説明

ヒンジ

【課題】強度を向上できるとともに、操作性を向上できるヒンジを提供する。
【解決手段】本体側取付部材10と、本体側取付部材10に連結されるアーム部材20と、アーム部材20に連結される一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rと、第一のトルク以上のトルクが加わった場合にはアーム部材20が本体側取付部材10に対して回動することを許容し、第一のトルク未満のトルクが加わった場合にはアーム部材20が本体側取付部材10に対して回動することを規制する一対の第一回動規制機構30L・30Rと、第二のトルク以上のトルクが加わった場合には一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rがアーム部材20に対して回動することを許容し、第二のトルク未満のトルクが加わった場合には一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rがアーム部材20に対して回動することを規制する一対の第二回動規制機構50L・50Rとを具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OA機器が備える操作ユニットをOA機器の本体に対して回動可能に連結するヒンジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、OA機器が具備する操作ユニットをOA機器の本体に対して回動可能に連結するヒンジは公知となっている。
OA機器が具備する操作ユニットとしては、例えば、OA機器の状態等を表示する表示機能を有する表示パネル、OA機器に対して所望の動作を指令する操作機能を有する操作ボタン、および表示機能と操作機能を有するタッチパネル等がある。また、OA機器では、表示機能を実現するために、液晶パネルが広く適用されている。
ここで、「OA(Office Automation)機器」は、広く家庭用および企業用の情報機器を指し、具体例としては、プリンタ、ファクシミリ、コピー機、およびそれらの複合機等が挙げられる。
【0003】
このような操作ユニットを具備するOA機器では、作業者の身長と操作ユニットの高さとに大きな差異がある場合において、作業者が操作ユニットを操作するとき、例えば、操作ユニットの操作ボタンを押下するとき等に操作しにくくなる場合がある。
また、液晶パネルが適用される操作ユニットを具備するOA機器では、作業者の目線と操作ユニットの姿勢によって、操作ユニットが見えにくくなる場合がある。
このような場合において、作業者は、操作ユニットを操作しにくくなる、換言すれば、ヒンジの操作性が低下する場合がある。このため、ヒンジには、操作性を向上させる技術が求められている。
特に、近年はOA機器の小型化の進展に伴いOA機器を床面に設置した場合に操作ユニットが低い位置に配置される(床面から操作ユニットまでの距離が小さくなる)傾向があり、作業者の身長あるいは姿勢によってはヒンジの操作性が良くない場合がある。
【0004】
特許文献1に開示されたヒンジは、支持アーム、第一の保持機構、および第二の保持機構を具備する。
支持アームは、円柱形状および略多角柱形状等に形成される。支持アームの一端部は、第一の保持機構を介してOA機器本体に回動可能に取り付けられる。また、支持アームの他端部は、第二の保持機構を介して操作ユニットに回動可能に取り付けられる。
第一の保持機構および第二の保持機構は、それぞれ支持軸、ワンウェイクラッチ、およびスプリングクラッチ等を備える。支持軸は、ワンウェイクラッチおよびスプリングクラッチを貫装する。
第一の保持機構は、操作ユニットの自重によるトルク(回転力)を超えるトルクが加えられたとき、支持アームの回動を許容する。また、第二の保持機構は、操作ユニットの自重によるトルクを超えるトルクが加えられたとき、操作ユニットの回動を許容する。
【0005】
このように構成される特許文献1に開示されたヒンジは、第一の保持機構を回動することにより操作ユニットの高さを調整できる。つまり、作業者の身長等に応じて操作ユニットの高さを適宜調整できる。また、第二の保持機構を回動することにより操作ユニットの姿勢を調整できる。つまり、作業者の目線に応じて操作ユニットの姿勢を適宜調整できる。
しかし、特許文献1に開示されたヒンジは、操作ユニットの高さおよび操作ユニットの姿勢をそれぞれ一箇所で調整する構成である。そのため、操作ユニットに作業者が接触すると、かかる衝撃によって支持アームが変形する場合があった。つまり、支持アームの強度が低く、ひいては、ヒンジの強度が低いという点で不利であった。
また、特許文献1に開示されたヒンジは比較的高価な部材であるワンウェイクラッチを第一の保持機構および第二の保持機構にそれぞれ備える構成であるため、ヒンジが高価なものになってしまうという点で不利であった。
【0006】
また、特許文献2に開示されたヒンジは、取付ブラケット、台保持体、物品支持台、第一関節、第二関節、およびロック手段を具備する。
取付ブラケットは、OA機器本体に取り付けられる。
台保持体は、上面板および上面板の両端部を折り曲げたように形成される両側板を備える。両側板の一端部は、それぞれ第一関節を介して取付ブラケットに回動可能に取り付けられる。
第一関節は、ボルト、ナット、および複数の座金によって構成される。ボルトは、取付ブラケットおよび台保持体に貫装される。かかるボルトには、複数の座金が貫装された状態でナットに螺合される。第一関節は、所定のトルクが加えられたときに、台保持体の回動を許容する。
物品支持台は、第二関節を介して両側板の他端部に回動可能に取り付けられる。
第二関節は、物品支持台を台保持体に回動可能に連結する点を除いて第一関節と同様に構成される。第二関節は、所定のトルクが加えられたときに、物品支持台の回動を許容する。
ロック手段は、スライダおよびバネ等によって構成される。ロック手段は、両側板のいずれかに設けられる。ロック手段は、物品保持体が台保持体に接近しているとき、物品保持体の回動を規制する。
【0007】
このように構成される特許文献2に開示されたヒンジは、第一関節および第二関節を回動することにより操作ユニットの高さおよび姿勢を調整できる。また、特許文献1に開示されたヒンジの支持アームに対応する台保持体は、操作ユニットの高さおよび姿勢をそれぞれ二箇所で調整できる構成であるため、台保持体の強度を向上できる。つまり、ヒンジの強度を向上できる。
【0008】
しかし、特許文献1および特許文献2に開示されたヒンジは、操作ユニットが支持アーム(物品保持体)に取り付けられる位置に関する記載がない。すなわち、操作ユニットの中途部を支持アーム(物品保持台)の端部に取り付けた場合等において、かかる操作ユニットの高さを調整するときに、操作ユニットの端部がOA機器本体に干渉する場合がある。つまり、操作ユニットの高さを調整する前に、操作ユニットがOA機器本体に干渉しないような向きに操作ユニットの姿勢を調整する必要があった。換言すれば、ヒンジの操作性が低下する場合があるという点で不利であった。
また、特許文献1および特許文献2に開示されたヒンジでは、操作ユニットの姿勢を調整したときに、操作ユニットの高さが(作業者が望まない場合でも)変わってしまう場合があった。つまり、操作ユニットの姿勢を調整するときに作業者が一方の手で支持アーム(台保持体)を押さえる必要があった。つまり、ヒンジの操作性が低下する場合があるという点で不利であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3929787号公報
【特許文献2】特開2009−58579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、強度を向上できるとともに、操作性を向上できるヒンジを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1においては、
OA機器の本体に取り付けられる本体側取付部材と、
基部が前記本体側取付部材に回動可能に連結されるアーム部材と、
前記アーム部材の先端部に回動可能に連結されるとともに、前記OA機器の操作ユニットの下端部に取り付けられる操作ユニット側取付部材と、
第一のトルク以上のトルクが加わった場合には前記アーム部材が前記本体側取付部材に対して回動することを許容し、第一のトルク未満のトルクが加わった場合には前記アーム部材が前記本体側取付部材に対して回動することを規制する第一回動規制機構と、
第二のトルク以上のトルクが加わった場合には前記操作ユニット側取付部材が前記アーム部材に対して回動することを許容し、第二のトルク未満のトルクが加わった場合には前記操作ユニット側取付部材が前記アーム部材に対して回動することを規制する第二回動規制機構と、
を具備し、
前記アーム部材は、
主板と、
前記主板の両側端部に延設される一対の側板と、
を備え、
前記一対の側板の基部は、前記アーム部材の長手方向において前記主板の基部よりも突出し、
前記一対の側板の先端部は、前記アーム部材の長手方向において前記主板の先端部よりも突出し、
前記一対の側板の基部が前記本体側取付部材に回動可能に連結され、
前記一対の側板の先端部が前記操作ユニット側取付部材に回動可能に連結され、
前記アーム部材の長手方向の長さは、前記操作ユニットの上下方向の長さに対応するものである。
【0012】
請求項2においては、
前記第一のトルクを前記第二のトルクよりも大きく設定したものである。
【0013】
請求項3においては、
前記本体側取付部材には、
前記アーム部材に向かって突出する本体側ステー部と、
前記本体側ステー部に隣接する連通孔と、
が形成されるものである。
【0014】
請求項4においては、
前記アーム部材の主板において、前記操作ユニット側取付部材が前記アーム部材の主板に接近する方向に回動したときに前記操作ユニット側取付部材と重なる位置には、切欠部が形成されるものである。
【0015】
請求項5においては、
前記アーム部材が前記本体側取付部材に対して所定の角度の範囲である第一角度範囲を超えて回動することを規制する第一回動角規制機構を具備するものである。
【0016】
請求項6においては、
前記第一回動角規制機構は、前記本体側取付部材および前記アーム部材の基部のいずれか一方に形成される第一回動角規制凸部を有し、
前記第一回動角規制凸部は、前記アーム部材が前記本体側取付部材に対して前記第一角度範囲の上限および下限まで回動したときに、前記本体側取付部材および前記アーム部材の基部のいずれか他方に当接するものである。
【0017】
請求項7においては、
前記操作ユニット側取付部材が前記アーム部材に対して所定の角度の範囲である第二角度範囲を超えて回動することを規制する第二回動角規制機構を具備するものである。
【0018】
請求項8においては、
前記第二回動角規制機構は、前記アーム部材の先端部および前記操作ユニット側取付部材のいずれか一方に形成される第二回動角規制凸部を有し、
前記第二回動角規制凸部は、前記操作ユニット側取付部材が前記アーム部材に対して前記第二角度範囲の上限および下限まで回動したときに、前記アーム部材の先端部および前記操作ユニット側取付部材のいずれか他方に当接するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、ヒンジの強度を向上できるとともにヒンジの操作性を向上できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ヒンジの全体的な構成を示す斜視図。
【図2】操作ユニットを支持した状態のヒンジを示す左側面図。
【図3】ヒンジの回動部分を示す左側面断面図。(a)第一回動規制機構を示す左側面断面図。(b)第二回動規制機構を示す左側面断面図。
【図4】操作ユニットの高さを調整した状態を示す左側面図。
【図5】操作ユニットの姿勢を調整した状態を示す左側面図。
【図6】操作ユニットの高さおよび姿勢を調整した状態を示す左側面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係るヒンジの実施の一形態であるヒンジ1について、図面を参照して説明する。
【0022】
図1および図2に示す如く、ヒンジ1は、OA機器100が具備する操作ユニット102をOA機器本体101に対して回動可能に連結するものである。
OA機器100が具備する操作ユニット102としては、例えば、OA機器100の状態等を表示する表示機能を有する表示パネル、OA機器100に対して所望の動作を指令する操作機能を有する操作ボタン、および表示機能と操作機能とを有するタッチパネル等がある。
【0023】
なお、以下では説明の便宜上、図2における紙面の上下方向を基準として「ヒンジ1の上方」および「ヒンジ1の下方」を規定する。また、図2における紙面の左右方向を基準として「ヒンジ1の前方」および「ヒンジ1の後方」を定義する。そして、図2における紙面に対して垂直方向において、手前側に向かう方向を基準として「ヒンジ1の左方」、奥側に向かう方向を基準として「ヒンジ1の右方」を定義する。
【0024】
ヒンジ1は、本体側取付部材10、アーム部材20、一対の第一回動規制機構30L・30R、一対の操作ユニット側取付部材40L・40R、および一対の第二回動規制機構50L・50Rを具備する。
【0025】
以下では、本体側取付部材10について説明する。
図1および図2に示す如く、本体側取付部材10は、OA機器本体101に取り付けられるものである。本体側取付部材10は、主板11を備える。主板11は、略板状の部材である。主板11の左右両側端部および上端部は後方向に向かって垂直に折り曲げたように形成される。
【0026】
本体側取付部材10には、三つの本体側ブラケット部12L・12R・12Cが形成される。本体側ブラケット部12L・12Rは、それぞれ主板11の折り曲げられた左右両側端部を成す部分である。また、本体側ブラケット部12Cは、主板11の折り曲げられた上端部を成す部分である。三つの本体側ブラケット部12L・12R・12Cには、それぞれOA機器本体101に固定するための複数のネジ孔等が形成される。本体側取付部材10は、本体側ブラケット部12CをOA機器本体101に引っ掛けた状態で、本体側ブラケット部12L・12R・12Cのネジ孔にボルトおよびネジ等が貫装され、OA機器本体101に螺合される。これにより、本体側取付部材10は、OA機器本体101に対して相対回転不能に取り付けられる。
【0027】
本体側取付部材10には、一対の本体側ステー部13L・13Rが形成される。一対の本体側ステー部13L・13Rは、それぞれ主板11の左右両側に形成される。
なお、本体側ステー部13Rは、主板11の右側に形成される点を除いて本体側ステー部13Lと同様(本実施形態では、左右対称)に構成される。そのため以下において本体側ステー部13Rの説明は省略する。
【0028】
本体側ステー部13Lは、アーム部材20に向かって、すなわち本実施形態では前方向に向かって突出する。また、本体側ステー部13Lは、左側面視において下端部が前方向に向かってやや大きく突出するような略逆L字形状を有する。
本実施形態では、主板11の左側に本体側ステー部13Lの形状に対応する切り込みが形成され、当該切り込みが形成された部分と主板11の他の部分との(上下方向に伸びた)境界線を折り目として当該切り込みが形成された部分を前方向に向かって垂直に折り曲げることにより、本体側ステー部13Lが形成される。
【0029】
図3(a)に示す如く、本体側ステー部13Lには、本体側支持孔13aが形成される。本体側支持孔13aは、本体側ステー部13Lを左右方向に貫通する。
【0030】
図2に示す如く、本体側ステー部13Lには、二つの摩擦板取付孔13b・13bが形成される。二つの摩擦板取付孔13b・13bは、それぞれ本体側ステー部13Lを左右方向に貫通する。二つの摩擦板取付孔13b・13bは、それぞれ本体側支持孔13aを中心に所定の間隔を空けて配置される。
本体側ステー部13Lには、第一回動角規制凸部61aおよび第一回動角規制凸部61bが形成される。第一回動角規制凸部61aおよび第一回動角規制凸部61bの詳細については後述する。
【0031】
図1に示す如く、本体側取付部材10には、一対の連通孔14L・14Rが形成される。一対の連通孔14L・14Rは、それぞれ主板11の左右両側に形成される。
なお、連通孔14Rは、主板11の右側に形成される点を除いて連通孔14Lと同様に構成される。そのため以下において連通孔14Rの説明は省略する。
【0032】
主板11から本体側ステー部13Lを折り曲げることにより形成したとき、主板11の左側には、本体側ステー部13Lの形状に沿った孔部が形成される。そして、当該孔部を基にして(孔部の周辺部を適宜除去することにより)、連通孔14Lが形成される。連通孔14Lは、このような製造過程から、本体側ステー部13Lの後端部に隣接することとなる。
【0033】
これによれば、別途部品を用いて本体側ステー部を形成した場合と比較して、ヒンジ1の部品点数を削減できる。また、主板11に本体側ステー部13Lおよび連通孔14Lを形成する作業が一体化し、作業工数を削減可能である。
【0034】
本体側取付部材10には、貫通孔15が形成される。貫通孔15は、一対の連通孔14L・14Rの間に形成される。
本実施形態では、主板11の左右略中央部に切り込みが形成され、当該切り込みが形成された部分と主板11の他の部分との(上下方向に伸びた)境界線を折り目として当該切り込みが形成された部分を後方向に向かって垂直に折り曲げることにより孔部が形成される。そして、当該孔部を基にして(孔部の周辺部を適宜除去することにより)、貫通孔15が形成される。
【0035】
ここで、操作ユニット102は、図示せぬハーネスを介してOA機器本体101に接続されて、OA機器本体101と相互に情報を送受信する。
図1および図2に示す如く、本体側取付部材10に連通孔14Lを形成することにより、連通孔14Lを通じてOA機器本体101の内部から外部にハーネスを引き出すことが可能である。
また、本体側取付部材10に連通孔14Lを形成した場合、OA機器本体101において本体側取付部材10が取り付けられている部分と異なる部分からハーネスを引き出す場合よりもハーネスを短くすることが可能であり、ハーネスの取り回し(処理)が容易である。
なお、ハーネスの本数が多い場合等において、ハーネスは、貫通孔15を通る構成であっても構わない。
【0036】
本実施形態の本体側取付部材10は、例えば、板状の部材(金属板)を適宜折り曲げることにより成形されるが、金型によって一体的に成形されても良い。
【0037】
以下では、アーム部材20について説明する。
図1および図2に示す如く、アーム部材20は、本体側取付部材10に対して回動可能に連結されるとともに、一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rを回動可能に連結するものである。アーム部材20は、略板状の部材の左右両側端部を下方向に向かって垂直に折り曲げたような形状を有する。アーム部材20は、主板21および一対の側板22L・22Rを備える。
【0038】
アーム部材20の主板21は、アーム部材20の板面を成す部分である。アーム部材20の主板21には、複数のネジ孔等が形成される。
【0039】
ここで、(A)操作ユニット102を構成するケース(表面にボタン、表示画面等が設けられる)の内部に操作ユニット102を制御するための電子基板が配置される場合、操作ユニット102が全体的に大型化・大重量化する。この場合、ヒンジ1は、大型化・大重量化した分だけヒンジ1の形状を大きくし、ヒンジ1の強度を向上させる必要がある。
【0040】
一方、(B)操作ユニット102を構成するケースの外部に電子基板が配置される場合、上記(A)の場合よりは操作ユニット102を小型化・軽量化することが可能である。この場合、ヒンジ1は、小型化・軽量化した分だけヒンジ1の形状を小さくすることが可能である。
しかし、上記(B)の場合は、操作ユニット102を制御するための電子基板を配置するスペースを別途確保する必要がある。
本実施形態では、主板21および一対の側板22L・22Rにより囲まれるスペースを操作ユニット102を制御するための電子基板を配置するスペースとして有効活用することが可能である。具体的には、アーム部材20の主板21に形成された複数のネジ孔にネジを貫装し、当該ネジを当該電子基板に螺合することにより、主板21および一対の側板22L・22Rにより囲まれるスペースに当該電子基板を固定することが可能である。
【0041】
アーム部材20の主板21には、一対の切欠部21a・21aが形成される。一対の切欠部21a・21aの詳細については、後述する。
【0042】
アーム部材20の主板21には、第二回動角規制凸部63aが形成される。第二回動角規制凸部63aの詳細については後述する。
【0043】
一対の側板22L・22Rは、それぞれアーム部材20の主板21の左右両側端部に延設される。すなわち、本実施形態の一対の側板22L・22Rは、それぞれアーム部材20の折り曲げられた左右両側端部を成す部分である。
なお、側板22Rは、アーム部材20の折り曲げられた右端部を成す部分である点を除いて側板22Lと同様(本実施形態では、左右対称)に構成される。そのため側板22Rの説明は省略する。
【0044】
また、以下において、アーム部材20が本体側取付部材10に連結される端部を「アーム部材20の基部23」とする。すなわち、アーム部材20の基部23が本体側取付部材10に連結される。
また、一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rを連結する端部を「アーム部材20の先端部24」とする。すなわち、アーム部材20は、先端部24で一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rを連結する。
そして、アーム部材20の基部23と先端部24とを結ぶ直線方向を「アーム部材20の長手方向」とする。
【0045】
側板22Lの基部23は、アーム部材20の長手方向において、主板21の基部23より突出する。図3(a)に示す如く、側板22Lの基部23には、左右方向に貫通する基部側連結孔22aが形成される。図1および図2に示す如く、側板22Lの基部23は、本体側取付部材10の本体側ステー部13Lに回動可能に連結される。
従って、アーム部材20の主板21と本体側ステー部13Lとの間には所定の間隔が空けられる。
【0046】
側板22Lの基部23には、第一係合部62aおよび第一係合部62bが形成される。第一係合部62aおよび第一係合部62bの詳細については後述する。
【0047】
側板22Lの先端部24は、アーム部材20の長手方向において、アーム部材20の主板21の先端部24より突出する。図3(b)に示す如く、側板22Lの先端部24には、左右方向に貫通する先端部側連結孔22bが形成される。図1および図2に示す如く、側板22Lの先端部24は、操作ユニット側取付部材40Lを回動可能に連結する。
従って、アーム部材20の主板21と操作ユニット側取付部材40Lとの間には所定の間隔が空けられる。
【0048】
側板22Lの先端部24には、第二回動角規制凸部63bが形成される。第二回動角規制凸部63bの詳細については後述する。
【0049】
以下では、一対の第一回動規制機構30L・30Rについて説明する。
図1および図4に示す如く、一対の第一回動規制機構30L・30Rは、それぞれ一対の側板22L・22Rの基部23を一対の本体側ステー部13L・13Rに対して回動可能に連結するものである。
なお、第一回動規制機構30Rは、側板22Rの基部23を本体側ステー部13Rに対して回動可能に連結する点を除いて第一回動規制機構30Lと同様(本実施形態では、左右対称)に構成される。そのため第一回動規制機構30Rの説明は省略する。
【0050】
図3(a)に示す如く、第一回動規制機構30Lは、ボルト31、四つの皿ばね座金32・32・32・32、一対の平座金33L・33R、ナット34、第一摩擦板35、および一対の第二摩擦板36L・36Rを備える。
【0051】
ボルト31は、頭部31aと軸部31bとを有する。ボルト31の軸部31bの外周面には雄ネジが形成される。頭部31aは薄い略円盤形状の部分であり、軸部31bの一端部に延設される。頭部31aの直径は軸部31bの直径よりも大きい。本実施形態のボルト31は専用品であるが、市販のボルトで代用しても良い。
【0052】
四つの皿ばね座金32・32・32・32は、それぞれ概ね円錐台形状(皿状)に形成された部材である。言い換えれば、四つの皿ばね座金32・32・32・32は、それぞれ一端部より他端部に向かって徐々に縮径する。四つの皿ばね座金32・32・32・32には、それぞれその軸心位置に貫通する貫通孔が形成される。四つの皿ばね座金32・32・32・32はそれぞれ弾性変形可能な金属材料からなる。
【0053】
一対の平座金33L・33Rは、それぞれその軸心位置に貫通する貫通孔が形成された円盤形状の部材である。
【0054】
ナット34はボルト31の軸部31bの端部に螺合される部材である。
【0055】
第一摩擦板35は、軸心位置に貫通する貫通孔が形成された円盤形状の部材である。第一摩擦板35の材料には、銅および銅合金のような軟らかい金属材料が用いられる。このような第一摩擦板35は、適宜の部材等によって厚み方向に押圧されたときに、適宜の部材等に密着して、第一摩擦板35と適宜の部材等との間に発生する摩擦力を上昇させる。
【0056】
一対の第二摩擦板36L・36Rは、それぞれその軸心位置に貫通する貫通孔が形成された円盤形状の部材である。一対の第二摩擦板36L・36Rの外周には、それぞれ第二摩擦板36L・36Rの厚み方向に突出する突起部が形成される。一対の第二摩擦板36L・36Rは、それぞれ第一摩擦板35と同様の材料によって成形される。
【0057】
このような第一回動規制機構30Lは、以下のようにして本体側取付部材10とアーム部材20とを連結する。
【0058】
第一摩擦板35は、その貫通孔と基部側連結孔22aとが重なった状態で、側板22Lの内側、すなわち本実施形態では右側に配置される。
【0059】
一方、図2および図3(a)に示す如く、第二摩擦板36Lは、その突起部が摩擦板取付孔13bに挿し込まれることにより、本体側ステー部13Lの外側、すなわち本実施形態では左側に配置される。また、第二摩擦板36Rは、その突起部が摩擦板取付孔13bに挿し込まれることにより、本体側ステー部13Lの内側、すなわち本実施形態では右側に配置される。このとき、一対の第二摩擦板36L・36Rの貫通孔と本体側支持孔13aとは重なった状態となる。
【0060】
本体側ステー部13Lは、側板22Lの内側、すなわち本実施形態では右側に配置される。このとき、側板22Lの基部側連結孔22aおよび本体側ステー部13Lの本体側支持孔13aは、互いに重なった状態となるように配置される。そして、ボルト31の軸部31bは、基部側連結孔22a、本体側支持孔13aの順に挿通される。このとき、ボルト31の軸部31bは、ボルト31の頭部31aが側板22Lに当接するまで挿通される。
すなわち、ボルト31の軸部31bは、左側より順に側板22L、第一摩擦板35、第二摩擦板36L、本体側ステー部13L、第二摩擦板36Rに貫装される。このとき、ボルト31の軸部31bは、第二摩擦板36Rより右方向に突出する。
【0061】
第二摩擦板36Rより突出するボルト31の軸部31bは、左側より順に平座金33L、四つの皿ばね座金32・32・32・32、平座金33Rに貫装される。このとき、左側の二つの皿ばね座金32・32は、それぞれ縮径する側の端部が左方向を向くように配置される。また、右側の二つの皿ばね座金32・32は、それぞれ縮径する側の端部が右方向を向くように配置される。
そして、ナット34は、平座金33Rの右端面に当接した状態よりもやや強めにボルト31の軸部31bに螺合される。従って、ナット34は、平座金33Rを右方向より左方向に向かう方向に押圧する。
【0062】
このとき、平座金33Rが平座金33Lに接近し、四つの皿ばね座金32・32・32・32はそれぞれ平座金33Lと平座金33Rとの間で圧縮され、それぞれ一対の平座金33L・33Rの間で弾性変形する。
【0063】
このとき、四つの皿ばね座金32・32・32・32には、元の形状に戻ろうとする弾性力が発生する。かかる弾性力によって、平座金33Rとナット34とは、左方向より右方向に向かう方向に押圧される。また、平座金33Lと一対の第二摩擦板36L・36Rと本体側ステー部13Lと第一摩擦板35と側板22Lとは、右方向より左方向に向かう方向に押圧される。
従って、第二摩擦板36Rは、平座金33Lと本体側ステー部13Lとに密着した状態となる。また、第二摩擦板36Lは、本体側ステー部13Lと第一摩擦板35とに密着した状態となる。そして、第一摩擦板35は、第二摩擦板36Lと側板22Lとに密着した状態となる。
【0064】
このように、第一回動規制機構30Lは、側板22Lの基部23を本体側ステー部13Lに対して回動可能に連結する。つまり、一対の第一回動規制機構30L・30Rは、アーム部材20の基部23を本体側取付部材10に対して回動可能に連結する。
また、一対の第一回動規制機構30L・30Rは、本体側取付部材10とアーム部材20との間に「第一のトルク」以上のトルク(回転力)が加わった場合にはアーム部材20が本体側取付部材10に対して回動することを許容し、「第一のトルク」未満のトルクが加わった場合にはアーム部材20が本体側取付部材10に対して回動することを規制する。
本実施形態では、皿ばね座金32の枚数を変更する、皿ばね座金32の材質を変更する、第一摩擦板35および一対の第二摩擦板36L・36Rの形状あるいは材質を変更する、ナット34の締め付け量を変更する等の方法により、第一のトルクの大きさを変更することが可能である。
【0065】
以下では、一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rについて説明する。
図1および図2に示す如く、一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rは、それぞれ一対の側板22L・22Rに回動可能に連結されるものである。
なお、操作ユニット側取付部材40Rは、側板22Rに回動可能に連結される点を除いて操作ユニット側取付部材40Lと同様(本実施形態では、左右対称)に構成される。そのため操作ユニット側取付部材40Rの説明は省略する。
【0066】
操作ユニット側取付部材40Lは、前端部が上下方向に突出した側面視略T字状の部材であり、当該前端部を右方向に向かって垂直に折り曲げた形状を有する。
【0067】
操作ユニット側取付部材40Lには、操作ユニット側ステー部41が形成される。操作ユニット側ステー部41は、操作ユニット側取付部材40Lの後端部を成す部分である。
操作ユニット側ステー部41は、略板状に形成される。操作ユニット側ステー部41は、側板22Lの先端部24に回動可能に連結される。
【0068】
図3(b)に示す如く、操作ユニット側ステー部41には、操作ユニット側支持孔41aが形成される。操作ユニット側支持孔41aは、操作ユニット側ステー部41を左右方向に貫通する。
【0069】
図2に示す如く、操作ユニット側ステー部41には、二つの摩擦板取付孔41b・41bが形成される。二つの摩擦板取付孔41b・41bは、それぞれ操作ユニット側ステー部41を左右方向に貫通する。二つの摩擦板取付孔41b・41bは、それぞれ操作ユニット側支持孔41aを中心として、所定の間隔を空けて配置される。
【0070】
操作ユニット側ステー部41には、第二係合部64aおよび第二係合部64bが形成される。第二係合部64aおよび第二係合部64bの詳細については後述する。
【0071】
図1および図2に示す如く、操作ユニット側取付部材40Lには、操作ユニット側ブラケット部42が形成される。操作ユニット側ブラケット部42は、操作ユニット側取付部材40Lの折り曲げられた前端部を成す部分である。
【0072】
操作ユニット側ブラケット部42には、三つの操作ユニット取付孔42a・42a・42aが形成される。三つの操作ユニット取付孔42a・42a・42aは、ボルトおよびネジ等を用いて操作ユニット102を操作ユニット側取付部材40Lに取り付けるためのネジ孔である。
【0073】
以下では、一対の第二回動規制機構50L・50Rについて説明する。
図1および図2に示す如く、一対の第二回動規制機構50L・50Rは、それぞれ一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rを一対の側板22L・22Rの先端部24に対して回動可能に連結するものである。
なお、第二回動規制機構50Rは、操作ユニット側取付部材40Rを側板22Rの先端部24に対して回動可能に連結する点を除いて第二回動規制機構50Lと同様(本実施形態では、左右対称)に構成される。そのため以下において第二回動規制機構50Rの説明は省略する。
【0074】
図3(b)に示す如く、第二回動規制機構50Lは、ボルト51、三つの皿ばね座金52・52・52、一対の平座金53L・53R、ナット54、第一摩擦板55、および一対の第二摩擦板56L・56Rを備える。
【0075】
図3に示す如く、第二回動規制機構50Lは、操作ユニット側取付部材40Lを側板22Lの先端部24に対して回動可能に連結する点、および皿ばね座金52が三枚である点を除いて第一回動規制機構30Lと同様に構成される。
このように、第二回動規制機構50Lは、操作ユニット側取付部材40Lを側板22Lの先端部24に対して回動可能に連結する。つまり、一対の第二回動規制機構50L・50Rは、一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rをアーム部材20の先端部24に対して回動可能に連結する。
また、一対の第二回動規制機構50L・50Rは、アーム部材20と一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rとの間に「第二のトルク」以上のトルクが加わった場合には一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rがアーム部材20に対して回動することを許容し、「第二のトルク」未満のトルクが加わった場合には一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rがアーム部材20に対して回動することを規制する。
本実施形態では、皿ばね座金52の枚数を変更する、皿ばね座金52の材質を変更する、第一摩擦板55および一対の第二摩擦板56L・56Rの形状あるいは材質を変更する、ナット54の締め付け量を変更する等の方法により、第二のトルクの大きさを変更することが可能である。
【0076】
図1および図2に示す如く、アーム部材20は二箇所で本体側取付部材10に回動可能に連結される。より詳細には、アーム部材20の側板22Lの基部23は本体側ステー部13Lに回動可能に連結され、アーム部材20の側板22Rの基部23は本体側ステー部13Rに回動可能に連結される。
また、アーム部材20は二箇所で一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rに回動可能に連結される。より詳細には、アーム部材20の側板22Lの先端部24は操作ユニット側取付部材40Lに回動可能に連結され、アーム部材20の側板22Rの先端部24は操作ユニット側取付部材40Rに回動可能に連結される。
このように、アーム部材20が本体側取付部材10にも一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rにも二箇所で回動可能に連結されることにより、一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rに固定された操作ユニット102に左右方向の外力が作用した場合(例えば、作業者が操作ユニット102に接触した場合)であっても、アーム部材20が変形することを防止することが可能である。
また、操作ユニット102に作用する外力が非常に大きい場合にはアーム部材20のうち一対の側板22L・22Rにおける基部23および先端部24が左右方向に変形するが、それ以外の部分(主板21および一対の側板22L・22Rのうち基部23および先端部24を除く部分)はほとんど変形しない。
そのため、アーム部材20の主板21および一対の側板22L・22Rで囲まれるスペースに操作ユニット102を制御するための電子基板が配置(収容)されている場合でも電子基板を保護する(電子基板の破損を防止する)ことが可能である。
【0077】
以下では、ヒンジ1の操作ユニット102への取付について説明する。
なお、以下において、作業者が操作ユニット102を視認するときに上下方向となる方向を「操作ユニット102の上下方向」と規定する。
【0078】
ヒンジ1への操作ユニット102の取付は、以下の手順により行われる。
まず、図5に示す如く、アーム部材20の先端部24が前方を向くようにアーム部材20が本体側取付部材10に対して回動するとともに、操作ユニット側取付部材40Lの操作ユニット側ブラケット部42および操作ユニット側取付部材40Rの操作ユニット側ブラケット部42が上方を向くように一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rがアーム部材20に対して回動する。
次に、操作ユニット側取付部材40Lの操作ユニット側ブラケット部42および操作ユニット側取付部材40Rの操作ユニット側ブラケット部42に形成された操作ユニット取付孔42a・42a・・・(図1参照)にそれぞれネジを貫装し、これらのネジを操作ユニット102の下端部102aに形成されたネジ孔に螺合する。
その結果、操作ユニット102はヒンジ1に取り付けられる(固定される)。
【0079】
ここで、図1に示す如く、アーム部材20の主板21の先端部24かつ左右両端部となる位置には、一対の切欠部21a・21aが形成される。「アーム部材20の主板21の先端部24かつ左右両端部となる位置」は、アーム部材20の主板21において、一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rがアーム部材20の主板21に接近する方向に回動したときに一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rと重なる位置に相当する。より詳細には、一対の切欠部21a・21aは、一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rに操作ユニット102を取り付けるときにアーム部材20の主板21が操作ユニット側取付部材40Lの操作ユニット側ブラケット部42および操作ユニット側取付部材40Rの操作ユニット側ブラケット部42に干渉しない(より厳密には、操作ユニット取付孔42a・42a・・・を隠さない)ような形状に形成される。
従って、操作ユニット102を一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rに取り付けるときに、アーム部材20の主板21が干渉することを防止できる。つまり、一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rを操作ユニット102に容易に取り付けることができる。
【0080】
なお、一対の切欠部21a・21aは、本実施形態に限定されるものでない。すなわち、一対の切欠部21a・21aは、操作ユニット側取付部材40L・40Rと重なる位置に形成されればよく、例えば、略多角形状の孔部であっても構わない。
【0081】
以下では、ヒンジ1の動作態様について説明する。
図4および図5に示す如く、ヒンジ1は、操作ユニット102の上下方向の位置、すなわち操作ユニット102の高さを調整することが可能である。また、ヒンジ1は、水平面に対する操作ユニット102の角度、すなわち操作ユニット102の姿勢を調整することが可能である。
【0082】
以下では、操作ユニット102の高さの調整について説明する。
本体側取付部材10とアーム部材20との間に「第一のトルク」以上のトルクを加えたとき、アーム部材20が本体側取付部材10に対して回動する。これにより、操作ユニット102の高さを調整することが可能である。
【0083】
以下では、操作ユニット102の姿勢の調整について説明する。
アーム部材20と一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rとの間に「第二のトルク」以上のトルクを加えたとき、一対の操作ユニット側取付部材40L・40R、ひいては操作ユニット102がアーム部材20に対して回動する。これにより、操作ユニット102の姿勢を調整することが可能である。
【0084】
本実施形態のヒンジ1は、ワンウェイクラッチのような高価かつ複雑な(部品点数が多い)機構を用いることなく、一対の第一回動規制機構30L・30Rおよび一対の第二回動規制機構50L・50Rにより操作ユニット102の高さおよび姿勢を調整することが可能であるため、製造コストを削減できる。
【0085】
以下では、「第一のトルク」と「第二のトルク」の大きさの関係について説明する。
「第一のトルク」は、アーム部材20が本体側取付部材10に対して回動するために必要なトルクの下限値である。「第一のトルク」は、実質的には操作ユニット102の高さを調整するために必要なトルクの下限値に相当する。
「第二のトルク」は、一対の操作ユニット側取付部材40L・40R、ひいては操作ユニット102がアーム部材20に対して回動するために必要なトルクの下限値である。「第二のトルク」は、実質的には操作ユニット102の姿勢を変更するために必要なトルクの下限値に相当する。
【0086】
第一のトルクおよび第二のトルクは、それぞれ操作ユニット102の自重によって加えられるトルクより大きい。従って、ヒンジ1は、操作ユニット102の自重のみによって操作ユニット102の高さおよび姿勢が変わることはない。
【0087】
また、第一のトルクおよび第二のトルクは、それぞれ操作ユニット102の自重によって加えられるトルクよりある程度大きいことが好ましい。これにより、作業者がOA機器100を操作するために操作ユニット102の所定のボタン等を押下したとき等に、操作ユニット102の高さおよび姿勢が変わることを防止でき、ヒンジ1の操作性の向上に寄与する。
【0088】
本実施形態では、「第一のトルク」が「第二のトルク」よりも大きくなるように、一対の第一回動規制機構30L・30Rおよび一対の第二回動規制機構50L・50Rの構成が設定される。
このように構成することは、以下の利点を有する。
仮に、「第一のトルク」を「第二のトルク」以下に設定した場合には、作業者が操作ユニット102にトルクを加えたときに、操作ユニット102がアーム部材20に対して回動するのと同時に、または操作ユニット102がアーム部材20に対して回動するよりも前に、アーム部材20が本体側取付部材10に対して回動してしまい、操作ユニット102の高さが(作業者が望まない場合でも)変わってしまう。
これに対して、本実施形態の如く「第一のトルク」を「第二のトルク」よりも大きく設定した場合には、作業者が操作ユニット102にトルクを加えたときに、アーム部材20が本体側取付部材10に対して回動することなく、操作ユニット102がアーム部材20に対して回動するので、操作ユニット102の高さを変えることなく操作ユニット102の姿勢のみを容易に調整することが可能でありヒンジ1の操作性の向上に寄与する。
すなわち、操作ユニット102の姿勢を調整するときに作業者が一方の手でアーム部材20を押さえるとともに他方の手で操作ユニット102を回動する必要がなく、片手で操作ユニット102を押す(あるいは引き寄せる)だけで良い。
【0089】
なお、第一のトルクは、ヒンジ1の操作性を向上させるという観点より、操作ユニット102の姿勢を調整するときに、作業者の力加減によって操作ユニット102の高さが変わらないように、第二のトルクよりある程度大きい値に設定することが好ましい。
第一のトルクを第二のトルクに対してどの程度大きい値に設定するかは、操作ユニット102の形状および重量、ヒンジ1を構成する各部材の形状および重量等に応じて適宜決定することが望ましい。
【0090】
また、本実施形態において、図3に示す如く、第一のトルクは、皿ばね座金32の枚数を皿ばね座金52の枚数より多くすることによって、第二のトルクより大きくしたが、これに限定されるものでない。
すなわち、皿ばね座金32の材質と皿ばね座金52の材質とに差異があるように構成しても構わない。また、第一摩擦板35および一対の第二摩擦板36L・36Rの形状あるいは材質と第一摩擦板55および一対の第二摩擦板56L・56Rの形状あるいは材質とに差異があるように構成しても構わない。また、ボルト31の締め付け量とボルト51の締め付け量に差異があるように構成しても構わない。
【0091】
また、本実施形態において、一対の第一回動規制機構30L・30Rは、それぞれボルト31を備えない構成であっても構わない。
この場合、一対の側板22L・22Rの基部23には、基部側連結孔22aに変えて、それぞれ一対の側板22L・22Rより内側に向かって突出する突起部が形成される。突起部には、外周面に雄ネジが形成される。一対の第一回動規制機構30L・30Rは、それぞれ突起部に四つの皿ばね座金32・32・32・32、一対の平座金33L・33R、第一摩擦板35、および一対の第二摩擦板36L・36Rを貫装するとともに、突起部の雄ネジにナット34が螺合される構成となる。
【0092】
また、本実施形態において、一対の第二回動規制機構50L・50Rは、それぞれボルト51を備えない構成であっても構わない。
この場合、一対の側板22L・22Rの先端部24には、先端部側連結孔22bに変えて、それぞれ一対の側板22L・22Rより内側に向かって突出する突起部が形成される。突起部には、外周面に雄ネジが形成される。一対の第二回動規制機構50L・50Rは、それぞれ突起部に三つの皿ばね座金52・52・52、一対の平座金53L・53R、第一摩擦板55、および一対の第二摩擦板56L・56Rを貫装するとともに、突起部の雄ネジにナット54が螺合される構成となる。
【0093】
以下では、操作ユニット102の上下方向の長さとアーム部材20の長手方向の長さとの関係について説明する。
なお、以下において、図5に示す如く、操作ユニット102の上下方向の長さを「長さM」とする。そして、アーム部材20の長手方向の長さを「長さN」とする。
【0094】
アーム部材20の長手方向の長さNは、操作ユニット102の上下方向の長さMと同じ長さとなる。
この場合、アーム部材20の長手方向と操作ユニット102の上下方向とが平行になるまで、アーム部材20が本体側取付部材10に対して回動するおよび操作ユニット102がアーム部材20に対して回動するとき、操作ユニット102の下端部102aは、アーム部材20の先端部24に接近する。また、操作ユニット102の上端部102bは、アーム部材20の基部23に接近する。
【0095】
これによれば、アーム部材20の長手方向と操作ユニット102の上下方向とが平行になったとき、操作ユニット102とアーム部材20とが重なった状態となる。つまり、作業者の目線より、アーム部材20が見えにくくなるため、ヒンジ1を適用するOA機器100の美観を向上できる。
また、図2、図4、および図5に示す如く、アーム部材20が本体側取付部材10に対して回動するときの回動量と、操作ユニット102がアーム部材20に対して回動するときの回動量とは、ほぼ同じとなる。すなわち、操作ユニット102の高さを調整したときの回動量と操作ユニット102の姿勢を調整したときの回動量とがほぼ同じとなるため、作業者が同じような感覚で操作ユニット102の高さの調整および姿勢の調整を行うことができる。つまり、ヒンジ1の操作性を向上できる。
【0096】
なお、アーム部材20の長手方向の長さNは、ヒンジ1を適用するOA機器100の美観を向上できるとともに、ヒンジ1の操作性を向上できる程度の長さであればよい。具体的には、アーム部材20の長手方向の長さNは、操作ユニット102の上下方向の長さMより三割程度短い長さから操作ユニット102の上下方向の長さMより三割程度長い長さの範囲内であればよい。
また、アーム部材20の長手方向の長さNは、操作ユニット102の上下方向の長さMより二割程度短い長さから操作ユニット102の上下方向の長さMより二割程度長い長さの範囲内とすることによって、ヒンジ1を適用するOA機器100の美観をより向上できるとともにヒンジ1の操作性をより向上できる。
このように、アーム部材20の長手方向の長さNは、操作ユニット102の上下方向の長さMに対応する。
【0097】
以下では、アーム部材20が本体側取付部材10に対して所定の角度の範囲である第一角度範囲を超えて回動することを規制する第一回動角規制機構について説明する。
図1、図4および図6に示す如く、本体側ステー部13Lに形成される第一回動角規制凸部61aおよび第一回動角規制凸部61bと、本体側ステー部13Rに形成される第一回動角規制凸部61aおよび第一回動角規制凸部61bとは、第一回動角規制機構の実施の一形態である。
【0098】
第一回動角規制凸部61a・61aは、それぞれ一対の本体側ステー部13L・13Rの上端部をその外側に向かって垂直に折り曲げたようにして形成される。第一回動角規制凸部61b・61bは、それぞれ一対の本体側ステー部13L・13Rの前端部をその外側に向かって垂直に折り曲げたようにして形成される。
【0099】
このように構成することにより、図4に示す如く、操作ユニット102の高さが高くなるように、アーム部材20が本体側取付部材10に対して回動するとき、一対の側板22L・22Rの基部23の上端部には、それぞれ第一回動角規制凸部61a・61aが当接する。かかる当接した状態を超えて、操作ユニット102の高さが高くなるようにアーム部材20が本体側取付部材10に対して回動するとき、その回動は規制される。
また、図6に示す如く、操作ユニット102の高さが低くなるように、アーム部材20が本体側取付部材10に対して回動するとき、一対の側板22L・22Rの基部23の下端部には、第一回動角規制凸部61b・61bが当接する。かかる当接した状態を超えて、操作ユニット102の高さが低くなるようにアーム部材20が本体側取付部材10に対して回動するとき、その回動は規制される。
【0100】
このように、本実施形態では、図4および図6に示す如く、操作ユニット102の高さを調整したときに、一対の側板22L・22Rの基部23の上端部に第一回動角規制凸部61a・61aが当接する角度が、第一角度範囲の上限となる。また、操作ユニット102の高さを調整したときに、一対の側板22L・22Rの基部23の下端部に第一回動角規制凸部61b・61bが当接する角度が、第一角度範囲の下限となる。
つまり、アーム部材20が本体側取付部材10に対して回動する場合には、第一角度範囲の上限および下限までその回動が許容される。言い換えれば、第一角度範囲の上限および下限を超えて、アーム部材20が本体側取付部材10に対して回動する場合には、その回動が規制される。
【0101】
このように、第一回動角規制凸部61a・61aおよび第一回動角規制凸部61b・61bを形成することにより、簡素な構成であるとともに省スペースな構成でアーム部材20が本体側取付部材10に対して回動する所定の角度の範囲である第一角度範囲を設定できる。つまり、操作ユニット102の高さ調整を勢いよく行った場合等に、かかる操作ユニット102がOA機器本体101等に接触することを防止できる。
【0102】
なお、第一回動角規制機構の構成は、本実施形態に限定されるものでない。すなわち、第一回動角規制機構は、アーム部材20が本体側取付部材10に対して第一角度範囲を超えて回動することを規制できればよい。この場合、例えば、一対の側板22L・22Rの基部23の上端部で内側に向かって突出する第一回動角規制凸部を形成するとともに、一対の側板22L・22Rの下端部で内側に向かって突出する第一回動角規制凸部を形成するような構成であっても構わない。
このように構成することにより、アーム部材20が本体側取付部材10に対して回動するとき、第一回動角規制凸部は、それぞれ一対の本体側ステー部13L・13Rに当接する。
【0103】
また、本実施形態では、図4に示す如く、操作ユニット102の高さが高くなるようにアーム部材20が本体側取付部材10に対して回動するとき、一対の側板22L・22Rに形成される第一係合部62a・62aが、それぞれ第一回動角規制凸部61a・61aと当接する。第一係合部62a・62aは、それぞれ一対の側板22L・22Rの第一回動角規制凸部61a・61aと当接する部分を切り欠いたように形成される。
この場合、第一角度範囲は、第一回動角規制凸部61a・61aと当接する部分が扁平である場合と比較して広くなる。つまり、第一角度範囲を大きくできる。
【0104】
また、本実施形態では、図6に示す如く、操作ユニット102の高さが低くなるようにアーム部材20が本体側取付部材10に対して回動するとき、一対の側板22L・22Rに形成される第一係合部62b・62bが、それぞれ第一回動角規制凸部61b・61bと当接する。第一係合部62b・62bは、それぞれ一対の側板22L・22Rの第一回動角規制凸部61b・61bと当接する部分より下方向に向かって突出する。
この場合、第一角度範囲は、第一回動角規制凸部61b・61bと当接する部分が扁平である場合と比較して狭くなる。つまり、第一角度範囲を小さくできる。
【0105】
このように、ヒンジ1は、図4および図6に示す如く、第一係合部62a・62aおよび第一係合部62b・62bの形状を変更することにより、第一角度範囲を変更できる。つまり、第一角度範囲を適宜設定することが可能となる。このため、ヒンジ1は、操作ユニット102の形状および用途等に応じて適宜最適な第一角度範囲を設定できる。つまり、ヒンジ1は、操作ユニット102の最適な第一角度範囲内において、操作ユニット102の高さの調整を行うことができる。
【0106】
また、第一係合部62a・62aおよび第一係合部62b・62bは、それぞれ一対の側板22L・22Rの基部23に形成される。言い換えれば、主板21の基部23より突出する部分に形成される。これによれば、第一係合部62a・62aおよび第一係合部62b・62bを形成するときに、主板21が干渉することがない。すなわち、第一係合部62a・62aおよび第一係合部62b・62bを容易に形成できる。つまり、ヒンジ1は、第一角度範囲を容易に設定できる。
【0107】
以下では、一対の操作ユニット側取付部材40L・40R、ひいては操作ユニット102がアーム部材20に対して所定の角度の範囲である第二角度範囲を超えて回動することを規制する第二回動角規制機構について説明する。
図1、図5および図6に示す如く、主板21に形成される第二回動角規制凸部63a・63aと、側板22Lに形成される第二回動角規制凸部63bおよび側板22Rに形成される第二回動角規制凸部63bとは、第二回動角規制機構の実施の一形態である。
【0108】
第二回動角規制凸部63a・63aは、それぞれ主板21の先端部24の左右両端部より、前方向に向かって突出する。第二回動角規制凸部63b・63bは、それぞれ一対の側板22L・22Rの先端部24の下端部をその内側に向かって垂直に折り曲げたようにして形成される。
【0109】
このように構成することにより、図5に示す如く、操作ユニット102が上方を向くように操作ユニット102がアーム部材20に対して回動するとき、一対の側板22L・22Rの先端部24の上端部には、それぞれ第二回動角規制凸部63a・63aが当接する。かかる当接した状態を超えて、操作ユニット102が上方を向くように操作ユニット102がアーム部材20に対して回動するとき、その回動は規制される。
また、図6に示す如く、操作ユニット102が下方を向くように操作ユニット102がアーム部材20に対して回動するとき、一対の側板22L・22Rの先端部24の下端部には、第二回動角規制凸部63b・63bが当接する。かかる当接した状態を超えて、操作ユニット102が下方を向くように操作ユニット102がアーム部材20に対して回動するとき、その回動は規制される。
【0110】
このように、本実施形態では、図1、図5および図6に示す如く、操作ユニット102の姿勢を調整したときに、主板21の先端部24に第二回動角規制凸部63a・63aが当接する角度が、第二角度範囲の上限となる。また、操作ユニット102の姿勢を調整したときに、一対の側板22L・22Rの先端部24に第二回動角規制凸部63b・63bが当接する角度が、第二角度範囲の下限となる。
つまり、操作ユニット102がアーム部材20に対して回動する場合には、第二角度範囲の上限および下限までその回動が許容される。言い換えれば、第二角度範囲の上限および下限を超えて、操作ユニット102がアーム部材20に対して回動する場合には、その回動が規制される。
【0111】
このように、第二回動角規制凸部63a・63aおよび第二回動角規制凸部63b・63bを形成することにより、簡素な構成であるとともに省スペースな構成で一対の操作ユニット102がアーム部材20に対して回動する所定の角度の範囲である第二角度範囲を設定できる。つまり、操作ユニット102の姿勢の調整を勢いよく行った場合等に、かかる操作ユニット102がアーム部材20の主板21等に接触することを防止できる。
【0112】
なお、第二回動角規制機構の構成は、本実施形態に限定されるものでない。すなわち、第二回動角規制機構は、操作ユニット102がアーム部材20に対して第二角度範囲を超えて回動することを規制できればよい。この場合、例えば、一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rの上端部に外側に向かって突出する第二回動角規制凸部を形成するとともに、一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rの下端部に外側に向かって突出する第二回動角規制凸部を形成するような構成であっても構わない。
このように構成することにより、操作ユニット102がアーム部材20に対して回動するとき、第二回動角規制凸部は、一対の側板22L・22Rに当接する。
【0113】
また、本実施形態では、図5に示す如く、操作ユニット102が上方を向くように操作ユニット102がアーム部材20に対して回動するとき、一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rに形成される第二係合部64a・64aが、それぞれ第二回動角規制凸部63a・63aと当接する。第二係合部64a・64aは、それぞれ一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rの第二回動角規制凸部63a・63aと当接する部分より上方向に向かって突出する。
この場合、第二角度範囲は、第二回動角規制凸部63a・63aが当接する部分が扁平である場合と比較して狭くなる。つまり、第二角度範囲を小さくできる。
【0114】
また、本実施形態では、図6に示す如く、操作ユニット102が下方を向くように操作ユニット102がアーム部材20に対して回動するとき、一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rに形成される第二係合部64b・64bが、それぞれ第二回動角規制凸部63b・63bと当接する。第二係合部64b・64bは、それぞれ一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rの第二回動角規制凸部63b・63bと当接する部分より下方向に向かって突出する。
この場合、第二角度範囲は、第二回動角規制凸部63b・63bが当接する部分が扁平である場合と比較して狭くなる。つまり、第二角度範囲を小さくできる。
【0115】
また、二つの第二係合部64a・64bの形状を、例えば、それぞれ一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rを切り欠いたように形成した場合には、第二角度範囲を大きくできる。
このように、一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rは、第二係合部64a・64aおよび第二係合部64b・64bの形状を変更することにより、第二角度範囲を変更できる。つまり、第二角度範囲を適宜設定することが可能となる。このため、ヒンジ1は、操作ユニット102の形状および用途等に応じて適宜最適な第二角度範囲を設定できる。つまり、ヒンジ1は、操作ユニット102の最適な第二角度範囲内において、操作ユニット102の姿勢の調整を行うことができる。
【0116】
また、第二係合部64a・64aおよび第二係合部64b・64bは、それぞれ一対の側板22L・22Rの先端部24に形成される。言い換えれば、主板21の先端部24より突出する部分に形成される。これによれば、第二係合部64a・64aおよび第二係合部64b・64bを形成するときに、主板21が干渉することがない。すなわち、第二係合部64a・64aおよび第二係合部64b・64bを容易に形成できる。つまり、ヒンジ1は、第二角度範囲を容易に設定できる。
【0117】
このように、ヒンジ1は、
OA機器100のOA機器本体101に取り付けられる本体側取付部材10と、
基部23が本体側取付部材10に回動可能に連結されるアーム部材20と、
アーム部材20の先端部24に回動可能に連結されるとともに、OA機器100の操作ユニット102の下端部102aに取り付けられる一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rと、
第一のトルク以上のトルクが加わった場合にはアーム部材20が本体側取付部材10に対して回動することを許容し、第一のトルク未満のトルクが加わった場合にはアーム部材20が本体側取付部材10に対して回動することを規制する一対の第一回動規制機構30L・30Rと、
第二のトルク以上のトルクが加わった場合には一対の操作ユニット側取付部材40L・40R(操作ユニット102)がアーム部材20に対して回動することを許容し、第二のトルク未満のトルクが加わった場合には一対の操作ユニット側取付部材40L・40R(操作ユニット102)がアーム部材20に対して回動することを規制する一対の第二回動規制機構50L・50Rと、
を具備し、
アーム部材20は、
主板21と、
主板21の左右両側端部に延設される一対の側板22L・22Rと、
を備え、
一対の側板22L・22Rの基部23は、アーム部材20の長手方向において主板21の基部23よりも突出し、
一対の側板22L・22Rの先端部24は、アーム部材20の長手方向において主板21の先端部24よりも突出し、
一対の側板22L・22Rの基部23が本体側取付部材10に回動可能に連結され、
一対の側板22L・22Rの先端部24が一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rに回動可能に連結され、
アーム部材20の長手方向の長さNは、操作ユニット102の上下方向の長さMに対応するものである。
【0118】
このように構成することにより、操作ユニット102に左右方向の外力が作用した場合であっても、アーム部材20が変形することを防止できる。つまり、ヒンジ1の強度を向上できる。
また、操作ユニット102の高さおよび姿勢の調整を同じような感覚で行うことができる。つまり、ヒンジ1の操作性を向上できる。
【0119】
ヒンジ1は、
第一のトルクを第二のトルクよりも大きく設定したものである。
【0120】
このように構成することにより、操作ユニット102の高さを調整するときに、操作ユニット102の姿勢が変わることを防止できる。つまり、ヒンジ1の操作性を向上できる。
【0121】
本体側取付部材10には、
アーム部材20に向かって突出する一対の本体側ステー部13L・13Rと、
一対の本体側ステー部13L・13Rに隣接する一対の連通孔14L・14Rと、
が形成されるものである。
【0122】
このように構成することにより、連通孔14Lを通じてOA機器本体101の内部から外部にハーネスを引き出すことが可能である。このため、ヒンジ1は、省スペースな構造となる。
【0123】
アーム部材20の主板21において、一対の操作ユニット側取付部材40L・40R(操作ユニット102)がアーム部材20の主板21に接近する方向に回動したときに一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rと重なる位置には、一対の切欠部21a・21aが形成されるものである。
【0124】
このように構成することにより、ヒンジ1は、一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rに操作ユニット102を容易に取り付けることができる。
【0125】
ヒンジ1は、アーム部材20が本体側取付部材10に対して所定の角度の範囲である第一角度範囲を超えて回動することを規制する第一回動角規制機構を具備するものである。
また、第一回動角規制機構は、本体側取付部材10およびアーム部材20の基部23のいずれか一方に形成される第一回動角規制凸部61a・61aおよび第一回動角規制凸部61b・61bを有し、
第一回動角規制凸部61a・61aおよび第一回動角規制凸部61b・61bは、アーム部材20が本体側取付部材10に対して第一角度範囲の上限および下限まで回動したときに、本体側取付部材10およびアーム部材20の基部23のいずれか他方に当接するものである。
【0126】
このように構成することにより、ヒンジ1は、簡素な構成であるとともに省スペースな構成でアーム部材20が本体側取付部材10に対して回動する所定の角度の範囲である第一角度範囲を設定できる。
【0127】
ヒンジ1は、一対の操作ユニット側取付部材40L・40R(操作ユニット102)がアーム部材20に対して所定の角度の範囲である第二角度範囲を超えて回動することを規制する第二回動角規制機構を具備するものである。
また、第二回動角規制機構は、アーム部材20の先端部24および一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rのいずれか一方に形成される第二回動角規制凸部63a・63aおよび第二回動角規制凸部63b・63bを有し、
第二回動角規制凸部63a・63aおよび第二回動角規制凸部63b・63bは、一対の操作ユニット側取付部材40L・40R(操作ユニット102)がアーム部材20に対して第二角度範囲の上限および下限まで回動したときに、アーム部材20の先端部24および一対の操作ユニット側取付部材40L・40Rのいずれか他方に当接するものである。
【0128】
このように構成することにより、ヒンジ1は、簡素な構成であるとともに省スペースな構成で一対の操作ユニット側取付部材40L・40R(操作ユニット102)がアーム部材20に対して回動する所定の角度の範囲である第二角度範囲を設定できる。
【0129】
なお、図1に示す如く、アーム部材20は、主板21の左右両側端部を下方向に向かって折り曲げたようにして形成したが、これに限定されるものでない。すなわち、アーム部材20は、主板21の左右両側端部を上方向に向かって折り曲げたようにして形成しても構わない。
【符号の説明】
【0130】
1 ヒンジ
10 本体側取付部材
20 アーム部材
21 主板
22L・22R 一対の側板
23 基部
24 先端部
30L・30R 一対の第一回動規制機構(第一回動規制機構)
40L・40R 一対の操作ユニット側取付部材(操作ユニット側取付部材)
50L・50R 一対の第二回動規制機構(第二回動規制機構)
100 OA機器
101 OA機器本体(OA機器の本体)
102 操作ユニット
102a 操作ユニットの下端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
OA機器の本体に取り付けられる本体側取付部材と、
基部が前記本体側取付部材に回動可能に連結されるアーム部材と、
前記アーム部材の先端部に回動可能に連結されるとともに、前記OA機器の操作ユニットの下端部に取り付けられる操作ユニット側取付部材と、
第一のトルク以上のトルクが加わった場合には前記アーム部材が前記本体側取付部材に対して回動することを許容し、第一のトルク未満のトルクが加わった場合には前記アーム部材が前記本体側取付部材に対して回動することを規制する第一回動規制機構と、
第二のトルク以上のトルクが加わった場合には前記操作ユニット側取付部材が前記アーム部材に対して回動することを許容し、第二のトルク未満のトルクが加わった場合には前記操作ユニット側取付部材が前記アーム部材に対して回動することを規制する第二回動規制機構と、
を具備し、
前記アーム部材は、
主板と、
前記主板の両側端部に延設される一対の側板と、
を備え、
前記一対の側板の基部は、前記アーム部材の長手方向において前記主板の基部よりも突出し、
前記一対の側板の先端部は、前記アーム部材の長手方向において前記主板の先端部よりも突出し、
前記一対の側板の基部が前記本体側取付部材に回動可能に連結され、
前記一対の側板の先端部が前記操作ユニット側取付部材に回動可能に連結され、
前記アーム部材の長手方向の長さは、前記操作ユニットの上下方向の長さに対応するヒンジ。
【請求項2】
前記第一のトルクを前記第二のトルクよりも大きく設定した請求項1に記載のヒンジ。
【請求項3】
前記本体側取付部材には、
前記アーム部材に向かって突出する本体側ステー部と、
前記本体側ステー部に隣接する連通孔と、
が形成される請求項1または請求項2に記載のヒンジ。
【請求項4】
前記アーム部材の主板において、前記操作ユニット側取付部材が前記アーム部材の主板に接近する方向に回動したときに前記操作ユニット側取付部材と重なる位置には、切欠部が形成される請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のヒンジ。
【請求項5】
前記アーム部材が前記本体側取付部材に対して所定の角度の範囲である第一角度範囲を超えて回動することを規制する第一回動角規制機構を具備する請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のヒンジ。
【請求項6】
前記第一回動角規制機構は、前記本体側取付部材および前記アーム部材の基部のいずれか一方に形成される第一回動角規制凸部を有し、
前記第一回動角規制凸部は、前記アーム部材が前記本体側取付部材に対して前記第一角度範囲の上限および下限まで回動したときに、前記本体側取付部材および前記アーム部材の基部のいずれか他方に当接する請求項5に記載のヒンジ。
【請求項7】
前記操作ユニット側取付部材が前記アーム部材に対して所定の角度の範囲である第二角度範囲を超えて回動することを規制する第二回動角規制機構を具備する請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載のヒンジ。
【請求項8】
前記第二回動角規制機構は、前記アーム部材の先端部および前記操作ユニット側取付部材のいずれか一方に形成される第二回動角規制凸部を有し、
前記第二回動角規制凸部は、前記操作ユニット側取付部材が前記アーム部材に対して前記第二角度範囲の上限および下限まで回動したときに、前記アーム部材の先端部および前記操作ユニット側取付部材のいずれか他方に当接する請求項7に記載のヒンジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−7309(P2011−7309A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153783(P2009−153783)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(592264101)下西技研工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】