説明

ピリミジン誘導体及びこれを含む有害生物防除剤

【課題】有害生物に対し優れた活性を有する化合物を提供すること。
【解決手段】式[I]



[式中、R1はアルキル基又はアルコキシ基を表し;
2はアリールアルキル基又はヘテロアリールアルキル基を表し;
3は水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表し;
nは0、1又は2を表し、
Hetは式[II]



(式中、R4は同一または異なってもよい水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基を表し、アリール基、ヘテロアリール基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基又はアルキルスルホニル基を表し、mは1〜4の整数を表す)を表す]
で示されるピリミジン誘導体又はその塩を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピリミジン誘導体又はその塩、これらの製造方法、並びにこれらの用途に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ある種のピリミジン誘導体が、農業上の有害生物(アブラムシ類、ヨトウムシ類、ダニ類など)、衛生害虫(ハエ、ゴキブリなど)、貯穀害虫(コクストモドキ類、マメゾウリムシ類など)、並びに農園芸病原菌(コムギ赤さび病、オオムギうどんこ病、イネいもち病など)等の有害生物を防除するために用いられてきた(特許文献1及び2参照)。

しかし、特許文献1は、ピリミジン環2位の官能基が複素環基であるピリミジン誘導体を開示していない。
また、特許文献2は、ある種のピリミジン誘導体を含む殺菌剤を開示している。ここで特許文献2は、ピリミジン環6位の官能基が(C1-C4)アルキルスルホニル基、つまり-SO2R基(RはC1-C4)であるピリミジン誘導体を開示する。しかし、特許文献2は、ピリミジン環6位の官能基が-SOnR基であってRがアリールアルキル基又はヘテロアリールアルキル基であるピリミジン誘導体又はその塩について開示していない。
【0003】
【特許文献1】特開2001−247411号公報
【特許文献2】独国特許出願公開第4034762号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、有害生物に対し優れた活性を有する化合物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは有害生物に対し優れた活性を有する化合物を見出すべく鋭意検討した結果、下記式[I]で示される新規なピリミジン誘導体及びその塩が優れた活性を有することを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
1.式[I]



[式中、R1はアルキル基又はアルコキシ基を表し;
2はアリールアルキル基又はヘテロアリールアルキル基を表し;
3は水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表し;
nは0、1又は2を表し、
Hetは式[II]



(式中、R4は同一または異なってもよい水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基を表し、アリール基、ヘテロアリール基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基又はアルキルスルホニル基を表し、mは1〜4の整数を表す)を表す]
で示されるピリミジン誘導体又はその塩、並びにこの1種以上を有効成分として含有する有害生物防除剤に関する。
【0006】
また、本発明は、
2.(1)式[III]


[式中、Het、R1、R3は上記1と同じ意味を表し、Xはハロゲン原子を表す]
で表される化合物と、
式[IV]

[式中、R2は上記1と同じ意味を表す]で表される化合物とを、塩基の存在下で反応せしめるか、または、式[V]







[式中、Het、R1、R3は上記1と同じ意味を表す]で表される化合物と、
式[VI]

[式中、R2は上記1と同じ意味を表し、Xはハロゲン原子を表す]で表される化合物とを、塩基の存在下で反応せしめて、式[VII]

[式中、Het、R1、R2、R3は上記1と同じ意味を表す]で表される化合物を得る工程;及び
(2)得られた式[VII]で表される化合物を酸化して、上記1に記載のピリミジン誘導体を得る工程;
を含む、上記1に記載のピリミジン誘導体又はその塩の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のピリミジン誘導体又はその塩は新規化合物であり、既存化合物と比較して低薬量で優れた有害生物防除効果を示す。また有用作物に対しては薬害が認められないため、有害生物防除剤として使用することができ、環境負荷も少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(1)上記式[I]で示されるピリミジン誘導体及びその塩
(1-1) 式[I]で示されるピリミジン誘導体
本発明は、下記式[I]:



で表されるピリミジン誘導体に関する。ここで、式[I]中、R1は、アルキル基又はアルコキシ基を表す。R2は、アリールアルキル基又はヘテロアリールアルキル基を表す。R3は、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。nは、0、1又は2を表す。
【0009】
Hetは、式[II]:


を表す。ここで、式[II]中、R4は、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基を表し、アリール基、ヘテロアリール基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基又はアルキルスルホニル基を表す。mは1〜4の整数、好ましくは、1〜2の整数を表す。mが2以上の場合、各R4は、同一であっても異なっていてもよい。
【0010】
1、R3及びR4で言及したアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、1-エチルペンチル基、3,3-ジメチルブチル基等のC1〜C10アルキル基等があげられる。
1及びR4で言及したアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピオキシ基、t-ブトキシ基等のC1〜C12アルコキシ基等があげられる。
2で言及したアリールアルキル基としては、例えば、フェニルメチル基、2-フェニルエチル基、3-フェニル-n-プロピル基、4-フェニル-n-ブチル基、α-ナフチルメチル基、β-ナフチルメチル基等のC7〜C20アリールアルキル基等があげられる。
2で言及したヘテロアリールアルキル基としては、例えば、2-フリルメチル基、2-チエニルメチル基、2-オキサゾリルメチル基、3-イソオキサゾリルメチル基、1,2,3-オキサジアゾール-4-メチル基、2-ピリジルメチル基、4-ピリジルメチル基、2-ピリジニルメチル基、4-ピリジニルメチル基、3-ピラゾリルメチル基、2-チアゾリルメチル基、2-イミダゾリルメチル基、3-(1,2,4-トリアゾリル)メチル基、2-キノリニルメチル基等のC2〜C19へテロアリールアルキル基等があげられる。
【0011】
3、R4及びHalで言及したハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味する。
4で言及したアリール基としては、例えば、フェニル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基等のC6〜C10のアリール基等があげられる。
4で言及したヘテロアリール基としては、例えば、2-フリル基、2-チエニル基、2-オキサゾリル基、3-イソオキサゾリル基、1,2,3-オキサジアゾール-4-イル基、2-ピリジル基、4-ピリジル基、2-ピリミジニル基、3-ピラゾリル基、2-チアゾリル基、2-イミダゾリル基、3-(1,2,4-トリアゾリル)基、2-キノリニル基等のC1〜C9ヘテロアリール基があげられる。
4で言及したアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基及びアルキルスルホニル基のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、t-ブチレン基、ペンチレン基、1-エチルペンチレン基及び3,3-ジメチルブチレン基等のC1〜C10アルキレン基;ビニレン基、1-プロペニレン基、2-プロペニレン基、イソプロペニレン基、1-ブテニレン基、2-ブテニレン基、1-ヘキセニレン基、1-オクテニレン基等のアルケニレン基;エチニレン基、1-プロピニレン基、2-プロピニレン基、1-ブチニレン基、2-ブチニレン基、3-ブチニレン基、4-メチル-1-ペンチニレン基及び3-メチル-1-ペンチニレン基等のアルキニレン基があげられる。
【0012】
1、R2、R3、R4で言及したアルキル基、アルコキシ基、アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基は、さらに置換基によって置換されていてもよい。使用され得る置換基としては、例えば、
ハロゲン原子〔フッ素原子、塩素原子、臭素原子等〕;
アルキル基〔例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1-メチルペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、ヘプチル基等のC1〜C10アルキル基〕;
ハロアルキル基〔例えばトリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ジフルオロブロモメチル基、フルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、1,1,2,2-テトラフルオロエチル基等のC1〜C10ハロアルキル基〕;
シクロアルキル基〔例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のC3〜C10シクロアルキル基〕;
アルコキシ基〔例えばメトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基等のC1〜C10アルコキシ基〕;
ハロアルコキシ基〔例えばトリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、ジフルオロブロモメトキシ基、ジフルオロクロロメトキシ基、フルオロメトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ基等のC1〜C10ハロアルコキシ基〕;
【0013】
アルキルチオ基〔例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、i-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基等のC1〜C10アルキルチオ基〕;
ハロアルキルチオ基〔例えばトリフルオロメチルチオ基、ジフルオロメチルチオ基、ジフルオロブロモメチルチオ基、ジフルオロクロロメチルチオ基、2,2,2-トリフルオロエチルチオ基、1,1,2,2-テトラフルオロエチルチオ基等のC1〜C10ハロアルキルチオ基〕;
アルキルアミノ基〔例えばメチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、i−プロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、sec-ブチルアミノ基、i-ブチルアミノ基、t-ブチルアミノ基、n-ペンチルアミノ基等のC1〜C10アルキルアミノ基〕;
ジアルキルアミノ基〔例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、エチル-n-プロピルアミノ基等のC2〜C20ジアルキルアミノ基〕;
アルコキシカルボニル基〔例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、i-プロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、sec-ブトキシカルボニル基、i-ブトキシカルボニル基、t-ブトキシ基カルボニル等のC2〜C10アルコキシカルボニル基〕;
ハロアルコキシカルボニル基〔例えば2,2,2-トリフルオロエトキシカルボニル基等のC2〜C10ハロアルコキシカルボニル基〕;
アルキルアミノカルボニル基〔例えばメチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、n-プロピルアミノカルボニル基、i-プロピルアミノカルボニル基、n-ブチルアミノカルボニル基、sec-ブチルアミノカルボニル基、i-ブチルアミノカルボニル基、t-ブチルアミノカルボニル基、n-ペンチルアミノカルボニル基等のC2〜C10アルキルアミノカルボニル基〕;
【0014】
ジアルキルアミノカルボニル基〔ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、メチルエチルアミノカルボニル基、エチル-n-プロピルアミノカルボニル基等のC3〜C10ジアルキルアミノカルボニル基〕;
アシルアミノ基〔例えばアセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n-ブタノイルアミノ基等のC2〜C10アシルアミノ基〕;
アルコキシカルボニルアミノ基〔例えばメトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、n-プロポキシカルボニルアミノ基、i-プロポキシカルボニルアミノ基、n-ブトキシカルボニルアミノ基等のC2〜C10アルコキシカルボニルアミノ基〕;
シアノ基;ニトロ基および水酸基等があげられる。同一または異なってもよい2つ以上の置換基が同時に存在してもよい。
【0015】
(1-2) 式[I]で示されるピリミジン誘導体の塩
本発明の上記式[I]で示されるピリミジン誘導体の塩は、上記ピリミジン誘導体の塩酸、硫酸などの無機塩、あるいは酢酸、フマル酸などの有機塩であり得る。具体的には、例えば、以下の式[I]’

(式中、Het、R1、R2、R3、nは、上記式[I]で説明したのと同じ意味を表し;A及びA’は、いずれか一方がNH+でありかつ他方がNであり;B-は、酸性イオンであり、好ましくは、X-、R5SO3-又はR6COO-(ここで、Xはハロゲン原子であり、R5は、例えば、OH基、アルキル基、好ましくはC1-C5のアルキル基、アリル基、好ましくはフェニル基)であり、R6は、例えば、C1〜C10、好ましくはC1〜C5のアルキル基であり得る)である)で示すことができる。
本発明の上記式[I]で示されるピリミジン誘導体及びその塩は、不斉原子に基づく光学異性体(R,S)や飽和環に基づく幾何異性体(シス,トランス)の形態を取り得る。本発明で言うピリミジン誘導体及びその塩の語は、有害生物防除活性を有するこれらすべての光学異性体、幾何異性体およびこれらの混合物を含むものである。
【0016】
(1-3) 式[I]で示されるピリミジン誘導体及びその塩の具体例
本発明の上記式[I]で示されるピリミジン誘導体及びその塩の具体例を表1〜3に示す。しかし、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、表中に記載のMeはメチル基を、Etはエチル基を、Prはプロピル基を、Buはブチル基を意味する。また、n-はノルマル−を、i-はイソ−を、s-はセカンダリー−を、t−はターシャリー−を、c−はシクロ−の意味を表す。










【0017】
[表1]以下の式[VIII]を有するピリミジン誘導体及びその塩の具体例







【0018】




【0019】





【0020】




【0021】




【0022】



【0023】



【0024】



【0025】



【0026】



【0027】



【0028】



【0029】



【0030】



【0031】



【0032】



【0033】



【0034】



【0035】



【0036】





【0037】
[表2]以下の式[IX]を有するピリミジン誘導体及びその塩の具体例







【0038】






【0039】
[表3]以下の式[X]を有するピリミジン誘導体及びその塩の具体例











【0040】
本発明のピリミジン誘導体又はその塩として、好ましくは、−F基又は−CF3基などのフッ素系置換基を有するものである。フッ素系置換基は、好ましくは、R1又はR2に含まれていることが適当である。また、式[I]中、nが1又は2であり、かつ、−SO−又は−SO2−を有することが好ましい。さらに、本発明のピリミジン誘導体又はその塩として、好ましくは、アルコキシ基のような親水基を有するものである。
【0041】
(2) 式[I]で示されるピリミジン誘導体又はその塩の製造方法
本発明の式[I]で表されるピリミジン誘導体は、下記の工程(1)及び工程(2)に従って製造することができる。

工程(1)










【0042】
工程(2)

ここで、各式中、R1、R2、R3、Het、nは、上記式[I]で説明したのと同じ意味を表し、Xは、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)を表す。
以下、これらの工程(1)及び(2)を詳述する。
【0043】
(2-1)工程(1)について
工程(1)では、以下の式[VII]:

[式中、Het、R1、R2、R3は上記式[I]で説明したのと同じ意味を表す]で表される化合物が、ルートA又はルートBを経て調製される。
【0044】
(2-1-1)ルートA
ルートAは、下記式[III]:


[式中、Het、R1、R3は上記式[I]で説明したのと同じ意味を表し、Xはハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)を表す]
で表される化合物と、下記式[IV]:

[式中、R2は上記式[I]で説明したのと同じ意味を表す]で表される化合物とを、塩基の存在下で反応せしめて、上記式[VII]で表される化合物を得るものである。
【0045】
この反応に用いられる塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、1,8-ジアザビシクロ−[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の炭酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物;水素化ナトリウム等の水素化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシド等の金属アルコキシド等が挙げることができる。使用する塩基の量は、例えば、式[III]で表される化合物1モルに対して通常0.1〜100モル、好ましくは、0.5〜10モルであることが適当である。
反応温度は、0℃〜使用する溶媒の沸点の温度までの範囲であれば反応が円滑に進行するので好適であるが、好ましくは、15〜25℃である。
反応時間は、通常1分〜100時間、好ましくは、1〜24時間である。
【0046】
反応は、例えば、特開2001−247411号公報に記載されているような反応様式に従って行われてもよい。例えば、式[III]及び式[IV]で表される化合物を溶媒中に溶解し、さらに上記塩基を加えて所定の反応温度及び反応時間で反応を進行させてもよい。使用され得る溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドンなどのアミド類;THF、ジエチルエーテルなどのエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;酢酸エチルなどのエステル類;アセトニトリルなどのニトリル類;DMSO等があげられる。溶媒は、例えば、基質の量が0.1〜100mol/l、好ましくは、1〜10mol/lとなるような量を用いることが適当である。
式[III]で表される化合物をハロゲン化されていない前駆体として準備した場合は、塩素、塩化チオニル、塩化ホスホリル、オキシ塩化リン、五塩化リン、臭素及びヨウ素等のハロゲン化剤を用いてハロゲン化し、式[III]で表される化合物を得てもよい。
反応終了後、目的物を含む反応液の溶媒留去又は溶媒抽出等を行い、得られた残留物を必要に応じて再結晶法、カラムクロマトグラフィー法等により精製して、目的物を製造することができる。
【0047】
(2-1-1)ルートB
一方、ルートBは、下記式[V]:


[式中、Het、R1、R3は上記式[I]で説明したのと同じ意味を表す]で表される化合物と、式[VI]:

[式中、R2は上記式[I]で説明したのと同じ意味を表し、Xはハロゲン原子を表す]で表される化合物とを、塩基の存在下で反応せしめて、上記式[VII]で表される化合物を得るものである。
この反応に用いられる塩基の種類、反応温度、反応時間及び反応様式は、上記ルートAと同様である。また、使用する塩基の量は、例えば、式[V]で表される化合物1モルに対して通常0.1〜100モル、好ましくは、0.5〜10モルであることが適当である。
【0048】
(2-2)工程(2)について
上述の工程(1)で得られた式[VII]で表される化合物は酸化され、式[I]で表されるピリミジン誘導体を得る。ここで、酸化は、酸化剤及び触媒の存在下で行われてもよい。酸化剤としては、例えば、過酸化水素、ヒドロペルオキシド、オゾン、ペルオキソ硫酸カリウム、過マンガン酸カリウム、クロム酸、ジ亜塩素酸ナトリウム、硝酸、四酸化二窒素、メタ過ヨウ素酸ナトリウム、酸化ルテニウム及び酸化オスミウム等が挙げられる。また、触媒としては、タングステン酸ナトリウム二水和物、モリブデン酸、五酸化バナジウム等が挙げられる。
また、酸化反応として、Croat. Chem. Acta 1962, 34, 115やBioorg. Med. Chem. Lett. 2002, 12(12), 1595に記載された方法を使用することもできる。
反応温度は、0〜100℃、好ましくは、15〜25℃である。
反応時間は、通常1分〜100時間、好ましくは、1〜24時間である。
【0049】
本発明の式[I]で表されるピリミジン誘導体を製造するために用いられる式[III]〜[VI]で表される原料化合物は,市販されているものから適宜利用することができる。また、入手可能であれば、市販されている式[VII]で表される化合物を入手し、式[I]で表されるピリミジン誘導体を製造してもよい。
例えば式[IV]で表される化合物は、いわゆるメルカプタンであり、Journal fuer Praktiche Chemie, 1958, 7, 191-195の記載に従って、式[VI]のような対応するハロゲン化合物から収率よく得ることができる。
【0050】
(2-3) 本発明の式[I]で表されるピリミジン誘導体の塩の製造方法
上述のようにして得られた式[I]で表されるピリミジン誘導体は、さらに各種酸と反応させて式[I]で表されるピリミジン誘導体の塩を製造することができる。酸としては、例えば、塩化水素、臭化水素、硫酸、硝酸、酢酸、フマル酸等が挙げられる。
反応は、例えば、Aust. J. Chem., 1982, 35, 1203-1207に示されるものが挙げられる。
【0051】
(3)有害生物防除剤
本発明は、上記式[1]で表されるピリミジン誘導体又はその塩の一種又は二種以上を有効成分として含有する有害生物防除剤に関する。
ここで生物の語は、動物及び植物を含む意味である。従って、具体的に、有害生物防除剤の語は、植物保護用等の殺菌・殺カビ剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、畑地・非農耕地用等の除草剤、水棲生物が船底、漁網等の水中接触物に付着するのを防止するための防汚剤を含む意味で使用される。
ここで、有害生物としては、以下に限定されるものではないが、真菌門(Eumycota)、変形菌門(Myxomycota)、細菌門(Bacteriomycota)、放線菌門(Actinomycota)等の菌類並びにカビ類;農業上の有害生物、衛生害虫、貯穀害虫、衣類害虫、家屋害虫等の害虫;広葉雑草、畑地雑草、水田雑草等の雑草;及び、船底、漁網等の水中接触物に付着する水棲生物が挙げられる。
【0052】
(3-1) 菌類並びにカビ類
菌類並びにカビ類としては、例えば、以下の真菌門(Eumycota)、変形菌門(Myxomycota)、細菌門(Bacteriomycota)、放線菌門(Actinomycota)等の菌類並びにカビ類が挙げられる。
イネのいもち病(Pyricularia oryzae)、ごま葉枯病(Cochliobolus miyabeanus)、紋枯病(Rizoctonia solani)等;ムギ類のうどんこ病(Erysiphe graminis)、赤かび病(Gibberella zeae)、(赤)さび病(Puccinia striiformis, P.graminis, P. recondita, P. hordei)、雪腐病(Typhula sp. , Micronectriella nivalis)、裸黒穂病(Ustilago tritici, U. nuda)、なまぐさ黒穂病(Tilletia caries)、眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、雲形病(Rhynchosporium secalis)、葉枯病(Septoria tritici)、ふ枯病(Leptosphaeria nodorum)、網斑病(Pyrenophora teres)、ひょうもん病(Helminthosporium zonatum Ikata)等;カンキツ類の黒点病(Diaporthe citri)、そうか病(Elsinoe fawcetti)、果実腐敗病(Penicillium digitatum, P. italicum)、褐色腐敗病(Phytophthora citrophthora,, P. nicotianae)、黒星病(Phyllostictina citricarpa) かいよう病(Xanthomonas citri)等;リンゴのモニリア病(Monilinia mali)、腐らん病(Valsa mali)、うどんこ病(Podosphaera leucotricha)、斑点落葉病(Alternaria mali)、黒星病(Venturia inaequalis)、黒点病(Mycospherella pomi)、炭そ病(Colletotrichum acutatum)、輪紋病(Botryosphaeria berengeriana)、赤星病(Gymnosporangium yamadae)、灰星病(Monilinia fructicola)等;ナシの黒星病(Venturia nashicola, V. pirina)、黒斑病(Alternaria kikuchiana)、赤星病(Gymnosporangium haraeanum)、灰星病(Monilinia fructigena)等;モモの灰星病(Monilinia fructicola)、黒星病(Cladosporium carpophilum)、フォモプシス腐敗病(Phomopsis sp. )等;ブドウの黒とう病(Elinoe ampelina)、晩腐病(Colletotrichum acutatum)、うどんこ病(Uncinula necator)、さび病(Phakopsora ampelopsidis)、ブラックロット病(Guignardia bidwellii)、べと病(Plasmopara viticola)、灰星病(Monilinia fructigena)、黒星病(Cladosporium viticolum)、灰色かび病(Botrytis cinerea)等;カキの炭そ病(Gloeosporium kaki)、落葉病(Cercospora kaki, Mycoshaerella nawae)等;ウリ類の炭そ病(Colletotrichum lagenarium)、うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea, Oidiopsis taurica)、つる枯病(Didymella bryoniae)、つる割病(Fusarium oxysporum)、べと病(Pseudoperonospora cubensis)、疫病(Phytophthora sp. )、苗立枯病(Pythium sp. )等;トマトの輪紋病(Alternaria solani)、葉かび病(Cladosporium fulvum)、疫病(Phytophthora infestans)等;ナスの褐紋病(Phomopsis vexans)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)等;アブラナ科野菜の黒斑病(Alternaria japonica)、白斑病(Cercosporella brassicae) 軟腐病(Erwinia carotovora)等;ネギのさび病(Puccinia allii)等;ダイズの紫斑病(Cercospora kikuchii)、黒とう病(Elsinoe glycines)、黒点病(Diaporthe phaseolorum var. sojae)等;インゲンの炭そ病(Colletotrichum lindemthianum)等;ラッカセイの黒渋病(Cercospora personata)、褐斑病(Cercospora arachidicola)等;エンドウのうどんこ病(Erysiphe pisi)等;ジャガイモの夏疫病(Alternaria solani)、疫病(Phytophthora infestans)、葉腐病菌(Rhizoctonia solani)等;イチゴのうどんこ病(Sphaerotheca humuli)等;チャの網もち病(Exobasidium reticulatum)、白星病(Elsinoe leucospila)等;タバコの赤星病(Alternaria longipes)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、炭そ病(Colletotrichum tabacum)、べと病(Peronospora tabacina)、疫病(Phytophthora nicotianae)、野火病(Pseudomonus syringae)等;テンサイの褐斑病(Cercospora beticola)、苗立枯れ病(Aphanomyces cochliodes)等;バラの黒星病(Diplocarpon rosae)、うどんこ病(Sphaerotheca pannosa)等;キクの褐斑病(Septoria chrysanthemi-indici)、白さび病(Puccinia horiana)等;種々の作物の灰色かび病(Botrytis cinerea)、菌核病 (Sclerotinia sclerotiorum) 等。
【0053】
(3-2)害虫
本発明の有害生物防除剤は、農業上の有害生物、衛生害虫、貯穀害虫、衣類害虫、家屋害虫等の害虫の防除に使用できる。本発明の有害生物防除剤は、殺成虫、殺若虫、殺幼虫、殺卵作用を有する。害虫の代表例として以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
鱗翅目害虫;例えば、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、タマナヤガ(Agrotis ipsilon)、アワヨトウ(Pseudaletia separata)、イラクサキンウワバ(Trichoplusia ni)、コナガ(Plutella xylostella)、チャノコカクモンハマキ(Adoxophyes sp.)、チャハマキ(Homona magnamia)、モモシンクイガ(Carposina niponensis)、ナシヒメシンクイ(Grapholita molesta)、ミカンハモグリガ(Phyllocnistis citrella)、チャノホソガ(Caloptilia theivora)、キンモンホソガ(Phyllonorycter ringoneella)、マイマイガ(Lymantria dispar japonica)、チャドクガ(Euproctis pseudoconspersa)、ニカメイガ(Chilo suppresalis)、コブノメイガ(Conaphalocrocis medinalis)、アメリカシロヒトリ(Hyphantria cunea)、ハイマダラノメイガ(Hellula undalis)、ヘリオティス(Heliothis)属、ヘリコベルパ(Helicoverpa)属、アグロティス(Agrotis)属、イガ(Tiena translucens)、コドリンガ(Laspeyresia pomonella)、ワタアカミムシ(Pectinophora gossypiella)等。
半翅目害虫;例えば、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、ワタアブラムシ(Aphis gossyppi)、ニセダイコンアブラムシ(Lipaphis erysimi)、ムギクビレアブラムシ(Rhopalosiphum padi)、ホソヘリカメムシ(Riptortus clavatus)、ミナミアオカメムシ(Nezara viridula)、ヤノネカイガラムシ(Unaspis yanonensis)、クワコナカイガラムシ(Pseudococcus comstocki)、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、タバココナジラミ(Bemisia tabaci)、ナシキジラミ(Psylla pyrisuga)、ナシグンバイムシ(Stephanitis nashi)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus)、セジロウンカ(Sogatella furcifera)、ツマグロヨコバイ(Nephotetix cincticeps)等。
【0054】
鞘翅目害虫;例えば、コーンルートワーム(Diabrotica sp.)、ウリハムシ(Aulacophora femoralis)、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata)、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、コクゾウムシ(Sitophilus zeamais)、アズキゾウムシ(Callosobruchus chinensis)、マメコガネ(Popillia japonica)、ヒメコガネ(Anomala rufocuprea)、タバコシバンムシ(Lasioderma serricorne)、ヒラタキクイムシ(Lyctus brunneus)、マツノマダラカミキリ(Monochamus alternatus)、ゴマダラカミキリ(Anoplophora malasiaca)、アグリオティス(Agriotes)属、ニジュウヤホシテントウ(Henoscepilachna vigintioctopunctata)、コクヌスト(Tenebroides mauritanicus)、ワタミゾウムシ(Anthonomus grandis)等。
双翅目害虫;例えば、イエバエ(Musca domestica)、チチュウカイミバエ(Ceratitis capitata)、ウリミバエ(Dacus cucurbitae)、ミカンコミバエ(Dacus dorsalis)、タネバエ(Hylemya platura)、イネハモグリバエ(Hydrellia griseola)、マメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)、オウトウショウジョウバエ(Drosophila suzukii)、サシバエ(Stomoxys sp.)、コガタアカイエカ(Culex tritaeniorhynchus)、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)、シナハマダラカ(Anopheles slnensis)等。
総翅目害虫;例えば、ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、チャノキイロアザミウマ(Scirtothrips dorsalis)、クロトンアザミウマ(Heliothrips haemorrhoidalis)、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)等。
膜翅目害虫;例えば、ミカドオオアリ(Camponotus kiusiuensis)、キイロスズメバチ(Vespa simillima xanthoptera)、カブラハバチ(Athalia rasaejaponensis)等。
【0055】
直翅目害虫;例えば、チャバネゴキブリ(Blatella germanica)、ワモンゴキブリ(Periplaneta Americana)、クロゴキブリ(Periplanrta fuliginosa)、バッタ(Locustamigratoria migratoriodes)等。
等翅目害虫;例えば、イエシロアリ(Coptotermen formosanus)、ヤマトシロアリ(Reticulitermess peratus)等。
シラミ目害虫;例えば、コロモジラミ(Pediculs humanus corporis)、ケジラミ(Pthirus pubis)等。
ダニ類;例えば、ナミハダニ(Tetranychus ulticae)、カンザワハダニ(Tetranychus kannzawai)、ミカンハダニ(Panonychus citri)、リンゴハダニ(Panonychus ulmi)、ミカンサビダニ(Phyllocoptruta oleivora)、リンゴサビダニ(Aculus schlechtendali)、チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus)、ブレビパルパス(Brevipalpus)属、エオテトラニカス(Eotetranycus)属、ロビンネダニ(Rhizoglyphus robini)、ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)、オウシマダニ(Boophilis microplus)、フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)等。
植物寄生性線虫;例えば、サツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)、ネグサレセンチュウ(Pratylenchus sp.)、ダイズシストセンチュウ(Heterodera glycines)、イネシンガレセンチュウ(Aphelenchoides besseyi)、マツノザイセンチュウ(Bursaphelenchus xylophilus)等。
その他、既存の害虫・ダニ防除剤に対し抵抗性を有する各種害虫にも有効である。
【0056】
(3-3) 雑草
本発明の有害生物防除剤は、土壌処理・茎葉処理といった既知の処理方法に使用され得る畑地・非農耕地用除草剤として使用することができる。防除され得る雑草の代表例として以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(3-3-1) 広葉雑草
ナス科雑草;例えば、イヌホウズキ(Solanum nigrum L.)、チョウセンアサガオ(Daturastra monium)等。
アオイ科雑草;例えば、イチビ(Abutilon theophrasti)、アメリカキンゴジカ(Sida rhombifolia L.)、ベルベットリーフ(Abutilon theophrastic)等。
ヒルガオ科雑草;例えば、マルバアサガオなどのアサガオ類(Ipomea purpurea, I. Iacunosa, Pharbitis purpurea)、ヒルガオ類(Calystegia japonica Choisy, C. sepium var. japonica Makino, Convolvulus arvensis L.)等。
ヒユ科雑草;例えば、イヌビユ(Amaranthus blitum L.)、アオビユ(Amaranthus gracilis Defs., A. retroflexus, A. viridis L.)等。
キク科雑草;例えば、オナモミ(Xanthium pensylvanicum, X. strumarium)、ブタクサ(Ambrosia artemisiifolia L var. elatior Desc.)、ハキダメギク(Galinsoga ciliata Blake)、セイヨウトゲアザミ(Cirsium arvense)、ノボロギク(Senecio vulgaris L.)、ヒメジヨン(Aster annuus L.)等。
アブラナ科雑草;例えば、イヌガラシ(Rorippa indica Hieron)、ノハラガラシ(Sinapis arvense)、ナズナ(Capsella bursa-pastoris Medic.)等。
タデ科雑草;例えば、イヌタデ(Polygonum blumei Meisn., P. longisetum De Bruyn.)、ソバカズラ(Polygonum convolvulus)等。
スベリヒユ科雑草、例えば、スベリヒユ(Portulaca oleracea L.)等。
アカザ科雑草;例えば、シロザ(Chenopodium album L.)、コアカザ(Chenoposium ficifolium)、ホウキギ(Kochia scoparia)等。
ナデシコ科雑草;例えば、ハコベ(Stellaria media)等。
ゴマノハグサ科雑草;例えば、オオイヌノフグリ(Veronica persica Poir.)等。
ツユクサ科雑草;例えば、ツユクサ(Commelina communis L.)等。
シソ科雑草;例えば、ホトケノザ(Lamium amplexicaule L.)、ヒメオドリコソウ(Laminum purpurem)等。
トウダイグサ科雑草;例えば、コニシキソウ(Chamaesyce supine Mold., Euphorbia supine Rafin.)、オオニシキソウ(Euphorbia maculata)等。
アカネ科雑草;例えば、ヤエムグラ(Galium aparine L., G. Vaillanta DC.)、アカネ(Rubia akane)等。
スミレ科雑草;例えば、スミレ(Viola mandshurica)等。
マメ科雑草;例えば、アメリカツノクサネム(Sesbania exaltata)、エビスグサ(Cassia obtusifolla)等。
【0057】
(3-3-2)畑地雑草
イネ科雑草;例えば、野生ソルガム(Sorgham bicolor)、オオクサキビ(Panicum dichotomiflorum)、ジョンソングラス(Sorgham halepense)、イヌビエ(Echinochloa crus-galli var. crus galli)、ヒメイヌビエ(Echinochloa crus-galli var. praticola)、栽培ビエ(Echinochloa utilis)、メヒシバ(Digitaria adscendens Henr., D. marginata Fernald) 、カラスムギ(Avena fatua L., A. sativa)、オヒシバ(Eleusine indica Gaertn.)、エノコログサ(Setaria ciridis, S. faberi, S. pumila, S. viridis Beauv.)、スズメノテッポウ(Alopecurus aequalis Sobol. var. amurensis Ohwi, A. myosuroides, A. pratensis)等。
カヤツリグサ科雑草;例えば、ハマスゲ(Cyperus rotundus, Cyperus esculentus)等。
【0058】
(3-3-3)水田雑草
本発明の有害生物防除剤は、さらに水田用除草剤として、潅水下の土壌処理および茎葉処理といった既知の処理方法を用いて使用することができる。水田雑草の代表例として以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
オモダカ科雑草;例えば、ヘラオモダカ(Alisma canaliculatum A.Br. et Bouche)、オモダカ(Sagittaria trifolia L.)、ウリカワ(Sagittaria pygmaea Miq.)等。
カヤツリグサ科雑草;例えば、タマガヤツリ(Cyperus difformis L.)、ミズガヤツリ(Cyperus serotinus Rottb.)、ホタルイ(Scirpus juncoides Roxb.)、クログワイ(Eleocharis kuroguwai Ohwi)等。
ゴマノハグサ科雑草;例えば、アゼナ(Lindernia procumbens Philcox)等。
ミズアオイ科雑草;例えば、コナギ(Monochoria vaginalis Presl)等。
ヒルムシロ科雑草;例えば、ヒルムシロ(Potamogeton franchetii A. Benn. Et Baag., P.longipetiolatus A. Camus)等。
ミソハギ科雑草;例えば、キカシグサ(Rotala indica Koehne)等。
タイヌビエ(Echinochloa crus-galli Beauv. Var. oryzicola Ohwi)、ヒメタイヌビエ(Echinochloa crus-galli Beauv. var. kasaharae Ohwi, E. crus-galli Beauv. var. formosensis Ohwi, E. crus-galli Beauv. var. praticola Ohwi)、イヌビエ(Echinochloa crus-galli)雑草等。
【0059】
特に本発明のピリミジン誘導体又はその塩は、トマト疫病、コムギ赤さび病、オオムギうどんこ病、キュウリべと病、キュウリ及びインゲンマメ灰色かび病、インゲンマメ葉腐病等の菌類並びにカビ類;アオビユ等のヒユ科雑草、シロザ等のアカザ科雑草に有用である。
なお、本発明の有害生物防除剤は、有用作物であるイネ、コムギ、オオムギ、ソルゴー、ラッカセイ、トウモロコシ、ダイズ、ビート、ワタ、リンゴ、ナシ、ミカン、ブドウ等に対して高い安全性を有している。
【0060】
(3-4)有害生物防除剤の形態
本発明の有害生物防除剤を実際に施用する際には、他成分を加えず純粋な形でそのまま使用するか、又は、一般の農薬の取り得る形態、即ち、粒剤及び粉剤等の固形剤;水和剤、顆粒水和剤、乳剤、水溶剤、エマルション製剤、油剤、エアゾル剤、噴霧剤、フロアブル剤等の液剤の形態で使用することもできる。
固形剤の形態で使用する場合、添加剤及び担体として、例えば、木粉、トウモロコシ穂軸等の植物性粉末;珪藻土、焼灰石、石こう、タルク、べントナイト、パイロフィライト、クレイ等の鉱物性微粉末;塩化カリウム、尿素、芒硝等の有機および無機化合物を使用することができる。
液剤の形態で使用する場合、溶媒として、例えば、ケロシン、キレシンおよびソルベントナフサ等の石油留分、シクロヘキサン、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、アルコール、アセトン、メチルイソブチルケトン、鉱物油、植物油、水等を使用することができる。さらに、溶液の均一性及び安定性を確保するために、必要に応じて界面活性剤を添加することができる。
【0061】
(3-5)有害生物防除剤の含有量及び施用量
本発明の有害生物防除剤は、有害生物防除剤の形態並びに使用するピリミジン誘導体又はその塩の種類にもよるが、上記式[1]で表されるピリミジン誘導体又はその塩を、例えば、0.1〜70質量%、好ましくは、1〜40質量%含む。本発明の有害生物防除剤が粒剤及び粉剤等の固形剤の形態である場合、本発明の有害生物防除剤は、上記式[1]で表されるピリミジン誘導体又はその塩を1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%含んでいてもよく、より好ましくは、式[1]で表されるピリミジン誘導体又はその塩をそのまま(100質量%)有害生物防除剤として使用してもよい。さらに、本発明の有害生物防除剤が液剤の形態であって、水などの溶媒で適宜希釈される場合、本発明の有害生物防除剤は、上記式[1]で表されるピリミジン誘導体又はその塩を、例えば、0.1〜500ppm、好ましくは、10〜250ppm含むものであってもよい。
本発明の有害生物防除剤は、上記式[1]で表されるピリミジン誘導体又はその塩を有効成分とし、その有効量を含むものである。ここで、式[1]で表されるピリミジン誘導体又はその塩を有効成分として含む、つまり、その有効量を含むことは、上記殺菌、殺カビ、殺虫、殺ダニ、殺線虫、除草、防汚効果を充分に発揮することができる量の上記式[1]で表されるピリミジン誘導体又はその塩を含むことを意味する。有効量は、使用するピリミジン誘導体又はその塩の種類や有害生物の種類にもよるが、具体的には、施用されるべき土地1ヘクタールあたり、上記式[1]で表されるピリミジン誘導体又はその塩を0.1〜3000g、好ましくは、100〜1500gの量で適用することが好適である。これらの施用量、施用濃度は、いずれも製剤の種類、施用時期、施用場所、施用方法、害虫の種類、被害程度等の状況によって異なり、上記の範囲にかかわることなく増加させたり、減少させたりすることができる。
【0062】
(3-6)有害生物防除剤の施用方法
本発明化合物を農業用有害生物防除剤として用いる場合、使用する有害生物防除剤の種類等にもよるが、式[1]で表されるピリミジン誘導体又はその塩を、農地1ヘクタールあたり、通常100g〜1500gの量で施用することが好ましい。防疫用防虫剤として用いる場合には、乳剤、水和剤、フロアブル剤の形態が好ましく、水などの溶媒と混合して式[1]で表されるピリミジン誘導体又はその塩の濃度を0.1ppm〜500 ppmに希釈し、懸濁液あるいは乳濁液として用いることが適当である。粒剤、粉剤、油剤、エアゾル剤、噴霧剤、毒餌として用いる場合には、本発明の有害生物防除剤の上記粒剤、油剤等の製剤をそのまま施用してもよい。
【0063】
(3-7)その他の薬剤
本発明の有害生物防除剤は、単独でも十分有効であることは言うまでもないが、各種薬剤、例えば、病害防除剤、害虫・ダニ防除剤、誘引剤、除草剤、植物成長調節剤または共力剤等の1種以上と混合して使用することもできる。
本発明の有害生物防除剤と混合し得る薬剤の代表例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0064】
(3-7-1)病害防除剤:
銅病害防除剤;塩基性塩化銅、水酸化第二銅、塩基性硫酸銅、無水硫酸銅、オキシン銅、ノニルフェノールスルホン酸銅、DEBDC、生石灰等。
無機剤;硫黄、多硫化石灰、硫酸亜鉛、炭酸水素ナトリウム,炭酸水素カリウム、次亜塩素酸ナトリウム等。
有機硫黄系剤;ジネブ、マンネブ、マンゼブ、アンバム、ポリカーバメート、有機硫黄ニッケル塩、プロピネブ、ジラム、チウラム、チアジアジン等。
有機りん系剤;IBP、EDDP、トルクロホスメチル、ホセチル等。
メラニン合成阻害剤;フサライド、トリシクラゾール、ピロキロン、カルプロパミド、ジクロシメット、フェノキサニル等。
ベンズイミダゾール系剤;ベノミル、チオファネートメチル、チアベンダゾール等。
ジカルボキシイミド系剤;イプロジオン、プロシミドン等。
カルボキシアニリド系剤;オキシカルボキシン、メプロニル、フルトラニル、フラメトピル、チフルザミド等。
フェニルアマイド系剤;メタラキシル、オキサジキシル等。
ステロール生合成阻害剤;トリアジメホン、ビテルタノール、フェンブコナゾール、ミクロブタニル、ヘキサコナゾール、テブコナゾール、プロピコナゾール、ジフェノコナゾール、イプコナゾール、イミベンコナゾール、シプロコナゾール、トリフルミゾール、プロクロラズ、ペフラゾエート、オキスポコナゾールフマル酸塩、フェナリモル、ピリフェノックス、トリホリン、テトラコナゾール、シメコナゾール等。
ストロビルリン系剤;アゾキシストロビン、クレソキシムメチル、トリフロキシストロビン、メトミノストロビン、ピラクロストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、フルオキサストロビン等。
【0065】
アニリノピリミジン系剤;ピリメタニル、メパニピリム、シプロジニル等。
合成抗細菌剤;テクロフタラム、オキソリニック酸等。
その他合成病害防除剤;プロベナゾール、アシベンゾラルSメチル、イソプロチオラン、フェリムゾン、ジクロメジン、ペンシクロン、フルオルイミド、キャプタン、ジクロフルアニド、トリルフルアニド、クロロタロニル、ジチアノン、キノメチオネート、ジノカプ、ジメチリモール、ジフルメトリム、フルジオキソニル、ベンチアゾール、トリアジン、フルアジナム、シモキサニル、ファモキサドン、イミノクタジン三酢酸塩、イミノクタジンアルベシル酸塩、プロパモカルブ塩酸塩、ジメトモルフ、シアゾファミド、フェンヘキサミド、ジエトフェンカルブ、チアジニル、ベンチアバリカルブイソプロピル、エタボキサム等。
抗生物質;ブラストサイジンS、カスガマイシン、ポリオキシン、バリダマイシンA、ストレプトマイシン、オキシテトラサイクリン、ミルディオマイシン等。
天然物系剤;マシン油、ナタネ油、大豆レシチン等。
生物由来剤;シイタケ菌糸体抽出物、トリコデルマ生菌、アグロバクテリウム・ラジオバクター、非病原性エルビニア・カロトボーラ・サブスピーシス、バチルス・ズブチリス、タラロマイセス・フラバス、シュードモナス・フルオレッセンス、シュードモナスCAB-2、非病原性フザリウム・オキシスポラム等。
土壌病害防除剤;フルスルファミド、ヒドロキシイソキサゾール、エクロメゾール、ダゾメット、クロロネブ、メタスルホカルブ、メチルイソチオシアネート、D-D、臭化メチル、クロルピクリン、カーバム等。
【0066】
(3-7-2)害虫・ダニ防除剤
有機リン系害虫防除剤;シアノホス、フェンチオン、フェニトロチオン、ジクロフェンチオン、ピリミホスメチル、ダイアジノン、キナルホス、イソキサチオン、ピリダフェンチオン、クロルピリホスメチル、クロルピリホス、バミドチオン、マラチオン、フェントエート、ジメトエート、チオメトン、ジスルホトン、ホサロン、メチダチオン、プロチオホス、スルプロホス、プロフェノホス、ピラクロホス、ジクロルボス、モノクロトホス、ナレッド、テトラクロルビンホス、ジメチルビンホス、クロルフェンビンホス、プロパホス、アセフェート、イソフェンホス、トリクロルホン、EPN、エチオン等。
カーバメート系害虫防除剤;カルバリル、イソプロカルブ、フェノブカルブ、プロポキスル、XMC、エチオフェンカルブ、ピリミカーブ、ベンダイオカルブ、カルボスルファン、ベンフラカルブ、フラチオカルブ、メソミル、オキサミル、チオジカルブ、アラニカルブ等。
ピレスロイド系害虫防除剤;アレスリン、レスメトリン、ペルメトリン、シペルメトリン、シハロトリン、シフルトリン、トラロメトリン、フェンプロパトリン、ビフェントリン、フェンバレレート、フルシトリネート、フルバリネート、アクリナトリン、シクロプロトリン、エトフェンプロックス、シラフルオフェン、テフルトリン等。
ネライストキシン系害虫防除剤;カルタップ、チオシクラム、ベンスルタップ等。
ネオニコチノイド系害虫防除剤;イミダクロプリド、アセタミプリド、ニテンピラム、チアクロプリド、チアメトキサム、クロチアニジン、ジノテフラン等。
昆虫成長制御剤;ブプロフェジン、イソプロチオラン、ジフルベンズロン、テフルベンズロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、フルフェノクスロン、クロルフルアズロン、テブフェノジド、クロマフェノジド、シロマジン等。
その他の合成害虫防除剤;ベンゾエピン、フィプロニル、ピメトロジン、クロルフェナピル、ジアフェンチウロン、インドキサカルブ、エマメクチン安息香酸、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、DBEDC、メタアルデヒド、粘着剤、メトキシフェノジド、トルフェンピラド等。
天然害虫防除剤;ピレトリン、ロテノン、ニコチン、マシン油、なたね油、大豆レシチン、デンプン、脂肪酸グリセリド、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ケイソウ土等。
【0067】
ダニ防除剤;ケルセン、フェニソブロモレート、テトラジホン、プロパルギット、キノメチオネート、アミトラズ、フェノチオカルブ、ヘキシチアゾクス、フェンブタチンオキシド、ジエノクロル、フェンピロキシメート、テブフェンピラド、フルアジナム、ピリダベン、ピリミジフェン、クロフェンテジン、エトキサゾール、ジノカプ、ハルフェンプロックス、ポリナクチン複合体、ミルベメクチン、ビアラホス、アセキノシル、ビフェナゼート、フルアクリピリム等。
線虫防除剤;D-D、DCIP、ダゾメット、ベノミル、エトプロホス、ホスチアゼート、メスルフェンホス、酒石酸モランテル、カズサホス、塩酸レバミゾール、ネマデクチン等。
くん蒸剤;臭化メチル、クロルピクリン、カーバム、カーバムナトリウム塩、青酸、リン化水素、リン化アルミニウム、酸化エチレン、二酸化炭素、メチルイソチオシアネート、フッ化スルフリル等。
生物由来の害虫防除剤;BT、スピノサド、ボーベリア・ブロンニアティ、ボーベリア・バシアーナ、バーティシリウム・レカニ、スタイナーネマ・カーポカプサエ、スタイナーネマ・クシダイ、スタイナーネマ・グラセライ、モナクロスポリウム・フィマトパガム、パスツーリア・ペネトランス、ペキロマイセス・フモソロセウス、天敵(チリカブリダニ、ククメリスカブリダニ、コレマンアブラバチ、オンシツツヤコバチ、サバクツヤコバチ、イサエアヒメコバチ、ハモグリコマユバチ、ショクガタマバエ、タイリクヒメハナカメムシ、ヤマトクサカゲロウ)等。
【0068】
(3-7-3)誘引剤
昆虫性フェロモン誘引剤;リトルア、ビートアーミルア、ダイアモルア、ピーチフルア、テトラデセニルアセテート、トートリルア、ピリマルア、アリマルア、オリフルア、チェリトルア、ブルウェルア、ロウカルア、フィシルア、オキメラノルア、サキメラノルア、スウィートビルア、フォールウェブルア等。
その他の誘引剤;ピネン油、メチルオイゲノール、タンパク加水分解物、キュウルア、メチルフェニルアセテート等。
殺そ剤;モノフルオル酢酸塩、クマテトラリル、ワルファリン、クロロファシノン、ダイファシノン、リン化亜鉛、硫酸タリウム等。
その他;石灰窒素等。
【0069】
(3-7-4)除草剤
フェノキシ系除草剤;2,4-PA、MCPA、MCPB、MCPP、トリクロピル、クロメプロップ、ナプロアニリド、フェノキサプロップエチル、シハロホップブチル、フルアジホップ、キザロホップエチル等。
カーバメート系除草剤;IPC、フェンメディファム、デスメディファム、ベンチオカーブ、オルソベンカーブ、エスプロカルブ、モリネート、ジメピペレート、ピリブチカルブ等。
酸アミド系除草剤;DCPA、アラクロール、プレチラクロール、メトラクロール、ブタクロール、ジメテナミド、テニルクロール、ブロモブチド、エトベンザニド、ジフルフェニカン、メフェナセット、ナプロパミド、カフェンストロール、プロピザミド、イソキサベン、アシュラム等。
尿素系除草剤;DCMU、リニュロン、シデュロン、ダイムロン、クミルロン、カルブチレート、イソウロン、テブチオウロン等。
スルホニル尿素系;ベンスルフロンメチル、エトキシスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、アジムスルフロン、ハロスルフロンメチル、フラザスルフロン、シノスルフロン、ニコスルフロン、リムスルフロン、チフェンスルフロンメチル、イマゾスルフロン、メトスルフロンメチル、シクロスルファムロン等。
ピリミジルオキシ安息香酸系除草剤;ピリミノバックメチル、ビスピリバックナトリウム塩等。
トリアジン系除草剤;CAT、アトラジン、シメトリン、アメトリン、プロメトリン、ジメタメトリン、シアナジン、トリアジフラム、メトリブジン等。
ダイアジン系除草剤;例えば、ターバシル、ブロマシル、ブタフェナシル、レナシル、PAC、ベンタゾン、ピリデート等。
【0070】
ダイアゾール系除草剤;ピラゾレート、ピラゾキシフェン、ベンゾフェナップ、ピラフルフェンエチル等。
ビピリジリウム系除草剤;パラコート、ジクワット等。
ジニトロアニリン系除草剤;トリフルラリン、ベスロジン、プロジアミン、ペンディメタリン、オリザリン等。
芳香族カルボン酸系除草剤;MDBA、イマザピル、イマザキン、イマザキンアンモニウム塩、ジチオピル、TCTP、イマザモックスアンモニウム塩、フェントラザミド等。
脂肪族系除草剤;ペラルゴン酸、DPA、テトラピオン等。
有機リン系除草剤;ピペロホス、アミプロホスメチル、ブタミホス、SAP等。
アミノ酸系除草剤;グリホサートイソプロピルアミン塩、グリホサートアンモニウム塩、グリホサートトリメシウム塩、グリホサートカリウム塩、ビアラホス、グルホシネート等。
その他有機除草剤;アイオキシニル、ビフェノックス、DBN、DCBN、セトキシジム、クレトジム、テプラロキシジム、CAN、インダノファン、クロルフタリム、エンドタール二ナトリウム塩、ベンフレセート、フロラスラム、ペントキサゾン、オキサジクロメホン、カルフェントラゾンエチル、フルミオキサジン、ベンゾビシクロン等。
無機除草剤;シアン酸塩等。
【0071】
(3-7-5)その他の薬剤の添加量
上記その他の薬剤は、薬剤の種類、適用される有害生物防除剤の種類にもよるが、各薬剤が所望の効力を十分に発揮することができる量で添加される。例えば、上記その他の薬剤は、有害生物防除剤の質量に対し、例えば、0.1〜1000質量%、好ましくは、0.5〜500質量%の量で添加される。
以下、本発明を実施例、製剤例および試験例でさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0072】
以下、本発明のピリミジン誘導体の実施例を示す。
なお、各表中の化合物は、NMR、IR、MS、元素分析、融点などの物性値によって構造を確認した。1H-NMRおよび19F-NMRはVarian technologies Inc.社製MERCURY 300を、また融点(m.p.)はLABORATORY DEVICES INC.社製MEL-TEMP.を用いて測定した。
NMRデータにおけるsは、シングレットを、dはダブレットを、tはトリプレットを、qはカルテットを、ddはダブルダブレットを、dtはダブルトリプレットを、tdはトリプルダブレットを、mはマルチプレットを、brはブロードを意味する。
1H-NMRにおいては、溶媒にCDCl3を用いたときはCHCl3 = 7.26 ppm を、DMSO-d6を用いたときはDMSO = 2.49 ppm をそれぞれ内部標準とした。19F-NMRにおいては、いずれの溶媒においてもC6F6= 0 ppmを内部標準とした。
【0073】
<実施例1>
(1) 工程(1)ルートA
(1-1)式[III]で表される化合物の調製:4-クロロ-2-(ピリジン-3-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンの合成
28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液33.4 g ( 173 mmol )に3-シアノピリジン36.0 g (346 mmol )を加え、25℃で一晩攪拌した。その後さらに塩化アンモニウム27.8 g ( 519 mmol )を加え、25℃で一晩攪拌した。得られた反応物をろ過し、得られたろ液を減圧乾固した後、アセトンを加えて析出した沈殿をろ集した。得られた沈殿をアセトンで洗浄し、乾燥し、ニコチンアミジン38.8 g ( 収率 71% )を得た[1H-NMR (DMSO-d6): δ7.60 (dd, 1 H), 8.24 (dt, 1 H), 8.81 (dd, 1 H), 9.01 (d, 1 H)]。
上記ニコチンアミジン38.8 g ( 246 mmol )を、20%ナトリウムエトキシドエタノール溶液83.7 g ( 246 mmol ) に4,4,4-トリフルオロメチルアセト酢酸エチル36.2 ml ( 246 mmol )を加え25℃で15分攪拌したものに加え、さらにナトリウムメトキシド26.6 g ( 492 mmol )を加え、16時間還流した。得られた反応物をろ過し、得られたろ液を留去し、残留物を水で希釈し、塩酸を加えて酸性とし、析出した沈殿をろ集した。得られた沈殿を水で洗浄し、乾燥し、4-ヒドロキシ-2-(ピリジン-3-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン40.5 g ( 収率 70% )を得た[1H-NMR (DMSO-d6): δ6.95(s, 1 H), 7.59(dd, 1 H), 8.44(dt, 1 H), 8.86(dd, 1 H), 9.22(d, 1 H), 13.5(br, 1 H), 19F- NMR (DMSO-d6): δ92.136 (s)]。
上記で得られた4-ヒドロキシ-2-(ピリジン-3-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン40.5 g ( 168 mmol )を、塩化ホスホリル125 ml ( 1344 mmol ) にジメチルアニリン8滴を滴下したものに加え、3時間還流した。反応物を氷水中に滴下し、水酸化ナトリウム水溶液で中和した。析出した沈殿をろ集し、得られた沈殿を水で洗浄し、4-クロロ-2-(ピリジン-3-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン(式[III]で表される化合物)を得た[1H-NMR (CDCl3): δ7.46(dd, 1 H), 7.61(s, 1 H), 8.74(dt, 1 H), 8.79(dd, 1 H), 9.67(d, 1 H), 19F-NMR (CDCl3): δ91.275(s)]。
【0074】
(1-2)式[VII]で表される化合物の調製:4-(2-メトキシベンジルチオ)-2-(ピリジン-3-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンの合成
上述のようにして得られた4-クロロ-2-(ピリジン-3-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン1.43 g ( 5.5mmol )をジメチルホルムアミドに溶解し、2-メトキシベンジルメルカプタン(式[IV]) 0.85 g ( 5.5 mmol )と炭酸カリウム0.84 g ( 6.1 mmol )を加え、25℃で20時間攪拌した。得られた反応物に水を加えてろ過し、乾燥し、4-(2-メトキシベンジルチオ)-2-(ピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンを得た[1H-NMR (CDCl3): δ3.90(s, 3 H), 4.65(s, 2 H), 6.90(m, 2 H), 7.27(t, 1 H), 7.37(s, 1 H), 7.39-7.47(m, 2 H), 8.75-8.77(m, 2 H), 9.71(s, 1 H), 19F-NMR (CDCl3): δ90.908(s)]。
【0075】
(2) 工程(1)ルートB
(2-1) 式[V]で表される化合物の調製:4-メルカプト-2-(ピリジン-3-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンの合成
上記(1-1)で得られた4-クロロ-2-(ピリジン-3-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン2.60g(10mmol)をエタノールに溶解し、チオウレア0.76g(10mmol)を加え、18時間還流した。エタノールを留去した後、水で希釈し、氷冷下窒素を通気させながら水酸化ナトリウム1.2g(30mmol)の水溶液を滴下し、25℃で一晩撹拌した。希塩酸で弱酸性とし、析出した沈殿をろ集し、乾燥し、4-メルカプト-2-(ピリジン-3-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン1.03g(収率40%)を得た[1H-NMR(CDCl3):δ7.44(dd,1H), 8.05(s,1H), 8.67(dt,1H), 8.78(dd,1H), 9.62(d,1H). 19F-NMR(CDCl3):δ92.646(s)]。
(2-2)式[VII]で表される化合物の調製:4-(2-メトキシベンジルチオ)-2-(ピリジン-3-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンの合成
上述のようにして得られた4-メルカプト-2-(ピリジン-3-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン1.03g(4mmol)をジメチルホルムアミドに溶解し、2-メトキシベンジルクロライド0.62g(4mmol)と炭酸カリウム0.61g(4.4mmol)を加え、25℃で20時間撹拌した。得られた反応物に水を加えてろ過し、乾燥し、4-(2-メトキシベンジルチオ)-2-(ピリジン-3-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンを得た[1H-NMR (CDCl3): δ3.90(s, 3 H), 4.65(s, 2 H), 6.90(m, 2 H), 7.27(t, 1 H), 7.37(s, 1 H), 7.39-7.47(m, 2 H), 8.75-8.77(m, 2 H), 9.71(s, 1 H), 19F-NMR (CDCl3): δ90.908(s)]。
【0076】
(3) 工程(2)
式[I]で表される化合物の調製: 4-(2-メトキシベンジルスルホニル)-2-(ピリジン-3-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン及び4-(2-メトキシベンジルスルフィニル)-2-(ピリジン-3-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンの合成
上述のようにして得られた4-(2-メトキシベンジルチオ)-2-(ピリジン-3-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン0.98 g ( 2.6 mmol )を酢酸に溶解し、タングステン酸ナトリウム二水和物0.17 g ( 0.52 mmol )を加え、30%過酸化水素水0.59 g ( 5.2 mmol )を滴加し、25℃で一晩攪拌した。得られた反応物に水を加えてろ過し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1 溶出)で精製し、4-(2-メトキシベンジルスルホニル)-2-(ピリジン-3-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン(表1-35)0.41 g (収率 39% )と4-(2-メトキシベンジルスルフィニル)-2-(ピリジン-3-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン(表2-19)0.14 g ( 収率 14% )を得た。
【0077】
・4-(2-メトキシベンジルスルホニル)-2-(ピリジン-3-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンのNMRデータ
1H-NMR (CDCl3): δ 3.43(s, 3 H), 4.83(s, 1 H), 6.71(d, 1 H), 6.97(t, 1 H), 7.27(d, 1 H), 7.35(t, 1 H), 7.51(dd, 1 H), 7.94(s, 1 H), 8.76(dt, 1 H), 8.84(d, 1 H), 9.70(s, 1 H), δ19F-NMR (DMSO-d6): δ91.403(s)
・4-(2-メトキシベンジルスルフィニル)-2-(ピリジン-3-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンのNMRデータ
1H-NMR (DMSO-d6): δ3.47(s, 3 H), 4.43(q, 2 H), 6.73(d, 1 H), 6.96(t, 1 H), 7.19(d, 1 H), 7.32(t, 1 H), 7.49(dd, 1 H), 7.94(s, 1 H), 8.71(dt, 1 H), 8.81(dd, 1 H), 9.61(s, 1 H), δ19F-NMR (DMSO-d6): δ91.250(s)
【0078】
<実施例2>
(1)式[III]で表される化合物の調製:4-クロロ-2-(ピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンの合成
28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液23.2 g ( 120 mmol )に4-シアノピリジン25.0 g ( 240 mmol )を加え、25℃で一晩攪拌した。その後さらに塩化アンモニウム19.3 g ( 360 mmol )を加え、25℃で一晩攪拌した。得られた反応物をろ過し、得られたろ液を減圧乾固した後、アセトンを加えて加えて析出した沈殿をろ集した。得られた沈殿をアセトンで洗浄し、乾燥し、イソニコチンアミジン27.0 g ( 収率 93% )を得た[1H-NMR (DMSO-d6): δ3-4 (br, 2 H), 7.34 (d, 2 H), 8.84 (d, 2 H), 9.0-9.5 (br, 1 H)]。
これとは別に20%ナトリウムエトキシドエタノール溶液75.5 g ( 222 mmol ) に4,4,4-トリフルオロメチルアセト酢酸エチル32.7 ml ( 222 mmol )を加え25℃で15分攪拌した。得られた溶液に、上記で得られたイソニコチンアミジン27.0 g ( 222 mmol )とナトリウムメトキシド12.0 g ( 222 mmol )とを加え、16時間還流した。得られた反応物をろ過し、得られたろ液を留去し、残留物を水で希釈し、塩酸を加えて酸性とし、析出した沈殿をろ集した。得られた沈殿を水で洗浄し、乾燥し、4-ヒドロキシ-2-(ピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン34.2 g ( 収率 64% )を得た[1H-NMR (DMSO-d6): δ7.01 (s, 1 H), 8.04 (d, 2 H), 8.79 (d, 2 H), 12-13 (br, 1 H), 19F- NMR (DMSO-d6):δ92.756 (s)]。
上記で得られた4-ヒドロキシ-2-(ピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン2.41 g ( 10 mmol )を、 塩化ホスホリル7.5 ml ( 80 mmol ) にジメチルアニリン5滴を滴下したものに加え、3時間還流した。反応物を氷水に滴下し、水酸化ナトリウム水溶液で中和した。析出した沈殿をろ集し、得られた沈殿を水で洗浄し、4-クロロ-2-(ピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン(式[III]で表される化合物)1.66 g ( 収率 64% )を得た[1H-NMR (CDCl3): δ7.67 (s, 1 H), 8.33 (d, 2 H), 8.84 (d, 2 H), 19F-NMR (CDCl3): δ91.366(s)]。
(2) 式[VII]で表される化合物の調製(工程(1)ルートA):4-ベンジルチオ-2-(ピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンの合成
上述のようにして得られた4-クロロ-2-(ピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン1.25 g ( 4.8 mmol )をジメチルホルムアミドに溶解し、ベンジルメルカプタン(式[IV]) 0.56 ml ( 4.8 mmol )と炭酸カリウム0.66 g ( 4.8 mmol )を加え、25℃で20時間攪拌した。得られた反応物に水を加えてろ過し、乾燥し、4-ベンジルチオ-2-(ピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンを得た(収率95%)[1H-NMR (CDCl3): δ4.64 (s, 2 H), 7.26-7.43 (m, 5 H), 7.45 (s, 1 H), 8.30 (d, 2 H), 8.81 (d, 2 H), 19F-NMR (CDCl3): δ91.030(s)]。
【0079】
(3) 式[I]で表される化合物の調製(工程(2)):4-(ベンジルスルホニル)-2-(ピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンの合成
上述のようにして得られた4-ベンジルチオ-2-(ピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン1.67 g ( 4.8 mmol )を酢酸に溶解し、タングステン酸ナトリウム二水和物0.32 g ( 0.96 mmol )を加え、30%過酸化水素水1.09 g ( 9.6 mmol )を滴加し、25℃で一晩攪拌した。得られた反応物に水を加えてろ過し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1 溶出)で精製し、4-(ベンジルスルホニル)-2-(ピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン1.7 g ( 収率 92% )を得た(表1-121)[1H-NMR (DMSO-d6): δ5.11 (s, 2 H), 7.53 (s, 5 H), 8.33 (d, 1 H), 8.38 (d, 1 H), 8.90 (s, 1 H), 19F-NMR (DMSO-d6): δ92.86(s)]。
【0080】
<実施例3>
(1) 式[VII]で表される化合物の調製(工程(1)ルートA):4-(2-メトキシベンジルチオ)-2-(ピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンの合成
4-クロロ-2-(ピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンは、実施例2と同様にして合成した。
4-クロロ-2-(ピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン3.0 g ( 11.5mmol )をジメチルホルムアミドに溶解し、2-メトキシベンジルメルカプタン(式[IV]) 1.78 g ( 11.5 mmol )と炭酸カリウム1.75 g ( 12.7 mmol )を加え、室温で20時間攪拌した。得られた反応物に水を加えてろ過し、乾燥し、4-(2-メトキシベンジルチオ)-2-(ピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンを4.10 g ( 収率 94% )得た[1H-NMR (CDCl3):δ3.90(s, 3 H), 4.66(s, 2 H), 6.87-6.93(m, 2 H), 7.28(t, 1 H), 7.41(d, 1 H), 7.43(s, 1 H), 8.35(d, 2 H), 8.82(d, 2 H), 19F-NMR (CDCl3): δ92.927(s)
【0081】
(2) 式[I]で表される化合物の調製(工程(2)):4-(2-メトキシベンジルスルホニル)-2-(ピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンの合成
上述のようにして得られた4-(2-メトキシベンジルチオ)-2-(ピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン4.09 g ( 10.8 mmol )を酢酸に溶解し、タングステン酸ナトリウム二水和物0.70 g ( 2.16 mmol )を加え、30%過酸化水素水2.40 g ( 21.6 mmol )を滴加し、25℃で一晩攪拌した。得られた反応物に水を加えてろ過し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1 溶出)で精製し、4-(2-メトキシベンジルスルホニル)-2-(ピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン1.86 g ( 収率 42% )を得た(表1-155)[1H-NMR (CDCl3): δ3.39(s, 3 H), 4.82(s, 2 H), 6.70(d, 1 H), 6.98(t, 1 H), 7.29-7.38(m, 2 H), 7.98(s, 1 H), 8.34(d, 2 H), 8.88(d, 2 H), δ19F-NMR (CDCl3): δ92.927(s)]。
【0082】
<実施例4>
(1) 式[III]で表される化合物の調製:4-クロロ-2-(2-メチルピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンの合成
2-ピコリン N-オキシド28.0 g ( 257 mmol )に氷浴下ジメチル硫酸26.8 ml ( 283 mmol )を加え、25℃で18時間攪拌した。その後、水で希釈し、クロロホルム抽出を行った。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1溶出)で精製し、4-シアノ2-メチルピリジン10.4 g ( 収率 38% )を得た[1H-NMR (CDCl3): δ2.63 (s, 3 H), 7.33 (dd, 1 H), 7.39 (d, 1 H), 8.67 (dd, 1 H)]。
上述のようにして得られた4-シアノ2-メチルピリジン19.2 g ( 162 mmol )を28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液15.7 g ( 81 mmol )に加え25℃で一晩攪拌した。その後さらに塩化アンモニウム13.0 g ( 244 mmol )を加え25℃で一晩攪拌した。得られた反応物をろ過し、得られたろ液を減圧乾固した後、アセトンを加えて加えて析出した沈殿をろ集した。得られた沈殿をアセトンで洗浄し、乾燥し、2-メチルイソニコチンアミジン13.8 g ( 収率 63% )を得た[1H-NMR (CDCl3): δ2.54 (s, 3 H), 2.5-3.2 (br, 2 H), 7.29 (dd, 1 H), 7.51 (d, 1 H), 8.58 (dd, 1 H), 9-10 (br, 1 H)]。
【0083】
これとは別に20%ナトリウムエトキシドエタノール溶液34.7 g ( 102 mmol ) に4,4,4-トリフルオロメチルアセト酢酸エチル15.0 ml ( 102 mmol )を加え室温で15分攪拌した。得られた溶液に、上記で得られた2-メチルイソニコチンアミジン13.8 g ( 102 mmol )とナトリウムメトキシド5.51 g ( 102 mmol )を加え、15時間還流した。得られた反応物をろ過し、得られたろ液を留去し、残留物を水で希釈し、塩酸を加えて酸性とし、析出した沈殿をろ集した。得られた沈殿を水で洗浄し、乾燥し、4-ヒドロキシ-2-(2-メチルピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン16.6 g ( 収率 64% )を得た[1H-NMR (CDCl3): δ2.56 (s, 3 H), 6.97 (s, 1 H), 7.83 (dd, 1 H), 7.90 (d, 1 H), 8.63 (dd, 1 H), 19F-NMR (CDCl3): δ92.178 (s)]。
上記で得られた4-ヒドロキシ-2-(2-メチルピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン16.6 g ( 65 mmol )を、塩化ホスホリル48.5 ml ( 520 mmol )にジメチルアニリン10 ml ( 78 mmol )を滴下したものを加え、3時間還流した。反応物を氷水中に滴下し、水酸化ナトリウム水溶液で中和した。析出した沈殿をろ集し、得られた沈殿を水で洗浄し、4-クロロ-2-(2-メチルピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン(式[III]で表される化合物)8.4 g ( 収率 72% )を得た[1H-NMR (CDCl3): δ2.69 (s, 3 H), 7.66 (s, 1 H), 8.11 (dd, 1 H), 8.18 (d, 1 H), 8.70 (dd, 1 H), 19F-NMR (CDCl3): δ91.373 (s)]。
【0084】
(2) 式[VII]で表される化合物の調製(工程(1)ルートA):4-フェニルエチルチオ-2-(2-メチルピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンの合成
上述のようにして得られた4-クロロ-2-(2-メチルピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン1.09 g ( 4.0 mmol )をジメチルホルムアミドに溶解し、フェニルエチルメルカプタン(式[IV]) 0.54 ml ( 4.0 mmol )と炭酸カリウム0.61 g ( 4.4 mmol )を加え、25℃で20時間攪拌した。得られた反応物に水を加えてろ過し、乾燥し、4-フェニルエチルチオ-2-(2-メチルピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンを得た[1H-NMR (CDCl3): δ2.68 (s, 3 H), 3.12 (dd, 2 H), 3.61 (dd, 2 H), 7.26-7.42 (m, 5 H), 7.42 (s, 1 H), 8.11 (dd, 1 H), 8.18 (d, 1 H), 8.67 (dd, 1 H), 19F-NMR (CDCl3): δ91.055 (s)]。
【0085】
(3) 式[I]で表される化合物の調製(工程(2)):4-(フェニルエチルスルフィニル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンの合成
上述のようにして得られた4-フェニルエチルチオ-2-(2-メチルピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン1.5 g ( 4.0 mmol )を酢酸-ジメチルホルムアミドに溶解し、タングステン酸ナトリウム二水和物0.13 g ( 0.4 mmol )を加え、30%過酸化水素水0.91 g ( 8.0 mmol )を滴加して25℃で一晩攪拌した。得られた反応物に水を加えてろ過し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1 溶出)で精製し、4-(ベンジルスルホニル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン0.3 g ( 収率 17% )を得た(表2-60)[1H-NMR (CDCl3): δ2.08 (s, 3 H), 3.16 (m, 2 H), 3.55 (m, 2 H), 7.16 (s, 5 H), 8.06 (d, 1H), 8.13 (s, 1 H), 8.19 (s, 1H), 8.71 (d, 1 H), 19F-NMR (CDCl3): δ91.525 (s)]。
【0086】
(4) 式[I]で表される化合物の調製(工程(2)):4-(フェニルエチルスルホニル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンの合成
上述のようにして得られた4-フェニルエチルチオ-2-(2-メチルピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン1.5 g ( 4.0 mmol )を酢酸-ジメチルホルムアミドに溶解し、タングステン酸ナトリウム二水和物0.13 g ( 0.4 mmol )を加え、30%過酸化水素水0.91 g ( 8.0 mmol )を滴加し、25℃で一晩攪拌した。得られた反応物に水を加えてろ過し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1 溶出)で精製し、4-(ベンジルスルホニル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン0.7 g ( 収率 43% )を得た(表2-61)[1H-NMR (CDCl3): δ2.72 (s, 3 H), 3.21 (t, 2 H), 3.94 (t, 2 H), 7.07 (s, 5 H), 8.02 (s, 1 H), 8.07 (d, 1 H), 8.13 (s, 1 H), 8.74 (d, 1 H), 19F-NMR (CDCl3): δ91.482 (s)]。
【0087】
<実施例5>
(3) 4-クロロ-2-(ピリミジン-2-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンの合成
28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液13.8 g ( 71 mmol )に2-シアノピリミジン15.0g ( 142 mmol )を加え、25℃で一晩攪拌した。その後さらに塩化アンモニウム11.4 g ( 213 mmol )を加え、25℃で一晩攪拌した。得られた反応物をろ過し、得られたろ液を減圧乾固した後、アセトンを加えて加えて析出した沈殿をろ集した。得られた沈殿をアセトンで洗浄し、乾燥し、ピリミジン-2-カルボアミジン塩酸塩16.5 g ( 収率 73% )を得た[1H-NMR (DMSO-d6): δ7.91(t, 1 H), 8.99(br), 9.13(d, 2 H)]。
これとは別に20%ナトリウムエトキシドエタノール溶液35.4 g ( 104 mmol ) に4,4,4-トリフルオロメチルアセト酢酸エチル15.3 ml ( 104 mmol )を加え室温で15分攪拌した。得られた溶液に、上記で得られたピリミジン-2-カルボアミジン塩酸塩16.5 g ( 104 mmol )とナトリウムメトキシド5.60 g ( 104 mmol )を加え、16時間還流した。得られた反応物をろ過し、得られたろ液を留去し、残留物を水で希釈し、塩酸を加えて酸性とし、析出した析出をろ集した。得られた沈殿を水で洗浄し、乾燥し、4-ヒドロキシ-2-(ピリミジン-2-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン9.30 g ( 収率 66% )を得た[1H-NMR (DMSO-d6): δ7.04(s, 1 H), 7.76(t, 1 H), 9.06(d, 2 H), 13.2(br, 1 H), 19F- NMR (DMSO-d6): δ92.677]。
【0088】
上述のようにして得られた4-ヒドロキシ-2-(ピリミジン-2-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン9.0 g ( 37.1 mmol )を塩化ホスホリル30 ml ( 327 mmol ) にジメチルアニリン6 mlを滴下したものに加え、3時間還流した。反応物を氷水中に滴下し、水酸化ナトリウム水溶液で中和した。析出した沈殿をろ集し、得られた沈殿を水で洗浄し、4-クロロ-2-(ピリミジン-2-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン(式[III]で表される化合物)8.10 g ( 収率 84% )を得た[1H-NMR (CDCl3): δ7.47(t, 1 H), 7.79(s, 1 H), 9.02(d, 1 H), 19F-NMR (CDCl3): δ93.324]。
【0089】
(2) 式[VII]で表される化合物の調製(工程(1)ルートA):4-ベンジルチオ-2-(ピリミジン-2-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンの合成
上述のようにして得られた4-クロロ-2-(ピリミジン-2-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン1.50 g ( 5.8 mmol )をジメチルホルムアミドに溶解し、ベンジルメルカプタン 0.71g ( 5.8 mmol )と炭酸カリウム0.88 g ( 6.3 mmol )を加え、25℃で20時間攪拌した。得られた反応物に水を加えてろ過し、乾燥し、4-ベンジルチオ-2-(ピリミジン-2-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンを1.90 g (収率 95% )得た。[1H-NMR (CDCl3): δ4.64(s, 2 H), 7.24-7.32(m, 3 H), 7.47(t, 1 H), 7.50-7.53(m, 2 H), 7.54(s, 1 H), 9.05(d, 2 H), 19F-NMR (CDCl3): δ93.080(s)]。
【0090】
(3) 式[I]で表される化合物の調製(工程(2)):4-ベンジルスルホニル-2-(ピリミジン-2-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンの合成
上述のようにして得られた4-ベンジルチオ-2-(ピリミジン-2-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン1.60 g ( 4.6 mmol )を酢酸に溶解し、タングステン酸ナトリウム二水和物0.30 g ( 0.92 mmol )を加え、30%過酸化水素水1.04 g ( 9.2 mmol )を滴加し25℃で一晩攪拌した。得られた反応物に水を加えてろ過し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1 溶出)で精製し、4-(ベンジルスルホニル)-2-(ピリミジン-2-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン1.07 g ( 収率 63% )を得た(表2-65)[1H-NMR (CDCl3): δ4.91(s, 2 H), 7.25-7.37(m, 5 H), 7.56(t, 1 H), 8.14(s, 1 H), 9.13(d, 2 H), 19F-NMR (CDCl3): δ93.403(s)]。
【0091】
<実施例6>
(1) 式[III]で表される化合物の調製:4-クロロ-2-(ピラジン-2-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンの合成
28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液22.9 g ( 119 mmol )に2-シアノピラジン25.0 g ( 238 mmol )を加え25℃で一晩攪拌した。その後さらに塩化アンモニウム19.0 g ( 357 mmol )を加え、25℃で一晩攪拌した。得られた反応物をろ過し、得られたろ液を減圧乾固した後、アセトンを加えて加えて析出した沈殿をろ集した。得られた沈殿をアセトンで洗浄し、乾燥し、ピラジン-2-カルボアミジン塩酸塩33.8 g ( 収率 90% )を得た[1H-NMR (DMSO-d6): δ7.0-9.0(br, 2 H), 8.90(d, 1 H), 9.01(d, 1 H), 9.61(s, 1 H), 9.20-10.5(br, 2 H)]。
これとは別に、20%ナトリウムエトキシドエタノール溶液72.5 g ( 213 mmol ) に4,4,4-トリフルオロメチルアセト酢酸エチル31.4 ml ( 213 mmol )を加え室温で15分攪拌した。得られた溶液に、上記で得られたピラジン-2-カルボアミジン塩酸塩33.8 g ( 213 mmol )とナトリウムメトキシド11.5 g ( 213 mmol )を加え、16時間還流した。得られた反応物をろ過し、得られたろ液を留去し、残留物を水で希釈し、塩酸を加えて酸性とし、析出した沈殿をろ集した。得られた沈殿を水で洗浄し、乾燥し、4-ヒドロキシ-2-(ピラジン-2-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン39.4 g ( 収率 77% )を得た[1H-NMR (DMSO-d6): δ7.02(s, 1 H), 8.84(dd, 1 H), 8.91(d, 1 H), 9.39(d, 1 H), 13.6(br, 1 H), 19F- NMR (DMSO-d6): δ92.404(s)]。
【0092】
上述のようにして得られた4-ヒドロキシ-2-(ピラジン-2-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン10.0 g ( 41.3 mmol )を塩化ホスホリル30 ml ( 327 mmol ) にジメチルアニリン6 mlを滴下したものに加え、3時間還流した。反応物を氷水中に滴下し、水酸化ナトリウム水溶液で中和した。析出した沈殿をろ集し、得られた沈殿を水で洗浄し、4-クロロ-2-(ピラジン-2-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン(式[III]で表される化合物)7.49 g ( 収率 70% )を得た[1H-NMR (CDCl3): δ7.75(s, 1 H), 8.77(d, 1 H), 8.84(dd, 1 H), 9.74(d, 1 H), 19F-NMR (CDCl3): δ92.982(s)]。
【0093】
(2) 式[VII]で表される化合物の調製(工程(1)ルートA):4-ベンジルチオ-2-(ピラジン-2-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンの合成
上述のようにして得られた4-クロロ-2-(ピラジン-2-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン1.50 g ( 5.8 mmol)をジメチルホルムアミドに溶解し、ベンジルメルカプタン(式[IV]) 0.71g ( 5.8 mmol )と炭酸カリウム0.88 g ( 6.3 mmol )を加え、25℃で20時間攪拌した。得られた反応物に水を加えてろ過し、乾燥し、4-ベンジルチオ-2-(ピラジン-2-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンを1.90 g ( 収率 95% )得た[1H-NMR (CDCl3): δ4.63(s, 2 H), 7.26-7.35(m, 3 H), 7.46-7.48(m, 2 H), 7.50(s, 1 H), 8.73(d, 1 H), 8.84(dd, 1 H), 9.68(d, 1 H), 19F-NMR (CDCl3): δ92.793(s)]。
【0094】
(3) 式[I]で表される化合物の調製(工程(2)):4-ベンジルスルホニル-2-(ピラジン-2-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジンの合成
上述のようにして得られた4-ベンジルチオ-2-(ピラジン-2-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン1.56 g ( 4.5 mmol )を酢酸に溶解し、タングステン酸ナトリウム二水和物0.29 g ( 0.90 mmol )を加え、30%過酸化水素水1.00 g ( 9.0 mmol )を滴加した。25℃で一晩攪拌した。得られた反応物に水を加えてろ過し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1 溶出)で精製し、4-(ベンジルスルホニル)-2-(ピラジン-2-イル)-6-トリフルオロメチルピリミジン0.85 g ( 収率 50% )を得た(表2-70)[1H-NMR (CDCl3): δ4.86(s, 2 H), 7.25-7.35(m, 5 H), 8.09(s, 1 H), 8.84(d, 1 H), 8.92(dd, 1 H), 9.78(d, 1 H), 19F-NMR (CDCl3): δ93.122(s)]。
【0095】
上記実施例1〜6と同様の方法で、前記表1〜3の化合物を合成することができる。
【0096】
<製剤例>
次に本発明の有害生物防除剤の製剤例を示す。なお、部は製剤の質量を100質量部としたときの質量部を表す。
製剤例1 水和剤
ハンマーミルで平均粒径10 μmに微粉砕した上記実施例1〜6で得られたピリミジン誘導体50部、リグニンスルホン酸ナトリウム3部、ラウリル硫酸ナトリウム2部、合成含水珪酸10部およびクレー35部をよく混合した後、ジェットミルにより粉砕し各々の水和剤を得た。
【0097】
製剤例2 乳剤
上記実施例1〜6で得られたピリミジン誘導体10部、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル9部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム6部、N-メチルピロリドン20部およびキシレン55部を均一に溶解して各々の乳剤を得た。
【0098】
製剤例3 粒剤
ハンマーミルで平均粒径10 μmに微粉砕した上記実施例1〜6で得られたピリミジン誘導体5部にリグニンスルホン酸ナトリウム3部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部、ベントナイト30部およびクレー61部を加え、充分撹拌混合した後、これらの混合物に適量の水を加え、さらに混練し、押し出し型造粒機で造粒し、通風乾燥した後、整粒および篩別して各々の粒剤を得た。
【0099】
製剤例4 粉剤
ハンマーミルで平均粒径8μmに微粉砕した上記実施例1〜6で得られたピリミジン誘導体1部、合成含水珪酸微粉末5部、PAP 0.3部およびクレー93.7部を加え、ピンミルで撹拌混合して各々の粉剤を得た。
【0100】
製剤例5 フロアブル剤
ハンマーミルで平均粒径8 μmに微粉砕した上記実施例1〜6で得られたピリミジン誘導体10部、ポリオキシエチレンスチレンスチレン化フェニルエーテルフォスフェートアンモニウム塩3部、シリコン消泡剤1部および水36部を加え、ミキサーで撹拌し、分散液を得た。この分散液をビーズミルによって平均粒系1.5 μmまで微粉砕した後、この中にキサンタンガム0.5部および防腐剤0.2部を含む水溶液40部を加え、さらにプロピレングロコール10部を加えて緩やかに撹拌混合して各々の10%フロアブル剤を得た。
【0101】
<有効性試験例>
次に、本発明のピリミジン誘導体又はその塩が、有害生物防除剤の有効成分として有用であることを試験例により示す。なお本発明のピリミジン誘導体又はその塩は表1〜3に記載の化合物番号で示し、比較対照に用いた化合物は、下記の化合物記号で示す。
化合物 A: 6-ベンジルスルホニル-2-メチル-4-トリフルオロメチルピリミジン
(特開2001-247411号記載の化合物)
化合物 B: 6-ベンジルスルホニル-2-フェニル-4-トリフルオロメチルピリミジン
(特開2001-247411号記載の化合物)
化合物 C:4-メチル-6-メチルスルホニル-2-(ピリジン-4-イル)ピリミジン
(DE4034762号記載の化合物)
【0102】
試験例1) キュウリ灰色かび病に対する試験(CGM)
播種12日後のキュウリ(品種:相模半白)を準備した。このキュウリの葉軸を2cm程度残して子葉部分を切り取った。これとは別に32cm×24cm×4.5cm(たて×よこ×高さ)のプラスチックケースの底部に水で十分に湿らせたペーパータオルを敷き、ペーパータオルの上に足つきの網を置いたものを準備した。この網の上に、上記の切り取った子葉部分を、葉が水平になるように並べた。その子葉の真中に、キュウリ灰色かび病菌(Botrytis cinerea)の胞子懸濁液(1×106 個/ml)を20 μlずつ滴下した。その後、子葉の上に直径8 mmのペーパーディスクを被せた。上記製剤例2に準じて本発明のピリミジン誘導体又はその塩の乳剤を調製し、さらに0.02%Tween20脱塩水水溶液で希釈して濃度500ppmの希釈液を作成した。この希釈液を、ペーパーディスクの上から50μlずつ滴下した。プラスチックケースにフタをして20 ℃条件下に96時間置いた後、病斑直径を測定し下記の式にてキュウリ灰色かび病の防除価を求めた。

防除価(%)=[1−(処理区病斑直径 / 無処理区病斑直径)] × 100






















表4 試験例1)に対する試験結果

【0103】
試験例2) インゲンマメ灰色かび病に対する試験(KGM)
直径6 cmのポットで生育させたインゲン(品種:大正金時)初生葉を試験用に準備した。これとは別に、上記製剤例2に準じて本発明のピリミジン誘導体又はその塩の乳剤を調製し、さらに0.02%Tween20脱塩水水溶液で希釈して濃度500ppmの希釈液を作成した。この希釈液を、スプレーガンを用い、上記インゲンの葉表に十分量(約0.025ml/cm2葉の表面積)散布した。風乾1日後に、インゲンマメ灰色かび病菌(Botrytis cinerea)の胞子懸濁液(5×106個/ml 0.05%イノシン酸含有1/2 PS液体培地)をスプレーガンでインゲンの葉表に均一に噴霧した(約0.01ml/cm2葉の表面積)。その後、インゲンを23 ℃で湿度100%の過湿条件にした接種箱に入れた。接種4日後、葉上に形成された病斑面積率を以下の指標を用いて調査し、下式にてインゲンマメ灰色かび病の防除価を求めた。

1:病斑面積率 6.3%未満 発病度 6.25
2:病斑面積率 6.3〜12.5%未満 発病度 12.5
3:病斑面積率 12.5〜25%未満 発病度 25.0
4:病斑面積率 25〜50%未満 発病度 50.0
5:病斑面積率 50%以上 発病度 100.0

防除価 (%)= [1 −(処理区発病度 / 無処理区発病度)] ×100
【0104】
表5 試験例2)に対する試験結果

【0105】
試験例3) キュウリべと病に対する試験(CDM)
直径4 cmのポットに生育させた1.5葉期のキュウリ(品種:相模半白)を試験用に準備した。これとは別に、上記製剤例2に準じて本発明のピリミジン誘導体又はその塩の乳剤を調製し、さらに0.02%Tween20脱塩水水溶液で希釈して濃度500ppmの希釈液を作成した。この希釈液を、スプレーガンを用い、上記キュウリの葉表に十分量(約0.025ml/cm2葉の表面積)散布した。風乾1日後に、キュウリべと病菌(Pheudoperonospora cubensis)の遊走子懸濁液を噴霧して(約0.001ml/cm2葉の表面積)、菌を接種し、23℃で湿度100%の過湿度の接種箱に24時間放置後、23℃の温室で4日間維持した。接種5日後、葉上に形成された病斑面積率を試験例2と同様に求め、試験例2と同様の式に従ってキュウリべと病菌の防除価を算出した。




















【0106】
表6 試験例3)に対する試験結果

【0107】
試験例4) トマト疫病に対する試験(TLB)
直径4 cmのポットに生育させた3葉期のトマト(品種:大型福寿)を試験用に準備した。これとは別に、上記製剤例2に準じて本発明のピリミジン誘導体又はその塩の乳剤を調製し、さらに0.02%Tween20脱塩水水溶液で希釈して濃度500ppmの希釈液を作成した。この希釈液を、スプレーガンを用い、トマトの葉表に十分量(約0.025ml/cm2葉の表面積)散布した。風乾1日後に、トマト疫病菌(Phytophthora infestans)の遊走子懸濁液を噴霧接種して(約0.001ml/cm2葉の表面積)菌を接種し、23℃で湿度100%の過湿度の接種箱に24時間放置後、23℃の温室で4日間維持した。接種5日後、葉上に形成された病斑面積率を試験例2と同様に求め、試験例2と同様の式に従ってトマト疫病菌の防除価を算出した。








































【0108】
表7 試験例4)に対する試験結果

【0109】
試験例5) コムギ赤さび病に対する試験(WBR)
直径4 cmのポットに生育させた2葉期のコムギ(品種:農林61号)を試験用に準備した。これとは別に、上記製剤例2に準じて本発明のピリミジン誘導体又はその塩の乳剤を調製し、さらに0.02%Tween20脱塩水水溶液で希釈して濃度500ppmの希釈液を作成した。この希釈液を、スプレーガンを用い、上記コムギに十分量(約0.025ml/cm2葉の表面積)散布した。風乾1日後に、コムギ赤さび病菌(Puccinia recondeta)の夏胞子懸濁液を噴霧して(約0.01ml/cm2葉の表面積)菌を接種し、23℃で湿度100%の過湿度の接種箱に24時間放置後、23℃の温室で6日間維持した。接種7日後、葉上に形成された病斑面積率を試験例2と同様に求め、試験例2と同様の式に従ってコムギ赤さび病菌の防除価を算出した。











































【0110】
表8 試験例5)に対する試験結果

【0111】
試験例6) オオムギうどんこ病に対する試験(BPM)
直径4 cmのポットに生育させた2葉期のオオムギ(品種:みのりむぎ)を試験用に準備した。これとは別に、上記製剤例2に準じて本発明のピリミジン誘導体又はその塩の乳剤を調製し、さらに0.02%Tween20脱塩水水溶液で希釈して濃度500ppmの希釈液を作成した。この希釈液を、スプレーガンを用い、上記オオムギに十分量(約0.025ml/cm2 葉の表面積)散布した。風乾1日後に、オオムギうどんこ病菌(Erysiphe graminis)の分生胞子をふりかけ接種して菌を接種し、23℃の温室で6日間維持した。接種7日後、葉上に形成された病斑面積率を試験例2と同様に求め、試験例2と同様の式に従ってオオムギうどんこ病菌の防除価を算出した。
【0112】
表9 試験例6)に対する試験結果

【0113】
試験例7) インゲンマメ葉腐病に対する試験(KRR)
直径6cmのポットで生育させたインゲンマメ(品種:大正金時)初生葉を試験用に準備した。これとは別に、上記製剤例2に準じて本発明のピリミジン誘導体又はその塩の乳剤を調製し、さらに0.02%Tween20脱塩水水溶液で希釈して濃度500ppmの希釈液を作成した。この希釈液を、スプレーガンを用いて上記インゲンマメの葉表に十分量(約0.025ml/cm2葉の表面積)散布した。風乾1日後に上記初生葉から直径3 cmのリーフディスクを切り取り、32 cm x 24 cm x 4.5 cm(たて x よこ x 高さ)のプラスチックケースの底部に水で十分湿らせたペーパータオルを敷き、このペーパータオルの上に上記リーフディスクを並べた。リーフディスクの中央にインゲンマメ葉腐病菌(Rhizoctonia solani)の菌叢寒天片を置き、プラスチックケースのフタをして23℃の条件下に72〜96時間置いた。その後、各リーフディスクの病斑面積率を以下の指標を用いて調査し、下式からインゲンマメ葉腐病菌の防除価を求めた。






防除価(%) = [1 - (処理区発病度 / 無処理区発病度)] x 100
【0114】
表10 試験例7)に対する試験結果

【0115】
試験例8) 各種病原菌に対する低濃度での効果
本発明のピリミジン誘導体又はその塩の乳剤の濃度を100 ppmあるいは20 ppmに変化させた以外は、上記試験例1)、3)〜5)と同様の試験を繰り返し、本発明のピリミジン誘導体又はその塩の低濃度下における各種病原菌に対する効果を測定した。表11に各種病原菌に対する防除価(%)を示す。








表11

【0116】
試験例9)茎葉処理による雑草に対する効果
15×10 cmのアルミポットに畑土壌を詰め、有用作物としてダイズの種を1粒/cm2、及びトウモロコシの種を1粒/cm2播種した。この土壌に、さらに、広葉雑草種子としてアオビユを10粒/cm2、シロザを10粒/cm2播種した後、0.5cmの覆土を施した。アオビユが本葉2〜3葉期になったときに、製剤例2に準じて調製した本発明のピリミジン誘導体又はその塩の乳剤3kg/ha(30 g a.i./a)の薬量を均一にダイズ、トウモロコシ及びアオビユの茎葉に散布した。散布処理14日後にアオビユの生育状態を観察し、効果を判定した。生育程度は1〜10の10段階(1は無処理同等、10は完全枯死を示す)に分けて表示した。広葉雑草種子としてシロザを用いる以外は上記と同様の方法を繰り返し、効果を判定した。
表12

【0117】
試験例10)カンザワハダニ幼虫に対する効果
インゲン葉を2.5 cm ×5.0 cmにハサミで切り取ってリーフディスクを作成した。これとは別に、スチロールカップの底部に直径12.0 cmのガラス円盤を配し、このガラス円盤の上に水で湿らせたろ紙を置いた。上記リーフディスク2枚をこのろ紙上に静置した。さらにカンザワハダニ雌成虫をリーフディスク1枚あたり10頭ずつ配置した。24時間静置後、上記製剤例2に準じて調製した本発明ピリミジン誘導体又はその塩の乳剤の水希釈液(濃度500ppm)を、各スチロールカップあたり5 mlずつクロマト噴霧器を用いて散布した。更に24時間風乾した後、リーフディスクを26℃の恒温器内に収容し、雌成虫を除去し、上記リーフディスク上に雌成虫が生み付けた卵のみが残るようにした。散布から7日経過後、生まれた幼虫の死虫率を下式に従って算出した。

幼虫死虫率(%) = [ 死虫数/(死虫数 + 生存虫数)] × 100




表13


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式[I]



[式中、R1はアルキル基又はアルコキシ基を表し;
2はアリールアルキル基又はヘテロアリールアルキル基を表し;
3は水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表し;
nは0、1又は2を表し、
Hetは式[II]


(式中、R4は同一または異なってもよい水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基を表し、アリール基、ヘテロアリール基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基又はアルキルスルホニル基を表し、mは1〜4の整数を表す)を表す]
で示されるピリミジン誘導体又はその塩。
【請求項2】
(1)式[III]


[式中、Het、R1、R3は請求項1と同じ意味を表し、Xはハロゲン原子を表す]
で表される化合物と、
式[IV]

[式中、R2は請求項1と同じ意味を表す]で表される化合物とを、塩基の存在下で反応せしめるか、または、式[V]


[式中、Het、R1、R3は請求項1と同じ意味を表す]で表される化合物と、
式[VI]

[式中、R2は請求項1と同じ意味を表し、Xはハロゲン原子を表す]で表される化合物とを、塩基の存在下で反応せしめて、式[VII]

[式中、Het、R1、R2、R3は請求項1と同じ意味を表す]で表される化合物を得る工程;及び
(2)得られた式[VII]で表される化合物を酸化して、請求項1に記載のピリミジン誘導体を得る工程;
を含む、請求項1に記載のピリミジン誘導体又はその塩の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載のピリミジン誘導体又はその塩の1種以上を有効成分として含有することを特徴とする有害生物防除剤。

【公開番号】特開2006−28056(P2006−28056A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−207069(P2004−207069)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(000101123)アグロカネショウ株式会社 (19)
【Fターム(参考)】