説明

ヒートポンプ式給湯機

【課題】井戸水などの地下水を給水源として用いた場合であっても水熱交換器の腐食および詰まりを抑制することができるヒートポンプ式給湯機を提供する。
【解決手段】ヒートポンプ式給湯機11は、水熱交換器21を有し、冷媒配管を通じて冷媒が循環する冷媒回路13と、水が貯留されるタンク15、このタンク15の水を水熱交換器21に送る入水配管27および水熱交換器21により加熱された水をタンク15に戻す出湯配管29を有する貯湯回路17と、給水源からタンク15に水を給水する給水配管37およびタンク15に貯留された高温の水を給湯する給湯配管35と、入水配管27に設けられた減圧弁47と、この減圧弁47よりも下流側の入水配管27に設けられ、入水配管27から流入する水を一時的に貯留するとともに、この貯留された水を大気雰囲気中に開放可能な容器91と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプ式給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ヒートポンプ式給湯機は、圧縮機、水熱交換器、膨張弁および空気熱交換器をこの順に配管で接続した冷媒回路と、水が貯留されるタンク、このタンクの水を水熱交換器に送る入水配管、および水熱交換器により加熱された水をタンクに戻す出湯配管を有する貯湯回路とを備えている。このヒートポンプ式給湯機では、タンクに貯留される水は、通常、水道水などを給水源としている。
【0003】
ところで、水道水の硬度は地域によっては比較的高いところがあり、また、井戸水などの地下水の硬度は水道水と比べて高い場合が多い。仮に、上記のような硬度の高い水をタンクの給水源として用いると、カルシウム塩などのスケールが析出しやすくなる。特に、水熱交換器の出口側に多くのスケールが析出して詰まりなどの原因となることがある。
【0004】
そこで、特許文献1には、カルシウムを除去して水の硬度を下げる軟水化ユニット、水の酸性度を上げてスケールの析出を抑制するpH改善ユニット、カルシウムを含む結晶を微細化してこの結晶が水熱交換器内を流れやすくする結晶微細化ユニット、またはカルシウムを含む結晶核がタンク内に入る前に捕集除去するフィルタユニットを備えたヒートポンプ式給湯機が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−30959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のヒートポンプ式給湯機では、スケールの析出を抑制する効果が得られ、水熱交換器において詰まりが生じるのを抑制できるものの、例えば井戸水などの地下水をタンクの給水源として用いると、水道水を用いる場合と比較して、水熱交換器の配管などが腐食しやすい。
【0007】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、井戸水などの地下水を給水源として用いた場合であっても水熱交換器の腐食および詰まりを抑制することができるヒートポンプ式給湯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
通常、水には二酸化炭素、酸素などの種々のガスが溶け込んでおり、特に井戸水などの地下水は、地中において高圧環境下にさらされたり、種々のガスが存在する雰囲気下にさらされることにより、二酸化炭素および酸素の他、塩素、硫化水素、二酸化硫黄などの溶存ガスの量が水道水よりも多い。しかも、井戸水などの地下水は一般に硬度が高い。スケールは、例えば炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウムなどの化合物である。
【0009】
そこで、本発明のヒートポンプ式給湯機は、前記の目的を達成するため、給水源の水に溶け込んでいるガスを除去可能な容器(91)を備えている。すなわち、このヒートポンプ式給湯機は、水熱交換器(21)を有し、冷媒配管を通じて冷媒が循環する冷媒回路(13)と、水が貯留されるタンク(15)、このタンク(15)の水を前記水熱交換器(21)に送る入水配管(27)および前記水熱交換器(21)により加熱された水を前記タンク(15)に戻す出湯配管(29)を有する貯湯回路(17)と、給水源から前記タンク(15)に水を給水する給水配管(37)および前記タンク(15)に貯留された高温の水を給湯する給湯配管(35)と、前記入水配管(27)または前記給水配管(37)に設けられた減圧手段(47)と、この減圧手段(47)よりも下流側の前記入水配管(27)または前記給水配管(37)に設けられ、前記入水配管(27)または前記給水配管(37)から流入する水が、前記減圧手段(47)により減圧された圧力以下の低圧雰囲気下で一時的に貯留される容器(91)と、を備えている。
【0010】
この構成では、水が水熱交換器(21)に送られる前に、入水配管(27)または給水配管(37)に設けられた容器(91)において溶存ガスの一部を除去することができる。すなわち、本構成では、まず、入水配管(27)または給水配管(37)に設けられた減圧手段(47)により減圧された水が容器(91)に流入し、この容器(91)において前記低圧雰囲気下で一時的に貯留される。この貯留中には水が前記低圧雰囲気にさらされているので、水に溶け込んでいる溶存ガスの一部を水から前記低圧雰囲気中に放出させることができる。これにより、例えば地下水、井戸水などのように溶存ガスが多く溶け込んだ水を給水源として用いた場合であっても、水熱交換器(21)において炭酸塩、硫酸塩などの溶存ガス成分に起因するスケールの生成が抑制されるので、水熱交換器(21)において詰まりが生じるのを抑制できる。しかも、酸素、塩素、硫化水素、二酸化硫黄などのガスは腐食性を有しているので、これらのガスの一部を除去することにより、水熱交換器(21)の配管などが腐食するのを抑制できる。
【0011】
また、本発明のヒートポンプ式給湯機は、前記容器(91)よりも下流側の前記入水配管(27)または前記給水配管(37)に設けられ、前記容器(91)において前記低圧雰囲気中に開放された水を前記タンク(15)に送水可能なポンプ(31,34)をさらに備えている場合には、減圧手段(47)で減圧された水を確実にタンク(15)に送ることができる。
【0012】
また、本発明のヒートポンプ式給湯機は、前記ポンプ(31,34)よりも下流側の前記入水配管(27)または前記給水配管(37)に設けられた逆止弁(32)をさらに備えている場合には、水熱交換器(21)またはタンク(15)から水が容器(91)側に逆流して容器(91)から水が溢れ出すのを防止できる。
【0013】
前記容器(91)は、内部を第1空間(91a)と第2空間(91b)とに仕切る仕切り部材(92)を有し、前記第1空間(91a)には前記入水配管(27)または前記給水配管(37)から水が流入し、前記第2空間(91b)には前記第1空間(91a)内の水が流れ込み、前記容器(91)よりも下流側の前記入水配管(27)または前記給水配管(37)に前記第2空間(91b)内の水が排出される構造であるのが好ましい。
【0014】
この構成では、第1空間(91a)内の水が第2空間(91b)に流れ込む容器構造であるので、容器(91)内に流入した水がそのまま容器(91)から流出することを防止することができる。したがって、水が容器(91)内に滞留する時間が長くなり、この水が前記低圧雰囲気中にさらされる時間を長くすることができる。これにより、溶存ガスの一部を水から除去する効果が高まるので、水熱交換器(21)におけるスケールの生成および腐食をさらに抑制できる。
【0015】
前記容器(91)は、前記第1空間(91a)内の水がこの第1空間(91a)からオーバーフローして前記第2空間(91b)に流れ込む構造を有しているのが好ましい。
【0016】
この構成では、水がこの第1空間(91a)からオーバーフローするときに水が流動しながら低圧雰囲気中にさらされるので、溶存ガスが水から低圧雰囲気中に放出されるのをより促進することができる。
【0017】
また、本発明のヒートポンプ式給湯機は、前記容器(91)よりも下流側の前記入水配管(27)または前記給水配管(37)に前記容器(91)内の水を排出する排出口(27d,37d)が前記容器(91)の下部に位置し、前記入水配管(27)または前記給水配管(37)から前記水を前記容器(91)に流入させる供給口(27c,37c)が前記排出口(27d,37d)よりも上方に位置している構造であってもよい。
【0018】
この構成では、水が容器(91)の上部から容器(91)内に流入し、容器(91)の下部から排出される容器構造であるので、供給口(27c,37c)と排出口(27d,37d)とを遠ざけることが可能となり、水が容器(91)内に滞留する時間を長くすることができる。これにより、溶存ガスの一部が効果的に除去された水を水熱交換器(21)に送ることができるので、水熱交換器(21)においてスケールが生成するのをさらに抑制できる。
【0019】
また、前記容器(91)の底面または前記容器(91)内の水の液面に前記水が前記供給口(27c,37c)から落下するように前記供給口(27c,37c)が配置されているのが好ましい。
【0020】
この構成では、容器(91)の底面または容器(91)内の水の液面に水が落下するときの衝撃による撹拌効果が得られるので、溶存ガスが水から放出されるのをさらに促進することができる。
【0021】
容器(91)に貯留された水を前記低圧雰囲気中に開放する手段として、例えば前記容器(91)を大気圧下に開放する構造とする場合には、装置構造を簡略化できる。
【0022】
また、本発明のヒートポンプ式給湯機は、前記容器(91)に水位を検知するセンサ(93)が設けられており、前記減圧手段(47)が減圧弁であり、前記センサ(93)の検知結果に基づいて前記減圧弁の開度を調節するように制御する制御部(33)をさらに備えているのが好ましい。
【0023】
この構成では、容器(91)に設けられた水位検知センサ(93)の検知結果に基づいて減圧弁の開度を調節するので、容器(91)内に水が過剰に供給されて水が溢れ出すのを防止できるとともに、容器(91)内の水が不足するのを防止できる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、例えば井戸水などの地下水のように溶存ガスの量が多い水を給水源として用いた場合であっても、水熱交換器において腐食および詰まりが生じるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態のヒートポンプ式給湯機を示す構成図であり、給水源として井戸水を用いた場合を示している。
【図2】第1実施形態のヒートポンプ式給湯機を示す構成図であり、給水源として水道水を用いた場合を示している。
【図3】本発明の第2実施形態のヒートポンプ式給湯機を示す構成図である。
【図4】本発明の第3実施形態のヒートポンプ式給湯機を示す構成図である。
【図5】本発明の第4実施形態のヒートポンプ式給湯機を示す構成図である。
【図6】容器の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
<第1実施形態>
図1に示すように、第1実施形態のヒートポンプ式給湯機11は、冷媒が循環する冷媒回路13と、この冷媒回路13の冷媒と熱交換して低温の水を沸き上げ、タンク15に高温の水を貯留する貯湯回路17とを備えている。
【0028】
冷媒回路13は、圧縮機19と、水熱交換器21と、電動膨張弁23と、空気熱交換器25と、これらを接続する配管とを有している。本実施形態では、冷媒回路13を循環する冷媒として二酸化炭素を用いている。この二酸化炭素は圧縮機19により臨界圧力以上に圧縮される。冷媒は、水熱交換器21において貯湯回路17を循環する水と熱交換してこの水を加熱し、空気熱交換器25において外気と熱交換して外気から熱を吸収する。
【0029】
貯湯回路17は、水が貯留されるタンク15と、このタンク15の水を水熱交換器21に送る入水配管27と、水熱交換器21と熱交換して加熱された水をタンク15に戻す出湯配管29とを有している。
【0030】
給湯機11は、入水配管27を流れる水からこの水に溶け込んでいるガスを分離可能な容器91を備えている。この容器91は、例えば略直方体の形状を有しており、上部が開口している。言い換えると、容器91は、略矩形状の底板とこの底板の周縁部から立設された略矩形状の4つの側板とを有している。この容器91は大気圧雰囲気中に配置されており、上部が開口していることにより容器91の内部は大気圧下に開放されている。この容器91は、入水配管27を構成する上流側入水配管27aと下流側入水配管27bとの間に設けられている。
【0031】
容器91は、内部の空間を仕切る板状の仕切り部材92を有している。この仕切り部材92は、略矩形状をなし、前記側板に沿って容器91の底板から上方に立設されている。この仕切り部材92により、容器91の内部は第1空間91aと第2空間91bとに分割されている。上流側入水配管27aは、容器91の底板に設けられた図略の第1貫通口に接続されており、この第1貫通口を通じて第1空間91aと連通している。下流側入水配管27bは、容器91の底板に設けられた図略の第2貫通口に接続されており、この第2貫通口を通じて第2空間91bと連通している。仕切り部材92の高さは、容器91の各側板よりも低くなるように調整されている。
【0032】
第2空間91b内には、第2空間91bの水位を検知する水位センサ93が設けられている。本実施形態において用いることができる水位センサ93は、第2空間91bにおいて予め設定された高さの上限水位を検知できるものであればよく、特に限定されるものではない。具体的には、水位センサ93としては、例えばフロート式の水位センサなどが挙げられる。水位センサ93の設置高さは、この水位センサ93により検知される上限位置が仕切り部材92の上端よりも低い位置となるように調整されるのがよい。これにより、第1空間91a内の水が第2空間91bに流れ込むときに、後述するように水がオーバーフローして効果的に撹拌される。
【0033】
容器91よりも上流側に位置する入水配管27、すなわち上流側入水配管27aには減圧弁47が設けられている。この減圧弁47は、容器91に流入する水の水圧を所定の大きさまで減圧する。本実施形態では、大気圧下に開放された容器91に上流側入水配管27aを通じて水が供給されるので、供給される水の水圧は、減圧弁47により大気圧と同程度に調整されるのがよい。また、供給される水の水圧は、水が上流側入水配管27aを第1空間91aに向かって円滑に流れ、かつ、第1空間91aに水が過度に勢いよく流入して第1空間91aから水が溢れ出ることのない程度に、大気圧よりも少し大きい圧力に調整されてもよい。
【0034】
容器91よりも下流側に位置する入水配管27、すなわち下流側入水配管27bにはポンプ31が設けられている。このポンプ31は、減圧弁47により減圧された入水配管27内の水を加圧して水熱交換器21および出湯配管29を通じてタンク15に送水する。また、ポンプ31よりも下流側の下流側入水配管27bには逆止弁32が設けられている。この逆止弁32は下流側入水配管27bにおいて水が逆流するのを防止する。
【0035】
図1に示すように、タンク15の上部には、タンク15内に貯留された高温の水を取り出して浴槽などへ給湯するための給湯配管35が接続されている。また、タンク15の底部には、給水源からタンク15内に低温の水を給水するための給水配管37が接続されている。
【0036】
タンク15へ水を給水する給水源としては、例えば水道水や、井戸水などの地下水を利用することができる。井戸水を給水源として用いる場合には、図1に示すように、例えば井戸71内の水中に配置された水中ポンプ72を駆動して配管75を通じて井戸水を地上に吸い上げる。水中ポンプ72は運転ユニット73により制御される。配管75の下流側の端部には給水栓74が取り付けられている。この給水栓74に給水配管37の上流側の端部が接続されている。
【0037】
また、水道水を給水源として用いる場合には、図2に示すように、給水配管37の上流側の端部が止水栓61を介して水道配管81に接続される。給水配管37には減圧逆止弁63が設けられている。水道配管81内の水圧は例えば200kPa〜500kPa程度であるが、給水配管37内の水圧は減圧逆止弁63により例えば200kPa程度にまで減圧される。この減圧された水がタンク15内に供給される。減圧逆止弁63は、水の逆流を防止する役割も果たす。
【0038】
給湯機11は、マイクロコンピュータ、入出力回路などからなる制御部33と、各種設定値、温度データなどを記憶するメモリーとを備えている。制御部33は、タンク15、水熱交換器21、配管などに設けられた図略の温度センサにより測定された温度データなどに基づいて冷媒回路13および貯湯回路17を制御する。
【0039】
次に、第1実施形態の給湯機11の動作について説明する。タンク15内の水を沸上げる沸上げ運転では、制御部33は、冷媒回路13の圧縮機19を駆動させ、電動膨張弁23の開度を調節するとともに、貯湯回路17のポンプ31を駆動させる。これにより、図1に示すように、タンク15の底部に設けられた出水口からタンク15内の低温の水が入水配管27を通じて水熱交換器21に送られ、水熱交換器21において加熱される。加熱された高温の水は出湯配管29を通じてタンク15の上部に設けられた入水口からタンク15内に戻される。これにより、タンク15内には、その上部から順に高温の水が貯湯されていく。
【0040】
この沸上げ運転において、タンク15の水が水熱交換器21に送られる前に、この水に溶け込んでいる溶存ガスの一部が以下のようにして除去される。
【0041】
本実施形態の給湯機11では、制御部33は、減圧弁47の開度を水位センサ93の検知結果と連動させるように制御する。すなわち、制御部33は、第2空間91b内の水位が水位センサ93の検知する前記上限水位よりも低いときには、減圧弁47を開いてタンク15内の水を容器91に送るように制御する。このとき、この水の水圧は、減圧弁47により前記所定の大きさまで減圧される。一方、制御部33は、第2空間91b内の水位が水位センサ93の検知する前記上限水位に達したときには、減圧弁47を閉じて(全閉して)タンク15内の水を容器91に送らないように制御する。
【0042】
タンク15の下部から排出され、上流側入水配管27aを通じて容器91の第1空間91aに流入した水は、第1空間91a内に順次貯留されていく。そして、第1空間91a内の水位が仕切り部材92の高さを超えると、第1空間91a内の水がオーバーフローして第2空間91bに流れ込む。言い換えると、第1空間91a内の水が仕切り部材92の上端を乗り越えて第2空間91bに流れ込む。第2空間91bに流れ込んだ水は第2空間91b内に順次貯留されていく。そして、上記したように第2空間91b内の水位が前記上限水位に達したことを水位センサ93が検知すると、制御部33は、減圧弁47を閉じてタンク15から容器91への水の供給を停止するように制御する。
【0043】
容器91において大気圧下に開放されることによって溶存ガスの一部が除去された水は、ポンプ31により第2空間91bから下流側入水配管27bに流入し、水熱交換器21に送られる。第2空間91b内の水が前記上限水位未満になったことを水位センサ93が検知すると、制御部33は、減圧弁47を開いてタンク15から容器91への水の供給を再開するように制御する。水熱交換器21に送られた水は冷媒と熱交換して加熱される。加熱された高温の水は、水熱交換器21から出湯配管29に排出されてタンク15に戻される。
【0044】
溶存ガスが除去される過程についてより具体的に説明すると次のようになる。井戸水などの地下水は、地中において高圧で、種々のガスが存在する雰囲気下にさらされることにより、二酸化炭素および酸素の他、塩素、硫化水素、二酸化硫黄などの溶存ガスの量が水道水よりも多い。この地下水が本実施形態のように大気圧雰囲気にさらされることにより、この水に溶け込んでいるガスの一部が効果的に除去される。容器91に流入する前の水に溶け込んでいるガスは、水と水和した状態、イオン化した状態などの種々の状態で水中において存在し、これらは化学平衡の状態に達している。この水が容器91に流入し、前記のようにこの水に溶け込んでいるガスの一部が大気圧雰囲気中に放出されると、容器91内の水中ではその変化を打ち消す方向に平衡が移動する。すなわち、水中において水和した状態、イオン化した状態などのガス由来の化合物の一部がガスとなって水から除去されやすくなる方向に平衡が移動する。したがって、水に溶け込んでいるガスは容器91において大気圧下に開放されることにより効率的に除去される。
【0045】
以上説明したように、前記実施形態では、入水配管27に設けられた減圧弁47により減圧された水が容器91に流入し、この容器91において大気圧下に開放された状態で一時的に貯留される。この貯留中には水が大気圧下に開放されているので、水に溶け込んでいる溶存ガスの一部を水から大気圧雰囲気中に放出させることができる。これにより、水熱交換器21において溶存ガス成分に起因するスケールの生成が抑制されるので、水熱交換器21において詰まりが生じるのを抑制できる。しかも、酸素、塩素、硫化水素、二酸化硫黄などの腐食性を有するガスの一部を除去することにより、水熱交換器21の配管などが腐食するのを抑制できる。
【0046】
また、前記実施形態では、下流側入水配管27bに設けられ、容器91において大気圧下に開放された水をタンク15に送水可能なポンプ31をさらに備えているので、減圧弁47で減圧された水を確実にタンク15に送ることができる。
【0047】
また、前記実施形態では、ポンプ31よりも下流側の下流側入水配管27bに設けられた逆止弁をさらに備えているので、水熱交換器21から水が逆流して容器91から水が溢れ出すのを防止できる。
【0048】
また、前記実施形態では、容器91はその内部空間を仕切る仕切り部材92を有している。この仕切り部材92により、容器91の内部は、上流側入水配管27aから水が流入する第1空間91aと、この第1空間91a内の水が流れ込み、容器91よりも下流側の下流側入水配管27bに内部の水を排出可能な第2空間91bとに分割されている。したがって、水が容器91内に滞留する時間を長くして大気圧下にさらされる時間を長くすることができる。これにより、溶存ガスの一部を水から除去する効果が高まるので、水熱交換器21におけるスケールの生成および腐食をさらに抑制できる。
【0049】
また、前記実施形態では、容器91は、第1空間91a内の水がこの第1空間91aからオーバーフローして第2空間91bに流れ込む構造を有しているので、水がこの第1空間91aからオーバーフローするときに水が流動しながら大気圧下にさらされる。これにより、溶存ガスが水から大気圧下に放出されるのをより促進することができる。
【0050】
また、前記実施形態では、容器91に設けられた水位検知センサ93の検知結果に基づいて減圧弁47の開度を調節するので、容器91内に水が過剰に供給されて水が溢れ出すのを防止できるとともに、容器91内の水が不足するのを防止できる。
【0051】
<第2実施形態>
図3は、本発明の第2実施形態のヒートポンプ式給湯機11を示す構成図である。図3に示すように、この第2実施形態では、容器91が給水配管37に設けられている点が第1実施形態とは異なっている。なお、第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0052】
この第2実施形態では、容器91は、給水配管37を構成する上流側給水配管37aと下流側給水配管37bとの間に設けられている。上流側給水配管37aには減圧弁47が設けられている。この減圧弁47は、容器91に流入する水の水圧を前記所定の大きさまで減圧する。下流側給水配管37bにはポンプ34が設けられている。このポンプ34は、減圧弁47により減圧された給水配管37内の水を加圧してタンク15に送水する。また、ポンプ34よりも下流側の下流側給水配管37bには逆止弁32が設けられている。この逆止弁32は下流側給水配管37bにおいて水が逆流するのを防止する。
【0053】
次に、第2実施形態の給湯機11の動作について説明する。この給湯機11のタンク15内の水を沸上げる沸上げ運転では、制御部33は、第1実施形態と同様にして冷媒回路13の圧縮機19を駆動させ、電動膨張弁23の開度を調節するとともに、貯湯回路17のポンプ31を駆動させる。これにより、タンク15内には、その上部から順に高温の水が貯湯されていく。
【0054】
ユーザによりタンク15内の高温の水が使用されると、その使用量に応じてタンク15には給水配管37を通じて水が給水される。このとき、井戸水に溶け込んでいる溶存ガスの一部が以下のようにして容器91において除去される。
【0055】
まず、タンク15への給水時には、制御部33は、給水栓74を開放するとともに、運転ユニット73を介して水中ポンプ72を駆動して井戸水を吸い上げる。配管75を通じて吸い上げられた井戸水は、その水圧が上流側給水配管37aに設けられた減圧弁47によって前記所定の大きさまで減圧された後、上流側給水配管37aを通じて容器91の第1空間91aに流入する。
【0056】
第1空間91aに流入した水は、第1空間91a内に順次貯留されていき、第1空間91a内の水位が仕切り部材92の高さを超えると、第1空間91a内の水がオーバーフローして第2空間91bに流れ込む。第2空間91bに流れ込んだ水は、第2空間91b内に順次貯留されていく。第2空間91b内の水位が予め設定された上限水位に達したことを水位センサ93が検知すると、制御部33は、減圧弁47を閉じて給水源から容器91への水の給水を停止するように制御する。
【0057】
容器91において大気圧下に開放されることによって溶存ガスの一部が除去された水は、ポンプ34により第2空間91bから下流側給水配管37bに流入し、タンク15に送られる。第2空間91b内の水が前記上限水位未満になったことを水位センサ93が検知すると、制御部33は、減圧弁47を開いて給水源から容器91への水の供給を再開するように制御する。
【0058】
この第2実施形態では、タンク15に水が給水される前にこの水の溶存ガスの一部を除去するので、水熱交換器21におけるスケールの生成および腐食を抑制できるだけでなく、タンク15、入水配管27などにおけるスケールの生成および腐食を抑制することもできる。
【0059】
なお、その他の構成、作用および効果はその説明を省略するが第1実施形態と同様である。
【0060】
<第3実施形態>
図4は、本発明の第3実施形態のヒートポンプ式給湯機11を示す構成図である。図4に示すように、この第3実施形態では、容器91の内部に仕切り部材92が設けられていない点、および上流側入水配管27aから水を容器91に流入させる供給口27cが容器91の上部に位置している点が第1実施形態とは異なっている。なお、第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0061】
この第3実施形態では、容器91は、入水配管27を構成する上流側入水配管27aと下流側入水配管27bとの間に設けられている。この容器91は、略直方体の形状を有しており、上部が開口している。
【0062】
上流側入水配管27aには減圧弁47が設けられている。この減圧弁47は、容器91に流入する水の水圧を所定の大きさまで減圧する。本実施形態では、大気圧下に開放された容器91に上流側入水配管27aを通じて水が供給されるので、供給される水の水圧は、減圧弁47により大気圧と同程度、または大気圧よりも少し大きい圧力に調整される。減圧弁47により調整される水の圧力は、減圧弁47と供給口27cとの位置関係に応じて設定される。
【0063】
容器91内には、この容器91内の水位を検知する水位センサ93が設けられている。この水位センサ93は、容器91において予め設定された高さの上限水位を検知する。
【0064】
上流側入水配管27aはタンク15の下部から延設され、上流側入水配管27aの下流側の端部である供給口27cは容器91の上部開口を通じて容器91の内部に配置されている。この第3実施形態では、供給口27cは、水位センサ93の検知する前記上限水位と同程度の高さまたは前記上限水位よりも高い位置に配置されている。これにより、供給口27cから吐出される水は、容器91内の水の液面に向かって落下するように供給される。下流側入水配管27bは、容器91の底板に設けられた排出口27dに接続されており、この排出口27dを通じて容器91と連通している。供給口27cは、容器91の一側板の近くに配置され、排出口27dは、前記一側板に対向する側板の近くに配置されている。
【0065】
次に、第3実施形態の給湯機11の動作について説明する。この給湯機11のタンク15内の水を沸上げる沸上げ運転では、制御部33は、第1実施形態と同様にして冷媒回路13の圧縮機19を駆動させ、電動膨張弁23の開度を調節するとともに、貯湯回路17のポンプ31を駆動させる。これにより、タンク15内には、その上部から順に高温の水が貯湯されていく。
【0066】
この沸上げ運転において、タンク15の水が水熱交換器21に送られる前に、この水に溶け込んでいる溶存ガスの一部が以下のようにして除去される。
【0067】
この第3実施形態の給湯機11では、制御部33は、減圧弁47の開度を水位センサ93の検知結果と連動させるように制御する。すなわち、容器91内の水位が水位センサ93の検知する前記上限水位よりも低いときには、減圧弁47を開いてタンク15内の水を容器91に送る。一方、容器91内の水位が水位センサ93の検知する前記上限水位に達したときには、減圧弁47を閉じて(全閉して)タンク15内の水を容器91に送らないようにする。
【0068】
タンク15の下部から上流側入水配管27aに排出される水は、減圧弁47によって前記所定の大きさまで減圧され、上流側入水配管27aの供給口27cから容器91内に吐出される。供給口27cから吐出された水は、容器91の底面または容器91内の水の液面に落下し、その落下地点の周囲の水に衝撃を与えつつ容器91内の水を撹拌する。このようにして容器91内に供給された水は順次容器91内に貯留されていく。容器91内の水位が前記上限水位に達したことを水位センサ93が検知すると、制御部33は、減圧弁47を閉じてタンク15から容器91への水の供給を停止するように制御する。
【0069】
容器91において大気圧下に開放されることによって溶存ガスの一部が除去された水は、ポンプ31により容器91から下流側入水配管27bに流入し、水熱交換器21に送られる。容器91内の水が前記上限水位未満になったことを水位センサ93が検知すると、制御部33は、減圧弁47を開いてタンク15から容器91への水の供給を再開するように制御する。
【0070】
この第3実施形態では、上流側入水配管27aから水を容器91に流入させる供給口27cが容器91の上部に位置し、容器91よりも下流側入水配管27bに容器91内の水を排出する排出口27dが容器91の下部に位置している構造である。したがって、供給口27cと排出口27dとを遠ざけることが可能となり、水が容器91内に滞留する時間を長くすることができる。これにより、溶存ガスの一部が効果的に除去された水を水熱交換器21に送ることができるので、水熱交換器21においてスケールの生成および腐食をさらに抑制できる。
【0071】
また、この第3実施形態では、容器91の底面または容器91内の水の液面に水が供給口27cから落下するような位置に供給口27cが配置されているので、容器91の底面または容器91内の水の液面に水が落下するときの衝撃による撹拌効果が得られる。これにより、溶存ガスが水から放出されるのをさらに促進することができる。
【0072】
なお、その他の構成、作用および効果はその説明を省略するが第1実施形態と同様である。
【0073】
<第4実施形態>
図5は、本発明の第4実施形態のヒートポンプ式給湯機11を示す構成図である。図5に示すように、この第4実施形態では、容器91が給水配管37に設けられている点、容器91の内部に仕切り部材92が設けられていない点、および容器91への水の供給口37cが容器91の上部に位置している点が第1実施形態とは異なっている。なお、第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0074】
この第4実施形態では、容器91は、給水配管37を構成する上流側給水配管37aと下流側給水配管37bとの間に設けられている。この容器91は、略直方体の形状を有しており、上部が開口している。容器91内には、この容器91内の水位を検知する水位センサ93が設けられている。この水位センサ93は、容器91において予め設定された高さの上限水位を検知する。
【0075】
上流側給水配管37aは給水栓74から延設され、その下流側の端部である供給口37cは容器91の上部開口を通じて容器91の内部に配置されている。この第4実施形態では、供給口37cは、水位センサ93の検知する前記上限水位と同程度の高さまたは前記上限水位よりも高い位置に配置されている。これにより、供給口37cから吐出される水は、容器91内の水の液面に向かって落下するように供給される。下流側給水配管37bは、容器91の底板に設けられた排出口37dに接続されており、この排出口37dを通じて容器91と連通している。
【0076】
次に、第4実施形態の給湯機11の動作について説明する。この給湯機11のタンク15内の水を沸上げる沸上げ運転では、制御部33は、第1実施形態と同様にして冷媒回路13の圧縮機19を駆動させ、電動膨張弁23の開度を調節するとともに、貯湯回路17のポンプ31を駆動させる。これにより、タンク15内には、その上部から順に高温の水が貯湯されていく。
【0077】
ユーザによりタンク15内の高温の水が使用されると、その使用量に応じてタンク15には給水配管37を通じて水が給水される。このとき、井戸水に溶け込んでいる溶存ガスの一部が以下のようにして容器91において除去される。
【0078】
まず、タンク15への給水時には、制御部33は、給水栓74を開放するとともに、運転ユニット73を介して水中ポンプ72を駆動して井戸水を吸い上げる。配管75を通じて吸い上げられた井戸水は、その水圧が上流側給水配管37aに設けられた減圧弁47によって前記所定の大きさまで減圧された後、上流側給水配管37aの供給口37cから容器91内に吐出される。供給口37cから吐出された水は、容器91の底面または容器91内の水の液面に落下し、その落下地点の周囲の水に衝撃を与えつつ容器91内の水を撹拌する。このようにして容器91内に供給された水は順次容器91内に貯留されていく。容器91内の水位が前記上限水位に達したことを水位センサ93が検知すると、制御部33は、減圧弁47を閉じてタンク15から容器91への水の供給を停止するように制御する。
【0079】
容器91において大気圧下に開放されることによって溶存ガスの一部が除去された水は、ポンプ34により容器91から下流側入水配管27bに流入し、タンク15に送られる。容器91内の水が前記上限水位未満になったことを水位センサ93が検知すると、制御部33は、減圧弁47を開いて給水源から容器91への水の供給を再開するように制御する。
【0080】
なお、その他の構成、作用および効果はその説明を省略するが第1実施形態、第2実施形態または第3実施形態と同様である。
【0081】
<他の実施形態>
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、前記実施形態では、容器91を大気圧下に開放する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。本発明における容器91は、タンク15または給水源から供給される水が減圧弁47により減圧された圧力以下の低圧雰囲気中に開放可能であればよい。したがって、前記低圧雰囲気が大気圧よりも大きな気圧であってもよい。
【0082】
また、前記第1実施形態および第2実施形態では、第1空間91aの水がオーバーフローして第2空間91bに流れ込む場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば仕切り部材92に設けられた切り欠き、貫通口などを通じて第1空間91a内の水が第2空間91bに流れ込むようにしてもよい。
【0083】
また、前記第3実施形態および第4実施形態では、供給口27cまたは供給口37cが前記上限水位と同程度の高さまたは前記上限水位よりも高いところに配置される場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。供給口27cまたは供給口37cは、前記上限水位よりも低い位置に配置されていてもよい。ただし、供給口27cまたは供給口37cから吐出される水が容器91の底面または容器91内の水面に落下する衝撃を大きくしてガスの放出効果を高めるという点では、供給口27cまたは供給口37cが前記上限水位と同程度の高さまたは前記上限水位よりも高いところに配置されるのが好ましい。
【0084】
また、前記第3実施形態および第4実施形態では、供給口27cまたは供給口37cが容器91の上部開口を通じて容器91の内部に配置される場合を例に挙げて説明したが、供給口27cまたは供給口37cは、例えば容器91の側板に設けられた貫通口を通じて上流側入水配管27aが容器91の内部に挿通されることにより、容器91内に配置されていてもよい。また、排出口27dまたは排出口37dについても同様に側板に設けられていてもよい。
【0085】
また、前記実施形態では、仕切り部材92により容器91の内部が2つに分割されている場合を例に挙げて説明したが、3つ以上の空間に分割されていてもよい。
【0086】
また、前記実施形態では、容器91が略直方体形状である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。容器91は例えば円柱状、多角柱状などの他の形状であってもよい。
【0087】
また、前記実施形態では、制御部33が、上流側入水配管27aまたは上流側給水配管37aに設けられた減圧弁47の開度を水位センサ93の検知結果と連動させるように制御する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。制御部33は水位センサ93と減圧弁47を連動させる制御を行わなくてもよく、また、水位センサ93が必ずしも設けられていなくてもよい。
【0088】
また、前記実施形態では、減圧手段として減圧弁47を用いた場合を例に挙げて説明したが、これに限定されず、他の減圧手段を用いてもよい。
【0089】
また、容器91の内部には、水を撹拌するための羽根などの撹拌装置を設けてもよい。これにより、水からガスを除去する効果が高められる。
【0090】
また、図6に示すように容器91の内部を複数の空間に分割してもよい。この形態では、容器91は、一側板から側方に延びる仕切り部材92を有し、容器91の内部は上下に第1空間91aと第2空間91bとに分割されている。前記一側板に対向する側板と、仕切り部材92の先端部との間には隙間が設けられており、第1空間91aは、前記隙間を通じて第2空間91bに連通している。上流側入水配管27aまたは上流側給水配管37aは、供給口27cまたは供給口37cを通じて第1空間91aに連通している。下流側入水配管27bまたは下流側給水配管37bは、排出口27dまたは排出口37dを通じて第2空間91bに連通している。供給口27cまたは供給口37cを通じて第1空間91aに流入する水は、第1空間91aに貯留される。第1空間91a内の水は前記隙間から第2空間91bに流れ込み、排出口27dまたは排出口37dを通じて下流側入水配管27bまたは下流側給水配管37bに排出される。図略の制御部は、上流側入水配管27aまたは上流側給水配管37aに設けられた図略の減圧弁の開度を水位センサ93の検知結果と連動させるように制御する。
【0091】
また、前記実施形態では、容器91の上部が開口している場合を例に挙げて説明したが、容器91の上部には例えば板状の蓋が取り付けられていてもよい。
【0092】
また、前記実施形態では、冷媒回路を循環する冷媒として二酸化炭素を用いた場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。冷媒としては、二酸化炭素の他、エチレン、エタン、酸化窒素等の超臨界圧力で使用する冷媒であってもよく、さらには、超臨界圧力で使用する冷媒ではなく、例えばR410Aのような冷媒を使用してもよい。
【符号の説明】
【0093】
11 給湯機
13 冷媒回路
15 タンク
17 貯湯回路
21 水熱交換器
27 入水配管
27c 供給口
27d 排出口
29 出湯配管
31 ポンプ
33 制御部
35 給湯配管
37 給水配管
37c 供給口
37d 排出口
91 容器
91a 第1空間
91b 第2空間
92 仕切り部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水熱交換器(21)を有し、冷媒配管を通じて冷媒が循環する冷媒回路(13)と、
水が貯留されるタンク(15)、このタンク(15)の水を前記水熱交換器(21)に送る入水配管(27)および前記水熱交換器(21)により加熱された水を前記タンク(15)に戻す出湯配管(29)を有する貯湯回路(17)と、
給水源から前記タンク(15)に水を給水する給水配管(37)および前記タンク(15)に貯留された高温の水を給湯する給湯配管(35)と、
前記入水配管(27)または前記給水配管(37)に設けられた減圧手段(47)と、
この減圧手段(47)よりも下流側の前記入水配管(27)または前記給水配管(37)に設けられ、前記入水配管(27)または前記給水配管(37)から流入する水が、前記減圧手段(47)により減圧された圧力以下の低圧雰囲気下で一時的に貯留される容器(91)と、を備えたヒートポンプ式給湯機。
【請求項2】
前記容器(91)よりも下流側の前記入水配管(27)または前記給水配管(37)に設けられ、前記容器(91)において前記低圧雰囲気中に開放された水を前記タンク(15)に送水可能なポンプ(31,34)をさらに備えている、請求項1に記載のヒートポンプ式給湯機。
【請求項3】
前記ポンプ(31,34)よりも下流側の前記入水配管(27)または前記給水配管(37)に設けられた逆止弁(32)をさらに備えている、請求項2に記載のヒートポンプ式給湯機。
【請求項4】
前記容器(91)は、内部を第1空間(91a)と第2空間(91b)とに仕切る仕切り部材(92)を有し、
前記第1空間(91a)には前記入水配管(27)または前記給水配管(37)から水が流入し、
前記第2空間(91b)には前記第1空間(91a)内の水が流れ込み、前記容器(91)よりも下流側の前記入水配管(27)または前記給水配管(37)に前記第2空間(91b)内の水が排出される、請求項1〜3のいずれかに記載のヒートポンプ式給湯機。
【請求項5】
前記容器(91)は、前記第1空間(91a)内の水がこの第1空間(91a)からオーバーフローして前記第2空間(91b)に流れ込む構造を有している、請求項4に記載のヒートポンプ式給湯機。
【請求項6】
前記容器(91)よりも下流側の前記入水配管(27)または前記給水配管(37)に前記容器(91)内の水を排出する排出口(27d,37d)が前記容器(91)の下部に位置し、
前記入水配管(27)または前記給水配管(37)から前記水を前記容器(91)に流入させる供給口(27c,37c)が前記排出口(27d,37d)よりも上方に位置している、請求項1〜3のいずれかに記載のヒートポンプ式給湯機。
【請求項7】
前記容器(91)の底面または前記容器(91)内の水の液面に前記水が前記供給口(27c,37c)から落下するように前記供給口(27c,37c)が配置されている、請求項6に記載のヒートポンプ式給湯機。
【請求項8】
前記容器(91)は大気圧下に開放されている、請求項1〜7のいずれかに記載のヒートポンプ式給湯機。
【請求項9】
前記容器(91)には水位を検知するセンサ(93)が設けられており、
前記減圧手段(47)が減圧弁であり、
前記センサ(93)の検知結果に基づいて前記減圧弁(47)の開度を調節するように制御する制御部(33)をさらに備えている、請求項1〜8のいずれかに記載のヒートポンプ式給湯機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−276302(P2010−276302A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130918(P2009−130918)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】