説明

ピザ類の製造方法

【課題】 生地を焼成する際の温度にかかわらず、焼成時の風船状の膨らみを効率よく抑制し、外観や食感に優れたピザ類およびその製造方法を提供することである。
【解決手段】 成形したピザ生地の表面に、長径と短径とを有する扁平な形状の小孔を複数穿設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はピザ類の製造方法に関し、特に、その焼成時に風船状の膨らみを防止するために生地に複数の小孔を穿設することを特徴とするピザクラストの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ピザ類は、通常、小麦粉を主体とする穀粉にイースト、塩等を混捏し、発酵させてシート状に成形した生地に、場合により素焼きまたは半焼成してピザクラストとした後、ピザソースを塗り、上にモッツァレッラ、パルメザン等のチーズと好みの具をのせてオーブン等で焼成して調製される。しかし、ピザ類、すなわち成形した生地、素焼きもしくは半焼成したピザクラストまたはトッピングを施したピザをそのまま焼成すると、生地中の水分やガスの熱膨張により、生地に風船状の膨らみが生じたり、また過剰な膨らみにより表面が破裂してしまい、その商品価値が著しく低下するという問題がある。このため、ピザ類の製造において、焼成時にピザ類の表面に生じる風船状の膨らみやこれに伴う生地の破裂を抑制することを目的に、ピザクラストの成形後に生地全体に多数の小孔を穿設することが行われている(例えば特許文献1を参照)。また、ピザ生地の中央部分に多数の小孔を穿設するが、該生地の周辺部には小孔を設けずに焼成して、周辺部分のみに膨らみのあるピザの製造方法が知られている(特許文献2を参照)。
【0003】
このように、通常は、ピザ生地には多数の小孔を穿設するものであり、その穿孔用器具も市販されている。例えば図5は、この従来のピザ生地の穿孔用の器具の代表的な例を示す図であり、(a)は穿孔用器具の斜視図であり、(b)は当該器具の穿孔部から見た底面図であるが、当該器具の底面には円柱状の穿孔用の突起が多数設けられている。
【0004】
【特許文献1】特開昭58−9643号公報
【特許文献2】特開2003−180234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これら従来の小孔穿設手法は、350℃以下で焼成を行うピザ製造において、表面の膨らみ防止については不完全ならがらその効果が確認されている。しかしながら、ナポリタイプに代表される400℃以上の高温で短時間焼成を行うピザ類の場合は、生地やピザクラスト中の水分やガスの急激な熱膨張により、その表面に風船状の膨張を抑制する効果は極めて脆弱となり、ナポリタイプのピザクラストおよびピザの量産は極めて困難とされてきた。このため、ナポリタイプのピザクラストおよびピザの量産に適するピザクラストの製造方法が求められている。
【0006】
また、比較的低温でゆっくりと焼成を行うパンタイプのピザや、クリスピータイプのピザでも、従来の方法でも完全に生地の表面の膨張を抑制することができず、また生地の膨張を抑制するため、非常に多数の小孔を穿設するため、焼成した後のピザ製品で穿孔痕が目立ち、機械的な印象を与えてしまい、商品価値が低下するという問題があった。このため、これらのピザ類においてもより高い精度で膨らみを抑制し、且つ穿孔痕が目立たないピザ類の製造方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、かかかる実状において、前記欠点を克服すべく検討を進め、これまで具体的検証がなされてこなかった生地に穿設する小孔の形状に着眼し、鋭意研究を行った結果、穿設する小孔を長径と短径とを有する扁平な形状にすることにより、極めて焼成時の表面の膨張抑制効果に優れたピザ類の製造方法の発明に至った。
【0008】
従って、本発明は、成形したピザ生地の表面に、長径と短径とを有する扁平な形状の小孔を複数穿設することを特徴とするピザクラストの製造方法に関する。本発明は、前記小孔の形状が、長径2.0〜10.0mm、好ましくは3.0〜6.0mmおよび短径が0.1〜2.0mm、好ましくは0.3〜1.2mmの扁平の円形または方形であることを特徴とする。なお、本発明でいうピザ類は、成形したピザ生地、これを素焼きまたは半焼成したピザクラスト、該成形生地またはピザクラストにトッピングを施したピザを包含する。
【0009】
本発明はまた、前記小孔が複数でありが、その数が少なくとも[成形したピザ生地の面積(cm)/25、だだし小数点以下は切り捨て]により近似される数であることを特徴とする。
【0010】
本発明はまた、前記小孔の長径の向きが前記生地の縮む方向とほぼ平行となるようにして、該複数の小孔を穿設することを特徴とする。例えば、成形した生地の形状が円形または楕円形である場合には、生地の中心から放射状になるように、該複数の小孔を穿設する。
【0011】
本発明はまた、前記小孔の長径の向きがランダムになるようにして、該複数の小孔を穿設することを特徴とする。
【0012】
何れの場合においても、小孔の長径の向きが隣接する小孔の長径の向きと異なるように、該複数の小孔を穿設することが好ましい。
【0013】
本発明はまた、成形したピザ生地の表面に、長径と短径とを有する扁平な形状の小孔を複数穿設することを特徴とする、焼成中においてピザ類の風船状の膨らみを防止する方法に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、生地を焼成する際の温度にかかわらず、焼成時の風船状の膨らみを効率よく防止しうるピザ類の製造方法および該方法により製造されるピザ類を提供することができる。
【0015】
本発明のピザ類の製造方法では、従来の生地に穿設する小孔の形状では困難であった、高温短時間焼成を行うナポリタイプのピザにおいて、焼成時の表面の膨らみ、およびそれに伴う破裂を抑制することが可能となった。また、比較的低温で焼成するピザ類においても、従来の小孔の形状と比較して、膨らみ防止の効果が高くなることが確認された。
【0016】
本発明では、焼成時の風船状の膨らみを防止・抑制するために必要な小孔の数を大幅に削減することができ、故に穿孔痕の機械的な模様が少なくなり、外見においても優れたピザ類を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明において、ピザ生地は、通常ピザの製造に用いられるものであれば特に限定されないが、一般的には小麦粉を主体とする穀粉、イースト、食塩に、必要に応じて砂糖、オリーブ油等のその他の副原料からなる穀粉組成物に水を添加して混捏・発酵して得られるものである。使用する小麦粉としては強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉を単独または適宜混合して用いることができる。また使用するイーストとしては、通常製パンやピザの製造に用いられているものであればいずれも使用することができる。本発明において混捏されたピザ生地は、フロアタイムを取った後、そのまま分割・成形してもよいが、分割後にさらに発酵させてもよい。この場合、通常温度3〜10℃の条件下で12〜18時間発酵させることが好ましい。また、ピザ生地としては、フロアタイムまたはさらに発酵して直ぐのもの、途中の過程で冷蔵保存したものまたは冷凍保存した生地を解凍したものを用いることができる。
【0018】
本発明において、ピザ類のタイプとしては、比較的低温で焼成する通常のタイプの他、生地が厚いパンタイプピザ、生地が薄いクリスピータイプピザ、高温で短時間焼成するナポリタイプピザ等が挙げられる。これらのピザ生地の成形すべき形状としては、円形、楕円形、長方形や正方形など何れの形状でもよい。また、成形したピザ生地の厚さとしては、通常のいずれのピザ生地でも、焼成時には風船状の膨らみが発生しうるため、通常の範囲であれば特に限定されないが、生地厚が薄いタイプの方が、風船状の膨らみが発生し易いため、これらのピザ生地に特に適する。本発明の方法は、生地を焼成する際の温度にかかわらず、焼成時の風船状の過剰な膨らみを効率よく抑制したピザ類およびその製造方法を提供することができる。
【0019】
本発明において、ピザ生地に穿設する小孔の形状は、長径と短径とを有する扁平な形状であり、通常は長径が2.0〜10.0mm、短径が0.1〜2.0mmの範囲であり、好ましくは長径が3.0〜6.0mmおよび短径が0.3〜1.2mmの扁平の円形または方形であるが、そのほかの多角形であってもかまわない。
【0020】
ピザ生地への小孔の穿設の様式は、(1)小孔の長径の向きが前記生地の縮む方向とほぼ平行となるように、(2)小孔の長径の向きが前記生地の中心から放射状になるように、または(3)小孔の長径の向きがランダムになるように、複数の小孔を穿設する。
【0021】
ピザ生地を成形(薄く延ばす)した後にはその延伸を元に戻そうとする力(ピザ生地が縮む方向に働く力)が働くため、ピザ生地に穿設する小孔はその長径がピザ生地の延伸を元に戻そうとする(ピザ生地が縮む)力と平行な向きであることが望ましい。このため成形したピザ生地の形状が円形または楕円形の場合には小孔の長径の向きが生地の中心から放射状になるようにするのが好ましいが、小孔の長径の向きがランダムになるように小孔を穿設してもよい。これらのいずれの場合でも、小孔の長径の向きが隣接する小孔の長径の向きと異なるように小孔を穿設するのが好ましい。
【0022】
本発明では、ピザ生地に複数穿設する小孔の数(以後、「穿孔数」ということがある。)を、従来法と比較して大幅に減らすことができ、例えば生地の風船状の膨らみを防止する点では、小孔の数を数十分の1〜1/100程度まで減らすことが可能である。本発明において、ピザ生地に複数穿設する小孔の数は、ピザ生地のタイプや厚さ、形状や大きさにより異なるが、その最小穿孔数は、式1:
成形したピザ生地の面積(cm)/25 (ただし小数点以下切り捨て)
により近似することができる。詳細には最小穿孔数は、ピザ生地の面積が500cm未満の場合(すなわちピザ製品規格が2〜9インチの場合)には、前記式1から算出される数±1の範囲にあり、ピザ生地の面積が500cm以上の場合(すなわちピザ製品規格が10インチ以上の場合)には、前記式1から算出される数±2の範囲にある。また、好ましい穿孔数(適正穿孔数)は、式2:
成形したピザ生地の面積(cm)/12.5 (ただし小数点以下切り捨て)
により近似することができ、ピザ生地の面積が500cm未満の場合(すなわちピザ製品規格が2〜9インチの場合)には、前記式2から算出される数±1の範囲にあり、ピザ生地の面積が500cm以上の場合(すなわちピザ製品規格が10インチ以上の場合)には、前記式2から算出される数±2の範囲にある。このため、本発明の方法では、穿孔数は、最小穿孔数≦適正穿孔数≦(最小穿孔数+適正穿孔数)の範囲で適宜決定すればよい。
【0023】
本発明において、成形したピザ生地に小孔を穿設するためには、図1に示すような穿孔用器具1を用いることができるが、発明はこれに限られるものではなく、どのような方法で小孔を穿設するものでもよい。たとえば複数の小孔を一度に穿設することができる穿孔用器具1のようなものではなく、小孔を1つだけ穿設することができるたとえばマイナスドライバのような形状の器具を用いることもできる。
【0024】
次に、本実施の形態のピザ類の製造方法において、小孔を穿設する生地の具体例を挙げて本発明の実施例を説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0025】
〔実施例1〕
小麦粉100質量部に、イースト1質量部、食塩2質量部、オリーブオイル1質量部、水62質量部を加えて混捏を行った。捏ね上がったナポリタイプピザの生地はフロアータイム30分を取った後、200gずつ10個に分割し、まるめを行い5℃の冷蔵室へ入れ12時間の発酵熟成を行った。
【0026】
次いで、間隙3mmの回転式圧延ロールを通し、直径25cmの円形に成形して、ナポリタイプのピザ生地を得た。成形された生地の表面に、先端部分が長径3.0mm、短径0.8mmの長方形であるステンレス製の突起物を用いてランダムに50箇所の小孔を穿設した後、トマトソース30gとチーズ60gをのせ、温度450℃のオーブンにて90秒間焼成してピザを得た。
【0027】
得られた10枚のナポリタイプピザについて、表面積に対して風船状に過剰膨張した部位の比率を測定し、その結果を実施例1として表1に示す。
【0028】
〔比較例1〕
実施例1と同一の配合工程で作成し成形を行った生地の表面に、先端部断面が直径2.5mmの正円である円柱状のステンレス製ピンを用いてランダムに50箇所の小孔を穿設した後、トマトソース30gとチーズ60gをのせ、温度450℃のオーブンにて90秒間焼成してピザを得た。
【0029】
得られた10枚のナポリタイプピザについて、実施例1と同様に測定を行い、その結果を比較例1として表1に示す。
【0030】
〔比較例2〕
実施例1と同一の配合工程で作成し成形を行った生地の表面に、先端部が鋭角な円錐状のステンレス製ピンを用いてランダムに50箇所の小孔を穿設した後、トマトソース30gとチーズ60gをのせ、温度450℃のオーブンにて90秒間焼成してピザを得た。
【0031】
得られた10枚のナポリタイプピザについて、実施例1と同様に測定を行い、その結果を比較例2として表1に示す。
【0032】
【表1】

上記比較試験の結果、高温短時間焼成工程を伴うナポリタイプピザの過剰膨張抑制を目的とした小孔穿設に際し、従来の円柱状や円錐状のピンと比較して、本発明におけるその先端部が長径と短径とを有する扁平な形状の穿孔部についての明確な優位性が確認できた。
【0033】
〔実施例2〕
小麦粉100質量部に、イースト2質量部、食塩2質量部、砂糖1質量部、ショートニング3質量部、水60質量部を加えて混捏を行った。捏ね上がったパンタイプピザの生地はフロアータイム20分を取った後、エクストルーダーに掛けてシート状に吐出し、このシート状の生地をクロスローラーで3mmに圧延した後に、直径25cmの円形カッターで抜いて10枚の円形シート状のパンタイプピザ生地を得た。
【0034】
得られた生地の表面に、先端部分が長径4.0mm、短径1.0mmの楕円形であるステンレス製の突起物を用いてランダムに30箇所の小孔を穿設した後、温度250℃のオーブンにて6分間焼成してピザクラストを得た。
【0035】
得られた10枚のパンタイプのピザクラストについて、表面積に対して風船状に過剰膨張した部位の比率を測定し、その結果を実施例2として表2に示す。
【0036】
〔比較例3〕
実施例2と同一の配合工程で得られた10枚の円形シート状生地の表面に、先端部断面が直径1.5mmの正円である円柱状のステンレス製ピンを用いてランダムに30箇所の小孔を穿設した後、温度250℃のオーブンにて6分間焼成してピザクラストを得た。
【0037】
得られた10枚のパンタイプのピザクラストについて、実施例2と同様に測定を行い、その結果を比較例3として表2に示す。
【0038】
〔比較例4〕
実施例2と同一の配合工程で得られた10枚の円形シート状生地の表面に、先端部断面が直径1.5mmの正円である円柱状のステンレス製ピンを用いてランダムに100箇所の小孔を穿設した後、温度250℃のオーブンにて6分間焼成してピザクラストを得た。
【0039】
得られた10枚のパンタイプのピザクラストについて、実施例2と同様に測定を行い、その結果を比較例4として表2に示す。
【0040】
〔比較例5〕
実施例2と同一の配合工程で得られた10枚の円形シート状生地の表面に、先端部断面が直径1.5mmの正円である円柱状のステンレス製ピンを用いてランダムに200箇所の小孔を穿設した後、温度250℃のオーブンにて6分間焼成してピザクラストを得た。
【0041】
得られた10枚のパンタイプのピザクラストについて、実施例2と同様に測定を行い、その結果を比較例5として表2に示す。
【0042】
〔比較例6〕
実施例2と同一の配合工程で得られた10枚の円形シート状生地の表面に、先端部断面が直径1.5mmの正円である円柱状のステンレス製ピンを用いてランダムに300箇所の小孔を穿設した後、温度250℃のオーブンにて6分間焼成してピザクラストを得た。
【0043】
得られた10枚のナポリタイプピザについて、実施例2と同様に測定を行い、その結果を比較例6として表2に示す。
【0044】
【表2】

上記比較試験の結果、圧延型抜き工程で得られるパンタイプピザについて、従来広く用いられてきた円柱状のピンと比較して、本発明におけるその先端部が長径と短径とを有する扁平な形状の穿孔部では、極めて少ない小孔穿設数ながら十分な過剰膨張抑制効果を得られることが確認できた。
【0045】
〔実施例3〕
小麦粉100質量部に、イースト0.8質量部、食塩2.5質量部、水63質量部を加えて混捏を行った。捏ね上がったナポリタイプピザの生地はフロアータイム20分を取った後、200gずつに分割し、まるめを行い5℃の冷蔵室へ入れ12時間の発酵熟成を行った。
【0046】
次いで、手延ばしで直径26cmの円形に成形した。成形された生地の表面中央部に、先端部3aの長径すなわち図5の長さCが4.0mmであり、先端部3aの短径すなわち図5の長さBが0.6mmの長方形であり、穿孔部3が36本付設された穿孔用器具1を1回押し付けて小孔を穿設した後、温度450℃のオーブンにて90秒間焼成してピザクラストを得た。
【0047】
得られたナポリタイプのピザクラストの品質評価をパネラー数10名で表3に示す評価基準に基づいて行い、その結果平均値を実施例3として表4に示す。
【0048】
〔比較例7〕
実施例3と同一の配合工程で作成し成形を行った生地の表面中央部に、先端部断面が直径2.0mmの正円である円柱状のステンレス製ピンを401本付設した器具を1回押し付けて小孔を穿設した後、温度450℃のオーブンにて90秒間焼成してピザクラストを得た。
【0049】
得られたナポリタイプのピザクラストについて、実施例3と同様に評価を行い、その結果を比較例7として表4に示す。
【0050】
【表3】

【表4】

【0051】
上記比較試験の結果、高温短時間焼成工程を伴うナポリタイプのピザクラストの製造において、過剰膨張抑制を目的に、円柱状ピンが穿孔部位である器具を用いた場合と比較して、本発明におけるその先端部が長径と短径とを有する扁平な形状の穿孔部についての明らかな優位性が確認できた。
【0052】
〔実施例4〕
本発明の効果を奏するために必要な、成形したピザ生地への最小穿孔数および適正穿孔数を、各ピザ製品規格の大きさのピザ生地について確認した。
【0053】
具体的には、小麦粉100質量部に、イースト1.2質量部、食塩2.3質量部、水63質量部を加えて混捏を行った。捏ね上がったナポリタイプピザの生地はフロアータイム20分を取った後、ピザ生地の大きさに応じて分割し、まるめを行い5℃の冷蔵室へ入れ12時間の発酵熟成を行った。次いで、反転式ヒートプレスを用いて成形し、製品規格4、5、7、9、10、12(インチ)のナポリタイプのピザ生地を作成した。
【0054】
各ピザ生地に、実施例1で用いた突起物で、小孔の長径の向きが生地の中心から放射状になるように穿設した後、ピザ生地を温度450℃のオーブンにて60〜90秒間焼成してピザクラストを得た。このピザクラストを目視で風船状の膨らみと外観、焼き色で評価し、風船状の膨らみ部の破れを抑制できた小孔の最小数(最小穿孔数)と、製品として適する小孔の数(適正穿孔数)を求めた。その結果を下記の表5に示すが、
最小穿孔数は、式1:
成形したピザ生地の面積(cm)/25 (ただし小数点以下切り捨て)
適正穿孔数は、式2:
成形したピザ生地の面積(cm)/12.5 (ただし小数点以下切り捨て)
により近似されることが確認された。
【0055】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施の形態によるピザ類の製造方法で用いる穿孔用器具の一例の斜視図である。
【図2】図1の穿孔用器具を穿孔部の側から見た底面図である。
【図3】図1の実施の形態の穿孔用器具1を用いて小孔を穿設したピザ生地の状態を示す図である。
【図4】図3のピザ生地を焼成した後の状態を示す図である。
【図5】従来のピザ類の穿孔用器具の一例を示す図であり、(a)は従来の穿孔用器具の斜視図であり、(b)は(a)の穿孔用器具を穿孔部の側から見た底面図である。
【図6】従来の穿孔用器具21を用いて小孔を穿設した後に焼成した場合のピザクラストの状態を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1 穿孔用器具
2 土台
3 穿孔部
3a 先端部
3b 根元部
4 ハンドル
11 生地
12 小孔
13 膨らみ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形したピザ生地の表面に、長径と短径とを有する扁平な形状の小孔を複数穿設することを特徴とするピザ類の製造方法。
【請求項2】
前記小孔が、長径2.0〜10.0mm、短径が0.1〜2.0mmである扁平の円形または方形である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記小孔の数が、少なくとも[成形したピザ生地の面積(cm)/25、だだし小数点以下は切り捨て]により近似される数である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記小孔の長径の向きが前記生地の縮む方向とほぼ平行となるようにして、該複数の小孔を穿設する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記小孔の長径の向きがランダムになるようにして、該複数の小孔を穿設する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記小孔の長径の向きが前記生地の中心から放射状になるように、該複数の小孔を穿設する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記小孔の長径の向きが隣接する小孔の長径の向きと異なるように、該複数の小孔を穿設する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法により製造されるピザ類。
【請求項9】
成形したピザ生地の表面に、長径と短径とを有する扁平な形状の小孔を複数穿設することを特徴とする、焼成中におけるピザ類の風船状の膨らみを防止する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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