第61/153,499号の利益を主張し、これらの出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
コンピュータ可読CDを介して提出された配列リストの参照
本出願は、速達便で出願され、コンピュータ可読CDの.txt形式の配列表を含む。.txtファイルは、2010年2月15日に作製された「13790−90.txt」と題される配列表を含有し、大きさは、92,065バイトである。本.txtファイルに含まれる配列表は、本明細書の一部であり、ここに、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明は、ヒト化抗CD20抗体、ならびに種々の疾病および状態の治療におけるそれらの使用に関する。本発明は、また、このような抗体をコードする核酸、このような抗体を作製する方法、およびこのような抗体を含む組成物にも関する。
【背景技術】
【0004】
ヒトCD20(ヒトBリンパ球限定分化抗原ならびにBp35とも呼ばれる)は、プレBリンパ球および成熟Bリンパ球に位置する約35キロダルトンの分子量を有する疎水性の膜貫通型タンパク質である。CD20は、血液幹細胞、プロB細胞、正常な形質細胞、または他の正常な組織には認められない。
【0005】
ヒトCD20は、悪性B細胞の90%以上の表面上に発現するが、造血性幹細胞、正常な形質細胞、骨髄、T系列、内皮、または他の非リンパ系細胞上では発現しないため、B細胞新生物の免疫療法にとって良好な標的である。B細胞枯渇が自己免疫疾病の治療に有効な戦略であることを示すように、ヒトCD20は、また、自己免疫疾病の免疫療法にとって良好な標的でもある。例えば、キメラ抗CD20抗体C2B8(RITUXAN(登録商標)として市販され、Biogen Idec Inc.およびGenentech,Inc.により販売される)であるリツキシマブは、非ホジキンリンパ腫および関節リウマチを含む、種々の適応症に承認された。
【0006】
抗体の結合時、CD20は、有意に調節も、分断もしない。単核エフェクター細胞による抗体依存性細胞媒介細胞毒性(ADCC)、補体依存性溶解、カルシウム流等の細胞内シグナルの開始、細胞成長の阻害、および細胞分化の誘発を含む、過剰の抗体エフェクター機能は、抗CD20抗体により補充されることが示されている。抗CD20抗体は、特に、例えば、IgGのFcドメイン(FcγR)の細胞発現レセプターによる強力な架橋後に、悪性B細胞株のアポトーシスを誘発することも示されている。
【0007】
抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブ、抗B1、および1F5は、B細胞株に同様のアポトーシス作用を有する。
【0008】
最近のマウスおよびキメラ抗体の制限は、ヒト抗マウス抗体(HAMA)応答およびヒト抗キメラ抗体(HACA)応答を含む。
【発明の概要】
【0009】
一態様において、
(a)
(1)Glu Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Ser Ser Leu Ser Ala Ser Val Gly Asp Arg Val Thr Ile Thr Cys Arg Ala Ser Ser Ser Leu Ser Phe Met His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Lys Ala Pro Lys Xaa45 Xaa46 Ile Tyr Ala Thr Ser Asn Leu Ala Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Xaa70 Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Gln Pro Glu Asp Phe Ala Thr Tyr Xaa86 Cys His Gln Trp Ser Ser Asn Pro Leu Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys(配列番号1)であって、
ここで、
Xaa45は、ProまたはLeuであり、
Xaa46は、TrpまたはLeuであり、
Xaa70は、TyrまたはPheであり、
Xaa86はTyrまたはPheである配列、および
(2)Glu Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Gly Thr Leu Ser Leu Ser Pro Gly Glu Arg Ala Thr Leu Ser Cys Arg Ala Ser Ser Ser Leu Ser Phe Met His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Ala Pro Arg Xaa45 Xaa46 Ile Tyr Ala Thr Ser Asn Leu Ala Ser Gly Ile Pro Ala Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Xaa70 Thr Leu Thr Ile Ser Arg Leu Glu Pro Glu Asp Phe Ala Val Tyr Phe Cys His Gln Trp Ser Ser Asn Pro Leu Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Val Glu Leu Lys(配列番号2)であって、
ここで、
Xaa45は、ProまたはLeuであり、
Xaa46は、TrpまたはLeuであり、
Xaa70は、TyrまたはPheである配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、軽鎖と、
(b)
Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ala Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Ser Tyr Asn Met His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Arg Leu Glu Trp Ile Gly Ala Ile Tyr Pro Gly Asn Gly Asp Thr Ser Tyr Asn Gln Lys Phe Lys Gly Arg Xaa68 Thr Xaa70 Thr Xaa72 Asp Xaa74 Ser Ala Asn Thr Ala Tyr Met Glu Leu Ser Ser Leu Lys Ser Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys Ala Arg Ser His Tyr Gly Ser Asn Tyr Val Asp Tyr Phe Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser(配列番号3)であって、
ここで、
Xaa68は、ValまたはAlaであり、
Xaa70は、ValまたはLeuであり、
Xaa72は、ArgまたはAlaであり、
Xaa74は、ThrまたはLysであるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、重鎖と、を含むヒト化抗体を提供し、
ヒト化抗体は、ヒトCD−20に結合する。
【0010】
別の態様において、
Glu Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Ser Ser Leu Ser Ala Ser Val Gly Asp Arg Val Thr Ile Thr Cys Arg Ala Ser Ser Ser Leu Ser Phe Met His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Lys Ala Pro Lys Xaa45 Xaa46 Ile Tyr Ala Thr Ser Asn Leu Ala Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Xaa70 Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Gln Pro Glu Asp Phe Ala Thr Tyr Xaa86 Cys His Gln Trp Ser Ser Asn Pro Leu Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys (配列番号1)
ここで、
Xaa45は、ProまたはLeuであり、
Xaa46は、TrpまたはLeuであり、
Xaa70は、TyrまたはPheであり、
Xaa86は、TyrまたはPheであるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、軽鎖を含むヒト化抗体を提供し、
ヒト化抗体は、ヒトCD−20に結合する。
【0011】
また別の態様において、
Glu Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Gly Thr Leu Ser Leu Ser Pro Gly Glu Arg Ala Thr Leu Ser Cys Arg Ala Ser Ser Ser Leu Ser Phe Met His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Ala Pro Arg Xaa45 Xaa46 Ile Tyr Ala Thr Ser Asn Leu Ala Ser Gly Ile Pro Ala Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Xaa70 Thr Leu Thr Ile Ser Arg Leu Glu Pro Glu Asp Phe Ala Val Tyr Phe Cys His Gln Trp Ser Ser Asn Pro Leu Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Val Glu Leu Lys (配列番号2)
ここで、
Xaa45は、ProまたはLeuであり、
Xaa46は、TrpまたはLeuであり、
Xaa70は、TyrまたはPheであるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、軽鎖を含むヒト化抗体を提供し、
ヒト化抗体は、ヒトCD−20に結合する。
【0012】
さらなる態様において、
Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ala Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Ser Tyr Asn Met His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Arg Leu Glu Trp Ile Gly Ala Ile Tyr Pro Gly Asn Gly Asp Thr Ser Tyr Asn Gln Lys Phe Lys Gly Arg Xaa68 Thr Xaa70 Thr Xaa72 Asp Xaa74 Ser Ala Asn Thr Ala Tyr Met Glu Leu Ser Ser Leu Lys Ser Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys Ala Arg Ser His Tyr Gly Ser Asn Tyr Val Asp Tyr Phe Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser(配列番号3)
ここで、
Xaa68は、ValまたはAlaであり、
Xaa70は、ValまたはLeuであり、
Xaa72は、ArgまたはAlaであり、
Xaa74は、ThrまたはLysであるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、重鎖を含むヒト化抗体を提供し、
ヒト化抗体は、ヒトCD−20に結合することができる。
【0013】
またさらなる態様において、対象のB細胞疾患を治療する方法を提供する。本方法は、それを必要とする対象に、治療有効量の本明細書に開示されるヒト化抗体のいずれかを投与することを含む。
【0014】
別の態様において、対象のB細胞疾患を防止する方法は、対象に、予防的有効量の本明細書に開示されるヒト化抗体のいずれかを投与することを含む。
【0015】
さらなる態様において、ヒト化抗CD20抗体組成物は、本明細書に開示されるヒト化抗体のいずれかを含み、組成物中に存在するNグリカンの少なくとも90%は、GlcNAcManGlcNAc(G0)である。
【0016】
別の態様において、本明細書に開示されるヒト化抗体のいずれか、および薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物を提供する。
【0017】
またさらなる態様において、本明細書に開示されるヒト化抗体のいずれかをコードする核酸配列を含む、単離した核酸を提供する。
【0018】
前述の単離した核酸のいずれかを含む宿主細胞も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1Aは、1F5RHAss核酸分子を生成するために使用した、種々の核酸分子(X62109シグナルペプチド、U00570フレームワーク(FR)配列、および1F5VH相補性決定領域(CDR)を含む)の核酸配列の一実施形態を提供する図である。図1Bは、1F5RHAを生成するため、U00570の受容体FR(それぞれ、配列番号80〜83、左から右)の中にグラフトされた、1F5VHからのCDR1、2、および3(それぞれ、配列番号77〜79、左から右)示す図である。
【図2】フレームワーク領域(FR)に変異を含まない、最適化した1F5RHA核酸構築体の核酸(配列番号15)およびアミノ酸配列(配列番号16)を提供する図である。
【図3】次の4つの非保存バーニャ残基:V67A;V69L;R71A;およびT73K(Kabat番号付け)で逆変異を含む、最適化した1F5RHB核酸構築体の核酸(配列番号17)およびアミノ酸配列(配列番号18)を提供する図である。
【図4】図4Aは、ヒト化抗CD20抗体である1F5RKA11ssの一例を生成するために使用した、フレームワーク領域(FR)および相補性決定領域(CDR)の配列を提供する図である。図4Bは、1F5RKA11を生成するために、FR(それぞれ、配列番号87〜90、左から右)およびCDR(それぞれ、配列番号84〜86、左から右)のアミノ酸配列を示す図である。
【図5】1F5RKA11構築体を生成するために、1F5RKA11ssに基づく最適化した抗体の例の核酸配列(配列番号30)およびアミノ酸配列(配列番号31)を提供する図である。本構築体は、FR変異を含有しない。
【図6】次の3つの非保存バーニャ残基:L46P、L47W、およびF71Y(Kabat番号付け)、およびVH/VK境界面残基Y87F(Kabat番号付け)で逆変異を含む、1F5RKA11に基づくヒト化抗体1F5RKB11の例の核酸(配列番号32)およびアミノ酸配列(配列番号33)を提供する図である。
【図7】図7Aは、ヒト化抗CD20抗体である1F5RKA12ssの一例を生成するために使用した、フレームワーク領域(FR)および相補性決定領域(CDR)の配列を提供する図である。図7Bは、1F5RKA12を生成するために、ヒトAY263415(それぞれ、配列番号94〜97、左から右)の受容体FRの中にグラフトされた、1F5VK(それぞれ、配列番号91〜93、左から右)からのCDR1、2、および3を示す図である。
【図8】1F5RKA12構築体を生成するために、1F5RKA12ssに基づく最適化した抗体の例の核酸配列(配列番号44)およびアミノ酸配列(配列番号45)を提供する図である。本構築体は、FR変異を含まない。
【図9】次の3つの非保存バーニャ残基:L46P、L47W、およびF71Y(Kabat番号付け)で逆変異を含む、1F5RKA12に基づくヒト化抗CD20抗体である1F5RKB12の例の核酸配列(配列番号46)およびアミノ酸配列(配列番号47)を提供する図である。
【図10】図10Aは、1F5RHAの変異体の例のアミノ酸配列アライメントを提供する図である。図10Bは、1F5RKA11の変異体の例のアミノ酸配列アライメントを提供する図である。図10Cは、1F5RKA12の変異体の例のアミノ酸配列アライメントを提供する図である。CDRアミノ酸残基は、「CDR1」、「CDR2」、および「CDR3」と表示されたボックスにより示され、下線付きアミノ酸は、ヒト化配列の中に導入されたマウスFW残基を示す。
【図11】1F5RKG11、1F5RKB11、1F5RKF12、1F5RKB12、および1F5RHAタンパク質からの成熟可変領域および定常領域のアミノ酸配列を提供する。図11Aは、1F5RKG11(配列番号60)の成熟可変領域および定常(下線付き)領域のアミノ酸配列を提供する図である。図11Bは、1F5RKB11(配列番号61)の成熟可変領域および定常(下線付き)領域のアミノ酸配列を提供する図である。図11Cは、1F5RKF12(配列番号62)の成熟可変領域および定常(下線付き)領域のアミノ酸配列を提供する図である。図11Dは、1F5RKB12(配列番号63)の成熟可変領域および定常(下線付き)領域のアミノ酸配列を提供する図である。図11Eは、1F5RHA(配列番号64)の成熟可変領域および定常(下線付き)領域のアミノ酸配列を提供する図である。アミノ酸配列の定常領域は、下線付きである。
【図12】図12Aは、キメラc1F5抗体(キメラ)と比較した、キメラVK×1F5RHA(RHA)およびキメラVH×(1F5RKA11、1F5RKA12、または1F5RKB11)のラジ結合アッセイの結果を提供する図である。図12Bは、リツキサンと比較した、キメラVKに関連するヒト化1F5RHA(RHA)または1F5RHB(RHB)のラジ結合アッセイの結果を提供する図である。図12Cおよび12Dは、キメラ抗体c1F5と比較した、キメラVHに関連するヒト化1F5VK型(KB11等)のラジ結合アッセイの結果を提供する図である。
【図13】図13Aおよび13Bは、1F5のキメラ型と比較した、示されるヒト化1F5カッパ鎖に関連するヒト化1F5RHAによりコードされた抗体のラジ細胞結合の例を提供する図である。測定値は、二層ウェルの平均である。
【図14】1F5のキメラ型と比較した、示されるヒト化1F5カッパ鎖に関連するヒト化1F5RHAによりコードされた抗体のラジ細胞結合の例を提供する図である。測定値は、四層ウェルの平均である。エラーバーは、四層間の標準偏差を示す。
【図15】ヒト化抗CD20抗体の幾つかの実施形態の耐熱性結果の例を提供する図である。各抗体を培地/PBSで1μg/mLに希釈し、示される温度で10分間加熱した後、ラジ細胞が室温でELISAを結合する前に、4℃に冷却する。ヒト化抗体(リツキサンとは別に)は、示されry軽鎖構築体とともに1F5RHAによりコードされる。
【図16】ヒト化抗CD20抗体の幾つかの実施形態のラジ細胞における蛍光抗体結合アッセイの平均蛍光強度の例を提供する図である。
【図17】最適化前キメラc1F5VK核酸(配列番号65)および対応するアミノ酸配列(配列番号66)の例を提供する図である。
【図18】最適化したキメラc1F5VK核酸(配列番号67)および対応するアミノ酸配列(配列番号68)の例を提供する図である。
【図19】最適化前キメラc1F5VH核酸(配列番号69)および対応するアミノ酸配列(配列番号70)の例を提供する図である。
【図20】最適化したキメラc1F5VH核酸(配列番号71)および対応するアミノ酸配列(配列番号72)の例を提供する図である。
【図21】G0グリカン構造を示す図である。
【図22】キメラc1F5VHタンパク質配列(成熟可変領域および定常領域)(配列番号73)の例を提供する図である。アミノ酸配列の定常領域は、下線付きである。
【図23】キメラc1F5VKタンパク質配列(成熟可変領域および定常領域)(配列番号74)の例を提供する図である。アミノ酸配列の定常領域は、下線付きである。
【図24】実施例5に説明される、種々の濃度の検査した抗CD20抗体のCDCアッセイの結果を示す図である。
【図25】実施例5に説明される、抗CD20抗体のラジ細胞からの解離(すなわち、オフ速度)を測定するアッセイの結果を示す図である。
【図26】実施例5に説明される、抗CD20抗体に関するオフ速度試験のうちの1つから得た半減期の棒グラフを示す図である。
【図27】種々の濃度の抗CD20抗体を使用した、B細胞枯渇アッセイの結果を示す図である。
【図28】抗CD16抗体の存在下での種々の濃度の抗CD20抗体を使用した、B細胞枯渇アッセイの結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、CD20ならびにそれらの抗体を含む組成物に結合する、またはそれらに結合することができるヒト化1F5抗体に関する。本発明は、ヒト化1F5抗体をコードする核酸分子にも関する。つまり、ヒト化抗CD20抗体およびこのような抗CD20抗体をコードする核酸分子を提供する。
【0021】
本明細書に提供される抗体およびその組成物は、リンパ腫、自己免疫疾病、および移植拒絶を含む、CD20を発現する細胞(B細胞等)に関連する疾病および状態を治療するための方法に有用である。本組成物は、ヒト化抗CD20抗体、ヒト化抗CD20抗体の抗原結合断片、およびこのような抗体の薬学的組成物を含む。本組成物は、本明細書に記載されるヒト化抗CD20抗体をコードする単離した核酸分子、ヒト化抗CD20抗体をコードする核酸分子を含むベクター、ベクターで形質転換された、またはヒト化抗体を発現する核酸分子を組み込む宿主細胞(トランスフェクトーマおよびハイブリドーマを含む)、抗CD20ヒト化抗体の薬学的製剤、およびそれらの作製および使用方法も含む。CD20を発現する細胞に関連する疾病または疾患(B細胞疾患等)を治療する、または防止するための方法も提供する。
【0022】
さらに詳細に本発明を説明する前に、最初に以下の用語を定義する。特に記載のない限り、全ての核酸配列は、5′から3′配向で、左から右に書かれ、全てのアミノ酸配列は、アミノ末端からカルボキシ末端配向で、左から右に書かれる。
【0023】
定義:
【0024】
「抗体」および「免疫グロブリン」という用語は、互換的に使用され、本明細書において、それらの最も広い意味で使用される。具体的には、本用語は、それらが所望の生物活性および機能を示す限り、モノクローナル抗体、多選択性抗体、抗体断片、および他の抗体、ならびに免疫グロブリンを含む。
【0025】
「複数の抗体断片」および「抗体断片」は、完全長抗体の一部を含み、一般に、その可変領域を含む。
【0026】
本明細書に使用される、「CD20」または「ヒトCD20」(ヒトBリンパ球限定分化抗原、Bp35とも呼ばれる)は、正常および悪性のB細胞に発現する、約35キロダルトンの分子量を有する膜貫通型リンタンパク質を指す。
【0027】
本明細書に使用される、「抗CD20抗体」は、特異的にヒトCD20を結合する抗体を意味する。
【0028】
本明細書に使用される、「キメラ抗体」とは、免疫活性または結合領域もしくは部位が、第1の種から得られる、またはそれに由来し、定常領域(無損傷、部分的、または修飾され得る)が、第2の種から得られる、あらゆる抗体を指す。例えば、標的結合領域または部位は、ヒト以外の供給源(例えば、マウスまたは霊長類)に由来し、定常領域は、ヒト抗体に由来する。
【0029】
「ヒト化抗体」とは、可変領域の一部、好ましくは、実質的に無損傷ヒト可変ドメインより小さい部分が、ヒト以外の種からの対応する配列によって置換され、かつ、修飾された可変領域が、別のタンパク質の少なくとも別の部分、好ましくは、ヒト抗体の定常領域に連結される、ヒト抗体の修飾された可変領域の少なくとも一部を含むポリペプチドを指す。「ヒト化抗体」という表現は、1つ以上の相補性決定領域(「CDR」)アミノ酸残基および/または1つ以上のフレームワーク領域(「FW」または「FR」)アミノ酸残基が、CD20に結合することができるゲッ齒または他のヒト以外の抗体の類似部位からのアミノ酸残基によって置換される、ヒト抗体を含む。「ヒト化抗体」という表現は、CD20に結合することができ、かつ実質的にヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有するFR、および実質的にヒト以外の免疫グロブリンのアミノ酸配列を有するCDRを含む、免疫グロブリンアミノ酸配列変異体またはその断片も含む。
【0030】
免疫グロブリン重鎖は、それらの内に幾つかのサブクラス(例えば、γ1〜γ4)を伴う、ガンマ(γ)、ミュー(μ)、アルファ(α)、デルタ(δ)、またはイプシロン(ε)、に分類することができる。それぞれ、IgG、IgM、IgA、IgD、またはIgEとしての抗体の分類(または「クラス」)は、免疫グロブリンへの機能的特殊化を付与する重鎖の性質により決定される。免疫グロブリンは、例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA等の、サブクラス(または「アイソタイプ」)に分類することができる。このようなアイソタイプは、良く特徴付けされており、免疫グロブリンにさらなる機能的特殊化を付与する。IgGに関して、標準免疫グロブリン分子は、2つの同一の軽鎖ポリペプチドと、2つの同一の重鎖ポリペプチドとを含む。4つの鎖は、典型的に、軽鎖が、「Y」の湾口部で始まり、可変領域に続く重鎖をまとめる「Y」配置で、ジスルフィド結合により連結される。
【0031】
2つの種類の軽鎖:カッパ(κ)またはラムダ(λ)がある。各重鎖クラスは、カッパまたはλ軽鎖のいずれかと結合することができる。一般に、軽鎖および重鎖は、相互に共有結合的に結合され、2つの重鎖の「尾」部は、免疫グロブリンがB細胞ハイブリドーマ、B細胞、または遺伝子組み換え宿主細胞のいずれかにより生成される時、共有結合ジスルフィド結合、および非共有結合により相互に結合される。重鎖において、アミノ酸配列は、Y配置のフォーク端のアミノ末端から各鎖の下部のカルボキシル末端まで伸びる。
【0032】
軽鎖および重鎖の両方は、「定常領域」および「可変領域」と呼ばれる構造的および機能的相同の領域に分割される。「定常」および「可変」という用語は、機能的に使用される。軽鎖(VまたはVL)および重鎖(VまたはVH)部の両方の可変ドメインは、抗原認識および特異性を決定する。逆に、軽鎖(C)および重鎖(CH1、CH2、またはCH3)の定常ドメインは、分泌、経胎盤性移動度、Fcレセプター結合、補体結合等の重要な生物学的特性を付与する。慣例により、定常領域ドメインの番号付けは、それらが、抗原結合部位または抗体のアミノ末端からより遠位になるにつれ、増加する。可変領域は、アミノ末端にあり、定常領域は、カルボキシル末端にある;CH3およびCドメインは、実際、それぞれ、重鎖および軽鎖のカルボキシ末端を含む。
【0033】
「相補性決定領域」、「超可変領域」、および「CDR」という表現は、抗体の軽鎖または重鎖の可変領域に認められる超可変領域または相補性決定領域(CDR)のうちの1つ以上を指す(Kabat,E.A. et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,(1987)を参照)。これらの表現は、Kabat et al.(“Sequences of Proteins of Immunological Interest,”Kabat E.,et al.,US Dept. of Health and Human Services,1983)により定義される超可変領域、または抗体の3次元構造の超可変ループ(Chothia and Lesk,J Mol.Biol.196 901−917(1987))を含む。各鎖のCDRは、フレームワーク領域により近接に保持され、他の鎖からのCDRとともに、抗原結合部位の形成に寄与する。
【0034】
「フレームワーク領域」および「FR」という表現は、抗体の軽鎖および重鎖の可変領域内のフレームワーク領域のうちの1つ以上を指す(Kabat,EA.et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,(1987)を参照)。これらの表現は、アミノ末端と第1のCDRとの間に位置する、CDR間に介在する、および第3のCDRと定常領域の始めとの間の抗体の軽鎖および重鎖の両方のこれらのアミノ酸配列を含む。
【0035】
CDRおよびFR残基は、標準配列定義(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,National Institutes of Health,Bethesda Md.(1987))、および構造定義(Chothia and Lesk,J.Mot.Biol.196:901−217(1987)など)に従い決定することができる。
【0036】
本明細書に示される場合、Kabat,E.A.,et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health, Bethesda,Md.(1987)および(1991)の番号付けスキームを参照されたい。Kabatは、表に挙げられる配列の各アミノ酸に残基番号を割り当てる方法を使用し、残基番号を割り当てる本方法は、当該分野において標準となっている。示される場合、本説明において、Kabat番号付けスキームに従う。Kabat番号付けが示されない場合、連続したアミノ酸配列の番号付けが使用される(すなわち、配列しているアミノ酸は、アミノ末端からカルボキシ末端配向で、左から右に連続した整数(1、2、3等)を使用して番号付けされる)。
【0037】
抗体の「抗原結合断片」は、CD20に結合するために、完全長の1F5抗体と基本的に同様に機能する、本明細書に開示される生物学的に活性な抗体の断片を指す。このような断片は、完全長抗体の一部、一般に、抗原結合またはその可変領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)、およびFv断片;二重特異性抗体;線形抗体;一本鎖抗体分子;ならびに抗体断片から形成される多選択性抗体が挙げられる。
【0038】
「Fv」は、完全な抗原認識部位および抗原結合部位を含む、最小抗体断片である。本断片は、密接した非共有結合会合で、1本の重鎖と1本の軽鎖の可変領域ドメインのダイマーからなる。これらの2つのドメインの折り畳みから、抗原結合のためにアミノ酸残基を提供し、抗体への抗原結合特異性を付与する6つの超可変ループ(H鎖およびL鎖からそれぞれ3ループ)を放射する。しかしならが、単一可変ドメイン(または抗原に対して3つのCDR特異的しか含まないFvの半分)は、完全な結合部位より低い親和性であるが、抗原を認識し、結合する能力を有する。
【0039】
「リツキシマブ」または「RITUXAN(登録商標)」という用語は、米国特許第5,736,137号で「C2B8」と称される抗体のアミノ酸配列を有するCD20に対して遺伝子組み換えされたキメラマウス/ヒトモノクローナル抗体を指す。
【0040】
「抗体依存細胞媒介細胞毒性」および「ADCC」とは、Fcレセプター(FcRs)(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)を発現する非特異的細胞毒性細胞が、標的細胞上で結合抗体を認識し、後に標的細胞の溶解を生じる、細胞媒介応答を指す。ADCCを媒介するための一次細胞であるNK細胞は、FcγRIIIのみを発現し、一方、単球は、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIを発現する。
【0041】
抗原またはエピトープにおける抗原の「親和性」は、当該分野において良く理解されている用語であり、抗体のエピトープへの結合の程度、または強度を意味する。親和性は、平衡解離定数(抗体のオフ速度とオン速度の割合として定義することができる、KまたはK、すなわちKoff/Kon)、見かけ平衡解離定数(KD’またはKd’)、およびIC50(競合アッセイで、50%阻害をもたらすために必要な量)を含むがこれらに限定されない、当該分野に知られる多くの方式で測定および/または表現することができ、ヒト化抗体の相対親和性も、例えば、関連するマウスまたはキメラの抗体と比較して決定することができる。本発明の目的において、親和性は、抗原またはエピトープに結合する抗体の所与の集団に対する平均親和性であることを理解する。本明細書に記載されるヒト化抗CD20抗体の親和性(または相対親和性)は、本明細書の実施例に記載される、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)または蛍光活性化細胞分類(FACS)アッセイを使用して測定することができる。
【0042】
「オフ速度」とは、抗体の抗体/抗原複合体からの解離速度定数(Koff)を意味する。したがって、低オフ速度の抗体は、高オフ速度の抗体より長く抗体に結合したままである。
【0043】
「オン速度」とは、抗体/抗原複合体を形成するための抗体の抗原への会合速度定数(Kon)を意味する。
【0044】
「有効量」とは、所望の治療または予防的結果を達成するために必要な用量および時間期間での有効量を指す。
【0045】
「治療有効量」の抗体は、個人の疾病状態、年齢、性別、および体重、ならびに個人における所望の応答を顕在化するための抗体の能力等の要因により変動してもよい。治療有効量は、治療的に有益な効果が抗体のあらゆる毒性または悪影響を上回る量でもある。「予防的有効量」とは、所望の予防的結果を達成するために必要な用量および時間期間での有効量を指す。典型的に、しかし必ずしもそうではないが、予防的用量は、疾病の前、またはその初期の段階で、対象に使用されるため、予防的な有効量は、治療有効量より少なくてもよい。
【0046】
「B細胞疾患」は、B細胞悪性病変、自己免疫疾患、B細胞白血病、および他の疾患を含むが、これらに限定されない種々の疾患を含む。
【0047】
本明細書に使用される、「自己免疫疾患」または「自己免疫疾病」とは、個人自身の組織から生じ、かつそれに対する非悪性疾病または疾患を指す。自己免疫疾病または疾患の例としては、乾癬および皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎)を含む炎症性皮膚疾病等の炎症性応答;全身性強皮症および硬化症;炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎等)に関連する応答;呼吸促迫症候群(成人呼吸促迫症候群;ARDS);皮膚炎;髄膜炎;脳炎;ブドウ膜炎;大腸炎;糸球体腎炎;湿疹および喘息等のアレルギー性病態、ならびにT細胞の浸潤および慢性炎症性応答に関与する他の病態;粥状動脈硬化;白血球粘着不全症;関節リウマチ;全身性狼瘡エリテマトーデス(SLE);真性糖尿病(例えば、I型糖尿病またはインスリン依存性糖尿病);多発性硬化症;レイノー病;自己免疫性甲状腺炎;アレルギー性脳脊髄炎;シェーグレン症候群;若年発症糖尿病;ならびに典型的に結核、類肉腫症、多発性筋炎、肉芽腫症、および血管炎に認められるサイトカインおよびTリンパ球により媒介される急性および遅延性過敏症に関連する免疫応答;悪性貧血(アジソン病);白血球血管外漏出に関与する疾病;中枢神経系(CNS)炎症性疾患;多器官傷害症候群;溶血性貧血(低温型グロブリン血症またはクームス陽性貧血を含むが、これらに限定されない);重症筋無力症;抗原−抗体複合体媒介疾病;抗糸球体基底膜疾病;抗リン脂質抗体症候群;アレルギー性神経炎;グレーブス病;ランバート−イートン筋無力症候群;水疱性類天疱瘡;天疱瘡;自己免疫多内分泌疾患;ライター病;全身硬直症候群;ベーチェット病;巨細胞動脈炎;免疫複合体腎炎;IgA腎障害;IgM多発神経炎;免疫血小板減少性紫斑症(ITP)または自己免疫血小板減少症等が挙げられるが、これらに限定されない。
ヒト化1F5抗体:
【0048】
本発明は、ヒトCD20に結合することができる、ヒト化1F5抗体およびその抗原結合断片(すなわち、ヒト化抗CD20抗体)を提供する。
【0049】
一実施形態において、
(1)Glu Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Ser Ser Leu Ser Ala Ser Val Gly Asp Arg Val Thr
Ile Thr Cys Arg Ala Ser Ser Ser Leu Ser Phe Met His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly
Lys Ala Pro Lys Xaa45 Xaa46 Ile Tyr Ala Thr Ser Asn Leu Ala Ser Gly Val Pro Ser Arg
Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Xaa70 Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Gln Pro Glu
Asp Phe Ala Thr Tyr Xaa86 Cys His Gln Trp Ser Ser Asn Pro Leu Thr Phe Gly Gly Gly
Thr Lys Val Glu Ile Lys(配列番号1)
ここで、
Xaa45は、ProまたはLeuであり、
Xaa46は、TrpまたはLeuであり、
Xaa70は、TyrまたはPheであり、
Xaa86はTyrまたはPheである配列、および
(2)Glu Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Gly Thr Leu Ser Leu Ser Pro Gly Glu Arg Ala Thr
Leu Ser Cys Arg Ala Ser Ser Ser Leu Ser Phe Met His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly
Gln Ala Pro Arg Xaa45 Xaa46 Ile Tyr Ala Thr Ser Asn Leu Ala Ser Gly Ile Pro Ala Arg
Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Xaa70 Thr Leu Thr Ile Ser Arg Leu Glu Pro Glu
Asp Phe Ala Val Tyr Phe Cys His Gln Trp Ser Ser Asn Pro Leu Thr Phe Gly Gln Gly
Thr Lys Val Glu Leu Lys(配列番号2)
ここで、
Xaa45は、ProまたはLeuであり、
Xaa46は、TrpまたはLeuであり、
Xaa70は、TyrまたはPheである配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、軽鎖を含むヒト化抗体(その抗原結合断片を含む)を提供する。
【0050】
別の実施形態において、
Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ala Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Ser Tyr Asn Met His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Arg Leu Glu Trp Ile Gly Ala Ile Tyr Pro Gly Asn Gly Asp Thr Ser Tyr Asn Gln Lys Phe Lys Gly Arg Xaa68 Thr Xaa70 Thr Xaa72 Asp Xaa74 Ser Ala Asn Thr Ala Tyr Met Glu Leu Ser Ser Leu Lys Ser Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys Ala Arg Ser His Tyr Gly Ser Asn Tyr Val Asp Tyr Phe Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser(配列番号3)
ここで、
Xaa68は、ValまたはAlaであり、
Xaa70は、ValまたはLeuであり、
Xaa72は、ArgまたはAlaであり、
Xaa74は、ThrまたはLysであるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、重鎖を含むヒト化抗体(その抗原結合断片を含む)を提供する。
【0051】
したがって、抗CD20抗体の軽鎖可変領域は、図10Bおよび10Cに記載される次のアミノ酸配列:配列番号28、49、50、51、52、53、54、42、55、56、57、58、および59を含む、種々のアミノ酸配列を有してもよい。一実施例において、抗CD20抗体の軽鎖可変領域は、配列番号49のアミノ酸配列を含む。別の実施例において、抗CD20抗体の軽鎖可変領域は、配列番号54のアミノ酸配列を含む。また別の実施例において、抗CD20抗体の軽鎖可変領域は、配列番号59のアミノ酸配列を含む。さらに別の実施例において、抗CD20抗体の軽鎖可変領域は、配列番号55のアミノ酸配列を含む。
【0052】
抗CD20抗体の重鎖可変領域は、図10Aに記載される次のアミノ酸配列:配列番号13および配列番号48を含む、種々のアミノ酸配列を有してもよい。
【0053】
一実施形態において、
(a)
(1)Glu Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Ser Ser Leu Ser Ala Ser Val Gly Asp Arg Val Thr Ile Thr Cys Arg Ala Ser Ser Ser Leu Ser Phe Met His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly
Lys Ala Pro Lys Xaa45 Xaa46 Ile Tyr Ala Thr Ser Asn Leu Ala Ser Gly Val Pro Ser Arg
Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Xaa70 Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Gln Pro Glu
Asp Phe Ala Thr Tyr Xaa86 Cys His Gln Trp Ser Ser Asn Pro Leu Thr Phe Gly Gly Gly
Thr Lys Val Glu Ile Lys(配列番号1)
ここで、
Xaa45は、ProまたはLeuであり、
Xaa46は、TrpまたはLeuであり、
Xaa70は、TyrまたはPheであり、
Xaa86はTyrまたはPheである配列、および
(2)Glu Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Gly Thr Leu Ser Leu Ser Pro Gly Glu Arg Ala Thr Leu Ser Cys Arg Ala Ser Ser Ser Leu Ser Phe Met His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly
Gln Ala Pro Arg Xaa45 Xaa46 Ile Tyr Ala Thr Ser Asn Leu Ala Ser Gly Ile Pro Ala Arg
Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Xaa70 Thr Leu Thr Ile Ser Arg Leu Glu Pro Glu
Asp Phe Ala Val Tyr Phe Cys His Gln Trp Ser Ser Asn Pro Leu Thr Phe Gly Gln Gly
Thr Lys Val Glu Leu Lys(配列番号2)
ここで、
Xaa45は、ProまたはLeuであり、
Xaa46は、TrpまたはLeuであり、
Xaa70は、TyrまたはPheである配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む軽鎖、および
(b)
Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ala Ser Val Lys Val
Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Ser Tyr Asn Met His Trp Val Arg Gln Ala
Pro Gly Gln Arg Leu Glu Trp Ile Gly Ala Ile Tyr Pro Gly Asn Gly Asp Thr Ser Tyr
Asn Gln Lys Phe Lys Gly Arg Xaa68 Thr Xaa70 Thr Xaa72 Asp Xaa74 Ser Ala Asn Thr Ala Tyr Met Glu Leu Ser Ser Leu Lys Ser Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys Ala Arg Ser His Tyr Gly Ser Asn Tyr Val Asp Tyr Phe Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser(配列番号3)
ここで、
Xaa68は、ValまたはAlaであり、
Xaa70は、ValまたはLeuであり、
Xaa72は、ArgまたはAlaであり、
Xaa74は、ThrまたはLysであるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、重鎖を含む、ヒト化抗体(その抗原結合断片を含む)を提供する。
【0054】
一実施形態において、抗CD20抗体は、(1)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む重鎖、および(2)配列番号49に記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む軽鎖を含んでもよい。
【0055】
別の実施形態において、抗CD20抗体は、(1)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む重鎖、および(2)配列番号54に記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む軽鎖を含んでもよい。
【0056】
さらに別の実施形態において、抗CD20抗体は、(1)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む重鎖、および(2)配列番号55に記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む軽鎖を含んでもよい。
【0057】
さらなる実施形態において、ヒト化抗CD20抗体は、(1)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む重鎖、および(2)配列番号59に記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む軽鎖を含んでもよい。
【0058】
本明細書のヒト化抗CD20抗体は、ヒトCD20に結合することができる。幾つかの実施形態において、ヒト化抗CD20抗体は、抗体1F5のそれと同様の親和性で(すなわち、抗体1F5がヒトCD20において有する親和性のそれと同様の親和性で)、CD20に結合する。他の実施形態において、ヒト化抗CD20抗体は、少なくとも抗体1F5と同程度の親和性で、CD20に結合する。さらに別の実施形態において、ヒト化抗CD20抗体は、抗体1F5のそれより大きい親和性で、CD20に結合する。本明細書で使用される、「抗体1F5のそれと同様の親和性」とは、当業者が、親和性間の差異が、ほとんど、または全く生物学的有意性を持たないと考えるような、抗体1F5の親和性と同様の十分に高程度の親和性を意味する。
【0059】
幾つかの実施形態において、ヒト化抗体CD20抗体は、本明細書の実施例に記載されるキメラ抗体c1F5のそれと同様の親和性で(すなわち、キメラ抗体c1F5がヒトCD20において有する親和性のそれと同様の親和性で)、CD20に結合する。他の実施形態において、ヒト化抗CD20抗体は、少なくともキメラ抗体c1F5と同程度の親和性で、CD20に結合する。さらに別の実施形態において、ヒト化抗CD20抗体は、キメラ抗体c1F5のそれより大きい親和性で、CD20に結合する。本明細書で使用される、「キメラ抗体c1F5のそれと同様の親和性」とは、当業者が、親和性間の差異が、ほとんど、または全く生物学的有意性を持たないと考えるような、キメラ抗体c1F5の親和性と同様の十分に高程度の親和性を意味する。
【0060】
幾つかの実施形態において、ヒト化抗CD20抗体は、キメラ抗体c1F5のそれより低いオフ速度で、CD20に結合する。他の実施形態において、ヒト化抗CD20抗体は、キメラ抗体c1F5のそれより低くない。
【0061】
さらなる実施形態において、ヒト化抗CD20抗体は、リツキシマブのそれより大きい親和性でCD20に結合する。他の実施形態において、ヒト化抗CD20抗体は、リツキシマブのそれより低いオフ速度で、CD20に結合する。
【0062】
抗CD20抗体は、あらゆるアイソタイプ、アロタイプ、およびイディオタイプの重鎖定常領域(またはその一部)、および/または軽鎖定常領域(またはその一部)を含んでもよい。このような重鎖および軽鎖定常領域は、自然に生じるか、または欠失、置換、または付加変異を含んでもよい。ヒト定常領域DNA配列は公知であり、種々のヒト細胞から単離することができる。重鎖および/または軽鎖上に存在する時、定常領域は、重鎖および/または軽鎖の可変領域のカルボキシル末端に結合され得る。
抗体断片
【0063】
幾つかの実施形態において、全抗体ではなく、本明細書に記載されるヒト化抗CD20抗体の断片を提供する。
【0064】
あらゆる利用可能な方法が、このような抗体断片の産生に使用することができる。従来、これらの断片は、無傷抗体のタンパク質分解を介して誘導された。しかしながら、これらの断片は、現在、組み換え宿主細胞により、直接産生することができる。Fab、Fv、およびScFv抗体断片は、全て、大腸菌で発現し、それから分泌され得、したがって、大量のこれらの断片の容易な産生を可能にする。抗体断片は、抗体ファージライブラリーから単離することができる。代替的に、Fab’−SH断片は、大腸菌から直接回収され、化学的に結合され、F(ab’)断片を形成することができる。別のアプローチによると、F(ab’)断片は、組み換え宿主細胞培養物から直接単離することができる。他の実施形態において、抗体断片は、1本鎖Fv断片(scFv)である。
【0065】
抗体断片は、本明細書に記載されるヒト化抗CD20抗体の抗原結合断片であってもよい。全抗体のあらゆる断片は、断片がCD20に結合する限り使用することができる。
二重特異性抗体
【0066】
ヒト化抗CD20抗体は、二重特異性抗体の産生にも使用することができる。二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに結合特異性を有する抗体である。代表的な二重特異性抗体は、CD20タンパク質の2つの異なるエピトープに結合してもよい。他のこのような抗体は、CD20結合部位を別のタンパク質の結合部位と組み合わせてもよい。代替的に、抗CD20結合部位は、CD20発現細胞への細胞防衛機能を集中させる、および局在化させるように、T細胞レセプター分子(例えば、CD3)、またはFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、およびFcγRIII(CD16)等のIgG(FcγR)のFcレセプター、もしくはNKG2D、もしくは他のNK細胞活性リガンド等の白血球上の誘導分子に結合するドメイン、またはアームと組み合わせることができる。二重特異性抗体は、細胞毒性剤を、CD20を発現する細胞に局在化させるために使用することができる。これらの抗体は、CD20結合アーム、および細胞毒性剤(例えば、サポリン、抗インターフェロンa、ビンカアルカロイド、リシンA鎖、メトトレキサート、または放射性アイソトープハプテン)を結合するアームを有する。二重特異性抗体は、完全長抗体または抗体断片(例えば、F(ab’)二重特異性抗体)として調製することができる。
多価の抗体
【0067】
ヒト化抗CD20抗体は、多価の抗体の産生にも使用することができる。多価性抗体は、抗体が結合する抗原を発現する細胞により、二価の抗体より速く内在化(および/または分解)され得る。ヒト化抗CD20抗体は、3つ以上の抗原結合部位(例えば、三価の抗体)を有する多価の抗体(IgMクラス以外である)であってもよく、これは、抗体のポリペプチド鎖をコードする核酸の組み換え発現により、容易に産生することができる。多価の抗体は、二量体化ドメイン、および3つ以上の抗原結合部位を含むことができる。好ましい二量体化ドメインは、Fc領域またはヒンジ領域を含む(またはそれからなる)。本シナリオにおいて、抗体は、Fc領域およびFc領域への3つ以上の抗原結合部位アミノ末端を含む。本明細書における好ましい多価の抗体は、3から約8つ、しかし、好ましくは4つの抗原結合部位を含む(またはそれらからなる)。多価の抗体は、少なくとも1本のポリペプチド鎖を含み(および2本のポリペプチド鎖を含んでもよい)、ポリペプチド鎖は、2つ以上の可変ドメインを含む。
組み換え産生方法
【0068】
ヒト化抗CD20抗体は、あらゆる利用可能な方法、例えば、組み換え発現技法等により産生することができる。任意に定常領域に連結される、軽鎖および重鎖可変領域をコードする核酸は、発現ベクターに挿入することができる。軽鎖および重鎖は、同じ、またはことなる発現ベクターにクローン化することができる。免疫グロブリン鎖をコードするDNA区域は、免疫グロブリンポリペプチドの発現を確実にする発現ベクターの制御配列に、操作可能に連結することができる。発現制御配列は、プロモータ(例えば、自然に会合した、または非相同のプロモータ)、シグナル配列、エンハンサー要素、および転写終結配列を含むが、これらに限定されない。一実施形態において、発現制御配列は、真核生物宿主細胞を形質転換する、または形質移入することができるベクターの真核生物プロモータ系である。ベクターが適切な宿主の中に組み込まれると、宿主は、高レベルのヌクレオチド配列の発現、ならびに抗体の収集および精製に適した条件下で維持される。
【0069】
発現ベクターは、エピソームとして、または宿主染色体DNAの不可欠な部分としてのいずれかで、あらゆる宿主生物において複製可能であってもよい。一実施形態において、発現ベクターは、選択マーカー(例えば、アンピシリン耐性、ハイグロマイシン耐性、テトラサイクリン耐性、またはネオマイシン耐性)を含み、所望のDNA配列で形質転換されたこれらの細胞の検出を可能にする。
【0070】
発現ベクターは、原核生物宿主細胞(例えば、大腸菌)、酵母宿主細胞、哺乳類宿主細胞、植物宿主細胞、および昆虫宿主細胞を含む、あらゆる宿主細胞からヒト化抗CD20抗体を発現するために使用することができる。
【0071】
一実施形態において、大腸菌は、ヒト化抗体の産生に使用される。このような使用に適した他の原核生物宿主は、枯草菌等の桿菌、ならびにサルモネラ、セラチア、および種々のシュードモナス種等の、他の腸内細菌を含む。これらの原核生物宿主において、発現ベクターを作製することもでき、これは、典型的に、宿主細胞(例えば、複製元)に適合する発現制御配列を含む。加えて、ラクトースプロモータ系、トリプトファン(trp)プロモータ系、βラクタマーゼプロモータ系、またはファージλからのプロモータ系等の、多くの種々の周知のプロモータが存在する。プロモータは、任意にオペレータ配列とともに、典型的に発現を制御し、転写および翻訳を開始し、完了するためのリボソーム結合部位配列等を有する。
【0072】
酵母等の他の微生物も、ヒト化抗体の発現に有用である。例えば、酵母類は、所望の発現制御配列(例えば、プロモータ)、複製元、終結配列等を有する、適切なベクターとともに酵母宿主として使用することができる。酵母発現技法に使用するためのプロモータは、3−ホスホグリセリン酸キナーゼおよび他の糖分解酵素を含む。誘導性酵母プロモータは、特に、アルコールデヒドロゲナーゼ、イソシトクロムC、ならびにマルトースおよびガラクトース利用に関与する酵素からのプロモータを含む。
【0073】
別の実施形態において、哺乳類組織細胞培養物は、ヒト化抗CD20抗体(例えば、免疫グロブリンまたはその断片をコードするポリヌクレオチド)を発現し、産生するために使用することができる。あらゆる哺乳類組織細胞は、このような方法で使用されてもよく、異種タンパク質(例えば、無傷免疫グロブリン)を分泌することができる多くの適切な宿主細胞株が、当該分野において開発され、CHO細胞株、種々のCos細胞株、HeLa細胞、好ましくは、骨髄腫細胞株、または形質転換したB細胞もしくはハイブリドーマを含む。一実施形態において、細胞は、ヒト以外である。哺乳類細胞の発現ベクターは、複製元、プロモータ、およびエンハンサー等の発現制御配列、ならびにリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位、および転写終結配列等の必要なプロセシング情報部位を含むことができる。一実施形態において、発現制御配列は、免疫グロブリン遺伝子、SV40、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス、サイトメガロウイルス等に由来するプロモータである。
【0074】
関心のポリヌクレオチド配列(例えば、配列および発現制御配列をコードする重鎖および軽鎖)を含むベクターは、周知の方法により宿主細胞の中に移植することができ、これは、細胞宿主の種類により異なる。例えば、塩化カルシウム形質移入は、通常、原核生物細胞に利用され、一方、リン酸カルシウム治療、電気穿孔、リポフェクション、遺伝子銃、またはウイルスベースの形質移入が、他の細胞宿主に使用され得る。哺乳類細胞を形質転換するために使用される他の方法は、ポリブレン、プロトプラスト融合、リポソーム、電気穿孔、および微量注入法の使用を含む。遺伝子導入動物の産生において、導入遺伝子は、受精した卵母細胞の中に微量注入されるか、または胚性幹細胞のゲノムの中に組み込まれ、このような細胞の核は、除核された卵母細胞の中に移植することができる。
【0075】
ヒト化重鎖および軽鎖をコードする核酸分子が、個別の発現ベクターにクローン化される時、ベクターは、同時導入され、無傷免疫グロブリンの発現および会合を得ることができる。発現すると、全抗体、それらのダイマー、個々の軽鎖および重鎖、または抗体の他の免疫グロブリン形態は、硫酸アンモニウム沈殿法、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、HPLC精製、ゲル電気泳動等を含む、当該分野の標準手順に従い精製することができる。少なくとも約90〜95%の均一性の実質的に純粋な免疫グロブリンは、薬学的用途用に調製することができる。別の実施形態において、少なくとも約98〜99%またはそれ以上の均一性の実質的に純粋なヒト化抗体は、薬学的製剤および方法に使用するために産生することができる。
【0076】
したがって、(a)本明細書に記載されるヒト化抗CD20抗体をコードする核酸分子を有する宿主細胞を形質転換すること、および(b)ヒト化抗CD20抗体の発現を可能にする条件下で、形質転換した宿主細胞を培養することを含む、ヒト化抗CD20抗体を発現する方法も提供する。ヒト化およびキメラ抗体を発現する宿主細胞ならびにマーカーが容易に選択できるように、ベクター上に選択マーカーを含む、公知の技法が使用することができる。
【0077】
本明細書に記載されるヒト化抗CD20抗体を産生するための好ましい一実施形態において、抗体の発現および分泌のために、形質転換したウキクサ植物またはウキクサ根粒培養物が使用される。ウキクサを形質転換し、抗体をコードする発現カセットのヌクレオチド配列を最適化するための遺伝子操作は、米国特許第6,815,184号に記載されており、その全内容は、ここに、参照により本明細書に組み込まれる。
グリコシル化
【0078】
本明細書に記載される抗CD20抗体は、グリコシル化または非グリコシル化することができる。抗CD20抗体がグリコシル化される時、存在するグリカン構造は、所望に応じて変化してもよい。例えば、ヒト化抗CD20抗体の組み換え産生用の異なる宿主細胞の使用は、抗体のグリカン構造を変化させる。
【0079】
抗体のグリカン構造は、宿主細胞株中で、RNA干渉、アンチセンス、およびノックアウト技法等の公知の技法を使用しても最適化することができる。例えば、植物細胞および/または植物が、抗CD20抗体を産生するために使用される時、未変性の抗体のNグリコシル化パターンは、α1,3−フコシルトランスフェラーゼおよびβ1,2−キシロシルトランスフェラーゼ(例えば、RNA干渉構築体を使用して)の発現を阻害するための方法を使用することにより変更することができる。このような技術および植物の例は、国際公開第WO2007/084926号に記載され、その全体が本明細書に援用される。
【0080】
したがって、一実施形態において、抗CD20抗体は、N−グリコシル化パターンが、α1,3−フコシルトランスフェラーゼおよびβ1,2−キシロシルトランスフェラーゼの発現を阻害するための方法を使用せずに植物で産生されたこのような抗体と比較して、減少したα1,3−フコースおよびβ1,2−キシロースを有するように、植物で調製することができる。
【0081】
別の実施形態において、抗CD20抗体は、フコースおよびキシロースの欠けたグリコシル化パターンを有してもよい。
【0082】
さらに別の実施形態において、抗CD20抗体は、優性にG0グリカンであるNグリコシル化パターンを有してもよい。「G0グリカン」とは、図21に示す、構造GlcNAcManGlcNAcを有する複合N連結グリカンを意味し、GlcNAcは、N−アセチルグルコサミンであり、Manは、マンノースであり、GlcNAcは、コアの1,3マンノースアームおよび1,6マンノースアームの両方に結合され、これは、抗体のアミノ酸残基に結合される。したがって、例えば、抗CD20抗体組成物は、抗CD20抗体組成物中のNグリカンの総量の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも99%が、G0グリカン種によって表される、実質的に同種のNグリコシル化特性を有してもよい。
【0083】
幾つかの免疫グロブリンは、重鎖のFc領域の保存されたN連結グリコシル化を有する。例えば、IgG型免疫グロブリンは、アスパラギン297で、N連結オリゴ糖を有するグリコシル化C2ドメインを有する。Fc領域の位置297でアスパラギンに結合するオリゴ糖中のフコース含量減少を伴う抗体は、FcのFcγRIIIに対する親和性を増強し、これは、同時に抗体のADCCを増加してもよい。
【0084】
したがって、優性にG0であるNグリコシル化特性を有する抗体は、α1,3−フコシルトランスフェラーゼの発現または機能の阻害を有さない植物で産生された抗体(したがって、より多くのα1,3−フコースを有する抗体を産生する)に対して、ADCC活性が増加してもよい。
治療方法
【0085】
その抗原結合断片を含むヒト化抗CD20抗体は、正常および悪性のB細胞発現CD20抗原等の、CD20発現細胞に関連するあらゆる疾病または疾患を有する対象の治療に使用することができる。したがって、ヒト化抗CD20抗体は、B細胞疾患の治療に有用である。
【0086】
「悪性」B細胞に関しては、低度、中程度、および高度のB細胞リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、エプスタインバーウイルス(EBV)誘発されたリンパ腫、およびAIDS関連リンパ腫、ならびにB細胞急性リンパ芽球性白血病、骨髄腫、慢性リンパ性白血病、急性骨髄芽球性白血病等を含むリンパ腫に由来するB細胞を含むが、これらに限定されないあらゆる腫瘍性B細胞を意図するものである。
【0087】
したがって、ヒト化抗CD20抗体は、自己免疫疾病および関連する状態を含む多くの悪性および非悪性疾病、ならびにB細胞リンパ腫および白血病を含むCD20陽性癌を治療するために有用である。骨髄の幹細胞(B細胞前駆体)は、CD20抗原を欠損し、治療後、数カ月内で正常レベルへのB細胞の再生、および回復を可能にする。
【0088】
抗CD20抗体を使用して治療することができる自己免疫疾病または自己免疫関連状態は、関節炎(関節リウマチ、若年性関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎)、乾癬、アトピー性皮膚炎を含む皮膚炎;慢性自己免疫蕁麻疹、多発性筋炎/皮膚筋炎、中毒性皮膚壊死症、全身性強皮症および硬化症、炎症性腸疾患(IBD)に関連する応答(クローン病、潰瘍性大腸炎)、呼吸促迫症候群、成人呼吸促迫症候群(ARDS)、髄膜炎、アレルギー性鼻炎、脳炎、ブドウ膜炎、大腸炎、糸球体腎炎、アレルギー性状態、湿疹、喘息、T細胞および慢性炎症性応答の浸潤に関与する状態、粥状動脈硬化、自己免疫心筋炎、白血球粘着不全症、全身性狼瘡エリテマトーデス(SLE)、狼瘡(腎炎、非腎性、円板状、脱毛症を含む)、若年発症糖尿病、多発性硬化症、アレルギー性脳脊髄炎、サイトカインおよびTリンパ球により媒介される急性および遅延性過敏症に関連する免疫応答、結核、類肉腫症、ウェゲナー肉芽腫症を含む肉芽腫症、無顆粒球症、血管炎(ANCAを含む)、再生不良性貧血、クームス陽性貧血、ダイアモンドブラックファン貧血、自己免疫免疫溶血性貧血(AIHA)を含む溶血性貧血、悪性貧血、赤芽球癆(PRCA)、第VIII因子欠乏症、血友病A、自己免疫好中球減少症、汎血球減少症、白血球減少症、白血球漏出に関与する疾病、CNS炎症性疾患、多器官傷害症候群、重症筋無力症、抗原−抗体複合体媒介疾病、抗糸球体基底膜疾病、抗リン脂質抗体症候群、アレルギー性神経炎、ベーチェット病、キャッスルマン病、グッドパスチャー症候群、ランバートイートン症候群、レイノー病、シェーグレン病、スティーブンジョンソン症候群、固形臓器移植の拒絶反応(高パネル反応性抗体価の前治療、組織のIgA沈着等を含む)、移植片対宿主病(GVHD)、水疱性類天疱瘡、天疱瘡(尋常性および落葉性を含む全て)、自己免疫多内分泌疾患、ライター病、全身硬直症候群、巨細胞動脈炎、免疫複合腎炎、IgA腎症、IgM多発性神経炎またはIgM媒介神経炎、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、自己免疫血小板減少症、自己免疫精巣炎および卵巣炎を含む精巣および卵巣の自己免疫疾病、原発性甲状腺機能低下症;自己免疫甲状腺炎を含む自己免疫内分泌疾病、慢性甲状腺炎(ハシモト甲状腺炎)、亜急性甲状腺炎、特発性甲状腺機能低下症、アジソン病、グレーブス病、自己免疫多腺性症候群(または多腺性内分泌疾患症候群)、I型糖尿病(インスリン依存性真性糖尿病(IDDM))、シーハン症候群、自己免疫肝炎、リンパ様間質性肺炎(HIV)、閉塞性細気管支炎(非移植)対NSIP、ギランバレー症候群、大脈管血管炎(リウマチ性多発筋痛症および巨細胞(タカヤス)動脈炎を含む)、中脈管血管炎(カワサキ病および結節性多発性動脈炎を含む)、強直性脊椎炎、ベルジェ病(IgA腎症)、急性進行性糸球体腎炎、原発性胆汁性肝硬変セリアック病(グルテン腸症)、クリオグロブリン血症、ALS、冠動脈疾患を含む。
【0089】
本明細書に記載されるヒト化抗CD20抗体を使用して治療することができるCD20陽性癌は、細胞表面上にCD20を発現する細胞の異常増殖を含むものを含む。CD20陽性B細胞腫瘍は、リンパ球優性ホジキン病(LPHD)を含むCD20陽性ホジキン病;非ホジキンリンパ腫(NHL);濾胞性中心細胞(FCC)リンパ腫;急性リンパ性白血病(ALL);慢性リンパ性白血病(CLL);および毛様細胞白血病を含む。非ホジキンリンパ腫は、低度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、中程度/濾胞性NHL、中程度のびまん性NHL、高度の免疫芽球性NHL、高度のリンパ芽球性NHL、高度の小型非切断細胞NHL、巨大腫瘤NHL、形質細胞様リンパ球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む。これらの癌の再発治療も考えられる。
【0090】
幾つかの実施形態において、ヒト化抗CD20抗体は、非ホジキンリンパ腫(NHL)、リンパ球優性ホジキン病(LPHD)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、慢性リンパ性白血病、関節リウマチおよび若年関節リウマチ、全身性狼瘡エリテマトーデス(SLE)、ウェゲナー病、炎症性腸疾患、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、自己免疫血小板減少症、多発性硬化症、乾癬、IgA腎症、IgM多発性神経炎、重症筋無力症、血管炎、真性糖尿病、レイノー症候群、シェーグレン症候群、および糸球体腎炎を治療するために使用することができる。
【0091】
本明細書に記載されるヒト化抗CD20抗体は、例えば、再発または難治性の低度または濾胞性、CD20陽性、B細胞NHLの単剤治療として有用であるか、または多剤レジメンにおいて、他の薬剤と併用して患者に投与することができる。
【0092】
当該分野の医師が精通しているであろう治療される適応症および用量に関する要因により、ヒト化抗CD20抗体は、毒性および副作用を最小にしながら、その適応症の治療に有効である用量で投与することができる。CD20陽性癌または自己免疫疾病の治療において、より高いまたは低い投与量も使用することができるが、治療有効量は、約100mg/mから約600mg/mの範囲であってもよい。異なる実施形態において、用量は、100mg/投与量、125mg/投与量、150mg/投与量、175mg/投与量、200mg/投与量、225mg/投与量、250mg/投与量、275mg/投与量、300mg、325mg/投与量、350mg/投与量、375mg/投与量、400mg/投与量、425mg/投与量、450mg/投与量、475mg/投与量、500mg/投与量、525mg/投与量、550mg/投与量、575mg/投与量、600mg/投与量であってもよい。他の投与量、レジメン、および間隔も使用することができる。
【0093】
疾病の治療において、ヒト化抗CD20抗体は、疾病に精通した医師により決定される通りに、慢性的または断続的に患者に投与することができる。
【0094】
幾つかの実施形態において、患者は、初期状態の抗体の投与量、その後、あらゆる有害事象を緩和する、または最小にするために、治療投与量を受けてもよい。状態投与量は、高用量に耐えられるように患者を適切な状態にするために、治療投与量より低いものである。
【0095】
ヒト化抗CD20抗体は、静脈内投与(例えば、ボーラスとして、または時間期間にわたり連続注入により)、または皮下、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、関節内、滑膜内、くも膜下腔内、または吸入による経路を含む、あらゆる利用可能な投与経路を使用して投与することができる。
【0096】
一実施形態において、ヒト化抗CD20抗体は、吸入ビヒクルとして0.9%塩化ナトリウム溶液を用いて、静脈内注入により投与される。
【0097】
上述のB細胞腫瘍の治療において、患者は、多剤レジメンにおける化学療法剤等の、1つ以上の治療薬と併用して、本明細書に記載されるヒト化抗CD20抗体を用いても治療され得る。ヒト化抗CD20抗体は、同時に、順次、または化学療法剤と交互に、もしくは他の療法に応答性がない後に投与することができる。リンパ腫治療の標準化学療法は、シクロホスファミド、シタラビン、メルファラン、およびミトキサントロン+メルファランを含んでもよい。別の実施形態において、ヒト化CD20抗体は、CHOPと併用して使用することができ、これは、非ホジキンリンパ腫の治療において、最も一般的な化学療法レジメンのうちの1つである。以下はCHOPレジメンに使用される薬剤である:シクロホスファミド(商品名cytoxan、neosar);アドリアマイシン(ドキソルビシン/ヒドロキシドキソルビシン);ビンクリスチン(Oncovin);およびプレドニゾロン(DeltasoneまたはOrasoneと呼ばれる場合もある)。特定の実施形態において、ヒト化抗CD20抗体は、以下の化学療法剤のうちの1つ以上と組み合わせて、それを必要とする患者に投与される:ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、およびプレドニゾロン。特定の実施形態において、リンパ腫(非ホジキンリンパ腫等)を患う患者は、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾン)療法と併用して、本明細書に記載される抗CD20抗体を用いて治療され得る。別の実施形態において、癌患者は、CVP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、およびプレドニゾン)化学療法と併用して、ヒト化抗CD20抗体を用いて治療され得る。
【0098】
上述の自己免疫疾病または自己免疫関連状態の治療において、患者は、免疫抑制剤(多剤レジメンにおいて等)等の、第2の治療薬と併用して、ヒト化抗CD20抗体を用いて治療され得る。ヒト化抗CD20抗体は、同時に、順次、または免疫抑制剤と交互に、もしくは他の治療に応答性がない時に投与することができる。
【0099】
補助治療に使用する免疫抑制剤は、患者の免疫系を抑制または遮蔽するように作用するあらゆる物質を含む。このような薬剤は、サイトカイン産生を抑制する、自己抗原抑制を下方制御する、もしくは抑制する、またはMHC抗原を遮蔽する物質を含むがこれらに限定されない。このような薬剤の例としては、糖質コルチコイド(例えば、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン)等のステロイド系;2−アミノ−6−アリール−5−置換ピリミジン、アザチオプリン;ブロモクリプチン;グルタルアルデヒド;MHC抗原およびMHC断片用の抗イディオタイプ抗体;シクロスポリンA;抗インターフェロン−γ、−βまたは−α抗体を含むサイトカインまたはサイトカインレセプター拮抗薬;抗腫瘍壊死因子−α抗体;抗腫瘍壊死因子−β抗体;抗インターロイキン−2抗体および抗IL−2レセプター抗体;抗L3T4抗体;異種抗リンパ球グロブリン;パン−T抗体;LFA−3結合ドメインを含有する可溶性ペプチド;ストレプトキナーゼ;TGF−β;ストレプトドルナーゼ;デオキシスパガリン;ラパマイシン;T細胞レセプター;T細胞レセプター断面;およびT細胞レセプター抗体が挙げられる。
【0100】
関節リウマチの治療において、患者は、以下の薬剤のうちのいずれか1つ以上と併用して、ヒト化抗CD20抗体を用いて治療され得る:DMARDS(疾病修飾性抗リウマチ剤(例えば、メトトレキサート))、NSAIまたはNSAID(非ステロイド系抗炎症性剤)、HUMIRA(登録商標)(アダリムマブ;Abbott Laboratories)、ARAVA(登録商標)(レフルノミド)、REMICADE(登録商標)(インフリキシマブ;Malvern,Pa.のCentocor Inc.)、ENBREL(エタネルセプト;Immunex,Wash.)、およびCOX−2阻害剤。
製剤
【0101】
ヒト化抗CD20抗体の治療製剤は、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で、所望の程度の純度を有する抗体を、任意の薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤と混合することにより、保管または使用のために調製することができる。許容可能な担体、賦形剤、または安定剤は、利用される用量および濃度で受容者に非毒性であり、リン酸、クエン酸、および他の有機酸等の緩衝剤;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム等;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化弁ゼとニウム;フェノール、ブチル、またはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、デキストリン糖の単糖類、二糖類、および他の糖質;EDTA糖のキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、またはソルビトール糖の糖類;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属複合体(例えば、Zn−タンパク質複合体);および/またはTWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)等の非イオン性界面活性剤、またはポリエチレングリコール(PEG)を含む。
【0102】
本明細書の製剤は、治療される特定の適応症に必要な活性化合物も1つ以上含んでもよい。例えば、細胞毒性薬、化学療法剤、サイトカイン、または免疫抑制剤をさらに提供することが望ましい場合がある。このような他の薬剤の有効量は、製剤に存在する抗体の量、疾病もしくは疾患または治療の種類、および前述の他の要因によって決まる。
【0103】
活性成分は、例えば、コアセルベーション技法により、あるいは例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセルとの、コロイド性薬剤送達系(リポソーム、アルブミン微細球、ナノ粒子およびナノカプセル)中、またはマイクロエマルジョン中での界面重合により調製されたマイクロカプセルにも封入することができる。
【0104】
ヒト化抗CD20抗体を含む徐放性調製物も、調製することができる。徐放性調製物の適切な例としては、拮抗薬を含む固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが挙げられるが、このマトリックスは、成形物品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリクスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール))、ポリアクチド、L−グルタミン酸とエチル−Lグルタミンのコポリマー、非分解性−エチレン−ビニルアセテート、分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシブチル酸が挙げられる。
抱合抗体および他の方法
【0105】
ヒト化抗CD20抗体は、1つ以上の治療薬または診断薬と抱合することができる。
【0106】
本明細書に記載されるヒト化抗体は、治療方法および診断方法に使用することができる。したがって、ヒト化抗体は、裸抗体として単独で投与されるか、または必ず治療薬に抱合されないが、投与レジメンに従い、時間的に、集学的療法として投与することができる。一実施形態において、裸ヒト化およびキメラ抗体の有効性は、1つ以上の他の裸抗体、すなわち、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD74、CD80、CD126、B7、MUC1、Ia、HM1.24もしくはHLA−DR等の特定の抗原へのモノクローナル抗体、抗CD20の1つ以上の免疫抱合体とのテネシン、VEGF、PlGF、癌遺伝子、癌遺伝子産物もしくはそれらの組み合わせ、またはヒト化抗体と同時にもしくは順次、または処方された投与レジメンに従って投与される薬物、毒素、免疫モジュレータ−、ホルモン、治療用放射性核種等を含む治療薬、薬物、オリゴヌクレオチド、毒素、免疫モジュレータ−、ホルモン、治療用放射性核種等を含む1つ以上の治療薬と抱合される、これらの記載される抗原への抗体で、裸抗体を補足することにより強化することができる。
【0107】
免疫抱合体は、B細胞リンパ腫、自己免疫疾病、移植拒絶反応、および他の疾病または疾患での診断および治療使用のために投与することができる。したがって、ヒト化抗CD20抗体は、毒素等の細胞毒性剤、または放射活性アイソトープに抱合することができる。幾つかの実施形態において、毒素は、カリケアマイシン、マイタンシノイド、ドラスタチン、アウリスタチンE、およびそれらの類似体もしくは誘導体である。
【0108】
広範な診断薬および治療薬は、ヒト化抗CD20抗体に抱合することができる。このような治療薬は、上述の裸抗体を用いて、別に投与するために使用することもできる。治療薬は、例えば、ビンカアルカロイド、アントラサイクリン、エピドフィロトキシン、タキサン、代謝拮抗薬、アルキル化剤、抗キナーゼ剤、抗生物質、Cox−2阻害剤、抗有糸分裂、抗血管新生およびアポトーシス剤、特にドキソルビシン、メトトレキサート、タキソール、CPT−11、カプトテカン等の化学療法剤、ならびにこれらおよび抗ガン剤等の他のクラスからのその他を含む。免疫抱合体および抗体融合タンパク質の調製用の他の有用な癌化学療法剤は、窒素マスタード、スルホン酸アルキル、ニトロソウレア、トリアゼン、葉酸類似体、COX−2阻害剤、ピリミジン類似体、プリン類似体、白金調節複合体、ホルモン等を含む。
【0109】
ヒト化抗体との抱合に使用するためのさらなる毒素は、あらゆる薬学的に許容される毒素を含み、DNA損傷剤、微小管重合または解重合および抗代謝の阻害剤を含むが、これらに限定されない。細胞毒性剤のクラスは、例えば、ジヒドロ葉酸リダクターゼ阻害剤チミジル酸合成酵素阻害剤等の酵素阻害剤、DNA干渉物質、DNA開裂剤、トポイソメラーゼ阻害剤、アントラサイクリン系統の薬剤、ビンカ剤、マイトマイシン、ブレオマイシン、細胞毒性ヌクレオシド、プテリジン系統の薬剤、ジイネン、ポドフィロトキシン、および分化誘発剤を含む。
【0110】
ヒト化抗CD20抗体は、放射活性アイソトープにも抱合することができる。例えば、腫瘍の選択的破壊において、抗体は、高放射性原子を含んでもよい。種々の放射性アイソトープは、放射性抱合された抗CD20抗体の産生に利用可能である。抱合体が、診断用に使用される時、シンチグラフィー試験用の放射活性原子、または核磁気共鳴(NMR)撮像用のスピン標識を含んでもよい。
【0111】
標識は、あらゆる方法を使用して、抱合体の中に組み込むことができる。例えば、ペプチドは、バイオ合成されるか、例えば、水素の代わりにフッ素−19を含む、適切なアミノ酸前駆体を使用して、化学アミノ酸合成により合成され得る。
【0112】
アンチセンス分子等のオリゴヌクレオチドは、また、ヒト化抗CD20抗体に抱合されるか、またはそれとともに投与することができる。
【0113】
以下の実施例は、例示を提供するものであって、制限するものではない。
【実施例】
【0114】
実施例1:ヒト化1F5抗体の調製
マウス抗体1F5の重鎖および軽鎖配列を使用して、キメラ発現ベクターを調製した(Press et al. Blood, 69(2):584−591(1987))。Genbank受け入れ番号AY058906は、マウス抗体1F5の軽鎖である1F5 VKの配列を提供する。本VKは、そのDNA配列と98%同一である、AJ231219生殖系列V遺伝子を使用する。GenBank AY058907受け入れ番号は、マウス抗体1F5の重鎖である1F5 VHの配列である。本VHは、そのDNA配列と95%同一である、AC090843生殖V遺伝子を使用する。
【0115】
キメラ発現ベクターの構成は、HindIII制限部位およびKozak配列が先行する、マウスVHおよびVKへの適切なリーダー配列の追加を含んだ。Kozak配列は、可変領域配列の効率的な翻訳を確実にする。リボソームが翻訳を開始できる、正確なAUGコドンを定義する。Kozak配列重要な塩基は、AUGが始まる上流である、位置−3のアデニンである。ヒト1210VKリーダー配列は、1F5 VKと近接する時、シグナルプロテアーゼにより正確に切断されることが予測された。ヒト1210VHリーダー配列は、1F5 VHと近接する時、シグナルプロテアーゼにより正確に切断されることが予測された。適切な1210リーダー配列は、したがって、1F5 VHおよびVKコード領域の上流(5′)でクローン化された。
【0116】
キメラ発現ベクターの構成も、1F5のJ領域の3′端に近接する、天然ApaI制限部位までのヒトγ1定常領域の5′断片の導入を含んだ。ヒトγ1定常領域は、挿入したVH配列の下流である、発現ベクターにコードされるが、カッパ構築体と異なり、V−Cイントロンを欠損する。カッパ鎖において、天然スプライスドナー部位およびBamHI部位は、V領域の下流に追加される。スプライスドナー配列は、カッパV−Cイントロンを切り出すことを容易にし、これは、VKのカッパ定常領域へのインフレーム結合に有用である。
【0117】
サブクローン化に干渉する場合がある、あらゆる余分な制限部位を同定するために、マウス1F5 VHおよびVK遺伝子を分析した。制限部位の1つは、最適化前1F5VK配列(図17)に認められたが、1F5VH配列では同定されなかった(図19)。これらのDNA配列は、内部TATAボックス、chi部位およびリボソーム侵入部位、AT豊富またはGC豊富配列領域;ARE、INS、CRS配列要素;反復配列およびRNA二次構造(陰性)スプライスドナーおよび受容体部位、分岐点を除去することにより、チャイニーズハムスター/ヒトのコドンバイアスへのコドン使用を適用することにより、およびmRNAの安定性を改善するためにGC含量を増加することにより、発現用に最適化された。最適化したc1F5VK(図18)およびc1F5VH(図20)DNA構築体配列は、合成され、クローン化ベクターpGA4(Geneart AG,Regensburg,Germany)の中にクローン化された。VKおよびVH挿入断片は、それぞれ、(BamHI+HindIII)または(HindIII+ApaI)で切除された。次いで、切除された断片は、ゲル精製され、それぞれ、pKN100またはpG1D200の中に連結され、これは、同様に切断され、ホスファターゼ消化された。連結した構築体は、形質転換受容性TOP10バクテリアの中に形質転換された。発現クローンコロニーは、プライマーg10545(5′−TGTTCCTTTCCATGGGTCTT)(配列番号75)およびg23070(5′−GTGTGCACGCCGCTGGTC)(配列番号76)を使用して、正確な大きさの挿入断片の存在について、PCRによってスクリーニングされた。Miniprepは、正確な発現クローンを生成し、HEK293T細胞を形質転換するために使用された。
【0118】
図22は、下線付きの定常領域を有する成熟キメラ1F5抗体の重鎖のアミノ酸配列を示す。図23は、下線付きの定常領域を有する成熟キメラ1F5抗体の軽鎖のアミノ酸配列を示す。
【0119】
次いで、マウスモノクローナル抗体1F5のキメラ重鎖および軽鎖配列は、ヒトおよびマウス免疫グロブリンと比較した配列からの、適切なヒトFR配列を同定することによりヒト化された。International Immunogeneticsデータベース2006 Lefranc,M.P.,Nucl.Acids Res.,31:307−310(2003))およびKabatデータベース(Kabat,E.A.,et al.,NIH National Technical Information Service,1−3242(1991))Release 5 of Sequences of Proteins of Immunological Interest(最終更新日17−Nov−1999)からのヒトおよびマウス免疫グロブリンのタンパク質配列が、Kabat整列の免疫グロブリンタンパク質配列のデータベースを編集するために使用された。データベースは、9322のヒトVHおよび2689のヒトVK配列を含んだ。配列分析プログラムGibbsが、ヒトVHおよびVKデータベースを1F5 VHおよびVKタンパク質配列と照会するために使用された。
1F5RHAおよび1F5RHBの生成
【0120】
ヒト化VH配列を生成するために、V領域フレームワーク内に位置する、ーニャ、ノニカルおよびVH−VK界面(VCI)残基で、1F5VHに対して高い同一性を有したヒトVH配列をデータベースで同定した。同定されたVH配列について、受け入れ番号U00570を、1F5RHAのヒトFRドナーとして選んだ。U00570に最も一致するヒト生殖系列V遺伝子は、シグナルペプチドが抽出された、VHI系統遺伝子X62109(VI−3B)である。シグナルペプチダーゼで適切に切断されるであろうSignalPアルゴリズムが予測された。図1Aは、X62109シグナル、1F5VH CDRおよびU00570FRの天然DNA配列からのDNA配列1F5RHAssの生成に使用された配列を示す。1F5VHからのCDR1、2、および3をU00570の受容体FRの中にグラフトし、1F5RHAを生成した(図1B)。DNA配列は、内部TATAボックス、chi部位およびリボソーム侵入部位、AT−豊富またはGC−rich豊富配列領域、ARE、INS、CRS配列要素、反復配列およびRNA二次構造(陰性)スプライスドナー、ならびに受容体部位および分岐点を除去するために、無変化の変異源性(GeneArt)により最適化された。最適化した1F5RHA構築体DNAおよびタンパク質配列を図2に示す。本構築体は、フレームワーク領域に変異を含まない。
【0121】
第2の構築体1F5RHB(図3)は、以下の非保存バーニャ残基で、4つの逆変異を含むように、1F5RHA配列に基づいた:V67A;V69L;R71AおよびT73K(Kabat番号付け)(図10A)。
1F5RKA11および1F5RKA12の生成
【0122】
ヒト化VK配列は、V領域フレームワーク内に位置する、VCI残基で、1F5VKに対して高い同一性を有するヒトVK配列と比較した配列に基づき生成された。配列比較から、1F5VKと同じ長さ(10アミノ酸)のCDR1として同定されたヒトVK遺伝子はなかった。次いで、最もCDR1に近い長さを有する(11および12アミノ酸)2つのヒトFRの群を分析し、これは、1F5VKと同じ長さのCDR2および3を有した。
【0123】
11アミノ酸CDR1配列において、1F5RKA11に基づき、受け入れ番号AB064140をFWドナーとして選んだ。図4Aは、1F5 VKの天然DNA配列、ヒトVK配列AB064140、およびヒトZ00013シグナル配列からの1F5RKA11ssの生成を示す。本配列も、FR変異を含まない、1F5RKA11構築体(図5)を生成するために、最適化された。図4Bは、1F5RKA11を生成するために使用されたFRおよびCDRのアミノ酸配列を提供する。
【0124】
1F5VKからのCDR1、2、および3を、ヒトAB064140の受容体FRの中にグラフトし、1F5RKA11を生成した。AB064140に最も近い生殖系列V遺伝子は、シグナルペプチドが得られた、Z00013(Vd/L8)である。SignalPアルゴリズムは、本シグナルペプチドの適切な切断を予測した。
【0125】
第2の構築体である1F5RKB11(図6)は、VH/VK界面残基Y87F(Kabat番号付け)(図10B)とともに、非保存バーニャ残基:L46P、L47W、およびF71Y(Kabat番号付け)で、4つの逆変異を導入することにより、1F5RKA11から生成された。さらなる型:1F5RKB11、1F5RKD11、1F5RKE11、および1F5RKF11は、1F5RKB11に基づき、それぞれ、これらの4つの変異のうちの1つの異なる反転を含む(図10B)。
【0126】
第2の一連のヒト化VK配列も、12のアミノ酸を含むCDR1配列を有するヒトカッパ配列に基づき調製された。1F5RKA12に基づき、受け入れ番号AY263415をFRドナーとして選んだ。
【0127】
図7Aは、1F5 VKの天然配列、ヒトVK配列AY263415、およびヒトX12686シグナル配列から1F5RKA12ssを生成するために使用された核酸配列を示す。1F5VKからのCDR1、2、および3を、ヒトAY263415の受容体FRの中にグラフトし、1F5RKA12を生成した(図7B)。受容体AY263415に最も近い生殖系列V遺伝子は、シグナルペプチドが得られた、VKIII系統メンバーX12686(A27)である。SignalPアルゴリズムは、本シグナルペプチドの適切な切断を予測した。最適化した1F5RKA12構築体DNAおよびタンパク質配列を図8に示す。本構築体は、FR変移を含まない。第2の構築体である1F5RKB12(図9)は、3つの非保存残基:L46P、L47W、およびF71Y(Kabat番号付け)で、3つの逆変異を導入することにより、1F5RKA12から生成された。さらなる型:1F5RKC12、1F5RKD12、および1F5RKE12は、1F5RKB12に基づき、それぞれ、これらの3つの変異のうちの1つの異なる反転を含有する。
【0128】
重鎖には、可変領域に結合されたヒトγ1定常領域、軽鎖には、可変領域に結合されたカッパ定常領域を含む、発現ベクターが調製された。
【0129】
図11A〜Eは、それぞれ、1F5RKG11、1F5RKB11、1F5RKF12、1F5RKB12、および1F5RHAタンパク質からの成熟可変および定常領域のアミノ酸配列を提供する。図22および23は、それぞれ、c1F5VHおよびc1F5VKの成熟可変および定常領域のキメラタンパク質配列のアミノ酸配列を提供する。アミノ酸配列の定常領域は、下線付きである。
【0130】
重鎖および軽鎖をコードする発現プラスミド調製物(ヒト化またはキメラ)は、HEK293t細胞を形質移入するために使用された。形質移入において、細胞を、フラスコ中の、10%のFCS、ペニシリン、およびストレプトマイシンで補足されたDMEM+GlutaMax中で最初に成長させ、COガス供給された細胞培養チャンバでインキュベートした。細胞培養物を2日毎に1:3、または3〜4日毎に1:4もしくは1:5に分けた。継代中、細胞をフラスコから剥離するために、軽いトリプシン処理を使用した。形質移入する1日前、各ウェルに2mLの培地を添加した後、細胞(2×10細胞/ウェル)を添加することにより、6ウェルプレートを調製した。細胞を翌日チェックし、少なくとも80%の培養密度であることを確認し、培地を2mL/ウェルで交換した。形質移入において、96μLのOPtiPRO SFMを無菌の1.5mLのチューブの中に分注し、6μLのFugene6を培地に直接添加し、5分間、室温でインキュベートした。DNA(総量1μg;0.5μgの重鎖ベクター、0.5μgの軽鎖ベクター)を添加し、15分間、室温でインキュベートした。Fugene6、DNA、およびOptiPro SFM混合物の混合物をウェルの周りに滴下して添加し、次いで、プレートを細胞培養インキュベータで、4日間、インキュベートした。状態調節された培地を4日後に採取し、IgGを定量化し、抗原結合アッセイを実施した。
【0131】
ラジ細胞結合を測定するために、これらの状態調節された培地のIgGを、ELISAにより測定した(実施例2)。使用した全ての形質移入された293細胞状態調節された培地のIgG1k抗体の濃度を表1に示す。ヒト化およびキメラ抗体は、良好〜優れたレベルで発現し、以下のさらなる実施例2〜4に使用された。
【表1】


実施例2:ヒト化1F5抗体によるラジ結合
【0132】
キメラヒト化1F5抗体のラジ細胞(CD20を発現するヒトB細胞株)への結合を測定するために、アッセイを実施した。ラジ細胞(80μL;0.11容量の10×PBS(MPBS)で希釈された新しい成長培地を含む24mL中1〜2x10細胞/mL、および8mLの8%パラホルムアルデヒド(PBS中))を96ウェルポリ−D−リジンコーティングされたプレートに添加し、60分間、25℃で、2500rpm(Beckman 6L)で遠心分離した。ペレットを400μLのPBS、Tween20(0.02%v/v)で4回洗浄した。最終洗浄後に50μLのMPBSを各ウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした後、ブロッキング緩衝液を廃棄した。1F5抗体の段階希釈を、別の96ウェルプレートで、MPBS中で調製し、ラジ細胞コーティングされたプレートに移し、1時間、室温でインキュベートした。次いで、抗体溶液を廃棄し、プレートを400μLのPBS緩衝液で6回洗浄した。MPBSで1:2000にストック抗体溶液を希釈することにより、ヤギ抗ヒトカッパ(Sigma A7164)を調製し、洗浄したウェルに添加し、再び、1時間、室温でインキュベートした。プレートを再度、400μLのPBS緩衝液で6回洗浄した。100μLのK−blue TMB溶液を各ウェルに添加した。30分後、50μLの赤い停止液を添加して、反応を停止させ、650nmで吸光度を読み取った。
【0133】
図12に図示する、ヒト化VKs:1F5RKA11、1F5RKA12、1F5RKC11、または1F5RKC12に関連するキメラc1F5VHによりコードされた抗体のラジ細胞への結合は、キメラc1F5抗体のそれと比較して減少した(図12A、12C、および12D)。逆に、1F5RHAまたは1F5RHBのいずれかと組み合わせたキメラc1F5VKによりコードされた抗体によるラジ細胞結合は、区別不能であり、リツキサンのそれと類似した(図12B)。キメラc1F5VHと組み合わせた他のVK型:1F5RKB11、1F5RKD11、1F5RKE11、1F5RKF11(図12D);1F5RKB12、1F5RKD12、1F5RKE12(図12C)は、キメラ抗体と同様に、またはそれより良好にラジ細胞に結合した。
【0134】
バーニャL46P逆変異(Kabat番号付け)が反転する、1F5RKC11および1F5RKC12型の低結合効力を考慮して、1F5RKG11および1F5RKF12は、それぞれ、L46P逆変異(Kabat番号付け)の単独導入を伴う、1F5RKA11または1F5RKA12に基づき設計された(それぞれ、10BおよびC)。
追加のアッセイ(図13〜15)は、種々のヒト化カッパ鎖とともに、1F5RHAによりコードされる完全ヒト化抗体を検討した。図13A〜Bは、1F5RKC型を除く全てのカッパ鎖構築体に関連する、1F5RHAによってコードされた完全ヒト化抗体によるラジ細胞結合は、キメラ抗体のそれと類似することを示す。カッパ構築体1F5RKC12および1F5RKC11(図示せず)によりコードされた抗体によるラジ細胞結合は、また不良であった。図14は、1F5RKF12に関連する1F5RHAによりコードされた抗体のラジ細胞結合効力が、1F5RKG11によりコードされた抗体のそれより僅かに優れているようであり、それらの効力は、キメラ抗体のそれと類似することを確認した。
実施例3:FACS結合アッセイ
【0135】
FACSortフローサイトメーター(Becton Dickinson,San Jose CA)を用いて、ヒト化1F5抗体によるラジ細胞結合も分析した。標準FACS(蛍光活性化細胞分類)手順をアッセイに利用した。細胞結合の測定のために、前方対側方散乱に基づき、細片および細胞凝集塊を除外した。死細胞は、PI取り込みに基づき、分析から除外された(「gated out」)。5,000から10,000の生細胞は、試料毎に分析され、蛍光分散の幾何学平均(平均蛍光強度またはMFI)は、計器ソフトウェア(CellQuest,Becton−Dicknson)を使用して決定された。MFI血は、全ての試験について報告される。ヒト化抗体RHA×RKF12、RHA×RKB11、およびRHA×RKG11のそれぞれについて、2つの試験を実施した。FACS結合アッセイの結果を図16に提供する。図に示すように、検査されたヒト化抗体(RHA×RKF12、RHA×RKB11、およびRHA×RKG11)は、全て、キメラ1F5より高い結合親和性を有した。
実施例4:熱安定性
【0136】
2つの抗体(1F5RKG11×1F5RHAおよび1F5RKF12×1F5RHA)が、同様の構造安定性であるかを検討するために、PBSによって緩衝された、培地中の各抗体の1mg/mL希釈物を50から80℃(50°、55°、60°、65°、70°、75°、および80℃)の間の7つの温度で、10分間加熱した。4℃への急速な冷却後、上述のように、ラジ結合分析を実施した。ラジ結合アッセイの結果(図15)は、1F5RKG11×1F5RHA抗体が、1F5RKF12×1F5RHA抗体より高い温度で、結合効力を維持したことを示した。75℃で、1F5RKG11抗体は、リツキサンより大きな残余効力を維持し、これは、本温度で10分の差で非活性化された。
実施例5:ヒト化1F5抗体のCDC活性、オフ速度、およびB細胞枯渇
【0137】
上述のヒト化1F5抗体のうちの4つ(RHA×RKB11(変異体D)、RHA×RKG11(変異体E)、RHA×RKB12(変異体F)およびRHA×RKF12(変異体G))ならびにキメラ抗体c1F5は、主にG0グリコシル化を提供する、遺伝子導入アオクキクサ植物で産生された。キメラおよびヒト化抗体の分析(例えば、マトリクス補助レーザー脱イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI−TOF MS)分析により)は、抗体が優性にG0グリコシル化(データは図示せず)であったことを確証した。
【0138】
本実施例の目的は、標的としてラジ細胞を使用した補体依存細胞毒性活性(CDC)、B細胞からの結合の解離(オフ速度)、および全血における生体外B細胞枯渇を含む、これらの抗体の生体外活性の幾つかの態様を評価するためであった。リツキシマブ(RTX)の値も測定され、ヒト化およびキメラ1F5抗体について決定された値と比較された。
CDC活性
【0139】
変異体抗体の補体依存細胞毒性(CDC)は、死細胞を列挙するために、フローサイトメトリーを使用して、ラジバーキットリンパ腫細胞(ATCC受け入れ番号CCL−86)で測定された。つまり、90マイクロリットルのPBS中の種々の濃度の異なる抗体を用いて細胞を処理した後、10マイクロリットルの正常なヒト血清を添加し、最終濃度10%の血清を得た。細胞を37℃で30分間インキュベートした後、氷上に設置した。ヨウ化プロピジウム(PI)を含有する冷(4℃)PBSを細胞に添加し、PI陽性細胞の頻度をFACSにより決定した。
【0140】
図24は、種々の濃度の検査した抗体のCDCアッセイの結果を示す。図に示すように、G0グリコシル化ヒト化1F5抗体は、リツキシマブより補体依存細胞毒性が非常に低く、抗体EのCDCがリツキシマブより約10倍低かった。
【0141】
EC50について、抗体は以下のようにランク付けされた:
RTX<変異体G<変異体F<変異体D<キメラ<変異体E(表2)。
【表2】


細胞からの抗体オフ速度
【0142】
蛍光標識された抗体がラジ細胞から解離する速度を、4時間の時間期間にわたりRTXと比較した。使用したアッセイフォーマットは、Goldenberg D.M et al.(2009.Blood,Vol 113(5):1062)に記載されるものに従い、以下に簡単に概説する。
【0143】
供給者(Pierce Cat.No.53025)の指示に従い、全ての抗体をフルオレセイン様フルオロフォアのDyLight488に抱合した。抱合後、標識キットに提供されたクロマトグラフィーカラムを使用して、標識された抗体を遊離染料から単離した。標識後のタンパク質濃度を分光光度的に測定し、濃度は、0.93から1.1mg/mLの間で変化することが分かった。精製した標識された抗体を、光から保護したPBS中で、4℃で保管した。
【0144】
細胞からの抗体解離を測定するために、10ラジ細胞を、1%ウシ血清アルブミン(PBS/BSA)を含むPBSに懸濁した。標識された抗体を1.0mL容量の5ug/mLの最終濃度に添加した。37℃で30分間インキュベートした後、非標識(「冷」)抗体を最終濃度の1000ug/mLに添加した。冷抗体と混合された標識された細胞を、4時間、37℃に戻した。20分の間隔で、100ulアリコートの細胞を各試料から取り除き、ヨウ化プロピジウムを含む400uLの冷PBS/BSAを添加し、死細胞(PI)を除く細胞集団の平均蛍光強度(MFI)を、FACSにより決定した。本プロトコルで、標識が抗体親和性に影響を及ぼさないことが、仮定された。
【0145】
ヒト化1F5抗体は、リツキシマブに対して有意に減少したオフ速度を有することが観察された(図25)。図25に示すように、ヒト化1F5抗体は、半減期において、リツキシマブに対してほぼ2〜3倍の増加を示すことが明らかである。
【0146】
オフ速度試験の結果を表3に要約する。抗体変異体DおよびFは、2つの試験中、半減期においてある程度の変動を示したが、全体的な半減期は類似した。全てのヒト化1F5抗体は、リツキシマブと比較して有意に減少したオフ速度を有した(すなわち、ヒト化1F5抗体は、リツキシマブより約2〜3倍長く結合した)。
【表3】

【0147】
図26は、試験1の抗CD20抗体から得た半減期の棒グラフを示す。
全血におけるB細胞の枯渇
【0148】
ヒト化1F5抗体のB細胞枯渇活性を評価した。つまり、検査抗体を、特定の濃度で、100ulの新しい全血に添加し、37℃で4時間、インキュベートした。CD20レセプター発現とは関係なく細胞を結合するB細胞特異的抗体であるCD19を使用して、B細胞の頻度を決定した。1つは、CD16が検査抗体に曝露される前に抗CD16抗体で遮断されず、もう1つは、CD16が事前に遮断された、2つの試験が実施された。
【0149】
抗体CD16なしの最初の一連の実験において、ヒト化1F5抗体の細胞毒性は、リツキシマブのそれより大きいことが観察された(図27)。つまり、ヒト化1F5抗体は、リツキシマブより効果的にB細胞を枯渇する。図27は、キメラ1F5、変異体D−G、リツキシマブ、およびアイソタイプ対照(すなわち、B細胞抗原特性を持たない対照IgG1、G0抗体)についての、最初の一連の実験の結果を示す。
【0150】
第2の一連の実験において、エフェクター細胞上のCD16レセプターは、抗CD16抗体で事前に遮断された。次いで、ヒト化抗体の変異体EおよびGが、B細胞枯渇アッセイで検査された時、抗CD20抗体のB細胞枯渇活性は、抗CD16抗体を有するエフェクター細胞上のCD16を遮断することにより阻害されたことを示した(図28)。抗CD16の効果は、B細胞枯渇活性をほぼ完全に減少させることであり、ADCCをヒト化1F5抗体についての主な作用様式と考える。抗CD16抗体は、リツキシマブと同様に変異体EおよびGについて、B細胞枯渇を阻害した。
結論
【0151】
I.ヒト化1F5抗体は、リツキシマブより非常に低いCDC活性を有する。
【0152】
II.ヒト化1F5抗体の全てが細胞から解離する速度(すなわち、オフ速度)は、リツキシマブのオフ速度に対して、有意に減少した。
【0153】
III.ヒト化1F5抗体の全ては、全血からのB細胞の枯渇において、リツキシマブより効率的であった。
【0154】
IV.検査した2つのヒト化1F5抗体変異体において、全血におけるB細胞の枯渇は、CD16遮断抗体での治療によりほぼ完全に阻害された。
【0155】
本発明は、詳細に、かつその特定の実施形態を参照に説明されたが、種々の変更および修正が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、行うことができることを、当業者は理解するであろう。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト化抗体であって、
(a)
(1)Glu Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Ser Ser Leu Ser Ala Ser Val Gly Asp Arg Val Thr Ile Thr Cys Arg Ala Ser Ser Ser Leu Ser Phe Met His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Lys Ala Pro Lys Xaa45 Xaa46 Ile Tyr Ala Thr Ser Asn Leu Ala Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Xaa70 Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Gln Pro Glu Asp Phe Ala Thr Tyr Xaa86 Cys His Gln Trp Ser Ser Asn Pro Leu Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys(配列番号1)であって、
ここで、
Xaa45は、ProまたはLeuであり、
Xaa46は、TrpまたはLeuであり、
Xaa70は、TyrまたはPheであり、
Xaa86はTyrまたはPheである配列、および
(2)Glu Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Gly Thr Leu Ser Leu Ser Pro Gly Glu Arg Ala Thr Leu Ser Cys Arg Ala Ser Ser Ser Leu Ser Phe Met His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Ala Pro Arg Xaa45 Xaa46 Ile Tyr Ala Thr Ser Asn Leu Ala Ser Gly Ile Pro Ala Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Xaa70 Thr Leu Thr Ile Ser Arg Leu Glu Pro Glu Asp Phe Ala Val Tyr Phe Cys His Gln Trp Ser Ser Asn Pro Leu Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Val Glu Leu Lys(配列番号2)であって、
ここで、
Xaa45は、ProまたはLeuであり、
Xaa46は、TrpまたはLeuであり、
Xaa70は、TyrまたはPheである配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、軽鎖と、
(b)
Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ala Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Ser Tyr Asn Met His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Arg Leu Glu Trp Ile Gly Ala Ile Tyr Pro Gly Asn Gly Asp Thr Ser Tyr Asn Gln Lys Phe Lys Gly Arg Xaa68 Thr Xaa70 Thr Xaa72 Asp Xaa74 Ser Ala Asn Thr Ala Tyr Met Glu Leu Ser Ser Leu Lys Ser Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys Ala Arg Ser His Tyr Gly Ser Asn Tyr Val Asp Tyr Phe Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser(配列番号3)であって、
ここで、
Xaa68は、ValまたはAlaであり、
Xaa70は、ValまたはLeuであり、
Xaa72は、ArgまたはAlaであり、
Xaa74は、ThrまたはLysであるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む重鎖と、を含み、
前記ヒト化抗体は、ヒトCD−20に結合する、ヒト化抗体。
【請求項2】
前記重鎖可変領域は、配列番号13のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のヒト化抗体。
【請求項3】
前記軽鎖可変領域は、配列番号54のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のヒト化抗体。
【請求項4】
前記軽鎖可変領域は、配列番号49のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のヒト化抗体。
【請求項5】
前記軽鎖可変領域は、配列番号59のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のヒト化抗体。
【請求項6】
前記軽鎖可変領域は、配列番号55のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のヒト化抗体。
【請求項7】
前記重鎖可変領域は、配列番号13のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号49、54、55、および59からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のヒト化抗体。
【請求項8】
前記重鎖可変領域は、配列番号13および48からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のヒト化抗体。
【請求項9】
前記軽鎖可変領域は、配列番号28、49、50、51、52、53、54、42、55、56、57、58、および59からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のヒト化抗体。
【請求項10】
前記軽鎖可変領域は、配列番号28、49、50、51、52、53、54、42、55、56、57、58、および59からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項8に記載のヒト化抗体。
【請求項11】
前記抗体は、キメラ抗体c1F5と同様の親和性で、ヒトCD20に結合する、請求項1に記載のヒト化抗体。
【請求項12】
前記抗体は、キメラ抗体c1F5よりも高い親和性で、ヒトCD20に結合する、請求項1に記載のヒト化抗体。
【請求項13】
前記抗体は、キメラ抗体c1F5よりも低いオフ速度で、ヒトCD20に結合する、請求項1に記載のヒト化抗体。
【請求項14】
前記軽鎖は、ヒト軽鎖定常領域をさらに含む、請求項1に記載のヒト化抗体。
【請求項15】
前記軽鎖は、配列番号60、61、62、および63からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項14に記載のヒト化抗体。
【請求項16】
前記重鎖は、ヒト重鎖定常領域をさらに含む、請求項1に記載のヒト化抗体。
【請求項17】
前記重鎖は、配列番号64のアミノ酸配列を含む、請求項16に記載のヒト化抗体。
【請求項18】
前記重鎖は、ヒト重鎖定領常域をさらに含む、請求項14に記載のヒト化抗体。
【請求項19】
前記重鎖は、配列番号64のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖は、配列番号60、61、62、および63からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項18に記載のヒト化抗体。
【請求項20】
前記重鎖は、配列番号64のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖は、配列番号60のアミノ酸配列を含む、請求項19に記載のヒト化抗体。
【請求項21】
前記重鎖は、配列番号64のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖は、配列番号61のアミノ酸配列を含む、請求項19に記載のヒト化抗体。
【請求項22】
前記重鎖は、配列番号64のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖は、配列番号62のアミノ酸配列を含む、請求項19に記載のヒト化抗体。
【請求項23】
前記重鎖は、配列番号64のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖は、配列番号63のアミノ酸配列を含む、請求項19に記載のヒト化抗体。
【請求項24】
前述の請求項のいずれかに記載のヒト化抗体と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項25】
請求項7に記載のヒト化抗体と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項26】
前記抗体は、哺乳類細胞、酵母細胞、および植物細胞からなる群から選択される宿主細胞中に産生される、請求項1に記載のヒト化抗体。
【請求項27】
Glu Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Ser Ser Leu Ser Ala Ser Val Gly Asp Arg Val Thr
Ile Thr Cys Arg Ala Ser Ser Ser Leu Ser Phe Met His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly
Lys Ala Pro Lys Xaa45 Xaa46 Ile Tyr Ala Thr Ser Asn Leu Ala Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Xaa70 Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Gln Pro Glu Asp Phe Ala Thr Tyr Xaa86 Cys His Gln Trp Ser Ser Asn Pro Leu Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys(配列番号1)であって、
ここで、
Xaa45は、ProまたはLeuであり、
Xaa46は、TrpまたはLeuであり、
Xaa70は、TyrまたはPheであり、
Xaa86は、TyrまたはPheであるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、軽鎖を含む、ヒト化抗体であって、
前記ヒト化抗体は、ヒトCD−20に結合する、ヒト化抗体。
【請求項28】
前記軽鎖可変領域は、配列番号54のアミノ酸配列を有する、請求項27に記載のヒト化抗体。
【請求項29】
前記軽鎖可変領域は、配列番号49のアミノ酸配列を有する、請求項27に記載のヒト化抗体。
【請求項30】
前記軽鎖可変領域は、配列番号28、49、50、51、52、53、および54からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項27に記載のヒト化抗体。
【請求項31】
前記抗体は、キメラ抗体c1F5と同様の親和性で、ヒトCD20に結合する、請求項27に記載のヒト化抗体。
【請求項32】
前記抗体は、キメラ抗体c1F5よりも高い親和性で、ヒトCD20に結合する、請求項27に記載のヒト化抗体。
【請求項33】
前記抗体は、キメラ抗体c1F5よりも低いオフ速度で、ヒトCD20に結合する、請求項27に記載のヒト化抗体。
【請求項34】
Glu Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Gly Thr Leu Ser Leu Ser Pro Gly Glu Arg Ala Thr
Leu Ser Cys Arg Ala Ser Ser Ser Leu Ser Phe Met His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly
Gln Ala Pro Arg Xaa45 Xaa46 Ile Tyr Ala Thr Ser Asn Leu Ala Ser Gly Ile Pro Ala Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Xaa70 Thr Leu Thr Ile Ser Arg Leu Glu Pro Glu Asp Phe Ala Val Tyr Phe Cys His Gln Trp Ser Ser Asn Pro Leu Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Val Glu Leu Lys(配列番号2)
ここで、
Xaa45は、ProまたはLeuであり、
Xaa46は、TrpまたはLeuであり、
Xaa70は、TyrまたはPheであるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、軽鎖を含む、ヒト化抗体であって、
前記ヒト化抗体は、ヒトCD−20に結合する、ヒト化抗体。
【請求項35】
前記軽鎖可変領域は、配列番号59のアミノ酸配列を含む、請求項34に記載のヒト化抗体。
【請求項36】
前記軽鎖可変領域は、配列番号55のアミノ酸配列を含む、請求項34に記載のヒト化抗体。
【請求項37】
前記軽鎖可変領域は、配列番号42、55、56、57、58、および59からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項34に記載のヒト化抗体。
【請求項38】
前記抗体は、キメラ抗体c1F5と同様の親和性で、ヒトCD20に結合する、請求項34に記載のヒト化抗体。
【請求項39】
前記抗体は、キメラ抗体c1F5よりも高い親和性で、ヒトCD20に結合する、請求項34に記載のヒト化抗体。
【請求項40】
前記抗体は、キメラ抗体c1F5よりも低いオフ速度で、ヒトCD20に結合する、請求項34に記載のヒト化抗体。
【請求項41】
Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ala Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Ser Tyr Asn Met His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Arg Leu Glu Trp Ile Gly Ala Ile Tyr Pro Gly Asn Gly Asp Thr Ser Tyr Asn Gln Lys Phe Lys Gly Arg Xaa68 Thr Xaa70 Thr Xaa72 Asp Xaa74 Ser Ala Asn Thr Ala Tyr Met Glu Leu Ser Ser Leu Lys Ser Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys Ala Arg Ser His Tyr Gly Ser Asn Tyr Val Asp Tyr Phe Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser (配列番号3)であって、
ここで、
Xaa68は、ValまたはAlaであり、
Xaa70は、ValまたはLeuであり、
Xaa72は、ArgまたはAlaであり、
Xaa74は、ThrまたはLysであるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、重鎖を含む、ヒト化抗体であって、
前記ヒト化抗体は、ヒトCD−20に結合することができる、ヒト化抗体。
【請求項42】
前記抗体は、キメラ抗体c1F5と同様の親和性で、ヒトCD20に結合する、請求項41に記載のヒト化抗体。
【請求項43】
前記抗体は、キメラ抗体c1F5よりも高い親和性で、ヒトCD20に結合する、請求項41に記載のヒト化抗体。
【請求項44】
前記抗体は、キメラ抗体c1F5よりも低いオフ速度で、ヒトCD20に結合する、請求項41に記載のヒト化抗体。
【請求項45】
前記重鎖可変領域は、配列番号13のアミノ酸配列を含む、請求項41に記載のヒト化抗体。
【請求項46】
前記重鎖可変領域は、配列番号48のアミノ酸配列を含む、請求項41に記載のヒト化抗体。
【請求項47】
対象のB細胞疾患を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の請求項1、27、34、または41に記載の抗体を投与することを含む、方法。
【請求項48】
対象のB細胞疾患を防止する方法であって、前記対象に、予防的有効量の請求項1、27、34、または41に記載の抗体を投与することを含む、方法。
【請求項49】
請求項1、27、34、または41に記載のヒト化抗体を含むヒト化抗CD20抗体組成物であって、前記組成物中に存在するNグリカンの少なくとも90%は、GlcNAcManGlcNAc(G0)である、組成物。
【請求項50】
請求項1、27、34、または41に記載の抗体をコードする核酸配列を含む、単離した核酸。
【請求項51】
請求項50に記載の単離した核酸を含む、宿主細胞。

【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公表番号】特表2012−517806(P2012−517806A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550135(P2011−550135)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/000449
【国際公開番号】WO2010/093480
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(503040136)バイオレックス・セラピューティクス インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】