ビトリファイド砥石
【課題】被削材と砥石との間に研削液の入り難い部分の研削において被削材の研削焼けが発生せず、研削面の研削品質を低下させることのないビトリファイド砥石を提供する。
【解決手段】ビトリファイド超砥粒砥石ホイール10のビトリファイド砥石片26において、砥粒34の研削点すなわち切れ刃を潤滑するための潤滑剤42を内包するマイクロカプセル38が連通気孔36内に部分的に充填された状態で固着されていることから、研削液の供給機能、切り屑を研削点から除去するチップポケット機能等の連通気孔の本来の機能が損なわれることがないので高研削比および高い能率の研削が得られると同時に、研削面20に露出したマイクロカプセル38が破壊されてそれに内包された研削液42が放出されるので、被削材Hの研削液が供給され難い部分における研削焼けが好適に防止される。
【解決手段】ビトリファイド超砥粒砥石ホイール10のビトリファイド砥石片26において、砥粒34の研削点すなわち切れ刃を潤滑するための潤滑剤42を内包するマイクロカプセル38が連通気孔36内に部分的に充填された状態で固着されていることから、研削液の供給機能、切り屑を研削点から除去するチップポケット機能等の連通気孔の本来の機能が損なわれることがないので高研削比および高い能率の研削が得られると同時に、研削面20に露出したマイクロカプセル38が破壊されてそれに内包された研削液42が放出されるので、被削材Hの研削液が供給され難い部分における研削焼けが好適に防止される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砥粒と、その砥粒を結合する無機結合剤と、その砥粒および無機結合剤の間に形成される連通気孔とを有するビトリファイド砥石に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CBN砥粒、ダイヤモンド砥粒、一般砥粒などの砥粒がガラス質の無機結合剤により結合された多孔質のビトリファイド砥石が知られている。このようなビトリファイド砥石は、たとえば、円弧状の砥石片として形成され、それらが金属製の台金、ビトリファイド組織等の無機材料製のセラミックスコア等の円盤状のコアの外周面に貼着されたビトリファイド砥石ホイールとして用いられている。このようなビトリファイド砥石ホイールは、高研削比および高研削能率が得られ、金属部品、焼き入れされた鋼材等の被削材を高速研削する場合において好適に用いられる。たとえば、特許文献1および2に記載のビトリファイド超砥粒砥石がそれである。
【特許文献1】特開2000−084857号公報
【特許文献2】特開2000−246647号公報
【特許文献3】特開平04−300165号公報
【特許文献4】特開2005−081535号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のようなビトリファイド砥石において、たとえばカム軸、クランク軸の研削において、回転軸芯に直交する段付面や端面部等の面接触部分のように研削液が供給され難い部分を有する被削材の研削作業など、研削焼けの発生し易い研削作業に用いられる場合には、研削焼け防止の目的から砥石組織を粗にしたり、適度な砥粒切れ刃の自生が得られるように砥石硬さを下げることが行われていた。しかし、この場合には、砥粒保持力が低いために砥石寿命が短くなるという欠点があった。
【0004】
一般に、研削焼けは、特にドレッシング直後に発生することが多い。ドレッシング後の砥石表面にボンドが砥粒と同一表面に存在していることが原因であり、複数本の研削加工後には上記砥石表面のボンドが砥粒よりも後退して次第に本来の切れ味となる。このことから、ドレッシング直後は、加工能率すなわち切込み速度を低く設定して研削加工を行うか、ドレッシングに加えて目立て処理を行うことが行われており、それが研削加工の生産性の低下の原因となっていた。
【0005】
さらに、たとえばベアリングの軌道面の超仕上げ研磨において、面粗度の向上および金属溶着防止の目的から、砥石内に硫黄やワックスのような処理剤を含浸させることが行われている。しかし、このような場合には、砥石の連通気孔内すべてに処理剤が充填されるので、研削液が十分に流入できなくなり、研削性能の低下を招くという欠点があった。
【0006】
なお、特許文献3および4に示されるように、研削液(潤滑剤)等を内包するマイクロカプセルを超砥粒と共に金属メッキ相内に分散させた研削砥石が提案されている。そのマイクロカプセルは、専ら緻密な金属メッキ相の表面(研削面)に露出したときに破壊されてチップポケットを形成して、切り屑の排出を可能とし、付随的に研削液の供給とを行うものである。このため、ビトリファイド超砥粒砥石を用いて高研削能率で被削材を研削する場合に、被削材の形状によって発生する研削液が外部から供給され難い部分に対しても研削液を供給してその部分の研削焼けを防止する機能を生じさせるものではない。
【0007】
本発明は以上の事情を背景としてなされたものであり、その目的とするところは、被削材と砥石との間に研削液の入り難い部分の研削において被削材の研削焼けが発生せず、研削面の研削品質を低下させることのないビトリファイド砥石を提供することにある。
【0008】
本発明者等は、上記事情を背景として種々検討を重ねた結果、焼成後のビトリファイド砥石に対して、その連通気孔内に、前記砥粒を潤滑するための潤滑剤を内包するマイクロカプセルを部分的に充填して固着させると、被削材の回転軸芯に直交する段付面や端面部等の面接触部分のように研削液が供給され難い部分における研削焼けが好適に防止され、被削材の研削について安定した研削品質が得られることを見いだした。本発明はこの知見に基づいて為されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための請求項1に係る発明は、(a)砥粒と、その砥粒を結合する無機結合剤と、その砥粒および無機結合剤の間に形成される連通気孔とを有するビトリファイド砥石であって、(b)前記砥粒を潤滑するための潤滑剤を内包するマイクロカプセルが、前記連通気孔内に部分的に充填された状態で固着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明のビトリファイド砥石によれば、砥粒を潤滑するための潤滑剤を内包するマイクロカプセルがビトリファイド砥石の連通気孔内に部分的に充填された状態で固着されていることから、研削液の供給機能、切り屑を研削点から除去するチップポケット機能等の連通気孔の本来の機能が損なわれることがないので高研削比および高い能率の研削が得られると同時に、研削面に露出したマイクロカプセルが破壊されてそれに内包された研削液が放出されるので、被削材の回転軸芯に直交する段付面や端面部等の面接触部分のように研削液が供給され難い部分における研削焼けが好適に防止され、安定した研削品質が得られる。
【0011】
ここで、好適には、前記砥粒は、5乃至250μmφの平均粒径を有するダイヤモンド砥粒またはCBN砥粒であり、前記連通気孔は、5乃至500μmφの平均内径を有するものであり、前記マイクロカプセルは、1乃至200μmφの平均粒径を備えたものである。これにより、ビトリファイド砥石の製造過程において、マイクロカプセルを連通気孔内へ容易に入れることができる。
【0012】
また、好適には、前記マイクロカプセルに内包される潤滑剤は、研削液から成るものである。研削液濃度は、高い程潤滑性が得られるので、好適には上記マイクロカプセルに内包される潤滑剤として研削液の原液が用いられる。この場合には、一層高い潤滑性能が得られるので、研削焼けが好適に防止される。
【0013】
また、好適には、前記マイクロカプセルの外皮は、ゼラチン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂のいずれかから成る。マイクロカプセルの外皮がこのような有機物から構成されるので、マイクロカプセルが容易に破壊されるとともに、研削性能に影響を及ぼさない利点がある。
【0014】
また、好適には、前記ビトリファイド砥石は、超砥粒砥石ホイールの厚板円板状のコアの外周面に貼り着けられた複数個の砥石片である。このようにすれば、高価な砥粒を有効に使用できるとともに、大径の超砥粒砥石ホイールを容易に製造できる。しかし、前記ビトリファイド砥石は、一体成形の砥石であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明の一実施例の製造方法によって製造されたビトリファイド超砥粒砥石ホイール10を示す正面図である。ビトリファイド超砥粒砥石ホイール10は、たとえば炭素鋼、アルミニウム合金などの金属製の円盤状であってその中央部に研削装置(たとえば後述の円筒研削盤12)に取り付けるための取付穴14を有する取付部16が設けられた台金18と、その台金18の回転軸心Wを曲率中心とする円弧に沿って湾曲させられた円弧板状であってその外周面にあたる研削面20とそれに対して反対側の内周面にあたる貼着面22とを有し、その貼着面22が台金18の外周面24に隙間なく貼着された複数個(本実施例では12個)のビトリファイド砥石片26とを、備えている。その大きさは用途により適宜設定されるが、本実施例のビトリファイド超砥粒砥石ホイール10は、たとえば、外径Dが380mmφ、取付部16を除く厚みが10mm程度の寸法に構成されたものである。
【0017】
図2は、ビトリファイド砥石片26を示す斜視図である。図1乃至図2において、ビトリファイド砥石片26は、熔融アルミナ質、炭化珪素質、またはムライト質等のセラミック質の一般砥粒がガラス質の無機結合剤(ビトリファイドボンド)により結合されて成る下地層28と、CBN砥粒、ダイヤモンド砥粒等のヌープ硬度が3000以上の超砥粒がガラス質の無機結合剤により結合されて成る砥材層30とから一体的に構成されている。上記下地層28は、専ら砥材層30を機械的に支持するための基台として機能するものであり、砥材層30は、専ら被削材を研削するための砥石として機能するものである。なお、上記超砥粒には、たとえば、60メッシュ[平均粒径250μm]乃至3000メッシュ[平均粒径5μm]の範囲内の大きさのものが好適に用いられる。
【0018】
図3は、ビトリファイド砥石片26の砥材層30の断面構成の一例であって、ビトリファイドボンド32とたとえば5乃至250μmφの平均粒径を有する超砥粒34との結合状態を拡大して説明する模式図である。図3において、ビトリファイドボンド32および超砥粒34の間にはたとえば5乃至500μmφの平均内径を有する連通気孔36が形成されており、その連通気孔36内には、それよりも十分に小さい粒径を有する複数のマイクロカプセル38が部分的に充填された状態で図示しない接着剤により固着されている。すなわち、上記マイクロカプセル38は、たとえば1乃至200μmφの平均粒径を備え、研削液の供給機能、切り屑を研削点から除去するチップポケット機能等の連通気孔36の本来の機能が損なわれることがない程度の容積割合で、その平均粒径よりも十分に大きい内径の連通気孔36内の一部に固着されている。砥材層30の表面である研削面20に露出したマイクロカプセル38は、被削材40によって破壊される。
【0019】
上記マイクロカプセル38は、たとえば図4に示すように、たとえば研削液の原液である潤滑剤42と、それを内包する外皮44とから構成されている。外皮44は、マイクロカプセル38が研削面20に露出したときに容易に破壊されるとともに、研削性能に影響を及ぼさないようにゼラチン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂等のいずれかの有機物から構成されている。なお、上記潤滑剤42は、必要に応じて、酸性液等のケミカルエッチング可能な液とされてもよい。
【0020】
図5乃至図8は、ビトリファイド超砥粒砥石ホイール10の製造方法の要部を説明する工程図である。図5において、先ず、原料調合工程P1では、ビトリファイド砥石片26の原料である砥粒と、ガラス質の無機結合剤(ビトリファイドボンド)と、成形時においてある程度の相互粘結力を発生させるためのデキストリンなどの粘結剤(糊量)と、必要に応じて適宜混入される有機物あるいは無機バルーンなどの気孔形成剤とを、砥材層30および下地層28毎に予め設定された割合で秤量して、それぞれ混合する。なお、上記下地層28は必ずしも形成されなくてもよく、上記気孔形成剤は必ずしも用いられなくてよい。本実施例では、たとえば砥材層30用には以下の表1に示す割合、下地層28用には以下の表2に示す割合の原料を用いる。また、積極的に大きな気孔或いは巨大気孔を形成する場合には、上記原料に加えて、発泡スチロール等の樹脂ビーズが用いられる。
【0021】
[表1]
原材料名 割合
CBN砥粒 (#80/100) 50容量部
ビトリファイドボンド 20容量部
糊量 6容量部
【0022】
[表2]
原材料名 割合
球状ムライト 35容量部
電溶ムライト 14容量部
ビトリファイドボンド 20容量部
糊量 6容量部
【0023】
次いで、成形工程P2では、所定の成形金型の成形キャビティー内に上記混合された砥材層30用の原料および下地層28用の原料を順次充填し、加圧することにより、図2に示す形状の成形体を成形する。次いで、焼成工程P3では、上記成形体をたとえば1000℃以下の温度で5時間焼成することにより、たとえば長さが40mm、幅が10.4mm、厚みが7.4mmのビトリファイド砥石片26を作製する。上記焼成により、原料に含まれる粘結剤等の有機物が消失させられるとともに無機結合剤が熔融させられ、その後固まった無機結合剤によって砥粒が相互に結合される。これにより、作製されたビトリファイド砥石片26には、超砥粒が無機結合剤により結合された多数の連続気孔を有する多孔質のビトリファイド砥石組織が形成される。上記ビトリファイド砥石片26(砥材層30)は、たとえば#80のCBN砥粒が結合度Mにて集中度200でビトリファイドボンドにより結合されたもの(CB80M200VN1)である。
【0024】
次いで、貼着工程P4では、予め作製された台金18の外周面24に上記ビトリファイド砥石片26をたとえばエポキシ樹脂接着剤等を用いて隙間無なく貼着する。次いで、仕上げ工程P5では、上記ビトリファイド砥石片26が貼着された台金18すなわちビトリファイド超砥粒砥石ホイール10の表面をドレッシング工具や切削工具を用いて所定の深さたとえば0.5乃至1mm程度の深さだけ削ることにより、そのビトリファイド超砥粒砥石ホイール10の外径寸法Dやその外径寸法Dの真円度、および厚み寸法などを整える。以上の各工程P1乃至P5を経ることによって、図1に示すような、超砥粒が無機結合剤により結合されたビトリファイド砥石片26が台金18の外周面24に貼着されたビトリファイド超砥粒砥石ホイール10が製造される。
【0025】
本実施例では、上記焼成工程P3の後において、すなわち貼着工程P4および仕上げ工程P5の前或いは後において、たとえば図6に示す工程により、マイクロカプセル38がビトリファイド砥石片26の連通気孔36内の一部に所定割合で充填され且つ固着される。
【0026】
図6において、処理液作成工程P6では、図7に示すマイクロカプセル製造工程P61乃至P63において製造されたマイクロカプセル38と、固形分濃度が48重量%程度の液状フェノール樹脂、液状エポキシ樹脂、液状メラミン樹脂等レゾール型樹脂から成る樹脂接着剤と、希釈水とが混合されることにより、多数のマイクロカプセル38が液中に分散した処理液が作成される。この処理液は、たとえばマイクロカプセル38の外皮44がゼラチン膜から構成される場合は表3に示す割合であり、マイクロカプセル38の外皮44がメラミン樹脂から構成される場合は表4に示す割合である。この処理液中の水の割合が、マイクロカプセル38の連通気孔36内の容積に対する容積割合(充填割合)を定めるものである。たとえば、表3に示す処理液が用いられた場合には、マイクロカプセル38の連通気孔36内の容積に対する容積割合は約10%となり、表4に示す処理液が用いられた場合には、マイクロカプセル38の連通気孔36内の容積に対する容積割合は約22%となる。
【0027】
[表3]
原材料名 割合
マイクロカプセル(ゼラチン) 10.5容積%
樹脂接着剤 5.4容積%
水 84.1容積%
【0028】
[表4]
原材料名 割合
マイクロカプセル(メラミン樹脂) 22.6容積%
樹脂接着剤 5.4容積%
水 72.0容積%
【0029】
図7に示すマイクロカプセル製造工程P61乃至P63において、先ず乳化工程P61では、たとえば水からなる分散媒中に、不水研削液(油性研削液の原液)および/または二硫化モリブデン等の固体潤滑剤粒子から成る芯物質が加えられるとともに攪拌されることにより、乳化液が作成される。図8の(a)および(b)はこの状態を示している。次いで、カプセル膜形成工程P62では、液状のゼラチン或いはメラミン樹脂が加えられるとともに攪拌されることにより、上記芯物質の周囲にゼラチン或いはメラミン樹脂から成る外皮44が形成される。図8の(c)はこの状態を示している。そして、カプセル膜安定化工程P63では、硬化剤が加えられるとともに攪拌されることにより、たとえば10乃至20μmφ程度の平均粒径を有し、その径に対して10%程度の厚みを有し、硬化後のゼラチン或いはメラミン樹脂から構成される外皮44を有するマイクロカプセル38が、液中に分散した状態で得られる。図8の(d)および(e)はこの状態を示している。ゼラチンから構成される外皮44を有するマイクロカプセル38とメラミン樹脂から構成される外皮44を有するマイクロカプセル38とを比較すると、後者の方が粒径が20μmφ程度で均一であった。
【0030】
図6に戻って、砥石含浸工程P7では、ビトリファイド砥石片26が処理液作成工程P6により作成された処理液中に約1分間浸漬させられることにより、その処理液がビトリファイド砥石片26の連通気孔36内に含浸される。この含浸は大気圧中で行われてもよいし、真空中で行われる真空含浸であってもよい。続く乾燥工程P8では、処理液が含浸させられたビトリファイド砥石片26が常温下で24時間乾燥されるか或いは加熱下で数時間乾燥され、処理液中の水が除去される。これにより、ビトリファイド砥石片26の連通気孔36内において、マイクロカプセル38が局部的に充填され且つ連通気孔36の内壁面に固着される。そして、検査工程P9において含浸状態が検査される。
【0031】
図9および図10は、上記図6の工程により製造されたビトリファイド砥石片26の断面を示している。図9は100倍の電子顕微鏡写真であり、図10は500倍の電子顕微鏡写真である。これら図9および図10に示すように、ビトリファイドボンド32により結合されている砥粒34の間に形成された連通気孔36内には、球状のマイクロカプセル38が所定割合で充填された状態で固着されている。
【0032】
[試験例1]
図11乃至図13は、以下に示す試験品1および2を用いて表5に示す試験条件下で本発明者が行った実験により、消費電力、研削焼け、砥石磨耗、面粗度について評価した平面研削試験結果を示している。図11乃至図13において、○印は試験砥石1(マイクロカプセル未処理品)を用いて研削した結果を示し、△印は試験砥石2(マイクロカプセル処理品)を用いて研削した結果を示している。図11乃至図13に示される平面研削試験結果によれば、マイクロカプセル処理された試験砥石2によれば、未処理品である試験砥石1に比較して、初期電力が低く(図11)、面粗度もやや向上し(図12)、砥石磨耗は同等である(図13)。
【0033】
試験砥石1:CB80M200V
(図6に示す工程で作成したビトリファイド砥石片、マイクロカプセルが連通気孔内に充填されていない未処理品)
試験砥石2:CB80M200V
(図6および図7に示す工程で作成したビトリファイド砥石片、不水研削液内包のメラミン膜製外皮を有するマイクロカプセルが連通気孔内に部分的に充填された状態で接着されているマイクロカプセル処理品)
【0034】
[表5]平面研削試験条件
・研削盤:日立平面研削盤GHLB306−4
・砥石寸法:205mmφ×13mmT×76.2mmH
・被削材:SKD11(100mm×10mm×T)
・切込み:片側5μm/1パス
・テーブル送り速度:20m/min
・研削液:ノリタケクールSEC−700(株式会社ノリタケカンパニーリミテド製)
・ドレス:50mmφシャープナー2μm/切込
【0035】
[試験例2]
カムシャフト軸は、図14に示すオニギリ形の形状のカムKを一体に有する軸であり、このカムとの外周を上記の試験砥石1および試験砥石2を用いてそれぞれ研削(研磨)し、被研材(カムシャフト)Hの研削焼けをカラーチェック液(染色浸透探傷剤)を用いて評価した。このカラーチェック液は順次適用される浸透液、除去液、現像剤の3液から成り、金属の表面のクラック、傷、ピンボール等を赤色にて顕すものである。図15は、未処理の試験砥石1を用いてカム部を研削した場合のカラーチェック結果を示している。リフト部Lの外周面には、明確な研削焼け割れWが認められた。カムKの外周面のうち曲率半径の大きいリフト部Lで研削面荷が大きいため、そこに焼け割れが生じ易いからである。図16は、マイクロカプセル処理された試験砥石2を用いてカムKの外周面を研削した場合のカラーチェック結果を示している。リフト部Sの外周面には、研削焼け割れの発生は全く認められなかった。
【0036】
[試験例3]
図17は、本発明者が研削試験に用いたクランクシャフトに類似する形状の被削材Hの形状を示している。この被削材Hは、軸受けにより支持されるべき円柱状のジャーナル部Jとそのジャーナル部Jを軸心C方向において挟む一対のショルダー部Sとを有するものであり、そのジャーナル部Jの外周面と一対のショルダー部Sの端面とを、上記の試験砥石1および試験砥石2を用いてそれぞれ研削(研磨)した。試験砥石1を用いた場合には上記ショルダー部Sの端面に焼けが生じたが、試験砥石2を用いた場合には上記ショルダー部Sの端面に焼けが認められなかった。
【0037】
上述のように、本実施例のビトリファイド超砥粒砥石ホイール10のビトリファイド砥石片26によれば、砥粒34の研削点すなわち切れ刃を潤滑するための潤滑剤42を内包するマイクロカプセル38がビトリファイド砥石片26の連通気孔36内に部分的に充填された状態で固着されていることから、研削液の供給機能、切り屑を研削点から除去するチップポケット機能等の連通気孔の本来の機能が損なわれることがないので高研削比および高い能率の研削が得られると同時に、研削面20に露出したマイクロカプセル38が破壊されてそれに内包された研削液42が放出されるので、被削材Hの回転軸芯に直交する段付面や端面部等の面接触部分のように研削液が供給され難い部分における研削焼けが好適に防止され、安定した研削品質が得られる。
【0038】
また、本実施例のビトリファイド砥石片26(砥材層30)において、砥粒34は、5乃至250μmφの平均粒径を有するダイヤモンド砥粒またはCBN砥粒であり、連通気孔36は、5乃至500μmφの平均内径を有するものであり、マイクロカプセル38は、1乃至200μmφの平均粒径を備えたものである。これにより、ビトリファイド砥石片26の製造過程において、マイクロカプセル38を連通気孔内へ容易に入れることができる。
【0039】
また、本実施例のビトリファイド砥石片26(砥材層30)において、マイクロカプセル38に内包される潤滑剤42は、被削材Hを軟化させ或いは劣化させる性質を備えたものであり、たとえば研削液の原液が用いられる。このように、マイクロカプセル38に内包される潤滑剤として研削液の原液が用いられる場合には、高い潤滑性能が得られるので、研削焼けが好適に防止される。
【0040】
また、本実施例のビトリファイド砥石片26(砥材層30)において、マイクロカプセル38の外皮44は、ゼラチン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂のいずれかから成る。マイクロカプセルの外皮がこのような有機物から構成されるので、研削面20においてマイクロカプセル38が容易に破壊されるとともに、研削性能に影響を及ぼさない利点がある。
【0041】
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、別の態様でも実施され得る。
【0042】
たとえば、前述の実施例において、マイクロカプセル38の外皮44は、ガラス質等の無機材料から構成されたものであってもよい。
【0043】
また、前述の実施例において、マイクロカプセル38を連通気孔36の内面に接着するための接着剤は必ずしも熱硬化性樹脂でなくてもよく、熱可塑性樹脂やCMCなどであってもよい。
【0044】
また、前述の実施例において、ビトリファイド超砥粒砥石ホイール10の回転軸心Wを中心として放射状に配置された下地層28および砥材層30には、それらを貫通する貫通孔が形成されてもよい。
【0045】
また、前述の実施例において、台金18は、金属たとえば炭素鋼、アルミニウム合金などから成り、この構成は高速回転にも耐え得る強度を備えるために好ましいが、これに限られず、たとえば合成樹脂、繊維強化樹脂、あるいはビトリファイド砥石から成るものであってもよい。また、その台金18に替えて、焼結金属や無機材料の焼結体から成る円盤状の基台であってもよい。
【0046】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施例の製造方法によって製造されたビトリファイド超砥粒砥石ホイールを示す正面図である。
【図2】図1のビトリファイド砥石片を示した斜視図である。
【図3】図1のビトリファイド超砥粒砥石ホイールにおいて、ビトリファイド砥石片( 砥材層) の砥石組織を拡大して説明する模式図である。
【図4】上記砥石組織に形成されている連通気孔内の一部に充填された状態で固着されるマイクロカプセルの構成を説明する図である。
【図5】図1のビトリファイド超砥粒砥石ホイールの製造工程の要部を説明する工程図である。
【図6】図5のビトリファイド超砥粒砥石ホイールにおいて、ビトリファイド砥石片(砥材層)の連通気孔内にマイクロカプセルを所定の割合で充填して固着する工程を説明する工程図である。
【図7】図6の処理液を作成する工程を説明する工程図である。
【図8】図7の処理液作成工程における材料の混合手順を説明する図であって、(a)は分散媒に芯物質を投入する工程を、(b)はその芯物質を攪拌する工程を、(c)はマイクロカプセルの外皮を形成する工程を、(d)はマイクロカプセルの外皮を硬化させる硬化剤を投入する工程を、(e)はその硬化剤を攪拌して外皮を安定化する工程を、それぞれ示している。
【図9】ビトリファイド超砥粒砥石ホイールにおいて、ビトリファイド砥石片(砥材層)において、その連通気孔内にマイクロカプセルが充填された後の砥石組織を100倍に拡大して示す電子顕微鏡写真である。
【図10】ビトリファイド超砥粒砥石ホイールにおいて、ビトリファイド砥石片(砥材層)において、その連通気孔内にマイクロカプセルが充填された後の砥石組織を500倍に拡大して示す電子顕微鏡写真である。
【図11】連通気孔内にマイクロカプセルが充填されないビトリファイド超砥粒砥石ホイールと、連通気孔内にマイクロカプセルが充填されたビトリファイド超砥粒砥石ホイールとを用いて、研削試験1を行った場合の消費電極値を示す図である。
【図12】連通気孔内にマイクロカプセルが充填されないビトリファイド超砥粒砥石ホイールと、連通気孔内にマイクロカプセルが充填されたビトリファイド超砥粒砥石ホイールとを用いて、研削試験1を行った場合の面粗度を示す図である。
【図13】連通気孔内にマイクロカプセルが充填されないビトリファイド超砥粒砥石ホイールと、連通気孔内にマイクロカプセルが充填されたビトリファイド超砥粒砥石ホイールとを用いて、研削試験1を行った場合の砥石磨耗量を示す図である。
【図14】連通気孔内にマイクロカプセルが充填されないビトリファイド超砥粒砥石ホイールと、連通気孔内にマイクロカプセルが充填されたビトリファイド超砥粒砥石ホイールとを用いてカムシャフトの研削を行った研削試験2で用いられた被削材の形状を説明する図である。
【図15】連通気孔内にマイクロカプセルが充填されないビトリファイド超砥粒砥石ホイールを用いて図14の被削材を研削した場合の研削焼けに対応するクラックの発生状態を示す写真である。
【図16】連通気孔内にマイクロカプセルが充填されたビトリファイド超砥粒砥石ホイールを用いて図14の被削材を研削した場合に、研削焼けやそれに対応するクラックが発生しなかった状態を示す写真である。
【図17】連通気孔内にマイクロカプセルが充填されないビトリファイド超砥粒砥石ホイールと、連通気孔内にマイクロカプセルが充填されたビトリファイド超砥粒砥石ホイールとを用いてクランクシャフトの研削を行った研削試験3で用いられた被削材の形状を説明する図である。
【符号の説明】
【0048】
10:ビトリファイド超砥粒砥石ホイール
20:研削面
26:ビトリファイド砥石片(ビトリファイド砥石)
30:砥材層
34:砥粒
36:連通気孔
38:マイクロカプセル
42:潤滑剤
44:外皮
【技術分野】
【0001】
本発明は、砥粒と、その砥粒を結合する無機結合剤と、その砥粒および無機結合剤の間に形成される連通気孔とを有するビトリファイド砥石に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CBN砥粒、ダイヤモンド砥粒、一般砥粒などの砥粒がガラス質の無機結合剤により結合された多孔質のビトリファイド砥石が知られている。このようなビトリファイド砥石は、たとえば、円弧状の砥石片として形成され、それらが金属製の台金、ビトリファイド組織等の無機材料製のセラミックスコア等の円盤状のコアの外周面に貼着されたビトリファイド砥石ホイールとして用いられている。このようなビトリファイド砥石ホイールは、高研削比および高研削能率が得られ、金属部品、焼き入れされた鋼材等の被削材を高速研削する場合において好適に用いられる。たとえば、特許文献1および2に記載のビトリファイド超砥粒砥石がそれである。
【特許文献1】特開2000−084857号公報
【特許文献2】特開2000−246647号公報
【特許文献3】特開平04−300165号公報
【特許文献4】特開2005−081535号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のようなビトリファイド砥石において、たとえばカム軸、クランク軸の研削において、回転軸芯に直交する段付面や端面部等の面接触部分のように研削液が供給され難い部分を有する被削材の研削作業など、研削焼けの発生し易い研削作業に用いられる場合には、研削焼け防止の目的から砥石組織を粗にしたり、適度な砥粒切れ刃の自生が得られるように砥石硬さを下げることが行われていた。しかし、この場合には、砥粒保持力が低いために砥石寿命が短くなるという欠点があった。
【0004】
一般に、研削焼けは、特にドレッシング直後に発生することが多い。ドレッシング後の砥石表面にボンドが砥粒と同一表面に存在していることが原因であり、複数本の研削加工後には上記砥石表面のボンドが砥粒よりも後退して次第に本来の切れ味となる。このことから、ドレッシング直後は、加工能率すなわち切込み速度を低く設定して研削加工を行うか、ドレッシングに加えて目立て処理を行うことが行われており、それが研削加工の生産性の低下の原因となっていた。
【0005】
さらに、たとえばベアリングの軌道面の超仕上げ研磨において、面粗度の向上および金属溶着防止の目的から、砥石内に硫黄やワックスのような処理剤を含浸させることが行われている。しかし、このような場合には、砥石の連通気孔内すべてに処理剤が充填されるので、研削液が十分に流入できなくなり、研削性能の低下を招くという欠点があった。
【0006】
なお、特許文献3および4に示されるように、研削液(潤滑剤)等を内包するマイクロカプセルを超砥粒と共に金属メッキ相内に分散させた研削砥石が提案されている。そのマイクロカプセルは、専ら緻密な金属メッキ相の表面(研削面)に露出したときに破壊されてチップポケットを形成して、切り屑の排出を可能とし、付随的に研削液の供給とを行うものである。このため、ビトリファイド超砥粒砥石を用いて高研削能率で被削材を研削する場合に、被削材の形状によって発生する研削液が外部から供給され難い部分に対しても研削液を供給してその部分の研削焼けを防止する機能を生じさせるものではない。
【0007】
本発明は以上の事情を背景としてなされたものであり、その目的とするところは、被削材と砥石との間に研削液の入り難い部分の研削において被削材の研削焼けが発生せず、研削面の研削品質を低下させることのないビトリファイド砥石を提供することにある。
【0008】
本発明者等は、上記事情を背景として種々検討を重ねた結果、焼成後のビトリファイド砥石に対して、その連通気孔内に、前記砥粒を潤滑するための潤滑剤を内包するマイクロカプセルを部分的に充填して固着させると、被削材の回転軸芯に直交する段付面や端面部等の面接触部分のように研削液が供給され難い部分における研削焼けが好適に防止され、被削材の研削について安定した研削品質が得られることを見いだした。本発明はこの知見に基づいて為されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための請求項1に係る発明は、(a)砥粒と、その砥粒を結合する無機結合剤と、その砥粒および無機結合剤の間に形成される連通気孔とを有するビトリファイド砥石であって、(b)前記砥粒を潤滑するための潤滑剤を内包するマイクロカプセルが、前記連通気孔内に部分的に充填された状態で固着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明のビトリファイド砥石によれば、砥粒を潤滑するための潤滑剤を内包するマイクロカプセルがビトリファイド砥石の連通気孔内に部分的に充填された状態で固着されていることから、研削液の供給機能、切り屑を研削点から除去するチップポケット機能等の連通気孔の本来の機能が損なわれることがないので高研削比および高い能率の研削が得られると同時に、研削面に露出したマイクロカプセルが破壊されてそれに内包された研削液が放出されるので、被削材の回転軸芯に直交する段付面や端面部等の面接触部分のように研削液が供給され難い部分における研削焼けが好適に防止され、安定した研削品質が得られる。
【0011】
ここで、好適には、前記砥粒は、5乃至250μmφの平均粒径を有するダイヤモンド砥粒またはCBN砥粒であり、前記連通気孔は、5乃至500μmφの平均内径を有するものであり、前記マイクロカプセルは、1乃至200μmφの平均粒径を備えたものである。これにより、ビトリファイド砥石の製造過程において、マイクロカプセルを連通気孔内へ容易に入れることができる。
【0012】
また、好適には、前記マイクロカプセルに内包される潤滑剤は、研削液から成るものである。研削液濃度は、高い程潤滑性が得られるので、好適には上記マイクロカプセルに内包される潤滑剤として研削液の原液が用いられる。この場合には、一層高い潤滑性能が得られるので、研削焼けが好適に防止される。
【0013】
また、好適には、前記マイクロカプセルの外皮は、ゼラチン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂のいずれかから成る。マイクロカプセルの外皮がこのような有機物から構成されるので、マイクロカプセルが容易に破壊されるとともに、研削性能に影響を及ぼさない利点がある。
【0014】
また、好適には、前記ビトリファイド砥石は、超砥粒砥石ホイールの厚板円板状のコアの外周面に貼り着けられた複数個の砥石片である。このようにすれば、高価な砥粒を有効に使用できるとともに、大径の超砥粒砥石ホイールを容易に製造できる。しかし、前記ビトリファイド砥石は、一体成形の砥石であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明の一実施例の製造方法によって製造されたビトリファイド超砥粒砥石ホイール10を示す正面図である。ビトリファイド超砥粒砥石ホイール10は、たとえば炭素鋼、アルミニウム合金などの金属製の円盤状であってその中央部に研削装置(たとえば後述の円筒研削盤12)に取り付けるための取付穴14を有する取付部16が設けられた台金18と、その台金18の回転軸心Wを曲率中心とする円弧に沿って湾曲させられた円弧板状であってその外周面にあたる研削面20とそれに対して反対側の内周面にあたる貼着面22とを有し、その貼着面22が台金18の外周面24に隙間なく貼着された複数個(本実施例では12個)のビトリファイド砥石片26とを、備えている。その大きさは用途により適宜設定されるが、本実施例のビトリファイド超砥粒砥石ホイール10は、たとえば、外径Dが380mmφ、取付部16を除く厚みが10mm程度の寸法に構成されたものである。
【0017】
図2は、ビトリファイド砥石片26を示す斜視図である。図1乃至図2において、ビトリファイド砥石片26は、熔融アルミナ質、炭化珪素質、またはムライト質等のセラミック質の一般砥粒がガラス質の無機結合剤(ビトリファイドボンド)により結合されて成る下地層28と、CBN砥粒、ダイヤモンド砥粒等のヌープ硬度が3000以上の超砥粒がガラス質の無機結合剤により結合されて成る砥材層30とから一体的に構成されている。上記下地層28は、専ら砥材層30を機械的に支持するための基台として機能するものであり、砥材層30は、専ら被削材を研削するための砥石として機能するものである。なお、上記超砥粒には、たとえば、60メッシュ[平均粒径250μm]乃至3000メッシュ[平均粒径5μm]の範囲内の大きさのものが好適に用いられる。
【0018】
図3は、ビトリファイド砥石片26の砥材層30の断面構成の一例であって、ビトリファイドボンド32とたとえば5乃至250μmφの平均粒径を有する超砥粒34との結合状態を拡大して説明する模式図である。図3において、ビトリファイドボンド32および超砥粒34の間にはたとえば5乃至500μmφの平均内径を有する連通気孔36が形成されており、その連通気孔36内には、それよりも十分に小さい粒径を有する複数のマイクロカプセル38が部分的に充填された状態で図示しない接着剤により固着されている。すなわち、上記マイクロカプセル38は、たとえば1乃至200μmφの平均粒径を備え、研削液の供給機能、切り屑を研削点から除去するチップポケット機能等の連通気孔36の本来の機能が損なわれることがない程度の容積割合で、その平均粒径よりも十分に大きい内径の連通気孔36内の一部に固着されている。砥材層30の表面である研削面20に露出したマイクロカプセル38は、被削材40によって破壊される。
【0019】
上記マイクロカプセル38は、たとえば図4に示すように、たとえば研削液の原液である潤滑剤42と、それを内包する外皮44とから構成されている。外皮44は、マイクロカプセル38が研削面20に露出したときに容易に破壊されるとともに、研削性能に影響を及ぼさないようにゼラチン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂等のいずれかの有機物から構成されている。なお、上記潤滑剤42は、必要に応じて、酸性液等のケミカルエッチング可能な液とされてもよい。
【0020】
図5乃至図8は、ビトリファイド超砥粒砥石ホイール10の製造方法の要部を説明する工程図である。図5において、先ず、原料調合工程P1では、ビトリファイド砥石片26の原料である砥粒と、ガラス質の無機結合剤(ビトリファイドボンド)と、成形時においてある程度の相互粘結力を発生させるためのデキストリンなどの粘結剤(糊量)と、必要に応じて適宜混入される有機物あるいは無機バルーンなどの気孔形成剤とを、砥材層30および下地層28毎に予め設定された割合で秤量して、それぞれ混合する。なお、上記下地層28は必ずしも形成されなくてもよく、上記気孔形成剤は必ずしも用いられなくてよい。本実施例では、たとえば砥材層30用には以下の表1に示す割合、下地層28用には以下の表2に示す割合の原料を用いる。また、積極的に大きな気孔或いは巨大気孔を形成する場合には、上記原料に加えて、発泡スチロール等の樹脂ビーズが用いられる。
【0021】
[表1]
原材料名 割合
CBN砥粒 (#80/100) 50容量部
ビトリファイドボンド 20容量部
糊量 6容量部
【0022】
[表2]
原材料名 割合
球状ムライト 35容量部
電溶ムライト 14容量部
ビトリファイドボンド 20容量部
糊量 6容量部
【0023】
次いで、成形工程P2では、所定の成形金型の成形キャビティー内に上記混合された砥材層30用の原料および下地層28用の原料を順次充填し、加圧することにより、図2に示す形状の成形体を成形する。次いで、焼成工程P3では、上記成形体をたとえば1000℃以下の温度で5時間焼成することにより、たとえば長さが40mm、幅が10.4mm、厚みが7.4mmのビトリファイド砥石片26を作製する。上記焼成により、原料に含まれる粘結剤等の有機物が消失させられるとともに無機結合剤が熔融させられ、その後固まった無機結合剤によって砥粒が相互に結合される。これにより、作製されたビトリファイド砥石片26には、超砥粒が無機結合剤により結合された多数の連続気孔を有する多孔質のビトリファイド砥石組織が形成される。上記ビトリファイド砥石片26(砥材層30)は、たとえば#80のCBN砥粒が結合度Mにて集中度200でビトリファイドボンドにより結合されたもの(CB80M200VN1)である。
【0024】
次いで、貼着工程P4では、予め作製された台金18の外周面24に上記ビトリファイド砥石片26をたとえばエポキシ樹脂接着剤等を用いて隙間無なく貼着する。次いで、仕上げ工程P5では、上記ビトリファイド砥石片26が貼着された台金18すなわちビトリファイド超砥粒砥石ホイール10の表面をドレッシング工具や切削工具を用いて所定の深さたとえば0.5乃至1mm程度の深さだけ削ることにより、そのビトリファイド超砥粒砥石ホイール10の外径寸法Dやその外径寸法Dの真円度、および厚み寸法などを整える。以上の各工程P1乃至P5を経ることによって、図1に示すような、超砥粒が無機結合剤により結合されたビトリファイド砥石片26が台金18の外周面24に貼着されたビトリファイド超砥粒砥石ホイール10が製造される。
【0025】
本実施例では、上記焼成工程P3の後において、すなわち貼着工程P4および仕上げ工程P5の前或いは後において、たとえば図6に示す工程により、マイクロカプセル38がビトリファイド砥石片26の連通気孔36内の一部に所定割合で充填され且つ固着される。
【0026】
図6において、処理液作成工程P6では、図7に示すマイクロカプセル製造工程P61乃至P63において製造されたマイクロカプセル38と、固形分濃度が48重量%程度の液状フェノール樹脂、液状エポキシ樹脂、液状メラミン樹脂等レゾール型樹脂から成る樹脂接着剤と、希釈水とが混合されることにより、多数のマイクロカプセル38が液中に分散した処理液が作成される。この処理液は、たとえばマイクロカプセル38の外皮44がゼラチン膜から構成される場合は表3に示す割合であり、マイクロカプセル38の外皮44がメラミン樹脂から構成される場合は表4に示す割合である。この処理液中の水の割合が、マイクロカプセル38の連通気孔36内の容積に対する容積割合(充填割合)を定めるものである。たとえば、表3に示す処理液が用いられた場合には、マイクロカプセル38の連通気孔36内の容積に対する容積割合は約10%となり、表4に示す処理液が用いられた場合には、マイクロカプセル38の連通気孔36内の容積に対する容積割合は約22%となる。
【0027】
[表3]
原材料名 割合
マイクロカプセル(ゼラチン) 10.5容積%
樹脂接着剤 5.4容積%
水 84.1容積%
【0028】
[表4]
原材料名 割合
マイクロカプセル(メラミン樹脂) 22.6容積%
樹脂接着剤 5.4容積%
水 72.0容積%
【0029】
図7に示すマイクロカプセル製造工程P61乃至P63において、先ず乳化工程P61では、たとえば水からなる分散媒中に、不水研削液(油性研削液の原液)および/または二硫化モリブデン等の固体潤滑剤粒子から成る芯物質が加えられるとともに攪拌されることにより、乳化液が作成される。図8の(a)および(b)はこの状態を示している。次いで、カプセル膜形成工程P62では、液状のゼラチン或いはメラミン樹脂が加えられるとともに攪拌されることにより、上記芯物質の周囲にゼラチン或いはメラミン樹脂から成る外皮44が形成される。図8の(c)はこの状態を示している。そして、カプセル膜安定化工程P63では、硬化剤が加えられるとともに攪拌されることにより、たとえば10乃至20μmφ程度の平均粒径を有し、その径に対して10%程度の厚みを有し、硬化後のゼラチン或いはメラミン樹脂から構成される外皮44を有するマイクロカプセル38が、液中に分散した状態で得られる。図8の(d)および(e)はこの状態を示している。ゼラチンから構成される外皮44を有するマイクロカプセル38とメラミン樹脂から構成される外皮44を有するマイクロカプセル38とを比較すると、後者の方が粒径が20μmφ程度で均一であった。
【0030】
図6に戻って、砥石含浸工程P7では、ビトリファイド砥石片26が処理液作成工程P6により作成された処理液中に約1分間浸漬させられることにより、その処理液がビトリファイド砥石片26の連通気孔36内に含浸される。この含浸は大気圧中で行われてもよいし、真空中で行われる真空含浸であってもよい。続く乾燥工程P8では、処理液が含浸させられたビトリファイド砥石片26が常温下で24時間乾燥されるか或いは加熱下で数時間乾燥され、処理液中の水が除去される。これにより、ビトリファイド砥石片26の連通気孔36内において、マイクロカプセル38が局部的に充填され且つ連通気孔36の内壁面に固着される。そして、検査工程P9において含浸状態が検査される。
【0031】
図9および図10は、上記図6の工程により製造されたビトリファイド砥石片26の断面を示している。図9は100倍の電子顕微鏡写真であり、図10は500倍の電子顕微鏡写真である。これら図9および図10に示すように、ビトリファイドボンド32により結合されている砥粒34の間に形成された連通気孔36内には、球状のマイクロカプセル38が所定割合で充填された状態で固着されている。
【0032】
[試験例1]
図11乃至図13は、以下に示す試験品1および2を用いて表5に示す試験条件下で本発明者が行った実験により、消費電力、研削焼け、砥石磨耗、面粗度について評価した平面研削試験結果を示している。図11乃至図13において、○印は試験砥石1(マイクロカプセル未処理品)を用いて研削した結果を示し、△印は試験砥石2(マイクロカプセル処理品)を用いて研削した結果を示している。図11乃至図13に示される平面研削試験結果によれば、マイクロカプセル処理された試験砥石2によれば、未処理品である試験砥石1に比較して、初期電力が低く(図11)、面粗度もやや向上し(図12)、砥石磨耗は同等である(図13)。
【0033】
試験砥石1:CB80M200V
(図6に示す工程で作成したビトリファイド砥石片、マイクロカプセルが連通気孔内に充填されていない未処理品)
試験砥石2:CB80M200V
(図6および図7に示す工程で作成したビトリファイド砥石片、不水研削液内包のメラミン膜製外皮を有するマイクロカプセルが連通気孔内に部分的に充填された状態で接着されているマイクロカプセル処理品)
【0034】
[表5]平面研削試験条件
・研削盤:日立平面研削盤GHLB306−4
・砥石寸法:205mmφ×13mmT×76.2mmH
・被削材:SKD11(100mm×10mm×T)
・切込み:片側5μm/1パス
・テーブル送り速度:20m/min
・研削液:ノリタケクールSEC−700(株式会社ノリタケカンパニーリミテド製)
・ドレス:50mmφシャープナー2μm/切込
【0035】
[試験例2]
カムシャフト軸は、図14に示すオニギリ形の形状のカムKを一体に有する軸であり、このカムとの外周を上記の試験砥石1および試験砥石2を用いてそれぞれ研削(研磨)し、被研材(カムシャフト)Hの研削焼けをカラーチェック液(染色浸透探傷剤)を用いて評価した。このカラーチェック液は順次適用される浸透液、除去液、現像剤の3液から成り、金属の表面のクラック、傷、ピンボール等を赤色にて顕すものである。図15は、未処理の試験砥石1を用いてカム部を研削した場合のカラーチェック結果を示している。リフト部Lの外周面には、明確な研削焼け割れWが認められた。カムKの外周面のうち曲率半径の大きいリフト部Lで研削面荷が大きいため、そこに焼け割れが生じ易いからである。図16は、マイクロカプセル処理された試験砥石2を用いてカムKの外周面を研削した場合のカラーチェック結果を示している。リフト部Sの外周面には、研削焼け割れの発生は全く認められなかった。
【0036】
[試験例3]
図17は、本発明者が研削試験に用いたクランクシャフトに類似する形状の被削材Hの形状を示している。この被削材Hは、軸受けにより支持されるべき円柱状のジャーナル部Jとそのジャーナル部Jを軸心C方向において挟む一対のショルダー部Sとを有するものであり、そのジャーナル部Jの外周面と一対のショルダー部Sの端面とを、上記の試験砥石1および試験砥石2を用いてそれぞれ研削(研磨)した。試験砥石1を用いた場合には上記ショルダー部Sの端面に焼けが生じたが、試験砥石2を用いた場合には上記ショルダー部Sの端面に焼けが認められなかった。
【0037】
上述のように、本実施例のビトリファイド超砥粒砥石ホイール10のビトリファイド砥石片26によれば、砥粒34の研削点すなわち切れ刃を潤滑するための潤滑剤42を内包するマイクロカプセル38がビトリファイド砥石片26の連通気孔36内に部分的に充填された状態で固着されていることから、研削液の供給機能、切り屑を研削点から除去するチップポケット機能等の連通気孔の本来の機能が損なわれることがないので高研削比および高い能率の研削が得られると同時に、研削面20に露出したマイクロカプセル38が破壊されてそれに内包された研削液42が放出されるので、被削材Hの回転軸芯に直交する段付面や端面部等の面接触部分のように研削液が供給され難い部分における研削焼けが好適に防止され、安定した研削品質が得られる。
【0038】
また、本実施例のビトリファイド砥石片26(砥材層30)において、砥粒34は、5乃至250μmφの平均粒径を有するダイヤモンド砥粒またはCBN砥粒であり、連通気孔36は、5乃至500μmφの平均内径を有するものであり、マイクロカプセル38は、1乃至200μmφの平均粒径を備えたものである。これにより、ビトリファイド砥石片26の製造過程において、マイクロカプセル38を連通気孔内へ容易に入れることができる。
【0039】
また、本実施例のビトリファイド砥石片26(砥材層30)において、マイクロカプセル38に内包される潤滑剤42は、被削材Hを軟化させ或いは劣化させる性質を備えたものであり、たとえば研削液の原液が用いられる。このように、マイクロカプセル38に内包される潤滑剤として研削液の原液が用いられる場合には、高い潤滑性能が得られるので、研削焼けが好適に防止される。
【0040】
また、本実施例のビトリファイド砥石片26(砥材層30)において、マイクロカプセル38の外皮44は、ゼラチン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂のいずれかから成る。マイクロカプセルの外皮がこのような有機物から構成されるので、研削面20においてマイクロカプセル38が容易に破壊されるとともに、研削性能に影響を及ぼさない利点がある。
【0041】
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、別の態様でも実施され得る。
【0042】
たとえば、前述の実施例において、マイクロカプセル38の外皮44は、ガラス質等の無機材料から構成されたものであってもよい。
【0043】
また、前述の実施例において、マイクロカプセル38を連通気孔36の内面に接着するための接着剤は必ずしも熱硬化性樹脂でなくてもよく、熱可塑性樹脂やCMCなどであってもよい。
【0044】
また、前述の実施例において、ビトリファイド超砥粒砥石ホイール10の回転軸心Wを中心として放射状に配置された下地層28および砥材層30には、それらを貫通する貫通孔が形成されてもよい。
【0045】
また、前述の実施例において、台金18は、金属たとえば炭素鋼、アルミニウム合金などから成り、この構成は高速回転にも耐え得る強度を備えるために好ましいが、これに限られず、たとえば合成樹脂、繊維強化樹脂、あるいはビトリファイド砥石から成るものであってもよい。また、その台金18に替えて、焼結金属や無機材料の焼結体から成る円盤状の基台であってもよい。
【0046】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施例の製造方法によって製造されたビトリファイド超砥粒砥石ホイールを示す正面図である。
【図2】図1のビトリファイド砥石片を示した斜視図である。
【図3】図1のビトリファイド超砥粒砥石ホイールにおいて、ビトリファイド砥石片( 砥材層) の砥石組織を拡大して説明する模式図である。
【図4】上記砥石組織に形成されている連通気孔内の一部に充填された状態で固着されるマイクロカプセルの構成を説明する図である。
【図5】図1のビトリファイド超砥粒砥石ホイールの製造工程の要部を説明する工程図である。
【図6】図5のビトリファイド超砥粒砥石ホイールにおいて、ビトリファイド砥石片(砥材層)の連通気孔内にマイクロカプセルを所定の割合で充填して固着する工程を説明する工程図である。
【図7】図6の処理液を作成する工程を説明する工程図である。
【図8】図7の処理液作成工程における材料の混合手順を説明する図であって、(a)は分散媒に芯物質を投入する工程を、(b)はその芯物質を攪拌する工程を、(c)はマイクロカプセルの外皮を形成する工程を、(d)はマイクロカプセルの外皮を硬化させる硬化剤を投入する工程を、(e)はその硬化剤を攪拌して外皮を安定化する工程を、それぞれ示している。
【図9】ビトリファイド超砥粒砥石ホイールにおいて、ビトリファイド砥石片(砥材層)において、その連通気孔内にマイクロカプセルが充填された後の砥石組織を100倍に拡大して示す電子顕微鏡写真である。
【図10】ビトリファイド超砥粒砥石ホイールにおいて、ビトリファイド砥石片(砥材層)において、その連通気孔内にマイクロカプセルが充填された後の砥石組織を500倍に拡大して示す電子顕微鏡写真である。
【図11】連通気孔内にマイクロカプセルが充填されないビトリファイド超砥粒砥石ホイールと、連通気孔内にマイクロカプセルが充填されたビトリファイド超砥粒砥石ホイールとを用いて、研削試験1を行った場合の消費電極値を示す図である。
【図12】連通気孔内にマイクロカプセルが充填されないビトリファイド超砥粒砥石ホイールと、連通気孔内にマイクロカプセルが充填されたビトリファイド超砥粒砥石ホイールとを用いて、研削試験1を行った場合の面粗度を示す図である。
【図13】連通気孔内にマイクロカプセルが充填されないビトリファイド超砥粒砥石ホイールと、連通気孔内にマイクロカプセルが充填されたビトリファイド超砥粒砥石ホイールとを用いて、研削試験1を行った場合の砥石磨耗量を示す図である。
【図14】連通気孔内にマイクロカプセルが充填されないビトリファイド超砥粒砥石ホイールと、連通気孔内にマイクロカプセルが充填されたビトリファイド超砥粒砥石ホイールとを用いてカムシャフトの研削を行った研削試験2で用いられた被削材の形状を説明する図である。
【図15】連通気孔内にマイクロカプセルが充填されないビトリファイド超砥粒砥石ホイールを用いて図14の被削材を研削した場合の研削焼けに対応するクラックの発生状態を示す写真である。
【図16】連通気孔内にマイクロカプセルが充填されたビトリファイド超砥粒砥石ホイールを用いて図14の被削材を研削した場合に、研削焼けやそれに対応するクラックが発生しなかった状態を示す写真である。
【図17】連通気孔内にマイクロカプセルが充填されないビトリファイド超砥粒砥石ホイールと、連通気孔内にマイクロカプセルが充填されたビトリファイド超砥粒砥石ホイールとを用いてクランクシャフトの研削を行った研削試験3で用いられた被削材の形状を説明する図である。
【符号の説明】
【0048】
10:ビトリファイド超砥粒砥石ホイール
20:研削面
26:ビトリファイド砥石片(ビトリファイド砥石)
30:砥材層
34:砥粒
36:連通気孔
38:マイクロカプセル
42:潤滑剤
44:外皮
【特許請求の範囲】
【請求項1】
砥粒と、該砥粒を結合する無機結合剤と、該砥粒および無機結合剤の間に形成される連通気孔とを有するビトリファイド砥石であって、
潤滑剤を内包するマイクロカプセルが、前記連通気孔内に部分的に充填された状態で固着されていることを特徴とするビトリファイド砥石。
【請求項2】
前記マイクロカプセルは、1乃至200μmφの平均粒径を備えたものである請求項1のビトリファイド砥石。
【請求項3】
前記マイクロカプセルに内包される潤滑剤は、研削液から成るものであることを特徴とする請求項1または2のビトリファイド砥石。
【請求項4】
前記マイクロカプセルの外皮は、ゼラチン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂のいずれかから成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1のビトリファイド砥石。
【請求項5】
前記砥粒は、5乃至250μmφの平均粒径を有するダイヤモンド砥粒またはCBN砥粒であり、前記連通気孔は、5乃至500μmφの平均内径を有するものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1のビトリファイド砥石。
【請求項6】
超砥粒砥石ホイールのコアの外周面に貼り着けられた複数個の砥石片である請求項5のビトリファイド砥石。
【請求項1】
砥粒と、該砥粒を結合する無機結合剤と、該砥粒および無機結合剤の間に形成される連通気孔とを有するビトリファイド砥石であって、
潤滑剤を内包するマイクロカプセルが、前記連通気孔内に部分的に充填された状態で固着されていることを特徴とするビトリファイド砥石。
【請求項2】
前記マイクロカプセルは、1乃至200μmφの平均粒径を備えたものである請求項1のビトリファイド砥石。
【請求項3】
前記マイクロカプセルに内包される潤滑剤は、研削液から成るものであることを特徴とする請求項1または2のビトリファイド砥石。
【請求項4】
前記マイクロカプセルの外皮は、ゼラチン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂のいずれかから成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1のビトリファイド砥石。
【請求項5】
前記砥粒は、5乃至250μmφの平均粒径を有するダイヤモンド砥粒またはCBN砥粒であり、前記連通気孔は、5乃至500μmφの平均内径を有するものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1のビトリファイド砥石。
【請求項6】
超砥粒砥石ホイールのコアの外周面に貼り着けられた複数個の砥石片である請求項5のビトリファイド砥石。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図17】
【図9】
【図10】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図17】
【図9】
【図10】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−36266(P2010−36266A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198353(P2008−198353)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000004293)株式会社ノリタケカンパニーリミテド (449)
【出願人】(000111410)株式会社ノリタケスーパーアブレーシブ (73)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000004293)株式会社ノリタケカンパニーリミテド (449)
【出願人】(000111410)株式会社ノリタケスーパーアブレーシブ (73)
【Fターム(参考)】
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