説明

ヒト胚盤胞由来幹細胞(hBS)から肝細胞様細胞を発生させる方法

本発明は内胚葉の前駆細胞を得る方法およびさらにこれを肝細胞様細胞へ分化させる方法に関する。最終分化の開始前の細胞構成についての知識が、結果として得られる肝細胞様細胞が要する目的によって2つの異なるプロトコールの1つおよび2つの型の中間前駆体の1つを選択するために使われる。本発明のプロトコールAは胚外類似の内胚葉前駆細胞の肝細胞様細胞への分化に関係し、得られる肝細胞様細胞の収率および純度が重要である場合に選ばれる。本発明のプロトコールBは内中胚葉類似の前駆細胞の肝細胞様細胞への分化に関係し、得られる肝細胞様細胞の質が重要である場合に選ばれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肝細胞様細胞発生の迅速、簡単かつ有効な方法および得られた肝細胞様細胞の医薬の調整への利用および毒性試験のためおよび薬品の発見、薬品の開発への利用に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの疾患および障害は細胞機能の崩壊あるいは身体組織の破壊から起こる。今日、提供された臓器および組織はしばしば衰えたあるいは破壊された組織の代わりに使われている。
【0003】
不幸なことに、これらの方法による治療に適する障害に苦しむ人の数は、移植に利用できる臓器の数をはるかに超える。
【0004】
ヒト胚盤胞由来幹細胞(hBS)利用の可能性およびこれらの細胞を異なる最終細胞、例えば内胚葉細胞へ導く有効な方法の開発についての熱心な研究は、前述の疾患の細胞に基づく治療への将来の応用をますます約束する。臓器の必要性を減ずることによって前述の細胞に基づく治療は社会にとっても上述の疾患に悩む患者にとっても非常に重要である。細胞機能の崩壊あるいは身体組織の破壊によって起こる肝疾患あるいは障害は全世界の人々にとって主要な健康上の問題である。
【0005】
その上、今日の製薬工業は、薬剤の発見および開発の増大するコストと時間への戦いにはっきりした意思をもっていて、薬剤発見のプロセスの効率を上げ後段階での脱落を減ずることがますます要求されている。予測外のヒトの代謝は、潜在的な新薬の製薬プロジェクトからの撤退の主な原因の一つである。さらに、肝毒性と肝機能の変化は、薬剤分子間の毒性学において最もよく起こる根拠の一つである。最後に、肝代謝および肝細胞と他の臓器との相互作用は、代謝性疾患および異脂肪血症の薬の重要な目標である。伝統的に、ヒトの一次肝細胞は死体または切除した癌から単離されてきた。しかしながら、これらの細胞の供給は非常に限られていて、表現型はもとの提供者間で大きく変わる。一次肝細胞のもう一つ不利なことは、機能を失うことなく培養を維持できないことであり、それゆえ利用の可能性は反復可能な供給源に依存する。これらの問題のため、製薬会社は前臨床代謝および毒性試験のために動物の一次細胞および形質転換ヒト細胞系に強く頼らねばならないが、しかし上述のモデルおよび試験の臨床との関連性は通常低い。動物モデルは費用がかかり、低スループットでしか実行できない。それゆえそのような試験は後期前臨床開発の化合物のために取っておくことを余儀なくされてきた。
【0006】
機能的なヒト肝細胞様細胞の無限の供給源の利用の可能性は、薬剤の発見および開発と同様に毒性試験に対しても大きな利点を与える。それゆえ、種々のインビトロ試験に用いられる改良されたヒト肝細胞の開発は、標的、的中率および先導化合物の質を改善し、後段階での脱落を減じ、薬剤開発の時間と費用を少なくするであろう。hBS細胞は機能的なヒト肝細胞の有力な新規供給源である。これらの細胞は様々なヒトのインビトロ肝細胞試験に用いることができ、学術的にも工業への応用にも非常に価値のある手段となるであろう。
【0007】
今日、hBS細胞から、成熟肝細胞へさらに分化し得る肝細胞様細胞を発生させる方法は、しばしば胚様体の形成および/または細胞毒性化合物の添加に基づく初期の選択を含む(Rambhatla他., 2003)。これらの選択のステップ、特に胚様体の形成は、細胞数の大きな損失を生じ、その結果低効率となる。その方法は複雑で、多くは非常に長い発生時間がかかり、いくつかの時間を費やすステップを伴う。かくして、未分化hBS細胞由来の肝細胞様細胞の迅速かつ簡単な形成方法が要求される。肝細胞様細胞を得るための以前の試みは出発物質に関して低収率の結果となる(米国特許出願公開第20030003573号明細書)。
【0008】
米国特許出願公開第20030003573号明細書においてさらに細胞が2D培養でEBの形成なしに分化する方法が明らかにされている。しかしながら、明示された方法は最初の24時間以内に80%以上の細胞の損失に導く。
【発明の説明】
【0009】
本発明者等はhBS細胞から肝細胞様細胞を発生する改善された方法を開発してきた。その方法は出発物質中に存在する細胞のタイプによって異なる条件を適用すべきであるという事実を利用している。換言すれば、増殖段階あるいは分化段階、それぞれの前の細胞組成についての知識は、細胞組成にしたがって前記のステップを調整することにより、収率を改善することができる。方法をさらに改善するため、胚外の内胚葉類似前駆細胞あるいは胚の内中胚葉類似前駆細胞の何れかを高めるよう任意に細胞を選ぶことができる。
【0010】
従って、本発明はBS細胞をEBを形成することなく肝細胞様細胞へ分化させる方法を提供する。細胞は、細胞が吸着する表面を含む二次元培地で培養される。それゆえ、本発明は現在の方法よりも短い時間でBS細胞を分化させる改善された方法を提供する。さらに、本発明に従う方法によって最初の24時間内に細胞の大部分を殺すことなく肝細胞様細胞が発生する。
【0011】
さらに、本発明者等は分化開始前の細胞組成についての知識が、得られる肝細胞様細胞が何の目的のために必要かによって2つの異なるプロトコールのどちらかを選ぶために使うことができることを見出した。胚外類似の内胚葉前駆細胞(A型内胚葉前駆細胞)がそこで肝細胞様細胞へ分化するところの本発明のプロトコールAは、得られる肝細胞様細胞の収率および純度が重要である場合に選ぶことができる。しかしながら、内中胚葉類似前駆細胞(B型内胚葉前駆細胞)の分化によって得られる肝細胞様細胞は、胚外類似の内胚葉前駆細胞の分化によって得られる肝細胞様細胞よりも肝細胞様の特徴をより高度に示すと考えられる。それゆえ、プロトコールBで得られる肝細胞様細胞は、プロトコールAで得られる肝細胞様細胞よりも、肝細胞様細胞の同定に用いられる分子マーカーを高レベルで表現し得る。さらに、プロトコールBで得られる肝細胞様細胞は、経路Aで得られる肝細胞様細胞よりも多数の肝細胞様細胞の同定に用いられる分子マーカーを表現し得る。従って、本発明は、収量、純度および質に関する異なる基準を満たす肝細胞様細胞を得るために、分化開始前の細胞組成についての知識を利用して、BS細胞を肝細胞様細胞へ分化させる選択的な方法を提供する。本文中で収率はその方法で得られた肝細胞様細胞数の、その方法に当てられたBS細胞数に対するパーセントとして測られ、純度はその方法で得られた細胞群中の肝細胞様細胞のパーセントとして測られ、質は、高い発現レベルおよびより同時に発現される肝固有マーカーは肝細胞様細胞の質がよいことを示す点で、肝固有マーカーの発現レベルおよび/あるいは同時に発現される肝固有マーカー数によって測られる。マーカーの同一性およびこれらの発現レベルは健康な成熟した一次肝細胞と比べられる。
【0012】
中間の前駆体を分化させる処理の概略に関して、本発明者等は分化開始のかなり前に細胞を増殖させることが有益であることを見出した。前記の増殖は、細胞をステップi)におけるBS細胞の最初の平板培養から計算してステップA-4)またはB-4)のどちらか適切な方で最終分化が誘導されるまでのかなり長い時間増殖させることによって達成される。さらに、前記の増殖は、例えばステップi)のFGF2のような(プロトコールAおよびBの両方とも)、プロトコールAでは例えばレチノール酸(RA)、FGF4および/あるいはBMP2のような、プロトコールBでは例えばアクチビンA、HGFおよび/あるいはNodalのような増殖促進剤の添加によってさらに刺激される。これらの増殖促進剤はこれらのプロトコールそれぞれで要求される各々のタイプの内胚葉前駆細胞の形成を刺激する。すなわち、レチノール酸(RA)、FGF4およびあるいはBMP2の添加はA型内胚葉前駆細胞の形成を刺激し、HGFおよび/あるいはNodalの添加はB型内胚葉前駆細胞の形成を刺激する。
【0013】
内胚葉前駆細胞を得てこれらをさらに肝細胞様細胞へ分化させる方法は、
肝細胞様細胞を得るため
i) 少なくともその一部は内胚葉前駆細胞であるように分化した細胞を得るために、増殖培地中インビトロでBS細胞を分化させ
ii) ステップi)で得られた内胚葉前駆細胞の一部は胚外類似の内胚葉前駆細胞(A型内胚葉前駆細胞)であるおよび/または内中胚葉類似の前駆細胞(B型内胚葉前駆細胞)であることを測定し
iii) 任意に、ステップi)で得られた細胞の一部は未分化BS細胞であることを測定し
iv) 任意に、ステップi)得られた細胞群からA型内胚葉前駆細胞あるいはB型内胚葉前駆細胞の何れかを選択し
v) ステップi)あるいはiv)で得られる組成が既知の内胚葉前駆細胞をここで述べるプロトコールAあるいはBの何れかにかける
ステップから成ることを特徴とする。
【0014】
特定の具体例において、BS細胞はhBS細胞である。
【0015】
さらに特定の具体例において、ステップiv)が含まれる。
【0016】
本発明者等は、ステップi)あるいはステップiv)、もし適切ならば、の細胞組成によって細胞を異なる分化プロトコールにかけることにより、その方法にかけられた細胞数に対する得られた肝細胞様細胞数のパーセントとして決められる全体の収率は改善され、収率は、例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%あるいは少なくとも90%のように、少なくとも10%になることを見出した。
【0017】
胚の発生中に、完全な内胚葉(ここでは胚性内胚葉という)のかなり前に胚外性内胚葉が形成される。胚外性内胚葉は卵黄嚢組織のもとであり、転写因子や他のペプチドのようなシグナルの源として以外、胚には決して寄与しない。卵黄嚢は初期の数日に原肝として働き、後に肝臓に見出される細胞のそれと同様な特徴を持つタイプの細胞を含む。胚性内胚葉は、一方では中間段階の内中胚葉のように、体内の臓器、肺、腸、膵臓および肝臓を発生する。それは、嚢胚形成期に中胚葉および内胚葉のもととなる内中胚葉細胞群から複雑な細胞相互作用とシグナルによって作られる。増殖因子とキー遺伝子がどの胚の層が作られるかを決定する(WellsとMelton、2000;Kubo他、2004)。
【0018】
我々の実験室で、以前に述べられたプロトコール(Carpenter他)(米国特許出願公開第20030003573号明細書)に従って最初に行った実験は失敗し、肝細胞様細胞の収率は極めて低い結果となった。どんな増殖性の前駆細胞群も同定されなかった。実験結果の生理学的な質をさらに改善するため、肝細胞様細胞を得るための改善された結果を導く因子を同定する努力がなされた。下記により詳細に説明するように、本発明者等は、提示される細胞に対する正しい条件を選ぶために、出発物質について同定するあるいは知識を持つことが重要であることを見出した。重要なことに、AおよびB型の内胚葉前駆細胞に関する出発物質として用いられる内胚葉前駆細胞の組成によって2つの異なるプロトコールが開発された。
【0019】
本発明の方法は、それゆえ肝細胞様細胞を発生させる2つのプロトコールに関する:
外胚類似(原始的な)内胚葉を経るプロトコール(A)
内中胚葉類似(胚の(完全な)内胚葉のようなとも表される)を経るプロトコール(B)
以下にこの文の中で使われる定義と略語のリストを示す。
【0020】
定義
この文中で用いるように、用語“胞胚由来幹細胞”は、受精卵母細胞由来の多能性幹細胞、すなわち胚盤胞を示すために使われる。多能性試験は、胚盤胞由来の幹細胞は、生殖細胞を含む生体のあらゆる細胞のもととなり得ることを示している。“胚盤胞由来幹細胞”という用語によってまた、伝統的に“胚幹細胞”と呼ばれてきたものを意味することも意図している。しかしながら、欧州および他の国々の国法によれば、受精卵母細胞は受精後最初の14日以内では胚とみなされない。本発明に従って使われる胚盤胞由来細胞は受精後4-5日の胚盤胞に由来するので、それらは“胚盤胞由来幹細胞”として示され“胚幹細胞”ではない。後者の用語はこれらの細胞の起源について誤解を招きやすい。
【0021】
この文中で用いるように、用語“肝細胞様細胞”は、形態学によっておよび/または以下のマーカー:アルブミン、LFABP、AFP、AAT、CK 18、CYPおよび/またはASGPRの1つまたはそれ以上との陽性反応によって測られる肝細胞様表現形をもつ細胞を示すために用いられる。
【0022】
この文中で用いるように、用語“胚外性内胚葉”、“胚外類似内胚葉”および“原始内胚葉”は、交換して用いることが可能で、胚には決して直接寄与しない卵黄嚢組織のもととなる初期に形成される内胚葉を意味するよう意図している。
【0023】
ここで用いるように、用語“胚外性内胚葉前駆細胞”、“胚外類似内胚葉前駆細胞”、“原始様内胚葉前駆細胞”および“A型内胚葉前駆細胞”は、交換して用いることが可能で、HNF3beta(肝細胞核因子3)、Gata4、Cdx2(尾側関連ホメオボックス転写因子)、Sox 17(Sry-boxを含む遺伝子17の遺伝子産物)およびOct-4とともにPdx1(膵十二指腸ホメオボックス因子-1)の何れか1つとの反応によって測られるような、インビボで発生する原始内胚葉と特徴を分かつ細胞を表すために用いられる。
【0024】
この文中で用いるように、用語“胚性内胚葉”、“内中胚葉性内胚葉”、“完全内胚葉”および“完全類似内胚葉”は、交換して用いることが可能で、最終的に内臓、肺、腸、膵臓および肝臓のもととなる、初期発生生物学における内胚葉発生の様々な段階を意味するよう意図している。“胚性内胚葉前駆細胞”、“内中胚葉前駆細胞”、“内中胚葉類似前駆細胞”および“B型内胚葉前駆細胞”という用語は、交換して用いることが可能で、BrachyuryとHNF3betaとの陽性反応の共局在によって測られるように、インビボで発生する内中胚葉と特徴を分かつ細胞を意味するよう意図している。
【0025】
用語“フィーダー細胞”あるいは“フィーダー”によって、他の型の細胞とともに、第2の型の細胞が増殖できる環境を与えるために共培養される型の細胞を意味するよう意図している。フィーダー細胞は、例えばhBS細胞を支持するヒトまたはマウスフィーダー細胞のように、それらが支持している細胞と同じ種類あるいは異なる種類からの任意でよい。さらにフィーダー細胞は任意に特定の胚葉にさらしてもよい。フィーダー細胞は一般に他の細胞と共培養されるとき、それらが支持する細胞を超えて増殖することを避けるため、放射線照射あるいはマイトマイシンCのような抗有糸分裂剤処理によって不活化される。“フィーダー細胞なし”あるいは“フィーダーなし”という用語によって、フィーダー細胞が培養全細胞の、例えば4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、0.1%以下および0.01%以下のように、5%以下である培養あるいは細胞群を意味するよう意図している。フィーダー細胞を含む、以前の培養を、新鮮なフィーダーを加えない培養のhBSの供給源として使う場合、継代で生き残るいくぶんかのフィーダー細胞があることが認められる。しかしながら、継代の後、フィーダー細胞は増殖せず、6日間の培養の終りにはほんの少しの部分が生きているだけである。
【0026】
用語“二次元”培養によって、BS細胞が胚葉体を形成することなく表面に付着して増殖およびあるいは分化する培養条件を意味するよう意図している。これらの型の培養はまた単層支持培養ともいわれる。
【0027】
この文中で用いるように、用語“培地交換”は用いた培地の10から100%の容積を新鮮な培地に変えることを意味する。細胞培養の浸透圧ストレスへの暴露を避けるために好ましい培地交換は容積のおよそ50%である。
【0028】
用語“肝固有マーカー”あるいは“肝細胞様細胞の同定に用いられるマーカー”は、生体の肝細胞に特異的に表現されることが知られている分子マーカーを意味するよう意図している。そのようなマーカーの例としてはアルブミン、LFABP、AFP、AAT、CK 18、CYPおよびASGPRがある。
【0029】
略語
この文中で用いられるように、用語“胚盤胞由来幹細胞”はBS細胞を表し、ヒト形は“hBS細胞”と呼ばれる。
【0030】
この文中で用いられるように“BMP”、サブタイプ“BMP2”のような用語は、腸胚形成および器官形成のような、初期発生において重要な方向を示す機能を有する骨形態発生タンパクファミリーの一員を意味するよう意図している。
【0031】
この文中で用いられるように、用語“RA”はレチノール酸を意味する。
【0032】
この文中で用いるように、用語“AAT”は肝マーカー アルファ-アンチトリプシンを意味するよう意図している。
【0033】
この文中で用いるように、用語“AFP”は肝マーカー アルファ-フェトプロテインを意味するよう意図している。
【0034】
この文中で用いるように、用語“CK18”は肝マーカー サイトケラチン 18を意味するよう意図している。
【0035】
この文中で用いるように、用語“LFABP”は肝脂肪酸結合タンパクを意味する。
【0036】
この文中で用いるように、用語“ASGPR”アシアログリコプロテイン受容体、主に肝細胞に表現される膜貫通タンパク、を意味するよう意図している。
【0037】
この文中で用いるように、用語“FGF”は、好ましくはヒトおよび遺伝子組換え起源で、繊維芽細胞成長因子2、繊維芽細胞成長因子4等のサブタイプに属する、繊維芽細胞成長因子を意味する。
【0038】
この文中で用いるように、用語“HGF”は、文献中で時には散乱因子 SFとして呼ばれる肝細胞成長因子を意味する。
この文中で用いるように、用語“DMSO”は、ジメチルスルフォキシドである。
文献中で時には散乱因子 SFとして呼ばれる肝細胞成長因子を意味する。
【0039】
この文中で用いるように、用語EBsあるいは“胚葉体”は、肝細胞研究の分野ではっきりと定義された用語である。
【0040】
この文中で用いるように、用語“EF細胞”は“胚繊維芽細胞フィーダー”を意味する。これらの細胞は、マウスあるいはヒトのようなどんな哺乳動物由来でもよい。
【0041】
この文中で用いるように“CYP”はチトクロームPを意味するよう意図され、より特定的には、多くの異なるサブユニットから成る肝臓の第1相代謝酵素であるチトクロームP450を意味する。
【0042】
この文中で用いるように、用語“OATP”は、有機アニオン輸送ポリペプチドを意味するよう意図していて、それはスルフォブロモフタレイン(BSP)および肝の抱合(タウロコレート)および非抱合(コレート)胆汁酸(類似性によって)のような有機アニオンのナトリウム(Na+)に依存しない輸送を仲介する。
【0043】
この文中で用いるように“UGT”は、グルクロン酸抱合活性を触媒する肝の酵素の1群であるジホスホグルクロノシルトランスフェラーゼを意味するよう意図している。
【0044】
この文中で用いるように“HNF3beta”、および/または“HNF3b”は、交換して用いることが可能で、例えば肝、膵島、および脂肪細胞のような内胚葉由来の組織の遺伝子発現を調節する転写因子、肝細胞核因子3を意味するよう意図している。HNF3betaは時には、その名前がその転写因子がフォークヘッドボックス転写因子ファミリーの一員であることに起因してFoxa2とも呼ばれる。
【0045】
この文中で用いるように、“Cdx2”は尾側関連ホメオボックス転写因子を意味するよう意図していて、それは例えば腸管上皮の増殖および分化の調節に重要な役割を演じることが知られている。
【0046】
この文中で用いるように、“Sox17”は、発生において広い役割をもっている高移動性グループDNA結合領域をもつ転写因子をコードする遺伝子ファミリーに属する初期の内胚葉マーカー、Sry-boxを含む遺伝子17を意味するよう意図している。
【0047】
この文中で用いるように、“Pdx1”は膵十二指腸ホメオボックス-1転写因子を意味するよう意図され、時にはインシュリン促進因子-1、島/十二指腸ホメオボックス-1などとも呼ばれ、例えば十二指腸、および膵臓、そしてより特異的には内分泌膵細胞に発現することが知られている。
【0048】
ステップi)の出発物質は多能性/未分化hBS細胞のようなBS細胞、特にhBS細胞である。これらのBS細胞はBS細胞系、特にhBS細胞系から得ることができる。本発明はhBSに関するものであるとはいえ、本発明に従う方法は他の哺乳類のBS細胞にもまた応用できることを除外できない。本発明に従う方法での使用に適したhBS細胞は、例えば、ここに参考として編入されている、国際公開第03/055992号パンフレットに述べられている方法によって得ることができる。BS細胞は下記に述べるようにフィーダー無しあるいはフィーダー培養で増殖することができる。
【0049】
方法のどのステップでもそしてまたステップi)の前でも、細胞は、フィーダー細胞のような細胞上に付着する表面を含む2次元培養あるいはフィーダーフリー培養で培養できる。培養システムは方法のどの段階でも変えることができると考えられる。
【0050】
本発明の特定の具体例では、出発物質として用いられるhBS細胞は少なくとも下記の性質の1つをもつ
a) 有糸分裂を不活化したフィーダー細胞上あるいはフィーダーフリーの培養条件下で増殖する場合、未分化の状態で12ヶ月間以上増殖能力を示し、
b) ヒトの特徴となる染色体の核型を示しかつ維持し、
c) インビトロおよびインビボの両方ですべてのタイプの胚葉の誘導体へ発育する能力を維持し、
d) 以下のマーカー、OCT-4、Nanog、アルカリホスファターゼ、炭水化物エピトープSSEA-3、SSEA-4、TRA1-60、TRA1-81、およびモノクローナル抗体GCTM-2によって認識されるケラチンサルフェート/コンドロイチンサルフェート細胞周辺マトリックスタンパクグリカンの中心タンパクの少なくとも2つを示し、
e) 分子マーカーSSEA-1あるいは他の分化マーカーを示さず、そして
f) 多能性を保持しかつインビボで免疫寛容マウスに注射したとき奇形腫を形成し、
g) 胚の3葉すべての誘導体へ分化できる
ある具体例ではhBS細胞は上に述べた全ての性質を有する。
【0051】
方法は、異なるタイプの内胚葉分化を誘導する因子に応じて様々な細胞群を創る初期の分化プロセスに頼っている。ここに述べるプロトコールAおよびプロトコールBの以下の記述に見られるように、肝細胞様細胞が、出発物質としてそれぞれ、胚外類似内胚葉前駆細胞(A型内胚葉前駆細胞)あるいは内中胚葉類似前駆細胞(B型内胚葉前駆細胞)のどちらで作られるかによって初期の分化段階に違いがある。
【0052】
A型内胚葉前駆細胞の発生および肝細胞様細胞へのさらなる分化(プロトコールA)
上述のように、ステップi)あるいはステップiv)、もし適切ならば、で得られた内胚葉前駆細胞は、ここに述べるようにプロトコールAに提供される。1つの具体例においては、プロトコールAは分画がA型の内胚葉前駆細胞を含む場合、特にステップi)あるいはステップiv)で得られるA型内胚葉前駆細胞の分画がステップi)あるいはステップiv)で得られるB型内胚葉前駆細胞の分画よりも多い場合に採用される。プロトコールAは典型的には、最初にその方法に提供された未分化のBS細胞に比べた肝細胞様細胞の収率が、および/あるいは得られた肝細胞様細胞の純度が最も重要な決定要素である場合に選ばれる。
【0053】
本発明によるプロトコールAは:
肝細胞様細胞を得るために、
A-1) ステップi)またはiv)、もし適切ならば、得られた組成が既知の内胚葉前駆細胞を増殖培地に供しそして任意に、増殖培地を適切な時間の後交換し、
A-2) ステップi)、iv)またはA-1)で得られた組成既知の内胚葉前駆細胞を、1つまたはそれ以上の増殖促進剤の添加によって増殖し、
A-3) 任意に、ステップi)、iv)またはA-2)で得られた細胞を、前記細胞のさらなる増殖を導くように1回またはそれ以上継代し
A-4) 1つまたはそれ以上の分化試薬の添加によって、ステップi)、iv)、A-2)またはA-3)で得られた前駆細胞の分化を誘導する、
ステップから成ることを特徴とする。
【0054】
本発明のある具体例においては、ステップi)、v)およびA-1)-A-4)の細胞は、細胞がそこに付着する表面を含む2次元培養で培養される。
【0055】
最初の分化
A型の内胚葉前駆細胞を得るために、ステップi)の最初の分化を含むBS細胞の最初の処理はステップi)の培養培地へFGF2を添加することによって行われる。FGF2はおよそ0.1ng/mlからおよそ200ng/mlの濃度、例えば、およそ0.5ng/mlからおよそ100ng/ml、およそ1ng/mlからおよそ50ng/ml、およそ1ng/mlからおよそ25ng/ml、およそ2ng/mlからおよそ10ng/ml、およそ3ng/mlからおよそ5ng/mlのような濃度で加えることができる。
【0056】
ステップi)で出発物質として採用されるBS細胞は、最初の分化の前にフィーダー細胞有りまたはなしで培養されたBS細胞であってよい(ステップiに従う)。
【0057】
フィーダー細胞が存在する場合、BS細胞、特にhBS細胞は、マウスEF細胞あるいはヒトフィーダー細胞のようなフィーダー細胞上に、培地交換無しにおよそ2から14日、3から12日、4から11日、5から10日、6から9日、7から8日のように、保持することができる。培地はおよそ2から14日後、3から12日後、4から11日後、5から10日後、6から9日後、7から8日後のように、交換でき、胚外内胚葉の発生を促進する補充培地に取り替えることができる。
【0058】
あるいはまた、BS細胞はフィーダーフリー培地で、例えばマトリゲルTMのようなどんな適当な支持マトリックス上でも、継代あるいは培地交換することなしにおよそ2から28日、4から25日、6から20日、8から18日、10から16日、12から14日のように、培養することができる。培養培地はその後、胚外内胚葉の発生を促進する補充培地に変えることができる。
【0059】
得られた前駆細胞がA型内胚葉前駆細胞であることを確定するため、それらの一部をOct-4、Pdx-1、HNF3bのようなマーカーに対する陽性反応、および例えばSSEA-4、Tra1-81、Tra1-60のような未分化のhBS細胞に特異的なマーカーとの陰性反応によって特徴付けることができる。
【0060】
A型内胚葉前駆細胞であるところのステップi)および/あるいはステップiv)で得られる細胞分画は、これらの細胞のサンプルから立証されるように、少なくとも10%、例えば、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%のように、である。
【0061】
さらに、未分化BS細胞であるところのステップi)および/あるいはステップiv)で得られる細胞分画は、これらの細胞のサンプルから立証されるように、85%以下、例えば70%以下、例えば60%以下、50%以下あるいは40%以下のように、である。
【0062】
本発明のある具体例では、ステップi)で得られるA型内胚葉前駆細胞はステップiv)を含めることによって選ばれる。
【0063】
A型内胚葉前駆細胞のような内胚葉前駆細胞は、PDX-1、Oct-4、HNF-3bあるいはいかなる適切な内胚葉促進剤あるいはその組み合わせのような胚外に関連したプロモーターの支配下で、eGFP(強化緑色蛍光タンパク)および/あるいはDsRed(ディスコゾーマの1種の赤色蛍光タンパク)のようなレポーター遺伝子がそこで発現する遺伝子変換産物あるいは同種の遺伝子組換えの何れによっても得られるレポーター遺伝子BS細胞系を発生させることによって選ぶことができる。その後、選択は例えば、ネオマイシン選択を用い、そこでは導入された抵抗遺伝子を取り入れた細胞が抗生物質ネオマイシンが存在する培養システムの中で生き残ることによって、あるいは細胞を分離しレポーター遺伝子の発現に基づいて例えばフローサイトメトリー(FACソーティング)によって分類することによって、行うことができる。このようにしてA型内胚葉前駆細胞は
a) 培養でネオマイシン選択を用いることによって、および/あるいは
b) フローサイトメトリーを用いることによって
選択できる。
【0064】
遺伝子変換hBS細胞は、例えばトランスフェクションのような遺伝子工学、あるいはリポフェクタミン、レンチウィルスベクター、あるいはエレクトロポーレイションのような組織特異的なプロモーターの制御下で、関心のあるマーカー遺伝子を含み、それによって関心のあるタンパクの一過性および/あるいは安定な表現を得るDNAを導入するどんな適切な方法によっても、発生させることができる。
【0065】
胚外内胚葉前駆細胞の増殖と継代
A型内胚葉前駆細胞の増殖はフィーダー細胞上あるいはフィーダーフリー培養システムであってよい。
【0066】
A型内胚葉前駆細胞がフィーダー細胞の存在下で培養される場合、細胞は促進培地中でおよそ2から14日の間、およそ3から13日、およそ4から12日、およそ5から11日、およそ6から10日、およそ7から9日間のように、培養でき、そして、任意に、培地を1週間に1回交換してよい。ステップi)、ステップA-1)および/あるいはA-2)で得られる内胚葉前駆細胞は、およそ2からおよそ14日培養後に、およそ3からおよそ13日後、およそ4からおよそ12日後、およそ5からおよそ11日後、およそ6から10日後、およそ7からおよそ9日後のように、およそ8日培養後のように、切り取って新しいフィーダー上に再接種できる。切取りはピペットあるいはガラス毛細管のようなどんな手近な道具を使っても実行できる。その後の継代(ステップA-3)は、キレート化剤あるいは酵素処理を用いておよそ2からおよそ14日後に、およそ3からおよそ13日後、およそ4からおよそ12日後、およそ5からおよそ11日後、およそ6からおよそ10日後、およそ7からおよそ9日後のように、およそ8日培養後のように、行うことができ、細胞はさらに新鮮なフィーダー、どんな培養支持マトリックスあるいはプラスチックへ移してよい。その後の継代は酵素処理によっておよそ2からおよそ14日後に、およそ3からおよそ13日後、およそ4からおよそ12日後、およそ5からおよそ11日後、およそ6からおよそ10日後、およそ7からおよそ9日後のように、およそ8日培養後のように、行うことができる。
【0067】
本発明のある具体例では、ステップii)で得られたA型内胚葉前駆細胞はガラス毛細管を切取りおよび移動の道具として用いて切取られ、新鮮なマウスEF細胞上に再接種された。以後の継代はトリプシン化によって行われ、細胞はさらにフィーダーフリーの条件で、組織培養処理されたプラスチック皿へ移された。すべての続いて起こる継代はトリプシンを用いて行われ、培養はプラスチック上で12代以上維持された。
【0068】
A型内胚葉前駆細胞がフィーダーフリー培養システムで培養される場合、細胞は促進培地(増殖のために用いられる培地)中でおよそ2からおよそ28日、およそ4からおよそ26日、およそ6からおよそ24日、およそ8からおよそ20日、およそ10からおよそ18日、およそ11からおよそ17日、およそ12日からおよそ16日、およそ13からおよそ15日のように、およそ14日のように、培養でき、そして培地はその期間に1から10回の間、2から9回の間、3から8回の間、4から7回の間、5から6回の間のように、換えることができる。ステップi)、ステップA-1)および/あるいはA-2)の後に得られる前駆細胞は、新鮮な培養システムに2から28日培養後に、4から24日後、6から20日後、8から16日後、9から14日後、11から12日後のように、8日培養後のように、移すことができる。移動はピペットあるいはガラス毛細管のようなどんな手近な道具を用いてでも、あるいは酵素処理またはキレート化剤によってでも行うことができる。それに続く継代(ステップA-3)は酵素処理によっておよそ2からおよそ14日後に、およそ3からおよそ13日後、およそ4からおよそ12日後、およそ5からおよそ11日後、およそ6からおよそ10日後、およそ7からおよそ9日後のように、およそ8日培養後のように、行うことができる。
【0069】
異なる化合物が胚外内胚葉細胞(A型内胚葉前駆細胞)の増殖を促進するために使われる。そのような化合物の例は、例えばレチノール酸、FGF4および/あるいはBMP2であり、それらの化合物は選択的にA型内胚葉前駆細胞の増殖を促進する。本発明のある具体例では、ステップA-2)で加えられる1つあるいはそれ以上の増殖促進剤は、それゆえRA、FGF4、およびBMP2から成るグループから選ばれる。RA、FGF4、および/またはBMP2はおよそ0.1ng/mlからおよそ1000ng/ml濃度で、例えばおよそ0.5ng/mlからおよそ800ng/ml、およそ1ng/mlからおよそ600ng/ml、およそ1.5ng/mlからおよそ400ng/ml、およそ2ng/mlからおよそ200ng/ml、およそ2.5ng/mlからおよそ100ng/ml、およそ3ng/mlからおよそ50ng/ml、およそ3ng/mlからおよそ20ng/ml、およそ3.5ng/mlからおよそ20ng/mlあるいはおよそ4からおよそ8ng/mlのように、加えることができる。
【0070】
本発明のある具体例では、ステップA-2)で得られるA型内胚葉前駆細胞である細胞分画は、これらの細胞のサンプルで立証されるように、例えば、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%のように、少なくとも20%である。A型内胚葉前駆細胞は、HNF3beta、Gata4、Cdx2、Sox
17およびPdx1から成るグループから選ばれたマーカーのような、初期に発現されるいかなる内胚葉マーカーとの陽性反応によっても同定される。
【0071】
得られた前駆体がA型内胚葉前駆細胞であることを確かめるために、それらの分画は、マーカーOct4との陽性反応によって、あるいはOct-4のようなマーカーのマーカーGata-4,Cdx2、Sox17、Pdx-1およびHNF3bのどれかと一緒の陽性反応によって、および例えばSSEA-4、Tra1-81、Tra1-60および/またはNanogのような未分化hBS細胞に特異なマーカーとの陰正反応によって特徴付けられる。
【0072】
本発明のある具体例では、ステップi)、iv)あるいはA-2)で得られるA型内胚葉前駆細胞は以下のマーカー、HNF3beta、Gata4、Cdx2、Sox17およびPdx1の少なくとも1つとの陽性反応によって、例えば、少なくとも以下のマーカーの2つ、少なくとも以下のマーカーの3つ、少なくとも以下のマーカーの4つ、少なくとも以下のマーカーの5つのように、あるいはHNF3beta、Gata4,Cdx2およびPdx1との陽性反応によって同定される。
【0073】
上述のように、特定の具体例において、ステップA-3)が含まれ、そしてステップi)あるいはiv)、何れか適切な方、で得られたおよび/またはステップA-2)で増殖したA型内胚葉前駆細胞は、さらにフィーダー層上あるいはフィーダーフリー培養システムの何れでも増殖させることができ、機械的切取り、酵素処理あるいはEDTAのような温和なきレート剤の使用の何れによっても継代できる。
【0074】
得られた細胞群はさらにOct-4およびPdx-1の共局在化によって特徴付けられる。
【0075】
一般に、A型内胚葉前駆細胞の集団個体数は、ステップA-2)またはA-3)の後、少なくとも2倍で、例えば10倍またはそれ以上、50倍またはそれ以上、100倍またはそれ以上、250倍またはそれ以上、500倍またはそれ以上、750倍またはそれ以上あるいは1000倍またはそれ以上のように、増大される。
【0076】
A型内胚葉前駆細胞の肝細胞様細胞への分化
ステップA-4)を行うために、培地は1つまたは2つの分化試薬を含む分化培地に変えられ、その中で細胞は2から14日の間、3から12日の間、4から11日の間、5から10日の間、6から19日の間、7から8日の間のように、培養できる。しかしながら、もし細胞がフィーダーフリー培地システムで培養されてきたならば、1つまたはそれ以上の分化試薬の存在下での培養は、およそ5からおよそ50日、およそ10からおよそ40日あるいはおよそ30日のように、60日までである。1つまたはそれ以上の分化試薬の適切な例は、毒性試薬であり、特に肝によって分解される毒性試薬である。分化試薬は、例えばエタノールのようなアルコールであることができ、あるいはDMSO、デキサメタゾン、フェノバルビタール、尿素あるいはそれらの組み合わせでもよい。
【0077】
好ましい具体例では分化試薬はDMSOであり、およそ0.5%からおよそ10%の濃度で、例えば、およそ0.5%からおよそ9%、およそ0.6%からおよそ8%、およそ0.6%からおよそ7%、およそ0.7%からおよそ6%、およそ0.7%からおよそ5%、およそ0.7%からおよそ4%、およそ0.8%からおよそ3%、およそ0.8%からおよそ2%、およそ0.8%からおよそ1.8%、およそ0.8%からおよそ1.6%、およそ0.9%からおよそ1.4%、およそ0.9%からおよそ1.2%、およそ0.9%からおよそ1.1%のように、加えられる。
【0078】
得られた細胞群は、アルファフェトプロテイン(AFP)、アルファアンチトリプシン(AAT)、肝脂肪酸結合タンパク(LFABP)、サイトケラチン18(CK18)、アルブミンおよびアシアログリコプロテイン受容体(ASGPR)のような肝マーカーを示すとともに、例えばHNF3bのような内胚葉特異的なマーカーの発現は低いか発現しない。
【0079】
遺伝子プロファイリングおよび例えば肝特異的酵素活性に基づく機能試験のようなさらなる特徴付けもまた、内胚葉前駆細胞および/または肝細胞様細胞の肝切除マウスへの移植と同様に適用される。
【0080】
主な第1相生物変換あるいは代謝システムはチトクロームP
450(CYP)である。本発明で得られる異なるタイプの細胞のCYP発現は、免疫組織化学および/またはウェスターンブロットによるタンパクのレベルで解析される。追加的な方法は、本発明で得られる細胞をリアルタイムPCRで遺伝子的に分析することである。関心のある特定のCYPサブタイプはCYP
3A4およびCYP 1A2(ヒト肝に豊富にある)、およびCYP 3A7(胎児肝組織に発現する)である。次に、例えばデキサメタゾン、リファンピシン、および/またはオメプラゾールのような種々の既知の誘導物質の添加によって、CYP誘導を試験する。
【0081】
得られる前駆細胞および肝細胞様細胞はさらにグルタチオントランスフェラーゼ(GSTs)について分析される。GSTsは親電子的な生体外物質をグルタチオン(GSH)と抱合する第2相生物変換酵素である。GTSsは広範囲の基質を有し、GSHは非常に豊富であることから、GSTsは生体異物の解毒に重要な役割を持つものである。第2相酵素誘導の分析は、免疫蛍光、共焦点顕微鏡および/またはできる限りウェスターンブロット解析のような適当な方法によって行うことができる。
【0082】
多剤耐性タンパクあるいはP-グリコプロテインは細胞からアニオン性の抱合体および他の基質を輸出する輸送タンパクである。この第3相解毒プロセスの特徴付けは、本発明で得られる様々なタイプの細胞の代謝のより完全な像に貢献することができる。
【0083】
本発明で得られる肝細胞用細胞および/または、例えば、AまたはB型の内胚葉前駆細胞のような中間の前駆細胞も同様に、それらの代謝的に重要な発現プロファイルを解析することで特徴付けられる。以下にこれがいかになされるかについて述べる。内胚葉前駆細胞および肝細胞様細胞のような未分化および分化したhBS細胞からRNAを、また陽性対照としてヒト肝RNAを抽出する。HepG2のような肝細胞系から抽出したRNAも同様に対照として用いられる。そして、マイクロアレイのような適当な遺伝子手段を用い、引き続き適当なソフトウェアを用いてバイオインフォーマティクス解析することによって、多くの異なる遺伝子を比較して、発現プロファイルを得ることができる。そして、本発明の様々なタイプの細胞は、多かれ少なかれキー遺伝子、すなわち肝特異的酵素および輸送タンパクをコードする遺伝子のようなヒト成熟肝に特異的に発現するどんな遺伝子でも、を示す。付け加えるに、肝特異的遺伝子アルブミンおよびグルコース-6-ホスファターゼの発現が解析され、またできる限り対照サンプルの発現レベルと比較される。
【0084】
通常、肝細胞様細胞は、アルブミン、AFP、AAT、CK 18、LFABP、CYPおよびASGPRからなるグループから選ばれたマーカーとの陽性反応によって同定される。陽性反応は、以下のマーカー:アルブミン、AFP、AAT、CK18、LFABP、CYPおよびASGPRの少なくとも1つについて、例えば、以下のマーカーの少なくとも2つ、以下のマーカーの少なくとも3つ、以下のマーカーの少なくとも4つ、以下のマーカーの少なくとも5つ、以下のマーカーの少なくとも6つのように、確認されなければならない。特に、肝細胞様細胞は、アルブミン、AFP、AAT、CK18およびLFABPとの陽性反応によって同定できる。
【0085】
本発明に従ってプロトコールAを含む方法を用いることによって、ステップA-4)で得られる肝細胞様細胞である細胞の分画は、これらの細胞のサンプルで立証されるように、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%のように、少なくとも5%である。
【0086】
ステップA-4)で得られる未分化細胞である細胞の分画は、これらの細胞のサンプルで立証されるように、例えば、1%以下、0.5%以下のように、2%以下であってよい。
【0087】
プロトコールAを適用するとき、細胞は二次元培養で増殖する。
【0088】
本発明のある具体例では、ステップA-1)で得られる細胞はステップA-2)を含めることで、さらに増殖される。得られた細胞は、ステップA-3)でのようにおよそ60-90%コンフルエンスで、例えば、およそ65-85%コンフルエンス、およそ70-80%コンフルエンスのように、継代できる。もし前駆体の継代前の培養が長過ぎると、融合し過ぎになり、接触阻害および/または分化による本質的な変化がおきる。ステップA-3)はおよそ1からおよそ30回、例えば、およそ5からおよそ25回、およそ10からおよそ20回のように、繰り返すことができる。
【0089】
A-1)からA-3)のどのステップからでも得られた細胞が内胚葉細胞となるべく運命付けられているかどうかを決定するためには、細胞は免疫組織化学および形態学に基づいたいくつかの規準を満たさねばならない。さらに、それらはHNF3beta、Gata4、Cdx2、Sox17およびPdx1のような内胚葉特異的マーカーの1つまたはそれ以上、あるいはアルブミン、AFP、AAT、CK
18、LFABPおよびまたはASGPRのような肝細胞マーカーの1つまたはそれ以上を発現しなければならない。もう1つの試験は、細胞が、例えば、マーカーNanog、SSEA-3,SSEA-4、GCTM-2、Tra-1-60、Tra-1-81、および/またはOct-4のような未分化hBS細胞のマーカーをまだ発現しているかどうかを決定することである。
【0090】
自発的な分化は、我々が用いてきた増殖因子あるいは低分子化合物に応答する種々の細胞を発生する。胚外類似内胚葉は、例えば3日のように、培養数日後にすでに存在する最初の内胚葉であり、Oct-4-Pdx1-二重陽性およびSSEA-4陰性細胞群によって同定される。
【0091】
この発明のある具体例では、A-1)-A-3)から得られた細胞は以下の性質の少なくとも1つを有する:
I) 細胞群の大部分は、以下のマーカー、HNF3beta、Cdx2、Gata-4、Pdx1、Sox17および/またはOct4とともにPdx1、の少なくとも1つを発現し
II) 細胞群の大部分は、以下のマーカー、HNF3beta、Gata4、Pdx1、Sox17の少なくとも1つを発現し
III) 細胞群の大部分は、以下のマーカー、アルブミン、HNF3beta、LFABP、CK18、AFP、AAT、CYPおよびASGPRの少なくとも1つの発現を伴ってさらに分化することができ
IV) 細胞群の大部分は、以下の未分化hBS細胞のマーカー、SSEA-3、SSEA-4、GCTM-2、Tra1-60、Tra1-81およびNanog、の1つまたはそれ以上を発現できない
本発明の特定の具体例では、細胞は上記I)からIV)のすべての性質を有する。
【0092】
この文中で、用語“細胞の大部分”は、細胞の細胞の少なくともおよそ60%を、例えば、少なくともおよそ75%、少なくともおよそ90%あるいは少なくともおよそ95%のように、示すよう意図している。
【0093】
また、細胞が、外胚葉および中胚葉のような内胚葉以外の胚葉のタイプの細胞のマーカーを発現しているかどうかを評価することもできる。この目的のために、ネスチン、GFAP、ベータIIIチュブリン(外胚葉マーカー)、同様にASMA(アルファ平滑筋アクチン)、Brachyuryおよびデスミン(中胚葉マーカー)が用いられる。
【0094】
本発明のある具体例では、ステップA-1)および/またはステップA-2)および/またはA-3)から得られる細胞の大部分は、例えば、GFAPまたは/およびネスチンのような外胚葉のマーカーを発現しない。
【0095】
ステップA-2)-A-4)から得られる細胞は、肝細胞系列の少なくとも1つ、例えば卵円形細胞あるいは肝細胞へとさらに分化し得る。
【0096】
本発明のある具体例では、A-4)で得られた分化した細胞は、HNF3beta、アルブミン、AFP、AAT、CK18、LFABP、CYPおよびASGPRの少なくとも1つを含む、肝細胞のタイプマーカーの少なくとも1つを発現し得る。
【0097】
発現プロファイルおよび肝細胞に重要な特異的遺伝子あるいはマーカーのレベルは、例えばRNA抽出および引き続く定量的PCRによって測定できて、そこでは、どの肝特異的マーカーでも、対照サンプル、例えばHepG2のような伝統的に使われている肝細胞系列および成熟ヒト肝細胞、と比較できる。A型内胚葉前駆体から得られる肝細胞様細胞は、発現された遺伝子およびそれらの遺伝子の発現レベルに関して健康な成熟ヒト肝細胞と同様なプロファイルを示す。
【0098】
特定的に、それらは健康な成熟(ヒト)肝細胞で発現されるマーカーと、例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%のように、同じ発現マーカーのプロファイルを共有する。
【0099】
個々のマーカーの発現レベルはさらに、同じ条件下で培養された健康な成熟肝細胞での発現レベルの、例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%のように、少なくとも2%を構成する。
【0100】
未分化のBS細胞は、Nanog、SSEA-3、SSEA-4、GCTM-2、Tra1-60、Tra1-81およびOct-4(これはまた、どんな未分化BS細胞を同定するためにも適切な場合、本方法による方法における他のステップにも用いる)から成るグループから選ばれたマーカーとの陽性反応によって同定することができる。
【0101】
特定の具体例では、未分化のBS細胞は少なくとも前記の未分化BS細胞のマーカーの1つとの陽性反応によって、例えば、少なくとも前記のマーカーの2つ、少なくとも前記のマーカーの3つ、少なくとも前記のマーカーの4つ、少なくとも前記のマーカーの5つのように、同定され、Nanog、SSEA-3、SSEA-4、GCTM-2、Tra1-60、Tra1-81およびOct-4との陽性反応によって同定される。特定の具体例では、未分化のBS細胞は、SSEA-3、SSEA-4、GCTM-2、Tra1-60、Tra1-81、NanogおよびOct-4との陽性反応によって同定される。
【0102】
B型内胚葉前駆細胞の発生と肝細胞様細胞へのさらなる分化(プロトコールB)
上述のように、ステップi)あるいはiv)、もし適切ならば、で得られる内胚葉前駆細胞は、ここに述べるプロトコールBにかけることができる。ある具体例では、プロトコールBは、ステップi)あるいはiv)、もし適切ならば、で得られる内中胚葉前駆細胞である細胞の分画が、これらの細胞のサンプルで立証されるように、例えば、少なくとも5%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%のように、少なくとも0.5%である場合に採用される。プロトコールBは典型的には、分化プロトコールの選択に対し肝細胞様細胞の質が最も重要な規準である場合に選ばれる。
【0103】
プロトコールBは:
肝細胞様細胞を得るために、
B-1) ステップi)またはiv)、もし適切ならば、で得られる組成が既知の内胚葉前駆細胞を増殖培地に供し、そして任意に、適当な時間の後に増殖培地を変え、
B-2) ステップi)、iv)またはB-1)で得られる組成が既知の内胚葉前駆細胞を、1つまたはそれ以上の増殖促進剤の添加によって増殖し、
B-3) 任意に、ステップi)、iv)またはB-2)で得られる細胞を、前記細胞のさらなる増殖を導くよう1回またはそれ以上継代し、
B-4) 1つまたはそれ以上の分化試薬の添加によって、ステップi)、iv)、B-2)またはB-3)で得られる前駆細胞の分化を誘導する、
ステップから成ることを特徴とする。
【0104】
本発明のプロトコールBのある具体例において、ステップi)、iv)、およびB-1)からB-4)の細胞は、細胞が付着する表面から成る2次元培養で培養される。
【0105】
最初の分化
最初の分化ステップi)は本質的にプロトコールAに述べられたものと同じである。
【0106】
hBS細胞のようなBS細胞は、マウスEF細胞あるいはヒト繊維芽細胞のようなフィーダー細胞の存在下で継代あるいは培地交換なしに3から28日の間、4から18日の間のように、5から15日の間のように、6から12日の間のように、7から10日の間のように、培養される。
【0107】
あるいはまた、BS細胞は培養支持マトリックス上のようなフィーダーフリー培地で、継代あるいは培地交換なしに2から28日の間、4から30日の間のように、5から20日の間のように、6から15日の間のように、7から10日の間のように、培養される。
【0108】
内中胚葉類似前駆細胞群(タイプB細胞)はその後、例えばBrachyuryとHNF3bの組合せのような、内中胚葉前駆細胞の規準とみなすことができる(Kubo他、2004)適当な抗体染色セットによって同定される。
【0109】
最初の分化プロセスは、明確な分化を導く因子に応答する種々の細胞群をつくる。B型内胚葉前駆細胞の分化を選択的に促進するため、例えば、アクチビンA、HGF、およびNodalのような増殖促進剤を使うことができる。
【0110】
未分化BS細胞であるステップi)および/またはステップiii)で得られる細胞分画は、これらの細胞のサンプルで立証されるように、例えば、70%以下、60%以下、50%以下または40%以下のように、85%以下である。その上、内胚葉前駆細胞であるステップi)および/またはステップiii)で得られる細胞分画は、これらの細胞のサンプルで立証されるように、例えば、20%以下、10%以下、あるいは5%以下のように、30%以下である。外胚葉細胞は、例えばGFAP(繊維性神経膠細胞酸性タンパク)およびネスチンのような、1つまたはそれ以上の内胚葉特異的分子マーカーとの陽性反応によって同定される。
【0111】
上記のステップi)およびiv)における内中胚葉前駆細胞の存在はさらに、ステップi)およびステップiv)で得られる内胚葉前駆細胞の、インビボおよび/またはインビトロで内中胚葉起源タイプの細胞へ分化する能力を調べることによって確認される。
【0112】
ステップi)で得られるB型内胚葉前駆細胞の集団はステップiv)を含めることで選択される。
【0113】
サブタイプBの前駆体のような内胚葉前駆体は、eGFP(緑色蛍光タンパク)およびまたはdsRed(ディスコゾーマの1種の赤色蛍光タンパク)のようなレポーター遺伝子の発現がHNF3betaとBrachyuryあるいは他の適当な組合せのような内胚葉に関連するプロモーターの支配下にある遺伝子変換体あるいは同種の遺伝子組換えのどちらにによっても得られるレポーター遺伝子BS細胞系を発生させることによって選択される。その後選択は、例えば、そこでは導入された抵抗遺伝子を取り入れた細胞が培養システム中、抗生物質ネオマイシンの存在で生き残るネオマイシン選択によって実行され、あるいは、細胞を分離して、それらのマーカー遺伝子の発現に基づいて、例えばフローサイトメトリー(FACソーティング)によって分別することによって実行される。このようにB型内胚葉前駆細胞は、
a) 培養におけるネオマイシン選択の利用、および/または
b) フローサイトメトリーの利用
によって選択できる。
【0114】
遺伝子変換hBS細胞は、遺伝子導入による遺伝子工学あるいは、例えば、関心のあるマーカー遺伝子を構成するDNAを導入し、それによって組織特異的プロモーターの支配下で関心のあるタンパクの一過性および/または安定な発現を得るための、リポフェクタミン、レンチウィルスベクター、あるいはエレクトロポーレイションのようなどんな適切な方法によっても発生できる。
【0115】
B型内胚葉前駆細胞の拡大およびさらなる増殖
B型内胚葉前駆細胞はフィーダー細胞上あるいはフィーダーフリー培養システムで増殖できる。
【0116】
B型内胚葉前駆細胞がフィーダー細胞の存在下で培養される場合、最初の分化からの培地は、HGF、アクチビンAあるいはnodalおよび/またはそれらの組合せのような因子を補った内中胚葉前駆体促進培地に変えてもよい。次の培地交換は、3から7日毎、3から6日毎、4から5日毎のように、2から8日毎に行われ、細胞はこの条件下で、12から26日間、14から24日間、16から22日間、18から20日間のように、10から28日間培養される。固定後、免疫細胞化学分析を行うことができる。
【0117】
本発明のある具体例では、hBS細胞はマウスEF細胞上で、継代あるいは培地交換なしに7日間培養された。培地はその後、アクチビンA、nodalあるいはHGFのどれでもから成る内胚葉促進培地に交換された。促進培地はその後週に2回交換した。結果として得られた細胞分画は固定され様々な時間で免疫組織化学によって分析された。
【0118】
ステップB-1)および/またはB-2)の後で得られた前駆細胞は培地中およそ2から14日後に、およそ3から13日後、およそ4から12日後、およそ5から11日後、およそ6から10日後、およそ7から9日後のように、培地中8日後のように、任意に切取り新しいフィーダー上に再接種できる。切取りは、ピペットあるいはガラス毛細管のようなどんな手近な道具を用いてでも行える。その後の継代(ステップB-3)は、3から13日後、4から12日後、5から11日後、6から10日後、7から9日後、培養8日後のように、2から14日後にキレート化剤あるいは酵素処理を用いて行われ、細胞はさらに、新鮮なフィーダー、どんな培養支持マトリックスでも、あるいはプラスチックへ移される。その後の継代は、およそ3からおよそ13日後、およそ4からおよそ12日後、およそ5からおよそ11日後、およそ6からおよそ10日後、培養およそ8日後のようにおよそ7からおよそ9日後、のように、およそ2からおよそ14日後に酵素処理によって実施される。
【0119】
B型内胚葉前駆細胞がフィーダーフリー培養システムで培養される場合、培地は、HGF、アクチビンAおよび/またはnodalのような因子を補った内中胚葉前駆体促進培地に換えることができる。その後の培地交換は、3から7日毎のように、3から6日毎のように、4から5日毎のように、2から8日毎に行うことができ、細胞はこの条件下で、12から26日の間のように、14から24日の間のように、16から22日の間のように、18から20日の間のように、10から28日の間培養することができる。固定化後、免疫細胞化学分析が実施できる。
【0120】
ステップB-1)および/またはB-2)で得られる前駆細胞は、4から24日後、6から20日後、8から16日後、9から14日後、11から12日後のように、培養8日後のように、培養2から28日後に新鮮な培養システムに移すことができる。移行は、ピペットあるいはガラス毛細管のようなどんな手近な道具を使っても、あるいは酵素処理またはキレート化剤によって実行できる。以後の継代は、3から13日後、4から12日後、5から11日後、6から10日後、培養8日後のように7から9日後、のように、2から14日後の酵素処理によって行われる。
【0121】
増殖ステップB-2)では、1つまたはそれ以上の増殖促進因子が加えられる。それらの試薬はアクチビンAおよびHGFからなるグループから選ぶことができる。
【0122】
アクチビンAが使われる場合、通常およそ0.01から500μg/mlの濃度で、例えば、およそ0.05からおよそ250μg/ml、およそ0.1からおよそ200μg/ml、およそ1からおよそ100μg/ml、あるいはおよそ25μg/mlのように10から50μg/ml、のように、加えられる。
【0123】
HGFが使われる場合、通常0.01から500μg/mlの濃度で、例えば、およそ0.05からおよそ250μg/ml、およそ0.1からおよそ200μg/ml、およそ1からおよそ100μg/ml、あるいはおよそ20μg/mlのように10から50μg/ml、のように、加えられる。
【0124】
ステップB-2)で得られるB型内胚葉前駆細胞である細胞分画は、これらの細胞のサンプルから立証されるように、例えば、少なくとも5%以上、あるいは少なくとも10%のように、少なくとも2.5%である。
【0125】
B型内胚葉前駆細胞は次に、マーカーBrachyuryおよびHNFbetaの共局在化によるように、BrachyuryとHNFbetaからなるグループから選ばれたマーカーに対する陽性反応によって同定される。
【0126】
内中胚葉前駆細胞の増殖および、もし用いられるならば、継代の後に、内中胚葉前駆細胞群はステップB-2)またはB-3)の後で少なくとも2倍で、例えば、10倍またはそれ以上、50倍またはそれ以上あるいは100倍またはそれ以上のように、増加する。
【0127】
B型内胚葉前駆細胞の肝細胞様細胞への分化
このステップは本質的にプロトコールAに述べられたように行われる。
【0128】
ステップB-4)で得られる肝細胞様細胞である細胞分画は、これらの細胞のサンプルで立証されるように、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%のように、少なくとも5%である。
【0129】
肝細胞様細胞は、アルブミン、AFP、AAT、CK 18、LFABP、CYPおよびASGPRから成るグループから選ばれたマーカーに対する陽性反応によって同定される。特に、肝細胞様細胞は下記のマーカー:アルブミン、AFP、AAT、CK18、LFABP、CYPおよびASGPRの少なくとも1つとの陽性反応によって、例えば、下記のマーカーの少なくとも2つ、下記のマーカーの少なくとも3つ、下記のマーカーの少なくとも4つ、下記のマーカーの少なくとも5つ、下記のマーカーの少なくとも6つのように、同定される。特に、肝細胞様細胞はアルブミン、AFP、AAT、CK18およびLFABPとの陽性反応によって同定される。
【0130】
遺伝子プロファイルおよび例えば肝特異的酵素活性に基づいた機能試験のようなさらなる特徴付けもまた、肝切除マウスへの内胚葉前駆細胞および/または肝細胞様細胞の移植と同様に用いられる。
【0131】
主要な第1相生物変換あるいは代謝システムはチトクロームP450(CYP)である。本発明で得られる様々なタイプの細胞におけるCYPの発現は、免疫組織化学および/またはウェスターンブロットによるタンパクレベルで分析される。追加的な方法は、本発明で得られる細胞をリアルタイムのPCRを用いて分析することである。関心のある特異的なCYPサブタイプはCYP
3A4およびCYP 1A2(ヒト肝に豊富にある)、およびCYP 3A7(胎児肝組織に発現される)である。それからCYP誘導を、例えばデキサメタゾン、リファンピシン、および/またはオメプラゾールのような種々の既知誘導剤を加えることによって試験することができる。
【0132】
得られた前駆細胞および肝細胞様細胞はさらに、グルタチオントランスフェラーゼ(GSTs)について分析される。GSTsは親電子的な生体異物のグルタチオン(GSH)との抱合を触媒する第2相生物変換酵素である。GSTsは広範な基質をもちそしてGSHは非常に豊富であることから、GSTsは生体異物の解毒に重要な役割を持つものである。第2相酵素誘導の分析は、免疫蛍光、共焦点顕微鏡および/またはできる限りウェスターンブロット解析のような、どんな適当な方法でも実施できる。
【0133】
多剤耐性タンパクあるいはP-グリコプロテインはアニオン性の抱合体および他の基質を細胞から輸出する輸送タンパクである。この解毒プロセスの第3相を特徴付けることは、本発明で得られる様々なタイプの細胞の代謝のさらに完全な像に寄与し得る。
【0134】
本発明で得られる肝細胞様細胞および/または、例えば、AまたはB型内胚葉前駆細胞のような中間の前駆細胞は同様に、それらの代謝的に重要な遺伝子の発現プロファイルを解析することによって特徴付けられる。以下に、これがいかになされるかを述べる。内胚葉前駆細胞および肝細胞様細胞のような未分化および分化したhBS細胞から、また陽性対照としてヒト肝RNAから、RNAが抽出される。HepG2のような肝細胞系列から抽出されたRNAも同様に対照として用いられる。発現プロファイルは、その後、マイクロアレイのような適切な遺伝子分析手段の利用、それに続く適切なソフトウェアを用いたバイオインフォーマティクスによって、多くの異なる遺伝子を比較することにより得ることができる。そして本発明の種々の細胞のタイプは多かれ少なかれキー遺伝子、すなわち、肝特異的酵素および輸送タンパクのような、ヒト成熟肝細胞に特異的に発現する遺伝子を示す。さらに、肝特異的遺伝子、アルブミンおよびグルコース-6-ホスホターゼを分析し、対照サンプルの発現レベルと比較することができる。
【0135】
肝細胞で重要な特異的遺伝子またはマーカーの発現プロファイルおよびレベルは、例えば、RNA抽出およびそれに続く定量的PCRによって測ることができ、それによってどんな肝特異的マーカーの量でも、例えば、HepG2、および成熟ヒト肝細胞のような伝統的に用いられる肝細胞系列の対照サンプルと比較することができる。B型内胚葉前駆細胞から得られる肝細胞様細胞は、どの遺伝子が発現されるかおよびそれらの遺伝子の発現レベルに関して健康な成熟肝細胞と同様なプロファイルを示す。特に、それらは健康な成熟(ヒト)肝細胞で発現されるマーカーと、例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%のように、同じ発現マーカーのプロファイルを共有する。
【0136】
個々のマーカーの表現レベルはさらに、同じ条件で培養された健康な成熟肝細胞の発現レベルの、例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%のように、少なくとも2%から成る。
【0137】
B型内胚葉前駆細胞から得られる肝細胞様細胞は、発現される肝特異的マーカーの数およびこれらのマーカーの発現レベルに関して、A型内胚葉前駆細胞から得られる肝細胞様細胞よりも、より肝細胞様の発現プロファイルを示す。従って、B型内胚葉前駆体から得られる肝細胞様細胞は、A型内胚葉前駆細胞から得られる肝細胞様細胞により発現されるよりも、例えば、1/20倍増しよりも多く、1/10倍増しよりも多く、1/5倍増しよりも多く、1/4培増しよりも多く、1/3倍増しよりも多く、1/2倍増しよりも多く、のように1/30増しよりも多くのマーカーを発現する(絶対数で)。さらに、B型前駆体から得られる肝細胞様細胞によって発現される個々のマーカーの発現レベルは、A型内胚葉前駆細胞から得られる肝細胞様細胞によって発現される個々のマーカーの発現レベルより、例えば、1.5倍よりも高い、2倍よりも高い、5倍よりも高い、7.5倍よりも高い、10倍よりも高い、20倍よりも高い、50倍よりも高い、のように、1.2倍よりも高い。
【0138】
B-4)で得られる未分化BS細胞である細胞は、これらの細胞のサンプルで立証されるように、例えば、1%以下、0.5%以下のように、2%以下である。
【0139】
未分化B細胞はNanog、SSEA-3、SSEA-4、GCTM-2、Tra1-60、Tra1-81およびOct-4から成るグループから選ばれる1つのマーカーとの陽性反応によって同定できる(これはどんな未分化BS細胞でも同定するのに適切である場合、本方法に従った方法の他のステップでも利用される)。
【0140】
特定の具体例では、未分化BS細胞は少なくとも前記のマーカーの1つ、例えば、前記のマーカーの2つ、前記のマーカーの3つ、前記のマーカーの4つ、前記のマーカーの5つのように、前記の未分化BS細胞のマーカーに対する陽性反応によって同定され、Nanog、SSEA-3、SSEA-4、GCTM-2、Tra1-60、Tra1-81およびOct-4に対する陽性反応によって同定される。特定の具体例では、未分化BS細胞は、SSEA-3、SSEA-4、GCTM-2、Tra1-60、Tra1-81、NanogおよびOct-4に対する陽性反応によって同定される。
【0141】
方法に供された細胞数に対する得られた肝細胞様細胞数のパーセントとして定められる全収率は、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%あるいは少なくとも40%のように、少なくとも5%である。
【0142】
プロトコールBを適用する場合、細胞は2次元培養で増殖する。
【0143】
ステップB-1)からB-3)の何れからでも得られる細胞が、内胚葉細胞の運命を約束されているかどうかを決定するために、細胞は免疫細胞化学および形態学に基づいていくつかの規準を満たさなければならない。細胞が、内胚葉前駆体のような異なるタイプの細胞に特異的なマーカー、HNF3beta、gata4、Cdx2、Sox17およびPdx1、あるいは肝細胞マーカー、アルブミン、アルファフェトプロテイン、アルファ-1-アンチトリプシン、サイトケラチン18、LFABP、ASPGRを発現するかどうか決定するために。もう1つの試験は、例えばマーカー Nanog、SSEA-3(ステージ特異的胚抗原3)、SSEA-4、GCTM-2、Tra-1-60、Tra-1-81(ガン拒絶抗原)、Oct-4のような未分化hBS細胞のマーカーをなお発現しているかどうかを決定することである。
【0144】
自然に起こる分化は我々が用いてきた増殖因子あるいは低分子化合物に応答することができる種々の細胞を発生する。完全類似の内胚葉は内中胚葉細胞集団から後で発生し、HNF3beta-Brachyury二重陽性細胞によって定義できる。細胞群は、細胞分画の誘導および維持に対して、アクチビンAあるいはHGF(Kubo他、2004)に応答できる。
【0145】
本発明のある具体例では、ステップB-1および/またはB-2)および/またはB-3)から得られる細胞は、下記の特性の少なくとも1つをもつ:
I) 細胞群の大部分はHNF3beta/Brachyuryの共局在化を示し、
II) 細胞群の大部分は次のマーカー、HNF3beta、Gata4、Pdx1、Sox17の少なくとも1つを発現し
III) 細胞群の大部分は下記を伴ってさらに分化することができ
a) 次のマーカー、アルブミン、HNF3beta、LFABP、CK18、AFP、アルファ-1-アンチトリプシン、ASGPRの少なくとも1つの発現
b) チトクロームP450のような肝酵素活性
IV) 細胞群の大部分は次の未分化hBSに対するマーカー、Nanog、SSEA3、SSEA4、GCTM-2、Tra1-60、Tra1-81の1つまたはそれ以上を表現できない
この文の中で、用語“細胞の大部分”は、例えば、、少なくともおよそ75%、少なくともおよそ90%あるいは少なくとも細胞の95%のように、細胞の少なくともおよそ60%を表すよう意図している。
【0146】
本発明のある具体例では、ステップB-1)および/またはB-2)および/またはB-3 i)で得られた細胞の大部分は、例えば、GFAPあるいは/およびネスチンのような、外胚葉のマーカーを表現しない。
【0147】
B-2)-B-4)から得られる細胞は、例えば卵円形細胞あるいは肝細胞のような少なくとも1つの肝細胞系列へとさらに分化し得る。
【0148】
本発明のある具体例では、B-4)で得られた分化した細胞は、次のマーカー HNF3beta、アルブミン、AFP、AAT、CK18、LFABP、ASGPRの少なくとも1つを含む、肝細胞型のマーカーの少なくとも1つを発現する。
【0149】
増殖培地
上記のBS細胞の最初の分化の議論において、プロトコールAあるいはBの利用、培養培地あるいは増殖培地の使用について述べられている。
【0150】
hBS細胞からの胚前駆細胞およびさらに肝細胞様細胞の発生に用いられる基本培地は、例えば、hBS細胞培地、VitroHESTM培地あるいは肝細胞培地およびDMEM/F12を基礎とした培地のような、どんな適切な増殖培地でもよい。本発明の方法の様々な段階で用いられる増殖培地は、同じまたは異なってもよく、含まれる因子に依存する。
【0151】
これら全ての培地は、例えば、k-hBS培地、k-VitroHESTM培地のような、調節された培地として用いられる。本発明を通じて好ましい基本培地は、VitroHESTM培地(ビトロライフ, ゴーテンブルグ, スウェーデン)であり、あるいは代わりに、20%ノックアウト(登録商標)血清置換を補ったノックアウト(登録商標)ダルベッコの修飾イーグル培地およびそれぞれの最終濃度での以下の成分、:50units/mlペニシリン、50μg/mlストレプトマイシン、0.1mM非必須アミノ酸、2mM L-グルタミン、100μM β-メルカプトエタノール(すべての成分はインビトロゲンから)から成る“hBS培地”と言われる培地、あるいは肝細胞培地(インビトロゲン)である。
【0152】
増殖添加物
本発明の方法で使用される増殖培地は、1つまたはそれ以上の増殖因子あるいはそれらの組合せから成る。用いられる増殖因子はB型内胚葉前駆細胞発生に適したどんな増殖因子でもよい。用いられる特定の増殖因子の濃度は、細胞がさらに分化するかあるいは前駆体の状態に留まるかどうかに重要である。B型内胚葉前駆細胞の発生と増殖の促進に用いることができる増殖因子の特定の例は、HGF、アクチビンA、およびNodalであり、一方、FGF2は最初のインビトロでの分化(ステップ(i))で用いることができる。DMSOのような細胞毒性物質は後段で肝細胞様細胞へのさらなる分化のために用いることができる。
【0153】
B型内胚葉前駆細胞の発生と増殖を促進するために用いられるすべての増殖添加物の量は、およそ0.5ng/mlからおよそ100ng/ml、およそ1ng/mlからおよそ50ng/ml、およそ2ng/mlからおよそ30ng/ml、およそ3ng/mlからおよそ20ng/ml、およそ4ng/mlからおよそ12ng/mlまたはおよそ4ng/mlからおよそ8ng/mlのように、およそ1ng/mlからおよそ200ng/mlである。
【0154】
B型内胚葉前駆細胞の発生、増殖および拡大を促進する他の適当な増殖添加物あるいは因子は、もちろん用いることができる。
【0155】
発明の他の側面
他の側面で、本発明は、例えば、医薬における利用、より特定的には、例えば、肝組織の変性のような組織変性によって起こる病理または疾病の予防および/または治療のために、あるいは代謝異常および/または代謝疾患の予防または治療のために、のように、ここに述べられた方法によって得られる肝細胞様細胞の利用に関係する。肝細胞様細胞から成る医薬によって予防および/または治療できる病気および障害の例は、肝障害の種々のグループから選ばれる:1)原発性胆汁性肝硬変のような自己免疫疾患、2)異常脂血症のような代謝疾患、3)例えばアルコール乱用によって起こる肝障害、4)B、C、およびA型肝炎のようなウィルスによって起きる病気、5)例えば薬物への急性毒性反応によって起きる肝壊死、および6)例えば肝細胞腫に罹った患者の癌切除。
【0156】
さらに他の面で、本発明は得られた肝細胞様細胞の、例えば、初期肝発生のような肝発生研究のインビトロのモデルあるいはヒトの肝発生障害のインビトロのモデルでの利用に関係する。
【0157】
さらに、本発明は得られた肝細胞様細胞の医薬発見プロセスおよび従来のモデルシステムを置き換えあるいは補うための肝毒性試験での利用に関係する。
【0158】
さらなる側面で、本発明は、本発明に従って得られた効果的な量の肝細胞様細胞の投与によるヒトを含む動物の肝細胞感受性の障害あるいは状態の処置のための方法に関係する。そのような肝細胞感受性の障害あるいは状態は、例えば、原発性胆汁性肝硬変を含む自己免疫疾患;異常脂血症を含む代謝疾患;例えばアルコール乱用で起きる肝障害;例えば、B、C、およびA型肝炎のようなウィルスによって起きる病気;例えば薬物への急性毒性反応によって起きる肝壊死;および例えば肝細胞腫に罹った患者の癌切除、である。
【0159】
本発明はまた、ステップii)で得られる内胚葉前駆細胞の組成に関係する。上述の組成で、得られた細胞は、HNF3beta、Pdx1、gata4、Cdx2およびSox17から成るグループから選ばれた少なくとも1つの内胚葉前駆細胞タイプのマーカーを示し、大部分の細胞は、Nanog、SSEA-3、SSEA-4、GCTM-2、Tra-1-60あるいはTra-1-80から成るグループからの未分化hBS細胞のマーカーの1つまたはそれ以上を示さない。
【0160】
他の具体例は、ここで述べたような方法によって得られた肝細胞様細胞の調製に関係し、そこでは肝細胞様細胞は全細胞数の、例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%あるいは100%のように、少なくとも50%である。
【0161】
分化した細胞は、形態および以下の肝マーカー、AAT、AFP、LFABP、Ck18、アルブミン、HNF3betaおよびASGPRの少なくとも1つの表現の規準を示す。
【0162】
他の面では、前駆細胞は、細胞マーカー AAT、AFP、LFABP、CK18、アルブミン、HNF3betaおよびASGPRの存在によって特徴付けられる肝細胞様細胞へ分化する。
【0163】
さらに他の面で、本発明は内胚葉と肝細胞様細胞群を、例えば、ステップi)で得られた胚外内胚葉細胞をあるいは存在するかもしれない他のタイプの細胞から適当な抗原マーカーの組合せによって分離する、のように、他のタイプの細胞から分離する方法に関係する。
【0164】
本発明はまた、様々な時点で、前駆細胞あるいはそれから得られた肝細胞様細胞の加えられた化学物質およびその代謝物の濃度への影響を検出する方法に関係する。
【0165】
さらに本発明の他の面では、肝の分化を監視するため標的として分子物質をスクリーニングする医薬発見および医薬開発での、肝細胞様細胞の利用に関係する。また、ここで得られる中間のA型および/またはB型内胚葉前駆細胞は、ある腫の化学物質の暴露による肝の成熟を研究するための標的として利用される。
【0166】
肝細胞様細胞はさらに他の面で、第1相生物変換あるいは代謝システムすなわち親電子的生体異物とグルタチオン(GSH)の抱合を触媒する第2相生物変換酵素、チトクロームP450、および/またはアニオン性の抱合体および他の基質をここで述べたように細胞から輸出する輸送タンパクである抵抗タンパクあるいはP-グリコプロテインを分析することにより、代謝研究に利用される。
【0167】
得られた肝細胞様細胞は同様に、関心のある化学化合物の毒性タイピングに利用できる。
【0168】
ここに列挙した本発明の異なる利用面はもちろん、低、中、あるいは高スループットのようなどんな適切なフォーマットで行われてもよい。
【0169】
好ましくは、オートメーションに適合するマルチウェルフォーマットである。
【0170】
さらなる面および具体例は添付の請求から明らかである。上記の主要な面で議論された詳細および個々の事柄は、必要な変更を加えて本発明の他の面に適用される。
【0171】
さてここで次の例に関して発明を記述する。例はここに例証の目的のみで含まれ、何れにしても発明の範囲を限定しようとするものではない。ここに述べられる一般的方法はその技術に熟達した人によく知られていて、全ての試薬および緩衝剤は商業的にも容易に利用でき、その技術に熟達した人の手でも十分に確立されたプロトコールによって容易に調整される。全ての培養は37℃で、5%CO2雰囲気および湿度95%下で行った。
【実施例】
【0172】
国際公開第03/055992号として(同じ出願人)2003年7月10日に公表されたPCT出願にhBS細胞を確立する適切な方法が述べられている。本発明の一局面において、この実施例中で採用された細胞はこの文中に参照として編入される国際公開第03/055992号で請求された方法によって得られる。
【0173】
実施例1
マウスEF細胞上で培養されたhBS細胞からのA型内胚葉前駆細胞の発生
4 ng/ml bFGF(FGF2)(インビトロゲン)を補ったVitroHESTM(ビトロライフ AB、クングスバッカ、スウェーデン)中でマウスEF細胞上に培養したhBS細胞を、培地を変えることなく5から7日間放置、分化させた。その後、培地を胚体外促進培地、例えば、4ng/mlのRAを補ったFGF2なしのVitroHESTMに変え、細胞をこの条件で7日間培養した。培地は培養中1回交換した。
【0174】
もう一つの胚体外促進培地として20ng/ml BMP2を補ったVitroHESTMを使用した。細胞をこの培地中で7日間培養し、培地は1回交換した。
【0175】
実施例2
MatrigelTM上で培養されたhBS細胞からのA型内胚葉前駆細胞の発生
4ng/mlのbFGF(FGF2)を補ったVitroHESTM培地中MatrigelTM(BDバイオサイエンシズ)上で培養されたhBS細胞を培地交換なしに12から14日分化するままにした。培地はその後、例えば4ng/mlのRAを補ったFGF2なしのVitroHESTMのような胚外促進培地に換え、細胞をこの条件下で14日培養した。この培養中、培地は6回交換した。
【0176】
実施例3
胚外の内胚葉から上皮内胚葉細胞系の発生
上記の実施例1で得られた前駆細胞を機械的に切取り7日後に新鮮なフィーダー上に再接種した。細胞はさらに7日後にトリプシン-EDTA,0.05M(ギブコ)3分間を用いて継代し、細胞懸濁液を洗浄、1回遠心分離(170g、5分)して、VitroHESTM(+bFGF、4ng/ml)を入れた培養フラスコに移した。細胞はその後、3から4日目毎に10回以上継代した。
【0177】
得られた細胞系の凍結と解凍
細胞懸濁液を集め、培養培地(37℃)で希釈し、小塊にし、培養培地(37℃)で洗浄し、凍結媒体中(4から8℃)に再懸濁した。凍結媒体は10%DMSOを補った培養培地から成った。細胞は、細胞密度100万細胞/mlで凍結された。細胞懸濁液の一部を1.8mlヌンク クリオ チューブ(ナルゲ ヌンク インターナショナル、ロチェスター、ニューヨーク)にとり、−80℃で一夜または少なくとも2時間ゆっくり凍結し、その後長期保存のため液体窒素タンクに移した。細胞の解凍は、クリオ チューブを完全に解凍するまで37℃のウォーターバス中に置いて急速解凍し、懸濁液を5分間予熱(37℃)した培養培地へ移し、細胞を遠心沈下(400g、5分)、培養培地(37℃)で洗浄、培養培地中に再懸濁することにより行った。解凍した細胞はそれから、上述のように前駆細胞の増殖のため接種した。
【0178】
実施例4
実施例1で得られた前駆細胞の分化による肝細胞様細胞の発生
実施例1で得られた細胞群に分化培地、1%DMSOを含むVitroHESTM、を加え、その中で細胞を培地交換なしで7日間培養した。
【0179】
実施例5
実施例2で得られた前駆細胞の分化による肝細胞様細胞の発生
実施例2で得られた細胞群に1%DMSOを含む分化培地(を加え)、その中で細胞を14日間培養、培地を1回交換した。
【0180】
実施例6
hBS細胞のB型内胚葉前駆細胞経を経る分化による肝細胞様細胞の発生
マウス胚繊維芽細胞とともに共培養されたhBS細胞を4ng/ml FGF2を含むVitroHESTM中で培地交換なしで7日間、分化するままにした。完全な内胚葉を誘導するため、FGF2なしのVitroHESTMにアクチビンA(アール アンド ディー システムズ)5ng/mlまたはHGF(ケミコン インターナショナル)8ng/mlを補った。培地容積の半分を週2回交換した。5から7日後、培地を増殖因子および1%DMSOなしのVitroHESTMを基本とした培地に交換し、さらに5日間培地を1回交換して維持した。5から7日後、培地を1%DMSOを補ったVitroHESTMに換えて、さらに5日間、培地容積の半分を1回交換し、維持した。
【0181】
実施例7
得られた細胞の免疫細胞化学的特性づけ
(図3から5を参照)
次のマーカーが、それぞれに対して用いられた。
A型内胚葉前駆細胞: Oct4およびPdx1の組合せ
B型内胚葉前駆細胞: BrachyuryおよびHNF3bの組合せ
AまたはB型内胚葉前駆細胞を経て誘導された肝細胞様細胞:AAT、CK18、AFP、LFABPおよびアルブミン
未分化hBS細胞: Oct4、SSEA-4、Tra-1-60およびTra-181
洗浄および稀釈はD-PBS(ギブコ)で、固定は4%PFA(ヒストラボ)で、浸透化は0.5%Triton
X-100(シグマ)で行った。試料を封入するためFluorescent Mounting medium(蛍光封入剤)(ダコ)を用い、核染色は0.5□g・mlDAPI(シグマ)で行った。
【0182】
一次抗体は4℃で一夜、培養し、二次抗体はDAPIとともに暗所室温で40から60分間、培養した。
【0183】
稀釈度および結合二次抗体:
SSEA-4(1:200)(ディベロップメンタル スタディズ ハイブリドーマ バンク)−マウスIgG(サウザン バイオテック)(1:200)−FITC
Tra1-60(1:250)(ディベロップメンタル スタディズ ハイブリドーマ バンク)―マウスIgM(サウザン バイオテック)−ローダミン
Tra1-81(1:250)(ディベロップメンタル スタディズ ハイブリドーマ バンク)―マウスIgM(サウザン バイオテック)、(1:200)−ローダミン
Oct4、(1:500)(ディベロップメンタル スタディズ ハイブリドーマ バンク)−マウスIgG2b(サウザン バイオテクノロジー アソシエイツ)、(1:50)−FITC
Brachyury、(1:1000)、ウサギIgG(学会の協力で入手)、(1:500)−ローダミン
あるいは:
Brachyury、(1:1000)−ウサギIgG()、(1:500)(サンタ クルツ バイオテクノロジー)−ウサギ-Cy3(ジャクソン イミュノリサーチ ラボラトリーズ)
HN3beta、(1:500)−ヤギIgG、(1:500)−ストレプトアビジン(ダコ/ベクター ラボラトリーズ)(1:250)−FITC
Pdx1、(1:500)(ABCAM、(ab
19379);ウサギIgG(ジャクソン イミュノリサーチ ラボラトリーズまたはダコ)、1:500−ローダミン
AAT(1:200)(ABCAM)−ウサギIgG(ジャクソン イミュノリサーチ ラボラトリーズまたはダコ)(1:500)−ローダミン
CK18(1:200)(ダコ)−マウスIgG(サウザン バイオテック)(1:200)−FITC
アルブミン(1:50)(ダコ)−ウサギIgG(ジャクソン イミュノリサーチ ラボラトリーズまたはダコ)、(1:500)−FITC
LFABP(1:250)(サンタ クルツ)−ヤギIgG、(1:500)、+ストレプトアビジン(ダコ/ベクター ラボラトリーズ)、(1:250)−ローダミン/FITC
AFP(1:1500)(シグマ)−マウスIgG2A(サウザン バイオテック)、(1:100)−ローダミン
結果:
前述のプロトコールに従ってフィーダー層上でおよそ14日間培養後、すべての肝細胞様マーカーが両プロトコールで得られた肝細胞様細胞に発現された。
【0184】
参照
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米国特許出願公開第2003003573号明細書, 胚幹細胞から作られた治療および医薬スクリーニングのための肝細胞 Carpenter, M. K. et al
米国特許第6506574号明細書, 多能性幹細胞由来の幹細胞系細胞、 Carpenter, M. K et al
【図面の簡単な説明】
【0185】
【図1】初期の内胚葉発生を表示するスキームである。
【図2】未分化のhBS細胞からAまたはB型内胚葉前駆細胞を経て肝細胞様細胞を発生させる方法を表示するフローチャートである。
【図3】プロトコール(A)を用い16日のhBS細胞系列SA002からの肝細胞様細胞である。Aに形態、BにHNF3beta、CにLFABP、Dにアルブミン、EにAAT、FにCK18に対する陽性反応を示す。
【図4】培養14日後のB型内胚葉前駆細胞である。A) BrachyuryおよびB) HNF3b陽性(プロトコール(B))を示す。
【図5】培養12日後のA型内胚葉前駆細胞である。A) Oct-4およびB) Pdx-1陽性(プロトコールA)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内胚葉前駆細胞を得てこれらをさらに肝細胞様細胞へと分化させる方法において、
肝細胞様細胞を得るために、
i) 増殖培地中でBS細胞を、少なくともその一部は内胚葉前駆細胞である分化した細胞を得るためにインビトロで分化させ、
ii) ステップi)で得られた内胚葉前駆細胞の分画が、A型内胚葉前駆細胞および/またはB型内胚葉前駆細胞であることを決定し、
iii) 任意に、ステップi)で得られた細胞が未分化BS細胞であることを決定し、
iv) 任意に、ステップi)で得られた細胞から、A型内胚葉前駆細胞またはB型内胚葉前駆細胞の何れかを選択し、
v) ステップi)またはiv)で得られた組成が既知の内胚葉前駆細胞を、記載されるプロトコールAまたはBの何れかにかける
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
BS細胞がhBS細胞であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
ステップiv)が含まれることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップi)またはiv)で得られた内胚葉前駆細胞を、もし適切ならば、記載されるプロトコールAにかけることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップi)またはiv)で得られたA型内胚葉前駆細胞の分画が、ステップi)またはiv)で得られたB型内胚葉前駆細胞の分画より大きいことを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
プロトコールAは、
肝細胞様細胞を得るために、
A-1) ステップi)またはiv)で得られた組成が既知の内胚葉前駆細胞を、もし適切ならば、成長培地に供し、任意に、適切な期間の後に増殖培地を交換し、
A-2) ステップi)、iv)またはA-1)で得られた組成が既知の内胚葉前駆細胞を、1つまたはそれ以上の増殖促進剤の添加によって増殖させ、
A-3) 任意に、ステップi)、iv)またはA-2)で得られた細胞を1回またはそれ以上継代して、前記細胞のさらなる増殖を導き、
A-4) 1つまたはそれ以上の分化試薬の添加によって、ステップi)、iv)、A-2)またはA-3)で得られた前駆細胞の分化を誘導する
ことを特徴とする請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
ステップi)−v)、またはA-1)−A-4)の細胞は、細胞が付着する表面を含む二次元培養で培養されることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップi)および/またはiv)で得られたA型内胚葉前駆細胞であるところの細胞分画は、これらの細胞のサンプルで立証されるように、少なくとも10%であり、例えば、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%であることを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップi)および/またはiv)で得られた未分化BS細胞であるところの細胞分画は、これらの細胞のサンプルで立証されるように、85%以下であり、例えば、70%以下のように、例えば、60%以下、50%以下、または40%以下であることを特徴とする請求項4〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップi)で得られるA型内胚葉前駆細胞は、ステップiv)を含めることによって選択されることを特徴とする請求項4〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
A型内胚葉前駆細胞は、
a) 培地にネオマイシン選択を利用することによって、および/または
b) フローサイトメトリーを利用することによって、
選択されることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
ステップi)の増殖培地にFGF2を加えることを特徴とする請求項4〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
FGF2は、およそ0.1ng/mlからおよそ200ng/mlの濃度、例えば、およそ0.5ng/mlからおよそ100ng/ml、およそ1ng/mlからおよそ50ng/ml、およそ1ng/mlからおよそ25ng/ml、およそ2ng/mlからおよそ20ng/ml、およそ2ng/mlからおよそ10ng/ml、およそ3ng/mlからおよそ5ng/mlの濃度で加えられることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
ステップA-2)で加えられる1つまたはそれ以上の増殖促進剤は、RA、FGF4およびBMP2から成るグループから選ばれることを特徴とする請求項4〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
1つまたはそれ以上の増殖促進剤は、およそ0.1ng/mlからおよそ1000ng/mlの濃度、例えば、およそ0.5ng/mlからおよそ800ng/ml、およそ1ng/mlからおよそ600ng/ml、およそ1.5ng/mlからおよそ400ng/ml、およそ2ng/mlからおよそ200ng/ml、およそ2.5ng/mlからおよそ100ng/ml、およそ3ng/mlからおよそ50ng/ml、およそ3ng/mlからおよそ20ng/ml、およそ3.5ng/mlからおよそ20ng/mlあるいはおよそ4ng/mlからおよそ8ng/mlの濃度で加えられることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
ステップA-2)で得られるA型内胚葉前駆細胞であるところの細胞分画は、これらの細胞のサンプルから立証されるように、少なくとも20%であり、例えば、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%あるいは少なくとも90%であることを特徴とする請求項4〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
A型内胚葉前駆細胞はOct-4に対する陽性反応によって同定されることを特徴とする請求項4〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
A型内胚葉前駆細胞は、次のマーカー:HNF3beta、Gata4、Cdx2、Sox17およびPdx1のうちの少なくとも一つ、例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つとの陽性反応のように、HNF3beta、Gata4、Cdx2、Sox17およびPdx1から成るグループから選ばれたマーカーとの陽性反応によって同定されることを特徴とする請求項4〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
A型内胚葉前駆細胞は、HNF3beta、Gata4、Cdx2、およびPdx1との陽性反応によって同定されることを特徴とする請求項4〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
A型内胚葉前駆細胞は、Oct4と次のマーカー:HNF3beta、Gata4、Cdx2、Sox17およびPdx1のいずれかとの組合せに対する陽性反応によって同定されることを特徴とする請求項4〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
ステップA-3)が含まれることを特徴とする請求項4〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
A型内胚葉前駆細胞の細胞数は、ステップA-2)またはA-3)の後、少なくとも2倍、例えば、10倍またはそれ以上、50倍またはそれ以上、100倍またはそれ以上、250倍またはそれ以上、500倍またはそれ以上、750倍またはそれ以上あるいは1000倍またはそれ以上で増加することを特徴とする請求項4〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
ステップA-4)の1つまたはそれ以上の分化誘導薬は1つまたはそれ以上の毒性試薬であることを特徴とする請求項4〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記の毒性試薬は肝で分解できることを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項25】
1つまたはそれ以上の分化誘導薬は、DMSO、エタノール、デキサメタゾン、フェノバルビタールおよび尿素から成るグループから選ばれた肝酵素誘導剤であることを特徴とする請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
DMSOは、およそ0.5%からおよそ10%の濃度、例えば、およそ0.5%からおよそ9%、およそ0.6%からおよそ8%、およそ0.6%からおよそ7%、およそ0.7%からおよそ6%、およそ0.7%からおよそ5%、およそ0.7%からおよそ4%、およそ0.8%からおよそ3%、およそ0.8%からおよそ2%、およそ0.8%からおよそ1.8%、およそ0.8%からおよそ1.6%、およそ0.9%からおよそ1.4%、およそ0.9%からおよそ1.2%、0.9%からおよそ1.1%の濃度で加えられることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項27】
分化誘導薬は、例えばエタノールのようなアルコールであることを特徴とする請求項23〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
ステップA-4)で得られる肝細胞様細胞であるところの細胞分画は、これらの細胞のサンプルから立証されるように、少なくとも5%であり、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%であることを特徴とする請求項4〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
肝細胞様細胞は、アルブミン、AFP、AAT、CK 18、LFABP、CYPおよびASGPRから成るグループから選ばれたマーカーに対する陽性反応によって同定されることを特徴とする請求項28記載の方法。
【請求項30】
肝細胞様細胞は、次のマーカー:アルブミン、AFP、AAT、CK 18、LFABP、CYPおよびASGPRのうちの少なくとも1つ、例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つに対する陽性反応によって同定されることを特徴とする請求項29記載の方法。
【請求項31】
肝細胞様細胞はアルブミン、AFP、AAT、CK18およびLFABPに対する陽性反応によって同定されることを特徴とする請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
ステップA-4)で得られる未分化BS細胞であるところの細胞分画は、これらの細胞のサンプルから立証されるように、2%以下であり、例えば、1%以下、0.5%以下であることを特徴とする請求項4〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
未分化BS細胞は、SSEA-3、SSEA-4、GCTM-2、Tra1-60、Tra1-81、NanogおよびOct-4から成るグループから選ばれたマーカーに対する陽性反応によって同定されることを特徴とする請求項4〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
未分化BS細胞は、前記マーカーの少なくとも1つ、例えば、前記マーカーの少なくとも2つ、前記マーカーの少なくとも3つ、前記マーカーの少なくとも4つ、前記マーカーの少なくとも5つに対する陽性反応によって同定されることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
未分化BS細胞はSSEA-3、SSEA-4、GCTM-2、Tra1-60、Tra1-81、NanogおよびOct-4に対する陽性反応によって同定されることを特徴とする請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
前記方法に供した細胞数に対する得られた肝細胞様細胞数のパーセントに換算した全収率は、少なくとも20%であり、例えば、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%であることを特徴とする請求項4〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
ステップi)またはiv)で得られた内胚葉前駆細胞は、もし適切ならば、記載されるプロトコールBにかけられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
もし適切ならば、B型内胚葉前駆細胞であるところのステップi)またはiv)で得られた細胞分画は、これらの細胞のサンプルで立証されるように、少なくとも0.5%であり、例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%であることを特徴とする請求項37記載の方法。
【請求項39】
プロトコールBは、
肝細胞様細胞を得るために、
B-1) もし適切ならば、ステップi)またはiv)で得られた組成が既知の内胚葉前駆細胞を、増殖培地にかけ、そして任意に、適切な期間の後に増殖培地を交換し、
B-2) ステップi)、iv)またはB-1)で得られた組成が既知の内胚葉前駆細胞を、1つまたはそれ以上の増殖促進剤の添加によって増殖し、
B-3) 任意に、ステップi)、iv)またはB-2)によって得られた細胞を1回またはそれ以上継代して、前記細胞のさらなる増殖を導き、
B-4) 1つまたはそれ以上の分化誘導薬の添加によって、ステップi)、iv)、B-2)またはB-3)で得られた前駆細胞の分化を誘導する、
ことを特徴とすることを特徴とする請求項37または38に記載の方法。
【請求項40】
ステップi)、iv)およびB-1)からB-4)における細胞を、細胞が付着する表面を含む二次元培養で培養することを特徴とする請求項39記載の方法。
【請求項41】
ステップi)および/またはステップiii)で得られた未分化BS細胞であるところの細胞分画は、これらの細胞のサンプルで立証されるように、85%以下であり、例えば、70%以下、60%以下、50%以下、または40%以下であることを特徴とする請求項37〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
ステップi)および/またはステップiii)で得られた内胚葉前駆細胞であるところの細胞分画は、これらの細胞のサンプルで立証されるように、30%以下であり、例えば、20%以下、10%以下、5%以下であることを特徴とする請求項37〜41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
ステップi)で得られたB型内胚葉前駆細胞は、ステップiv)を含めることによって選択されることを特徴とする請求項37〜42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
B型内胚葉前駆細胞は、
a) 培養でのネオマイシン選択の利用および/または
b) フローサイトメトリーの利用
によって選ばれることを特徴とする請求項43記載の方法。
【請求項45】
FGF2をステップi)で増殖培地に加えることを特徴とする請求項37〜44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
FGF2は、およそ0.1ng/mlからおよそ200ng/mlの濃度、例えば、およそ0.5ng/mlからおよそ100ng/ml、およそ1ng/mlからおよそ50ng/ml、およそ1ng/mlからおよそ25ng/ml、およそ2ng/mlからおよそ20ng/ml、およそ2ng/mlからおよそ10ng/ml、およそ3ng/mlからおよそ5ng/mlの濃度で加えられることを特徴とする請求項45記載の方法。
【請求項47】
ステップB-2)で加えられる1つまたはそれ以上の増殖促進剤はアクチビンA、NodalおよびHGFから成るグループから選ばれる請求項37〜46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
増殖促進剤はアクチビンAであることを特徴とする請求項47記載の方法。
【請求項49】
アクチビンAは、およそ0.01からおよそ500μg/mlの濃度、例えば、およそ0.05からおよそ250μg/ml、およそ0.1からおよそ200μg/ml、およそ1からおよそ100μg/ml、あるいはおよそ25μ/mlのようにおよそ10からおよそ50μg/mlの濃度で加えられることを特徴とする請求項48記載の方法。
【請求項50】
増殖促進剤はHGFであることを特徴とする請求項47記載の方法。
【請求項51】
HGFは、およそ0.01からおよそ500μg/mlの濃度、例えば、およそ0.05からおよそ250μg/ml、およそ0.1からおよそ200μg/ml、およそ1からおよそ100μg/ml、あるいはおよそ20μ/mlのようにおよそ10からおよそ50μg/mlの濃度で加えられることを特徴とする請求項50記載の方法。
【請求項52】
ステップB-2)で得られるB型内胚葉前駆細胞であるところの細胞分画は、これらの細胞のサンプルで立証されるように、少なくとも2.5%であり、例えば、少なくとも5%、あるいは少なくとも10%であることを特徴とする請求項37〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
B型内胚葉前駆細胞は、BrachyuryおよびHNF3betaから成るグループから選ばれたマーカーに対する陽性反応によって同定されることを特徴とする請求項37〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
B型内胚葉前駆細胞は、マーカーBrachyuryおよびHN3Fbetaの共局在化によって同定されることを特徴とする請求項37〜53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
ステップB-3)が含まれることを特徴とする請求項37〜54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
B型内胚葉前駆細胞の細胞数は、ステップB-2)またはB-3)の後で、少なくとも2倍であり、例えば、10倍またはそれ以上、50倍またはそれ以上あるいは100倍またはそれ以上で増加することを特徴とする請求項37〜55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
ステップB-4)における1つまたはそれ以上の分化誘導薬は、1つまたはそれ以上の毒性試薬であることを特徴とする請求項37〜56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記の毒性試薬は肝臓で分解されることを特徴とする請求項57記載の方法。
【請求項59】
1つまたはそれ以上の分化誘導薬は、DMSO、エタノール、デキサメタゾン、フェノバルビタールおよび尿素から成るグループから選ばれる肝酵素誘導剤であることを特徴とする請求項57または58に記載の方法。
【請求項60】
分化誘導薬はDMSOであることを特徴とする請求項59記載の方法。
【請求項61】
DMSOは、およそ0.5%からおよそ10%の濃度、例えば、およそ0.5%からおよそ9%、およそ0.6%からおよそ8%、およそ0.6%からおよそ7%、およそ0.7%からおよそ6%、およそ0.7%からおよそ5%、およそ0.7%からおよそ4%、およそ0.8%からおよそ3%、およそ0.8%からおよそ2%、およそ0.8%からおよそ1.8%、およそ0.8%からおよそ1.6%、およそ0.9%からおよそ1.4%、およそ0.9%からおよそ1.2%、およそ0.9%からおよそ1.1%の濃度で加えられることを特徴とする請求項60記載の方法。
【請求項62】
1つまたはそれ以上の分化誘導薬は、例えばエタノールのように、アルコールであることを特徴とする請求項57〜61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
ステップB-4)で得られた肝細胞様細胞であるところの細胞分画は、これらの細胞のサンプルで立証されるように少なくとも5%であり、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%であることを特徴とする請求項32〜62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
肝細胞様細胞は、アルブミン、AFP、AAT、CK 18、LFABP、CYPおよびASGPRから成るグループから選ばれたマーカーに対する陽性反応によって同定されることを特徴とする請求項63記載の方法。
【請求項65】
肝細胞様細胞は、次のマーカー:アルブミン、AFP、AAT、CK18、LFABP、CYPおよびASGPRの少なくとも1つ、例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つに対する陽性反応によって同定されることを特徴とする請求項63または64に記載の方法。
【請求項66】
肝細胞様細胞は、アルブミン、AFP、AAT、CK 18およびLFABPに対する陽性反応によって同定されることを特徴とする請求項63〜65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
B-4)で得られた未分化BS細胞であるところの細胞分画は、これらの細胞のサンプルで立証されるように、2%以下であり、例えば、1%以下、0.5%以下であることを特徴とする請求項37〜67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
未分化BS細胞は、SSEA-3、SSEA-4、GCTM-2、Tra1-60、Tra1-81、NanogおよびOct-4から成るグループから選ばれたマーカーに対する陽性反応によって同定されることを特徴とする請求項37〜67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
未分化BS細胞は、少なくとも前記マーカーの1つ、例えば、少なくとも前記マーカーの2つ、少なくとも前記マーカーの3つ、少なくとも前記マーカーの4つ、少なくとも前記マーカーの5つに対する陽性反応によって同定されることを特徴とする請求項68記載の方法。
【請求項70】
未分化BS細胞は、SSEA-3、SSEA-4、GCTM-2、Tra1-60、Tra1-81、NanogおよびOct-4に対する陽性反応によって同定されることを特徴とする請求項37〜69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
方法に供した細胞の数に対する得られた肝細胞様細胞数のパーセントとして換算した全収率は、少なくとも10%であり、例えば、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%または少なくとも40%であることを特徴とする請求項37〜70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
肝細胞様細胞を得る方法において、
肝細胞様細胞を得るため、
A-i) 少なくともその一部がA型内胚葉前駆細胞である分化した細胞を得るため、増殖培地中インビトロでBS細胞を分化させ、
A-ii) 任意に、A型内胚葉前駆細胞を選択し、
A-iii) ステップi)またはii)で得られたA型内胚葉前駆細胞を、記載のプロトコールAにかける
ことを特徴とする方法。
【請求項73】
BS細胞はhBS細胞であることを特徴とする請求項72に記載の方法。
【請求項74】
ステップA-ii)が含まれることを特徴とする請求項72または73に記載の方法。
【請求項75】
プロトコールAは、
肝細胞様細胞を得るため、
A-1) ステップA-i)またはA-ii)で得られたA型内胚葉前駆細胞を、もし適切ならば、増殖培地に供し、任意に、適切な期間の後に増殖培地を交換し、
A-2) ステップA-i)、A-ii)またはA-1)で得られた組成既知の内胚葉前駆細胞を、1つまたはそれ以上の増殖促進剤の添加によって増殖させ、
A-3) 任意に、ステップA-i)、A-ii)またはA-2)で得られた細胞を1回またはそれ以上継代して、前記細胞のさらなる増殖を導き、
A-4) 1つまたはそれ以上の分化誘導薬の添加によって、ステップA-i)、A-ii)、A-2)またはA-3)で得られた前駆細胞の分化を誘導する
ことを特徴とする請求項72〜74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
プロトコールAは請求項7〜36の何れかに定義される通りであることを特徴とする請求項72〜75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
肝細胞様細胞を得る方法において、
肝細胞様細胞を得るために、
B-i) 少なくともその一部がB型内胚葉前駆細胞である分化した細胞を得るため、増殖培地中インビトロでBS細胞を分化させ、
A-ii) 任意に、B型内胚葉前駆細胞を選択し、
A-iii) ステップi)またはii)で得られたB型内胚葉前駆細胞を、記載のプロトコールBにかける
ことを特徴とする方法。
【請求項78】
BS細胞がhBS細胞であることを特徴とする請求項77記載の方法。
【請求項79】
ステップB-ii)が含まれることを特徴とする請求項77または78に記載の方法。
【請求項80】
プロトコールBは、
肝細胞様細胞を得るため、
B-1) ステップB-i)またはB-ii)で得られたB型内胚葉前駆細胞を、もし適切ならば、増殖培地に供し、任意に、適切な期間の後に増殖培地を交換し、
B-2) ステップB-i)、B-ii)またはB-1)で得られたB型内胚葉前駆細胞を、1つまたはそれ以上の増殖促進剤の添加によって増殖させ、
B-3) 任意に、ステップB-i)、B-ii)またはB-2)で得られた細胞を1回またはそれ以上継代して、前記細胞のさらなる増殖を導き、
B-4) 1つまたはそれ以上の分化誘導薬の添加によって、ステップB-i)、B-ii)、B-2)またはB-3)で得られた前駆細胞の分化を誘導する
ことを特徴とする請求項77〜79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
プロトコールBは請求項40〜71の何れにおいてでも定義される通りである請求項77〜80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
請求項1〜81の何れかに記載の方法によって得られた肝細胞様細胞の医薬への利用。
【請求項83】
請求項1〜81の何れかに記載の方法によって得られた肝細胞様細胞の、例えば、初期肝発生のような、肝発生研究のためのインビトロモデルでの利用。
【請求項84】
請求項1〜81の何れかに記載の方法によって得られた肝細胞様細胞の、ヒト肝発生障害研究のためのインビトロモデルでの利用。
【請求項85】
請求項1〜81の何れかに記載の方法によって得られた肝細胞様細胞の、医薬発見プロセスでの利用。
【請求項86】
請求項1〜81の何れかに記載の方法によって得られた肝細胞様細胞の、インビトロ肝毒性試験への利用。
【請求項87】
請求項1〜81の何れかに記載の方法によって得られた肝細胞様細胞の、例えば、肝組織の変性のような、組織変性によって起きる病変および/または疾病の予防および/または治療のための医薬品の製造への利用。
【請求項88】
請求項1〜81の何れかに記載の方法によって得られた肝細胞様細胞の、肝障害治療のための医薬品製造への利用。
【請求項89】
請求項1〜81の何れかに記載の方法によって得られた肝細胞様細胞の、原発性胆汁性肝硬変を含む自己免疫疾患;異常脂血症を含む代謝疾患;例えばアルコール乱用で起きる肝障害;例えば、B、C、およびA型肝炎のようなウィルスによって起きる病気;例えば薬物への急性毒性反応によって起きる肝壊死;および例えば肝細胞腫に罹った患者の癌切除から成るグループから選ばれた肝疾患の予防および/または治療のための医薬品の製造への利用。
【請求項90】
請求項1〜81の何れかに記載の方法によって得られた肝細胞様細胞の、代謝異常および/または疾患の予防および/または治療のための医薬品の製造への利用。
【請求項91】
請求項1〜81の何れかに記載の方法によって得られた有効な量の肝細胞様細胞をそこで必要な動物に投与することによるヒトを含む動物の肝細胞感受性の疾患または状態の治療の方法。
【請求項92】
肝細胞感受性の疾患または状態が肝疾患であることを特徴とする請求項91記載の方法。
【請求項93】
肝疾患は、原発性胆汁性肝硬変を含む自己免疫疾患;異常脂血症を含む代謝疾患;例えばアルコール乱用で起きる肝障害;例えば、B、C、およびA型肝炎のようなウィルスによって起きる病気;例えば薬物への急性毒性反応によって起きる肝壊死;および例えば肝細胞腫に罹った患者の癌切除、から成るグループから選ばれる請求項92記載の方法。
【請求項94】
肝細胞感受性疾患が代謝異常および/または疾患であることを特徴とする請求項92記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−514214(P2008−514214A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533952(P2007−533952)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010582
【国際公開番号】WO2006/034873
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(503071598)セルアーティス アーベー (10)
【Fターム(参考)】