説明

ピッキング作業支援システムおよびピッキング作業支援方法

【課題】簡単に利用でき、かつピッキング作業を効率的に行うことができるピッキング作業支援システムおよびピッキング作業支援方法を提供する。
【解決手段】メガネ型ディスプレイ装置10は、ピッキング対象の商品または部品を陳列する棚の商品または部品を収納しているスペース毎に貼付されている人体通信タグ22から、該スペースに収納されている商品または部品を識別する情報である棚貼付識別子を受信する人体通信手段13を含み、サーバ装置30が備える作業指示手段32が、メガネ型ディスプレイ装置10から棚貼付識別子を受信すると、受信した棚貼付識別子に対して作業指示に応じた正誤判定を行い、作業者を正しい位置まで移動させるための情報であって受信した棚貼付識別子を記憶している人体通信タグが貼付されている場所を基点に正しい位置を相対的に示す情報を含む作業指示を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、倉庫内等において商品や部品を取る作業を支援するためのピッキング作業支援システムおよびピッキング作業支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
倉庫などで物流に従事する作業者などに、倉庫内にある商品や部品を取る作業(以下、ピッキング作業という。)の支援を行うピッキング作業支援システムがある。
【0003】
このようなピッキング作業支援システムの一例が、特許文献1に記載されている。
【0004】
特許文献1に記載されているピッキング支援システムは、商品棚に、商品を一意に識別するための商品コードを記憶すると共に商品コードを人体通信により送信するタッチタグを貼付し、作業者が記憶媒体に近接したときにタッチタグから送信された商品コードを人体通信により受信し、受信した商品コードと、ハンディ・ターミナルが記憶しているピッキング用伝票から読み取った商品コードとが一致するか否かを照合し、照合結果に応じた所定の音声出力をすることによって作業の誤りを防止している。
【0005】
例えば、特許文献1に記載されているシステムでは、ハンディ・ターミナルの表示部に商品の収納先の棚番号やその位置を表示したり、ピッキングした商品コードが一致しない場合にはその旨音声出力することによって誤りを認識させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−6595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載されているシステムでは、例えば、間違った商品コードが読み出されたときに作業者に誤りを認識させることはできるが、その後どうすればよいかがわからないという問題があった。
【0008】
仮に、ここで再度正しい位置として、棚番号やその絶対位置を指示しても、倉庫内の棚の位置関係をよく知らない作業者の場合には、一度戻って棚の配置を確認したり、遠回りなルートを選んでしまうなどして、余分な時間がかかるという問題にもなる。
【0009】
また、物流業界では日雇い作業者が多く、できるだけ簡易に利用できるシステムおよび教育手法が求められている。
【0010】
そこで、本発明は、簡単に利用でき、かつピッキング作業を効率的に行うことができるピッキング作業支援システムおよびピッキング作業支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によるピッキング作業支援システムは、使用者がレンズを通して画像を観察するための表示手段を備えためがね型ディスプレイ装置と、ピッキング対象の商品または部品を陳列する棚の商品または部品を収納しているスペース毎に貼付され、当該スペースに収納されている商品または部品を識別する情報である棚貼付識別子を記憶するとともに作業者が近接した時に記憶している棚貼付識別子を人体通信によってめがね型ディスプレイ装置に送信する人体通信タグと、商品または部品に関する情報を管理するサーバ装置とを備え、めがね型ディスプレイ装置は、人体通信タグから棚貼付識別子を受信する人体通信手段と、人体通信手段によって受信した棚貼付識別子をサーバ装置に送信する通信手段とを含み、サーバ装置は、各商品または各部品が収容されているスペースの位置を示す情報を記憶する位置情報記憶手段と、ピッキングに関する作業指示であって少なくともピッキング対象の商品または部品を収納しているスペースの位置を示す情報を含む作業指示をめがね型ディスプレイ装置に送信して表示手段に表示させる作業指示手段とを含み、作業指示手段は、めがね型ディスプレイ装置から棚貼付識別子を受信すると、受信した棚貼付識別子に対して作業指示に応じた正誤判定を行い、作業者を正しい位置まで移動させるための情報であって受信した棚貼付識別子を記憶している人体通信タグが貼付されている場所を基点に正しい位置を相対的に示す情報を含む作業指示を送信することを特徴とする。
【0012】
本発明によるピッキング作業支援方法は、使用者がレンズを通して画像を観察するための表示手段を備えためがね型ディスプレイ装置と、ピッキング対象の商品または部品を陳列する棚の商品または部品を収納しているスペース毎に貼付され、当該スペースに収納されている商品または部品を識別する情報である棚貼付識別子を記憶するとともに作業者が近接した時に記憶している棚貼付識別子を人体通信によってめがね型ディスプレイ装置に送信する人体通信タグと、商品または部品に関する情報を管理するサーバ装置とを備えたピッキング作業支援システムに適用されるピッキング作業支援方法であって、サーバ装置が、ピッキングに関する作業指示であって少なくともピッキング対象の商品または部品を収納しているスペースの位置を示す情報を含む作業指示をめがね型ディスプレイ装置に送信して表示手段に表示させ、めがね型ディスプレイ装置が、作業者の移動に伴い人体通信タグから棚貼付識別子を受信すると、受信した商品または部品に関する情報を管理するサーバ装置に送信し、サーバ装置が、めがね型ディスプレイ装置から棚貼付識別子を受信すると、受信した棚貼付識別子に対して作業指示に応じた正誤判定を行い、作業者を正しい位置まで移動させるための情報であって受信した棚貼付識別子を記憶している人体通信タグが貼付されている場所を基点に正しい位置を相対的に示す情報を含む作業指示を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単に利用でき、かつピッキング作業を効率的に行うことができるピッキング作業支援システム、ピッキング作業支援方法およびピッキング作業支援プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のピッキング作業支援システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】ロケーションDB830に記憶される情報の例を示す説明図である。
【図3】ロケーションDB830に記憶される情報の例を示す説明図である。
【図4】ピッキング作業支援システムを使用して部品を収集する際の収集作業の動作例を示すシーケンス図である。
【図5】正誤判定・相対指示エンジン850の動作の一例を示すフローチャートである
【図6】めがね型ディスプレイ500の表示例を示す説明図である。
【図7】本発明の概要を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明のピッキング作業支援システムの構成例を示すブロック図である。図1に示すピッキング作業支援システムは、めがね型ディスプレイ500と、人体通信モジュールリーダ600と、人体通信モジュールタグ720と、物流サーバ800とを備える。
【0016】
人体通信モジュールタグ720は、図示省略しているが、当該ボックスの位置を識別するための棚IDを記憶する記憶装置と、記憶している棚IDを人体通信で送信する人体通信モジュールとを備え、人の指などが近づくと記憶装置に記憶されている棚IDを送信する。本実施形態では、人体通信モジュールタグ720は、棚700に収納されているボックス710にそれぞれ取り付けられているものとする。
【0017】
めがね型ディスプレイ500は、図示省略しているが、使用者がレンズを通して画像を観察するための表示装置と、プログラムに従って動作する制御装置と、物流サーバ800との間の通信を行うための通信装置とを備えている。本実施形態では、図1に示すように、さらに人体通信モジュールリーダ600が組み込まれているものとする。
【0018】
人体通信モジュールリーダ600は、人体を媒体として人体通信を行うモジュールであり、人の指などが人体通信モジュールタグ720に近づくことによって人体通信モジュールタグ720との間で人体通信を行い、人体通信モジュールタグ720に記憶されている棚IDを受信する。
【0019】
めがね型ディスプレイ500の制御装置は、通信装置を介して物流サーバ800に作業開始等を示す制御メッセージを送信したり、作業指示を受信し、受信した作業指示を表示装置に表示させたり、人体通信モジュール600が受信した棚IDを物流サーバ800に送信するなどピッキング支援端末としての一連の動作を制御する。
【0020】
制御装置は、例えば、OS(オペレーティングシステム)を実装し、OS領域で駆動するブラウザなどの技術を利用して、物流サーバ800と情報のやりとりを行ってもよい。
【0021】
物流サーバ800は、共通ミドルウェア810と、作業指示データベース820と、ロケーションデータベース830と、物流システム840と、正誤判定・相対指示エンジン850とを含む。
【0022】
共通ミドルウェア810は、物流サーバ800が備える各ユニット(作業指示データベース820、ロケーションデータベース830、物流システム840、正誤判定・相対指示エンジン850等)が共通で利用するミドルウェア群であって、各ユニット間および各ユニットとめがね型ディスプレイ装置500間で必要な通信を実現させる。例えば、IIS(Internet Information Server )やDNS(Domain name system)などの機能を実装している。
【0023】
物流システム840は、物流センタにおける一連の業務を効率化するための総合管理を行う。一般に、WMS(warehouse management system )とも呼ばれ、入出庫管理や在庫管理、労務管理、作業工程管理機能等を提供し、入荷、検品、ピッキング、梱包、出荷の各作業に必要な情報を一元的に管理する。
【0024】
物流システム840では、例えば、納品書やピッキングリストなどに記載されている単位で識別ID(作業ID)を割り振り、割り振ったIDに紐付けて納品すべきまたはピックアップすべき部品や商品の情報を記憶している。
【0025】
ロケーションデータベース(ロケーションDB)830は、部品または商品を収納している各ボックスの位置を示す情報を記憶するデータベースである。図2および図3は、ロケーションDB830に記憶される情報の例を示す説明図である。図2に示す例では、倉庫内における各ボックスの位置関係がわかるように、各ボックスの位置を、倉庫内における棚の設置位置を識別するための情報と、設置された棚内におけるボックスの位置(何列目の何段目か)とにより表している。なお、図2に示す例では、倉庫内における当該棚の位置情報としてロケーションID(数字+アルファベットA〜Z)を用い、かつ棚内におけるボックスの位置を列数と段数とによって表現している。例えば、1A−08−03という棚IDは、1Aに位置する棚の8列目かつ3段目のスペース(図2における黒塗りの箇所)を示している。
【0026】
棚内におけるボックスの位置を示す情報として、例えば、棚の左下を(0,0)とする座標系の座標値を用いてもよい。また、倉庫内における棚の設置位置を示す情報として、図3に示すような、通路や柱などの目印の情報を含むフロア情報(地図情報)を用いてもよい。
【0027】
作業指示データベース(作業指示DB)820は、作業者にピックアップ作業を指示するための情報を記憶する。例えば、ピックアップが必要な商品について、その商品の位置を示すロケーションIDと、商品IDと、棚IDとを記憶してもよい。また、作業ID毎の作業期限や、作業者毎の作業履歴を記憶してもよい。
【0028】
正誤判定・相対指示エンジン850は、めがね型ディスプレイ500から、ユーザがボックスに手を近づけたことにより人体通信により人体通信モジュールタグ720から受信した棚IDを受け取ると、そのユーザが取ろうとしている商品が正しいか否かを判定する。また、間違っていると判定した場合、正しい商品の位置を、現在の間違った位置を基準として相対的に指示する。例えば、現在の位置から見た正しい商品の相対位置を算出し、その情報とそこまでの移動方法とを含む相対指示を作成してもよい。また、例えば、相対位置として、現在の位置から見える人や物(エレベータや窓等)、過去に行ったことのある作業位置を目印にし、そこからの正しい商品の相対位置を算出してもよい。
【0029】
正誤判定・相対指示エンジン850は、正しい位置を、倉庫内における絶対位置ではなく、作業者の現在の位置や過去の作業内容に基づき作業者が直感的にわかるもの(作業者から見た方向や、大きな目印、目に見える目印、過去の作業位置等)を使って示すことにより、作業者に作業指示を行う。
【0030】
以下、本実施形態の動作について説明する。図4は、本実施形態のピッキング作業支援システムを使用して部品を収集する際の収集作業の動作例を示すシーケンス図である。
【0031】
まず、ユーザは、人体通信モジュール600を組み込んだめがね型ディスプレイ端末500を装着する(S101)。めがね型ディスプレイ端末500の制御装置は、例えば、付属のキー入力などによってユーザが作業開始の操作をすると、物流サーバ800に作業開始を示す制御メッセージを送信する(S102)。このとき、作業者を識別するための作業者IDを併せて送信する。
【0032】
物流サーバ800の物流システム840は、作業開始のメッセージを受信すると、送信元である作業者に従事させる作業IDを決定し、その作業IDによって示される作業内容(例えば、ピッキングが必要な商品ID)を元に、作業指示DB820から情報を取得し、作業指示を作成してめがね型ディスプレイ端末500に送信する(S103)。
【0033】
めがね型ディスプレイ端末500の制御装置は、作業指示を受け取るとその内容をレンズと一体の表示装置に表示する。このとき、音声出力も併せて行うようにしてもよい。ユーザは、めがね型ディスプレイに表示された作業指示に従い、目的の棚700に移動する(S104)。
【0034】
ここで、ユーザは、あるボックス710に手を伸ばして部品を取ろうとする(S105)。すると、そのボックス710に取り付けられている人体通信モジュールタグ720から棚ID(例えば1A−08−03)が人体通信モジュールリーダ600に送信される(S106)。
【0035】
めがね型ディスプレイ500の制御装置は、人体通信モジュールリーダ600が通信モジュールタグ720から伝達された棚IDを受け取ると、物流サーバ800の正誤判定・相対指示エンジン850に送信する(S107)。このとき、作業IDまたは作業者IDを併せて送信する。
【0036】
正誤判定・相対指示エンジン850は、棚IDを受け取ると、作業IDまたは作業者IDから正しい棚ID(送信元ユーザが現在従事している作業において目的とされたボックスの棚ID)を取得し、正しい棚IDとめがね型ディスプレイ500から受けとった棚IDとを照合し、ユーザが取ろうとした商品が正しい商品であるかを判定する。
【0037】
正誤判定・相対指示エンジン850は、正誤判定の結果、ユーザが取ろうとした商品が正しい商品でないと判定した場合、作業者に正しい位置を知らせる相対指示を作成し、正誤判定結果とともに返信する(S108)。
【0038】
めがね型ディスプレイ500の制御装置は、正誤判定結果を受信すると、その内容を表示装置に表示させる。また、併せて相対指示を受信した場合には、併せて相対指示の内容を表示装置に表示させる。
【0039】
次に、正誤判定・相対指示エンジン850の動作をより具体的に説明する。図5は、正誤判定・相対指示エンジン850の動作の一例を示すフローチャートである。図5では、図4のS107において棚IDとともに作業IDを受信した場合の例を示している。
【0040】
図5に示すように、正誤判定・相対指示エンジン850は、ユーザがボックス710に手を近づけたことによって取得された棚IDと作業IDとを取得すると、作業IDを元に作業指示DB820を参照し、正しい棚IDを取得し、取得した棚IDと正しい棚IDが同じ値か否かを判定する(S201)。
【0041】
同じ値である場合(S201のYes)、正誤判定・相対指示エンジン850は、取得された棚IDが正しいと判定し、その旨とともに次の作業フェーズがあればその指示内容(例えば、取得個数)を送信し、めがね型ディスプレイ500に表示させる(S202)。
【0042】
一方、異なる値の場合(S201のNo)、正誤判定・相対指示エンジン850は、取得された棚IDが間違っていると判定し、その旨とともにユーザが現在いる位置から正しい棚までの相対的な位置を計算し(S204)、計算した相対的な位置を示す情報を次の指示内容として送信し、めがね型ディスプレイ500に表示させる(S203)。
【0043】
図6は、正誤判定の結果、取得された棚IDが間違っていると判定した場合のめがね型ディスプレイ500の表示例を示す説明図である。図6に示す例では、正しい棚IDが1A−08−03である場合に、取得された棚IDが1A−08−04であった場合の表示例である。正誤判定・相対指示エンジン850は、正誤判定の結果間違っていると判定した場合には、ユーザを正しいボックスの位置に移動させるために、正しいボックスの位置を取得された棚IDが示すボックスの位置からの相対的な位置として求め、次の操作指示として送信する。本例では、棚IDのデータ形式から、一つ上の棚のボックスを取ろうとしたことがわかるので、正誤判定・相対指示エンジン850は、正しい棚の位置として、「そこから1つ下の棚です。」と表示させている。
【0044】
なお、例えば、取得された棚IDが2A−08−03であった場合には、ロケーションIDに相当する”2A”の部分が異なっていることが計算により検知され、それぞれのロケーションIDを元に、フロア情報からそれぞれの位置を求め、それらの位置関係を求めればよい。本例の場合、「一つ奥の棚です」という相対的な位置を導出することができる。
【0045】
相対的な位置の指示方法としては、この他にも、お互いの位置関係によっては、「となりのビル」「下の階」「上の階」というように、大まかに指示した後で、徐々に細かな位置を指示するようにしてもよい。また、フロア情報に含まれる特徴的な場所、他の人の作業状況から検出できる他の人の位置を目印にしてもよい。例えば、「エレベータを下りて左手のエリアです」と指示することもできる。「エレベータ」以外にも、「窓際」「入り口付近」「Aさんがいるエリア」などのキーワードが考えられる。また、作業履歴を元に「昨日16時に作業したときのエリアです」と指示してもよい。
【0046】
以上のように、本実施形態によれば、作業者への指示内容として、正しい位置を、倉庫内における絶対位置ではなく、作業者の現在の位置または過去の作業内容から作業者が直感的にわかるものを使って指示するため、作業に不慣れな作業者であっても細かいねじや類似製品などを間違えず収集することができる。また、本来集めるべき商品と違う商品を取ろうとした際にも警告を表示し収集ミスを防止するだけでなく、すみやかに正しい位置に移動させることができる。
【0047】
このような相対指示が行えるのは、めがね型ディスプレイが作業者と同じ方向を見ており、かつ作業者が目線を別の物に移さなくても作業指示を確認できるというめがね型ディスプレイの特性を利用しているからである。
【0048】
また、人体通信を用いることで、作業者にバーコードリーダのような別の器具を持たせる必要がないので、より簡易に利用できる。
【0049】
次に、本発明の概要について説明する。図7は、本発明の概要を示すブロック図である。図7に示すピッキング作業支援システムは、使用者がレンズを通して画像を観察するための表示手段11を備えるめがね型ディスプレイ装置10と、ピッキング対象の商品または部品を陳列する棚の商品または部品を収納しているスペース毎に貼付される人体通信タグ22と、商品または部品に関する情報を管理する物流サーバ30とを備える。
【0050】
人体通信タグ22(例えば、人体通信モジュールタグ720)は、貼付先のスペースに収納されている商品または部品を識別する情報である棚貼付識別子を記憶するとともに作業者が近接した時に記憶している棚貼付識別子を人体通信によってめがね型ディスプレイ装置に送信する。
【0051】
また、めがね型ディスプレイ装置10は、さらに人体通信手段13と、通信手段12とを含む。人体通信手段13(例えば、人体通信モジュールリーダ600)は、作業者が近接した人体通信タグ22から棚貼付識別子を人体通信によって受信する。通信手段12(例えば、めがね型ディスプレイ500が備える通信装置)は、人体通信手段13によって受信した棚貼付識別子を物流サーバ30に送信する。
【0052】
また、物流サーバ30は、位置情報記憶手段31と、作業指示手段32とを含む。位置情報記憶手段31(例えば、ロケーションDB830)は、各商品または各部品が収容されているスペースの位置を示す情報を記憶する。作業指示手段32(例えば、物流システム840および正誤判定・相対指示エンジン850)は、ピッキングに関する作業指示であって少なくともピッキング対象の商品または部品を収納しているスペースの位置を示す情報を含む作業指示をめがね型ディスプレイ装置10に送信して表示手段11に表示させる。
【0053】
また、作業指示手段32は、めがね型ディスプレイ装置10から棚貼付識別子を受信すると、受信した棚貼付識別子に対して作業指示に応じた正誤判定を行い、作業者を正しい位置まで移動させるための情報であって受信した棚貼付識別子を記憶している人体通信タグが貼付されている場所を基点に正しい位置を相対的に示す情報を含む作業指示を送信する。
【0054】
なお、上記実施形態では、最初の作業指示を物流システム840が行い、正誤判定以降の処理を正誤判定・相対指示エンジン850が行う例を示したが、本例のように1つの手段が行うようにしてもよい。
【0055】
また、作業指示手段32は、基点にした場所から見た正しい位置までの位置関係を示す情報を含む作業指示を送信してもよい。
【0056】
また、位置情報記憶手段31は、各商品または各部品が収容されているスペースの位置を、倉庫内の特徴的な目印の情報を含む地図情報として記憶し、作業指示手段32は、基点にした場所から見える目印を示すとともにその目印から正しい位置までの位置関係を示す情報を含む作業指示を送信してもよい。
【0057】
また、物流サーバ30は、作業者別に作業内容の履歴を記憶する作業履歴記憶手段を備えるようにし、作業指示手段32は、過去にピッキング作業を行ったスペースの場所を基点に正しい位置を相対的に示す情報を含む作業指示を送信してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
倉庫内等において商品や部品の位置を簡単かつ効果的に伝えることを所望するシステムに好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
10 めがね型ディスプレイ装置
11 表示手段
12 通信手段
13 人体通信手段
20 棚
21 商品または部品毎のスペース
22 人体通信タグ
30 サーバ装置
31 位置情報記憶手段
32 作業指示手段
500 めがね型ディスプレイ装置
600 人体通信モジュール(リーダ)
700 棚
710 ボックス
720 人体通信モジュール(タグ)
800 物流サーバ
810 共通ミドルウェア
820 作業指示データベース
830 ロケーションデータベース
840 物流システム
850 正誤判定・相対指示エンジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者がレンズを通して画像を観察するための表示手段を備えためがね型ディスプレイ装置と、
ピッキング対象の商品または部品を陳列する棚の前記商品または部品を収納しているスペース毎に貼付され、当該スペースに収納されている前記商品または部品を識別する情報である棚貼付識別子を記憶するとともに作業者が近接した時に記憶している前記棚貼付識別子を人体通信によって前記めがね型ディスプレイ装置に送信する人体通信タグと、
前記商品または部品に関する情報を管理するサーバ装置とを備え、
前記めがね型ディスプレイ装置は、
前記人体通信タグから棚貼付識別子を受信する人体通信手段と、
前記人体通信手段によって受信した棚貼付識別子を前記サーバ装置に送信する通信手段とを含み、
前記サーバ装置は、
各商品または各部品が収容されているスペースの位置を示す情報を記憶する位置情報記憶手段と、
ピッキングに関する作業指示であって少なくともピッキング対象の商品または部品を収納しているスペースの位置を示す情報を含む作業指示を前記めがね型ディスプレイ装置に送信して表示手段に表示させる作業指示手段とを含み、
前記作業指示手段は、めがね型ディスプレイ装置から棚貼付識別子を受信すると、受信した前記棚貼付識別子に対して作業指示に応じた正誤判定を行い、作業者を正しい位置まで移動させるための情報であって受信した前記棚貼付識別子を記憶している人体通信タグが貼付されている場所を基点に正しい位置を相対的に示す情報を含む作業指示を送信する
ことを特徴とするピッキング作業支援システム。
【請求項2】
作業指示手段は、基点にした場所から見た正しい位置までの位置関係を示す情報を含む作業指示を送信する
請求項1に記載のピッキング作業支援システム。
【請求項3】
位置情報記憶手段は、各商品または各部品が収容されているスペースの位置を、倉庫内の特徴的な目印の情報を含む地図情報として記憶し、
作業指示手段は、基点にした場所から見える目印を示すとともにその目印から正しい位置までの位置関係を示す情報を含む作業指示を送信する
請求項1または請求項2に記載のピッキング作業支援システム。
【請求項4】
サーバ装置は、
作業者別に作業内容の履歴を記憶する作業履歴記憶手段を備え、
作業指示手段は、過去にピッキング作業を行ったスペースの場所を基点に正しい位置を相対的に示す情報を含む作業指示を送信する
請求項1から請求項3までのうちいずれか1項に記載のピッキング作業支援システム。
【請求項5】
使用者がレンズを通して画像を観察するための表示手段を備えためがね型ディスプレイ装置と、ピッキング対象の商品または部品を陳列する棚の前記商品または部品を収納しているスペース毎に貼付され、当該スペースに収納されている前記商品または部品を識別する情報である棚貼付識別子を記憶するとともに作業者が近接した時に記憶している前記棚貼付識別子を人体通信によって前記めがね型ディスプレイ装置に送信する人体通信タグと、前記商品または部品に関する情報を管理するサーバ装置とを備えたピッキング作業支援システムに適用されるピッキング作業支援方法であって、
前記サーバ装置が、ピッキングに関する作業指示であって少なくともピッキング対象の商品または部品を収納しているスペースの位置を示す情報を含む作業指示を前記めがね型ディスプレイ装置に送信して表示手段に表示させ、
前記めがね型ディスプレイ装置が、作業者の移動に伴い前記人体通信タグから棚貼付識別子を受信すると、受信した前記商品または部品に関する情報を管理するサーバ装置に送信し、
前記サーバ装置が、めがね型ディスプレイ装置から棚貼付識別子を受信すると、受信した前記棚貼付識別子に対して作業指示に応じた正誤判定を行い、作業者を正しい位置まで移動させるための情報であって受信した前記棚貼付識別子を記憶している人体通信タグが貼付されている場所を基点に正しい位置を相対的に示す情報を含む作業指示を送信する
ことを特徴とするピッキング作業支援方法。
【請求項6】
サーバ装置が、基点にした場所から見た正しい位置までの位置を示す情報を含む作業指示を送信する
請求項5に記載のピッキング作業支援方法。
【請求項7】
サーバ装置が、各商品または各部品が収容されているスペースの位置と、倉庫内の特徴的な目印の情報とを含む地図情報に基づき、基点にした場所から見える目印を示すとともにその目印から正しい位置までの位置関係を示す情報を含む作業指示を送信する
請求項5または請求項6に記載のピッキング作業支援方法。
【請求項8】
サーバ装置が、作業者別に記憶されている作業内容の履歴に基づき、過去にピッキング作業を行ったスペースの場所を基点に正しい位置を相対的に示す情報を含む作業指示を送信する
請求項5から請求項7までのうちいずれか1項に記載のピッキング作業支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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