説明

ヒートポンプ装置

【課題】設置面積や体積の増加を抑制することができるヒートポンプ装置を提供する。
【解決手段】冷媒を圧縮するターボ圧縮機5と、圧縮された冷媒を液化させる凝縮器2と、液化された冷媒を蒸発させる蒸発器4と、が設けられたヒートポンプ装置1であって、凝縮器2および蒸発器4は、直方体状に形成されたプレート式熱交換器であり、プレート式熱交換器である凝縮器2とプレート式熱交換器である蒸発器4とが並んで配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプ装置、特にターボ冷凍機を用いたヒートポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ヒートポンプ装置に用いられるターボ冷凍機における熱交換器としては、シェルアンドチューブ式の熱交換器が用いられている。そして、当該熱交換器の上部、もしくは、側面に圧縮機が配置されるのが一般的であった(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
その一方で、一般にシェルアンドチューブ式の熱交換器は円筒形の容器であり、高圧冷媒が貯留される容器として、その薄肉化を図るには有利な形状であることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−292011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ヒートポンプ装置における構成要素の配置を考える場合には、円筒形容器の周囲に活用できない空間、つまり隙間が発生しやすい。そのため、ヒートポンプ装置の設置面積や、体積を増加させやすいという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、設置面積や体積の増加を抑制することができるヒートポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明のヒートポンプ装置は、冷媒を圧縮するターボ圧縮機と、圧縮された冷媒を液化させる凝縮器と、液化された冷媒を蒸発させる蒸発器と、が設けられたヒートポンプ装置であって、前記凝縮器および前記蒸発器は、プレート式熱交換器であることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、直方体状に形成することができるプレート式熱交換器を用いることにより、ヒートポンプ装置における他の構成要素を配置する際に、凝縮器および蒸発器と、他の構成要素との間に隙間を発生させにくくなる。そのため、ヒートポンプ装置における設置面積や体積の増加を抑制することができる。
【0009】
上記発明においては、前記ターボ圧縮機を駆動制御する制御部と、前記ターボ圧縮機から吐出された冷媒から潤滑油を分離する油分離部と、前記蒸発器から流出した冷媒が流入し、気体冷媒と液体冷媒とを分離し、該気体冷媒のみを前記蒸発器に供給する気液分離部と、が設けられ、前記凝縮器および前記蒸発器が並べて配置されるとともに、前記油分離部が、前記凝縮器および前記蒸発器と同一平面上に配置され、前記蒸発器および前記蒸発器の一方の上方に前記制御部が配置され、前記凝縮器および前記蒸発器の他方の上方に前記気液分離部が配置され、前記油分離部の上方に前記ターボ圧縮機が配置されていることが望ましい。
【0010】
本発明によれば、他の構成要素と比較して体積が大きな凝縮器および蒸発器を並べて置くことにより、ヒートポンプ装置における設置面積の増大を防止することができる。
【0011】
その一方で、制御部を凝縮器および蒸発器の一方の上方に配置することで、制御部を冷却する空気の流路を確保することが容易となる。
【0012】
さらに、気液分離部を凝縮器および蒸発器の他方の上方に配置することにより、ヒートポンプ装置を停止した際に、気液分離部の内部の冷媒が蒸発器に流入するため、気液分離部に冷媒が溜まることを防止することができる。
【0013】
油分離部の上方にターボ圧縮機を配置すること、言い換えると、ターボ圧縮機の下方に油分離部を配置することにより、ヒートポンプ装置を停止した際に、ターボ圧縮機の内部の冷媒が油分離部に流入するため、ターボ圧縮機に冷媒が溜まることを防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のヒートポンプ装置によれば、直方体状に形成することができるプレート式熱交換器を用いることにより、設置面積や体積の増加を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るヒートポンプ装置における回路構成を説明する模式図である。
【図2】図1のヒートポンプ装置の内部における配置を説明する正面図である。
【図3】図2のヒートポンプ装置の内部における配置を説明する右側面図である。
【図4】図2のヒートポンプ装置の内部における配置を説明する左側面図である。
【図5】図2のヒートポンプ装置の内部における配置を説明する上面図である。
【図6】図2のヒートポンプ装置の内部における配置を説明する背面図である。
【図7】図1のヒートポンプ装置の外観を説明する正面図である。
【図8】図7のヒートポンプ装置の外観を説明する右側面図である。
【図9】図7のヒートポンプ装置の外観を説明する左側面図である。
【図10】図7のヒートポンプ装置の外観を説明する上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の一実施形態に係るヒートポンプ装置について、図1から図10を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るヒートポンプ装置における回路構成を説明する模式図である。
ヒートポンプ装置1は、略直方体状に構成されたものであって、熱源水の供給を受け、温水を供給するものである。
ヒートポンプ装置1には、図1に示すように、凝縮器2と、膨張弁3と、蒸発器4と、ターボ圧縮機5と、インバータ部(制御部)6と、油ミスト分離タンク(油分離部)7と、油タンク8と、が主に設けられている。
【0017】
図2は、図1のヒートポンプ装置の内部における配置を説明する正面図である。図3は、図2のヒートポンプ装置の内部における配置を説明する右側面図である。図4は、図2のヒートポンプ装置の内部における配置を説明する左側面図である。図5は、図2のヒートポンプ装置の内部における配置を説明する上面図である。図6は、図2のヒートポンプ装置の内部における配置を説明する背面図である。
【0018】
凝縮器2は、略直方体状に形成されたプレート式熱交換器であって、ターボ圧縮機5から吐出された高温高圧の冷媒を冷却して凝縮させるものである。言い換えると、冷媒と温水との間で熱交換を行い、冷媒を液化させるとともに、温水を加熱するものである。凝縮器2は、一方の端部が油ミスト分離タンク7を介してターボ圧縮機5の吐出部と冷媒が流通可能に接続され、他方の端部が中間冷却器9を介して膨張弁3と冷媒が流通可能に接続されている。
【0019】
凝縮器2は、図3および図6に示すように、長方形状に構成されたベース部F1の長手方向(図6の左右方向)における一方の端部側(図6における左端部側)であって、背面側(図3における右側)の端部に配置され、蒸発器4と並んで配置されている。
【0020】
言い換えると、凝縮器2は、ベース部F1の上方、かつ、アキュムレータ10の下方であって、油ミスト分離タンク7と上述の長手方向に隣接する位置に配置されているとともに、蒸発器4と長手方向と直交する方向に隣接する位置に配置されている。
【0021】
凝縮器2における一方の端部側の側面には、凝縮器2により加熱される前の温水が流入する温水入口21が下方に、凝縮器2により加熱されたあとの温水が流出する温水出口22が上方に設けられている。
【0022】
中間冷却器9は、略円柱状に形成された凝縮器2から流出した冷媒をさらに冷却する熱交換器である。中間冷却器9における一方の端部は、凝縮器2と冷媒が流通可能に接続され、他方の端部は、膨張弁3と冷媒が流通可能に接続されている。
【0023】
本実施形態では、中間冷却器9において、凝縮器2から流出した冷媒の一部を断熱膨張させて低温低圧とした冷媒と、膨張弁3に供給される冷媒との間で熱交換が行われる例に適用して説明する。この場合、膨張弁3の冷却に用いられた冷媒は、ターボ圧縮機5に流入する。
なお、中間冷却器9の構成としては公知の構成を用いることができ、特に限定するものではない。
【0024】
中間冷却器9は、図2から図5に示すように、ヒートポンプ装置1の中段における一方の端部側(図2の右端部側)であって、正面側(図3の左側)の端部に配置されている。
【0025】
言い換えると、中間冷却器9は、蒸発器4の上方、かつ、インバータ部6の下方であって、油タンク8と長手方向に隣接するとともに、アキュムレータ10と長手方向と直交する方向に隣接する位置に配置されている。
【0026】
このようにすることで、中間冷却器9を蒸発器4の上方に配置することにより、ヒートポンプ装置1が停止した際に、中間冷却器9の内部の冷媒は蒸発器4に流入するため、中間冷却器9に冷媒が溜まることを防止することができる。
【0027】
膨張弁3は、中間冷却器9を介して凝縮器2から供給された冷媒を断熱膨張させ、その圧力減圧させる弁である。膨張弁3の一方の端部は中間冷却器9と冷媒が流通可能に接続され、他方の端部は、蒸発器4と冷媒が流通可能に接続されている。
なお、膨張弁3としては、公知のものを用いることができ、特に限定するものではない。
【0028】
蒸発器4は、略直方体状に形成されたプレート式熱交換器であって、膨張弁3により断熱膨張された冷媒を蒸発させるものである。言い換えると、冷媒と熱源水との間で熱交換を行うことで、熱源水の熱を冷媒に与え、冷媒を気化させるものである。蒸発器4は、一方の端部が膨張弁3と冷媒が流通可能に接続され、他方の端部がアキュムレータ(気液分離部)10を介してターボ圧縮機5の吸入部に接続されている。
【0029】
蒸発器4は、図2および図3に示すように、長方形状に構成されたベース部F1の長手方向(図2の左右方向)における一方の端部側(図2における右端部側)であって、正面側(図3における左側)に配置され、凝縮器2と並んで配置されている。さらに、蒸発器4は、凝縮器2と比較して、ヒートポンプ装置1の中央より(図2の左より)に配置されている。
【0030】
言い換えると、蒸発器4は、ベース部F1の上方、かつ、中間冷却器9の下方であって、操作盤11と長手方向に隣接するとともに、凝縮器2および油ミスト分離タンク7と長手方向と直交する方向に隣接する位置に配置されている。
【0031】
蒸発器4における一方の端部側の側面には、蒸発器4により吸熱される前の熱源水が流入する熱源水入口41が上方に、蒸発器4により吸熱されたあとの熱源水が流出する熱源水出口42が下方に設けられている。
【0032】
操作盤11は、ヒートポンプ装置1における各種機器を制御する操作機器等が集積されたものであって、操作機器等を内部に収納する略直方体状の筐体を有している。
操作盤11は、図2,図4および図6に示すように、長方形状に構成されたベース部F1の長手方向における他方の端部側(図2における左端部側)配置されている。
【0033】
言い換えると、操作盤11は、ベース部F1の上方、かつ、油タンク8の下方であって、蒸発器4および油ミスト分離タンク7と長手方向に隣接した位置に配置されている。
このようにすることで、操作盤11をヒートポンプ装置1における熱気がこもらない位置に配置することができる。
【0034】
アキュムレータ10は、略円柱状に形成され、蒸発器4から流出した冷媒に含まれる液体冷媒と気体冷媒とを分離し、気体冷媒のみをターボ圧縮機5に供給するものである。アキュムレータ10における一方の端部は、蒸発器4と冷媒が流通可能に接続され、他方の端部は、ターボ圧縮機5と冷媒が流通可能に接続されている。
【0035】
アキュムレータ10は、図3、図5および図6に示すように、ヒートポンプ装置1の上部(図6の上方)から中部にわたる位置における一方の端部側(図6の左端部側)であって、背面側(図5の上側)に配置されている。
【0036】
言い換えると、アキュムレータ10は、凝縮器2の上方であって、ターボ圧縮機5と長手方向に隣接するとともに、中間冷却器9およびインバータ部6と長手方向と直交する方向に隣接する位置に配置されている。
なお、アキュムレータ10としては、公知のものを用いることができ、特に限定するものではい。
【0037】
ターボ圧縮機5は、アキュムレータ10を介して蒸発器4において気化した冷媒を吸入し、圧縮した後に油ミスト分離タンク7を介して凝縮器2に吐出するものである。ターボ圧縮機5における冷媒が流入する吸入部がアキュムレータ10を介して蒸発器4に接続され、冷媒が流出する吐出部が油ミスト分離タンク7を介して凝縮器2に接続されている。
【0038】
ターボ圧縮機5は、回転駆動力を供給する電動機51と一体に構成され、電動機51は、インバータ部6から供給される電力により回転駆動されるとともに、回転速度が制御されている。
【0039】
ターボ圧縮機5および電動機51は、図4から図6に示すように、ヒートポンプ装置1の上部(図6の上方)における他方の端部側(図6の右端部側)であって、背面側(図5の上側)に配置されている。
【0040】
言い換えると、ターボ圧縮機5および電動機51は、油ミスト分離タンク7および油タンク8の上方であって、インバータ部6と長手方向に隣接する位置に配置されている。
なお、ターボ圧縮機5および電動機51としては、公知のものを用いることができ、特に限定するものではない。
【0041】
インバータ部6は、電動機51に電力を供給するとともに、電動機51の回転速度を制御するものであって、略直方体状に形成された筐体を有するものである。
インバータ部6は、図2から図5に示すように、ヒートポンプ装置1の上部(図2の上方)における一方の端部側(図2の右端部側)であって、正面側(図5の下側)に配置されている。
【0042】
言い換えると、インバータ部6は、中間冷却器9の上方であって、アキュムレータ10、ターボ圧縮機5および電動機51と長手方向と直交する方向に隣接する位置に配置されている。
なお、インバータ部6としては、公知のものを用いることができ、特に限定するものではない。
【0043】
油ミスト分離タンク7は、略円柱状に形成され、ターボ圧縮機5から吐出された冷媒に含まれる潤滑油や、潤滑油のミストを、冷媒から分離するものである。油ミスト分離タンク7は、一方の端部がターボ圧縮機5の吐出部に冷媒が流通可能に接続され、他方の端部が凝縮器2に接続されている。
さらに、油ミスト分離タンク7は、冷媒から分離した潤滑油を油タンク8に供給するものでもある。
【0044】
油ミスト分離タンク7は、図6に示すように、ベース部F1の長手方向における他方の端部側(図6における右端部側)であって、背面側の端部に配置されている。
【0045】
言い換えると、油ミスト分離タンク7は、ベース部F1の上方、かつ、ターボ圧縮機5および電動機51の下方であって、蒸発器4と長手方向と直交する方向に隣接する位置に配置されている。
なお、油ミスト分離タンク7としては、公知のものを用いることができ、特に限定するものではない。
【0046】
油タンク8は、略円柱状に形成され、ターボ圧縮機5の潤滑に用いられる潤滑油を貯留するとともに、ターボ圧縮機5に潤滑油を供給し、かつ、ターボ圧縮機5から排出された潤滑油が流入するものである。油タンク8は、ターボ圧縮機5との間で潤滑油の供給および受取が可能に接続されているとともに、油ミスト分離タンク7から潤滑油が供給されるように接続されている。
【0047】
油タンク8は、図2、および、図4から図6に示すように、ヒートポンプ装置1の中段であって、他方の端部側(図2の左端部側)に配置されている。
言い換えると、油タンク8は、操作盤11の上方、かつ、電動機51の下方であって、中間冷却器9と長手方向に隣接する位置に配置されている。
このようにすることで、ターボ圧縮機5から油タンク8に潤滑油が戻りやすくなる。
【0048】
さらに、ヒートポンプ装置1には、図2から図6に示すように、凝縮器2や、蒸発器4や、ターボ圧縮機5や、インバータ部6などを支持するベース部F1と、縦主フレームF2と、横主フレームF3と、縦副フレームF4と、横副フレームF5と、が設けられている。
【0049】
ベース部F1は、ヒートポンプ装置1を構成する他の全ての構成要素を支持する部材であって、金属から形成された棒状の部材を略長方形状に組み合わせたものである。
ベース部F1の上面には、図2から図6に示すように、凝縮器2、蒸発器4、油ミスト分離タンク7、および、操作盤11が配置されているとともに、複数の縦主フレームF2および縦副フレームF4が取り付けられている。
【0050】
縦主フレームF2は、ベース部F1からヒートポンプ装置1の上端まで延びる棒状の部材であり、ヒートポンプ装置1を吊り上げた際に、横主フレームF3およびベース部F1とともに他の構成要素を支持するものである。
縦主フレームF2は、図2から図6に示すように、ベース部F1における一対の長辺にそれぞれ2本ずつ、かつ、各長辺の中央から所定の距離だけ離れた位置に配置されている。
さらに、4本の縦主フレームF2それぞれの上端には吊り部12が設けられている。
【0051】
横主フレームF3は、縦主フレームF2の間をベース部F1における短辺に沿って延び、一の長辺に配置された縦主フレームF2と、他の長辺に配置された縦主フレームF2とを接続する棒状の部材である。言い換えると、横主フレームF3は、縦主フレームF2とともに梯子状の構造を構成するものである。
さらに、横主フレームF3は、縦主フレームF2とともに、インバータ部6、ターボ圧縮機5、電動機51、および、油タンク8を支持するものでもある。
【0052】
具体的には、一の長辺に配置された縦主フレームF2と、他の長辺に配置された縦主フレームF2との間に2本の横主フレームF3が配置されている。つまり、ヒートポンプ装置1全体としては4本の横主フレームF3が設けられている。
【0053】
上方の横主フレームF3は、インバータ部6、ターボ圧縮機5および電動機51の下方、かつ、中間冷却器9の上方に配置されている。下方の横主フレームF3は、中間冷却器9の下方、かつ、蒸発器4および凝縮器2の上方に配置されている。
【0054】
縦副フレームF4は、横副フレームF5とともにアキュムレータ10および中間冷却器9などを支持するものである。縦副フレームF4は、ベース部F1から上方に向かって延びる棒状の部材であって、凝縮器2および蒸発器4の上方、かつ、アキュムレータ10および中間冷却器9の下方の空間まで延びている。
【0055】
横副フレームF5は、縦副フレームF4とともにアキュムレータ10および中間冷却器9などを支持するものである。縦副フレームF4は、縦副フレームF4に対して略直交する方向に延びる棒状の部材であって、凝縮器2および蒸発器4の上方、かつ、アキュムレータ10および中間冷却器9の下方の空間に配置されたものである。
【0056】
図7は、図1のヒートポンプ装置の外観を説明する正面図である。図8は、図7のヒートポンプ装置の外観を説明する右側面図である。図9は、図7のヒートポンプ装置の外観を説明する左側面図である。図10は、図7のヒートポンプ装置の外観を説明する上面図である。
【0057】
さらに、ヒートポンプ装置1には、図7から図10に示すように、凝縮器2や、蒸発器4や、ターボ圧縮機5や、縦主フレームF2や、横主フレームF3や、縦副フレームF4や、横副フレームF5などを内部に収納する外板13が設けられている。
【0058】
ヒートポンプ装置1の上部には、図7から図9に示すように、ヒートポンプ装置1を搬送する際に用いられる吊り部12が、外部に露出されている。吊り部12は、縦主フレームF2の上端に固定された部材であり、ヒートポンプ装置1を吊り上げた際に吊り部12に働く力は、縦主フレームF2を介して、横主フレームF3およびベース部F1に伝達される。
【0059】
その一方で、図7,図8および図10に示すように、ヒートポンプ装置1の一方の端部側(図7の右端部側)の下方には、熱源水入口41、熱源水出口42、温水入口21、および、温水出口22が外部に突出している。
【0060】
さらに、一方の端部側の上方には、外部から電力が供給される電源箱14が配置されている。電源箱14に供給された電力はヒートポンプ装置1の運転に用いられ、特に、インバータ部6を介して電動機51に供給される。
【0061】
その一方で、図9に示すように、ヒートポンプ装置1の他方の端部側(図7の左端部側)の下方には、操作盤11が外部に露出されている。
【0062】
次に、上記の構成からなるヒートポンプ装置における温水の供給について、図1などを参照しながら説明する。
ヒートポンプ装置1から温水を供給する場合には、外部からインバータ部6に電力が供給され、インバータ部6により電動機51が回転駆動され、ターボ圧縮機5が冷媒の圧縮を行う。
【0063】
ターボ圧縮機5により圧縮された高温高圧の気体冷媒は、ターボ圧縮機5の吐出部から吐出され、油ミスト分離タンク7に流入する。油ミスト分離タンク7では、冷媒に含まれる潤滑油のミストが、冷媒から分離される。潤滑油のミストが分離された冷媒は、油ミスト分離タンク7から凝縮器2に流入する。
【0064】
凝縮器2では、高温の冷媒と、外部から供給された、例えば約75℃の温水との間で熱交換が行われる。高温の冷媒は温水に熱を放出することにより、凝縮して液化する。その一方で、温水は、高温の冷媒から熱を吸収して、例えば約80℃の温水となり、凝縮器2から外部に流出する。
【0065】
凝縮器2で液化した冷媒は、凝縮器2から流出して中間冷却器9に流入する。中間冷却器9では、流入した冷媒の一部を分流し、断熱膨張させて低温低圧の冷媒を生成する。そして、分流された低温の冷媒と、その他の冷媒との間で熱交換を行い、その他の冷媒をさらに冷却する。
分流された冷媒は、その他の冷媒の冷却に用いられた後、ターボ圧縮機5の吸入部に流入する。
【0066】
中間冷却器9により冷却された冷媒は膨張弁3に向かって流れ、膨張弁3を通過する際に断熱膨張され、低温低圧の液体冷媒となる。断熱膨張された冷媒は、蒸発器4に流入する。
【0067】
蒸発器4では、低温の冷媒と、外部から供給された、例えば約45℃の熱源水との間で熱交換が行われる。低温の冷媒は、熱源水から熱を吸収することにより、蒸発して気化する。その一方で、熱源水は、低温の冷媒に放熱して、例えば約40℃の熱源水となり、蒸発器4の外部に流出する。
【0068】
蒸発した気体冷媒は、蒸発器4からアキュムレータ10に流入する。アキュムレータ10では、気体冷媒とともに蒸発器4から流出した液体冷媒が、気体冷媒から分離され、気体冷媒のみがアキュムレータ10から流出する。
【0069】
アキュムレータ10において液体冷媒が分離された気体冷媒は、ターボ圧縮機5の吸入部に流入し、ターボ圧縮機5により圧縮され、再び、吐出部から高圧の冷媒として吐出され、上述のサイクルが繰り返される。
【0070】
その一方で、ターボ圧縮機5には、油タンク8から潤滑油が供給され、潤滑油はターボ圧縮機5における摺動部の潤滑に用いられる。潤滑に用いられた潤滑油は、ターボ圧縮機5から油タンク8に戻され、再び、油タンク8からターボ圧縮機5に供給される。
【0071】
ここで、ターボ圧縮機5において潤滑に用いられた潤滑油の一部は、冷媒とともに油ミスト分離タンク7に向かって流出する。流出した潤滑油は、油ミスト分離タンク7において冷媒と分離される。冷媒から分離された潤滑油は、油ミスト分離タンク7から油タンク8に戻される。
【0072】
上記の構成によれば、直方体状に形成することができるプレート式熱交換器を、凝縮器2および蒸発器4として用いることにより、ヒートポンプ装置1における他の構成要素を配置する際に、凝縮器2および蒸発器4と、他の構成要素との間に隙間を発生させにくくなる。そのため、ヒートポンプ装置1における設置面積や体積の増加を抑制することができる。
具体的には、他の構成要素と比較して体積が大きな凝縮器2および蒸発器4を並べて置くことにより、ヒートポンプ装置1における設置面積の増大を防止しやすくなる。
【0073】
その一方で、インバータ部6を蒸発器4の上方に配置することで、インバータ部6を冷却する空気の流路を確保することが容易となる。
【0074】
さらに、アキュムレータ10を凝縮器2の上方に配置することにより、ヒートポンプ装置1を停止した際に、アキュムレータ10の内部に溜まった冷媒が蒸発器4に流入するため、アキュムレータ10に冷媒が溜まることを防止することができる。
【0075】
油ミスト分離タンク7の上方にターボ圧縮機5を配置すること、言い換えると、ターボ圧縮機5の下方に油ミスト分離タンク7を配置することにより、ヒートポンプ装置1を停止した際に、ターボ圧縮機5の内部の冷媒が油ミスト分離タンク7に流入するため、ターボ圧縮機5に冷媒が溜まることを防止することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 ヒートポンプ装置
2 凝縮器
4 蒸発器
5 ターボ圧縮機
6 インバータ部(制御部)
7 油ミスト分離タンク(油分離部)
10 アキュムレータ(気液分離部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮するターボ圧縮機と、
圧縮された冷媒を液化させる凝縮器と、
液化された冷媒を蒸発させる蒸発器と、
が設けられたヒートポンプ装置であって、
前記凝縮器および前記蒸発器は、プレート式熱交換器であることを特徴とするヒートポンプ装置。
【請求項2】
前記ターボ圧縮機を駆動制御する制御部と、
前記ターボ圧縮機から吐出された冷媒から潤滑油を分離する油分離部と、
前記蒸発器から流出した冷媒が流入し、気体冷媒と液体冷媒とを分離し、該気体冷媒のみを前記蒸発器に供給する気液分離部と、
が設けられ、
前記凝縮器および前記蒸発器が並べて配置されるとともに、前記油分離部が、前記凝縮器および前記蒸発器と同一平面上に配置され、
前記蒸発器および前記蒸発器の一方の上方に前記制御部が配置され、
前記凝縮器および前記蒸発器の他方の上方に前記気液分離部が配置され、
前記油分離部の上方に前記ターボ圧縮機が配置されていることを特徴とする請求項1記載のヒートポンプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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