説明

ヒューズ

【課題】リレー回路を筐体内に収容することに起因する種々の不具合を解消できるヒューズを提供する。
【解決手段】ヒューズ10Aは、電源側に接続される第1接続端子部12、負荷側に接続される第2接続端子部13、及び、リレー制御回路側に接続される第3接続端子部14と、第1接続端子部12に一端側が接続されるヒューズエレメント部15と、第2接続端子部14に直接マウントされた半導体リレー11Aとを備え、半導体リレー11Aは、ゲート電極に入力される制御信号に基づいてドレイン電極とソース電極間が導通・非導通とされるリレー回路を構成し、ドレイン電極がヒューズエレメント部15の他端側に、ソース電極が第2接続端子部13に、ゲート電極が第3接続端子部14にそれぞれ電気的に接続され、第1〜第3接続端子部12,13,14とヒューズエレメント部15と半導体リレー11Aがモールド樹脂封止部16で一体化された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リレー回路を介して負荷への電力供給を制御する回路に使用されるヒューズに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車に搭載される電気接続箱や車載用電子制御ユニットは、バッテリーの電力を所定の負荷に対して分配する機能を有する。かかる従来の電気接続箱100は、図10に示すように、バッテリー101からの電流が入力され、バッテリー101から過大電流が供給されるのを阻止するヒューズ102と、ヒューズ102を介して供給される電流を負荷110に通電したり、非通電としたりする半導体リレー103と、半導体リレー103を制御するリレー制御回路(図示せず)とを備えている。半導体リレー103は、筐体100a内に収容された基板104に実装されている。リレー制御回路は、基板104に実装される電子部品(図示せず)と基板104に形成された回路パターン(図示せず)によって形成されている。筐体100a内の基板104に半導体リレー103を実装する従来例は、特許文献1に開示されている。
【0003】
また、他の従来例としては、図11に示すように、半導体リレー103の替わりにメカニカルリレー105を使用する場合もあり、メカニカルリレー105は半導体リレー103と同様に基板104に実装される。図11において、前記従来例と同一構成箇所には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0004】
ヒューズ102は、図12に示す如く、電気接続箱100の筐体100aに設けられた音叉端子(図示せず)に装着されるプラグイン式であり、第1接続端子部102aと、これに平行配置された第2接続端子部102bと、これら端子102a,102b間に介在されたヒューズエレメント部102cとを備え、相手端子接続箇所を除いた第1及び第2接続端子部102a,102bの箇所とヒューズエレメント部102cがモールド樹脂封止部102dで封止されることによって一体化されている。ヒューズ102が装着される音叉端子は、保守・点検等の利便性より、筐体の外側に設けられている。
【特許文献1】特開2002−359349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来例では、熱源である半導体リレー103やメカニカルリレー105を筐体100a内の基板104に実装するため、基板104等に半導体リレー103やメカニカルリレー105の設置スペースを確保する必要がある。従って、基板104、ひいては、基板104を内蔵する筐体100aが大型化する要因となる。また、リレー回路は熱源であるため、基板104等に高放熱材料や高耐熱材料を使用する必要があり、これによって高コスト化する。更に、半導体リレー103やメカニカルリレー105が故障した場合には、基板104全体を交換する必要があり、メンテナンス性が悪い。
【0006】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、リレー回路を筐体内に収容することに起因する種々の不具合を解消できるヒューズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、電源側に接続される第1接続端子部、負荷側に接続される第2接続端子部、及び、リレー制御回路側に接続される第3接続端子部と、前記第1接続端子部に一端側が接続されるヒューズエレメント部と、ゲート電極に入力される制御信号に基づいてドレイン電極とソース電極間が導通・非導通とされるリレー回路を構成し、前記ドレイン電極が前記ヒューズエレメント部の他端側に、前記ソース電極が前記第2接続端子部に、前記ゲート電極が前記第3接続端子部にそれぞれ電気的に接続される半導体リレーとを備え、前記第1〜第3接続端子部と前記ヒューズエレメント部と前記半導体リレーが一体化されたことを特徴とするヒューズである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1記載のヒューズであって、前記半導体リレーは、その一面が前記ドレイン電極、前記ソース電極及び前記ゲート電極の内の任意の一つの電極として形成されていると共に、前記ヒューズエレメント部の他端側に接続される半導体配置電極部を有し、前記半導体配置用電極部に前記半導体リレーが直接マウントされていることを特徴とするヒューズである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1記載のヒューズであって、前記半導体リレーは、その一面が前記ドレイン電極、前記ソース電極及び前記ゲート電極の内の任意の一つの電極として形成されていると共に、前記第2接続端子部に前記半導体リレーが直接マウントされていることを特徴とするヒューズである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2記載のヒューズであって、前記第1接続端子部と前記ヒューズエレメント部は、一体に形成されたことを特徴とするヒューズである。
【0011】
請求項5の発明は、請求項2記載のヒューズであって、前記第1接続端子部と前記ヒューズエレメント部と前記半導体配置用電極部は、一体に形成されたことを特徴とするヒューズである。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1又は請求項2記載のヒューズであって、前記ヒューズエレメント部は低融点金属製で、且つ、ワイヤー状に形成され、このワイヤー状のヒューズエレメント部がワイヤーボンデングされることによって前記第1接続端子部と前記半導体リレーのドレイン電極間に介在されたことを特徴とするヒューズである。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1記載のヒューズであって、前記半導体リレーのゲート電極に駆動信号を出力する半導体リレー駆動用素子を有し、前記半導体リレー駆動用素子は、前記第1〜第3接続端子部と前記ヒューズエレメント部と前記半導体リレーと共に一体化されたことを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項7記載のヒューズであって、前記第1〜第3接続端子部と前記半導体リレーと前記半導体リレー駆動用素子は、モールド樹脂封止部で封止されることによって一体化され、前記モールド樹脂封止部より露出された各ヒューズ接続部に前記ヒューズエレメント部が接続され、前記モールド樹脂封止部と前記ヒューズエレメント部がケース内に収容されて全体が一体化されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、ヒューズには半導体リレーが内蔵されるため、半導体リレーを基板などに実装したり、その設置スペースを確保する必要がない。従って、電気接続箱等にリレー機能を持たせる場合には、単にヒューズを電気接続箱等に外付けすれば良いため、電気接続箱内に内蔵する基板、ひいては電気接続箱等の筐体の縮小化になる。基板や筐体の縮小化によって、軽量化、低コスト化になる。また、熱源であるリレー回路を電気接続箱内の基板等に実装する必要がないため、基板等に高放熱材料や高耐熱材料を使用する必要がなく、これによっても低コスト化になる。さらに、半導体リレーが故障した場合には、ヒューズのみを交換すれば良いため、メンテナンス性が向上する。
【0016】
請求項2の発明によれば、半導体リレーを半導体配置用電極部に実装すれば一つの電極の接続作業が完了するため、ヒューズの製造工程を簡略化できる。
【0017】
請求項3の発明によれば、第2接続端子部を半導体リレーの実装面として利用するため、半導体配置用電極部を別途製造する必要がなく、ヒューズ構成の単純化に寄与する。又、半導体リレーと第2接続端子部間を電気的に接続する作業が不要であるため、ヒューズの製造工程を簡略化できる。
【0018】
請求項4の発明によれば、第1接続端子部の製造に際してヒューズエレメント部を同時に製造できるため、ヒューズの製造工程を簡略化できる。
【0019】
請求項5の発明によれば、第1接続端子部の製造に際してヒューズエレメント部と半導体配置用電極部を同時に製造できるため、ヒューズの製造工程を簡略化できる。
【0020】
請求項6の発明によれば、ヒューズエレメント部を簡単に製造できるため、ヒューズ構成を単純化できる。また、ヒューズエレメント部の融点調整が容易にできるため、所望のヒューズ特性を有するヒューズを簡単に製造できる。
【0021】
請求項7の発明によれば、ヒューズには半導体リレーと共に半導体リレー駆動用素子も内蔵されるため、電気接続箱等の更なる軽量化、低コスト化になる。
【0022】
請求項8の発明によれば、半導体リレーと半導体リレー駆動用素子がモールド樹脂封止部によって外部と完全に隔離されるため、水や埃等による悪影響を確実に回避できる。また、ヒューズエレメント部自体は、モールド樹脂封止部によって封止されないため、過電流の通電によって確実に溶断する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1及び図2は本発明の第1実施形態を示し、図1は電気接続箱の回路等の概念図、図2はヒューズの正面図である。
【0025】
図1に示すように、電気接続箱1は、電源であるバッテリー2からの電流が入力され、バッテリー2から過大電流が供給されるのを阻止するヒューズ10Aと、ヒューズ10Aを介して供給される電流を負荷3に対して通電したり、非通電としたりする半導体リレー11Aと、半導体リレー11Aを制御するリレー制御回路(図示せず)とを備えている。
【0026】
ヒューズ10Aは、プラグイン式のものであり、筐体1aの外部に配置された音叉端子(図示せず)に装着されている。ヒューズ10Aには半導体リレー11Aが内蔵されており、その詳しい構成は、下記に詳述する。リレー制御回路(図示せず)は、筐体1a内の基板20に実装された電子部品(図示せず)と基板20に形成された回路パターン(図示せず)によって形成されている。
【0027】
次に、ヒューズ10Aの詳しい構成を説明する。図2に示すように、ヒューズ10Aは、バッテリー2側に接続される第1接続端子部12と、負荷3側に接続される第2接続端子部13と、リレー制御回路側に接続される第3接続端子部14と、ヒューズエレメント部15と、第2接続端子部13に実装された半導体リレー11Aとを備えている。ヒューズ10Aは、各相手端子接続箇所を除く第1〜第3接続端子部12,13,14の箇所、ヒューズエレメント部15及び半導体リレー11Aがモールド樹脂封止部16で封止されることによって一体化されている。
【0028】
第1接続端子部12とヒューズエレメント部15は一体に形成され、第1接続端子部12とヒューズエレメント部15の一端側が連結されている。第1接続端子部12とヒューズエレメント部15の一体構造は、例えば、ブスバーの母材にプレス加工と切削加工を施すことによって製造される。
【0029】
半導体リレー11Aは、FET等のベアチップであり、その下面に配置されたソース電極(図示せず)と、上面の一部にそれぞれ配置されたドレイン電極(図示せず)及びゲート電極(図示せず)とを有する。そして、ゲート電極に入力される制御信号に基づいてドレイン電極とソース電極間が導通・非導通とされるリレー回路が形成されている。ドレイン電極は、ヒューズエレメント部15の他端側にボンデングワイヤ17aを介して電気的に接続されている。ソース電極は、半導体リレー11Aが第2接続端子部13に半田付けされることによって電気的に接続されている。ゲート電極は、第3接続端子部14にボンデングワイヤ17bを介して電気的に接続されている。
【0030】
上記構成において、ヒューズ10Aには半導体リレー11Aが内蔵されるため、従来例のように半導体リレー11Aを基板20などに実装したり、その設置スペースを確保する必要がない。従って、単にヒューズ10Aを電気接続箱1等に外付けすれば良いため、電気接続箱1内に内蔵する基板20、ひいては電気接続箱1等の筐体1aの縮小化になる。基板20や筐体1aの縮小化によって、電気接続箱1の軽量化、低コスト化になる。また、熱源であるリレー回路を電気接続箱1内の基板20等に実装する必要がないため、基板20等に高放熱材料や高耐熱材料を使用する必要がなく、これによっても低コスト化になる。さらに、半導体リレー11Aが故障した場合には、ヒューズ10Aのみを交換すれば良いため、メンテナンス性が向上する。
【0031】
この第1実施形態では、半導体リレー11Aは、その下面がソース電極として形成されている共に、第2接続端子部13に半導体リレー11Aが直接マウントされているので、半導体配置用電極部を別途製造する必要がなく、ヒューズ構成を単純化できる。また、半導体リレー11Aと第2接続端子部13間を電気的に接続する作業が不要であるため、ヒューズ10Aの製造工程を簡略化できる。
【0032】
この第1実施形態では、第1接続端子部12とヒューズエレメント部15は、一体に形成されたので、ヒューズ10Aの製造工程を簡略化できる。
【0033】
図3は本発明の第2実施形態のヒューズの正面図である。
【0034】
図3に示すように、ヒューズ10Bは、バッテリー側に接続される第1接続端子部12と、負荷側に接続される第2接続端子部13と、リレー制御回路側に接続される第3接続端子部14と、ヒューズエレメント部15と、半導体配置用電極部18と、半導体配置用電極部18に実装された半導体リレー11Bとを備えている。ヒューズ10Bは、各相手端子接続箇所を除く第1〜第3接続端子部12,13,14の箇所、ヒューズエレメント部15、半導体配置用電極部18及び半導体リレー11Bがモールド樹脂封止部16で封止されることによって一体化されている。
【0035】
第1接続端子部12とヒューズエレメント部15と半導体配置用電極部18は一体に形成され、第1接続端子部12とヒューズエレメント部15の一端側が連結され、ヒューズエレメント部15の他端側と半導体配置用電極部18が連結されている。第1接続端子部12とヒューズエレメント部15と半導体配置用電極部18の一体構造は、例えば、ブスバーの母材にプレス加工と切削加工を施すことによって製造される。
【0036】
半導体リレー11Bは、FET等のベアチップであり、その下面に配置されたドレイン電極(図示せず)と、上面の一部にそれぞれ配置されたソース電極(図示せず)及びゲート電極(図示せず)とを有する。そして、ゲート電極に入力される制御信号に基づいてドレイン電極とソース電極間が導通・非導通とされるリレー回路が形成されている。ドレイン電極は、半導体配置用電極部18に半田付けされることによってヒューズエレメント部15の他端側に電気的に接続されている。ソース電極は、第2接続端子部13にボンデングワイヤ17cを介して電気的に接続されている。ゲート電極は、第3接続端子部14にボンデングワイヤ17dを介して電気的に接続されている。
【0037】
この第2実施形態のヒューズ10Bにおいても、前記第1実施形態のものと同様に、リレー回路を基板に実装する必要がないことに起因する種々の効果が得られる。
【0038】
また、この第2実施形態では、半導体リレー11Bは、その下面がドレイン電極として形成されている共に、ヒューズエレメント部15の他端側に接続される半導体配置用電極部18を有し、半導体配置用電極部18に半導体リレー11Bが直接マウントされているので、半導体リレー11Bを半導体配置用電極部18に実装すれば一つの電極の接続作業が完了するため、ヒューズ10Bの製造工程を簡略化できる。
【0039】
この第2実施形態では、第1接続端子部12とヒューズエレメント部15と半導体配置用電極部18は、一体に形成されたので、ヒューズ10Bの製造工程を簡略化できる。
【0040】
図4は本発明の第3実施形態のヒューズの正面図である。
【0041】
図4に示すように、ヒューズ10Cは、バッテリー側に接続される第1接続端子部12と、負荷側に接続される第2接続端子部13と、リレー制御回路側に接続される第3接続端子部14と、ヒューズエレメント部15と、第2接続端子部13に実装された半導体リレー11Aとを備えている。ヒューズ10Cは、各相手端子接続箇所を除く第1〜第3接続端子部12,13,14の箇所、ヒューズエレメント部15A、及び、半導体リレー11Aがモールド樹脂封止部16で封止されることによって一体化されている。
【0042】
ヒューズエレメント部15Aは、低融点金属(例えば、Zn合金)製で、且つ、ワイヤー状に形成されている。このワイヤー状のヒューズエレメント部15Aがワイヤーボンデングされることによって第1接続端子部12と半導体リレー11Aのドレイン電極(図示せず)間に介在されている。
【0043】
半導体リレー11Aは、前記第1実施形態と同様で、FET等のベアチップであり、その下面に配置されたソース電極(図示せず)と、上面の一部にそれぞれ配置されたドレイン電極(図示せず)及びゲート電極(図示せず)とを有する。そして、ゲート電極に入力される制御信号に基づいてドレイン電極とソース電極間が導通・非導通とされるリレー回路が形成されている。ドレイン電極は、上記したように、ワイヤ状のヒューズエレメント部15Aの他端側に電気的に接続されている。ソース電極は、半導体リレー11Aが第2接続端子部13に半田付けされることによって電気的に接続されている。ゲート電極は、第3接続端子部14にボンデングワイヤ17eを介して電気的に接続されている。
【0044】
この第3実施形態のヒューズ10Cにおいても、前記第1実施形態のものと同様に、リレー回路を基板20に実装する必要がないことに起因する種々の効果が得られる。
【0045】
また、この第3実施形態では、半導体リレー11Aは、その下面がソース電極として形成されている共に、第2接続端子部13に半導体リレー11Aが直接マウントされているので、第1実施形態と同様に、半導体配置用電極部を別途製造する必要がなく、ヒューズ構成を単純化できる。また、半導体リレー11Aと第2接続端子部13間を電気的に接続する作業が不要であるため、ヒューズ10Cの製造工程を簡略化できる。
【0046】
この第3実施形態では、ヒューズエレメント部15Aは低融点金属製で、且つ、ワイヤー状に形成され、このワイヤー状のヒューズエレメント部15Aがワイヤーボンデングされることによって第1接続端子部12と半導体リレー11Aのドレイン電極間に介在されている。従って、ヒューズエレメント部15Aを簡単に製造できるため、ヒューズ構成を簡略化できる。又、ヒューズエレメント部15Aの融点調整が容易にできるため、所望のヒューズ特性を有するヒューズ10Cを簡単に製造できる。
【0047】
図5〜図7は本発明の第4実施形態を示し、図5は電気接続箱の回路等の概念図、図6はヒューズの正面図、図7はヒューズの斜視図である。
【0048】
図5に示すように、電気接続箱1は、電源であるバッテリー2からの電流が入力され、バッテリー2から過大電流が供給されるのを阻止するヒューズ10Dと、ヒューズ10Dを介して供給される電流を負荷3に対して通電したり、非通電としたりする半導体リレー11Aと、半導体リレー11Aを駆動する半導体リレー駆動用素子30Aと、半導体リレー駆動用素子30Aを介して半導体リレー11Aを制御するリレー制御回路31とを備えている。
【0049】
ヒューズ10Dは、プラグイン式のものであり、筐体1aの外部に配置された音叉端子(図示せず)に装着されている。ヒューズ10Dには半導体リレー11A及び半導体リレー駆動用素子30Aが内蔵されており、その詳しい構成は、下記に詳述する。リレー制御回路31は、チャージポンプ回路31aと制御スイッチSW1とから構成されている。この実施形態では、半導体リレー11AがNチャネルMOS形で、ハイサイド駆動であるため、チャージポンプ回路31aが必要である。
【0050】
次に、ヒューズ10Dの詳しい構成を説明する。図6に示すように、ヒューズ10Dは、バッテリー2側に接続される第1接続端子部12と、負荷3側に接続される第2接続端子部13と、リレー制御回路31側に接続される第3接続端子部14と、ヒューズエレメント部15Bと、第2接続端子部13に実装された半導体リレー11Aと、同じく第2接続端子部13に実装される半導体リレー駆動用素子30Aと、中継端子部32とを備えている。
【0051】
各接続端子部12,13,14、ヒューズエレメント部15及び中継端子部32は、それぞれ別体のブスバー材より形成されている。
【0052】
半導体リレー11Aは、NチャネルMOS形のFET等のベアチップである。半導体リレー11Aは、その下面に配置されたソース電極(図示せず)と、上面の一部にそれぞれ配置されたドレイン電極(図示せず)及びゲート電極(図示せず)とを有する。そして、ゲート電極に入力される制御信号に基づいてドレイン電極とソース電極間が導通・非導通とされるリレー回路が形成されている。ドレイン電極は、中継端子部32にボンデングワイヤ17fを介して電気的に接続されている。ソース電極は、半導体リレー11Aが第2接続端子部13に半田付けされることによって電気的に接続されている。ゲート電極は、半導体リレー駆動用素子30Aの出力用電極(図示せず)にボンデングワイヤ17gを介して電気的に接続されている。
【0053】
半導体リレー駆動用素子30Aは、ベアチップであり、その下面に配置されたソース側電極(図示せず)と、上面の一部にそれぞれ配置された入力用電極(図示せず)と出力用電極(図示せず)とを有する。ソース側電極は、半導体リレー駆動用素子30Aが第2接続端子部13に半田付けされることによって電気的に接続されている。入力用電極は、第3接続端子部14にボンデングワイヤ17hを介して接続されている。
【0054】
各相手端子接続箇所を除く第1〜第3接続端子部12,13,14の箇所、中継端子部32、半導体リレー11A及び半導体リレー駆動用素子30Aは、モールド樹脂封止部40で封止されることによって一体化されている。また、第1接続端子部12と中継端子部32のヒューズ接続部12a,32aは、モールド樹脂封止部40で封止されることなく外部に露出されている。
【0055】
ヒューズエレメント部15Bの両端は、モールド樹脂封止部40より露出された双方のヒューズ接続部12a,32a間に半田付け等によってそれぞれ接続されている。そして、モールド樹脂封止部40とヒューズエレメント部15Bは、ケース41内に収容されており、これによってヒューズ10Eは全体として一体化されている(図7参照)。
【0056】
上記構成において、ヒューズ10Dには半導体リレー11A及び半導体リレー駆動用素子30Aが内蔵されるため、前記第1実施形態と較べて、電気接続箱1等の筐体1aの更なる縮小化になる。基板や筐体1aの縮小化によって、電気接続箱1の更なる軽量化、低コスト化になる。又、熱源であるリレー回路を電気接続箱1内の基板等に実装する必要がないため、基板等に高放熱材料や高耐熱材料を使用する必要がなく、これによっても低コスト化になる。更に、半導体リレー11Aが故障した場合には、ヒューズ10Dのみを交換すれば良いため、メンテナンス性が向上する。
【0057】
この第4実施形態では、第1〜第3接続端子部12,13,14と半導体リレー11Aと半導体リレー駆動用素子30Aは、モールド樹脂封止部40で封止されることによって一体化され、且つ、モールド樹脂封止部40より露出された各ヒューズ接続部12a,32aにヒューズエレメント部15Bが接続され、モールド樹脂封止部40とヒューズエレメント部15Bがケース41内に収容されて全体が一体化されている。従って、半導体リレー11Aと半導体リレー駆動用素子30Aがモールド樹脂封止部40によって外部と完全に隔離されるため、水や埃等による悪影響を確実に回避できる。又、ヒューズエレメント部15B自体は、モールド樹脂封止部40によって封止されないため、過電流の通電によって確実に溶断する。
【0058】
図8及び図9は本発明の第5実施形態を示し、図8は電気接続箱の回路等の概念図、図9はヒューズの正面図である。
【0059】
図8に示すように、電気接続箱1は、前記第4実施形態と同様に、バッテリー2から過大電流が供給されるのを阻止するヒューズ10Eと、ヒューズ10Eを介して供給される電流を負荷3に対して通電したり、非通電としたりする半導体リレー11Cと、半導体リレー11Cを駆動する半導体リレー駆動用素子30Bと、半導体リレー駆動用素子30Bを介して半導体リレー11Cを制御するリレー制御回路である制御スイッチSW2とを備えている。
【0060】
ヒューズ10Eは、プラグイン式のものであり、筐体1aの外部に配置された音叉端子(図示せず)に装着されている。ヒューズ10Eには半導体リレー11C及び半導体リレー駆動用素子30Bが内蔵されており、その詳しい構成は、下記に詳述する。この実施形態では、半導体リレー11CはPチャネルMOS形であるため、制御スイッチSW2のみで制御可能である。
【0061】
次に、ヒューズ10Eの詳しい構成を説明する。図9に示すように、ヒューズ10Eは、前記第4実施形態と同様に、バッテリー2側に接続される第1接続端子部12と、負荷3側に接続される第2接続端子部13と、制御スイッチSW2側に接続される第3接続端子部14と、ヒューズエレメント部15Bと、第2接続端子部13に実装された半導体リレー11Cと、同じく第2接続端子部13に実装される半導体リレー駆動用素子30Bと、中継端子部32とを備えている。
【0062】
各接続端子部12,13,14、ヒューズエレメント部15及び中継端子部32は、それぞれ別体のブスバー材より形成されている。
【0063】
半導体リレー11Cは、PチャネルMOS形のFET等のベアチップである。半導体リレー11Cは、その下面に配置されたドレイン電極(図示せず)と、上面の一部にそれぞれ配置されたソース電極(図示せず)及びゲート電極(図示せず)とを有する。そして、ゲート電極に入力される制御信号に基づいてドレイン電極とソース電極間が導通・非導通とされるリレー回路が形成されている。ドレイン電極は、半導体リレー11Cが第2接続端子部13に半田付けされることによって電気的に接続されている。ソース電極は、中継端子部32にボンデングワイヤ17iを介して電気的に接続されている。ゲート電極は、半導体リレー駆動用素子30Bの出力用電極(図示せず)にボンデングワイヤ17jを介して電気的に接続されている。
【0064】
半導体リレー駆動用素子30Bは、ベアチップであり、その上面の一部にそれぞれ配置されたソース側電極(図示せず)と出力用電極(図示せず)と入力用電極(図示せず)とを有する。ソース用電極は、中継端子部32にボンデングワイヤ17kを介して接続されている。入力用電極は、第3接続端子部14にボンデングワイヤ17lを介して接続されている。
【0065】
各相手端子接続箇所を除く第1〜第3接続端子部12,13,14の箇所、中継端子部32、半導体リレー11C及び半導体リレー駆動用素子30Bは、前記第4実施形態と同様に、モールド樹脂封止部40で封止されることによって一体化されている。又、第1接続端子部12と中継端子部32のヒューズ接続部12a,32aは、モールド樹脂封止部40で封止されることなく外部に露出されている。
【0066】
ヒューズエレメント部15Bの両端は、モールド樹脂封止部40より露出された双方のヒューズ接続部12a,32a間に半田付け等によってそれぞれ接続されている。そして、モールド樹脂封止部40とヒューズエレメント部15Bは、ケース41内に収容されており、これによってヒューズ10Eは全体として一体化されている。
【0067】
この第5実施形態においても、前記第4実施形態と同様に、電気接続箱1の軽量化、低コスト化等になる。また、熱源であるリレー回路を電気接続箱1内の基板等に実装する必要がないため、基板等に高放熱材料や高耐熱材料を使用する必要がなく、これによっても低コスト化になる。さらに、半導体リレー11Cが故障した場合には、ヒューズ10Eのみを交換すれば良いため、メンテナンス性が向上する。
【0068】
この第5実施形態では、前記第4実施形態と同様に、第1〜第3接続端子部12,13,14と半導体リレー11Cと半導体リレー駆動用素子30Bは、モールド樹脂封止部40で封止されることによって一体化され、且つ、モールド樹脂封止部40とヒューズエレメント部15Bがケース41内に収容されて全体が一体化されている。従って、半導体リレー11Cと半導体リレー駆動用素子30Bがモールド樹脂封止部40によって外部と完全に隔離されるため、水や埃等による悪影響を確実に回避できる。又、ヒューズエレメント部15B自体は、モールド樹脂封止部40によって封止されないため、過電流の通電によって確実に溶断する。
【0069】
この第5実施形態では、次のような利点がある。つまり、半導体リレー11CがMOS形FETである場合には、ドレイン電極−ソース電極間の耐圧に比べてゲート電極−ソース電極間の耐圧が低い。そのため、静電気などのサージ電流が半導体リレー11Cのゲート電極に加わると、半導体リレー11Cが壊れる可能性が非常に高い。しかし、第5実施形態の構成では、人間等が第3接続端子部14に触れる等して静電気等のサージ電流が発生しても、半導体駆動用素子30Bのツェナーダイオードでゲート電極−ソース電極間の電圧を一定に維持しているので、サージ電流が半導体リレー駆動用素子30Bによって半導体リレー11Cのゲート電極に直接加わることがないため、静電気等によって半導体リレー11Cが壊れることがない。従って、第5実施形態のヒューズ10Eは、半導体リレー11Cの回路保護を行う必要がないという利点がある。
【0070】
尚、前記第4及び第5実施形態では、半導体リレー11A,11Cを第2接続端子部13に直接マウントしているが、第2実施形態のような半導体配置用電極部を設けてマウントしても良いし、中継端子部32にマウントするよう構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1実施形態を示し、電気接続箱の回路等の概念図である。
【図2】本発明の第1実施形態を示し、ヒューズの正面図である。
【図3】本発明の第2実施形態を示し、ヒューズの正面図である。
【図4】本発明の第3実施形態を示し、ヒューズの正面図である。
【図5】本発明の第4実施形態を示し、電気接続箱の回路等の概念図である。
【図6】本発明の第4実施形態を示し、ヒューズの正面図である。
【図7】本発明の第4実施形態を示し、ヒューズの斜視図である。
【図8】本発明の第5実施形態を示し、電気接続箱の回路等の概念図である。
【図9】本発明の第5実施形態を示し、ヒューズの正面図である。
【図10】従来例を示し、電気接続箱の回路等の概念図である。
【図11】他の従来例を示し、電気接続箱の回路等の概念図である。
【図12】従来のヒューズの正面図である。
【符号の説明】
【0072】
1 電気接続箱
1a 筐体
2 バッテリー(電源)
3 負荷
10A,10B,10C,10D,10E ヒューズ
11A,11B,11C 半導体リレー
12 第1接続端子部
13 第2接続端子部
14 第3接続端子部
15,15A,15B ヒューズエレメント部
16 モールド樹脂封止部
18 半導体配置用電極部
30A,30B 半導体リレー駆動用素子
31 リレー制御回路
40 モールド樹脂封止部
41 ケース
SW2 制御スイッチ(リレー制御回路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源側に接続される第1接続端子部、負荷側に接続される第2接続端子部、及び、リレー制御回路側に接続される第3接続端子部と、
前記第1接続端子部に一端側が接続されるヒューズエレメント部と、
ゲート電極に入力される制御信号に基づいてドレイン電極とソース電極間が導通・非導通とされるリレー回路を構成し、前記ドレイン電極が前記ヒューズエレメント部の他端側に、前記ソース電極が前記第2接続端子部に、前記ゲート電極が前記第3接続端子部にそれぞれ電気的に接続される半導体リレーとを備え、
前記第1〜第3接続端子部と前記ヒューズエレメント部と前記半導体リレーが一体化されたことを特徴とするヒューズ。
【請求項2】
請求項1記載のヒューズであって、
前記半導体リレーは、その一面が前記ドレイン電極、前記ソース電極及び前記ゲート電極の内の任意の一つの電極として形成されていると共に、前記ヒューズエレメント部の他端側に接続される半導体配置電極部を有し、前記半導体配置用電極部に前記半導体リレーが直接マウントされていることを特徴とするヒューズ。
【請求項3】
請求項1記載のヒューズであって、
前記半導体リレーは、その一面が前記ドレイン電極、前記ソース電極及び前記ゲート電極の内の任意の一つの電極として形成されていると共に、前記第2接続端子部に前記半導体リレーが直接マウントされていることを特徴とするヒューズ。
【請求項4】
請求項1又は請求項2記載のヒューズであって、
前記第1接続端子部と前記ヒューズエレメント部は、一体に形成されたことを特徴とするヒューズ。
【請求項5】
請求項2記載のヒューズであって、
前記第1接続端子部と前記ヒューズエレメント部と前記半導体配置用電極部は、一体に形成されたことを特徴とするヒューズ。
【請求項6】
請求項1又は請求項2記載のヒューズであって、
前記ヒューズエレメント部は低融点金属製で、且つ、ワイヤー状に形成され、このワイヤー状のヒューズエレメント部がワイヤーボンデングされることによって前記第1接続端子部と前記半導体リレーのドレイン電極間に介在されたことを特徴とするヒューズ。
【請求項7】
請求項1記載のヒューズであって、
前記半導体リレーのゲート電極に駆動信号を出力する半導体リレー駆動用素子を有し、前記半導体リレー駆動用素子は、前記第1〜第3接続端子部と前記ヒューズエレメント部と前記半導体リレーと共に一体化されたことを特徴とするヒューズ。
【請求項8】
請求項7記載のヒューズであって、
前記第1〜第3接続端子部と前記半導体リレーと前記半導体リレー駆動用素子は、モールド樹脂封止部で封止されることによって一体化され、前記モールド樹脂封止部より露出された各ヒューズ接続部に前記ヒューズエレメント部が接続され、前記モールド樹脂封止部と前記ヒューズエレメント部がケース内に収容されて全体が一体化されたことを特徴とするヒューズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−311204(P2008−311204A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−231744(P2007−231744)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】