説明

ビーズチッププレート

【課題】反応場の温度を厳密に管理することができるビーズチッププレートを提供する。
【解決手段】本発明によると、反応場の温度を計測するために、サーモクロミック分子又は低臨界溶液温度高分子を用いる。ビーズを収容するキャピラリの近傍にウエルを設け、そこにサーモクロミック分子又は低臨界溶液温度高分子の溶液を封入する。ビーズにサーモクロミック分子又は低臨界溶液温度高分子を直接固定してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面にプローブと称する生体分子が固定されているビーズを備えたビーズチッププレートに関する。
【背景技術】
【0002】
分子生物学及び分子生物学系の実験では、少ないサンプル量から大量のデータを得ることが要請されている。このような要請に対して幾つかの方法が提案されている。DNAチップ(DNAマイクロアレイ)などもその一例である。DNAチップは、平面上で反応させるため、反応効率に限界がある。そこで、ビーズチッププレートが開発されている。
【0003】
ビーズチッププレートでは、ビーズと呼ばれる微小球を用いる。ビーズの表面にはプローブと称する生体分子が固定されている。ビーズチッププレートに形成された流路に、多数のビーズが配置される。この流路にサンプル、試薬、洗浄液等を順次流す。
【0004】
ビーズチッププレートでは、ビーズの表面の球面が反応場を形成する。そのためDNAチップに比べて反応効率が高い。
【0005】
一般に、ビーズチッププレートを用いて行う反応は、厳密な温度管理が要求される。例えば、核酸のハイブリダイゼーションでは、反応時のわずかな温度差を利用して、一塩基変異などの塩基配列のわずかな差異を識別する。また、酵素反応では、それぞれの酵素が異なる至適温度を持ち、反応温度のわずかな違いにより酵素活性が著しく変化する。
【0006】
ビーズチッププレートにおける反応温度を制御するための一般的な方法として、ビーズチッププレートを温度制御可能なチャンバーに入れるか、または温度制御可能な温調ステージの上に載せることが考えられる。
【0007】
温度制御可能なチャンバーの場合、チャンバー内を満たす気体の温度を測定し、その測定結果を温度制御装置にフィードバックすることにより、チャンバー内の温度を制御する。また、温度制御可能な温調ステージの場合、温調ステージ自体の温度を測定し、その測定結果を温度制御装置にフィードバックすることにより、温調ステージの温度を制御する。
【特許文献1】特開平09-235545号公報
【特許文献2】特開2000-346842号公報
【非特許文献1】Langmuir 2003, 19, 8484-8489
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ビーズチッププレートを用いた実験において温度管理が必要なのは、反応が起こる反応場である。ビーズチッププレートにおける反応場は、ビーズ表面と反応液が接する固/液界面である。
【0009】
従来の温度管理方法では、ビーズチッププレートの全体の温度を管理するが、反応場の温度を厳密に管理するものではない。ビーズチッププレートの全体の温度は反応場の温度と完全に一致するとは限らない。
【0010】
本発明の目的は、反応場の温度を厳密に管理することができるビーズチッププレートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、反応場の温度を計測するために、サーモクロミック分子又は低臨界溶液温度高分子を用いる。ビーズを収容するキャピラリの近傍にウエルを設け、そこにサーモクロミック分子又は低臨界溶液温度高分子の溶液を封入する。ビーズにサーモクロミック分子又は低臨界溶液温度高分子を直接固定してもよい。
【0012】
サーモクロミック分子の吸光度の変化を検出することにより、サーモクロミック分子が遷移温度に達したことが判る。低臨界溶液温度高分子の光透過率の変化を検出することにより、低臨界溶液温度高分子が相転移温度に達したことが判る。
【0013】
従って、サーモクロミック分子の吸光度の変化又は低臨界溶液温度高分子の光透過率の変化を検出することにより、その温度を検知し、それを温調ステージにフィードバックする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ビーズチッププレートにおいて、反応場の温度を厳密に管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1を参照して本発明によるビーズチッププレートの第1の例を説明する。図1(a)は本例のビーズチッププレートの平面構成を示し、図1(b)は図1の線A−Aに沿って切断した断面構成を示す。図1(a)に示すように、本例のビーズチッププレートは、サンプル、試薬、洗浄液等を注入するときに使用する開口101,102、サンプル、試薬、洗浄液等が移動するためのキャピラリ103、及び、キャピラリ103内に配置された複数のプローブビーズ104を有する。開口101,102は、キャピラリ103の両端に形成されている。
【0016】
プローブビーズ104は、粒径がおおむね数μmから100μm程度の微小球であり、その表面にプローブと称する生体分子が固定されている。プローブビーズ104は、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、磁性体等からなる。試料溶液に含まれる蛍光標識されたDNAはプローブとハイブリダイゼーションを起こし、蛍光発色する。この蛍光を検出することにより、試料を検出することができる。
【0017】
図1(b)に示すように、ビーズチッププレートは、基板109とその上に貼り付けられた型110を有する。この型110には、開口101,102に対応する孔101a,102aとキャピラリ103に対応する溝103aが形成されている。基板109は、例えば、ガラスプレートによって構成される。型110は高分子材料によって形成され、例えば、シクロオレフィンポリマー、シリコーンゴム(Polydimethylsiloxane, 略称PDMS)等によって形成される。
【0018】
ビーズチッププレートは、温調ステージ111上に配置されている。温調ステージ111は図示しない温度制御装置によって温度制御される。
【0019】
サンプル、試薬、洗浄液等を、キャピラリ103内で往復させるためには、開口101,102の両側から交互に高圧空気を供給すればよい。
【0020】
本例のビーズチッププレートには、図1(a)に示すように、キャピラリ103の近傍に微小なウエル107が形成されている。これらのウエル107には、サーモクロミック分子溶液201が封入されている。
【0021】
サーモクロミック分子とは、加熱することにより色が変化する分子である。サーモクロミック分子は、熱刺激により分子構造が変化し、それに伴い吸収スペクトルならびに吸収極大波長が変化する。サーモクロミック分子の一例として、銅のN,N-ジエチルエチレンジアミン錯体[Cu(dieten)2](ClO4)2がある。この分子は25℃で赤紫色を示すが、43℃以上になると濃紫色に変色する。この変色は、25℃で平面構造をとる該錯体が43℃以上では四面体構造に変化するためである。この構造変化に伴い該錯体の配位子場が変化し、変色が起きる。サーモクロミック分子の例は、例えば特許文献1を参照されたい。
【0022】
サーモクロミック分子は、温度Tc未満では吸収極大波長λ1を持つのに対し、温度Tc以上では吸収極大波長λ2を持つ。この温度Tcを遷移温度と称する。サーモクロミック分子溶液の温度が遷移温度Tcに到達すると、波長λ1における吸光度が急激に減少するとともに、波長λ2における吸光度が急激に増加する。こうして、溶液の吸光度を測定することにより、サーモクロミック分子溶液の温度が遷移温度Tcに到達したことがわかる。
【0023】
サーモクロミック分子の吸収極大波長の変化、即ち分子構造の変化は、温度変化に対して可逆的であっても不可逆的であってもよい。サーモクロミック分子の吸収極大波長の変化が不可逆的である場合、サーモクロミック分子の温度が低温側から上昇して遷移温度Tcを越えたことを1回だけ検知することができる。一方、サーモクロミック分子の吸収極大波長の変化が可逆的である場合、サーモクロミック分子の温度が低温側から上昇して温度Tcを越えるときと、および高温側から下降して温度Tcを下回るときの両方の検出を繰り返し行うことができる。
【0024】
ウエル107a,107b,107c,107d,107eには、それぞれ遷移温度が異なるサーモクロミック分子溶液201a,201b,201c,201d,201eが装填されている。ウエルには透明なカバーが設けられていてよい。例えば、第1のウエル107aには遷移温度T1のサーモクロミック分子溶液201aが充填され、第2のウエル107bには遷移温度T2のサーモクロミック分子溶液201bが充填され、第3のウエル107cには遷移温度T3のサーモクロミック分子溶液201cが充填され、第4のウエル107dには遷移温度T4のサーモクロミック分子溶液201dが充填され、第5のウエル107eには遷移温度T5のサーモクロミック分子溶液107eが充填されているものとする。遷移温度T1、 T2、 T3、 T4、 T5は、この順で大きいものとする。
【0025】
温調ステージ111を加熱し、分光測定装置によって、5つのウエルのサーモクロミック分子溶液の吸光度を測定する。最初に、第1のウエル107aのサーモクロミック分子溶液201aの変色が観測される。それにより、サーモクロミック分子溶液201aの温度が遷移温度T1に到達したことが判る。次に、第2のウエル107bのサーモクロミック分子溶液201bの変色が観測される。それにより、第2のウエル107bのサーモクロミック分子溶液201bの温度が遷移温度T2に到達したことが判る。以下同様に、第3のウエル107c、第4のウエル107d、及び、第5のウエル107eのサーモクロミック分子溶液201c,201d,201eの変色が順に観測される。それにより、第3のウエル107c、第4のウエル107d、及び、第5のウエル107eのサーモクロミック分子溶液201c,201d,201eの温度が、それぞれ遷移温度T3、T4、T5に到達したことが判る。
【0026】
ウエル107は、キャピラリ103の近傍に設けられる。従って、ウエル107内のサーモクロミック分子溶液201の温度は、キャピラリ103の温度、即ち、プローブビーズ104の温度に等しいと考えてよい。
【0027】
こうして本例では、分光測定装置によって得られた吸光度は電気信号に変換され、温調ステージの温度制御装置にリアルタイムで送信される。温度制御装置は、この電気信号、すなわちサーモクロミック分子溶液の温度情報を温調ステージ111にフィードバックする。こうして、温調ステージは、ウエル107のサーモクロミック分子溶液201の温度に基づいて、ビーズチッププレートの温度を制御する。
【0028】
図2を参照して本発明によるビーズチッププレートの第2の例を説明する。図2は本例のビーズチッププレートの平面構成を示す。本例のビーズチッププレートでは、ウエル107は設けられていない。その代わり、本例のビーズチッププレートでは、表面にプローブと共にサーモクロミック分子が結合したプローブビーズを用いる。ここでは、これをサーモクロミックビーズ105と称する。これらのサーモクロミックビーズ105a、105b、105c、105d、105e、105f、105g、105h、105i、105jには、それぞれ遷移温度が異なるサーモクロミック分子が結合されている。
【0029】
温調ステージ111を加熱し、分光測定装置によって、サーモクロミックビーズ105の吸光度を測定する。それによって、サーモクロミックビーズ105の変色が検出される。サーモクロミックビーズ105の変色は、サーモクロミックビーズ105の温度が遷移温度に到達したことを示す。分光測定装置によって得られた吸光度の変化は電気信号に変換され、温調ステージの温度制御装置にリアルタイムで送信される。温度制御装置は、この電気信号、すなわちサーモクロミックビーズ105の温度情報を温調ステージ111にフィードバックする。こうして、温調ステージは、サーモクロミックビーズ105の温度に基づいて、ビーズチッププレートの温度を制御する。
【0030】
本例では、表面にサーモクロミック分子を結合したサーモクロミックビーズを製造する必要がある。従って、プローブビーズの製造コストが高くなる。しかしながら、サーモクロミックビーズ、即ち、反応場の温度を直接計測することができるという非常に優れた特徴を持つ。
【0031】
図3を参照して本発明によるビーズチッププレートの第3の例を説明する。本例のビーズチッププレートでは、ウエル107に低臨界溶液温度高分子溶液202が充填されている。本例のビーズチッププレートを図1の第1の例と比較すると、サーモクロミック分子溶液の代わりに低臨界溶液温度高分子溶液が用いられている点が異なる。それ以外の構成は、図1の第1の例と同様であってよい。
【0032】
低臨界溶液温度高分子は、加熱することにより光透過率が変化する分子である。低臨界溶液温度高分子は一般にゲル状の高分子であり、熱刺激により相転移を起こし、親溶媒性が変化することにより光透過率が変化する。相転移を起こす温度を相転移温度Taと称する。低臨界溶液温度高分子の一例として、ポリN-イソプロピルアクリルアミド(Poly(N-isopropylacrylamide), pNIPAM)ゲルがある。pNIPAMの水溶液中での相転移温度Taは32℃である。pNIPAMは相転移温度Ta以下では親水性であり、ゲルが膨潤しているため光透過率は大きい。pNIPAM水溶液を相転移温度Ta以下の温度からゆっくりと加温すると、pNIPAMの疎水性が増し、ゲルが収縮する。これに伴い、pNIPAM水溶液の光透過率は相転移温度Ta付近で急激に減少し、溶液は白濁する。また、この状態からpNIPAM水溶液をゆっくり冷却していくと、相転移温度Ta付近で光透過率が急激に上昇する。すなわち、温度変化に対応したpNIPAMの相転移は可逆的に起こる。尚、低臨界溶液温度高分子の例は、例えば、非特許文献1を参照されたい。
【0033】
低臨界溶液温度高分子は、相転移温度Ta未満では光透過率が大きいのに対し、相転移温度Ta以上では光透過率が急激に小さくなる。即ち、低臨界溶液温度高分子溶液の温度が相転移温度Taに到達すると、光透過率が急激に減少する。従って、低臨界溶液温度高分子溶液の光透過率を測定することにより、低臨界溶液温度高分子溶液の温度が相転移温度Taに到達したことが判る。
【0034】
低臨界溶液温度高分子の光透過率の変化、すなわち分子構造の変化は一般に可逆的である。従って、低臨界溶液温度高分子の温度が低温側から上昇して相転移温度Taを越えるとき、および高温側から下降してTaを下回るときの両方の検出を繰り返し行うことができる。
【0035】
ウエル107a,107b,107c,107d,107eには、それぞれ相転移温度Taが異なる低臨界溶液温度高分子溶液202a,202b,202c,202d,202eが装填されている。ウエルには透明なカバーが設けられていよい。温調ステージ111を加熱し、分光測定装置によって、5つのウエル107a,107b,107c,107d,107eの低臨界溶液温度高分子溶液202a,202b,202c,202d,202eの光透過率を測定する。5つのウエルの低臨界溶液温度高分子溶液の光透過率の変化が順に観測される。それにより、5つのウエルの低臨界溶液温度高分子溶液の温度が順に相転移温度Taに到達したことが判る。分光測定装置によって得られた光透過率の変化は電気信号に変換され、温調ステージの温度制御装置にリアルタイムで送信される。温度制御装置は、この電気信号、すなわちウエルの低臨界溶液温度高分子溶液の温度情報を温調ステージ111にフィードバックする。こうして、温調ステージは、ウエルの低臨界溶液温度高分子溶液の温度に基づいて、ビーズチッププレートの温度を制御する。
【0036】
図4を参照して本発明によるビーズチッププレートの第4の例を説明する。図4は本例のビーズチッププレートの平面構成を示す。本例のビーズチッププレートでは、ウエル107は設けられていない。その代わり、本例のビーズチッププレートでは、表面にプローブと共に低臨界溶液温度高分子が結合したプローブビーズを用いる。ここでは、これを低臨界溶液温度ビーズ106と称する。これらの低臨界溶液温度ビーズ106a、106b、106c、106d、106e、106f、106g、106h、106i、106jには、それぞれ相転移温度Taが異なる低臨界溶液温度高分子が結合されている。
【0037】
温調ステージ111を加熱し、分光測定装置によって、低臨界溶液温度ビーズ106の光透過率を測定する。それによって、低臨界溶液温度ビーズ106の光透過率の変化が検出される。低臨界溶液温度ビーズ106の光透過率の急激な変化は、低臨界溶液温度ビーズ106の温度が相転移温度Taに到達したことを示す。分光測定装置によって得られた光透過率の変化は電気信号に変換され、温調ステージの温度制御装置にリアルタイムで送信される。温度制御装置は、この電気信号、すなわち低臨界溶液温度ビーズ106の温度情報を温調ステージ111にフィードバックする。こうして、温調ステージは、低臨界溶液温度ビーズ106の温度に基づいて、ビーズチッププレートの温度を制御する。
【0038】
本例では、表面に低臨界溶液温度高分子を結合した低臨界溶液温度ビーズを製造する必要がある。従って、プローブビーズの製造コストが高くなる。しかしながら、低臨界溶液温度ビーズ、即ち、反応場の温度を直接計測することができるという非常に優れた特徴を持つ。
【0039】
本発明によれば、ビーズチッププレートにおいて、プローブビーズの表面とキャピラリ内を往復する反応液の固/液界面で起こる化学反応の温度を正確に且つ厳密に制御することが可能である。これにより、核酸のハイブリダイゼーションを利用した一塩基変異の検出など、反応温度のわずかな差異により反応結果が著しく変化する化学反応を厳密に制御された温度下で行うことが可能であり、正確かつ再現性の高い反応結果の取得につながる。従って、本発明によりビーズチッププレートが高性能を有し、ユーザにとっての付加価値を大幅に向上させることができる。
【0040】
以上本発明の例を説明したが本発明は上述の例に限定されるものではなく特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは当業者に容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明のビーズチッププレートの第1の例を示す図である。
【図2】本発明のビーズチッププレートの第2の例を示す図である。
【図3】本発明のビーズチッププレートの第3の例を示す図である。
【図4】本発明のビーズチッププレートの第4の例を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
101,102…開口、101a,102a…孔、103…キャピラリ、103a…溝、104…プローブビーズ、105,105a,105b,105c,105d,105e,105f,105g,105h,105i,105j…サーモクロミックビーズ、106,106a,106b,106c,106d,106e,106f,106g,106h,106i,106j…低臨界溶液温度ビーズ、107,107a,107b,107c,107d,107e…ウエル、109…基板、110…型、111…温調ステージ、201,201a,201b,201c,201d,201e…サーモクロミック分子溶液、202,202a,202b,202c,202d,202e…低臨界溶液温度高分子溶液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャピラリと、該キャピラリの両端に形成された開口と、上記キャピラリに配置され表面に生体分子が固定された複数のビーズと、上記キャピラリの近傍に形成されたウエルと、該ウエルに封入されたサーモクロミック分子の溶液と、を有するビーズチッププレート。
【請求項2】
請求項1に記載のビーズチッププレートにおいて、上記サーモクロミック分子は銅のN,N-ジエチルエチレンジアミン錯体[Cu(dieten)2](ClO4)2を含むことを特徴とするビーズチッププレート。
【請求項3】
請求項1に記載のビーズチッププレートにおいて、上記ウエルには、互いに遷移温度が異なる複数のサーモクロミック分子の溶液が封入されていることを特徴とするビーズチッププレート。
【請求項4】
キャピラリと、該キャピラリの両端に形成された開口と、上記キャピラリに配置され表面に生体分子が固定された複数のビーズと、上記キャピラリの近傍に形成されたウエルと、該ウエルに封入された低臨界溶液温度高分子の溶液と、を有するビーズチッププレート。
【請求項5】
請求項4に記載のビーズチッププレートにおいて、上記低臨界溶液温度高分子はポリN-イソプロピルアクリルアミド(Poly(N-isopropylacrylamide), pNIPAM)を含むことを特徴とするビーズチッププレート。
【請求項6】
請求項4に記載のビーズチッププレートにおいて、上記ウエルには、互いに相転移温度が異なる複数の低臨界溶液温度高分子の溶液が封入されていることを特徴とするビーズチッププレート。
【請求項7】
キャピラリと、該キャピラリの両端に形成された開口と、上記キャピラリに配置され表面に生体分子が固定された複数のビーズと、を有し、該ビーズの表面にはサーモクロミック分子が固定されていることを特徴とするビーズチッププレート。
【請求項8】
請求項7に記載のビーズチッププレートにおいて、上記サーモクロミック分子は銅のN,N-ジエチルエチレンジアミン錯体[Cu(dieten)2](ClO4)2を含むことを特徴とするビーズチッププレート。
【請求項9】
請求項7に記載のビーズチッププレートにおいて、上記ビーズには、互いに遷移温度が異なる複数のサーモクロミック分子が固定されていることを特徴とするビーズチッププレート。
【請求項10】
キャピラリと、該キャピラリの両端に形成された開口と、上記キャピラリに配置され表面に生体分子が固定された複数のビーズと、を有し、該ビーズの表面には低臨界溶液温度高分子が固定されていることを特徴とするビーズチッププレート。
【請求項11】
請求項10に記載のビーズチッププレートにおいて、上記低臨界溶液温度高分子はポリN-イソプロピルアクリルアミド(Poly(N-isopropylacrylamide), pNIPAM)を含むことを特徴とするビーズチッププレート。
【請求項12】
請求項10に記載のビーズチッププレートにおいて、上記ビーズには、互いに相転移温度が異なる複数の低臨界溶液温度高分子が固定されていることを特徴とするビーズチッププレート。
【請求項13】
キャピラリと該キャピラリに配置され表面に生体分子が固定された複数のビーズとを備えたビーズチッププレートにおいて、上記キャピラリの近傍に形成されたウエルにサーモクロミック分子の溶液を封入することと、
上記ビーズチッププレートを温調ステージ上に配置することと、
上記サーモクロミック分子の溶液の吸光度を測定することと、
該吸光度の変化によって上記サーモクロミック分子の溶液の温度を同定することと、
該同定した上記サーモクロミック分子の溶液の温度に基づいて、上記温調ステージの温度を制御することと、
を含むビーズチッププレートの温度制御方法。
【請求項14】
キャピラリと該キャピラリに配置され表面に生体分子が固定された複数のビーズとを備えたビーズチッププレートにおいて、上記キャピラリの近傍に形成されたウエルに低臨界溶液温度高分子の溶液を封入することと、
上記ビーズチッププレートを温調ステージ上に配置することと、
上記低臨界溶液温度高分子の溶液の光透過率を測定することと、
該光透過率の変化によって上記低臨界溶液温度高分子の溶液の温度を同定することと、
該同定した上記低臨界溶液温度高分子の溶液の温度に基づいて、上記温調ステージの温度を制御することと、
を含むビーズチッププレートの温度制御方法。
【請求項15】
キャピラリと該キャピラリに配置され表面に生体分子が固定された複数のビーズとを備えたビーズチッププレートにおいて、上記ビーズの表面にサーモクロミック分子を固定することと、
上記ビーズチッププレートを温調ステージ上に配置することと、
上記サーモクロミック分子の吸光度を測定することと、
該吸光度の変化によって上記ビーズの温度を同定することと、
該同定した上記ビーズの温度に基づいて、上記温調ステージの温度を制御することと、
を含むビーズチッププレートの温度制御方法。
【請求項16】
キャピラリと該キャピラリに配置され表面に生体分子が固定された複数のビーズとを備えたビーズチッププレートにおいて、上記ビーズの表面に低臨界溶液温度高分子を固定することと、
上記ビーズチッププレートを温調ステージ上に配置することと、
上記低臨界溶液温度高分子の光透過率を測定することと、
該光透過率の変化によって上記ビーズの温度を同定することと、
該同定した上記ビーズの温度に基づいて、上記温調ステージの温度を制御することと、
を含むビーズチッププレートの温度制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−327927(P2007−327927A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−161506(P2006−161506)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】