説明

ビーム形成方法

本発明は、所望の属性を有する、超音波撮像で使用される超音波ビームなどの、ビームを合成するために、動的分解能技法、改良型動的分解能技法、および/または性能向上型動的分解能技法を利用する。本発明は、性能向上された走査ビームを合成するために、全てのサンプルについて第1のサンプルビームおよび第2のまたは補助サンプルビームを同時に形成する。本明細書の動的分解能技法によれば、新しいビームが、2つのサンプルビームの和から形成されることができる。本発明の合成された動的分解能ビームは、減少したサイドローブを有し、メインローブの広がりが比較的小さいかまたは全くない。性能向上型動的分解能ビーム先鋭化関数が、メインローブをさらに狭細化するためなど、さらなる性能向上されたビームを提供するために適用されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、その全開示が参照により本明細書に組込まれる、2009年11月9日に出願された「SYSTEMS AND METHODS FOR SCAN BEAM SIDELOBE REDUCTION WHILE REDUCING THE MAINLOBE USING DYNAMIC RESOLUTION」という名称の米国仮特許出願第61/259,346号、および、2009年11月10日に出願された「SYSTEMS AND METHODS FOR SCAN BEAM SIDELOBE REDUCTION WHILE REDUCING THE MAINLOBE USING DYNAMIC RESOLUTION」という名称の米国仮特許出願第61/259,938号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、ビーム形成に関し、より詳細には、サイドローブ低減および/またはメインローブ整形などによる、ビーム性能向上のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
超音波検査システムでは、音響信号が、走査ヘッドによって身体または他の被検体内に送信され、反射信号が、画像処理のために走査ヘッドによって受信される。反射信号は、目標(着目)の身体物質(たとえば、患者の組織)または他の被検体の構造の画像を形成するために、超音波検査システムによって使用される。こうした超音波検査撮像で使用される走査ヘッドは、通常、1つまたは複数の独立したトランスデューサおよびおそらくは他の電子部品を収容する手持ち式容器である。
【0004】
超音波検査システム走査ヘッドのトランスデューサは、送信時に、電気エネルギーをその表面から遠くに放射する機械(音響)エネルギーに、また、受信時に、その表面に入射する機械(音響)エネルギーを電気エネルギーに変換する。エネルギー変換材料の個々の部分は、長方形などの特定の幾何学的形状として製造されることが多い素子である。通常、これらのトランスデューサ素子は、規則的パターン(アレイ)に配列され、素子の中心は、リニアアレイまたはフェーズドアレイを形成するために直線状に、湾曲アレイを形成するために孤に沿って、または2Dアレイを形成するために格子状に配列される。通常、トランスデューサ素子のこの規則的パターンは、ピッチと呼ばれる素子中心から素子中心まで測定される反復間隔を有する。超音波検査撮像動作において、トランスデューサ素子は、概してグループで使用される。一つの次元におけるトランスデューサ素子のこうしたグループの全範囲は、その次元における開口である。たとえば、リニアアレイの場合、1つの次元はトランスデューサ素子の高さであり、他の次元は、使用されるトランスデューサ素子の数にピッチを掛けた値である。
【0005】
超音波ビームは、送信動作であっても受信動作であっても、トランスデューサ素子の先のグループの適切な使用によって形成されうる。たとえば、受信ビームは、トランスデューサ素子信号の1つまたは複数の属性を調整し(たとえば、選択された開口のトランスデューサ素子に対応するトランスデューサ素子ビーム形成信号を提供するように、遅延させ、かつ/または、重み付けし)、特定の地点(特定の地点は「焦点(focal point)」である)に対応する最大信号応答を有するビーム形成信号を提供するために、これらのトランスデューサ素子ビーム形成信号を加算することによって形成される。先のトランスデューサ素子信号属性は、本明細書でビーム形成パラメータと呼ばれる。こうしたビーム形成パラメータは、通常、望ましくないエリア(たとえば、所望の「見通し方向(look direction)」以外の方向)から受信されるクラッタ(たとえば、望ましくない反射信号などの雑音)を排除するためのビームを形成するために利用される。
【0006】
特に、遅延は、トランスデューサ素子のグループからのトランスデューサ素子信号に適用され、それにより、狭いパルスが焦点から放出された場合、こうして遅延された信号が、加算デバイスに同時に到着し、したがって、最大の値をもたらす。焦点以外の任意の他の地点からやって来るこの同じ狭いパルスは、加算器に同時に到着しないことになり、したがって、加算されて大きな信号にならないことになる。特定の形状(たとえば、幅、長さ、方向など)を有するビームは、適切なビーム形成パラメータを使用して形成されうる。たとえば、所望の「見通し(look)」方向を「指示した(pointed)」メインローブが形成されうる。
【0007】
ビームを生成するための遅延の適用と無関係に、開口がアポダイズ(後記する「アポダイゼーション」参照)されうる。アポダイゼーションは、信号が加算される前に、トランスデューサ素子信号におそらくは一意の利得値(重み付け)を適用するプロセスである。特定のアポダイゼーション関数が、減少したサイドローブなどの所望の属性を有するビームを生成するために、したがって、クラッタを排除するために開口に適用されうる。開口に適用されうる多くの標準的な重み付け関数が存在するが、特に例示的である3つの関数が存在する。これらは、一様な重み付け(矩形型、ボックスカー型、sinc型、または非アポダイズド型としても知られる)、ハニング(ハンとしても知られる)重み付け、および余弦重み付けである。ハニング重み付け(1+cos(x))および余弦重み付け(cos(x))は、ハニング重み付けが二乗余弦関数である点で互いに関連する。超音波撮像システムにおいて開口アポダイゼーションのために使用されうる他の数学的関数は、ハミング、ブラックマンハリス、または他のアプリケーション特有の窓関数である。
【0008】
一様に重み付けされた開口によって形成されるビームは、Sincビームと呼ばれ、ハニング重み付けされた開口によって形成されるビームは、ハニングビームと呼ばれ、余弦関数重み付けされた開口によって形成されるビームは、余弦アポダイズドビームと呼ばれる。対象物は、画像を形成するために超音波ビーム(たとえば、Sincビーム、ハニングビーム、または余弦アポダイズドビーム)を順次シフトさせることによって走査される。実装態様に応じて、超音波画像が、Sincビームか、ハニングビームか、または他のタイプのビームによって形成されうる。
【0009】
焦点が特定の方向に沿って移動するように、ビーム形成パラメータ(たとえば、遅延)が、連続して調整されるとき、動的に合焦されるビームが生成される。超音波検査撮像のためのビームスキャニングを行うとき、これらの動的ビームは、焦点が、リニアアレイの場合デカルト空間内で直線に、あるいは、フェーズドアレイまたは湾曲アレイでは頂点から単一角度に沿う直線に追従するように、通常形成される。たとえば、トランスデューサ素子信号のビーム形成パラメータを順次調整することによって、一連のビームは、目標の体積を走査するように形成されうる(たとえば、患者の中の特定のエリアまたは深さが走査されうる)。複数のこうした走査されるビームからの情報は、集められて、目標の被走査体積の画像(たとえば、患者の皮下部分の超音波画像)が生成されうる。たとえば、超音波Bモード動作では、異なる見通し方向の複数の超音波ビーム(たとえば、異なる見通し方向に走査されるビーム)から受信される複数ラインのエコーデータから画像が生成される。走査されたビームからのこうした画像生成は、本明細書で走査式体積撮像と呼ばれる。
【0010】
ハニングビームによって取得される単色信号は、Sincビームから取得される信号を、2つの空間的にシフトした隣り合うSincビームから取得される信号の平均と加算したものに数学的に等しく、ただし、これらのビームがナイキスト理論による間隔で配置される場合に限ることが知られている。すなわち、左Sincビームの第1のヌル(0)および右Sincビームの第1のヌルは、中心Sincビームのピークと整列しなければならない。これらの特性に基づいて、3つの隣接するナイキスト間隔で配置されたSincビームから取得される信号を処理することによって、レーダアプリケーションにおいて性能を改善する技法が提案されている。しかし、超音波撮像において、ライン密度は、最適な画像品質のために複数のシステムパラメータに従って選択され、したがって、ナイキスト基準に従ってサンプリング間隔を、ビームごとにまたは走査ラインごとに設定することが、一般に充足できない。さらに、超音波撮像において、上述した走査式サンプルビームを実現するときに使用されうる動的ビーム形成は、通常、可変開口と共に実装される。換言すれば、異なる開口サイズが、異なる深さのビームを形成するために使用される。そのため、レーダについて実装されうるようなSincビームを処理することに基づくクラッタ低減技法は、しばしば、超音波走査式体積撮像で使用するために採用されることができない。
【0011】
図1は、上述した走査式体積撮像(体積画像)を示す。具体的に、図1Aに示すトランスデューサ素子E1〜ENを有するトランスデューサ11は、こうした走査式体積撮像を行うように動作しうる。動作時、トランスデューサ素子E1〜ENのトランスデューサ素子信号は、体積画像15内の特定のエリアに向けられる受信ビームを形成するように処理される。こうしたビームは、表面16(たとえば、皮膚表面)の下に存在する対象物12(たとえば、流体充満領域)および対象物13(たとえば、組織構造)などの、体積画像15内の対象物(目標対象物とも呼ばれる)に関する情報を収集するために形成されうる。
【0012】
走査式体積撮像で使用される信号(たとえば、ビーム形成済み信号)の信号対クラッタ比が高ければ高いほど、生成される画像においてコントラスト分解能(たとえば、よりよい組織識別)が高くなることが認識されるべきである。1つの信号クラッタ源は、生成されるビームのメインローブに通常伴う上述したサイドローブである。所望のメインローブに伴う望ましくないサイドローブの存在は、図1Aの例証から見てわかる。具体的に、図1Aに示すメインローブはそれぞれ、メインローブに伴うサイドローブ(たとえば、メインローブML5に伴うサイドローブSL5、それらの組合せは、複合表現からこれらのローブを識別するのを補助するために点線部で示される)を有する。サイドローブの数およびレベルならびにサイドローブの構造は、どれだけの軸外の望ましくないエコーが、結果として得られるビーム形成済み信号に統合されているか、したがって、目標の対象物についての所望のエコーをクラッタリングするかを規定する。サイドローブを低減する能力は、コントラスト分解能または画像内の組織などの目標対象物の識別性を改善する。
【0013】
別の画像劣化源は、画像情報を収集するために使用されるメインローブの幅である。たとえば、メインローブの幅は、撮像される体積内の対象物がビームによってどのように広がっているかを規定する。メインローブの幅は、通常、画像の細部分解能に関連する。したがって、上述したスキャニングのために形成されるビームは、生成される画像内の目標対象物が、輪郭がはっきりするように狭い焦点を有すことが望ましいことが多い。
【0014】
上記から、メインローブの幅、サイドローブのレベル、およびサイドローブの構造(たとえば、サイドローブが、メインローブからどれだけ速くロールオフするか)が、画像品質にとって大きな意義を有することが認識されうる。たとえば、高分解能画像は、非常に輪郭がはっきりしたビームによって達成されうる。
【0015】
図1Aのトランスデューサ11を使用して画像生成するための信号処理は、選択された開口のトランスデューサ素子によって受信されるトランスデューサ素子信号についてビーム形成パラメータ(たとえば、遅延および/または重み)を適切に実装することによって、選択された開口(たとえば、トランスデューサ素子E11〜E15などの、選択されたトランスデューサ素子のグループ)を使用してビームを形成することを含みうる。たとえば、ビーム形成パラメータの遅延は、(たとえば、体積画像15の特定の深さを走査するビームを提供するための適切な遅延を適用して)所望の焦点を有するメインローブML11〜ML15を提供するように選択されうる。さらに、ビーム形成プロセスは、メインローブに伴うサイドローブを低減するなどのために、選択された開口のトランスデューサ素子から受信される信号に対して適切な重み付けをすること(アポダイゼーションプロセス)を必要としうる。そのため、ビームを生成するときに利用されるビーム形成パラメータは、トランスデューサ素子から受信される信号が大きさと位相の両方を修正されるように複素値を含みうる。
【0016】
一般的にビームのサイドローブを低減するが、開口アポダイゼーションプロセスの使用は、メインローブを広げる。アポダイゼーションプロセスを使用する先の典型的なビーム形成の使用に伴う望ましくない結果は、図1B〜図1Dに示される。図1Bは、組織模擬画像150(全体として、図1Aに示す、体積画像15を表す)を示し、左の(対象物12を備える図1Aの撮像される体積の一部分に相当しうるような)流体充満領域Aおよび右の(対象物13を備える図1Aの撮像される体積の一部分に相当しうるような)組織領域Bからなる。組織領域Bは、同じ散乱断面の点散乱体(たとえば、点散乱体14)のクラスタを備えると仮定される。ここでは組織模擬画像150で表される、撮像される体積が、素子E1〜ENのリニアアレイによって形成される超音波ビームのシーケンスで超音波を照射されると、画像が形成される。流体充満領域Aから、ほとんど散乱強度が受信されないことになるため、結果として得られる(理想的な状況の)画像は、流体充満領域Aについて表示されるグレイスケールを保持せず、一方、組織領域Bは、模擬画像に示すのと同様な強度を有するドットの分布を表示することになる。
【0017】
先に論じたように、従来の超音波撮像システムにおいて、アレイの開口は、画像コントラストの改善のためにサイドローブを部分的に抑制するための決定論的数学関数でアポダイズされるか(それによりメインローブを広げる)、または、狭いメインローブを維持するためにアポダイズされず、それにより、クラッタが増大した状態でより小さな撮像ドットサイズをもたらす。いずれも、画像品質の劣化をもたらし、歪んだ画像を表示するであろう。
【0018】
図1Cは、問題を示すために、先に論じた2つの異なるビーム構成を示す。ビームBは、比較的高いレベルでサイドローブを有するより狭いメインローブを提供する非アポダイズドビーム(たとえば、ビーム形成重み付け分布を規定するために、一様な重み付け関数を使用して形成されたSincビーム)である。ビームBは、比較的低いレベルでサイドローブを有するより広い(広がった)メインローブを提供するアポダイズドビーム(たとえば、ビーム形成重み付け分布を規定するために、二乗余弦重み付け関数を使用して形成されたハニングビーム)である。図1Cに示すビームの大きさは、対数的に圧縮され、サイドローブは、ほたて貝形状にされ、徐々にロールオフする。
【0019】
ビームBおよびBは、同じエリア、特に図1Bの組織模擬画像150の組織領域Bの一部分を撮像するために使用されると仮定される。ビームBは、メインローブによって受信される(たとえば、点散乱体14によって反射される)反射信号から得られる(組織模擬画像150によって表されるエリア内で異なる見通し方向に複数のビームBを走査することによって生成される画像を集めるときに使用されうる)目標対象物表現101を生成する。ビームBは、さらに、サイドローブによって受信される反射信号から得られる(同様に、望ましくないクラッタとして生成画像になるように集められうる)アーチファクト101−1〜101−8を生成する。同様に、ビームBは、メインローブによって受信される(たとえば、点散乱体14によって反射される)反射信号から得られる(組織模擬画像150によって表されるエリア内で異なる見通し方向に複数のビームBを走査することによって生成される画像を集めるときに使用されうる)目標対象物表現100を生成する。ビームBは、さらに、サイドローブによって受信される反射信号から得られる(同様に、望ましくないクラッタとして生成画像になるように集められうる)アーチファクト100−1〜100−4を生成する。図1Cを見てわかるように、対象物の同じエリアが撮像されたが、ビームBによって提供される目標対象物表現100は、ビームBによって提供される目標対象物表現101と比較して広がっている。同様に、図1Cを見てわかるように、ビームBによって生成されるアーチファクト(アーチファクト100−1〜100−4)より、(小さいものの)より多くのアーチファクト(アーチファクト101−1〜101−8)が、ビームBによって生成される。
【0020】
超音波検査画像は、撮像される体積に超音波を照射するように、複数のビームBまたはビームBを走査することによって生成されうる。たとえば、組織模擬画像150によって表されるエリア全体を通してビームBおよびビームBのそれぞれ一方を走査することによって生成される表現は、目標対象物の画像を形成するために集められうる。しかし、図1Cの図から認識できるように、ビームBを使用すると、生成画像内の目標対象物は、比較的先鋭でありうる。その理由は、目標対象物表現(たとえば、目標対象物表現101)は、比較的小さいが、より顕著なサイドローブの結果として、アーチファクト(たとえば、アーチファクト101−1〜101−8)の数が大きいからである。ビームBの使用に関連するアーチファクトはまた、目標対象物表現の対応する目標対象物表現から長い距離にわたって延在し、さらに生成画像を劣化させる。同様に図1Cの図から認識できるように、ビームBを使用すると、生成画像内の目標対象物は、あまり先鋭でない。その理由は、目標対象物表現(たとえば、目標対象物表現100)は、比較的大きいが、あまり顕著でないサイドローブの結果として、関連するアーチファクト(たとえば、アーチファクト100−1〜100−n)の数が小さいからである。さらに、ビームBの使用に関連するアーチファクトは、目標対象物表現から短い距離にわたって延在する。したがって、先のビーム形成技法はそれぞれ、所望されるより低い品質であることが多い生成画像をもたらす。上記から認識できるように、所定品質の撮像を提供するために、明白なサイドローブがない、輪郭がはっきりしたビームを達成することが幻想であることがわかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
そこで、本発明は、動的分解能(dynamic resolution)(DR)ビーム合成技法の使用などによってビームサイドローブ低減を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明では、撮像される体積のそれぞれの被走査エリアについてサンプルビームから複数のビーム形成された信号を取得することによってDRビーム合成技法を実装する。たとえば、第1のサンプルビーム(たとえば、ビーム形成重み付け分布を規定するシンク関数を使用して形成されうるような非アポダイズドビーム)および第2のサンプルビーム(たとえば、ビーム形成重み付け分布を規定する余弦関数を使用して形成されうるようなアポダイズドビーム)が共に、撮像される体積(たとえば、組織エリア)のそれぞれの被走査エリア(たとえば、それぞれの見通し方向)について形成される。結果として得られるサンプルビーム信号(たとえば、非アポダイズド関数を使用したビーム形成された信号およびアポダイズド関数を使用したビーム形成された信号)は、本明細書のDRビーム形成技法のオペレーションを通して高分解能で低サイドローブビームからの信号に対応するビーム形成された信号を合成するために利用される。本発明の好ましい実施形態によれば、サンプルビームは、最小化された総合パワーをもたらすように、DRビーム形成技法において重み付けされ結合されうる。結果として得られるDRビームは、好ましくは、減少したサイドローブを有し、メインローブの広がりが比較的小さいかまたは全くない。
【0023】
本発明の改良型動的分解能(improved dynamic resolution)(IDR)ビーム合成技法において、DRビームは、所望の属性を有するIDRビームを合成するために区分化される。たとえば、DRビームは、サンプルビーム(たとえば、上述した第2のサンプルビーム)などを使用して、そのメインローブ成分とそのサイドローブ成分に区分化されうる。これらのビーム成分は、好ましくは、その1つまたは複数の属性を変更するなどのために、独立して操作されるかまたはその他の方法で処理される(たとえば、異なる重みを適用する)。本明細書のIDRビーム合成技法は、IDRビームを合成するためにこれらのビーム成分を再結合することによって、操作された区分化済みビーム成分からIDRビームを合成するように働く(たとえば、メインローブ成分には重みを大きく、サイドローブ成分には重みを小さく)。
【0024】
先鋭化関数は、さらに性能向上されたビームを提供するために、所望である場合、DR/IDRビームに適用されうる。先鋭化関数が適用されているDR/IDRビームは、本明細書で性能向上型動的分解能(enhanced dynamic resolution)(XDR)ビームと呼ばれる。先鋭化関数が適用されているXDRビームは、対応するDR/IDRビームより狭いメインローブを提供する。さらに、こうしたXDRビームのサイドローブは、良好な画像品質を達成するレベルにさらに抑制されうる。
【0025】
IDRおよびXDRビーム処理の実施形態は、先に論じたDRビーム処理のビーム合成を利用しうるが、DRビーム合成の使用は、本明細書の概念の適用の制限ではない。たとえば、IDRおよび/またはXDRビーム先鋭化処理の実施形態は、DRビームを使用することなくSincビームおよび余弦アポダイズドビームに関して適用されうる(たとえば、Sincビームおよび余弦アポダイズドビームを処理することによる最小パワービーム)。
【0026】
本発明の実施形態の1つの特徴は、生成画像のサンプル空間において全てのビーム形成されたサンプルの焦点性能を最適化することである。本発明の実施形態の別の特徴は、パルス波(「PW」)、連続波(「CW」)におけるスペクトル漏れの最小化およびスペクトル分解能の改善、ならびに、符号化励起および符号化パターンがあるかまたはない状態でのカラーフロー処理である。本発明のなおさらなる特徴は、実施形態が、マルチラインビーム形成、合成開口ビーム形成、および高フレームレートビーム形成などの、多くのタイプのシステムで使用するために容易に適合しうることである。
【0027】
本明細書の概念の実施形態は、ビームサイドローブ低減を提供するために超音波撮像に適用されうる。しかし、本明細書の概念は、超音波撮像に関する適用性に限定されない。実施形態は、可視光、赤外、無線周波数、および他の撮像技術に関して適用されうる。
【0028】
次に続く本発明の詳細な説明がよりよく理解されうるために、上記は、本発明の特徴および技術的利点を幾分幅広く概説した。本発明の特許請求の範囲の主題を形成する本発明のさらなる特徴および利点が、以下で述べられる。開示される概念および特定の実施形態は、本発明の同じ目的を実施する他の構造を修正するかまたは設計するための基礎として容易に利用されうることが当業者によって認識されるべきである。こうした等価な構成は、添付特許請求の範囲で述べられる本発明の趣旨および範囲から逸脱しないことも当業者によって認識されるべきである。その構成とオペレーション方法の両方についての本発明に特徴的であると思われる新規な特徴は、さらなる目的および利点と共に、添付図面に関連して考えられると、以下の説明からよりよく理解される。しかし、図はそれぞれ、例証および説明だけのために提供され、本発明の限界の規定として意図されないことが明白に理解される。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、動的分解能(DR)ビーム合成技法の使用などによってビームサイドローブ低減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1A−1C】サイドローブ低減についての必要性および従来方式でサイドローブを低減しようと試みるときに固有の問題を示す図である。
【図2A−2B】本発明の実施形態による、動的分解能処理、改良型動的分解能処理、および/または性能向上型動的分解能処理を提供するように適合されたシステムを示す図である。
【図3A】本発明の実施形態による動的分解能ビーム合成技法によって使用されうる、第1のサンプルビームおよび第2のまたは補助のサンプルビームの例を示す図である。
【図3B】本発明の実施形態による図3Aのサンプルビームから合成されうる例示的な動的分解能ビームを示す図である。
【図4】本発明の実施形態のDRビームを使用して生成される画像の表現を示す図である。
【図5A−5B】本発明の実施形態による、図3Bの動的分解能ビームなどの動的分解能ビームを合成するように適合された図2のシステムの実施形態の詳細を示す図である。
【図6】本発明の実施形態による、図5Aおよび図5BのDR−XDRプロセッサの例示的なオペレーションを示す図である。
【図6A−6C】実施形態による図6のプロセスのオペレーションによる動的分解能ビーム合成のための、第1のサンプルビーム信号および第2のまたは補助のサンプルビーム信号についての信号の結合を示す図である。
【図6D−6I(3)】実施形態による図6のプロセスのオペレーションによる改良型動的分解能ビーム合成のための、第1のサンプルビーム信号からのメインローブ信号成分の分離を示す図である。
【図6J−6L(4)】実施形態による図6のプロセスのオペレーションによる性能向上型動的分解能ビーム合成の反復オペレーションにおける、ビーム整形関数の使用を示す図である。
【図7A−7C】例示的なサンプルビーム、および、本発明の実施形態に従って例示的なサンプルビームから合成された性能向上型動的分解能ビームのグラフである。
【図8】1次元処理に適用される本発明の概念の一例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態による、異なるパラメータのセットを使用して処理された種々のビームを示す図である。
【図10】本発明の実施形態に従って処理された種々のビーム間の関係を示す図である。
【図11】本明細書の実施形態の補助サンプルビームに対して大きな増幅ファクタが適用されるときの、2つのメインローブビーム信号の大きさの間の差を示す図である。
【図12】本発明の実施形態に従って利用されるビーム整形関数の一例を示す図である。
【図13A−13B】残留メインローブ、動的分解能ビームのサイドローブを低減するためのメインローブ区分化ならびに結果として得られるビームを示す図である。
【図14】本発明の実施形態の複数の反復後の性能向上型動的分解能ビームの例を示す図である。
【図15A−15G】本発明の実施形態による、異なるビーム特性を有する新しい成分信号の生成を示す図である。
【図16A−16E】本発明の実施形態によるビーム分解および合成で利用されるビームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照して説明する。
図2Aは、本発明の実施形態に従って適合された超音波撮像システムの実施形態を示す。例示的な実施形態は、本明細書の概念を理解するのを補助するためにより具体的な例を提供するように、超音波撮像を参照して述べられることが認識されるべきである。しかし、本発明の概念は、超音波撮像に関する適用に限定されない。そのため、本発明の概念は、可視光、赤外線、および無線周波数撮像技術などの、送信信号の反射が使用される多数の技術に関して適用されうる。
【0032】
超音波撮像システム200が示され、走査ヘッド220と通信状態のシステムユニット210を備える。本実施形態のシステムユニット210は、走査式体積撮像を提供するために走査式ビームの送信/受信回路要素221を使用して超音波信号を送受信する走査ヘッド220のトランスデューサ(たとえば、図1Aに示すトランスデューサ11)を制御するように動作可能なプロセッサベースシステムを備える。したがって、本実施形態のシステムユニット210のプロセッサベースシステムは、受信した超音波信号を処理して、ディスプレイ212上に表示され、撮像される体積201の一部分を表す画像211を生成する。本発明の概念に従って適合されうる撮像システムに関する詳細は、その開示が参照により本明細書に組込まれる、「Modular Apparatus for Diagnostic Untrasound」という名称の同時係属中でかつ同一譲受人に譲渡された米国特許出願第12/467,899号に提供される。
【0033】
超音波撮像システム200の本実施形態に関するさらなる詳細は、図2Bの高レベル機能ブロック図に示される。図2Bに示すように、走査ヘッド220のトランスデューサは、(増幅器、バッファ回路、マルチプレクサ回路などを備えうるような)送信/受信回路要素221と通信状態であり、かつ、超音波信号を制御可能に送受信するように動作可能な超音波素子のアレイ(トランスデューサ素子E1〜ENを有する図1Aのトランスデューサ11)を備えうる。
【0034】
図2Bのシステムユニット210は、ビーム形成器213、DR/IDR/XDRビーム合成プロセッサ214、超音波画像処理回路215、およびディスプレイ212を備える。ビーム形成器213は、トランスデューサ11に/から提供される信号に関してビーム形成を提供するように動作する。DR/IDR/XDRビーム合成プロセッサ214は、本明細書で述べる動的分解能ビーム合成処理を提供するように動作する。超音波画像処理回路215は、ディスプレイ212上で表示するなどのために、DR/IDR/XDRビーム合成プロセッサ214によって合成された動的分解能(たとえば、DR、IDR、および/またはXDR)ビーム信号を使用して超音波画像(たとえば、Bモード、Mモード、ドプラーモード、3−D、4−Dなど)を形成するように動作する。
【0035】
図2Bに示す機能ブロックに対する付加的なおよび/または代替の機能ブロックが、本発明の実施形態に従って利用されうることが認識されるべきである。たとえば、デジタルビーム形成またはデジタル信号処理が、超音波撮像システム200によって実装される場合などで、1つまたは複数のアナログ−デジタルコンバータ(ADC)および/またはデジタル−アナログコンバータ(DAC)が利用されうる。さらに、機能ブロックは、図2Aに示すものと異なるように分配されうる。たとえば、走査ヘッド220とシステムユニット210との間に、「細いワイヤ(thin wire)」リンクが所望される場合などで、ビーム形成器213は、走査ヘッド220内に配設されうる。
【0036】
ビーム形成器213によって実装されうる適応的ビーム形成プロセスに基づいて、調べられる組織部位に関連する信号内の信号対雑音比を最適にすることが可能である。適応的ビーム形成プロセスにおいて、全てのトランスデューサ素子(または、トランスデューサ素子のある選択されたサブセット)からの信号の大きさおよび位相についての一連の行列演算が、全てのサンプル場所について使用される。行列の次元は、通常、アレイ開口の次元に比例する。開口が、従来の超音波撮像システムの場合と同様に大きい、たとえば、32、64、または128であるとき、実装に必要とされる処理パワーは、非常に高く、あるシステムアプリケーションには適用できない。
【0037】
ビーム形成器213のサンプルビームのビーム形成器213aおよび213bは、本実施形態に従って走査式体積内の調べられる組織部位についてビーム形成された信号を生成するために遅延加算型(delay−and−sum)ビーム形成プロセスを利用する。遅延加算型ビーム形成は、トランスデューサ素子の間の到着時間差が補償された後に複数のトランスデューサ素子(トランスデューサ素子の全てまたはある選択されたサブセット)から受信される複数の信号を統合することによって行われる。ビーム形成器からの出力は、組織の散乱断面の分布に応じて、その大きさおよび位相を変更するビーム形成された信号である。
【0038】
本実施形態によるオペレーションにおいて、ビーム形成パラメータの第1のセット(たとえば、遅延および/または重みの第1のセット)は、第1のサンプルビームを提供し、同時に、ビーム形成パラメータの第2のセット(たとえば、遅延および/または重みの第2のセット)は第2のサンプルビームを提供する。たとえば、サンプルビームのビーム形成器213aは、第1のサンプルビーム(たとえば、非アポダイズドビーム)を形成するためにビーム形成パラメータの第1のセットを実装し、一方、サンプルビームのビーム形成器213bは、第2のまたは補助のサンプルビーム(たとえば、アポダイズドビーム)を形成するためにビーム形成パラメータの第2のセットを実装する。したがって、サンプルビームのビーム形成器213aおよび213bは、本発明の実施形態による動的分解能処理のために2つの異なるビーム形成された信号を同時に提供する。
【0039】
上記から、ビーム形成された信号において、複数のトランスデューサ素子(トランスデューサ素子の全てまたはある選択されたサブセット)からの信号が、統合されて、単一のビーム形成された信号になることが認識されるべきである。そのため、個々のトランスデューサ素子で受信された信号(たとえば、エコー信号)の位相および大きさが失われる。したがって、ビーム形成された信号のポストビーム形成(post beamforming)を改善することは、技術的な難題である。しかし、本明細書のDR、IDR、および/またはXDRビーム合成概念を使用して、ポストビーム形成のビーム性能を改善することが可能である。
【0040】
超音波撮像システム200の本実施形態は、本明細書で述べる、動的分解能(DR)ビーム合成技法、改良型動的分解能(IDR)ビーム合成技法、および/または拡張型動的分解能(XDR)ビーム合成技法を実装する。たとえば、DRビーム合成技法は、DRビームを合成するために、撮像される対象物(たとえば、組織)のそれぞれの被走査エリアについて、ビーム形成器213のサンプルビームのビーム形成器213aおよび213bによって提供される複数のビーム形成された信号を取得する超音波撮像システム200のDR/IRD/XDRビーム合成プロセッサ214によって実装されうる。合成されたDRビームの信号は、IDRおよび/またはXDRビーム合成を提供するために、本明細書で述べる区分化(分割)技法などを使用して、超音波撮像システム200のDR/IRD/XDRビーム合成プロセッサ214によってさらに処理されうる。
【0041】
本発明の実施形態によるDRビーム合成技法は、調べられる組織部位から2つのビーム形成された信号を同時に取得する。たとえば、第1のサンプルビーム(たとえば、図3AのビームB)および第2のまたは補助のサンプルビーム(たとえば、図3AのビームA)は、撮像される体積201のそれぞれの被走査エリア(たとえば、それぞれの見通し方向)の各サンプル点についてビーム形成器213を使用して形成される。合成されたDRビーム(たとえば、図3BのビームB)においてサイドローブを最小にする1つの方法は、DRビームを合成するためにサンプルビームが結合されるときにサイドローブを最小にする、位相、形状、および大きさを有するサンプルビームを形成することによる。したがって、図3Aの図から認識できるように、本実施形態のサンプルビームは、これらのサンプルビームが結合されるときに所望の属性を有するDRビームを合成するように協働するピークおよびヌルを提供するように適合する。すなわち、第1のサンプルビームB(θ)に伴うサイドローブは、第2のまたは補助のサンプルビームA(θ)を使用して低減されて、良好な品質のDRビームB(θ)をもたらしうる。
【0042】
サイドローブを最小にする本発明のDRビーム合成技法の本実施形態は、アポダイゼーションなしで形成された第1のサンプルビーム、および、余弦関数(たとえば、cos(θ))を使用して開口をアポダイズすることによって形成された第2のサンプルビームまたは補助サンプルビームによって実装されうる。たとえば、アレイからの非アポダイズドビーム(図3AのビームB)パターンは、シンク関数sinc(θ)によって記述されうる。関数sinc(θ)は、振動性であり、θ=±nπでゼロ交差する、すなわち、sinc(±π)=0であり、一方、sinc(0)=1である。アレイからのビームパターンが、余弦関数を使用してアポダイズされる(たとえば、図3AのビームA)場合、余弦アポダイズドビームは、2つの幾何学的にシフトした成分のSincビームに対称に区分化され、その2つのピークは、非アポダイズドビームの第1のサイドローブと整列し、ヌルが原点に設置されるA(0)=0。Aは、第2のサンプルビームまたは余弦アポダイズドビームである。そのため、余弦アポダイズドビームは、シンク関数を使用して形成された非アポダイズドサンプルビームに適用されると、サイドローブ低減用の補助サンプルビームとして使用されうる。Sincビームおよび余弦アポダイズドビームは、DRビーム合成プロセスを説明するために本明細書で参照されるが、サンプルビームの他の組合せが使用されて、本発明の概念に従って、改善された画像品質を有する画像再構成のために信号が処理されうることが認識されるべきである。
【0043】
サンプルビームから得られるサンプルビーム形成済み信号は、本発明のDRビーム(たとえば、図3BのビームB)に対応する信号を合成するために、図2BのDR/IRD/XDRビーム合成プロセッサ214によって利用される。たとえば、サンプルビームの幾何学的および/または形態学的特性を使用して、サンプルビームからの信号が結合されて、所望の特性を有するDRビームが合成される。望ましくない属性(たとえば、サイドローブ)を打ち消すために結合する幾何学的および/または形態学的特性をサンプルビームが提供する場合、本実施形態のDRビーム合成は、サンプルビームを加算するように働きうる(たとえば、B=B+αA)。しかし、望ましくない属性(たとえば、サイドローブ)を増加させるために結合する幾何学的および/または形態学的特性をサンプルビームが提供する場合、本実施形態のDRビーム合成は、サンプルビームを減算するように働きうる(たとえば、B=B−αA)。したがって、DRビームを合成するときにサンプルビームの使用に関して本明細書で提供される数学的関係は、利用される特定のサンプルビームの結合/打ち消し特性に応じて符号の変化を実装しうることが認識されるべきである。
【0044】
次に続く説明からよりよく理解されるように、先の例のαは、第1のサンプルビームの望ましくない部分を打ち消すために使用される第2のサンプルビームから受信される信号の分割量を規定する。パラメータαは、DRビーム合成におけるサイドローブ軽減とメインローブの広がりとの間の均衡を提供するために本実施形態に従って使用される。したがって、本明細書の動的分解能ビーム形成技法のオペレーションによって合成されたDRビームは、好ましくは、減少したサイドローブを有し、メインローブの広がりが比較的小さいかまたは全くない。
【0045】
以下の説明は、本発明の実施形態のDRビーム合成プロセスをよりよく理解するのを補足するために提供される。第1のサンプルビームB(θ)が、撮像される体積を走査するために使用される場合、対象物O(θ)に関して第1のサンプルビームB(θ)を走査することによって受信される、結果として得られるビーム形成された信号I(θ)は、I(θ)=∫O(φ−θ)(φ−θ)dφとして記述されうる。第1のサンプルビームB(θ)が、2つの成分BuM(θ)およびBuS(θ)に分解されうると仮定する。ここで、ビーム成分BuM(θ)は所望のビーム成分(たとえば、メインローブ)であり、ビーム成分BuS(θ)は望ましくないビーム成分(たとえば、サイドローブ)であり、B(θ)=BuM(θ)+BuS(θ)である。そのため、I(θ)=∫O(φ−θ)(φ−θ)dφ=IuM(θ)+IuS(θ)である。
【0046】

【0047】
本発明の実施形態によるDRビームのメインローブを劣化させないために、第2のまたは補助のサンプルビームαIAM(θ)のメインローブから得られるビーム信号成分は、できる限り小さいことが望ましい。すなわち、非ゼロαIAM(θ)は、通常、合成されたDRビームB(θ)においてメインローブBuM(θ)の少なくともある程度の広がりをもたらす。第2のサンプルビームA(θ)と結合されるときに、サンプルビームB(θ)の見通し方向または指示方向を変えないために、本実施形態の第2のサンプルビームA(θ)は、第1のサンプルビームのメインローブBuM(θ)に対応して設置されたヌルを含む。換言すれば、A(0)=0でかつB(0)=BuM(0)である場合、サイドローブからのクラッタエネルギーが、打ち消しプロセスB(θ)+αA(θ)の結果として最小になると、BuM(θ)の見通し方向または指示方向は、BuM(θ)+αA(θ)のプロセスのためにメインローブがわずかに広がりうることを除いて変更されないことになる。
【0048】
パラメータ・アルファαは、所定の最小値および最大値によって境界付けられうる。たとえば、本実施形態のパラメータ・アルファは、好ましくは、0と1との間で境界付けられて、データ取得または他の数値プロセスから生じる誤差が回避される。第2のサンプルビーム(たとえば、先の余弦アポダイズドビーム)からの信号を使用することによってサンプルビーム(たとえば、先にSincビーム)からのクラッタ信号を打ち消すことが実用的でない状況が存在しうることが認識されるべきである。たとえば、クラッタレベルが異常に高いとき、または、望ましくない方向からの信号が、非常に高いため、第2のサンプルビームから容易に達成されるものより高い性能のサイドローブ打ち消しビームが所望されうるときである。こうした状況では、パラメータαの値は、本発明の実施形態による所定の最大許容可能値(たとえば、1)に設定されうる。
【0049】
アルファがゼロの場合は、サイドローブが、第1のサンプルビーム(たとえば、Sincビーム)において低く、DRビーム合成におけるサイドローブ打ち消しのために、第2のまたは補助のサンプルビーム(たとえば、余弦アポダイズドビーム)から信号が全く必要とされない状況である。対照的に、アルファが1に等しいとき、サイドローブに起因する第2のまたは補助のサンプルビーム(たとえば、余弦アポダイズドビーム)から受信される信号は、DRビーム合成のために第1のサンプルビーム(たとえば、Sincビーム)のサイドローブの打ち消しのために必要とされる。したがって、本実施形態のSincビーム/余弦アポダイズドビームDRビーム合成例では、α=0の場合、合成されるDRビームはSincビーム(B=B+αA=B+0A=B)であり、α=1の場合、合成されるDRビームは二乗余弦またはハニングビーム(B=B+αA=B+1A)である。0と1との間のαの値は、Sincビームのメインローブと二乗余弦アポダイズドビームのメインローブとの間で幅が変動する合成されたDRビームメインローブを提供し、サイドローブは、余弦アポダイズドビームサイドローブから受信される信号の分割量に従って減少する。
【0050】
最適化プロセスは、第1のサンプルビーム(たとえば、Sincビーム)の望ましくない部分の打ち消しのために、第2のまたは補助のサンプルビーム(たとえば、余弦アポダイズドビーム)から必要とされる信号量を計算するために実装されうる。しかし、こうした最適化プロセス、すなわち、本発明の実施形態のDRビーム合成プロセスでは、目的関数の異なる選択が使用されうる。ビームのクラッタ信号のパワーの最小化に基づく基準が、上述したパラメータαを計算するために選択されうる。すなわち、本発明の実施形態のパラメータαは、DRビームを合成するために第1のサンプルビーム信号と結合される、第2のまたは補助のサンプルビーム信号の分割量を事実上規定し、したがって、サンプルビームが結合されるときに、クラッタ信号のパワーが最小になるようにパラメータαを選択するための目的関数が、本実施形態に従って選択されうる。
【0051】
本発明の実施形態のDRビーム合成プロセスでは、パラメータαは、サンプルごとに(たとえば、見通し方向ごとに)動的に変更されうる。本実施形態のパラメータαは、サイドローブ打ち消しプロセスにおいて、サンプルビーム(たとえば、Sincビームおよび余弦アポダイズドビーム)からの測定に基づいて、ビームの総合クラッタパワーを最小にすることによって選択されるため、DR処理された画像内の全てのサンプルについて、細部分解能とコントラスト分解能との間の良好な均衡が達成されうる。たとえば、サイドローブが高いサンプル場所では、パラメータαは、高いまたは上方限界(たとえば、先の例では1)に設定される可能性があり、第2のサンプルビームは、そのロールオフ率が速い低いサイドローブを有するDRビームを合成するために利用される。しかし、合成されたDRビームのメインローブの幅は、第2のサンプルビームの影響によって広がり、したがって、画像分解能は低くなる可能性がある。少ないクラッタが、その隣から受信されるサンプル場所において、パラメータαは、低いまたはより低い限界(たとえば、先の例では0)に設定される可能性があり、第2のサンプルビームは、本質的に、DRビームを合成するときに未使用のままである。こうした本実施形態ではアポダイゼーションが全く利用されないため、合成されたDRビームのメインローブは狭い。そのため、画像内のサイドローブ打ち消しパラメータは、先の例において0〜1に変動する。結果として、DRビーム合成プロセスは、事実上、画像内の細部分解能およびコントラスト分解能から最良のトレードオフを可能にする。
【0052】
先の概念を示すために、図3BのビームBは、サンプルビームBおよびAのサンプルビーム信号から合成されたDRビームB(θ)の表現を示す(たとえば、B(θ)=B(θ)+αA(θ)であり、ここでα=1である)。ビームBのサイドローブは大幅に減少した。しかし、メインローブは、図3AのW1および図3BのW2によって示すように、Sincビームのメインローブと比較して、比較的幅広であった。こうした広がったメインローブは、一般に、結果として得られる画像の分解能を減少させるが、比較的わずかなメインローブの広がりとサイドローブのかなりの低減の均衡を通して、改善された画像品質が、こうした本実施形態のDRビームによって提供される。
【0053】
図4は、本発明の実施形態に従って合成されたDRビームを使用して生成された画像の表現を示す。特に、図4は、DRビーム(たとえば、図3BのDRビームB)を合成するために、サンプルビーム(たとえば、図3AのサンプルビームBおよびA)を走査することによって生成される、撮像される体積内の目標対象物(たとえば、目標対象物を表すために凝集する目標対象物表現400)を示す画像460を示す。図示するように、図3Bでは、画像460についての表示のダイナミックレンジは、下方カットオフGと上方カットオフGとの間のDRビーム信号内の情報に対応する。サイドローブアーチファクトは、画像460では全く見えない。その理由は、合成されたDRビームのサイドローブが急速に低下し、サイドローブが実際に生成する画像は、下方カットオフG未満であるからである。点散乱体14に対応する生成画像は、DRビームのメインローブ幅が減少するため、画像460内でほんのわずかに広がる。そのため、画像のテクスチャは、よく保存され、画像460の領域AまたはBのいずれにおいても、アーチファクトがほとんど存在しないかまたは全く存在しない。
【0054】
図5Aおよび図5Bは、複数のサンプルビーム(たとえば、図3AのサンプルビームBおよびA)を使用してDRビーム(たとえば、図3BのDRビームB)を合成するように適合した超音波撮像システム200の本実施形態のさらなる詳細を示す。図5Aおよび図5Bの例示的なシステムは、DRビーム合成のために2つのサンプルビーム信号を形成するためにビーム形成器213を利用する。本実施形態のビーム形成器213は、本明細書で述べるサンプルビーム信号を形成するために、DE/IDR/XDRビーム合成プロセッサ214などの制御プロセッサの制御下で動作可能でありうる、種々の信号処理、重み付け、および結合回路要素を備える。
【0055】
本実施形態では、トランスデューサ素子(たとえば、図1Aに示すトランスデューサ素子E1〜EN)から供給される信号は、後続のビーム形成処理のためのトランスデューサ信号増幅を行う低ノイズ増幅器を備えうるような増幅器51−1〜51−Nによって処理される。素子52−1〜52−Nは、各トランスデューサ素子信号について信号位相(遅延)調整を行い、素子53−1〜53−Nは、各トランスデューサ素子信号について信号振幅(重み付け)調整を行う。そのため、素子52−1〜52−Nおよび53−1〜53−Nは共に、トランスデューサ素子信号にビーム形成パラメータを適用する。結合器54および55は、トランスデューサ素子信号の結合(たとえば、加算)を行って、結果として得られるビーム信号を形成する。したがって、素子52−1〜52−Nおよび結合器55は、協働して、本発明の実施形態のサンプルビームのビーム形成器213aを提供し、素子52−1〜52−N、素子53−1〜53−N、および結合器54は、協働して、本実施形態のサンプルビームのビーム形成器213bを提供する。
【0056】
図5Aの本実施形態では、適切に遅延された複数のトランスデューサ素子信号が、結合器55で結合されて、Sincビーム信号が上述した第1のサンプルビーム信号として提供される。適切に遅延され重み付けされたトランスデューサ素子信号が、結合器54で結合されて、余弦アポダイズドビーム信号が上述した第2のまたは補助のサンプルビーム信号として提供される。本発明の実施形態によるオペレーション時に、Sincビームおよび余弦アポダイズドビームは、(たとえば、同じセットのトランスデューサ素子信号を使用して)同時に形成される。
【0057】
ビーム信号調節および/または処理は、所望される場合、DRビーム合成処理の前に、それと一緒に、または、それの後に本実施形態に従って提供されうる。たとえば、ベクトル空間におけるDRビーム合成を容易にするために、本実施形態の余弦アポダイズドビーム信号は、直交バンドパスフィルタ56−1に供給され、一方、Sincビーム信号は、直交バンドパスフィルタ56−2に供給される。付加的なまたは代替のサンプルビーム信号調節は、アナログ−デジタルコンバータ(たとえば、デジタル信号プロセッサ(DSP)が、本明細書のDRビームを合成するときに使用される場合)、増幅器、ノイズキャンセリングなどを備えうる。
【0058】
Sincビーム信号および余弦アポダイズドビーム信号は、DRビーム信号合成のために、本実施形態のDR/IDR/XDRビーム合成プロセッサ214に供給される。図5Aに示すDR/IDR/XDRビーム合成プロセッサ214の本実施形態は、本明細書で述べる動的分解能処理を提供するために、ここではDR処理511、IDR処理512、およびXDR処理513として示される複数のビーム処理回路を含む。しかし、本発明の実施形態が、本実施形態のビーム処理回路の全てを実装しない可能性があることが認識されるべきである。たとえば、実施形態は、所望される場合、本明細書で述べるDR処理(たとえば、DR処理511)だけ、または、DR処理とIDR処理(たとえば、DR処理511とIDR処理512)の組合せを実装しうる。DR/IDR/XDRビーム合成プロセッサ214は、本明細書で述べるビーム処理回路を提供するように構成された、本明細書で述べるオペレーションを提供するための命令セットの制御下で動作可能な汎用プロセッサ、DSP、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルゲートアレイ(PGA)などを備えうる。DR/IDR/XDRビーム合成プロセッサの動作は、図6のプロセスを参照して以下でより完全に述べられる。
【0059】
本発明の実施形態に従って合成されたビーム信号は、上述した超音波画像の生成などの画像生成において利用されることが認識されるべきである。したがって、本実施形態のDR/IDR/XDRビーム合成プロセッサ214の出力は、こうした画像生成のための回路要素に供給される。たとえば、本実施形態の合成された動的分解能ビーム信号は、走査変換のために、信号の位相を除去し、信号の大きさのマッピングを行うなどのために、検出および圧縮回路59に供給される。本実施形態の走査コンバータ501は、ディスプレイ212を介してユーザに提示するために、取得空間から表示空間に信号の大きさを変換する。
【0060】
余弦アポダイズドビームを実装することについての問題の1つは、(たとえば、図5Aの結合器54にて)トランスデューサ素子信号を結合することである。余弦関数は、−1と+1との間で振動する。そのため、重みおよび加算を実施するとき、1つのトランスデューサ素子信号(チャネル)は−1である可能性があり、一方、別のトランスデューサ素子信号(チャネル)は+1である可能性があり、それにより、1つのチャネルが他のチャネルを相殺する確率が存在する。余弦関数の使用に伴う各チャネルの正値および負値は、ビーム形成時の遅延および加算プロセスにおける打ち消しを引起す可能性があり、ダイナミックレンジ制限をもたらす。さらに、余弦関数が−1から+1に進み、したがって、ゼロを交差するため、あるトランスデューサ素子は、非常に小さな信号を受信することになる。この問題を克服するために、画像処理システムのフロントエンド回路要素(たとえば、フロントエンド回路要素のADコンバータ)は、非常に広いダイナミックレンジを有する必要がある可能性がある。
【0061】
余弦アポダイゼーションの使用に伴う先の問題は、二乗余弦アポダイズドビーム(たとえば、ハニングビーム)が、ビーム形成器213によって形成される図5Bの本実施形態において回避される。そのため、余弦アポダイズドビームを直接形成するためにビーム形成器を使用する代わりに、図5Bの本実施形態は、DRビーム合成で使用するためのSincビームに加えて、二乗余弦アポダイズドビーム(たとえば、ハニングビーム)を形成するように働く。その後、上述したDRビーム合成で使用される第2のまたは補助のサンプルビーム信号が、第1のサンプルビーム(ここではSincビーム)の信号と二乗余弦アポダイズドビームの信号との差をとることによって計算されうる。したがって、図5Bの本実施形態では、適切に遅延されたトランスデューサ素子信号は、結合器55にて結合されて、Sincビーム信号が、上述した第1のサンプルビーム信号として提供される。二乗余弦関数で重み付けされたトランスデューサ素子信号は、結合器54にて結合されて、二乗余弦アポダイズドビーム信号が提供される。フロントエンド上でこうした二乗余弦アポダイズドビームを形成することの利点は、結合器54が、正の信号を扱う必要があるだけであり、それにより、ノイズがさらに抑制されることである。
【0062】
超音波撮像において、動的合焦が、可変開口と共に実装されることが多い。換言すれば、異なる開口サイズが、異なる深さのビームを形成するために使用される。一般に、画像内の種々の深さにおいて分解能を維持するために、深さが増大するにつれて、開口サイズを増大させることが好ましい。Sincビームおよび余弦アポダイズドビームは、深さと共に変動する異なるサイズの開口を使用して形成されうる。ビーム形成器内に実装されるチャンルの数は、一般に制限されるため、ビーム形成のための開口サイズは、ビーム形成のために利用可能な全てのチャネルが利用されるときの、ある深さで増大することを停止する。このある深さから、全ての受信チャネルが、一定の開口でビームを形成するために使用される。
【0063】
たとえば二乗余弦ビーム信号を生成するとき、図5Bに示す本実施形態の増幅器51−1〜51−Nへの入力は、トランスデューサの特定のトランスデューサ素子からの信号を表す。Nチャネルのビーム形成器の場合、最大の開口は、Nチャネルでビームを形成するためにN個のトランスデューサ素子を備える。開口が深さと共に変動するとき、ある計算は、トランスデューサ素子のサブセットを使用する必要があるだけである可能性がある(たとえば、種々の深さについての二乗余弦関数が、選択されたトランスデューサ素子または選択された開口について計算されうる)。好ましい実施形態では、全ての二乗余弦関数計算の場合、本実施形態のシステムは、2つのサンプルビームを使用して最良のDRビームを達成するために、最良の重み付けのセット(たとえば、素子51−1〜52−Nおよび53−1〜53−Nの適切なセットについての設定)を探す。
【0064】
信号が、図5Bの結合器54および55によって結合された後、結果として得られるビーム信号は、それ自体、本実施形態では減算的結合を可能にする結合器57によって結合されて、本実施形態によるDRビーム合成で使用するための第2のまたは補助のサンプルビーム(ここでは余弦アポダイズドビーム)が提供される。結合器54によって最初に生成される二乗余弦またはハニングビームは、特定の状況において(たとえば、本実施形態においてパラメータα=1である場合)DRビーム合成処理によって結果として得られるビームでありうることが、先の説明から認識されるべきである。そのため、第1のサンプルビームおよび第2のまたは補助のサンプルビームから二乗余弦アポダイズドビームを再生成するのではなく、本実施形態は、結合器54によって最初に生成された二乗余弦アポダイズドビームを利用しうる。したがって、結合器54の出力は、DR/IDR/XDRビーム合成プロセッサ214に結合されて、第1のサンプルビーム(Sincビーム)および第2のサンプルビーム(余弦アポダイズドビーム)に加えて、二乗余弦アポダイズドビーム信号がDR/IDR/XDRビーム合成プロセッサ214に提供されるのが示される。
【0065】
Sincビーム信号および余弦アポダイズドビーム信号は、本明細書で述べる動的分解能ビーム信号合成のために、本実施形態のDR/IDR/XDRビーム合成プロセッサ214に供給される。したがって、図5Bの本実施形態のDR/IDR/XDRビーム合成プロセッサ214は、先に図5Aに関して論じたように構成されうる。
【0066】
先に論じた図5Aの本実施形態の場合と同様に、ビーム信号調節および/または処理は、所望される場合、DRビーム合成処理の前に、それと一緒に、または、それの後に本発明の実施形態に従って提供されうる。たとえば、図5Bの本実施形態では、DR/IDR/XDRビーム合成プロセッサ214は、RF領域で動作し(すなわち、信号は、RF信号として結合される)、本実施形態の合成された動的分解能ビーム信号は、信号調節のために直交バンドパスフィルタ56に供給される。付加的なまたは代替のビーム信号調節は、アナログ−デジタルコンバータ(たとえば、デジタル信号プロセッサ(DSP)が、本明細書のDRビームを合成するときに使用される場合)、増幅器、ノイズキャンセリングなどを備えうる。
【0067】
図5Aの本実施形態の場合と同様に、図5Bの本実施形態のDR/IDR/XDRビーム合成プロセッサ214によって合成されたDRビーム信号は、画像生成を行う回路要素に供給される。具体的には、本実施形態の合成されたDRビーム信号は、走査変換のために、信号の位相を除去し、信号の大きさのマッピングを行うなどのために、検出および圧縮回路59に供給される。本実施形態の走査コンバータ501は、ディスプレイ212を介してユーザに提示するために、取得空間から表示空間に信号の大きさを変換する。
【0068】
図6は、本発明の概念による走査ビームのサイドローブ低減を達成するための、図5Aおよび図5BのDR/IDR/XDRビーム合成プロセッサ214によって提供されうる、動的分解能ビーム合成プロセスの本実施形態の詳細を示す。特に、図6に示す本実施形態では、上側点線の上に示すプロセスは、図5AのDR処理511のオペレーションに対応するDRビーム合成を提供し、上側点線と下側点線との間に示すプロセスは、図5AのIDR処理512のオペレーションに対応するIDRビーム合成を提供し、下側点線の下に示すプロセスは、図5AのXDR処理513のオペレーションに対応するXDRビーム合成を提供する。
【0069】

【0070】

【0071】

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【0159】

【0160】
本発明およびその利点が詳細に述べられたが、特許請求の範囲によって規定される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の変更、置換、および改変が本明細書で行われうることが理解されるべきである。さらに、本発明の範囲は、明細書に述べる、プロセス、機械、製品、組成物、手段、方法、およびステップの特定の実施形態に限定されることを意図されていない。当業者が本発明の開示から容易に認識するように、現在のところ存在するかまたは後で開発される、本明細書で述べる対応する実施形態と実質的に同じ機能を実施する、または、実質的に同じ結果を達成する、プロセス、機械、製品、組成物、手段、方法、またはステップが、本発明に従って利用されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、こうしたプロセス、機械、製品、組成物、手段、方法、またはステップをその範囲内に含むことを意図されている。
【符号の説明】
【0161】
200 超音波撮像システム
210 システムユニット
211 画像
212 ディスプレイ
213,213a,213b ビーム形成器
214 DR/IDR/XDRビーム合成プロセッサ
215 超音波画像処理回路
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図2A】

【図2B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のメインローブおよび1つまたは複数のサイドローブを有する第1のサンプルビームを使用して第1の信号を取得すること、
第2のメインローブおよび1つまたは複数のサイドローブを有する第2のサンプルビームを使用して第2の信号を取得することであって、その際、前記第1のメインローブの形状は前記第2のメインローブの形状と実質的に異なっていること、および、
前記第1の信号と前記第2の信号と重み付けファクタとを使用して第3の信号を提供する所望のビームを合成することを含むビーム形成方法。
【請求項2】
前記第1のサンプルビームおよび前記第2のサンプルビームは、同時に取得される請求項1に記載のビーム形成方法。
【請求項3】
前記第1のサンプルビームは非アポダイズドビームであり、前記第2のサンプルビームはアポダイズドビームである請求項1に記載のビーム形成方法。
【請求項4】
前記第1のサンプルビームはSincビームを含み、前記第2のサンプルビームは余弦アポダイズドビームを含む請求項3に記載のビーム形成方法。
【請求項5】
前記第1のメインローブの形状および前記第2のメインローブの形状は、前記第1および第2のメインローブの一方のメインローブのピークを、前記第1および第2のメインローブの他のメインローブのヌルと並置状態で提供するように選択される請求項1に記載のビーム形成方法。
【請求項6】
前記第1および第2のサンプルビームと比較して、1つまたは複数の減少したサイドローブを有する前記合成された所望のビームを提供するように、前記重み付けファクタを選択することをさらに含む請求項1に記載のビーム形成方法。
【請求項7】
前記重み付けファクタを選択することは、
前記第1のサンプルビームと比較して、前記合成された所望のビームの減少したサイドローブと増加したメインローブ幅との間に許容可能な均衡を提供するように前記重み付けファクタを選択することをさらに含む請求項6に記載のビーム形成方法。
【請求項8】
前記重み付けファクタを選択することは、
前記重み付けファクタについての値の選択を、両端値を含む0と1との間の値の範囲に制限することを含む請求項6に記載のビーム形成方法。
【請求項9】
前記重み付けファクタを選択することは、
前記第1および第2の信号の一方の信号内のクラッタが高いときに、前記重み付けファクタについて前記範囲の高い値を選択することをさらに含む請求項8に記載のビーム形成方法。
【請求項10】
前記重み付けファクタを選択することは、
前記第1および第2の信号の一方の信号内のクラッタが低いときに、前記重み付けファクタについて前記範囲の低い値を選択することを含む請求項8に記載のビーム形成方法。
【請求項11】
複数のサイクルにわたって、前記第1の信号を取得すること、前記第2の信号を取得すること、および、前記所望のビームを合成すること、を繰返すこと、ならびに、
前記複数のサイクルのサイクルごとに前記重み付けファクタを動的に変更することにより、前記複数のサイクルの各サイクルの前記合成された所望のビームの減少したサイドローブと増加したメインローブとの間に許容可能な均衡を提供するように前記重み付けファクタを選択することをさらに含む請求項1に記載のビーム形成方法。
【請求項12】
前記第1の信号を取得すること、および、前記第2の信号を取得することは、
物体に超音波を照射すること、および、
超音波システムのトランスデューサで返される超音波信号を受信することを含む請求項1に記載のビーム形成方法。
【請求項13】
ビーム信号を、メインローブ成分とサイドローブ成分に区分化すること、
前記メインローブ成分および前記サイドローブ成分の少なくとも一方を独立に処理すること、および、
少なくとも一方が独立に処理された前記メインローブ成分および前記サイドローブ成分を再結合することを含むビーム形成方法。
【請求項14】
前記メインローブ成分および前記サイドローブ成分の少なくとも一方を独立に処理することは、
前記メインローブ成分および前記サイドローブ成分の前記少なくとも一方を、前記メインローブ成分および前記サイドローブ成分の他方と異なるように重み付けすることを含む請求項13に記載のビーム形成方法。
【請求項15】
前記メインローブ成分および前記サイドローブ成分の前記少なくとも一方を異なるように重み付けすることは、
前記再結合する場合に、前記メインローブ成分の重み付けより小さい重み付けを有するように、前記サイドローブ成分を重み付けすることを含む請求項14に記載のビーム形成方法。
【請求項16】
前記メインローブ成分および前記サイドローブ成分を再結合することは、
非ヌルサイドローブ成分を前記メインローブ成分と結合することを含む請求項13に記載のビーム形成方法。
【請求項17】
前記メインローブ成分および前記サイドローブ成分を再結合することは、所望の形状おおよび幾何学的特性を有するビームを合成することを提供する請求項13に記載のビーム形成方法。
【請求項18】
前記合成されたビームの前記所望の形状および幾何学的特性は、画像品質の向上のために、前記区分化されたビームより先鋭なメインローブおよびメインローブ分解能とサイドローブレベルとの間の均衡を提供するように適合されたサイドローブを含む請求項17に記載のビーム形成方法。
【請求項19】
複数のサイクルにわたって、前記区分化すること、前記独立に処理すること、および、前記再結合することを繰返すことにより、前記再結合されたメインローブ成分およびサイドローブ成分からの信号を使用して生成される画像の詳細分解能およびコントラスト分解能を最適化することをさらに含む請求項13に記載のビーム形成方法。
【請求項20】
前記複数のサイクルは、複数の見通し方向を含む請求項19に記載のビーム形成方法。
【請求項21】
前記メインローブ成分および前記サイドローブ成分に区分化される前記ビーム信号は、合成ビーム技法によって提供される請求項13に記載のビーム形成方法。
【請求項22】
前記合成ビーム技法は、
第1のメインローブおよび1つまたは複数のサイドローブを有する第1のサンプルビームを使用して第1の信号を取得すること、
第2のメインローブおよび1つまたは複数のサイドローブを有する第2のサンプルビームを使用して第2の信号を取得することであって、その際、前記第1のメインローブの形状は前記第2のメインローブの形状と実質的に異なっていること、および、
前記第1の信号と前記第2の信号と重み付けファクタとを使用して第3の信号を提供するビームを合成することを含む請求項21に記載のビーム形成方法。
【請求項23】
前記第1のサンプルビームは非アポダイズドビームであり、前記第2のサンプルビームはアポダイズドビームである請求項22に記載のビーム形成方法。
【請求項24】
前記第1のサンプルビームはSincビームを含み、前記第2のサンプルビームは余弦アポダイズドビームを含む請求項23に記載のビーム形成方法。
【請求項25】
前記第1および第2のサンプルビームと比較して、1つまたは複数の減少したサイドローブを有する前記合成されたビームを提供するように、前記重み付けファクタを選択することをさらに含む請求項22に記載のビーム形成方法。
【請求項26】
前記重み付けファクタを選択することは、
前記第1のサンプルビームと比較して、前記合成されたビームの減少したサイドローブと増加したメインローブ幅との間に許容可能な均衡を提供するように前記重み付けファクタを選択することをさらに含む請求項25に記載のビーム形成方法。
【請求項27】
ビーム信号をメインローブ成分とサイドローブ成分に区分化すること、
前記メインローブ成分にビーム先鋭化関数を適用すること、および、
前記メインローブ成分に前記ビーム先鋭化関数を適用した後に、前記メインローブ成分および前記サイドローブ成分を再結合することを含むビーム形成方法。
【請求項28】
前記ビーム先鋭化関数は、
前記メインローブ成分からサンプルビーム信号の重み付けされた成分を減算することを含む請求項27に記載のビーム形成方法。
【請求項29】
前記サンプルビーム信号の前記重み付けされた成分を減算することは、
前記サンプルビーム信号の前記重み付けされた成分と前記メインローブ成分の最小をとることを含む請求項28に記載のビーム形成方法。
【請求項30】
前記サンプルビーム信号の前記重み付けされた成分を減算することは、
前記メインローブ成分から異なるように重み付けされたサンプルビーム成分を繰り返し減算することを含む請求項28に記載のビーム形成方法。
【請求項31】
前記サンプルビーム信号の前記重み付けされた成分は、重み付けされたメインローブ成分を含む請求項28に記載のビーム形成方法。
【請求項32】
前記サンプルビーム信号は、アポダイズドビームによって提供された信号を含む請求項28に記載のビーム形成方法。
【請求項33】
前記アポダイズドビームは、アポダイズド余弦ビームを含む請求項32に記載のビーム形成方法。
【請求項34】
前記メインローブ成分および前記サイドローブ成分を再結合することは、
非ヌルサイドローブ成分を前記メインローブ成分と結合することを含む請求項27に記載のビーム形成方法。
【請求項35】
前記メインローブ成分および前記サイドローブ成分に区分化される前記ビーム信号は、合成ビーム技法によって提供される請求項27に記載のビーム形成方法。
【請求項36】
前記合成ビーム技法は、
第1のビーム信号を、メインローブ成分とサイドローブ成分に区分化すること、
前記メインローブ成分および前記サイドローブ成分の少なくとも一方を独立に処理すること、および、
少なくとも一方が独立に処理された前記メインローブ成分および前記サイドローブ成分を再結合することを含む請求項35に記載のビーム形成方法。
【請求項37】
前記メインローブ成分および前記サイドローブ成分の少なくとも一方を独立に処理することは、
前記メインローブ成分および前記サイドローブ成分の前記少なくとも一方を、前記メインローブ成分および前記サイドローブ成分の他方と異なるように重み付けすることを含む請求項35に記載のビーム形成方法。
【請求項38】
前記メインローブ成分および前記サイドローブ成分の前記少なくとも一方を異なるように重み付けすることは、
前記再結合する場合に、前記メインローブ成分の重み付けより小さい重み付けを有するように、前記サイドローブ成分を重み付けすることを含む請求項37に記載のビーム形成方法。
【請求項39】
前記合成ビーム技法は、
第1のメインローブおよび1つまたは複数のサイドローブを有する第1のサンプルビームを使用して第1の信号を取得すること、
第2のメインローブおよび1つまたは複数のサイドローブを有する第2のサンプルビームを使用して第2の信号を取得することであって、その際、前記第1のメインローブの形状は前記第2のメインローブの形状と実質的に異なっていること、および、
前記第1の信号と前記第2の信号と重み付けファクタとを使用して第3の信号を提供するビームを合成することを含む請求項35に記載のビーム形成方法。
【請求項40】
前記第1のサンプルビームは非アポダイズドビームであり、前記第2のサンプルビームはアポダイズドビームである請求項39に記載のビーム形成方法。
【請求項41】
前記第1のサンプルビームはSincビームを含み、前記第2のサンプルビームは余弦アポダイズドビームを含む請求項40に記載のビーム形成方法。
【請求項42】
前記第1および第2のサンプルビームと比較して、1つまたは複数の減少したサイドローブを有する前記合成されたビームを提供するように、前記重み付けファクタを選択することをさらに含む請求項39に記載のビーム形成方法。
【請求項43】
前記重み付けファクタを選択することは、
前記第1のサンプルビームと比較して、前記合成されたビームの減少したサイドローブと増加したメインローブ幅との間に許容可能な均衡を提供するように前記重み付けファクタを選択することをさらに含む請求項42に記載のビーム形成方法。

【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図6H】
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【図6I】
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【図6I(1)】
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【図6I(2)】
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【図6I(3)】
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【図6J】
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【図6K】
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【図6L】
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【図6L(1)】
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【図6L(2)】
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【図6L(3)】
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【図6L(4)】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図15E】
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【図15F】
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【図15G】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図16E】
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【公表番号】特表2013−509971(P2013−509971A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538082(P2012−538082)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/056000
【国際公開番号】WO2011/057252
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(505284921)ソノサイト、インク (10)
【Fターム(参考)】