説明

ビデオスコープのガイド管

【課題】狭隘な隙間を保守点検可能なビデオスコープを、高電圧で送電されている電気機器に適用可能とすることが可能なビデオスコープ用のガイド管を提供する。
【解決手段】
上記課題を解決するために、本発明の特徴は、可撓性を有するケーブル204の先端に受光部208を有するビデオスコープ200のガイド管100であって、絶縁性と可撓性を有してケーブル204を挿入しうる本体チューブ102と、絶縁性を有して本体チューブ102の先端に取り付けられた管状の先端部材110と、絶縁性を有して先端部材110の先端の開口部114cに取り付けられた透明カバー120と、備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルの先端に受光部を有するビデオスコープを、絶縁性および防汚性が必要な箇所に案内するためのガイド管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ケーブルの先端に受光部を有して静止画像や動画像を撮影するビデオスコープ(内視鏡とも称される)が提供されている。ビデオスコープは狭隘な箇所を観察するために、工業用や医療用として広く利用されている。
【0003】
ビデオスコープの利用方法ないし適用箇所として、例えば地上用変圧器(PMT:Pad Mounted Transformer)のような電気機器の保守点検がある。特に商用電源を供給する機器は電気の供給を容易には停止することができないため、活線の状態(通電状態。充電状態ともいう)で点検を行う必要がある。このため機器を分解することができず、機器の隙間からその内部を観察したいという要請がある。
【0004】
しかし、活線状態の電気機器にビデオスコープを挿入すると、ビデオスコープに高電圧が通電されて故障を招いたり、その漏電のために安全装置が働いて周辺の電力供給が停止してしまうおそれがある。
【0005】
特許文献1には、窓部を有する先端の外装構造体と、撮像手段を有する内部構造体とを絶縁するための絶縁手段(絶縁膜)を備えた構成が記載されている。
【特許文献1】特開平09−265047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように電気機器に使用するビデオスコープには絶縁性が求められるが、配電用の電気機器に使用するためには、単に絶縁被覆すればよいというほど容易ではない事情がある。
【0007】
まず、変圧器のような電気機器の場合、低圧100V、200Vと、高圧6600Vの電圧で常時送電されている。このため簡易な絶縁では絶縁破壊を生じてしまうため、厳重かつ確実な絶縁が必要となる。そして、厳重に絶縁するとなると絶縁部材の厚みが必要になるため、必然的に寸法(径)が大きくなってしまう。
【0008】
一方、電気機器とはいえ必ずしも通電してしまう箇所ばかりではなく、そして隙間が広い部分も狭い部分もある。例えば電気機器の底面などは、隙間が狭く、かつ絶縁性は必要ではない。そのような狭い箇所にも挿入できるような細いケーブルにしようとすると、特に先端の受光部に強度を持たせるためには、材質を金属(主にステンレススチール)にしなければならないため、絶縁性は期待できない。
【0009】
そこで絶縁性のある太いビデオスコープと、絶縁性のない細いビデオケーブルを準備することが考えられるが、現地で機器の保守点検を行うことが目的であるから、両方のケーブルを持ち歩いて取り替えながら点検を行うことは、作業員の労が多大である。したがって、軽量化による可搬性もあわせて求められている。
【0010】
また、ビデオスコープの中には、ケーブルの内部に姿勢制御用のワイヤーを挿通し、受光部の向きを操作しうる構造を有しているものがある。内部においてケーブル先端の方向を操作できることは、確かに点検作業において有効である。しかし姿勢制御可能なケーブルは構造が複雑になるために高価になり、また径が太くなりがちであり、かつ耐久性が低い(外力に弱い)という問題がある。さらに確実な絶縁のために径が太くなった場合、ケーブル自体の剛性が高くなるため、ワイヤーによる姿勢制御は困難になってしまうという問題もある。したがって、絶縁性と共に、機材操作性も求められている。
【0011】
そこで本発明は、狭隘な隙間を保守点検可能なビデオスコープを、高電圧で送電されている電気機器に適用可能とすることが可能なビデオスコープ用のガイド管を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の特徴は、可撓性を有するケーブルの先端に受光部を有するビデオスコープのガイド管であって、絶縁性と可撓性を有してケーブルを挿入しうる本体チューブと、絶縁性を有して本体チューブの先端に取り付けられた管状の先端部材と、絶縁性を有して先端部材の先端の開口部に取り付けられた透明カバーと、備えたことを特徴とする。
【0013】
上記構成のガイド管は、ビデオスコープのケーブルを本体チューブに挿入し、先端の開口部に取り付けられた透明カバーの位置まで到達させた状態で、活線状態の電気機器に挿入することができる。これによりビデオスコープのケーブルは絶縁性が確保され、高電圧で送電されている電気機器の内部を観察することが可能となる。また絶縁性が必要でない場合には当該ガイド管を用いないことにより、細径のビデオスコープを利用することができ、一つの機器によって狭隘な箇所と高電圧で送電されている箇所の両方に適用することができる。
【0014】
なお、本体チューブが可撓性を有していることにより、ガイド管は機器の様々な隙間に柔軟に対応して変形し、円滑に内部に挿入することができる。また先端部材の開口部に絶縁性を備えた透明カバーを備えていることにより、空気よりも絶縁性を高めることができると共に、ビデオスコープの先端が先端部材から飛び出して通電してしまうことを防止することができる。
【0015】
本体チューブは、屈曲状態を保持しうるフレキシブルチューブを有していてもよい。
【0016】
屈曲状態の曲げ形状を保持しうるフレキシブルチューブとしては、鉄やステンレススチール、銅などの金属を組み合わせた、いわゆるインターロック管やスタンドチューブなどを利用することができる。これにより、ガイド管の先端の形状をあらかじめ観察したい方向に曲げてから挿入することにより、ビデオスコープのケーブルに姿勢制御のための機構を有することなく、任意の方向を観察することができる。なおフレキシブルチューブが金属製である場合には、高電圧に耐える絶縁被覆をすることが必要であるが、ガイド管の絶縁被覆が厚くなったとしてもビデオスコープのケーブルは細いままであるので、狭隘部を観察できることに対しては影響しない。
【0017】
本体チューブは、屈曲状態を保持しうるフレキシブルチューブの外側を、絶縁性を有する樹脂によって多重被覆されていてもよい。
【0018】
所望の絶縁性能を得るためには絶縁被覆が必要であるが、単層で所定の厚みの被覆を設けると、被覆が傷ついた際に亀裂が深部まで達し、漏電を生じてしまうおそれがある。しかし、上記のように複数の層の被覆を設けることにより、亀裂は外側の1層のみとなり、深さ方向の亀裂の進行を防ぐことができる。したがって絶縁性を確保することが可能となる。
【0019】
さらに上記構成により本体チューブのうち外側の1層のみを交換可能となるため、このガイド管の保守にかかるコストを低減することができる。
【0020】
また、熱収縮チューブによって絶縁被覆を構成する場合、層厚が厚いと収縮率が低下し、密着しにくくなってしまうおそれがある。しかし複数の層に分けて絶縁被覆を構成することにより、密着させつつ層厚を厚くすることができ、防水性能を確保することが可能となる。
【0021】
本体チューブは、屈曲状態を保持しうるフレキシブルチューブの外側を、絶縁性を有し色の異なる樹脂によって多重被覆されていてもよい。
【0022】
本体チューブは機器の中に挿抜するものであるから、機器の角に擦れて摩耗するおそれがある。そのような場合において絶縁被覆の肉厚が薄くなると、絶縁性能が知らぬ間に低下しているおそれがある。しかし上記のように多重被覆された樹脂の色を異ならせることにより、摩耗すれば下の層の色を視認することができるため、使用者が容易かつ確実に摩耗の程度を知ることができる。これにより絶縁性能を確保することができ、ビデオスコープに通電してしまうことを確実に防止することができる。
【0023】
本体チューブは、屈曲した状態で形状を保持しうるフレキシブルチューブと、フレキシブルチューブの上に配置され絶縁性を有する第1被覆と、第1被覆の上に配置され絶縁性を有する第2被覆とを有し、先端部材の内側に第1被覆に覆われたフレキシブルチューブの先端が挿入されており、第2被覆が本体チューブから先端部材の外側にかぶさるように覆っていてもよい。
【0024】
ガイド管は、活線状態の電気機器ばかりではなく、汚泥、汚水箇所などビデオスコープが著しく汚れてしまう箇所においても使用したい要請がある。そのためガイド管は、高い防水性能を備えていることが好ましい。そこで本体チューブと先端部材の継ぎ目において、先端部材を多重被覆によって挟み込むことにより、高い防水性能を得ることが可能となる。
【0025】
先端部材の外周には1または複数の環状の溝が形成されており、第2被覆は、溝の位置で締着していてもよい。締着は、例えばテグスなどの樹脂製の糸を好適に用いることができる。また、糸を巻回して締着した上から、接着剤を用いて糸を固着させることにより、より確実に締着させることができる。
【0026】
上記構成によれば、本体チューブと先端部材の継ぎ目の防水性能をさらに向上させることが可能となる。
【0027】
先端部材の内部には、ビデオスコープの先端外周にある凸部と当接する小径部を有していてもよい。なお、ビデオスコープ自体は本願発明に含まれない。
【0028】
ビデオスコープの先端外周に凸部(段部)がある場合において、先端部材の内部に小径部(段部)を設けることにより、ビデオスコープの凸部を小径部とが当接することにより、ビデオスコープのケーブルの挿入深さ(挿入位置)を規定することができる。これによりビデオスコープの先端が透明カバーに突き当たり、傷をつけて透明度を低下させてしまうおそれがない。また小径部の内径をビデオスコープの先端部の外形と略等しくすることにより、その位置および姿勢を正確に規定することができる。
【0029】
先端部材は、本体チューブに取り付けられるアタッチメントと、アタッチメントに取り付けられるガイドカバーと、アタッチメントとガイドカバーの間に配置される防水シールとを有し、透明カバーは、ガイドカバーの先端の開口部に取り付けられていてもよい。
【0030】
これにより、先端部材のうちガイドカバーのみを交換することができる。先端部材は機器の隙間から挿入されるものであるから、様々な箇所に突き当たり、摩耗したり傷ついたりする。特に透明カバーは傷つくことによって透明度が低下し、ビデオスコープの画像が不鮮明になってしまうおそれがある。しかし上記のようにガイドカバーおよび透明カバーを交換可能とすることにより、このガイド管の保守のためのコストを低減させることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、狭隘な隙間を保守点検可能なビデオスコープを、高電圧で送電されている電気機器に適用可能とすることが可能なビデオスコープ用のガイド管を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明に係るビデオスコープのガイド管の実施形態について説明する。なお、以下の実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。
【0033】
図1はビデオスコープおよび本実施形態に係るガイド管の構成例を説明する図である。なお上述したように、本発明にビデオスコープ自体は含まれないため、簡略に説明する。
【0034】
図1に示すビデオスコープ200は、本体202と、可撓性を有するケーブル204、ケーブル204の先端に設けられた受光部208、静止画像や動画像のモニタリングおよび録画を行う録画装置212を備えている。
【0035】
本体202は、上面202aに電源スイッチや各種ボリュームのつまみ、ケーブル204を接続するBNC端子、録画装置212を接続するRCA端子(ビデオ端子)などを有している。このように上面202aに全ての操作部を配置していることにより、本体202をケース214に収納したままでビデオスコープを使用することができる。なおケース214は本体202の高さよりも深く形成されており、本体202の上に残る空間にケーブル204や録画装置212を収納することができる。また本体202の下部にはバッテリ202bが備えられており、外出先でビデオスコープ200を使用できるようになっている。バッテリ202bは、継ぎ足し充電でもメモリ効果を生じないリチウムイオン電池であることが好ましい。
【0036】
ケーブル204は可撓性を有し、内部に受光部208と本体202とを接続する電線または光ファイバが通っている。なお受光部208にCCDなどの撮像素子を備えていてもよいし、本体202内に撮像素子を配置して受光部208から光を導いてもよい。ケーブル204の先端部206は、直径約6mmのステンレススチール製の円筒部材であって、外周に凸部206aが形成されている。先端部206の開口端であって受光部208の周囲には、観察部位を照らすための照明210が設けられている。照明210は先端部206にLEDを配置してもよいし、また本体202内に配置したランプから光ファイバなどを用いて先端部206まで光を導いてもよい。
【0037】
録画装置212は、液晶モニタを備え、受光部208から撮像した画像を常時表示させながら、トリガーとなるキーを操作することによって、静止画像又は動画像を録画することができる。
【0038】
これらのことから、ビデオスコープ200は作業員がケース214を肩にかけた状態で操作し、点検作業を行うことができる。したがって地上用変圧器のみならず柱上変圧器などの電柱上部の高所での点検作業にも適用可能である。
【0039】
ガイド管100は、ビデオスコープ200のケーブル204を内部に挿入することにより、その先端をガイドする。ガイド管100の長さは適切に定めることができるが、1m〜1.5m程度が取り回しをしやすい長さである。
【0040】
図2はガイド管の構成を説明する図である。ガイド管100は、ケーブル204および206と対象となる電気機器との間を絶縁する役割と、防汚防水の役割とを有している。ガイド管100は、大別して、絶縁性と可撓性を有してケーブルを挿入しうる本体チューブ102と、絶縁性を有して本体チューブ102の先端に取り付けられた管状の先端部材110と、絶縁性を有して先端部材110の先端の開口部に取り付けられた透明カバー120と、本体チューブ102の後端に取り付けられた後端部材130とを備えている。
【0041】
図3は本体チューブの構成を説明する図である。図3に示すように、本体チューブ102は、フレキシブルチューブ104と、その外側に配置された絶縁性を有する第1被覆106と、第1被覆106の上に配置された絶縁性を有する第2被覆108を有している。これにより本体チューブ102は、可撓性を有すると共に、屈曲状態を保持することができる。本体チューブ102が可撓性を有していることにより、ガイド管100は機器の様々な隙間に柔軟に対応して変形し、円滑に内部に挿入することができる。
【0042】
屈曲状態の曲げ形状を保持しうるフレキシブルチューブ104としては、鉄やステンレススチール、銅などの金属を組み合わせた、いわゆるインターロック管やスタンドチューブなどを利用することができる。これにより、ガイド管100の先端の形状をあらかじめ観察したい方向に曲げてから機器に挿入することにより、ビデオスコープ200のケーブル204に姿勢制御のための機構を有することなく、任意の方向を観察することができる。
【0043】
また第1被覆106と第2被覆108とを重ねた多重被覆とすることにより、絶縁性と防水性を向上させることができる。所望の絶縁性能を得るためには絶縁被覆に厚みが必要であるが、単層で所定の厚みの被覆を設けると、被覆が傷ついた際に亀裂が深部まで達し、漏電を生じてしまうおそれがある。しかし、上記のように複数の層の被覆を設けることにより、亀裂は外側の第2被覆層108の1層のみとなり、深さ方向の亀裂の進行を防ぐことができる。したがって絶縁性を確保することが可能となる。
【0044】
さらに上記構成により本体チューブ102のうち第2被覆層108のみを交換可能となるため、このガイド管100の保守にかかるコストを低減することができる。
【0045】
また、熱収縮チューブによって絶縁被覆を構成する場合、層厚が厚いと収縮率が低下し、密着しにくくなってしまうおそれがある。しかし、絶縁被覆を多重被覆とすることにより、個々の被覆の厚みは薄くてよいので、高い収縮率を得ることができる。したがって、密着させつつ層厚を厚くすることができ、防水性能を確保することが可能となる。
【0046】
また第1被覆106と第2被覆108とは、異なる色の樹脂で形成している。本体チューブ102は機器の中に挿抜するものであるから、機器の角に擦れて摩耗するおそれがある。そのような場合において絶縁被覆の肉厚が薄くなると、絶縁性能が知らぬ間に低下しているおそれがある。しかし上記のように多重被覆された被覆の色を異ならせることにより、摩耗すれば下の層の色を視認することができるため、使用者が容易かつ確実に摩耗の程度を知ることができる。これにより絶縁性能を確保することができ、ビデオスコープに通電してしまうことを確実に防止することができる。
【0047】
図4は先端部材の構成を説明する図である。図4に示すように、先端部材110は、本体チューブ102に取り付けられるアタッチメント112と、アタッチメント112に取り付けられるガイドカバー114と、アタッチメント112とガイドカバー114の間に配置される防水シール116とを有している。アタッチメント112は内孔112aを有し、ガイドカバー114は内孔114aを有しており、いずれも筒部材である。アタッチメント112とガイドカバー114とを接合することによって、先端部206を挿入するための先端部材110を構成する。先端部材110は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)など、所定の絶縁性と硬度を有する樹脂材料であれば好適に用いることができる。
【0048】
ガイドカバー114の内孔114aには、ケーブル204の先端部206のがたつきを防止するためのOリング118を備えている。透明カバー120は、ガイドカバー114の先端の開口部114cに接着等により取り付けられている。このようにガイドカバー114の開口部114cに絶縁性を備えた透明カバー120を備えていることにより、空気よりも絶縁性を高めることができると共に、ビデオスコープ200の先端部206が先端部材110から飛び出して通電してしまうことを防止することができる。
【0049】
またガイドカバー114の内部には、ビデオスコープ200の先端部206の外周にある凸部206aと当接する小径部114dを有している。ビデオスコープ200の先端外周に凸部206a(段部)がある場合において、先端部材110の内部に小径部114d(段部)を設けることにより、ビデオスコープ200の凸部206aと小径部114dとが当接し、ガイド管100に対するビデオスコープ200のケーブル204の挿入深さ(挿入位置)を規定することができる。これによりビデオスコープ200の先端が透明カバー120に突き当たり、傷をつけて透明度を低下させてしまうおそれがない。また小径部114dの内径をビデオスコープ200の先端部の外形と略等しくすることにより、その位置および姿勢を正確に規定することができる。
【0050】
アタッチメント112の外周には雄ネジ112bが切られており、ガイドカバー114の内周には雌ネジ114bが切られている。したがってガイドカバー114をアタッチメント112に対して螺合させることにより容易に取り付け、または交換することができる。なお防水シール116は雄ネジ112bよりも先端側に配置されたOリングであって、ガイドカバー114の内周に当接して防水性を確保することができる。
【0051】
上記構成により、先端部材110のうちガイドカバー114のみを交換することができる。先端部材110は機器の隙間から挿入されるものであるから、様々な箇所に突き当たり、摩耗したり傷ついたりする。特に透明カバー120は傷つくことによって透明度が低下し、ビデオスコープ200の画像が不鮮明になってしまうおそれがある。しかし上記のようにガイドカバー114および透明カバー120を交換可能とすることにより、このガイド管100の保守のためのコストを低減させることができる。
【0052】
図5は先端部材(アタッチメント)と本体チューブの接続を説明する図である。図5(a)に示すように、アタッチメント112の内孔112aに第1被覆106に覆われたフレキシブルチューブ104の先端を挿入し、第2被覆108が本体チューブ102からアタッチメント112の外側にかぶさるように覆っている。そして第2被覆108を熱収縮させて密着させている。
【0053】
ガイド管100は、活線状態の電気機器ばかりではなく、汚泥、汚水箇所などビデオスコープ200が著しく汚れてしまう箇所においても使用したい要請がある。そのためガイド管100は、高い防水性能を備えていることが好ましい。そこで本体チューブ102と先端部材110の継ぎ目において、先端部材110を多重被覆によって挟み込むことにより、高い防水性能を得ることが可能となる。
【0054】
さらに図5(b)に示すように、本実施形態においては、アタッチメント112の外周には、1または複数の環状の溝112cが形成されている。そして第2被覆108の外側から、溝112cの位置をテグスなどの樹脂製の糸113を用いて締着し、接着剤を用いて糸113を固着させている。これによりアタッチメント112を本体チューブ102に確実に取り付けると共に、第2被覆108をさらに確実に締着させ、本体チューブ102と先端部材110の継ぎ目の防水性能をさらに向上させることが可能となる。
【0055】
図6はガイド管の使用態様を説明する図である。図6(a)に示すように、絶縁性または防汚性が必要な場合には、ガイド管100にビデオスコープ200のケーブル204を挿入する。そして図6(b)に示すように、ビデオスコープ200の受光部208を、ビデオスコープ200の先端の透明カバー120の位置まで到達させる。この状態で、ビデオスコープ200は絶縁性および防汚性が確保された状態となり、図6(c)に示すように高電圧で送電されている活線状態の電気機器300に挿入し、その内部を観察することが可能となる。
【0056】
また絶縁性または防汚性が必要でない場合には、当該ガイド管100を用いないことにより、細径のビデオスコープ200を利用することができる。したがって、一つのビデオスコープによって狭隘な箇所と高電圧で送電されている箇所の両方に適用することができる。
【0057】
またガイド管100が任意の曲げ形状を保持しうることから、回り込んだ位置を観察したり、作業員の位置よりも受光部208を立ち上げて(上方に延ばした状態で)作業を行うことができる。これにより、姿勢制御がなく安価で耐久性の高いビデオスコープを用いて、所望の角度で画像を得ることができる。
【0058】
発明者らは、上記構成のガイド管100を試作し、耐電圧性能試験を行った。試験は注水した水槽にガイド管100を挿入した状態で交流10KVまたは20KVを印加し、外観の変形や損傷を観察した。試験結果として、両電圧で1分または5分経過した後にも、外観に異変は認められなかった。このことから、充分な耐電圧性能を有していることが証明された。
【0059】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、ケーブルの先端に受光部を有するビデオスコープを、絶縁性および防汚性が必要な箇所に案内するためのガイド管として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】ビデオスコープおよび本実施形態に係るガイド管の構成例を説明する図である。
【図2】ガイド管の構成を説明する図である。
【図3】本体チューブの構成を説明する図である。
【図4】先端部材の構成を説明する図である。
【図5】先端部材(アタッチメント)と本体チューブの接続を説明する図である。
【図6】ガイド管の使用態様を説明する図である。
【符号の説明】
【0062】
100…ガイド管、102…本体チューブ、104…フレキシブルチューブ、106…第1被覆、108…第2被覆、110…先端部材、112…アタッチメント、112a…内孔、112b…雄ネジ、112c…溝、113…糸、114…ガイドカバー、114a…内孔、114b…雌ネジ、114c…開口部、114d…小径部、116…防水シール、118…Oリング、120…透明カバー、130…後端部材、200…ビデオスコープ、202…本体、202a…上面、202b…バッテリ、204…ケーブル、206…先端部、206a…凸部、208…受光部、210…照明、212…録画装置、214…ケース、300…電気機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するケーブルの先端に受光部を有するビデオスコープのガイド管であって、
絶縁性と可撓性を有して前記ケーブルを挿入しうる本体チューブと、
絶縁性を有して前記本体チューブの先端に取り付けられた管状の先端部材と、
絶縁性を有して前記先端部材の先端の開口部に取り付けられた透明カバーと、
を備えたことを特徴とするビデオスコープのガイド管。
【請求項2】
前記本体チューブは、屈曲状態を保持しうるフレキシブルチューブを有することを特徴とする請求項1に記載のビデオスコープのガイド管。
【請求項3】
前記本体チューブは、屈曲状態を保持しうるフレキシブルチューブの外側を、絶縁性を有する樹脂によって多重被覆されていることを特徴とする請求項1に記載のビデオスコープのガイド管。
【請求項4】
前記本体チューブは、屈曲状態を保持しうるフレキシブルチューブの外側を、絶縁性を有し色の異なる樹脂によって多重被覆されていることを特徴とする請求項1に記載のビデオスコープのガイド管。
【請求項5】
前記本体チューブは、
屈曲した状態で形状を保持しうるフレキシブルチューブと、
前記フレキシブルチューブの上に配置され絶縁性を有する第1被覆と、
前記第1被覆の上に配置され絶縁性を有する第2被覆とを有し、
前記先端部材の内側に前記第1被覆に覆われた前記フレキシブルチューブの先端が挿入されており、
前記第2被覆が前記本体チューブから前記先端部材の外側にかぶさるように覆っていることを特徴とする請求項1に記載のビデオスコープのガイド管。
【請求項6】
前記先端部材の外周には1または複数の環状の溝が形成されており、
前記第2被覆は、前記溝の位置で締着していることを特徴とする請求項5に記載のビデオスコープのガイド管。
【請求項7】
前記先端部材の内部には、前記ビデオスコープの先端外周にある凸部と当接する小径部を有していることを特徴とする請求項1に記載のビデオスコープのガイド管。
【請求項8】
前記先端部材は、
前記本体チューブに取り付けられるアタッチメントと、
前記アタッチメントに取り付けられるガイドカバーと、
前記アタッチメントと前記ガイドカバーの間に配置される防水シールとを有し、
前記透明カバーは、前記ガイドカバーの先端の開口部に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のビデオスコープのガイド管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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