ピックル液インジェクタ
【課題】ピックル液を原料肉に注入するピックル液インジェクタにおいて、従来のニードルを使用する必要がなく、折れたニードルの問題が生じないようにする。
【解決手段】外筒体１および内筒体２が二重筒状に配置され、外筒体１と内筒体２間に環状空隙が形成される。さらに、原料肉７が内筒体２に詰め込まれ、ピックル液が環状空隙に送られる。さらに、多数の噴出孔が内筒体２に形成され、ピックル液が各噴出孔から噴出し、原料肉７に注入される。
【解決手段】外筒体１および内筒体２が二重筒状に配置され、外筒体１と内筒体２間に環状空隙が形成される。さらに、原料肉７が内筒体２に詰め込まれ、ピックル液が環状空隙に送られる。さらに、多数の噴出孔が内筒体２に形成され、ピックル液が各噴出孔から噴出し、原料肉７に注入される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、ピックル液を原料肉に注入するピックル液インジェクタに関する。
【背景技術】
【０００２】
ハムなどの食肉加工製品の加工工程において、ピックル液を原料肉に注入するとき、ピックル液インジェクタと呼ばれるものが一般に使用されている。特許文献１に記載されているように、ピックル液インジェクタでは、送りコンベヤの上方において、多数のニードルが注入ヘッドに取り付けられ、送りコンベヤによって原料肉が送られる。さらに、ピックル液が注入ヘッドに送られ、各ニードルに供給され、駆動機構によって注入ヘッドが下降し、各ニードルが原料肉に突き刺さり、ピックル液が原料肉に注入される。
【０００３】
この場合、各ニードルが原料肉に突き刺さったとき、いずれかのニードルが不慮に折れることがある。折れると、そのニードルが原料肉に混入するおそれがあり、この問題は深刻である。
【０００４】
したがって、この発明は、ピックル液を原料肉に注入するピックル液インジェクタにおいて、従来のニードルを使用する必要がなく、折れたニードルの問題が生じないようにすることを目的としてなされたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開平６−２０９６９３号公報
【発明の概要】
【０００６】
この発明によれば、外筒体および内筒体が二重筒状に配置され、外筒体と内筒体間に環状空隙が形成される。さらに、原料肉詰め込み機構およびポンプがそれと組み合わされ、原料肉が内筒体に詰め込まれ、ピックル液が環状空隙に送られる。さらに、多数の噴出孔が内筒体に形成され、ピックル液が各噴出孔から噴出し、原料肉に注入される。
【０００７】
好ましい実施例では、内筒体の一端において、原料肉詰め込み機構によって原料肉が押され、原料肉が内筒体に詰め込まれる。
【０００８】
さらに、連通孔が外筒体に形成され、ポンプが連通孔に接続される。
【０００９】
他の実施例では、ポンプはシリンダとピストンからなる。そして、内筒体の他端において、シリンダが環状空隙に連通し、ピストンがシリンダに収容され、シリンダに沿って移動する。
【００１０】
さらに、ピックル液の注入後、内筒体の他端において、原料肉排出機構によって原料肉が押され、内筒体の一端において、原料肉が内筒体から排出される。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】この発明の実施例を示す斜視図である。
【図２】図１の外筒体および内筒体の断面図である。
【図３】Ａは他の実施例を示す断面図、ＢはＡの原料肉が排出された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１２】
以下、この発明の実施例を説明する。
【００１３】
図１はこの発明にかかるピックル液インジェクタを示す。このインジェクタでは、図２に示すように、外筒体１および内筒体２が二重筒状に配置され、外筒体１と内筒体２間に環状空隙３が形成される。外筒体１および内筒体２は円筒状のもので、水平方向にのび、同心に配置されている。したがって、その周方向において、環状空隙３は均一の大きさをもつ。さらに、外筒体１および内筒体２の一端および他端において、環状端板４によって外筒体１と内筒体２が連結され、固定され、環状空隙３が閉じられ、外筒体１の外面において、外筒体１がポストなどの支持体に取り付けられ、支持されている。
【００１４】
さらに、このインジェクタは原料肉詰め込み機構を有する。さらに、内筒体２の一端において、送りコンベヤ５と内筒体２間に収容部材６が設けられており、送りコンベヤ５によって原料肉７が送られる。送りコンベヤ５は水平方向にのび、外筒体１および内筒体２に垂直の方向にのびる。さらに、送りコンベヤ５は複数の仕切り板８を有し、間欠的に駆動され、原料肉７は仕切り板８に係合し、一定量ずつ送られる。収容部材６はＵ字状断面のもので、上方に開口し、ガイド板９を有し、送りコンベヤ５の幅方向にのび、ガイド板９は送りコンベヤ５に向かってのびる。したがって、原料肉７が一定量送られる毎に、それがガイド板９を通り、収容部材６に収容される。
【００１５】
原料肉詰め込み機構はプッシャ１０からなり、プッシャ１０はディスク状のもので、収容部材６に対応する大きさである。さらに、収容部材６の長さ方向一方側にシリンダ１１が配置され、他方側に外筒体１および内筒体２が配置され、プッシャ１０がシリンダ１１に連結されており、収容部材６は内筒体２よりもわずかに高い位置に配置されている。シリンダ１１は収容部材６の長さ方向にのびる。さらに、シュート１２が収容部材６に設けられ、取り付けられており、後述するように、内筒体２の一端において、プッシャ１０によって原料肉７が押され、原料肉７が内筒体２に詰め込まれる。
【００１６】
このインジェクタはポンプ１３を有し、ポンプ１３はピックル液を送るためのもので、シリンダとピストンからなり、ピストンはシリンダに収容され、駆動機構１４に連結されている。駆動機構１４はモータまたはシリンダからなる。さらに、連通孔１５が外筒体１に形成され、ポンプ１３が連通孔１５に接続されている。たとえば、２つの連通孔１５が外筒体１に形成され、パイプまたはホース１６およびチェックバルブ１７によってポンプ１３と各孔１５が接続される。さらに、パイプまたはホース１８およびチェックバルブ１９によってタンク２０とポンプ１３が接続され、タンク２０にピックル液が収容されており、後述するように、ピックル液が環状空隙３に送られる。
【００１７】
さらに、多数の噴出孔２１が内筒体２に形成されており、ピックル液が各噴出孔２１から噴出し、原料肉７に注入される。噴出孔２１は一定の大きさのものである。そして、内筒体２の長さ方向および周方向において、各噴出孔２１が一定の間隔を置いて形成されている。
【００１８】
さらに、内筒体２の一端において、プッシャ１０によって原料肉７が押され、原料肉７が内筒体２に詰め込まれるが、この実施例では、内筒体２の一端にシャッタ２２が設けられている。シャッタ２２は内筒体２を閉じるためのもので、プレート状であり、外筒体１よりも上方に配置され、シリンダ２３に連結されている。そして、後述するように、原料肉７の詰め込み後、シャッタ２２によって内筒体２が閉じられ、ピックル液が原料肉７に注入される。
【００１９】
さらに、このインジェクタは原料肉排出機構を有する。原料肉排出機構はプッシャ２４からなり、プッシャ２４はディスク状のもので、内筒体２に対応する大きさである。そして、内筒体２の他端において、プッシャ２４がシリンダ２５に連結されている。シリンダ２５は内筒体２の長さ方向にのびる。そして、後述するように、ピックル液の注入後、内筒体２の他端において、プッシャ２４によって原料肉７が押され、内筒体１の一端において、原料肉７が内筒体２から排出される。
【００２０】
さらに、内筒体２の他端にシャッタ２６が設けられ、シャッタ２６は内筒体２を閉じるためのもので、プレート状であり、外筒体１よりも上方に配置され、シリンダ２７に連結されている。
【００２１】
さらに、内筒体２の一端において、内筒体２と送りコンベヤ２８間にシュート２９が設けられており、シュート２９は環状端板４に固定されている。送りコンベヤ２８は水平方向にのび、外筒体１および内筒体２に垂直の方向にのびる。さらに、送りコンベヤ２８は複数の仕切り板３０を有し、外筒体１および内筒体２よりもわずかに低い位置に配置されている。
【００２２】
このインジェクタにおいて、ピックル液が原料肉７に注入されるとき、まず、内筒体２の他端において、シリンダ２７によってシャッタ２６が移動し、下降し、シャッタ２６によって内筒体２が閉じられる。そして、送りコンベヤ５によって原料肉７が送られ、原料肉７が収容部材６に収容され、その後、シリンダ１１によってプッシャ１０が駆動され、プッシャ１０が収容部材６に沿って移動し、プッシャ１０によって原料肉７が押される。プッシャ１０は一定のストロークをもって移動し、そのストロークは収容部材６の長さに対応する。したがって、内筒体２の一端において、プッシャ１０によって原料肉７が押され、原料肉７がシュート１２を通り、内筒体２に導入され、詰め込まれる。さらに、原料肉７が一定量ずつ送られ、収容部材６に収容されるが、その量はあらかじめ設定されており、内筒体１の容量に対応する。したがって、内筒体１に詰め込まれたとき、内筒体２は原料肉７で充填される。さらに、詰め込み後、シリンダ１１によってプッシャ１０が駆動され、プッシャ１０は逆方向に移動し、もとの位置に復帰する。
【００２３】
さらに、詰め込み後、内筒体２の一端において、シリンダ２３によってシャッタ２２が移動し、下降し、シャッタ２２によって内筒体２が閉じられる。その後、駆動機構１４によってポンプ１３が駆動され、ピックル液がパイプまたはホース１８およびチェックバルブ１９を通り、ポンプ１３に吸入され、パイプまたはホース１６およびチェックバルブ１７を通り、環状空隙３に送られる。したがって、ピックル液に液圧が作用し、ピックル液が各噴出孔２１から噴出し、原料肉７に注入される。そして、ピックル液の注入後、駆動機構１４およびポンプ１３が停止される。
【００２４】
さらに、ピックル液の注入後、シリンダ２３によってシャッタ２２が駆動され、シャッタ２２によって内筒体２が開かれ、シリンダ２７によってシャッタ２６が駆動され、シャッタ２６によって内筒体２が開かれる。その後、内筒体２の他端において、シリンダ２５によってプッシャ２４が駆動され、移動し、プッシャ２４が内筒体２に挿入され、プッシャ２４によって原料肉７が押され、内筒体２の一端において、原料肉７が内筒体２から排出される。さらに、排出されるとき、原料肉７がシュート２９を通り、送りコンベヤ２８に排出される。プッシャ２４は一定のストロークをもって移動し、そのストロークは内筒体２の長さに対応する。したがって、原料肉７が完全に排出される。さらに、排出後、シリンダ２５によってプッシャ２４が駆動され、プッシャ２４は逆方向に移動し、もとの位置に復帰する。
【００２５】
その後、送りコンベヤ２８が間欠的に駆動され、原料肉７は仕切り板３０に係合し、一定距離送られる。
【００２６】
さらに、シャッタ２６によって内筒体２が閉じられる。さらに、送りコンベヤ５によって原料肉７が送られ、原料肉７が収容部材６に収容され、プッシャ１０によって原料肉７が押され、原料肉７が内筒体２に詰め込まれ、同様の工程が再度繰り返される。
【００２７】
したがって、このインジェクタの場合、従来のニードルを使用しなくても、ピックル液を原料肉７に注入することができる。したがって、折れたニードルが原料肉７に混入するおそれはなく、問題はない。
【００２８】
さらに、このインジェクタの場合、原料肉７が内筒体２に詰め込まれ、その状態でピックル液が注入される。したがって、内筒体２によって原料肉７を成型し、その後、成型された状態で原料肉７を排出し、送りコンベヤ２８によってそれを送ることができる。したがって、その後、原料肉７にスライスなどの処理を施すとき、その処理は容易である。
【００２９】
なお、ピックル液の注入後、原料肉７が内筒体２から排出されるとき、シュート１２によってそれが阻害されるおそれがある。したがって、シュート１２を収容部材６から取り外し、その後、原料肉７を内筒体２から排出するようにしてもよい。シュート１２を収容部材６に対し旋回させ、内筒体２から退避させ、その後、原料肉７を内筒体２から排出するようにしてもよい。それを自動化することも可能である。
【００３０】
シャッタ２２，２６として丸ふた状のものを使用する。さらに、外筒体２の一端および他端において、外筒体１にブラケットを設け、シャッタ２２，２６をブラケットに取り付け、ブラケットのまわりに揺動させ、シャッタ２２，２６によって内筒体２を閉じるようにしてもよい。
【００３１】
図３の実施例では、内筒体２の一端において、プッシャ１０が内筒体２に挿入され、プッシャ１０によって原料肉７が押され、原料肉７が内筒体２に詰め込まれる。さらに、内筒体２の他端に端壁３１が設けられ、端壁３１によって内筒体２が閉じられ、内筒体２の周壁および端壁３１において、多数の噴出孔２１が内筒体２に形成される。
【００３２】
さらに、ピックル液が環状空隙３に送られることは図１の実施例と同様であるが、ポンプ１３はシリンダ３２とピストン３３からなる。そして、内筒体２の他端において、シリンダ３２が環状空隙３に連通し、ピストン３３がシリンダ３２に収容され、シリンダ３２に沿って移動する。シリンダ３２は外筒体１と同心で、同一径であってもよく、一体であってもよい。さらに、ポート３４がシリンダ３２に形成され、タンクに接続され、タンクにピックル液が収容される。
【００３３】
そして、図３のインジェクタでは、原料肉７の詰め込み後、ピストン３３がシリンダ３２に沿って移動し、内筒体２から後退する。したがって、ピストン３３によって環状空隙３が減圧される。その後、ピストン３３がポート３４を通過し、ピストン３３によってポート３４が開かれる。したがって、ピックル液がポート３４を通り、環状空隙３に吸入され、送られる。その後、ピストン３３が逆方向に移動し、内筒体２に向かって前進し、ポート３４に達し、ピストン３３によってポート３４が閉じられる。したがって、その後、ピストン３３の移動にともない、外筒体１内において、ピストン３３によってピックル液が圧縮され、内筒体２の周壁および端壁３１において、ピックル液が各噴出孔２１から噴出し、原料肉７に注入される。
【００３４】
さらに、図４のインジェクタでも、ピックル液の注入後、内筒体２の他端において、原料肉排出機構によって原料肉７が押され、内筒体２の一端において、原料肉７が内筒体２から排出される。たとえば、ピックル液の注入後、プッシャ１０が内筒体２から抜き取られ、ピストン３３が内筒体２から後退し、ピストン３３によってポート３４が開かれる。さらに、原料肉排出機構にコンプレッサが使用され、ポート３４がタンクから遮断され、コンプレッサに接続される。そして、コンプレッサによって圧縮空気が送られ、これがポート３４を通り、外筒体１に供給される。したがって、内筒体２の端壁３１において、圧縮空気が各噴出孔４から噴出し、圧縮空気によって原料肉７が押され、内筒体２の一端において、原料肉７が内筒体２から排出される。
【００３５】
内筒体２の一端において、ケーシング３５を内筒体２にかぶせ、原料肉７をケーシング３５に排出し、収容するようにしてもよい。
【符号の説明】
【００３６】
１ 外筒体
２ 内筒体
３ 環状空隙
１０ プッシャ
１３ ポンプ
１５ 連通孔
２１ 噴出孔
２４ プッシャ
３２ シリンダ
３３ ピストン
【技術分野】
【０００１】
この発明は、ピックル液を原料肉に注入するピックル液インジェクタに関する。
【背景技術】
【０００２】
ハムなどの食肉加工製品の加工工程において、ピックル液を原料肉に注入するとき、ピックル液インジェクタと呼ばれるものが一般に使用されている。特許文献１に記載されているように、ピックル液インジェクタでは、送りコンベヤの上方において、多数のニードルが注入ヘッドに取り付けられ、送りコンベヤによって原料肉が送られる。さらに、ピックル液が注入ヘッドに送られ、各ニードルに供給され、駆動機構によって注入ヘッドが下降し、各ニードルが原料肉に突き刺さり、ピックル液が原料肉に注入される。
【０００３】
この場合、各ニードルが原料肉に突き刺さったとき、いずれかのニードルが不慮に折れることがある。折れると、そのニードルが原料肉に混入するおそれがあり、この問題は深刻である。
【０００４】
したがって、この発明は、ピックル液を原料肉に注入するピックル液インジェクタにおいて、従来のニードルを使用する必要がなく、折れたニードルの問題が生じないようにすることを目的としてなされたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開平６−２０９６９３号公報
【発明の概要】
【０００６】
この発明によれば、外筒体および内筒体が二重筒状に配置され、外筒体と内筒体間に環状空隙が形成される。さらに、原料肉詰め込み機構およびポンプがそれと組み合わされ、原料肉が内筒体に詰め込まれ、ピックル液が環状空隙に送られる。さらに、多数の噴出孔が内筒体に形成され、ピックル液が各噴出孔から噴出し、原料肉に注入される。
【０００７】
好ましい実施例では、内筒体の一端において、原料肉詰め込み機構によって原料肉が押され、原料肉が内筒体に詰め込まれる。
【０００８】
さらに、連通孔が外筒体に形成され、ポンプが連通孔に接続される。
【０００９】
他の実施例では、ポンプはシリンダとピストンからなる。そして、内筒体の他端において、シリンダが環状空隙に連通し、ピストンがシリンダに収容され、シリンダに沿って移動する。
【００１０】
さらに、ピックル液の注入後、内筒体の他端において、原料肉排出機構によって原料肉が押され、内筒体の一端において、原料肉が内筒体から排出される。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】この発明の実施例を示す斜視図である。
【図２】図１の外筒体および内筒体の断面図である。
【図３】Ａは他の実施例を示す断面図、ＢはＡの原料肉が排出された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１２】
以下、この発明の実施例を説明する。
【００１３】
図１はこの発明にかかるピックル液インジェクタを示す。このインジェクタでは、図２に示すように、外筒体１および内筒体２が二重筒状に配置され、外筒体１と内筒体２間に環状空隙３が形成される。外筒体１および内筒体２は円筒状のもので、水平方向にのび、同心に配置されている。したがって、その周方向において、環状空隙３は均一の大きさをもつ。さらに、外筒体１および内筒体２の一端および他端において、環状端板４によって外筒体１と内筒体２が連結され、固定され、環状空隙３が閉じられ、外筒体１の外面において、外筒体１がポストなどの支持体に取り付けられ、支持されている。
【００１４】
さらに、このインジェクタは原料肉詰め込み機構を有する。さらに、内筒体２の一端において、送りコンベヤ５と内筒体２間に収容部材６が設けられており、送りコンベヤ５によって原料肉７が送られる。送りコンベヤ５は水平方向にのび、外筒体１および内筒体２に垂直の方向にのびる。さらに、送りコンベヤ５は複数の仕切り板８を有し、間欠的に駆動され、原料肉７は仕切り板８に係合し、一定量ずつ送られる。収容部材６はＵ字状断面のもので、上方に開口し、ガイド板９を有し、送りコンベヤ５の幅方向にのび、ガイド板９は送りコンベヤ５に向かってのびる。したがって、原料肉７が一定量送られる毎に、それがガイド板９を通り、収容部材６に収容される。
【００１５】
原料肉詰め込み機構はプッシャ１０からなり、プッシャ１０はディスク状のもので、収容部材６に対応する大きさである。さらに、収容部材６の長さ方向一方側にシリンダ１１が配置され、他方側に外筒体１および内筒体２が配置され、プッシャ１０がシリンダ１１に連結されており、収容部材６は内筒体２よりもわずかに高い位置に配置されている。シリンダ１１は収容部材６の長さ方向にのびる。さらに、シュート１２が収容部材６に設けられ、取り付けられており、後述するように、内筒体２の一端において、プッシャ１０によって原料肉７が押され、原料肉７が内筒体２に詰め込まれる。
【００１６】
このインジェクタはポンプ１３を有し、ポンプ１３はピックル液を送るためのもので、シリンダとピストンからなり、ピストンはシリンダに収容され、駆動機構１４に連結されている。駆動機構１４はモータまたはシリンダからなる。さらに、連通孔１５が外筒体１に形成され、ポンプ１３が連通孔１５に接続されている。たとえば、２つの連通孔１５が外筒体１に形成され、パイプまたはホース１６およびチェックバルブ１７によってポンプ１３と各孔１５が接続される。さらに、パイプまたはホース１８およびチェックバルブ１９によってタンク２０とポンプ１３が接続され、タンク２０にピックル液が収容されており、後述するように、ピックル液が環状空隙３に送られる。
【００１７】
さらに、多数の噴出孔２１が内筒体２に形成されており、ピックル液が各噴出孔２１から噴出し、原料肉７に注入される。噴出孔２１は一定の大きさのものである。そして、内筒体２の長さ方向および周方向において、各噴出孔２１が一定の間隔を置いて形成されている。
【００１８】
さらに、内筒体２の一端において、プッシャ１０によって原料肉７が押され、原料肉７が内筒体２に詰め込まれるが、この実施例では、内筒体２の一端にシャッタ２２が設けられている。シャッタ２２は内筒体２を閉じるためのもので、プレート状であり、外筒体１よりも上方に配置され、シリンダ２３に連結されている。そして、後述するように、原料肉７の詰め込み後、シャッタ２２によって内筒体２が閉じられ、ピックル液が原料肉７に注入される。
【００１９】
さらに、このインジェクタは原料肉排出機構を有する。原料肉排出機構はプッシャ２４からなり、プッシャ２４はディスク状のもので、内筒体２に対応する大きさである。そして、内筒体２の他端において、プッシャ２４がシリンダ２５に連結されている。シリンダ２５は内筒体２の長さ方向にのびる。そして、後述するように、ピックル液の注入後、内筒体２の他端において、プッシャ２４によって原料肉７が押され、内筒体１の一端において、原料肉７が内筒体２から排出される。
【００２０】
さらに、内筒体２の他端にシャッタ２６が設けられ、シャッタ２６は内筒体２を閉じるためのもので、プレート状であり、外筒体１よりも上方に配置され、シリンダ２７に連結されている。
【００２１】
さらに、内筒体２の一端において、内筒体２と送りコンベヤ２８間にシュート２９が設けられており、シュート２９は環状端板４に固定されている。送りコンベヤ２８は水平方向にのび、外筒体１および内筒体２に垂直の方向にのびる。さらに、送りコンベヤ２８は複数の仕切り板３０を有し、外筒体１および内筒体２よりもわずかに低い位置に配置されている。
【００２２】
このインジェクタにおいて、ピックル液が原料肉７に注入されるとき、まず、内筒体２の他端において、シリンダ２７によってシャッタ２６が移動し、下降し、シャッタ２６によって内筒体２が閉じられる。そして、送りコンベヤ５によって原料肉７が送られ、原料肉７が収容部材６に収容され、その後、シリンダ１１によってプッシャ１０が駆動され、プッシャ１０が収容部材６に沿って移動し、プッシャ１０によって原料肉７が押される。プッシャ１０は一定のストロークをもって移動し、そのストロークは収容部材６の長さに対応する。したがって、内筒体２の一端において、プッシャ１０によって原料肉７が押され、原料肉７がシュート１２を通り、内筒体２に導入され、詰め込まれる。さらに、原料肉７が一定量ずつ送られ、収容部材６に収容されるが、その量はあらかじめ設定されており、内筒体１の容量に対応する。したがって、内筒体１に詰め込まれたとき、内筒体２は原料肉７で充填される。さらに、詰め込み後、シリンダ１１によってプッシャ１０が駆動され、プッシャ１０は逆方向に移動し、もとの位置に復帰する。
【００２３】
さらに、詰め込み後、内筒体２の一端において、シリンダ２３によってシャッタ２２が移動し、下降し、シャッタ２２によって内筒体２が閉じられる。その後、駆動機構１４によってポンプ１３が駆動され、ピックル液がパイプまたはホース１８およびチェックバルブ１９を通り、ポンプ１３に吸入され、パイプまたはホース１６およびチェックバルブ１７を通り、環状空隙３に送られる。したがって、ピックル液に液圧が作用し、ピックル液が各噴出孔２１から噴出し、原料肉７に注入される。そして、ピックル液の注入後、駆動機構１４およびポンプ１３が停止される。
【００２４】
さらに、ピックル液の注入後、シリンダ２３によってシャッタ２２が駆動され、シャッタ２２によって内筒体２が開かれ、シリンダ２７によってシャッタ２６が駆動され、シャッタ２６によって内筒体２が開かれる。その後、内筒体２の他端において、シリンダ２５によってプッシャ２４が駆動され、移動し、プッシャ２４が内筒体２に挿入され、プッシャ２４によって原料肉７が押され、内筒体２の一端において、原料肉７が内筒体２から排出される。さらに、排出されるとき、原料肉７がシュート２９を通り、送りコンベヤ２８に排出される。プッシャ２４は一定のストロークをもって移動し、そのストロークは内筒体２の長さに対応する。したがって、原料肉７が完全に排出される。さらに、排出後、シリンダ２５によってプッシャ２４が駆動され、プッシャ２４は逆方向に移動し、もとの位置に復帰する。
【００２５】
その後、送りコンベヤ２８が間欠的に駆動され、原料肉７は仕切り板３０に係合し、一定距離送られる。
【００２６】
さらに、シャッタ２６によって内筒体２が閉じられる。さらに、送りコンベヤ５によって原料肉７が送られ、原料肉７が収容部材６に収容され、プッシャ１０によって原料肉７が押され、原料肉７が内筒体２に詰め込まれ、同様の工程が再度繰り返される。
【００２７】
したがって、このインジェクタの場合、従来のニードルを使用しなくても、ピックル液を原料肉７に注入することができる。したがって、折れたニードルが原料肉７に混入するおそれはなく、問題はない。
【００２８】
さらに、このインジェクタの場合、原料肉７が内筒体２に詰め込まれ、その状態でピックル液が注入される。したがって、内筒体２によって原料肉７を成型し、その後、成型された状態で原料肉７を排出し、送りコンベヤ２８によってそれを送ることができる。したがって、その後、原料肉７にスライスなどの処理を施すとき、その処理は容易である。
【００２９】
なお、ピックル液の注入後、原料肉７が内筒体２から排出されるとき、シュート１２によってそれが阻害されるおそれがある。したがって、シュート１２を収容部材６から取り外し、その後、原料肉７を内筒体２から排出するようにしてもよい。シュート１２を収容部材６に対し旋回させ、内筒体２から退避させ、その後、原料肉７を内筒体２から排出するようにしてもよい。それを自動化することも可能である。
【００３０】
シャッタ２２，２６として丸ふた状のものを使用する。さらに、外筒体２の一端および他端において、外筒体１にブラケットを設け、シャッタ２２，２６をブラケットに取り付け、ブラケットのまわりに揺動させ、シャッタ２２，２６によって内筒体２を閉じるようにしてもよい。
【００３１】
図３の実施例では、内筒体２の一端において、プッシャ１０が内筒体２に挿入され、プッシャ１０によって原料肉７が押され、原料肉７が内筒体２に詰め込まれる。さらに、内筒体２の他端に端壁３１が設けられ、端壁３１によって内筒体２が閉じられ、内筒体２の周壁および端壁３１において、多数の噴出孔２１が内筒体２に形成される。
【００３２】
さらに、ピックル液が環状空隙３に送られることは図１の実施例と同様であるが、ポンプ１３はシリンダ３２とピストン３３からなる。そして、内筒体２の他端において、シリンダ３２が環状空隙３に連通し、ピストン３３がシリンダ３２に収容され、シリンダ３２に沿って移動する。シリンダ３２は外筒体１と同心で、同一径であってもよく、一体であってもよい。さらに、ポート３４がシリンダ３２に形成され、タンクに接続され、タンクにピックル液が収容される。
【００３３】
そして、図３のインジェクタでは、原料肉７の詰め込み後、ピストン３３がシリンダ３２に沿って移動し、内筒体２から後退する。したがって、ピストン３３によって環状空隙３が減圧される。その後、ピストン３３がポート３４を通過し、ピストン３３によってポート３４が開かれる。したがって、ピックル液がポート３４を通り、環状空隙３に吸入され、送られる。その後、ピストン３３が逆方向に移動し、内筒体２に向かって前進し、ポート３４に達し、ピストン３３によってポート３４が閉じられる。したがって、その後、ピストン３３の移動にともない、外筒体１内において、ピストン３３によってピックル液が圧縮され、内筒体２の周壁および端壁３１において、ピックル液が各噴出孔２１から噴出し、原料肉７に注入される。
【００３４】
さらに、図４のインジェクタでも、ピックル液の注入後、内筒体２の他端において、原料肉排出機構によって原料肉７が押され、内筒体２の一端において、原料肉７が内筒体２から排出される。たとえば、ピックル液の注入後、プッシャ１０が内筒体２から抜き取られ、ピストン３３が内筒体２から後退し、ピストン３３によってポート３４が開かれる。さらに、原料肉排出機構にコンプレッサが使用され、ポート３４がタンクから遮断され、コンプレッサに接続される。そして、コンプレッサによって圧縮空気が送られ、これがポート３４を通り、外筒体１に供給される。したがって、内筒体２の端壁３１において、圧縮空気が各噴出孔４から噴出し、圧縮空気によって原料肉７が押され、内筒体２の一端において、原料肉７が内筒体２から排出される。
【００３５】
内筒体２の一端において、ケーシング３５を内筒体２にかぶせ、原料肉７をケーシング３５に排出し、収容するようにしてもよい。
【符号の説明】
【００３６】
１ 外筒体
２ 内筒体
３ 環状空隙
１０ プッシャ
１３ ポンプ
１５ 連通孔
２１ 噴出孔
２４ プッシャ
３２ シリンダ
３３ ピストン
【特許請求の範囲】
【請求項１】
二重筒状に配置され、間に環状空隙が形成されている外筒体および内筒体と、
原料肉を前記内筒体に詰め込む原料肉詰め込み機構と、
ピックル液を前記環状空隙に送るポンプと、
前記内筒体に形成された多数の噴出孔とからなり、
前記ピックル液を前記各噴出孔から噴出させ、前記原料肉に注入するようにしたことを特徴とするピックル液インジェクタ。
【請求項２】
前記内筒体の一端において、前記原料肉詰め込み機構によって前記原料肉が押され、前記原料肉が前記内筒体に詰め込まれるようにした請求項１に記載のピックル液インジェクタ。
【請求項３】
連通孔が前記外筒体に形成され、前記ポンプが前記連通孔に接続されている請求項２に記載のピックル液インジェクタ。
【請求項４】
前記ポンプはシリンダとピストンからなり、前記内筒体の他端において、前記シリンダが前記環状空隙に連通し、前記ピストンが前記シリンダに収容され、前記シリンダに沿って移動するようにした請求項２に記載のピックル液インジェクタ。
【請求項５】
前記ピックル液の注入後、前記内筒体の他端において、原料肉排出機構によって前記原料肉が押され、前記内筒体の一端において、前記原料肉が前記内筒体から排出されるようにした請求項３または４に記載のピックル液インジェクタ。
【請求項１】
二重筒状に配置され、間に環状空隙が形成されている外筒体および内筒体と、
原料肉を前記内筒体に詰め込む原料肉詰め込み機構と、
ピックル液を前記環状空隙に送るポンプと、
前記内筒体に形成された多数の噴出孔とからなり、
前記ピックル液を前記各噴出孔から噴出させ、前記原料肉に注入するようにしたことを特徴とするピックル液インジェクタ。
【請求項２】
前記内筒体の一端において、前記原料肉詰め込み機構によって前記原料肉が押され、前記原料肉が前記内筒体に詰め込まれるようにした請求項１に記載のピックル液インジェクタ。
【請求項３】
連通孔が前記外筒体に形成され、前記ポンプが前記連通孔に接続されている請求項２に記載のピックル液インジェクタ。
【請求項４】
前記ポンプはシリンダとピストンからなり、前記内筒体の他端において、前記シリンダが前記環状空隙に連通し、前記ピストンが前記シリンダに収容され、前記シリンダに沿って移動するようにした請求項２に記載のピックル液インジェクタ。
【請求項５】
前記ピックル液の注入後、前記内筒体の他端において、原料肉排出機構によって前記原料肉が押され、前記内筒体の一端において、前記原料肉が前記内筒体から排出されるようにした請求項３または４に記載のピックル液インジェクタ。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２０１３−９９２７６（Ｐ２０１３−９９２７６Ａ）
【公開日】平成２５年５月２３日（２０１３．５．２３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−２４４７０２（Ｐ２０１１−２４４７０２）
【出願日】平成２３年１１月８日（２０１１．１１．８）
【出願人】（３９１０１４０１１）株式会社ヒガシモトキカイ (18)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２５年５月２３日（２０１３．５．２３）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年１１月８日（２０１１．１１．８）
【出願人】（３９１０１４０１１）株式会社ヒガシモトキカイ (18)
【Ｆターム（参考）】
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