説明

ビタミンD3、ビタミンD2、およびこれらの代謝体の定量分析

ビタミンD2、ビタミンD3、ならびにビタミンD2およびビタミンD3のモノヒドロキシおよびジヒドロキシ代謝体の定量は、分析物をマススペクトロメトリー(MS)タグ化試薬で標識し、かつ標識分析物のLC−MSMS分析を行なうことを含むことができる。標識分析物は、標識標準を含むことができ、かつ逆相カラムでの異なる保持時間、および異なる質量を有することができる。高エネルギー衝突下で、レポーター基を発生させることができる。各々のレポーター基について検出される強度またはピーク面積を定量に用いることができる。いくつかの実施形態では、ジエノフィルを含有する標識ディールス・アルダー試薬である1段階タグ化試薬を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2010年1月25日に出願された、先願米国仮特許出願第61/297,917号明細書の利益を主張する。
【0002】
本教示は、マススペクトロメトリーおよびマススペクトロメトリーに有用なタグ化試薬の分野に関するものである。
【背景技術】
【0003】
ビタミンD3、ビタミンD2、ならびに25−ヒドロキシおよび1,25ジヒドロキシ類似体などのビタミンD3およびビタミンD2の代謝体を含む、ビタミンDファミリーの代謝体の分析は、これらの分析物が血漿などの測定基質中に低レベルで存在するために、従来は困難であった。ビタミンD3、ビタミンD2、およびそれらの代謝体の従来の分析方法は、さらなる欠点を有する。ビタミンD3およびその代謝体を分析するために用いられるイムノアッセイおよびLC/UV法は、例えば、特異的ではなく、試料処理が複雑である。また、分析物の誘導体化を利用するためにLC/MSMSを伴う戦略は、アッセイが臨床状況で実行可能とされるのに必要な検出限界を達成しておらず、多重化能も欠いている(Shimada,et.al.,Analyst,December 1991,Vol 116,1393−1397;Higashi et al.,Chem.Pharm.Bull.,54(11),1479−1485(2006))。これらの欠点を克服する、これらの分析物を定量する方法の必要性が存在する。
【0004】
誘導体化に利用することができる、ビタミンD3、ビタミンD2、ならびにビタミンD3およびビタミンD2の代謝体中の2つの官能基が、ヒドロキシル基と共役ジエン官能基とを含むことが分かっている。ShimadaらおよびHigashiらにより記載されているクックソン試薬は、ディールス・アルダー化学を利用して、ビタミンD3、ビタミンD2、およびそれらの代謝体中のジエン官能基を通してトリアゾロン誘導体を付加する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
様々な実施形態によって、本教示の方法は、本明細書でビタミンD分析物と総称される、ビタミンD2、ビタミンD3、およびそれらの代謝体を定量する方法を提供する。この代謝体は、例えば、ビタミンD2およびビタミンD3のモノヒドロキシおよびジヒドロキシ代謝体を含むことができる。ビタミンD2、ビタミンD3、ならびにビタミンD2およびビタミンD3のモノヒドロキシおよびジヒドロキシ代謝体の定量は、マススペクトロメトリー(MS)タグ化試薬を用いる分析物の標識、および多重反応モニタリング(MRM)作業フローを用いる標識分析物のLC−MSMS分析を含むことができる。標識分析物は、逆相カラム上での異なる保持時間と、異なる質量とを有することができる。高エネルギー衝突下で、レポーター基を生成させることができる。各レポーター基について検出される強度またはピーク面積を同定にだけでなく、定量にも用いることができる。
【0006】
いくつかの実施形態では、ビタミンD分析物のファミリー中のジエン官能基を利用する2段階誘導体化プロセスを提供する。いくつかの実施形態では、ビタミンD分析物は、1段階プロセスで誘導体化される。試験試料中の分析物の定量は、LC−MSMSおよびMRM作業フローを用いて達成することができる。試薬設計によって、アッセイの感度が高まり、多重化能が提供される。
【0007】
本教示は、添付の図面を参照してより完全に理解されるであろう。図面は、本教示を説明するためのものであって、限定するためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本教示の様々な実施形態によるビタミンD分析物を標識するために用いることができる2段階化学反応の反応スキームを示す。
【図2A】本教示の様々な実施形態による4重アッセイで用いることができる4つのアミノキシタグ化試薬の例示的セットを示す。
【図2B】本教示の様々な実施形態による4重アッセイで用いることができる4つのアミノキシタグ化試薬の例示的セットを示す。
【図3A】本教示の様々な実施形態による、荷電分析物種をレポーターイオンとして残すアミノキシ試薬を用いて、モノヒドロキシビタミンD3のレポーターイオンを生成させるフラグメンテーションパターンを示す反応スキームである。
【図3B】本教示の様々な実施形態による、荷電分析物種をレポーターイオンとして残すアミノキシ試薬を用いて、ジヒドロキシビタミンD3のレポーターイオンを生成させるフラグメンテーションパターンを示す反応スキームである。
【図3C】本教示の様々な実施形態による、タグフラグメントをレポーターイオンとして生じるアミノキシ試薬を用いて、モノヒドロキシビタミンD3のレポーターイオンを生成させるフラグメンテーションパターンを示す反応スキームである。
【図4A】本教示の様々な実施形態による2重アッセイでの相対定量に関わる様々な工程を示す模式的流れ図である。
【図4B】本教示の様々な実施形態による2重アッセイでの絶対定量に関わる様々な工程を示す模式的流れ図である。
【図4C】本教示の様々な実施形態による4重アッセイでの相対定量に関わる様々な工程を示す模式的流れ図である。
【図4D】本教示の様々な実施形態による4重アッセイでの絶対定量に関わる様々な工程を示す模式的流れ図である。
【図5】本教示の様々な実施形態による2つの例示的質量差試薬ペアを示す。
【図6】本教示の様々な実施形態による標識分析物のHPLC分離を示すスペクトグラムである。
【図7】本教示の様々な実施形態によって得られた、標識ビタミンD3のMSMSスペクトグラムである。
【図8】本教示の様々な実施形態によって得られた、標識ビタミンD3のMSスペクトグラムを示す。
【図9】本教示の様々な実施形態によって得られた、標識モノヒドロキシビタミンD3のMSMSスペクトグラムを示す。
【図10】本教示の様々な実施形態によって得られた、標識ジヒドロキシビタミンD3のMSMSスペクトグラムを示す。
【図11】本教示の様々な実施形態によって得られた、標識ビタミンD2のMSMSスペクトグラムを示す。
【図12A】ビタミンD分析物の1段階タグ化方法で用いることができる一般式および例示的置換基を示す。
【図12B】ビタミンD分析物の1段階タグ化方法で用いることができる一般式および例示的置換基を示す。
【図13】本教示の様々な実施形態によるビタミンD分析物を標識するために用いることができる、1段階化学反応の反応スキーム、およびタグ化分子の例示的置換基を示す。
【図14】本教示の様々な実施形態によるビタミンD分析物を標識および定量するために用いることができる、1段階化学反応の反応スキーム、タグ化分子に用いることができる例示的置換基、およびMSMS作業フローを示す。
【図15】本教示の様々な実施形態によるジヒドロキシビタミンD3分析物を標識および定量するために用いることができる、1段階化学反応の反応スキーム、タグ化分子に用いることができる例示的置換基、およびMSMS作業フローを示す。
【図16】本教示の様々な実施形態によるモノヒドロキシビタミンD3分析物を標識および定量するために用いることができる、1段階化学反応の反応スキーム、タグ化分子に用いることができる例示的置換基、およびMSMS作業フローを示す。
【図17】各セットが本教示の様々な実施形態による4重アッセイで用いることができる4つの異なる試薬を含む、例示的等圧タグの2つの異なるセットを示す。
【図18】各セットが本教示の様々な実施形態による4重アッセイで用いることができる4つの異なる試薬を含む、例示的質量差タグの2つの異なるセットを示す。
【図19】本教示の様々な実施形態による、QAO−C誘導体化1α,25−ジヒドロキシビタミン−D、PTAD 1α,25−ジヒドロキシビタミン−D、および非誘導体化1α,25−ジヒドロキシビタミン−Dの比較を示す。
【図20】本教示の様々な実施形態による、QAO−C誘導体化1α,25−ジヒドロキシビタミン−D、PTAD 1α,25−ジヒドロキシビタミン−D、および非誘導体化1α,25−ジヒドロキシビタミン−Dの感度の比較を示す。
【図21】本教示の様々な実施形態による、ビタミン−D異性体の分離を示す。
【図22】本教示の様々な実施形態による、ヒト血清試料中での1α,25−ジヒドロキシビタミン−Dからのビタミン−D異性体の分離を示す。
【図23】本教示の様々な実施形態による、ヒト血清試料の分析における1α,25−ジヒドロキシビタミン−Dからのビタミン−D異性体の分離を示す。
【図24】本教示の様々な実施形態による、2回の試行(two runs)由来の男性血清試料中に検出された1α,25−ジヒドロキシビタミン−Dの量を示す。
【図25】本教示の様々な実施形態による、2回の試行(two runs)由来の女性血清試料中に検出された1α,25−ジヒドロキシビタミン−Dの量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
様々な実施形態によって、試料中のビタミンD分析物を定量する方法が提供される。ビタミンD分析物は、ビタミンD2、ビタミンD3、ビタミンD2の代謝体、およびビタミンD3の代謝体のうちの1つまたは複数を含むことができる。いくつかの実施形態では、本方法は、ビタミンD分析物をジエノフィル試薬で処理して、ディールス・アルダー付加物を形成させることを含む。その後、ディールス・アルダー付加物をアミノキシマススペクトロメトリー(MS)タグ化試薬で標識して、標識付加物を形成させる。その後、マススペクトロメトリーを用いて、標識付加物を分析する。他の実施形態では、1段階タグ化試薬、例えば、ジエノフィルを含有する標識ディールス・アルダー試薬を用いる。
【0010】
2段階化学を用いる様々な実施形態によって、アミノキシMSタグ化試薬は、以下の構造を有する化合物を含むことができる。
R−(CH−ONH
(式中、Rは、
【0011】
【化1】

であり、R、R、およびRは、各々独立に、水素原子またはアルキル基であり、かつnは1〜20、1〜15、1〜10、または1〜5であることができる。)
いくつかの実施形態では、アミノキシMSタグ化試薬は、以下の構造を有する化合物を含むことができる。
R−(CH−ONH
(式中、Rは、次の5つの構造
【0012】
【化2】

のうちの1つまたは複数であることができるが、これらに限定されず、かつnは1〜20、1〜15、1〜10、または1〜5であることができる。)
本方法はさらに、既知濃度の既知ビタミンD分析物を含む標準を提供すること、この標準の既知ビタミンD分析物をジエノフィル試薬で処理して、標準ディールス・アルダー付加物を形成させること、およびこの標準ディールス・アルダー付加物をアミノキシMSタグ化試薬で標識して、標識標準付加物を形成させることを含むことができる。その後、標識標準を試料から得られた付加物および標識付加物と混合して、混合物を形成させることができる。その後、この混合物を分離して、分離された標識分析物を形成させることができ、この分離された分析物を分析することができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、標準ディールス・アルダー付加物を標識するのに用いられるアミノキシMSタグ化試薬は、等圧タグのセットに由来する第1の等圧タグを含むことができる。試料由来のディールス・アルダー付加物を標識するのに用いられるアミノキシMSタグ化試薬は、等圧タグの同じセットに由来するが、第1の等圧タグとは異なる第2の等圧タグを含むことができる。標識付加物は、マススペクトロメトリーを用いて、標識付加物のLC−MSMS分析を用いて、これらの組合せを用いて、または同様の方法を用いて、分析することができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、標識分析物の親娘イオントランジションモニタリング(PDITM)を、三連四重極MSプラットフォームを用いて実施する。PDITMおよびその使用についてのさらなる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2006/0183238 A1号明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、アミノキシMSタグ化試薬は、MSMS時にニュートラルロスを経て、荷電分析物種であるレポーターイオンを残す。いくつかの実施形態では、アミノキシMSタグ化試薬は、MSMS時にタグフラグメントであるレポーターイオンを形成させる。
【0015】
様々な実施形態によって、ビタミンD分析物は、複数の異なるビタミンD分析物を含むことができ、かつ標識することが、複数の異なるそれぞれのタグ化試薬、例えば、各々の異なるタイプの分析物のための異なるタグ化試薬で各々標識することを含むことができる。分析すべき代謝体であって、その検出のためにキットを構成することができる代謝体は、ビタミンD2の分析物、例えば、ビタミンD2のモノヒドロキシ代謝体および/またはビタミンD2のジヒドロキシ代謝体を含むことができる。いくつかの実施形態では、代謝体はビタミンD3の代謝体であり、かつビタミンD3のモノヒドロキシ代謝体および/またはビタミンD3のジヒドロキシ代謝体を含むことができる。
【0016】
本教示のさらに他の実施形態によって、ジエノフィル試薬および1種以上のアミノキシMSタグ化試薬を含むキットが提供される。アミノキシMSタグ化試薬は、以下の構造を有する化合物を含むことができる。
R−(CH−ONH
(式中、Rは、
【0017】
【化3】

であり、R、R、およびRは、各々独立に、水素原子またはアルキル基であり、かつnは1〜20、1〜15、1〜10、または1〜5であることができる。)
本キットは、以下の構造を有する化合物を含むアミノキシMSタグ化試薬を含むことができる。
R−(CH−ONH
(式中、Rは、次の5つの構造
【0018】
【化4】

のうちの1つまたは複数であることができるが、これらに限定されず、かつnは1〜20、1〜15、1〜10、または1〜5であることができる。)
本キットは、既知ビタミンD分析物を含む標準を含むことができる。標準は、既知濃度の既知ビタミンD分析物を含むことができる。いくつかの実施形態では、本キットに含まれるアミノキシMSタグ化試薬は、等圧タグのセットに由来する1種以上の等圧タグを含むことができる。いくつかの実施形態では、本キットは、等圧タグのセットに由来する複数の異なる等圧タグを含むことができる。
【0019】
本キットは、ビタミンD分析物を標識するための指示書、例えば、紙の指示書または例えば、コンパクトディスク上の電子ファイルにフォーマット化された指示書を含むこともできる。いくつかの実施形態では、本キットは、試料しか添加する必要がない、単一の容器中のホモジニアスアッセイを含むことができる。本キットの他の構成要素は、緩衝液、他の試薬、1種以上の標準、混合用容器などを含むことができる。
【0020】
様々な実施形態によって、本教示は、本明細書でビタミンD分析物と総称される、ビタミンD2、ビタミンD3、および/またはビタミンDファミリー由来の代謝体のうちの1つまたは複数の定量方法を提供する。ビタミンD分析物は、例えば、ビタミンD2、ビタミンD3、ならびに/またはビタミンD2もしくはビタミンD3もしくは構造関連化合物もしくはジエン官能基を有する任意の分析物のモノヒドロキシ、ジヒドロキシおよびトリヒドロキシ代謝体を含むことができる。様々な実施形態によって、1種以上のビタミンD分析物の定量方法は、分析物を修飾し、その後、マススペクトロメトリーを用いて質量分析する2段階化学反応を含むことができる。様々な実施形態によって、この2段階化学反応は、ビタミンD分析物中の共役ジエン官能基を誘導体化して、標識を分析物に付着させることを含むことができる。
【0021】
図1に示すように、2段階化学反応は、まず、ビタミンD分析物をアセチル基を有するジエノフィル試薬で処理して、ディールス・アルダー付加物を形成させることを含むことができる。次に、ディールス・アルダー付加物をマススペクトロメトリー(MS)タグ化試薬で処理することができる。いくつかの実施形態によって、液体クロマトグラフィー−タンデムマススペクトロメトリー(LC−MS/MS)を用いて、修飾された分析物を分析することができる。様々な分析物の付加物は、逆相カラム上での様々な異なる保持時間と、異なる質量とを有することができ、かつカラムから別々の時間に溶出させることができる。カラムからの溶出物をMSMS分析に供することができる。高エネルギー衝突下で、レポーター基を生成させることができる。レポーター基の強度またはピーク面積を同定および/または定量に用いることができる。
【0022】
様々な実施形態によって、1種以上のビタミンD分析物を標識またはタグ化するための複数のマススペクトロメトリー(MS)タグ化試薬が提供される。いくつかの実施形態によって、MSタグ化試薬は十分にフラグメント化し、強いレポーターイオンを提供することができる。いくつかの実施形態によって、MSタグ化試薬は、多重反応モニタリング(MRM)アッセイ用に特別に設計されているアミノキシMSタグ化試薬を含むことができる。いくつかの実施形態によって、少なくとも2つの異なるカテゴリーのアミノキシMSタグ化試薬を用いて、高エネルギー衝突下でレポーター基を生成させることができる。使用可能な第1のカテゴリーおよび第2のカテゴリーまたは第1のセットおよび第2のセットのアミノキシMSタグ化試薬由来の例示的な化合物を以下に示す:
第1のカテゴリー
R−(CH−ONH
(式中、Rは、
【0023】
【化5】

であり、R、R、およびRは、各々独立に、水素原子またはアルキル基であり、かつnは1〜20、1〜15、1〜10、または1〜5であることができる。);
第2のカテゴリー
R−(CH−ONH
(式中、Rは、次の5つの構造
【0024】
【化6】

のうちの1つまたは複数であることができるが、これらに限定されず、かつnは1〜20、1〜15、1〜10、または1〜5であることができる。)
図3Aおよび3Bに示すように、第1のカテゴリーのアミノキシMSタグ化試薬由来のアミノキシMSタグ化試薬は、高エネルギー衝突(MSMS)時にニュートラルロスを経て、後にMS分析に供することができるレポーターイオンとして荷電分析物種を残すことができる。図3Aに示すビタミンD分析物は、モノヒドロキシビタミンD3である。図3Bに示すビタミンD分析物は、ジヒドロキシビタミンD3である。第2のカテゴリーのアミノキシMSタグ化試薬由来のアミノキシMSタグ化試薬は、図3Cに示すように、高エネルギー衝突によって、レポーターイオンとしてのタグフラグメントを生じさせることができる。図3Cに示すビタミンD分析物は、モノヒドロキシビタミンD3である。
【0025】
様々な実施形態によって、各々のタイプのアミノキシMSタグ化試薬について、複数の等圧タグ化または質量差タグ化試薬を調合し、用いることができる。図2Aおよび2Bは、各々それぞれ、等圧4重アミノキシMSタグ化試薬のセットを示している。等圧タグ化試薬の各々のセットは、同一の化学構造および質量を有することができるが、異なる組合せおよび/または位置の同位体を含むことができる。
【0026】
様々な実施形態によって、ある等圧試薬のセットに由来する第1の等圧タグを、例えば、既知濃度の、既知ビタミンD分析物を含むことができる標準と接触させることができる。接触は、第1の等圧タグと標準の反応に有利に働く条件の下で行なうことができる。第1の等圧タグと同じ等圧試薬のセットに由来する第2の等圧タグを、未知濃度のビタミンD分析物を含む試料と接触させることができる。以下でさらに記載するように、標準および試料のタグ化分析物を一緒に混合し、分析して、試料中の分析物の濃度を決定することができる。分析は、混合物を分離して、分離された分析物を形成させること、およびこの分離された分析物を分析することを含むことができる。使用可能な分離方法としては、ガスクロマトグラフィー法、液体クロマトグラフィー法、他のクロマトグラフィー法、電気泳動法、電気浸透法、質量差分離法などが挙げられる。例示的な実施形態では、液体クロマトグラフィーを用いて、混合物中の様々な分析物を分離し、それにより、分離された分析物を形成させる。
【0027】
いくつかの実施形態では、クロマトグラフィー分離を逆相カラム上で実施することができ、このカラムから溶出するピークをその後の分析に供することができる。いくつかの実施形態では、その後の分析は、マススペクトロメトリー、またはより具体的には、親娘イオントランジションモニタリング(PDITM)を含むことができる。PDITMの結果を比較することによって、以下でさらに詳細に記載するように、試料中のビタミンD分析物の濃度を決定することができる。PDITMおよびその使用についてのさらなる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2006/0183238 A1号明細書に見出すことができる。
【0028】
いくつかの実施形態によって、等圧タグ化試薬の代わりに質量差タグ化試薬を用いることができる。例示的な質量差試薬ペアを図5に示す。
【0029】
様々な実施形態によって、アミノキシMSタグ化試薬を、多重アッセイでの相対定量および絶対定量に用いることができる。いくつかの実施形態によって、アミノキシMSタグ化試薬を、2重、3重、4重、および他の多重アッセイに用いることができる。
【0030】
例示的な定量方法を、それぞれ、2重アッセイの相対定量および絶対定量を示す、図4Aおよび4Bを参照しながら示す。図4Aに記載されているように、本方法は、既知ビタミンD分析物を含む第1の試料を標識することから始めることができる。第1の試料は、例えば、既知濃度の既知ビタミンD分析物を含む標準であることができる(図4B)。第1の試料を等圧タグのセットに由来する第1の等圧タグで標識することができる。次に、未知濃度の未知分析物を有する第2の試料を等圧タグの同じセットに由来する第2の等圧タグで標識することができる。その後、標識した第1の試料を、標識した第2の試料と組み合わせて、混合物を形成させることができる。その後、混合物を、例えば、逆相カラム上での液体クロマトグラフィー(LC)分離などの分離に供することができる。標識分析物は、カラム上でのその様々な、異なる保持時間のために、別々の時間にカラムから溶出することができる。逆相カラムから溶出したピークは、第1の試料由来の標識分析物を含むピークと、第2の試料由来の標識分析物を含むピークとを含むことができる。次に、カラムから溶出した各々のピークを親娘イオントランジションモニタリング(PDITM)に供することができる。図4Aに示すように、第2の試料から生成されたレポーターシグナルと比べた、第1の試料から生成されたレポーターシグナルのピーク面積のシグナル強度の比から、試験試料中の分析物の相対濃度が得られる。標識標準の濃度が既知の場合、図4Bに示すように、試料中の分析物の具体的な濃度を決定することができる。
【0031】
別の例示的な相対定量および絶対定量の方法を、それぞれ、4重アッセイの相対定量および絶対定量を示す、図4Cおよび4Dを参照しながら示す。図4Cに記載されているように、本方法は、4つの試料を、同じ等圧タグのセットに由来する第1、第2、第3、および第4の等圧タグでそれぞれ標識することから始めることができる。図4Dに示すように、これらの試料のうちの1つは、既知濃度の既知ビタミンD分析物を有する標準であることができる。標識試料を組み合わせて、混合物を形成させることができる。その後、混合物を、例えば、逆相カラム上での液体クロマトグラフィー(LC)分離などの分離に供することができる。標識分析物は、カラム上でのその様々な、異なる保持時間のために、別々の時間にカラムから溶出させることができる。逆相カラムから溶出したピークは、標識分析物を含むピークと、標識標準を含むピークとを含むことができる。次に、カラムから溶出した各々のピークを親娘イオントランジションモニタリング(PDITM)に供することができる。図4Cに示すように、標識試験試料から生成されたレポーターシグナルと比べた、標識標準から生成されたレポーターシグナルのピーク面積のシグナル強度の比から、試験試料中の分析物の相対濃度が得られる。標識標準の濃度が既知の場合、図4Dに示すように、試料中の分析物の具体的な濃度を決定することができる。
【0032】
様々な実施形態によって、1種以上のビタミンD分析物の相対定量の方法は、1種以上の分析物を標識し、その後、マススペクトロメトリーを用いて分析することを含むことができる。いくつかの実施形態によって、1種以上の分析物は、ビタミンD3および/またはビタミンD3の代謝体であることができる。いくつかの実施形態によって、本方法は、ビタミンD3および/またはビタミンD3の代謝体を含む標準試料と、試験試料の両方をMSタグ化試薬で標識することを含むことができる。いくつかの実施形態によって、MSタグ化試薬は、アミノキシタグ化試薬であることができる。いくつかの実施形態によって、アミノキシタグ化試薬は、等圧タグのセットを含むことができる。いくつかの実施形態によって、標準試料を、図1に示すように、2段階で、等圧タグのセットに由来する第1の等圧タグで標識することができる。第1段階では、標準試料中のビタミンD分析物を、アセチル基を有するジエノフィル試薬で処理して、ディールス・アルダー付加物を形成させることができる。第2段階では、ディールス・アルダー付加物を第1の等圧タグで処理することができる。試験試料を、標準試料に対して用いたのと同様の2段階のプロセスで、第1の等圧タグとは異なる、同じ等圧タグのセットに由来する第2の等圧タグで標識することができる。その後、標識標準試料と標識試験試料を組み合わせることができ、得られた混合物を、逆相カラム上での液体クロマトグラフィー(LC)分離に供することができる。標識ビタミンD3および/またはビタミンD3代謝体は、異なる保持時間を有することができ、かつ別々の時間にカラムから溶出することができる。溶出ピークは、標識分析物を含むピークと、標識標準を含むピークとを含むことができる。図6は、標識ビタミンD3分析物のHPLC分離を示す。その後、カラムからの溶出物を、マススペクトロメトリーを用いて分析することができる。
【0033】
図7は、MSMSを用いた標識ビタミンD3のマススペクトグラムを示す。いくつかの実施形態によって、等圧タグがアミノキシMSタグ化試薬である場合、レポーターシグナルをさらなるフラグメンテーション(MS)に供することができる。レポーターシグナルをさらなるフラグメンテーションに供することによって、標準データベースとの比較による分析物の確認的同定を可能にするピークを提供することができる。いくつかの実施形態によって、カラムからの溶出物を親娘イオントランジションモニタリング(PDITM)に供することができる。
【0034】
図8は、MSを用いて得られた標識ビタミンD3のマススペクトグラムを示す。試験試料から生成されたレポーターシグナルと比べた標準から生成されたレポーターシグナルのシグナル強度またはピーク面積の比は、標準試料と比べた試験試料中の分析物の濃度を示すことができる。
【0035】
標準試料が既知濃度のビタミンD分析物を有する場合、ビタミンD分析物の絶対定量を、相対定量について上に記載したのと同じ方法で行なうことができることが理解されるべきである。また、ビタミンD3および/またはビタミンD3の代謝体が上述のものである場合、任意のビタミンD分析物を用いることができることが理解されるべきである。例えば、図11は、本教示に従って標識されているビタミンD2のMSMSスペクトグラムを示す。
【0036】
本教示のタグ化化学および方法論は、既知の方法と比べて増大した感度を提供し、Hを含有する、13Cを含有する、15Nを含有する、および18Oを含有するビタミンD分析物の標準に対する必要性をなくす。いくつかのビタミンD分析物の同位体標識標準は市販されておらず、そのため、本教示なしでは、これらの分析物の絶対定量が困難になっている。本教示によって、各分析物は、その独自の内部標準を有することができる。レポーターシグナルは、標準試料に、および試験試料に特異的なものであることができる。
【0037】
等圧タグは多重化を可能にし、ビタミンD分析物の多重化分析についてこれまでに知られている唯一の方法を提供し、また、試料当たりのスループットが高くかつコストが低い分析を提供する。図3Aおよび3Bに示すように、全てのビタミンD分析物中に1つの共通の官能基があるので、各分析物に1つのタグしか必要ない。いくつかの実施形態では、PDITMを用いることによって、特異性が高くなり、エラーのリスクが減る。試薬設計によって、それがFlashQuant(商標)適用のための優れたツールになり、分析物の正体の確認を助けるMS性能が可能になる。
【0038】
様々な実施形態によって、試料中のビタミンD分析物を定量する方法が提供されており、ここで、この方法は、ビタミンD分析物を1段階タグ化試薬、例えば、ディールス・アルダー付加物でタグ化することを含む。その後、生成物をマススペクトロメトリーを用いて分析することができる。様々な実施形態によって、タグ化試薬は、図12Aに示す構造を有する化合物を含むことができる。高エネルギー衝突下で、レポーター基を生成させる。レポーター基の強度またはピーク面積を定量に用いる。図12Aに示す1段階タグ化試薬は、高エネルギー衝突(MSMS)時にニュートラルロスを経て、荷電分析物種を、図14および15に示すようなレポーターイオンとして残し、その後、このレポーターイオンをMS分析に供することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、タグ化試薬は、図12Bに示す構造を有する化合物を含むことができる。図12Bに示す1段階タグ化試薬は、高エネルギー衝突によって、図16に示すようなタグフラグメントを生成させ、その後、このレポーターイオンをMS分析に供することができる。
【0040】
本方法はさらに、既知濃度の既知ビタミンD分析物を含む標準を提供し、かつ標準の既知ビタミンD分析物を本教示による1段階タグ化試薬でタグ化して、標識標準を形成させることを含むことができる。その後、この標識標準を標識試料と混合して、混合物を形成させることができる。その後、この混合物を分離して、分離された標識分析物を形成させることができ、かつこの分離された分析物を分析することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、標識標準に用いられる1段階試薬は、等圧タグのセットに由来する第1の等圧タグを含むことができる。標識試料は、同じ等圧タグのセットに由来するが、第1の等圧タグとは異なる、第2の等圧タグを含むことができる。その後、標識試料を、マススペクトロメトリー、標識試料のLC−MSMS分析、それらの組合せなどを用いて分析することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、標識標準に用いられる1段階試薬は、質量差タグのセットに由来する第1の質量差タグを含むことができる。標識試料は、同じ質量差タグのセットに由来するが、第1の質量差タグとは異なる、第2の質量差タグを含むことができる。その後、標識試料を、マススペクトロメトリー、標識試料のLC−MSMS分析、それらの組合せなどを用いて分析することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、三連四重極MSプラットフォームを用いて標識分析物の親娘イオントランジションモニタリング(PDITM)を行なう。PDITMおよびその使用についてのさらなる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2006/0183238 A1号に記載されている。上述のように、いくつかの実施形態では、1段階タグ化試薬は、MSMS時にニュートラルロスを経て、荷電分析物種であるレポーターイオンを残す。いくつかの実施形態では、1段階タグ化試薬は、MSMS時にタグフラグメントとなるレポーターイオンを形成させる。
【0044】
様々な実施形態によって、ビタミンD分析物は、複数の異なるビタミンD分析物を含むことができ、標識することは、複数の異なるそれぞれのタグ化試薬、例えば、各々異なるタイプの分析物についての異なるタグ化試薬で各々標識することを含むことができる。分析すべき代謝体であって、その検出のためにキットを構成することができる代謝体は、ビタミンD2の分析物、例えば、ビタミンD2のモノヒドロキシ代謝体および/またはビタミンD2のジヒドロキシ代謝体を含むことができる。いくつかの実施形態では、代謝体はビタミンD3の代謝体であり、ビタミンD3のモノヒドロキシ代謝体および/またはビタミンD3のジヒドロキシ代謝体を含むことができる。
【0045】
様々な実施形態によって、本教示は、本明細書でビタミンD分析物と総称される、ビタミンD2、ビタミンD3、および/またはビタミンDファミリー由来の代謝体のうちの1つまたは複数の定量方法を提供する。ビタミンD分析物は、例えば、ビタミンD2、ビタミンD3、ならびに/またはビタミンD2もしくはビタミンD3のモノヒドロキシ、ジヒドロキシおよびトリヒドロキシ代謝体を含むことができる。様々な実施形態によって、1種以上のビタミンD分析物の定量方法は、分析物を修飾し、その後、マススペクトロメトリーを用いて質量分析する1段階化学反応を含むことができる。様々な実施形態によって、この1段階化学反応は、ビタミンD分析物中の共役ジエン官能基を誘導体化して、ジエノフィル含有タグ化試薬を分析物に付着させ、図13〜16に例示するような、ディールス・アルダー付加物を形成させることができる。図13〜16は、4つの異なる1段階タグ化試薬と、それぞれの1段階タグ化試薬の部分を含むことができる例示的な置換基とを用いる、4つの異なるそれぞれの反応を示している。
【0046】
図17は、各々のセットが、本教示の様々な実施形態による、4重アッセイで用いることができる4つの異なる試薬を含む、例示的な2つの異なる等圧タグのセットを示す。様々な実施形態では、重原子同位体を分子上の様々な位置に配置することができる。
【0047】
図18は、各々のセットが、本教示の様々な実施形態による、4重アッセイで用いることができる4つの異なる試薬を含む、例示的な2つの異なる質量差タグのセットを示す。様々な実施形態では、重原子同位体を分子上の様々な位置に配置することができる。
【0048】
図19は、本教示の様々な実施形態による、QAO−C誘導体化1α,25−ジヒドロキシビタミン−D、PTAD 1α,25−ジヒドロキシビタミン−D(PTADはクックソン型試薬である);および非誘導体化1α,25−ジヒドロキシビタミン−Dのフラグメンテーションパターンを比較したものである。図19に示すように、QAO−C誘導体化1α,25−ジヒドロキシビタミン−Dは、PTAD 1α,25−ジヒドロキシビタミン−Dのスペクトルまたは非誘導体化1α,25−ジヒドロキシビタミン−Dのスペクトルと比べて、きれいなマススペクトルを生成させる。
【0049】
図20は、本教示の様々な実施形態による、QAO−C誘導体化1α,25−ジヒドロキシビタミン−D、PTAD 1α,25−ジヒドロキシビタミン−D、および非誘導体化1α,25−ジヒドロキシビタミン−Dのシグナル強度を比較したものである。図20に示すように、QAO−C誘導体化1α,25−ジヒドロキシビタミン−Dの場合、PTAD 1α,25−ジヒドロキシビタミン−Dと比べて、平均11倍の感度の増大があり、QAO−C誘導体化1α,25−ジヒドロキシビタミン−Dの場合、非誘導体化1α,25−ジヒドロキシビタミン−Dと比べて、平均192倍の感度の増大があった。
【0050】
図21は、液体クロマトグラフィーで分離されている等圧ジヒドロキシビタミンD−3代謝体を示す。本教示の様々な実施形態によって、図21に示すように、分離されなければ、1α,25−ジヒドロキシビタミン−Dを妨害することがあるビタミン−D異性体が分離される。
【0051】
図22は、本教示の様々な実施形態による、ヒト血清試料中のビタミン−D異性体からの1α,25−ジヒドロキシビタミン−Dの分離を示す。
【0052】
図23は、本教示の様々な実施形態による、ヒト血清試料の分析におけるビタミン−D異性体からの1α,25−ジヒドロキシビタミン−Dの分離を示す。
【0053】
図24は、本教示の様々な実施形態による、2回の試行由来の男性血清試料中で検出された1α,25−ジヒドロキシビタミン−Dの量を示す。
【0054】
図25は、本教示の様々な実施形態による、2回の試行由来の女性血清試料中で検出された1α,25−ジヒドロキシビタミン−Dの量を示す。
【0055】
いくつかの実施形態では、タグ化化学および本方法は、任意の三連四重極装置、例えば、MaldiソースとともにFlashQuant(商標)を含む装置を用いて実施することができる。試薬キット、データ分析ソフトウェア、およびMSプラットフォームは、いくつかの実施形態では、ビタミンD3およびその代謝体の分析器として提供される。同じ方法をビタミンD2およびその代謝体に利用することができる。
【0056】
本教示の様々な実施形態によって用いることができる様々な液体クロマトグラフィーおよびマススペクトロメトリーの方法、システム、およびソフトウェアとしては、2009年5月31日に出願された米国仮特許出願第61/182,748号明細書、および2006年8月17日に公開された米国特許出願公開第2006/0183238 A1号明細書に記載されているものが挙げられる。これらの参考文献は両方とも、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0057】
本教示の様々な実施形態によって、ジエノフィル試薬およびアミノキシMSタグ化試薬のうちの1つまたは複数を含むことができるキットが提供される。いくつかの実施形態によって、アミノキシMSタグ化試薬は、以下の構造:
R−(CH−ONH
(式中、Rは、
【0058】
【化7】

であり、R、R、およびRは、各々独立に、水素原子もしくはアルキル基であり、かつnは1〜20、1〜15、1〜10、もしくは1〜5であることができる。);または構造:
R−(CH−ONH
(式中、Rは、次の5つの構造
【0059】
【化8】

のうちの1つまたは複数を含み、かつnは1〜20、1〜15、1〜10、または1〜5であることができる。)
を有する化合物を含むことができる。いくつかの実施形態では、Rは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Pappinらに対する米国特許第7,195,751号明細書に記載のタグ化試薬に関連して記載されているR基のいずれかであることができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、キットは、既知濃度の既知ビタミンD分析物を含む少なくとも1つの標準を含むことができる。いくつかの実施形態によって、アミノキシMSタグ化試薬は、等圧タグのセットに由来する等圧タグであることができ、いくつかの実施形態では、キットは、等圧タグのセットに由来する複数の異なる等圧タグを含むことができる。いくつかの実施形態によって、アミノキシMSタグ化試薬は、質量差タグのセットに由来する質量差タグであることができ、いくつかの実施形態では、キットは、質量差タグのセットに由来する複数の異なる質量差タグを含むことができる。いくつかの実施形態によって、キットは、ジエノフィル試薬、アミノキシMSタグ化試薬、既知ビタミンD分析物を含む標準および/または既知濃度の既知ビタミンD分析物を含むことができ、かつビタミンD分析物を標識するための指示書をさらに含むことができる。
【0061】
本教示のさらに他の実施形態によって、キットは、図12Aに示すような1段階タグ化試薬、図12Bに示すような1段階タグ化試薬、それらの組合せなどを含むことができる。キットは、既知ビタミンD分析物を含む標準を含むこともできる。いくつかの実施形態では、標準は、既知濃度の既知ビタミンD分析物を含むことができる。いくつかの実施形態では、キットに含まれる1段階タグ化試薬は、等圧タグのセットに由来する1種以上の等圧タグを含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、等圧タグのセットに由来する複数の異なる等圧タグを含むことができる。いくつかの実施形態では、キットに含まれる1段階タグ化試薬は、質量差タグのセットに由来する1種以上の質量差タグを含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、質量差タグのセットに由来する複数の異なる質量差タグを含むことができる。
【0062】
様々な実施形態によって、キットは、緩衝液、1つ以上のクロマトグラフィーカラム、および任意でアッセイの実施に有用な他の試薬および/または成分を含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、例えば、使用者が試料を添加する必要しかないようなホモジニアスアッセイを含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、較正または正規化用の試薬または標準を含むことができる。アッセイを実施するために用いることができるか、またはアッセイを実施するために用いるべき機器の設定に関する情報も、キットに含めることができる。いくつかの実施形態では、試料調製、操作条件、容量、温度設定などに関する情報がキットに含まれる。
【0063】
キットは、1つ以上の試薬容器および適切な指示書を含む密閉容器に包装することができる。1つ以上のアッセイ、測定値、トランジションペア、操作指示書、操作を実行するためのソフトウェア、それらの組合せなどに関する電子情報をその上に保存した、電子媒体をキットに含めることができる。
【0064】
様々な実施形態によって、QAOC試薬およびその中間体の合成のための方法を提供することができる。
【実施例】
【0065】
本教示の態様は、本教示の範囲を限定するものと決して解釈されるべきではない以下の実施例を踏まえてさらに理解することができる。
実施例1
QAOC試薬の合成における工程の説明:
【0066】
【化9】

p−アセチル−4−フェニル−1−カルベトキシセミカルバジド(1)の合成:
カルバジン酸エチル(6.46g、62.05mmol)のトルエン(100mL)溶液に、4−アセチルフェニルイソシアネート(10g、62.05mmol)のトルエン(250mL)溶液を滴加した。反応混合物を室温で2時間、その後、80℃で2時間撹拌した。反応液中に形成された沈殿を濾過し、真空オーブン中で乾燥させると、p−アセチル−4−フェニル−1−カルベトキシセミカルバジド1(16.5g、90%)が得られた。それを、さらに精製することなく、次の反応工程で用いた。(合成は以下の文献から取り入れた:Organic Syntheses,Coll.Vol.6,p.936(1988);Vol.51,p.121(1971).4−PHENYL−1,2,4−TRIAZOLINE−3,5−DIONE)。様々な態様では、本実施例で用いられる成分の各々の値を約5%〜約20%の範囲の量だけ増加または減少させることができ、例えば、各成分を、本実施例で用いられる値よりも5%少ない量から5%多い量で用いることができるか、各成分を、本実施例で用いられる値よりも10%少ないもしくは10%多い量で用いることができるか、各成分を、本実施例で用いられる値よりも15%少ない量から15%多い量で用いることができるか、または各成分を、本実施例で用いられる値よりも20%少ない量から20%多い量で用いることができる。様々な態様では、これらの値を約±5%〜20%だけ変化させることができる。
p−アセチル−4−フェニルウラゾール(2)の合成:
p−アセチル−4−フェニル−1−カルベトキシセミカルバジド1(15g、56mmol)を4M KOH水溶液(28mL、112mmol)とともに70℃で約2時間加熱した。残った粒状固体を、焼結フィルター漏斗を用いて濾過除去した。濾液を室温に冷却し、濃HClで酸性化した。形成された沈殿を濾過し、真空オーブン中で乾燥させると、p−アセチル−4−フェニルウラゾール2が薄黄色の固体(12.4g、85%)として得られた。H NMR(400MHz、DMSO−d6):s=1.65(s,3H),6.70(d,2H),7.10(d,2H),9.50(s,2H)。(合成は以下の文献から取り入れた:Organic Syntheses,Coll.Vol.6,p.936(1988);Vol.51,p.121(1971).4−PHENYL−1,2,4−TRIAZOLINE−3,5−DIONE)。様々な態様では、本実施例で用いられる成分の各々の値を約5%〜約20%の範囲の量だけ増加または減少させることができ、例えば、各成分を、本実施例で用いられる値よりも5%少ない量から5%多い量で用いることができるか、各成分を、本実施例で用いられる値よりも10%少ないもしくは10%多い量で用いることができるか、各成分を、本実施例で用いられる値よりも15%少ない量から15%多い量で用いることができるか、または各成分を、本実施例で用いられる値よりも20%少ない量から20%多い量で用いることができる。様々な態様では、これらの値を約±5%〜20%だけ変化させることができる。
p−アセチル−4−フェニルウラゾール臭化4級アミノオキシ付加物(4)の合成:
p−アセチル−4−フェニルウラゾール2(2.10g、9.58mmol)と4級アミノオキシタグ3(100mLのメタノール−酢酸(95:5 v/v)中、6.74g、20.6mmolの懸濁液(標識試薬としての4級アミノオキシタグは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2011−0003395号明細書に記載されている)を周囲温度で48時間撹拌した。この段階でのHPLC分析により、2の生成物p−アセチル−4−フェニルウラゾール4級アミノオキシ付加物4への95%変換が示された。カラム:DeltaPak C18、3.9×150mm、緩衝液A:水+0.1%TFA、緩衝液B:アセトニトリル+0.085%TFA、波長(シグナル=254nm、参照=360nm)、流量=1mL/分。分析物の濃度は、メタノール中、約0.25mg/mLであった。p−アセチル−4−フェニルウラゾール2の保持時間=5.1分、およびp−アセチル−4−フェニルウラゾール4級アミノオキシ付加物4の保持時間=5.5分。ES−MSデータ:M+(計算M+=C16243+=334.19)、観測M+=334.20および275.50(−MeN))。メタノールの除去後、粗生成物を白色の固体として単離した。様々な態様では、本実施例で用いられる成分の各々の値を約5%〜約20%の範囲の量だけ増加または減少させることができ、例えば、各成分を、本実施例で用いられる値よりも5%少ない量から5%多い量で用いることができるか、各成分を、本実施例で用いられる値よりも10%少ないもしくは10%多い量で用いることができるか、各成分を、本実施例で用いられる値よりも15%少ない量から15%多い量で用いることができるか、または各成分を、本実施例で用いられる値よりも20%少ない量から20%多い量で用いることができる。様々な態様では、これらの値を約±5%〜20%だけ変化させることができる。
【0067】
対イオン交換:そのようにして得られた固体を40mLの水に溶解させ、そのうちの30mL(11.50mmolの4)を交換に用いた。(50mLファルコンチューブ中)この溶液に、ヘプタフルオロ酪酸銀(15mLの脱イオン水中3.69g、11.53mmol)の溶液を一度に添加し、チューブをはじいて短く混合した。沈殿を3000rpmで2分間の遠心分離により分離した。ヘプタフルオロ酪酸銀の希釈溶液(1滴)を添加して、上清に臭化物イオン(Br−)がないかを調べた。濁りの形成は、Br−の存在を示す。臭化物イオンの完全な沈殿を確実にするために、さらに0.2当量(5mL水中、0.738mg)のヘプタフルオロ酪酸銀を添加し、混合し、遠心分離し、Br−がないかを調べた。透明な溶液は、全てのBr−の完全な消費を示す。濾液をシリンジに採取し、5ミクロンフィルター(25mm、Millex LCR、PTEF、25mL/フィルター)に通して再濾過し、フラッシュクロマトグラフィーで精製した(2回に分けて精製した:43g、C18 Iscoカラム、流量=40mL/分、溶媒A:水、溶媒B:メタノール、カラムは、100mLの50%B、その後、250mLの2%Bで平衡化した。試料を溶液としてカラムに充填し、0〜6分間は2%B、その後、6〜35分間は2〜85%Bとした。波長=254nm)。生成物を含む画分を、純度について分析的HPLCで分析、純粋な(>95%)画分をプールして、ロータリーエバポレーター内で乾燥させると、p−アセチル−4−フェニルウラゾール4級アミノオキシ付加物ヘプタフルオロブチレート5が白色の固体として得られた。固体を20mLのトルエンとともに共蒸発させ、水の完全な除去を確実にするために真空下で乾燥させた。最終的な収量およびHPLC純度は、2.6g(65%)および>98%であった。様々な態様では、本実施例で用いられる成分の各々の値を約5%〜約20%の範囲の量だけ増加または減少させることができ、例えば、各成分を、本実施例で用いられる値よりも5%少ない量から5%多い量で用いることができるか、各成分を、本実施例で用いられる値よりも10%少ないもしくは10%多い量で用いることができるか、各成分を、本実施例で用いられる値よりも15%少ない量から15%多い量で用いることができるか、または各成分を、本実施例で用いられる値よりも20%少ない量から20%多い量で用いることができる。様々な態様では、これらの値を約±5%〜20%だけ変化させることができる。
QAO−C試薬(6)の合成:
p−アセチル−4−フェニルウラゾール4級アミノオキシ付加物ヘプタフルオロブチレート5(800mg、1.46mmol、アルゴン雰囲気下)の冷懸濁液に、tBuOCl(7mLの無水アセトニトリル中0.175mL、1.46mmol)の溶液を撹拌しながら滴加した(2〜3分間の添加)。添加し終わった後、反応液を0〜5℃で30分間撹拌した。アセトニトリルを(窒素を通気した)ロータリーエバポレーターで除去し、ピンク色の固体を(一面のアルゴンの下、パスツールピペットで上から除去される)無水EtOAcで洗浄した。真空下で乾燥させた後、0.65g(80%)の6が橙赤色{とうせき しょく}の固体として得られた。生成物を湿気をなくして−40℃で保存し、明るい光から保護した。様々な態様では、本実施例で用いられる成分の各々の値を約5%〜約20%の範囲の量だけ増加または減少させることができ、例えば、各成分を、本実施例で用いられる値よりも5%少ない量から5%多い量で用いることができるか、各成分を、本実施例で用いられる値よりも10%少ないもしくは10%多い量で用いることができるか、各成分を、本実施例で用いられる値よりも15%少ない量から15%多い量で用いることができるか、または各成分を、本実施例で用いられる値よりも20%少ない量から20%多い量で用いることができる。様々な態様では、これらの値を約±5%〜20%だけ変化させることができる。
試料の調製および分析に用いられる他の化学物質および試薬:
1.内部標準:1α,25−ジヒドロキシビタミン−D(26,26,26,27,27,27−d)。[d6−1,25 DHVD
供給元:Medical Isotopes Inc.Pelham,NH.製品番号:D3222、1mg。
【0068】
【化10】

2.分析物:1α,25−ジヒドロキシビタミン−D
供給元:TRC,Canada,製品番号:C144500、1mg。
【0069】
【化11】

3.溶媒:
a)ジイソプロピルエーテル:供給元:Aldrich、製品番号38279
b)ヘキサン(HPLC等級):供給元:JT BAKER、製品番号9304−03
c)イソプロパノール(i−PrOH):供給元:Aldrich、製品番号278475
d)メタノール(HPLC等級):供給元、ACROS、AC61009−0040
e)アセトニトリル(HPLC等級):供給元、EMD、製品番号AX0145−1
f)脱イオン水
g)ギ酸(MS等級):供給元、Fluka、製品番号56302
h)ジメチルホルムアミド(DMF):供給元、Aldrich、製品番号270547
4.HPLCおよび固相カートリッジおよび供給元:
a)Chromabond 24位置コレクションラック:供給元、Macherey Nagel、製品番号730508
b)異なるカラムの組合せ用のChromabondアダプター:供給元、Macherey Nagel、製品番号730101
c)ChromabondカラムXTR、6ml、1000mg BIG:供給元、Macherey Nagel、製品番号730487.250
d)Sep−Pak(登録商標)Vacシリカカートリッジ6cc/500mg 55−105μm 30本/箱:供給元、Waters、製品番号WAT043400
e)5mL PPバイアル:供給元、VWR、製品番号16465−262
f)VWR(登録商標)培養チューブ、使い捨て、Flint Glass 16×150mm:供給元、VWR、製品番号60825−435
g)マイクロ遠心チューブ1.7mL:供給元、National Scientific、製品番号20172−698
h)マイクロ遠心チューブ0.65mL:供給元、National Scientific、製品番号20172−910
i)HPLCバイアルおよびキャップ:供給元、Agilent、製品番号9301−0978および5182−0540
5.機器およびHPLCカラム:
a)13mmバイアルおよび0.65mL遠心分離チューブ用のローターを備えた高速真空濃縮機
b)小型遠心分離機
c)Thermolyneボルテックスシェーカー
d)タイマー
e)5500 QTRAPマススペクトロメーター
f)島津UPLC
g)ACQUITY UPLC BEH C18カラム、2.1×100mm、1.7μm、製品番号186002352
h)必要なバイアルラックおよびホルダー
i)交差汚染を避けるために、Rainin製のRT 1000F、RT 200FおよびRT 20Fチップとともに用いられる5mL、1mL、200μLおよび20μLピペット(推奨)。
固相抽出および誘導体化方法
1.シリカカートリッジ上に内部標準(15μLのDMF中、150pgのd6−l,25 DHVD)をスパイクする。
【0070】
2.アダプターを用いてコレクションラック上でChromabond XTRとシリカカートリッジを組み立てる。Chromabond XTRカートリッジが上になるようにする。ガラス管をシリカカートリッジの下に配置して、洗浄液を回収する。
【0071】
3.血漿または血清試料を周囲温度に平衡化し、短くボルテックス処理して、均一な懸濁液を得、1.7mLマイクロ遠心チューブ中に200μLを分注する。700μLの水で希釈し、30秒間ボルテックス処理し、スピンダウンする。
【0072】
4.希釈した試料をChromabond XTRカラムに充填し、10分間待つ(タイマーを用いる)。
【0073】
5.シリカカラムに対してジイソプロピルエーテル(4×1mL)を用いて、Chromabond XTRカラムを溶出させる。溶出工程と溶出工程の間で3分間待つ(タイマーを用いる)。
【0074】
6.Chromabond XTRカラムを取り外して廃棄し、ヘキサン中の4%(2×4.5mL)および6%(2×3mL)のiPrOHでシリカカラムを洗浄する。洗浄液とガラス管を廃棄する。
【0075】
7.ヘキサン(4.5mL)中の25%のiPrOHで1,25 DHVDを5mLチューブに溶出させ、スピードバック中、周囲温度で乾燥させる。
【0076】
8.300μLのMeOHをこの5mLチューブに添加し、1分間ボルテックス処理し、スピンダウンし、このMeOH溶液を0.65mLマイクロ遠心分離チューブに移し、スピードバック中、周囲温度で乾燥させる。
【0077】
9.誘導体化:QAO−クックソン試薬(20μL、アセトニトリル中、0.5mg/mL)をこの0.65mLマイクロ遠心分離チューブに添加し、15秒間ボルテックス処理し、スピンダウンする。これらの試料全ての1回目のボルテックス処理が終わった後、このボルテックス処理工程をもう1回繰り返す。全てのチューブをスピンダウンし、周囲温度で30分間待つ。
【0078】
QAO−クックソン試薬溶液を固体試薬から新たに作製し、1時間の誘導体化工程のうちに用いることができる。試薬は、アセトニトリル中2mg/mLの濃度まで良好な溶解度を有する。
【0079】
10.20μLの水を添加し、混合し、スピンダウンし、この溶液をHPLCバイアルに移して、分析する。
LC−MS法
コメント:DHVD3_C18_2.1×100mm 1.7uAcquity_08530254156 21_Dec02_2010
同期モード:LC Sync
自動平衡化:オフ
収集時間:3分60秒
スキャン回数:774回
ファイル中の周期:1
収集モジュール:収集方法
ソフトウェアバージョン Analyst 1.5.1

MS法の特徴:
周期1:
−−−−−−−−
周期中のスキャン:774回
相対開始時間:0.00msec
周期中の実験:1
周期1 実験1:
−−−−−−−−
スキャンタイプ:MRM(MRM)
定期MRM:なし
極性:ポジティブ
スキャンモード:N/A
イオン供給源:ターボスプレー
分解能Q1:ユニット
分解能Q3:ユニット
強度閾値:0.00cps
整定時間:0.0000msec
MR一時停止:5.0070msec
MCA:なし
段階サイズ:0.00Da

@Q1 Mass(Da) Q3 Mass(Da)Dwell(msec) Param Start Stop ID 748.500 689.400 150.00
d0DHVD3(1,25:24,25,23:25)_NeuL

@Q1 Mass(Da) Q3 Mass(Da)Dwell(msec) Param Start Stop ID 754.540 695.400 150.00
d6DHVD3(1,25:24,25:23,25)_NeuL

パラメータ表(周期1 実験1):
CUR:25.00
IS:3500.00
TEM:650.00
GS1:50.00
GS2:55.00
CAD:ミディアム
DP 80.00
EP 10.00
CE 43.00
CXP 15.00

一体型Harvardシリンジポンプ法の特徴(未使用)
シリンジ直径(mm):4.61
流速:7.000uL/分

【0080】
【表1】

島津LC法の特徴
島津LCシステム平衡時間=4.00分
島津LCシステム注入容量=20.00ul
島津LC法パラメータ
ポンプ
=====
ポンプAモデル:LC−20AD
ポンプBモデル:LC−20AD
ポンプモード:バイナリーフロー
総流量:0.7000mL/分
ポンプB濃度:5.0%
B曲線:0
圧力範囲(ポンプA/B):0〜1422psi
オートサンプラー
===========
モデル:SIL−20AC
リンス容量:200uL
ニードルストローク:52mm
リンス速度:35uL/秒
サンプリング速度:15.0uL/秒
パージ時間:25.0分
リンス浸漬時間:0秒
リンスモード:吸引の前後
クーラー対応:あり
クーラー温度:5℃
コントロールバイアルのニードルストローク:52mm
ポンプ方法:リンスポートのみ
リンス時間:2秒
オーブン
====
モデル:CTO−20A
温度調節:可能
温度:40℃
最大温度:50℃
システムコントローラ
=================
モデル:CBM−20A
電源:オン
イベント1:オフ
イベント2:オフ
イベント3:オフ
イベント4:オフ
時間プログラム
============
【0081】
【表2】

本教示の他の実施形態は、本明細書の検討および本明細書に開示された本教示の実施から当業者に明らかになるであろう。本明細書および実施例は単に例示的なものと考えられることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中のビタミンD分析物を定量するための方法であって、前記ビタミンD分析物が、ビタミンD2、ビタミンD3、ビタミンD2の代謝体、およびビタミンD3の代謝体のうちの1つまたは複数を含み、前記方法が、
ビタミンD分析物をジエノフィル含有1段階タグ化試薬で処理して、標識ディールス・アルダー付加物を形成させること;および
マススペクトロメトリーを用いて前記標識付加物を分析すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記1段階タグ化試薬が以下の構造:
【化12】

(式中、
【化13】

である。)を有する化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1段階タグ化試薬が以下の構造:
【化14】

(式中、
【化15】

である。)を有する化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
既知濃度の既知ビタミンD分析物を含む標準を提供すること;
前記標準中の前記既知ビタミンD分析物を1段階ジエノフィル含有標識ディールス・アルダー試薬で処理して、標識標準付加物を形成させること;
前記標識標準付加物と前記標識付加物を混合して、混合物を形成させること;および
前記混合物を分離して、分離された標識分析物を形成させること;
をさらに含み、ここで、前記標識付加物を分析することが、前記分離された分析物を分析することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記標準を標識するのに用いられる前記1段階ジエノフィル含有ディールス・アルダー試薬が、等圧タグのセットに由来する第1の等圧タグを含み、かつ前記試料を標識するのに用いられる前記1段階ジエノフィル含有ディールス・アルダー試薬が、前記第1の等圧タグとは異なる前記等圧タグのセットに由来する第2の等圧タグを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
マススペクトロメトリーを用いて前記標識付加物を分析することが、前記標識付加物のLC−MSMS分析を用いることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
三連四重極MSプラットフォームを用いる前記標識分析物の親娘イオントランジションモニタリング(PDITM)をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ビタミンD分析物が、複数の異なるビタミンD分析物を含み、かつ前記標識することが、複数の異なるタグ化試薬で標識することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ビタミンD2の代謝体がビタミンD2のモノヒドロキシ代謝体および/またはジヒドロキシ代謝体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ビタミンD3の代謝体が、ビタミンD3のモノヒドロキシ代謝体および/またはジヒドロキシ代謝体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
試料中のビタミンD分析物を定量するための方法であって、前記ビタミンD分析物が、ビタミンD2、ビタミンD3、ビタミンD2の代謝体、およびビタミンD3の代謝体のうちの1つまたは複数を含み、前記方法が、
ビタミンD分析物をジエノフィル試薬で処理して、ディールス・アルダー付加物を形成させること;
前記ディールス・アルダー付加物をアミノキシマススペクトロメトリー(MS)タグ化試薬で標識して、標識付加物を形成させること;および
マススペクトロメトリーを用いて前記標識付加物を分析すること、
を含む、方法。
【請求項12】
前記アミノキシMSタグ化試薬が、以下の構造:
R−(CH−ONH
(式中、Rは、
【化16】

であり、R、R、およびRは、各々独立に、水素原子またはアルキル基であり、かつnは1〜20である。)を有する化合物を含む、請求項11に記載の方法。

【請求項13】
前記アミノキシMSタグ化試薬が、以下の構造:
R−(CH−ONH
(式中、Rは、次の5つの構造
【化17】

のうちの1つまたは複数を含み、かつnは1〜20である。)を有する化合物を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
既知濃度の既知ビタミンD分析物を含む標準を提供すること;
前記標準中の前記既知ビタミンD分析物をジエノフィル試薬で処理して、標準ディールス・アルダー付加物を形成させること;
前記標準ディールス・アルダー付加物をアミノキシMSタグ化試薬で標識して、標識標準付加物を形成させること;
前記標識標準付加物と前記標識付加物を混合して、混合物を形成させること;および
前記混合物を分離して、分離された標識分析物を形成させること
をさらに含み、ここで、前記標識付加物を分析することが、前記分離された分析物を分析することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記標準ディールス・アルダー付加物を標識するのに用いられる前記アミノキシMSタグ化試薬が、等圧タグのセットに由来する第1の等圧タグを含み、かつ前記ディールス・アルダー付加物を標識するのに用いられる前記アミノキシMSタグ化試薬が、前記第1の等圧タグとは異なる前記等圧タグのセットに由来する第2の等圧タグを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
マススペクトロメトリーを用いて前記標識付加物を分析することが、前記標識付加物のLC−MSMS分析を用いることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
三連四重極MSプラットフォームを用いる前記標識分析物の親娘イオントランジションモニタリング(PDITM)をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記標識付加物が、MSMS時にニュートラルロスを経て、荷電分析物種であるレポーターイオンを残す、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記標識付加物が、MSMS時に荷電フラグメントを失う、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記アミノキシMSタグ化試薬が、MSMS時にタグフラグメントであるレポーターイオンを形成させる、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記ビタミンD分析物が複数の異なるビタミンD分析物を含み、かつ前記標識することが、複数の異なるタグ化試薬で標識することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項22】
前記ビタミンD2の代謝体が、ビタミンD2のモノヒドロキシ代謝体および/またはジヒドロキシ代謝体を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項23】
前記ビタミンD3の代謝体が、ビタミンD3のモノヒドロキシ代謝体および/またはジヒドロキシ代謝体を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項24】
包装中に、ジエノフィル試薬およびアミノキシMSタグ化試薬を含むキット。
【請求項25】
前記アミノキシMSタグ化試薬が、以下の構造:
R−(CH−ONH
(式中、Rは、
【化18】

であり、R、R、およびRは、各々独立に、水素原子またはアルキル基であり、かつnは1〜20である。)を有する化合物を含む、請求項24に記載のキット。
【請求項26】
前記アミノキシMSタグ化試薬が、以下の構造:
R−(CH−ONH
(式中、Rは、次の5つの構造
【化19】

のうちの1つまたは複数を含み、かつnは1〜20である。)を有する化合物を含む、請求項24に記載のキット。
【請求項27】
既知ビタミンD分析物を含む標準を含む、請求項24に記載のキット。
【請求項28】
既知濃度の既知ビタミンD分析物を含む標準を含む、請求項24に記載のキット。
【請求項29】
前記アミノキシMSタグ化試薬が、等圧タグのセットに由来する等圧タグを含み、かつ前記キットが、前記等圧タグのセットに由来する等圧タグをそれぞれ含む複数の異なるアミノキシMSタグ化試薬をさらに含む、請求項24に記載のキット。
【請求項30】
前記ビタミンD分析物を標識するための指示書を含む、請求項24に記載のキット。
【請求項31】
包装中に、ジエノフィルを含有する標識ディールス・アルダー試薬を含む、キット。
【請求項32】
前記標識ディールス・アルダー試薬が、以下の構造:
【化20】

(式中、Rは、
【化21】

であり、R、R、およびRは、各々独立に、水素原子またはアルキル基であり、かつnは1〜20である。)を有する化合物を含む、請求項31に記載のキット。
【請求項33】
前記アミノキシMSタグ化試薬が、以下の構造:
【化22】

(式中、
【化23】

である。)を有する化合物を含む、請求項31に記載のキット。
【請求項34】
既知ビタミンD分析物を含む標準を含む、請求項31に記載のキット。
【請求項35】
既知濃度の既知ビタミンD分析物を含む標準を含む、請求項31に記載のキット。
【請求項36】
前記標識ディールス・アルダー試薬が、等圧タグのセットに由来する等圧タグを含み、かつ前記キットが、前記等圧タグのセットに由来するそれぞれの等圧タグを含む複数の異なる1段階タグ化試薬をさらに含む、請求項31に記載のキット。
【請求項37】
前記ビタミンD分析物を標識するための指示書を含む、請求項31に記載のキット。
【請求項38】
前記複数の異なるタグ化試薬が等圧タグを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項39】
前記等圧タグが以下の構造:
【化24】

から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記複数の異なるタグ化試薬が質量差タグを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項41】
前記質量差タグが以下の構造:
【化25】

から選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記複数の異なるタグ化試薬が等圧タグを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項43】
前記等圧タグが以下の構造:
【化26】

から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記複数の異なるタグ化試薬が質量差タグを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項45】
前記質量差タグが以下の構造:
【化27】

から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記アミノキシMSタグ化試薬が、質量差タグのセットに由来する質量差タグを含み、かつ前記キットが、前記質量差タグのセットに由来する質量差タグをそれぞれ含む複数の異なるアミノキシMSタグ化試薬をさらに含む、請求項24に記載のキット。
【請求項47】
前記標識ディールス・アルダー試薬が、質量差タグのセットに由来する質量差タグを含み、かつ前記キットが、前記質量差タグのセットに由来するそれぞれの質量差タグを含む複数の異なる1段階タグ化試薬をさらに含む、請求項31に記載のキット。

【図2A】
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【図2B】
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【図12B】
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【図17】
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【図18】
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【図1】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2013−518258(P2013−518258A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550213(P2012−550213)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【国際出願番号】PCT/US2011/022454
【国際公開番号】WO2011/091436
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(510075457)ディーエイチ テクノロジーズ デベロップメント プライベート リミテッド (35)
【Fターム(参考)】