説明

ヒートポンプ式給湯装置

【課題】 出湯温度制御の煩雑さを抑制しつつ、必要湯量の確保、貯湯槽の小型化を可能とするヒートポンプ式給湯装置を提供する。
【解決手段】 内部に給湯用の湯を貯える貯湯タンク10と、水を沸き上げて湯とするヒートポンプ装置20と、ヒートポンプ装置20の作動を制御する制御手段40とを有するヒートポンプ式給湯装置において、制御手段40は、ユーザが使用する端末82への出湯要求があると、ヒートポンプ装置20を作動させると共に、貯湯タンク10内に貯められた湯およびヒートポンプ装置20で沸き上げられた湯の両者を混合して端末82側に供給する、あるいは、ヒートポンプ装置20で沸き上げられた湯のみを端末82側に供給するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプ装置により水を加熱し湯とするヒートポンプ式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のヒートポンプ式給湯装置として、例えば特許文献1に示されるものが知られている。即ち、この給湯装置においては、ヒートポンプによって加熱された水が貯湯槽に貯められるようになっており、運転制御手段は、貯湯槽からの出湯を検知するとヒートポンプの運転を開始し、貯湯槽内の湯とヒートポンプによって加熱された湯とを混合して出湯するようにしている。
【0003】
これにより、貯湯槽からの出湯量が少なくてすみ、必要な給湯負荷に対して、常に必要湯量を確保して、尚且つ、貯湯槽を小型化でき、効率の良いヒートポンプを運転することで、省エネルギーが可能となるとしている。
【特許文献1】特許第3642311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、ヒートポンプで加熱された湯に貯湯槽内の湯を混合して出湯するので、端末の出湯栓で所望の湯温を得るには、貯湯槽内の湯の温度および使用量を加味して、常にヒートポンプで加熱すべき湯の温度および流量を制御する必要が生じ、制御が煩雑となる。 本発明の目的は、上記問題に鑑み、出湯温度制御の煩雑さを抑制しつつ、必要湯量の確保、貯湯槽の小型化を可能とするヒートポンプ式給湯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0006】
請求項1に記載の発明では、内部に給湯用の湯を貯える貯湯タンク(10)と、水を沸き上げて湯とするヒートポンプ装置(20)と、ヒートポンプ装置(20)の作動を制御する制御手段(40)とを有するヒートポンプ式給湯装置において、制御手段(40)は、ユーザが使用する端末(81、82)への出湯要求があると、ヒートポンプ装置(20)を作動させると共に、貯湯タンク(10)内に貯められた湯およびヒートポンプ装置(20)で沸き上げられた湯の両者を混合して端末(81、82)側に供給する、あるいは、ヒートポンプ装置(20)で沸き上げられた湯のみを端末(81、82)側に供給することを特徴としている。 これにより、貯湯タンク(10)内の湯とヒートポンプ装置(20)によって生成された湯との両者を混合して供給する場合に加えて、出湯の状況に応じて、ヒートポンプ装置(20)で生成された湯のみを用いて供給することができるので、出湯温度制御の煩雑さを抑制しつつ、必要湯量の確保、貯湯タンク(10)の小型化を可能とするヒートポンプ式給湯装置とすることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明では、制御手段(40)は、ヒートポンプ装置(20)で沸き上げられた湯のみを端末(81、82)側に供給する際には、初めからユーザの設定温度に応じた湯温に調整して供給することを特徴としている。
【0008】
これにより、ユーザの使い勝手の向上に寄与できる。
【0009】
請求項3に記載の発明では、制御手段(40)は、ヒートポンプ装置(20)で沸き上げられた湯のみを端末(81、82)側に供給する際には、初めにヒートポンプ装置(20)の立ち上がり能力に応じた湯温で供給し、その後に最終的にユーザの設定温度に応じたトータル熱量となるように湯温および流量を調整して供給することを特徴としている。
【0010】
これにより、ヒートポンプ装置(20)の作動に伴うエネルギーロスを無くして、湯の供給が可能となる。
【0011】
請求項4に記載の発明では、制御手段(40)は、ヒートポンプ装置(20)による湯の沸き上げに際して、ヒートポンプ装置(20)内の作動流体と、作動流体によって加熱される水とを同時に循環させることを特徴としている。
【0012】
これにより、ヒートポンプ装置(20)の作動に伴うエネルギーロスを無くして、湯の供給が可能となる。
【0013】
請求項5に記載の発明では、制御手段(40)は、ヒートポンプ装置(20)による湯の沸き上げに際して、ヒートポンプ装置(20)内の作動流体を循環させて安定化させた後に、作動流体によって加熱される水を循環させることを特徴としている。
【0014】
これにより、ユーザの設定する温度の湯を確実に供給することができる。
【0015】
請求項6に記載の発明では、出湯要求は、浴槽(82)への湯張りの要求であることを特徴としている。
【0016】
これにより、通常の家庭で最も湯の使用量が多い湯張り時に対応した出湯が可能となる。
【0017】
この湯張りの要求の有無を把握する方法として従来、出湯用の流量計や温度計等の出力信号を持って判定していたが、各種計器のコストがかかる、あるいは制御が煩雑になる等の問題を含んでいた。
【0018】
そこで、請求項7に記載の発明では、湯張りの要求は、浴槽(82)に繋がる湯張り配管(18)に配設されて、この湯張り配管(18)を開閉する開閉弁(61)が開状態となった場合としたことを特徴としている。
【0019】
これにより、本来湯張り配管(18)に必要とされる開閉弁(61)の開閉状態を信号として活用した制御が可能となり、安価で簡素な制御が可能となる。
【0020】
請求項8に記載の発明では、開閉弁(61)の開状態は、一日のうちで最初に開状態となった場合であることを特徴としている。
【0021】
これにより、一日のうちの最初の湯張りに重きを置いた対応が可能となる。
【0022】
請求項9に記載の発明では、開閉弁(61)の開状態は、一日のうちで予め定めた時間帯に開状態となった場合であることを特徴としている。
【0023】
これにより、通常良く使用する時間帯での確実な湯張りが可能となる。
【0024】
請求項10に記載の発明では、湯張りの要求は、ユーザが操作する風呂リモコン(41)による湯張り指示が出された場合であることを特徴としている。
【0025】
これにより、請求項7に記載の発明と同様に、安価で簡素な制御が可能となる。
【0026】
請求項11に記載の発明では、制御手段(40)は、湯張りの要求により、湯を端末(81、82)側に供給した後は、貯湯タンク(10)内の湯を優先して使用することを特徴としている。
【0027】
これにより、これ以降多量に湯が使用される可能性は低くなるので、予め貯湯タンク(10)に貯めた湯を使用していくことで、ヒートポンプ装置(20)の使用エネルギーを低減することができる。
【0028】
請求項12に記載の発明では、制御手段(40)は、深夜の所定時間帯に貯湯タンク(10)内の水をヒートポンプ装置(20)によって沸き上げするようにしており、湯張りの要求により、湯を端末(81、82)側に供給した時間帯が所定時間帯の開始時刻に近いほど、貯湯タンク(1)内の湯を優先して使用する時間を長く設定することを特徴としている。
【0029】
これにより、所定時間帯での沸き上げまでに、貯湯タンク(10)内の湯を積極的に使用して残湯を少なくすることができるので、沸き上げ時の水の温度を低温側にして、ヒートポンプ装置(20)の成績係数を向上させた作動が可能となる。
【0030】
尚、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態おけるヒートポンプ式給湯装置100について図1〜図5を用いて説明する。尚、図1は本発明を適用させたヒートポンプ式給湯装置100の全体構成を示す模式図、図2〜図5は制御装置40が行う出湯制御の制御処理を示すフローチャートである。
【0032】
本実施形態のヒートポンプ式給湯装置(以下、給湯装置)100は、一般家庭用として使用されるものであり、ヒートポンプユニット20によって生成される湯を貯湯タンク10内に貯えると共に、貯えられた湯を給湯用の湯として、台所、洗面所、風呂等へ供給する。尚、本給湯装置100は、上記給湯機能の他に、湯張りされた浴槽82内の浴水を追い焚きする機能も有する。
【0033】
図1に示すように、給湯装置100は、導入管11によってその最下部に水が供給される貯湯タンク10と、この貯湯タンク10内の最下部の水を貯湯タンク10内の最上部あるいは中間部に送る循環回路21、中温吐出管23と、循環回路21を流れる水を加熱するヒートポンプユニット(本発明におけるヒートポンプ装置に対応)20と、貯湯タンク10内の湯を貯湯タンク10外に送る各種給湯用配管12、13、17、18と、本給湯システムの作動を制御する制御装置(本発明における制御手段に対応)40とを備えており、これらによって給湯機能を発揮する。そして、浴槽82内の浴水と貯湯タンク10内の湯との間で熱交換するように構成された浴水追い焚き装置70によって、追い焚き機能も発揮する。
【0034】
貯湯タンク10は、給湯用の湯を貯える容器であって、耐食性に優れた金属製(例えば、ステンレス製)から成り、外周部に図示しない断熱材が配置されており、高温の湯を長時間に渡って保温することができるようになっている。
【0035】
また、貯湯タンク10は縦長形状であり、その底面に導入口10aが設けられ、この導入口10aには貯湯タンク10内に給湯水(水道水)を供給する導入用流路としての導入管11が接続されている。この導入管11には温度検出手段としての給水サーミスタ51が設けられており、給水サーミスタ51は導入管11内の温度信号を後述する制御装置40に出力するようになっている。
【0036】
一方、貯湯タンク10の最上部には高温導出口10bが設けられ、この高温導出口10bには貯湯タンク10内に貯えられた給湯用の湯のうち、高温の湯を導出するための給湯用流路としての高温取出し管12が接続されている。尚、この高温取出し管12の経路途中には、図示しない逃がし弁が配設された排出配管が接続されており、貯湯タンク10内の圧力が所定圧以上に上昇した場合には、貯湯タンク10内の湯を外部に排出して、貯湯タンク10等にダメージを与えないようになっている。
【0037】
また、貯湯タンク10の中間部には、中温導出口10cが設けられており、この中温導出口10cには貯湯タンク10内に貯えられた給湯用の湯のうち、中温の湯を導出するための給湯用流路としての中温取出し管13が接続されている。高温取出し管12と中温取出し管13との下流端は、後述する中温用混合弁14に繋がれている。
【0038】
貯湯タンク10の外壁面には、貯湯量および貯湯温度を検出するための貯湯温度検出手段としての複数(本例では7つ)の貯湯サーミスタ55a〜55gが縦方向(貯湯タンク10の高さ方向)にほぼ等間隔に配置され、貯湯サーミスタ55a〜55gは貯湯タンク10内に満たされた湯あるいは水の各水位レベルでの温度信号を後述する制御装置40に出力するようになっている。
【0039】
従って、制御装置40は、貯湯サーミスタ55a〜55eからの温度信号に基づいて、貯湯タンク10内上方の沸き上げられた湯と貯湯タンク10内下方の沸き上げられる前の水との境界位置を検出できると共に、これにより貯湯量が検出できるようになっている。
【0040】
尚、これらの貯湯サーミスタ55a〜55eのうち、貯湯サーミスタ55aは、貯湯タンク10の最上部外壁面に設けられており、高温取出し管12に吸入される高温の湯の温度である貯湯タンク10内最上部の湯温を検出する出湯サーミスタの機能も有している。また、貯湯サーミスタ55dは、前述の中温導出口10cとほぼ同一の高さに配置されており、中温取出し管13から導出される湯温を検出する出湯サーミスタの機能も有している。
【0041】
貯湯タンク10の下部には、貯湯タンク10内の最下部の給湯水を後述するヒートポンプユニット20側に吸入するための吸入口10dが設けられ、また、貯湯タンク10の上部には、ヒートポンプユニット20側から吐出された湯が内部に流入するための吐出口10eが設けられている。吸入口10dと吐出口10eとは循環回路21で接続されているおり、この循環回路21の一部はヒートポンプユニット20内に配置されている。また、循環回路21のヒートポンプユニット20と吐出口10eとの間には、ヒートポンプ出口三方弁(以下、HP出口三方弁)22が設けられ、このHP出口三方弁22からは、貯湯タンク10の中温導出口10cに接続される中温吐出管23が分岐して設けられている。
【0042】
HP出口三方弁22は、ヒートポンプユニット20(水側熱交換器26b)で加熱された湯を、吐出口10e側あるいは中温導出口10c側のいずれかに流す流路切替え弁である。そして、HP出口三方弁22は、後述する制御装置40に電気的に接続されており、貯湯サーミスタ55a〜55g、後述する湯温サーミスタ52より検出される温度信号に基づいて制御される。
【0043】
ヒートポンプユニット20は、冷媒(本発明における作動流体に対応)として臨界温度の低い二酸化炭素(CO)を使用するヒートポンプサイクル20Aと、循環回路21中に設置された給水ポンプ24とから構成されている。尚、超臨界ヒートポンプによれば、一般的なヒートポンプサイクルよりも高温(例えば、85℃〜90℃程度)の湯を貯湯タンク10内に貯えることができる。
【0044】
ヒートポンプサイクル20Aは、電動式の圧縮機25、水冷媒熱交換器26、電気式膨張弁27、空気熱交換器28、およびアキュムレータ29が順次冷媒配管によって接続されて構成されており、その作動は後述する制御装置40によって総合的に制御されるようになっている。
【0045】
圧縮機25は、内蔵される図示しない電動モータによって回転駆動され、アキュムレータ29より吸引した冷媒を臨界圧力以上の高圧に圧縮して吐出する電動式の回転機械である。圧縮機25は、動力源として交流電力を用い、主に、料金設定の最も安い深夜時間帯の深夜電力を用いて、貯湯タンク10内の湯を沸き上げる沸き上げ運転を行うが、昼間時間帯においても貯湯タンク10内最上部の湯温が低下してくると沸き上げ運転を行うよう制御される。また、圧縮機25は、種々の運転条件下において規定の能力が出るよう後述する制御装置40により回転数が制御される。
【0046】
電気式膨張弁27は、水冷媒熱交換器26から流出する高圧の冷媒を減圧する減圧手段であり、後述する制御装置40によって弁開度が電気的に制御される。
【0047】
空気熱交換器28は、電気式膨張弁27で減圧された冷媒を空気熱交換器28用の送風ファン28aによって送風される室外空気との熱交換によって蒸発気化させ、圧縮機25にガス冷媒を供給する。その送風ファン28aは、空気熱交換器28の熱交換性能を確保するよう、後述する制御装置40によって回転数が制御される。
【0048】
アキュムレータ29は、空気熱交換器28より流出される冷媒を気液分離して、気相冷媒のみ圧縮機25に吸引させると共に、サイクル中の余剰冷媒を貯える。
【0049】
水冷媒熱交換器26は、圧縮機25の吐出口より吐出された高温・高圧の冷媒によって水を加熱して湯とする熱交換器である。水冷媒熱交換器26中の冷媒側熱交換器26aは、圧縮機25の吐出口より吐出された高圧のガス冷媒と温水とを熱交換する冷媒流路管により構成されている。
【0050】
そして、水冷媒熱交換器26は、冷媒側熱交換器26aの一端面に水側熱交換器26bの対向する面が熱交換可能に密着するように配置された二層構造となっている。水側熱交換器26bは循環回路21に配設されて、冷媒側熱交換器26aの冷媒入口部から冷媒出口部に至る冷媒流路の全長で冷媒と循環回路21を流通する水との熱交換を行うように構成されており、水側熱交換器26bの出口部から沸き上げ温度(65℃〜90℃程度)相当の温水を取出した時に、規定の熱交換性能を出せるように構成されている。
【0051】
循環回路21の吸入口10dと水側熱交換器26bとの間には、給水ポンプ24が配設されている。給水ポンプ24は、内蔵される図示しない電動モータによって回転駆動されて、沸き上げ運転時に、給湯水を吸入口10dから吸入して、水側熱交換器26b内で加熱された湯を貯湯タンク10の吐出口10eあるいは中温導出口10cに還流させるように作動する。この給水ポンプ24は、水側熱交換器26bの出口側水温が、種々の運転条件下において決定される所定の目標沸き上げ温度となるように、後述する制御装置40によって回転数が制御される。
【0052】
尚、31は水冷媒熱交換器26(水側熱交換器26b)に供給される給湯水の温度を検出する入水温度サーミスタであり、32は水冷媒熱交換器26(水側熱交換器26b)出口での沸き上げ温度を検出する沸き上げ温度サーミスタである。また、33は圧縮機25から吐出される冷媒の温度を検出する吐出冷媒温度サーミスタであり、34は水冷媒熱交換器26(冷媒側熱交換器26a)出口での冷媒温度を検出する出口冷媒温度サーミスタである。そして、いずれのサーミスタ31〜34も温度信号を後述する制御装置40に出力するようになっている。また、35は冷媒側熱交換器26a出口での冷媒圧力を検出する圧力センサであり、圧力センサ35は圧力信号を後述する制御装置40に出力するようになっている。
【0053】
導入管11には、導入口10aの手前部から分岐する給水管11aが設けられており、給水管11aの下流端は、後述する給湯用混合弁15および風呂用混合弁16に繋がれている。尚、導入管11には、導入される給湯水の水圧が所定圧となるように調節すると共に、断水等における湯の逆流を防止する減圧逆止弁(図示せず)が設けられている。
【0054】
高温取出し管12と中温取出し管13との下流側合流部位に、中温用混合弁14が設けられている。この中温用混合弁14は、温度調節弁であって、高温側、中温側それぞれの開口面積比を調節して、高温取出し管12から取出した高温の湯と中温取出し管13から取出した中温の湯との混合比を調節することで、後述する給湯用混合弁15(給湯用配管17)および風呂用混合弁16(風呂用配管18)に流通させる湯の温度を調節する。
【0055】
そして、中温用混合弁14は、後述する制御装置40に電気的に接続されており、貯湯サーミスタ55a〜55g、湯温サーミスタ52により検出される温度信号に基づいて制御される。ここでは、湯温サーミスタ52で検出された温度信号が所定温度(設定温度+2〜5℃程度)となるように、中温取出し管13から取出した中温の湯を積極的に混合させるようにして所定温度に温度調節されるようにしている。
【0056】
尚、湯温サーミスタ52は、中温用混合弁14の出口側に設けられ、中温用混合弁14で混合された湯の温度を検出する。また、中温用混合弁14の出口側には、給湯用流路としての給湯用配管17と、その給湯用配管17から分岐する湯張り配管としての風呂用配管18とが接続されている。
【0057】
給湯用配管17は、下流端の端末としての給湯水栓(カラン、シャワー等)81へ設定温度に温度調節された湯を導く配管であって、その流路の中途に温度調節手段としての給湯用混合弁15と温度検出手段としての給湯サーミスタ53とが設けられている。給湯サーミスタ53は給湯用混合弁15下流側で給湯用配管17内の温度信号を後述する制御装置40に出力する。
【0058】
風呂用配管18は、下流端が浴槽(本発明の端末に対応)82のアダプタ82aに接続されて、浴槽82内に湯張り、差し湯、たし湯等を行う時に、設定温度に温度調節された湯を導く配管であって、その流路の中途に温度調節手段としての風呂用混合弁16、温度検出手段としての風呂用サーミスタ54、開閉弁としての湯張り用電磁弁61、給湯検出手段としての湯張り用流量カウンタ62、逆止弁63、循環温サーミスタ56、フロースイッチ64、風呂三方弁65、追い焚きサーミスタ57が設けられている。
【0059】
給湯用混合弁15、風呂用混合弁16は、それぞれ給湯用配管17、風呂用配管18の末端で出湯する湯の温度を調節する温度調節弁であり、それぞれの開口面積比(中温用混合弁14で温度調節された給湯用水側の開度と給水管11aから供給される給湯水側の開度の比率)を調節することで出湯する湯温を設定温度に調節する。
【0060】
また、給湯用混合弁15、風呂用混合弁16は、後述する制御装置40に電気的に接続されており、給水サーミスタ51、湯温サーミスタ52、給湯サーミスタ53、風呂用サーミスタ54より検出される温度信号に基づいて制御される。
【0061】
風呂用サーミスタ54は風呂用混合弁16下流側で風呂用配管18内の温度信号を後述する制御装置40に出力する。湯張り用電磁弁61は風呂用配管18の流路を開閉する弁であり、浴槽82内への湯張り、差し湯、たし湯等を行う時に後述する制御装置40により制御される。流量カウンタ62は風呂用配管18内の給湯用水の流れを検出し検出信号を後述する制御装置40に出力する。流量カウンタ62が風呂用配管18内の湯の流れを検出した時は、風呂用配管18の湯張り用電磁弁61が開弁されて出湯されていることを示す。
【0062】
逆止弁63は後述する往き管66からの浴水を風呂用配管18内に流通させないための弁である。循環温サーミスタ56は風呂用配管18、浴槽82、後述する往き管66の間を循環する浴水の温度信号を後述する制御装置40に出力する。フロースイッチ64は風呂三方弁65側の方向に湯あるいは浴水が流通しているか否かを検出するための流水センサである。
【0063】
風呂三方弁65は、浴槽82、往き管66からの浴水を後述する追い焚き用熱交換器72側あるいは浴槽82側のいずれかに流す流路切換え弁であり、後述する制御装置40によって制御される。追い焚きサーミスタ57は往き管66、風呂用配管18、後述する浴水循環回路71、追い焚き用熱交換器72によって形成される循環回路を循環する浴水の温度信号を後述する制御装置40に出力する。
【0064】
浴水追い焚き装置70は、風呂三方弁65から貯湯タンク10の上部を通り風呂用配管18の浴槽82のアダプタ82a側に接続される浴水循環回路71と、この浴水循環回路71の途中に接続される追い焚き用熱交換器72と、アダプタ82aから逆止弁63およびフロースイッチ64の間に接続される往き間66とから構成されている。本実施形態の追い焚き用熱交換器72は、コイル状に形成され、貯湯タンク10内の上方、つまり、高温の湯となる部位に配設されて、内部を流通する浴水を貯湯タンク10内に貯えられた高温の湯によって加熱する熱交換器である。
【0065】
往き管66には、アダプタ82側から風呂用配管18に向けて順に、水位センサ67、風呂循環電動弁68、風呂循環ポンプ69が設けられている。水位センサ67は、浴槽82内に湯張りされた浴水の湯量、言い換えれば浴槽82内の水位レベルを求めるための水圧を検出するセンサであり、水圧信号を後述する制御装置40に出力するようになっている。風呂循環電動弁68は往き管66を開閉する電動弁であり、風呂循環ポンプ69は浴槽82内の浴水を追い焚き用熱交換器72に圧送する電動ポンプであり、両者68、69は後述する制御装置40によってその作動が制御されるようになっている。
【0066】
湯張り時あるいは湯張り後に浴槽82内の浴水の温度を検出する時は、風呂三方弁65を風呂用配管18側に切換えると共に、風呂循環ポンプ69を作動させることで、浴槽82内の浴水が往き管66、風呂用配管18、浴槽82の順に循環されて循環温サーミスタ56により浴水の温度が検出されるようにしている。
【0067】
また、追い焚きを行う時は、風呂三方弁65を浴水循環回路71側に切換えることで、浴槽82内の浴水が往き管66、風呂用配管18、浴水循環回路71、追い焚き用熱交換器72、浴水循環回路71、風呂用配管18、浴槽82の順に循環されて、追い焚きサーミスタ57により検出された浴水の湯温が所定温度になるまで循環の制御が継続される。
【0068】
次に、制御手段である制御装置40は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵のROM(図示せず)には、予め設定された制御プログラムが設けられており、各サーミスタ31〜34、51〜57からの温度信号、圧力センサ35からの圧力信号、湯張り用流量カウンタ62からの流量信号、フロースイッチ64からの浴水流通信号、水位センサ67からの水位信号、ユーザが入力する操作盤(本発明における風呂リモコンに対応)41からの操作信号等に基づいて、各種混合弁14〜16、ヒートポンプユニット20、HP出口三方弁22、湯張り用電磁弁61、風呂三方弁65、風呂循環電動弁68、風呂循環ポンプ69を制御するように構成されている。
【0069】
尚、操作盤41には、操作スイッチとして、電源スイッチ、給湯設定温度スイッチ、湯張りスイッチ、湯張り設定温度スイッチ、追い焚きスイッチ、追い焚き設定温度スイッチ等が設けられている。また、操作盤41は、浴室内や台所等の湯を使用する場所の近傍に設置され、操作盤41以外は、屋外等の適所に設置されている。
【0070】
次に、上記構成による給湯装置100の作動について説明する。
【0071】
制御装置40は深夜時間帯には、安価な深夜電力を用いヒートポンプユニット20作動させ、HP出口三方弁22の吐出口10e側を開き、給湯水を循環回路21に循環、加熱して生成された高温(65℃〜90℃)の湯を吐出口10eを通して貯湯タンク10の上部から貯めていく。
【0072】
尚、ヒートポンプユニット20による湯の沸き上げ運転においては、制御装置40は、ヒートポンプサイクル20Aの作動効率を高めつつ、沸き上げ温度サーミスタ32で得られる湯の温度を設定された沸き上げ温度とするために、例えば各サーミスタ34と31との温度差が所定値(例えば10℃)となるように、また、圧力センサ35で得られる圧力、送風ファン28aの回転数等を調節してヒートポンプユニット20を運転する。
【0073】
そして、昼間の給湯使用時には、中温用混合弁14の中温取出し管13側を開き、貯湯タンク10の中間部(中温導出口10c)から貯湯された中温の湯を優先的に取出して設定温度と一致するように給湯用混合弁15、風呂用混合弁16の弁開度調節により給湯水と混合して使用する。
【0074】
しかし、ある程度貯湯タンク10内の湯量が減少した時や浴槽82への湯張り等の連続した出湯時には、ヒートポンプユニット20を作動させて高効率な中温水(50℃〜65℃)を沸き上げ、HP出口三方弁22の中温吐出管23側を開き、中温の湯を貯湯タンク10の中間部に貯湯したり、ヒートポンプユニット20による沸き上げ安定後は、ヒートポンプユニット20から、中温吐出管23、中温取出し管13を通して加熱した中温の湯を出湯に用いる。
【0075】
また、ヒートポンプユニット20が加熱した中温水の流量が足りない場合には、貯湯タンク10の中間部の中温水も混合されて同時に使用される。更に、貯湯タンク10内の中温水の湯切れ等により湯温が足りない場合には、中温用混合弁14の高温取出し管12側の開度を大きくすることにより貯湯タンク10上部の高温水も用いることにより出湯温度も確保する。
【0076】
また断続出湯等により、ヒートポンプユニット20の沸き上げ運転開始後、短時間で出湯が停止した場合には、給湯用配管17には湯が流れなくなるため、貯湯タンク10中間部に中温水が自動的に流入する。そのため給湯水栓81の出湯が停止してもヒートポンプユニット20が沸かした中温の湯をそのまま貯湯することが出来るため、ヒートポンプユニット20を停止させることなく必要湯量が貯まるまで連続的に作動させることにより高効率な運転が可能となる。
【0077】
尚、制御装置40は、浴槽82内の浴水の温度低下に対しては、湯張り後の所定時間範囲(例えば4時間)において追い焚き運転を実施し、設定温度を維持する。即ち、追い焚きサーミスタ57によって得られる浴水温度が設定温度を下回ると、制御装置40は風呂三方弁65を浴水循環回路71側に開き、風呂循環電動弁68を開き、風呂循環ポンプ69を作動させる。すると、浴槽82内の浴水は、往き管66→風呂用配管18→風呂三方弁65→浴水循環回路71→追い焚き用熱交換器72→浴水循環回路71→風呂用配管18→浴槽82を循環し、追い焚き用熱交換器72によって加熱される。そして、追い焚きサーミスタ57によって得られる浴水温度が設定温度となると、この追い焚き運転を停止させる。 上記作動の中で本発明では、一度に多量の湯が使用される浴槽82内への湯張り時の給湯制御に特徴を持たせており、以下、その詳細について、図2〜図5を用いて説明する。
【0078】
まず、図2に示すように、制御装置40は、ステップS10でユーザが操作盤41に入力する風呂自動運転(湯張り指示)の入力信号を読み取ると、ステップS20で湯張り用電磁弁61、湯張り用流量カウンタ62、フロースイッチ64等の故障がないかをチェックする。
【0079】
次に、ステップS30でヒートポンプユニット20を作動させると共に、ステップS40でHP出口三方弁22の中温吐出管23側を開く。ここでは、ヒートポンプユニット20の圧縮機25と給水ポンプ24とを同時に作動させてヒートポンプサイクル20A内の冷媒と、循環回路21内の給湯水とを同時に循環させる。そして、ステップS50で、現時点での浴槽82内の浴水の水位が、操作盤41でユーザが湯張り用に設定する設定水位のプラスマイナス10cm以内にあるか否かを、水位センサ67の水圧信号から判定する。ここで、肯定判定をするとステップS70に進み、否と判定すると、ステップS60で風呂循環ポンプ69内に浴水が満たされるように、浴槽82内に呼び水を供給する。
【0080】
次に、ステップS70で貯湯タンク10内の貯湯量(貯湯熱量Q)を複数の貯湯サーミスタ55a〜55gの温度信号から算出する。そして、ステップS80で湯張り用電磁弁61を開く。以上で、風呂自動運転(湯張り指示)の入力信号に基づく湯張りの準備が完了する。
【0081】
そして、貯湯タンク10内の湯(中温の湯)とヒートポンプユニット20によって加熱された湯との両者を混合して湯張りをする場合は、図3に示す制御フロー1(ステップS100〜ステップS160)に進む。
【0082】
即ち、ステップS100で中温用混合弁14(湯温サーミスタ52)での湯温が設定湯張り温度に対してプラス5℃となるようにヒートポンプユニット20の作動によって予め温度調節し、更には風呂用混合弁16の風呂用配管18側を開き、風呂用配管18から浴槽82に湯張りをしていく。
【0083】
次に、ステップS110で浴槽82内の水位がアダプタ82a位置となる基準水位以上となったかを水位センサ67によって判定継続し、浴槽82内の水位が基準水位以上となったと判定すると、ステップS120で基準水位および設定水位を確定する。そして、ステップS130で基準水位に対応する基準水量(基準熱量)と、設定水位となった時に設定湯張り温度とするために何度の湯をどれだけ供給すべきかという単位水量とを算出し、設定水位まで湯張りを進めていく。
【0084】
そして、ステップS140で風呂循環ポンプ69を作動させて、循環温サーミスタ56によって、浴槽82内の湯の温度を確定する。更に、ステップS150で浴槽82内の水位を判定し、水位が設定水位以上となるとステップS160で湯張りを完了する。
【0085】
一方、図2で説明した制御フローにおけるステップS80の後に、ヒートポンプユニット20によって加熱された湯のみを用いて湯張りをする場合は、図4に示す制御フロー2(ステップS200〜ステップS270)に進む。
【0086】
即ち、ステップS200で中温用混合弁14の中温取出し管13側を全開とし、ステップS210で中温用混合弁14(湯温サーミスタ52)での湯温が設定湯張り温度に対してプラス5℃となるようにヒートポンプユニット20の作動によって予め温度調節し、更には風呂用混合弁16の風呂用配管18側を開き、風呂用配管18から浴槽82に湯張りをしていく。
【0087】
次に、ステップS220で浴槽82内の水位が基準水位以上となったかを水位センサ67によって判定継続し、浴槽82内の水位が基準水位となったと判定すると、上記ステップS120〜ステップS160と同様に以下制御を行う。即ち、ステップS230で基準水位および設定水位を確定する。そして、ステップS240で基準水量(基準熱量)と単位水量とを算出し、設定水位まで湯張りを進めていく。
【0088】
そして、ステップS250で風呂循環ポンプ69を作動させて、循環温サーミスタ56によって、浴槽82内の湯の温度を確定する。更に、ステップS260で浴槽82内の水位を判定し、水位が設定水位以上となるとステップS270で湯張りを完了する。
【0089】
更に、図2で説明した制御フローにおけるステップS80の後に、ヒートポンプユニット20によって加熱された湯のみを用いて基準水位から厳密な温調を加えて湯張りをする場合は、図5に示す制御フロー3(ステップS300〜ステップS370)に進む。
【0090】
即ち、ステップS300で中温用混合弁14の中温取出し管13側を全開とし、更には風呂用混合弁16の風呂用配管18側を開き、風呂用配管18から浴槽82に湯張りをしていく。この段階ではヒートポンプユニット20からの湯温は厳密には設定湯張り温度に調節されていない。
【0091】
次に、ステップS310で浴槽82内の水位が基準水位以上となったかを水位センサ67によって判定継続し、浴槽82内の水位が基準水位となったと判定すると、上記ステップS120〜ステップS140と同様にして、ステップS320で基準水位および設定水位を確定する。そして、ステップS330で基準水量(基準熱量)と単位水量とを算出する。そして、ステップS340で風呂循環ポンプ69を作動させて、循環温サーミスタ56によって、浴槽82内の湯の温度を確定する。
【0092】
次に、ステップS350でヒートポンプユニット20での必要とされる湯の沸き上げ温度とその流量を算出し、設定水位まで厳密に温調しながら湯張りを進めていく。更に、ステップS360で浴槽82内の水位を判定し、水位が設定水位以上となるとステップS370で湯張りを完了する。
【0093】
以上のように、本実施形態においては、湯張り時のように多量の湯が使用される場合の出湯にあたって、ヒートポンプユニット20を作動させると共に、貯湯タンク10内に貯められた湯およびヒートポンプユニット20で沸き上げられた湯の両者を混合して浴槽82側に供給する、あるいは、ヒートポンプユニット20で沸き上げられた湯のみを浴槽82側に供給するようにしているので、必要湯量を確実に確保すると共に、貯湯タンク10の小型化を可能とすることができる。特に、出湯の状況に応じて、ヒートポンプユニット20で生成された湯のみを用いて供給することで出湯温度制御の煩雑さを抑制することができる。
【0094】
制御フロー2(図4)を用いることで、設定湯張り温度に応じた正確な湯張りができ、ユーザの使い勝手の向上に寄与できる。また、制御フロー3(図5)を用いることで、ヒートポンプユニット20の作動に伴うエネルギーロスを無くして、湯の供給が可能となる。
【0095】
また、ヒートポンプユニット20による湯の生成に際して、ヒートポンプサイクル20A内の冷媒と、循環回路21内の給湯水とを同時に循環させるようにしているので、ヒートポンプユニット20の作動に伴うエネルギーロスを無くして、湯の供給が可能となる。
【0096】
また、ユーザが入力する操作盤41への湯張り指示信号を受けて、湯張りを開始するようにしているので、出湯用の流量計や温度計等の出力信号入力を不要として、安価で簡素な制御が可能となる。
【0097】
尚、図2で説明した制御フローでは、湯張りにおいてヒートポンプユニット20の作動時にヒートポンプサイクル20A内の冷媒と、循環回路21内の給湯水とを同時に循環させるようにしたが、図6に示すように、ヒートポンプサイクル20A内の冷媒を循環させて安定化させた後に循環回路21内の給湯水を循環させるようにしても良い。 即ち、ステップS20でのプレチェックの後に、ステップS25でヒートポンプユニット20の圧縮機25をまず作動させてヒートポンプサイクル20A内の冷媒を循環させると共に、ステップS26でタイマーをスタートさせる。
【0098】
次に、ステップS50〜ステップS70を実行した後に、ステップS71でタイマーが所定時間(例えばヒートポンプサイクル20Aの安定する1分)経過したかを判定し、経過したと判定すると、ステップS40でHP出口三方弁22の中温吐出管23側を開く。
【0099】
そして、ステップS72で給水ポンプ24を一定回転で作動させて、循環回路21内の給湯水を循環させる。
【0100】
これにより、ユーザの設定する温度の湯を確実に供給することができる。 また、湯張りが完了した後に多量の湯が使用される場合は、風呂においてシャワーが使用されていると判定して、主として貯湯タンク10内の湯(中温の湯)のみを用いて給湯水と混合して供給するようにするのが良い。これによれば、ヒートポンプユニット20で沸き上げられた湯を使用する場合ではHP出口三方弁22の抵抗を受ける分を無くすことができるので、給湯水栓(シャワー)81における水圧低下を防止して、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0101】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を図7に示す。第2実施形態は、上記第1実施形態に対して、湯張り制御を湯張り用電磁弁61の開閉信号に基づいて開始するようにしたものである。図7に示す制御フローは、図2で説明した制御フローに対して、ステップS30、ステップS40をステップS80の後に設定して、ステップS80とステップS30との間にステップS81を新しく設けたものとしている。
【0102】
即ち、図7に示すように、制御装置40は、ステップS20でのプレチェックの後に、ステップS50〜ステップS80を実行し、ステップS81で、ステップS80における湯張り用電磁弁61の開状態形成が今日の一日のうちで最初の作動か否かを判定する。
【0103】
そして、ステップS81で最初の作動であると判定すると、ステップS30でヒートポンプユニット20を作動させると共に、ステップS40でHP出口三方弁22の中温吐出管23側を開き、湯張りの状況に応じて、制御フロー1〜制御フロー3のいずれかに進む。
【0104】
尚、ステップS81で否と判定すると、ヒートポンプユニット20を作動させずに、各制御フロー1〜3のステップS110、ステップS220、ステップS310へ進む。また、ステップS81で否と判定し、制御フロー3のステップS310に進んだ場合は、ヒートポンプユニット20を作動させていないことから、ステップS350は飛ばして制御する。
【0105】
これにより、本来風呂用配管18に必要とされる湯張り用電磁弁61の開閉状態を活用した制御が可能となり、安価で簡素な制御が可能となると共に、一日のうちの最初の湯張りに重きを置いた湯張り対応が可能となる。
【0106】
尚、上記制御に対して、ステップS81における判定内容を、湯張り用電磁弁61の開状態は一日のうちで予め定めた所定の時間帯か否かとしても良い。即ち、所定の時間帯を夕方(例えば17時〜19時等)とすることで、通常良く使用する時間帯での確実な湯張りが可能となる。
【0107】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態を図8に示す。第3実施形態は、上記第1、第2実施形態のように、ヒートポンプユニット20を作動させて浴槽82への湯張りを実行した後の出湯について制御を加えたものである。
【0108】
即ち、図8に示すように、制御装置40は、ステップS10でユーザが操作盤41に入力する風呂自動運転(湯張り指示)の入力信号を読み取ると、ステップS30でヒートポンプユニット20を作動させる。
【0109】
次に、ステップS40Aで風呂湯張りのロジック(制御)を開始すると共に、ステップS50Aでタイマーをスタートさせる。そして、設定水位までの浴槽82内への湯張りが完了するとステップS60Aでヒートポンプユニット20の作動を停止し、更にステップS70Aで風呂湯張りのロジック(制御)を終了させる。
【0110】
次に、ステップS80Aで貯湯タンク10からの優先取出しを開始し、ステップS90AでタイマーアップとなるとステップS95Aで貯湯タンク10からの優先取出しを終了する。
【0111】
即ち、風呂湯張りが完了して、タイマーアップとなる所定時間の間は、出湯においてヒートポンプユニット20を作動させずに、貯湯タンク10内の湯を優先して使用する。
【0112】
これにより、湯張りの後は多量に湯が使用される可能性は低くなるので、予め貯湯タンク10に貯めた湯を使用していくことで、ヒートポンプユニット20の使用エネルギーを低減することができる。
【0113】
尚、湯張りを実行する時間帯が、深夜の沸き上げ運転を行う深夜時間帯(本発明における所定時間帯に対応)の開始時刻(例えば23時)に近いほど、タイマーの設定時間を長くして、貯湯タンク10内の湯を優先して使用する時間を長く設定するのが良い。例えば朝に湯張りをした場合は貯湯タンク10の優先使用時間を2時間とし、夕方に湯張りをした場合は貯湯タンクの優先使用時間を6時間とする等である。
【0114】
これにより、深夜時間帯での沸き上げ運転までに、貯湯タンク10内の湯を積極的に使用して残湯を少なくすることができるので、沸き上げ時の水の温度を低温側にして、ヒートポンプユニット20の成績係数を向上させた作動が可能となる。
【0115】
(他の実施形態)
上記第1〜第3実施形態では浴槽82への湯張りを対象にして、貯湯タンク10およびヒートポンプユニット20を用いた出湯の制御を説明したが、湯張りに限らず、予め定めた湯量を超えるような場合に本制御を用いるようにしても良い。
【0116】
また、給湯装置100の浴水追い焚き装置70における追い炊き用熱交換器は、図9に示すように、貯湯タンク10の外部に配設されて、貯湯タンク10の外部(高温部から循環回路21)を循環する高温の湯を加熱源としたもの(追い炊き用熱交換器72a)や、図10に示すように、ポンプ72cによって貯湯タンク10の外部(高温部から中温部)を循環する高温の湯を加熱源としたもの(追い焚き用熱交換器72b)等としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】第1実施形態におけるヒートポンプ式給湯装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】制御装置が湯張り時に実行する制御フローチャートである(ヒートポンプサイクルおよび循環回路を同時運転)。
【図3】制御装置が湯張り時に貯湯タンクおよびヒートポンプユニットの湯を混合して出湯する場合の制御フローチャート(制御フロー1)である。
【図4】制御装置が湯張り時にヒートポンプユニットの湯のみを用いて初めから温調して出湯する場合の制御フローチャート(制御フロー2)である。
【図5】制御装置が湯張り時にヒートポンプユニットの湯のみを用いて途中から温調して出湯する場合の制御フローチャート(制御フロー3)である。
【図6】制御装置が湯張り時に実行する制御フローチャートである(ヒートポンプサイクルを先に運転した後に循環回路を運転)。
【図7】制御装置が湯張り時に実行する制御フローチャートである(湯張り用電磁弁が開状態でヒートポンプサイクル運転)。
【図8】制御装置が湯張り後に貯湯タンク内の湯を優先して出湯するための制御フローチャートである。
【図9】その他の実施形態におけるヒートポンプ式給湯装置の概略構成を示す模式図である(変形例1)。
【図10】その他の実施形態におけるヒートポンプ式給湯装置の概略構成を示す模式図である(変形例2)。
【符号の説明】
【0118】
10 貯湯タンク
18 風呂用配管(湯張り配管)
20 ヒートポンプユニット(ヒートポンプ装置)
40 制御装置(制御手段)
41 操作盤(風呂リモコン)
61 湯張り用電磁弁(開閉弁)
81 給湯水栓(端末)
82 浴槽(端末)
100 ヒートポンプ式給湯装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に給湯用の湯を貯える貯湯タンク(10)と、
水を沸き上げて前記湯とするヒートポンプ装置(20)と、
前記ヒートポンプ装置(20)の作動を制御する制御手段(40)とを有するヒートポンプ式給湯装置において、
前記制御手段(40)は、ユーザが使用する端末(81、82)への出湯要求があると、前記ヒートポンプ装置(20)を作動させると共に、前記貯湯タンク(10)内に貯められた湯および前記ヒートポンプ装置(20)で沸き上げられた湯の両者を混合して前記端末(81、82)側に供給する、
あるいは、前記ヒートポンプ装置(20)で沸き上げられた湯のみを前記端末(81、82)側に供給することを特徴とするヒートポンプ式給湯装置。
【請求項2】
前記制御手段(40)は、前記ヒートポンプ装置(20)で沸き上げられた湯のみを前記端末(81、82)側に供給する際には、初めからユーザの設定温度に応じた湯温に調整して供給することを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ式給湯装置。
【請求項3】
前記制御手段(40)は、前記ヒートポンプ装置(20)で沸き上げられた湯のみを前記端末(81、82)側に供給する際には、初めに前記ヒートポンプ装置(20)の立ち上がり能力に応じた湯温で供給し、その後に最終的にユーザの設定温度に応じたトータル熱量となるように湯温および流量を調整して供給することを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ式給湯装置。
【請求項4】
前記制御手段(40)は、前記ヒートポンプ装置(20)による湯の沸き上げに際して、前記ヒートポンプ装置(20)内の作動流体と、前記作動流体によって加熱される前記水とを同時に循環させることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のヒートポンプ式給湯装置。
【請求項5】
前記制御手段(40)は、前記ヒートポンプ装置(20)による湯の沸き上げに際して、前記ヒートポンプ装置(20)内の作動流体を循環させて安定化させた後に、前記作動流体によって加熱される前記水を循環させることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のヒートポンプ式給湯装置。
【請求項6】
前記出湯要求は、浴槽(82)への湯張りの要求であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のヒートポンプ式給湯装置。
【請求項7】
前記湯張りの要求は、前記浴槽(82)に繋がる湯張り配管(18)に配設されて、この湯張り配管(18)を開閉する開閉弁(61)が開状態となった場合としたことを特徴とする請求項6に記載のヒートポンプ式給湯装置。
【請求項8】
前記開閉弁(61)の開状態は、一日のうちで最初に開状態となった場合であることを特徴とする請求項7に記載のヒートポンプ式給湯装置。
【請求項9】
前記開閉弁(61)の開状態は、一日のうちで予め定めた時間帯に開状態となった場合であることを特徴とする請求項7に記載のヒートポンプ式給湯装置。
【請求項10】
前記湯張りの要求は、ユーザが操作する風呂リモコン(41)による湯張り指示が出された場合であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のヒートポンプ式給湯装置。
【請求項11】
前記制御手段(40)は、前記湯張りの要求により、前記湯を前記端末(81、82)側に供給した後は、前記貯湯タンク(10)内の湯を優先して使用することを特徴とする請求項6〜請求項10のいずれか1つに記載のヒートポンプ式給湯装置。
【請求項12】
前記制御手段(40)は、深夜の所定時間帯に前記貯湯タンク(10)内の前記水を前記ヒートポンプ装置(20)によって沸き上げするようにしており、
前記湯張りの要求により、前記湯を前記端末(81、82)側に供給した時間帯が前記所定時間帯の開始時刻に近いほど、前記貯湯タンク(1)内の湯を優先して使用する時間を長く設定することを特徴とする請求項11に記載のヒートポンプ式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−32944(P2007−32944A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−217908(P2005−217908)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究に係る特許出願(平成17年度独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 エネルギー使用合理化技術戦略的開発/エネルギー使用合理化技術実用化開発/エジェクタ技術を用いたCO2ヒートポンプ給湯器の小型化開発に係る共同研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】