説明

ビニル系モノマー重合用触媒組成物および該組成物を用いたビニル系モノマーの重合への使用

【課題】より温和な条件下で官能基を側鎖に有するビニル系モノマー重合触媒の提供。
【解決手段】周期律表第10族の金属元素と1金属当たり一つのホスフィン配位子を有する金属化合物、あるいは該金属化合物と(a)周期律表第1、2、11、12、13、15および16族から選ばれた少なくとも1種の元素、(b)置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基および/または置換基を有してもよい炭素数6〜40の芳香族炭化水素基ならびに(c)過塩素酸基、からなる群から選ばれた2種以上を有する化合物、との組合せからなる組成物を用いてビニル系モノマーを重合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周期律表第10族の元素とホスフィン配位子を含有するビニル系モノマー重合用触媒組成物、およびそれを用いたビニル系モノマーの重合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーの高機能化の手段として、種々の官能基を重合体中に導入する方法がある。例えば、側鎖に官能基を有するビニル系モノマーの付加重合法により、様々な性能を有するポリマーが得られる。ビニル系モノマーの種類は豊富であることからも、この方法は簡便かつ有用な手段といえる。
【0003】
ビニル系モノマーの付加重合法としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合等が知られている。ラジカル重合法は重合可能なモノマーの適用範囲が広く、α−オレフィン、スチレン誘導体等の炭化水素系モノマーのみならず、エステル基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の官能基を有するモノマーでも重合可能である。その反面、ラジカル重合法は重合を開始させるためには高温に加熱することを必要とする。また、低温下でも重合開始能のある開始剤を用いた場合には生産性に乏しく、生産性を確保するために乳化剤を用いた乳化重合法を行う場合には操作が煩雑となる、といった問題がある。
【0004】
一方、カチオン重合法およびアニオン重合法は、重合可能なモノマーの適用範囲が狭いという欠点がある。チーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒等を用いた重合に代表される配位重合では、近年、官能基を有するモノマーを重合可能とする後周期金属錯体を用いた重合法も開発され、アクリル酸エステル、ノルボルネオールといった水酸基含有オレフィン等の官能基含有モノマーとエチレンとの共重合法も開発されている(特許文献1〜8)。
【0005】
しかしながら、このような重合方法でも官能基含有モノマーを主成分とする重合は困難であり、官能基を有さないα−オレフィン等のモノマーに少量の官能基含有モノマーを導入した共重合を製造できるにすぎない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第96/23010号パンフレット
【特許文献2】国際公開第98/42664号パンフレット
【特許文献3】国際公開第98/42665号パンフレット
【特許文献4】国際公開第98/56839号パンフレット
【特許文献5】米国特許第6303720号明細書
【特許文献6】国際公開第01/92354号パンフレット
【特許文献7】国際公開第01/96406号パンフレット
【特許文献8】国際公開第02/059165号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明の課題は、ビニル系モノマー、特に官能基を含有するビニル系モノマーを比較的温和な条件下で生産性高く重合するための触媒組成物およびそれを用いた重合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明者等は、周期律表第10族の金属元素と1金属当たり一つのホスフィン配位子を有する金属化合物を触媒組成物として用いることにより、ビニル系モノマー、特に官能基を含有するビニル系モノマーを比較的温和な条件下で生産性高く重合できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、ビニル系モノマー重合用触媒組成物であって、下記式(I)、(II)および(III):
【化1】

(式中、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基または置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表し、X、X、XおよびXはそれぞれ、水素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、ハロゲン、アセトキシ基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、ニトロ基、カルボニル、置換基を有してもよいトリフルオロメタンスルホニル基、またはパークロロを表し、MおよびMはそれぞれ周期律表第10族の元素を表す。)で示される金属化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の金属化合物を含む成分Aを含有する、前記重合用触媒組成物に関する。
【0010】
また本発明は、(a)周期律表第1、2、11、12、13、15および16族から選ばれた少なくとも1種の元素、(b)置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基および/または置換基を有してもよい炭素数6〜40の芳香族炭化水素基ならびに(c)過塩素酸基、からなる3つの群のうちの少なくとも2つの群からそれぞれ1種以上選ばれた、元素および/または基を有する化合物を含む成分Bをさらに含有する、請求項1に記載の重合用触媒組成物に関する。
【0011】
さらに本発明は、Mおよび/またはMの金属がパラジウムである、前記重合用触媒組成物に関する。
【0012】
また本発明は、R、R、R、R、RおよびRが、置換基を有してもよいtert−ブチル基、置換基を有してもよいシクロヘキシル基、置換基を有してもよいビフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいアントリル基、置換基を有してもよいフェナントリル基、または置換基を有してもよいトリル基である、前記重合用触媒組成物に関する。
【0013】
さらに本発明は、X、X、XおよびXがそれぞれ、水素、置換基を有してもよいメチル基、臭素、塩素、ヨウ素、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいトリフルオロメタンスルホニル基、またはパークロロである、前記重合用触媒組成物に関する。
【0014】
また本発明は、成分Bが有機リチウム化合物、有機マグネシウム化合物、トリフルオロメタンスルホン酸塩、過塩素酸塩、有機亜鉛化合物、有機ホウ素化合物、有機ホウ酸塩、または有機アルミニウム化合物である、前記重合用触媒組成物に関する。
【0015】
さらに本発明は、前記重合用触媒組成物のビニル系モノマーの重合への使用に関する。
【0016】
また本発明は、ビニル系モノマーが、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルエーテル、ビニルエステル、エチレン、α-オレフィン、スチレン誘導体およびジエン誘導体からなる群から選ばれた少なくとも1種である、前記ビニル系モノマーの重合への使用に関する。
【発明の効果】
【0017】
以上のとおり、本発明のビニル系モノマー重合用触媒組成物は、周期律表第10族の元素と、1金属原子当り一つのホスフィン配位子を有する金属化合物からなる成分Aを含有するので、官能基を含有するモノマーを含む重合体を、比較的温和な条件下で生産性高く製造することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のビニル系モノマー重合用触媒組成物に含まれる成分Aは、下記式(I)、(II)および(III)で示される金属化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の金属化合物を含有する。該金属化合物は1金属原子当り一つのホスフィン配位子を有する。金属化合物の金属MおよびMはそれぞれ、周期律表第10族のニッケル、パラジウムまたは白金であり、特にパラジウムが好ましい。
【0019】
【化2】

式中、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基または置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表す。上記炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基等の直鎖、分枝鎖または環状の脂肪族炭化水素基が挙げられ、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、フルオレニル基、アズレニル基等が挙げられる。また、これらの基の置換基としては、上記の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、上記の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリロキシ基、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、アセトキシ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基等の官能基等が挙げられる。これらの置換基はさらに置換基を有していてもよい。
【0020】
、R、R、R、RおよびRの好ましい例としては、置換基を有してもよいtert−ブチル基、置換基を有してもよいシクロヘキシル基、置換基を有してもよいビフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいアントリル基、置換基を有してもよいフェナントリル基、置換基を有してもよいo−トリル基、m−トリル基またはp−トリル基等が挙げられる。
【0021】
、X、XおよびXはそれぞれ、水素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、ハロゲン、アセトキシ基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、ニトロ基、カルボニル、置換基を有してもよいトリフルオロメタンスルホニル基、またはパークロロを表す。ここで、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基および炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、上記R〜Rで挙げた脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基が挙げられる。またこれらの基の置換基としては、上記の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、上記の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリロキシ基、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、アセトキシ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基等の官能基等が挙げられる。また、これらの置換基はさらに置換基を有していてもよい。X、X、XおよびXの好ましい例としては、水素、置換基を有してもよいメチル基、置換基を有してもよいフェニル基、1−アセトキシプロピル基、塩素、臭素、ヨウ素、カルボニル、置換基を有してもよいトリフルオロメタンスルホニル基、パークロロ等が挙げられる。
【0022】
また、式(I)、(II)および(III)において示される実線は、それぞれ共有結合、イオン結合および配位結合のいずれかを表す。
【0023】
式(I)、(II)および(III)で示される金属化合物としては、例えば下記の構造で示される化合物が挙げられる。
【化3】

【0024】
式(I)、(II)、および(III)で示される金属化合物の具体例としては、(トリtert−ブチルホスフィン)ジクロロパラジウム、(トリtert−ブチルホスフィン)クロロメチルパラジウム、(トリtert−ブチルホスフィン)ジメチルパラジウム、(トリtert−ブチルホスフィン)ジブロモパラジウムダイマー、(トリシクロヘキシルホスフィン)ジクロロパラジウム、(トリシクロヘキシルホスフィン)クロロメチルパラジウム、(トリシクロヘキシルホスフィン)ジメチルパラジウム、[(ジtert−ブチル)ビフェニル]ホスフィンジクロロパラジウム、[(ジtert−ブチル)ビフェニル]ホスフィンクロロメチルパラジウム、[(ジtert−ブチル)ビフェニル]ホスフィンジメチルパラジウム、(トリo−トリルホスフィン)ジクロロパラジウム、(トリo−トリルホスフィン)クロロメチルパラジウム、(トリo−トリルホスフィン)ジメチルパラジウム等が挙げられる。
【0025】
成分Bは、(a)周期律表第1、2、11、12、13、15および16族から選ばれた少なくとも1種の元素、(b)置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基および/または置換基を有してもよい炭素数6〜40の芳香族炭化水素基ならびに(c)過塩素酸基、からなる3つの群のうちの少なくとも2つの群からそれぞれ1種以上選ばれた、元素および/または基を有する化合物を含む。置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基および置換基を有してもよい炭素数6〜40の芳香族炭化水素基は、上記のR〜Rにおけるこれらの基と同義である。
【0026】
成分Bに含まれる化合物としては、アルキルリチウム、アルキルナトリウム、アルキルマグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸塩、過塩素酸塩、アルキル亜鉛、アルキルホウ素、ホウ酸塩、アルキルアルミニウム等が挙げられる。具体例としては、メチルリチウム、ブチルリチウム、フェニルリチウム、ブチルナトリウム、ブチルエチルマグネシウム、臭化メチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム、臭化ブチルマグネシウム、臭化フェニルマグネシウム、塩化メチルマグネシウム、塩化エチルマグネシウム、塩化ブチルマグネシウム、塩化フェニルマグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸銀、過塩素酸銀、過塩素酸トリフェニルメチル、ジエチル亜鉛、トリスペンタフルオロフェニルホウ素、トリス(トリフルオロメチル)ホウ素、テトラキスペンタフルオロフェニルホウ酸トリフェニルメチル、テトラキス[3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸トリフェニルメチル、テトラキス[3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸ナトリウム、テトラキス[3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸ビス(ジエチルエーテル)、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド、イソブチルアルミニウムイソプロポキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド、エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシド、水素化ジイソプロピルアルミニウム、メチルアルミニウムビス(2,6−ジtert−ブチルフェノキシド)、メチルアルミニウムビス(2,6−ジtert−ブチル−4−メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6−ジtert−ブチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6−ジtert-ブチル−4−メチルフェノキシド)、メチルアルミニウムビス{2−(N−フェニルイミノ)フェノキシド}、イソブチルアルミニウムビス{2−(N−フェニルイミノ)フェノキシド}、ジメチルアルミニウム{2−(N−フェニルイミノ)フェノキシド}、ジメチルアルミニウム(N,N’−ジイソプロピルアセトアミジナート)、ジメチルアルミニウム(N,N’−ジシクロヘキシルアセトアミジナート)、ジメチルガリウム(N,N’−ジイソプロピルアセトアミジナート)、ジメチルガリウム(N,N’−ジシクロヘキシルアセトアミジナート)、酸素原子や窒素原子を介して2個以上のアルミニウムが結合したアルミノキサン化合物等が挙げられる。中でもトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、アルミノキサン化合物等が好ましい。成分Bは、これらの化合物の1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0027】
本発明で用いるビニル系モノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸フェニル等のメタクリル酸エステル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、n−プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、2−エチルへキサン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸イソプロペニル等のビニルエステル、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、シクロペンタジエン、ノルボルナジエン等のα−オレフィン、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等のスチレン誘導体、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、ネオプレン等のジエン誘導体が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
重合条件は特に限定されないが、ビニル系モノマーと不活性溶媒との混合溶液を用いるのが好ましい。この不活性溶媒は、重合を阻害しないものであればいかなる溶媒でも使用できるが、特に炭素数4〜20の脂肪族炭化水素、例えばイソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等、芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン等、炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素、例えばクロロホルム、塩化メチレン、四塩化水素、ジブロモエタン、テトラクロロエタン等、ハロゲン化芳香族炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等、炭素数3〜20の脂肪族エステル、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸2−エチルへキシル、酢酸フェニル、ヘキサン酸エチル等、または芳香族エステル、例えば安息香酸メチル、安息香酸エチル等が適当である。
【0029】
上記ビニル系モノマーとしてビニルエステルを用い、単独重合またはエチレン系モノマー、プロピレン系モノマー等と共重合する場合、得られるポリビニルエステルまたはその共重合体は、常法に従って鹸化し、ポリビニルアルコールまたはその共重合体に変換してもよい。
【0030】
本発明の実施にあたり、成分Aはビニル系モノマーと不活性溶媒を含有する混合溶液1Lあたり、周期律表第10族の金属原子0.001〜2.5モルに相当する量で使用するのが好ましく、条件によりさらに高い濃度で使用することもできる。
【0031】
成分Bは、成分Aの種類等により適宜濃度を変更し得るが、ビニル系モノマーと不活性溶媒を含有する混合溶液1Lあたり、通常周期表第1、2、11、12または13族の金属原子0.02〜50モルの濃度で使用する。触媒組成物の成分B/成分Aのモル比は特に限定されないが、通常0〜1000であり、好ましくは0〜500であり、より好ましくは0.1〜100である。
【0032】
本発明における重合操作は、通常の単一の重合条件で行う一段重合のみならず、複数の重合条件下で行う多段重合においても行うことができる。
【0033】
本発明における重合温度は特に限定されないが、通常−100℃〜100℃であり、好ましくは−30℃〜80℃である。
【実施例】
【0034】
以下の実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、合成例、実施例および比較例に用いた測定方法は次の通りである。
【0035】
(成分Aの同定)
核磁気共鳴装置(日本電子(株)製、JNM-ECP-500)を用い、1H NMR、13C NMR、および31P NMRを測定した。また、元素分析装置(YANACO社製、CHN CORDER MT-6)を用い、炭素および水素の含量を測定した。
(重合体の分子量)
カラム(東ソー(株)製、TSKgelGMHHR−MおよびTSKgelG2000HHR)および示差屈折率計(東ソー(株)製、RI−8020)を備えたゲル浸透クロマトグラフ(東ソー(株)製)により、40℃、テトラヒドロフラン溶媒中で、重合体の重量平均分子量(Mw)および分散度〔重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)〕をポリスチレン換算で求めた。
またポリエチレンについてはカラム((株)センシュー科学製、GPC3506およびShodex社製、UT-802.5)および示差屈折率計((株)センシュー科学製、SSC−7100)を備えたゲル浸透クロマトグラフ((株)センシュー科学製)により、120℃、o−ジクロロベンゼン溶媒中で重量平均分子量(Mw)および分散度〔重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)〕をポリスチレン換算で求めた。
【0036】
合成例1
[成分Aの調製]
(トリtert−ブチルホスフィン)クロロメチルパラジウム((tBu)3PPd(Me)Cl)の合成
アルゴン置換したシュレンクフラスコに(tBu)3 P(411 mg, 2.03 mmol) と(cod)Pd(Me)Cl (539 mg, 2.03 mmol)を投入した。この混合物に室温で塩化メチレン(1 mL)を加え、5分間撹拌した。反応溶液をヘキサン(25 mL)中に滴下し、生成した沈殿物を濾別、乾燥して標記の錯体を得た(収量:560 mg, 収率:77%)。
【0037】
1H NMR (CDCl3, 500 MHz) 1.49 (d, J = 13 Hz, 27H), 1.75 (d, J = 0.8 Hz, 3H); 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) -1.90, 31.8, 39.8; 31P NMR (CDCl3, 202 MHz) 70.1; Anal. calcd. for C13H30ClPPd: C, 43.47; H, 8.42. Found: C, 43.47; H, 8.29.
【0038】
合成例2
[成分Aの調製]
[2−ビフェニル(ジtert−ブチル)]ホスフィンクロロメチルパラジウム((biphenyl) (tBu)2PPd(Me)Cl)の合成
アルゴン置換したシュレンクフラスコに(biphenyl)(tBu)2P (2.16 g, 7.22 mmol) と(cod)Pd(Me)Cl (1.85 g, 6.98 mmol)を投入した。この混合物に室温で塩化メチレン(10 mL)を加え、5分間撹拌した。反応溶液をヘキサン(100 mL)中に滴下し、生成した沈殿物を濾別、乾燥して標記の錯体を得た(収量:2.91 g, 収率:92%)。
【0039】
1H NMR (CDCl3, 500 MHz) 1.47 (d, J = 14Hz, 18H), 1.55 (d, J = 2Hz, 3H), 6.80-6.83 (m, 1H), 7.15 (d, J = 7.5Hz, 2H), 7.36-7.40 (m, 2H), 7.50(t, J = 7.8Hz, 2H), 7.75 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.92-7.95 (m, 1H); 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) −0.71, 31.3, 38.5, 126.1, 126.2, 130.4, 131.0, 130.4, 131.9, 133.2, 133.6, 134.5, 149.2; 31P NMR (CDCl3, 202 MHz) 62.4; Anal. calcd. for C21H30ClPPd: C, 55.40; H, 6.64. Found: C, 55.15; H, 6.77.
【0040】
合成例3
[成分Aの調製]
(トリo−トリルホスフィン)クロロメチルパラジウム((o-Tolyl)3PPd(Me)Cl)の合成
アルゴン置換した20 mLシュレンクフラスコに(o-Tolyl)3P (660 mg, 2.17 mmol) と(cod)PdMeCl (574 mg, 2.17 mmol)を投入した。この混合物に室温で塩化メチレン(1 mL)を加え、5分間撹拌した。反応溶液をヘキサン(25 mL)中に滴下し、生成した沈殿物を濾別、乾燥して標記の錯体を得た(収量:907 mg, 収率:91%)。
【0041】
1H NMR (CDCl3, 500 MHz) 0.35-0.65 (br, 3H), 1.45-3.55 (br, 9H), 6.95-7.65 (br, 12H); 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) 0.33, 31.8, 23.7, 125.7, 127.9, 130.9, 143.3; 31P NMR (CDCl3, 202 MHz) 36.2; Anal. calcd. for C22H25ClPPd: C, 57.28; H, 5.24. Found: C, 57.00; H, 5.33.
【0042】
実施例1
(tBu)3PPd(Me)Clを用いたアクリル酸メチルの重合
アルゴン置換した20 mLシュレンクフラスコに (tBu)3PPd(Me)Cl (3.60 mg, 11.0 μmol) とNaB(3,5-(CF3)2C6H3)4 (10.0 mg, 11μmol) を投入した。この混合物に塩化メチレン (0.75 mL) を加え、室温で30分間撹拌した。減圧下で塩化メチレンを蒸発させ、そこへアクリル酸メチル (1.00 mL, 11.0 mmol) を加え14時間撹拌した。反応溶液を減圧下で濃縮し、ポリアクリル酸メチルを得た (収量:290 mg, 収率:30.3%)。Mn = 3,600,000 ; Mw / Mn = 1.12。
【0043】
実施例2
(tBu)3PPd(Me)Clを用いたアクリル酸メチルの重合
アルゴン置換した20 mLシュレンクフラスコに(tBu)3PPd(Me)Cl (3.80 mg, 11.0 μmol) とNaB(3,5-(CF3)2C6H3)4 (11.5 mg, 12.0μmol) を投入した。この混合物にアセトニトリル (1.00 mL) 、続いてアクリル酸メチル (1.00 mL, 11.0 mmol) を加え、室温で8時間撹拌した。反応溶液を減圧下で濃縮し、ポリアクリル酸メチルを得た (収量:151 mg, 収率:15.8 %)。Mn = 4,000,000 ; Mw / Mn = 1.22。
【0044】
実施例3
(tBu)3PPd(Me)Clを用いたアクリル酸メチルの重合
アルゴン置換した20 mLシュレンクフラスコに (tBu)3PPd(Me)Cl (3.80 mg, 11.0 μmol) とNaB(3,5-(CF3)2C6H3)4 (11.5 mg, 12 μmol) を投入した。この混合物にアセトニトリル (1.00 mL) 、続いて塩化メチレン (1.00 mL) 、そしてアクリル酸メチル (1.00 mL, 11.0 mmol) を加え、室温で8時間撹拌した。反応溶液をエバポレーションし、減圧下で乾燥し、ポリアクリル酸メチルを得た (収量:480 mg, 収率:50.2 %)。Mn = 3,300,000 ; Mw / Mn = 1.17。
【0045】
実施例4
(biphenyl)(tBu)2PPd(Me)Clを用いたメタクリル酸メチルの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、 (biphenyl)(tBu)2PPd(Me)Cl (22.8 mg, 0.05 mmol) とメチルアルミノキサン (アルミニウム原子換算で 2.0 mmol) を加え、さらに室温でメタクリル酸メチル (10.0 mL, 93.5 mmol) を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100 ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリメタクリル酸メチルを得た (収量:2.45 g, 収率:26.2 %)。Mn = 33,000 ; Mw / Mn = 1.90。
【0046】
実施例5
(o-Tolyl)3PPd(Me)Clを用いたメタクリル酸メチルの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、 (o-Tolyl)3PPd(Me)Cl (23.1 mg, 0.05 mmol) とメチルアルミノキサン (アルミニウム原子換算で 2.0 mmol) を加え、さらに室温でメタクリル酸メチル (10.0 mL, 93.5 mmol) を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100 ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリメタクリル酸メチルを得た (収量:4.10 g, 収率:43.8 %)。Mn = 21,700 ; Mw / Mn = 1.94。
【0047】
実施例6
(tBu)3PPd(Me)Clを用いたイソブチルビニルエーテルの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、 (tBu)3PPd(Me)Cl (18.0 mg, 0.05 mmol) とメチルアルミノキサン (アルミニウム原子換算で 2.00 mmol) を加え、さらに室温でイソブチルビニルエーテル(14.1 mL, 108 mmol) を加えて24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100 ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリイソブチルビニルエーテルを得た (収量:9.29 g, 収率:85.9 %)。Mn = 32,500 ; Mw / Mn = 4.81。
【0048】
実施例7
(tBu)3PPd(Me)Clを用いたイソブチルビニルエーテルの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、 0℃で(tBu)3PPd(Me)Cl (18.0 mg, 0.05 mmol) とメチルアルミノキサン (アルミニウム原子換算で 2.00 mmol) を加え、さらにイソブチルビニルエーテル(14.1 mL, 108 mmol) を加えて24時間0℃で撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリイソブチルビニルエーテルを得た (収量:941 mg, 収率:8.7 %)。Mn = 8,900; Mw / Mn = 2.60。
【0049】
実施例8
(Biphenyl)(tBu)2PPd(Me)Clを用いたイソブチルビニルエーテルの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにクロロホルム(10 ml)を装入し、 (Biphenyl)(tBu)2PPd(Me)Cl (22.8 mg, 0.05 mmol) とトルフルオロメタンスルホン酸銀 (12.8 mg 0.05 mmol) を加え、さらにイソブチルビニルエーテル(14.1 mL, 108 mmol) を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100 ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリイソブチルビニルエーテルを得た (収量:10.8 g, 収率:99.9 %)。Mn = 2,200 ; Mw / Mn = 3.42。
【0050】
実施例9
(Biphenyl)(tBu)2PPd(Me)Clを用いたイソブチルビニルエーテルの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにクロロホルム(10 ml)を装入し、(Biphenyl)(tBu)2PPd(Me)Cl (22.8 mg, 0.05 mmol) とテトラキス[3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸ナトリウム(44.3 mg、 0.05 mmol) を加え、さらにイソブチルビニルエーテル(14.1 mL, 99.9 mmol) を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリイソブチルビニルエーテルを得た (収量:10.8 g, 収率:99.9 %)。Mn = 5,400; Mw / Mn = 2.31。
【0051】
実施例10
(tBu)3PPd(Me)Clを用いた酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、 (tBu)3PPd(Me)Cl (18.0 mg, 0.05 mmol) とメチルアルミノキサン (アルミニウム原子換算で 2.00 mmol) を加え、さらに酢酸ビニル(10.0 mL, 108 mmol) を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100 ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た (収量:3.92 g, 収率:42.0 %)。Mn = 12,300 ; Mw / Mn = 1.85。
【0052】
実施例11
(tBu)3PPd(Me)Clを用いた酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、 (tBu)3PPd(Me)Cl (18.0 mg, 0.05 mmol) とメチルアルミノキサン (アルミニウム原子換算で 2.00 mmol) を加え、さらに酢酸ビニル(10.0 mL, 108 mmol) を加えて50℃で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100 ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た (収量:5.40 g, 収率:57.8 %)。Mn = 9,100 ; Mw / Mn = 2.28。
【0053】
実施例12
(tBu)3PPd(Me)Clを用いた酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、0℃で (tBu)3PPd(Me)Cl (18.0 mg, 0.05 mmol) とメチルアルミノキサン (アルミニウム原子換算で 2.00 mmol) を加え、さらに酢酸ビニル(10.0 mL, 108 mmol) を加えて0℃で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100 ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た (収量:1.18 g, 収率:12.6 %)。Mn = 14,700 ; Mw / Mn = 1.87。
【0054】
実施例13
(tBu)3PPd(Me)Clを用いた酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、(tBu)3PPd(Me)Cl (18.0 mg, 0.05 mmol) とメチルアルミノキサン (アルミニウム原子換算で 2.00 mmol) を加え、さらに酢酸ビニル(10.0 mL, 108 mmol) を加えて75℃で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100 ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た (収量:5.91 g, 収率:63.3 %)。Mn = 7,700 ; Mw / Mn = 2.36。
【0055】
実施例14
(tBu)3PPd(Me)Clを用いた酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにヘプタン(10 ml)を装入し、(tBu)3PPd(Me)Cl (18.0 mg, 0.05 mmol) とメチルアルミノキサン (アルミニウム原子換算で 2.00 mmol) を加え、さらに酢酸ビニル(10.0 mL, 108 mmol) を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100 ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た (収量:4.03 g, 収率:43.2 %)。Mn = 28,300 ; Mw / Mn = 2.33。
【0056】
実施例15
(biphenyl)(tBu)2PPd(Me)Clを用いた酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、(biphenyl)(tBu)2PPd(Me)Cl (22.8 mg, 0.05 mmol) とメチルアルミノキサン (アルミニウム原子換算で 2.00 mmol) を加え、さらに酢酸ビニル(10.0 mL, 108 mmol) を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100 ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た (収量:1.32 g, 収率:14.1 %)。Mn = 11,200 ; Mw / Mn = 2.00。
【0057】
実施例16
(biphenyl)(tBu)2PPd(Me)Clを用いた酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、(biphenyl)(tBu)2PPd(Me)Cl (22.8 mg, 0.05 mmol) とメチルアルミノキサン (アルミニウム原子換算で 5.00 mmol) を加え、さらに酢酸ビニル(10.0 mL, 108 mmol) を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100 ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た (収量:1.81 g, 収率:19.4 %)。Mn =8,400 ; Mw / Mn = 1.94。
【0058】
実施例17
(o-Tolyl)3PPd(Me)Clを用いた酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、(o-Tolyl)3PPd(Me)Cl (23.1 mg, 0.05 mmol) とメチルアルミノキサン (アルミニウム原子換算で 2.00 mmol) を加え、さらに酢酸ビニル(10.0 mL, 108 mmol) を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100 ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た (収量:1.32 g, 収率:14.1 %)。Mn = 10,500 ; Mw / Mn = 2.04。
【0059】
実施例18
(tBu)3PPd(Me)Clを用いた酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、(tBu)3PPd(Me)Cl (18.0 mg, 0.05 mmol) とトリイソブチルアルミニウム (19.8 mg, 0.10 mmol) を加え、さらに酢酸ビニル(10.0 mL, 108 mmol) を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100 ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た (収量:196 mg, 収率:2.1 %)。Mn = 6,400 ; Mw / Mn = 1.75
【0060】
実施例19
ジブロモビス(トリ-t-ブチルホスフィノ)ジパラジウム([(tBu)3PPdBr]2)を用いた酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、[(tBu)3PPdBr]2 (19.4 mg, 0.025 mmol) とメチルアルミノキサン (アルミニウム原子換算で 2.00 mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(10.0 mL, 108 mmol) を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100 ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た (収量:0.88 g, 収率:9.4 %)。Mn = 10,000 ; Mw / Mn = 1.76。
【0061】
実施例20
ジブロモビス(トリ-t-ブチルホスフィノ)ジパラジウム([(tBu)3PPdBr]2)を用いた酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、[(tBu)3PPdBr]2 (19.4 mg, 0.025 mmol) とメチルアルミノキサン (アルミニウム原子換算で 2.00 mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(10.0 mL, 108 mmol) を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100 ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た (収量:1.16 g, 収率:12.4 %)。Mn = 10,000 ; Mw / Mn = 1.76。
【0062】
実施例21
(tBu)3PPd(Me)Clを用いたピバリン酸ビニルの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、 (tBu)3PPd(Me)Cl (18.0 mg, 0.05 mmol) とメチルアルミノキサン (アルミニウム原子換算で 2.00 mmol) を加え、さらにピバリン酸ビニル (15.9 mL, 108 mmol) を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリピバリン酸ビニルを得た (収量:9.42 g, 収率:68.3 %)。Mn =14,400 ; Mw / Mn =2.52 。
【0063】
実施例22
(tBu)3PPd(Me)Clを用いたピバリン酸ビニルの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、 (tBu)3PPd(Me)Cl (18.0 mg, 0.05 mmol) とメチルアルミノキサン (アルミニウム原子換算で 2.00 mmol) を加え、さらにピバリン酸ビニル(15.9 mL, 108 mmol) を加えて50℃で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100 ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリピバリン酸ビニルを得た (収量:11.2 g, 収率:80.9 %)。Mn = 13,600 ; Mw / Mn = 2.58。
【0064】
実施例23
(tBu)3PPd(Me)Clを用いたピバリン酸ビニルの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、0℃で (tBu)3PPd(Me)Cl (18.0 mg, 0.05 mmol) とメチルアルミノキサン (アルミニウム原子換算で 2.00 mmol) を加え、さらにピバリン酸ビニル(15.9 mL, 108 mmol) を加えて0℃で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100 ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリピバリン酸ビニルを得た (収量:4.98 g, 収率:36.1 %)。Mn = 26,500; Mw / Mn = 2.71。
【0065】
実施例24
(tBu)3PPd(Me)Clを用いた安息香酸ビニルの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、 (tBu)3PPd(Me)Cl (18.0 mg, 0.05 mmol) とメチルアルミノキサン (アルミニウム原子換算で 2.00 mmol) を加え、さらに安息香酸ビニル(15.0 mL, 108 mmol) を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100 ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ安息香酸ビニルを得た (収量:1.93 g, 収率:12.1 %)。Mn = 5,400 ; Mw / Mn = 1.89。
【0066】
実施例25
(tBu)3PPd(Me)Clを用いた安息香酸ビニルの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、 (tBu)3PPd(Me)Cl (18.0 mg, 0.05 mmol) とメチルアルミノキサン (アルミニウム原子換算で 2.00 mmol) を加え、さらに安息香酸ビニル(15.0 mL, 108 mmol) を加えて50℃で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100 ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ安息香酸ビニルを得た (収量:4.23 g, 収率:26.4 %)。Mn = 7,200 ; Mw / Mn = 1.83。
【0067】
実施例26
(tBu)3PPd(Me)Clを用いた安息香酸ビニルの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、0℃で (tBu)3PPd(Me)Cl (18.0 mg, 0.05 mmol) とメチルアルミノキサン (アルミニウム原子換算で 2.00 mmol) を加え、さらに安息香酸ビニル(15.0 mL, 108 mmol) を加えて0℃で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100 ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ安息香酸ビニルを得た (収量:1.49 g, 収率:9.3 %)。Mn = 5,800 ; Mw / Mn = 1.78。
【0068】
実施例27
(tBu)3PPd(Me)Clを用いたエチレンの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、 (tBu)3PPd(Me)Cl (18.0 mg, 0.05 mmol) とメチルアルミノキサン (アルミニウム原子換算で 2.00 mmol) を加え、そこにエチレンガス(1atm)を 吹き込みながら室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を1M塩酸メタノール溶液100 ml中に投入し、ポリエチレンを得た (収量:991 mg)。Mn = 30,700 ; Mw / Mn = 1.71。
【0069】
実施例28
(o-Tolyl)3PPd(Me)Clを用いたエチレンの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、 (o-Tolyl)3PPd(Me)Cl (23.1 mg, 0.05 mmol) とメチルアルミノキサン (アルミニウム原子換算で 2.00 mmol) を加え、そこにエチレンガス(1atm)を 吹き込みながら室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を1M塩酸メタノール溶液100ml中に投入し、ポリエチレンを得た (収量:801 mg)。Mn = 21,700 ; Mw / Mn = 1.86。
【0070】
実施例29
(tBu)3PPd(Me)Clを用いた1−ヘキセンの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、 (tBu)3PPd(Me)Cl (18.0 mg, 0.05 mmol) とメチルアルミノキサン (アルミニウム原子換算で 2.00 mmol) を加え、さらに1−ヘキセン(13.5mL, 108 mmol)を加えて、室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ(1−ヘキセン)を得た (収量:2.96 g、収率:32.6%)。Mn = 450 ; Mw / Mn = 1.03。
【0071】
実施例30
(biphenyl)(tBu)2PPd(Me)Clを用いたスチレンの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10ml)を装入し、(biphenyl)(tBu)2PPd(Me)Cl (22.8 mg, 0.05 mmol) とメチルアルミノキサン (アルミニウム原子換算で 2.00 mmol) を加え、さらにスチレン (10.0 mL) を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリスチレンを得た (収量:9.08 g, 収率: 99.9 %)。Mn = 4,300 ; Mw / Mn = 1.95。
【0072】
実施例31
(biphenyl)(tBu)2PPd(Me)Clを用いたスチレン/MMA(メタクリル酸メチル)の重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにクロロホルム(1ml)を装入し、(biphenyl)(tBu)2PPd(Me)Cl (22.8 mg, 0.05 mmol) とメチルアルミノキサン (アルミニウム原子換算で 2.00 mmol) を加え、さらにスチレン(5.72 mL, 50.0 mmol) 、MMA(5.34 mL, 50.0 mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100 ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、スチレン/MMA共重合体を得た (収量:7.1 g, 収率:69.6 %)。Mn = 5,700 ; Mw / Mn = 2.70。
【0073】
実施例32
(biphenyl)(tBu)2PPd(Me)Clを用いたイソプレンの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにクロロホルム(1ml)を装入し、(biphenyl)(tBu)2PPd(Me)Cl (22.8 mg, 0.05 mmol) とメチルアルミノキサン (アルミニウム原子換算で 2.00 mmol) を加え、さらにイソプレン(10.8 mL, 108 mmol) を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を0.1M塩酸水溶液100 ml中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリイソプレンを得た (収量:426 mg, 収率:5.8 %)。Mn = 3,000 ; Mw / Mn = 1.60。
【0074】
比較例1
ラジカル重合開始剤を用いたアクリル酸メチルの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、和光純薬工業(株)製V-70 (15.4 mg, 0.05 mmol) を加え、さらに室温でアクリル酸メチル (10.0 mL,111 mmol) を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を濃縮し、ポリアクリル酸メチルを得た (収量:126 mg, 収率: 13.2 %)。Mn = 47,000 ; Mw / Mn = 2.15。
【0075】
比較例2
ラジカル重合開始剤を用いたメタクリル酸メチルの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、和光純薬工業(株)製V-70 (15.4 mg, 0.05 mmol) を加え、さらに室温でメタクリル酸メチル (10.0 mL, 93.5 mmol) を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を濃縮し、ポリメタクリル酸メチルを得た (収量:1.01 g, 収率:10.8 %)。Mn = 31,700 ; Mw / Mn = 2.01。
【0076】
比較例3
ラジカル重合開始剤を用いたイソブチルビニルエーテルの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、和光純薬工業(株)製V-70 (15.4 mg, 0.05 mmol) を加え、さらに室温でイソブチルビニルエーテル(14.1 mL, 108 mmol) を加えて24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を濃縮したがポリマーは得られなかった。
【0077】
比較例4
ラジカル重合開始剤を用いた酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、和光純薬工業(株)製V-70 (15.4 mg, 0.05 mmol) を加え、さらに酢酸ビニル(10.0 mL, 108 mmol) を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を濃縮し、ポリ酢酸ビニルを得た (収量:626 mg, 収率:6.7 %)。Mn = 22,400 ; Mw / Mn = 1.92
【0078】
また、アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、和光純薬工業(株)製V-70 (15.4 mg, 0.05 mmol) を加え、さらに酢酸ビニル(10.0 mL, 108 mmol) を加えて50℃で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を濃縮しポリ酢酸ビニルを得た (1.88 g, 20.1 %)。Mn = 12,400 ; Mw / Mn = 2.12
【0079】
比較例5
ラジカル重合開始剤を用いたエチレンの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、和光純薬工業(株)製V-70 (15.4 mg, 0.05 mmol) を加え、そこにエチレンガス(1atm)を 吹き込みながら室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を濃縮したがポリマーは得られなかった。
【0080】
比較例6
ラジカル重合開始剤を用いた1−ヘキセンの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、和光純薬工業(株)製V-70 (15.4 mg, 0.05 mmol) を加え、さらに1−ヘキセン(13.5 mL, 108 mmol)を加えて、室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を濃縮したが、ポリマーは得られなかった。
【0081】
比較例7
ラジカル重合開始剤を用いたスチレンの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにトルエン(10 ml)を装入し、和光純薬製V-70 (15.4 mg, 0.05 mmol) を加え、さらにスチレン(10.0 mL) を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を濃縮しポリスチレンを得た (収量:2.27 g, 収率:12.5 %)。Mn = 12,300 ; Mw / Mn = 2.01。
【0082】
比較例8
ラジカル重合開始剤を用いたイソプレンの重合
アルゴン置換した100 mLシュレンクフラスコにクロロホルム(1ml)を装入し、和光純薬工業(株)製V-70 (15.4 mg, 0.05 mmol) を加え、さらにイソプレン(10.8 mL, 108 mmol) を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を濃縮し、ポリイソプレンを得た (収量:213 mg, 収率:2.9 %)。Mn = 1,000 ; Mw / Mn = 1.60。
【0083】
実施例1〜3と比較例1、実施例4〜5と比較例2、実施例6〜9と比較例3、実施例10〜26と比較例4、実施例27〜28と比較例5、実施例29と比較例6、実施例30〜31と比較例7、実施例32と比較例8との比較から明らかなように、本発明の重合用触媒組成物を用いた方が得られるポリマーの収率が高く、生産性に優れていることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビニル系モノマー重合用触媒組成物であって、下記式(I)、(II)および(III):
【化1】

(式中、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基または置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表し、X、X、XおよびXはそれぞれ、水素、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、ハロゲン、アセトキシ基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、ニトロ基、カルボニル、置換基を有してもよいトリフルオロメタンスルホニル基、またはパークロロを表し、MおよびMはそれぞれ周期律表第10族の元素を表す。)で示される金属化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の金属化合物を含む成分Aを含有する、前記重合用触媒組成物。
【請求項2】
(a)周期律表第1、2、11、12、13、15および16族から選ばれた少なくとも1種の元素、(b)置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基および/または置換基を有してもよい炭素数6〜40の芳香族炭化水素基ならびに(c)過塩素酸基、からなる3つの群のうちの少なくとも2つの群からそれぞれ1種以上選ばれた、元素および/または基を有する化合物を含む成分Bをさらに含有する、請求項1に記載の重合用触媒組成物。
【請求項3】
および/またはMの金属がパラジウムである、請求項1または2に記載の重合用触媒組成物。
【請求項4】
、R、R、R、RおよびRが、置換基を有してもよいtert−ブチル基、置換基を有してもよいシクロヘキシル基、置換基を有してもよいビフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいアントリル基、置換基を有してもよいフェナントリル基、または置換基を有してもよいトリル基である、請求項1〜3のいずれかに記載の重合用触媒組成物。
【請求項5】
、X、XおよびXがそれぞれ、水素、置換基を有してもよいメチル基、臭素、塩素、ヨウ素、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいトリフルオロメタンスルホニル基、またはパークロロである、請求項1〜4のいずれかに記載の重合用触媒組成物。
【請求項6】
成分Bが有機リチウム化合物、有機マグネシウム化合物、トリフルオロメタンスルホン酸塩、過塩素酸塩、有機亜鉛化合物、有機ホウ素化合物、ホウ酸塩、または有機アルミニウム化合物である、請求項2~5のいずれかに記載の重合用触媒組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の重合用触媒組成物の、ビニル系モノマーの重合への使用。
【請求項8】
ビニル系モノマーが、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルエーテル、ビニルエステル、エチレン、α-オレフィン、スチレン誘導体およびジエン誘導体からなる群から選ばれた少なくとも1種である、請求項7に記載のビニル系モノマーの重合への使用。

【公開番号】特開2011−179012(P2011−179012A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113568(P2011−113568)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【分割の表示】特願2005−59697(P2005−59697)の分割
【原出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】