説明

ピコ秒のパルス放射を備えるレーザーシステム

本願発明は、短いパルスを発生する装置(1)に関連し、該装置は、偏光方向を有する偏光用パルスレーザー(10、2、3)と、複屈折軸を有する複屈折の光ファイバー(6)であって、前記偏光方向が、該複屈折軸とはコリニア(co-linear)な関係にない光ファイバーと、前記光ファイバーの出力側に配置された出力用偏光子(9)であって、前記光ファイバーの出力において偏光を選択することができる出力用偏光子と、を含み、そして、前記偏光用パルスレーザーが、縦方向の擬似シングルモードのレーザーであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、短いパルスを発生させる装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
短いパルスを発生させるために、典型的には、数十ピコ秒または数百ピコ秒のオーダーの短いパルスを発生させるために、モードロックレーザー(mode-locked laser)を使用する方法が知られている。
【0003】
然しながら、モードロックレーザーの平均価格は、非常に高いものである。更に、モードロックレーザーは複雑な構造となっているので、その性能を確保するために相当のメンテナンスが要求される。モードロックレーザーの出力パルス・エネルギーは、高速に繰返す頻度のために最終的には弱くなる。
【0004】
本願発明は、短いパルスを発生する従来装置における上記欠点を解決することが目的である。
【0005】
従って、本願発明の1つの目的は、モードロックレーザーを含めた、短いパルスを発生させる装置に代わるものとして、安価及び/又は小型の装置を、早期に提供することにある。
【0006】
本願発明のもう1つの目的は、良好なパワーレベルを得ることができる、モードロックレーザーに代わる装置を提供することにある。
【0007】
本願発明によれば、上記目的は、所定のパルス持続期間を有するパルスレーザーを含む装置を提供すること、および上記装置の出力で短いパルスが得られるように上記パルスの持続期間を削減することで達成される。
【0008】
パルス持続期間を削減した後の一般的な原理は、既に公表されており、例えば、ストールン(Stolen)他が記載の刊行物「複屈折ファイバーでの光学パルスの強度弁別(Optics letters 1982年10月号)」の中に既に記載されている。
【0009】
上記刊行物で公開した内容には、
偏光方向を有する偏光用パルスレーザーと、
複屈折軸を有する複屈折の光ファイバーであって、前記偏光方向は、該複屈折軸とは、コリニア(co-linear)な関係にない光ファイバーと、
前記光ファイバーの出力に配置された出力用偏光子であって、前記光ファイバーの出力において偏光を選択することができる出力用偏光子と、含む装置が記載されている。
【0010】
上記刊行物は、レーザーの偏光方向が光ファイバーの複屈折軸とはコリニアにない事実が、2つの軸周辺の偏光をカー効果を使用することで回転させるによって、出力用偏光子の出力においてパルスの継続時間を削減させることが、何故可能になるのかを詳細に記載している。また、上記刊行物は、パルス持続期間が削減され、かつパルスの低出力ピンが除去される事実を記載している。出力用偏光子は、カー効果を使用して、偏光が回転した部分のパルスを回復することを可能にする。
【0011】
上記刊行物において、記載のパルスレーザーは、モードロックのアルゴンレーザーである。従って、上記刊行物の装置は、短いパルスを発生することを可能にするが、しかし、この装置は、自身で既に短いパルスを発生するパルスレーザーを使用して、短いパルスを発生可能にしている。
【0012】
従って、モードロックレーザーの使用は、上記に記載した不都合な点を有している。
【0013】
更に、上記刊行物に記載されているパルス持続時間の削減方法は、削減効果が余りにも小さいために、比較的長いパルス持続時間を有するレーザーは、著しい削減が必要となるため、入力として使用することができない。
【0014】
一方、連続モードのレーザー、通常「Q−スィッチング」レーザーとして知られているレーザーは、比較的シンプルで、高価ではなく、頑健であることが知られている。
【0015】
しかし、Q−スィッチングレーザーは、数百ピコ秒のオーダーのパルスしか提供することができないことが知られている。このため、Q−スィッチングレーザーは、短いパルス(数ピコ秒)または超短パルス(数十フェムト秒)の提供に使用することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本願発明は、上記のような従来技術の不都合な点を解決することを目的としている。
【0017】
本願発明の主目的は、モードロックレーザーを含む、短いパルスを発生する装置の代替として、一層安価で、及び/又は一層小型な装置を提供することである。
【0018】
また、本願発明は、シンプルなQ−スィッチングレーザーによって発生することができる装置よりも、一層短いパルスを発生する装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的の少なくとも1つは、短いパルスを発生するための装置に関連する発明によって達成され、本願発明の当該装置は、以下のことを特徴としている。
偏光方向を有する偏光用パルスレーザーと、
複屈折軸を有する複屈折の光ファイバーであって、上記偏光方向は、該複屈折軸とは、コリニアな関係にない、光ファイバーと、
上記光ファイバーの出力に配置された出力用偏光子であって、上記光ファイバーの出力において偏光を選択することができる、出力用偏光子と、含み、
そして、上記パルスレーザーは、縦方向の擬似シングルモードのレーザーである。
【0020】
本願発明によれば、上記装置は、Q−スィッチング・パルスレーザーのパルス継続時間を削減するような、モードロックレーザーの代替品を提示する。
【0021】
上記刊行物内の記載内容のように、パルス継続時間の削減は、複屈折の光ファイバー内でのカー効果を使用する受動的な分割によって具体的に実行される。
【0022】
また、本願発明によれば、選択されたパルスレーザーは、縦方向の擬似シングルモードのレーザーである。本願発明の関連において、本業界の当業者にとって一般的であるように、縦方向の擬似シングルモードのレーザーは、1つまたは2つの縦方向モードを含むレーザーに言及する。
【0023】
本願のレーザーは、今まで使用されてきたレーザー、例えば上記刊行物内のレーザーとは明らかに異なっており、100から200の縦方向のモードを典型的に含むようなモードロックレーザーとは異なるものである。
【0024】
縦方向の擬似シングルモードのレーザーのおかげで、パルス継続時間の削減効果は、大きく向上している。
【0025】
実際、フェーズロックされた縦方向モードのパルスを発生するレーザーにとって、上記のカー効果は、最も高い強度でパルスの部分に対して著しく作用する。このような状態において、パルスピンによって合成された低いパワーレベル(一般的に、ガウス関数またはsech2関数で規定)だけが、変化せずにとどまり、この結果として削減することができる。パルスのプロファイルに起因する一時的な削減は、それ故にパルスの継続時間にとって極めて小さいままにとどまり、典型的には1.5から3の係数である。
【0026】
一方、本願発明によれば、擬似シングルモードのレーザーにとって、パルス継続時間の削減効果は、著しく改善され、削減係数を、典型的には10より大きくすることができ、さらには16よりも大きくすることができる。
【0027】
また、従来技術として既知であるが、アーメド(Ahmed)他が、1995年2月の電気学会誌(ELECTRONICS LETTERS)に掲載した題名「1.55分布帰還型半導体レーザーを使用した185フェムト秒のペデストラル(pedstral)フリーのパルス発生法」の文献に、短いパルスを発生可能にする装置を記載している。この装置は、
偏光方向を有する偏光用パルスレーザーと、
複屈折の光ファイバーと、
上記光ファイバーの出力で偏光を選択することができる出力用偏光子と、含む。
【0028】
この文献において、偏光用パルスレーザーは、DFBレーザー(当業者は、この頭文字が、「分布帰還型レーザー(DFB:Distributed Feedback Laser)」を表記することを知るであろう)である。このDFBレーザーは、波長1.55マイクロメートルで動作する半導体の利得スイッチングレーザーである。上記文献によれば、このレーザーによって放射されるパルスは、複屈折の光ファイバー内でのソントン効果および偏光の非線形回転によって、圧縮され、削除される。
【0029】
それなのに、上記文献は、DFBレーザーの縦モードについて述べていない。しかしながら、既に述べたように、当業者は、DFBレーザーが、多数の縦モードを、典型的には100から200の縦モードを含む可能性があることを充分承知している。従って、上記文献は、縦方向の擬似シングルモードのレーザーの使用について記載しておらず、またそれ故に、上記で述べた本願発明のようなカー効果によるレーザーパルス継続時間の削減を得ることもない。
【0030】
加えて、ソントン効果および偏光の回転の組み合わせは、偏光の回転だけを使用して得られる効果とは異なる特別の効果を生じさせる。特に、ソリトンレジーム(regime)は、異常な散乱レジームを強いることになる。さらに、ソリトン波のパワーは、ソリトン効果によって固定される。
【0031】
この結果、本願発明によれば、パルス継続時間の削減効果は、縦モードの擬似シングルモードのレーザーおよび偏光の回転の組み合わせから得られ、上記文献に記載されているような、ソリトン効果および偏光の回転の組み合わせからは得られない。本願発明の装置は、非ソリトンの偏光の回転を使用しており、この結果、ソリトン回転を使用する最先端の装置よりも、パルス継続時間の良好な削減を可能にしながら、一層簡単で、一層安価で、調整面で一層柔軟な装置となっている。
【0032】
上記文献に関連して、本願発明は、非ソリトンレジームにおいても、パルス継続時間の良好な削減を得ることの課題を主として解決している。
【0033】
更に、600ピコ秒のパルスのために、最先端技術のソリトンレジームは、パルスを非常に短いサブパルス(sub-pulses)の状態に発展させるような効果を有している。従って、最先端技術において、削減した継続時間と共にシングルパルスを選択することは、非常に困難となる。一方、本願発明によれば、非ソリトンレジームを使用することで、装置は、全タイプのパルスの継続時間を削減することができる。
【0034】
更に、本願発明のように、非ソリトンレジーム内に存在することは、通常の散乱レジームを得ることを可能にする。従って、1マイクロメートルで放射するマイクロ・レーザーと結合している、1マイクロメートルの標準のシングルモードの光ファイバーを使用することが可能となる。こうして得られる装置は、ソリトン伝搬によって課せられる異常な散乱レジームを使用する最先端の装置よりも、一層簡単で、一層安価な装置となる。
【0035】
最後に、上記文献において、ソリトンレジームが原因で、ナノ秒またはサブナノ秒のパルスを使用することが非常に困難であり、または不可能でさえある。
【0036】
また、本願発明の更なる有利な特性を以下に記載する。
【0037】
特に、複屈折の光ファイバーは、通常の散乱レジーム内において、特に非ソリトンレジーム内において、偏光方向の回転を発生するように配置することができる。本願発明により、パルス継続時間の削減効果を得ることができ、ソリトンレジーム内においても削減効果を得ることができる。
【0038】
更に、パルスレーザーは、非常に小さなキャビティ長を有するQ−スィッチングレーザーにすることができる。従って、このキャビティ長は、レーザー増幅材質の利得幅Mよりも大きい必要がある縦方向のモード間に、フリークエンシャルなスペーシング(frequential spacing)「df」を強いることになる。既知の方法において、上記スペーシングの値「df」は、df=c/(2.l)である。なお、cは、光の速度を、lは、キャビティの長さを示す。このことは、レーザーが、縦方向に擬似シングルモードになることの確保を容易にする。パルスレーザーは、800ナノメートルおよび1.2マイクロメートルの間で動作するQ−スィッチングレーザーにすることができる。
【0039】
更に、偏光方向を有するパルスレーザーを得るために、偏光子を付随させた非偏光のパルスレーザーを使用するか、または元来の偏光レーザーを使用することで可能になる。後者は、レーザーからの全パワーを、元来の偏光方向において享受できる利点を有する。一方、偏光子を付随させたレーザーの利点は、偏光方向を容易に選択できることである。
【0040】
更に、上記装置は、上記偏光用パルスレーザーと上記光ファイバーとの間に置かれる半波長板をさらに含むことができ、上記半波長板は、上記半波長板の出力における上記レーザー波の偏光方向が、上記光ファイバーの複屈軸とはコリニアにならないように配置される。
【0041】
代替として、上記偏光用パルスレーザーは、上記光ファイバーとの関係において、上記偏光方向が上記複屈軸とはコリニアにならないように配置される。
【0042】
代替として、上記装置は、光ファイバーの入力に置かれるルフェーブル・ループ(Lefebvre loops)と呼ばれるループを含むことができ、該ルフェーブル・ループは、該ループの出力での上記レーザー波の偏光方向が、上記光ファイバーの複屈軸とコリニアにならないように配置することができる。これらルフェーブル・ループは、上記光ファイバーの複屈軸に対して偏光される、パルスレーザーの偏光ベクトルの方向を制御することができる。これらルフェーブル・ループは、ファイバーを介して伝搬する放射光の偏光ベクトルを方向付けるパワーを有するものとして、当業者には知られている。
【0043】
更に、モード散乱を避けるために、上記偏光用パルスレーザーは、任意の放射波長でレーザーパルスを放射することができるようにし、そして、上記ファイバーは、上記放射波長に対して横方向のシングルモードのファイバーである。
【0044】
更に、上記光ファイバーは、ファイバーの零分散波長が、上記放射波長よりも大きくなるようにすることができる。このことが、既に記載したような、パルス削減を妨げるソリトン効果と呼ばれる物理効果を避けることになる。
【0045】
また、本願発明は、短いパルスを発生するための方法に関連し、この方法は、
既に記載したような装置を供給するステップと、
偏光用パルスレーザーが、長いパルスを発生するステップと、
短いパルスを発生するために、上記長いパルスを、上記複屈折の光ファイバー内で分割するステップと、
上記短いパルスを、上記出力用偏光子の出力において再生するステップと、を含む。
【0046】
この方法において、出願人は、上記短いパルスの継続時間が、上記長いパルスの継続時間よりも10から16倍も短くすることができることを証明した。
【図面の簡単な説明】
【0047】
1つの実施例を、添付図面に関連して以降で説明する。なお、添付図面を下記に示す。
【図1】本願発明による装置の一実施例を示す図である。
【図2A】本願発明による装置の入力側でパルスレーザーが発生するパルスを示す図である。
【図2B】本願発明による装置の出力側で得られるパルスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1に示すように、本願発明の装置1は、パルスレーザー2、入力用偏光子3、入力用半波長板4、入力用レンズ5、複屈折の光ファイバー6、出力用レンズ7、出力用半波長板8、および出力用偏光子9を含む。
【0049】
パルスレーザー2は、1ナノ秒のオーダーの継続時間を有するパルスを放射することができるレーザーである。大まかに言えば、パルスレーザー2は、100ピコ秒以上のパルス継続時間を有するパルスを放射することができるレーザーである。この制限以下では、パルス継続時間のどのような削減も実行することが困難である。
【0050】
放射周波数は、約6KHzである。また、この放射周波数は、本願発明の関連において、典型的には100KHzまで変化させることができる。
【0051】
パルスレーザー2は、800ナノメートルと1.2マイクロメートルとの間にある波長の範囲内で放射し、好ましくは波長1064ナノメートルを伴う近赤外線の範囲内で放射する。
【0052】
レーザー2は、縦方向のシングルモードまたは最大限でも2倍モードのレーザーであって、例えばQ−スィッチングレーザーである。また、レーザー2は、横方向のシングルモードまたは2倍モードのレーザーであって、この場合、横方向のモードに対して1つの縦方向のモードを備える。このことは、各横断モードによって導かれる縦方向のモード・ピンがc/(2.1)より大きく分離するように、レーザーのキャビティが配置されるときに可能となる。ここで、cは、光の速度を、lは、キャビティ長を示し、上記配置により、縦方向のシングルモードは、レーザー増幅器の材質のゲイン領域内にあることになる。レーザー2は、例えばマイクロ・レーザーにすることができる。
【0053】
入力用偏光子3は、レーザーの出力ビームを偏光するために、レーザーの出力側に配置される。レーザー2と入力用偏光子3とを含む集合体は、偏光用レーザー10を形成する。その内容は、以下に説明する。
【0054】
レーザー2の出力が、直接偏光されるとき、上記入力用偏光子は、本願発明の実施例から除外することができる。このとき、偏光用レーザー10は、レーザー2だけを含む。
【0055】
光ファイバー6は、レーザーからの波長1064ナノメートルの放射波を横断させるシングルモードのファイバーである。従って、このファイバーは、複屈折の軸を、または中立軸とも呼ばれる軸を含む、複屈折の光ファイバーである。
【0056】
位相差板(半波長板)4は、偏光用レーザー10と光ファイバー6との間に配置され、光ファイバー6の複屈折の軸方向に対して偏光用レーザー10の偏光軸を向けるようにする。
【0057】
光ファイバー6に対する偏光用レーザー10の出力の方向付けにおいて、位相差板4は、偏光用レーザー10の偏光軸を向けるようにして、該偏光の方向が、光ファイバー6の複屈折の軸方向と並行にならないようにする。偏光用レーザー10を、光ファイバー6に対して上記条件が満たされるように直接的に向けるとき、本願発明との関連において、位相差板4を無しにすることができる。
【0058】
レンズ5は、位相差板4から支給されるレーザー信号を光ファイバー6に入射する手段を形成する。
【0059】
レーザー信号は、光ファイバー6を通過し、複屈折によって生じる光ファイバーの非線形効果に従うことになる。これらの効果とは、例えば、スペクトル広がりに対応する、自己位相変調または相互位相変調の効果である。特に、既に述べた刊行物で示したように、カー効果は、レーザー信号の偏光ベクターの回転を導く。このカー効果は、光ファイバーの入力側における信号の偏光方向が上記複屈折の軸とはコリニアでないときに発生され、この結果、2つの軸上への偏光ベクターのプロジェクションが、零よりも大きくなる。
【0060】
光ファイバー6は、偏光ベクターの回転効果が、非ソリトンモード内の通常の散乱レジームにおいて生じるようになる。
【0061】
出力側で、視準レンズ(出力用レンズ)7は、低い発散のビームを提供する。
【0062】
出力用偏光子9は、光ファイバー6また半波長板8に関連する方向に、入力パルスの持続時間からほぼ16の最大係数までの短いパルスとの間に拡張させながら、一層長い持続時間または一層短い持続時間を選択することを可能にしている。
【0063】
出力用偏光子9を、出力信号が選択できるように、光ファイバー6との関連において配置するとき、半波長板8の手段によって、カー効果に従う大部分のパワーだけが、可能な限りサンプルされる。
【0064】
そして、図示していないが、一時的なアナライザーを置くことが可能となり、上記のようにして得られる一時的な信号のプロファイルを決定することが可能となる。
【0065】
出願人は、入力パルスレーザーが縦方向に擬似シングルモードである事実のおかげで、パルスの削減効果が非常に強力であることを示した。好ましい、このカー効果の使用法は、特に10から16のオーダーの係数の削減を得ることを可能にする。
【0066】
図2Aは、偏光用レーザー10によって放射されたパルスを、時間と対応する強度の形状で示した図である。典型的なパルス継続時間は、約730ピコ秒である。
【0067】
図2Bは、本願発明による装置1の出力で得られた信号で、ピコ秒内の時間と対応する強度の形状で示した図である。典型的なパルス継続時間は、約45ピコ秒であり、削減係数16に対応している。
【0068】
上記削減係数は、複屈折のファイバーとマルチモードレーザーとの関係に関連する刊行物において報告された削減係数よりも、かなり大きい値なっている。
【0069】
本願発明の関連において、装置1の出力において得られたパルスは、偏光用レーザー10の出力において得られたパルスに対して短くなっており、この結果、偏光用レーザー10は相対的により長いパルスを発生する。短いパルスおよび長いパルスの間の比率は、約1から10以上にすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
短いパルスを発生するための装置(1)であって、該装置は、
偏光方向を有する偏光用パルスレーザー(10、2、3)と、
複屈折軸を有する複屈折の光ファイバー(6)であって、前記偏光方向が、前記複屈折軸とはコリニア(co-linear)な関係にない、光ファイバーと、
前記光ファイバーの出力に配置される出力用偏光子(9)であって、前記光ファイバーの出力において偏光を選択することができる、出力用偏光子と、を含み、
そして、前記偏光用パルスレーザーが、縦方向の擬似シングルモードのレーザーであることを特徴とする、パルス発生装置。
【請求項2】
前記複屈折の光ファイバーは、通常の散乱レジーム(regime)内で、前記偏光方向の回転を発生するように配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複屈折の光ファイバーは、非ソリトンレジーム内で、前記偏光方向の回転を発生するように配置される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記パルスレーザーは、Q−スイッチング・レーザーである、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記パルスレーザーは、800ナノメートルと1.2マイクロメートルとの間で動作するように配置される、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記パルスレーザー(10、2、3)は、非偏光のスイッチ・レーザー(2)および入力用偏光子(3)を含む、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記パルスレーザーと前記光ファイバーとの間に置かれる半波長板(4)をさらに含み、該半波長板は、該半波長板の出力における前記レーザー波の偏光方向が、前記光ファイバーの複屈軸とはコリニアにならないように配置される、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記光ファイバーの入力に置かれるルフェーブル・ループを含み、該ルフェーブル・ループは、該ルフェーブル・ループの出力における前記レーザー波の偏光方向が、前記光ファイバーの複屈軸とはコリニアにならないように配置される、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記偏光用パルスレーザーは、前記光ファイバーとの関係において、前記偏光方向が前記複屈軸とはコリニアにならないように配置される、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記偏光用パルスレーザーは、ある放射波長でレーザーパルスを放射することができ、前記光ファイバーは、前記放射波長を横断させるシングルモードのファイバーである、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記光ファイバーは、前記光ファイバーの零分散波長が、前記放射波長よりも大きい、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
短いパルスを発生するための方法であって、該方法は、
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の装置(1)を供給するステップと、
偏光用パルスレーザー(10、2、3)が、長いパルスを発生するステップと、
前記短いパルスを発生するために、前記長いパルスを、複屈折の光ファイバー(6)内で分割するステップと、
前記短いパルスを、出力用偏光子(9)の出力において再生するステップと、を含むパルス発生方法。
【請求項13】
前記短いパルスのパルス継続時間が、前記長いパルスのパルス継続時間よりも10から16倍も短い、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記光ファイバーは、長いパルスから短いパルスを発生するために、通常の散乱レジーム内で前記偏光方向の回転を発生させる、請求項12または13に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【公表番号】特表2010−511291(P2010−511291A)
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537677(P2009−537677)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【国際出願番号】PCT/FR2007/001916
【国際公開番号】WO2008/074941
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(501089863)サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェサイアンティフィク(セエヌエールエス) (173)
【Fターム(参考)】