説明

ビデオコンテンツ作成装置

【解決手段】ビデオコンテンツ作成装置10は、コンピュータ12を含み、コンピュータ12は、写真データ入力装置20から入力された写真画像データとそれに関連して設定されたメタ情報とをデータベース22に登録する。写真をそのメタ情報に基づいて検索した後、思い出ビデオに使う写真を選択するとともにそれの再生順を決定する。BGMプレイリストを登録した後、思い出ビデオを生成するために写真およびBGMを再生する。このときリージョンがあれば、リージョンのメタ情報に従ってリージョンを順次位置決めしながらモニタ16に表示する。一連の思いでビデオの生成が終了すると、その生成結果をたとえばFlashムービー形式で保存する。
【効果】写真とメタ情報とを関連付けて登録しておくことにより、メタ情報に従って、比較的簡単に思い出ビデオのようなビデオコンテンツを作成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はビデオコンテンツ作成装置に関し、特にたとえば、痴呆症者の過去の写真を使って思い出ビデオのようなビデオコンテンツを作成する、新規なビデオコンテンツ作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者人口が急増している昨今、痴呆症者に対して充実した介護を提供することは緊急の課題と言える。しかし、一般に痴呆症者の介護者として世話に当たる家族は、24時間常に痴呆症者から目を離すことができず、そのストレスを原因とする痴呆症者への虐待が最近、社会的な問題となっている。こういった痴呆症者、介護者の両者のストレスを軽減するには、痴呆症者の心理的な安定を引き出すことが重要である。そのための手法として昔の映画や音楽、本人の写真などを視聴させる回想法がある。しかし、話しかけを実施する人が必要であり在宅では行いにくい。
【0003】
このため、非特許文献1において、思い出ビデオを用いる手法が提案されている。思い出ビデオとは、痴呆症者の昔の写真のスライドショービデオに、BGMやナレーションを加えたものである。
【非特許文献1】安田ほか:痴呆症者への思い出写真ビデオの作成と集中度の評価。第28回高次脳機能障害学会総会(2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
思い出ビデオは痴呆症者の安定した精神状態を形成する上で有効性が確認されているが、思い出ビデオの作成は映像編集のノウハウが必要であり、一般の介護者が簡単に行えるものではない。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、比較的簡単に、痴呆症者の過去の写真を使って思い出ビデオのようなビデオコンテンツを作成できる、ビデオコンテンツ作成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、写真画像データを入力する写真データ入力手段、写真画像データに関連してメタ情報を付与するためのメタ情報付与手段、写真画像データを関連するメタ情報とともに格納する記憶手段、メタ情報を用いて記憶手段から写真画像データを検索する検索手段、および検索手段によって検索した写真画像データをメタ情報に従って編集することによって一連のビデオコンテンツを生成する生成手段を備える、ビデオコンテンツ作成装置である。
【0007】
請求項1の発明では、たとえばイメージスキャナなどを含む写真データ入力装置(20。実施例で相当する部分または要素を示す参照符号。以下同様。)から、写真画像データをコンピュータ(12)に入力する。コンピュータ内にはその写真画像データにメタ情報を付与するための手段、たとえばDublin Core、Image Regions、FOAFなどを設けておく。これらのメタ情報付与手段によって、入力した写真画像データに関連するメタ情報を付与して、コンピュータは、写真画像データを関連するメタ情報とともに記憶手段(22)に格納する。検索手段(12,S2)が、メタ情報を用いて記憶手段か写真画像データを検索する。生成手段(12,S6)は、その検索した写真画像データを、メタ情報に従って編集することによって、たとえばAVI形式やFlashムービー形式で、スライドショーのようなビデオコンテンツを生成する。写真が痴呆症者の昔の写真であれば、ビデオコンテンツは思い出ビデオと呼べる。
【0008】
請求項1の発明では、メタ情報を用いて写真画像データを編集するので、ビデオコンテンツの製作にあまり慣れていなくても、たとえば痴呆症者の昔の写真を用いて、比較的簡単に、思い出ビデオのようなビデオコンテンツを作成することができる。
【0009】
請求項2の発明は、メタ情報は1つの写真画像データ中に設定されているリージョンのリージョン情報を含み、生成手段はリージョン情報に従って当該リージョンの画像を所定位置に位置合わせする位置合わせ手段を含む、請求項1記載のビデオコンテンツ作成装置である。
【0010】
請求項2の発明では、1つの写真画像中にリージョンを設定している場合、メタ情報付与手段によって、そのリージョンのメタ情報、たとえばリージョンの座標位置、高さ、幅などが登録される。位置合わせ手段(12,S27)は、そのメタ情報のたとえば高さや幅の情報を用いて、たとえば表示領域の中央にそのリージョンを位置決めする。したがって、リージョンの画像が自動的に適宜の位置に編集されるので、そのための面倒な操作がいらない。
【0011】
請求項3の発明は、楽曲を示すプレイリストを登録するプレイリスト登録手段をさらに備え、生成手段は写真画像データによる写真の再生に従ってプレイリストに登録した楽曲をBGMとして再生する手段を含む、請求項1または2記載のビデオコンテンツ作成装置である。
【0012】
請求項3の発明では、プレイリスト登録手段(12,S4)はたとえばMP3の楽曲データをプレイリストに登録し、再生手段(12,S11)は、そのプレイリストに登録した楽曲を、写真画像の再生とともにBGMとして再生する。したがって、プレイリストに楽曲を登録するだけで、面倒な操作なしに、自動的にBGMを付けることができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、たとえば痴呆症者の過去の写真にメタ情報を付与し、そのメタ情報を利用して写真画像を編集することによって、比較的簡単に、思い出ビデオのようなビデオコンテンツを作成することができる。
【0014】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1を参照して、この実施例のビデオコンテンツ作成装置10は、コンピュータ12を含む。このコンピュータ12としては、パーソナルコンピュータやワークステーションが利用可能である。
【0016】
コンピュータ12にはハードディスクやRAMのような内部メモリ14が設けられていて、その内部メモリ14には、メタ情報を入力するためのツールとして、たとえば、いずれも商品名である、Dublin Core (http://dublincore.org <http://dublincore.org>)、Image Regions (http://www.w3.org)、FOAF (http://www.foaf−project.org)、Jena2(2.1) (http://jena.sourceforge.net)などが設定されている。これらはいずれも、写真画像データに関連するメタ情報を入力または登録もしくは付与する手段として機能する。
【0017】
ここで、メタ情報とは、データに関する構造化した情報を意味し、実施例の場合、取り扱う写真画像データの詳細を構造的に記述する情報である。
【0018】
Dublin Coreはメタ情報を取り扱う代表的なツールとして知られていて、さらに、写真中の人物の顔やオブジェクトの領域(以後、「リージョン」と呼ぶ。)を複数個指定し、これをメタ情報として保持するためにImage Regionsを利用する。リージョンが人の場合には、FOAFを利用して人のメタ情報を付与する。リージョンは静止画である写真に対して、そこへのズーム、リージョン間のパンといったエフェクトを加えるために用いる。メタ情報をRDFの形式でデータベースに格納するために、Jena2(2.1)を使用する。
【0019】
コンピュータ12は図示しないが、グラフィックボードまたはプロセサやサウンドボードまたはプロセサを内蔵していて、それらを通して、GUI画面や他のグラフィックス(映像)がモニタ16に表示されるとともに、スピーカ18からBGMなどの音声が出力される。
【0020】
コンピュータ12にはさらに、写真データ入力装置20が接続される。この写真データ入力装置20は、イメージスキャナ、ディジタルカメラ(デジカメ)、インタネット(Web)などの少なくとも1つを含む。イメージスキャナは、痴呆症者の過去の写真をスキャンしてカラーまたはモノクロの写真画像データを入力する。デジカメはリアルタイムで撮影した写真画像データを入力できる他、過去の写真を撮影してそれらの写真画像データを入力するという使い方もできる。インタネットは、遠隔地から送信される痴呆症者の過去の写真の写真画像データを入力し、さらには必要に応じて痴呆症者の過去にまつわる事象の写真画像データを取り込むために使用できる。さらに他の種類の写真データ入力装置が用いられてもよい。
【0021】
さらに、コンピュータ12には、インタフェース24を介してデータベース22が結合される。この実施例では、データベース22にはPostgreSQL 7.4(http://www.postgresql.org)というリレーショナルデータベースを用いる。
【0022】
なお、図示していないが、コンピュータ12は当然、キーボードやマウスなどの入力手段を持っている。
【0023】
図1の実施例のビデオコンテンツ作成装置10を用いて思い出ビデオを作成するためには、コンピュータ12などは図2に示す手順で動作する。
【0024】
まず、ステップS1で、写真画像データを入力するとともに、メタ情報を登録する。具体的には、図1の写真データ入力装置20を用いて、主として、当該痴呆症者の過去の写真の写真画像データをコンピュータ12に入力する。
【0025】
このとき、図3に示すGUI(Graphical User Interface)画面26がモニタ16に表示される。このGUI26は、モニタ画面の左方の大部分を占める、写真表示編集領域28を含む。この写真表示編集領域28は、そこに入力した写真画像データの写真を表示し、さらには、リージョンを指定するなどの編集作業のために利用される。GUI26は、モニタ画面の右方に形成されるサムネイル表示領域30を含む。サムネイル表示領域30には、入力しかつ後述のようにして検索した写真画像データから使用する写真を選択するためにサムネイル画像を表示する。
【0026】
GUI26には、モニタ画面の下方に形成される、第1メタ情報入力領域32、モニタ画面のほぼ中央に形成される第2メタ情報入力領域34、およびモニタ画面の右下方に形成される再生順設定領域36が設けられる。メタ情報入力領域32には、領域28に表示もされている写真全般に関わるDublin Core で定義されたメタ情報を入力する。また、メタ情報入力領域34はポップアップ形式で入力時に現れる領域であり、それを用いて、FOAFを利用してリージョンが人の場合のメタ情報を入力する。そして、再生順設定領域36は、思い出ビデオに取り込んだ写真を再生する順番を設定するために利用され、後に説明するように、ドラッグアンドドロップで順番を入れ替えることができる。
【0027】
ステップS1での写真入力およびメタ情報登録について、具体的に説明する。図4を参照し、今、写真データ入力装置20から図4に示すような写真(図面では線画であるが、実際は写真である。他の図面でも同様。)の写真画像データが入力されると、コンピュータ12は、モニタ16のGUI26の写真表示編集領域28にその画像データで表される写真(静止画)を表示する。それとともに、コンピュータ12は、その写真のサムネイル画像をサムネイル表示領域30に表示する。
【0028】
そして、図示しないマウス等を利用して、その写真中で2つのリージョン、リージョン1およびリージョン2を設定すると、図5に示すように、写真表示編集領域28中に、リージョン1およびリージョン2をそれぞれ特定する矩形枠29aおよび29bが表示される。このようなリージョン1およびリージョン2を指定すると、Image Regionsで定義される形式で、図6に示す各リージョンのメタ情報が設定される。つまり、リージョン1の原点(矩形枠の左上の角)の座標(x11,y11)およびそれの対角の座標(x12,y12)が登録され、さらにそのリージョン1の高さh1および幅w1もメタ情報として登録される。同様に、リージョン2についても、原点座標、対角座標、高さ、および幅が、それぞれ、x21,y21、x22,y22、h2、およびw2として登録される。
【0029】
このようにしてステップS1で写真を入力し、メタ情報を登録すると、たとえば図7に示すようなデータベースができる。この図7では右に、図5に示した、実際の写真が表示されリージョンが指定されている写真表示編集領域28が描かれている。そして、楕円形の中に「dc:」とあり、それに関連する矩形の中のデータが、Dublin Coreで登録したメタ情報である。たとえば「dc:date」では日付「20040716(2004年7月16日)」が、「dc:title」では名称「at Disney Animal Kingdom(ディズニー動物王国にて)」が、「dc:description」では説明文「They are very happy to ride the car in the wildlife park(彼等は野生公園の車に乗って非常に楽しそう)」がメタ情報として登録される。「dc:identifier」にはリージョン番号(例示では「1」)が、「dc:type」にはリージョン内の写真の種類(例示では「person(人)」)が、それぞれ、登録される。
【0030】
楕円形のなかに「imgReg:」とあるメタ情報は、Image Regionsでリージョンを指定したときのメタ情報である。「imgReg:has region」はリージョンが設定されていることを示すメタ情報であり、「imgReg:Rectangle」はリージョンが矩形であることを示し、「imgReg:regionDepict」はリージョンの説明で、「imgReg:boundingBox」はリージョンの原点位置とサイズ(高さh、幅w)とを含む。「imgReg:coords」はリージョンの原点位置および対角位置の座標である。また、「foaf:」で与えられるメタ情報は、リージョンが人である場合の性別(例示では「female(女)」)や名前(例示では「Haruka(はるか)」)などを含む。
【0031】
なお、図7に示す各メタ情報は、それぞれ以下に示される。
【0032】
xmlns:imgReg=“http://www.w3.org/2004/02/image−regions#”
xmlns:foaf=“xmlns.com/foaf/0.1”
xmlns:dc=“http://purl.org/dc/elements/1.1/”
このようにして、図2のステップS1で写真入力と、メタ情報登録が行なわれると、コンピュータ12は、その写真と、それに付与したメタ情報とをデータベース22に格納する。なお、上の説明では1枚の写真とそれのメタ情報について説明したが、入力装置20で写真画像データを入力する都度、同じようにして、図7に示すようなメタ情報が登録され、そのメタ情報を付与した写真データがデータベース22に格納される。
【0033】
その後、図2のステップS2では、ステップS1で入力した写真のうち、そのとき使う写真を検索する。ただし、写真の検索では、上で説明したメタ情報が利用される。メタ情報を利用した写真の検索条件としては、たとえば、以下のものが利用できる。
【0034】
まず、FOAFではリージョンの種類が人であるとき、その人を特定するメタ情報を付与するのであるから、このFOAFのメタ情報を利用して、「特定の人物の写っている写真」を検索することができる。複数の人物を同時に検索できるが、この場合には、検索した名前の全員が写っている写真が対象となる。
【0035】
Dublin Coreのメタ情報を利用する場合には、「撮影年月日」で検索できる。たとえば、「From (第1指定日)〜To(第2指定日)」で第1指定日以降第2指定日以前に撮影した全ての写真が検索できる。「From (指定日)」でその指定日以降に撮影した全ての写真が検索できる。同様に、「To(指定日)」でその指定日以前に撮影した全ての写真が検索できる。また、「特定のプロパティに特定の値が含まれている写真」を検索できる。たとえば、「dc:title」に「Disney」の文字が含まれる写真など。ただし、複数同時に選択または検索可能であるが、複数選択時には、設定された検索条件を同時に充足する写真だけが対象となる。
【0036】
このようにして、ステップS2で写真の選択が終了したら、次に、ステップS3で、検索した写真から実際に使用する写真を選択するとともに、および複数の写真を選択したときには複数の写真の再生順序を指定または決定する。このステップS3のためのGUI26が図8に示される。ただし、便宜上この図8は図7以前の写真とは異なる写真を使用していることに留意されたい。
【0037】
コンピュータ12は、たとえば図示しないメニューによって、ステップS3が選択されたときには、図8に示すGUI26をモニタ16に表示する。この図8のGUI26では、モニタ画面の右下方に、図3でも示した、再生順設定領域36が形成される。この再生順序設定領域36の拡大図が図9に示される。
【0038】
再生順序設定領域36は、写真リスト欄38を含み、図8に示すように、サムネイル表示領域30に表示されたサムネイル画像を写真リスト欄38にドラッグアンドドロップすることによって、使用する写真を選択できる。つまり、ステップS2の写真検索ステップで検索した写真のサムネイル画像が、すべてサムネイル表示領域30に表示されるので、その一覧画像の中の写真を写真リスト欄38にドラッグアンドドロップすることによって、写真を選択することができる。なお、写真リスト欄38には、名称(name)、タイトル(title)、日付(date)の各コラムが設定される。
【0039】
また、再生順序設定領域36には、図9に示すように、ソート指定欄40と、思い出ビデオのスライドショーの生成を指示する生成ボタン42、写真の削除のために使用する削除ボタン44、および選択した写真のプレビューをするときに押す(クリックする)プレビューボタン46が設けられる。カーソルを写真リスト欄38のどれかの写真に合わせ、その状態でプレビューボタン46が操作されると、図8に示すプレビュー領域48に、プレビュー画像が表示される。
【0040】
なお、ソート指定欄40には、選択した写真をソーティングするときのプロパティ、たとえば登録日などが設定される。そして、このソート指定欄40に特定のプロパティが、たとえばプルダウンメニューによって設定されると、コンピュータ12は、たとえばそのプロパティに対する値の昇順で写真をソートする。
【0041】
さらに、写真リスト欄38に登録した写真リストの順序で再生されるので、もし、再生順序を変更したい場合には、その写真リスト欄38の1行をドラッグアンドドロップして動かすことによって、リスト搭載順すなわち再生の順番を入れ替えればよい。
【0042】
つづいて、図2のステップS4で、写真の再生時に流すBGMのプレイリストを登録または選択する。この実施例では、たとえばMP3形式の楽曲ファイルをサポートしていて、その中からBGMとして使う楽曲をプレイリストに登録すれば、BGMがそのプレイリストに沿って、再生される。また、プレイリストとしてたとえばM3U形式を用いれば、Winamp(アプリケーション名)などの一般的なソフトで作成したプレイリストをそのまま使用できる。
【0043】
ステップS4では、まず、図示しないメニユーで、「プレイリスト選択または登録」を選ぶ。そうすると、図10に示すGUI26がモニタ16に表示される。そして、このGUI26のプレイリスト作成ボタン52をクリックすると、図11に示す、新規プレイリスト登録欄54が表示される。この登録欄54には、プレイリストの名称(図示の例では、「Sample」)を設定するための名称欄56および入力した名称でよいときの決定(了解)ボタン58が形成される。そして、名称欄56に名称を入力し、了解ボタン58をクリックすると、図12に示す、空のプレイリスト60が表示される。
【0044】
図13に示す、MP3ファイル一覧62を表示し、その中の適宜の楽曲をプレイリスト60にドラッグアンドドロップすることによって、プレイリスト60に、BGMとして使用する楽曲を順次選択または登録することができる。図示の例では、「MYアルバム」という楽曲一覧62(図13)を用いて、主として、童謡が選択された。
【0045】
このようにして、写真データの入力、メタ情報の登録、写真の検索、選択、楽曲の選択などの各ステップが実行され、図9に示す生成ボタン42を押すと、思い出ビデオの生成を開始する。したがって、図2のステップS5では、生成ボタン42がクリックされたかどうか判断する。もし“YES”ならそのまま次のステップS6に進むが、“NO”なら、図2の任意のステップS1−S4に戻って該当の作業を再開することができる。
【0046】
つまり、図2の各ステップS1−S4はそれぞれ、メニューでの選択によって、任意の時間に任意の作業量で何回も実行可能であるので、オペレータは、時間のあるときに、必要なだけ必要な作業を行なえばよい。いずれの場合にも、前回までの作業の結果はデータベース22に格納されているので、今回の作業では、まず、データベース22から前回までのデータを読み出し、その後それに続行した処理またはそれを変更する処理を行う。
【0047】
そして、ステップS5で生成ボタン42のオンが検出されると、次のステップS6で、思い出ビデオのスライドショービデオ(RVML)を生成する。
【0048】
ここで、「RVML」とは、swfを完全に表現できるように設計されたXMLの一種であり、すべてのバージョンのswf動画はRVMLとして表現できる。ただし、swfは、Flashのバージョンやフレームレートなどの情報を持つファイルヘッダを除くと、基本的にはタグの列だけである。たとえば、定義タグで図形を定義し、操作タグでその図形をフレームに配置し、表示タグで現在のフレームを画面に描画する、というパターンが1フレームに相当し、これを繰り返す。
【0049】
そして、生成されたRVMLは、RVMLからFlashツールであるKineticFusion(http://www.kinesissoftware.com)を使用すれば、Flashムービー形式の思い出ビデオが作成できる。
【0050】
図2のステップS6は、具体的には、図15に示す手順で実行される。最初のステップS11では、コンピュータ12は、生成ボタン42の操作に応答して、まず、BGMとしてのプレイリスト60(図14)の楽曲の再生を開始する。以後、楽曲は、そのプレイリスト60に沿って、順次切り替わり、かつ連続的に再生される。つまり、コンピュータ12は、プレイリスト60に登録した楽曲データを読み出し、それをサウンドボードまたはプロセサで処理させることによって、スピーカ18(図1)から、当該プレイリストの楽曲が音声として再生される。
【0051】
次のステップS13では、コンピュータ12は、モニタ16の表示画面に形成されたGUI26の写真表示編集領域28(図3)の幅をSw、高さをShとして設定する。
【0052】
ついで、ステップS15で、コンピュータ12は、写真個数nをインクリメント(n=n+1)する。そして、次のステップS17では、写真リスト欄38(図9)に挙げられたn番目の写真がフェードイン態様で、表示編集領域28に表示される。つまり、コンピュータ12は、データベース22(図1)から写真リスト欄38のn番目の写真とそれに付随するメタ情報とを読み出し、n番目の写真を表示する。ただし、最初はn=1であるので、1番目の写真がフェードイン表示される。その後、ステップS19での一定時間のポーズの後、次のステップS21で、コンピュータ12は、そのn番目の写真にリージョンが指定されているかどうか、たとえばImage Regionsのメタ情報があるかで判断する。
【0053】
リージョンが指定されているなら、次のステップS23で、コンピュータ12は、リージョン番号mをインクリメント(m+1)する。そして、ステップS25で、m番目のリージョンのImage Regionsのメタ情報を参照する。このメタ情報に、m番目のリージョンの位置データやサイズデータが含まれる。したがって、次のステップS27で、コンピュータ12は、そのようなメタ情報および先に設定した表示領域の高さShおよび幅Swを利用して、m番目のリージョンを、領域28の中央に位置合わせする。
【0054】
一例として、そのリージョンの幅をw1、高さをh1とすると、拡大率をmin[Sw/w1, Sh/h1]として、そのリージョンがちょうど表示画面28の中央に収まるまで、1フレームずつ、表示画面28に対して写真画像を横軸にdX、縦軸にdY移動し、dZ分拡大して表示する。
【0055】
ただし、このステップS27では、そのリージョンの画像を表示領域の中央に位置合わせするだけでなく、たとえば、左上、右下など他の位置に位置合わせするようにしてもよい。
【0056】
その後、ステップS29でのポーズの後、次のステップS31で、コンピュータ12は、残りリージョンがなくなったかどうかを判断する。つまり、Image Regionsのメタ情報からリージョン個数がわかるので、このステップS31では、ステップS23でインクリメントした結果がそのリージョン個数に等しくなったかどうか判断すればよい。残りリージョンがあれば先のステップS23に戻り、ステップS23−S31を繰り返し実行する。
【0057】
ステップS31で“NO”なら、つまり、写真リスト欄38でn番目のその写真の全てのリージョンの処理が終わったなら、次のステップS33で、コンピュータ12は、n番目の写真を写真表示編集領域28からフェードアウトさせる。
【0058】
続いて、ステップS35において、コンピュータ12は、処理すべき写真の残りがなくなったかどうかを判断する。つまり、図9で示される写真リスト中の写真の数は予め判っているので、このステップS35では、ステップS15でインクリメントした結果がその枚数に等しくなったかどうか判断すればよい。写真残数があれば先のステップS15に戻り、ステップS15−S35を繰り返し実行する。ステップS35で“NO”なら、コンピュータ12はステップS37でBGMを停止し、終了する。
【0059】
このようにして、ステップS6すなわち図15に従って、写真画像データをそれに関連するメタ情報を用いて編集することによって、一連のビデオコンテンツ(思い出ビデオ)が生成(レンダリング)される。そして、レンダリングが終了すると、レンダリング結果は、前述のRVMLの形式でコンピュータ12のハードディスクなどの内部メモリ14(図1)に保存する。そして、RVMLからFlashムービーなどに変換して、他の記憶媒体に格納することによって、他のパソコンなどで再生することもできる。つまり、一連のビデオコンテンツは何らかの記憶装置または記憶媒体に格納されて、痴呆症者の介護のために利用される。
[評価実験]
発明者等は、写真と写真との間のトランジションついては、フェードイン、フェードアウトだけを実装した実施例の装置10で生成した思い出ビデオの効果について、予備的な評価実験を実施した。被験者の簡単なプロファイルを表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
実験では思い出ビデオの他に、被験者の嗜好に合わせた趣味、歌、嗜好に無関係なニュースの4種類のビデオクリップを用意した。各クリップは7〜8分程度とした。被験者の様子は、モニタ画面の方向から顔の表情を撮影し、また後方から被験者の全身の映像を撮影した。次に実験時に撮影した映像を見て、各クリップ視聴開始から1分間の被験者の表情や体の反応から、被験者が集中、あるいは楽しんでいる度合いを主観的な5段階で評価した。評価は被験者と関係のない5名で行った。5名のスコアの平均を表2に示す。全ての被験者で集中、楽しんでいる度合いは、思い出ビデオが他のコンテンツに対して高い傾向が見られた。
【0062】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】この発明の一実施例のビデオコンテンツ作成装置を示すブロック図である。
【図2】図1実施例の全体動作を示すフロー図である。
【図3】図1実施例のGUIの一例を示す図解図である。
【図4】図2のステップS1で利用する写真入力およびメタ情報登録時のGUIの表示の一例を示す図解図である。
【図5】図4においてリージョンの切り出しを示す図解図である。
【図6】図5のリージョンのメタ情報を示す図解図である。
【図7】写真とメタ情報との関連を例示する図解図である。
【図8】図2のステップS3での写真の選択および再生順設定動作時のGUIの一例を示す図解図である。
【図9】図8のGUIにおける再生順設定領域を示す図解図である。
【図10】図2のステップS4でのプレイリスト作成時のGUIの一部を示す図解図である。
【図11】図11のGUIに形成される新規プレイリスト登録欄を示す図解図である。
【図12】図8のGUIに形成されるプレイリストの一部の一部を示す図解図である。
【図13】プレイリスト登録に用いる楽曲一覧の一例を示す図解図である。
【図14】登録済みプレイリストの一例を示す図解図である。
【図15】図2のステップS6での思い出ビデオ生成動作を詳細に示すフロー図である。
【符号の説明】
【0064】
10 …ビデオコンテンツ作成装置
12 …コンピュータ
14 …内部メモリ
16 …モニタ
20 …写真データ入力装置
22 …データベース
26 …GUI
28 …写真表示編集領域
30 …サムネイル表示領域
32,34 …メタ情報入力領域
36 …再生順設定領域
38 …写真リスト欄
42 …生成ボタン
60 …プレイリスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
写真画像データを入力する写真データ入力手段、
前記写真画像データに関連してメタ情報を付与するためのメタ情報付与手段、
前記写真画像データを関連する前記メタ情報とともに格納する記憶手段、
前記メタ情報を用いて前記記憶手段から写真画像データを検索する検索手段、および
前記検索手段によって検索した写真画像データをメタ情報に従って編集することによって一連のビデオコンテンツを生成する生成手段を備える、ビデオコンテンツ作成装置。
【請求項2】
前記メタ情報は1つの写真画像データ中に設定されているリージョンのリージョン情報を含み、
前記生成手段は前記リージョン情報に従って当該リージョンの画像を所定位置に位置合わせする位置合わせ手段を含む、請求項1記載のビデオコンテンツ作成装置。
【請求項3】
楽曲を示すプレイリストを登録するプレイリスト登録手段をさらに備え、
前記生成手段は前記写真画像データによる写真の再生に従って前記プレイリストに登録した楽曲をBGMとして再生する手段を含む、請求項1または2記載のビデオコンテンツ作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−129389(P2006−129389A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−318422(P2004−318422)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年度独立行政法人情報通信研究機構、研究テーマ「軽度脳障害者のための情報セラピーインタフェースの研究開発」に関する委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【Fターム(参考)】