説明

ピストン駆動機構

【課題】ピストン駆動機構において、ピストンが軸方向について傾くことを許容し、精度よく移動することができるようにすることである。
【解決手段】ピストン駆動機構10は、ピストンロッド12とシリンダ20と、制御された気体圧を供給する気体圧制御弁40とを含んで構成される。気体圧制御弁40によって制御された気体圧は、ピストンロッド12のフランジ部14によって仕切られたシリンダ20の内部の気体室36,38に導かれ、その差圧によってピストンロッド12が軸方向に移動駆動される。エンドプレート24,26のロッド支持部には、気体室36,38の側の端部から、外部の大気開放60の側に向かって、排気溝42、浅溝表面絞り46がこの順で配置される。排気溝42は、ロッド支持部の軸方向に沿って、気体室36,38の端部からの距離が、いわゆる前駆長以上となる位置に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピストン及びシリンダを備えるピストン駆動機構に係り、特に気体圧によりピストンが軸方向に駆動されるピストン駆動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ピストン及びシリンダを備えるピストン駆動機構は、流体圧を用いるアクチュエータとして、様々な産業分野において利用されていることは周知の通りである。ピストンを駆動するための流体圧としては、油圧、蒸気圧のほか、乾燥空気や不活性ガス等の気体圧が用いられる。特に気体圧を用いる気体圧ピストン駆動機構は、油圧を用いるものに比べてコンタミネーションの問題が少なく、扱いやすい駆動機構として期待されており、例えば車両の動揺抑制に空気圧サーボシリンダが用いられることが特許文献1に記載されている。ピストンとシリンダを用いる駆動機構では、ピストンの軸方向の移動により流体圧がもれないように工夫がなされる。例えば、シリンダ内壁とピストン外径との摺動部分は、精密な寸法管理と、シールリング等が用いられる。
【0003】
【特許文献1】特開平10−129478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の動揺防止以外にも、気体圧を用いるピストン駆動機構の検討が行われている。例えば、引張圧縮試験機等の試験機においては、変位と荷重を正確にコントロールする必要があり、取り扱いの利便性等から気体圧を用いるピストン駆動機構が期待されている。
【0005】
ところが、従来から知られているピストン駆動機構は、流体圧が漏れないように、寸法精度のよい摺動部によって正確に軸方向の移動が案内されている。したがって、摺動部の摩擦等の負荷が加わり、滑らかな動作及び変位、荷重の高精度の制御に限界があることがある。
【0006】
また、これらの試験機においては、試験対象物の性質によっては、軸方向に荷重を加えたときに、すべり等がおこることにより、荷重軸に径方向の外力が加わり、荷重軸、すなわちピストン軸が斜めになることがある。従来のピストン駆動機構では、正確に軸方向の移動案内をすることで流体圧の保持を行っているので、ピストン軸が斜めになるような外力を受けると、流体圧が保持できず、変位又は荷重の精密な制御が困難になる。また、ピストンとシリンダとの間の摺動面が損傷を受け、あるいは変形を生じて試験動作を行うことが困難になる恐れがある。
【0007】
本発明の目的は、ピストンが軸方向について傾くことを許容するピストン駆動機構を提供することである。また、他の目的は、精度よく移動することができるピストン駆動機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1.前駆長の概念について
ピストン駆動機構において、ピストンが軸方向について傾くことで問題になる気体の漏れの影響をどのようにして抑制するかを検討する中で、前駆長の概念の利用に思い至った。そこで、以下に前駆長について説明する。
【0009】
前駆長とは、細い流路を流体が流れるとき、流路入口における一様速度分布が、流路断面に対しほぼ放物線分布になる所の、流路入口からの距離である。例えば、岡本哲史著,応用流体力学,誠文堂新光社,昭和41年2月10日,第8版,p106には、次のように述べられている。すなわち、円管に流体を流すとき、円管の入口において一様な速度分布が得られ、流路を進んで行くに従い次第に放物線分布になる。入口をx=0にとると、厳密にはx=∞で放物線分布に達するが、実際においては有限なxにおいて放物線分布に非常に近い物が得られる。そこで管の中央における速度が、x=∞における放物線分布の中央における速度から1%だけの差があるところをとって、入口からここまでの距離を前駆長又は助走距離と呼ぶ。前駆長の計算式は、例えばx1=0.26a×R1で示される。ここで、x1は前駆長、aは管の半径、R1はレイノルズ数である。
【0010】
このように、前駆長は、細い流路を流体が流れるときに、速度分布が流路の無限遠における放物線分布とほぼ同じになる流路上の入口からの距離である。これをピストン駆動機構において、シリンダ内部の気体室から、シリンダとピストンロッドとの隙間を通って外部の大気へ漏れる気体流について当てはめると、シリンダとピストンロッドとの隙間をdとし、隙間dを流れる気体流のレイノルズ数をReとすれば、前駆長は、d×Reに比例する。比例定数αは、それぞれのピストン駆動機構において実験的に求めることができ、求められるαを用いて、入口からの距離がαd×Reのところが前駆長位置となる。
【0011】
いま、ピストンロッドが軸方向に対し斜めになることを許容すると、ロッド支持部の内径とピストンロッドとの隙間を厳しく設定することができず、勢い、シリンダ筐体内の気体室からこの隙間を通って外部の大気に向かって漏れることが多くなることが予想される。排気口の位置を余り気体室側に近く設けると漏れが多くなる。また、あまり遠くに設けても装置が大型化する。
【0012】
そこで、どの位置に排気口を設ければ、装置を大型化せず、効率よく漏れてくる気体を少なくするかを考えて、前駆長の概念に思い至った。すなわち、前駆長の位置は、この位置で、速度分布はほぼ入口から見て無限遠の位置のものと同じになるので、漏れてくる気体の壁面抵抗が最大になる。したがって、気体室から見て排気口の位置を、前駆長の位置近傍、あるいはそれより遠くに設けることで、装置を大型化せずに、効率よく、漏れてくる気体量を少なくすることができる。
【0013】
2.課題解決手段
本発明に係るピストン駆動機構は、シリンダ筐体内部を前後気体室に仕切る気体受板部を有し、端部がシリンダ筐体より突き出るロッドであって、前後気体室に供給される気体圧により駆動されて軸方向に移動するピストンロッドと、ピストンロッドを軸方向移動自在に支持するシリンダ筐体のロッド支持部に開口が設けられる気体供給路であって、ロッド支持部の内径とピストンロッドとの間に気体を供給し、シリンダ筐体に対し径方向にピストンロッドを浮上させて支持する気体供給路と、ロッド支持部の気体供給路よりさらにシリンダ筐体内部側の位置に設けられ、シリンダ筐体内部の気体室からロッド支持部の内径とピストンロッドとの隙間を通って漏れてくる気体及び気体供給路からの気体を排気する排気溝と、を備え、排気溝は、ロッド支持部の内径とピストンロッドとの隙間をdとし、隙間dを流れる気体流のレイノルズ数をReとし、実験で求められる比例定数をαとして、ロッド支持部の気体室の端部から軸方向に沿った距離がαd×Reの前駆長位置より外側の位置に配置されることを特徴とする。
【0014】
また、気体供給路は、ロッド支持部の内径に設けられる浅溝の表面絞りとピストンロッドとの間に気体を供給することが好ましい。
【0015】
また、気体受板部は、ピストンロッドのフランジ部と、シリンダ筐体とフランジ部との間を柔軟性を有して気密に接続するベロフラムとを含んで構成されることが好ましい。
【0016】
また、本発明に係るピストン駆動機構は、シリンダ筐体内部を前後気体室に仕切る気体受板部を有し、端部がシリンダ筐体より突き出るピストンロッドと、気体受板部の外周及びシリンダ筐体の内壁とで形成される受板摺動部に開口が設けられる気体排気路と、受板摺動部に設けられ、気体排気路に向かう浅溝の表面絞りであって、シリンダ筐体内部の気体室から浅溝を通り気体排気路に向かって気体を絞って流すことで、シリンダ筐体内壁に対し気体受板部を浮上させて支持する受板部浮上用の表面絞りと、ピストンロッドを軸方向移動自在に支持するシリンダ筐体のロッド支持部に設けられる浅溝の表面絞りであって、シリンダ筐体内部の気体室から浅溝を通りロッド支持部の外気側端部に向かって気体を絞って流すことで、シリンダ筐体内壁に対しピストンロッドを浮上させて支持するロッド浮上用の表面絞りと、を備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係るピストン駆動機構において、シリンダ筐体に取り付けられ、ピストンロッドの径方向の変位を規制するメタル軸受又は複合材軸受を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
上記構成によれば、シリンダ筐体に対し径方向にピストンロッドを浮上させて支持する気体供給路を設けたので、ピストンロッドをシリンダ筐体に対し滑らかに精度よく移動させることができる。
【0019】
また、排気口を、前駆長より外側の位置に配置することとしたので、気体室から漏れてくる気体を効率よく回収できる。したがって、ピストンが軸方向について傾くことを許容しつつ、気体の漏れによる影響を軽減することができる。
【0020】
また、ロッド支持部の内径に浅溝の表面絞りを設け、気体供給路からこの浅溝とピストンロッドとの間に気体を供給するので、簡単な構造で浅溝の絞り効果によりピストンロッドを浮上させることができる。
【0021】
また、ピストンロッドのフランジ部とシリンダ筐体との間をベロフラムで接続したので、ピストンが軸方向について傾いても、フランジ部とベロフラムとで気密に前後気体室が仕切られる。したがって、ピストンロッドが軸方向について傾いても、前後気体室の間における気体圧の漏れを防止できる。
【0022】
また、受板摺動部に受板部浮上用の表面絞りを設け、ロッド支持部にロッド浮上用の表面絞りを設け、シリンダ筐体内部の気体室から、1つは受板部浮上用の表面絞りを通って気体排気路へ、もう1つはロッド浮上用の表面絞りを通って外部大気へ、それぞれ気体を流すこととしたので、簡単な構成で、受板摺動部及びロッド支持部においてピストンロッドを浮上させることができる。したがって、ピストンロッドをシリンダ筐体に対し滑らかに精度よく移動させることができる。
【0023】
また、シリンダ筐体にピストンロッドの径方向の変位を規制するメタル軸受を設けたので、ピストンが軸方向に斜めになっても、その限度がメタル軸受で定まるので、ピストンロッドとシリンダ筐体との間の予期しない衝突等による損傷を防止できる。
【0024】
上記のように、本発明に係るピストン駆動機構によれば、ピストンが軸方向について傾くことを許容することができる。また、ピストンを精度よく移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。以下では、引張圧縮試験機に用いられるピストン駆動機構について説明するが、ピストン駆動機構が適用される対象はかかる試験機に限られず、ピストンが軸方法に対し斜めになることを許容する必要のある装置であれば等しく適用の対象とすることができる。
【実施例1】
【0026】
図1は、引張圧縮試験機に用いられるピストン駆動機構10の構成を示す図である。ピストン駆動機構10は、ピストンロッド12とシリンダ20と、制御された気体圧を供給する気体圧制御弁40とを含んで構成される。気体圧制御弁40とシリンダ20との間には、マニホールド30が設けられ、気体圧制御弁40によって制御された気体圧を制御気体流路32,34によりシリンダ20の内部に導く。そして、ピストンロッド12の一方側の先端は荷重を検出するロードセル16を介して引張圧縮試験の対象物に接続され、他方側の先端にはピストンロッド12の軸方向の変位を検出する変位センサ50が設けられる。
【0027】
ピストン駆動機構10において、ピストンロッド12は、フランジ部14を有し、シリンダ20の内部を前後気体室36,38に区切り、それぞれの気体室36,38に気体圧制御弁40より制御された気体圧が制御気体流路32,34を通って供給され、前後気体室36,38の気体圧の差によってフランジ部14が軸方向、すなわち図1に示すX方向に移動駆動される。このように、引張圧縮試験機に用いられるピストン駆動機構10は、気体圧によってピストンロッド12を軸方向に移動機構させ、ピストンロッド12の先端に設けられたロードセル16を介して図示されていない試験対象物に荷重を印加し、そのときの変位を測定することができる機能を有する。
【0028】
ピストンロッド12は、引張圧縮試験機における荷重軸の機能を有する細長い棒状の部材で、軸方向のほぼ中間部分に直径の大きいフランジ部14を有する。フランジ部14の外周はシリンダ20の内周壁と摺動もしくは接触することがあるので、十分滑らかな表面処理及び必要に応じ適当な硬化処理を施されるのが好ましい。また、ピストンロッド12の両端はシリンダ20に軸方向自在に支持されるが、その部分も同様に十分滑らかな表面処理及び必要に応じ適当な硬化処理を施されるのが好ましい。かかるピストンロッド12は、十分な機械的剛性を有する金属材料を加工し、必要な表面処理等を施して得ることができる。例えば材料をフランジ付き円柱に加工し、表面硬化処理、表面研摩処理、潤滑めっき処理等を施して用いることができる。
【0029】
ピストンロッド12の一方側の先端には、上記のように、荷重を検出するロードセル16が取り付けられる。ロードセル16は例えば歪みゲージ等を設けた荷重台を用いることができる。また、上記のように、ピストンロッド12の他方側の先端には変位センサ50が設けられる。変位センサ50は差動変圧器方式のものを用いることができる。すなわち、ピストンロッド12の他方側の先端の一部を延ばして軟磁性体プローブ52を取り付け、これと協働するトランス巻線54をシリンダ20側に設ける。軟磁性体プローブ52は、ピストンロッド12と一体として軸方向に移動し、トランス巻線54の空洞部への挿入長さに応じた信号がトランス巻線54から出力され、この信号を処理してピストンロッド12の軸方向変位を検出できる。変位センサ50としては、その他に光学式、磁気式等、一般に用いられる方式のものを用いてもよい。
【0030】
ロードセル16及び変位センサ50の出力は、そのまま引張圧縮試験機の荷重−変位データとして用いられるとともに、図示されていない引張圧縮試験機の制御部にフィードバックされ、気体圧制御弁40の制御データとして用いられる。
【0031】
シリンダ20は、ピストンロッド12のフランジ部14を内部に収容し、ピストンロッド12の両端を外部に突き出させ、軸方向自在に案内支持する機能を有する一応気密の筐体である。ここで一応気密とは、ピストンロッド12が軸方向に異常に傾くときを除き、引張圧縮試験機の性能上十分な程度の気密という意味である。シリンダ20は、シリンダチューブ22と前後エンドプレート24,26とから構成される。すなわち、略円環状のシリンダチューブ22の両側開口にそれぞれ前後エンドプレート24,26があてがわれ、全体としてシリンダ筐体を構成する。
【0032】
シリンダチューブ22は、ピストンロッド12のフランジ部14の直径よりやや大きめの内径を有する円環状の部材である。その内周壁は、ピストンロッド12のフランジ部14の外周と、摺動又は接触することがあるので、十分滑らかな表面処理及び必要に応じ適当な硬化処理を施されるのが好ましい。かかるシリンダチューブ22は、十分な機械的剛性を有する金属材料を加工し、必要な表面処理等を施して得ることができる。例えば材料の内周を所定寸法に加工し、表面硬化処理、表面研摩処理、潤滑めっき処理等を施して用いることができる。
【0033】
前後エンドプレート24,26は、ほぼ同様の形状を有する一対の部材で、中央にピストンロッド12を通し支持するロッド支持穴を有し、シリンダチューブ22の両側開口をふさぐ機能を有する部材である。ロッド支持穴の内径は、ピストンロッド12の両端側の直径よりやや大きめである。このロッド支持穴のところには、排気溝42と、浅溝表面絞り46等が設けられるが、これらの詳細については後述する。また、前後エンドプレート24,26は、マニホールド30を介し、気体圧制御弁40からの制御された気体圧をシリンダ20の内部に導く制御気体流路32,34を有する。また、ピストンロッド12の軸方向移動が大きすぎてフランジ部14が前後エンドプレート24,26に衝突するときの衝撃を和らげるストッパ56が設けられる。
【0034】
シリンダチューブ22と前後エンドプレート24,26とピストンロッド12とは、次のような手順で組み立てられる。すなわち、最初に、シリンダチューブ22の中にピストンロッド12を通す。次に、ピストンロッド12のフランジ部14を挟んでロードセル16側に前エンドプレート24、変位センサ50側に後エンドプレート26を、それぞれのロッド支持穴にピストンロッド12の端部を通すように配置する。そして、前エンドプレート24をシリンダチューブ22のロードセル16側の開口をふさぐように合わせ、同様に後エンドプレート26をシリンダチューブ22の変位センサ50側の開口をふさぐように合わせる。そして、制御気体流路32,34のマニホールド30側の開口が同じ平面上に揃うように、前後エンドプレート24,26の相対位置を調整する。調整が終われば、制御気体流路32,34がマニホールド30と前後エンドプレート24,26の間で合うことを確かめる。このようにして、シリンダ20とピストンロッド12との組立体が得られ、これをピストン・シリンダサブアセンブリと呼ぶことができる。
【0035】
マニホールド30は、気体圧制御弁40とシリンダ20の制御気体流路32,34とを接続するための中間部材で、制御気体流路32,34に対応する制御気体流路33,35を備える。かかるマニホールド30は、適当な金属材料等を加工して得ることができる。マニホールド30は、ピストン・シリンダサブアセンブリの制御気体流路32,34に制御気体流路33,35を合わせるようにして、気密にしっかりと接続される。気密接続は、適当な気密パッキングを用いたねじ止め等を用いることができる。
【0036】
気体圧制御弁40は、図示されていない引張圧縮試験機の制御部の指示により、2つの制御された気体圧を生成する機能を有する制御弁である。2つの制御された気体圧は、それぞれ制御気体流路33,32と、制御気体流路35,34を通り、シリンダ20内部の前後気体室36,38に供給される。例えば、ピストンロッド12をロードセル16側に所定の荷重で変位させたいときは、気体室36に供給する気体圧より気体室38に供給する気体圧の方を大きくするようにし、その気体圧の差圧にフランジ部14の気体圧の受圧面積を乗じたものが荷重となるように、気体圧制御弁40は2つの気体圧を生成する。かかる気体圧制御弁としては、周知のスプール・スリーブ型気体圧制御弁等を用いることができる。
【0037】
次に、ロッド支持穴に設けられる排気溝42及び浅溝表面絞り46について説明する。図2は、後エンドプレート26におけるピストンロッド12の支持部分を示す拡大図である。なお、前エンドプレート24においても同様の構成及び作用を有するので、ここでは後エンドプレート26の部分に代表させて説明する。上記のように、ロッド支持穴の内径は、ピストンロッド12の端部の直径よりもやや大きいので、図2に示すように、後エンドプレート26のロッド支持部27とピストンロッド12との間には隙間58がある。この隙間58に沿って、後気体室38の側の端部から、外部の大気開放60の側に向かって、排気溝42、浅溝表面絞り46がこの順で配置される。
【0038】
排気溝42は、後気体室38から、ロッド支持部27とピストンロッド12との間の隙間58を通って漏れてくる気体を集め、排気路44へ流す機能を有する。
【0039】
排気溝42は、ロッド支持部27の軸方向に沿って、後気体室38の端部からの距離が、いわゆる前駆長以上となる位置に配置される。ここで前駆長とは、上記のように、細い流路を流体が流れるとき、流路入口における一様速度分布が、流路断面に対しほぼ放物線分布になる所の、流路入口からの距離である。図3に、隙間58を流れる気体の流速分布の変化と、前駆長の関係を示す。図3に示すように、隙間58の入口、すなわち後気体室38側の端部において一様である速度分布62は、隙間58を進んで行くに従い次第に分布形状が変化し、無限遠進んだところで放物線分布になる。そして、前駆長のところの中央における速度が、無限遠進んだところの放物線分布の中央における速度から1%だけの差がある放物線分布に極めて近い速度分布64となる。いま、隙間58の大きさをdとし、隙間58を流れる気体の流れのレイノルズ数をReとし、実験で定まる比例定数をαとすれば、前駆長=αd×Reである。レイノルズ数は、流体の流速をV、粘性係数をη、密度をρ、流路寸法をDとして、Re=VDρ/ηで表される。
【0040】
例えば、Re=2000として、d=10〜20μmとすれば、前駆長は5mm程度となる。排気溝42は、後気体室38の端部から見て、この前駆長の位置より遠くの位置に配置される。このような構成により、排気溝42を後気体室38の端部から見て、無限遠に配置したと同じような効果で、隙間58を漏れてくる気体を効率よく集めることができ、装置を小型化できる。
【0041】
浅溝表面絞り46は、ロッド支持部57の内面、すなわち、ロッド支持穴の内壁に設けられた複数の溝で、軸方向に所定の幅、長さ、溝深さを有し、ピストンロッド12を気体軸受の原理で浮上させる機能を有する。溝の長さは、一端側は排気溝42と軸方向に十分間隔をあけ、他方端は大気開放60の側の端部から十分間隔をあけるように設定される。そして、各浅溝表面絞り46の軸方向に沿った長さの略中央部に、気体供給路48の開口が接続される。この気体供給路48には、図示されていない気体源から所定の供給圧の気体が供給される。このような構成の浅溝表面絞り46は、気体供給路48からの高圧気体が開口から噴出し浅溝に沿って流れ、一方は排気溝42の方へ、他方は大気開放60側の端部へ向かう。そして浅溝が切れたところでより狭い隙間に向かって絞られて低圧側に流れるので、いわゆる表面絞り装置となる。この絞り効果のため、絞り部分で圧力上昇を生じ、ピストンロッド12をロッド支持部27に対し浮上させる。
【0042】
浅溝表面絞り46の浅溝の深さは、隙間58の大きさとも関係するが、1例を上げると、中立状態の隙間58を約10μmとして、浅溝の深さを約3〜20μmとすることができる。また、気体供給路48に供給される気体圧は約0.5Mpa程度とすることができる。
【0043】
かかる構成の引張圧縮試験機用のピストン駆動機構10の作用を説明する。一例で、試験対象物の応力−ひずみ特性を精密に測定する場合を取り上げる。まず、引張圧縮試験機を初期化した後、ロードセル16の先及び図示されていない試験機のステージ等との間に試験対象物をセットする。そして、引張圧縮試験機の図示されていない制御部より、気体圧制御弁40に、所定の印加速度で荷重を発生するよう指示が出される。例えば1N/secの印加速度でピストンロッド12の先端に荷重がかかるように指示が出される。これに先立ち、引張圧縮試験機の制御部より、図示されていない気体源に、所定の供給圧の高圧気体の供給を、気体圧制御弁40と、シリンダ20の気体供給路48とに対して行うように指示され、また、図示されていない排気装置に、シリンダ20の排気路44を所定の排気圧で吸引する指示が出される。
【0044】
気体圧制御弁40は、ロードセル16及び変位センサ50からのフィードバック信号を用いて、指示された印加速度になるように、予め定められた気体圧生成アルゴリズムに従い2つの制御された気体圧を生成し、制御気体流路33,32,35,34を介し、前後気体室36,38に制御された気体圧を供給する。ピストンロッド12のフランジ部14は、前後気体室36,38における気体圧を受け、その差圧に応じ、フランジ部14の外周とシリンダチューブ22の内周壁との間で通常の空間を保ちながら、軸方向に移動駆動される。すなわち、引張圧縮試験機の指示が1N/secの印加速度の引っ張りであれば、図1のX方向で、変位センサ50側に移動駆動される。移動駆動の荷重と変位は上記のようにロードセル16と変位センサ50により監視されている。
【0045】
このようにして、ピストンロッド12の移動駆動により、試験対象物に所定の印加速度で荷重をかけることができる。そして、試験対象物の応力−ひずみ特性は、ロードセル16及び変位センサ50の出力データを用いて、図示されていない引張圧縮試験機の出力部より得ることができる。
【0046】
ピストンロッド12は、前後エンドプレート24,26の浅溝表面絞り46の絞り効果により、ロッド支持部27から径方向に浮上されて軸方向に移動駆動される。また、この浮上隙間を通って、前後気体室36,38から大気開放60に向かって流れる気体は、前駆長より遠方に配置された排気溝42と排気路44により効果的に集められる。したがって、ピストンロッド12は、ロッド支持部27から前後気体室36,38の気体圧が漏れる影響を抑制しつつ、ロッド支持部27における摩擦負荷を受けることなく滑らかに移動できるので、高精度の測定が可能となる。
【0047】
また、ロッド支持部27におけるピストンロッド12の支持を、ピストンロッド12の径方向の変位について自由度のある気体軸受機構とし、また排気溝42の作用により、気体軸受の浮上隙間を漏れてくる気体を効率よく集めることとしているので、引張圧縮試験の間に、試験対象物の特性によってピストンロッド12が軸方向から傾くことを一定の範囲で許容できる。
【実施例2】
【0048】
引張圧縮試験機用のピストン駆動機構において、測定対象物の性質等によりピストンロッドが軸方向より傾くことがあるが、あまり傾くと、ピストンロッドがシリンダ内壁やロッド支持部の内壁に衝突等を起こし、損傷を生ずることがある。
【0049】
図4は、ピストンロッド12の過度の傾きを抑制できるピストン駆動機構70の構成図である。図4では、ピストン・シリンダサブアセンブリの部分で説明に必要なところを示してある。図1と同様の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。このピストン駆動機構70では、前後エンドプレート24,26の大気開放60側の端部に、それぞれメタル軸受72,74が設けられる。なお、メタル軸受は、負荷が付く側の1ヶ所に設けてもよい。
【0050】
メタル軸受72,74は、潤滑性に富んだ金属材料又は複合材料で作られたリング状の軸受であり、その内径は、ピストンロッド12の端部の直径よりは大きく、前後エンドプレート24,26のロッド支持穴の穴径よりは小さく設定される。各メタル軸受72,74は、前後エンドプレート24,26のロッド支持穴と同心になるように、前後エンドプレート24,26の大気開放60側の端部に取り付けられる。取り付けは、ねじ止め、あるいははめ込み固定等で行うことができる。かかるメタル軸受72,74は、黄銅や銅等の柔らかい金属、あるいは多孔性金属に潤滑油を含浸させたものあるいは複合材料を所定のリング形状に加工して得ることができる。
【0051】
かかる構成のピストン駆動機構70においては、ピストンロッド12がその径方向、図4で示すR方向に変位し、あるいは軸方向に対し傾斜する外力を受けても、メタル軸受72,74の内径は前後エンドプレート24,26のロッド支持部の内径より小さいので、過度な変位あるいは傾斜のときに、ピストンロッド12の外形が潤滑性のあるメタル軸受72,74に真っ先に当たる。したがって、ピストンロッド12のフランジ部14の外周がシリンダチューブ22の内周壁に衝突し、あるいはピストンロッド12の端部が前後エンドプレート24,26のロッド支持部の浅溝表面絞り46等に衝突してこれらを損傷することを、未然に防止できる。
【実施例3】
【0052】
引張圧縮試験機用のピストン駆動機構において、測定対象物の性質等によりピストンロッドが軸方向より傾くことがあるが、あまり傾くと、ピストンロッドのフランジ部がシリンダ内で前後気体室を完全に仕切ることができなくなる。
【0053】
図5は、ピストンロッド12の軸方向の傾きに関係なく、前後気体室を気密に仕切ることができるピストン駆動機構76の構成図である。図5では、ピストン・シリンダサブアセンブリの部分で説明に必要なところを示してある。図1と同様の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。このピストン駆動機構76では、ピストンロッド12のフランジ部15と、シリンダチューブ22との間に、柔軟性を有し、気密性のあるベロフラム78が設けられる。
【0054】
ベロフラム78は、フランジ部15の外周と、シリンダチューブ22の内周壁との間を機密に仕切るような柔軟性のあるリング部材である。例えば、薄い金属板を適当な形状で屈曲させて柔軟性を持たせたものを用いることができる。かかる折り曲げを有するリング状部材の外周部をシリンダチューブ22に固定し、内周部をフランジ部15に固定する。ベロフラムの数は1つでも複数でもよい。なお、この場合、フランジ部15の直径は、気体圧を受ける面が確保できれば、シリンダチューブ22の内径よりかなり小さくしてもよい。
【0055】
かかる構成のピストン駆動機構76においては、ピストンロッド12がその径方向、図4で示すR方向に変位し、あるいは軸方向に対し傾斜する外力を受けても、ベロフラム78の柔軟性で追従できる。また、ベロフラム78は変位、変形しても気密性があるので、前後気体室36,38の間が流体的に連通することがなく、シリンダ内で前後気体室を完全に仕切ることができ、引張圧縮試験機において精密な測定を可能とする。
【実施例4】
【0056】
図6は、ピストンロッド12のフランジ部14の外周とシリンダチューブ22の内周壁との間にも気体軸受機構を設けたピストン駆動機構80の構成図である。図6では、ピストン・シリンダサブアセンブリの部分で説明に必要なところを示してある。図1と同様の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。このピストン駆動機構80では、前エンドプレート24のロッド支持部に浅溝表面絞り82による気体軸受機構を設けるとともに、フランジ部14の外周とシリンダチューブ22の内周壁との間にも浅溝表面絞り84による気体軸受機構が設けられる。
【0057】
このピストン駆動機構80では、前後気体室の一方に一定高圧の供給圧Psが供給され、他方に図示されていない引張圧縮試験機の制御部の指示により制御された制御気体圧Paが供給される。例えば供給圧Psは図示されていない気体供給源から直接供給され、制御気体圧Paは気体圧制御弁から供給されるものとすることができる。図6の場合では、前気体室37に一定高圧の供給圧Psが供給されるものとして示してある。供給圧Psは、例えば約0.5Mpa程度とすることができる。
【0058】
図7は、前エンドプレート24のロッド支持部27に設けられる浅溝表面絞り82の様子を示す図である。前エンドプレート24のロッド支持部27に設けられる浅溝表面絞り82は、ロッド支持穴の内壁に設けられた複数の溝で、軸方向に所定の幅、長さ、溝深さを有し、ピストンロッド12を気体軸受の原理で浮上させる機能を有する。溝の軸方向長さは、ロッド支持部27の前気体室側端部から始まり、ロッド支持部27の長さの1/2から2/3程度とできる。このような構成の浅溝表面絞り82は、前気体室37からの高圧気体が押し込まれ浅溝に沿って流れ、大気開放60側の端部へ向かう。そして浅溝が切れたところでより狭い隙間に向かって絞られて低圧側に流れるので、いわゆる表面絞り装置となる。この絞り効果のため、絞り部分で圧力上昇を生じ、ピストンロッド12をロッド支持部27に対し浮上させる。
【0059】
図8は、フランジ部14の外周に設けられる浅溝表面絞り84の様子を示す図である。これに関連して、排気溝86もフランジ部14の外周に設けられ、排気溝86はピストンロッド12の中を通る排気路88に接続される。排気路88は大気に開放することができる。この浅溝表面絞り84は、フランジ部14の外周に設けられた複数の溝で、軸方向に所定の幅、長さ、溝深さを有し、ピストンロッド12を気体軸受の原理で浮上させる機能を有する。溝の軸方向長さは、フランジ部14の前気体室側端部から始まり、フランジ部14の軸方向長さの1/2程度とできる。
【0060】
このような構成の浅溝表面絞り84は、前気体室37からの高圧気体が押し込まれ浅溝に沿って流れ、最終的に大気に開放される排気溝86へ向かう。そして浅溝が切れたところでより狭い隙間に向かって絞られて低圧側に流れるので、いわゆる表面絞り装置となる。この絞り効果のため、絞り部分で圧力上昇を生じ、ピストンロッド12をロッド支持部27に対し浮上させる。
【0061】
これらの浅溝表面絞り82,84の浅溝の深さは、図1の浅溝表面絞りと同様に、例えば、ピストンロッド12とこれに向かい合うシリンダ20の内壁面との間の隙間を約10μmとして、浅溝の深さを約3〜20μmとすることができる。
【0062】
かかる構成のピストン駆動機構80においては、1つの気体室37から2種類の気体軸受機構を作り出すことができ、簡単な構成で、ピストンロッドを滑らかに移動駆動でき、引張圧縮試験機において精密な測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】適用例としての引張圧縮試験機に用いられる、本発明に係る実施の形態におけるピストン駆動機構の構成を示す図である。
【図2】本発明に係る実施の形態において、後エンドプレートにおけるピストンロッドの支持部分を示す拡大図である。
【図3】本発明に係る実施の形態において、気体の流速分布の変化と、前駆長と、排気溝の配置関係を説明する図である。
【図4】他の実施形態のピストン駆動機構構成図である。
【図5】さらに他の実施形態におけるピストン駆動機構の構成図である。
【図6】別の実施形態におけるピストン駆動機構の構成図である。
【図7】別の実施形態において、前エンドプレートのロッド支持部に設けられる浅溝表面絞りの様子を示す図である。
【図8】別の実施形態において、フランジ部の外周に設けられる浅溝表面絞りの様子を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
10、70,76,80 ピストン駆動機構、12 ピストンロッド、14,15 フランジ部、16 ロードセル、20 シリンダ、22 シリンダチューブ、24,26 エンドプレート、27 ロッド支持部、30 マニホールド、33,32,35,34 制御気体流路、36,37,38 気体室、40 気体圧制御弁、42,86 排気溝、44,88 排気路、46,82,84 浅溝表面絞り、48 気体供給路、50 変位センサ、52 軟磁性体プローブ、54 トランス巻線、56 ストッパ、57 ロッド支持部、58 隙間、60 大気開放、62,64 速度分布、72,74 メタル軸受、78 ベロフラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ筐体内部を前後気体室に仕切る気体受板部を有し、端部がシリンダ筐体より突き出るロッドであって、前後気体室に供給される気体圧により駆動されて軸方向に移動するピストンロッドと、
ピストンロッドを軸方向移動自在に支持するシリンダ筐体のロッド支持部に開口が設けられる気体供給路であって、ロッド支持部の内径とピストンロッドとの間に気体を供給し、シリンダ筐体に対し径方向にピストンロッドを浮上させて支持する気体供給路と、
ロッド支持部の気体供給路よりさらにシリンダ筐体内部側の位置に設けられ、シリンダ筐体内部の気体室からロッド支持部の内径とピストンロッドとの隙間を通って漏れてくる気体及び気体供給路からの気体を排気する排気溝と、
を備え、
排気溝は、
ロッド支持部の内径とピストンロッドとの隙間をdとし、
隙間dを流れる気体流のレイノルズ数をReとし、
実験で求められる比例定数をαとして、
ロッド支持部の気体室の端部から軸方向に沿った距離がαd×Reの前駆長位置より外側の位置に配置されることを特徴とするピストン駆動機構。
【請求項2】
請求項1に記載のピストン駆動機構において、
気体供給路は、ロッド支持部の内径に設けられる浅溝の表面絞りとピストンロッドとの間に気体を供給することを特徴とするピストン駆動機構。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のピストン駆動機構において、
気体受板部は、ピストンロッドのフランジ部と、シリンダ筐体とフランジ部との間を柔軟性を有して気密に接続するベロフラムとを含んで構成されることを特徴とするピストン駆動機構。
【請求項4】
シリンダ筐体内部を前後気体室に仕切る気体受板部を有し、端部がシリンダ筐体より突き出るピストンロッドと、
気体受板部の外周及びシリンダ筐体の内壁とで形成される受板摺動部に開口が設けられる気体排気路と、
受板摺動部に設けられ、気体排気路に向かう浅溝の表面絞りであって、シリンダ筐体内部の気体室から浅溝を通り気体排気路に向かって気体を絞って流すことで、シリンダ筐体内壁に対し気体受板部を浮上させて支持する受板部浮上用の表面絞りと、
ピストンロッドを軸方向移動自在に支持するシリンダ筐体のロッド支持部に設けられる浅溝の表面絞りであって、シリンダ筐体内部の気体室から浅溝を通りロッド支持部の外気側端部に向かって気体を絞って流すことで、シリンダ筐体内壁に対しピストンロッドを浮上させて支持するロッド浮上用の表面絞りと、
を備えることを特徴とするピストン駆動機構。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の中のいずれか1の請求項に記載のピストン駆動機構において、
シリンダ筐体に取り付けられ、ピストンロッドの径方向の変位を規制するメタル軸受又は複合材軸受を備えることを特徴とするピストン駆動機構。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−132566(P2006−132566A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−319029(P2004−319029)
【出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(503094070)ピー・エス・シー株式会社 (36)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】